(発明の詳細な説明)
(ピロロキノリニル−ピロリジン−2,5−ジオン化合物)
本発明は、HPLCにより決定される場合に99%より高いキラル純度を有し、そして1%未満の(+)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを含有する、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを提供する。
本発明はまた、HPLCにより決定される場合に99%より高いキラル純度を有し、そして1%未満の(+)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを含有する、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを含有する組成物を提供する。この組成物は、1種以上の薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤を含有し得る。
好ましくは、本発明による提供される、高度に精製された(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンは、99.3%より高い、99.5%より高い、99.6%より高い、99.7%より高い、99.8%より高い、または99.9%より高いキラル純度を有する。好ましくは、本発明により提供される、高度に精製された(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを含有する組成物は、0.7%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、または0.1%未満の(+)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを含有する。
本発明の化合物の全ての形態が、混合物であれ、純粋または実質的に純粋な形態であれ、ラセミ混合物の結晶形および個々の異性体の結晶形を含めて、想定される。本発明は、特定の活性を有する単離された光学異性体を、格別に包含する。ラセミ形態は、物理的方法(例えば、ジアステレオマー誘導体の分離もしくは結晶化、またはキラルカラムクロマトグラフィーもしくは超臨界流体クロマトグラフィーによる分離)によって、分割され得る。個々の光学異性体は、ラセミ体から従来の方法(例えば、光学的に活性な酸または塩基との塩形成、引き続く結晶化)によって得られ得る。
本発明の特定の化合物は、互変異性形態で存在し得る。これらの化合物の全てのこのような互変異性形態は、他に記載されない限り、本発明の範囲内であるとみなされる。
さらに、結晶の多型が存在し得るが、これは限定ではなく、任意の結晶形は、単結晶または結晶の形態の混合物であり得るか、あるいは無水結晶形または水和結晶形であり得る。
用語「結晶の多型」または「多型」または「結晶形」とは、化合物(またはその塩もしくは溶媒和物)が異なる結晶充填配置で結晶化し得、これらの全てが同じ元素組成を有する、結晶構造を意味する。異なる結晶形は通常、異なるX線回折パターン、赤外線スペクトル、融点、密度、結晶の形状、光学特性、電子特性、安定性および溶解度を有する。結晶化溶媒、結晶化速度、保存温度、および他の要因が、1つの結晶形を優勢にし得る。化合物の結晶の多型は、異なる条件下での結晶化により調製され得る。
本発明は、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの2つの多型を提供する。
(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの1型多型は、Cu Kα放射線を使用しておよそ8.2°2θ、10.8°2θおよび14.1°2θにピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴付けられる。いくつかの実施形態において、この多型はまた、Cu Kα放射線を使用しておよそ8.2°2θ、10.8°2θ、14.1°2θ、15.5°2θ、17.8°2θ、19.9°2θおよび25.6°2θにピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴付けられ得る。他の実施形態において、この多型はまた、Cu Kα放射線を使用しておよそ8.2°2θ、10.8°2θ、14.1°2θ、14.9°2θ、15.5°2θ、17.1°2θ、17.8°2θ、19.4°2θ、19.9°2θ、21.1°2θ、21.9°2θ、23.0°2θ、25.6°2θおよび28.4°2θにピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴付けられ得る。
本発明はまた、Cu Kα放射線を使用しておよそ6.5°2θ、9.9°2θおよび12.0°2θにピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴付けられる、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの2型多型を提供する。いくつかの実施形態において、この多型はまた、Cu Kα放射線を使用しておよそ6.5°2θ、9.9°2θ、12.0°2θ、16.7°2θ、20.1°2θおよび22.8°2θにピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴付けられ得る。他の実施形態において、この多型はまた、Cu Kα放射線を使用しておよそ6.5°2θ、9.9°2θ、12.0°2θ、13.2°2θ、16.4°2θ、16.7°2θ、17.2°2θ、20.1°2θ、20.3°2θ、20.8°2θ、22.8°2θ、23.7°2θ、28.6°2θおよび30.4°2θにピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴付けられ得る。
本発明はまた、Cu Kα放射線を使用しておよそ8.2°2θ、10.8°2θおよび14.1°2θにピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴付けられる、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの1型多型を含有する組成物を提供する。この組成物は、1種以上の薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤を含有し得る。
本発明はまた、Cu Kα放射線を使用しておよそ6.5°2θ、9.9°2θおよび12.0°2θにピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴付けられる、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの2型多型を含有する組成物を提供する。この組成物は、1種以上の薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤を含有し得る。
さらに、本発明の化合物(例えば、これらの化合物の塩)は、水和形態もしくは非水和(無水)形態のいずれかで、または他の溶媒分子との溶媒和物として、存在し得る。水和物の非限定低的な例としては、一水和物、二水和物が挙げられる。溶媒和物の非限定的な例としては、エタノール溶媒和物、アセトン溶媒和物などが挙げられる。
本発明はまた、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン・(1S,2S)−(+)−プソイドエフェドリンを提供する。この(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン・(1S,2S)−(+)−プソイドエフェドリンは、1%未満の(+)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン プソイドエフェドリンを含有し得る。
本発明はまた、HPLCにより決定される場合に99%より高いキラル純度を有し、1%未満の(+)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン プソイドエフェドリンを含有する、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン・(1S,2S)−(+)−プソイドエフェドリンを含有する組成物を提供する。この組成物は、1種以上の薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤を含有し得る。
好ましくは、本発明により提供される、この高度に精製された(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン・(1S,2S)−(+)−プソイドエフェドリンは、99.5%より高い、99.6%より高い、99.7%より高い、99.8%より高い、または99.9%より高い、ジアステレオマー純度を有する。好ましくは、本発明により提供される、高度に精製された(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン・(1S,2S)−(+)−プソイドエフェドリンを含有する組成物は、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、または0.1%未満の(+)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン プソイドエフェドリンを含有する。
「溶媒和物」とは、化学量論量または非化学量論量のいずれかの溶媒を含む、溶媒付加形態を意味する。いくつかの化合物は、一定モル比の溶媒分子を結晶性固相に捕捉し、これによって溶媒和物を形成する傾向を有する。その溶媒が水である場合、形成される溶媒和物は水和物であり、その溶媒がアルコールである場合、形成される溶媒和物はアルコール和物である。水和物は、1モル以上の水と、物質のうちの1つとの組み合わせにより形成され、ここでこの水は、そのH2Oとしての分子状態を保持し、このような組み合わせは、1つ以上の水和物を形成し得る。例えば、溶媒和物はジクロロメタン(DCM)溶媒和物であり得る。
本発明はまた、(±)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン ジクロロメタン、および(±)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン ジクロロメタンを含有する組成物を提供する。この組成物は、90%より多く、95%より多く、または99%より多くの(±)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン ジクロロメタンを含有し得る。この組成物は、1種以上の薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤を含有し得る。
本発明のいくつかの組成物は、互変異性形態で存在し得、これらもまた、本発明の範囲内に含まれることが意図される。「互変異性体」とは、その構造の原子の配置が顕著に異なるが、容易かつ迅速な平衡で存在する化合物をいう。本発明の化合物は、異なる互変異性体として描かれ得ることが理解されるべきである。化合物が互変異性形態を有する場合、全ての互変異性形態が本発明の範囲内であることが意図され、そしてこれらの化合物の命名はいずれの互変異性形態も排除しないこともまた、理解されるべきである。
本発明の化合物、塩およびプロドラッグは、数種の互変異性形態で存在し得、そしてこのような互変異性形態は、本発明の範囲内に含まれる。互変異性体は、溶液中で互変異性体のセットの混合物として存在する、固体形態においては通常、1つの互変異性体が優勢である。1つの互変異性体が記載され得るとしても、本発明は、本発明の化合物の全ての互変異性体を包含する。
本明細書中で使用される場合、用語「塩」とは、薬学的に受容可能な塩であり、そして酸付加塩(塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、および酒石酸塩が挙げられる);アルカリ金属陽イオン(例えば、Na+、K+、Li+)、アルカリ土類金属塩(例えば、Mg2+またはCa2+)、あるいは有機アミン塩が挙げられ得る。
本明細書中で使用される場合、用語「代謝産物」とは、本発明の化合物と類似の活性をインビボで示す、本発明の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、多型もしくは溶媒和物の代謝の生成物を意味する。
本明細書中で使用される場合、用語「混合する(mixing)」とは、合わせること(combining)、ブレンドすること(blending)、撹拌すること(stirring)、振盪すること(shaking)、かき混ぜること(swirling)または撹拌すること(agitating)を意味する。用語「撹拌する(stirring)」とは、混合すること(mixing)、振盪すること(shaking)、撹拌すること(agitating)、またはかき混ぜること(swirling)を意味する。用語「撹拌する(agitating)」とは、混合すること(mixing)、振盪すること(shaking)、撹拌すること(stirring)、またはかき混ぜること(swirling)を意味する。
本発明の化合物はまた、プロドラッグ(例えば、薬学的に受容可能なプロドラッグ)として調製され得る。用語「プロ−ドラッグ」および「プロドラッグ」は、本明細書中で交換可能に使用され、そしてインビボで活性な親薬物を放出する任意の化合物をいう。プロドラッグは、薬剤の多数の所望の性質(例えば、溶解度、バイオアベイラビリティ、製造など)を増強することが公知であるので、本発明の化合物は、プロドラッグの形態に誘導体化され得る。従って、本発明は、本願発明の化合物のプロドラッグ、これらを送達する方法、およびこれらを含有する組成物を網羅することを意図される。用語「プロドラッグ」は、1つ以上のプロ部分(例えば、アミノ酸部分または他の水溶性化部分)に共有結合した、本発明の化合物を包含する。本発明の化合物は、加水分解的、酸化的、および/または酵素的な放出機構によって、プロ部分から放出され得る。1つの実施形態において、本発明のプロドラッグ組成物は、増大した水溶性、改善された安定性、および改善された薬物導体プロフィールという、追加された利点を示す。プロ部分は、所望のプロドラッグ特徴を得るように選択され得る。例えば、プロ部分(例えば、アミノ酸部分または他の水溶性化部分(例えば、ホスフェート))は、溶解度、安定性、バイオアベイラビリティ、および/またはインビボ送達もしくは取り込みに基づいて、選択され得る。用語「プロドラッグ」はまた、このようなプロドラッグが被験体に投与される場合に、本発明の活性親薬物をインビボで放出する、任意の共有結合したキャリアを含むことを意図される。本発明におけるプロドラッグは、その化合物に存在する官能基を、慣用的な操作によってかまたはインビボでのいずれかで、修飾が切断されて親化合物になるような様式で修飾することによって、調製される。プロドラッグとしては、ヒドロキシ基、アミノ基、スルフヒドリル基、カルボキシ基またはカルボニル基が、インビボで切断されてそれぞれ遊離ヒドロキシル基、遊離アミノ基、遊離スルフヒドリル基、遊離カルボキシ基または遊離カルボニル基を形成し得る任意の基に結合した、本発明の化合物が挙げられる。
プロドラッグの例としては、式Iの化合物の、ヒドロキシ官能基のエステル(例えば、アセテート、ジアルキルアミノアセテート、ホルメート、ホスフェート、スルフェート、および安息香酸誘導体)ならびにカルバメート(例えば、N,N−ジメチルアミノカルボニル)、カルボキシル官能基のエステル基(例えば、エチルエステル、モルホリノエタノールエステル)、アミノ官能基のN−アシル誘導体(例えば、N−アセチル)N−マンニッヒ塩基、シッフ塩基およびエナミノン、ケトン官能基およびアルデヒド官能基のオキシム、アセタール、ケタールおよびエノールエステルなどが挙げられるが、これらに限定されない。Bundegaard,H.「Design of Prodrugs」p1−92,Elesevier,New York−Oxford(1985)を参照のこと。
((−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン化合物の合成)
有機分子の標準的な合成方法および調製のための手順、ならびに官能基転換および操作(保護基の使用を含む)は、関連する科学文献から、または当該分野における標準的な参考書から得られ得る。いずれの1つまたは数個の源にも限定されないが、有機合成の認識された参考書としては、Smith,M.B.;March,J.March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure,第5版;John Wiley & Sons:New York,2001;およびGreene,T.W.;Wuts,P.G.M.Protective Groups in Organic Synthesis,第3版;John Wiley & Sons:New York,1999が挙げられる。以下の合成方法の説明は、本発明の化合物の調製のための一般的な手順を説明するために設計されているのであり、限定するためではない。
本発明はまた、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを調製する方法を提供し、この方法は、(a)(±)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを(1S,2S)−(+)−プソイドエフェドリンと第一の溶媒中で混合して、固体の(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン・(1S,2S)−(+)−プソイドエフェドリンを形成させる工程;(b)工程(a)において形成された(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン・(1S,2S)−(+)−プソイドエフェドリンの固体をこの第一の溶媒の水性混合物で洗浄する工程;(c)工程(b)からの(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン・(1S,2S)−(+)−プソイドエフェドリンを有機溶媒中で酸と反応させ、そして得られた溶液の有機層を単離する工程;(d)工程(c)からの有機層を洗浄する工程;(e)第二の溶媒をこの有機層に添加する工程;(f)この溶液中の第二の溶媒の量が5%未満になるまで、この有機層を濃縮する工程;および(g)工程(f)の有機層から結晶化させ、そして得られた(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを減圧下で乾燥させる工程であって、これによって、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを生成させる工程を包含する。好ましくは、この生成する(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンは、1%未満、0.7%未満、0.5%未満、または0.1%未満の(+)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを含有する。
この第一の溶媒は、非水性溶媒であり得る。好ましくは、この第一の非水性溶媒は、メタノール、エタノール、アセトニトリル、またはこれらの混合物であり得る。この第二の溶媒は、非水性溶媒であり得る。好ましくは、この第二の非水性溶媒は、メタノール、エタノール、アセトニトリル、またはこれらの混合物であり得る。いくつかの実施形態において、この第二の溶媒は、この第一の溶媒と同じである。他の実施形態において、この第二の溶媒は、この第一の溶媒と異なる。工程(c)の有機溶媒は、メチルテトラヒドロフランであり得る。いくつかの実施形態において、この有機層は、工程(d)において塩溶液で洗浄される。好ましくは、この塩溶液は塩化ナトリウム溶液である。
この方法は、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの結晶を、工程(g)の後にすすぐ工程をさらに包含し得る。いくつかの実施形態において、この(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの結晶は、アルコールですすがれる。好ましくは、このアルコールは、エタノールおよびメタノールから選択される。
本発明はまた、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを調製する方法を提供し、この方法は、(a)(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン・(1S,2S)−(+)−プソイドエフェドリンと酸とを混合する工程;(b)アルコールを(a)からの混合物に添加してスラリーを形成させる工程;(c)(b)において形成されたスラリーを加熱および撹拌する工程;(d)冷却し、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを単離する工程;(e)工程(d)において単離された(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを第一の溶媒で洗浄する工程;(f)工程(e)からの(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを第二の溶媒に溶解させて溶液を形成させる工程;(g)第三の溶媒を(f)の溶液に添加し、そしてこの溶液中の第二の溶媒の量が5%未満になるまで、この溶液を蒸留する工程;(h)(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを(g)の溶液から結晶化させる工程;(i)必要に応じて、第四の溶媒(好ましくは水)を添加して(h)からの結晶を成熟させる工程;(j)(i)からの結晶を濾過により単離する工程;(k)(j)からの結晶を第三の溶媒および第四の溶媒の混合物で洗浄する工程;ならびに(l)(k)からの結晶を減圧下で乾燥させる工程であって、これによって、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを生成させる工程を包含する。
このアルコールは、メタノール、エタノール、またはこれらの混合物であり得る。この第一の溶媒は、非水性溶媒であり得る。好ましくは、この第一の非水性溶媒は、メタノール、エタノール、またはこれらの混合物であり得る。この第二の溶媒は、非水性溶媒であり得る。好ましくは、この第二の非水性溶媒はテトラヒドロフランである。この第三の溶媒は、非水性溶媒であり得る。好ましくは、この第三の非水性溶媒は、メタノール、エタノール、またはこれらの混合物であり得る。この第四の溶媒は水性溶媒であり得る。好ましくは、この第四の溶媒は水である。
本発明はまた、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを調製する方法を提供し、この方法は、(a)(±)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンをジクロロメタンに溶解させ、そして(±)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン ジクロロメタンを単離する工程;(b)(±)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン ジクロロメタンを第一の溶媒に溶解させる工程;(c)この溶液中のジクロロメタンのレベルが0.1重量%未満になるまで、工程(b)の溶液を蒸留する工程;(d)工程(c)の溶液を第二の溶媒で希釈する工程;(e)工程(d)の溶液を、キラル分離に適した充填物を含む多段式カラムクロマトグラフィーシステムに導入する工程;(f)工程(e)のシステムから得られた、得られたラフィネートをプールする工程;および(g)工程(f)からのラフィネートを結晶化させ、そして得られた(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを濾過するか、または工程(f)からのラフィネートをエバポレートして乾固させる工程であって、これによって、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを生成させる工程を包含する。好ましくは、この生成する(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンは、1%未満、0.7%未満、0.5%未満、または0.1%未満の(+)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを含有する。
好ましくは、この第一の非水性溶媒は、メタノール、エタノール、またはこれらの混合物であり得る。この第二の溶媒は、非水性溶媒であり得る。好ましくは、この第二の非水性溶媒は、メタノール、エタノール、アセトニトリル、またはこれらの混合物であり得る。より好ましくは、この第二の非水性溶媒は、メタノールとアセトニトリルとの混合物である。
スキームIは、高度に精製された(99%を超えるキラル純度の)(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを含有し、最小量(1%未満)の望ましくないエナンチオマーである(+)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンが存在する、本発明の組成物の製造のための要約を提供する。好ましくは、これらの組成物は、99.3%より高い、99.5%より高い、99.6%より高い、99.7%より高い、99.8%より高い、または99.9%より高いキラル純度を有する、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを含有する。好ましくは、これらの組成物は、0.7%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、または0.1%未満の(+)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを含有する。
スキームIに示され、以下の実施例に詳細に記載されるように、種々の手順が、キラルの観点で高度に純粋な(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを含有するこれらの組成物を製造および単離するために利用される。これらの手順としては、多段式カラムクロマトグラフィー分割、ジアステレオマー塩分割または動的速度論的分割が挙げられるが、これらに限定されない。
スキームIの工程1において、リロリジン(化合物4)を、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)反応溶媒中で塩化オキサリルで処理して、塩化アシルを得た。メタノールの添加は、中間体ケトエステルである5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)オキソ酢酸メチルエステル(化合物5)を得るために充分であった。この反応の工程2において、化合物5とインドール−3−アセトアミド(化合物5a)とを化合させて、3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロール−2,5−ジオン(化合物6)を生成させた。以下の実施例に詳細に記載されるように、化合物6を生成させるために、中間体化合物5を単離することは、必要ではない。MTBEからテトラヒドロフラン(THF)への溶媒交換が、工程2を実施する前に必要であった。なぜなら、5と5aとの両方が、MTBEへの非常に乏しい溶解度を有するからである。化合物5aを添加してTHF中塩基の存在下で化合物5を消費した後に、HClを添加してこの反応を完了させ、粗製化合物6を得た。次いで、粗製化合物6をDCMおよびヘプタンから精製して、次の工程に進むために充分な純度の化合物6を得た。このプロセスの詳細な説明は、実施例1に示される。
化合物6を、水酸化パラジウム、THF、およびカリウムtert−ブトキシドで水素化して、粗製トランスラセミ体である(±)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン(化合物8)を生成させた。実施例に記載されるように、化合物8の調製は、粗製シスラセミ体である(±)−シス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン(化合物7)の単離を必要としない。むしろ、化合物6の水素化中に、得られる化合物7のインサイチュでの異性化を起こすように条件を改変した。得られるプロセスは、化合物8中の主要な不純物(具体的には、化合物6)を制御する手段を提供する。具体的には、この反応は、THF溶媒中で行われ、そして使用される触媒は、水酸化パラジウムである。カリウムtert−ブトキシドもまたこの反応混合物に添加されて、異性化を促進する。このプロセスの詳細な説明は、実施例2に示される。
化合物8中の最も一般的な不純物は、代表的に、化合物7である。化合物7自体がキラルであるので、より低純度(99%未満)の化合物8が利用される場合、多段式カラムクロマトグラフィー(MCC)からの化合物7の異性体の溶出を予測することは、特に困難である。従って、高純度の生成物を確実にする目的で、MCCによるエナンチオマー分割の前に、ラセミ体化合物8の純度を増大させることが必要である。化合物8の純度は、種々の溶媒からの、溶媒和物の選択的結晶化によって改善され得ることが決定された。ジクロロメタン(DCM)から形成される1つのこのような溶媒和物は、非常に高い化学純度(>99%)の化合物8 DCMを与える。スキームIに示されるように、化合物8 DCMを、粗製化合物8をDCMに溶解させ、次いでDCM結晶の結晶種を入れることにより、形成した。その種床を臨界質量まで成長させた後に、ヘプタンを添加して、この結晶化を完了まで駆動した。濾過による単離および減圧下での大部分の残留溶媒の除去後、化合物8 DCMは代表的に、化合物8に対して0.8モル〜0.9モルのDCMを含んだ。この溶媒和物結晶化は、水素化および異性化の結果として粗製(95%〜98%)化合物8に存在するプロセス不純物を除去する。このプロセスの詳細な説明は、実施例3に示される。
本発明は、スキームIに示されるような、MCCによる化合物8 DCMの2つのエナンチオマーのキラル分割を提供する。MCCエナンチオマー分離プロセスは、バッチ調製より大規模(>20kg)で、高いキラル純度(>99%)を与え得る点で、HPLCバッチクロマトグラフィーによる分離より優れた利点を提供する。MCC分割は、メタノール中、メタノールとエタノールとの混合物(1:1 vol)中、またはメタノールとアセトニトリルとの混合物(9:1 v/v)中の、いずれかで行われ得る。利用されるキラル固定相(CSP)は、Chiral Technologies,Inc.から購入される、Chiralpak ADまたはAZのいずれかである。ラセミ体供給溶液の濃度は、20g/L〜50g/Lの範囲である。好ましくは、この分離のために特定されるキラル純度は、99%より高い(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン(化合物10)であり、1%未満の(+)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン(化合物9)を含有する。
具体的には、分離は、選択された移動相中のラセミ体化合物8の供給溶液を調製することにより行われる。この溶液は、化合物8 DCMから、最初にこの物質をメタノールに溶解させることにより調製される。クロマトグラフィーパラメータを製造の前に確立し、そして最終最適化を、供給溶液の分離の最初の数時間または数日間にわたり、行った。最初に集められた画分がキラル純度仕様に合わなかった場合、その物質を供給溶液に再利用して、分割を繰り返した。一旦、仕様に合う操作パラメータが確立されたら、それらの条件を応用して、供給溶液の全体積を分離した。この操作の間中、化合物10をラフィネートストリームとして集め、プールし、そして濃縮した。次いで、濃縮したラフィネートを濃縮乾固させたか(5kgより小規模)、または濃縮し、そして種結晶を入れて、化合物10の結晶化を誘導した(5kgより大規模)。このプロセスの詳細な説明は、実施例4に示される。
MCC分割に加えて、ジアステレオマー塩の形成による、キラル酸またはキラル塩基の分割のための古典的アプローチを使用した。化合物10の場合、酸または塩基のいずれが使用されてもよい。なぜなら、この分子は両性であるからである。キラル塩基の詳細なスクリーニング後、化合物8のエナンチオマーとプソイドエフェドリンとから形成される塩が、いくつかの溶媒において、非常に異なる溶解度特性を有することが示された。この関係を最適化して、(1S,2S)−(+)−プソイドエフェドリンを使用して化合物8を分割し、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン・(1S,2S)−(+)−プソイドエフェドリン(化合物10・(1S,2S)−(+)−プソイドエフェドリン)を選択的に得ることを可能にした。このプロセスの詳細な説明は、実施例6に示される。本発明により提供される別のプロセスは、望ましくないエナンチオマーである(+)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン(化合物9)を、動的速度論的分割(DKR)を使用してインサイチュでラセミ化することである。このプロセスの詳細な説明は、実施例7に示される。
MCC分割と古典的ジアステレオマー塩分割プロセスとの両方において、望ましくないエナンチオマーである化合物9が単離される。この望ましくないエナンチオマーは異性化されて、ラセミ体化合物8を与え得る。これは、シス異性体である化合物7を異性化して、粗製トランスラセミ体化合物8を得るための手順と同じ手順を実施することにより、達成される。この異性化は、メタノール中またはエタノール中のいずれかで、塩基として水酸化ナトリウムを使用して、行われる。このプロセスの詳細な説明は、実施例5に示される。
スキームIに記載される合成方法は、大規模(例えば、10kg、20kg、30kg、40kg、50kg、および60kg、ならびにより大規模)で容易に再現され、制限試薬としてのインドールアセトアミドに基づいて、全体の収率が45%より高い(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン(化合物10)を与える。好ましくは、1kgのリロリジン(化合物4)は、99%より高い純度を有する、およそ1kgの(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン(化合物10)を与える。
本発明はまた、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの多型を調製する方法を提供する。粗製化合物10を、溶媒(例えば、THF)に、得られる混合物を50℃まで加熱することにより溶解させた。得られた混合物をポリッシュ濾過(polish filter)し、続いて第二の溶媒(例えば、メタノール)および化合物10の1型種結晶を添加した。
種結晶の使用は、結晶化プロセスの多型制御を与える。種が存在しない場合、1型または2型のいずれかが、高純度で自発的に結晶化し得る。従って、1型または2型の種を提供するためには、自発的結晶化が許容される。そして一旦形成すると、その結晶性生成物は、X線粉末回折による定量分析を使用して特徴付けられて、得られる結晶形およびその多型純度を決定し得る。このような特徴付けの後に、この結晶性生成物は、本明細書中に記載されるような引き続く結晶化中に生成する、1型または2型のいずれかの多型を制御するための「種結晶」または「種」として使用され得る。
次いで、この溶液を共沸および大気圧で、蒸留により濃縮し、この溶媒(例えば、THF)の体積を減少させた。この溶液の温度を50℃まで低下させ、そして少なくとも4時間撹拌した。アリコートを取り出して、所望の多型の形成を確認した。必要であれば、この多型をTHF(30%のバッチ体積)に溶解させ、ポリッシュ濾過し、濃縮し、そして種結晶を入れて、所望の多型の結果を得ることができる。所望の多型形態が得られた場合、50%メタノール水溶液を50℃で添加し、そしてこの溶液をさらに2時間〜3時間撹拌した。次いで、この溶液を周囲温度まで冷却し、そして少なくとも2時間保持して、結晶化させた。完了したら、これらの結晶を濾過により単離し、さらなる50%水性メタノールで洗浄し、そして減圧下65℃で少なくとも12時間乾燥させた。化合物10の多型1型が、赤褐色固体として単離された。
(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの2型多型もまた、1型種結晶を2型種結晶で置き換えると、上記方法を用いて調製され得る。
(処置の方法)
本発明は、細胞増殖性障害の処置を必要とする被験体において、細胞増殖性障害を処置する方法を提供し、この方法は、このような処置を必要とする被験体に、(a)HPLCにより決定される場合に99%より高いキラル純度を有し、1%未満の(+)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンおよび薬学的に受容可能なキャリアを含有する、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン;(b)Cu Kα放射線を使用しておよそ8.2°2θ、10.8°2θおよび14.1°2θにピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴付けられる、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの1型多型、ならびに1種以上の薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤;または(c)Cu Kα放射線を使用しておよそ6.5°2θ、9.9°2θおよび12.0°2θにピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴付けられる、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの2型多型、ならびに1種以上の薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤を含有する、治療有効量の薬学的組成物を投与することによる。
この細胞増殖性障害は、がんまたは前がん状態であり得る。本発明は、(a)HPLCにより決定される場合に99%より高いキラル純度を有し、1%未満の(+)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを含有する、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン、および薬学的に受容可能なキャリア;(b)Cu Kα放射線を使用しておよそ8.2°2θ、10.8°2θおよび14.1°2θにピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴付けられる、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの1型多型、ならびに1種以上の薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤;または(c)Cu Kα放射線を使用しておよそ6.5°2θ、9.9°2θおよび12.0°2θにピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴付けられる、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの2型多型、ならびに1種以上の薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤の組成物の、細胞増殖性障害の処置のために有用な医薬の調製のための使用をさらに提供する。
本発明はまた、細胞増殖性障害に対する保護を必要とする被験体において、細胞増殖性障害に対して保護する方法を提供し、この方法は、(a)HPLCにより決定される場合に99%より高いキラル純度を有し、1%未満の(+)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを含有する、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン、および薬学的に受容可能なキャリア;(b)Cu Kα放射線を使用しておよそ8.2°2θ、10.8°2θおよび14.1°2θにピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴付けられる、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの1型多型、ならびに1種以上の薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤;または(c)Cu Kα放射線を使用しておよそ6.5°2θ、9.9°2θおよび12.0°2θにピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴付けられる、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの2型多型、ならびに1種以上の薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤、および1種以上の薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤を含有する、治療有効量の薬学的組成物を、このような処置を必要とする被験体に投与することによる。この細胞増殖性障害は、がんまたは前がん状態であり得る。本発明はまた、(a)HPLCにより決定される場合に99%より高いキラル純度を有し、1%未満の(+)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを含有する、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン、および薬学的に受容可能なキャリア;(b)Cu Kα放射線を使用しておよそ8.2°2θ、10.8°2θおよび14.1°2θにピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴付けられる、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの1型多型、ならびに1種以上の薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤;あるいは(c)Cu Kα放射線を使用しておよそ6.5°2θ、9.9°2θおよび12.0°2θにピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴付けられる、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの2型多型、ならびに1種以上の薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤の化合物の、細胞増殖性障害に対する保護のために有用な医薬の調製のための使用を提供する。
本明細書中で使用される場合、「その必要がある被験体」とは、細胞増殖性障害を有する被験体、または細胞増殖性障害を発達させる危険性が集団全体に対して増大している被験体である。その必要がある被験体は、前がん状態を有し得る。好ましくは、その必要がある被験体は、がんを有する。「被験体」は、哺乳動物を包含する。哺乳動物は、例えば、任意の哺乳動物(例えば、ヒト、霊長類、鳥類、マウス、ラット、家禽、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヤギ、ラクダ、ヒツジまたはブタ)であり得る。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
本明細書中で使用される場合、用語「細胞増殖性障害」とは、細胞の制御されない増殖もしくは異常な増殖、またはこれらの両方が、望ましくない状態または疾患(これは、がん性であってもがん性でなくても良い)をもたらし得る状態をいう。本発明の例示的な細胞増殖性障害は、細胞分裂が調節されない種々の状態を包含する。例示的な細胞増殖性障害としては、新生物、良性腫瘍、悪性腫瘍、前がん状態、インサイチュ腫瘍、被包性腫瘍、転移性腫瘍、液体腫瘍、固形腫瘍、免疫学的腫瘍、血液学的腫瘍、がん、癌腫、白血病、リンパ腫、肉腫、および急速に分裂する細胞が挙げられるが、これらに限定されない。用語「急速に分裂する細胞」とは、本明細書中で使用される場合、同じ組織内の隣接または近接する細胞の間で予測または観察されるものを超える速度、またはより大きい速度で分裂する、任意の細胞と定義される。細胞増殖性障害は、前がんまたは前がん状態を包含する。細胞増殖性障害は、がんを包含する。好ましくは、本明細書中で提供される方法は、がんの症状を処置または軽減するために使用される。用語「がん」は、固形腫瘍、ならびに血液学的腫瘍および/または悪性疾患を包含する。「前がん細胞(precancer cell)」または「前がん細胞(precancerous cell)」とは、前がんまたは前がん状態である細胞増殖性障害を示す細胞である。「がん細胞(cancer cell)」または「がん細胞(cancerous cell)」とは、がんである細胞増殖性障害を示す細胞である。再現性のある任意の測定方法を使用して、がん細胞または前がん細胞を同定し得る。がん細胞または前がん細胞は、組織サンプル(例えば、生検サンプル)の組織学的型決定または悪性度分類によって、同定され得る。がん細胞または前がん細胞は、適切な分子マーカーの使用によって、同定され得る。
例示的な非がん性状態または障害としては、慢性関節リウマチ;炎症;自己免疫疾患;リンパ増殖状態;先端巨大症;リウマチ様脊椎炎;変形性関節症;痛風、他の関節炎状態;敗血症;敗血症性ショック;内毒素ショック;グラム陰性敗血症;トキシックショック症候群;喘息;成人呼吸促進症候群;慢性閉塞性肺疾患;慢性肺炎症;炎症性腸疾患;クローン病;乾癬;湿疹;潰瘍性大腸炎;膵臓線維症;肝臓線維症;急性および慢性の直腸疾患;過敏性腸症候群;ピレシス(pyresis);再狭窄;大脳マラリア;脳卒中および虚血性損傷;神経性外傷;アルツハイマー病;ハンティングトン病;パーキンソン病;急性および慢性の疼痛;アレルギー性鼻炎;アレルギー性結膜炎;慢性心不全;急性冠状脈症候群;悪質液;マラリア;らい病;リーシュマニア病;ライム病;ライター症候群;急性滑膜炎;筋肉の退化、滑液包炎;腱炎;腱滑膜炎;ヘルニア様、破裂、または脱出した椎間円板症候群;大理石骨病;血栓症;再狭窄;珪肺症;肺筋肉異常増殖;骨吸収疾患(例えば、骨粗鬆症);対宿主性移植片反応;多発性硬化症;狼瘡;線維筋痛症;AIDSおよび他のウイルス性疾患(例えば、帯状疱疹、単純疱疹IまたはII、インフルエンザウイルスおよびサイトメガロウイルス);ならびに真性糖尿病が挙げられるが、これらに限定されない。
例示的ながんとしては、副腎皮質癌腫、AIDS関連がん、AIDS関連リンパ腫、肛門がん、肛門直腸がん、肛門管のがん、虫垂がん、小児期の小脳がん、小児期の大脳神経膠星状細胞腫、基底細胞癌、皮膚がん(非黒色腫)、胆管がん、肝臓外総胆管がん、肝臓内総胆管がん、膀胱がん(bladder cancer)、膀胱がん(urinary bladder cancer)、骨および関節のがん、骨肉腫および悪性線維性組織球腫、脳がん(brain cancer)、脳腫瘍、脳幹神経膠腫、小脳神経膠星状細胞腫、神経膠星状細胞腫、小脳神経膠星状細胞腫/悪性神経膠腫、脳室上衣細胞腫、髄芽細胞腫、テント上方未分化神経外胚葉性腫瘍、視路および視床下部性神経膠腫、乳がん、気管支腺腫/カルチノイド、類癌腫、胃腸、神経系がん、神経系リンパ腫、中枢神経系がん、中枢神経系リンパ腫、子宮頸がん、小児期のがん、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性障害、結腸がん、結腸直腸がん、皮膚T細胞リンパ腫、リンパ様新生物、菌状息肉腫、セザリー(Seziary)症候群、子宮内膜がん、食道がん、頭蓋外生殖細胞腫瘍、肝臓外生殖細胞腫瘍、肝臓外総胆管がん、眼のがん、眼内黒色腫、網膜芽細胞腫、胆嚢がん、胃(gastric(stomach))がん、胃腸類癌腫、胃腸間質腫瘍(GIST)、生殖細胞腫瘍、卵巣生殖細胞腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍神経膠腫、頭部および頚部のがん、肝細胞(肝臓)がん、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、眼内黒色腫、眼のがん、ランゲルハンス島細胞腫瘍(内分泌膵臓)、カポージ肉腫、腎臓がん、直腸がん、腎臓がん、咽頭がん、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、ヘアリーセル白血病、唇および口腔のがん、肝臓がん、肺がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、AIDS関連リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、髄芽細胞腫、黒色腫、眼内(眼)黒色腫、メルケル細胞癌腫、悪性中皮腫、中皮腫、転移性扁平(squamous)頚部がん、口腔がん、舌のがん、多発性内分泌腫瘍症候群、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性疾患、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、慢性骨髄増殖性障害、鼻咽頭がん、神経芽細胞腫、口のがん、口腔がん、口腔咽頭がん、卵巣がん、卵巣上皮がん、境界悪性卵巣腫瘍、膵臓がん、島細胞膵臓がん、副鼻腔および鼻腔のがん、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん、褐色細胞腫、松果体芽細胞腫およびテント上方未分化神経外胚葉性腫瘍、下垂体腫瘍、形質細胞新生物/多発性骨髄腫、胸膜肺芽細胞腫、前立腺がん、直腸がん、腎盤および尿管、移行細胞がん、網膜芽細胞腫、横文筋肉腫、唾液腺がん、ユーイングファミリーの肉腫腫瘍、カポージ肉腫、軟組織肉腫、子宮がん、子宮肉腫、皮膚がん(非黒色腫)、皮膚がん(黒色腫)、メルケル細胞皮膚癌腫、小腸がん、軟組織肉腫、扁平上皮癌、胃がん、テント上方未分化神経外胚葉性腫瘍、精巣がん、咽喉がん、胸腺腫、胸腺腫および胸腺癌腫、甲状腺がん、腎盤および尿管ならびに他の泌尿器の移行細胞がん、妊娠性絨毛腫瘍、尿道がん、子宮内膜子宮がん、子宮肉腫、子宮体がん、膣がん、外陰部がん、ならびにウィルムス腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。
「血液学的系の細胞増殖性障害」とは、血液学的系の細胞が関与する細胞増殖性障害である。血液学的系の細胞増殖性障害としては、リンパ腫、白血病、骨髄様新生物、肥満細胞新生物、脊髄形成異常症、良性単クローン性高ガンマグロブリン血症、リンパ腫様肉芽腫症、リンパ腫様丘疹症、真性赤血球増加症、慢性骨髄性白血病、原因不明骨髄様化生、および本態性血小板減少症が挙げられ得る。血液学的系の細胞増殖性障害としては、血液学的系の細胞の過形成、形成異常症、および化生が挙げられ得る。好ましくは、本発明の組成物は、本発明の血液学的がんまたは本発明の血液学的細胞増殖性障害からなる群より選択されるがんを処置するために使用され得る。本発明の血液学的がんとしては、多発性骨髄腫、リンパ腫(ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、小児期のリンパ腫、ならびにリンパ球起源および皮膚起源のリンパ腫を含む)、白血病(小児期の白血病、ヘアリーセル白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、および肥満細胞性白血病を含む)、骨髄様新生物ならびに肥満細胞新生物が挙げられ得る。
「肺の細胞増殖性障害」とは、肺の細胞が関与する細胞増殖性障害である。肺の細胞増殖性障害としては、肺細胞に影響を与える全ての型の細胞増殖性障害が挙げられ得る。肺の細胞増殖性障害としては、肺がん、肺の前がんまたは前がん状態、肺の良性増殖および病巣、ならびに肺の悪性増殖または病巣、ならびに肺以外の身体内の組織および器官の転移性病巣が挙げられ得る。好ましくは、本発明の組成物は、肺がんまたは肺の細胞増殖性障害を処置するために使用され得る。肺がんとしては、全ての形態の肺のがんが挙げられ得る。肺がんとしては、悪性肺新生物、上皮内癌、定型類癌腫、および非定型類癌腫が挙げられ得る。肺がんとしては、小細胞肺がん(「SCLC」)、非小細胞肺がん(「NSCLC」)、非扁平非小細胞肺がん、扁平非小細胞肺がん、扁平上皮癌、非扁平上皮癌、腺癌、小細胞癌、大細胞癌、腺扁平上皮癌(adenosquamous cell carcinoma)、および中皮腫が挙げられ得る。肺がんとしては、「瘢痕癌」、気管支原生癌腫、巨細胞癌、紡錘体細胞癌、および大細胞神経内分泌癌腫が挙げられ得る。肺がんとしては、組織学的および超微細構造異質性(例えば、混合した細胞型)を有する肺新生物が挙げられ得る。
肺の細胞増殖性障害としては、肺細胞に影響を与える全ての型の細胞増殖性障害が挙げられ得る。肺の細胞増殖性障害としては、肺がん、肺の前がん状態が挙げられ得る。肺の細胞増殖性障害としては、肺の過形成、化生、および形成異常症が挙げられ得る。肺の細胞増殖性障害としては、アスベスト誘導性過形成、扁平上皮化生、および良性反応性中皮化生が挙げられ得る。肺の細胞増殖性障害としては、円柱上皮の重層扁平上皮での置き換え、および粘膜形成異常症が挙げられ得る。吸入される損傷性環境因子(例えば、煙草の煙およびアスベスト)に曝露された個体は、肺の細胞増殖性障害を発達させる危険性が上昇し得る。患者が肺の細胞増殖性障害を発達させやすくし得る、以前の肺疾患としては、慢性間質性肺疾患、壊死性肺疾患、強皮症、リウマチ様疾患、サルコイドーシス、間質性肺臓炎、結核、反復する肺炎、特発性肺線維症、肉芽腫症、石綿沈着症、線維化肺胞炎、およびホジキン病が挙げられ得る。
「結腸の細胞増殖性障害」とは、結腸の細胞が関与する細胞増殖性障害である。好ましくは、結腸の細胞増殖性障害は、結腸がんである。好ましくは、本発明の組成物は、結腸がんまたは結腸の細胞増殖性障害を処置するために使用され得る。結腸がんとしては、結腸の全ての形態のがんが挙げられ得る。結腸がんとしては、散在性および遺伝性の結腸がんが挙げられ得る。結腸がんとしては、悪性結腸新生物、上皮内癌、定型類癌腫、および非定型類癌腫が挙げられ得る。結腸がんとしては、腺癌、扁平上皮癌、および腺扁平上皮癌が挙げられ得る。結腸がんは、遺伝性非ポリポーシス結腸直腸がん、家族性腺腫性ポリポーシス、ガードナー症候群、ポイツ−ジェガーズ症候群、ターコット症候群および若年性ポリポーシスからなる群より選択される遺伝性症候群に関連し得る。結腸がんは、遺伝性非ポリポーシス結腸直腸がん、家族性腺腫性ポリポーシス、ガードナー症候群、ポイツ−ジェガーズ症候群、ターコット症候群および若年性ポリポーシスからなる群より選択される遺伝性症候群により引き起こされ得る。
結腸の細胞増殖性障害としては、結腸細胞に影響を与える全ての型の細胞増殖性障害が挙げられ得る。結腸の細胞増殖性障害としては、結腸がん、結腸の前がん状態、結腸の腺腫様ポリープおよび結腸の異時性病巣が挙げられ得る。結腸の細胞増殖性障害としては、腺腫が挙げられ得る。結腸の細胞増殖性障害は、結腸の過形成、化生、および形成異常症により特徴付けられ得る。個体に結腸の細胞増殖性障害を発達させやすくし得る、以前の結腸疾患としては、以前の結腸がんが挙げられ得る。個体に結腸の細胞増殖性障害を発達させやすくし得る現在の疾患としては、クローン病および潰瘍性大腸炎が挙げられ得る。結腸の細胞増殖性障害は、p53、ras、FAPおよびDCCからなる群より選択される遺伝子の変異に関連し得る。個体は、p53、ras、FAPおよびDCCからなる群より選択される遺伝子の変異の存在に起因して、結腸の細胞増殖性障害を発達させる危険性が増大し得る。
「前立腺の細胞増殖性障害」とは、前立腺の細胞が関与する細胞増殖性障害である。前立腺の細胞増殖性障害としては、前立腺細胞に影響を与える全ての形態の細胞増殖性障害が挙げられ得る。前立腺の細胞増殖性障害としては、前立腺がん、前立腺の前がんまたは前がん状態、前立腺の良性の増殖または病巣、および前立腺の悪性の増殖または病巣、ならびに前立腺以外の身体の組織および器官における転移性病巣が挙げられ得る。前立腺の細胞増殖性障害としては、前立腺の過形成、化生、および形成異常症が挙げられ得る。
「皮膚の細胞増殖性障害」とは、皮膚の細胞が関与する細胞増殖性障害である。皮膚の細胞増殖性障害としては、皮膚細胞に影響を与える全ての形態の細胞増殖性障害が挙げられ得る。皮膚の細胞増殖性障害としては、皮膚の前がんまたは前がん状態、皮膚の良性の増殖または病巣、黒色腫、悪性黒色腫および皮膚の他の悪性の増殖または病巣、ならびに皮膚以外の身体の組織および器官における転移性病巣が挙げられ得る。皮膚の細胞増殖性障害としては、皮膚の過形成、化生、および形成異常症が挙げられ得る。
「卵巣の細胞増殖性障害」とは、卵巣の細胞が関与する細胞増殖性障害である。卵巣の細胞増殖性障害としては、卵巣の細胞に影響を与える全ての形態の細胞増殖性障害が挙げられ得る。卵巣の細胞増殖性障害としては、卵巣の前がんまたは前がん状態、卵巣の良性の増殖または病巣、卵巣がん、卵巣の悪性の増殖または病巣、ならびに卵巣以外の身体の組織および器官における転移性病巣が挙げられ得る。皮膚の細胞増殖性障害としては、卵巣の細胞の過形成、化生、および形成異常症が挙げられ得る。
「乳房の細胞増殖性障害」とは、乳房の細胞が関与する細胞増殖性障害である。乳房の細胞増殖性障害としては、乳房細胞に影響を与える全ての形態の細胞増殖性障害が挙げられ得る。乳房の細胞増殖性障害としては、乳がん、乳房の前がんまたは前がん状態、乳房の良性の増殖または病巣、および乳房の悪性の増殖または病巣、ならびに乳房以外の身体の組織および器官における転移性病巣が挙げられ得る。乳房の細胞増殖性障害としては、乳房の過形成、化生、および形成異常症が挙げられ得る。
乳房の細胞増殖性障害は、乳房の前がん状態であり得る。本発明の組成物は、乳房の前がん状態を処置するために使用され得る。乳房の前がん状態としては、乳房の非定型過形成、上皮内腺管癌(DCIS)、腺管内癌、上皮内小葉癌(LCIS)、小葉新生物、および病期0または悪性分類度0の乳房の増殖または病巣(例えば、病期0または悪性分類度0の乳がん、あるいは上皮内癌)が挙げられ得る。乳房の前がん状態は、American Joint Committee on Cancer (AJCC)により認容されたTNM分類スキームに従って病期分類され得、ここで原発性腫瘍(T)は、T0またはTisの病期に割り当てられ、そして限局性リンパ節(N)は、N0の病期に割り当てられ、そして遠隔転移(M)は、M0の病期に割り当てられている。
乳房の細胞増殖性障害は、乳がんであり得る。好ましくは、本発明の組成物は、乳がんを処置するために使用され得る。乳がんとしては、乳房の全ての形態のがんが挙げられる。乳がんとしては、原発性上皮乳がんが挙げられ得る。乳がんとしては、乳房が他の腫瘍(例えば、リンパ腫、肉腫または黒色腫)に関与しているがんが挙げられ得る。乳がんとしては、乳房の癌腫、乳房の腺管癌、乳房の小葉癌、乳房の未分化癌腫、乳房の葉状嚢肉腫、乳房の血管肉腫、および乳房の原発性リンパ腫が挙げられ得る。乳がんとしては、病期I、病期II、病期IIIA、病期IIIB、病期IIICおよび病期IVの乳がんが挙げられ得る。乳房の腺管癌としては、浸潤性癌種、優勢な腺管内成分を有する浸潤性上皮内癌、炎症性乳がん、および乳房の腺管癌が挙げられ得、組織学的型は、コメド、ムチン(コロイド)、髄質、リンパ球浸潤を伴う髄質、乳頭状、硬性、および管状からなる群より選択される。乳房の腺管癌としては、優勢なインサイチュ成分を伴う浸潤性小葉癌、浸潤性(invasive)小葉癌、および浸潤性(infiltrating)小葉癌が挙げられ得る。乳がんとしては、パジェット病、腺管内癌を伴うパジェット病、およびを伴うパジェット病浸潤性腺管癌を伴うパジェット病が挙げられ得る。乳がんとしては、組織学的および超微細構造異質性(例えば、混合した細胞型)を有する乳房新生物が挙げられ得る。
好ましくは、本発明の化合物は、乳がんを処置するために使用され得る。処置されるべき乳がんとしては、家族性乳がんが挙げられ得る。処置されるべき乳がんとしては、散在性乳がんが挙げられ得る。処置されるべき乳がんは、雄性被験体に生じ得る。処置されるべき乳がんは、雌性被験体に生じ得る。処置されるべき乳がんは、月経前の雌性被験体または閉経後の雌性被験体に生じ得る。処置されるべき乳がんは、30歳以上の被験体、または30歳未満の被験体に生じ得る。処置されるべき乳がんは、50歳以上の被験体、または50歳未満の被験体に生じている。処置されるべき乳がんは、70歳以上の被験体、または70歳未満の被験体に生じ得る。
処置されるべき乳がんは、BRCA1、BRCA2、またはp53における家族性変異または偶発突然変異を同定するために型を決定され得る。処置されるべき乳がんは、HER2/neu遺伝子増幅を有する、HER2/neuを過剰発現する、または低レベル、中間レベルもしくは高レベルのHER2/neu発現を有すると型を決定され得る。処置されるべき乳がんは、エストロゲンレセプター(ER)、プロゲステロンレセプター(PR)、ヒト上皮増殖因子レセプター−2、Ki−67、CA15−3、CA 27−29、およびc−Metからなる群より選択されるマーカーのために型を決定され得る。処置されるべき乳がんは、ERが未知、ERに富むまたはERが乏しいと型を決定され得る。処置されるべき乳がんは、ER陰性またはER陽性と型を決定され得る。乳がんのER型決定は、再現性のある任意の手段によって実施され得る。乳がんのER型決定は、Onkologie 27:175−179(2004)に記載されるように実施され得る。処置されるべき乳がんは、PRが未知、PRに富むまたはPRが乏しいと型を決定され得る。処置されるべき乳がんは、PR陰性またはPR陽性と型を決定され得る。処置されるべき乳がんは、レセプター陽性またはレセプター陰性と型を決定され得る。処置されるべき乳がんは、CA 15−3もしくはCA 27−29、またはこれらの両方の上昇した血中レベルと関連付けられると型を決定され得る。
処置されるべき乳がんとしては、乳房の極限性腫瘍が挙げられ得る。処置されるべき乳がんとしては、陰性センチネルリンパ節(SLN)生検に関連する乳房の腫瘍が挙げられ得る。処置されるべき乳がんとしては、陽性センチネルリンパ節(SLN)生検に関連する乳房の腫瘍が挙げられ得る。処置されるべき乳がんとしては、1つ以上の陽性腋窩リンパ節に関連する乳房の腫瘍が挙げられ得、ここでこの腋窩リンパ節は、任意の適用可能な方法により病期分類されている。処置されるべき乳がんとしては、結節陰性状態(例えば、結節陰性)または結節陽性状態(例えば、結節陽性)を有すると型を決定された乳房の腫瘍が挙げられ得る。処置されるべき乳がんとしては、身体内の他の位置に転移した乳房の腫瘍が挙げられ得る。処置されるべき乳がんは、骨、肺、肝臓、または脳からなる群より選択される位置に転移したと分類され得る。処置されるべき乳がんは、転移性、限局性、局所的(regional)、局所的(local−regional)、局所的に進行した、遠隔、多中心性、両側性、同側性、反対側性、新たに診断された、再発性、および手術不能からなる群より選択される特徴に従って、分類され得る。
本発明の化合物は、乳がんを発達させる危険性が集団全体に対して増大している被験体において、乳房の細胞増殖性障害を処置または予防するため、あるいは乳がんを処置または予防するために、使用され得る。乳がんを発達させる危険性が集団全体に対して増大している被験体は、乳がんの家族病歴または個人病歴を有する雌性被験体である。乳がんを発達させる危険性が集団全体に対して増大している被験体は、BRCA1もしくはBRCA2、またはこれらの両方に生殖細胞系または偶発突然変異を有する雌性被験体である。乳がんを発達させる危険性が集団全体に対して増大している被験体は、乳がんの家族病歴を有し、BRCA1もしくはBRCA2、またはこれらの両方に生殖細胞系または偶発突然変異を有する、雌性被験体である。乳がんを発達させる危険性が集団全体に対して増大している被験体は、30歳より高齢、40歳より高齢、50歳より高齢、60歳より高齢、70歳より高齢、80歳より高齢、または90歳より高齢の女性である。乳がんを発達させる危険性が集団全体に対して増大している被験体は、乳房の非定型過形成、上皮内腺管癌(DCIS)、腺管内癌、上皮内小葉癌(LCIS)、小葉新生物、または病期0の乳房の増殖もしくは病巣(例えば、病期0または悪性分類度0の乳がんまたは上皮内癌)を有する被験体である。
処置されるべき乳がんは、Scarff−Bloom−Richardsonシステムに従って組織学的に悪性度分類され得、ここで乳房腫瘍は、1、2、または3の有糸分裂計数評点;1、2、または3の核多形態性評点;1、2、または3の細管形成評点;および3〜9の合計Scarff−Bloom−Richardson評点を割り当てられている。処置されるべき乳がんは、悪性分類度1、悪性分類度1−2、悪性分類度2、悪性分類度2−3、または悪性分類度3からなる群より選択される、International Consensus Panel on the Treatment of Breast Cancerに従う腫瘍悪性分類度を割り当てられ得る。
処置されるべきがんは、American Joint Committee on Cancer(AJCC)TNM分類システムに従って、病期分類され得、ここで腫瘍(T)は、TX、T1、T1mic、T1a、T1b、T1c、T2、T3、T4、T4a、T4b、T4c、またはT4dの病期を割り当てられており;そして限局性リンパ節(N)は、NX、N0、N1、N2、N2a、N2b、N3、N3a、N3b、またはN3cの病期を割り当てられており;そして遠隔転移(M)は、MX、M0、またはM1の病期を割り当てられ得る。処置されるべきがんは、American Joint Committee on Cancer(AJCC)分類に従って、病期I、病期IIA、病期IIB、病期IIIA、病期IIIB、病期IIIC、または病期IVとして病期分類され得る。処置されるべきがんは、AJCC分類に従って、悪性分類度GX(例えば、悪性分類度が割り当てられ得ない)、悪性分類度1、悪性分類度2、悪性分類度3または悪性分類度4として、悪性分類度を割り当てられ得る。処置されるべきがんは、AJCC病理学的分類(pN)に従って、pNX、pN0、PN0(I−)、PN0(I+)、PN0(mol−)、PN0(mol+)、PN1、PN1(mi)、PN1a、PN1b、PN1c、pN2、pN2a、pN2b、pN3、pN3a、pN3b、またはpN3cの病期を分類され得る。
処置されるべきがんとしては、直径が約2センチメートル以下であることが決定された腫瘍が挙げられ得る。処置されるべきがんとしては、直径が約2センチメートル〜約5センチメートルであることが決定された腫瘍が挙げられ得る。処置されるべきがんとしては、直径が約3センチメートル以上であることが決定された腫瘍が挙げられ得る。処置されるべきがんとしては、直径が約5センチメートル以上であることが決定された腫瘍が挙げられ得る。処置されるべきがんは、顕微鏡外観によって、充分に分化した、中程度に分化した、乏しく分化した、または未分化と分類され得る。処置されるべきがんは、顕微鏡外観によって、有糸分裂計数(例えば、細胞分裂の量)または核多形態性(例えば、細胞の変化)に関して分類され得る。処置されるべきがんは、顕微鏡外観によって、壊死の領域(例えば、死滅または変性している細胞の領域)に関連すると分類され得る。処置されるべきがんは、異常な核型を有する、異常な数の染色体を有する、または外観が以上である染色体を1つ以上有するとして分類され得る。処置されるべきがんは、異数体、三倍体、もしくは四倍体であるとして、または変化した倍数性を有するとして分類され得る。処置されるべきがんは、染色体転座、または染色体全体の欠失もしくは重複、または染色体の一部分の欠失、重複もしくは増幅の領域を有するとして分類され得る。
処置されるべきがんは、DNAサイトメトリー、フローサイトメトリー、または画像サイトメトリーにより評価され得る。処置されるべきがんは、細胞の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%が、細胞分裂の合成段階(例えば、細胞分裂のS期)にあると型を決定され得る。処置されるべきがんは、低いS期割合または高いS期割合を有すると型を決定され得る。
本明細書中で使用される場合、「正常細胞」とは、「細胞増殖性障害」の一部として分類され得ない細胞である。正常細胞は、望ましくない状態または疾患の発達をもたらし得る、調節されない増殖または異常な増殖、あるいはこれらの両方を欠く。好ましくは、正常細胞は、正常に機能する細胞周期チェックポイント制御機構を有する。
本明細書中で使用される場合、「細胞を接触させる」とは、化合物または他の組成物が細胞と直接接触しているか、あるいは細胞に所望の生物学的影響を誘導するために充分に接近している状態をいう。
本明細書中で使用される場合、「候補化合物」とは、その化合物が、研究者または医師により求められる所望の生物学的応答または医学的応答を、細胞、組織、系、動物またはヒトにおいて惹起する見込みがあるか否かを決定する目的で、1つ以上のインビトロまたはインビボでの生物学的アッセイにおいて試験されたか、または試験される予定である、本発明の化合物をいう。候補化合物は、(a)HPLCにより決定される場合に99%より高いキラル純度を有し、1%未満の(+)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを含有する、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン、および薬学的に受容可能なキャリア;(b)Cu Kα放射線を使用しておよそ8.2°2θ、10.8°2θおよび14.1°2θにピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴付けられる、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの1型多型、ならびに1種以上の薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤;または(c)Cu Kα放射線を使用しておよそ6.5°2θ、9.9°2θおよび12.0°2θにピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴付けられる、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの2型多型、ならびに1種以上の薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤を含有する、薬学的組成物である。この生物学的応答または医学的応答は、がんの処置であり得る。この生物学的応答または医学的応答は、細胞増殖性障害の処置または予防であり得る。インビトロまたはインビボでの生物学的アッセイとしては、酵素活性アッセイ、電気泳動移動度シフトアッセイ、レポーター遺伝子アッセイ、インビトロ細胞生存性アッセイ、および本明細書中に記載されるアッセイが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書中で使用される場合、「単剤療法」とは、単一の活性化合物または治療化合物を、その必要がある被験体に投与することをいう。好ましくは、単剤療法は、治療有効量の活性化合物の投与を包含する。例えば、がんの単剤療法は、本発明の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、プロドラッグ、代謝産物、多型もしくは溶媒和物のうちの1つを、がんの処置を必要とする被験体に対して用いる。単剤療法は、併用療法と対照を成し得る。併用療法において、複数の活性化合物の組み合わせが、好ましくはこの組み合わせの各成分が治療有効量で存在する状態で、投与される。1つの局面において、本発明の化合物を用いる単剤療法は、所望の生物学的効果の誘導において、併用療法より有効である。
本明細書中で使用される場合、「処置」または「処置する」とは、疾患、状態、または障害と闘う目的での、患者の管理および医療をいい、疾患、状態または障害の症状または合併症を軽減するため、あるいは疾患、状態または障害を排除するための、本発明の化合物の投与を包含する。
本発明の化合物はまた、疾患、状態または障害を予防するために使用され得る。本明細書中で使用される場合、「予防」または「予防する」とは、疾患、状態または障害の症状または合併症の発生を減少または排除することをいう。
がんの処置は、腫瘍のサイズの減少をもたらし得る。腫瘍のサイズの減少はまた、「腫瘍後退」とも称され得る。好ましくは、処置後、腫瘍サイズは、処置前のそのサイズに対して、5%以上減少し;より好ましくは、腫瘍サイズは、10%以上減少;より好ましくは、20%以上減少;より好ましくは、30%以上減少;より好ましくは、40%以上減少;なおより好ましくは、50%以上減少;そして最も好ましくは、75%以上より大きく減少する。腫瘍のサイズは、再現性のある任意の測定手段によって測定され得る。腫瘍のサイズは、その腫瘍の直径として測定され得る。
がんの処置は、腫瘍の体積の減少をもたらし得る。好ましくは、処置後、腫瘍の体積は、処置前のそのサイズに対して5%以上減少し;より好ましくは、腫瘍の体積は、10%以上減少し;より好ましくは、20%以上減少し;より好ましくは、30%以上減少し;より好ましくは、40%以上減少し;なおより好ましくは、50%以上減少し;そして最も好ましくは、75%以上より大きく減少する。腫瘍の体積は、再現性のある任意の測定手段により測定され得る。
がんの処置は、腫瘍の数の減少をもたらす。好ましくは、処置後、腫瘍の数は、処置前の数に対して5%以上減少し;より好ましくは、腫瘍の数は、10%以上減少し;より好ましくは、20%以上減少し;より好ましくは、30%以上減少し;より好ましくは、40%以上減少し;なおより好ましくは、50%以上減少し;そして最も好ましくは、75%より大きく減少する。腫瘍の数は、再現性のある任意の測定手段により測定され得る。腫瘍の数は、裸眼または特定の倍率で見える腫瘍の数を計数することにより、測定され得る。好ましくは、特定の倍率は、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、または50倍である。
がんの処置は、原発性腫瘍離れた他の組織または器官における、転移性病巣の数の減少をもたらし得る。好ましくは、処置後、転移性病巣の数は、処置前の数に対して、5%以上減少し;より好ましくは、転移性病巣の数は、10%以上減少し;より好ましくは、20%以上減少し;より好ましくは、30%以上減少し;より好ましくは、40%以上減少し;なおより好ましくは、50%以上減少し;そして最も好ましくは、75%より大きく減少する。転移性病巣の数は、再現性のある任意の測定手段により測定され得る。転移性病巣の数は、裸眼または特定の倍率で見える転移性病巣の数を計数することにより、測定され得る。好ましくは、特定の倍率は、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、または50倍である。
がんの処置は、処置された被験体の集団の平均生存時間の、キャリア単独を受けた集団と比較した増大をもたらし得る。好ましくは、平均生存時間は、30日より長く;より好ましくは、60日より長く;より好ましくは、90日より長く;そして最も好ましくは、120日より長く増大する。集団の平均生存時間の増大は、再現性のある任意の手段により測定され得る。集団の平均生存時間の増大は、例えば、ある集団について、活性化合物での処置の開始後の平均生存長さを計算することによって、測定され得る。集団の平均生存時間の増大はまた、例えば、ある集団について、活性化合物での処置の1回目の完了後の平均生存長さを計算することによって、測定され得る。
がんの処置は、処置されない被験体の集団と比較した、処置された集団の集団の平均生存時間の増大をもたらし得る。好ましくは、平均生存時間は、30日より長く;より好ましくは、60日より長く;より好ましくは、90日より長く;そして最も好ましくは、120日より長く増大する。集団の平均生存時間の増大は、再現性のある任意の手段により測定され得る。集団の平均生存時間の増大は、例えば、ある集団について、活性化合物での処置の開始後の平均生存長さを計算することによって、測定され得る。集団の平均生存時間の増大はまた、例えば、ある集団について、活性化合物での処置の1回目の完了後の平均生存長さを計算することによって、測定され得る。
がんの処置は、本発明の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、プロドラッグ、代謝産物、多型もしくは溶媒和物ではない薬物での単剤療法を受けた集団と比較した、処置された被験体の集団の平均生存時間の増大をもたらし得る。好ましくは、平均生存時間は、30日より長く;より好ましくは、60日より長く;より好ましくは、90日より長く;そして最も好ましくは、120日より長く増大する。集団の平均生存時間の増大は、再現性のある任意の手段により測定され得る。集団の平均生存時間の増大は、例えば、ある集団について、活性化合物での処置の開始後の平均生存長さを計算することによって、測定され得る。集団の平均生存時間の増大はまた、例えば、ある集団について、活性化合物での処置の1回目の完了後の平均生存長さを計算することによって、測定され得る。
がんの処置は、キャリア単独を受けた集団と比較した、処置された被験体の集団の死亡率の低下をもたらし得る。がんの処置は、処置されない集団と比較した、処置された被験体の集団の死亡率の低下をもたらし得る。がんの処置は、本発明の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、プロドラッグ、代謝産物、多型もしくは溶媒和物ではない薬物での単剤療法を受けた集団と比較した、処置された被験体の集団の死亡率の低下をもたらし得る。好ましくは、死亡率は、2%より大きく;より好ましくは、5%より大きく;より好ましくは、10%より大きく;そして最も好ましくは、25%より大きく低下する。処置された被験体の集団の死亡率の低下は、再現性のある任意の手段により測定され得る。集団の死亡率の低下は、例えば、ある集団について、活性化合物での処置の開始後の単位時間あたりの疾患関連死の平均数を計算することによって、測定され得る。集団の死亡率の低下は、例えば、ある集団について、活性化合物での処置の1回目の完了後の単位時間あたりの疾患関連死の平均数を計算することによって、測定され得る。
がんの処置は、腫瘍増殖率の低下をもたらし得る。好ましくは、処置後、腫瘍増殖率は、処置前の数に対して、少なくとも5%減少し;より好ましくは、腫瘍増殖率は、少なくとも10%減少し;より好ましくは、少なくとも20%減少し;より好ましくは、少なくとも30%減少し;より好ましくは、少なくとも40%減少し;より好ましくは、少なくとも50%減少し;なおより好ましくは、少なくとも50%減少し;そして最も好ましくは、少なくとも75%減少する。腫瘍増殖率は、再現性のある任意の測定手段により測定され得る。腫瘍増殖率は、単位時間あたりの腫瘍直径の変化に従って測定され得る。
がんの処置は、腫瘍再増殖の減少をもたらし得る。好ましくは、処置後、腫瘍再増殖は、5%未満であり;より好ましくは、腫瘍再増殖は、10%未満;より好ましくは、20%未満;より好ましくは、30%未満;より好ましくは、40%未満;より好ましくは、50%未満;なおより好ましくは、50%未満;そして最も好ましくは、75%未満である。腫瘍再増殖は、再現性のある任意の測定手段により測定され得る。腫瘍再増殖は、例えば、処置後の以前の腫瘍収縮後の腫瘍の直径の増加を測定することによって、測定される。腫瘍再増殖の減少は、処置を止めた後に腫瘍が再発し損なうことによって、示される。
細胞増殖性障害の処置または予防は、細胞増殖の割合の減少をもたらし得る。好ましくは、処置後、細胞増殖の割合は、少なくとも5%;より好ましくは、少なくとも10%;より好ましくは、少なくとも20%;より好ましくは、少なくとも30%;より好ましくは、少なくとも40%;より好ましくは、少なくとも50%;なおより好ましくは、少なくとも50%;そして最も好ましくは、少なくとも75%減少する。細胞増殖の割合は、再現性のある任意の測定手段により測定され得る。細胞増殖の割合は、例えば、単位時間あたりに組織サンプル中で分裂する細胞の数を測定することによって、測定される。
細胞増殖性障害の処置または予防は、増殖する細胞の割合の減少をもたらし得る。好ましくは、処置後、増殖する細胞の割合は、少なくとも5%;より好ましくは、少なくとも10%;より好ましくは、少なくとも20%;より好ましくは、少なくとも30%;より好ましくは、少なくとも40%;より好ましくは、少なくとも50%;なおより好ましくは、少なくとも50%;そして最も好ましくは、少なくとも75%減少する。増殖する細胞の割合は、再現性のある任意の測定手段により測定され得る。好ましくは、増殖する細胞の割合は、例えば、組織サンプル中の分裂しない細胞の数に対する分裂する細胞の数を定量することによって、測定される。増殖する細胞の割合は、有糸分裂指数と等価であり得る。
細胞増殖性障害の処置または予防は、細胞増殖の領域またはゾーンのサイズの減少をもたらし得る。好ましくは、処置後、細胞増殖の領域またはゾーンのサイズは、処置前のそのサイズに対して、少なくとも5%減少し;より好ましくは、少なくとも10%減少し;より好ましくは、少なくとも20%減少し;より好ましくは、少なくとも30%減少し;より好ましくは、少なくとも40%減少し;より好ましくは、少なくとも50%減少し;なおより好ましくは、少なくとも50%減少し;そして最も好ましくは、少なくとも75%減少する。細胞増殖の領域またはゾーンのサイズは、再現性のある任意の測定手段により測定され得る。細胞増殖の領域またはゾーンのサイズは、細胞増殖の領域またはゾーンの直径または幅として測定され得る。
細胞増殖性障害の処置または予防は、異常な外観または形態を有する細胞の集団の数の減少をもたらし得る。好ましくは、処置後、異常な形態を有する細胞の数は、処置前のそのサイズに対して、少なくとも5%減少し;より好ましくは、少なくとも10%減少し;より好ましくは、少なくとも20%減少し;より好ましくは、少なくとも30%減少し;より好ましくは、少なくとも40%減少し;より好ましくは、少なくとも50%減少し;なおより好ましくは、少なくとも50%減少し;そして最も好ましくは、少なくとも75%減少する。異常な細胞の外観または形態は、再現性のある任意の測定手段により測定され得る。異常な細胞の形態は、顕微鏡検査法により、例えば、反転組織培養物顕微鏡を使用して、測定され得る。異常な細胞の形態は、核の多形態性の形態を取り得る。
本明細書中で使用される場合、用語「選択的に」とは、ある集団において、別の集団においてよりも高い頻度で起こる傾向があることを意味する。比較される集団は、細胞集団であり得る。好ましくは、本発明の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、プロドラッグ、代謝産物、多型もしくは溶媒和物は、がん細胞または前がん細胞に対して選択的に作用するが、正常細胞には作用しない。好ましくは、本発明の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、プロドラッグ、代謝産物、多型もしくは溶媒和物は、1つの分子標的(例えば、c−met)を調節するように選択的に働くが、別の分子標的(例えば、プロテインキナーゼC)を有意に調節しない。本発明はまた、酵素(例えば、キナーゼ)の活性を選択的に阻害する方法を提供する。好ましくは、ある事象が集団Bと比較して集団Aにおいて2倍より高い頻度で起こる場合、この事象は、集団Bに対して集団Aにおいて選択的に起こる。ある事象が集団Aにおいて5倍より高い頻度で起こる場合、この事象は選択的に起こる。ある事象が集団Bと比較して集団Aにおいて10倍より高い頻度;より好ましくは、50倍より高い頻度;なおより好ましくは、100倍より高い頻度;そして最も好ましくは、集団Aにおいて1000倍より高い頻度で起こる場合、この事象は選択的に起こる。例えば、細胞死は、正常細胞と比較してがん細胞において2倍より高い頻度で起こる場合、がん細胞において選択的に起こるといわれる。
本発明の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、プロドラッグ、代謝産物多型もしくは溶媒和物は、分子標的(例えば、c−met)の活性を調節し得る。調節とは、分子標的の活性の刺激または阻害をいう。好ましくは、本発明の化合物は、この化合物が分子標的の活性を、同じ条件下であるがこの化合物の存在のみを欠く分子標的の活性に対して少なくとも2倍刺激または阻害する場合、分子標的の活性を調節する。より好ましくは、本発明の化合物は、この化合物が分子標的の活性を、同じ条件下であるがこの化合物の存在のみを欠く分子標的の活性に対して、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍刺激または阻害する場合、分子標的の活性を調節する。分子標的の活性は、再現性のある任意の手段により測定され得る。分子標的の活性は、インビトロで測定されてもインビボで測定されてもよい。例えば、分子標的の活性は、酵素活性アッセイまたはDNA結合アッセイによりインビトロで測定され得るか、あるいは分子標的の活性は、レポーター遺伝子の発現についてアッセイすることによりインビボで測定され得る。
本発明の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、プロドラッグ、代謝産物、多型もしくは溶媒和物は、この化合物の添加が分子標的の活性を、同じ条件下であるがこの化合物の存在のみを欠く分子標的の活性に対して10%より大きく刺激も阻害もしない場合、分子標的の活性を有意に調節しない。
本明細書中で使用される場合、用語「アイソザイム選択的」とは、ある酵素の第二のアイソフォームと比較して、ある酵素の第一のアイソフォームの優先的な阻害または刺激(例えば、キナーゼアイソザイムβと比較してキナーゼアイソザイムαの優先的な阻害または刺激)を意味する。好ましくは、本発明の化合物は、生物学的効果を達成するために必要とされる投薬量において、最低4倍の差、好ましくは10倍の差、より好ましくは50倍の差を示す。好ましくは、本発明の化合物は、阻害の範囲にわたってこの差を示し、そしてこの差は、目的の分子標的についてのIC50(すなわち、50%阻害)で例示される。
本発明の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、プロドラッグ、代謝産物、多型もしくは溶媒和物を、その必要がある被験体または細胞に投与することにより、目的のキナーゼの活性の調節(すなわち、刺激または阻害)がもたらされ得る。
本発明は、組成物の生物学的活性を評価する方法を提供し、この組成物は、(a)HPLCにより決定される場合に99%より高いキラル純度を有し、1%未満の(+)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを含有する、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン;(b)Cu Kα放射線を使用しておよそ8.2°2θ、10.8°2θおよび14.1°2θにピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴付けられる、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの1型多型;または(c)Cu Kα放射線を使用しておよそ6.5°2θ、9.9°2θおよび12.0°2θにピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴付けられる、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの2型多型を含有する。
1つの方法において、酵素活性に基づくアッセイが利用され得る。1つの特定の酵素活性アッセイにおいて、酵素活性は、キナーゼに由来する。本明細書中で使用される場合、「キナーゼ」とは、ATP由来のγ−リン酸が、タンパク質およびペプチドのSer/ThrまたはTyrの側鎖上のヒドロキシル基に移動するのを触媒し、種々の重要な細胞機能(おそらく最も顕著には、シグナル伝達、分化、および増殖)の制御に密接に関与する、酵素の大きいクラスをいう。人体において、約2,000種の異なるプロテインキナーゼが推定されており、そしてこれらの各々は特定のタンパク質/ペプチド基質をリン酸化するが、これらは全て、同じ第二の基質ATPに、高度に保存されたポケット内で結合する。公知のがん遺伝子産物のうちの約50%が、プロテインチロシンキナーゼ(PTK)であり、そしてそれらのキナーゼ活性は、細胞形成をもたらすことが示されている。好ましくは、アッセイされるキナーゼはチロシンキナーゼである。
本発明の化合物により引き起こされる、酵素活性の変化は、本開示のアッセイにおいて測定され得る。この酵素活性の変化は、特定の基質のリン酸化の程度の変化によって特徴付けられ得る。本明細書中で使用される場合、「リン酸化」とは、基質(タンパク質および有機分子が挙げられる)へのリン酸基の付加をいい、そしてタンパク質の生物学的活性を調節する際に重要な役割を果たす。好ましくは、アッセイおよび測定されるリン酸化は、チロシン残基へのリン酸基の付加を包含する。この基質は、ペプチドまたはタンパク質であり得る。
いくつかのアッセイにおいて、免疫学的因子(例えば、抗体および抗原)が使用される。蛍光が、いくつかのアッセイにおいて酵素活性を測定する際に利用され得る。本明細書中で使用される場合、「蛍光」とは、同じ分子によってより高エネルギーの入射光子を吸収する結果として、分子が光子を放出するプロセスをいう。
本発明の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、プロドラッグ、代謝産物、多型もしくは溶媒和物を、その必要がある被験体または細胞に投与することにより、c−Metの活性の調節(すなわち、刺激または阻害)がもたらされ得る。本明細書中で使用される場合、c−Metの活性とは、c−Metによりもたらされる任意の生物学的機能または活性をいう。例えば、c−Metの機能としては、下流の標的タンパク質のリン酸化が挙げられる。c−Metの他の機能としては、自己リン酸化、アダプタータンパク質(例えば、Gab−1、Grb−2、Shc、SHP2およびc−Cbl)の結合、ならびにシグナル伝達物質(例えば、Ras、Src、PI3K、PLC−γ、STATs、ERK1、ERK2およびFAK)の活性化が挙げられる。
本発明の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、プロドラッグ、代謝産物、多型もしくは溶媒和物を、その必要がある被験体または細胞に投与することにより、ERK1もしくはERK2、またはこれらの両方の活性の調節(すなわち、刺激または阻害)がもたらされ得る。本明細書中で使用される場合、ERK1またはERK2の活性とは、ERK1またはERK2によりもたらされる任意の生物学的機能または活性をいう。例えば、ERK1またはERK2の機能としては、下流の標的タンパク質のリン酸化が挙げられる。
活性化とは、組成物(例えば、タンパク質または核酸)を、所望の生物学的機能をもたらすために適切な状態にすることをいう。活性化され得る組成物はまた、不活性化状態を有する。活性化された組成物は、阻害的生物学的機能または刺激的生物学的機能、あるいはこれらの両方を有し得る。
上昇とは、組成物(例えば、タンパク質または核酸)の所望の生物学的活性の増大をいう。上昇は、組成物の濃度の増加により起こり得る。
本明細書中で使用される場合、「細胞周期チェックポイント経路」とは、細胞周期チェックポイントの調節に関与する生化学的経路をいう。細胞周期チェックポイント経路は、刺激効果または阻害効果、あるいはその両方を、細胞周期チェックポイントを含む1つ以上の機能に対して有し得る。細胞周期チェックポイント経路は、少なくとも2つの組成物(好ましくは、タンパク質)からなり、これらの両方が、細胞周期チェックポイントの調節に寄与する。細胞周期チェックポイント経路は、細胞周期チェックポイント経路の1つ以上のメンバーの活性化により、活性化され得る。好ましくは、細胞周期チェックポイント経路は、生化学的シグナル伝達経路である。
本明細書中で使用される場合、「細胞周期チェックポイント調節因子」とは、少なくとも部分的に、細胞周期チェックポイントの調節において機能し得る組成物をいう。細胞周期チェックポイント調節因子は、刺激効果または阻害効果、あるいはその両方を、細胞周期チェックポイントを含む1つ以上の機能に対して有し得る。細胞周期チェックポイント調節因子は、タンパク質であってもタンパク質でなくてもよい。
がんまたは細胞増殖性障害の処置は、細胞死をもたらし得、そして好ましくは、細胞死は、その集団における細胞数の少なくとも10%の減少をもたらす。より好ましくは、細胞死とは、少なくとも20%の減少;より好ましくは、少なくとも30%の減少;より好ましくは、少なくとも40%の減少;より好ましくは、少なくとも50%の減少;最も好ましくは、少なくとも75%の減少を意味する。集団における細胞数は、再現性のある任意の手段により測定され得る。集団における細胞数は、蛍光細胞分析分離(FACS)、免疫蛍光顕微鏡検査法および光学顕微鏡法により測定され得る。細胞死を測定する方法は、Liら,(2003)Proc Natl Acad Sci U S A.100(5):2674−8に示されている。1つの局面において、細胞死は、アポトーシスにより起こる。
好ましくは、有効量の本発明の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、プロドラッグ、代謝産物、多型もしくは溶媒和物は、正常細胞に対して有意に細胞傷害性ではない。治療有効量の化合物は、治療有効量での化合物の投与が10%より多くの正常細胞に細胞死を誘導しない場合、正常細胞に対して有意に細胞傷害性ではない。治療有効量の化合物は、治療有効量での化合物の投与が10%より多くの正常細胞に細胞死を誘導しない場合、正常細胞の生存正に有意な影響を与えない。1つの局面において、細胞死は、アポトーシスにより起こる。
細胞を、本発明の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、プロドラッグ、代謝産物、多型もしくは溶媒和物と接触させることにより、細胞死が、がん細胞において選択的に誘導または活性化され得る。その必要がある被験体に、本発明の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、プロドラッグ、代謝産物、多型もしくは溶媒和物を投与することにより、細胞死が、がん細胞において選択的に誘導または活性化され得る。細胞を、本発明の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、プロドラッグ、代謝産物、多型もしくは溶媒和物に接触させることにより、細胞死が、細胞増殖性障害により影響を受けた1つ以上の細胞において選択的に誘導され得る。好ましくは、その必要がある被験体に、本発明の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、プロドラッグ、代謝産物、多型もしくは溶媒和物を投与することにより、細胞死が、細胞増殖性障害により影響を受けた1つ以上の細胞において選択的に誘導される。
本発明は、本発明の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、プロドラッグ、代謝産物、多型もしくは溶媒和物を、がんの処置または予防を必要とする被験体に投与することによる、がんを処置または予防する方法に関し、ここで本発明の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、プロドラッグ、代謝産物、多型もしくは溶媒和物の投与は、以下のうちの1つ以上をもたらす:細胞周期のG1期および/またはS期の細胞の蓄積、正常細胞の細胞死が有意な量でない、がん細胞における細胞死を介する細胞毒、動物における少なくとも2の治療指数での抗腫瘍活性、および細胞周期チェックポイントの活性化。本明細書中で使用される場合、「治療指数」とは、最大許容用量を有効用量で割ったものである。
当業者は、本明細書中で議論される公知の技術および等価な技術の詳細な説明について、一般的な参考書を参照し得る。これらの教科書としては、Ausubelら,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley and Sons,Inc.(2005);Sambrookら,Molecular Cloning,A Laboratory Manual(第3版),Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,New York(2000);Coliganら,Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons,N.Y.;Ennaら,Current Protocols in Pharmacology,John Wiley & Sons,N.Y.;Finglら,The Pharmacological Basis of Therapeutics(1975),Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,PA,第18版(1990)が挙げられる。これらの教科書は、もちろん、本発明の局面を作製または使用する際にもまた参照され得る。
本明細書中で使用される場合、「併用療法」または「共治療(co−therapy)」は、複数の治療剤の共作用から得られる有利な効果を提供することを意図して、特定の処置計画の一部として、本発明の化合物および少なくとも第二の剤の投与を包含する。組み合わせの有利な効果としては、治療剤の組み合わせから生じる薬物動態学的または薬力学的な共作用が挙げられるが、これらに限定されない。これらの治療剤を組み合わせて投与することは、代表的に、規定された期間(通常、選択された組み合わせに依存して、数分間、数時間、数日間または数週間)にわたって行われる。「併用療法」は、本発明の組み合わせを付随的に任意にもたらす別の単剤療法の一部としての、これらの治療剤のうちの2種以上の投与を包含することを意図され得るが、一般には意図されない。
「併用療法」は、これらの治療剤を連続的な様式で投与すること(ここで各治療剤は、異なる時点で投与される)、およびこれらの治療剤、またはこれらの治療剤の対の少なくとも2種を、実質的に同時の様式で投与することを包含することを意図される。実質的に同時の投与は、例えば、一定比の各治療剤を有する1つのカプセル剤、またはこれらの治療剤の各々について1つずつのカプセルを複数、被験体に投与することにより、達成され得る。各治療剤の連続的または実質的に同時の投与は、適切な経路(経口経路、静脈内経路、筋肉内経路、および粘膜組織を通しての直接の吸収が挙げられるが、これらに限定されない)により行われ得る。これらの治療剤は、同じ経路によって投与されても異なる投与によって投与されてもよい。例えば、選択される組み合わせの第一の治療剤は、静脈内注射により投与され得、一方で、この組み合わせの他の治療剤は、経口投与され得る。あるいは、例えば、全ての治療剤が経口投与され得るか、または全ての治療剤が静脈内注射により投与され得る。治療剤が投与される順序は、厳密に重大ではない。
「併用療法」はまた、上記のような治療剤の、他の生物学的に活性な成分および非薬物療法(例えば、外科手術または放射線処置)とさらに組み合わせての投与を包含する。この併用療法が非薬物処置をさらに含む場合、この非薬物処置は、この治療剤と非薬物処置との組み合わせの共作用からの有利な効果が達成される限り、任意の適切な時点で行われ得る。例えば、適切な症例において、この有利な効果は、この非薬物処置が一時的に(おそらく、数日間または数週間でさえ)治療剤の投与から除かれる場合に、依然として達成される。
本発明の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、プロドラッグ、代謝産物、多型もしくは溶媒和物は、第二の化学療法剤と組み合わせて投与され得る。この第二の化学療法剤は、タキサン、アロマターゼインヒビター、アントラサイクリン、微小管標的薬物、トポイソメラーゼ毒薬物、標的モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体、分子標的または酵素のインヒビター(例えば、キナーゼインヒビター)、あるいはシチジンアナログ薬物であり得る。好ましくは、この化学療法剤は、タモキシフェン、ラロキシフェン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、ハーセプチン(登録商標)(トラスツズマブ)、グリベック(GLEEVEC)(登録商標)(イマチニブ(imatanib))、タキソール(登録商標)(パクリタキセル)、シクロホスファミド、ロバスタチン、ミノシン(minosine)、araC、5−フルオロウラシル(5−FU)、メトトレキサート(MTX)、タキソテール(登録商標)(ドセタキセル)、ゾラデックス(登録商標)(ゴセレリン)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、テニポシド、エトポシド、ジェムザール(登録商標)(ゲムシタビン)、エポチロン(epothilone)、ナベルビン(navelbine)、カンプトテシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、ミトザントロン、アムサクリン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、エピルビシンまたはイダルビシンであり得るが、これらに限定されない。この第二の化学療法剤は、G−CSF(顆粒球コロニー刺激因子)などのサイトカインであり得る。本発明の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、プロドラッグ、代謝産物、多型もしくは溶媒和物は、放射線治療と組み合わせて投与され得る。本発明の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、プロドラッグ、代謝産物、多型もしくは溶媒和物は、標準的な化学療法の組み合わせ(例えば、CMF(シクロホスファミド、メトトレキサートおよび5−フルオロウラシル)、CAF(シクロホスファミド、アドリアマイシンおよび5−フルオロウラシル)、AC(アドリアマイシンおよびシクロホスファミド)、FEC(5−フルオロウラシル、エピルビシン、およびシクロホスファミド)、ACTまたはATC(アドリアマイシン、シクロホスファミド、およびパクリタキセル)、あるいはCMFP(シクロホスファミド、メトトレキサート、5−フルオロウラシルおよびプレドニゾン)であるが、これらに限定されない)と組み合わせて投与され得る。
本発明の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、プロドラッグ、代謝産物、多型もしくは溶媒和物は、酵素(例えば、レセプターキナーゼまたは非レセプターキナーゼ)の阻害と一緒に投与され得る。本発明のレセプターキナーゼまたは非レセプターキナーゼは、例えば、チロシンキナーゼまたはセリン/スレオニンキナーゼである。本発明のキナーゼインヒビターは、低分子、ポリ核酸、ポリペプチド、または抗体である。
例示的なチロシンキナーゼとしては、ベバシツマブ(Bevacizumab)(VEGFを標的化する)、BIBW 2992(EGFRおよびErb2を標的化する)、セツキシマブ(Cetuximab)/エルビタックス(Erbitux)(Erb1を標的化する)、イマチニブ/グリベック(Bcr−Ablを標的化する)、トラスツズマブ(Erb2を標的化する)、ゲフィチニブ/イレッサ(EGFRを標的化する)、ラニビツマブ(Ranibizumab)(VEGFを標的化する)、ペガプタニブ(Pegaptanib)(VEGFを標的化する)、エルロチニブ(Erlotinib)/タルセバ(Tarceva)(Erb1を標的化する)、ニロチニブ(Nilotinib)(Bcr−Ablを標的化する)、ラパチニブ(Lapatinib)(Erb1およびErb2/Her2を標的化する)、GW−572016/ラパチニブジトシレート(HER2/Erb2を標的化する)、パニツムマブ(Panitumumab)/ベクチビックス(Vectibix)(EGFRを標的化する)、バンデチニブ(Vandetinib)(RET/VEGFRを標的化する)、E7080(RETおよびVEGFRを含む複数の標的)、ハーセプチン(HER2/Erb2を標的化する)、PKI−166(EGFRを標的化する)、カネルチニブ(Canertinib)/CI−1033(EGFRを標的化する)、スニチニブ(Sunitinib)/SU−11464/ステント(Sutent)(EGFRおよびFLT3を標的化する)、マツズマブ(Matuzumab)/Emd7200(EGFRを標的化する)、EKB−569(EGFRを標的化する)、Zd6474(EGFRおよびVEGFRを標的化する)、PKC−412(VEGRおよびFLT3を標的化する)、バタラニブ(Vatalanib)/Ptk787/ZK222584(VEGRを標的化する)、CEP−701(FLT3を標的化する)、SU5614(FLT3を標的化する)、MLN518(FLT3を標的化する)、XL999(FLT3を標的化する)、VX−322(FLT3を標的化する)、Azd0530(SRCを標的化する)、BMS−354825(SRCを標的化する)、SKI−606(SRCを標的化する)、CP−690(JAKを標的化する)、AG−490(JAKを標的化する)、WHI−P154(JAKを標的化する)、WHI−P131(JAKを標的化する)、ソラフィニブ(Sorafinib)/ネキサバル(Nexavar)(RAFキナーゼ、VEGFR−1、VEGFR−2、VEGFR−3、PDGFR−β、KIT、FLT−3、およびRETを標的化する)、ダサチニブ(Dasatinib)/スプリセル(Sprycel)(BCR/ABLおよびSrc)、AC−220(Flt3を標的化する)、AC−480(全てのHERタンパク質、「panHER」を標的化する)、モテサニブ(Motesanib)ジホスフェート(VEGF1−3、PDGFR、およびc−kitを標的化する)、デノスマブ(Denosumab)(RANKLを標的化し、SRCを阻害する)、AMG888(HER3を標的化する)、ならびにAP24534(Flt3を含む複数の標的)が挙げられるが、これらに限定されない。
例示的なセリン/スレオニンキナーゼとしては、ラパミューン(Rapamune)(mTOR/FRAP1を標的化する)、デフォロリムス(Deforolimus)(mTORを標的化する)、セルチカン(Certican)/エベロリムス(Everolimus)(mTOR/FRAP1を標的化する)、AP23573(mTOR/FRAP1を標的化する)、エリル/塩酸ファスジル(RHOを標的化する)、フラボピリドール(Flavopiridol)(CDKを標的化する)、セリシクリブ(Seliciclib)/CYC202/ロスコビトリン(Roscovitrine)(CDKを標的化する)、SNS−032/BMS−387032(CDKを標的化する)、ルボキシスタウリン(Ruboxistaurin)(PKCを標的化する)、Pkc412(PKCを標的化する)、ブリオスタチン(Bryostatin)(PKCを標的化する)、KAI−9803(PKCを標的化する)、SF1126(PI3Kを標的化する)、VX−680(オーロラキナーゼを標的化する)、Azd1152(オーロラキナーゼを標的化する)、Arry−142886/AZD−6244(MAP/MEKを標的化する)、SCIO−469(MAP/MEKを標的化する)、GW681323(MAP/MEKを標的化する)、CC−401(JNKを標的化する)、CEP−1347(JNKを標的化する)、およびPD 332991(CDKを標的化する)が挙げられるが、これらに限定されない。
好ましいコンビナトリアル療法としては、(a)HPLCにより決定される場合に99%より高いキラル純度を有し、1%未満の(+)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを含有する、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン、および薬学的に受容可能なキャリア;(b)Cu Kα放射線を使用しておよそ8.2°2θ、10.8°2θおよび14.1°2θにピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴付けられる、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの1型多型、ならびに1種以上の薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤;または(c)Cu Kα放射線を使用しておよそ6.5°2θ、9.9°2θおよび12.0°2θにピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴付けられる、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの2型多型、ならびに1種以上の薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤の、エルロチニブと組み合わせて投与されるもの、(a)HPLCにより決定される場合に99%より高いキラル純度を有し、1%未満の(+)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを含有する、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン、および薬学的に受容可能なキャリア;(b)Cu Kα放射線を使用しておよそ8.2°2θ、10.8°2θおよび14.1°2θにピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴付けられる、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの1型多型、ならびに1種以上の薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤;または(c)Cu Kα放射線を使用しておよそ6.5°2θ、9.9°2θおよび12.0°2θにピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴付けられる、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの2型多型、ならびに1種以上の薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤の、ゲムシタビンと組み合わせて投与されるもの、ならびに(a)HPLCにより決定される場合に99%より高いキラル純度を有し、1%未満の(+)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを含有する、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン、および薬学的に受容可能なキャリア;(b)Cu Kα放射線を使用しておよそ8.2°2θ、10.8°2θおよび14.1°2θにピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴付けられる、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの1型多型、ならびに1種以上の薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤;または(c)Cu Kα放射線を使用しておよそ6.5°2θ、9.9°2θおよび12.0°2θにピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴付けられる、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの2型多型、ならびに1種以上の薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤の、ソラフィニブと組み合わせて投与されるものが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、被験体または患者は、1日1回150mgとして投与されるエルロチニブの、1日2回360mgとして投与される(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンと組み合わせた組み合わせを受ける。他の実施形態において、被験体または患者は、1週間に1回にわたって30分間、1000mg/m2の静脈内注入として投与されるゲムシタビンの、1日2回口腔で360mgとして、または1日2回連続的に口腔で120mgとして投与される(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンと組み合わせた組み合わせを受ける。別の実施形態において、被験体または患者は、1日2回200mgとして投与されるソラフィニブの、1日3回360mgとして投与される(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンと組み合わせた組み合わせを受ける。(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンについての好ましい剤形としては、カプセル剤および錠剤が挙げられるが、これらに限定されない。
(薬学的組成物)
本発明はまた、(a)HPLCにより決定される場合に99%より高いキラル純度を有し、1%未満の(+)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを含有する、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン、および薬学的に受容可能なキャリア;(b)Cu Kα放射線を使用しておよそ8.2°2θ、10.8°2θおよび14.1°2θにピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴付けられる、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの1型多型、ならびに1種以上の薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤;あるいは(c)Cu Kα放射線を使用しておよそ6.5°2θ、9.9°2θおよび12.0°2θにピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴付けられる、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの2型多型、ならびに1種以上の薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤を含有する、薬学的組成物を提供する。
「薬学的組成物」とは、本発明の化合物を含有する、被験体への投与のために適切な形態の処方物である。1つの実施形態において、この薬学的組成物は、バルク形態または単位投薬量形態である。単位投薬形態は、種々の形態(例えば、カプセル、IVバッグ、錠剤、エアロゾル吸入器またはバイアルの単一ポンプが挙げられる)のいずれかである。単位用量の組成物中の活性成分(例えば、本開示の化合物またはその塩、水和物、溶媒和物もしくは異性体の処方物)の量は、有効量であり、そして関与する特定の処置に従って変わる。当業者は、患者の年齢および状態に依存して、この投薬量に対する慣用的な変更を行うことが時々必要であることを理解する。この投薬量はまた、投与経路に依存する。種々の経路が想定され、経口、肺、直腸、非経口、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、吸入、頬、舌下、胸膜腔内、鞘内、および鼻腔内が挙げられる。本発明の化合物の局所投与または経皮投与のための剤形としては、散剤、スプレー、軟膏剤、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、液剤、パッチおよび吸入剤が挙げられる。1つの実施形態において、この活性化合物は、滅菌条件下で薬学的に受容可能なキャリアと混合され、そして必要とされる任意の防腐剤、緩衝剤または推進剤と混合される。
本明細書中で使用される場合、語句「薬学的に受容可能な」とは、合理的な医療判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症を伴わずに、合理的な利益/危険比に合う、ヒトおよび動物の組織と接触させて使用するために適切な、化合物、物質、組成物、キャリア、および/または剤形をいう。
「薬学的に受容可能な賦形剤」とは、一般的に安全であり、非毒性であり、そして生物学的にも他の点でも望ましくないことがない、薬学的組成物を調製する際に有用な賦形剤を意味し、そして獣医学用途およびヒト医薬用途のために受容可能な賦形剤が挙げられる。「薬学的に受容可能な賦形剤」とは、本明細書中および特許請求の範囲で使用される場合、1つのこのような賦形剤と、1つより多いこのような賦形剤との両方を包含する。
本発明の薬学的組成物は、その意図される投与経路に合うように処方される。投与経路の例としては、非経口(例えば、静脈内、皮内、皮下)、経口(例えば、吸入)、経皮(局所)、および経粘膜投与が挙げられる。非経口用途、皮内用途、または皮下用途のために使用される溶液または懸濁物は、以下の成分を含有し得る:滅菌希釈剤(例えば、注射用水、生理食塩水溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒);抗菌剤(例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン);酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウム);キレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸);緩衝剤(例えば、アセテート、シトレートまたはホスフェート)、および張度を調整するための剤(例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロース)。pHは、酸または塩基(例えば、塩酸または水酸化ナトリウム)を用いて調整され得る。非経口調製物は、ガラスまたはプラスチックから作製された、アンプル、使い捨て注射器または多用量バイアルに収容され得る。
本発明の化合物または薬学的組成物は、化学療法処置のために現在使用されている周知の方法の多くで、被験体に投与され得る。例えば、がんの処置のためには、本発明の化合物は、腫瘍に直接注入され得るか、血流もしくは体腔に注射され得るか、または経口摂取され得るか、またはパッチを用いて皮膚を通して付けられ得る。選択される用量は、有効な処置を構築するために充分であるべきであるが、認容不可能な副作用を引き起こすほど高いべきではない。疾患状態(例えば、がんおよび前がんなど)の状態および患者の健康状態は、好ましくは、処置後の合理的な期間中、およびその期間にわたって、綿密に監視されるべきである。
用語「治療有効量」とは、本明細書中で使用される場合、同定された疾患または状態を処置、軽減、または予防するため、あるいは検出可能な治療効果または阻害効果を示すための、薬剤の量をいう。この効果は、当該分野において公知である任意のアッセイ方法により検出され得る。被験体についての正確な有効量は、その被験体の体重、サイズおよび健康状態;その状態の性質および程度;ならびに投与のために選択された治療剤または治療剤の組み合わせに依存する。所定の状況のための治療有効量は、医師の知識および範囲の範囲内である慣用的な実験によって、決定され得る。好ましい局面において、処置されるべき疾患または状態は、がんである。別の局面において、処置されるべき疾患または状態は、細胞増殖性障害である。
任意の化合物について、治療有効量は、最初に、(例えば新生物細胞の)細胞培養アッセイまたは動物モデル(通常、ラット、マウス、ウサギ、イヌ、もしくはブタ)のいずれかで推定され得る。動物モデルはまた、適切な濃度範囲および投与経路を決定するために使用され得る。次いで、このような情報は、ヒトにおける有用な用量および投与経路を決定するために使用され得る。治療/予防の効力および毒性は、細胞培養物または実験動物における標準的な薬学的手順によって決定され得る(例えば、ED50(集団の50%において治療的に有効な用量)およびLD50(集団の50%に対して致命的な用量))。毒性と治療効果との用量比は、治療指数であり、これは、比LD50/ED50として表わされ得る。大きい治療指数を示す薬学的組成物が好ましい。投薬量は、この範囲内で、使用される剤形、患者の重篤度、および投与経路に依存して変わり得る。
投薬量および投与は、充分なレベルの活性剤を提供するように、または所望の効果を維持するように、調節される。考慮され得る要因としては、疾患状態の重篤度、被験体の一般的健康状態、被験体の年齢、体重および性別、食事、投与の回数および頻度、薬物の組合せ、反応感受性、ならびに治療に対する許容/応答が挙げられる。長期間にわたり作用する薬学的組成物は、特定の処方物の半減期およびクリアランス速度に依存して、毎日、3〜4日ごと、毎週、または2週間ごとに1回、投与され得る。
本発明の活性化合物を含有する薬学的組成物は、一般的に公知である様式(例えば、従来の混合、溶解、顆粒化、糖剤作製、湿式粉砕、乳化、カプセル化、捕捉、または凍結乾燥のプロセスによる)で製造され得る。薬学的組成物は、従来の様式で、賦形剤および/または補助成分(活性化合物を薬学的に使用され得る調製物に加工するのを容易にする)を含有する1種以上の薬学的に受容可能なキャリアを使用して、処方され得る。もちろん、適切な処方物は、選択される投与経路に依存する。
注射用途のために適切な薬学的組成物としては、滅菌水溶液または水性分散物、および滅菌粉末(滅菌注射可能な水溶液または水性分散物を即時調製するためのもの)が挙げられる。静脈内投与のために、適切なキャリアとしては、生理食塩水、静菌水、Cremophor ELTM(BASF,Parsippany,N.J.)、またはリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)が挙げられる。全ての場合において、組成物は滅菌でなければならず、そして容易な注入性が存在する程度まで流動性であるべきである。組成物は、製造および保存の条件下で安定でなければならず、そして微生物(例えば、細菌および真菌)の汚染作用に対して保存されなければならない。キャリアは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、ならびにこれらの適切な混合物を含有する、溶媒または分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散物の場合には必要とされる粒径を維持することによって、および界面活性剤の使用によって、維持され得る。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、およびチメロサールなど)によって、達成され得る。多くの場合において、等張剤(例えば、糖、ポリアルコール(例えば、マンニトール、ソルビトール)および/または塩化ナトリウム)を組成物中に含有させることが好ましい。注射可能な組成物の長期間の吸収は、この組成物に、吸収を遅延させる剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)を含有させることによって、もたらされ得る。
滅菌注射可能溶液は、活性化合物を、必要な量で、適切な溶媒に、単独でかまたは必要に応じて上記成分と組み合わせて組み込み、その後、滅菌濾過することにより、調製され得る。一般に、分散物は、活性化合物を、塩基性分散媒および必要とされる他の成分(上記のものから)を含有する滅菌ビヒクルに組み込むことにより、調製される。滅菌注射可能溶液の調製のための滅菌粉末の場合、調製の方法は、真空乾燥および凍結乾燥であり、これは、予め滅菌濾過された溶液から、活性成分および任意のさらなる所望の成分の粉末を与える。
経口組成物は一般に、不活性希釈剤または食用の薬学的に受容可能なキャリアを含有する。これらは、ゼラチンカプセルに含まれ得るか、または錠剤に圧縮され得る。経口治療投与の目的で、活性化合物は、賦形剤と一緒に組み込まれ得、そして錠剤、トローチ、またはカプセル剤の形態で使用され得る。経口組成物はまた、うがい薬として使用するために流体キャリアを使用して調製され得、ここでこの流体キャリア中の化合物は、口に入れられて口内で激しく動かされ(swished)、そして吐き出されるかまたは飲み込まれる。薬学的に適合可能な結合剤および/またはアジュバント物質が、この組成物の一部として含まれ得る。錠剤、丸剤、カプセル剤、およびトローチなどは、以下の成分または類似の性質の化合物のいずれかを含有し得る:結合剤(例えば、微結晶セルロース、トラガカントガムまたはゼラチン);賦形剤(例えば、デンプン、予めゼラチン化したデンプン、またはラクトース)、崩壊剤(例えば、クロスカルメロースナトリウム、ナトリウムデンプングリコレート、ナトリウムカルボキシメチルデンプン、アルギン酸、プリモゲル(Primogel)、クロスポビドン、またはコーンスターチ);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリルフマル酸ナトリウム、またはステロート(Sterotes));グライダント(例えば、コロイド状二酸化ケイ素);甘味剤(例えば、スクロースまたはサッカリン);あるいは矯味矯臭剤(例えば、ペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジフレーバー)。
吸入による投与のために、化合物は、エアロゾルスプレーの形態で、加圧容器またはディスペンサー(適切な推進剤(例えば、ヒドロフルオロアルカン、クロロフルオロカーボン、二酸化炭素を含む)を含む)あるいは噴霧器から送達される。
全身投与はまた、経粘膜手段または経皮手段により得る。経粘膜投与または経皮投与のために、浸透されるべき障壁に適切な浸透剤が、処方物中で使用される。このような浸透剤は当該分野において一般的に公知であり、そして例えば、経粘膜投与のためには、界面活性剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜投与は、経鼻スプレーまたは坐剤の使用により達成され得る。経皮投与のために、活性化合物は、当該分野において一般的に公知であるように、軟膏剤(ointment)、軟膏剤(salve)、ゲル、またはクリームに処方される。
活性化合物は、この化合物を身体からの迅速な排出に対して保護する薬学的に受容可能なキャリア(例えば、移植物および微小カプセル化送達システムが挙げられる、制御放出処方物)と一緒に調製され得る。生分解性の生体適合性ポリマー(例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸、またはポリエステルの混合物もしくはコポリマー)が使用され得る。このような処方物の調製のための方法は、当業者に明らかである。これらの物質はまた、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals,Inc.から市販で入手され得る。リポソーム懸濁物(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体に感染した細胞を標的化するリポソームが挙げられる)もまた、薬学的に受容可能なキャリアとして使用され得る。これらは、当業者に公知である方法(例えば、米国特許第4,522,811号に記載されるような)に従って調製され得る。
投与の容易さおよび投薬量の均一性のために、経口組成物または非経口組成物を投薬単位形態で処方することが、特に有利である。投薬単位形態とは、本明細書中で使用される場合、処置されるべき被験体のために単一投薬量として適切な、物理的に不連続な単位をいい、各単位は、所望の治療効果を生じると計算された所定量の活性化合物を、必要とされる薬学的キャリアと一緒に含有する。本発明の投薬単位形態のについての詳細は、活性化合物の独特の特徴および達成されるべき特定の治療効果によって、これらに直接依存して決定される。
治療用途において、本発明に従って使用される薬学的組成物の投薬量は、選択された投薬量に影響を与える他の要因のうちでもとりわけ、剤、レシピエント患者の年齢、体重、および臨床状態、ならびにその治療を施す医師または開業医の経験および判断に依存して変わる。一般に、用量は、腫瘍の増殖を遅くし、そして好ましくは後退させるため、そしてまた好ましくは、がんの完全な後退を引き起こすために充分であるべきである。投薬量は、約0.01mg/kg/日〜約5000mg/kg/日の範囲であり得る。好ましい局面において、用量は、約1mg/kg/日〜約1000mg/kg/日の範囲であり得る。ある局面において、用量は、約0.1mg/日〜約50g/日;約0.1mg/日〜約25g/日;約0.1mg/日〜約10g/日;約0.1mg〜約3g/日;または約0.1mg〜約1g/日の範囲であり、単一用量、分割用量または連続用量である(この用量は、患者の体重(kg)、体表面積(m2)、および年齢(歳)について調節され得る)。好ましい用途において、この投薬量は、約400ミリグラムを1日2回(b.i.d.)であり得る。特定の用途において、この投薬量は、360ミリグラム(mg)を1日2回(b.i.d.)である。より好ましくは、剤形は、カプセル剤または錠剤であり、そして360ミリグラム(mg)の合計投薬量で、2個または3個のカプセル剤または錠剤として投与される。この剤形は、720ミリグラム(mg)の合計用量で、1日2回投与される。薬剤の有効量は、医師または他の権限のある観察者により気付かれるような、客観的に同定可能な改善を提供する量である。例えば、患者における腫瘍の後退は、腫瘍の直径に関連して測定され得る。腫瘍の直径の減少は、後退を示す。後退はまた、処置を止めた後に腫瘍が再発し損なうことによって、示される。本明細書中で使用される場合、用語「投薬有効様式」とは、被験体または細胞において所望の生物学的効果を生じるための活性化合物の量をいう。
これらの薬学的組成物は、投与のための指示書と一緒に、容器、パック、またはディスペンサーに含まれ得る。
本発明の化合物は、さらに塩を形成することが可能である。これらの形態の全てもまた、本願発明の範囲内であるとみなされる。
本明細書中で使用される場合、「薬学的に受容可能な塩」とは、親化合物がその酸性塩または塩基性塩を作製することにより修飾されている、本発明の化合物の誘導体をいう。薬学的に受容可能な塩の例としては、塩基性残基(例えば、アミン、アルカリ)の鉱酸塩または有機酸塩、あるいは酸性残基(例えば、カルボン酸)の有機塩などが挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に受容可能な塩としては、例えば非毒性の無機酸または有機酸から形成された、親化合物の従来の非毒性の塩または第四級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、このような従来の非毒性塩としては、2−アセトキシ安息香酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、酢酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、重炭酸、炭酸、クエン酸、エデト酸、エタンジスルホン酸、1,2−エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、グリコリアルサニリン酸(glycollyarsanilic acid)、ヘキシルレゾルシン酸、ヒドラバミン酸(hydrabamic acid)、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフトエ酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリル硫酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ナプシル酸(napsylic acid)、硝酸、シュウ酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、リン酸、ポリガラクツロン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、スバセチン酸(subacetic acid)、コハク酸、スルファミン酸、スルファニル酸、硫酸、タンニン酸、酒石酸、トルエンスルホン酸、および一般に存在するアミン酸(例えば、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、アルギニンなど)から選択される無機酸および有機酸から誘導される塩が挙げられるが、これらに限定されない。
薬学的に受容可能な塩の他の例としては、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、ピルビン酸、マロン酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、ショウノウスルホン酸、4−メチルビシクロ−[2.2.2]−オクタ−2−エン−1−カルボン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三級ブチル酢酸、およびムコン酸などが挙げられる。本発明はまた、親化合物に存在する酸性プロトンが金属イオン(例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、またはアルミニウムイオン)により置き換えられる場合;あるいは有機塩基(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、およびN−メチルグルカミンなど)と配位する場合のいずれかに形成される塩を包含する。
薬学的に受容可能な塩に対する全ての言及は、同じ塩の、本明細書中で定義されるような溶媒付加形態(溶媒和物)または結晶形(多型)を包含することが理解されるべきである。
本発明の化合物はまた、エステル(例えば、薬学的に受容可能なエステル)として調製され得る。例えば、化合物中のカルボン酸官能基は、その対応するエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステルまたは他のエステル)に転換され得る。また、化合物中のアルコール基は、その対応するエステル(例えば、酢酸エステル、プロピオン酸エステルまたは他のエステル)に転換され得る。
本発明の化合物はまた、プロドラッグ(例えば、薬学的に受容可能なプロドラッグ)として調製され得る。用語「プロ−ドラッグ」および「プロドラッグ」は、本明細書中で交換可能に使用され、そしてインビボで活性な親薬物を放出する任意の化合物をいう。プロドラッグは、薬剤の多数の所望の性質(例えば、溶解度、バイオアベイラビリティ、製造など)を増強することが公知であるので、本発明の化合物は、プロドラッグの形態に誘導体化され得る。従って、本発明は、本願発明の化合物のプロドラッグ、これらを送達する方法、およびこれらを含有する組成物を網羅することを意図される。「プロドラッグ」は、このようなプロドラッグが被験体に投与される場合に、本発明の活性親薬物をインビボで放出する、任意の共有結合したキャリアを含むことを意図される。本発明におけるプロドラッグは、その化合物に存在する官能基を、慣用的な操作によってかまたはインビボでのいずれかで、修飾が切断されて親化合物になるような様式で修飾することによって、調製される。プロドラッグとしては、ヒドロキシ基、アミノ基、スルフヒドリル基、カルボキシ基またはカルボニル基が、インビボで切断されてそれぞれ遊離ヒドロキシル基、遊離アミノ基、遊離スルフヒドリル基、遊離カルボキシ基または遊離カルボニル基を形成し得る任意の基に結合した、本発明の化合物が挙げられる。
プロドラッグの例としては、本発明の化合物における、ヒドロキシル官能基のエステル(例えば、アセテート、ジアルキルアミノアセテート、ヒドロキシ、ホスフェート、スルフェートおよび安息香酸誘導体)ならびにカルバメート(例えば、N,N−ジメチルアミノカルボニル)、カルボキシル官能基のエステル(例えば、エチルエステル、モルホリノエタノールエステル)、アミノ官能基のN−アシル誘導体(例えば、N−アセチル)、N−マンニッヒ塩基、シッフ塩基およびエナミノン、ならびにケトン官能基およびアルデヒド官能基のオキシム、アセタール、ケタールおよびエノールエステルなどが挙げられるが、これらに限定されない。Bundegaard,H.,Design of Prodrugs,p1−92,Elesevier,New York−Oxford(1985)を参照のこと。
これらの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグは、経口、経鼻、経皮、肺、吸入、頬、舌下、腹腔内、皮下、筋肉内、静脈内、直腸、胸膜腔内、鞘内および非経口で、投与される。1つの実施形態において、この化合物は、経口投与される。当業者は、特定の投与経路の利点を認識する。
これらの化合物を利用する投薬計画は、種々の要因(患者の型、種、年齢、体重、性別および医学的状態;処置されるべき状態の重篤度;投与経路;患者の腎機能および肝機能;ならびに使用される特定の化合物またはその塩が挙げられる)に従って選択される。通常の知識を有する医師または獣医は、状態を予防するか、反撃するか、または進行を止めるために必要とされる、薬物の有効な量を容易に決定し得、そして処方し得る。
本発明の本開示の化合物の処方および投与のための技術は、Remington:the Science and Practice of Pharmacy,第19版,Mack Publishing Co.,Easton,PA(1995)に見出され得る。1つの実施形態において、本明細書中に記載される化合物、およびその薬学的に受容可能な塩は、薬学的調製物中で、薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤と組み合わせて使用される。適切な薬学的に受容可能なキャリアとしては、不活性な固体の充填材または希釈剤、および滅菌水溶液もしくは有機溶液が挙げられる。これらの化合物は、このような薬学的組成物中に、本明細書中に記載される範囲の所望の投薬量を提供するために充分な量で存在する。
本明細書中で使用される全ての百分率および比は、他に示されない限り、重量による。
本発明の他の特徴および利点は、様々な実施例から明らかである。与えられる実施例は、本発明を実施する際に有用な、様々な成分および方法論を説明する。これらの実施例は、本願発明を限定しない。本開示に基づいて、当業者は、本発明を実施するために有用な他の成分および方法論を確認および使用し得る。
(実施例1)
この実施例は、3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロール−2,5−ジオンの調製を記載する。
リロリジン[CAS 102280−97−7](70kg)(スキームIの化合物4)を、適切に洗浄した乾燥した反応容器に入れ、続いてメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)(375kg)を入れた。リロリジンは、市販で購入し得るか、または米国特許出願公開第2006/0223760号に記載されるように調製し得る。得られたバッチを15℃〜25℃で最低10分間撹拌した。塩化オキサリル(56.6kg)のMTBE(370kg)中の溶液を、別の容器内で調製した。次いで、このリロリジン溶液をこの塩化オキサリル溶液に、32℃未満の温度を維持するような速度で添加した。この容器をさらなるMTBE(162kg)ですすぎ、そしてこの反応混合物に加えた。このバッチを15℃〜32℃で最低2時間撹拌し、その後、HPLCにより分析した。この反応が完了したことが決定されたら、メタノール(90kg)を添加し、そしてこのバッチを最低2時間撹拌した。HPLC分析によりこの反応が完了したことが決定されたら、このバッチを約80ガロンまで蒸留した。中間体である5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)オキソ酢酸メチルエステル(スキームIの化合物5)を単離する必要はない。テトラヒドロフラン(THF)(840kg)をこのバッチに添加し、そしてその体積を、蒸留により再度約80ガロンまで減少させた。このバッチ中に存在するMTBEの量が1重量%未満になるまで、この溶媒交換プロセスを続けた。新たな容器にインドール−3−アセトアミド[CAS 879−37−8](61.3kg)(スキームIの化合物5a)を入れ、続いてTHF(840kg)を入れた。次いで、得られた溶液を、その温度が15℃〜25℃に維持されるような速度で、そのバッチに入れた。インドール−3−アセトアミドの溶液を含む容器をTHF(140kg)ですすぎ、そしてそのすすぎ液をバッチに加えた。次いで、空の容器にカリウムtert−ブトキシド溶液(THF中1.6M,581kg)およびTHF(350kg)を入れた。この溶液をこのバッチに加え、そして得られた溶液を20℃〜32℃で最低3時間撹拌した。HPLC分析により確認して出発物質が消費されたら、水性HCl(濃,273kg)を、その温度が50℃未満に維持されるような速度で添加した。このバッチを40℃〜50℃で最低30分間撹拌した。
HPLC分析によりこの反応が完了したことが決定されたら、反応温度を40℃未満に維持しながら、この混合物のpHが9〜10になるまで、水酸化アンモニウム水溶液(濃)を添加した。酢酸エチル(EtOAc)(462kg)の添加およびこのバッチの撹拌後、その層を分離した。その有機層をブライン(182kgのNaClおよび1022kgの水)で洗浄した。得られた有機溶液を、最初の体積の約3分の1まで蒸留した。エタノール(2B,1120kg)を添加し、そして蒸留を続けて、そのバッチ体積を約240ガロンまで減少させた。エタノール(2B,1120kg)を再度添加し、そしてその体積を240ガロンまで減少させた。次いで、水(1400kg)をこのバッチに添加して、生成物の沈殿を誘導した。このバッチを最低2時間撹拌し、そしてその固体を濾過により単離した。次いで、その固体をジクロロメタン(DCM)(840kg)に溶解させ、そしてヘプタン(442kg)を添加して、その生成物を精製した。このバッチを少なくとも2時間撹拌した後に、その生成物を濾過により単離した。濃縮および濾過後、約115kg(88%)の3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロール−2,5−ジオン(スキームIの化合物6)が赤色粉末として単離された。この化合物4から化合物6への転換は、スキームIIに示される。
(実施例2)
この実施例は、(±)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの調製を記載する。
水酸化パラジウム(20重量%炭素担持Pd,11.5kg)を、適切に準備した反応容器に入れた。THF(340kg)を添加してスラリーを生成させ、そしてこの触媒を水素(50psi〜75psi)で過剰に還元した。化合物6(115kg)を空の容器に入れ、続いてTHF(353kg)を入れた。得られた混合物を、溶解が完了するまで撹拌した。次いで、この化合物6の溶液を触媒のスラリーに移した。カリウムtert−ブトキシドの溶液(THF中1.6M,36kg)を空の反応器に入れ、続いてTHF(21kg)を入れた。この得られた溶液もまた、上記反応混合物に移し、続いてTHF(340kg)でさらにすすいだ。次いで、このバッチを45℃〜55℃まで、65psi〜80psiの水素下で加熱した。中間体であるシスラセミ体(±)−シス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン(スキームIの化合物7)を単離する必要はない。
HPLC分析によりこの反応が完了したことが決定されたら、このバッチをセライトで濾過して触媒を除去し、そしてイソプロピルアセテート(iPrOAc)(810kg)で希釈した。その有機溶液を水性HCl(28kgの濃HCl、290kgの水)で洗浄した。このプロセスを2回目として繰り返した。次いで、この有機溶液をブライン(580kg)で洗浄し、その後、蒸留により約300ガロンまで濃縮した。iPrOAc(1690kg)を添加し、そしてこのバッチを約400ガロンまで蒸留した。この溶液中のTHF含有量が2重量%未満になるまで、iPrOAc(1000kg)を添加することによりこの蒸留プロセスを繰り返した。次いで、ヘプタン(2000kg)を添加して、生成物の沈殿を誘導した。粗製(±)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン(スキームIの化合物8)を濾過により単離し、そして調整(condition)して、約96%のHPLC純度を有する111kg(95%)を得た。この物質はまた、1.7%のiPrOAcおよび6.3%のヘプタンを含有した。この物質を、実験室規模の「使用」試験により、(±)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン ジクロロメタン(DCM)の調製および多段式カラムクロマトグラフィー(MCC)による分割を進めるため、またはジアステレオマー塩の結晶化(以下の実施例にさらに詳細に記載されるような)において直接使用するために充分な純度であることを確認した。
(実施例3)
この実施例は、(±)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン DCMの調製を記載する。
結晶性(±)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン DCM(スキームIの化合物8 DCM)によりを生成させ、その後、MCCによるエナンチオマー分割のプロセスを行うことにより、化合物8をキラルの観点で精製することが好ましい。
1つの例において、反応容器にメタノール(125kg)および化合物8(52.5kg)を入れ、そして得られた混合物を55℃〜65℃まで加熱した。DCM(557kg)をきれいな反応器に入れた。次いで、化合物8の溶液を、このDCMを含む反応基に、インラインフィルタ(inline filter)を通して移した。この反応器をDCM(134kg)ですすぎ、これもまた、このフィルタを通して、この反応混合物を含む反応器に移した。このバッチを最低30分間撹拌し、その後、化合物8 DCMの種結晶(0.1kg)を導入した。このバッチを少なくとも4時間撹拌し、次いで、サンプリングして、結晶化の程度を評価した。化合物8の濾液濃度が65mg/mL未満である場合、ヘプタン(718kg)を添加し、そしてこのバッチを少なくとも1時間撹拌した。次いで、このバッチを0℃〜5℃まで冷却し、そしてその生成物を濾過により単離した。その固体をフィルタ上で調製し、そして真空トレイ乾燥機内で45℃〜55℃で少なくとも4時間乾燥させた。化合物8 DCM(48.3kg,92%,HPLC 99.0%)を褐色固体として単離した。実施例2および3に記載される化合物6から化合物8 DCMの転換は、スキームIIIに示される。
(実施例4)
この実施例は、(±)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン DCMのMCCによるキラル分割、および(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの単離を記載する。
多段式カラムクロマトグラフィー(MCC)供給溶液を、化合物8 DCMをメタノールに溶解させることにより調製する。得られたDCM/メタノール共溶媒を、この供給溶液中の残留DCMレベルが、キラル固定相(CSP)との接触に認容可能なレベル(すなわち、0.1重量%未満)に達するまで蒸留する。このバッチを、メタノール/アセトニトリルの混合物(9:1)中で、50mg/mLの濃度まで蒸留し、そしてクロマトグラフィーシステムに導入する。Chiralpak AZ(CSP)を利用し得る。そのラフィネートをキラルHPLC分析により監視し、そしてクロマトグラフィーパラメータを、99%より高いキラル純度の(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン(スキームIの化合物10)を得るために調整する。ラフィネートをプールし、そして分離が進行するにつれて、バッチごとに濃縮する。集めたラフィネートをより大きい反応器に取り、そしてその体積を減少させる。次いで、化合物10を結晶化により単離する。
(実施例5)
この実施例は、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの、望ましくないエナンチオマーである(+)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンからのバッチごとの生成を記載する。
いくつかの例において、例えば、分割がMCCを使用して達成される場合、望ましくないエナンチオマーである(+)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン(スキームIの化合物9)をバッチごとの様式で単離およびラセミ化することが望ましい。
粗製化合物8を単離された化合物9から生成させるプロセスの1つの例において、この望ましくないエナンチオマー(6.46kg)を100Lの反応器に入れた。エタノール(60L)を入れ、続いて固体のNaOH(1.05kg,1.5当量)を添加した。得られたスラリーを65℃まで13時間加熱し、次いで、4時間かけて周囲温度まで冷却した。この混合物をサンプリングし、そしてキラルHPLCにより分析して、54/46の比のエナンチオマーを示した。そのキラル純度は、HPLCにより94.6%(AUC)であると決定された。次いで、このスラリーをセライトでポリッシュ濾過し、そしてそのパッドをエタノール(13L)ですすいだ。除去した物質は、固体の褐色フィルムであり、大きい塊は存在しなかった。次いで、この溶液を再度100Lの反応器に入れ、そして2MのHCl(13.1L,1.5当量)を35分間かけて添加した。この添加中に、薄いスラリーが形成された。次いで、この混合物を周囲温度で撹拌した(5時間後、濃厚な淡橙色のスラリーが得られた)。次いで、水(25L)を45分間かけて添加し、そしてこの混合物を2時間撹拌した。アリコートを取り出して濾過した。次いで、このバッチを60℃まで加熱し、そして8時間撹拌し、次いで、ゆっくりと冷却して、固体の濾過特性を改善した。粗製化合物8[5.12kg,75.7%(4.5重量%のエタノールが原因)]を、HPLCによるキラル純度99.39%(AUC)で単離した。この場合、この純度は、この物質をMCCによりさらに処理するために充分であった。この純度は、必要であれば、DCMの形成により増大され得る。
実施低4に記載される化合物8 DCMの化合物10へのキラル分割、および実施例5に記載される化合物9の化合物8への再利用は、スキームIVに示される。
(実施例6)
この実施例は、ジアステレオマー塩形成および単離による、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンのキラル分割を記載する。
MCCによるキラル分割の代替として、エナンチオマーである化合物10および化合物9の分割は、化合物10のジアステレオマー塩の優先的形成によってもまた達成され得る。
1つの例において、粗製化合物8は、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン・(1S,2S)−(+)−プソイドエフェドリン(スキームIの化合物10・(1S,2S)−(+)−プソイドエフェドリン)に、以下の代表的な手順を使用して転換され得る。(1S,2S)−(+)−プソイドエフェドリン(601g,0.6当量)をアセトニトリル(CH3CN)(11.2L,5容量)に約50℃で溶解させ、そして溶解後、約30分間撹拌する。粗製化合物8[2.24kg,HPLCにより96.4%(AUC)]をCH3CN(11.2L,5容量)に約50℃で溶解させ、次いで、セライトのパッドでポリッシュ濾過する。この化合物8溶液を、滴下タンク(drop tank)を介して、(1S,2S)−(+)−プソイドエフェドリン溶液に20分〜30分間かけて約50℃で添加する。一旦、得られた溶液が結晶化を開始したら、化合物8の添加の添加のすぐ後に、この混合物を、ゆっくりと周囲温度まで温度が下がるまで撹拌し、次いで、撹拌を一晩続ける(冷却と撹拌とを合わせて約11時間)。そのベージュ色の顆粒状固体を18インチのステンレス鋼ヌッチェフィルタで濾過し、そしてCH3CN(7L,3.2容量)を使用してすすぎ/再スラリー化する。このスラリーを濾過し、そしてその固体を再度、CH3CN(5L,2.3容量)でスラリー化する。このヌッチェフィルタ上で1時間乾燥させた後に、サンプルをHPLCにより分析する。その固体が、所望量より多くの所望でないジアステレオマー塩を含む場合、その固体を、CH3CNを使用して再スラリー化させ得、そして乾燥させ得、その後、分析を繰り返し得る。次いで、この固体を熱N2(51℃)下で一晩乾燥させる。代表的に、化合物10・(1S,2S)−(+)−プソイドエフェドリンの分析は、HPLCにより99%(AUC)を超える全体のキラル純度、および99%を超えるキラル純度の化合物10を示す。1H NMR分析を使用して、代表的なサンプルは、0.5重量%未満のCH3CNを含むと推定される。
次いで、化合物10・(1S,2S)−(+)−プソイドエフェドリンを、酸での処理およびメタノールまたはエタノールからの結晶化によって、化合物10に転換し得る。代表的な手順は、以下のとおりである:化合物10・(1S,2S)−(+)−プソイドエフェドリン(50g)を、メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)(500mL)および水(250mL)中でスラリー化させる。1MのHCl(110mL)をこの混合物に添加して、1.6の最終pHに達せさせる。わずかな量の固体を含む得られた溶液を約1時間撹拌して、この固体を溶解させる。次いで、その有機層と水層とを分離する。その有機層を水/ブライン溶液(1:1,250mL)で洗浄し、分離し、そして2−Bエタノール(1000mL)を添加する。次いで、その溶液を200mLまで濃縮し、そしてMeTHF含有量について分析する(4.8重量%)。この溶液をポリッシュ濾過し、そして化合物10の種結晶(0.2g)を添加する(T=25℃)。この混合物を約3日間撹拌し、サンプルを定期的に採取して、母液中に残っている化合物10について分析する。得られたスラリーを濾過し、そしてその固体を2−Bエタノール(70mL)で洗浄する。その固体を真空オーブン中約60℃で約3時間乾燥させて、化合物10[28.84g,82.7%,HPLCにより99.60%(AUC),0.54重量%エタノール,0.08重量% MeTHF]をベージュ色の固体として得る。
実施例6に記載される化合物8から化合物10へのジアステレオマー塩分割、および実施例5に記載される化合物9の化合物8への再利用は、スキームVに示される。
(実施例7)
この実施例は、動的速度論的分割(DKR)によるキラル分離を記載する。
MCCによるキラル分割、またはジアステレオマー塩形成による従来の速度論的分割の代替として、エナンチオマーである化合物10および化合物9の動的速度論的分割(DKR)もまた、化合物9の同時のインサイチュラセミ化を伴う化合物10のジアステレオマー塩の優先的形成により、達成され得る。
このプロセスにおいて、粗製化合物8は、化合物10・(1S,2S)−(+)−プソイドエフェドリンに、以下の代表的手順を使用して転換され得る。粗製化合物8(1.25kg,96% AUC,9.1重量%溶媒含有量)および(1S,2S)−(+)−プソイドエフェドリン(559g,1.0当量)を、2B−エタノール(11.25L,9容量)中でスラリー化させ、そして50℃で3時間加熱した。このスラリーを、メタノールまたはエタノール中21重量%のNaOEt(110g,0.1当量)で処理し、そして50℃まで加熱した。40時間後、水(786mL,エタノールに対して約10%の水)中1MのHCl(338mL,0.1当量)を5分間かけて添加することにより、この混合物をクエンチした。この混合物を50℃で1時間撹拌し、次いで0.5時間かけて周囲温度まで冷却した。このスラリーを室温でさらに3時間撹拌し、次いで濾過した。その固体を10%水/2B−エタノール(3.75L,3容量)で洗浄し、そして真空オーブン(50℃,2個のトレイ)中で18時間乾燥させた。この固体を分析し、そして化合物10・(1S,2S)−(+)−プソイドエフェドリン[1.22Kg,74%,HPLCにより99.3%(AUC),キラルHPLCにより99.2%(AUC)]を示した。このプロセスを20kgの化合物8に対して実施して、化合物10・(1S,2S)−(+)−プソイドエフェドリン[18.9kg,70%,%,HPLCにより98.8%(AUC),キラルHPLCにより99.1%(AUC)]を得た。
化合物8から化合物10への、化合物10・(1S,2S)−(+)−プソイドエフェドリンを介する動的速度論的分割は、スキームVIに示される。
(実施例8)
この実施例は、動的速度論的分割(DKR)によるキラル分離を記載する。
MCCによるキラル分割、またはジアステレオマー塩形成による従来の速度論的分割の代替として、エナンチオマーである化合物10および化合物9の動的速度論的分割(DKR)もまた、化合物9の同時のインサイチュラセミ化を伴う化合物10のジアステレオマー塩の優先的な形成により、達成され得る。
このプロセスにおいて、粗製化合物8(111.4kg)、Pdスカベンジャー樹脂(PL−TMT−MP,3.5kg)、およびメタノール(1507L)を容器に加え、そして45℃で少なくとも16時間加熱した。この反応が完了したら、この混合物を濾過してPdスカベンジャー樹脂を除去した。この容器をメタノール(104L)ですすいだ。合わせた濾液を約600Lまで蒸留した。(1S,2S)−(+)−プソイドエフェドリン(51.4kg)およびメタノール(416L)をこの濾液に添加した。得られた溶液を45℃で3時間〜4時間加熱した。固体が沈殿し、そしてHPLCにより分析して、この反応が進行上選択的であることを確実にした。次いで、メタノール中のナトリウムメトキシドの溶液(21重量%,6.1kg)を添加し、続いてメタノール(11L)を添加し、そして得られた混合物を45℃でさらに18時間加熱した。この反応混合物を、結晶化の完了についてHPLCにより分析した。この結晶化が完了したら、この混合物をHCl溶液(3.5kg)で処理して、その塩基を中和した。得られた混合物を周囲温度まで冷却し、そして最低3時間撹拌した。次いで、その固体を濾過により単離し、そしてそのフィルターケーキをメタノールと水との溶液(それぞれ411L対46L)で洗浄した。そのフィルターケーキは無色であった(その固体にかなりの色が持続した場合、洗浄を繰り返してその色を除いた)。その固体をフィルタ乾燥機で55℃で減圧下で最低8時間乾燥させ、そして次の工程において化合物10・(1S,2S)−(+)−プソイドエフェドリン(101kg)として使用するために剥がした。
(実施例9)
この実施例は、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを調製するためのスラリー法を記載する。
化合物10・(1S,2S)−(+)−プソイドエフェドリン(100.7kg)とHCl水溶液(1M,250kg)とメタノール(240kg)とを混合し、そして得られたスラリーを50℃まで加熱し、そして少なくとも2時間撹拌した。この反応が完了したら、このスラリーを周囲温度まで冷却し、そして最低1時間撹拌した。その固体を濾過により単離し、メタノールの50%水溶液(200L)で洗浄し、そして減圧下65℃で少なくとも6時間乾燥させた。粗製化合物10をTHF(96kg)に、この混合物を50℃まで加熱することにより溶解させた。得られた溶液をポリッシュ濾過し、続いてメタノール(200kg)を添加した。次いで、この溶液を共沸および大気圧で、蒸留により濃縮して、THF含有量を減少させた。一旦、この溶液の体積が250Lまで減少したら、さらなるメタノール(200L)を添加し、そして濃縮プロセスを繰り返した。THF含有量が5%(vol./vol.)未満に減少するまで、このプロセスを繰り返した。メタノールの添加中、結晶化を容易にする目的で、化合物10(300g)の1個以上の結晶もまた導入した。これらの結晶を濾過により単離し、さらなる50%水性メタノールで洗浄し、そして減圧下65℃で少なくとも12時間乾燥させた。粗製化合物10(60.6kg)を赤褐色固体として単離した。
(実施例10)
この実施例は、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの1型多型を調製するためのスラリー法を記載する。
粗製化合物10を、実施例9に記載されるように調製した。この粗製化合物10をTHF(96kg)に、この混合物を50℃まで加熱することにより溶解させた。得られた溶液をポリッシュ濾過し、続いてメタノール(200kg)を添加し、そして結晶化プロセスの多型制御に影響を与えるために、化合物10の1型を種結晶として添加した。多型制御に影響を与えるための種結晶を、代表的なバッチ(特徴付けデータが、結晶性物質が所望の多型形態であることを確認した)から得た。次いで、この溶液を共沸および大気圧で蒸留により濃縮して、THF含有量を減少させた。一旦、溶液の体積が250Lまで減少したら、さらなるメタノール(200L)を添加し、そして濃縮プロセスを繰り返した。THF含有量が5%(vol./vol.)未満まで減少するまで、このプロセスを繰り返した。次いで、この溶液の温度を50℃まで低下させ、そして少なくとも4時間撹拌した。アリコートを取り出して、所望の多型の形成を確認した。必要であれば、この多型をTHF(30%のバッチ体積)に再溶解させ、ポリッシュ濾過し、濃縮し、そして種結晶を加えて、所望の多型を得ることができる。所望の多型が得られた場合、50%メタノール水溶液を50℃で添加し、そしてこの溶液をさらに2時間〜3時間撹拌した。次いで、この溶液を周囲温度まで冷却し、そして少なくとも2時間保持して、結晶化させた。完了したら、これらの結晶を濾過により単離し、さらなる50%水性メタノールで洗浄し、そして減圧下65℃で少なくとも12時間乾燥させた。化合物10の多型1型(60.6kg)を赤褐色固体として単離した。
(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの2型多型もまた、1型種結晶を2型種結晶で置き換える場合、上記方法を用いて調製され得る。
(実施例11)
実施例11は、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの多型のXRPD回折図を生成する方法を記載する。
X線粉末回折パターンを、Siemens D5000回折計で、Cu Kα放射線(40kV,40mA)、θ−θ角度計、V20の発散および受信スリット、黒鉛二次モノクロメーターおよびシンチレーションカウンターを使用して集めた。器具の性能を、認証コランダム標準物質(NIST 1976)を使用して確認する。データ収拾のために使用したソフトウェアは、Diffrac Plus XRD Commander v2.3.1であり、そしてデータを、Diffrac Plus EVA v 11,0.0.2またはv 13.0.0.2を使用して分析および提示した。
粉末サンプルを平坦なプレート標本として調製した。約35mgのサンプルを、研磨したゼロバックグラウンド(510)のシリコンウエハに切り込んだ空洞に、軽く詰めた。このサンプルを、分析中、その面内で回転させた。データ収集の詳細は、以下のとおりである:
角度範囲:2°2θ〜42°2θ
ステップサイズ:0.05°2θ
収集時間:4秒/ステップ。
(実施例12)
実施例12は、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの多型のXRPD回折図を生成する方法を記載する。
高分解能X線粉末回折パターンを、Bruker D8回折計で、Cu Kα放射線(40kV,40 mA)、θ−2θ角度計、ならびにV4の発散および受信スリット、Ge−モノクロメーターおよびLynxeye検出器を使用して収集した。器具の性能を、認証コランダム標準物質(NIST 1976)を使用して確認する。データ収拾のために使用したソフトウェアは、Diffrac Plus XRD Commander v2.5.0であり、そしてデータを、Diffrac Plus EVA v 11,0.0.2またはv 13.0.0.2を使用して分析および提示した。
サンプルを周囲条件下で、受け取ったままの粉末を使用して平坦なプレート標本として実行した。約100mgのサンプルを、研磨したゼロバックグラウンド(510)のシリコンウエハに切り込んだ円形の空洞に軽く詰めた。このサンプルを、分析中、その面内で回転させた。この一般手順のためのデータ収集の詳細は、以下のとおりである:
角度範囲:2°2θ〜42°2θ
ステップサイズ:0.05°2θ
収集時間:5秒・ステップ−1。
(実施例13)
実施例13は、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの多型からのXRPDパターンを記載する。
(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの2つの非溶媒和多型:1型および2型(図12および図13を参照のこと)。
1型は、8.2°、10.8°および14.1°の2θ値を含むXRPDパターンを示す(図12および表1を参照のこと)。
2型は、6.5°、9.9°および12.0°の2θ値を含むXRPDパターンを示す(図13および表1を参照のこと)。
(実施例14)
1型は、相互転換実験により決定される場合に、2型よりも熱力学的に安定である。1型は、斜方晶系であり、そして1つの単位格子に4分子の(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを含む。1型は、DSCで記録される約218℃の融点を有する(図16を参照のこと)。
2型は、複屈折性の棒様結晶からなる。2型の複数のバッチを40℃/75% RHで6ヶ月まで、および25℃/60% RHで12ヶ月まで貯蔵した際に、結晶系または純度の認識できる変化は観察されなかった。2型の空間群は、P21またはP2のいずれかであった。1つの単位格子に2分子の(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンが存在し(非対称な単位中に1個の分子)、そして溶媒分子により占有される単位格子内の過剰な体積は存在しなかった。2型は、DSCで記録される約216℃の融点を有する(図16を参照のこと)。
化合物10のプロセスを1バッチとして5kgを超える生成にスケールアップすると、1型が自発的に生成した。赤外線(IR)およびX線粉末回折(XRPD)は、2つの形態の同定および区別のために有効な分析ツールであることが決定された(図14および図15を参照のこと)。このプロセスを、7kg規模で実証される種結晶の添加により、容易に制御した。
適切な条件を使用して結晶化プロセスを制御すると、2つの多型は相互変換され得る。2型は、1型をメタノールに溶解させ、2型の種結晶を入れ、そしてこの混合物をロータリーエバポレーションにより乾固するまでエバポレートすることによって、得られ得る。首尾よい転換は、IR分析により2型であることが決定され、そしてXRPD分析により確証された。
(実施例15)
1型のIRスペクトルは、約3300cm−1を中心とする強い振動を示し、これは、2型においては観察されなかった(図15、パネルA)。一方で、2型のIRスペクトルは、約800cm−1を中心とする比較的強いピークを示し、これは、1型においては観察されなかった(図15、パネルB)。
1型および2型は、異なる平衡状態溶解度を有する:2型=0.61mg/mLおよび1型=0.51mg/mL。図17、パネルAは、0℃〜70℃のメタノール中での1型および2型の溶解度を示す。図17、パネルBは、50mMのpH6.8リン酸緩衝液/1%SLS中での1型および2型の固有溶解度を示す。
(実施例16)
指数増殖期のMDA−MB−231細胞またはMIA PaCa−2(PACA−2としても知られる)細胞を、6ウェルプレートの1ウェルあたり1,000細胞で播種し、24時間付着させた。MDA−MB−231およびMIA PaCa−2細胞は、5% CO2中、37℃において、10%(v/v)胎仔ウシ血清(FBS)および5mlペニシリン/ストレプトマイシンを補充したDMEM中で培養した。MDA−MB−231およびMIA PaCa−2は、それぞれ、エストロゲンレセプター陰性のヒト乳がん細胞株および膵臓がん細胞株において確立された。(±)−シス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンまたは(±)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを、それぞれ、DMSO中に10mMの濃度で溶解させ、そして、別々に、0.1μM、0.25μM、0.5μM、1μMまたは2μMの濃度で細胞に加えた。コントロールプレートには、DMSOのみを、最高濃度の薬物と組み合わせて投与されるものと同じ合計培養容積の割合で与えた。細胞培養物を10〜15日間毎日観察し、次いで、固定し、そして、改変Wright−Giemsa染色(Sigma)を用いて染色した。(±)−シス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンまたは(±)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンでの処理は、MDA−MB−231細胞またはPaca−2細胞の細胞死をもたらす。例えば、図2を参照のこと。(±)−シス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンについてのIC50は、0.5μMであることがわかった。(±)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンについてのIC50値は、0.5μMであることがわかった。
(実施例17)
MDA−MB−231細胞(ATCC #HTB−26)(15%熱不活化胎仔ウシ血清および10mM HEPES(pH7.5)を含むDMEM中で増殖させた)を、60mm2プレートにプレーティングした(1プレートあたり2×105細胞)。2日後、細胞培養培地中の最終DMSO濃度が0.1%となるように、種々の濃度のDMSO中の候補化合物を培地中に希釈し、そして、個々のプレートに加えた。2日間のインキュベーションの後、培養物をトリプシン処理し、細胞を培地で洗浄し、血球計算器を用いて計数し、そして、細胞体を含む500細胞を、100mm2プレートの培地中にプレーティングした。2週間後、培地を除去し、そして細胞のコロニーをメタノールを用いて10分間固定し、1%クリスタルバイオレットで10分間染色し、水で洗浄し、そして、風乾させた。1コロニーあたり50個より多い細胞が存在した場合には、細胞のコロニーを視覚的にカウントした。プレーティング効率は、形成されたコロニーの平均数を500で割ったものとして定義した。生存画分は、候補化合物のプレーティング効率を、DMSOのプレーティング効率で割り、これに100を掛けたものとして定義した。候補化合物の滴定のために、IC50値を、等式y=AeBxをデータ点にフィットさせ、そして、生存画分が50と等しくなった濃度を補外することによって決定した。(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンまたは(+)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンでの処理は、MDA−MB−231細胞の細胞死をもたらす。例えば、図3を参照のこと。(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンについてのIC50は、0.62μMであることがわかった。(+)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンについてのIC50は、4.1μMであることがわかった。
(実施例18)
組換えプロテインキナーゼC(Calbiochem)(100ng)を、0.05μM、0.5μMまたは10μMの(±)−シス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンまたは(±)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンとともに、室温で15分間インキュベートした。その後、20μM ATP、0.2μCi/μl γ32P−ATP、0.2μg/μl ヒストンH1(Upstate Biotechnology/Millipore,Bedford,MA)を含有するキナーゼバッファー(20mM Tris−HCl(pH 7.5)、10mM MgCl2)中の放射活性標識用混合物を各サンプルに加えた。キナーゼ反応は、室温で5分間実施した。反応生成物を、12% SDS−PAGEおよび放射能写真撮影術により分析した。
試験した濃度の(±)−シス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンまたは(±)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを用いた、室温で15分間の組換えプロテインキナーゼCの処理は、キャリアのみでの処理と比較して、キナーゼ活性を低下させなかった。例えば、図4を参照のこと。
(実施例19)
MDA−MB−231細胞を示された濃度の別々の鏡像異性体(+)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンおよび(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの非存在下または存在下で、一晩(16時間)血清枯渇させた。細胞を、100ng/mlの組換えヒト肝細胞増殖因子(Hepatocyte Growth Factor/Scatter Factor)(HGF/SF)(R&D Systems #294−HG)で10分間処理した。全細胞抽出物を、溶解バッファー(20mM Tris−HCl(pH7.5)、150mM NaCl、1mM Na2EDTA、1mM EGTA、1% Triton X−100、2.5mM ピロリン酸ナトリウム、1mM β−グリセロリン酸、1mM Na3VO4、1μg/ml ロイペプチン、1mM フッ化フェニルメチルスルホニル)中で調製し、超音波処理した。タンパク質の濃度を、BioRad試薬(BioRad,Hercules,CA)を製造業者の指示にしたがって使用し、Bradfordアッセイによって測定した。サンプル(50μgのタンパク質)を還元条件下で8% SDS−PAGEによって分割させ、PVDFメンブレン(BioRad)上に移した。このメンブレンを、5%ミルクを含むTBS−T(50mM Tris−HCl(pH=7.6)、200mM NaCl、0.05% Tween 20)中で1時間インキュベートした。5%ミルクと、リン酸化c−Metに対するポリクローナル抗体(#3121)、または、全タンパク質ローディングに関するコントロールとして使用したβ−アクチンに対するモノクローナル抗体(A−5441)(Sigma)のいずれかを含むTBS−T中、4℃で一晩のインキュベーションによりタンパク質を検出した。TBS−T中で徹底的に洗浄した後、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体化抗ウサギIgG(1:5000)または抗マウスIgG(1:2000)(Amersham Biosciences)を1時間追加し、そして、増強された化学発光検出システム(Amersham Biosciences)を製造業者の指示にしたがって用いて、特異的なタンパク質の結合を可視化した。例えば、図5を参照のこと。
(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンでの処理は、少なくとも30nMの濃度においてc−Metの基礎的およびHGF誘導性の自己リン酸化を阻害する。これに対し、(+)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンは、かなりより高い濃度(20μM)でも、c−Metリン酸化に対して最低限の阻害作用を有するのみであった。例えば、図5を参照のこと。
(実施例20)
96ウェルプレート(Costar 3603)内のA549ヒト肺がん細胞(5,000/ウェル)を、1:200の蛍光Annexin V(緑色)および1:500のヨウ化プロピジウム(マゼンタ、1μg/mLの最終濃度)を加える前に、38時間、A)コントロールとしてのDMSO;B)1.2μMの(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンのいずれかで処理した。標識の手順は、37℃で20分間のプロセスに続いて、IC100 Image Cytometer(Beckman Coulter,Inc)10Xの倍率で用いた、撮像および分析を行った。
(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンが、主に細胞分裂停止性またはアポトーシス性の機構を介して機能するかどうかを決定するために、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンに暴露したがん細胞を、蛍光標識したAnnexin V(緑色蛍光)およびヨウ化プロピジウム(明るいマゼンタ色の蛍光)で染色した。Annexin Vは、アポトーシス開始の初期マーカーである、外在化された膜ホスファチジルセリンに対して高い親和性で特異的に結合する十分に検証された試薬であるが、ヨウ化プロピジウムは、死細胞に関するマーカーである。1.2μMの(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンとのヒト肺がん細胞(A549)の38時間にわたるインキュベーションは、強力なAnnexin V染色によって実証されるように、細胞がアポトーシスを受けるように誘導した。小さな割合の細胞(約10〜20%)は、Annexin Vとヨウ化プロピジウムの両方で染色され、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン処理した細胞の部分集団が、38時間以内で既に死んだことが示唆された。これらのデータは、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンが大部分アポトーシス性の機構の活性化を介して細胞死を誘導することと一致している(図6を参照のこと)。
(実施例21)
MDA−MB−231細胞を、示された濃度の(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンで24時間、前処理した。300μlの各細胞懸濁物(無血清培地中0.5×106細胞/mLの濃度)を、個別のインサート内に配し、37℃で24時間インキュベートした。インサートを収容する底のウェルは、500μlの10% FBS含有培地を含んだ。24時間の時点で、各インサートからの培地を吸引し、そして、浸潤できなかった細胞を、ていねいに、先に綿がついたスワブを用いてインサートの内部から除去した。ついで、各インサートを、細胞染色溶液を含むきれいなウェルに移し、室温で10分間インキュベートした。インサートの底を、抽出溶液中でインキュベートすることにより脱染し、560nMでODを読み取った。(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンは、MDA−MB−231がん細胞のコンフルエントな培養物において、間隙を横切る移動を阻害した。データは、2回の独立した実験の平均を表す(図7を参照のこと)。
大部分のがんから生じる罹病率および死亡率は、原発性腫瘍から他の組織への局所的な浸潤および転移の結果である。このプロセスは、大いに、腫瘍細胞の運動性および増殖に依存する。HGFによるc−Metの活性化は、運動性、浸潤、創傷治癒および組織再生を含む様々な細胞応答を誘導する。c−Metの異常な活性化は、原発性腫瘍および続発性転移の発生および進行において重要な役割を果たすことが確立されている。HGFは、上皮シートを分離させ、そして、細胞外マトリクス基質を通した細胞の運動性および浸潤を刺激する能力を有し、そして、HGFの産生は、インビボでの腫瘍の転移と相関している。
上に示されるように、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンは、約500nMの推定IC50値で、MDA−MB−231乳がん細胞の浸潤性表現型を阻害した。すなわち、これらの結果は、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンが転移性がん細胞の浸潤を阻害することを示す。
(実施例22)
(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンは、ヒト乳がん異種移植片における有効性を示す。MDA−MB−231ヒト乳がん細胞を、雌性無胸腺ヌードマウスに皮下接種し(8.0x106細胞/マウス)、触診可能な腫瘍を形成させた。腫瘍が約60mm3に達したら、動物を、200mg/kgの(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン、または、ビヒクルコントロールを用いて、毎日経口処置した(連続5日間に続いて2日間の休薬日)。(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンは、PEG 400:20% Vitamin E TPGS(60:40)中で処方した。動物は、合計20用量の(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンまたはビヒクルコントロールを受けた。処置および処置後の観察期間の全体にわたって腫瘍を計測した。各点は、10の腫瘍の平均±SEMを表す(図8を参照のこと)。
単剤療法としての(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンでの処理は、腫瘍増殖の遅延において有効であった。(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの腫瘍増殖阻害は、79%と計算され、これは統計的に有意であった(p=0.009)。ビヒクルまたは200mg/kgの(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの経口投与に起因した体重の有意な変化は存在しなかった。
(実施例23)
ヒト結腸がん異種移植片モデルにおいて、HT−29ヒト結腸がん細胞を、雌性無胸腺ヌードマウスに皮下接種し(5×106細胞/マウス)、触診可能な腫瘍を形成させた。腫瘍が約60mm3に達したら、動物を、200mg/kgまたは300mg/kgのいずれかの(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン、または、ビヒクルコントロールを用いて、毎日経口処置した(連続5日間に続いて2日間の休薬日)。(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンは、PEG 400:20% Vitamin E TPGS(60:40)中で処方した。動物は、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンまたはビヒクルコントロールのいずれかの合計20回の処置を受けた。処置および処置後の観察期間の全体にわたって腫瘍を計測した。各点は、10の腫瘍の平均±SEMを表す(図9、パネルAを参照のこと)。
この高度に積極的な結腸異種移植片モデルにおいて、単剤療法としての200mg/kgまたは300mg/kgのいずれかで投薬された動物は、有意な腫瘍増殖阻害を示し、300mg/kgは200mg/kgよりも有効であった。200mg/kgで投与された(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンは、39%(p=0.006)の最高腫瘍増殖阻害を示し、一方で、300mg/kgは、55%(p=0.00001)の最高腫瘍増殖阻害を示した。ビヒクルコントロールまたは200mg/kgもしくは300mg/kgの(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの経口投与に起因した体重の有意な変化は存在しなかった。
(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンの有効性をまた、以下のいくつかの他のがん細胞株を用いた異種移植片モデルにおいても検討した:ヒト膵臓がんMIA PaCa2(図9、パネルB)、ヒト前立腺がんPC3(図9、パネルC)およびヒト胃がんMKN45(図9、パネルD)。細胞は、単剤療法としての、示された濃度の(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンで処理した。これらの全てのモデルにおいて、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンは腫瘍増殖を有意に阻害した。
(実施例24)
(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンは、複数のがん細胞株に対して有意な細胞傷害性を示した。様々ながん細胞株を、0.03〜30μMの範囲の示される濃度の(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンで処理した。これらの細胞の(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンに対する感受性を、標準的な細胞傷害性MTSアッセイによって測定した(図10)。c−Metおよび/またはホスホ−c−Metを発現するヒトがん細胞株は、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンに対して感受性であった。これに対し、免疫検出可能なc−Metまたはホスホ−c−Metを持たないヒトがん細胞株(図10、SK−MEL−28、MCF−7およびNCI−H661)は、感受性をほとんど示さなかった。
(実施例25)
(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを、ヒトキナーゼの大型パネル(n=230)を阻害するその活性について評価した。表2に示すデータは、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンがc−Metのみを有意な程度まで阻害し、また、少数の他のキナーゼに対して限られた活性を示すことを実証した。(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンは、c−Metに対して約360nMの阻害定数(Ki)を示した。
(実施例26)
HT−29ヒト結腸がん細胞を用いたヒト結腸がん異種移植片モデルを、実施例23に記載したとおりに確立させた。腫瘍担持マウスを、単回用量の(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン(300mg/kg)で処置した。24時間後にホスホ−c−Metの減少を免疫組織化学的に検出した。ホスホ−c−Metの量の有意な減少を、不溶性の褐色反応生成物を生じる、ジアミノベンジジンを用いたイムノペルオキシダーゼ系の使用により可視化した(図11、パネルA)。ホスホ−c−Metについての腫瘍サンプルのウェスタンブロッティングは、免疫組織化学分析を確認した(図11、パネルB)。
(実施例27)
この実施例は、明細胞肉腫およびMiT(小眼球症転写因子)関連腫瘍における、c−Metレセプターチロシンキナーゼの阻害を記載する。本発明の化合物はまた、明細胞肉腫を罹患する患者において、効力を示した。この実施例に記載される研究は、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5,−ジオン(c−Metレセプターチロシンキナーゼの低分子インヒビター)を使用した。
(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンは、c−Met(レセプターチロシンキナーゼ)の選択的インヒビターである。異常に活性化されると、c−Metは、ヒトがんの局面(がん細胞の増殖、生存、新脈管形成、浸潤および転移が挙げられる)において、複数の役割を果たす。上に記載されるデータは、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンが、広範なヒト腫瘍細胞株(明細胞肉腫を含む)におけるc−Met活性化を阻害すること、および数種のヒト腫瘍異種移植片に対して抗腫瘍活性を示すことを実証する。臨床研究において、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンでの処置は、充分に許容されており、そして広範な腫瘍および用量にわたって、腫瘍応答および延長した安定な疾患をもたらした。
(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを、明細胞肉腫を罹患する患者に投与した。具体的には、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンは、明細胞肉腫を罹患する患者において、RECIST(固形腫瘍における応答評価基準)により規定される場合に、部分的応答を示した。
(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン投与に対する客観的応答は、有効な処置が存在しない肉腫腫瘍型の、分子的に結び付けられた群を罹患する患者のコホートにおいて見られた。この応答に基づいて、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを、1日2回(b.i.d.)、360ミリグラム(mg)の用量で投与する。
(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを、MiT(小眼球症転写因子)関連腫瘍を罹患する患者に投与する。MiT腫瘍(これは、明細胞肉腫(CCS)、胞状軟部肉腫(ASPS)および転座関連腎細胞癌(RCC)を含み得る)は、これらの腫瘍の発達をもたらすc−Metの過剰発現を担う、共通の染色体異常により生物学的に結び付けられている。この異常性を有する腫瘍は、現在の治療に対して抵抗性であり、そして首尾よい外科手術切除が存在しない場合、常に致死的である。
研究の最初の段階中に、23人の患者を登録し、そして120mgの(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオン(b.i.d.)で処置した。これらの患者のうちの14人は、効力に対して評価可能であることが示された。確認された部分的応答を有する患者に加えて、評価可能な患者のうちの10人は、安定な疾患を示した。
(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンについて実証された客観的臨床応答は、shRNAによるMiT発現のノックアウトが、インビトロおよびインビボで、c−Met発現を抑制し、そしてヒト明細胞肉腫細胞の増殖を妨げることを示したデータに基づく。この知見は、MiT関連腫瘍を罹患する患者における、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンを使用する臨床治験の開発をもたらし、これは、抗がん活性(客観的な腫瘍応答が挙げられる)、およびこの薬物で処置された患者からの腫瘍生検においてc−Metタンパク質を阻害する能力を示した。