JP2014512828A - 発酵によるエタノールの収率を高めるためのセルラーゼ及びグルコアミラーゼの使用 - Google Patents

発酵によるエタノールの収率を高めるためのセルラーゼ及びグルコアミラーゼの使用 Download PDF

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Abstract

改良された糖化プロセスは、グルコアミラーゼ及び少なくとも1種類のセルラーゼの使用を含む。改良された本糖化プロセスによれば、エタノールなどの発酵産物の収率が高められる。一実施形態では、改良された本糖化プロセスにより、市販のセルラーゼを使用してエタノールの収率が最大で0.5%〜1%高められる。改良された同時糖化発酵(SSF)プロセス、並びに液化デンプンスラリー、グルコアミラーゼ、及びセルラーゼを含む組成物も提供される。
【選択図】図2

Description

(優先権)
本出願は、2011年4月29日出願の米国特許仮出願第61/481,094号に基づく優先権を主張するものであり、当該出願をその全容にわたって本明細書に援用するものである。
(発明の分野)
本発明は、デンプン及び/又はバイオマスの発酵、詳細にはこうした発酵による産物の収率、例えばエタノールの収率を高めるためのプロセスに関する。詳細には、本発明は、デンプン及び/又はバイオマスを糖化及び/又は発酵させることと合わせて、グルコアミラーゼ及びセルラーゼを用いた発酵(同時糖化発酵(simultaneous saccharification and fermentation)(SSF)プロセスを含む)によりエタノールを生産するための組成物及びプロセスに関する。
エタノールなどの有用な産物を生産するためのデンプン及び/又はバイオマスの工業的発酵は、かねてより大きな関心が寄せられている領域である。エタノールの多くの用途の中には、食品及び飲料、並びに工業用の化学物質、燃料添加剤、又は液体燃料における用途がある。今日の経済的、社会的、政治的、環境的、エネルギー的、及び地質学的な問題のために、燃料エタノールは特に高い関心を集めている。エタノールは、潜在的な燃料源として、また、再生可能な資源から得られることから、化石燃料源への依存度を低下させ、望ましくない排気物質を低減し、ガソリンエンジンの性能を向上させ、大気中の二酸化炭素の蓄積を減少させるうえで助けとなりうるものである。
主にセルロースからなる材料の糖化及び発酵からエタノールを得ることに関心が集まっている一方で、エタノールの大部分はデンプン質の発酵により生産されている。デンプンを含有する原材料からのエタノール製造の一般的なプロセスでは、酵素によって触媒される連続した2工程が行われることにより、発酵に先立ってデンプンからグルコースが放出される。第1の工程は、α−アミラーゼによって触媒されるデンプンの液化である。α−アミラーゼ(EC 3.2.1.1)は、内部のα−1,4−D−グルコシド結合をランダムに切断するエンドヒドロラーゼである。これらのアミラーゼは、デンプンスラリーをより短鎖のマルトデキストリンに分解可能である。α−アミラーゼがデンプンを分解するに従って、その混合物の粘度は低下する。液化は通常、高温で行われるため、バチルスsp.(Bacillus sp.)由来のα−アミラーゼなどの耐熱性のα−アミラーゼが好ましくは使用される。近年、液化を向上させるとともに、多くの興味深く、新規かつ有用な酵素特性を与える目的で、多くの新たなα−アミラーゼが開発されている。
酵素的液化は多工程のプロセスでありうる。例えば酵素の添加後に、スラリーを約60〜95℃、一般的には約78〜88℃の温度に加熱する。この後、例えばジェットクッカー又は他の何らかの手段により通常、約95〜125℃の温度にまでスラリーを加熱した後、約60〜95℃にまで冷却する。更なる酵素を加え、このマッシュを、更に約0.5〜4時間、所望の温度、一般的には約60〜95℃に保つ。特定の場合では、マッシュの粘度を低下させるためにセルラーゼを液化槽に加えることが知られている。この目的で使用される市販のセルラーゼ製品の例としては、ダニスコ社ジェネンコア部門(Danisco’s Genencor Division)により販売される異なるOPTIMASH(商標)、例えばOPTIMASH(商標)BG、OPTIMASH(商標)TBG、OPTIMASH(商標)VR、及びOPTIMASH(商標)XLが挙げられる。
このような液化プロセスにおける粘度の低下、及びより長鎖のデンプン分子からより短鎖のマルトデキストリン分子への切断にも関わらず、これらのマルトデキストリンは酵母により容易に発酵されてアルコールを生成することはできない。したがって、マルトデキストリンを更に分解するために、第2の酵素触媒工程である糖化が必要とされる場合がある。グルコース、マルトース、及びイソマルトースを放出させるため、液化後に形成されるマルトデキストリンの非還元末端の加水分解を触媒する目的でグルコアミラーゼ及び/又はマルトジェニックα−アミラーゼが一般的に用いられる。プルラナーゼのような脱分枝酵素も糖化を助ける目的で使用することができる。糖化は一般的に、例えば約60℃の高温、pH 4.3の酸性条件下で行われる。
基礎的な酵素デンプン液化プロセスは充分に確立されたものであるが、商業的なデンプンの加工処理の更なる改良が有用であると考えられる。詳細には、原材料(例えばトウモロコシなどの穀類)の粉砕、並びにデンプンのゼラチン化及び液化の後にセルロース性物質が残る。この繊維状セルロース性物質は、一定量のデンプンを閉じ込めるか又は結合しうるために、理論的収率及び実際の収率の両方を低下させるものである。液化においてセルラーゼを使用することでスラリーの粘度を低下させることができる。例えば、Ohgrenら、Process Biochemistry,Vol.42,pp.834〜839,2007を参照されたい。セルラーゼは、針葉樹パルプ又はサトウキビバガスなどの前処理したリグノセルロース材料のSSFプロセスにおいても使用することができる。例えば、Kovacsら、Process Biochemistry,Vol.44,pp.1323〜1329,2009、及びda Silvaら、Bioresource Technology,Vol.101,pp.7402〜7409,2010を参照されたい。米国単独で454億リットル(120億ガロン)というエタノールの年間生産量を考慮した場合、たとえわずかな再現可能な収量の改善であっても、追加的なエネルギーの投入をともなわずに実現可能なものであるならば有益であることから、エタノールなどの発酵産物の収量を高めることが可能なプロセスは、当該技術分野における進歩となるものである。
デンプン含有材料を糖化及び発酵させるためのプロセスが提供される。発酵ストック用に、セルラーゼ及びグルコアミラーゼの存在下でデンプン質の植物性材料(穀物など)を糖化することによって産物の収率を高めることができる。本プロセスでは、液化の後、例えば好ましくは糖化及び/又は発酵の間にセルラーゼ及びグルコアミラーゼを加えることを行う。本プロセスは、当該技術分野において知られているものとは以下の点で異なっている。すなわち、(1)液化においてセルラーゼを使用することでスラリーの粘度を低減させる(セルラーゼは、高温の液化工程の最後に一般的に不活化される)、及び(2)デンプン含量の低い高セルロース材料のSSFプロセスにおいてセルラーゼを使用する。酵素は、例えば同時糖化発酵(SSF)において加えることができる。いずれの特定の作用機序も制限されることなく、これらの酵素は、セルロース性物質の一部を加水分解し、かつ/又はセルロース繊維に結合しているか又は閉じ込められたデンプン分子の放出を促進することができる。機序とは関係なく、これらの酵素を添加することの最終的な効果は、産物の収率の向上であり、これは、追加的な発酵性物質の放出/変換によって追加的なグルコースが生成することに明らかによるものである。
乾式粉砕エタノール施設の副産物又は同時産物である可溶性物質添加乾燥蒸留穀物残渣(DDGS)は、一般的に約20%以上の全グルカンを含有しており、そのうちの約16%(乾燥重量基準)はセルロースに由来するものである。(Youngmiら、Bioresource Technology,99:5165〜5176(2008)を参照されたい)。このセルロースは、完全にグルコースに変換された場合、理論上はトウモロコシ1ブッシェル当たり約0.379L(0.1ガロン)の追加的なエタノールを生成しうる。(Saville and Yacyshyn、「Effect of Cellulase Supplementation on Cookline Operation in A Dry Mill Ethanol Plant」、27th Symposium on Biotechnology for Fuels and Chemicals.,May 1〜4,2005,Denver,COを参照されたい)。例えばエタノール発酵では、産物の収率を0.4〜0.5%高めることが可能である。業界全体で使用された場合、このような改善により、米国内で年間に、182〜227百万リットル(48〜60百万ガロン)の追加的なエタノールが生産されることになる。
すなわち、第1の態様では、デンプン含有基質を糖化して発酵ストックを生産するための方法が提供される。本方法は、(a)少なくとも一定量のセルロース性材料を含有する液化デンプンスラリー(すなわち液化物)を、酵素活性にとって十分な条件下でグルコアミラーゼ及びセルラーゼの両方と接触させる工程と、(b)酵素活性を生じるための時間を与え、これにより発酵ストックを生産する工程と、を含む。好ましくは酵素活性は、少なくとも、(a)発酵ストック中の少なくとも1種類の発酵性糖の濃度を高めるか、(b)セルロースに結合しているか若しくは閉じ込められた少なくとも1つのデンプン鎖を放出させるか、又は(c)液化デンプンスラリー中に存在するセルロース性材料の一部を加水分解するうえで十分である。
一実施形態では、デンプン基質を発酵させることによって産生される発酵産物の収率を高めるための方法が提供される。本方法は、少なくとも一定量のセルロース性物質を含有する液化デンプンを選択する工程と、液化デンプンを、酵素活性にとって十分な条件下でグルコアミラーゼ及びセルラーゼの両方と接触させる工程と、この後、混合物を発酵させて発酵産物を生産する工程とを一般的に含む。本発明の好ましい一実施形態では、発酵産物はエタノールである。異なる実施形態において、発酵産物の収率を約0.1%〜約1.0%高めることができる。
更なる実施形態では、液化穀物デンプンを同時に糖化及び発酵させるための方法が提供される。本方法は、(1)液化デンプンスラリーを、酵素活性及び発酵にとって十分な条件下、発酵に適した生物の存在下でグルコアミラーゼ及びセルラーゼと接触させる工程と、(2)酵素活性及び発酵を進行させる工程と、を含む。一実施形態では、発酵は少なくとも24〜約72時間にわたって進行する。この発酵では、セルラーゼが加えられていないコントロール発酵と比較して産物の収率が向上しうる。一実施形態では、発酵によりエタノールが産生され、エタノールの収率が例えば約0.1〜約1.0%高められる。
更なる別の態様では、液化デンプンスラリー、グルコアミラーゼ、及びセルラーゼを含む組成物が提供される。本組成物は、エタノール又は他の有用な産物の発酵用の原料を調製するうえで有用である。
乾燥固形分(DS)32%のトウモロコシマッシュの72時間の発酵におけるエタノール収率に対するセルラーゼ添加の効果を示す。この実験ではSSFプロセスを用いた。グルコアミラーゼは、0.4GAU/g(トウモロコシ)のG−ZYME 480(ダニスコ・ユー・エス社ジェネンコア部門(Danisco US Inc., Genencor Division))を用いた。セルラーゼは、ACCELLERASE 1000(ダニスコ・ユー・エス社ジェネンコア部門(Danisco US Inc., Genencor Division))を乾燥トウモロコシ1000kg(メートルトン)当たり5kgで加えた。コントロールはグルコアミラーゼを含有しているが、セルラーゼは加えなかった。エタノール、DP1、及びDP2の濃度を、コントロール及びセルラーゼ処理について測定した。Y軸は濃度(g/L)を示し、X軸は発酵の時間を反映している。 グルコアミラーゼの存在下で、液化物中の乾燥固形分1000kg(メートルトン)当たり0、5、10、及び50kg(kg/1000kg(MT)DS)のセルラーゼ酵素を加えた結果を示す棒グラフ。Y軸は、示された時間におけるエタノールの量(g/L)を示す。 グルコアミラーゼ(0.4GAU/g(トウモロコシ)のG−ZYME(ダニスコ・ユー・エス社ジェネンコア部門(Danisco US Inc., Genencor Division)))及びセルラーゼ(0.5〜2kg/1000kg(MT)DSのACCELLERASE 1500(ダニスコ・ユー・エス社ジェネンコア部門(Danisco US Inc.,Genencor Division)))をトウモロコシマッシュの発酵に加えた1つの実験の結果を示す。エタノールの収率に対するグルコアミラーゼ及びセルラーゼの効果を示す。グラフは、加えたセルラーゼの量(w/w % DS)に対する最終的なエタノールの量(v/v %)をY軸に示す。 グルコアミラーゼ(0.4GAU/g(トウモロコシ)のG−ZYME(ダニスコ・ユー・エス社ジェネンコア部門(Danisco US Inc., Genencor Division)))及びセルラーゼ(0.5〜2kg/1000kg(MT)DSのACCELLERASE 1500(ダニスコ・ユー・エス社ジェネンコア部門(Danisco US Inc., Genencor Division)))をトウモロコシマッシュの発酵に加えた1つの実験の結果を示す。図3に示される実験において加えられたセルラーゼの量に対する発酵中のグルコースの最終濃度を示す。グラフは、加えたセルラーゼの量(w/w % DS)に対する最終的なグルコース濃度(w/v %)をY軸に示す。
本発明において提供されるプロセスは、液化後のデンプン質を糖化する際のセルラーゼ酵素の使用を含む。穀物などのデンプン質の糖化又はSSFにおいてセルラーゼを添加することにより、発酵産物の収率を高めることができる。改良された糖化又はSSFプロセスにより、有利な点としてグルコースの濃度が増大するか、セルロース性物質に結合、会合、又は閉じ込められた1つ以上のデンプン分子が放出されるか、又は例えば乾燥粉砕及び液化後に残るセルロースの少なくとも一部が分解される。一実施形態では、改良された糖化プロセスにより、グルコアミラーゼとともに加えられる市販のセルラーゼを使用して、エタノールの収率が高められる。
1.用語の定義及び略号
本説明文に基づけば、以下の略号及び定義が適用される。本明細書で使用するところの単数形「a」、「an」、及び「the」には、そうでないことが内容によって明らかに示されないかぎり、複数の指示対象物が含まれる。したがって、例えば「酵素」という場合には、複数のこうした酵素が含まれ、「配合物」という場合には、当業者には周知の1つ以上の配合物及びその均等物などが含まれる。本明細書で使用するところの「有する(comprising)」及びその類語は、その包括的な意味において使用され、すなわち、「含む(including)」及びその対応する類語と同等なものとして使用される。
特に定義されないかぎりは、本明細書で使用する技術用語及び科学用語はいずれも、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。以下の用語を下記に示す。
1.1.用語の定義
ある数値又は数値の範囲に関して「約」なる用語は、その数値が、記載される値よりも最大で10%大きいか又は小さいものでありうることを示す。他の実施形態において、「約」とは、ある数値が、記載される値よりも最大で5%大きいか又は小さいものでありうることを示す。
本明細書で使用するところの「デンプン」とは、式(C10(式中、Xは任意の正の整数でありうる)を有する、アミロース及びアミロペクチンで構成された、植物の複雑な多糖炭水化物からなる任意の物質のことを指す。詳細には、この用語は、穀物、草、塊茎、及び根を含むがこれらに限定されない、任意の植物系物質のことを指す。好ましくは、デンプン質は、小麦、大麦、トウモロコシ、ライ麦、オート麦、米、ソルガム又はマイロ、糠、キャッサバ、キビ、ジャガイモ、サツマイモ、及びタピオカである。本明細書の目的では、「ソルガム」には、「マイロ」としても知られる「グレインソルガム」が一般的に含まれる。
「スラリー」なる用語は、少なくとも一定量の不溶性固形物を含有する水性混合物のことを指す。スラリーは、1つ以上の可溶性成分も含みうる。粉砕穀物、小麦粉、又はデンプンは、アミラーゼを試験するため、又は液化プロセスを行うためのスラリーを形成する目的でしばしば水性溶液中に懸濁される。
「ゼラチン化」とは、加熱によってデンプン分子を安定化させて粘稠懸濁液を形成することを意味する。
「液化」なる用語は、デンプンを、より粘度が低く、より短鎖の可溶性デキストリンに「液化」すなわち変換するプロセスを意味する。液化のプロセスでは、デンプンのゼラチン化を少なくともα−アミラーゼの添加と同時に行うか、デンプンのゼラチン化の後に少なくともα−アミラーゼを添加する。したがって、液化とは、ゼラチン化されたデンプンが酵素的に加水分解され、これにより例えばデンプンの鎖長が低減されると同時に粘度が低下する段階である。本明細書で使用するところの「液化」とは、液化デンプンスラリー、すなわち得られる加水分解混合物のことを指す。こうした液化物は、一般的に発酵とともに糖化プロセスの開始物質である。
本明細書で使用するところの「糖化」とは、グルコースへのデンプンの酵素的変換のことを指す。液化の後、デンプンスラリーは、「糖化」されてマルトデキストリンが例えばグルコース、マルトースなどの発酵性糖に変換される。糖化では、酵素、特にグルコアミラーゼが使用されるが、脱分枝酵素もしばしば使用される。
「重合度(DP)」なる用語は、所定の糖類中の無水グルコピラノース単位の数(n)のことを指す。DP1の例は、グルコース及びフルクトースなどの単糖類である。DP2の例は、マルトース及びスクロースなどの2糖類である。DP>3は、重合度が3よりも大きいポリマーを示す。DPは、糖(低DP)へのデンプン(高DP)の相対的分解度の尺度として用いることができる。「DE」又は「デキストロース等量」なる用語は、全炭水化物の一画分としての還元糖の比率(%)として定義される。
「同時糖化発酵」(SSF)とは、原材料(例えば、全粒又はデンプン及びセルロース性物質を含む他のバイオマス)を糖化する工程と、発酵工程とが一緒に行われる単一のプロセスに組み合わされた特定の種類の発酵プロセスのことを指す。
「アミラーゼ」とは、デンプン、アミロース、アミロペクチンなどの分解を特に触媒することが可能な酵素を意味する。一般的に、アミラーゼは、(a)3個以上のα−D−(1→4)−結合したグルコース単位を含む多糖類中のα−D−(1→4)O−グリコシド結合を切断するエンド切断酵素活性(例えば、α−アミラーゼ(EC 3.2.1.1;α−D−(1→4)−グルカングルカノヒドロラーゼ)に見られるような)、及び、(b)基質分子を非還元末端から順次切断するエキソ切断アミロース分解活性を有する。後者の例は、β−マルトースを生成するβ−アミラーゼ(EC 3.2.1.2)に見られる。β−アミラーゼ、α−グルコシダーゼ(EC 3.2.1.20;α−D−グルコシドグルコヒドロラーゼ)、グルコアミラーゼ(EC 3.2.1.3;α−D−(1→4)−グルカングルコヒドロラーゼ)、及び生成物特異的アミラーゼは、それぞれの基質から特定の長さのマルトオリゴ糖を生成することができる。
「α−アミラーゼ」(例えば、E.C.3.2.1.1)とは一般的に、α−1,4−グルコシド結合の加水分解を触媒する酵素のことを指す。これらの酵素は、1,4−α−結合したD−グルコース単位を含む多糖類中の1,4−α−D−グルコシド結合の加水分解を行う。これらのα−アミラーゼは、α立体配置の還元基を放出する。本開示の目的では、「α−アミラーゼ」には特に、比較的高い熱安定性を有する、すなわち高温で持続的な活性を有するαアミラーゼ酵素が含まれる。例えば、α−アミラーゼは、80℃よりも高い温度でデンプンを液化するうえで有用である。
酵素に関して「活性」とは、触媒活性を意味し、活性の速度、活性の量、又は比活性などの酵素活性の任意の許容される尺度を含む。本明細書で使用するところの「比活性」とは、特定の条件下で単位時間当たりに酵素調製物によって生成物に変換される基質のモル数として定義される酵素単位を意味する。比活性は、単位(U)/mg(タンパク質)として表される。
「α−アミラーゼ単位」(AAU)とは、米国特許第5,958,739号に開示される方法に従って測定したα−アミラーゼ活性のことを指す。簡単に述べると、このアッセイでは、化学的にブロックされた非還元末端糖を有する基質としてp−ニトロフェニルマルトヘプトシド(PNP−G7)を使用する。PNP−G7は、例えばα−アミラーゼなどのエンドアミラーゼによって切断することができる。切断の後、α−グルコシダーゼ及びグルコアミラーゼが基質を消化して遊離PNP分子を遊離させるが、このPNP分子は黄色味を呈し、可視分光測光法により410nmで測定することができる。PNPの放出速度はα−アミラーゼ活性に比例している。所定の試料のAAUを標準コントロールに対して計算する。AAUの1単位は、特定の条件下で1分当たり10mgのデンプンを加水分解するために必要とされる酵素の量を指す。
「グルコアミラーゼ」は、アミロース及びアミロペクチン分子の非還元末端からグルコシル残基を放出させるエクソ作用型アミラーゼの一種である。グルコアミラーゼは、α−1,4結合よりも大幅に遅い速度であるが、α−1,6及びα−1,3結合の加水分解も触媒する。グルコアミラーゼ活性は、「グルコアミラーゼ単位」(GAU)で表すことができる。
本明細書で使用するところの「セルロース」とは、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、関連するβ−D−グルカンなどを含む総称である。
本明細書で使用するところの「セルラーゼ」とは、セルロース、すなわちセルロースの各成分のいずれか、例えば穀物中に見出されるもののような、セルロース、ヘミセルロース、リグニン及び/又は関連するβ−D−グルカン中の1,4−β−D−グリコシド結合などを加水分解するあらゆる酵素のことを指す。したがって、「セルラーゼ」には、E.C.3.2.1.4(セルラーゼ/エンドセルラーゼ)、E.C.3.2.1.91(エキソセルラーゼ)、及びE.C.3.2.1.21(セロビアーゼ)として分類される酵素のすべてのものが少なくとも含まれる。エンドセルラーゼの例としては、エンド−1,4−β−グルカナーゼ、カルボキシメチルセルラーゼ(CMCアーゼ)、エンド−1,4−β−D−グルカナーゼ、β−1,4−グルカナーゼ、β−1,4−エンドグルカンヒドロラーゼ、及びセルデキストリナーゼが挙げられる。エクソセルラーゼの例としては、セルロース分子の還元末端から作用するセロビオヒドロラーゼ、及びセルロース分子の非還元末端に作用するセロビオヒドロラーゼが挙げられる。β−グルコシダーゼはセロビアーゼの別名である。本明細書の特定の実施形態では、セルラーゼとは、エンドセルラーゼ、エキソセルラーゼ、ヘミセルラーゼ及びβ−グルコシダーゼのうちの1つ以上のもの、又はこれらの任意の組み合わせを選択的に指す。例えば、エキソ及びエンドグルカナーゼ、ヘミセルラーゼ、並びにβ−グルコシダーゼを含有する、ACCELLERASE 1000及びACCELLERASE 1500などのダニスコ社ジェネンコア部門(Danisco’s Genencor Division)の製品を含む、セルラーゼ組成物の市販の調製物が本明細書における使用に適している。
「タンパク質」及び「ポリペプチド」なる用語は、本明細書で互換可能に使用される。
「〜に由来する」なる用語には、「〜を起源とする」、「〜から得られる」又は「〜から得ることが可能な」、及び「〜から単離された」なる用語が含まれる。
「発酵」とは、より単純な有機化合物を生成するための微生物による有機物質の酵素的及び/又は嫌気的分解である。発酵は嫌気的条件下で起こるが、発酵は様々な濃度の酸素の存在下でも起こることから、この用語は厳密な嫌気的条件のみに限定されるものではない。発酵には、顆粒状デンプンを含むデンプン基質の最終産物への少なくともいずれかの発酵性生物変換(例えば、容器又は反応器中での)が含まれる。
「接触させる」なる用語は、酵素が対応する基質と十分に近接して基質を最終産物に変換することができるように、反応器、容器などの中にそれぞれの酵素を入れることを言う。当業者であれば、酵素(例えば溶液中の)を、比較的純粋又は粗形態の1つ以上の対応する基質と混合することにより接触が実現されうることは認識されるところであろう。
本明細書で使用するところの「乾燥固形分含量(ds)」なる用語は、乾燥重量基準での混合物(例えばスラリー)の全固形分のことを指す。乾燥固形分含量及び乾燥重量基準は、例えば全乾燥物質の重量の比率(%)としての対象物質の重量として通常表される。
「残留デンプン」なる用語は、発酵後の穀物副産物中に存在するデンプンの量のことを指す。一般的に、100gのDDGS中に存在する残留デンプンの量は、エタノール生産プロセスなどの発酵プロセスにおけるデンプンの利用効率を評価するためのパラメータの1つとなりうる。
本明細書で使用するところの「再利用工程」とは、残留デンプン、酵素、及び/又は微生物を含みうるマッシュ成分を再利用してデンプンを含む基質を発酵させることを指す。
「マッシュ」なる用語は、アルコールなどの発酵産物を生産するために使用される発酵性炭素源(炭水化物)を水に混合した混合物のことを指す。幾つかの実施形態では、「発酵マッシュ(beer)」及び「マッシュ」なる用語は互換可能に用いられる。
「蒸留廃液」なる用語は、発酵したマッシュからアルコールを除去した後の残渣である、非発酵固形分と水との混合物のことを意味する。
「乾燥蒸留穀物残渣(distillers’ dried grain)」(DDG)及び「可溶性物質添加乾燥蒸留穀物残渣(distillers’ dried grain with solubles)」(DDGS)なる用語は、穀物発酵の有用な副産物のことを指す。
本明細書で使用するところの「微生物」には、あらゆる細菌、酵母、又は真菌種が含まれる。
本明細書で使用するところの「エタノール産生微生物」とは、糖又はオリゴ糖をエタノールに変換する能力を有する微生物性のことを指す。エタノール産生微生物は、個々に又は協働して糖をエタノールに変換する1つ以上の酵素を発現する能力のためにエタノール産生性となっている。
本明細書において使用するところの「エタノール産生者」又は「エタノール産生微生物」とは、ヘキソース又はペントースからエタノールを産生することが可能な任意の生物又は細胞のことを言う。一般的にエタノール産生細胞は、アルコールデヒドロゲナーゼ及びピルビン酸デカルボキシラーゼを含んでいる。エタノール産生微生物の例としては、酵母などの真菌性微生物が挙げられる。エタノール生産に使用される一般的な酵母には、例えばS.セレビシエ(S. cerevisiae)などのサッカロマイセス(Saccharomyces)の種及び株が含まれる。
ポリヌクレオチド又はタンパク質に関して用いられる「異種の」なる用語は、宿主細胞中に天然に存在しないポリヌクレオチド又はタンパク質のことを言う。幾つかの実施形態では、タンパク質は商業的に重要な工業用タンパク質である。この用語には、天然に存在する遺伝子、突然変異遺伝子、及び/又は合成遺伝子によってコードされたタンパク質が含まれるものとする。
ポリヌクレオチド又はタンパク質に関して用いられる「内因性の」なる用語は、宿主細胞中に天然に存在するポリヌクレオチド又はタンパク質のことを言う。
本明細書で使用するところの「回収された」、「単離された」及び「分離された」なる用語は、それらが天然状態で関連している少なくとも1つの成分から取り除かれた化合物、タンパク質、細胞、核酸又はアミノ酸のことを指す。
エタノールの収率に関して用いられる「収率」なる用語は、所定量の開始物質からの特定の化合物、例えばエタノールの生成率のことを言う。「収率」は、開始物質から特定の時間の間に生成する生成物として表すことができる。一実施形態では、エタノールの収率は、トウモロコシ1ブッシェル当たりに生成される未変性エタノールのガロン数を反映した「gal UD/ブッシェル(トウモロコシ)」として計算される。1ブッシェルのトウモロコシの重さは約25.4kg(56ポンド)である。
「ATCC」とは、20108バージニア州マナッサス所在のアメリカ培養細胞系統保存機関(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)(ATCC))のことを指す。
1.2.略号
特に断りのないかぎりは以下の略号を使用する。すなわち、
Figure 2014512828
2.エタノール生産
その態様の1つにおいて、本明細書において提供される改良された糖化プロセスは、エタノールの生産に特に有用である。一般的に、デンプン含有材料からのアルコール(エタノール)の生産は、粉砕、液化、糖化、及び発酵の4つの工程に大きく分けることができる。
2.1.原材料
本開示のデンプン加工処理、特に本開示のエタノールプロセスでは、開始原材料は、相当量のデンプン源及び少なくとも一定量のセルロース性物質源の両方を含む材料であることが好ましい。一般的に原材料(例えばトウモロコシ穀粒)のセルロース性物質の含有量は、5%未満である(乾燥質量基準)。例えば、Kimら、Bioresour.Technol.Vol.99,pp.5177〜5192(2008)を参照されたい。一実施形態では、デンプンとセルロースとは天然の状態では緊密に会合している。典型的な1つの応用例では、本明細書で使用するためのデンプン源は、全粒であるか又は少なくとも大部分が全粒である。原材料は、トウモロコシ、ジャガイモ、キャッサバ、ソルガム又はマイロ、小麦、大麦、ライ麦、オート麦などを含む様々なデンプン含有作物から選択することができる。一実施形態では、デンプン含有原材料は穀物である。特定の好ましい実施形態では、デンプン含有原材料は、トウモロコシ、小麦、及び大麦からなる群、又はこれらの任意の組み合わせから選択される全粒であってよい。
2.2.粉砕
穀物は、その構造を開いて更なる加工処理を行うことができるように粉砕される。一般的に使用されている3つのプロセスとしては、湿式粉砕法、乾式粉砕法、及び各種の分画法がある。乾式粉砕では、全粒を粉砕してプロセスのその後の工程で使用する。これに対して、湿式粉砕法は胚芽と粗挽き粉(デンプン顆粒及びタンパク質)との分離性が極めて良好であるため、シロップが並行して生産される場所では、幾つかの例外を除いて通常、用いられている。湿式又は乾式粉砕法の変法などの異なる分画法によれば、穀物の各成分の分離性はより高いか、又はより低くなる。乾式粉砕法は、エタノール発酵では最も頻繁に使用される粉砕法である。本明細書における使用では、高度に精製されたデンプンは必要ではなく、少なくとも一部のセルロース残渣がデンプンと会合したままとなることが好ましい。したがって、開示されるプロセスと使用するには乾式粉砕法がよく適している。
2.3.ゼラチン化及び液化
幾つかの実施形態では、上記に述べたようにして調製したデンプン基質を、水とともにスラリー化する。このようなデンプンスラリーは、デンプンを、約10〜55%、約20〜45%、約30〜45%、約30〜40%、又は約30〜35%の乾燥固形分の重量比率(%)で含有しうる。本発明の好ましい一実施形態では、ds含量は、約20%〜約35%でありうる。スラリーのpHは、有用性又は必要性に応じて、例えば酵素の安定性及び/又は活性を最大化するために、例えばNaOH又はHClによって調整することができる。α−アミラーゼの安定性及び活性を高める又は最適化するためにpHを調整することが時として有益である。
本明細書における液化では、あらゆる従来の液化プロセスが、他のそれほど従来からは用いられていない液化方法と並んで適当である。α−アミラーゼは、液化の目的を達成するために任意の有効量で使用することができる。本明細書では、従来用いられているよりも高用量を使用することができる。本明細書では、必要とされる粘度の低下及びデンプンの分解を実現するうえで有効であるならば、異なる液化の時間及び/又は温度の使用も考えられる。液化に適した任意のα−アミラーゼを使用することが可能であるが、本明細書における使用が考えられる代表的なα−アミラーゼとしては、GC 358及びSPEZYME(登録商標)XTRA(ダニスコ・ユー・エス社ジェネンコア部門(Danisco US Inc., Genencor Division))、並びにLIQUOZYME(登録商標)SC及びLIQUOZYME(登録商標)SC DS(ノボザイムズ社(Novozymes A/S)、デンマーク)が挙げられる。また、これらに限定されるものではないが、SPEZYME(登録商標)FRED、SPEZYME(登録商標)HPA、Maxaliq(商標)ONE(ダニスコ・ユー・エス社ジェネンコア部門(Danisco US Inc., Genencor Division))、及びFUELZYME(登録商標)LF(ベレニウム社(Verenium Corp.))などのα−アミラーゼ製品を液化に使用することもできる。上記の酵素製品の任意のものの組み合わせ又はブレンドを使用することもできる。
約100〜125℃の温度で通常行われるジェットクッキングなどの従来の高温処理も、高温工程を省略した液化プロセスと同様に本明細書における使用が考えられる。液化物中の残留α−アミラーゼの存在は、本明細書において提供される改良された糖化方法において問題とはならない。
2.4.改良された糖化方法
液化の後、マッシュ又は液化物を糖化により更に加水分化することにより、容易に発酵可能な低分子糖(DP1〜DP2)を生成する。幾つかの実施形態では、1〜4時間の予備糖化工程を、液化工程と糖化工程との間に行ってもよい。糖化において、一般的に加水分解はグルコアミラーゼの存在により酵素的に行われる。一般的に、α−グルコシダーゼ及び/又は酸α−アミラーゼを、グルコアミラーゼに加えて添加してもよい。
改良された本糖化方法では、例えば下記に述べるように、グルコアミラーゼとともにセルラーゼが加えられる。
一態様では、穀物又は他のデンプン質作物などのデンプン含有基質を糖化するための改良された方法が提供される。本方法は、例えば発酵原料の調製において有用である。本方法は、少なくとも一定料のセルロース性物質を含む液化デンプンスラリー(液化物)を特定する工程と、その液化物を、酵素活性にとって十分な条件下でグルコアミラーゼ及びセルラーゼの両方と接触させる工程と、酵素活性が生ずる時間を与える工程とを含む。本方法によって発酵原料が生産され、工業用化学物質、医薬用物質、又は更にはエタノール若しくは他のバイオ燃料を生産するための任意の方式の発酵において有用である。
一実施形態では、酵素活性、特にセルラーゼの活性は、少なくとも(a)発酵ストック中の少なくとも1種類の発酵性糖の濃度を高めるか、(b)セルロースに結合しているか若しくは閉じ込められた少なくとも1つのデンプン鎖を放出させるか、又は(c)セルロース性材料の一部を加水分解するうえで十分である。糖化プロセスにおいてセルラーゼと接触させないか又はセルラーゼで処理しないコントロール液化物に対して、上記の(a)、(b)、又は(c)のいずれかを測定することが可能な実験を行うことができる。
当業者であれば認識されるように、「セルラーゼ」活性は複雑な一群の酵素活性であり、多数のグルカン結合の加水分解を触媒する能力を有する単一のタンパク質又はポリヌクレオチドではない。したがって異なる実施形態において、セルラーゼとは、エキソグルカナーゼ、エンドグルカナーゼ、ヘミセルラーゼ、β−グルコシダーゼ、又はキシラナーゼ活性のいずれか1つ以上、あるいはこれらの任意の組み合わせを有する、一般的にセルラーゼとみなされるか又は称される任意の酵素を含むものである。セルラーゼは、少なくともエキソグルカナーゼ、エンドグルカナーゼ、ヘミセルラーゼ、及びβ−グルコシダーゼ活性を有する。本明細書における使用が考えられる市販のセルラーゼの幾つかの例を下記の項3.3に示す。
セルラーゼは、任意の有用な用量で加えることができる。当業者であれば、いずれかの酵素の過剰量の使用が、例えば糖化処理と同時又は糖化処理の後の発酵に悪影響を及ぼしうることは認識されるところであろう。異なる実施形態において、セルラーゼは、液化物中の乾燥固形分1000kg(メートルトン)当たり約0.05〜約50kg、1000kg(メートルトン)当たり約0.075〜約25kg、1000kg(メートルトン)当たり約0.1〜約12.5kg、1000kg(メートルトン)当たり約0.3〜約6kg、又は液化物中の乾燥固形分1000kg(メートルトン)当たり約0.5〜約1kgの用量で加えられる。本発明の好ましい一実施形態では、液化物中の乾燥固形分1000kg(メートルトン)当たり約5kgのセルラーゼを使用することができる。
また、セルラーゼは、添加されるグルコアミラーゼに対する用量で使用することもできる。異なる実施形態において、セルラーゼ/グルコアミラーゼの比は、約0.00011〜約0.14g/GAU、約0.00017〜約0.07g/GAU、約0.00022〜約0.04g/GAU、約0.00068〜約0.016g/GAU、又は約0.0011〜約0.0028g/GAUでありうる。
デンプン質液化物のあらゆる糖化において、糖化に何らの悪影響を及ぼすことなくセルラーゼが潜在的に含まれうるが、少なくとも経済的な観点からは、セルラーゼを含むことで有益な効果が得られる液化物を特定することが有用である点は理解されよう。したがって、例えばセルロース性材料を含むか又は含む可能性の高い液化物は、穀物、特にトウモロコシなどの乾燥粉砕されたデンプン源から生じる液化物であると考えられる。
接触させる工程は、グルコアミラーゼ又はセルラーゼのいずれかを最初に加える順次的なものとすることができる。接触させる工程は、各酵素を同時又はほぼ同時に加える同時的なものとすることもできる。問題を避けるためには、各酵素が活性を示すための諸条件をより容易に設定できるように、例えば重複するpH、温度、イオン強度、塩及び/又は他の必要条件といった、活性に必要な諸条件が共通する酵素を選択することが好ましい。
一実施形態では、脱分枝酵素、ペクチナーゼ、β−アミラーゼ、及びフィターゼからなる群から選択される1つ以上の追加的な酵素と液化物とを接触させることによって、糖化率を更に向上させることができる。このような酵素は、植物の細胞壁、及び粉砕後に残留し、液化プロセスによって影響されない他の細胞物質を分解するうえで有用である。こうした物質が更に分解されることで、グルコース又はその等価物の生産が、直接的(還元糖の放出により)又は間接的に(例えば、セルロースなどの他の物質に閉じ込められるか又は結合したデンプン分子の放出により)促進されうる。
別の態様では、デンプン基質を発酵させることにより生成される発酵産物の収率を高める方法が提供される。上記の方法と同様、液化後のデンプン含有材料の糖化の際にセルラーゼを加える工程が含まれる。本方法は、少なくとも一定量のセルロース性物質を含有する液化デンプンを選択する工程と、その液化デンプンを、酵素活性にとって十分な条件下でグルコアミラーゼ及びセルラーゼの両方と接触させる工程と、この後、混合物を発酵させて発酵産物を生産する工程とを一般的に含む。
選択工程は、改良された本方法の利点が、適切に選択された液化物、すなわち少なくとも一定量のセルロース性物質が好ましくは存在する液化物をより容易に得ることができるという点で、上記の特定する工程と概ね同様である。一実施形態では、発酵産物はエタノールである。好ましくは、収率の改善率は少なくとも約0.1%〜約1.0%である。エタノールの生産では、少なくとも0.3%〜約0.5%の改善が実際に実現可能である。
セルラーゼは、エキソグルカナーゼ、エンドグルカナーゼ、ヘミセルラーゼ、β−グルコシダーゼ、又はキシラナーゼ活性の1つ以上、あるいはこれらの任意の組み合わせを一般的に有している。一実施形態では、セルラーゼは、少なくともエキソグルカナーゼ、エンドグルカナーゼ、ヘミセルラーゼ、及びβ−グルコシダーゼ活性を有する。
セルラーゼの用量は、上記に述べたものと同様である。したがってセルラーゼは、液化物中の乾燥固形分1000kg(メートルトン)当たり約0.05〜約50kgで加えることができる。一般的に、ACCELLERASE製品(ダニスコ・ユー・エス社ジェネンコア部門(Danisco US Inc., Genencor Division))などの市販のセルラーゼを、乾燥固形分1000kg(メートルトン)当たり約5kgで添加することができる。
接触させる工程及び発酵させる工程は、収率及び他の考慮条件に有用な任意の長さの時間であってよい。好ましくはこれら2つの工程は、全体で、すなわち合わせて約24〜72時間である。しかしながら、必要な場合には、糖化工程単独で数日間持続してもよい。一実施形態では、糖化されるデンプンは、トウモロコシ、小麦、大麦、ソルガム若しくはマイロ、ライ麦、ジャガイモ、又はこれらの任意の組み合わせに由来するものである。より好ましくはデンプンは、例えばトウモロコシマッシュなどのトウモロコシ由来のものでありうる。
本方法は、上記に述べたように、脱分枝酵素、ペクチナーゼ、β−アミラーゼ、及びフィターゼからなる群から選択される1つ以上の追加的な酵素と液化物とを接触させる工程を更に含んでもよい。
当業者であれば認識されるように、完全な糖化には最長約72時間を要しうる。本明細書における使用において本発明で好ましいものでありうる幾つかの実施形態では、糖化工程と発酵工程とは、同時糖化発酵又はSSFと呼ばれる単一の工程に組み合わされる。
SSFに関連して、別の態様では、液化デンプンを同時に糖化及び発酵させるための改良された方法であって、液化物を、酵素活性及び発酵にとって十分な条件下、発酵に適した生物の存在下でグルコアミラーゼ及びセルラーゼと接触させる工程と、酵素活性及び発酵を少なくとも24〜72時間進行させる工程とを含み、発酵が、セルラーゼを加えないコントロール発酵と比較して、向上した産物収率を有する方法が提供される。
本明細書に開示される他の態様と同様、一実施形態における発酵はエタノールを生成し、このエタノール収率が向上している。同様に、セルラーゼは、エキソグルカナーゼ、エンドグルカナーゼ、ヘミセルラーゼ、β−グルコシダーゼ、又はキシラナーゼ活性のいずれか1つ以上を有している。本発明における特定の好ましいセルラーゼは、少なくともエキソグルカナーゼ、エンドグルカナーゼ、ヘミセルラーゼ、及びβ−グルコシダーゼ活性を有する。
セルラーゼの用量は任意の有用な量であってよく、セルラーゼは液化物中の乾燥固形分1000kg(メートルトン)当たり約0.05〜約50kg、1000kg(メートルトン)当たり約0.1〜約25kg、1000kg(メートルトン)当たり約1〜約10kg、又は液化物中の乾燥固形分1000kg(メートルトン)当たり約2.5〜7.5kgで加えられる。本発明の好ましい一実施形態では、液化物中の乾燥固形分1000kg(メートルトン)当たり約5kgのセルラーゼが使用される。
異なる実施形態において、収率は、約0.1〜約1.0%、又は約0.3〜約0.6%高められる。
一実施形態では、接触させる工程と発酵させる工程とを合わせた場合、約24〜72時間を要する。異なる実施形態において、デンプンは、トウモロコシ、小麦、大麦、ソルガム若しくはマイロ、ライ麦、ジャガイモ、又はこれらの組み合わせに由来するものである。代表的なデンプンは、特にエタノール発酵に関連する場合にはトウモロコシである。
場合により、脱分枝酵素、ペクチナーゼ、β−アミラーゼ、及びフィターゼなどの追加的な酵素を、改良された本方法に含めることができる。
改良された糖化の別の態様では、デンプン、グルコアミラーゼ、及びセルラーゼの液化物を含む組成物が提供される。組成物は、発酵の原料を調製するうえで有用である。組成物は、例えば酵素活性に有用な温度よりも低い温度で保存することができ、上記の記載に従って更なる糖化を行うために後で昇温して維持することができる。好ましくは、組成物は、液化物中の乾燥固形分1000kg(メートルトン)当たり約0.05〜約50kgのセルラーゼを含む。デンプンは、トウモロコシ、小麦、大麦、ソルガム若しくはマイロ、ライ麦、ジャガイモ、又はこれらの任意の組み合わせに一般的に由来するものであるが、特にエタノール発酵ではトウモロコシが本発明において好ましい。組成物は、脱分枝酵素、ペクチナーゼ、β−アミラーゼ、及び/又はフィターゼなどの1つ以上の追加的な酵素を含んでもよい。
2.5.発酵
発酵に使用される生物は、所望の最終産物によって決まる。一般的には、エタノールが所望の最終産物である場合、発酵生物として酵母が使用される。幾つかの実施形態では、エタノール産生微生物は酵母であり、詳細には、S.セレビシエ(S. cerevisiae)の株などのサッカロマイセス(Saccharomyces)である(米国特許第4,316,956号)。各種のS.セレビシエ(S. cerevisiae)が市販されており、これらに限定されるものではないが、Ethanol Red(商標)(ファーメンティス社(Fermentis))、THERMOSACC(登録商標)及びSuperstart(商標)(ラレマンド・エタノール・テクノロジー社(Lallemand Ethanol Technology))、FALI(フライシュマンズ・イースト社(Fleischmann’s Yeast))、FERMIOL(登録商標)(ディー・エス・エム・スペシャルティーズ社(DSM Specialties))、Bio−Ferm(登録商標)XR(エヌ・エー・シー・ビー社(NACB))、及びAngelアルコール酵母(エンジェル・イースト社(Angel Yeast Company)、中国)が挙げられる。本方法において使用されるスターター酵母の量は、適当な長さの時間で商業的に有意な量のエタノールを生産する(例えば25〜40% dsを有する基質から72時間未満で少なくとも10%のエタノールを生産する)うえで有用な量である。酵母細胞は、発酵ブロス1mL当たり約10〜1012個、一般的には約10〜1010個の生酵母菌数の量で供給されうる。発酵には、発酵微生物(例えば酵母)に加えて、栄養素、フィターゼを含むがこれに限定されない追加的な酵素が必要に応じて含まれる。発酵における酵母の使用についてはよく知られている。例えば、The Alcohol Textbook,K.A.Jacquesら、Eds.2003,Nottingham University Press,UKを参照されたい。
本発明に述べられる改良された方法は、エタノールの収率の向上につながりうる。改善されたエタノールの収率は、グルコアミラーゼ及び添加されるセルラーゼを含まないエタノール生産プロセスの収率よりも約0.1〜約1.0%高い。エタノールの収率は、トウモロコシ1ブッシェル当たりに生成される未変性エタノールのガロン数を反映した「gal UD/ブッシェル(トウモロコシ)」として計算することができる。最新の技術では一般的に、約2.5〜約10.6L(2.8gal)UD/ブッシェル(トウモロコシ)の範囲のエタノールの収率が得られる。Bothast & Schlicher、「Biotechnological Processes for Conversion of Corn into Ethanol」、Appl.Microbiol.Biotechnol.,67:19〜25(2005)を参照されたい。改善されたエタノール生産効率は、本明細書に述べられるデンプン加工処理におけるより効率的なデンプンの利用に帰するものでありうる。エタノール生産の最後の時点で、100gの穀物副産物中に存在する残留デンプンは、デンプンを約85℃の温度で、かつ90分以内に少なくとも約10のDE値に達するために必要とされるα−アミラーゼの用量で液化した、エタノール生産プロセスの残留デンプンよりも少なくとも約10%、約20%、又は約30%低くなっている。
更なる実施形態では、当該技術分野では周知の適当な発酵微生物の使用により、発酵最終産物は、これらに限定されるものではないが、グリセロール、1,3−プロパンジオール、グルコネート、2−ケト−D−グルコネート、2,5−ジケト−D−グルコネート、2−ケト−L−グロン酸、コハク酸、乳酸、アミノ酸、及びこれらの誘導体を含みうる。より詳細には、乳酸が所望の最終産物である場合には、発酵微生物としてラクトバチルスsp.(Lactobacillus sp.)(L.カゼイ(L. casei))を使用し、グリセロール又は1,3−プロパンジオールが所望の最終産物である場合には、大腸菌(E. coli)を使用し、2−ケト−D−グルコネート、2,5−ジケト−D−グルコネート、及び2−ケト−L−グロン酸が所望の最終産物である場合には、パントエア・シトレア(Pantoea citrea)を使用することができる。上記に列挙したリストはあくまで実例に過ぎないものであり、当業者であれば、所望の最終産物を得るために適当に使用することが可能な多くの発酵微生物が認識されるであろう。
標準的な回分システムの適当な変形例の1つとして、「流加発酵」システムがある。この一般的回分システムの変形例では、発酵が進行するに従って基質を徐々に加える。流加発酵システムは、異化産物抑制によって細胞の代謝が阻害される可能性があり、培地中の基質の量が限定されていることが望ましい場合に有用である。流加発酵システムにおける実際の基質濃度の測定は困難であり、したがって、pH、溶存酸素、及びCOなどの排出ガスの分圧などの測定可能な因子の変化に基づいて推定される。回分発酵及び流加発酵は一般的なものであり、当該技術分野では周知のものである。
連続発酵は、規定の発酵培地をバイオリアクターに連続的に加え、等量の調整培地を処理加工用に同時に取り出す開放システムである。連続発酵では一般的に培地は一定の高密度に維持され、細胞は主として対数期増殖する。連続発酵は、細胞増殖及び/又は産物濃度に影響する1つ以上の因子の調節を可能とするものである。例えば一実施形態では、炭素源又は窒素源などの律速栄養素が固定速度に維持され、他のすべてのパラメータは適度に調整される。他のシステムでは、増殖に影響する多くの因子を連続的に変化させる一方で、培地の濁度によって測定される細胞濃度は一定に維持される。連続システムは、安定状態の増殖条件の維持を目的としたものである。したがって、培地が取り出されることによる細胞の損失を、発酵中の細胞増殖速度に対して平衡させる必要がある。連続発酵プロセスを行うために栄養素及び増殖因子を調節する方法は、産物の生成速度を最大化するための方法と並んで工業微生物学の分野では周知のものである。
2.6.蒸留
必要に応じて発酵後にエタノールを例えば蒸留によって抽出した後、必要に応じて1つ以上の処理工程を行うことができる。幾つかの実施形態では、本方法によって生産されるエタノールの収率は、少なくとも約8v/v %、少なくとも約10v/v %、少なくとも約12v/v %、少なくとも約14v/v %、少なくとも約15v/v %、少なくとも約16v/v %、少なくとも約17v/v %、少なくとも約18v/v %、及び少なくとも約23v/v %である。本開示のプロセスに従って得られるエタノールは、例えば燃料エタノール、飲料用エタノールすなわち飲料用中性スピリッツ、又は工業用アルコールとして使用することができる。
2.7.副産物
発酵から得られる穀物副産物は一般的に、液体形態又は乾燥形態のいずれかで動物試料に使用される。デンプンが湿式粉砕される場合、非デンプン副産物には、粗タンパク質、オイル、及び例えばコーングルテンミールなどの繊維が含まれる。デンプンが乾式粉砕される場合、副産物には、乾燥蒸留穀物残渣(DDG)及び可溶性物質添加乾燥蒸留穀物残渣(DDGS)などの動物試料副産物が含まれうる。しかしながら、穀物が乾燥粉砕され、液化及び糖化に先立ってスラリーに混合される場合には、副産物として穀物は残留しない。
3.デンプンからのエタノール生産に関与する酵素
本明細書に開示される改良された糖化プロセスに関し、こうした方法は、異なる酵素と組み合わせた場合に有用であり、これらの酵素の一部のものは、エタノールなどへの発酵用のデンプン材料の調製において使用されることが知られている。
幾つかの実施形態では、追加的な酵素を、本明細書に開示される改良された糖化プロセス、又はSSFプロセスの液化工程において使用することができる。これらの酵素の例としては、液化工程において加えることができ、また、糖化工程において加えるか又は液化工程から持ち越されてもよいα−アミラーゼが挙げられる。他の例としては、セルラーゼ及びフィターゼが挙げられるが、これらもやはり、上記に述べたように液化及び糖化工程の両方において加えることができる。デンプン分解中の1つ以上の時点において加えることができる他の酵素としては、グルコアミラーゼ、ペクチナーゼ、脱分枝酵素、及びβ−アミラーゼが挙げられる。これらの酵素の幾つかの追加的な態様及び/又は供給源について下記に述べる。
3.1.α−アミラーゼ
デンプン基質の液化及び/又は糖化において有用なあらゆるα−アミラーゼの本明細書における使用が考えられる。特に有用なものは、比較的高い熱安定性を示すことにより、80℃よりも高い温度でデンプンを液化することが可能なものである。液化プロセスに適したα−アミラーゼは、真菌又は細菌由来のものであってよく、特にバチルス種(Bacillus species)などの好熱性細菌から単離されたα−アミラーゼである。これらのバチルス(Bacillus)α−アミラーゼは、「ターマミル様α−アミラーゼ」と一般的に呼ばれる。よく知られたターマミル様α−アミラーゼとしては、B.リケニフォルミス(B. licheniformis)、B.アミロリケファシエンス(B. amyloliquefaciens)、及びゲオバチルス・ステロサーモフィラス(Geobacillus stearothermophilus)(バチルス・ステロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)として以前知られていたもの)に由来するものが挙げられる。他のターマミル様α−アミラーゼとしては、国際特許出願公開第95/26397号に開示されるバチルスsp.(Bacillus sp.)であるNCIB 12289、NCIB 12512、NCIB 12513、及びDSM 9375に由来するものが挙げられる。使用が考えられるα−アミラーゼは、例えばA.オリザエ(A. oryzae)及びA.ニガー(A. niger)α−アミラーゼなどのアスペルギルス(Aspergillus)種に由来するものでもよい。更に、市販のα−アミラーゼ及びα−アミラーゼを含有する製品としては、TERMAMYL(商標)SC、FUNGAMYL(商標)、LIQUOZYME(登録商標)SC及びSAN(商標)SUPER(ノボザイムズ社(Novozymes A/S)、デンマーク)、並びにSPEZYME(登録商標)XTRA、GC 358、SPEZYME(登録商標)FRED、SPEZYME(登録商標)FRED−L及びSPEZYME(登録商標)HPA(ダニスコ・ユー・エス社ジェネンコア部門(Danisco US Inc., Genencor Division))が挙げられる。
本明細書において有用なα−アミラーゼとしては、野生型(又は親)酵素、及び親酵素の変異体が挙げられる。これらの変異体は、ターマミル様α−アミラーゼ、又はバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)α−アミラーゼ(2008年11月3日出願の米国特許出願公開第2009/0238923号に開示される)若しくはゲオバチルス・ステロサーモフィラス(Geobacillus stearothermophilus)α−アミラーゼ(2008年11月3日出願の米国特許出願公開第2009/0252828号に開示される)などの他の野生型アミラーゼと約80%〜約99%の配列同一性を有しうる。国際特許出願公開第99/19467号に開示される野生型α−アミラーゼと比較して、突然変異Δ(181−182)+N193Fを有するゲオバチルス・ステロサーモフィラス(Geobacillus stearothermophilus)α−アミラーゼ変異体を含む、国際特許出願公開第96/23874号、同第97/41213号、及び同第99/19467号に開示されるアミラーゼ変異体の本明細書における使用も考えられる。
幾つかの実施形態では、変異体α−アミラーゼは、親酵素の特性と比較して1つ以上の変化した特性を示しうる。有利な点として、変化した特性のために変異体α−アミラーゼは、液化において効果的に機能しうる。同様に、変化した特性のため、変異体の性能はその親と比較して向上しうる。これらの特性としては、基質特異性、基質結合性、基質の切断パターン、熱安定性、pH/活性プロファイル、pH/安定性プロファイル、酸化に対する安定性、低濃度のカルシウムイオン(Ca2+)における安定性、及び/又は比活性が挙げられる。代表的なα−アミラーゼ変異体としては、2008年9月11日公開の米国特許出願公開第2008/0220476号、2008年7月3日公開の米国特許出願公開第2008/0160573号、2008年6月26日公開の米国特許出願公開第2008/0153733号、及び2008年4月10日公開の米国特許出願公開第2008/0083406号に開示されるものが挙げられる。それぞれが異なる特性を有しうる2つ以上のα−アミラーゼのブレンドの本明細書における使用も考えられる。
α−アミラーゼの活性は、若干の改変を行った米国特許出願第5,958,739号に開示される方法に従って測定することができる。簡単に述べると、このアッセイでは、化学的にブロックされた非還元末端糖を有する基質としてp−ニトロフェニルマルトヘプトシド(PNP−G)を使用する。PNP−Gは、例えばα−アミラーゼなどのエンドアミラーゼにより切断することができる。切断の後、α−グルコシダーゼ及びグルコアミラーゼが基質を消化して遊離PNP分子を遊離させるが、このPNP分子は黄色味を呈し、可視分光測光法により410nmで測定することができる。PNPの放出速度はα−アミラーゼ活性に比例している。試料のα−アミラーゼ活性を標準コントロールに対して計算する。
変異体又は突然変異体α−アミラーゼは、例えば任意の既知の野生型配列から出発して、当業者により本明細書における使用のために作製することもできる。例えば既知の遺伝子に突然変異を導入することなどによる、こうした変異体を作製するための多くの方法が当該技術分野において周知である。親α−アミラーゼをコードしたDNA配列は、問題とされるα−アミラーゼを産生する任意の細胞又は微生物から、当該技術分野では周知の様々な方法を用いて単離することができる。
3.2.グルコアミラーゼ
デンプン加工処理、特に糖化における使用が考えられる別の酵素としてグルコアミラーゼ(EC 3.2.1.3)がある。グルコアミラーゼは、微生物又は植物から一般的に得られる。例えば、グルコアミラーゼは真菌又は細菌由来のものであってよい。
代表的な真菌性グルコアミラーゼとしては、アスペルギルス(Aspergillus)グルコアミラーゼ、特にA.ニガー(A. niger)G1又はG2グルコアミラーゼ(Boelら(1984),EMBO J.3(5):1097〜1102)、又は国際特許出願公開第92/00381号及び同第00/04136号に開示されるようなこれらの変異体、A.アワモリ(A. awamori)グルコアミラーゼ(国際特許出願公開第84/02921号)、A.オリザエ(A. oryzae)グルコアミラーゼ(Agric.Biol.Chem.(1991),55(4):941〜949)、又はこれらの変異体若しくはフラグメントがある。使用が考えられる他のアスペルギルス(Aspergillus)グルコアミラーゼ変異体としては、熱安定性が向上した変異体であるG137A及びG139A(Chenら(1996),Prot.Eng.9:499〜505);D257E及びD293E/Q(Chenら(1995),Prot.Eng.8:575〜582);N182(Chenら(1994),Biochem.J.301:275〜281);ジスルフィド結合を有する変異体であるA246C(Fierobeら(1996),Biochemistry,35:8698〜8704);並びに位置A435及びS436にPro残基が導入された変異体(Liら(1997)Protein Eng.10:1199〜1204)が挙げられる。
代表的な真菌性グルコアミラーゼとしては、米国特許第7,413,879号(ダニスコ・ユー・エス社ジェネンコア部門(Danisco US Inc., Genencor Division))に開示されるトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)グルコアミラーゼ及びそのホモログも挙げることができる。グルコアミラーゼとしては、例えば、T.リーゼイ(T. reesei)グルコアミラーゼ、ハイポクレア・シトリナ・var.アメリカーナ(Hypocrea citrina var. americana)グルコアミラーゼ、H.ビノーサ(H. vinosa)グルコアミラーゼ、H.ゼラチノーサ(H. gelatinosa)グルコアミラーゼ、H.オリエンタリス(H. orientalis)グルコアミラーゼ、T.コニラングブラ(T. konilangbra)グルコアミラーゼ、T.ハルジアナム(T. harzianum)グルコアミラーゼ、T.ロンギブラキアタム(T. longibrachiatum)グルコアミラーゼ、T.アスペレラム(T. asperellum)グルコアミラーゼ、及びT.ストリクティピリス(T. strictipilis)グルコアミラーゼを挙げることができる。
本明細書における使用が考えられる他のグルコアミラーゼとしては、タラロマイセス(Talaromyces)グルコアミラーゼ、特にT.エメルソニイ(T. emersonii)(国際特許出願公開第99/28448号)、T.レイセタナス(T. leycettanus)(米国再発行特許第RE 32,153号)、T.デュポンティ(T. duponti)、又はT.サーモフィラス(T. thermophilus)(米国特許第4,587,215号)に由来するものが挙げられる。使用が考えられる細菌性グルコアミラーゼとしては、クロストリジウム(Clostridium)属、特にC.サーモアミロリティカム(C. thermoamylolyticum)(欧州特許出願公開第135138号)、及びC.サーモヒドロスルフリカム(C. thermohydrosulfuricum)(国際特許出願公開第86/01831号)に由来するグルコアミラーゼが挙げられる。
適当なグルコアミラーゼとしては、国際特許出願公開第00/04136号に開示されるアミノ酸配列と約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、又は更には約90%の同一性を有するグルコアミラーゼなどの、アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)に由来するグルコアミラーゼが挙げられる。適当なグルコアミラーゼとしては、国際特許出願公開08/045489号(ダニスコ・ユー・エス社ジェネンコア部門(Danisco US Inc., Genencor Division))に開示されるアミノ酸配列と約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、又は更には約90%の同一性を有するグルコアミラーゼなどの、T.リーゼイ(T. reesei)に由来するグルコアミラーゼも更に挙げられる。国際特許出願公開第08/045489号及び2008年11月20日出願の米国特許出願公開第2009/0275080号(ダニスコ・ユー・エス社ジェネンコア部門(Danisco US Inc., Genencor Division))に開示されるものなどの、変化した特性を有するT.リーゼイ(T. reesei)グルコアミラーゼ変異体が特に有用である場合もある。
Spirizyme(登録商標)Fuel、Spirizyme(登録商標)Plus、及びSpirizyme(登録商標)Ultra(ノボザイムズ社(Novozymes A/S)、デンマーク)、G−ZYME(登録商標)480、G−ZYME(登録商標)480 Ethanol、GC 147、DISTILLASE(登録商標)、及びFERMENZYME(登録商標)(ダニスコ・ユー・エス社ジェネンコア部門(Danisco US Inc., Genencor Division))などの市販のグルコアミラーゼも適当である。グルコアミラーゼは、約0.02〜2.0GAU/g(ds)又は約0.1〜1.0GAU/g(ds)、例えば約0.2GAU/g(ds)の量で加えることができる。
3.3.セルラーゼ
セルラーゼはセルロースを加水分解することが可能であり、これにより発酵用の追加的なグルコース源が与えられうる。更に、セルロースの分解により、セルロース性物質の一部分と結合若しくは緊密に会合するか、又はセルロース性物質によって閉じ込められた一定量のデンプン分子が放出されうる。
各種のセルラーゼのいずれのものも、本明細書において提供される糖化プロセス及び方法とともに使用することができる。上記に定義したように、本明細書におけるセルラーゼは、エキソ及びエンドグルカナーゼ、β−グルコシダーゼ、ヘミセルラーゼ、キシラナーゼ、及び他の酵素を含む多くの異なる酵素活性を含む。
一部のセルラーゼ(EC 3.2.1.4)の一般名称としては、アビセラーゼ、β−1,4−エンドグルカンヒドロラーゼ、β−1,4−グルカナーゼ、カルボキシメチルセルラーゼ(CMCアーゼ)、セルデキストリナーゼ、エンド−1,4−β−D−グルカナーゼ、エンド−1,4−β−D−グルカノヒドロラーゼ、エンド−1,4−β−グルカナーゼ、及びエンドグルカナーゼが挙げられる。これらの酵素は、セルロース、リグニン、及び穀物β−D−グルカン中の(1,4)−β−D−グルコシド結合のエンド加水分解を触媒する。
EC 3.2.1.21のβ−グルコシダーゼとしては、アミグダラーゼ、β−D−グルコシドグルコヒドロラーゼ、セロビアーゼ、及びゲンチオビアーゼが挙げられ、これらは、末端の非還元β−D−グルコシル残基の加水分解を生じる結果、β−D−グルコースが放出される。
セルロース1,4−β−セロビオシダーゼ(EC 3.2.1.91)としては、1,4−β−セロビオヒドロラーゼ、1,4−β−D−グルカンセロビオヒドロラーゼ、エキソ−1,4−β−D−グルカナーゼ、エキソセロビオヒドロラーゼ、及びエキソグルカナーゼが挙げられる。これらの酵素は、セルロース及びセロテトラオース中の1,4−β−D−グルコシド結合の加水分解を触媒することが可能であり、それらの鎖の非還元末端からセロビオースを放出させる。
本明細書における使用に適した市販のセルラーゼ調製物の幾つかの例としては、本明細書の実施例において使用されるACCELLERASE 1000及びACCELLERASE 1500(ダニスコ・ユー・エス社ジェネンコア部門(Danisco US Inc., Genencor Division))複合体が挙げられる。本明細書における使用が考えられる他の市販のセルラーゼとしては、OPTIMASH配合物(ダニスコ・ユー・エス社ジェネンコア部門(Danisco US Inc., Genencor Division))、BIOCELLULASE TRI、及び/又はBIOCELLULASE A(クエスト・インターナショナル社(Quest Intl.)(フロリダ州サラソタ))、CELLUCLAST 1.5L(ノボ・ノルディスク社(Novo Nordisk)(コネチカット州ダンベリー))、CELLULASE TAP10及び/又はCELLULASE AP30K(アマノ・エンザイム社(Amano Enzyme)(バージニア州トロイ))、CELLULASE TRL(ソルベイ・エンザイムズ社(Solvay Enzymes)(インディアナ州エルクハート))、ECONASE CE(アルコ・イー・ディー・シー社(Alko-EDC)(ニューヨーク州ニューヨーク))、MULTIFECT CL、MULTIFECT GC(ダニスコ・ユー・エス社ジェネンコア部門(Danisco US Inc., Genencor Division))、並びにULTRA−LOW MICROBIAL(ULM)(イオジェン社(Iogen)(カナダ、オタワ))が挙げられる。
本明細書における使用に適したセルラーゼは、例えばトリコデルマ(Trichoderma)、フミコラ(Humicola)、アスペルギルス(Aspergillus)、ペニシリウム(Penicillium)、リゾプス(Rhizopus)、及びスクレロチウム(Sclerotium)属の種を含む微生物により産生させ、単離することもできる。多くのセルラーゼを液体及び/又は固体状態の培地中で生産することが可能であり、活性画分の生産及び/又は調製方法は学術文献に数多く見られる。
3.4.ペクチナーゼ
ペクチナーゼ、又はペクチン性酵素には、例えばペクトリアーゼ、ペクトザイム、ペクチンエステラーゼ、及びポリガラクツロナーゼなどの幾つかの異なる酵素が含まれる。本明細書の目的では、プロトペクチナーゼもペクチナーゼとしてみなすことができる。ペクチナーゼを含むEC分類は、少なくともEC 3.1.1.11(ぺクチンメチルエステラーゼ)、3.2.1.15(ポリガラクツロナーゼ)、3.2.1.67(エキソポリガラクツロナーゼ)、3.2.1.82(エキソ−ポリ−α−ガラクツロノシダーゼ)、4.2.2.2(ペクチン酸リアーゼ)、4.2.2.9(ペクチン酸ジサッカライドリアーゼ)、4.2.2.6(オリゴガラクツロニドリアーゼ)、及び4.2.2.10(ペクチンリアーゼ)である。上記のものの単独のいずれか、又はそれらの任意の組み合わせを、本明細書において提供される改良された糖化プロセスに従って使用することができる。
ペクチナーゼ酵素の商業的な供給源としては、PANZYM(シー・エイチ・ベーリンガー・ソーン社(C.H. Boehringer Sohn)(西ドイツ、インゲルハイム))、ULTRAZYME(チバ・ガイギー社(Ciba-Geigy, A.G.)(スイス、バーゼル))、PECTOLASE(グリンスチールバケット社(Grinsteelvaeket)(デンマーク、アーサス))、SCLASE(キッコーマン株式会社(日本、東京))、PECTINEX(シュバイツェリッヒ・ファーメント社(Schweizerische Ferment, A.G.)(スイス、バーゼル))、RAPIDASE(ソシエテ・ラピダーゼ社(Societe Rapidase, S.A.)(フランス、セクリン))、KLERZYME(クラリザイム・ウォラースタイン社(Clarizyme Wallerstein, Co.)(米国、デプレインズ))、PECTINOL/ROHAMENT(ローム社(Rohm, GmbH)(西ドイツ、ダルムシュタット))、及びPECTINASE(バイオコン社(Biocon Pvt Ltd)(インド、バンガロール))が挙げられる。
3.5.フィターゼ
フィターゼは、インキュベーション及び液化工程の規定の条件下でフィチン酸を加水分解することが可能であることから本開示において有用である。幾つかの実施形態では、フィターゼは、イノシトール六リン酸(フィチン酸)から少なくとも1個の無機リン酸を遊離させることが可能である。フィターゼは、加水分解が開始されるフィチン酸エステル分子上のリン酸エステル基の特定の位置に対する選択性に基づいて分類することができる(例えば、3−フィターゼ(EC 3.1.3.8)として、又は6−フィターゼ(EC 3.1.3.26)として)。フィターゼの典型的な一例としては、ミオ−イノシトール−ヘキサキホスフェート−3−ホスホヒドロラーゼがある。
フィターゼは真菌及び/又は細菌などの微生物から得ることができる。これらの微生物の幾つかとして例えば、アスペルギルス(Aspergillus)(例えばA.ニガー(A. niger)、A.テレウス(A. terreus)、A.フィカム(A. ficum)及びA.フミガタス(A. fumigatus))、マイセリオフトラ(Myceliophthora)(M.サーモフィラ(M. thermophila))、タラロマイセス(Talaromyces)(T.サーモフィラス(T. thermophilus))、トリコデルマspp.(Trichoderma spp.)(T.リーゼイ(T. reesei))、及びサーモマイセス(Thermomyces)(国際特許出願公開第99/49740号)が挙げられる。フィターゼは、例えばP.ホーデイ(P. hordei)(ATCC No.22053)、P.ピセウム(P. piceum)(ATCC No.10519)、又はP.ブレビ−コンパクタム(P. brevi-compactum)(ATCC No.48944)などのペニシリウムの種からも入手可能である。例えば米国特許第6,475,762号を参照されたい。更にフィターゼは、バチルス(例えばB.サブティリス(B. subtilis)、シュードモナス(Pseudomonas)、ペニオフォラ(Peniophora)、大腸菌(E. coli)、シトロバクター(Citrobacter)、エンテロバクター(Enterbacter)、及びブティアウクセラ(Buttiauxella)(国際特許出願公開第2006/043178号を参照))からも入手可能である。
NATUPHOS(ビー・エー・エス・エフ社(BASF))、RONOZYME P(ノボザイムズ社(Novozymes A/S))、PHZYME(ダニスコ社ディベルサ(Danisco A/S, Diversa))、及びFINASE(エー・ビー・エンザイムズ社(AB Enzymes))などの市販のフィターゼが入手可能である。Maxaliq(商標)ONE(ダニスコ・ユー・エス社ジェネンコア部門(Danisco US Inc., Genencor Division))ブレンドは、液化物の粘度を効率的に低下させ、フィチン酸を分解することが可能な熱安定性フィターゼを含有している。微生物のフィターゼの活性を測定するための方法、及びフィターゼ単位の定義が、Engelenら(1994)J.of AOAC Int.,77:760〜764に発表されている。フィターゼは、野生型フィターゼ、変異体、又はそれらのフラグメントであってもよい。
一実施形態では、フィターゼはブティアウクセラ属(Buttiauxiella spp.)の細菌に由来するものである。ブティアウクセラ属(Buttiauxiella spp.)には、B.アグレスティス(B. agrestis)、B.ブレネラエ(B. brennerae)、B.フェラギターゼ(B. ferragutiase)、B.ガビニアエ(B. gaviniae)、B.イザルディイ(B. izardii)、B.ノアキアエ(B. noackiae)、及びB.ワームボールディアエ(B. warmboldiae)が含まれる。ブティアウクセラ種の菌株は、DSMZ、ドイツ国立生物材料資源センター(German National Resource Center for Biological Material)(インホッヘンシュトラーベ7B,38124ブラウンシュヴァイク、ドイツ)より入手可能である。アクセッション番号NCIMB 41248で寄託されたブティアウクセラsp.(Buttiauxella sp.)株P1−29は、本開示に基づいてフィターゼを得て、使用することができる特に有用な菌株の一例である。幾つかの実施形態では、フィターゼはBP−野生型、国際特許出願公開第06/043178号に開示されるその変異体(BP−11など)、又は米国特許出願公開第2008/0220498号に開示される変異体である。例えば、BP−野生型及びその変異体については、国際特許出願公開第06/043178号の表1に開示されている。
3.6.他の酵素
別の態様では、β−アミラーゼの使用も考えられる。β−アミラーゼ(EC 3.2.1.2)は、アミロース、アミロペクチン、及び関連するグルコースポリマー中の1,4−α−グルコシド結合の加水分解を触媒することによりマルトースを放出させるエキソ型のマルトジェニックアミラーゼである。β−アミラーゼは、様々な植物及び微生物から単離されている(Fogartyら、Progress in Industrial Microbiology,Vol.15,pp.112〜115,1979)。これらのβ−アミラーゼは、約40℃〜約65℃の範囲の最適温度、及び約4.5〜約7.0の範囲の最適pHを有することにより特徴付けられる。使用が考えられるβ−アミラーゼとしては、これらに限定されるものではないが、大麦由来のβ−アミラーゼであるSpezyme(登録商標)BBA 1500、Spezyme(登録商標)DBA、Optimalt(商標)ME、Optimalt(商標)BBA(ダニスコ・ユー・エス社ジェネンコア部門(Danisco US Inc., Genencor Division))、並びにNovozym(商標)WBA(ノボザイムズ社(Novozymes A/S))が挙げられる。
必要に応じて加えることが可能な別の酵素として、イソアミラーゼ(EC 3.2.1.68)又はプルラナーゼ(EC 3.2.1.41)などの脱分枝酵素がある。イソアミラーゼは、アミロペクチン及びβ−限界デキストリン中のα−1,6−D−グルコシド分枝結合を加水分解し、イソアミラーゼはプルランを攻撃しないこと、及びα−限界デキストリンに対するイソアミラーゼの作用が限定されていることによって、プルラナーゼとは区別することができる。脱分枝酵素は、当業者には周知の有効量で加えることができる。
以下の実施例は、限定的なものとして解釈されるべきではなく、開示される方法を使用するための代表的な手段である。
実施例1:セルラーゼが添加された試料中でのエタノール生産
トウモロコシ液化物を、バジャー・ステート・エタノール社(Badger State Ethanol)(ウィスコンシン州)より入手した。トウモロコシ液化物の乾燥固形分(DS)を測定したところ32% DSであった。100gのマッシュが入った250mLの振盪フラスコ中で、トウモロコシマッシュの発酵を二重に行った。コントロールとして、グルコアミラーゼ(G−ZYME 480(ダニスコ・ユー・エス社ジェネンコア部門(Danisco US Inc., Genencor Division))を0.4GAU/g(ds)で加えた。セルラーゼを5.0kg/1000kg(MT)(ds)で加えた。これらの実験で使用したセルラーゼは、エキソ及びエンドグルカナーゼ活性、ヘミセルラーゼ及びβ−グルコシダーゼを含む市販の製品であるACCELLERASE 1000(ダニスコ・ユー・エス社ジェネンコア部門(Danisco US Inc., Genencor Division))である。ACCELLERASE(商標)1000の製品情報シート(ダニスコ・ユー・エス社ジェネンコア部門(Danisco US Inc., Genencor Division))を参照されたい。酵母(サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae))を0.1w/w %の濃度で液化物に加えて発酵を開始させた。発酵温度は38℃とし、150rpmで振盪した。試料を所定の時間間隔で抜き取り、HPLC法によりエタノール及び残留グルコースについて分析した。各試料についてエタノールの収率を求めた。結果を図1に示す。
図に見られるように、データは、セルラーゼを添加することにより、グルコアミラーゼを含むがセルラーゼは含まないコントロール発酵と比較して、発酵からのエタノール収率が大幅に向上したことを示している。図1にやはり見られるように、セルラーゼ処理した発酵中のDP2の濃度は、コントロール中の濃度よりも速やかに低下し、セルラーゼの添加により、セルラーゼを添加しない場合よりもDP2がより速やかに利用されたことを示している。
実施例2:エタノール生産に対するセルラーゼ添加の効果の比較
トウモロコシ液化物を、ウイスコンシン州ベロイト所在のジェネンコア社(Genencor)のグレーン・アプリカンツ・ラボ(Grain Applicants Lab)により調製した。粉砕トウモロコシをスラリー化して32% DSとし、このスラリーのpHをpH 5.8に調整した。α−アミラーゼ(SPEZYME(登録商標)XTRA(ダニスコ・ユー・エス社ジェネンコア部門(Danisco US Inc., Genencor Division)))を2AAU/g(DS)の用量で添加した。次いで、スラリーを107℃にジェットクッカーで加熱した。この後、このマッシュ液化物に更に2.0AAU/g(DS)のα−アミラーゼを加えて、85℃で90分間維持した。マッシュの最終的なDSを測定したところ23%であった。100gのマッシュが入った250mLの振盪フラスコ中で、トウモロコシマッシュの発酵を二重に行った。コントロールとして、市販のグルコアミラーゼ(G−ZYME 480(ダニスコ・ユー・エス社ジェネンコア部門(Danisco US Inc., Genencor Division)))を0.4GAU/g(ds)で加えた。セルラーゼ(ACCELLERASE 1500(ダニスコ・ユー・エス社ジェネンコア部門(Danisco US Inc., Genencor Division)))を、5、10、及び50kg/1000kg(MT)(ds)で液化物に加えた。この市販のセルラーゼ製品は、エキソグルカナーゼ、エンドグルカナーゼ、ヘミセルラーゼ、及びβ−グルコシダーゼを含むものである。ACCELLERASE(商標)1500の製品情報シート(ダニスコ・ユー・エス社ジェネンコア部門(Danisco US Inc., Genencor Division))を参照されたい。酵母(S.セレビシエ(S. cerevisiae))を0.1w/w %の濃度で液化物に加えた。発酵は、38℃で、150rpmで振盪しながら72時間行った。試料を所定の時間間隔(24、48、及び72時間)で抜き取り、HPLC法によりエタノール及び残留グルコースについて分析した。各試料についてエタノールの収率を求めた。結果を図2に示す。図に見られるように、エタノールの収率は、添加したセルラーゼの量の関数として増加した。
実施例3:33% DSでのトウモロコシマッシュの発酵のエタノール収率に対するセルラーゼの効果
トウモロコシマッシュ(33% DS)を、エタノール工場(コーンプラス社(Corn Plus)ミネソタ州)より入手した。トウモロコシマッシュの発酵は、600ppmの尿素を含む100gのマッシュが入った250mLの振盪フラスコ中で二重に行った。コントロールとして、市販のグルコアミラーゼ(G−ZYME 480(ダニスコ・ユー・エス社ジェネンコア部門(Danisco US Inc., Genencor Division)))を0.4GAU/g(ds)で加えた。セルラーゼ(ACCELLERASE 1500(ダニスコ・ユー・エス社ジェネンコア部門(Danisco US Inc., Genencor Division)))を乾燥トウモロコシの0.05〜0.2w/w %となるように加えた。酵母(S.セレビシエ(S. cerevisiae))を0.1w/w %の濃度で液化物に加えた。発酵は、32℃で、150rpmで振盪しながら行った。試料を所定の時間間隔で抜き取り、HPLC法によりエタノール及び残留グルコースについて分析した。各試料についてエタノールの収率を求めた。
結果を図3〜4に示す。結果は、64時間の発酵後に行った最終的な測定結果を示している。0.05w/w %よりも高いセルラーゼの添加により、コントロールと比較して高いエタノールの収率が得られたことが分かる。約0.08%よりも少ないセルラーゼをSSFプロセスに加えた効果は、あったとしても明確ではなかった。図4に見られるように、0.05%よりも多いセルラーゼを加えることによって最終的なグルコースの滴定量は増大しており、発酵条件を変化させる(例えばより長時間行う)ことにより、更に高い収率の向上が実現可能であることを示唆している。
以上、本明細書において異なる実施形態を示し、説明したが、当業者にとって、これらの実施形態はあくまで実例として示されるものに過ぎない点は明らかであろう。当業者にとって、多くの変形、変更、及び置換が、本開示から逸脱することなく想到されうるものである。

Claims (21)

  1. デンプン含有基質を糖化して発酵原料を調製するための方法であって、(a)少なくとも一定量のセルロース性材料を含有する液化デンプンスラリーを、酵素活性にとって十分な条件下でグルコアミラーゼ及びセルラーゼと接触させる工程と、(b)前記酵素活性を生じるための時間を与え、これにより発酵原料を生産する工程と、を含む方法。
  2. 前記酵素活性が、少なくとも、(a)前記発酵原料中の少なくとも1種類の発酵性糖の濃度を高めるか、(b)セルロースに結合しているか若しくはセルロースに閉じ込められた少なくとも1つのデンプン鎖を放出させるか、又は(c)前記セルロース性材料の一部を加水分解するうえで十分であり、前記(a)、(b)、又は(c)が、セルラーゼと接触させないコントロール液化デンプンスラリーと比較して測定することができる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記セルラーゼが、エキソグルカナーゼ、エンドグルカナーゼ、ヘミセルラーゼ、β−グルコシダーゼ、又はキシラナーゼ活性のうちの1つ以上、あるいはこれらの任意の組み合わせを有する、請求項1に記載の方法。
  4. 前記セルラーゼが、少なくともエキソグルカナーゼ、エンドグルカナーゼ、ヘミセルラーゼ、又はβ−グルコシダーゼ活性を有する、請求項3に記載の方法。
  5. 前記セルラーゼが、前記液化デンプンスラリー中の乾燥固形分1000kg(メートルトン)当たり約0.05〜約50kgで加えられる、請求項1に記載の方法。
  6. 前記セルラーゼが、乾燥固形分1000kg(メートルトン)当たり約5kgで加えられる、請求項5に記載の方法。
  7. 前記液化デンプンスラリーを、脱分枝酵素、ペクチナーゼ、β−アミラーゼ、及びフィターゼからなる群から選択される1つ以上の追加的な酵素と接触させる工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
  8. 前記発酵原料を発酵させて発酵産物を生産する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
  9. 前記発酵産物がエタノールである、請求項8に記載の方法。
  10. 前記発酵産物の収率がセルラーゼを加えない場合の前記収率と比較して約0.1〜約1.0%高い、請求項8に記載の方法。
  11. 前記発酵産物の収率がセルラーゼを加えない場合の前記収率と比較して約0.3〜約0.5%高い、請求項10に記載の方法。
  12. 前記接触させる工程及び前記発酵させる工程が合わせて約24〜72時間を要する、請求項8に記載の方法。
  13. デンプンが、トウモロコシ、小麦、大麦、ソルガム、ライ麦、ジャガイモ、又はこれらの任意の組み合わせに由来する、請求項1に記載の方法。
  14. 前記デンプンがトウモロコシに由来する、請求項13に記載の方法。
  15. 前記液化デンプンスラリーを、脱分枝酵素、ペクチナーゼ、β−アミラーゼ、及びフィターゼからなる群から選択される1つ以上の酵素と接触させる工程を更に含む、請求項8に記載の方法。
  16. 前記発酵させる工程が前記糖化させる工程と同時に行われる、請求項8に記載の方法。
  17. 液化デンプンスラリー、グルコアミラーゼ、及びセルラーゼを含む組成物。
  18. 前記セルラーゼが乾燥固形分1000kg(メートルトン)当たり約0.05〜約50kgで存在する、請求項17に記載の組成物。
  19. デンプンが、トウモロコシ、小麦、大麦、ソルガム、ライ麦、ジャガイモ、又はこれらの任意の組み合わせに由来する、請求項17に記載の組成物。
  20. 前記デンプンがトウモロコシに由来する、請求項19に記載の組成物。
  21. 脱分枝酵素、ペクチナーゼ、β−アミラーゼ、及びフィターゼからなる群から選択される1つ以上の追加的な酵素を更に含む、請求項17に記載の組成物。
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