本発明は、座標位置決め機械を手作業で制御するための改良された機器を提供する。詳しくは、本発明は座標位置決め機械のための機器に関し、この機器は、機械の軸を自由空間における機器の運動を通じて、例えば機器内の運動センサの利用を通じて制御することを可能にする。
本発明の第1の態様によれば、座標位置決め装置が提供され、これは、アーチファクトと相互作用して、そのアーチファクトに関する測定データを取得する測定プローブを有する座標位置決め機械であって、測定プローブとアーチファクトが少なくとも機械1自由度で相互に関して移動可能であるような座標位置決め機械と、自由空間において複数の機器自由度で移動可能であり、アーチファクトに関する測定プローブの運動を制御する機器(例えば、携帯機器)と、を含み、機器は自由空間における機器の運動を感知する少なくとも1つの運動センサを含み、装置は、測定プローブとアーチファクトの相対運動が自由空間における機器の前記運動によって制御される。
自由空間において機器を移動させることによって座標位置決め機械の運動を制御した場合、ジョイスティックと比較して、座標位置決め機械との対話は、その面倒さ、やりにくさが軽減され、全体的により直感的なものとなる。詳しくは、利用できる運動範囲が比較的無制限であり、利用できる入力ジエスチャがより多様であるため、測定プローブの運動のより高精度な制御を行いやすくなり、その結果、不正確な測定点が減少する。これによって、ひいては検査時間が短縮され、スループットが改善される。
さらに、座標位置決め機械の手による操作は技能を要する作業である。実際に、座標位置決め機械は非常に高価であり、測定対象のアーチファクトもまた同様であり得る。したがって、座標位置決め機械またはアーチファクトへの損傷の原因となり得る測定プローブとアーチファクトとの衝突を回避することが重要である。さらに、多くの場合、アーチファクト上の特定の点を測定することが重要となる。その結果、オペレータを訓練し、その作業に熟練させるのに多大な時間と資源が必要となり得る。本発明による運動感知型機器で座標位置決め装置を制御する方がはるかに容易となり得、それが訓練のための時間と資源の節減につながることが分かった。さらに、これは非常に簡単であるため、初心者がアーチファクトの測定に迅速かつ直感的に使用でき、こうした初心者のオペレータでも、熟練オペレータの測定を待たずに、自力でその場での測定を行いやすくなることも分かった
機器はオペレータが手に持ち、操作するものであるため、このような機器を「携帯」機器と呼ぶことができる。
当然のことながら、携帯機器の運動を感知する適当な運動センサとしては、慣性計測装置に一般的に見られるもの、例えば電子コンパス、位置追跡センサ、および携帯機器の加速度を感知する慣性センサ等がある。当然のことながら、このような加速度には、直線および/または角加速度がある。適当なセンサとしては、加速度計および/またはジャイロスコープがある。
したがって、当然のことながら、装置は、測定プローブとアーチファクトの相対運動の変更を、自由空間における携帯機器の前記運動によって制御できるように構成できる。換言すれば、携帯機器の運動によって測定プローブとアーチファクトの相対運動を変化させることができる。これは、例えば測定プローブとアーチファクトの相対運動の速度および/または方向の変更であってもよい。例えば、これは、本来の静止状態から測定プローブとアーチファクトを相対的に運動させること、または、例えば測定プローブとアーチファクトの相対運動を停止させることであってもよい。
したがって、測定プローブとアーチファクトの相対運動は、座標位置決め機械に関する携帯機器の運動によって制御できる。換言すれば、測定プローブとアーチファクトの相対運動は、自由空間における携帯機器の、例えば座標位置決め機械に関する位置および/または向きを変化させることによって制御できる。したがって、装置は、自由空間における携帯機器の前記運動に応答して測定プローブとアーチファクトを移動させるように構成できる。
携帯機器は、1つまたは複数の有線接続を通じて座標位置決め機械と通信してもよい。好ましくは、携帯機器は無線携帯機器である。無線携帯機器によれば、オペレータは、アーチファクト/座標位置決め機械の周囲のどの地点においても、座標位置決め装置の他の部分に物理的に結合されずに自由に操作できる。これは公知の有線ジョイスティックには当てはまらず、それは、オペレータが座標位置決め機械のコントローラ(通常はアプリケーションプログラミングソフトウェアの付近にある)とのある距離内に束縛されるからである。本発明による無線携帯機器を有することは、部品が大きい場合、座標位置決め機械の作業空間が大きい場合、および/または測定対象の特徴物が小さいか、またはオペレータが座標位置決め機械のコントローラの前に座ってプログラミングソフトウェアを操作しているときに視界から遮られる場合に、特に有益である。
好ましくは、測定プローブとアーチファクトは相互に関して、少なくとも機械直動1自由度、より好ましくは少なくとも機械直交直動2自由度、特に好ましくは少なくとも機械直交直動3自由度で運動可能である。
装置は、測定プローブとアーチファクトの直動1自由度での相対運動が、携帯機器の位置を直動1自由度で変化させることによって制御されるように構成できる。好ましくは、装置は、測定プローブとアーチファクトの直動1自由度での相対運動が、携帯機器の向きを変えることによって、すなわち、携帯機器を回転1自由度で移動させることによって制御されるように構成される。したがって、装置は、携帯機器の回転1自由度での運動が、測定プローブとアーチファクトの直動1自由度での相対運動を制御するように構成できる。
携帯機器が自由に運動可能な直動および/または回転自由度の各々を以下、機器自由度と呼ぶ。当然のことながら、携帯機器は好ましくは、直交直動3自由度で自由に運動可能であり、また3自由度で(すなわち、3つの直交軸の周囲で)自由に回転可能である。ある機器自由度を特定の機械自由度に結び付ける(すなわち、物理的に結合するのではなく、論理的または概念的に結び付ける)ことができる。換言すれば、ある機器自由度を特定の機械自由度にマッピングし、または相関させることができる。したがって、その機器自由度での携帯機器の運動は、測定プローブとアーチファクトのその特定の機械自由度での相対運動を制御できる。詳しくは、装置は、ある機器自由度での運動が、その機器自由度が結び付けられている特定の機械自由度のみでの測定プローブとアーチファクトの相対運動を制御するように構成できる。
好ましくは、ある機器自由度が結び付けられた機械自由度を変更することができる。好ましくは、ある機器自由度が結び付けられた機械自由度は、携帯機器の向き、例えば携帯機器の、座標位置決め機械に関する向きに応じて自動的に変化する。これによってオペレータは、携帯機器と機械の自由度の間の結び付きを切り替えるように装置に命令しなくてもよい。装置は、携帯機器が(地面に関して)垂直軸の周囲で所定の角度だけ回転したと判断されたときに、その機器自由度が結び付けられている機械自由度が変化するように構成されてもよい。例えば、装置は、携帯機器が縦軸の周囲で少なくとも25°、より好ましくは少なくとも35°、特に好ましくは少なくとも45°回転したと判断されたときに、その機器自由度が結び付けられている機械自由度が変化するように構成されてもよい。所望により、携帯機器の向きは、少なくとも1つの運動センサを通じて決定できる。好ましくは、携帯機器は電子コンパス、例えば磁力計を含み、その出力が携帯機器の向きの決定に使用される。
好ましくは、携帯機器は少なくとも1つの起動領域を含む。好ましくは、装置は、携帯機器が、携帯機器上の少なくとも1つの「起動領域」に接触されたことを感知したときにのみ、携帯機器の自由空間における運動が測定プローブとアーチファクトの相対運動を制御するように構成される。したがって、この場合、少なくとも1つの起動領域に接触することで、携帯機器の運動を通じた測定プローブとアーチファクトの相対運動の制御を起動することができる。携帯機器は、少なくとも1つの触覚センサを含むことができる。この触覚センサが起動領域を提供することができる。したがって、装置は、少なくとも1つの触覚センサが、それが接触されたことを感知したときにのみ、自由空間における携帯機器の運動が測定プローブとアーチファクトの相対運動を制御するように構成できる。所望により、装置は、携帯機器が、携帯機器上の少なくとも2つの起動領域に接触されたことを感知したときにのみ、携帯機器の自由空間における運動が測定プローブとアーチファクトの相対運動を制御するように構成できる。このような起動領域は少なくとも2つの触覚センサまたは、例えば2つの個別の起動領域を提供する1つの触覚センサによって提供されてもよい。好ましくは、装置は、少なくとも1つの触覚センサが、少なくとも2つの起動領域が接触されたことを感知したときにのみ、自由空間における携帯機器の運動が測定プローブとアーチファクトの相対運動を制御するように構成される。
適当な触覚センサは、オペレータがセンサに物理的に接触し/触ると感知し、および/または操作されることが可能となるもの、例えばスイッチ、ボタンおよび/または光感知器である。好ましくは、少なくとも1つの触覚センサのうちの少なくとも1つは接触感知領域である。当然のことながら、接触感知領域を実現するための様々な方法があり、例えば容量型、抵抗型、表面音響波(SAW)型がある。接触感知領域は、例えばタッチパッドによって提供されてもよい。
好ましくは、装置は、オペレータが少なくとも機械1自由度での測定プローブとアーチファクトの相対運動を、触覚センサを介して、例えば自分の親指以外の指または親指を触覚センサの上で移動させることによって制御できるように構成される。同じ触感センサで起動領域も提供できる。所望により、携帯機器は、少なくとも1つの触感センサが、オペレータによって少なくとも機械1機由度での測定プローブとアーチファクトの相対運動を制御するために使用可能な第1の領域(以下「ジョイスティック領域」という)と、このような運動の制御には使用できない第2の領域を提供するように構成されてもよい。したがって、第2の領域は、単に起動領域としてのみ使用できる。第1の領域(ジョイスティック領域)は起動領域にもなり得る。携帯機器は、少なくとも2つの接触感知領域が提供されるように構成されてもよく、その各々がオペレータによって少なくとも機械1自由度での測定プローブとアーチファクトの相対運動を制御するために使用可能な第1の領域(すなわち、ジョイスティック領域)と、単に起動領域としてのみ使用される第2の領域を提供する。
装置は、触覚センサを通じて制御される機械自由度が、自由空間における携帯機器の運動によって制御される機械自由度と同じになるように構成できる。所望により、装置は、触覚センサを通じて制御される機械自由度が、自由空間における携帯機器の運動によって制御される機械自由度とは異なるように構成されてもよい。例えば、携帯機器の運動は、少なくとも直動1自由度での測定機器とアーチファクトの相対運動を制御するように構成されてもよい。触覚センサは、直交直動自由度の測定プローブとアーチファクトの直線運動を制御するために使用されてもよい。
座標位置決め機械は、測定プローブとアーチファクトが相互に関して、少なくとも回転1自由度で移動できるように構成されてもよい。座標位置決め機械は、測定プローブとアーチファクトが相互に関して、少なくとも回転2自由度、例えば2つの直交軸の周囲で、所望により少なくとも回転3自由度で、例えば3つの直交軸の周囲で移動できるように構成されてもよい。装置は、少なくとも回転1自由度(所望により少なくとも2自由度、さらに所望により少なくとも3自由度)での運動が少なくとも1つの触覚センサを通じて制御できるように構成されてもよい。
所望により、装置は、前記少なくとも回転1自由度(所望により少なくとも2自由度、さらに所望により少なくとも3自由度)での測定プローブとアーチファクトの相対運動が自由空間における携帯機器の運動によって制御されるように構成できる。
装置は、携帯機器が、少なくとも直動1自由度(所望により少なくとも2自由度、さらに所望により少なくとも3自由度)および少なくとも回転1自由度(所望により少なくとも2自由度、さらに所望により少なくとも3自由度)の測定プローブとアーチファクトの相対運動を同時に制御できるように構成されてもよい。装置は、少なくとも直動1自由度(所望により少なくとも2自由度、さらに所望により少なくとも3自由度)の測定プローブとアーチファクトの相対運動が、自由空間における携帯機器の運動を通じて制御できるように構成されてもよい。さらに、所望により、装置は、少なくとも回転1自由度(所望により少なくとも2自由度、さらに所望により少なくとも3自由度)の測定プローブとアーチファクトの相対運動が、少なくとも1つの触感センサを通じて制御できるように構成されてもよい。このような、直動および回転軸の両方を同時に制御することによって、オペレータは異なる動作モードを切り替える必要がなくなる。当然のことながら、測定プローブとアーチファクトの相対運動を制御するために、少なくとも1つの触覚センサと携帯機器の運動の使用を様々に組み合せることが可能である。例えば、少なくとも直動1自由度と少なくとも回転1自由度の測定プローブとアーチファクトの相対運動はどちらも、自由空間における携帯機器の運動を通じて制御できる。好ましくは、直交直動2自由度(例えば、概して水平面内)の測定プローブとアーチファクトの相対運動は、自由空間における携帯機器の運動を通じて(例えば、携帯機器の2つの直交軸の周囲でのそれぞれの回転を通じて)制御でき、第3の直交直動自由度(例えば垂直次元内)の測定プローブとアーチファクトの相対運動は、少なくとも1つの触覚センサを通じて制御できる。
携帯機器は、オペレータに対して情報、例えば座標位置決め装置に関する情報を表示するための少なくとも1つのスクリーンを含むことができる。装置は、測定プローブに関するデータが少なくとも1つのスクリーン上に表示されるように構成できる。詳しくは、装置は、測定プローブとアーチファクトの間の相互作用に関するデータが少なくとも1つのスクリーン上に表示されるように構成できる。
携帯機器は、座標位置決め装置に関するデータ(例えば、測定プローブに関するデータ、より詳しくは例えば、測定プローブとアーチファクトの間の相互作用に関するデータ)を受け取り、このデータを処理して、座標位置決め装置に関する情報を少なくとも1つのスクリーン上に表示するように構成できる。したがって、携帯機器は、このようなデータをその少なくとも1つのスクリーン上に表示するために処理するように構成された少なくとも1つのプロセッサを含むことができる。
好ましくは、装置は、オペレータが携帯機器と対話して、測定作業に関する情報を入力および/または取得できるように構成される。座標位置決め装置は、測定作業中に取得された測定データに関するオペレータからの入力を必要としてもよい。例えば、座標位置決め装置は、測定対象の特徴物の種類を自動的に決定するように構成されてもよい。この場合、座標位置決め装置は、オペレータに対し、測定対象の特徴物の種類、例えばそれが円か平面か等を確認することを求めるように構成されてもよい。したがって、好ましくは、装置(例えば、携帯機器)は、オペレータが携帯機器と対話して測定作業に関する情報を入力および/または取得するために使用できるような、少なくとも1つの対話−入力機器(interaction-input device)を含む。
装置は、オペレータが携帯機器を使って、例えば測定作業中に使用されるべき中間地点を確認すること等によって、測定動作をプログラムできるように構成できる。したがって、好ましくは、装置(例えば、携帯機器)は、オペレータが携帯機器と対話して測定作業に関する情報をプログラムするために使用できるような、少なくとも1つのプログラム−入力機構(program-input mechanism)を含む。
所望により、装置は、オペレータが携帯機器と対話し(例えば、携帯機器に問い合わせて)、座標位置決め装置に関する、例えば測定プローブに関する、所望により例えば測定プローブを通じて得られた測定点に関する、さらに所望により例えば、測定プローブによって測定された特徴物に関する情報を得ることができるように構成される。例えば、装置は、オペレータが測定対象のアーチファクトに関する測定情報、例えば特徴物の大きさ、および/または2つまたはそれ以上の特徴物間の距離を読み出すことができるように構成されてもよい。したがって、好ましくは、装置(例えば、携帯機器)は、オペレータが、座標位置決め装置に関する、例えば測定プローブに関する、所望により例えば測定プローブを通じて得られた測定点に関する、さらに所望により例えば測定プローブによって測定された特徴物に関する情報を携帯機器に問い合わせるために使用できる、少なくとも1つの問い合わせ−入力機構(interrogation-input mechanism)を含む。好ましくは、携帯機器は、使用者が上記のような情報に関するレポートを作成できるように構成される。
携帯機器は、少なくとも1つの対話−入力機構および/または少なくとも1つのプログラム−入力機構および/または少なくとも1つの問い合わせ−入力機構を含むことができる。上記の入力機構のうちの2つまたはそれ以上は、共通の、例えば同一の入力機器によって提供されてもよい。上記の入力機構のいずれも、少なくとも1つの触覚センサ、例えば携帯機器に設けられた、ボタン、キーボード、例えばタッチパッド等の接触感知領域、ジョイスティック、および/またはトラックボールとすることができる。所望により、スクリーンがタッチスクリーンである実施形態において、上記の入力機構の少なくとも1つは、携帯機器上のタッチスクリーンインタフェースである。上記の入力機構、軌道領域、および測定プローブとアーチファクトの相対運動を制御するために使用できる少なくとも1つの触覚センサのいずれかまたは全部を、共通の、例えば同一の入力機器(例えば、タッチスクリーン機器)により提供できる。
装置は、アーチファクトの少なくとも1つの特徴物のグラフィック描写を少なくとも1つのスクリーンに表示するように構成されてもよい。グラフィック描写は、3次元表現であってもよい。所望により、装置は、オペレータがグラフィック描写のビューを操作できるように構成される。例えば、後でより詳しく説明するように、少なくとも1つのスクリーンはタッチスクリーンであってもよく、したがって、装置は、オペレータがタッチスクリーンを通じてグラフィック描写のビューを操作できるように構成されてもよい。グラフィック描写は、測定プローブを通じて得られたデータから生成できる。携帯機器は、座標位置決め機械からのデータを処理して、グラフィック描写を生成してもよい。所望により、携帯機器は、座標位置決め装置の別の部分から、例えば座標位置決め機械のコントローラ、またはデスクトップコンピュータ(その例については後でより詳しく説明する)等の他のプロセッサ機器からグラフィック描写データを受け取ることもできる。所望により、装置は、少なくとも1つのスクリーン上に、そのアーチファクトの、事前に生成されたコンピュータ支援設計(CAD)またはコンピュータ支援製造(CAM)モデルのグラフィック描写を表示するように構成されてもよい。これは、測定された特徴物のグラフィック描写の代わりであっても、それに追加されてもよい。
したがって、好ましくは、携帯機器は、オペレータが上記の機能の少なくとも1つを実行するために使用できるグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を提供する。
このスクリーンは、少なくとも1つのタッチスクリーンを含むことができる。これによって、オペレータはハードウェアのキーボードおよび/またはマウス/トラックボールを使用せずに、携帯機器のソフトウェアと対話できる。少なくとも1つの起動領域は、少なくとも1つのタッチスクリーンによって提供できる。したがって、タッチスクリーンは上記の触覚センサを提供できる。
座標位置決め装置は、自由空間における携帯機器の位置および/または向きが、例えばその当初の位置および/または向きから、特に例えば、それが最初に起動された位置および/または向き(例えば、上記の説明のように少なくとも1つの起動領域が接触された位置および/または向き)から変化したことに応答して、測定プローブとアーチファクトが相互に関して所定の速度で移動するように構成できる。所定の速度は、自由空間における携帯機器の位置および/または向きの変化の程度に関係なく、同じであってもよい。好ましくは、測定プローブとアーチファクトが相互に関して移動する速度は、自由空間における携帯機器の位置および/または向きの、例えばその当初の位置および/または向き、特に例えば、その最初に起動された位置および/または向きからの変化の大きさに依存する。自由空間における携帯機器の位置および/または向きの変化の大きさの、速度に対する関係は、段階的に変化してもよい。好ましくは、この関係はスムーズに変化する。好ましくは、この関係は非線形であり、詳しくは、好ましくは速度上昇率が、自由空間における携帯機器の位置および/または向きの変化の大きさと共に漸進的に増大する。
したがって、座標位置決め装置は、携帯機器の移動(例えば、位置および/または向きの変化)を、少なくとも1つの所定の関数による速度での測定プローブとアーチファクトの相対運動の命令に使用するのに適したデータに変換するように構成されてもよい。少なくとも1つの所定の関数は線形関数である。好ましくは、少なくとも1つの所定の関数は非線形関数である。詳しくは、好ましくは非線形関数が曲線関数である。好ましくは、その曲線は、携帯機器の運動の程度が小さいときには比較的浅く(すなわち、ゆっくりと変化し)、携帯機器の運動の程度が増大するにつれて(例えば、携帯機器の、その当初の位置および/または向きからの(特に例えば、その最初に起動された位置および/または向きからの)変化が増大するにつれて)漸進的に急峻となる。したがって、非線形関数は、測定プローブとアーチファクトの間の相対運動の速度の上昇率が、携帯機器の運動の程度の増大に伴って増大するように構成されてもよい。例えば、関数は、測定プローブとアーチファクトの間の相対運動の速度上昇率が、携帯機器の運動の程度の増大と共に指数関数的に増大するように構成されてもよい。
携帯機器そのものが、少なくとも1つの運動センサからの出力を処理して、測定プローブの相対運動の命令に使用するのに適したデータを生成するように構成されてもよい。所望により、座標位置決め機械のコントローラまたはその他のサードパーティデバイス(どちらも、後でより詳しく説明する)は、携帯機器の運動センサからの出力を受け取って処理し、測定プローブの相対運動の命令に使用するのに適したデータを生成してもよい。
携帯機器の運動を測定プローブとアーチファクトの相対運動に変換するための関数は、変更可能であってもよい。したがって、座標位置決め装置は、オペレータが使用する適当な関数を選択できるように構成されてもよい。例えば、低速関数と高速関数を提供してもよく、これらは、携帯機器がその当初の位置および/または向き(例えば、その最初に輝度された位置および/または向き)から離れて移動した範囲が同じであるとすると、高速関数は低速関数より測定プローブとアーチファクトをより高速で相対運動させるように構成される。所望により、関数の少なくとも1つの可変値は、携帯機器の運動が測定プローブとアーチファクトの相対運動を命令するためのデータに変換される方法を変化させるように変更可能であってもよい。所望により、座標位置決め装置は、携帯機器の運動を測定プローブとアーチファクトの相対運動にマッピングするための複数の選択可能な関数で構成されてもよい。
当然のことながら、座標位置決め機械は、アーチファクトを設置できる固定プラットフォームを含んでいてもよい。測定プローブは、アーチファクトに関して移動するように構成されてもよい。所望により、座標位置決め機械は、その上にアーチファクトを設置できるプラットフォームを含み、これは、測定プローブに関して、少なくとも直動1自由度および/または少なくとも回転1自由度で移動できる。
座標位置決め機械は、コントローラを含むことができる。携帯機器はコントローラと通信でき、コントローラは自体は、測定プローブとアーチファクトの相対運動を起こすための、座標位置決め機械上のモータを制御する。携帯機器は、コントローラと直接通信しても、またはサードパーティデバイス、例えば特注または汎用コンピュータ等の処理装置を通じて通信してもよい。
測定プローブは、接触型プローブとすることができる。接触型プローブは通常、プローブ本体に取り付けられ、そこから延びる触針を含む。触針は、加工物に接触する先端を含むことができる。接触型プローブには、剛性触針プローブと、触針偏向プローブがある。触針偏向プローブは、触針が加工物に当てて駆動されたときに、その偏向を検出することによって動作する。触針の偏向を検出する構成部品は一般に、プローブ本体の中に格納される。触針偏向プローブは、プローブが、触針が設置されたか、偏向されたことを判断できる、「両用(dual-state)」プローブとすることができる。偏向は、触針がプローブ本体に関して傾くことによってプローブ本体との接触状態が途切れることによって検出されてもよい。例えば、このようなプローブは特許文献1において開示されており、その内容全体をこの引用によって本明細書に援用する。
触針偏向プローブは、プローブが触針の偏向の程度を判断できるアナログプローブとすることができる。アナログ触針偏向プローブは、光学的触針偏向プローブとすることができる。例えば、このようなプローブは特許文献2において開示されており、その内容全体をこの引用によって本明細書に援用する。
測定プローブは、非接触型プローブとすることができる。このようなプローブは、ある加工物を、その加工物と接触せずに測定するために使用できる。非接触型プローブとしては、光プローブ、レーザ走査プローブ、容量型プローブ、インダクタンス型プローブ、例えば特許文献3と特許文献4に開示されているものがあり、これらの内容をこの引用によって本明細書に援用する。
非接触型測定プローブは、ビジョンプローブを含むことができ、これはカメラ(またはビデオ)プローブとも呼ばれる。このようなプローブは、検査対象のアーチファクトの画像を取得し、そこから測定情報を得ることができる。この場合、および携帯機器が少なくとも1つのスクリーンを含む実施形態において、装置は、携帯機器がその少なくとも1つのスクリーン上に、ビジョンプローブから取得した少なくとも1つの画像を表示できるように構成することができる。詳しくは、装置は、携帯機器がそのスクリーン上に、ビジョンプローブから取得した複数の画像、例えば一連の画像、例えばビジョンプローブからのビデオストリーム、より詳しくは、ビジョンプローブからのライブビデオストリームを表示するように構成できる。このようなピクチャおよび/またはビデオストリームはまた、カメラなしプローブを使用するとき、例えば接触型プローブを使用するときにも有益となりえ、提供できる。例えば、カメラを接触型プローブに、例えば触針の先端に設置してもよく、または触針の長さに沿って観察していてもよい。すると、カメラからの画像は携帯機器に供給され、携帯機器上に表示されてもよく、それによって使用者は測定および/または経路計画作業中にプローブの「触針による視野」を得ることができる。
装置は、ビジョンプローブの特性をオペレータが携帯機器を通じて変更できるように構成されてもよい。例えば、装置は、フォーカス(例えば、焦点面)と露出設定の少なくとも一方を、携帯機器を通じて制御できるように構成されてもよい。ビジョンプローブが照明機器を含む場合、この装置はまた、このような機器の照明レベルを、携帯機器を通じて制御できるように構成されてもよい。したがって、携帯機器は使用者が操作可能なビジョンプローブ特性変更手段を含んでいてもよく、それによりオペレータは携帯機器を通じてビジョンプローブの特性を変更できる。使用者が操作可能なビジョンプローブ特性変更手段は、少なくとも1つの触覚センサ、例えばスクロールホイールを含んでいてもよい。所望により、スクリーンがタッチスクリーンである実施形態において、使用者が操作可能なビジョンプローブ特性変更手段は、タッチスクリーンインタフェースよって提供できる。
本発明の第2の態様によれば、アーチファクトと相互作用してアーチファクトに関する測定データを取得するための測定プローブを有する座標位置決め機械と、オペレータが測定プローブとアーチファクトの相対運動を制御するために使用できる携帯機器と、を含む座標位置決め装置の操作方法が提供され、この方法は、携帯機器を自由空間内で移動させるステップを含み、それに応じて測定プローブとアーチファクトが相互に関して移動する。
本発明の第3の態様によれば、上記の装置または方法とともに使用するように構成された携帯機器が提供される。詳しくは、複数の機器自由度で自由空間内を移動可能な携帯機器が提供され、これは少なくとも1つの運動センサを含み、また、前記少なくとも1つの運動センサの出力に基づいて、座標位置決め装置上で測定プローブとアーチファクトの相対運動を起こさせるための命令を決定し、出力するように構成される。
本発明の第4の態様によれば、コンピュータ実装方法が提供され、これは、携帯機器から自由空間における携帯機器の運動を表すデータを受け取るステップと、前記データに基づいて、アーチファクトに関する座標位置決め機械の測定プローブを移動させるための命令を生成するステップと、前記命令を機械に発行し、前記命令に従って測定プローブを移動させるステップと、を含む。
本発明の第5の態様によれば、座標位置決め装置上の測定プローブとアーチファクトの相対運動を制御するためのコンピュータ実装方法が提供され、これは、携帯機器内の少なくとも1つの運動センサからの出力を受け取るステップと、前記出力を処理して、座標位置決め装置の一部を移動させるための命令を生成するステップと、前記命令を座標位置決め装置のコントローラに出力するステップと、を含む。別の態様によれば、少なくとも1つの運動センサと、少なくとも1つのプロセッサと、実行されると上記の方法を行うコンピュータプログラム命令を含む少なくとも1つのメモリデバイスと、を有する携帯機器が提供される。また別の態様によれば、少なくとも1つの運動センサを含む携帯機器で実行されると、上記の方法を行うコンピュータプログラム命令を含むコンピュータ読取可能媒体が提供される。
本発明の他の態様によれば、座標位置決め装置が提供され、これは、アーチファクトと相互作用して、そのアーチファクトに関する測定情報を取得する測定プローブを有する座標位置決め機械であって、測定プローブとアーチファクトが少なくとも機械1自由度で相互に関して運動可能な座標位置決め機械と、機器であって、携帯機器の、またはその一部の操作を通じて、アーチファクトに関する測定プローブの運動を直接制御するための入力機構と、オペレータが測定作業に関する情報を入力および/または取得するために使用できるユーザインタフェースと、を含む機器と、を含む。同様に、携帯機器の、またはその一部の操作を通じて、座標位置決め装置上のアーチファクトに関する測定プローブの運動を直接制御するための入力機構と、オペレータが測定作業に関する情報を入力および/または取得するために使用できるユーザインタフェースと、を含む機器が提供される。
運動は、例えば少なくとも1つの物理的ジョイスティック、トラックボール、触覚センサ、タッチパッド、タッチスクリーン、または運動センサを通じて直接制御できる(例えば、それによって自由空間における携帯機器の運動を制御する)。当然のことながら、直接制御によって、使用者は測定プローブとアーチファクトの運動をリアルタイムで制御でき、例えば、測定プローブとアーチファクトの運動が携帯機器の、またはその一部の操作に応答して略即座に発生する。換言すれば、携帯機器は、測定プローブとアーチファクトの現在の運動を制御するために使用できる。
当然のことながら、上記のその他の発明に関して行われた説明は本発明にも適用され、またその逆でもある。したがって、例えば、ユーザインタフェースは、オペレータに対して情報、例えば座標位置決め装置に関する情報を表示するための少なくとも1つのスクリーンを含んでいてもよい。装置は、測定プローブに関するデータがその少なくとも1つのスクリーン上に表示されるように構成できる。詳しくは、装置は、測定プローブとアーチファクトの間の相互作用に関するデータがその少なくとも1つのスクリーン上に表示されるように構成できる。
携帯機器は、座標位置決め装置に関するデータ(例えば、測定プローブに関するデータおよび、より詳しくは、例えば測定プローブとアーチファクトの間の相互作用に関するデータ)を受け取り、このデータを処理して、座標位置決め装置に関する情報を少なくとも1つのスクリーン上に表示するように構成できる。
好ましくは、装置は、オペレータが携帯機器と対話して、測定作業に関する情報を入力および/または取得することができるように構成される。前述のように、携帯機器は、少なくとも1つの対話−入力機器を含むことができ、これを通じてオペレータは携帯機器と対話して、測定作業に関する情報を入力および/または取得できる。
前述のように、装置は、オペレータが携帯機器を使い、例えば測定作業中に使用される中間点を確認することによって測定作業をプログラムできるように構成できる。したがって、好ましくは、装置(例えば、携帯機器)は少なくとも1つのプログラム−入力機構を含み、それを通じてオペレータは携帯機器と対話して、測定作業に関する情報をプログラムすることができる。
前述のように、装置は、オペレータが携帯機器と対話して(例えば、携帯機器に問い合わせて)、座標位置決め装置に関する、例えば測定プローブに関する、所望により例えば測定プローブを通じて取得された測定点に関する、さらに所望により例えば測定プローブによって測定された特徴物に関する情報を取得することができるように構成できる。例えば、装置は、オペレータが測定されているアーチファクトの特徴物に関する測定情報、例えば対象物の大きさおよび/または2つまたはそれ以上の特徴物間の距離を読み出すことができるように構成されてもよい。したがって、好ましくは、装置(例えば、携帯機器)は少なくとも1つの問い合わせ−入力機構を含み、これを通じてオペレータは携帯機器に、座標位置決め装置に関する、例えば測定プローブに関する、所望により例えば測定プローブにより得られた測定点に関する、さらに所望により例えば測定プローブにより測定された特徴物に関する情報を問い合わせることができる。
前述のように、携帯機器は少なくとも1つの対話−入力機構、および/または少なくとも1つのプログラム−入力機構、および/または少なくとも1つの問い合わせ−入力機構を含むことができる
上記の説明によれば、装置は、アーチファクトの少なくとも1つの測定対象特徴物のグラフィック描写(例えば、3次元描写)を少なくとも1つのスクリーン上に表示するように構成されてもよい。同じく前述のように、装置は、オペレータがグラフィック描写のビューを操作できるように構成される。
したがって、好ましくは、携帯機器はグラフィカルユーザンタフェース(GUI)を含み、これを通じてオペレータは上記の機能の少なくとも1つを実行できる。
上記の説明によれば、スクリーンは少なくとも1つのタッチスクリーンを含むことができる。
本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながら以下に説明する。
図1を参照すると、本発明のある実施形態による座標位置決め装置10が示されており、これは、座標測定器(CMM)100の形態の座標位置決め機械と、タブレットコンピュータ200の形態の携帯機器と、デスクトップコンピュータ300と、コントローラ102と、を含む。CMM100は、その上に検査対象物106を置くことができるプラットフォーム104と、2つの直立部材108を含むガントリと、2つの直列部材108の上部間に延びる横部材110と、を含む。ガントリは、コントローラ102により制御されるモータ(図示せず)を通じて、プラットフォームに沿って1つの直線次元(この場合、「y」軸と称される)において運動可能である。横部材110は中空軸112を担持し、これはコントローラ102によって制御されるモータ(図示せず)を通じて、横部材の長さに沿って(この場合「x」軸と称される)、またyとx軸に垂直にも(すなわち、図のように「z」軸に沿って)運動可能である。中空軸112はヘッド114を担持し、これ自体は触針118を有するプローブ116を担持する。ヘッド114は、コントローラ102により制御されて、第1と第2の直交軸(図1において「A1」と「A2」として示される)の周囲でプローブ116と、したがって触針118が回転しやすいように、軸受とモータ(図示せず)を有する点で、関節接合されている。CMMは、位置エンコーダ(図示せず)を含み、これはガントリ、中空軸、プローブの、直動3自由度および回転2自由度の各々における位置をコントローラ102に報告する。
開示される実施形態において、座標位置決め機械はシリアルCMM(すなわち、直動3自由度が3つの独立した直交運動軸によって提供される)である。しかしながら、当然のことながら、本発明はまた、他の種類の座標位置決め機械、例えばパラレルCMM、ロボットアームまたはその他の運動の制御にも使用できる。本発明はまた、専用のCMMだけでなく、工作機械等の座標位置決め機械にも使用できる。さらに、当然のことながら、本発明はまた、デカルト座標系および非デカルト座標系位置決め機械、例えば極座標および球座標系位置決め機械との使用にも適している。
開示される実施形態において、プローブ116は接触型タッチトリガプローブであり、これは、プローブ116(および詳しくは触針118(より具体的には触針の先端))と物体106との接触が検出されると信号を発生する。このようなプローブの一例は、特許文献5に詳しく記載されている。当然のことながら、プローブ116は必ずしもタッチトリガプローブでなくてもよい。例えば、これは、触針のその休止位置からの偏向の程度を検出し、報告するアナログプローブ(走査型プローブとも呼ばれる)であってもよい。このようなプローブの例は、特許文献6および特許文献7により詳しく記載されている。さらに、プローブ116は、必ずしも接触型プローブでなくてもよい。これは、例えば非接触型プローブ、例えば容量型またはインダクタンス型プローブであってもよい。所望により、これはビジョンプローブ、例えばカメラプローブ、またはパターン光解析プローブであってもよい。このようなプローブの例は、特許文献8と特許文献9により詳しく記載されている。
図に示されているように、タブレットコンピュータ200は、各種のプロセッサとメモリ要素(図示せず)を含む筐体202と、タッチセンサスクリーン204を含む。タブレットコンピュータ200は自由に動かすことができ、すなわち、自由空間において動かすことができる。タブレットコンピュータ200はまた、複数の加速度計(図示せず)を含み、これを使って自由空間におけるタブレットコンピュータの運動を検出できる。タブレットコンピュータ200は、6自由度、すなわち直交3自由度x、y、zと、回転3自由度a、b、c(すなわち、x,y,z軸の周囲での回転)で動かすことができ、これらは軸群201により示されている。6自由度での運動は、加速度計を通じて検出できる。図ではタブレットコンピュータ200の自由度はCMMの自由度(すなわち、軸群101に示されるx、y、z軸)と一致しているが、必ずしもそうでなくてもよい。実際に、後でより詳しく説明するように、運動が検出されるタブレットコンピュータ200の軸群201は、CMM100ではなく、タブレットコンピュータ200に関して定義されており、したがってこれに追従する。
タブレットコンピュータ200はまた、無線トランシーバを含み、これを通じてデスクトップコンピュータ300と無線通信する。詳しくは、デスクトップコンピュータ300はイーサネット(登録商標)接続を通じて無線ルータ302に接続され、これは規格802.11に基づいて無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)を提供し、タブレットコンピュータ200はこれを通じてデスクトップコンピュータ300と通信する。タブレットコンピュータ200は、無線ルータ302により提供されるWLANを通じて無線ルータ302と無線接続される。もちろん、その他の無線技術や規格も利用できる。例えば、タブレットコンピュータ200は、Bluetooth(登録商標)無線規格を通じてデスクトップコンピュータ300に接続されてもよい。さらに、当然のことながら、タブレットコンピュータ200はデスクトップコンピュータ300との有線接続を有していてもよいが、当然のことながら、このような有線接続では、タブレットコンピュータ200がデスクトップコンピュータ300に束縛されるため、あまり望ましくない。
開示されている実施形態において、デスクトップコンピュータ300は汎用コンピュータ(すなわち、「PC」)であってもよい。しかしながら、当然のことながら、デスクトップコンピュータ300の代わりに特注の処理装置を使用してもよい。同じく当然のことながら、図5に関連して後でより詳しく説明するシステムアーキテクチャは、本発明を実施できる数多くの方法の1つに過ぎない。例えば、具体的な実施形態において、コントローラ102またはタブレットコンピュータ200は、デスクトップコンピュータ300の下記の機能を有していてもよく、その結果、タブレットコンピュータ200はコントローラ102と直接通信できる。また別の例示的実施形態において、タブレットコンピュータ200は、デスクトップコンピュータ300、および所望によってはコントローラ102の下記の機能を有していてもよく、その結果、タブレットコンピュータ200は、単純な無線または有線インタフェースを通じてCMM100と直接通信する。
図2は、本発明の1つの実施形態によるタブレットコンピュータ200の概略図である。この場合、タッチスクリーン204はタッチスクリーンディスプレイ204の下側縁辺に沿った両側の角に2つの「起動領域」210を単純に表示している。後でより詳しく説明するように、オペレータは、タブレットコンピュータ200を使ってCMM100のプローブ116の運動を制御できるようにするには、これらの起動領域210の両方に同時に触れる必要がある。これらの起動領域210は、自由空間におけるタブレットコンピュータ200の運動に応答してプローブ116の運動を制御するためにタブレットコンピュータ200を「起動」する役割を果たすだけでなく、起動領域210の一方または両方から手が離れると、タブレットコンピュータ200のこのような機能を「無効化」する役割も果たす。したがって、起動領域210は日常会話で「デッドマンハンドル」と呼ばれるもとして機能し、これによってタブレットコンピュータ200の運動制御機能は、例えばオペレータがタブレットコンピュータ200を落とすなどしてタブレットコンピュータ200が手から離れると無効となる。当然のことながら、装置10は、その他の状況、例えばタブレットコンピュータ200が、オペレータによって振動されたことを感知すると、CMM100の軸の運動を中断するように構成されてもよい。さらに、装置10は、タブレットコンピュータ200とCMM100、コントローラ102および/またはPC300の間の通信が失われ、および/または妨害されたと判断すると、CMM100の軸の運動を中断するように構成されてもよい。
当然のことながら、起動領域はタッチセンサスクリーン上の領域(例えば、領域210)によって提供されなくてもよい。そうではなく、これらはタブレットコンピュータ200の他の部分の接触感知領域によって提供されてもよく、例えばボタン、スイッチまたはその他を含んでいてもよい。さらに、所望により、起動領域は1つだけ設けてもよく、または3つ以上の起動領域を設けてもよい。さらに、このような起動領域は安全衛生の観点から非常に望ましく、推奨されるが、これらは本発明の本質部分ではない。例えば、装置は、CMM100がタブレットコンピュータ200のどの運動に従ってプローブ116を移動させるようにも構成できる。
図3aと3bは、タブレットコンピュータ200を使ってCMM100に取り付けられたプローブ116の運動を制御する方法を示している。要約すれば、開示されている実施形態において、タブレットコンピュータ200の内部の加速度計は、xおよびy軸の周囲のタブレットコンピュータ200の加速度を感知するために使用され、この情報はデスクトップコンピュータ300に送られ、これが今度はこの情報をコントローラ102に送り、それがCMM100のモータを制御して測定プローブ116を移動させる。予測可能な運動を起こさせるために、タブレットコンピュータ200のxとy軸は、CMMの特定の運動軸に関連付けられる。例えば、図1の配置では、タブレットコンピュータ200のx軸はCMM100のy軸に結び付けられ、タブレットコンピュータ200のy軸はCMM100のx軸に結び付けられる。したがって、タブレットコンピュータ200のそのx軸の周囲での回転運動は、CMM100のy軸に沿ったプローブ116の直線運動を起こさせ、タブレットコンピュータ200のそのy軸の周囲での回転運動は、CMM100のx軸に沿ったプローブ116の直線運動を起こさせる。
詳しくは、開示されている実施形態は、タブレットコンピュータ200のその軸の周囲での、両方の起動領域が最初に接触された地点からの回転の程度をモニタし、検出された回転の程度を、CMM100の、それに関連付けられた軸の直線運動の速度にマッピングする。
例えば、図3aを参照すると、x軸の周囲で水平に対して45°の角方向まで動かされたタブレットコンピュータ200の端面図が示されている。(この実施形態において、オペレータは、タブレットコンピュータ200が水平であったときに起動領域210に最初に接触し、その後、タブレットコンピュータ200をx軸の周囲で45°回転させた。)図3bは、タブレットコンピュータ200の回転運動をCMM100のy軸に沿ったプローブ116の運動にマッピングする方法が示されている。図のように、y軸における運動速度はx軸の周囲でのタブレットコンピュータ200の回転の大きさに依存する。グラフに示されているように、x軸回転は0〜1(および0から−1)の間で測定され、これは、起動領域210が最初に触れられたときのタブレットコンピュータ200の向きから見て0°〜90°(および0°〜−90°)の角方向に対応する。開示されている実施形態において、90°を超えた回転は、CMMの軸に沿ったプローブ116の運動速度の上昇において全く影響力を持たなくなる。図のように、図3aでは、タブレットコンピュータ200はx軸の周囲で水平に対して45°の角方向まで移動されているため、これは数値x=0.5に対応する。図3bのグラフに示されるように、これはCMMの速度約175に対応する(0=CMMの軸に沿った運動/速度がなく、500=CMMの軸に沿った最大速度)。
図から分かるように、タブレットコンピュータ200の回転運動をCMMの速度にマッピングするために使用される関数は線形関数でない。むしろ、これは非線形関数であり、その増加率はタブレットコンピュータ200の回転の増大と共に大きくなる。開示されている具体的な例において、増加率は指数関数的であるが、当然のことながら、必ずしもそうでなくてもよい。これによって、タブレットコンピュータ200がその最初に起動されたときの向きからの回転運動が小さいときには、CMMの軸に沿ったプローブ116の速度は低速のままであるが、これはタブレットコンピュータ200の回転変位の増大とともに着実に上昇する。これによって、タブレットコンピュータ200のより小さな回転変位でのシステムの感度が低くなり、その結果、プローブ116で測定点を正確にとらえる際の容易さが増し、その一方で、希望に応じてプローブ116を素早く、大まかに動かすこともできることが分かった。
さらに、図のように、この関数は0を通らない。これは、開示されている具体的な実施形態において、CMMの軸は閾値の速度を示す信号が送られるまで動かなかったからである(この具体例では59.9)。したがって、図の関数はこのようなデッドスポットを回避しており、タブレットコンピュータ200が動かされたとたんにプローブ116がCMM100の軸に沿って運動を始める。当然のことながら、このようなデッドスポットは、他の種類の機械にはある場合とない場合もあり得るが、閾値はおそらく異なる。
当然のことながら、携帯機器200の他の自由度における運動をプローブ116と物体106の相対運動にマッピングするために、同じ関数を使っても、異なる関数を使ってもよい。さらに、携帯機器200は、オペレータが同じ自由度について複数の異なる関数の中から選択できるように構成されてもよい。例えば、第1と第2の曲線関数を提供してもよく、第1の曲線関数は第2の関数よりなだらかな曲線である。したがって、第1の曲線関数は初心者のオペレータが使用するのにより適当となり得、第2の曲線は熟練オペレータが使用するのにより適当であり得る。制御手段は、携帯機器200のタッチスクリーンインタフェースを通じて提供されてもよく、これによってオペレータはどの関数を使用するか選択できる。すなわち、トグルスイッチを提供してもよく、これによってオペレータは異なる関数間で切り替えることができる。さらに、複数の異なる関数を提供するのではなく、オペレータが変更できる1つの関数を提供してもよい。例えば、関数のパラメータを使用者が変更して、曲線関数の急峻さを変えることが可能であってもよい。これは、携帯機器200のタッチスクリーンインタフェースによって提供されるスライドボタンを通じて変更されてもよく、オペレータはこれを動かして関数を変更できる。別の実施形態では、オペレータは、異なる関数の中から選択する(または関数を変更する)ことによって、携帯機器200の運動に応答してCMMの軸が移動できる最大速度を変更できる。
図4aを参照すると、本発明の他の実施形態によるタブレットコンピュータ200のスクリーンショットが示されている。図2に示されているものと異なり、スクリーンにははるかに多くの情報が表示されている。ここでも2つの起動領域210が、タブレットコンピュータ200の下側縁辺に沿った両側の角に向かって設置されている。しかしながら、この場合は各起動領域210には、ブランク領域220(これは、図2に関して上述した方法とほとんど同様に使用でき、すなわちブランク領域220は基本的にデッドマンハンドルである)、と、ジョイスティック222、224を含むジョイスティック領域223、225が含まれる。詳しくは、右側の起動領域210には2Dジョイスティック222が含まれ、左側の起動領域210には1Dジョイスティック224が含まれる。当然のことながら、ジョイスティック222、224は、一般に「Dパッド」とも呼ばれるジョイスティックパッドのグラフィック描写を示すソフトウェアによって提供される。オペレータは、物理的なジョイスティックパッド/Dパッドの場合と同様の方法でジョイスティックの上で親指(または親指以外の指)をスライドさせることによって、1Dおよび2Dジョイスティック224、222を制御できる。後でより詳しく説明するように、ジョイスティック222、224は起動領域210の中に配置されているため、これら自体を、プローブ116の加速度計に基づく運動制御を「起動させる」ために使用できる。しかしながら、同じく後でより詳しく説明するように、特定の実施形態において、ジョイスティック222、224の特定の組み合わせが選択された場合には、加速度計に基づく運動制御が起動されないことが好ましいかもしれない。
後でより詳しく説明するように、検査工程中に物体上の点がとらえられると、データがタブレットコンピュータ200にフィードバックされ、これによって、その物体のグラフィック描写をタブレットコンピュータ200のスクリーン204の上に構築できる。これは図4aにおいて、タッチスクリーン204の中央のグラフィック描写230により示される。オペレータは、グラフィック描写230のビューを、タッチスクリーン240において指をグラフィック描写230の上でスライドさせることによって操作し、角方向を変えることができる。さらに、オペレータは、タッチスクリーン204においてグラフィック描写230の上で指同士を近付ける、または離しながら開く動作によって、グラフィック描写230を拡大、縮小することができる。もちろん、当然のことながら、これらはモデルを操作するために使用できるジェスチャの種類の一例に過ぎず、グラフィック描写230との相互作用にはその他のジェスチャや動作も利用できる。
同じく図4aに示されるように、タッチスクリーン204はオペレータに向けて多くのボタンを提供する。ボタンを左から右の順に見ると、第1のボタン232は、オペレータにより、タブレットコンピュータ200の加速度計をCMM100の直線軸x、yの制御のための使用からヘッド14の回転軸A1、A2の制御へと切り替える際に選択できる。このボタンが選択されると、プローブ116の回転軸の周囲での運動が、直線軸に沿った運動とほとんど同様に制御される。すなわち、タブレットコンピュータ200の回転運動が、ヘッド114のA1、A2軸の周囲での回転運動を起こさせる。詳しくは、タブレットコンピュータ200のそのx軸の周囲での回転運動を、ヘッド114の軸の1つ(例えば、A1)の周囲での回転運動に結び付けることができ、タブレットコンピュータ200のそのy軸の周囲での回転運動を、ヘッド114の軸のもう一方(例えば、A2)の周囲での回転運動に結び付けることができる。さらに、図3bに示されているものと同じか、同様の関数を使って、ヘッド114の軸A1、A2の周囲でのプローブ116の回転運動の速度を制御できる。
第2のボタン234を選択すると、ある点、例えば中間点をとらえることができる。これは、タブレットコンピュータ200が測定経路のプログラムに使用されているときに有益となりえ、それは、CMM100に対して、物体106の周囲でナビゲートしているときにプローブ116を物体106から離れた特定の点まで移動させるように命令するために使用できるからである。第3のボタン236は、選択された点、すなわちプローブ116と物体106との接触によって生成されたもの、または第2のボタン234の選択によって作られたものを取り消すために使用できる。第4のボタン238は、プローブ116のオンとオフに使用できる(すなわち、これをオフにして、プローブ116と物体106が接触してもトリガ信号を発生しないようにすることができる)。第5のボタン240は、CMM100のモータをオフにするために使用できる。これは、オペレータが手でプローブ116を動かしたいときに有益となりうる。
第6のボタン242を選択すると、タッチスクリーン上にオプションボックスが表示され、これによってオペレータは手作業で、タブレットコンピュータ200に対し、CMM100に関するタブレットコンピュータ200の向きを知らせることができる。これは、タブレットコンピュータ200の軸とCMM100の軸の結び付きを、タブレットコンピュータ200とCMM100の向きに応じて変更できるようにするためである。例えば、前述のように、タブレットコンピュータ200のx軸はCMM100のy軸に結び付けられ、タブレットコンピュータ200のy軸はCMM100のx軸に結び付けられる。しかしながら、オペレータがCMM100の横に歩いて行き、CMM100と対面して、タブレットコンピュータ200がそのz軸の周囲で90°回転されるようにすると、タブレットコンピュータ200のx軸をCMM100のy軸に結び付け、タブレットコンピュータ200のy軸をCMM100のx軸に結び付ける方がより適当かもしれない。したがって、オペレータはボタン242を通じて、タブレットコンピュータ200に対して、タブレットコンピュータ200とCMM100の間の向きがそのように変わったため、タブレットコンピュータ200とCMM100の軸の間の結び付きを変えると伝えることができる。後でより詳しく説明するように、タブレットコンピュータ200とCMM100の軸の間の結び付きの変更が自動的に行われるようにすることもできる。
第7のボタン244は、2Dジョイスティック222を、2Dジョイスティック222を直線次元xとyの両方に同時に無制限に動せる無制限2Dジョイスティック(図に示される)と、2Dジョイスティック222を一度に直線次元xまたはyの一方にしか動かせない制限付2Dジョイスティックとの間で切り替えるために使用できる(この場合、円形(O)のジョイスティックの境界線223がプラス(+)の境界線に変わり、制限されていることをオペレータに視覚的に示す)。
オペレータはタブレットコンピュータ200に、座標位置決め装置に関する、詳しくは例えば検査対象の物体106に関する情報を問い合わせることもできる。詳しくは、タブレットコンピュータ200を使って、物体106に関する測定データ、例えば特徴物の大きさおよび/または2つまたはそれ以上の特徴物間の距離を見直すことができる。このようなデータの問い合わせには、オペレータが例えばタッチスクリーン204を通じてタブレットコンピュータ200と対話することによってアクセスできる。例えば、メニューを提供することができ、これには例えば、オペレータがタブレットコンビュータ200の、例えばタッチスクリーン204のボタン(図示せず)を選択することによって、またはタブレットコンピュータ200を所定の方法で傾けることによって、例えばタブレットコンピュータ200をその短い方の端のうちの一方を下にして実質的に垂直な向きに起こすことによって、アクセスできる。例えば、図4bは、オペレータがタブレットコンピュータ200をその短い方の端のうちの一方を下にして垂直に起こしたときにオペレータに対して提示されるスクリーンの例を示している。図のように、オペレータは、いずれの特定の測定された特徴物の測定データも見ることを選択できる(特徴物の名前(例えば、面001、面002)に触れることによる。図の例では、円002の測定データが示されている)。
前述のように、検査ソフトウェア352は、測定中の特徴物の種類を自動的に判断するように構成されてもよい。検査ソフトウェア352は、特徴物認識工程を援助するために、作業中に取得された測定データに関しするオペレータからの入力を必要とするかもしれない。この場合、装置10は、測定対象の特徴物の種類に関するオペレータの確認の要求がタブレットコンピュータ200のタッチスクリーン204に表示されるように構成されてもよい。例えば、特徴物の種類の選択肢がタッチスクリーン204上に表示されてもよい(例えば、面、線および/または円)。すると、オペレータはタッチスクリーン204を通じて、例えば適切な特徴物の種類を選択することを通じて)応答できる。
次に、図5を参照すると、タブレットコンピュータ200とデスクトップコンピュータ300のソフトウェアアーキテクチャの概略図が示されている。図のように、タブレットコンピュータ200とデスクトップコンピュータ300の中ソフトウェアは、多数の層と構成要素に分散させる(distilled)ことができる。特に、タブレットコンピュータ200は、ユーザインタフェース(UI)層250と、タッチスクリーン層252と、3Dレンダラ254と、加速度計層256と、コンパス層257と、ビジネス層258と、通信層260を含み、デスクトップコンピュータ300は、プロキシ350と、検査ソフトウェア352と、ユニバーサルCMMコントローラ(「UCC」)サーバ354と、を含む。これらの層と構成要素について、以下により詳しく説明する。
UI層250は、タッチスクリーン204上のグラフィクスの表示(図4aに示されるもの等)を制御し、またタッチスクリーン204への接触の検出を処理しい、例えばタッチスクリーン204が接触された位置をタッチスクリーン層252に報告する。
タッチスクリーン層252は、UI層250からこのような接触信号を受け取り、この接触に応答して行うべき動作があれば、それは何かを判断する。これに応答して、UI層250に対し、接触が検出されたことを示すように表示を変更するように命令することができる。例えば、ボタンまたは起動領域に接触されると、これは、例えばその色を変える等によってハイライトされてもよい。別の例として、ジョイスティック222、224が操作された場合、タッチスクリーン204の上のジョイスティックパッドの位置を変えて、オペレータの動作を反映させてもよい。さらに、タッチスクリーン層252はまた、タッチスクリーン204の接触が検出されたことに応答して、ビジネス層258に命令を送信し、これについては後でより詳しく説明する。
3Dレンダラ254は、デスクトップコンピュータ300からのモデルデータに応答して、グラフィック描写230の構築を処理し、これについて以下により詳しく説明する。
加速度計層256は、タブレットコンピュータ200の加速度計からのデータを処理し、情報をビジネス層258に送る。同様に、コンパス層257は、タブレットコンピュータ200の内蔵コンパスからのデータを処理し、情報をビジネス層258に送る。
ビジネス層258は、加速度計層256、コンパス層257、タッチスクリーン層252、3Dレンダラ254の各々からのデータを処理して、このように処理されたデータをデスクトップコンピュータ300に送信されるように通信層260に送る。例えば、ビジネス258は加速度計層256の出力を処理し、これを、例えば図3aと3bに関連して上述した方式を使って、測定プローブ116の運動の制御に使用可能な数値に変換する。オペレータがタッチスクリーン204上に示される3Dモデルを操作できる実施形態において、3Dレンダラが、タッチスクリーン204上の接触位置を処理し、オペレータがそのモデルの中のどの部分に接触したかを導き出すことに関わることができ、この情報をビジネス層258に送って、処理されるようにする(例えば、モデルの中の接触部分がハイライトされ、および/またはモデルの中の接触部分に関する情報が表示される)。ビジネス層258はまた、通信層260から、デスクトップコンピュータ300がタブレットコンピュータ200に送信したデータを受け取ってこれを処理し、および/または適切な層に送る。例えば、これはデスクトップコンピュータ300から、タッチスクリーン204上に表示されることになるグラフィック描写230に関する情報を受け取り、これを3Dレンダラに送る。通信層260は、WLANを通じたデスクトップコンピュータ300とのデータの送受信を処理する。各層のその他の機能については、図6〜8に関連して後でより詳しく説明する。
デスクトップコンピュータ300のプロキシ350は、(無線ルータを通じた)タブレットコンピュータ200とのテータの送受信を処理する。さらに、プロキシ350は、タブレットコンピュータ200から受け取る測定プローブの運動命令をコントローラ102に直接送る。図5に示されるように、プロキシ350はコントローラ102の上の入力ポート103に接続される。先行技術のシステムであれば、ジョイスティック105がこの入力ポート103に直接接続されることになり(破線で示される)、このジョイスティックからの信号はコントローラ102によって受信され、これが信号を解釈し、それを使ってCMM100のプローブ116の運動を起こさせるであろう。開示されている実施形態では、プロキシ350はジョイスティック105に代わってこのような信号を供給する。しかしながら、当然のことながら、本発明には、ジョイスティック150も設置して、それをプローブ116の運動の制御に使用できるような実施形態もあり得る。デスクトップコンピュータはまた、コントローラ102からのデータを処理するUCCサーバ354と、コントローラ102からのデータ(UCCサーバ354を通じて受け取る)を使って、特に検査中の物体の3D描写を構築する検査ソフトウェア352と、を含む。
前述のように、図5に示されるシステムアーキテクチャは、本発明を実施できる多様な方法のうちの1つに過ぎず、装置の様々な部分を通じて各種のモジュールを提供できる。実際に、前述のように、PCを完全になくしてもよく、そのモジュールはタブレットコンピュータ200、コントローラ102、またはそれら両方の組み合わせによって提供される。
図6は、プローブ116の運動を起こさせるためのタブレットコンピュータ200からコントローラ102への情報の流れ方を示す。方法600はステップ602から始まり、そこではタッチスクリーン層262がUI層250からの信号をモニタして、起動領域210が両方ともオペレータによって触れられたか否かを判断する。触れられていなければ、方法はこれらが触れられるまでそのまま待機する。起動領域210の両方が触れられると、方法はステップ604に進み、この時点で、1Dジョイスティック224と2Dジョイスティック222の両方が選択されているか否かを判断する。現在開示されている実施形態では、ジョイスティック領域223、225のいずれも選択されず(ブランク領域210だけが選択されており)、したがって方法はステップ606に進み、次にステップ608に進んで、この時点で1Dジョイスティック領域225または2Dジョイスティック領域223だけが選択されたか否かを判断する。現在の実施形態では、ブランク領域210だけが選択されているため、これらの時点での回答はどちらもノーであり、したがって方法はステップ610に進む。ステップ610では、タブレットコンピュータ200の加速度計が起動され、その出力が加速度層256によってモニタされて、ビジネス層258に報告される。ステップ612では、ビジネス層258が加速度計層256からの出力を処理して、図3aと3bに関連して上述した方法に従ってプローブ116を移動させるための命令を発生する。ビジネス層258はこの命令を通信層260に送り、通信層260がステップ614において、WLANを通じてプロキシ350にこの命令を送信する。ステップ616では、プロキシ350が今度はこの命令をコントローラ102に送り、コントローラ102は、通常ジョイスティック105からの命令を解釈する場合のように、この命令を解釈し、命令に従ってプローブ116の運動を起こさせる。ステップ612〜616は繰り返され、最終的に起動領域のうちの少なくとも一方がオペレータの手から離れ、その時点で制御工程はステップ602に戻る。
当然のことながら、上記の説明によれば、工程のいずれか段階で起動領域210のいずれかがオペレータの手から離れると、方法600は中断され、制御工程はステップ602に戻る。さらに、停止信号が(デスクトップコンピュータ300を通じて)コントローラに送信され、プローブ116のすべての運動が確実に停止される。
図7は、情報がコントローラ102からタブレットコンピュータ200に戻される様子を示す。ステップ702に示されるように、UCCサーバ354はコントローラ102に、CMM100のエンコーダからの位置情報と、プローブ116がトリガ信号を発生したか否かをポーリングする。コントローラ102はこの情報をUCCサーバ354に戻し、ステップ704で、UCCサーバ354が、コントローラ102はプローブ116がトリガ信号を発生したことを示しているか否かを判断する。示していなければ、UCCサーバ354は受け取った位置情報を記録して、制御工程をステップ702に戻す。UCCサーバ354がコントローラ102から、プローブ116がトリガ信号を発生したことの表示を確かに受け取ると、制御工程はステップ706に進み、この時点でUCCサーバ354は、現在の位置のほか、すでに受け取っている過去の位置情報も使って、接触点の接近ベクトルを決定する。UCCサーバ354は次に、ステップ706において、エンコーダからの位置情報とプローブ116の接近ベクトルを、プローブに関してすでに分かっている情報(例えば、その長さ、触針先端の直径等)とともに使用して、プローブ116と物体106の間の接触点が出現したか否かを判断し、これを記録する。
すると、この情報は検査ソフトウェア352に送られ、これが接触地点データを記録する。検査ソフトウェア352はまた、特徴認識工程を実行して、測定中の物体の特徴の描写を構築する。例えば、特徴認識工程は、測定中の特徴物が平面のような平らな特徴物か、円形の穴のような円形の特徴物かを特定しようとするために使用されてもよい。特徴認識アルゴリズムは公知であり、例えば特許文献10に記載されており、その内容をこの引用によって本明細書に援用する。ステップ710〜716に示されているように、検査ソフトウェア352は次に、この特徴物の描写データを、プロキシ350、タブレットコンピュータ200の通信層260およびビジネス層258を介してタブブレットコンピュータ200の3Dレンダラ254に送信する。すると、3Dレンダラはステップ718で、特徴物の描写データを、タッチスクリーン204上にグラフィック描写として表示するのに適したフォーマットで処理し、このグラフィック描写をUI層250に送ると、これがステップ720でグラフィック描写230をタッチスクリーン204上に表示する。
当然のことながら、検査ソフトウェア352は上記以外の追加の機能を果たすことができる。例えば、検査ソフトウェア352を使って、検査中の物体に関する正式なレポートを作成し、測定経路プログラムを保存してコントローラ102に測定プログラムを実行する命令を送り、測定された特徴物の描写をデスクトップコンピュータ200に接続されたディスプレイ(図示せず)上に表示することができる。
図6に示されているように、タブレットコンピュータ200の加速度計を通じて行う以外にも、プローブ116の運動を制御する方法がある。例えば、これから説明するように、タブレットコンピュータ200のタッチスクリーン204上のユーザインタフェースによって提供される1Dジョイスティック224と2Dジョイスティック222を通じてプローブ116の運動を制御することが可能である。例えば、ステップ604において、オペレータがタッチスクリーン204の、1Dジョイスティック224と2Dジョイスティック222が示されている場所に触ったと判断された場合、制御工程はステップ620に進み、この時点で、1Dジョイスティック224と2Dジョイスティック222がステップ620で起動される。これには、タッチスクリーン層252が1Dジョイスティック領域225と2Dジョイスティック領域223におけるオペレータの指の位置をモニタし、この位置情報をビジネス層258に報告することが関わる。ステップ622において、ビジネス層258はこの位置情報を処理して、プローブ116を移動させるための命令を発生する。詳しくは、ビジネス層258は1Dジョイスティック224にかんする位置情報を処理して、中空軸112をZ軸において移動させてプローブ116をZ軸方向において移動させるための命令を生成し、2Dジョイスティック222に関する位置情報を処理して、中空軸112を横部材110に沿ってX軸において移動させ、またガントリをY軸に沿って移動させ、その結果、プローブ116をXとY軸に沿って移動させるための命令を生成する。ビジネス層258は、タッチスクリーンからの位置情報を、図3bに関して上述した方法と同様に処理し、すなわち、非線形(例えば、指数関数的)関数を使って、当初の接触された位置から遠ざかる運動の程度をCMMの運動速度にマッピングする。
前節でステップ620と622に関して説明したシナリオにおいて、タブレットコンピュータ200の加速度計がイネーブルされないことに留意されたい。したがって、プローブ116の運動は1Dジョイスティック224と2Dジョイスティック222によってのみ制御される。同様の状況は、ステップ608において、オペレータがタッチスクリーン204の、2Dジョイスティック222がある場所(1Dジョイスティック224ではない)に触れたと判断されたときにも生じる。この場合も同じく、加速度計はイネーブルされずに、ビジネス層258が2Dジョイスティック222に関する位置情報を処理して、中空軸112を横部材110に沿ってX軸において移動させ、またガントリをY軸に沿って移動させ、その結果プローブ116をXおよびY軸に沿って移動させるための命令を生成する。
しかしなから、これに対して、ステップ606で、オペレータがタッチスクリーン204の、1Dジョイスティック224がある場所(2Dジョイスティック222ではない)に触れたと判断されると、加速度計がイネーブルされ、ビジネス層258は加速度計層256からの出力を処理して、図3aと3bに関連して上述した方法により、プローブ116をXとY軸に沿って移動させるための命令を生成し、また1Dジョイスティック224に関する位置情報を処理して、中空軸112をZ軸において移動させて、プローブ116をZ軸において移動させるための命令を生成する。
別の代替的実施形態において、1Dジョイスティック224および/または2Dジョイスティック222は、プローブ116と物体106の相対運動を加速度計と同時に制御するために使用されてもよい。詳しくは、加速度計は、プローブ116と物体106の直線相対運動を制御するために使用されてもよく、1Dジョイスティック224および/または2Dジョイスティック222は、プローブ116と物体106の回転相対運動を制御するために使用されてもよい。例えば、ステップ620で1Dおよび2Dジョイスティックと加速度計が起動されてもよく、ステップ622ではビジネス層258が、加速度計256からの出力を処理して、プローブ116をXおよびY軸に沿って移動させるための命令を生成し、1Dジョイスティック224に関する位置情報を処理して、中空軸112をZ軸において移動させて、プローブ116をZ軸において移動させるための命令を生成し、2Dジョイスティック222に関する位置情報を処理して、ヘッド114を制御してプローブ116をA1とA2軸の周囲で移動させるための命令を生成する。
前述のように、タッチスクリーン204上のユーザインタフェースによって提供される第6のボタン242により、オペレータはタブレットコンピュータ200に対し、CMM100に関するその向きを知らせることができ、その結果、タブレットコンピュータ200のどの軸がCMM100のどの軸に結び付けられるかを手作業で変更できる。これはオペレータにより、測定作業開始時にタブレットコンピュータ200に対し、それがCMM100に関してどの向きか、すなわちそれがCMM100の前、いずれかの側の横、または後ろのどこにあるかを伝えるために使用可能である。タブレットコンピュータ200は次に、その軸をCMM100の適切な軸に結び付けることができる(例えば、開示されている実施形態において、オペレータがタブレットコンピュータ200に対して、それがCMM100の前にあると伝えると、装置は、タブレットコンピュータ200のそのy軸の周囲での回転がCMM100のx軸に沿った測定プローブ114の直線運動を制御するように構成される)。
第6のボタン242はまた、タブレットコンピュータ200に対して、CMM100に関するその向きがいつ変わったかを伝え、それによって、タブレットコンピュータ200の軸とCMM100の軸の間の結び付きを変更するために使用できる(例えば、開示されている実施形態において、オペレータがタブレットコンピュータ200に対して、それがCMM100の片側にあると伝えると、装置は、タブレットコンピュータ200のそのy軸の周囲での回転がCMM100のy軸に沿った測定プローブ114の直線運動を制御するように構成される)。
上記のタブレットコンピュータ200はまた、CMM100に関するその向きの変化を判断して、タブレットコンピュータ200のどの軸がCMM100のどの軸に結び付けられるかを自動的に変更することもできる。これは、図5に示さるように、コンパス層257が提供され、これがタブレットコンピュータ200の内蔵コンパス(図示せず)の出力をモニタするからである。コンパス層257は、コンパスからのデータをビジネス層258に送る。ビジネス層258が、タブレットコンピュータ200が垂直軸の周囲で(例えば、タブレットコンピュータが水平に置かれているときにはそのZ軸の周囲で)、タブレットコンピュータ200とCMM100の相対的向きを実質的に変えるのに十分なだけ回転したと判断すると、ビジネス層258は、タブレットコンピュータ200のどの軸がCMM100のどの軸に結び付けられるかを変更する(開示されている具体的な実施形態において、これはタブレットコンピュータが垂直軸の周囲で少なくとも45°回転したときに行われる)。もちろん、このような向きの変化の検出は、コンパスによる方法以外でも実施でき、例えば、タブレットコンピュータ200の加速度計および/またはジャイロスコープの使用を通じて行われる。
前述のように、カメラプローブ等のビジョンプローブを、接触型プローブの代わりにCMM100のヘッド114に取り付けることができる。当然のことながら、カメラプローブは検査中の物体の画像、例えばビデオ画像を取得する。ソフトウェア、例えば検査ソフトウェア352は、画像を解析して、そこから測定情報を抽出できる。また、カメラプローブからの画像、例えばビデオストリームがカメラプローブからタブレットコンピュータ200へと送られて、タッチスクリーン204上に表示され、それによってオペレータがカメラプローブに見えているものを見ることができるようにすることも可能である。同様に、カメラ式でないその他の種類のプローブの場合には、触針、プローブおよび/または、CMMのある部品、例えば関節接続されたヘッドに設置されたカメラ(または複数のカメラ)を提供してもよく、このカメラ(複数の場合もある)からの画像および/またはビデオストリームがタブレットコンピュータ200に提供されてもよく、例えば使用者にその部品の「プローブからのビュー」が提供される。例えば、画像/ビデオストリームは、コントローラ102、UCCサーバ354、検査ソフトウェア352、プロキシ350、通信層260を通じてビジネス層に送ることができ、するとビジネス層がこのデータを処理して、UI層250に送ってタッチスクリーン204上に表示するのに適したフォーマットにする。このビデオストリームは様々な方法で利用できる。例えば、検査中の部品の1枚または複数の、例えば一連の静止画像を取得し、保存してもよい。写真、グラフィック描写340および/または測定点は、相互に重ねられてもよく(そのグラフィック描写230および/または測定点の1つまたは複数が部分的に透明である)、それによってオペレータはデータを比較することができる。これは、中途、例えば測定中でも、後工程でもよい。これに加えて、これはタブレットコンピュータ200自体で、またはいずれかの外部コンピュータで行ってもよい。さらに、オペレータは測定中、ビデオストリームを使ってカメラプローブの運動を案内してもよい。これは、実際の加工物とカメラプローブを直接見る代わりであっても、それに追加されてもよい。これは、カメラプローブの結像レンズを通じて狭い光ビームを投射するスルーザレンズ調光(Through-The-Lens-Illumination:TTLI)カメラプローブについて特に有益となりえ、これは、オペレータが加工物のうちの測定対象部分にビームを当てるのを援助するからである。例えば、狭い穴を測定する際、これは穴の正しい部分がビームにより照明されていることがオペレータに分かるようにするのに役立つ。
さらに、オペレータには、タッチスクリーン204を通じて、オペレータがカメラプローブの特定の特性、例えば露出とフォーカス、照明等を制御できるようにするためのツールを提供できる。これは、図4cに示され、この図は図4aに示されるものと同様のタブレットコンピュータ200のスクリーンショットを示しており、同様の部品には同様の参照番号が付与されている。図から分かるように、この実施形態において、カメラプローブからのライブビデオストリーム270がタッチスクリーン204上に表示される。さらに、CMMに取り付けられたカメラプローブを制御するための多数のツール272、274、276が提供される。この実施形態において、カメラプローブは、検査中のアーチファクトを照明するための照明手段を有する。詳しくは、LEDの輪がカメラプローブの対物レンズの周囲に設置される。したがって、図から分かるように、LEDの輪の中の各LEDのオンとオフを制御するための照明制御ツール272、LEDの明るさを制御するためのLED強度制御ツール274、カメラプローブの焦点面の位置を制御するためのフォーカスツール276が提供される。さらに、「シャッタ」制御ツールが(例えばタッチスクリーン204を通じて)提供されてもよく、これはカメラプローブの現在の出力のスナップショットの撮影と保存が行われるようにする。
前述のような、CMM上のプローブの運動を制御するためのタブレットコンピュータ200を提供することによって、オペレータはその位置に関係なく、部品と対話する必要がなくなる。これは、プログラミングのエラーを減少させ、プログラミング作業を簡素化し、測定プログラミングのサイクル時間を短縮するのに役立つことが分かった。これは例えば、小さな特徴物、例えば小さな穴の測定をプログラムするときに、表面仕上げプローブまたは、詳細な視覚的観察を必要とするその他の触針等の傾斜した先端を持つプローブを考えたときに特に有利である。
また、上述のような表示機能を携帯機器200に設け、それに加速度計および所望によりジョイスティック)による制御が加わることで、オペレータは過去においては複雑であった測定作業をより容易に習得できる。例えば、x、y、zおよび/または回転軸A1、A2において同時に行われる同時運動は、標準的な公知のジョイスティックでは初心者にとって難しい。このような標準的なジョイスティックの使用に熟練することは、それ自体が多大な訓練と練習を必要とする技術である。このような複雑さはまた、特に例えばオペレータの注意が、制御機器の操作と、別のデスクトップコンピュータのユーザインタフェース上で動作しなければならないことの間で分散されたときに、ミスを犯す可能性を高める。これは、プローブがその部品と近接衝突する程度に近い場合に明白である。このようなユーザインタフェースを含む携帯機器は、オペレータの集中が2つの分離可能な機器の間で分散されないことを意味し、それ自体がエラーの可能性を低減させる。さらに、開示されているタブレットコンピュータ200は、複数の軸に沿った/その周囲の運動を同時に制御するための、直観的で使いやすい制御手段を提供し、ここでも、操作モードを切り替える必要がない。さらに、前述のように、向きの切り替えはコンパスを使って自動的に処理できる。したがって、上記の特徴の各々によって、高価なプローブと物体との衝突や、それらの損傷の原因となるようなオペレータのエラーの可能性が低減する。
さらにまた、図3bに関して上述したような機能の使用によって、測定プローブの運動速度に対する多目的の制御が可能となり、異なる高速/低速モードの間の切替えを行う必要がない。したがって、CMMの速度もまた同じ携帯機器によって直感的に管理されると(例えば、タブレットコンピュータの傾き角が、最大速度までの加速度/源速度を決定する)、これは現時点で公知のジョイスティックの場合に必要なまた別の相互作用(すなわち、別のボタンを押すこと)も省くことができる。図3bに関連して説明したような加速度曲線を使用することによって、非常に応答性の良いチルトシステムに限界を設けることができ、これは、オペレータが機器の加速率と減速率を非常に精密なレベルで非常に素早く制御できることを意味する。高い加速率は初心者のオペレータにとって危険となる可能性があり、これはシステムが素早く制御不能となり得るからである。前述のように、オペレータによりよい制御を行うための選択肢を与えることができ、例えば、適切に加速度曲線を修正する(または異なる加速度曲線を使用する)初心者向け/専門家向けの使用モードを容易に選択できる。
したがって、本発明による装置は、はるかに直感的で習得が容易である。これによって訓練費用が削減され、初心者のオペレータの生産性はより素早く向上する。すると、これはプローブによる測定全般を奨励し、それによって、以前は無視されていた特徴物が測定可能となり、測定されることができ、より高品質の部品が得られる。
携帯機器200は、検物体を検査するための測定経路をプログラムし、部品の測定を実行し、結果のデータを収集、表示および/または解析するために使用できる。これは、別のジョイスティックとPCを必要とする現在のシステムより効率的である。前述のように、測定および/またはプログラミングデータは、携帯機器上に保存されてもよい。オペレータは、そのデータと相互作用できる。データは、現在の測定作業に関係付けることができる。データは経時的であってもよく、それによって傾向解析が可能となる。データは他のPCから取得してもよく、同じく比較分析が可能である。いつでもどこでも必要なときにその情報をオペレータに提供できることは、特にその場での測定においてプログラミング作業を最適化するのに役立ち得る。例えば、その場での測定の経時的な事実を見ると、オペレータは、どの部分の変化が最も起こりそうかを把握でき、現在の部品について、明示された特徴物に関するその場での測定を行う必要性をハイライトで知らせることができ、すなわち、機器がオペレータに最善の測定戦略を知らせることができる。
開示されている実施形態において、タブレットコンピュータ200は汎用の多目的タブレットコンピュータ200、例えばApple,Inc.から入手可能なiPad(登録商標)またはSamsung Electronics CO.Ltd.から入手可能なGalaxy Tab等である。もちろん、他の携帯型の運動感知機器が使用されてもよく、タブレットコンピュータに限定する必要はない。例えば、運動感知携帯電話、例えばApple,Inc.から入手可能なiPhone(登録商標)が使用されてもよい。あるいは、携帯機器は、純粋にCMM100の制御用に設計された特注機器とであってもよい。図の実施形態においては、携帯機器はタッチスクリーンを含んでいるが、そうでなくてもよい。例えばスクリーンは接触感知式でなくてもよく、その代わりに、携帯機器との相互都用のためにボタンまたは周辺入力機器(例えばキーボートやマウス)が提供されてもよい。さらに、携帯機器は必ずしもスクリーンを持つ必要はない。その代わりに、携帯機器は基本的な表示インディケータを含んでいてもよく、または視覚的表示手段をまったく持たなくてもよい。この場合、携帯機器は、プローブ116の運動を制御するための純粋な運動感知式入力機器として使用されてもよい。
前述のように、本発明の他の態様によれば携帯機器が提供され、これは、アーチファクトに関する測定プローブの運動を、その携帯機器またはその一部と、オペレータが測定作業に関する情報を入力および/または取得するために使用できるユーザインタフェースの操作を通じて直接制御するための入力機構を含む。この態様に関して、携帯機器は必ずしも、携帯機器の運動を検出するための運動センサまたはその他を有していなくてもよい。その代わりに、例えば、測定プローブの運動はジョイスティック、トラックボール、トラックパッド、タッチスクリーンまたはその他を通じて制御してもよい。例えば、図4と6を参照すると、運動感知式の制御を助けない機器が提供された場合、プローブの運動は、例えばグラフィックジョイスティック/Dパッド222、224を使って制御できる。この場合、システムは図6に示されるように動作できるが、第1と第3の分岐(それぞれ、項目604、620、622と608、640、642で表される)だけが提供される。これもまた当然のことながら、物理的なジョイスティック、トラックボールまたはその他のタッチパッドを携帯機器に設置して、同様の方法で動作させてもよい。携帯機器にこのようなユーザインタフェースを設けることによって、使用者は測定プローブの運動の制御に使用中のその機器からの関連情報にアクセスでき、その結果、例えば運動を制御する際にあってほしい場所からは離れているかもしれないデスクトップワークステーション等の別の機器にアクセスする必要がない。上述した方法と同様に、携帯機器によって、使用者はこの携帯機器に座標位置決め装置に関する情報を問い合わせることができ、詳しくは、図4(a)に示されるものによく似たアーチファクトの少なくとも1つの測定された特徴のグラフィック描写(例えば、3次元描写)を少なくとも1つのスクリーン上に表示するように構成されてもよい。