JP2014512832A - 光合成微生物の培養のための閉じた環境での光バイオリアクター - Google Patents
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Abstract
本発明はまた、光合成微生物を培養する光バイオリアクターの使用に関するとともに、光バイオリアクターの培養培地を照明するための光拡散要素(4)の使用に関する。
Description
より正確には、そのような培養を対象とした光バイオリアクターに関する。
微細藻類の培養産業は、多くのアプリケーションを有している。
微細藻類は、特定の工場から排出される二酸化炭素、窒素酸化物(NOx)及び/又は硫黄酸化物(SOx)のリサイクル及びこれらを浄化するために培養されている(特許文献1)。
微細藻類から抽出されたオイルは、バイオ燃料として用いることができる(特許文献2、特許文献3、特許文献4)。
微細藻類は、ω−3多価不飽和脂肪酸の生産のために培養することができる。
微細藻類はまた、顔料を生成するために培養することができる。
微細藻類の種類について光、流束及び波長を適合させることは、生産性を最適化する上で重要な因子である。
これら2つの関係式を同時に最大化しなければならない。
この問題を解決するための第1の人工照明の解決策は、光ファイバを用いて、光源からの光を微細藻類の近くの培養培地に提供することである(特許文献8及び特許文献9)。
光ファイバは、光を筐体の内側に導くために、他の浸漬手段と組み合わせることができる(特許文献10及び特許文献11)。
第1の問題は、それら光源のエネルギーの放出パターンが、指向性を有しており、且つランバート(Lambertian)プロファイルに従うため、LED発光の幾何学的形状に固有のものになることである。ビーム内の藻類のみが照明される。発光円錐の立体角が、典型的に90°なので、LEDの周りの3/4の空間は、照明されないことになる。この状況は、浸漬された光ファイバの端部からの照明について実質的に同じであることに留意されたい。
同様に、LEDsが、反応器(ヒートパイプ)内の内壁を照明するために使用される場合に(特許文献15を参照)、均一な光子束を、培養槽内で得ることができない。
影の領域を少なくさせるために、筐体内の光源が、多重化され、互いに十分に近接して設置することができる。
これらの問題に対処するため、本発明者らは、外部のLEDsによって生成された光を光バイオリアクターに導くとともに拡散させるような新規で、特に効果的な方法を発見した。
光源は、もはや筐体の内側に配置する必要はなく、温度調節を大幅に容易にする。使用される光拡散ガイドは、さらに、光の特に均質且つ均一な拡散を可能にし、微細藻類の培養についてすべての波長に有利に適合させる。
・光拡散要素は、光源が配置される端部において、光を吸収しない透明材料から形成された中実要素である。
・光拡散要素は、部分的な光拡散性を有する材料から形成れた介在物を含む。
・光源と光拡散要素との間の接合部分は、光子の透過性を向上させる光学グリスで処理されている。
・光拡散要素は、光源が配置される端部において、透明材料から形成された中空要素である。
・半反射層が、光拡散要素の内側に配置されている。
・半反射層が、光拡散要素の外側に配置されている。
・半反射層(又はこの積層体)が、光拡散要素を含む材料の光屈折率よりも大きい光屈折率を有する金属又は金属酸化物の材料、好ましくはアルミニウムで形成されている。
・半反射層の厚さが、光源からの距離によって減少する。
・光拡散要素は、ポリメチルメタクリレートで形成されている。
・光源は、準点光源であり、光拡散要素は、光拡散チューブである。
・光源は、線状光源であり、光拡散要素は、平行六面体の光拡散器である。
・光源は、準点状又はストリップ形状として分布された発光ダイオード(LED)又は発光ダイオード(LEDs)のセット、好ましくは高出力発光ダイオード(HPLED)又は高出力発光ダイオード(HPLEDs)のセットである。
・収束レンズが、LEDと光拡散要素との間の接合部分に配置される。
・内部が反射性を有する光学系が、LEDを取り囲む。
・光源の反対側の光拡散要素の端部には、ミラーが設けられている。
・光源の反対側の光拡散要素の端部は、円錐形状又はドーム形状である。
・光拡散要素の外面が、光拡散を向上させるための適切な凹凸面を有する。
・光拡散要素の外面は、保護シース内に封入されている。
・光拡散要素は、シースを取り囲む洗浄スクレーパを備える。
・光バイオリアクターは、光源の冷却用システムを備える。
・光バイオリアクターは、培養培地の底部に気泡発生システムを備える。
本発明の第3の態様は、光源によって放出された光子を集光するとともに、それら集光された光子をその光拡散要素の側面によって戻して、光バイオリアクターの培養培地を照明するような、光源に光学的に結合された円筒形状又は角柱形状の光拡散要素の使用に関する。
最近では、LED部品の性能が大幅に向上している。今日、高出力LEDsが存在しており、すなわち、ほぼ葉緑素(クロロフィル)の吸収波長(650nm〜680nm)で発光するような10W以上の電力のLEDが存在している。
本発明の光バイオリアクターの概略図が、図1aに示されている。
光合成微生物、好ましくは微細藻類の特に連続培養を対象としたこの光バイオリアクターは、確認されるように、微生物の培養培地(3)を収容するように意図した少なくとも1つの培養筐体(1)と、この培養筐体(1)の外側の少なくとも1つの光源(2)とを備える。
この光バイオリアクターは、説明したように、培養筐体(1)の内側に配置された少なくとも1つの円筒形状又は角柱形状の光拡散要素(4)をさらに備えており、この光拡散要素(4)は、光源(2)によって放出された光子を集光するとともに、それら集光された光をその光拡散要素の側面によって培養培地(3)に戻すように、光源(2)に光学的に結合されている。
最初に、市販の限定されたLEDsの発光対称性は、円筒形状(ランバート発光)であることに留意されたい。その結果として、実施するための最も簡単な結合は、中空又は中実のチューブを用いることである。
一般に、本発明は、任意の幾何学的形状に限定されるものではなく、任意の円筒形状又は角柱形状の光拡散要素に関するものであることを繰り返し言及しておく。
この構成では、光は、V.Gerchikovらによる刊行物(leukos Vol.1 No.4 2005)に説明されているようにチューブ内に導かれる。
LED(2)は、(LED(2)の封入体の球状セグメントの大きさの)光拡散チューブ(4)に形成された凹部内に導入される。
上で説明したように、光を拡散するようなチューブ形状光拡散要素(4)の使用は、唯一の可能な構成ではない。線状及びリボン形状のLED光源(2)を実際に用いることができる。リボン形状LEDは、上述したように、(複数の波長の)複合体とすることができ、すなわち多色構成とすることができることに留意されたい。
可能な限り均一な方法で培養培地(3)を照明するために、光が、光ガイドに沿って一定の強度で光拡散チューブ(4)から抜け出るように、具体的には、光が光拡散チューブ(4)から非常に早く出て行くことを防ぐように形成されている。
中空の光拡散チューブ(4)の場合には、この光の閉じ込め効果は、半ミラーと同等の光拡散チューブ(4)の内側に半反射層(7)を配置することによって有利に増加させることができる。
これらの内部/外部の表面処理は、図1cに確認される例では、光をより良く案内することを可能にする。
特定の表面処理によって、光拡散チューブ(4)の内側のミラー効果が増幅されるが、光拡散を向上させるために他の処理法が特に可能であるように示されている。
従って、有利には光拡散チューブ(4)の外面は、光拡散を向上させるような増大した凹凸面(9)を有する。適合される凹凸面は、使用される光の波長と同程度の又はそれよりも大きいスケールの凹凸を特に意味する。
好ましい態様では、光拡散チューブ(4)の外面は、保護シース(10)内に封入されている。この封入は、本質的に腐食性である培養培地(3)の特に半反射層(8)を保護するような重要な役割を果たしている。
光拡散チューブの外面(4)が、人為的な凹凸面(9)にされる場合に、その凹凸によって、微細藻類の付着が増大することに留意されたい、それはまた、光拡散チューブ(4)を封入することが望ましい理由でもある。
凹凸面(9)の場合には、凹凸面の拡散効果を得るために光の通路上で屈折率の急変部を形成する必要があることに留意されたい。従って、シース(10)についてポリテトラフルオロエチレン等の低屈折率を有する材料を選択すること、又はシース(10)と粗い凹凸面(9)の光拡散チューブ(4)との間のエアギャップを好ましい態様で想定することのいずれかが必要であり、空気中で光が交差する距離は、有利には、凹凸面(9)の程度よりはるかに大きく(少なくとも10倍)なるようにしなければならない。
なお、以下において確認されるように、シース(二重チューブ又はカプセル化)は、外部光チューブ洗浄システムを想定することができる。
使用されるHPLEDsは、説明したように、好ましくは、およそ25%の出力を有しており、すなわち、供給される電力の75%は、熱として消費される。
換言すれば、LEDs(2)の使用は、かなりの量の熱の排出があり、それは、光バイオリアクターが、有利にはLED(2)冷却システム(12)を備える理由でもある。
保護シース(10)を想定する際に、藻類がその保護シースに付着する可能性が高い。従って、洗浄システムを想定することが有利であり、これは、光拡散チューブ(4)が、有利には、シース(10)を取り囲む洗浄スクレーパ(11)を備える理由でもある。
図3においても確認されるように、洗浄スクレーパ(11)は、例えばその上部において光拡散チューブ(4)を取り囲むゴム製のOリングで構成されている。光拡散チューブ(4)が、(その上部によって引っ張られて)引き抜かれたときに、接合部が、藻類堆積物を擦り取る。
光バイオリアクターの培養筐体(1)の大きさは、数リットルから数百立方メートルの範囲で非常に変化させることができる。培養筐体(1)の一般的な幾何学的形状は、一般に平行六面体(図4)又は円筒形状(図5)であるが、境界効果と構造コストに関すること以外は、耐圧上全く又はほとんど影響を与えない。光バイオリアクターは、1つ又は多数の培養筐体(1)のみをさらに含むことができ、本発明は、サイズや幾何学的形状に限定されるものではない。
図4に示されるように、上述した選択された光拡散チューブ(4)は、培養筐体(1)の全体の高さを照明するために、約1mの長さにされ、一定の光束をその高さ全体に沿って放出するように最適化される。光源が側方にある場合に、培養筐体の幅を考慮しなければならない。
このパラメータは、冒頭で述べたように、入射光束はe=2.71828により分割された端部の培養培地の長さである「特徴的な侵入深さ」(λ)と、カルビンサイクルを起動させる「生産サイクルのトリガしきい値」と呼ばれるような光強度しきい値(Ieff)とから規定される。カルビンサイクルは、実際に、光合成中に生物の葉緑体で起こる一連の生化学反応である。光子のモル数/m-2/s-1で表されるこのトリガのしきい値は、微生物による主要なバイオマス生産に対する光束の最小レベルに対応する。そのしきい値は、典型的には、微細藻類(例えば、ナンノクロリス(Nannochloris)属)について「赤色」の光子(650nm付近の波長)で50μmol/m−2/s−1である。
λeffは、光束がしきい値Ieffを下回るような距離として規定される。
Ieff=I0e−λeff/λと、λeff=λln(I0/Ieff)とから、
I(x)=I0e−x/λ
が得られる。
λeffは、微細藻類の濃度に反比例しており、固定濃度では微細藻類の種類によって決定される。λeffを超えて光源から所定の距離に位置する点は、有機物質を生成するために十分な光子を受け取っていないと考えられる。換言すれば、これは、培養培地(3)の各点が、光拡散チューブ(4)からλeff未満の距離に平均して存在しなければならないことを意味する。従って、2つのチューブ同士の間の平均距離は、有利には、2λeffのオーダーにされる。
光バイオリアクターの動的操作では、その底部において、加圧ガスが、有利に(随意に栄養素ととともに)注入されていることをさらに想定する。この注入は、特に「スパージャー(sparger)」と呼ばれるデバイスを介して、生物学的液体を上昇させるような気泡の流れの形成をもたらす。従って、光バイオリアクターは、培養培地(3)の底部に配置された気泡発生システム(13)を有利に備える。
この古典的な原理に従って機能する反応器は、撹拌(airlift)反応器と呼ばれている。上方向に(その後下方向に)向き合わせされているが、液体の主要な流れによって、微細藻類が光拡散チューブ(4)の間で横方向に「拡散される」ように導かれる。この方向において、光拡散チューブ(4)から離れる際に光減少プロファイルが指数関数に従うので、従って、移動する微細藻類が可変光を収光する。微細藻類は、こうして波長λeffの平均出力を受け取る。各微細藻類によって受け取られた光量のこの「平均化した」効果は、2つの光拡散チューブ(4)の間の微細藻類の拡散時間が、藻類のライフサイクルに比べて非常に短くなり、且つ培養筐体(1)の微細藻類の上昇(又は下降)時間が、好ましくは、短くなる。
微細藻類の成長を最適化するための重要な他のパラメータは、pH、温度等の連続測定を対象とすることである。
一般に、これらのパラメータは、最適な動作を保証するような命令に従って設定される。
第2の態様によれば、本発明は、光合成微生物、好ましくは微細藻類を培養するための本発明の第1の態様に係る光バイオリアクターの使用に関する。
この使用は、エネルギー(バイオ燃料生産)、工業(色素生産)、農業食品(ω−3多価不飽和脂肪酸の生産)、公害防止(二酸化炭素、窒素酸化物(NOx)及び/又は硫黄酸化物(SOx)の排出の浄化)、及びさらに大衆医薬品に関連する用途のために使用することができる。
パラメータ:
・光拡散チューブ(直径10mm);
・立方体筐体(1)(各辺1m);
・10Wの電気出力又は2.5Wの光学的出力(波長650nm)を有するLEDs(2);
・光侵入深さ特性 λ=3.8mm(108セル/mlの濃度);
・単位質量10−11gのナンノクロリス属の藻類(結果として、1g/lの生物質量)、有効しきい値 Ieff=50μmol/m−2/s−1;
・光チューブの「正方」配列
これは、光束が、432μmol/m−2/s−1であるその入射光束から推定される。
上述した式を用いて、有効長λeff=8.5mmが得られる。
総照明面積は、従って43m2であり、LED(2)の瞬間的な電力消費は、従って、放散される10.28kWthを含んで13.7kWとなる。
Claims (24)
- 微生物培養培地を収容することを意図した少なくとも1つの培養筐体と、該培養筐体の外側の少なくとも1つの光源と備えるような、光合成微生物、好ましくは微細藻類の特に連続培養を対象とする光バイオリアクターであって、
該光バイオリアクターは、前記培養筐体の内側に配置された少なくとも1つの円筒形状又は角柱形状の光拡散要素をさらに備えており、該光拡散要素は、光源によって放出された光子を集光するとともに、それら集光された光を前記光拡散要素の側面によって前記培養培地に戻すように、前記光源に光学的に結合されている、
光バイオリアクター。 - 前記光拡散要素は、前記光源が配置される端部において、光を吸収しない透明材料から形成された中実要素である、
請求項1に記載の光バイオリアクター。 - 前記光拡散要素は、部分的な光拡散性を有する材料から形成された介在物を含む、
請求項2に記載の光バイオリアクター。 - 前記光源と前記光拡散要素との間の接合部分は、光子の透過性を向上させる光学グリスで処理されている、
請求項2又は3に記載の光バイオリアクター。 - 前記光拡散要素は、前記光源が配置される端部において、透明材料から形成された中空要素である、
請求項1に記載の光バイオリアクター。 - 半反射層(7)が、前記光拡散要素の内側に配置される、
請求項5に記載の光バイオリアクター。 - 半反射層(8)が、前記光拡散要素の外側に配置される、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光バイオリアクター。 - 半反射層(7,8)が、前記光拡散要素を含む材料の光屈折率よりも大きい光屈折率を有する金属又は金属酸化物の材料、好ましくはアルミニウムで形成されている、
請求項6又は7に記載の光バイオリアクター。 - 半反射層の厚さ(7,8)が、前記光源からの距離によって減少する、
請求項6乃至8のいずれか一項に記載の光バイオリアクター。 - 前記光拡散要素は、ポリメチルメタクリレートで形成されている、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の光バイオリアクター。 - 前記光源は、準点光源であり、前記光拡散要素は、光拡散チューブである、
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の光バイオリアクター。 - 前記光源は、線状光源であり、前記光拡散要素は、平行六面体の光拡散器である、
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の光バイオリアクター。 - 前記光源は、準点状又はストリップ形状として分布された発光ダイオード(LED)又は発光ダイオード(LEDs)のセット、好ましくは高出力発光ダイオード(HPLED)又は高出力発光ダイオード(HPLEDs)のセットである、
請求項10又は11に記載の光バイオリアクター。 - 収束レンズが、LED(2)と前記光拡散要素との間に配置される、
請求項13に記載の光バイオリアクター。 - 内部が反射性を有する光学系(41)が、前記LED(2)を取り囲む、
請求項13又は請求項14に記載の光バイオリアクター。 - 光源の反対側の前記光拡散要素の端部には、ミラーが設けられている、
請求項1乃至15のいずれか一項に記載の光バイオリアクター。 - 光源の反対側の前記光拡散要素の端部は、円錐形状又はドーム形状である、
請求項1乃至16のいずれか一項に記載の光バイオリアクター。 - 前記光拡散要素の外面が、光拡散を向上させるための適合された凹凸面を有する、
請求項1乃至17のいずれか一項に記載の光バイオリアクター。 - 前記光拡散要素の外面は、保護シース内に封入されている、
請求項1乃至18のいずれか一項に記載の光バイオリアクター。 - 前記光拡散要素は、前記シースを取り囲む洗浄スクレーパを備える、
請求項19に記載の光バイオリアクター。 - 光源の冷却用システムを備える、
請求項1乃至20のいずれか一項に記載の光バイオリアクター。 - 前記培養培地の底部に気泡発生システムを備える、
請求項1乃至21のいずれか一項に記載の光バイオリアクター。 - 光合成微生物、好ましくは微細藻類を培養するための請求項1乃至22にいずれか一項に記載の光バイオリアクターの使用。
- 光源によって放出された光子を集光するとともに、それら集光された光子を光拡散要素の側面によって戻して、光バイオリアクターの培養培地を照明するような、前記光源に光学的に結合された円筒形状又は角柱形状の光拡散要素の使用。
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