発明の詳細な説明
医薬組成物及び製剤
低い水溶性の薬剤を含む医薬製剤は医薬の溶解性を改良するための幾つかのツールを必要とする。例えば、薬剤を粉砕し、界面活性物質を添加し、又は、薬剤を非晶化することが知られている。しかしながら、界面活性物質の添加は、薬剤を化学的に不安定化することがある。また、界面活性物質の量に依存して、添加剤に吸着させ、次いで、固形製剤に添加することが要求される。これは製造工程を複雑にする可能性がある。あるいは、薬物を非晶質化する方法は、結晶形を変化させることが要求される。このため、これらのツールのいずれも簡単ではない。
水溶性の低い薬剤を高濃度で含有する組成物を製造する場合、通常、粉末は直接圧縮により錠剤化されるか、又は、顆粒は、乾式もしくは湿式顆粒化法により製造されそして錠剤化される。しかしながら、粉砕された薬剤の粉末を直接圧縮により錠剤化する前者のアプローチは、主に薬剤の物理的特性により影響され、しばしば、打錠の際に大きな重量の変化があり、生産性を観点で低い製造可能性をもたらす。また、このアプローチは、不利なことに、薬剤の低い溶解性をもたらす。また、顆粒を粉砕された薬剤の粉末を用いた乾式顆粒化法(例えば、ローラーコンパクターを用いて)により製造し、得られた顆粒を錠剤化する後者のアプローチの場合においても、薬剤の物理的性質によって影響を受け、そして打錠の際に大きな重量の変化があることがあり、生産性を観点で低い製造可能性をもたらす。また、このアプローチは、不利なことに、薬剤の低い溶解性をもたらす。
本発明は37℃の水中で0〜10 μg/mLの溶解性を有する化合物を含んでなる組成物であって、該化合物が結晶粒子の形態であり、粒子の99%が27 μm又はそれ以下の直径を有する、組成物を提供する。
本発明は、また、37℃の水中で0〜10 μg/mLの溶解性を有する化合物を含んでなる組成物と少なくとも1つの添加剤とを混合する工程であって、該化合物が結晶粒子の形態であり、粒子の99%が27 μm又はそれ以下の直径を有する工程、得られた混合物を、結合剤を含んでなる水溶液で湿式顆粒化する工程、及び、任意には、得られた顆粒を潤滑剤と混合する工程を含んでなる、方法を提供する。
本発明は、さらに、37℃の水中で0〜10 μg/mLの溶解性を有する化合物を含んでなる組成物と少なくとも1つの添加剤とを混合する工程であって、該化合物が結晶粒子の形態であり、粒子の99%が27μm又はそれ以下の直径を有する工程、得られた混合物を、結合剤を含んでなる水溶液と混練する工程、混練された混合物を、成形面又はスクリーン表面に対して押し付けることによって押出し顆粒化する工程、及び、任意には、得られた顆粒を潤滑剤と混合する工程を含んでなる、方法を提供する。
組成物中において、粒子の90%は17μm又はそれ以下の直径を有することができ、好ましくは約4μm〜約10μmの直径を有することができる。組成物中において、粒子の50%は7μm又はそれ以下の直径を有し、好ましくは約1 μm〜約4 μmの直径を有する。
組成物は実質的に界面活性物質を含まなくてよく、界面活性物質を1%未満含んでなり、界面活性物質を0.5%未満含んでなり、又は、界面活性物質を0.1%未満含んでなることができる。
化合物は37℃の水中で0〜3.5 μg/mLの溶解性を有することができる。化合物は式III、IIIa、IVa、IVb、Va又はVbの化合物、或いは、その医薬的に許容される塩、又は、そのプロドラッグ若しくはその代謝物であることができる。好ましくは、化合物は(-)-トランス-3-(5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[3,2,1-ij]キノリン-1-イル)-4-(1H-インドール-3-イル)ピロリジン-2,5-ジオン又はその医薬的に許容される塩、プロドラッグ若しくは代謝物であることができる。
組成物は添加剤を含むことができる。添加剤は、希釈剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、安定剤又は矯正剤(corrective)であることができる。好ましくは、希釈剤は糖誘導体、デンプン誘導体又はセルロース誘導体である。より好ましくは、希釈剤はラクトースである。
組成物はコーティング剤を含むことができる。コーティング剤は、糖衣基剤、水溶性膜コーティング基剤、腸溶膜コーティング基剤又は徐放性膜コーティング基剤であることができる。コーティング剤は、可塑剤、希釈剤、潤滑剤、マスキング剤、着色剤、光沢剤、又は防腐剤を含むことができる。
組成物は、粉末、細顆粒、顆粒、カプセル又は錠剤であることができる。好ましくは、組成物は錠剤である。
組成物は、約10〜約60重量パーセントの化合物を含む。より好ましくは、約30〜約50重量パーセントの化合物を含む。
湿式顆粒化工程は高剪断造粒機、流動層造粒機、回転式造粒機又は混練造粒機を使用して行われることができる。好ましくは、それは高剪断造粒機又は流動層造粒機を使用して行われる。
本発明の方法は顆粒を乾燥し又は錠剤化する工程をさらに含んでなる。ある実施形態において、化合物及び添加剤は共混合されない。他の実施形態において、化合物は添加剤と混合される前に粉砕される。
本発明は、また、本明細書中に提供される方法により得られる顆粒を提供する。
本発明によると、粉砕された水溶性が低い薬剤を含み、製造可能性及び薬剤の溶解性が優れている錠剤は、錠剤が界面活性物質を含まなくても製造され得る。
本発明に係る「水溶性が低い薬剤」は、37℃の水中で0〜10 μg/mLの溶解性を有する薬剤であり、好ましくは37℃の水中で0〜5 μg/mLの溶解性を有する薬剤であり、より好ましくは37℃の水中で0〜3.5μg/mLの溶解性を有する薬剤であり、さらにより好ましくは (-)-トランス-3-(5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[3,2,1-ij]キノリン-1-イル)-4-(1H-インドール-3-イル)ピロリジン-2,5-ジオン、又は、その薬理学的に許容される塩であり、最も好ましくは(-)-トランス-3-(5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[3,2,1-ij]キノリン-1-イル)-4-(1H-インドール-3-イル)ピロリジン-2,5-ジオンである。
本発明において、水溶性が低い薬剤は添加剤と混合される前に粉砕されることが好ましい。本発明において、「粉砕」は粒子サイズを低減し、それにより、均一混合状態の形成を容易にし、そして薬剤の表面積(比表面積SSAと呼ばれる)の増加により薬剤の溶解速度及び生体供給性を改良するために、衝撃、圧縮、剪断又は摩擦などの機械的力を加えることにより固体粒子を粉砕することを目的として行われる。既知の粉砕法としては、10 μm付近である50%累積粒子直径を得るための、粉砕チャンバー中の高速回転式ハンマー又はピンの衝撃力の手段により粉砕を行う、高速回転式衝撃ミル(ハンマーミル及び衝撃ミル)、粉末及び磁気ボールを入れた回転シリンダー中で衝撃力又は摩擦力の手段により粉末の粉砕を行う、キャリアミル(ボールミル又は振動ミル)、及び、数μmよりも小さい50%累積粒子直径を得るための、ノズルから圧縮空気及び原料粒子をジェットし、渦巻粒子とともに空気ジェットにより加速された粒子を粉砕チャンバー中で衝突させることにより粉砕を行う、流体エネルギーミル(ジェットミル)が挙げられる。
下記を用いて粒子を測定することができる。
粒子直径分布測定装置: HELOS (H1326) & RODOS システム(Sympatec GmbH製);
レーザー回折装置の測定範囲:0.5〜875μm;
レーザー回折装置の計算モード: Fraunhofer HRLD (v3.2 Rel. 2);
分散機: RODOS、乾燥分散装置;
分散圧: 2.50 bar;
真空度: 90.00 mbar。
上記の条件下に測定された粒子直径において、粒子サイズ分布の50%累積粒子直径は好ましくは7μm又はそれ以下であり、より好ましくは1μm〜7μmであり、そしてさらにより好ましくは1μm〜4 μmであり、粒子サイズ分布の90%累積粒子直径は好ましくは17又はそれ以下であり、より好ましくは4 μm〜17 μmであり、さらにより好ましくは4 μm〜10 μmであり、そして粒子サイズ分布の99%累積粒子直径は好ましくは27 μm又はそれ以下であり、より好ましくは10 μm〜27 μmであり、より好ましくは9 μm〜27 μmであり、そしてさらにより好ましくは9 μm〜15 μmである。さらに好ましくは、粒子サイズ分布の50%累積粒子直径は7 μm又はそれ以下であり、粒子サイズ分布の90%累積粒子直径は17 μm又はそれ以下であり、さらにより好ましくは、粒子サイズ分布の50% 累積粒子直径は1 μm〜7 μmであり、そして粒子サイズ分布の90%累積粒子直径は4 μm〜17 μmであり、好ましくは、粒子サイズ分布の50%累積粒子直径は1 μm〜4 μmであり、そして粒子サイズ分布の90%累積粒子直径は4 μm〜10 μmである。特に好ましくは、粒子サイズ分布の50%累積粒子直径は1 μm〜7 μmであり、粒子サイズ分布の90%累積粒子直径は4 μm〜17 μmであり、そして粒子サイズ分布の99%累積粒子直径は9 μm〜27 μmであり、そして最も好ましくは、粒子サイズ分布の50%累積粒子直径は1 μm〜4 μmであり、粒子サイズ分布の90%累積粒子直径は4 μm〜10 μmであり、そして粒子サイズ分布の99%累積粒子直径は9 μm〜15 μmである。
本発明に係る「添加剤」は、通常の医薬固形製剤に用いられる添加剤であり、薬物投与を阻害しないかぎり、特に限定されない。その例としては、希釈剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、安定剤及び矯正剤(corrective)が挙げられる。
本発明で使用される希釈剤は、例えば、有機希釈剤であることができ、有機希釈剤として、ラクトース、サッカロース、グルコース、マンニトール及びソルビトールなどの糖誘導体、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、α-デンプン及びデキストリンなどのデンプン誘導体、結晶セルロースなどのセルロース誘導体、アラビアゴム及びデキストランが挙げられ、又は、無機希釈剤であることができ、無機希釈剤として、軽質無水ケイ酸、合成アルミニウムシリケート、ケイ酸カルシウム及びマグネシウムアルミノメタシリケートなどのシリケート誘導体、リン酸水素カルシウムなどのリン酸塩、炭酸カルシウムなどの炭酸塩、及び、硫酸カルシウムのような硫酸塩が挙げられ、好ましくは、有機希釈剤であり、より好ましくは糖、さらにより好ましくはラクトース、そして最も好ましくはラクトース一水和物である。
本発明に用いられる崩壊剤は、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルシウムカルボキシメチルセルロース又は内部架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、カルボキシメチルデンプン、ナトリウムカルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、又は、部分α化デンプン又はトウモロコシデンプンなどの化学修飾されたデンプン/セルロースであり、そして好ましくはクロスカルメロースナトリウムである。
本発明に用いられる結合剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、α化デンプン、ゼラチン、エチルセルロース又はコポリビドンであることができ、そして好ましくはヒドロキシプロピルセルロースである。
本発明で使用される潤滑剤は、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム又はステアリン酸マグネシウムなどのステアリン酸金属塩、タルク、コロイド状シリカ、ビーズワックス又は鯨ワックス類などのワックス、ホウ酸、アジピン酸、硫酸ナトリウムなどの硫酸塩、グリコール、フマル酸、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、安息香酸ナトリウム、D,L-ロイシン、ラウリル硫酸ナトリウム又はラウリル硫酸マグネシウムなどのラウリル硫酸塩、ケイ酸無水物又はケイ酸水和物などのケイ酸、又は、上記に例示のデンプン誘導体であることができ、好ましくはステアリン酸金属塩であり、より好ましくはステアリン酸マグネシウムである。
本発明で使用される安定剤は、例えば、メチルパラベン又はプロピルパラベンなどのp-ヒドロキシ安息香酸エステル、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコールなどのアルコール、塩化ベンザルコニウム、フェノール、クレゾールのようなフェノール類、チメロサール、デヒドロ酢酸、又は、ソルビン酸であることができる。
本発明で使用される矯正剤(correctives)は、例えば、サッカリンナトリウム又はアスパルテームなどの甘味料、クエン酸、リンゴ酸又は酒石酸などの酸味料、メントール、レモンフレーバー、ストロベリーフレーバー又はオレンジ風味などの風味剤、L-アスパラギン酸、イノシン酸、甘草、L-グルタミン酸ナトリウム、塩化ナトリウム又はグリチルリチン酸であることができる。
被覆は、例えば、膜コーティング装置を使用して行われる。膜コーティング剤の例としては、例えば、糖衣基剤、水溶性膜コーティング基剤、腸溶性膜コーティング基剤及び徐放性膜コーティング基剤を挙げることができる。
サッカロースは糖衣基剤として使用される。さらに、タルク、沈降炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン及びプルランなどから選ばれる1つ又は2つ以上の組み合わせを用いることもできる。
水溶性膜コーティング基剤の例としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース誘導体、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタクリレートコポリマー及びポリビニルピロリドンなどの合成ポリマー、及び、プルランなどの多糖類を挙げることができる。
腸溶性膜コーティング基剤の例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース及びセルロースアセテートフタレートなどのセルロース誘導体、(メタ)アクリル酸コポリマーL、(メタ)アクリル酸コポリマーLD及び(メタ)アクリル酸コポリマーSなどのアクリル酸誘導体、及び、セラックなどの天然物を挙げることができる。
徐放性膜コーティング基剤の例としては、エチルセルロースなどのセルロース誘導体、及び、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS及びエチルアクリレート/メチルメタクリレートコポリマーエマルションなどのアクリル酸誘導体を挙げることができる。
これらのコーティング基剤は、その2種以上を適宜の割合の混合物として用いてもよい。また、コーティング基剤は、さらに、必要に応じて、可塑剤、希釈剤、潤滑剤、マスキング剤、着色剤、光沢剤及び/又は防腐剤などの適切な薬理学的に許容される添加剤を含むことができる。
本発明に用いることができる可塑剤のタイプは特に限定されず、当業者が適宜選択することができる。このような可塑剤の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン及びソルビトール、グリセリントリアセテート、フタル酸ジエチル及びクエン酸トリエチル、ラウリン酸、ショ糖、デキストロース、ソルビトール、トリアセチン、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル及びクエン酸アセチルトリブチルを挙げることができる。
本発明に用いることができるマスキング剤の例としては、二酸化チタンを挙げることができる。
本発明に用いることができる着色剤の例としては、二酸化チタン、酸化鉄、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄及び黄色5号アルミニウムレーキ、タルクを挙げることができる。
本発明に用いることができる光沢剤の例としては、カルナバワックス、タルク、ゼラチン、シェラック及びパラフィンを挙げることができる。
本発明に用いることができる防腐剤の例としてパラベンを挙げることができる。
本発明の顆粒を含む固形製剤も本発明に包含される。そのような固形製剤の例としては、錠剤(舌下錠及び経口崩壊錠を含む)、カプセル(ソフトカプセル及びマイクロカプセルを含む)、顆粒、細顆粒、粉末、丸剤、チュアブル錠及びトローチを挙げることができる。固形製剤は、好ましくは、粉末、細顆粒、顆粒、カプセル又は錠剤であり、最も好ましくは錠剤である。
本発明に係る製剤の製造方法は、例えば、パワーテクノロジー及び医薬プロセス(Power Technology and Pharmaceutical Process)(D. Chuliaら, Elsevier Science Pub Co (1993年12月1日))などの文献に記載の一般的な方法を用いて行うことができ、特に好ましくは湿式製造方法である。
高剪断造粒、流動床造粒、回転式造粒及び混練造粒法などの種々の湿式顆粒化法は、本発明に係る湿式顆粒化法として知られている。最適であると考えられている各々の方法は、目的の製剤の形態、原料等の特性に応じて採用される。好ましくは、高剪断造粒及び流動床造粒法が使用され、造粒の間に内容物の損失がほとんどない高剪断造粒法は特に好ましい。
本発明の顆粒中に配合される水溶性が低い薬剤の量は特に限定されず、例えば、顆粒の総重量に対して、10〜60重量%、好ましくは30〜50重量%である。
また、本発明の顆粒中に配合される添加剤の量は特に限定されるものではない。例えば、顆粒の総重量に対して、20〜80重量%(好ましくは40〜60重量%)の希釈剤、2〜12重量%(好ましくは5〜10重量%)の崩壊剤、1〜5重量%(好ましくは2〜3重量%)の結合剤及び0.5〜2重量%(好ましくは0.5〜1.5重量%)の潤滑剤は好ましくは配合される。
本発明において、水溶性が低い薬剤及び希釈剤は高剪断造粒の前に、前もって共粉砕されることが要求されない。
本発明において、高剪断造粒方法は下記のとおりに示される方法である。
希釈剤、崩壊剤、結合剤、安定剤及びpH調整剤などを薬剤に加え、高剪断造粒機中で攪拌ブレード及びクロススクリューの回転によって混合し、次いで、添加された水又はバインダー溶液とともに高剪断造粒を行う。乾燥後、サイズ選択を行い、顆粒を得る。顆粒は、また、水を用いて製造することができる。潤滑剤は、得られた顆粒に追加され、そしてブレンドされる。その後、混合物を打錠して錠剤を得る。また、本発明の錠剤は、少なくとも1層の膜コーティングが備えられてもよい。
本発明において、流動床造粒方法は下記のとおりに示される方法である。
希釈剤及び崩壊剤などを薬剤に添加する。混合物を流動床造粒機において空気流中で流動させ、そしてそれに結合剤溶液をノズルからスプレイする。凝集は粒子の衝突によって促進され、粒子サイズを増大させる。乾燥後に、サイズ選択を行い、顆粒を得る。
本発明に係る顆粒は50%累積粒子直径で80〜220ミクロンの球形又は不定形顆粒である。
本発明に係る顆粒化は、粉末形態、塊状形態、溶液又は溶融液体状態などの原料からほぼ均一な形状及びサイズの粒子を調製する手順を指し、顆粒、粉末又は細顆粒などの最終製品を調製するための顆粒化、及び、錠剤又はカプセルなどの製造のための中間体製品を調製するための顆粒化を含む。後述の錠剤化のための顆粒も本発明の顆粒に包含される。
本発明において、用語「製造可能性が優れた」とは、工場における生産など、固形製剤の大規模製造においてでさえ、錠剤化工程におけるキャッピング、スティッキング及びラミネーションなどの問題を起こすことなく得られる錠剤の重量変動が小さいことを指す。重量変動は、日本薬局方の一般試験法として投与単位の均一性に適用できるインデックスとして機能する。含量均一性の評価値及び評価値の最大可能許容値(L1=15.0)は、このようなインデックスとして使用することができる。
錠剤化における問題のインデックスの例としては、重量変動及び物理的問題(キャッピング、スティッキング及びラミネーション)が挙げられる。
本発明において、製剤の製造のための直接圧縮法は希釈剤及び、必要ならば、結合剤/崩壊剤を粉末形態で薬剤に対して添加し、調製された混合物に潤滑剤を添加し、そしてこの混合物を打錠機を用いて直接的に圧縮して、錠剤を形成することを含む方法を指す。
本発明においては、錠剤を製造するための乾式顆粒化法は、希釈剤、崩壊剤、結合剤及び潤滑剤などを薬剤に対して添加し、そしてそれを混合し、その後、打錠機(スラッグ法)又はロールコンパクター(ローラー圧縮法)を用いて、原料粉末を圧縮成形し、次いで、適切な方法によって粉砕/破壊をし、製造された顆粒を用いて錠剤へと製剤することを含む方法を指す。
本発明において、圧縮成形法は、原料粉末を塊状とする機械力の手段により原料粉末に圧力を加える方法である。そこで使用される装置の例としては、回転式打錠機(KIKUSUI SEISAKUSHO LTD., HATA IRON WORKS CO., LTD., SUGAWARA SEIKI Co., Ltd.などにより製造)、ローラーコンパクター、ロール造粒機、及び、チルソネータ(Chilsonator)(Freund Corp, TURBO KOGYO CO., LTD., KURIMOTO, LTD., MATSUBO Corp., NIPPON GRANULATOR CO., LTD., Fuji Paudal Co., Ltd.などにより製造)などの乾式造粒機を挙げることができる。
本発明において、粉砕/破壊法は、圧縮成形工程で形成された塊を、ナイフ、カッターなどを用いて適当なサイズに粉砕する方法である。そこに使用される装置の例としては、カッティングミル又はスクリーニングミル、例えば、パワーミル、フィッツミル、フィオーレ及びコミル(Fuji Paudal Co., Ltd., TOKUJU CO., LTD., Powrex corpなどにより製造)を挙げることができる。
本発明において、錠剤を製造するための湿式顆粒化法は下記に示すとおりの方法である。
湿式顆粒化法は広く:攪拌翼及びチョッパーの回転により原料粉末及び結合剤に高エネルギー剪断力及び衝撃力を加えることにより造粒を行う「高剪断造粒型」、回転スクリュー部分の中に原料粉末を供給し、それを加圧下に圧縮しながら強制的に前方に動かし、スクリューの先端又は側部に取り付けられたダイ(ワイヤメッシュ)の孔から連続的に圧縮された製品を押出すことにより造粒を行う「押出造粒型」、回転されている原料粉末に対して結合剤をスプレイし又は結合剤によりコーティングすることにより球形粒子を製造する「回転式造粒型」、及び、空気流の中に原料粉末を流し、それに対して、ノズルから結合剤溶液をスプレイし、そして粒子の衝突により凝集を促進して、粒子サイズを増加させることを含む「流動床造粒型」に分類される。「高剪断造粒型」としては、高速で翼を回転する「攪拌翼を含む容器固定型造粒機」、例えば、NMG、高速ミキサー(High-Speed Mixer)、垂直造粒機(Vertical Granulator)、ジオソナ(Diosna)、新速度混練機(New Speed Kneader)、スーパーミキサ(Super Mixer)及びヘンシェルミキサ(Henschel Mixer)(NARA MACHINERY CO., LTD., Fukae powtec, Powrex corp., MUTUAL CORP., OKADA SEIKO CO., LTD., Kawata Corp., Mitsui Mining Co., Ltd.などにより製造)が挙げられる。「押出造粒型」としては、バスケット−又はスクリュー型造粒機、例えば、ドームグラン(DomeGran)、バスケットルーザー(Basketruzer)及びペレット押出造粒機(Pellet Extrusion Granulator)(DALTON CO., LTD., Fuji Paudal Co., Ltd., N.P. Labo Co., Ltd., AKIRAKIKO Co., Ltd., Fukae powtec などにより製造)が挙げられる。「回転式造粒機」としては、マルメライザー(Malmerizer)、CF造粒機(CF Granulator)など(Fuji Paudal Co., Ltd., Freund Corp.などにより製造)が挙げられる。「流動床造粒型」としては、GLATT又はフローコータ(Flow Coater)(Powrex corp., Freund Corp.などにより製造)を含む「流動床型」及び新マルメライザー(New Malmerizer)、スパイラルフロー(Spiral Flow)、スピラコータ(SPIRA COTA)、グラニュレックス(Granulex)など (Fuji Paudal Co., Ltd., DALTON CO., LTD., Freund Corp, OKADA SEIKO CO., LTD.などにより製造)を含む「回転流動床型」が挙げられる。
このように得られた顆粒はサイズスクリーニングして、所望の粒子直径とし、そして粉末、細顆粒又は顆粒の形態の製剤とすることができる。これらの製剤はカプセルシェル中に装填して、カプセルとすることもできる。あるいは、必要ならば、崩壊剤及び/又は潤滑剤などをさらに加え、そして混合物を打錠機などを用いて圧縮成形し、錠剤の形態の製剤を形成することができる。混合又は造粒などの任意の手順は製薬技術の分野で一般に用いられており、そして当業者により適宜実施されうる。
本発明において、試験は日本薬局方第15版のパラグラフ中に記載された溶解試験法(装置II)により、試験溶液として、1%のラウリル硫酸ナトリウムを含有するリン酸緩衝液(pH6.8 )900mLを用いて50rpmで行われる(例えば、各試験溶液を、試験開始5分、10分、15分、30分、45分及び60分後に回収し、化合物の溶解速度を吸光分光法又は高速液体クロマトグラフィー[Toyama Sangyo Co., Ltd.製の溶解試験機、及び、Shimadzu Corp.製の分光光度計及び高速液体クロマトグラフィー]により測定し、試験を6つの錠剤に対して行い、その溶解率の平均値を算出した)。顆粒は同様の試験方法により評価することができる。
本発明において、錠剤化は、機械的な力により、原料粉末に圧力を加え、原料粉末を塊とする方法である。そこで使用される例の装置としては、回転式打錠機(KIKUSUI SEISAKUSHO LTD., HATA IRON WORKS CO., LTD., SUGAWARA SEIKI Co., Ltd., FETTE COMPACTING GmbHなどにより製造)を挙げることができる。
本発明で得られる錠剤は、丸い錠剤又は、通常のカップ半径面、糖衣用半径面、傾斜縁を有する平坦面、半径を有する平坦面又は2つの半径を有する凸面などの表面形状を有する様々な形状の錠剤であることができる。錠剤のサイズは通常の医薬錠剤のサイズであるかぎり、特に限定されない。丸い錠剤については、下限は5.0mm直径であり、上限は9.5mmである。できるだけ小さいサイズの錠剤は製造可能性又は溶解性の観点で好ましい。錠剤の色は特に限定されず、白色又は赤橙色であってもよい。
3-(5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[3,2,1-ij]キノリン-1-イル)-4-(1H-インドール-3-イル)ピロリジン-2,5-ジオン又はその薬理学上許容される塩及び種々の添加剤を用いて、種々の製造方法によりこのように製造された本発明の医薬製剤は、長期間安定に保存することができる。
本発明の錠剤に配合されるコーティング剤の量は特に限定されず、錠剤の総重量に対して、例えば、1.7〜5.4重量%、好ましくは3.5〜4.6重量%である。
ピロロキノリニル-ピロール-2,5-ジオン及びピロロキノリニル-ピロリジン-2,5-ジオン
式III及びIIIaのピロロキノリニル-ピロール-2,5-ジオン化合物は以下のとおりである。
R1、R2及びR3は、独立に、水素、F、Cl、Br、I、─NR5R6、─(C
1─C
6)アルキル、─(C
1─C
6) 置換アルキル、─(C
3─C
9) シクロアルキル、─(C
3─C
9) 置換シクロアルキル、─O─(C
1─C
6) アルキル、─O─(C
1─C
6) 置換アルキル、─O─(C
3─C
9) シクロアルキル、─O─(C
3─C
9) 置換シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びヘテロサイクリルからなる群より選ばれ、
R4は水素、─(C
1─C
6)アルキル及び─CH
2R7からなる群より選ばれ、
R5及びR6は、独立に、水素及び─(C
1─C
6)アルキルからなる群より選ばれ、
R7は─O─P(=O)(OH)
2、─O─P(=O)(─OH)(─O─(C
1─C
6)アルキル)、─O─P(=O)(─O─(C
1─C
6)アルキル)
2、─O─P(=O)(─OH)(─O─(CH
2)─フェニル)、─O─P(=O)(─O─(CH
2)─フェニル)
2、カルボン酸基、アミノカルボン酸基及びペプチドからなる群より選ばれ、
Qはアリール、ヘテロアリール、─O─アリール、─S─アリール、─O─ヘテロアリール及び─S─ヘテロアリールからなる群より選ばれ、
Xは─(CH
2)─、─(NR8)─、S及びOからなる群より選ばれ、
R8は水素、─(C
1─C
6) アルキル、─(C
1─C
6)置換アルキル、─(C
3─C
9)シクロアルキル、─(C
3─C
9)置換シクロアルキル、─O─(C
1─C
6) アルキル、─C(=O)─O─(C
1─C
6)アルキル及び─C(=O)─O─(C
1─C
6)置換アルキルからなる群より選ばれ、
Yは─(CH
2)─又は結合からなる群より選ばれ、そして、
mは1又は2であり、
上記のアリール、ヘテロアリール、─O─アリール、─S─アリール、─O─ヘテロアリール及び─S─ヘテロアリール基は、F、Cl、Br、I、─NR5R6、─(C
1─C
6)アルキル、─(C
1─C
6)置換アルキル、─(C
3─C
9)シクロアルキル、─(C
3─C
9)置換シクロアルキル、─O─(C
1─C
6)アルキル、─O─(C
1─C
6)置換アルキル、─O─(C
3─C
9)シクロアルキル、─O─(C
3─C
9)置換シクロアルキル、─アリール、─アリール─(C
1─C
6)アルキル、─アリール─(C
1─C
6)アルキル、─O─アリール、─O─(C
1─C
4) アルキルアリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル、─O─(C
1─C
4)アルキルヘテロサイクル及び─(S(=O)
2)─(C
1─C
6)アルキルからなる群より独立に選ばれる1つ又はそれ以上の置換基により置換されていてよい。
式IIIaの化合物では、Qはアリール、ヘテロアリール、─O─アリール、─S─アリール、─O─ヘテロアリール及び─S─ヘテロアリールからなる群より選ばれるが、ただし、R4が水素又は(C
1-C
4)アルキルである場合には、Qは3-インドリル又は置換3-インドリルではない。
式IVa、IVb、Va又はVbのピロロキノリニル-ピロリジン-2,5-ジオン化合物は以下のとおりである。
上式中、R1、R2及びR3は、独立に、水素、F、Cl、Br、I、─NR5R6、─(C
1─C
6)アルキル、─(C
1─C
6)置換アルキル、─(C
3─C
9)シクロアルキル、─(C
3─C
9)置換シクロアルキル、─O─(C
1─C
6)アルキル、─O─(C
1─C
6)置換アルキル、─O─(C
3─C
9)シクロアルキル、─O─(C
3─C
9)置換シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びヘテロサイクリルからなる群より選ばれ、
R4は水素、─(C
1─C
6)アルキル及び─CH
2R7からなる群より選ばれ、
R5及びR6は、独立に、水素及び─(C
1─C
6)アルキルからなる群より選ばれ、
R7は─O─P(=O)(OH)
2、─O─P(=O)(─OH)(─O─(C
1─C
6)アルキル)、─O─P(=O)(─O─(C
1─C
6)アルキル)
2、─O─P(=O)(─OH)(─O─(CH
2)─フェニル)、─O─P(=O)(─O─(CH
2)─フェニル)
2、カルボン酸基、アミノカルボン酸基及びペプチドからなる群より選ばれ、
Qはアリール、ヘテロアリール、─O─アリール、─S─アリール、─O─ヘテロアリール及び─S─ヘテロアリールからなる群より選ばれ、
Xは─(CH
2)─、─(NR8)─、S及びOからなる群より選ばれ、
R8は水素、─(C
1─C
6)アルキル、─(C
1─C
6)置換アルキル、─(C
3─C
9)シクロアルキル、─(C
3─C
9)置換シクロアルキル、─O─(C
1─C
6)アルキル、─C(=O)─O─(C
1─C
6)アルキル及び─C(=O)─O─(C
1─C
6)置換アルキルからなる群より選ばれ、
Yは─(CH
2)─及び結合からなる群より選ばれ、
mは1又は2であり、
上記のアリール、ヘテロアリール、─O─アリール、─S─アリール、─O─ヘテロアリール及び─S─ヘテロアリール基は、F、Cl、Br、I、─NR5R6、─(C
1─C
6)アルキル、─(C
1─C
6)置換アルキル、─(C
3─C
9)シクロアルキル、─(C
3─C
9)置換シクロアルキル、─O─(C
1─C
6)アルキル、─O─(C
1─C
6)置換アルキル、─O─(C
3─C
9)シクロアルキル、─O─(C
3─C
9)置換シクロアルキル、─アリール、─アリール─(C
1─C
6)アルキル、─アリール─(C
1─C
6)アルキル、─O─アリール、─O─(C
1─C
4)アルキルアリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル、─O─(C
1─C
4)アルキルヘテロサイクル及び─(S(=O)
2)─(C
1─C
6)アルキルからなる群より独立に選ばれる1つ又はそれ以上の置換基により置換されていてよい。
式III、IIIa、IVa、IVb、Va又はVbの化合物の調製は、WO 2010/093789及びUS 20100297075に記載されており、それらの全内容を参照により本明細書中に取り込む。
定義
用語「アルキル」は炭素及び水素を含み、不飽和を含まない基を指す。アルキル基は直鎖であっても又は枝分かれであってもよい。例示のアルキル基としては、限定するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、t-ブチル、sec-ブチルなどが挙げられる。アシル基はある範囲によって表すことができ、このため、例えば、 (C1 - C6)アルキル基は直鎖もしくは枝分かれアルキル骨格において1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である。置換及び非置換アルキル基は、独立に、(C1 - C5)アルキル、(C1 - C6)アルキル、(C1 - C10)アルキル、(C3 - C10)アルキル又は(C5 - C10)アルキルであることができる。特に明記しないかぎり、用語「アルキル」は「シクロアルキル」を含まない。
「シクロアルキル」基は「環部分」に示した数の炭素原子を有する環状アルキル基を指し、ここで、「環部分」は、縮合、スピロ又は橋かけ環構造のいずれかとして、1つ又はそれ以上の環構造からなることができる。例えば、C3〜C6シクロアルキル基(例えば、(C3 - C6)シクロアルキル)は環中に3〜6個の炭素原子を有する環構造である。範囲が示されていない場合には、シクロアルキルは環部分の中に3〜9個の炭素原子を有する(C3 - C9)シクロアルキル)。例示のシクロアルキル基としては、限定するわけではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びアダマンチルが挙げられる。好ましいシクロアルキル基は環構造中に3、4、5、6、7、8又は9個、又は、3〜9個の炭素原子を有する。
用語「置換アルキル及び置換シクロアルキル」は、フッ素、アリール、ヘテロアリール、─O─(C1─C6)アルキル及び─NR5R6からなる群より独立に選ばれる1つ又はそれ以上の置換基により置換されており、ここで、R5及びR6は、独立に、水素及び─(C1─C6)アルキルからなる群より選ばれる、上記のとおりのアルキル及びシクロアルキル基を指す。
用語「アリール」は1,2又は3個の芳香環を有する芳香族炭素環式基を指す。例示のアリール基としては、限定するわけではないが、フェニル、ナフチルなどが挙げられる。アリール基は4〜9員の1つ又はそれ以上の追加の非芳香族炭素環又は複素環と縮合された1,2又は3個の芳香環構造を含む。縮合アリール基の例としては、ベンゾシクロブテン、インダニル、テトラヒドロナフチレニル、1,2,3,4-テトラヒドロフェナントレニル、テトラヒドロアントラセニル、1,4-ジヒドロ-1,4-メタノナフタレニル、ベンゾジオキソイルが挙げられる。
用語「ヘテロアリール」は芳香環中に1〜4個のヘテロ原子(窒素、硫黄又は酸素)を含む1、2又は3個の芳香環を有するヘテロ芳香族(ヘテロアリール)基を指す。ヘテロアリール基は、4〜9員の1つ又はそれ以上の追加の非芳香環と縮合された、1〜4個のヘテロ原子を含む1、2又は3個の芳香環構造を含む。芳香環中に単一のタイプのヘテロ原子を含むヘテロアリール基は含むヘテロ原子のタイプによって表わされ、このため、窒素含有ヘテロアリール、酸素含有ヘテロアリール及び硫黄含有ヘテロアリールはそれぞれ1つ又はそれ以上の窒素、酸素又は硫黄原子を含むヘテロ芳香族基を表す。例示のヘテロアリールとしては、限定するわけではないが、ピリジル、ピリミジニル、トリアゾリル、キノリル、キナゾリニル、チアゾリル、ベンゾ[b]チオフェニル、フラニル、イミダゾリル、インドリルなどが挙げられる。
用語「ヘテロサイクリル」又は「ヘテロサイクル」は飽和又は不飽和の安定した非芳香環構造のいずれかを指し、該構造は縮合、スピロ又は橋かけで、追加の環を形成することができる。各ヘテロサイクルは1個以上の炭素原子及び1〜4個の、窒素、酸素及び硫黄からなる群より選ばれるヘテロ原子からなる。「ヘテロサイクリル」又は「ヘテロサイクル」としては安定した非芳香族の3〜7員単環式複素環構造及び8〜11員二環式複素環構造が挙げられる。ヘテロサイクリル基は任意の環内炭素又は窒素原子に結合してよく、それにより、安定な構造となる。好ましいヘテロサイクルとしては3〜7員単環式ヘテロサイクル (より好ましくは5〜7員単環式ヘテロサイクル)及び8〜10員二環式ヘテロサイクルが挙げられる。このような基の例として、ピペリジニル、ピペラジニル、ピラニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、オキソピペリジニル、オキソピロリジニル、オキソアゼピニル、アゼピニル、イソオキソゾリル(isoxozolyl)、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、ジオキソリル、ジオキシニル、オキサチオリル、ジチオリル、スルホラニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、テトラヒドロフロジヒドロフラニル、テトラヒドロピラノジヒドロフラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロフロフラニル、テトラヒドロピラノフラン、キヌクリジニル(1-アザビシクロ[2.2.2]オクタニル)及びトロパニル(8-メチル-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタニル)が挙げられる。
Q置換基の目的で、用語「置換3-インドリル」はF、Cl、Br、I、─NR5R6、─(C1─C6)アルキル、─(C1─C6)置換アルキル、─(C3─C9)シクロアルキル、─(C3─C9)置換シクロアルキル、─O─(C1─C6)アルキル、─O─(C1─C6)置換アルキル、─O─(C3─C9)シクロアルキル、─O─(C3─C9)置換シクロアルキル、─アリール、─アリール─(C1─C6)アルキル、─アリール─O─(C1─C6)アルキル、─O─アリール、─O─(C1─C4)アルキル─アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル、─O─(C1─C4)アルキル─ヘテロサイクル及び─(S(=O)2)─(C1─C6)アルキルからなる群より選ばれる1つ又はそれ以上の置換基により置換された3-インドリル基を指し、ここで、R5、R6は、独立に、水素及び─(C1─C6)アルキルからなる群より選ばれる。
R7置換基の目的で、用語「カルボン酸基」は─O─C(=O)─(C1─C6)アルキル、─O─C(=O)─(C3─C9)シクロアルキル、─O─C(=O)─アリール、─O─C(=O)─ヘテロアリール、─O─C(=O)─ヘテロサイクル、─O─C(=O)─(C1─C6)アルキル─アリール、─O─C(=O)─(C1─C6)アルキル─ヘテロアリール又は─O─C(=O)─(C1─C6)アルキル─ヘテロサイクルの形の基を指す。「カルボン酸基」には、F、Cl、Br、I、─OH、─SH、─NR5R6、─(C1─C6)アルキル、─(C1─C6)置換アルキル、─(C3─C9)シクロアルキル、─(C3─C9)置換シクロアルキル、─O─(C1─C6)アルキル、─O─(C1─C6)置換アルキル、─S─(C1─C6)アルキル、─O─(C3─C9)シクロアルキル、─O─(C3─C9)置換シクロアルキル、─アリール、─O─アリール、─O─(C1─C4)アルキル─アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル、─O─(C1─C4)アルキル─ヘテロサイクル、─(S(=O)2)─(C1─C6)アルキル、─NH─C(=NH)─NH2 (すなわち、グアニド)、─COOH及び─C(=O)─NR5R6からなる群より独立に選ばれる1つ又はそれ以上の置換基により置換された─O─C(=O)─(C1─C6)アルキル、─O─C(=O)─(C3─C9)シクロアルキル、─O─C(=O)─アリール、─O─C(=O)─ヘテロアリール、─O─C(=O)─ヘテロサイクル、─O─C(=O)─(C1─C6)アルキル─アリール、─O─C(=O)─(C1─C6)アルキル─ヘテロアリール又は─O─C(=O)─(C1─C6)アルキル─ヘテロサイクルが含まれ、ここで、R5及びR6は、独立に、水素及び─(C1─C6)アルキルからなる群より選ばれる。さらに、R7置換基の目的で、用語「アミノカルボン酸基」は、上記の1つ又はそれ以上の置換基により置換されたカルボン酸基を含むカルボン酸基であって、1つ又はそれ以上の独立に選択される─NR5R6の形のアミノ基を含み、ここで、R5及びR6は、独立に、水素及び(C1-C6)アルキルからなる群より選ばれる、カルボン酸基を指す。本発明の1つの実施形態において、R7はαアミノもしくはイミノ酸であり、限定するわけではないが、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン又はその立体異性体もしくはラセミ混合物が挙げられる。本発明の別の実施形態において、R7はL-アラニン、L-アルギニン、L-アスパラギン、L-アスパラギン酸、L-システイン、L-グルタミン、L-グルタミン酸、L-グリシン、L-ヒスチジン、L-イソロイシン、L-ロイシン、L-リジン、L-メチオニン、L-フェニルアラニン、L-プロリン、L-セリン、L-スレオニン、L-トリプトファン、L-チロシン及びL-バリンからなる群より選ばれるαアミノもしくはイミノ酸である。
R7置換基の目的で、用語「ペプチド」は、加水分解時に、それぞれ2、3、4又は5個のアミノ酸もしくはイミノ酸(例えば、プロリン)を解放するジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド又はペンタペプチドを指す。R7の目的で、ペプチドはエステル結合を介して分子の残部に結合される。1つの実施形態において、R7のペプチドは、アミノ酸もしくはイミノ酸を含み、限定するわけではないが、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン又はその立体異性体もしくはラセミ混合物を含み、この実施形態のより好ましい形態において、エステル結合に関与するカルボキシル基は、側鎖カルボキシルとは対照的に、ペプチドのカルボキシル末端COOH基である。本発明の別の実施形態において、R7はL-アラニン、L-アルギニン、L-アスパラギン、L-アスパラギン酸、L-システイン、L-グルタミン、L-グルタミン酸、L-グリシン、L-ヒスチジン、L-イソロイシン、L-ロイシン、L-リジン、L-メチオニン、L-フェニルアラニン、L-プロリン、L-セリン、L-スレオニン、L-トリプトファン、L-チロシン及びL-バリンからなる群より選ばれるαアミノ酸もしくはイミノ酸であり、この好ましい実施形態のより好ましい形態において、エステル結合に関与するカルボキシル基は、側鎖カルボキシルとは対照的に、ペプチドのカルボキシル末端COOH基である。
好ましい化合物
式III、IIIa、IVa、IVb、Va又はVbの化合物であって、ここで、Qはアリール、ヘテロアリール、─O─アリール、─S─アリール、─O─ヘテロアリール及び─S─ヘテロアリールからなる群より選ばれ、ただし、Qが3-インドリル又は置換3-インドリルではない化合物は好ましい実施形態に含まれる。他の好ましい実施形態において、Qはアリール、ヘテロアリール、─O─アリール、─S─アリール、─O─ヘテロアリール及び─S─ヘテロアリールからなる群より選ばれ、ただし、R4が水素、シクロアルキル又はアルキルである場合には、Qは3-インドリル又は置換3-インドリルではない。さらに他の好ましい実施形態において、Qはアリール、ヘテロアリール、─O─アリール、─S─アリール、─O─ヘテロアリール及び─S─ヘテロアリールからなる群より選ばれ、ただし、R4が水素、(C3-C4)シクロアルキル又は(C1-C4)アルキルである場合には、Qは3-インドリル又は置換3-インドリルではない。別の好ましい実施形態において、Qは3-インドリル又は置換3-インドリルであり、ただし、R4は水素、シクロアルキル又はアルキルでない。さらに別の好ましい実施形態において、Qは3-インドリル又は置換3-インドリルであり、ただし、R4は水素、(C3-C4)シクロアルキル又は(C1-C4)アルキルではない。
他の好ましい実施形態は式III、IIIa、IVa、IVb、Va又はVbであって、R4が─CH2R7である化合物を含む。 これらの化合物は対応する式III、IIIa、IVa、IVb、Va又はVbで、R4がHである化合物のプロドラッグ形態として機能することができる。プロドラッグ形態は加水分解により開裂し、R4がHである対応する化合物を解放する。加水分解は、対応するヒドロキシメチレン誘導体を生成し、次の加水分解時に、R4がHである化合物を解放することになる酵素的又は非酵素的経路により起こることができる。1つのこのような好ましい実施形態において、R4は─CH2R7であり、ここで、R7は─O─P(=O)(OH)2、─O─P(=O)(─OH)(─O─(C1─C6)アルキル)又は─O─P(=O)(─O─(C1─C6)アルキル)2である。R7が─O─P(=O)(─O─(C1─C6)アルキル)2である1つの実施形態において、アルキル基は独立に選択される。別の好ましい実施形態において、R4は─CH2R7であり、ここで、R7はカルボン酸基又はアミノカルボン酸基である。なおも別の好ましい実施形態において、R7はペプチドであり、ここで、好ましい実施形態において、ペプチドはペプチド鎖のカルボキシル末端COOH基と形成されるエステルによって化合物の残部に結合される。式III、IIIa、IVa、IVb、Va又はVbでR4が─CH2R7であり、R7がペプチドである他の好ましい別の独立の実施形態において、ペプチドはジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド又はペンタペプチドであることができる。R7官能基のペプチドのための好ましいアミノ酸組成物は上記のとおりである。
式III、IIIa、IVa、IVb、Va又はVbの化合物の実施形態としては、Xが─(NR8)─、S及びOからなる群より選ばれ、R8が、独立に、水素、─(C1─C6)アルキル、─(C1─C6)置換アルキル、─(C3─C9)シクロアルキル、─(C3─C9)置換シクロアルキル及び─O─(C1─C6)アルキルからなる群より選ばれるものが挙げられる。式III、IIIa、IVa、IVb、Va又はVbの化合物の他の実施形態としては、Xが-CH2-であるものが挙げられる。式III、IIIa、IVa、IVb、Va又はVbの化合物の他の実施形態において、Xは酸素(O)である。式III、IIIa、IVa、IVb、Va又はVbの化合物の他の実施形態において、Xは硫黄 (S)である。式III、IIIa、IVa、IVb、Va又はVbの化合物のさらに他の実施形態において、Xは─(NR8)─であり、R8は、独立に、水素、─(C1─C6)アルキル、─(C1─C6)置換アルキル、─(C3─C9)シクロアルキル、─(C3─C9)置換シクロアルキル及び─O─(C1─C6)アルキルからなる群より選ばれる。
本発明の他の好ましい実施形態としては、式III又はIIIaで、Qがヘテロアリール又は、場合により置換されたヘテロアリール基である化合物が挙げられる。式III又はIIIaの化合物の4つの別個の選択肢としての好ましい実施形態において、Qは場合により置換された単環式ヘテロアリール基、場合により置換された二環式ヘテロアリール基、場合により置換されたヘテロアリール基で、ただし、二環式ヘテロアリール基がインドリル基又は置換インドリルでないもの、又は、場合により置換された三環式ヘテロアリール基である。場合による置換基が存在する場合には、その置換基は、独立に、アリール、ヘテロアリール、─O─アリール、─S─アリール、─O─ヘテロアリール及び─S─ヘテロアリールに関して記載した置換基から選択される。
本発明の好ましい実施形態として挙げられるのは、式IVa、IVb、Va又はVbで、Qがヘテロアリール又は場合により置換されたヘテロアリール基である化合物である。式IVa、IVb、Va又はVbの化合物の4つの別個の選択肢としての好ましい実施形態において、Qは場合により置換された単環式ヘテロアリール基、場合により置換された二環式ヘテロアリール基、場合により置換された二環式ヘテロアリール基で、ただし、二環式ヘテロアリールはインドリルでないもの、又は、場合により置換された三環式ヘテロアリール基である。より好ましい実施形態において、Qは場合により置換された窒素含有ヘテロアリール基である。関連の実施形態において、Qは場合により置換されたインドリルである。場合による置換基が存在する場合には、その置換基は、独立に、アリール、ヘテロアリール、─O─アリール、─S─アリール、─O─ヘテロアリール及び─S─ヘテロアリールに関して記載した置換基から選択される。
本発明の好ましい実施形態としては、ラセミ混合物を含む、式IVa及びIVbの化合物の混合物が挙げられる。別の好ましい実施形態において、式IVa及びIVbの化合物は、 (±)-シス-3-(5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ [3,2,1-ij]キノリン-1-イル)-4-(1H-インドール-3-イル)ピロリジン-2, 5-ジオンの別々のエナンチオマーである。
本発明の化合物は、WO 2006/086484、US 7,713,969及びUS 20100221251に記載される合成スキームにより調製でき、その各々の全体をすべての目的で参照により取り込む。端的には、(±)-シス-3-(5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ [3,2,1-ij] キノリン-1-イル)-4-(1H-インドール-3-イル)ピロリジン-2,5-ジオンの調製物は出発材料1,2,3,4-テトラヒドロキノリン及びインドール-3-アセトアミドから始めて混合物として調製される。1,2,3,4-テトラヒドロキノリンを5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ [3,2,1-ij]キノリン-1-イル)オキソ酢酸メチルエステルに、WO2006/086484、US 7,713,969及びUS 20100221251の実施例1の工程1〜5に記載されるとおりに転化させる。5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[3,2,1-ij]キノリン-1-イル)オキソ酢酸メチルエステルを、インドール-3-アセトアミドと、WO2006/086484、US 7,713,969及びUS 20100221251の実施例1の工程6に記載されるとおりに反応させ、3-(5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ [3,2,1-ij]キノリン-1-イル)-4-(1H-インドール-3-イル)ピロール-2,5-ジオンを生成する。(±)-シス-3-(5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ [3,2,1-ij]キノリン-1-イル)-4-(1H-インドール-3-イル)ピロリジン-2,5-ジオンの混合物を、その後、WO2006/086484、US 7,713,969及びUS 20100221251の手順Bを用いて実施例2に記載されるとおりに触媒水素化することにより調製する。
本発明の好ましい実施形態としては、また、ラセミ混合物を含む、式Va及びVbの化合物の混合物が挙げられる。別の好ましい実施形態において、式Va及びVbの化合物は (±)-トランス-3-(5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[3,2,1-ij]キノリン-1-イル)-4-(1H-インドール-3-イル)ピロリジン-2,5-ジオンの別個のエナンチオマーである。この実施形態において、化合物を、最初に(±)-シス-3-(5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[3,2,1-ij]キノリン-1-イル)-4-(1H-インドール-3-イル)ピロリジン-2,5-ジオンを上記のとおりに調製することによって混合物として調製される。シス化合物の混合物を、その後、カリウムtert-ブトキシドのtert-ブタノール中の混合物で処理し、(±)-トランス-3-(5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[3,2,1-ij]キノリン-1-イル)-4-(1H-インドール-3-イル)ピロリジン-2,5-ジオンの混合物を、WO2006/086484、US 7,713,969及びUS 20100221251の実施例3に記載されるとおりに得る。
本発明の化合物のすべての立体異性体が、混合物又は純粋な形態もしくは実質的に純粋な形態のいずれかで考えられ、ラセミ混合物の結晶形態及び個々の異性体の結晶形態を含む。本発明に係る化合物の定義はすべての可能な立体異性体 (例えば、各不斉中心に関するR及びSコンフィグレーション)及びそれらの混合物を包含する。ラセミ形態及び特定の活性を有する単離光学異性体を特に包含する。ラセミ形態は物理的方法、例えば、ジアステレオマー誘導体の分別結晶、分離又は結晶化、キラルカラムクロマトグラフィー又は超臨界流体クロマトグラフィーによる分離により分割されうる。個々の光学異性体は、例えば、光学活性酸との塩形成と、続く結晶化などの従来の方法によってラセミ体から得ることができる。特に明記しない限り、また、二重結合でのE-及びZ-コンフィギュレーションなどのすべての幾何異性体は本発明の範囲に入る。本発明の特定の化合物は互変異性体形態で存在してもよい。化合物の全てのそのような互変異性体形態は、特記しない限り本発明の範囲に入るものと考えられる。本発明は、また、類似体又は誘導体の1つ以上の位置異性体の混合物を含む。
本明細書中に使用されるときに、用語「塩」は医薬的に許容される塩であり、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、乳酸塩及び酒石酸塩などの酸付加塩を含むことができ、例えば、Na+、K+又はLi+などのアルカリ金属カチオン、Mg又はCaなどのアルカリ土類金属塩又は有機アミン塩を含むことができる。
本明細書中で使用されるときに、用語「代謝物」は、上記の式III、IIIa、IVa、IVb、Va又はVbの化合物と同様のインビボでの活性を示す、式III、IIIa、IVa、IVb、Va又はVbの化合物の代謝物、又は、その薬学的に許容される塩、類似体もしくは誘導体を意味する。
本明細書中で使用されるときに、用語「プロドラッグ」は、アミノ酸部分又は他の水可溶化部分などの1つ以上のプロ部分に共有結合された式III、IIIa、IVa、IVb、Va又はVbの化合物を意味する。式III、IIIa、IVa、IVb、Va又はVbの化合物は、加水分解、酸化及び/又は酵素的解放メカニズムによりプロ部分から解放されうる。ある実施形態では、本発明のプロドラッグ組成物は、増加した水溶性、改善された安定性及び改善された薬物動態プロファイルといった追加の利点を示す。プロ部分は、所望のプロドラッグ特性を得るように選択することができる。アミノ酸部分又は他の水可溶化部分、例えば、R4内のリン酸塩などのプロ部分は、溶解性、安定性、生体利用性及び/又はインビボデリバリー又は吸収性に基づいて選択することができる。
本発明の医薬組成物は、その意図される投与経路に適合するように製剤される。投与経路の例としては、非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口(例えば、吸入)、経皮(局所)及び経粘膜投与が挙げられる。非経口、皮内又は皮下適用に用いられる溶液又は懸濁液は、以下の成分:注射用水、食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の合成溶媒などの無菌希釈剤、ベンジルアルコール又はメチルパラベンなどの抗細菌剤、アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤、エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤、酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩などの緩衝剤、及び、塩化ナトリウム又はデキストロースなどの張性調節剤を含むことができる。pHは、塩酸又は水酸化ナトリウムなどの酸又は塩基で調整することができる。非経口製剤は、アンプル、使い捨て注射器又はガラスもしくはプラスチック製の複数回投与バイアルに封入することができる。
本発明の化合物又は医薬組成物は、現在、化学療法治療に使用されている周知の多くの方法で、対象に投与することができる。例えば、ガンの治療のために、本発明の化合物は、腫瘍に直接注入され、血流もしくは体腔に注入され、又は、経口摂取又はパッチを用いて皮膚を介して適用されることができる。選択される用量は、許容できない副作用を引き起こすほど高くはないが、有効な治療を構成するのに十分であるべきである。患者の疾患状態(例えば、ガン、前ガンなど)及び健康状態は、好ましくは、治療の間及び後の合理的な期間、綿密にモニタリングすべきである。
本明細書中で使用されるときに、用語「治療有効量」は、特定された疾患又は症状の治療、寛解又は予防し、又は、検出可能な治療効果又は阻害効果を発揮するための薬剤の量を指す。効果は、当該技術分野で既知の任意のアッセイ方法によって検出することができる。対象にとって正確な有効量は、対象の体重、サイズ及び健康状態、症状の性質及び程度、及び、投与のために選択される治療法又は治療法の組み合わせに依存するであろう。所与の状況に対する治療有効量は、臨床医の技術及び判断の範囲内である日常の実験によって決定することができる。好ましい態様において、治療する疾患又は症状はガンである。別の態様では、治療する疾患又は症状は細胞増殖性疾患である。
いずれの化合物についても、治療有効量は、新生細胞などの細胞培養アッセイにおいて、又は動物モデル、通常、ラット、マウス、ウサギ、イヌ又はブタにおいて、最初に評価することができる。動物モデルは、また、投与の適切な濃度範囲及び経路を決定するために使用することができる。そのような情報は、その後、ヒトにおける有用な用量及び投与経路を決定するために使用することができる。治療的/予防的効力及び毒性は、細胞培養物又は実験動物における標準的な薬学手順、例えば、ED50(集団の50%において治療有効な用量)及びLD50(集団の50%に対して致死的な用量)によって決定することができる。毒性効果と治療効果の間の用量比は治療インデックスであり、比LD50/ED50として表すことができる。大きな治療インデックスを示す医薬組成物が好ましい。投薬量は、使用される剤形、患者の感受性及び投与経路に応じてこの範囲内で変化しうる。
用量及び投与は活性剤の十分量を提供し、又は、所望の効果を維持するように調節される。考慮され得る要因としては、疾患状態の重症度、対象の一般的健康状態、年齢、体重及び対称の性別、食事、投与の時間及び頻度、薬物の組み合わせ、反応感受性及び治療への耐性/応答が挙げられる。長時間作用型医薬組成物は、特定の製剤の半減期及びクリアランス速度に応じて、3〜4日毎、毎週又は2週間に1回、投与することができる。
本発明の活性化合物を含有する医薬組成物は、従来の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠製造、研和、乳化、カプセル化、封入又は凍結乾燥プロセスの手段など、一般的に知られている方法で製造することができる。医薬組成物は、薬学的に使用することができる製剤への活性化合物の加工を容易にする賦形剤及び/又は補助剤を含む1種以上の医薬的に許容されるキャリアを用いて従来の方法で配合されうる。もちろん、適切な製剤は、選択される投与経路に依存する。
注射用途に適した医薬組成物は、滅菌注射用溶液又は分散液の即時調製のための無菌水溶液(水溶性の場合)又は分散液及び無菌粉末が挙げられる。静脈内投与について、適切なキャリアとしては、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF、Parsippany、N.J.)又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。全ての場合において、組成物は無菌でなければならず、容易に注射注入性が存在する程度に流動性であるべきである。それは製造及び貯蔵の条件下で安定でなければならず、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用に対して保護されなければならない。キャリアは、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコールなど)及びそれらの適切な混合物などを含む溶媒又は分散媒であることができる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散液の場合は必要な粒子サイズの維持によって、及び、界面活性物質の使用によって維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗細菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどにより達成されうる。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば、糖類、多価アルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムを含むことが好ましいであろう。注射用組成物の長期吸収は、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの吸収を遅らせる薬剤を組成物中に含ませることによってもたらすことができる。
無菌注射用溶液は、必要に応じて、上記に列挙した1つ又は組み合わせの成分と共に適切な溶媒中に必要量の活性化合物を取り込み、その後、ろ過滅菌を行うことによって調製することができる。一般に、分散液は、基本分散媒及び上記に列挙した成分からの必要な他の成分を含む滅菌ビヒクル中に活性化合物を取り込むことによって調製される。無菌注射用溶液の調製のための無菌粉末の場合、調製方法は、予め無菌ろ過した溶液から活性成分+任意の追加の所望成分の粉末を生じる真空乾燥及び凍結乾燥である。
経口組成物は、一般に、不活性希釈剤又は食用の医薬的に許容されるキャリアを含む。それらは、ゼラチンカプセルに封入し又は錠剤へと圧縮することができる。
経口治療投与の目的のために、活性化合物は添加剤とともに取り込まれ、錠剤、トローチ又はカプセルの形態で用いられることができる。経口組成物は、また、流体キャリア中の化合物が経口的に投与され、うがいし、吐き出されるか又は飲み込まれる、マウスウォッシュとしての使用のために流体キャリアを用いて調製することができる。
医薬的に適合する結合剤及び/又はアジュバント材料を組成物の一部として含めることができる。錠剤、丸剤、カプセル、トローチなどは、以下の成分又は類似の性質の化合物のいずれかを含むことができる:微結晶性セルロース、トラガカントゴム又はゼラチンなどの結合剤、デンプン又はラクトースなどの希釈剤、アルギン酸、Primogel又はコーンスターチなどの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム又はSterotesなどの潤滑剤、コロイド二酸化ケイ素などの流動促進剤、スクロース又はサッカリンなどの甘味剤、又は、ペパーミント、サリチル酸メチル又はオレンジ香料などの香味剤。
吸入による投与については、化合物は、二酸化炭素などのガスなどの適当な噴射剤を含有する、加圧容器又はディスペンサー、あるいは、噴霧器からエアロゾルスプレイの形態で送達される。
全身投与は、経粘膜又は経皮手段によるものとすることができる。、経粘膜又は経皮投与では、浸透する障壁に適した浸透剤は製剤中に使用される。このような浸透剤は、当該技術分野において一般に知られており、例えば、経粘膜投与のためには、界面活性物質、胆汁酸塩及びフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜投与は、点鼻スプレイ又は坐剤の使用によって達成することができる。経皮投与のためには、活性化合物は軟膏、膏薬、ゲル又はクリーム中に配合され、当該技術分野で一般に知られているとおりである。
1つの態様において、活性化合物は、インプラント及びマイクロカプセル化デリバリーシステムを含む制御解放製剤など、身体からの急速な排出に対して化合物を保護する医薬的に許容されるキャリアとともに調製される。
生分解性で生体適合性のポリマー、例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル及びポリ乳酸を使用することができる。そのような製剤の調製方法は当業者には明らかであろう。材料はまた、Alza Corporation及びNova Pharmaceuticalsから商業的に入手することができる。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体とともに感染細胞を標的とするリポソームを含む)もまた、医薬的に許容されるキャリアとして使用することができる。これらは、米国特許第4,522,811号明細書に記載されているように、当業者に公知の方法に従って調製することができる。
投与の容易さ及び投与量の均一性のために、投薬単位形態で経口又は非経口組成物を製剤することが特に有利である。本明細書中で使用されるときに、投薬単位形態は、治療される対象のための単位用量として適した物理的に個別の単位を指す。各単位は必要な医薬キャリアと共に所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性化合物を含有する。本発明の投与単位形態の仕様は、活性化合物の独自の特性及び達成されるべき特定の治療効果によって決定され又はそれに直接依存している。
治療用途において、本発明によって使用される医薬組成物の投与量は、薬剤、受容患者の年齢、体重及び臨床状態によって変化し、治療を施す臨床医又は従事者の経験及び判断は、要因の中でもとりわけ、選択される用量に影響を与える。一般に、用量は、腫瘍の増殖の減速をもたらし、好ましくは、腫瘍の増殖を退行し、また、好ましくはガンの完全な退縮を引き起こすのに十分な量とすべきである。投薬量は、1日当たり約0.01mg/kg〜1日あたり約3000 mg/kgの範囲であり得る。好ましい態様において、投与量は、1日あたり約1 mg/kg〜1日あたり約1000 mg/kgの範囲であり得る。1つの態様において、用量は単一投与、分割投与又は連続投与で、約0.1mg /日〜約50g /日の範囲、約0.1mg/日〜約25 g/日、約0.1mg/日〜約10 g/日、約0.1mg〜約3g/日、又は、約0.1mg〜約1g/日の範囲であり得る(投与量はkgでの患者の体重、m2での体表面積、及び、年での年齢で調節可能である)。薬剤の有効量は、臨床医又は他の資格のある観察者によって認められるよう客観的に識別可能な改善を提供するものである。例えば、患者における腫瘍の退縮は、腫瘍の直径を参照して測定することができる。腫瘍直径の減少は退縮を示す。退縮は、また、治療を停止した後に腫瘍が再発しないことによっても示される。本明細書中で使用されるときに、用語「用量有効な方法」は、対象又は細胞において所望の生物学的効果を生じるための活性化合物の量を指す。
(-)-トランス-3-(5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ [3,2,1-ij]キノリン-1-イル)-4-(1H-インドール-3-イル)ピロリジン-2,5-ジオンを、360 mgの用量で1日2回、最大日量用量720 mgで投与する。あるいは、(-)-トランス-3-(5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ [3,2,1-ij] キノリン-1-イル)-4-(1H-インドール-3-イル)ピロリジン-2,5-ジオンを240 mgの用量で1日2回、最大日量用量480 mgで投与する。(-)-トランス-3-(5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[3,2,1-ij]キノリン-1-イル)-4-(1H-インドール-3-イル)ピロリジン-2,5-ジオンを、場合により、対象又は患者に対して、初期用量10 mgで1日2回、最大日量用量20 mgで投与し、用量を360 mgで1日2回、最大日量用量720 mgの用量に増加する。(-)-トランス-3-(5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ [3,2,1-ij]キノリン-1-イル)-4-(1H-インドール-3-イル)ピロリジン-2,5-ジオンの好ましい投与形態としては、限定するわけではないが、カプレット、錠剤、丸剤及び凍結乾燥粉末が挙げられる。例えば、対象又は患者は1つの360 mgカプレットを1日2回、又は、2つの180 mgカプレットを1日2回、最大日量用量720 mgで投与する。(-)-トランス-3-(5,6- ジヒドロ-4H-ピロロ[3,2,1-ij]キノリン-1-イル)-4-(1H-インドール-3-イル)ピロリジン-2,5-ジオンのカプレット又は錠剤は、また、60 mgの用量で製剤される。
医薬組成物は本明細書中に記載される任意の化合物の同時製剤を含むことができる。
医薬組成物は投与のための説明書と一緒に容器、パック又はディスペンサーに含めることができる。
治療の方法
本発明は、細胞増殖性疾患の治療を必要とする対象に、本発明の化合物、組成物又は製剤、又は、医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、多形体もしくは溶媒和物の治療有効量を投与することによって、必要とする対象の細胞増殖性疾患を治療するための方法を提供する。細胞増殖性疾患はガン又は前ガン状態であることができる。本発明はさらに、細胞増殖性疾患の治療のために有用な医薬の調製のための本発明の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、多形体もしくは溶媒和物の使用を提供する。
本発明は、また、細胞増殖性疾患からの保護の処置を必要とする対象に、本発明の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、多形体もしくは溶媒和物の治療有効量を投与することによって、必要とする対象を細胞増殖性疾患から保護する方法を提供する。細胞増殖性疾患はガン又は前ガン状態であることができる。本発明はさらに、細胞増殖性疾患の防止のために有用な医薬の調製のための本発明の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、多形体もしくは溶媒和物の使用を提供する。
本明細書中で使用されるときに、「必要とする対象」は、細胞増殖性疾患を有する対象、又は、一般集団と比較して細胞増殖性疾患を発症するリスクが増加している対象である。必要とする対象は前ガン状態を有することができる。好ましくは、必要とする対象はガンを有する。「対象」は哺乳動物を含む。哺乳動物は、例えば、任意の哺乳動物、例えば、ヒト、霊長類、鳥類、マウス、ラット、ニワトリ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヤギ、ラクダ、ヒツジ又はブタであることができる。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
本明細書中で使用されるときに、用語「細胞増殖性疾患」は細胞の無秩序な又は異常な増殖又はその両方が、ガン性であり又はガン性でないことができる望ましくない状態又は疾患の発症をもたらすことができる条件を指す。本発明の例示的な細胞増殖性疾患は、細胞分裂が脱調節される種々の状態を包含する。例示的な細胞増殖性疾患としては、限定するわけではないが、新生物、良性腫瘍、悪性腫瘍、前ガン状態、上皮内腫瘍(in situ tumors)、被包性腫瘍、転移性腫瘍、液性腫瘍、固形腫瘍、免疫学的腫瘍、血液系腫瘍、ガン、カルチノーマ、白血病、リンパ腫、肉腫及び急速分裂細胞が挙げられる。本明細書中で使用されるときに、用語「急速分裂細胞」は同一組織内の隣接又は並置細胞で観察される速度を超える又はその速度より大きい速度で分割する任意の細胞として定義される。細胞増殖性疾患は前ガン又は前ガン性状態を含む。細胞増殖性疾患はガンを含む。好ましくは、本明細書中で提供される方法は、ガンの症状を治療又は緩和するために使用される。用語「ガン」は、固形腫瘍、並びに、血液学的腫瘍及び/又は悪性疾患を含む。「前ガン細胞」又は「前ガン性細胞」は、前ガン又は前ガン状態である細胞増殖性疾患を発現する細胞である。「ガン細胞」又は「ガン性細胞」は、ガンである細胞増殖性疾患を発現する細胞である。再現性のある任意の測定手段は、ガン細胞又は前ガン細胞を識別するために使用されうる。ガン細胞又は前ガン細胞は、組織サンプル(例えば、生検サンプル)の組織学的タイピング又はグレーディングによって識別することができる。ガン細胞又は前ガン細胞は、適当な分子マーカーの使用により識別することができる。
例示の非ガン性状態又は疾患としては、限定するわけではないが、関節リウマチ、炎症、自己免疫疾患、リンパ球増殖性状態、末端肥大症、リウマチ様脊椎炎、変形性関節症、痛風、他の関節炎状態、敗血症、敗血症性ショック、内毒素性ショック、グラム陰性敗血症、毒素ショック症候群、喘息、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、慢性肺炎症、炎症性腸疾患、クローン病、乾癬、湿疹、潰瘍性大腸炎、膵臓線維症、肝線維症、急性及び慢性腎疾患、過敏性腸症候群、発熱(pyresis)、再狭窄、脳マラリア、脳卒中及び虚血性傷害、神経外傷、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、急性及び慢性疼痛、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、慢性心不全、急性冠症候群、悪液質、マラリア、ハンセン病、リーシュマニア症、ライム病、ライター症候群、急性滑膜炎、筋変性、滑液包炎、腱炎、腱鞘炎、ヘルニア性、破裂性又は脱出性椎間板症候群、大理石骨病、血栓症、再狭窄、珪肺、肺サルコーシス、骨粗しょう症などの骨吸収疾患、移植片-宿主反応、多発性硬化症、ループス、線維筋痛症、エイズ及び帯状疱疹、単純ヘルペスIもしくはII、インフルエンザウイルス及びサイトメガロウイルスなど他のウイルス性疾患ならびに糖尿病が挙げられる。
例示のガンとしては、限定するわけではないが、副腎皮質ガン、エイズ関連ガン、AIDS関連リンパ腫、肛門ガン、直腸ガン、肛門管ガン、虫垂ガン、小児小脳星細胞腫、小児大脳星細胞腫、基底細胞ガン、皮膚ガン(非黒色腫)、胆道ガン、肝臓外胆管ガン、肝内胆管ガン、膀胱ガン、膀胱ガン(uringary bladder cancer)、骨及び関節ガン、骨肉腫及び悪性線維性組織球腫、脳ガン、脳腫瘍、脳幹グリオーマ、小脳星状細胞腫、大脳星細胞腫/悪性神経膠腫、上衣腫、髄芽腫、天幕上原始神経外胚葉性腫瘍(supratentorial primitive neuroectodeimal tumors)、視覚路及び視床下部神経膠腫、乳ガン、気管支腺腫/カルチノイド、カルチノイド腫瘍、消化器ガン、神経系ガン、神経系リンパ腫、中枢神経系ガン、中枢神経系リンパ腫、子宮頸ガン、小児ガン、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性疾患、結腸ガン、結腸直腸ガン、皮膚T細胞リンパ腫、リンパ系新生物、菌状息肉腫、セザリー(Seziary)症候群、子宮内膜ガン、食道ガン、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝臓外胆管ガン、眼ガン、眼内黒色腫、網膜芽細胞腫、胆嚢ガン、胃(胃)ガン、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍、神経膠腫、頭頸部ガン、肝細胞(肝臓)ガン、ホジキンリンパ腫、下咽頭ガン、眼内黒色腫、眼ガン、島細胞腫瘍(内分泌膵臓)、カポジ肉腫、腎臓ガン、腎ガン、腎臓ガン、喉頭ガン、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、ヘアリー細胞白血病、唇及び口腔ガン、肝臓ガン、肺ガン、非小細胞肺ガン、小細胞肺ガン、AIDS関連リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、ワルデンストラム(Waldenstram)マクログロブリン血症、髄芽腫、黒色腫、眼内(眼)黒色腫、メルケル細胞ガン、悪性中皮腫、中皮腫、転移性扁平上皮頸部ガン、口腔ガン、舌ガン、多発性内分泌腫瘍症候群、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性疾患、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、慢性骨髄増殖性疾患、上咽頭ガン、神経芽細胞腫、口腔ガン、口腔ガン、口腔咽頭ガン、卵巣ガン、卵巣上皮ガン、卵巣低悪性度腫瘍、膵ガン、膵島細胞膵ガン、副鼻腔及び鼻腔ガン、副甲状腺ガン、陰茎ガン、咽頭ガン、褐色細胞腫、松果体芽腫及び天幕上原始神経外胚葉性腫瘍、下垂体腫瘍、プラズマ細胞新生物/多発性骨髄腫、胸膜芽細胞腫、前立腺ガン、直腸ガン、腎盂及び尿管ガン、移行細胞ガン、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺ガン、ユーイング腫瘍、カポジ肉腫、軟部組織肉腫、子宮ガン、子宮肉腫、皮膚ガン(非メラノーマ)、皮膚ガン(黒色腫)、メルケル細胞皮膚ガン、小腸ガン、軟部組織肉腫、扁平上皮ガン、胃(胃)ガン、天幕上原始神経外胚葉性腫瘍、精巣ガン、咽喉ガン、胸腺腫、胸腺腫及び胸腺ガン、甲状腺ガン、腎盂及び尿管及び他の泌尿器の移行細胞ガン、妊娠性絨毛腫瘍、尿道ガン、子宮内膜子宮ガン、子宮肉腫、子宮体ガン、膣ガン、外陰ガン及びウィルムス腫瘍が挙げられる。
「血液系の細胞増殖性疾患」は血液系の細胞に関わる細胞増殖性疾患である。血液系の細胞増殖性疾患としてはリンパ腫、白血病、骨髄性腫瘍、肥満細胞新生物、骨髄異形成、良性単クローン性免疫グロブリン血症、リンパ腫様肉芽腫症、リンパ腫様丘、真性多血症、慢性骨髄性白血病、原発性骨髄線維症及び本態性血小板血症を挙げることができる。血液系の細胞増殖性疾患は血液系の細胞の過形成、異形成及び化生を挙げることができる。好ましくは、本発明の組成物は、本発明の血液ガン又は本発明の血液細胞増殖性疾患からなる群より選ばれるガンを治療するために使用することができる。本発明の血液ガンは多発性骨髄腫、リンパ腫(ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、小児リンパ腫ならびにリンパ球及び皮膚起源のリンパ腫を含む)、白血病(小児白血病、有毛細胞白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病及び肥満細胞性白血病を含む)、骨髄新生物及び肥満細胞新生物を挙げることができる。
「肺の細胞増殖性疾患」は、肺の細胞に関わる細胞増殖性疾患である。肺の細胞増殖性疾患には、肺細胞に影響を及ぼす細胞増殖性疾患のすべての形態を含むことができる。肺の細胞増殖性疾患としては、肺ガン、肺の前ガン又は前ガン性状態、肺の良性増殖又は病変、肺の悪性増殖又は病変、及び、肺以外の体内の組織及び器官への転移病変を挙げることができる。好ましくは、本発明の組成物は、肺ガン又は肺の細胞増殖性疾患を治療するために使用することができる。肺ガンは肺のガンのすべての形態を含むことができる。肺ガンとしては、悪性肺新生物、上皮内ガン、典型的カルチノイド腫瘍及び非定型カルチノイド腫瘍を挙げることができる。肺ガンとしては、小細胞肺ガン(「SCLC」)、非小細胞肺ガン(「NSCLC」)、扁平上皮ガン、腺ガン、小細胞ガン、大細胞ガン、腺扁平上皮ガン及び中皮腫を挙げることができる。肺ガンとしては、「瘢痕ガン」、気管支ガン、巨細胞ガン、紡錘体細胞ガン及び大細胞神経内分泌ガンを挙げることができる。肺ガンとしては、組織学的及び超微細構造的異質性(例えば、混合細胞型)を有する肺新生物を挙げることができる。
肺の細胞増殖性疾患は、肺細胞に影響を及ぼす細胞増殖性疾患のすべての形態を含むことができる。肺の細胞増殖性疾患としては、肺ガン、肺の前ガン性状態が挙げられる。肺の細胞増殖性疾患としては、肺の過形成、化生及び異形成を挙げることができる。肺の細胞増殖性疾患としては、アスベスト誘発性過形成、扁平上皮化生及び良性反応性中皮化生を挙げることができる。肺の細胞増殖性疾患としては、重層扁平上皮と円柱上皮の交換、及び粘膜異形成を挙げることができる。タバコの煙及びアスベストなどの吸入有害環境剤に曝露された個体は、肺の細胞増殖性疾患を発症する危険が大きくなる可能性がある。肺の細胞増殖性疾患の発症に対する個体の素因ができる先行肺疾患としては、慢性間質性肺疾患、壊死性肺疾患、強皮症、リウマチ様疾患、サルコイドーシス、間質性肺炎、結核、繰り返し起こる肺炎、特発性肺線維症、肉芽腫、石綿肺、線維化性肺胞炎及びホジキン病を挙げることができる。
「結腸の細胞増殖性疾患」は結腸の細胞に関わる細胞増殖性疾患である。好ましくは、結腸の細胞増殖性疾患は結腸ガンである。好ましくは、本発明の組成物は、結腸ガン又は結腸の細胞増殖性疾患を治療するのために使用することができる。結腸ガンは結腸ガンの全ての形態を含むことができる。結腸ガンは散発性及び遺伝性結腸ガンを含むことができる。結腸ガンとしては悪性結腸新生物、上皮内ガン、典型的カルチノイド腫瘍及び非定型カルチノイド腫瘍を挙げることができる。結腸ガンとしては腺ガン、扁平上皮ガン及び腺扁平上皮ガンを挙げることができる。結腸ガンは遺伝性非ポリポーシス結腸直腸ガン、家族性大腸腺腫症、ガードナー症候群、ポイツ-イエーガー症候群、ターコット症候群及び若年性ポリポーシスからなる群より選ばれる遺伝性症候群に関連することができる。結腸ガンは遺伝性非ポリポーシス結腸直腸ガン、家族性大腸腺腫症、ガードナー症候群、ポイツ-イエーガー症候群、ターコット症候群及び若年性ポリポーシスからなる群より選ばれる遺伝性症候群が原因で発生することがある。
結腸の細胞増殖性疾患は結腸細胞に影響を及ぼす細胞増殖性疾患のすべての形態を含むことができる。結腸の細胞増殖性疾患は結腸ガン、結腸の前ガン状態、結腸の腺腫性ポリープ及び結腸の異時性病変を含むことができる。結腸の細胞増殖性疾患は腺腫を含むことができる。結腸の細胞増殖性疾患は、結腸の過形成、化生及び異形成を特徴とすることができる。結腸の細胞増殖性疾患の発症に対する個体の素因ができる先行結腸疾患としては、先行結腸ガンを挙げることができる。結腸の細胞増殖性疾患の発症に対する個体の素因ができる現疾患としてはクローン病及び潰瘍性大腸炎を挙げることができる。結腸の細胞増殖性疾患は、p53、ras、FAP及びDCCからなる群より選ばれる遺伝子の変異に関連することができる。個体は、p53、ras、FAP及びDCCからなる群より選ばれる遺伝子の変異の存在のために、結腸の細胞増殖性疾患を発症する危険性が高まることがある。
「膵臓の細胞増殖性疾患」は膵臓の細胞に関わる細胞増殖性疾患である。膵臓の細胞増殖性疾患は膵臓細胞に影響を及ぼす細胞増殖性疾患のすべての形態を含むことができる。膵臓の細胞増殖性疾患としては、膵臓ガン、膵臓の前ガン又は前ガン性状態、膵臓の過形成及び膵臓の異形成、膵臓の良性増殖又は病変、及び、膵臓の悪性増殖又は病変、及び、膵臓以外の体内の組織及び器官における転移病変を挙げることができる。膵臓ガンは膵臓ガンのすべての形態を含む。膵臓ガンとしては腺ガン、扁平上皮ガン、多形性巨大細胞ガン、粘液性腺ガン、破骨細胞様巨大細胞ガン、粘液性嚢胞腺ガン、腺房細胞ガン、未分類大細胞ガン、小細胞ガン、膵芽、乳頭腫瘍、粘液性嚢胞腺腫、乳頭状嚢胞新生物及び漿液性嚢胞腺腫を挙げることができる。膵臓ガンは、また、組織学的及び超微細構造的異質性(例えば、混合細胞型)を有する膵臓新生物を含むことができる。
「前立腺の細胞増殖性疾患」は前立腺の細胞に関わる細胞増殖性疾患である。前立腺の細胞増殖性疾患は、前立腺細胞に影響を及ぼす細胞増殖性疾患のすべての形態を含むことができる。前立腺の細胞増殖性疾患としては、前立腺ガン、前立腺の前ガン及び前ガン性状態、前立腺の良性増殖又は病変、及び、前立腺の悪性増殖又は病変、及び、前立腺以外の体内の組織及び器官への転移病変を挙げることができる。前立腺の細胞増殖性疾患としては、前立腺の過形成、化生及び異形成を挙げることができる。
「皮膚の細胞増殖性疾患」は皮膚の細胞に関わる細胞増殖性疾患である。皮膚の細胞増殖性疾患は皮膚細胞に影響を及ぼす細胞増殖性疾患のすべての形態を含むことができる。皮膚の細胞増殖性疾患としては、皮膚の前ガン又は前ガン性状態、皮膚の良性増殖又は病変、メラノーマ、悪性黒色腫及びその他の皮膚の悪性増殖又は病変、及び、皮膚以外の体内の組織及び器官における転移病変を挙げることができる。皮膚の細胞増殖性疾患は、皮膚の過形成、化生及び異形成を挙げることができる。
「卵巣の細胞増殖性疾患」は卵巣の細胞に関わる細胞増殖性疾患である。卵巣の細胞増殖性疾患は卵巣の細胞に影響を及ぼす細胞増殖性疾患のすべての形態を含むことができる。卵巣の細胞増殖性疾患として、卵巣の前ガン又は前ガン性状態、卵巣の良性増殖又は病変、卵巣ガン、卵巣の悪性増殖又は病変、卵巣以外の体内の組織及び器官における転移病巣を挙げることができる。皮膚の細胞増殖性疾患としては、卵巣の細胞の過形成、化生及び異形成を挙げることができる。
「乳房の細胞増殖性疾患」は乳房の細胞に関わる細胞増殖性疾患である。乳房の細胞増殖性疾患は乳房細胞に影響を及ぼす細胞増殖性疾患のすべての形態を含むことができる。乳房の細胞増殖性疾患としては、乳ガン、乳房の前ガン又は前ガン性状態、乳房の良性増殖又は病変、及び、乳房の悪性増殖又は病変、及び、乳房以外の体内の組織及び臓器における転移病巣を挙げることができる。乳房の細胞増殖性疾患としては、乳房の過形成、化生及び異形成を挙げることができる。
乳房の細胞増殖性疾患は乳房の前ガン性状態であることができる。本発明の組成物は、乳房の前ガン性状態を治療するために使用されうる。乳房の前ガン性状態としては、乳房の異型過形成、乳管内ガン(DCIS)、乳管ガン、上皮内小葉ガン(LCIS)、小葉性新生物、乳ガンの0期又はグレードの増殖又は病変(例えば、0期又はグレード0の乳ガン又は上皮内ガン)を挙げることができる。乳房の前ガン性状態は米国ガン合同委員会(AJCC)により受け入れられているTNM分類スキームに従ってステージ分けでき、ここで、原発腫瘍(T)がT0又はTisの期と割り当てられ、所属リンパ節(N)がN0の期と割り当てられ、遠隔転移(M)がM0の期と割り当てられている。
乳房の細胞増殖性疾患は乳ガンであることができる。好ましくは、本発明の組成物は、乳ガンを治療するために使用されてもよい。乳ガンは乳房のガンの全ての形態を含む。乳ガンは初代上皮乳ガンを含むことができる。乳ガンは、乳房がリンパ腫、肉腫又は黒色腫などの他の腫瘍に関与されるガンを含むことができる。乳ガンは、乳房のガン、乳房の腺管ガン、乳房の小葉ガン、乳ガンの未分化ガン、乳房の葉状嚢胞肉腫(cystosarcoma phyllodes)、乳房の血管肉腫及び乳房の原発性リンパ腫を挙げることができる。乳ガンはI期 、II期、IIIA期、IIIB期、IIIC期及びIV期の乳ガンを含むことができる。乳房の乳管ガンとしては、浸潤ガン、乳管内成分が優勢である上皮内浸潤ガン、炎症性乳ガン、及び、乳腺ガンであって、面皰、粘液性(コロイド)、髄質、リンパ浸潤を伴う髄質、乳頭、スキルス及び管状からなる群より選ばれる組織学的タイプを有するものを挙げることができる。乳房の小葉ガンとしては、上皮内成分が優勢である浸潤性小葉ガン、浸潤性小葉ガン(invasive lobular carcinoma)及び浸潤性小葉ガン(infiltrating lobular carcinoma)を挙げることができる。乳ガンとしては、パジェット病、乳管内ガンを伴うパジェット病、及び、浸潤性乳管ガンを伴うパジェット病を挙げることができる。乳ガンは、組織学的及び超微細構造的異質(例えば、混合細胞型)を有する乳房新生物を含むことができる。
好ましくは、本発明の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、多形体もしくは溶媒和物は乳ガンを治療するために用いることができる。治療される乳ガンには家族性乳ガンを含むことができる。治療される乳ガンには散発性乳ガンを含むことができる。治療される乳ガンは男性対象において生じ得る。治療される乳ガンは女性対象において生じ得る。治療される乳ガンは、閉経前の女性対象又は閉経後の女性対象で生じ得る。治療される乳ガンは30歳以上の対象、又は、30歳未満の対象で生じ得る。治療される乳ガンは50歳以上の対象、又は、50歳未満の対象で生じ得る。治療される乳ガンは70歳以上の対象、又は、70歳未満の対象で生じ得る。
治療される乳ガンは、BRCA1 、 BRCA2又はp53における家族性又は自然突然変異を識別するためにタイプ分けすることができる。治療される乳ガンは、HER2/neuの過剰発現などのHER2/neu遺伝子増幅を有する、又は、低、中又は高レベルのHER2/neu発現を有するとしてタイプ分けすることができる。治療される乳ガンはエストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、ヒト上皮成長因子受容体-2、Ki-67、CA15-3、CA 27-29及びc-Metからなる群より選ばれるマーカーでタイプ分けすることができる。治療される乳ガンはER-未知、ER-豊富又はER欠乏としてタイプ分けすることができる。治療される乳ガンは、ER陰性又はER陽性としてタイプ分けすることができる。乳ガンのER-タイプ分けは、再現性のある任意の手段によって行うことができる。乳ガンのER-タイプ分けはOnkologie 27: 175-179 (2004)に示されているとおりに行うことができる。治療される乳ガンはPR-未知、PR-豊富又はPR欠乏としてタイプ分けすることができる。治療される乳ガンは、PR陰性又はPR陽性としてタイプ分けすることができる。治療される乳ガンは受容体陽性又は受容体陰性としてタイプ分けすることができる。治療される乳ガンは、CA 15-3、CA27-29又は両方の血中レベルの上昇に関連するものとしてタイプ分けすることができる。
治療される乳ガンとしては、乳房の局所腫瘍を挙げることができる。治療される乳ガンとしては、陰性センチネルリンパ節(SLN)生検に関連する乳房の腫瘍を挙げることができる。治療される乳ガンとして、陽性のセンチネルリンパ節(SLN)生検に関連する乳房の腫瘍を挙げることができる。治療される乳ガンとしては、腋窩リンパ節が任意の応用可能な方法によって分類された1つ以上の陽性腋窩リンパ節に関連する乳房の腫瘍を挙げることができる。治療される乳ガンとしては節陰性状態(例えば、節陰性)又は節陽性状態(例えば、節陽性)を有するとタイプ分けされる乳房の腫瘍を挙げることができる。治療される乳ガンとしては、体内の他の場所に転移した乳房の腫瘍を挙げることができる。治療される乳ガンは、骨、肺、肝臓又は脳からなる群より選ばれる箇所に転移したものと分類することができる。治療される乳ガンは、転移性、限局性、局所性(regional)、局所性(local regional)、局所進行性、遠隔性、多中心性、両側性、同側性、対側性、新診断、再発性及び手術不能からなる群より選ばれる特性に応じて分類することができる。
本発明の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、多形体もしくは溶媒和物を、一般集団と比較して乳ガンの発症リスクが高い対象に対して乳房の細胞増殖性疾患を治療又は予防するために、又は、乳ガンを治療又は予防するために使用することができる。一般集団と比較して乳ガン発症リスクが高い対象は、乳ガンの家族歴又は個人歴を有する女性対象である。一般集団と比較して乳ガン発症リスクが高い対象は、生殖細胞系又はBRCA1もしくはBRCA2の自然突然変異、又はその両方を有する女性対象である。一般集団と比較して乳ガン発症リスクが高い対象は、乳ガン家族歴及び生殖細胞系又はBRCA1もしくはBRCA2の自然突然変異、又はその両方を有する女性対象である。一般集団と比較して乳ガン発症リスクが高い対象は、30歳を超える、40歳を超える、50歳を超える、60歳を超える、70歳を超える、80歳を超える、又は、90歳を超える女性である。一般集団と比較して乳ガン発症リスクが高い対象は、乳房の異型過形成、非浸潤性乳管カルシノーマ(DCIS)、乳管内カルシノーマ、上皮内小葉カルシノーマ(LCIS)、小葉新生物、乳ガンの0期増殖又は病変(例えば、0期又はグレード0の乳ガン又は上皮内ガン)を有する対象である。
治療される乳ガンは組織学的にスカーフ-ブルーム-リチャードソンシステムによりグレード分けでき、乳房腫瘍は1、2又は3の有糸分裂カウントスコア、1、2又は3の核多形性スコア、1、2又は3の細管形成スコア、及び、3〜9の総スカーフ-ブルーム-リチャードソンスコアが割り当てられる。治療される乳ガンは、乳ガンの治療に関する国際コンセンサスパネルに従って、グレード1、グレード1-2、グレード2、グレード2-3又はグレード3からなる群から選択される腫瘍のグレードを割り当てることができる。
治療されるガンは、米国ガン合同委員会(AJCC)TNM分類システムに従ってステージ分けでき、腫瘍(T)は、TX、T1、T1mic、T1a、T1b、T1c、T2、T3、T4、T4a、T4b、T4c 又はT4dのステージが割り当てられ、そして所属リンパ節(N)は、NX、N0、N1、N2、N2a、N2b、N3、N3a、N3b又はN3cのステージが割り当てられ、遠隔転移(M)はMX、M0又はM1のステージが割り当てられる。治療されるガンは米国ガン合同委員会(AJCC)分類により、I期、IIA期、IIB期、IIIA期、IIIB期、IIIC期又はIV期としてステージ分けすることができる。治療されるガンは、AJCC分類によりグレードGX(例えば、グレードを評価できない)、グレード1、グレード2、グレード3又はグレード4としてグレードを割り当てることができる。治療されるガンは、pNX、PN0、PN0(I-)、PN0(I+)、PN0(mol-)、PN0(mol+)、PN1、PN1(mi)、PN1a、PN1b、PN1c、pN2、pN2a、pN2b、pN3、 pN3a、pN3b又はpN3cのAJCC病理学的分類(pN)に従ってステージ分けできる。
治療されるガンは、直径約2センチメートル以下と決定された腫瘍を含むことができる。治療されるガンは、直径約2〜約5センチメートルであると決定された腫瘍を含むことができる。治療されるガンは、直径約3センチメートル以上と決定された腫瘍を含むことができる。治療されるガンは、直径5センチメートルを超えると決定された腫瘍を含むことができる。治療されるガンは、よく分化された、中程度に分化した、あまり分化されていない、又は、未分化であると顕微鏡外観によって分類されうる。治療されるガンは、有糸分裂カウント(例えば、細胞分裂の量)又は核多形(例えば、細胞の変化)に関する顕微鏡外観によって分類されうる。治療されるガンは、壊死の領域(例えば、死細胞又は縮退細胞の領域)に関連するものとして顕微鏡外観によって分類されうる。治療されるガンは、異常な核型を有する、異常な染色体の数を有する、又は、外観が異常である1つ以上の染色体を有すると分類されうる。治療されるガンは、異数体、三倍体、四倍体又は改変された倍数性を有するものと分類されうる。治療されるガンは、染色体トランスロケーション、又は、染色体全体の欠失もしくは重複、又は、染色体の一部の欠失、複製又は増幅の領域を有すると分類されうる。
治療されるガンは、DNAサイトメトリー、フローサイトメトリー又はイメージサイトメトリーにより評価することができる。治療されるガンは、細胞の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%が細胞分裂の合成段階(例えば、細胞分裂のS期)にあるものとタイプ分けされうる。治療されるガンは、低いS期分画又は高いS期分画を有するものとタイプ分けされうる。
本明細書中で使用されるときに、「正常細胞」とは「細胞増殖性疾患」の一部として分類することができない細胞である。正常細胞は、望ましくない状態又は疾患の発症につながる可能性がある無秩序な又は異常な増殖、又はその両方を欠いている。好ましくは、正常細胞は細胞周期チェックポイント制御メカニズムを正常に機能する能力を有する。
本明細書中で使用されるときに、「細胞を接触させること」は化合物又は他の物質が細胞と直接接触しているか、又は、細胞内の所望の生物学的効果を誘発するのに十分に近くにある状態を指す。
本明細書中で使用されるときに、「候補化合物」は、研究者又は臨床医によって求められる、細胞、組織、系、動物又はヒトにおいて所望の生物学的又は医学的応答を誘発する可能性があるかどうかを決定するために、インビトロ又はインビボ生物学的アッセイの1つ以上において試験された、又は、試験されるであろう本発明の化合物、又はその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、多形体もしくは溶媒和物を指す。候補化合物は、本発明の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、多形体もしくは溶媒和物である。生物学的又は医学的応答はガンの治療であることができる。生物学的又は医学的応答は細胞増殖性疾患の治療又は予防であることができる。インビトロ又はインビボ生物学的アッセイとしては、限定するわけではないが、酵素活性アッセイ、電気泳動移動度シフトアッセイ、レポーター遺伝子アッセイ、インビトロ細胞生存率アッセイ、及び、本明細書中に記載されるアッセイを挙げることができる。
本明細書中で使用されるときに、「単剤療法」は、それを必要とする対象への単一の活性又は治療用化合物の投与を指す。好ましくは、単剤療法は、活性化合物の治療有効量を投与することを含むであろう。例えば、ガンの治療を必要とする対象に対する、本発明の化合物、又はその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、類似体もしくは誘導体のいずれかによるガン単独療法。単剤療法は、複数の活性化合物の組合せが、好ましくは、治療有効量で存在する組み合わせの各成分が投与される併用療法と対比されうる。1つの態様において、本発明の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、多形体もしくは溶媒和物による単剤療法は、所望の生物学的効果の誘発において、併用療法よりも有効である。
本明細書中で使用されるときに、「治療すること」又は「治療」は、疾病、状態又は疾患と闘う目的での患者の管理及びケアを記載し、本発明の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、多形体もしくは溶媒和物を、疾病、状態又は疾患の症状又は合併症を緩和するため、又は、疾病、状態又は疾患を排除するために投与することを含む。
本発明の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、多形体もしくは溶媒和物は、疾病、状態又は疾患を予防するために用いることもできる。本明細書中で使用されるときに、「予防する」又は「予防」は疾病、状態又は疾患の症状又は合併症の発症を低減又は排除を説明する。
本明細書中で使用されるときに、用語「緩和」は、疾患の徴候又は症状の重症度が低減されるプロセスを記載することを意味する。重要なことには、徴候又は症状は解消されずに低減されうる。好ましい実施形態において、本発明の医薬組成物の投与は徴候又は症状の解消をもたらすが、しかしながら、解消は必須ではない。有効投与量は、徴候又は症状の重症度を低減させることが期待される。たとえば、複数の場所で発生する可能性があるガンなどの疾患の徴候又は症状は、ガンの重症度が複数の箇所のうちの少なくとも1箇所で低減されるならば、緩和される。
本明細書中で使用されるときに、用語「重症度」は悪性の状態へと前ガン又は良性の状態から変化するガンの可能性を記載することが意図される。あるいは、又はさらに、重症度は、例えば、TNMシステム(国際対ガン連合(UICC)及び米国ガン合同委員会(AJCC)によって受け入れられている)又は他の当該分野で認知されている方法により、ガンのステージを記載することが意図される。ガンのステージは、原発腫瘍の位置、腫瘍サイズ、腫瘍数及びリンパ節転移(リンパ節へのガンの広がり)などの要因に基づいた、ガンの程度又は重症度を指す。あるいは、又はさらに、重症度は、当技術分野で認知されている方法による腫瘍グレードを記載することが意図される(米国国立ガン研究所を参照されたい)。腫瘍グレードは、腫瘍が顕微鏡下でどのように異常に見えるか、及び、腫瘍がどのように迅速に増殖し、広がる可能性があるかの観点からガン細胞を分類するために使用されるシステムである。腫瘍グレードを決定する際に、細胞の構造及び増殖パターンを含めて、多くの要因が考慮される。腫瘍グレードを決定するために使用される特定の因子は各種ガンによって異なる。重症度はまた、分化とも呼ばれる組織学的グレードを記載し、それは腫瘍細胞が同じ組織型の正常細胞にどのくらい似ているかを指す(国立ガン研究所を参照されたい)。さらに、重症度は腫瘍細胞の核のサイズ及び形状ならびに分裂している腫瘍細胞の割合を指す、核グレードを記載する(米国国立ガン研究所を参照されたい)。
本発明の別の態様では、重症度は、腫瘍が、分泌した増殖因子を有し、細胞外マトリックスを分解し、血管新生化し、並置された組織への接着性を失い、又は転移した度合いを記載する。また、重症度は原発腫瘍が転移した先の箇所の数を示す。最後に、重症度は様々な種類及び場所の腫瘍を治療することの難しさを含む。例えば、手術不能の腫瘍、複数の身体系へのアクセスがしやすいガン(血液学的及び免疫学的腫瘍)、及び、それ伝統的な治療に対して最も耐性があるガンは最も重症であると考えられる。このような状況では、対象の期待寿命を延ばし、及び/又は、痛みを軽減し、ガン細胞の割合を減らし、又は、ガン細胞を1つの系に限定し、及び、ガンのステージ/腫瘍グレード/組織学的グレード/核グレードを改善することはガンの徴候又は症状を緩和すると考えられる。
本明細書中に使用されるときに、用語「症状」とは、疾患、病気、けが、又は、何か体内に異変があることの指示として定義される。症状は、症状を経験している個人が感じ又は気付くが、他者によっては容易に気づかないことがある。他者は非医療専門家として定義される。
本明細書中で使用されるときに、用語「徴候」も何か体内に異変があることの指示として定義される。しかし、徴候は医師、看護師又は他の医療専門家が見ることができるものとして定義される。
ガンは、ほとんどすべての徴候又は症状を引き起こす可能性のある疾患群である。徴候及び症状はガンがどこにあるか、ガンのサイズ、及び、それがどれだけ近傍の器官又は構造に影響を与えているかによって異なる。ガンが広がる(転移する)場合には、症状は体の異なる部分に表われることがある。
ガンが成長するにつれて、それは近傍の器官、血管及び神経を押し始める。この圧力はガンのいくつかの徴候及び症状を作る。ガンは脳の特定の部位などの重要な領域にある場合は、最小の腫瘍であっても初期症状を引き起こす可能性がある。
しかしながら、時には、ガンは、ガンがかなり大きく成長するまでは何の症状も発生しない場所で開始する。例えば、膵臓ガンは、通常、身体の外側から感じられるのに十分な大きさに成長しない。いくつかの膵臓ガンは、近傍の神経の周りに成長し始めるまで(これは腰痛の原因となる)症状が発生しない。他のものは胆管の周囲に成長し、それは胆汁の流れを阻害し、黄疸として知られる皮膚の黄変をもたらす。膵臓ガンがこれらの徴候又は症状を引き起こすまでに、それは通常、進行期に達している。
ガンはまた、発熱、倦怠感又は体重減少などの症状を引き起こすことがある。このことは、ガン細胞が身体のエネルギー供給の多くの部分を消費するか、又は、体内の代謝を変更する物質を解放するためであることができる。又は、ガンはこれらの症状を引き起こすようにして免疫系を反応させることがある。
時に、ガン細胞は、通常、ガンに起因すると考えられていない症状を引き起こす物質を血流中に解放する。例えば、膵臓のいくつかのガンは、血塊を脚の静脈に発生させる物質を解放することがある。いくつかの肺ガンは、血中カルシウム濃度に影響を与え、神経及び筋肉に影響を与えそして弱さやめまいを起こすホルモン様物質を作る。
ガンは、いくつかの一般的な徴候又は症状を示し、それはガン細胞の様々なサブタイプが存在する場合に発生する。ガンを患うほとんどの人は自分の病気によって、ある時点で体重を失うことになる。10ポンド以上の原因不明の(意図的でない)体重減少はガン、特に、膵臓、胃、食道又は肺のガンの最初の徴候であることがある。
発熱は、ガンで非常に一般的であるが、多くの場合、進行した疾患で見られる。ガンのほとんどすべての患者は、特に、ガン又はその治療が免疫系に影響を与え、体が感染症と闘うのを困難にする場合に、ある時点で発熱する。あまり頻繁ではないが、発熱は、白血病又はリンパ腫などのガンの初期徴候であることができる。
ガンが進行するにつれて疲労が重要な症状であることができる。疲労は、白血病などのガンでは早い時期に起こり、又は、特定の結腸又は胃ガンなどのようにガンが血液の継続的な損失の原因となっている場合に、起こることがある。
疼痛は骨ガン又は精巣ガンなどのいくつかのガンの初期症状であることがある。しかし、ほとんどの場合、疼痛は進行した疾患の症状である。
皮膚のガン(次のセクションを参照されたい)に加えて、いくつかの内部のガンは観察可能な皮膚の徴候を引き起こす可能性がある。これらの変化としては暗く(色素沈着過剰)、黄色(黄疸)、又は赤色(紅斑)に見える皮膚、かゆみ又は毛の過剰成長が挙げられる。
代わりに、又はさらに、ガンのサブタイプは特定の徴候又は症状を示す。排便習慣又は膀胱機能の変化はガンを示唆している可能性がある。長期の便秘、下痢、又は、便の大きさの変化は、結腸ガンの徴候であり得る。排尿に伴う疼痛、尿中の血液、又は、膀胱機能の変化(例えば、より頻繁な又はより頻度の低い排尿)は、膀胱又は前立腺ガンに関連することがある。
皮膚の状態の変化又は新皮膚の状態の外観の変化はガンを示唆している可能性がある。皮膚ガンは出血し、治癒しない傷のように見えることがある。口の中の長期の痛みは、特に、喫煙し、噛みタバコを噛み、又は、頻繁にアルコールを飲む患者では、口腔ガンである可能性がある。ペニス又は膣上の痛みは感染又は早期ガンの徴候である可能性がある。
異常な出血又は分泌物はガンを示唆している可能性がある。異常な出血は、早期又は進行ガンのいずれかで発生することがある。痰中の血液は肺ガンの徴候であることがある。便中の血液(又は暗い又は黒い大便)は、結腸又は直腸ガンの徴候であることがある。子宮頸部又は子宮内膜(子宮のライニング)のガンは膣出血を引き起こす可能性がある。尿中の血液は、膀胱又は腎臓ガンの徴候であることがある。乳首から血の排出は乳ガンの徴候であることがある。
乳房又は体の他の部分の肥厚又はしこりはガンの存在を示唆している可能性がある。多くのガンは、主に乳房、精巣、リンパ節(腺)及び身体の軟組織に、皮膚を通して感じることができる。しこり又は肥厚はガンの初期又は後期徴候であることがある。しこり又は肥厚は、特に、形成が新しいか又はサイズが成長してきた場合はガンを示唆している可能性がある。
消化不良又は嚥下困難はガンを示唆している可能性がある。これらの症状は一般的に他の原因があるが、消化不良又は嚥下の問題は、食道、胃又は咽頭(のど)のガンの徴候である可能性がある。
イボ又はホクロの新しい変化はガンを示唆している可能性がある。色、サイズ又は形状が変化し、又は、その明確な境界線を失う任意のイボ、ホクロ又はシミはガンの潜在的な発生を示している。例えば、皮膚病変は黒色腫であることができる。
持続的な咳又は嗄声はガンを示唆している可能性がある。消えない咳は肺ガンの徴候である可能性がある。嗄声は喉頭(ボイスボックス)又は甲状腺のガンの徴候である可能性がある。
上記の徴候及び症状は、ガンで見られる、より一般的なものであるが、あまり一般的でなく、ここに記載されていない他の多くの徴候及び症状がある。しかしながら、全ての当該分野で認識されているガンの徴候及び症状は考えられそして本発明に包含される。
ガンを治療すると、腫瘍のサイズの減少をもたらすことができる。腫瘍のサイズの縮小は、「腫瘍退縮」と呼ぶことができる。好ましくは、治療後に、腫瘍のサイズは治療前のそのサイズと比較して5%以上減少し、より好ましくは、腫瘍サイズは10%以上減少し、減少し、より好ましくは20%以上減少し、より好ましくは30%以上減少し、より好ましくは40%以上減少し、更により好ましくは50%以上減少し、最も好ましくは75%以上減少。腫瘍のサイズは再現性のある任意の測定手段によって測定することができる。腫瘍のサイズは腫瘍の直径として測定することができる。
ガンを治療すると、腫瘍体積の減少をもたらすことができる。好ましくは、治療後、腫瘍体積は、治療前のそのサイズと比較して、5%以上減少し、より好ましくは、腫瘍体積は10%以上減少し、より好ましくは20%以上減少し、より好ましくは30%以上減少し、より好ましくは40%以上減少し、更により好ましくは50%以上減少し、最も好ましくは75%以上減少する。腫瘍体積は再現性のある任意の測定手段によって測定することができる。
ガンを治療すると、腫瘍の数の減少をもたらすことができる。好ましくは、治療後に、腫瘍数は、治療前のその数と比較して、5%以上減少し、より好ましくは、腫瘍数は10%以上減少し、より好ましくは20%以上減少し、より好ましくは30%以上減少し、より好ましくは40%以上減少し、更により好ましくは50%以上減少し、最も好ましくは75%以上減少する。腫瘍の数は再現性のある任意の測定手段によって測定することができる。腫瘍の数は、肉眼又は指定の倍率で見える腫瘍を計数することによって測定することができる。好ましくは、指定の倍率は2倍、3倍、4倍、5倍、10倍又は50倍である。
ガンを治療すると、原発腫瘍部位から離れた他の組織又は器官における転移病変の数の減少をもたらすことができる。好ましくは、治療後に、転移病変の数は、治療前のその数と比較して、5%以上減少し、より好ましくは、転移病変の数は10%以上減少し、より好ましくは20%以上減少し、より好ましくは30%以上減少し、より好ましくは40%以上減少し、更により好ましくは50%以上減少し、最も好ましくは75%以上減少する。転移病変の数は再現性のある任意の測定手段によって測定することができる。転移病変の数は、肉眼又は指定の倍率で見える転移病変を計数することによって測定することができる。好ましくは、指定の倍率は2倍、3倍、4倍、5倍、10倍又は50倍である。
ガンを治療すると、キャリアのみを受容した集団と比較して、治療した対象の集団の平均生存期間の増加をもたらすことができる。好ましくは、平均生存期間は30日を超え、より好ましくは60日を超え、より好ましくは90日を超え、最も好ましくは120日を超えて増加する。集団の平均生存期間の増加は再現性のある任意の手段によって測定することができる。集団の平均生存期間の増加は、例えば、活性化合物による治療の開始後の集団の生存期間の平均長さを計算することによって測定することができる。集団の平均生存期間の増加は、また、例えば、活性化合物による治療の第1ラウンドの完了後の集団の生存期間の平均長さを計算することによって測定することができる。
ガンを治療すると、未治療対象集団と比較して、治療対象集団の平均生存期間の増加をもたらすことができる。好ましくは、平均生存期間は30日を超え、より好ましくは60日を超え、より好ましくは90日を超え、最も好ましくは120日を超えて増加する。集団の平均生存期間の増加は再現性のある任意の手段によって測定することができる。集団の平均生存期間の増加は、例えば、活性化合物による治療の開始後の集団の生存期間の平均長さを計算することによって測定することができる。集団の平均生存期間の増加は、また、例えば、活性化合物による治療の第1ラウンドの完了後の集団の生存期間の平均長さを計算することによって測定することができる。
ガンを治療すると、本発明の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、類似体もしくは誘導体ではない薬物での単剤療法を受けた集団と比較して、治療対象集団の平均生存期間の増加をもたらすことができる。好ましくは、平均生存期間は30日を超え、より好ましくは60日を超え、より好ましくは90日を超え、最も好ましくは120日を超えて増加する。集団の平均生存期間の増加は再現性のある任意の手段によって測定することができる。集団の平均生存期間の増加は、例えば、活性化合物による治療の開始後の集団の生存期間の平均長さを計算することによって測定することができる。集団の平均生存期間の増加は、また、例えば、活性化合物による治療の第1ラウンドの完了後の集団の生存期間の平均長さを計算することによって測定することができる。
ガンを治療すると、キャリアのみを受容した集団と比較して、治療対象集団の死亡率の減少をもたらすことができる。ガンを治療すると、未治療対象集団と比較して、治療対象集団の死亡率の減少をもたらすことができる。ガンを治療すると、本発明の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、類似体もしくは誘導体ではない薬物での単剤療法を受けた集団と比較して、治療対象集団の死亡率の減少をもたらすことができる。好ましくは、死亡率は2%を超えて、より好ましくは5%を超え、より好ましくは10%を超え、最も好ましくは25%を超えて減少する。治療対象集団の死亡率の減少は再現性のある任意の手段によって測定することができる。集団の死亡率の減少は、例えば、活性化合物による治療の開始後の集団の単位期間当たりの疾病関連死亡の平均数を計算することによって測定することができる。集団の死亡率の減少は、また、例えば、活性化合物による治療の第1ラウンドの完了後の集団の単位期間当たりの疾病関連死亡の平均数を計算することによって測定することができる。
ガンを治療すると、腫瘍増殖速度の減少をもたらすことができる。好ましくは、治療後に、腫瘍増殖速度は、治療前の数値と比較して、少なくとも5%だけ減少し、より好ましくは、腫瘍増殖速度は少なくとも10%減少し、より好ましくは少なくとも20%減少し、より好ましくは少なくとも30%減少し、より好ましくは少なくとも40%減少し、より好ましくは少なくとも50%減少し、更により好ましくは少なくとも50%減少し、そして最も好ましくは少なくとも75%減少する。腫瘍増殖速度は再現性のある任意の測定手段によって測定することができる。腫瘍増殖速度は単位時間あたりの腫瘍直径の変化によって測定することができる。
ガンを治療すると、腫瘍再増殖の低減をもたらすことができる。好ましくは、治療後に、腫瘍再増殖は5%未満であり、より好ましくは、腫瘍再増殖は10%未満であり、より好ましくは20%未満であり、より好ましくは30%未満であり、より好ましくは40%未満であり、より好ましくは50%未満であり、更により好ましくは50%未満であり、そして最も好ましくは75%未満である。腫瘍再増殖は再現性のある任意の測定手段によって測定することができる。腫瘍再増殖は、例えば、治療後の以前の腫瘍縮減後の腫瘍直径の増加を測定することによって測定される。腫瘍再増殖の低減は治療停止後の腫瘍の再発の減少により示される。
細胞増殖性疾患を治療又は予防すると、細胞増殖速度の減少をもたらすことができる。好ましくは、治療後に、細胞増殖速度は少なくとも5%減少し、より好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、更により好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも75%減少する。細胞増殖速度は再現性のある任意の測定手段によって測定することができる。細胞増殖速度は、例えば、単位時間当たりの組織サンプル中の分裂細胞数を測定することにより測定される。
細胞増殖性疾患を治療又は予防すると、増殖性細胞の割合の減少をもたらすことができる。好ましくは、治療後に、増殖性細胞の割合は少なくとも5%減少し、より好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、更により好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも75%減少する。増殖性細胞の割合は再現性のある任意の測定手段によって測定することができる。好ましくは、増殖性細胞の割合は、例えば、組織サンプル中の分裂細胞数を非分裂細胞数に対して定量化することによって測定される。増殖性細胞の割合は分裂指数と同等であることができる。
細胞増殖性疾患を治療又は予防すると、細胞増殖の領域又は帯域のサイズの減少をもたらすことができる。好ましくは、治療後に、細胞増殖の領域又は帯域のサイズは、治療前のそのサイズと比較して、少なくとも5%減少し、より好ましくは少なくとも10%減少し、より好ましくは少なくとも20%減少し、より好ましくは少なくとも30%減少し、より好ましくは少なくとも40%減少し、より好ましくは少なくとも50%減少し、さらにより好ましくは少なくとも50%減少し、最も好ましくは少なくとも75%減少する。細胞増殖の領域又は帯域のサイズは再現性のある任意の測定手段によって測定することができる。細胞増殖の領域又は帯域のサイズは細胞増殖の領域又は帯域の直径又は幅として測定することができる。
細胞増殖性疾患を治療又は予防すると、異常な外観又は形態を有する細胞の数又は割合の減少をもたらすことができる。好ましくは、治療後に、異常な形態を有する細胞の数は、治療前のそのサイズと比較して、少なくとも5%減少し、より好ましくは少なくとも10%減少し、より好ましくは少なくとも20%減少し、より好ましくは少なくとも30%減少し、より好ましくは少なくとも40%減少し、より好ましくは少なくとも50%減少し、さらにより好ましくは少なくとも50%減少し、最も好ましくは少なくとも75%減少する。異常な細胞の外観又は形態は再現性のある任意の測定手段によって測定することができる。異常な細胞の形態は、倒立型組織培養顕微鏡などを用いて、顕微鏡法により測定することができる。異常な細胞形態は核多形の形態をとることができる。
本明細書中で使用されるときに、用語「選択的」とは、1つの集団において別の集団よりも高い頻度で発生する傾向があることを意味する。比較される集団は細胞集団であることができる。好ましくは、本発明の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、多形体もしくは溶媒和物は、正常細胞に対してでなく、ガン又は前ガン性細胞に対して選択的に作用する。好ましくは、本発明の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、多形体もしくは溶媒和物は、1つの分子標的(例えば、標的キナーゼ)を調節するように選択的に作用するが、別の分子標的(例えば、非標的キナーゼ)を有意に調節しない。本発明は、また、キナーゼなどの酵素の活性を選択的に阻害する方法を提供する。好ましくは、集団Bと比較して、集団Aで事象が2倍を超える頻度で発生するならば、事象は集団Bに対して集団Aで選択的に発生する。もし事象が集団Aにおいて5倍を超える頻度で発生するならば、事象は選択的に発生する。もし事象が集団Bと比較して、集団Aにおいて10倍を超え、より好ましくは50倍を超え、更により好ましくは100倍を超え、最も好ましくは1000倍を超える頻度で発生するならば、事象は選択的に発生する。例えば、細胞死は、正常細胞と比較して、ガン細胞で2倍を超える頻度で起こるならば、ガン細胞において選択的に起こると言われるであろう。
本発明の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、多形体もしくは溶媒和物は、分子標的(例えば、キナーゼ)の活性を調節することができる。調節とは、分子標的の活性を刺激し又は阻害することを指す。好ましくは、本発明の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、多形体もしくは溶媒和物は、前記化合物の存在のみを欠く同一の条件下における分子標的の活性と比較して、少なくとも2倍、分子標的の活性を刺激又は阻害するならば、分子標的の活性を調節する。より好ましくは、本発明の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、多形体もしくは溶媒和物は、前記化合物の存在のみを欠く同一の条件下における分子標的の活性と比較して、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、分子標的の活性を刺激又は阻害するならば、分子標的の活性を調節する。分子標的の活性は、分子標的の活性は再現性のある任意の手段によって測定することができる。分子標的の活性はインビトロ又はインビボで測定することができる。例えば、分子標的の活性は、酵素活性アッセイもしくはDNA結合アッセイによりインビトロで測定することができ、又は、分子標的の活性は、レポーター遺伝子の発現をアッセイすることによってインビボで測定することができる。
本発明の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、多形体もしくは溶媒和物は、化合物の添加が、前記化合物の存在のみを欠く同一の条件下における分子標的の活性と比較して10%を超えて分子標的の活性を刺激し又は阻害しないならば、分子標的の活性を有意に調節しない。
本明細書中で使用されるときに、用語「アイソザイム選択的」とは、酵素の第二のアイソフォームと比較して、酵素の第一のアイソフォームの優先的な阻害又は刺激を意味する(例えば、キナーゼアイソザイムβと比較してキナーゼアイソザイムαの優先的刺激又は阻害)。好ましくは、本発明の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、多形体もしくは溶媒和物は、生物学的効果を達成するのに要求される用量で、最小で4倍の差異、好ましくは10倍の差異、より好ましくは50倍の差異を示す。好ましくは、本発明の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、多形体もしくは溶媒和物は、阻害の範囲にわたってこの差を実証し、その差異は、注目の分子標的に対してIC50、すなわち、50%阻害で例示される。
本発明の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、多形体もしくは溶媒和物を細胞又は必要とする対象に対して投与することで、注目のキナーゼの活性の調節(すなわち、刺激又は阻害)をもたらすことができる。
本発明は、本発明の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、多形体もしくは溶媒和物の生物学的活性を評価する方法を提供する。1つの方法において、酵素活性に基づくアッセイを利用することができる。1つの特定の酵素活性アッセイにおいて、酵素活性はキナーゼによる活性である。本明細書中で使用されるときに、「キナーゼ」はタンパク質及びペプチド中のSer/Thr又はTyrの側鎖上のヒドロキシル基へのATPからのγ-ホスフェートの転移を触媒し、そして様々な重要な細胞機能、おそらく最も顕著には:シグナル伝達、分化及び増殖の制御に緊密に関与する酵素の大きなクラスを指す。人体中に約2,000の別個のタンパク質キナーゼがあると推定され、これらの各々は特定のタンパク質/ペプチド基質をリン酸化するが、それらは全て高度に保存されたポケット内の同一の第二の基質ATPに結合する。公知のガン遺伝子産物の約50%はタンパク質チロシンキナーゼ(PTK)であり、それらのキナーゼ活性は細胞形質転換をもたらすことが示されている。好ましくは、アッセイされるキナーゼはチロシンキナーゼである。
本発明の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、多形体もしくは溶媒和物によって引き起こされる酵素活性の変化は開示のアッセイで測定されうる。酵素活性の変化は特定の基質のリン酸化の程度の変化を特徴とすることができる。本明細書中で使用されるときに、「リン酸化」とは、タンパク質及び有機分子を含む基質へのリン酸基の付加を指し、そして、タンパク質の生物学的活性の調節に重要な役割を果たしている。好ましくは、アッセイされ、そして測定されるリン酸化はチロシン残基へのリン酸基の付加を含む。基質はペプチド又はタンパク質であることができる。
あるアッセイにおいて、免疫学的試薬、例えば、抗体及び抗原は使用される。
蛍光は、いくつかのアッセイにおける酵素活性の測定に利用することができる。本明細書中で使用されるときに、「蛍光」とは、分子が同一分子によってより高いエネルギーの入射光子を吸収した結果として光子を放出するプロセスを指す。開示の化合物の生物学的活性を評価するための具体的な方法は実施例に記載されている。
本明細書中で使用されるときに、c-Metの活性は、c- Metによって行われる任意の生物学的機能又は活性を指す。例えば、c-Metの機能は下流標的タンパク質のリン酸化を含む。c-Metの他の機能としては、自己リン酸化、Gab-1、Grb-2、Shc、SHP2及びc-Cblなどのアダプタータンパク質の結合、及び、Ras、Src、PI3K、PLC-γ、STATs、ERK1及び2ならびにFAKなどのシグナルトランスデューサの活性化が挙げられる。
本発明の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、多形体もしくは溶媒和物を細胞又は必要とする対象に対して投与すると、細胞内標的(例えば、基質)の活性の調節(すなわち、刺激又は阻害)をもたらす。いくつかの細胞内標的は、本発明の化合物を用いて変調され、限定するわけではないが、Gab-1、Grb-2、Shc、SHP2及びc-Cblなどのアダプタータンパク質、及び、Ras、Src、PI3K、PLC-γ、STATs、ERK1及び2ならびにFAKなどのシグナルトランスデューサを含む。
活性化は化合物(例えば、タンパク質又は核酸)を、所望の生物学的機能を発揮させるために適する状態に置くことを指す。活性化されうる化合物は、また、未活性状態を有する。活性化された化合物は阻害性もしくは刺激性生物学的機能又はその両方を有することができる。
上昇は化合物(例えば、タンパク質又は核酸)の所望の生物学的活性の増加を指す。上昇は化合物の濃度の増加により起こりうる。
本明細書中で使用されるときに、「細胞周期チェックポイント経路」は細胞周期チェックポイントの調節に関与する生化学的経路を指す。細胞周期チェックポイント経路は、細胞周期チェックポイントを含む1つ以上の機能に対して刺激性もしくは阻害性効果又はその両方を有することができる。細胞周期チェックポイント経路は少なくとも2つの化合物、好ましくはタンパク質を含み、その両方は細胞周期チェックポイントの調節に寄与する。細胞周期チェックポイント経路は細胞周期チェックポイント経路の1つ以上の要素の活性化により活性化されうる。好ましくは、細胞周期チェックポイント経路は生化学シグナル伝達経路である。
本明細書中で使用されるときに、「細胞周期チェックポイント調節剤」は細胞周期チェックポイントの調節において、少なくとも部分的に機能することができる化合物を指す。細胞周期チェックポイント調節剤は、細胞周期チェックポイントを含む1つ以上の機能に対して刺激性もしくは阻害性効果又はその両方を有することができる。細胞周期チェックポイント調節剤はタンパク質であっても、又は、タンパク質でなくてもよい。
ガン又は細胞増殖性疾患を治療すると、細胞死をもたらすことができ、好ましくは、細胞しは集団中の細胞数の少なくとも10%の減少をもたらす。より好ましくは、細胞死は少なくとも20%の減少、より好ましくは少なくとも30%の減少、より好ましくは少なくとも40%の減少、より好ましくは少なくとも50%の減少、最も好ましくは少なくとも75%の減少を意味する。集団中の細胞数は再現性のある任意の測定手段によって測定することができる。集団中の細胞数は蛍光活性化細胞分取(FACS)、免疫蛍光顕微鏡検査法及び光学顕微鏡検査法により測定されうる。細胞死の測定方法はLiら、Proc Natl Acad Sci U S A. 100(5): 2674-8, 2003に示されているとおりである。1つの態様において、細胞死はアポトーシスにより起こる。
好ましくは、本発明の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、多形体もしくは溶媒和物の有効量は正常細胞に対して有意に細胞毒性でない。化合物の治療有効量は、もし治療有効量での化合物の投与が正常細胞の10%を超えて細胞死を誘発しないならば、正常細胞に対して有意に細胞毒性でない。化合物の治療有効量は、もし治療有効量での化合物の投与が正常細胞の10%を超えて細胞死を誘発しないならば、正常細胞の生存能力に有意に影響を及ぼさない。1つの態様において、細胞死はアポトーシスにより起こる。
本発明の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、多形体もしくは溶媒和物と細胞を接触させると、ガン細胞において選択的に細胞死を誘発又は活性化することができる。本発明の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、多形体もしくは溶媒和物を、それを必要とする対象に投与すると、ガン細胞において選択的に細胞死を誘発又は活性化することができる。本発明の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、多形体もしくは溶媒和物と細胞を接触させると、細胞増殖性疾患により影響を受けた1つ以上の細胞において選択的に細胞死を誘発することができる。好ましくは、本発明の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、多形体もしくは溶媒和物を、それを必要とする対象に投与すると、細胞増殖性疾患により影響を受けた1つ以上の細胞において選択的に細胞死を誘発する。
本発明は、本発明の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、多形体もしくは溶媒和物を、それを必要とする対象に投与することによってガンを治療又は予防する方法に関し、ここで、本発明の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、多形体もしくは溶媒和物の投与により下記の1つ以上を生じる:細胞周期のG1及び/又はS期における細胞の蓄積、正常細胞の有意な量の細胞死を生じさせることなくガン細胞における細胞死による細胞毒性、少なくとも2の治療インデックスを有する動物内における抗腫瘍活性、及び、細胞周期チェックポイントの活性化。本明細書中で使用されるときに、「治療インデックス」は有効な用量で割った最大耐量である。
当業者は、本明細書中に記載の公知の技術又は同等の技術の詳細な説明のための一般的な参考テキストを参照することができる。これらのテキストとしては、Ausubelら, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, Inc. (2005); Sambrookら, Molecular Cloning, A Laboratory Manual (3rd edition), Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York (2000); Coliganら, Current Protocols in Immunology, John Wiley & Sons, N.Y.; Ennaら, Current Protocols in Pharmacology, John Wiley & Sons, N.Y.; Finglら, The Pharmacological Basis of Therapeutics (1975), Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, PA, 18th edition (1990)が挙げられる。これらのテキストは、もちろん、本発明の態様の製造又は使用において参照されうる。
本明細書中で使用されるときに、「併用療法」又は「共療法」は、本発明の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、多形体もしくは溶媒和物、及び、少なくとも第二の薬剤の投与を含み、特定の治療計画の一部としてこれらの治療薬の共同作用から有益な効果を提供することが意図されている。併用の有益な効果としては、限定するわけではないが、治療薬の併用から得られる薬物動態又は薬力学的共同作用が挙げられる。併用におけるこれらの治療薬の投与は、通常、決められた時間(通常は、選択された組み合わせにより、数分、数時間、数日又は数週間)にわたって行われる。「併用療法」としては、一般的ではないが、本発明の併用により偶発的かつ任意的に生じる別々の単剤療法計画の一部として、2つ以上のこれらの治療薬を投与することを包含することが意図されうる。
「併用療法」は、各治療薬が異なる時刻に投与される逐次的様式でのこれらの治療薬の投与を包含し、また、これらの治療薬、又は、少なくとも2つの治療薬の実質的に同時の投与も包含する。実質的に同時の投与は、例えば、対象に、一定比の各治療薬を有する単一カプセルを投与すること、又は、各治療薬のための単一カプセルを複数回投与することによって行うことができる。各治療薬の逐次又は実質的に同時の投与は、任意の適切な経路によって行うことができ、限定するわけではないが、経口経路、静脈内経路、筋肉内経路及び粘膜組織を通した直接吸収が挙げられる。治療薬は同一経路又は異なる経路によって投与することができる。例えば、選択された併用の第一の治療薬は静脈内注射によって投与され、併用の他方の治療薬は経口的に投与されることができる。あるいは、例えば、すべての治療薬は経口投与することができ、又は、すべての治療薬は静脈内注射によって投与することができる。治療薬を投与する順序は厳密に重要ではない。
「併用療法」は、また、他の生物活性成分及び非薬物療法(例えば、手術又は放射線治療)とさらに組み合わせて上記のとおりの治療薬を投与することを包含する。併用療法がさらなる非薬物療法を含む場合には、非薬物療法は、治療薬及び非薬物療法の併用の共同作用から有益な効果が得られるかぎり、任意の適切な時点で行ってよい。例えば、適切な場合には、非薬物療法が、おそらく数日又はさらには数週間、治療薬の投与から一時的に除かれたときに、有益な効果は依然として達成される。
本発明の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、類似体もしくは誘導体は第二の化学療法剤と併用して投与されうる。第二の化学療法剤(抗新生物剤又は抗増殖剤とも呼ばれる)はアルキル化剤、抗生物質、代謝拮抗物質、解毒剤、インターフェロン、ポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体、EGFR阻害剤、HER2阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、ホルモン、有糸分裂阻害剤、MTOR阻害剤、マルチキナーゼ阻害剤、セリン/スレオニンキナーゼ阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、VEGF/VEGFR阻害剤、タキサンもしくはタキサン誘導体、アロマターゼ阻害剤、アントラサイクリン、微小管標的薬、トポイソメラーゼ毒薬、分子標的又は酵素の阻害剤(例えば、キナーゼ阻害剤)、シチジン類縁薬物又は任意の化学療法剤、抗新生物剤又は抗増殖剤であることができ、www.cancer.org/docroot/cdg/cdg_0.aspに記載されている。
例示のアルキル化剤としては、限定するわけではないが、シクロホスファミド(サイトキサン、ネオサー)、クロラムブシル(ロイケラン)、メルファラン(アルケラン)、カルムスチン(BiCNU)、ブスルファン(ブスルフェックス)、ロムスチン(CeeNU)、ダカルバジン(DTIC-ドーム)、オキサリプラチン(エロキサチン)、カルムスチン(グリアデル)、イホスファミド(Ifex)、メクロレタミン(ムスタルゲン)、ブスルファン(ミレラン)、カルボプラチン(パラプラチン)、シスプラチン(CDDP、プラチノール)、テモゾロミド(テモダール)、チオテパ(チオプレックス)、ベンダムスチン(トレアンダ)又はストレプトゾシン(ザノサー)が挙げられる。
例示の抗生物質としては、限定するわけではないが、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ドキソルビシンリポソーマル(ドキシル)、ミトキサントロン(ノバントロン)、ブレオマイシン(ブレノキサン)、ダウノルビシン(セルビジン)、ダウノルビシンリポソーム(ダウノゾーム)、ダクチノマイシン(コスメゲン)、エピルビシン(エレンス)、イダルビシン(イダマイシン)、プリカマイシン(ミトラシン)、マイトマイシン(ムタマイシン)、ペントスタチン(ニペント)又はバルルビシン(バルスター)が挙げられる。
例示の抗代謝物としては、限定するわけではないが、フルオロウラシル(アドルシル)、カペシタビン(ゼローダ)、ヒドロキシウレア(ハイドレア)、メルカプトプリン(プリネトール)、ペメトレキセド(アリムタ)、フルダラビン(フルダラ)、ネララビン(アラノン)、クラドリビン(クラドリビンノバプラス)、クロファラビン(クロラール)、シタラビン(シトサー-U)、デシタビン(ダコゲン)、シタラビンリポソーマル(デポシト)、ヒドロキシウレア(ドロキシア)、プララトレキサート(フォロチン)、フロクスウリジン(FUDR)、ゲムシタビン(ジェムザール)、クラドリビン(ロイスタチン)、フルダラビン(オフォルタ)、メトトレキサート(MTX 、リウマトレックス)、メトトレキサート(トレキサル)、チオグアニン(タブロイド)、TS-1又はシタラビン(タラビンPFS )が挙げられる。
例示の解毒剤としては、限定するわけではないが、アミフォスチン(エチオール)又はメスナ(メスネックス)がが挙げられる。
例示のインターフェロンとしては、限定するわけではないが、インターフェロンα-2b(イントロンA)又はインターフェロンα-2a(ロフェロン-A)が挙げられる。
例示のポリクローナル又はモノクローナル抗体としては、限定するわけではないが、トラスツズマブ(ハーセプチン)、オファツムマブ(アルゼラ)、ベバシズマブ(アバスチン)、リツキシマブ(リツキサン)、セツキシマブ(アービタックス)、パニツムマブ(ベクティビックス)、トシツモマブ/ヨージン131トシツモマブ(ベキサール)、アレムツズマブ(キャンパス)、イブリツモマブ(ゼヴァリン、In-111、Y-90ゼヴァリン)、ゲムツズマブ(マイロターグ)、エクリズマブ(ソリリス)オルデノスマブが挙げられる。
例示のEGFR阻害剤としては、限定するわけではないが、ゲフィチニブ(イレッサ)、ラパチニブ(タイケルブ)、セツキシマブ(アービタックス)、エルロチニブ(タルセバ)、パニツムマブ(ベクティビックス)、PKI-166 、カネルチニブ(CI-1033 )、マツズマブ(EMD7200)又はEKB-569が挙げられる。
例示のHER2阻害剤としては、限定するわけではないが、トラスツズマブ(ハーセプチン)、ラパチニブ(タイケルブ)又はAC-480が挙げられる。
ヒストンデアセチラーゼ阻害剤としては、限定するわけではないが、ボリノスタット(ゾリンザ)が挙げられる。
例示のホルモンとしては、限定するわけではないが、タモキシフェン(ソルタモックス、ノルバデックス)、ラロキシフェン(エビスタ)、メゲストロール(メゲース)、ロイプロリド(ルプロン、ルプロン・デポ、エリガード、ビアジュー)、フルベストラント(ファスロデックス)、レトロゾール(フェマーラ)、トリプトレリン(トレルスターLA、トレルスターデポ)、エキセメスタン(アロマシン)、ゴセレリン(ゾラデックス)、ビカルタミド(カソデックス)、アナストロゾール(アリミデックス)、フルオキシメステロン(アンドロキシ、ハロテスチン)、メドロキシプロゲステロン(プロベラ、デポプロベラ)、エストラムスチン(エムシト)、フルタミド(ユーレキシン)、トレミフェン(フェアストン)、デガレリクス(フィルマゴン)、ニルタミド(ニランドロン)、アバレリクス(プレナクシス)又はテストラクトン(テスラック)が挙げられる。
例示の有糸分裂阻害剤としては、限定するわけではないが、パクリタキセル(タキソール、オンキソール、アブラキサン)、ドセタキセル(タキソテール)、ビンクリスチン(オンコビン、ビンカサル PFS)、ビンブラスチン(ベルバン)、エトポシド(トポサル、エトポフォス、ベペシド)、テニポシド(ブモン)、イクサベピロン(イクセムプラ)、ノコダゾール、エポチロン、ビノレルビン(ナベルビン)、カンプトテシン(CPT)、イリノテカン(カンプトサール)、トポテカン(ハイカムチン)、アムサクリン又はラメラリンD(LAM-D)が挙げられる。
例示のMTOR阻害剤としては、限定するわけではないが、エベロリムス(アフィニトール)又はテムシロリムス(トリセル)、ラパミューン、リダフォロリムス又はAP23573 が挙げられる。
例示のマルチキナーゼ阻害剤としては、限定するわけではないが、ソラフェニブ(ネクサバール)、スニチニブ(スーテント)、BIBW 2992、E7080、Zd6474、PKC-412、モテサニブ又はAP24534が挙げられる。
例示のセリン/トレオニンキナーゼ阻害剤としては、限定するわけではないが、ルボキシス、エリル/イーストジル塩酸塩、フラボピリドール、セリシクリブ(CYC202、ロスコビトリン)、SNS-032(BMS-387032)、Pkc412、ブリオスタチン、KAI-9803、SF1126、VX-680、Azd1152、Arry-142886(AZD-6244)、SCIO-469、GW681323、CC-401、CEP-1347又はPD 332991が挙げられる。
例示のチロシンキナーゼ阻害剤としては、限定するわけではないが、エルロチニブ(タルセバ)、ゲフィチニブ(イレッサ)、イマチニブ(グリベック)、ソラフェニブ(ネクサバール)、スニチニブ(スーテント)、トラスツズマブ(ハーセプチン)、ベバシズマブ(アバスチン)、リツキシマブ(リツキサン)、ラパチニブ(タイケルブ)、セツキシマブ(アービタックス)、パニツムマブ(ベクティビックス)、エベロリムス(アフィニトール)、アレムツズマブ(キャンパス)、ゲムツズマブ(マイロターグ)、テムシロリムス(トリセル)、パゾパニブ(ボトリエント)、ダサチニブ(スプリセル)、ニロチニブ(タシグナ)、バタラニブ(Ptk787、ZK222584)、CEP-701、SU5614、MLN518、XL999、VX-322、Azd0530、BMS-354825、SKI-606、CP-690、AG-490、WHI-P154、WHI-P131、AC-220又はAMG888が挙げられる。
例示のVEGF/VEGFR阻害剤としては、限定するわけではないが、ベバシズマブ(アバスチン)、ソラフェニブ(ネクサバール)、スニチニブ(スーテント)、ラニビズマブ、ペガプタニブ又はバンデチニブが挙げられる。
例示の微小管標的薬としては、限定するわけではないが、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、エポチロン及びナベルビンが挙げられる。
例示のトポイソメラーゼ毒薬としては、限定するわけではないが、テニポシド、エトポシド、アドリアマイシン、カンプトテシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、ミトキサントロン、アムサクリン、エピルビシン及びイダルビシンが挙げられる。
例示のタキサンもしくはタキサン誘導体としては、限定するわけではないが、パクリタキセル及びドセタキセルが挙げられる。
例示の一般的な化学療法の抗新生物性抗増殖剤としては、限定するわけではないが、アルトレタミン(ヘキサレン)、イソトレチノイン(アキュテイン、アムネステーム、クララビス、ソトレット)、トレチノイン(ベサノイド)、アザシチジン(ビダザ)、ボルテゾミブ(ベルケイド)、アスパラギナーゼ(エルスパー)、レバミゾール(エルガミゾル)、ミトタン(リソドレン)、プロカルバジン(マツラン)、ペガスパルガーゼ(オンキャスパ)、デニロイキンジフチトクス(オンタック)、ポルフィマー(フォトフリン) 、アルデスロイキン(プロロイキン)、レナリドマイド(レブリミド)、ベキサロテン(ターグレチン)、サリドマイド(サロミド)、テムシロリムス(トリセル)、三酸化ヒ素(トリセノックス)、ベルテポルフィン(ビスダイン)、ミモシン(ロイセノール)、(1Mテガフール-0.4M5-クロロ-2,4-ジヒドロキシピリミジン-1Mオキソン酸カリウム)又はロバスタチンが挙げられる。
別の態様では、第二の化学療法剤は、G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)などのサイトカインであることができる。別の態様において、本発明の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、類似体もしくは誘導体は、放射線療法と併用して投与することができる。放射線療法は、また、本発明の化合物及び多剤療法の一部として本明細書中に記載された別の化学療法剤の組み合わせで行うことができる。さらに別の態様において、本発明の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、類似体もしくは誘導体は、標準的な化学療法併用薬と組み合わせ投与でき、標準的な化学療法併用薬は、限定するわけではないが、例えば、CMF(シクロホスファミド、メトトレキサート及び5-フルオロウラシル)、CAF(シクロホスファミド、アドリアマイシン及び5-フルオロウラシル)、AC(アドリアマイシン及びシクロホスファミド)、FEC(5-フルオロウラシル、エピルビシン及びシクロホスファミド)、ACT又はATC(アドリアマイシン、シクロホスファミド及びパクリタキセル)、リツキシマブ、ゼローダ(カペシタビン) 、シスプラチン(CDDP)、カルボプラチン、TS-1(1:0.4:1のモル比でテガフール、ジメスタット及びオスタットカリウム)、カンプトテシン-11(CPT-11、イリノテカン又はCamptosar(商標))又はCMFP(シクロホスファミド、メトトレキセート、5-フルオロウラシル及びプレドニゾン)である。
好ましい実施形態において、本発明の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、多形体もしくは溶媒和物は、受容体又は非受容体キナーゼなどの酵素の阻害剤とともに投与されうる。本発明の受容体及び非受容体キナーゼは、例えば、チロシンキナーゼ又はセリン/スレオニンキナーゼである。本発明のキナーゼ阻害剤は、小分子、ポリ核酸、ポリペプチド又は抗体である。
例示のキナーゼ阻害剤としては、限定するわけではないが、ベバシズマブ(VEGFを標的とする)、BIBW2992(EGFR及びErb2を標的とする)、セツキシマブ/エルビタックス(Erb1を標的とする)、イマチニブ/グレービク(Bcr-Ablを標的とする)、トラスツズマブ(Erb2を標的とする)、ゲフィチニブ/イレッサ(EGFRを標的とする)、ラニビズマブ(VEGFを標的とする)、ペガプタニブ(VEGFを標的とする)、エルロチニブ/タルセバ(Erb1を標的とする)、ニロチニブ(Bcr-Ablを標的とする)、ラパチニブ(Erb1及びErb2/Her2を標的とする)、GW-572016/ラパチニブジトシレート(HER2/Erb2を標的とする)、パニツムマブ/ベクティビックス(EGFRを標的とする)、バンデチニブ(RET/VEGFRを標的とする)、E7080(RET及びVEGFRを含めて複数の標的)、ハーセプチン(HER2/Erb2を標的とする)、PKI-166(EGFRを標的とする)、カネチニブ/CI-1033(EGFRを標的とする) 、スニチニブ/SU-11464/スーテント(EGFR及びFLT3を標的とする)、マツズマブ/Emd7200 (EGFRを標的とする)、EKB-569(EGFRを標的とする)、Zd6474(EGFR及びVEGFRを標的とする)、PKC-412(VEGR及びFLT3を標的とする)、バタラニブ/Ptk787/ZK222584(VEGRを標的とする)、CEP-701(FLT3を標的とする)、SU5614(FLT3を標的とする)、MLN518(FLT3を標的とする)、XL999(FLT3を標的とする)、VX-322(FLT3を標的とする)、Azd0530(SRCをを標的とする)、BMS-354825(SRCを標的とする)、SKI-606(SRCを標的とする)、CP-690(JAKを標的とする)、AG-490(JAKを標的とする)、WHI-P154 (JAKを標的とする)、WHI-P131(JAKを標的とする)、ソラフェニブ/ネクサバール(RAFキナーゼ、VEGFR-1、VEGFR-2、VEGFR-3、PDGFR-β、KIT、FLT-3及びRETを標的とする)、ダサチニブ/スプリセル(BCR/ABL及びSrcを標的とする)、AC-220(Flt3を標的とする)、AC-480(すべてのHERタンパク質、「panHER」を標的とする)、モテサニブ二リン酸(VEGF1-3、PDGFR及びc-kitを標的とする)、デノスマブ(RANKLを標的とし、SRCを阻害する)、AMG888(HER3を標的とする)及びAP24534(Flt3を含む複数の標的)が挙げられる。
例示のセリン/トレオニンキナーゼ阻害剤としては、限定するわけではないが、ラパミューン(mTOR/FRAP1を標的とする)、デフォロリムス(mTORを標的とする)、サーティカン/エベロリムス(mTOR/FRAP1を標的とする)、AP23573(mTOR/FRAP1を標的とする) 、エリル/塩酸ファスジル(RHOを標的とする)、フラボピリドール(CDKを標的とする)、セリシクリブ/CYC202/ロスコビトリン(CDKを標的とする)、SNS-032/BMS-387032(CDKを標的とする)、ルボキシスタウリン(PKCを標的とする)、Pkc412(PKCを標的とする)、ブリオスタチン(PKCを標的とする)、KAI-9803(PKCを標的とする)、SF1126 (PI3Kを標的とする)、VX-680(オーロラキナーゼを標的とする)、Azd1152(オーロラキナーゼを標的とする)、Arry-142886/AZD-6244(MAP/MEKを標的とする)、SCIO-469 (MAP/MEKを標的とする)、GW681323(MAP/MEKを標的とする)、CC-401(JNKを標的とする)、CEP-1347(JNKを標的とする)及びPD332991(CDKを標的とする)が挙げられる。
実施例
本発明の様々な特徴をさらに例示するために下記に実施例を提供する。実施例は、また、本発明を実施するための有用な方法を例示する。これらの実施例は特許請求される発明を限定しない。
式III、IIIa、IVa、IVb、Va又はVb の化合物 ((+)-シス-3-(5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ [3,2,1-ij] キノリン-1-イル)-4-(1H-インドール-3-イル)ピロリジン-2,5-ジオン、(-)-シス-3-(5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ [3,2,1-ij] キノリン-1-イル)-4-(1H-インドール-3-イル)ピロリジン-2,5-ジオン、(+)-トランス-3-(5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ [3,2,1-ij]キノリン-1-イル)-4-(1H-インドール-3-イル)ピロリジン-2,5-ジオン及び(-)-トランス-3-(5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ [3,2,1-ij]キノリン-1-イル)-4-(1H-インドール-3-イル)ピロリジン-2,5-ジオンを含む)の調製例、及び、単独で又は治療有効量の第二の抗増殖剤との組み合わせでのその使用はWO2006/086484、US 7,713,969及びUS 20100221251に記載されており、その各々の全体をすべての目的で参照により取り込む。
実施例1
湿式顆粒化
50%累積粒子直径が1.9μmであり、そして90%累積粒子直径が5.5μmである粒子サイズを有するように粉砕された3-(5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[3,2,1-ij]キノリン-1-イル)-4-(1H-インドール-3-イル)ピロリジン-2,5-ジオン(796.7g)、ラクトース一水和物(832.4g)、クロスカルメロースナトリウム(127.4g)及びヒドロキシプロピルセルロース(45.5g)を、高剪断造粒機VG-10 (Powrex corp.製)を用いて、ブレード回転数: 250 rpm及びチョッパー回転数: 3000 rpmを伴う条件下に3分間混合した。精製水(981.5g)のさらなる添加の後に、混合物を、250 rpm及びチョッパー回転数: 3000 rpmを伴う条件下に3分間混練し、粗製顆粒を得た。それをスクリーンミルComil QC-194 (Powrex corp.製)を用いて造粒し、そして流動床造粒機Flow Coater NFLO-5/2SJ (Freund Corp.製)を用いて、製品温度が55℃となるまで、空気温度90℃を伴う条件下に乾燥した。サイズ-スクリーニングをスクリーンミルComil QC-194 (Powrex corp.製)を用いて行い、顆粒を得た。得られた顆粒をV-blender TVC (5 L) (TOKUJU CO., LTD.製)を用いてステアリン酸マグネシウム(18.2g)とブレンドし、錠剤化のための顆粒を得た。
錠剤化
パラグラフ(1)で得られた錠剤化用顆粒を打錠機VEL5 0312SW2MZ (KIKUSUI SEISAKUSHO LTD.製)を用いて打錠圧力10 kNで錠剤化し、錠剤重量280 mgを有するコア錠剤を得た。得られたコア錠剤に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、二酸化チタン、タルク及び赤色酸化鉄を含むコーティング溶液をコーティング機HCT-Labo (Freund Corp.製)で膜コーティングするためにスプレイ塗布し、題記の錠剤を得た。得られた錠剤を溶解試験に付した。試験結果を表2に示す。
実施例2
湿式顆粒化
50%累積粒子直径が1.8μmであり、そして90%累積粒子直径が6.1μmである粒子サイズを有するように粉砕された3-(5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[3,2,1-ij]キノリン-1-イル)-4-(1H-インドール-3-イル)ピロリジン-2,5-ジオン(306g)、ラクトース一水和物(311.6 g)及びクロスカルメロースナトリウム(71.4 g)を、高剪断造粒機VG-5 (Powrex corp.製)を用いて、ブレード回転数: 580 rpm及びチョッパー回転数: 3000 rpmを伴う条件下に3分間混合した。
ヒドロキシプロピルセルロース水溶液(357.1g)の添加の後に、混合物を、280 rpm及びチョッパー回転数: 3000 rpmを伴う条件下に6分間混練し、粗製顆粒を得た。それを流動床造粒機Flow Coater NFLO-5/2SJ (Freund Corp.製)を用いて、製品温度が55℃となるまで、空気温度90℃を伴う条件下に乾燥した。サイズ-スクリーニングをスクリーンミルComil QC-U10 (Powrex corp.製)を用いて行い、顆粒を得た。得られた顆粒をV-ブレンダー S-3-S (TOKUJU CO., LTD.製)を用いてステアリン酸マグネシウム(5.9g)とブレンドし、錠剤化のための顆粒を得た。
錠剤
パラグラフ(1)で得られた錠剤化用顆粒を回転式打錠機VEL5 0312SW2MZ (KIKUSUI SEISAKUSHO LTD.製)を用いて打錠圧力18 kNで錠剤化し、錠剤重量420 mgを有するコア錠剤を得た。得られたコア錠剤に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、二酸化チタン、タルク及び赤色酸化鉄を含むコーティング溶液をコーティング機HCT-Labo (Freund Corp.製)で膜コーティングするためにスプレイ塗布し、題記の錠剤を得た。得られた錠剤を溶解試験に付した。試験結果を表2に示す。
比較例1
直接圧縮法
50%累積粒子直径が1.8μmであり、そして90%累積粒子直径が6.1μmである粒子サイズを有するように粉砕された3-(5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[3,2,1-ij]キノリン-1-イル)-4-(1H-インドール-3-イル)ピロリジン-2,5-ジオン (450 g)、D-マンニトール(537.0 g)及びクロスカルメロースナトリウム(52.5 g)をV-ブレンダーを用いて15分間予備混合し、その後、スクリーンミルComil QC-U10 (Powrex corp.製)を用いて篩い分けした。ステアリン酸マグネシウム(10.5 g)の添加の後に、混合物を再びV-ブレンダー中で15分間混合し、混合粉末を得た。
得られた混合粉末を回転式打錠機VEL5 0312SW2MZ (KIKUSUI SEISAKUSHO LTD.製)を用いて打錠圧力18 kNで錠剤化し、錠剤重量420 mgを有するコア錠剤を得た。得られたコア錠剤に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、二酸化チタン、タルク及び赤色酸化鉄を含むコーティング溶液をコーティング機HCT-Labo (Freund Corp.製)で膜コーティングするためにスプレイ塗布し、題記の錠剤を得た。得られた錠剤を溶解試験に付した。試験結果を表2に示す。
比較例2
乾式顆粒化法
50%累積粒子直径が1.8μmであり、そして90%累積粒子直径が6.1μmである粒子サイズを有するように粉砕された3-(5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[3,2,1-ij]キノリン-1-イル)-4-(1H-インドール-3-イル)ピロリジン-2,5-ジオン(720g)、ラクトース一水和物(589.0 g)、結晶性セルロース/軽質無水ケイ酸混合物 (252.2 g)、クロスカルメロースナトリウム (84.0g)及びラウリル硫酸ナトリウム(18.0 g)をV-ブレンダー中で15分間予備混合し、その後、スクリーンミルComil QC-U10 (Powrex corp.製)を用いて篩い分けした。ステアリン酸マグネシウム(16.6g)の添加の後に、混合物を再びV-ブレンダー中で15分間混合し、混合粉末を得た。
得られた混合粉末を回転式打錠機Vergo0524SS1AX (KIKUSUI SEISAKUSHO LTD.製)を用いて打錠圧力8〜30 kNで錠剤化し、錠剤重量420 mgを有するスラグ錠剤を得た。得られたスラグ錠剤をスクリーンミルComil QC-U10 (Powrex corp.製)を用いて篩い分けし、錠剤化のための顆粒を得た。
得られた錠剤化用顆粒を回転式打錠機VEL5 0312SW2MZ (KIKUSUI SEISAKUSHO LTD.製)を用いて打錠圧力18 kNで錠剤化し、錠剤重量420 mgを有するコア錠剤を得た。得られたコア錠剤に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、二酸化チタン、タルク及び赤色酸化鉄を含むコーティング溶液をコーティング機HCT-Labo (Freund Corp.製)で膜コーティングするためにスプレイ塗布し、題記の錠剤を得た。得られた錠剤を溶解試験に付した。試験結果を表2に示す。
試験例1
実施例1及び2ならびに比較例1及び2における錠剤化工程の収率及び得られた錠剤の重量偏差を下記の表1に記載する。この関係で、錠剤化の収率とは、全錠剤化用顆粒又は混合粉末を錠剤中に使用するときの錠剤化用顆粒又は混合粉末の期待量(理論値)に対する錠剤製造に実際に使用された錠剤化用顆粒又は混合粉末の量の割合を指す。
表1から明らかなとおり、高剪断造粒法により得られた実施例1及び2の製剤は直接圧縮法及び乾式顆粒化法により得られた比較例1及び2の製剤よりも優れた製造可能性を有する。
試験例2
溶解試験法
試験は、溶出試験法日本薬局方、第15版の段落に記載された溶解試験法(装置II)に従って試験溶液として1%のラウリル硫酸ナトリウムを含有するリン酸緩衝液(pH6.8)900 mL を用いて50rpmで行った。各試験溶液を、試験開始15分、30分、45分及び60分後に回収し、そして3-(5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[3,2,1-ij]キノリン-1-イル)-4-(1H-インドール-3-イル)ピロリジン-2,5-ジオンの溶解速度を吸光分光法[Toyama Sangyo Co., Ltd.製の溶解試験器及びShimadzu Corp.製の分光光度計]によって測定した。試験を6つの錠剤に対して行い、その溶解速度の平均を計算した。溶解試験結果を表2に記載する。
表2から明らかなように、高剪断造粒法により得られた実施例1及び2の製剤は、直接圧縮及び乾式顆粒化法によって得られた比較例1及び2の製剤よりも優れた溶出性を有する。