JP2014512342A - 可塑剤としてのフランジカルボン酸のヘプチルエステル - Google Patents

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Abstract

可塑剤としてのフランジカルボン酸のヘプチルエステル。

Description

本発明はフランジカルボン酸のヘプチルエステルに関する。
本発明のさらなる対象は、上記ヘプチルエステルを可塑剤としてまたは可塑剤中ならびに配合物中、とくにポリマーなかんずくPVCを含む配合物中に使用すること、およびこのヘプチルエステルの製造方法である。さらに、本発明の対象は、このヘプチルエステルを含むプラスチック組成物ならびに、このプラスチック組成物から製造されるもしくはこのプラスチック組成物の使用下で製造される成形体またはシートである。
ポリ塩化ビニル(PVC)は経済的に最も重要なポリマーの一つであり、硬質PVCとしても軟質PVCとしても多様に適用される。重要な適用分野は、たとえば、ケーブル被覆材、床被覆材、壁紙およびプラスチック窓枠である。弾性を高めると共に加工性を向上させるために、PVCには可塑剤が添加される。これらの通例の可塑剤に属するものは、たとえば、フタル酸エステルたとえばジ−2−エチルヘキシルフタレート(DEHP)、ジイソノニルフタレート(DINP)およびジイソデシルフタレート(DIDP)である。それらの毒物学的特性により、フタル酸エステルは、他の可塑剤に代えるべく努められなければならない。したがって最近、それに代わる別途の可塑剤として、たとえば、シクロヘキサンジカルボン酸エステルたとえばジ−イソノニルシクロヘキサンカルボン酸エステル(DINCH)が開示されるに至った。
さらにまた、従来の技術において、テレフタル酸のエステルも別途可塑剤として開示されている。
原料ベースに関して言えば、本発明の特性は、本発明によるフランジカルボン酸エステルの製造に任意に再生可能原料を利用可能な点にある。この場合、本発明の趣旨において、再生可能原料とは、化石資源たとえば石油または石炭をベースとした石油化学原料とは異なり、バイオマスをベースとして発生ないし製造される原料として理解される。"バイオマス"、"バイオベース"または"再生可能原料をベースないし再生可能原料から製造"なる用語は、いわゆる"炭素短周期"に由来する、したがって、地質学的累層または化石層の成分ではない、生物由来のいっさいの材料を含む。再生可能原料の同定ならびに量定はASTM法D6866に基づいて行なわれる。とりわけ、再生可能原料を特徴付けるのは、石油化学原料とは異なり、その炭素同位体14Cの割合である。
エステルのアルキル鎖長が増加すると共に、エステルとポリマー、とくにPVCとの不適合性が高まることは知られている。これは、たとえば、この種の分子をたとえば可塑剤として含むPVC配合物が、PVCプラスチゾルの加工を困難とするような特異かつ予見不能な粘度曲線を示すという結果をもたらすことがある。シートの製造にあたっては、しばしば、シートが不透明度を増しおよび/または多くの適用時に望ましくない、たとえば黄色度指数の高まりに反映されるシートの変色が生ずることがある。可塑剤とPVCとの適合性が低下することにより、可塑剤の持久性も低下する。つまり、可塑剤は、PVC半製品、完成品ないし製品中から相対的に早く消失してしまい、その結果、製品の脆化が招来されると共に、当該製品の大幅な機能低下および価値低下がもたらされる。可塑剤のこうした挙動は、"滲出"または"発汗"とも呼ばれる。
他方、アルキル鎖長の短いエステルは通例、高い揮発性を有する一方、特にそれがゲル化能の高いエステルである場合には、PVCペースト中に組み込まれると貯蔵保管安定性の劣るペーストを結果することとなり、その際、そのせん断粘度は、多くの場合、せん断速度に非常に大きく左右され、これによって加工性も制限されることとなることが知られている。
PVCプラスチゾルの製造に際しては、とりわけ、加工時に、PVC中への可塑剤の均等な分布を達成するため、できるだけ低い粘度が遵守されるように留意しなければならない。加えてさらに、PVCプラスチゾルの高い貯蔵保管安定性も望ましく、また、ペーストのせん断粘度がせん断速度に大幅に左右されないことも望ましい。PVCプラスチゾルから製造される(填剤なしの)シートは透明で、できるだけ低い黄色度指数を有していなければならない。可塑剤は、さらに、高い持久性も保持しなければならない。
従来の技術において、PVCへの使用向けの種々の別途可塑剤が知られている。欧州公開第1 808 457号は、アルキル基が少なくとも炭素原子4個の最も長い炭素鎖を有すると共に、アルキル基当たりの炭素原子の総数が5であることを特徴とするテレフタル酸ジアルキルエステルの使用を開示している。さらに、アルコールの最も長い炭素鎖中に炭素原子数4〜5個を有するテレフタル酸エステルは、急速にゲル化する可塑剤として、PVCにとって非常に適している旨も開示されている。
同じく、国際公開第2009/095126号も、テレフタル酸のジ−イソノニルエステルの混合物ならびにその製造方法を開示している。この可塑剤は、平均分岐度が1.0〜2.2のイソノニル基を有しており、同じくPVC向けの可塑剤として使用される。
炭素原子数7のアルコールのテレフタル酸エステルおよび可塑剤としてのその使用は、たとえば、国際公開第2010/071717号に開示されている。
フランジカルボン酸の多くのエステルたとえばジ−n−ブチルフラン−2,5−ジカルボキシレートおよびジ−n−ヘキシルフラン−2,5−ジカルボキシレートは、室温において、それが固体であるとの特性によって、液体配合物とりわけ(ポリマー)プラスチゾルの製造に使用不能ないし使用困難な結晶性固体である。それゆえ、工業的規模でのポリマーペーストないしプラスチゾルの製造は、液体可塑剤を用いてしか実現することができない。固形可塑剤は、あらかじめ、当該溶媒中に溶解されなければならないが、このことは方法を複雑かつコスト高にする。
そこで、本発明の技術的課題は、可塑剤としてまたは可塑剤中に使用可能な化合物であって、プラスチゾル中でも加工性を維持し、優れたゲル化特性を有し、プラスチゾル中でペースト粘度がせん断速度に大幅に左右されることのない性質を示し、かつ、良好な黄色度指数と、シート加工に際し高い透明度を有する化合物を提供することであった。本発明の付加的な課題は、少なくとも部分的に再生可能原料から製造可能な物質ないし化合物との関連で、上記の技術的問題の解決を図ることであった。
上記の技術的課題はフランジカルボン酸のヘプチルエステルによって解決される。
好ましくは、ヘプチルエステルはジヘプチルエステルである。
上記の技術的課題は、特に、以下の特性つまり
1)20℃時の密度は最高で1.1g/cm3であること
2)25℃時の固有粘度は最高で120mPa*sであること
3)示差走査熱量計による測定時に、温度>20℃にて融解信号を生じないこと
の少なくとも1つを有するフランジカルボン酸のヘプチルエステルによって解決される。
さらに別の実施形態において、ヘプチルエステルは上記の特性の少なくとも2つを有する。
驚くべきことに、この種の本発明によるヘプチルエステルは、対応する同族ブチル−およびヘキシルエステルとは異なり、なんら固体ではなく、液体として室温にて良好に加工可能である旨確認された。対応する同族ジ−n−ブチルフランジカルボキシレートおよびジ−n−ヘキシルフランジカルボキシレートは、室温にて固体であり、融点30〜40℃を有する。したがって、これらは工業的規模によるポリマーペーストないしプラスチゾルの製造に使用することはできない。
ジ−n−ブチル−フランジカルボキシレートおよびジ−n−ヘキシル−フランジカルボキシレートはSanderson et alの研究(R.D.Sanderson,D.F.Schneider,I.Schreuder;J.Appl.Polym.Sci.;53(1991);1785―1793)から知られている。これらは、数多くの適用たとえばポリマーペーストの製造に有効に使用することのできない、約42℃の融点を有する結晶性固体(ジ−n−ブチル−フランジカルボキシレート)および約32℃の融点を有する結晶性固体(ジ−n−ヘキシル−フランジカルボキシレート)である。
フランジカルボン酸のジヘプチルエステルは未だ開示されたことがなく、とりわけ、ポリマー配合物中へのおよび/または可塑剤としてのフランジカルボン酸のジヘプチルエステルの使用を示唆するものは存在していない。
今や、驚くべきことに、本発明による液状形態のヘプチルエステルは固化なしに製造可能であり、有利なことに、ポリマー配合物中に成分として、たとえば、PVC配合物中に可塑剤として使用可能であることが見出された。
さらに、本発明によるヘプチルエステルは、PVCと共に加工される場合、卓越したゲル化特性を示すことが確認された。
本発明によるヘプチルエステルをベースとしたPVCペーストは、せん断速度に対する低いペースト粘度依存性しか有していない。したがって、それは広いせん断速度範囲で、大きく異なるさまざまな加工法によって加工可能である。
好適なゲル化特性により、当該PVCペーストは、より速やか、ないし、より低温にて加工可能である。
さらに、第一または第二のフタレート無含有可塑剤たとえばジイソノニルシクロヘキサンカルボン酸エステル(DINCH)(これは著しく劣った軟化作用を有する)の混入によっても、本発明によるフランジカルボン酸のヘプチルエステル(DIHFDC)の軟化効果は僅かに低下するにすぎない。
また、本発明によるヘプチルエステルを含む検体の高温時質量損失は、可塑剤としてフランジカルボン酸のヘキシルエステルを含む検体よりも遥かに僅かであることも確認された。したがって、本発明によるヘプチルエステルを含む検体は著しく良好な高温時耐性を有している。
本発明による可塑剤のさらなる利点は、本発明による可塑剤を含む試料は、ジイソノニルシクロヘキサンカルボン酸エステル(DINCH)を単独の可塑剤として含む試料、ジ−n−ヘキシル−フランジカルボキシレート(DNHFDC)を単独の可塑剤として含む試料ならびにジ−(2−エチルヘキシル)−フランジカルボキシレート(D2EHFDC)をDINCHと混合して含む試料に比較して、著しく良好な熱安定性を有している点にある。
本発明によるヘプチルエステルを含む検体は、温度が0℃を上回る範囲において、直鎖状DNHFDCを含む検体ならびに単分岐鎖状の、C原子1個分だけ"長い"D2EHFDCを含む検体のいずれよりも、著しく高い柔軟性を示す。本発明による試料は、さらに、0℃時および−30℃時にも、D2EHFDC試料に比較して、同じく著しく高い柔軟性を有している。このことは、本発明による試料のガラス転移温度が他の2つの試料に比較して高く、かつ、軟質PVC検体の柔軟性は、通例、ガラス転移温度が低下すると共に増大するという点からして、いっそう驚くべきことである。
さらに、本発明による可塑剤を含むPVC製の透明なシートによっても、非常に高い(可塑剤としてジブチルテレフタレートを用いて製造されたシートの透明性よりも部分的に高い)透明性を有する製品が得られる旨確認された。
本発明の特別な、経済的であると同時にエコロジー的な利点は、本発明によるフランジカルボン酸エステルの製造に再生可能原料と石油化学原料を同時的に使用し得る点にあり、これにより、一方で特に廉価な製造と広範な適用可能性が実現可能となり、他方でまた特に"持続可能な"製品がもたらされることになる。
好ましい実施形態において、フランジカルボン酸のヘプチルエステルはジヘプチルフラン−2,5−ジカルボキシレートである。これはまた、少なくとも2つの異性体ジヘプチルフラン−2,5−ジカルボキシレートの形で存在していてもよい。
したがってまた、好ましい実施形態において、異性体ジヘプチルフラン−2,5−ジカルボキシレートからなる可塑剤も使用され、その際、これらは、特に、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基および2−エチル−3−メチルブチル基から選択された異性体ヘプチル基を含む。
好ましい実施形態において、(それらの立体配座とは関係なく)すべてのアルキルエステル鎖の少なくとも70mol%、好ましくは少なくとも80mol%、特に好ましくは少なくとも90mol%、なかんずく特に好ましくは92mol%は、7個の炭素原子からなっている。炭素原子7個未満または8個以上を有するアルキル鎖は、特に好ましくは、6個または8個の炭素原子を有するそれである。特に好ましいのは、2,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、4−メチルペンチル基または3−メチルペンチル基である。
好ましい実施形態において、異性体ジヘプチルフラン−2,5−ジカルボキシレートはいずれも、異性体エステル混合物中に90質量%を上回る割合を有していない。
C7−アルキル基の百分率分布の決定は、エステルの鹸化、得られたアルコールの分離およびアルコールのガスクロマトグラフィー(GC)分析によって容易に行なうことができる。たとえば、ガスクロマトグラフィー分離は、長さ60m、内径0.25mmおよび膜厚さ0.25μmを有する固定相としてのポリジメチルシロキサン・カラム(たとえば、DB 5)で実施可能である。
好ましくは、フランジカルボン酸のヘプチルエステル以外の、その他の付加的な可塑剤が含まれていてよい。
この種の付加的な可塑剤は、たとえば、以下のリストから選択されている:
アルキル鎖中に好ましくは4〜13個のC原子を有するフタル酸ジアルキルエステル;側鎖中に好ましくは4〜9個のC原子を有するトリメリット酸トリアルキルエステル;側鎖中に好ましくは4〜9個のC原子を有するアジピン酸ジアルキルエステル;側鎖中にそれぞれ好ましくは4〜13個のC原子、特に4〜9個のC原子を有するテレフタル酸ジアルキルエステル;側鎖中にそれぞれ好ましくは4〜10個の炭素原子を有する、1,2−シクロヘキサン二酸アルキルエステル、1,3−シクロヘキサン二酸アルキルエステルおよび1,4−シクロヘキサン二酸アルキルエステル、この場合、好ましくは1,2−シクロヘキサン二酸アルキルエステル;グリコールの二安息香酸エステル;8〜22個のC原子を含む好ましくは1アルキル基を有するフェノールのアルキルスルホン酸エステル;グリセリンエステル;イソソルビドエステル、とくにイソソルビドジアルカノエート;エポキシ化された植物油、とくにエポキシ化された大豆油;飽和脂肪酸エステルまたは(不飽和の場合)全部または一部がエポキシ化されていてよい不飽和脂肪酸エステル;遊離またはカルボキシル化されたOH基および、たとえば、4〜8個のC原子のアルキル基を有するクエン酸トリエステル、4〜18個のC原子のアルキル基を有するアルキルピロリドン誘導体ならびにアルキル鎖中に好ましくは7〜13個のC原子を有する安息香酸アルキルエステル。すべての場合に、アルキル基は直鎖状または分岐鎖状および同一または相異していてよい。
特に好ましくは、本発明による混合物中には、付加的な可塑剤としてortho−フタレートは使用されない。
好ましい実施形態において、本発明による配合物中に使用される付加的な可塑剤の少なくとも1つは、トリメリット酸トリアルキルエステルである。好ましくは、このトリメリット酸トリアルキルエステルは4〜9個の炭素原子を有するエステル側鎖を有し、その際、エステル基は同数または互いに異なった数の炭素原子を有していてよい。特に好ましくは、存在するエステル基の少なくとも1個は、エステル基当たり最高8個の炭素原子を有する基、特に好ましくは最高7個の炭素原子を有する基、なかんずく特に好ましくは最高6個の炭素原子を有する基である。本発明によるフランジカルボン酸ジヘプチルエステルとトリメリット酸トリアルキルエステルの組み合わせは、PVCプラスチゾルへの使用に際し、なかんずく、揮発性成分の割合が低く、かつ、優れた耐熱性を有する製品をもたらす。
さらに別の特別な実施形態において、本発明による配合物中に使用される付加的な可塑剤の少なくとも1つは、アジピン酸ジアルキルエステルである。好ましくは、このアジピン酸ジアルキルエステルは4〜9個の炭素原子を有するエステル側鎖を有し、この場合にも、エステル基は同数または互いに異なった数の炭素原子を有していてよい。特に好ましくは、存在するエステル基の少なくとも1個は、エステル基当たり最高8個の炭素原子を有する基、特に好ましくは最高7個の炭素原子を有する基、なかんずく特に好ましくは最高6個の炭素原子を有する基である。特に、使用されるアジピン酸ジアルキルエステルの少なくとも1つは、ジオクチルアジペートである。本発明によるフランジカルボン酸ジヘプチルエステルとアジピン酸ジアルキルエステルとの組み合わせは、PVCプラスチゾルへの使用に際し、なかんずく、プラスチゾル粘度が低く、かつ、加工状態において優れた低温特性(たとえば非常に低いガラス転移温度)を有する製品をもたらす。
さらに別の特別な実施形態において、本発明による配合物中に使用される付加的な可塑剤の少なくとも1つは、テレフタル酸ジアルキルエステルである。好ましくは、このテレフタル酸ジアルキルエステルは4〜13個の炭素原子を有するエステル側鎖を有し、その際、またも、エステル基は同数または互いに異なった数の炭素原子を有していてよい。特に好ましくは、存在するエステル基の少なくとも1個は、エステル基当たり最高10個の炭素原子を有する基、特に好ましくは最高9個の炭素原子を有する基、なかんずく特に好ましくは最高8個の炭素原子を有する基である。特に、使用されるテレフタル酸ジアルキルエステルの少なくとも1つは、ジ−(イソノニル)テレフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)テレフタレート、ジ−n−ヘプチルテレフタレート、ジ−iso−ヘプチルテレフタレート、ジ−n−ブチルテレフタレート、ジ−(3−メチルブチル)テレフタレートまたはジ−n−ペンチルテレフタレートである。本発明によるフランジカルボン酸ジヘプチルエステルとテレフタル酸ジアルキルエステルとの組み合わせは、PVCプラスチゾルへの使用に際し、なかんずく、(使用されるテレフタル酸ジアルキルエステルのエステル鎖長に応じ)非常に優れた熱安定性と、揮発成分が少なく、優れた低温特性を有する製品をもたらす。
さらに別の特別な実施形態において、本発明による配合物中に使用される付加的な可塑剤の少なくとも1つは、シクロヘキサンジカルボン酸のジアルキルエステル、特に好ましくは1,2−シクロヘキサンジカルボン酸のジアルキルエステルである。好ましくは、このシクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステルは4〜10個の炭素原子を有するエステル側鎖を有し、その際またも、エステル基は同数または互いに異なった数の炭素原子を有していてよい。特に好ましくは、存在するエステル基の少なくとも1個は、エステル基当たり最高9個の炭素原子を有する基、特に好ましくは最高8個の炭素原子を有する基、なかんずく特に好ましくは最高7個の炭素原子を有する基である。特に、使用されるシクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステルの少なくとも1つは、1,2−シクロヘキサン酸ジ−iso−ノニルエステル、1,2−シクロヘキサン酸ジ−2−エチルヘキシルエステル、1,2−シクロヘキサン酸ジ−n−ペンチルエステル、1,2−シクロヘキサン酸ジ−n−ヘプチルエステル、1,2−シクロヘキサン酸ジ−iso−ヘプチルエステル、1,2−シクロヘキサン酸ジ−n−ブチルエステル、1,4−シクロヘキサン酸ジ−n−ブチルエステル、1,3−シクロヘキサン酸ジ−n−ブチルエステルまたは1,2−シクロヘキサン酸ジ(−3−メチルブチル)エステルである。本発明によるフランジカルボン酸ジヘプチルエステルとシクロヘキサンジカルボン酸のジアルキルエステルとの組み合わせは、PVCプラスチゾルへの使用に際し、なかんずく、優れたゲル化特性を有すると同時に、非常に低いプラスチゾル粘度によって卓越した製品をもたらす。
さらに別の特別な実施形態において、本発明による配合物中に使用される付加的な可塑剤の少なくとも1つは、グリセリンエステル、特に好ましくはグリセリントリエステルである。エステル基は、この場合、脂肪族構造であっても、芳香族構造であってもよい。好ましくは、このグリセリンエステルは1〜24個の炭素原子を有するエステル側鎖を有し、その際またも、エステル基は同数または互いに異なった数の炭素原子を有していてよい。特に好ましくは、エステル基のいずれか1個はヒドロキシステアリン酸であり、その際、ヒドロキシ官能基は、特に好ましくはアセチル基により、好ましくは同じくエステル化されている。さらに、特に好ましくは、存在するエステル基の少なくとも1個は、エステル基当たり最高9個の炭素原子を有する基、特に好ましくは最高8個の炭素原子を有する基、なかんずく特に好ましくは最高7個の炭素原子を有する基である。特に、使用されるグリセリンエステルの少なくとも1つは、グリセリントリアセテートである。本発明によるフランジカルボン酸ジヘプチルエステルとグリセリンエステルとの組み合わせは、とりわけ、大半が再生可能原料をベースとして製造可能な特に持続可能な製品をもたらす。
さらに別の特別な実施形態において、本発明による配合物中に使用される付加的な可塑剤の少なくとも1つは、遊離またはカルボキシル化されたOH基を有するクエン酸トリエステルである。その際、エステル基は、この場合にも、脂肪族構造であっても、芳香族構造であってもよい。特に、好ましいのは、カルボキシル化されたOH基を有するクエン酸トリアルキルエステルである。好ましくは、このクエン酸トリアルキルエステルは1〜9個の炭素原子を有するエステル側鎖を有し、その際またも、エステル基は同数または互いに異なった数の炭素原子を有していてよい。特に好ましくは、存在するエステル基の少なくとも1個は、エステル基当たり最高9個の炭素原子を有する基、特に好ましくは最高8個の炭素原子を有する基、なかんずく特に好ましくは最高7個の炭素原子を有する基である。特に、使用されるクエン酸エステルの少なくとも1つは、アセチル−トリブチルシトレート、アセチル−トリ−n−ブチルシトレート、アセチル−トリ−n−ペンチルシトレートまたはアセチル−トリ−iso−ヘプチルシトレートである。本発明によるフランジカルボン酸ジヘプチルエステルと遊離またはカルボキシル化されたOH基を有するクエン酸トリエステルとの組み合わせは、とりわけ、特に低温時に特に優れたゲル化能を有し、かつ、クエン酸エステルとの組み合わせと同様に、製造に使用される再生可能原料の点で、特に持続可能であると格付けられるプラスチゾルをもたらす。
好ましい実施形態において、使用される付加的な可塑剤と本発明によるヘプチルエステルとの質量比は、1:20〜20:1、好ましくは1:15〜15:1、特に好ましくは1:10〜15:1、なかんずく特に好ましくは1:10〜10:1である。
本発明によるヘプチルエステルないし該ヘプチルエステルから製造された可塑剤は、思量可能なあらゆる投与形態、たとえば、液体、特に(室温にて)ポンピング可能な液体として、ペースト、保護材、プラスチゾル、粉末、固形物または固体として存在し得る。特に好ましくは、液体として、なかんずく好ましくは、(室温にて)ポンピング可能な液体として存在することである。
ヘプチルエステル自体の他、その製造方法も特許請求の範囲に含まれる。
以下の方法工程
a)フランジカルボン酸および/または少なくとも1つのフランジカルボン酸誘導体、とくにフランジカルボン酸ジメチルエステルまたはフランジカルボン酸ジクロリドを、7個の炭素原子を有する1以上の脂肪族アルコールないし7個の炭素原子を有する分が80mol%を超える脂肪族アルコールのアルコール混合物、ならびに、任意に、1以上のエステル化触媒および/またはその他の物質と接触させる方法工程と、
b)上述した反応混合物を、50℃を超える温度に加熱し、該反応混合物からの少なくとも1低分子物質の分離下でエステル化ないしエステル交換反応を行う方法工程(この場合、方法工程b)での前記分離は好ましくは熱的に行なわれる)と
を含んでなる先述したヘプチルエステルの製造方法。
先述したヘプチルエステルの別途製造方法において、該方法は、以下の方法工程
a)5−ヒドロキシメチルフルフラールおよび/または少なくとも1フラン誘導体を、7個の炭素原子を有する1以上の脂肪族アルコール、ならびに少なくとも1触媒および少なくとも1酸素含有成分と接触させる方法工程と、
b)上述した反応混合物を、0℃を超える温度に温度調節し、酸化的エステル化を実施する方法工程(この場合、"酸化的エステル化"なる用語は、好ましくは1方法工程における、特に好ましくは反応室内での酸化とエステル化の(任意の)組み合わせとして理解される)と
を含む。
この場合、後者の方法が好ましい。
ヘプチルエステルは、フランジカルボン酸の"直接的"エステル化によってまたは、たとえばフランジカルボン酸のメチルエステルからのエステル交換反応によって製造可能である。
エステル化によって本発明によるヘプチルエステルを製造するために、フランジカルボン酸または反応性誘導体たとえば対応するジクロリドが、7個の炭素原子を有する1以上の脂肪族アルコールと反応させられる。好ましくは、エステル化は、フランジカルボン酸と7個の炭素原子を有する1以上の脂肪族アルコールから出発して、触媒を利用して行なわれる。
フランジカルボン酸を7個の炭素原子を有する1以上の脂肪族アルコールと反応させて当該エステルを生成させるエステル化は、自己触媒作用によってまたは触媒たとえばブレンステット酸またはルイス酸によって実施可能である。いかなる種類の触媒が選択されるにせよ、使用物質たる酸およびアルコールと、生成物たるエステルおよび水との間に、常に、温度に応じた平衡が生ずる。エステルに有利なように平衡を変位させるため、それによって合成物から反応水が除去される添加溶剤を使用することができる。エステル化に使用されるアルコールは、フランジカルボン酸、その反応性誘導体およびそのエステルよりも低温で沸騰するために、水の分離後に再びプロセスに返送可能な添加溶剤として頻繁に使用される。
エステルの形成に使用されるアルコールないし、同時に添加溶剤として用いられる異性体ヘプタノール混合物は、エステルの形成に必要な量の好ましくは5〜50質量%、特に10〜30質量%の過剰量で使用される。
エステル化触媒としては、酸たとえばブレンステット酸、たとえば、硫酸、メタンスルホン酸またはp−トルエンスルホン酸、あるいは金属またはそれらの化合物(通例、ルイス酸)が使用可能である。適切なのは、たとえば、スズ、チタン、ジルコニウムであり、これらは微細に分布した金属としてまたは好適にはそれらの塩(たとえばハロゲニド)の形、酸化物または可溶性または不溶性有機化合物として使用される。金属触媒は、プロトン酸とは異なって、その全活性が180℃を超える温度時に初めて達成されることが多い高温触媒である。ただし、この場合、フランジカルボン酸は190℃を超える温度時にCO2を脱離(脱カルボキシル化)する傾向があり、次いで、これから、もはや目標生成物に転換不能なモノカルボン酸を形成するという点に注意しなければならない。
ただし、金属触媒は好ましくは、プロトン触媒に比較して、使用されるアルコールから副生成物たとえばオレフィンを形成することが少ないために使用される。金属触媒の代表例は、スズ粉末、酸化スズ(II)、シュウ酸スズ(II)、チタン酸エステルたとえばテトラヘプチルオルトチタネート、テトライソプロピルオルトチタネートまたはテトラブチルオルトチタネートならびにジルコニウムエステルたとえばテトラヘプチルジルコネートまたはテトラブチルジルコネートである。
金属触媒濃度は触媒の種類に依存している。好ましく使用されるチタン触媒の場合、それは、反応混合物を基準として、0.005〜2.0質量%、特に0.01〜0.5質量%、なかんずく特に0.01〜0.1質量%である。
反応温度は、チタン触媒使用時には、特に160℃〜270℃、好ましくは160℃〜200℃である。最適温度は、使用物質、反応進行および触媒濃度に依存している。それは、個々のそれぞれのケースにつき、テストによって容易に求められる。より高い温度は反応速度を高め、副反応たとえばアルコールからの水の脱離または有色副生成物の形成を促進する。反応混合物からアルコールを留去し得るのが、反応水の除去に好適である。所望の温度または所望の温度範囲は、反応容器内の圧力によって調整可能である。したがって、低沸点のアルコールの場合、反応は高圧で実施され、高沸点のアルコールの場合、低圧で実施される。たとえば、フランジカルボン酸と異性体ヘプタノール混合物との反応は、160℃〜190℃の温度範囲、0.1MPa〜0.001MPaの圧力範囲にて実施される。
反応に返送される液体量は、一部または全部が、留出物の精製によって得られるアルコールからなっていてよい。また、精製を爾後の時点に実施して、除去された液体量の全部または一部を新鮮なアルコールつまり貯蔵容器中にすでに用意されているアルコールに代えることもできる。
エステル(単数/複数)、アルコール、触媒またはその付随生成物および、場合により、副生成物を含む粗エステル混合物は、それ自体公知の方法で精製される。その際、精製は以下の工程を含む:過剰なアルコールおよび、場合により、易揮発性物質の分離、存在する酸の中和、任意に水蒸気蒸留、濾過容易な残滓への触媒転換、固形物質の分離および、場合により、乾燥。この場合、適用される精製方法に応じて、これらの工程の順序は異なっていてよい。
任意に、反応生成物は、反応混合物から、場合により、混合物の中和後に、蒸留によって分離可能である。
別法として、本発明によるヘプチルエステルは、フラン−2,5−ジカルボン酸ジエステルと7個の炭素原子を有する1以上の脂肪族アルコールとの反応によって得られる。出発材料としては、好ましくは、エステル基のO原子に結合したそのアルキル基が1〜4個のC原子を有するフラン−2,5−ジカルボン酸ジエステルが使用される。これらの基は、脂肪族、直鎖状または分岐鎖状、脂環式または芳香族であってよい。これらのアルキル基の1以上のメチレン基は、酸素によって置換されていてよい。出発材料エステルの基礎となり得るアルコールは、使用されるヘプタノール(単数/複数)よりも低沸点であるのが好適である。好ましい使用物質は、フラン−2,5−ジカルボン酸ジメチルエステルである。
本発明によるフランジカルボン酸ジヘプチルエステルの製造にフラン−2,5−ジカルボン酸ジエステルを使用することは、フラン−2,5−ジカルボン酸ジエステルが、フラン−2,5−ジカルボン酸自体とは異なって、通常、より高い熱的安定性を有しており、特に、熱的分離法(たとえば蒸留)によっても分解されずに精製可能な限りで、特に有利である。
エステル交換反応は、触媒作用により、たとえばブレンステット酸またはルイス酸または塩基によって実施可能である。いかなる触媒が使用されるにせよ、使用物質(ジアルキルエステルおよびヘプタノールないしヘプタノール混合物)と生成物(ジヘプチルエステルないしジヘプチルエステル混合物および遊離アルコール)との間に、常に、温度に応じた平衡が生ずる。ジヘプチルエステルないしジヘプチルエステル混合物に有利なように平衡を変位させるため、出発材料エステルから生ずるアルコールは反応混合物から留去される。
この場合にも、ヘプタノールないしヘプタノール混合物を過剰量で使用するのが好適である。
エステル交換反応触媒としては、酸たとえば硫酸、メタンスルホン酸またはp−トルエンスルホン酸、または金属またはそれらの化合物が使用可能である。適切なのは、たとえば、スズ、チタン、ジルコニウムであり、これらは微細に分布した金属としてまたは好適にはそれらの塩(たとえばハロゲニド)の形、酸化物または可溶性または不溶性有機化合物として使用される。金属触媒は、プロトン酸とは異なって、その全活性が180℃を超える温度時に初めて達成されることが多い高温触媒である。ただし、これらは好ましくは、プロトン触媒に比較して、使用されるアルコールから副生成物たとえばオレフィンを形成することが少ないために使用される。金属触媒の代表例は、スズ粉末、酸化スズ(II)、シュウ酸スズ(II)、チタン酸エステルたとえばテトラヘプチルオルトチタネート、テトライソプロピルオルトチタネートまたはテトラブチルオルトチタネートならびにジルコニウムエステルたとえばテトラヘプチルジルコネートまたはテトラブチルジルコネートである。
さらに、塩基性触媒たとえば酸化物、水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩または、アルカリ−またはアルカリ土類金属のアルコラートが使用可能である。これらの群から、好ましくはアルコラートたとえばナトリウムメチラートが使用される。アルコラートは、in situでも、アルカリ金属およびヘプタノールないし異性体ヘプタノール混合物から製造可能である。
触媒濃度は触媒の種類に依存している。それは、反応混合物を基準として、通例、0.005〜2.0質量%である。
エステル交換反応の反応温度は、通例、50℃〜220℃である。それは少なくとも、出発材料エステルから生ずるアルコールが、所定の圧力(ほとんどの場合、標準圧力)にて、反応混合物から留去可能なレベルでなければならない。
エステル交換反応混合物は、エステル化反応混合物について述べたのと全く同様にして精製可能である。
直接的エステル化およびエステル交換反応の他に、本発明によるフランジカルボン酸ジヘプチルエステルは、いわゆる酸化的エステル化を介しても製造可能である。これは、特に、フランジカルボン酸ないしフランジカルボン酸エステルの中間段階を分離する必要はなく、直接、たとえば、5−ヒドロキシメチルフルフラールないし他のフラン誘導体の(準安定)中間段階と共に精製可能であるという利点を有している。加えてさらに、一般に低温(つまり、副生成物を形成する傾向が低いこと)ならびに比較的短い反応時間が実現可能であるとの利点がある。
酸化反応を可能にするには、酸素含有成分が反応混合物中に存在していなければならない。特に有利には、酸素、空気および/または過酸化物、とくに過酸化水素がこれに適している。
酸化的エステル化は、特に好ましくは、反応時間を有意に低下させる触媒の存在下で実施される。これは、均質触媒であっても、不均質触媒であってもよい。触媒(不均質触媒の場合には活性触媒表面)は、特に好ましくは、ルイス酸性を有する。これは、好ましくは貴金属触媒、不均質触媒の場合にはナノスケール表面を有する貴金属触媒、特に、ナノスケール表面を有する金触媒である。不均質触媒の場合、特に、無機触媒支持体を使用するのが有利であり、特に好ましいのは、マクロ多孔質または微孔質支持体とりわけナノスケール構造化された多孔質表面を有する支持体である。
ヘプチルエステルの他に、可塑剤としてのその使用およびポリマー用可塑剤(単数/複数)中へのその使用も特許請求の範囲に含まれる。ポリマーは、好ましくは、PVCである。
さらに、接着剤、シール材、コーティング材、塗料、染料、プラスチゾル、ペースト、合成皮革、床被覆材、アンダーフロア保護材、クロスコーティング、壁紙またはインキへの本発明によるヘプチルエステルの使用も特許請求の範囲に含まれる。
さらに、先述したヘプチルエステルないし可塑剤の少なくとも1つを含むプラスチックないしプラスチック組成物も特許請求の範囲に含まれる。
本発明による可塑剤は、少なくとも1のポリマーを含むプラスチック組成物に使用可能である。この場合、ポリマーは、好ましくは、以下からなる群から選択されている:
ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリレート、とくにポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアルキルメタクリレート(PAMA)、フルオロポリマー、とくにポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルアセタール、とくにポリビニルブチラール(PVB)、ポリスチレンポリマー、とくにポリスチレン(PS)、発泡性ポリスチレン(EPS)、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート・コポリマー(ASA)、スチレンアクリロニトリル・コポリマー(SAN)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン・コポリマー(ABS)、スチレン−無水マレイン酸・コポリマー(SMA)、スチレン−メタクリル酸・コポリマー、ポリオレフィンおよびポリオレフィン・コポリマー、とくにポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)、ポリエチレン−ビニルアセテート(EVA)、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリウレタン(PU)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリスルフィド(PSu)、バイオポリマー、とくにポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシブチラール(PHB)、ポリヒドロキシ吉草酸(PHV)、ポリエステル、デンプン、セルロースおよびセルロース誘導体、とくにニトロセルロース(NC)、エチルセルロース(EC)、酢酸セルロース(CA)、セルロース−アセテート/ブチレート(CAB)、ゴムまたはシリコーンならびに上記のポリマーおよびそれらのモノマー単位の混合物またはコポリマー。好ましくは、本発明によるポリマー配合物は、PVCまたは、エチレン、プロピレン、ブタジエン、酢酸ビニル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、メタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートまたは、1〜10個の炭素原子を有する分岐鎖状または非分岐鎖状のアルコールの、エステル基の酸素と結合したアルキル基を有するメタクリレート、スチレン、アクリロニトリルまたは環状オレフィンをベースとしたホモ−またはコポリマーを含む。
特に好ましくは、本発明によるプラスチック組成物はPVCタイプとして、懸濁液−、バルク−、微細懸濁液−または乳濁液PVCを含む。
本発明によるプラスチック組成物は、100質量部のポリマーを基準として、好ましくは5〜200質量部、特に好ましくは10〜150質量部の可塑剤を含む。可塑剤とポリマーとの質量比は1:15〜15:1、好ましくは1:5〜5:1である。
本発明によるプラスチック組成物は、上記の成分の他に、特に、充填剤、顔料、熱安定剤、助安定剤、酸化防止剤、粘度調整剤および滑剤からなる群から選択されたその他の成分を含んでいてよい。
熱安定剤は、たとえば、PVCの加工中および/または加工後に脱離した塩酸を中和し、ポリマーの熱分解を防止する。熱安定剤として適切と考えられるのは、たとえばCa/Zn、Ba/Zn、Pb、Snまたは有機化合物(OBS)をベースとした固体および液体の形の通例のあらゆる安定剤、ならびに酸結合性層状ケイ酸塩たとえばハイドロタルサイトである。本発明による混合物は、100質量部のポリマー当たり、0.5〜10、好ましくは1〜5、特に好ましくは1.5〜4質量部の熱安定剤を有していてよい。
いわゆる助安定剤(つまり、熱安定剤の効果を延長、改善および/または補完する物質)としては、たとえば植物油誘導体たとえばエポキシ化された大豆油またはエポキシ化された亜麻仁油が使用可能である。
顔料としては、本発明の趣旨において、無機ならびに有機顔料のいずれも使用可能である。顔料の含有量は、100質量部のポリマー当たり、0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜5質量%、特に好ましくは0.1〜3質量%である。無機顔料の例は、TiO2、CdS、CoO/Al23、Cr23である。公知の有機顔料は、たとえば、アゾ染料、フタロシアニン顔料、ジオキサジン顔料ならびにアニリン顔料である。
本発明によるプラスチック組成物は、従来の技術と同じあらゆる充填剤を含んでいてよい。そうした充填剤の例は、鉱物性および/または合成および/または天然の、有機および/または無機材料、たとえば、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化ケイ素、層状ケイ酸塩、工業スス、瀝青、木材(たとえば粉末化、粒質化、微粒質化、繊維化されたもの等)、紙、天然繊維および/または合成繊維等である。使用される充填剤の少なくとも1つは炭酸カルシウムまたは炭酸カルシウムマグネシウムであるのが特に好ましい。
粘度低下剤としては、脂肪族または芳香族炭化水素、ただしまたアルコールおよび/またはカルボン酸誘導体たとえば2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオール−ジイソブチレートまたはエステルたとえば長鎖安息香酸アルキルエステルも使用可能である。粘度低下剤は、本発明による配合物に対し、100質量部のポリマー当たり、特に、0.5〜50、好ましくは1〜30、特に好ましくは2〜10質量部の割合で添加される。
本発明のさらなる対象は、本発明によるプラスチック組成物から製造された、ないし、該配合物を含む成形体またはシートである。これらの成形体またはシートとは、床被覆材、壁被覆材、シート、ホース、異形材、屋根葺き材、遮水シート、ケーブル−もしくはワイヤ被覆材、防水シート、宣伝バナー、合成皮革、包装シート、医用品、玩具、シール材または家具/調度である。
本発明によるフランジカルボン酸のジヘプチルエステルは、可塑剤としての使用の点で、従来の技術による公知の可塑剤に比較して数多くの利点を有する。たとえば、この化合物は、驚くべきことに、同族のジ−n−ブチルフランジカルボキシレートおよびジ−n−ヘキシルフランジカルボキシレート(これらはいずれも室温を大幅に上回る融点を有する結晶性固体として存在する)とは異なり、加工性に優れた(とりわけ、計量添加性に優れた)液体である。液状配合物、とくにポリマー配合物たとえばポリマーペーストおよびプラスチゾルの工業的規模による製造は、液状可塑剤によって、つまり、この場合、溶剤の使用が不要であるために−最もよく実現される。溶剤は、一般に、軟化効果の"希薄化"も結果することから、製造中に再び除去されなければならない。これは、極めて稀な場合に、量的規模で生ずることがあるために、半製品ないし完成品中には、特に屋内ならびに車内におけるこの種の製品の使用をまたも妨げる高い揮発性(有機)成分いわゆる"VOC’s"が含まれている。加えてさらに、半製品ないし完成品における固体可塑剤の晶出の危険があり、これによって、材料機能不全にまで及ぶ、材料特性の大幅な劣化がもたらされる。溶剤の使用に対する別法として存在する、固体可塑剤を溶融した状態で(つまり、高温で)使用するという問題解決方法は、多くの場合に技術的に実現不能であり、また、他の配合物成分を熱的に損なう危険もある。
本発明によるフランジカルボン酸ジヘプチルエステルの熱的挙動(特に、融解温度およびガラス転移点の発生)は、エステル鎖の分岐度とエステルの組成に依存しているために、エステルの製造に使用されるアルコール混合物の組成を介して意図的に調整可能である。示差走査熱量計での本発明によるフランジカルボン酸ジヘプチルエステルの測定(GC分析による純度、少なくとも99面積%)に際し、−150℃に冷却した後の最初の加熱中に、20℃を超える温度の融点、好ましくは10℃を超える温度の融点、特に好ましくは5℃を超える温度の融点、なかんずく好ましくは0℃を超える温度の融点はなんら生じない。
特別な実施形態において、特に、可塑剤ないしプラスチック組成物および成形体の良好な低温特性が所望される場合には、エステルの製造に使用されるアルコール混合物中には少なくとも3つの異なった異性体、好ましくは少なくとも4つ、特に好ましくは少なくとも5つ、なかんずく好ましくは少なくとも6つの異性体が存在していなければならない。この場合、DSCによる前述した測定に際し、ガラス転移温度<0℃、好ましくは<−10℃、特に好ましくは<−20℃、なかんずく好ましくは<−30℃が検出される。
本発明によるフランジカルボン酸ジヘプチルエステルのレオロジー特性、特にせん断粘度は、エステル鎖の分岐度とエステルの組成に依存しているために、同じく、エステルの製造に使用されるアルコール混合物の組成を介して意図的に調整可能である。20℃時に測定される、本発明による液状のフランジカルボン酸ジヘプチルエステルのせん断粘度(GC分析による純度、少なくとも98面積%)は、エステル鎖の分岐度とエステルの組成に依存している。それは、特に、最高で120mPa*s、好ましくは、最高で110mPa*s、特に好ましくは、最高で100mPa*s、なかんずく好ましくは95mPa*s未満である。
本発明によるエステルの密度も、同じく、エステル鎖の分岐度とエステルの組成に依存しているために、エステル製造に使用されるアルコールを介して調整可能である。20℃時に測定される、本発明によるエステルの密度(GC分析による純度、少なくとも99面積%)は、特に、最高で1.1g/cm3、好ましくは、最高で1.08g/cm3、特に好ましくは、最高で1.06g/cm3、なかんずく特に好ましくは、最高で1.05g/cm3である。
さらなる利点は、この本発明によるヘプチルエステルは、ポリマー用とりわけPVC用に卓越したゲル化能を有すると共に、驚くべきことに、著しく長いエステル鎖を有しているにもかかわらず、たとえばジ−n−ブチルフランジカルボキシレートに比較して、PVC用に著しく低い溶解温度も有していることである。したがって、これは速やかに、かつ、低温で加工可能である。
使用された可塑剤全体を基準として、本発明によるヘプチルエステルを少なくとも10質量%の割合で含むPVCプラスチゾル/PVCペーストは、振動によるレオメトリーによって実施された、動的温度操作(定加熱速度)によるゲル化テストにおいて、特に、最高で100℃、好ましくは、最高で95℃、特に好ましくは、最高で90℃、とりわけ好ましくは、最高で85℃、なかんずく特に好ましくは、最高で80℃の温度にて、ペースト粘度>1000Pa*sを達成する。
上述したゲル化テストにおいて最高粘度が達成される温度は、特に、最高で120℃、好ましくは、最高で115℃、特に好ましくは、最高で110℃、とりわけ好ましくは、最高で105℃、なかんずく特に好ましくは、最高で100℃である。
さらに、本発明によるフランジカルボン酸のジヘプチルエステルをベースとしたPVCペーストは、ペースト粘度がせん断速度に対して僅かな依存性しか有していない旨確認することができる。これにより、この可塑剤は、広いせん断速度範囲で、きわめて多様な加工法によって使用可能である。
本発明によるヘプチルエステルをベースとしたPVCペーストは、さらにまた、たとえばジイソノニルフタレート・ペーストに比較して、著しく低いゲル化温度も有している。したがって、これは、より速やかに、かつ、低温にて加工可能であるために、より高級な製品が生ずる。
本発明による可塑剤は、フランジカルボン酸のヘキシルエステルまたはブチルエステルを含む可塑剤に比較して、さらなる利点を有する。たとえば、本発明による可塑剤を有した検体は、その質量損失が僅かであるために、高温時に著しく優れた耐性を有している旨確認された。また、本発明による可塑剤を含む試料は、従来の技術の可塑剤を有した比較試料よりも、著しく優れた熱安定性を有する旨も確認された。
さらにまた、驚くべきことに、可塑剤として本発明によるヘプチルエステルを含有したPVCシートは非常に低い不透明度を有しており、それゆえ高い透明性を有している旨も確認された。この不透明度は、標準可塑剤をベースとして製造されるシートのそれよりも、一部非常に低いレベルにある。
とりわけ、使用された可塑剤全体を基準として本発明によるヘプチルエステルを少なくとも10質量%の割合で含むPVCプラスチゾル/PVCペーストから透明なシート(シート厚さ0.9〜1.1mm)を製造する際には、最高で15、好ましくは最高で14、特に好ましくは最高で13、とりわけ好ましくは最高で12、なかんずく特に好ましくは最高で11の不透明度が達成される。上記の透明なシートの黄色度指数(Index YD 1925)は、特に最高で15、好ましくは最高で14、特に好ましくは最高で13、とりわけ好ましくは最高で12、なかんずく特に好ましくは最高で11である。
さらに、著しく劣った軟化作用を有するジイソノニルシクロヘキサンカルボン酸エステル(DINCH)の混入によっても、本発明によるフランジカルボン酸のヘプチルエステル(DIHFDC)の軟化効果はごく僅かに低下するにすぎない。
本発明によるDIHFDCを含む検体は、温度>0℃にて、直鎖状DNHFDCを含む検体ならびに単分岐鎖状の、C原子1個分だけ"長い"D2EHFDCを含む検体よりも、著しく高い柔軟性(つまり、より低い貯蔵弾性率)を示す。本発明による試料は、さらに、0℃時および−30℃時にも、D2EHFDC試料に比較して、同じく著しく高い柔軟性を有する。これは、本発明による試料のガラス転移温度が他の2つの試料に比較して高く、かつ、軟質PVC検体の柔軟性は、一般に、ガラス転移温度が低下するにつれて高まることからして、いっそう驚くべきことである。
以下の実施例は本発明を説明しようとするものであり、本願明細書の説明ならびに特許請求の範囲から判明する本発明の適用幅を制限するものではない。
実施例
実施例1
フラン−2,5−ジカルボン酸ジクロリド(II)の製造
本発明によるエステルは、フラン−2,5−ジカルボン酸から出発してジクロリドを経て行なわれる2段階合成で製造された。還流凝縮器と滴下漏斗を備えた250mLの三口フラスコに、アルゴン雰囲気下で、72.1g(462mmol)のフラン−2,5−ジカルボン酸があらかじめ装入された。10分間に、数滴のN,N−ジメチルホルムアミドと混合されて、塩化チオニル165g(1.39mol)が添加された。この懸濁液は還流温度にまで加熱され、発生したガスは、KOH水溶液の入った洗浄ビンを通して誘導された。次いで、4時間にわたり、ガス発生が終了し、還流下で固体が完全に溶解するまで、加熱が行なわれた。生成物の単離は、過剰な塩化チオニルの除去後、蒸留精製(T=110℃、p=0.0012MPa)によって行なわれた。その際、融点79.5〜80℃の無色の結晶性固体(収率89%)として79.4gのジクロリドが生じた。フラン−2,5−ジカルボン酸ジクロリドは、爾後の使用が行なわれるまで、保護ガス(アルゴン雰囲気)下で暗室に室温にて貯蔵補完された。
フラン−2,5−ジカルボン酸ジクロリド(II)からのフラン−2,5−ジカルボン酸エステルの製造
アルゴン雰囲気下で、還流凝縮器と滴下漏斗を備えた三口フラスコに、ジクロリドがあらかじめ装入されて、加熱によって溶融された。この液体に、2.4当量のイソ−ヘプタノール(異性体混合物;Exxal 7;Exxon Mobil社)がゆっくりと滴下添加され、その際、ガス発生を伴う発熱反応が生じた。発生したガスは、KOH水溶液の入った洗浄ビンを通して誘導された。添加の完了後、16時間、80〜100℃の温度にて攪拌が行なわれた。
過剰なアルコールは、沸騰石の存在において、減圧下で除去され、粗生成物は蒸留によって精製された。ジヘプチルフラン−2,5−ジカルボキシレートが得られ、これはさらなるテストに使用される。
ジヘプチルフラン−2,5−ジカルボキシレートの特性決定
1.1 ガスクロマトグラフィー分析(GC)によるエステル純度の測定
製造されたエステルのGCによる純度測定は、Agilent Technologiesの自動GC装置"6890N"により、J&W ScientificのDB−5−カラム(長さ:20m、内径:0.25mm、膜厚さ0.25μm)およびフレームイオン化検出器を使用して、以下の基礎条件にて行なわれる:
炉スタート温度:150℃ 炉最終温度:350℃
(1)加熱速度 150〜300℃:10K/min
(2)等温:10分、300℃時
(3)加熱速度 300〜350℃:25K/min
総経過時間:27分
噴射ブロック入り口温度:300℃ 分割比:200:1
分流:512.2ml/min 総流量:517.7ml/min
キャリアガス:ヘリウム 噴射量:3マイクロリットル
検出温度:350℃ 燃焼ガス:水素
水素流量:40ml/min 空気流量:440ml/min
メイクアップガス:ヘリウム メイクアップガス流量:45ml/min
得られたガスクロマトグラムの評価は、存在する比較物質に対して、マニュアル方式で行なわれる。純度の表示は面積%で行なわれる。目標物質の最終含有量が98%を上回る高さであるために、それぞれの試料物質へのキャリブレーション・エラーによって予測される誤差は僅かである。
測定の結果、実施例1で製造されたエステルの純度は99.3面積%であった。
1.2 製造されたエステルの密度の測定
製造されたエステルの密度の測定は、振動密度計により、DIN 51757−方法4に準拠して行なわれる。
測定の結果、密度は1.0075g/cm3であった。
1.3 製造されたエステルのAPHA色数の測定
製造されたエステルの色数の測定は、DIN EN ISO 6271−2に準拠して行なわれた。
測定の結果、APHA色数は8であった。
1.4 製造されたエステルの酸価の測定
製造されたエステルの酸価の測定は、DIN EN ISO 2114に準拠して行なわれた。
測定の結果、酸価は0.012mgKOH/gであった。
1.5 製造されたエステルの含水量の測定
製造されたエステルの含水量の測定は、DIN 51777 Teil 1(直接法)に準拠して行なわれた。
測定の結果、含水量は0.023%であった。
1.6 製造されたエステルの固有粘度の測定
製造されたエステルの固有粘度(せん断粘度)の測定は、Z3測定システム(DIN 25mm)を備えたPhysica MCR 101(Anton−Paar社)を使用し、ローテーションモードで以下の方法によって行なわれた:
エステルと測定システムは、先ず、20℃に調温され、続いて、以下の点が制御された:
1.60sの時間にわたり100s-1の予備せん断。この場合、測定値は記録されなかった(場合により発生するチキソトロープ効果のレベリングおよび温度分布の向上のため)。
2.それぞれ5sの測定点持続時間を有する20ステップの対数列に分割された、500s-1で始まり、10s-1で終わる周波数下降ランプ(ニュートン挙動の検証)。
エステルはニュートン流動挙動を示した。
測定の結果、せん断粘度(42s-1時)は90mPa*sであった。
1.7 製造されたエステルのDSCによるガラス転移温度および融解温度の測定
ガラス転移温度および融解温度の測定は、示差走査熱量計(DSC)により、DIN 51007(温度範囲−150℃〜+200℃)に準拠し、加熱速度10K/min時の昇温曲線で行なわれる。熱流曲線の反転点がガラス転移温度として評価される。
測定の結果、ガラス転移温度は−45℃、融解温度は−19℃であった。この場合、試料は、あらかじめ7日間、室温にて、液状で貯蔵保管されていた。
実施例2
可塑剤の溶解温度
溶解温度は、連続的に加熱される過剰可塑剤(96g可塑剤、4gポリマー)中に分散したPVC粉末が何度から溶解されるかを示すものであり、ゲル化挙動の帰納的推定を可能にするものである。ジ−(2−エチルヘキシル)−フラン−2,5−ジカルボキシレート(D2EHFDC)、ジ−n−ヘキシルフラン−2,5−ジカルボキシレート(DNHFDC)およびジ−n−ブチルフラン−2,5−ジカルボキシレート(DNBFDC)が、2−エチルヘキサノールないしn−ヘキサノールを使用し、実施例1と同様にして製造された。ジ−n−ブチルフラン−2,5−ジカルボキシレートとジ−n−ヘキシルフラン−2,5−ジカルボキシレート(DNHFDC)は、先ず、50℃にて溶融され、ジ−(2−エチルヘキシル)−フラン−2,5−ジカルボキシレート(D2EHFDC)と本発明によるジ−イソ−ヘプチルフラン−2,5−ジカルボキシレート(DIHFDC)は、PVC粉末が液中に分散されて温度が引き上げられる前に、50℃に調温された。
テストの実施:
150mlのビーカー中に、96gの当該可塑剤と4gのPVC Lacovyl PB 1704 H(Arkema社)が秤量して入れられる。この混合物中に、磁気攪拌子とスタンドに固定された内部温度計(範囲:0℃〜250℃、示度精度:0.5℃)が挿入される。ガラスの裏側に、ワイヤまたは接着テープを用いて、"Loesetemperatur[溶解温度]"なる文字がフォント"Times New Roman"、フォントサイズ12で書き付けられた紙片が、ビーカー越しに文字が読めるようにして固定される。その後、加熱式ラボ攪拌装置(MR−Hei−Standard)の熱盤が200℃に、回転数が600回転/分に設定される。液体の内部温度が140℃に達した後、設定温度はさらに250℃に引き上げられた。溶解温度の達成は、当該文字が液体を通してまさに明確に読み取れるようになった場合である。
上記の3種の可塑剤につき、第1表に挙げた以下の値が判明した(反復決定):
第1表:溶解温度テストの結果
Figure 2014512342
*本発明による
溶解温度の序列は、一貫して、エステル鎖長が高まると共に上昇する。ただし、固形物として存在しているDNHFDCに比較して、本発明によるDIHFDCの加工性は遥かに優れており、その際、DNHFDCに比較して、溶解温度の中度の高まりが観察されるにすぎない。
実施例3 床被覆用トップコートフィルムを製造するためのPVCプラスチゾルへの本発明によるフランジカルボン酸ジヘプチルエステルの単独使用とその他の可塑剤との混合使用:プラスチゾルの製造
以下に、本発明による可塑剤によって達成される有利な特性を、たとえば多層構造の床被覆における透明な表皮層(いわゆる"トップコート")の製造に使用されるプラスチゾル/ペーストを例として示すこととする。さまざまなペーストの成分の使用重量gは以下の第2表から看取されよう。表中の例4および6は本発明によるものであり、その他の例1、2、3、5、7および8は比較例である。
第2表:配合物
Figure 2014512342
*=本発明による
使用された物質は以下の通りである:
Vestolit B 7021−Ultra K値70(DIN EN ISO 1628−2に準拠して測定)を有する微細懸濁液PVC(ホモポリマー);Vestolit GmbH社
Vestinol(登録商標)9 ジイソノニル(オルト)フタレート(DINP)、可塑剤;Evonik Oxeno GmbH社
Hexamoll(登録商標)DINCH:ジイソノニルシクロヘキサンカルボン酸エステル;BASF SE社
DNFHDC:ジ−n−ヘキシルフラン−2,5−ジカルボキシレート(n−ヘキサノールを用い、実施例1と同様にして製造)
DIHFDC:本発明によるフランジカルボン酸ジ−イソ−ヘプチルエステル;実施例1による
D2EHFDC:ジ−2エチルヘキシル−フラン−2,5−ジカルボキシレート(2−エチルヘキサノールを用い、実施例1と同様にして製造)
Drapex 39 エポキシ化された大豆油;軟化作用を有する助安定剤;Galata Chemicals社
Mark CZ 149:Ca/Zn安定剤、Galata Chemicals社
液状成分は、固形成分よりも前に、PEカップに秤量して入れられた。この混合物は、軟膏へらを用い、未湿潤粉末が存在しなくなるまでよく練り合わされた。次いで、この混合カップは、溶解攪拌機のクランプ装置にセットされた。ミキサーディスクによって、試料は均質化された。その際、回転数は330回転/分から2000回転/分に引き上げられて、温度センサの表示温度が30.0℃に達するまで攪拌された。こうして、所定のエネルギー供給時のペーストの均質化が確実に達成された。その後、ペーストは直ちに25.0℃に調温された。
配合物3は、固形物質として存在しているフランジカルボキシレートの加熱によってのみ製造可能であった。ただし、ペーストは、製造に続いてすぐに強度に固化してしまったため、その後の加工は実施不能であった。したがって、純DNHFDCとのさらなる比較テストは断念された。
ペースト4は、可塑剤Hexamoll(登録商標)DINCHと混合された本発明によるジ−ヘプチル−フランジカルボキシレートの作用態様を示す。ペースト6は、単独の可塑剤として使用された場合の本発明によるジ−ヘプチル−フランジカルボキシレートの作用態様を示す。
実施例4 床被覆用トップコートフィルムを製造するためのPVCプラスチゾルへの本発明によるフランジカルボン酸ジヘプチルエステルの使用:ペースト粘度の測定
実施例3で製造されたペーストの粘度測定は、付属のソフトウェアRheoplusで制御されるレオメーターPhysica MCR 101(Anton−Paar社)により、以下のように実施された。
製造後24時間にわたって25℃にて貯蔵保管されたペーストは、貯蔵タンク内で再度、へらを用いて均質化され、測定システムZ3(直径25mm)により操作説明書にしたがって測定された。測定は、25℃にて、等温実施された。以下の点が制御された:
60sの時間にわたり100s-1の予備せん断。この場合、測定値は記録されなかった(チキソトロープ効果のレベリング)。
それぞれ5sの測定点持続時間を有する20ステップの対数列に分割された、200s-1のせん断速度から始まり、0.1s-1まで下降する等温下降ランプ。測定結果は第3表に示した。
第3表:粘度測定の結果(せん断速度プロファイル)
Figure 2014512342
*=本発明による
可塑剤物質のみを含むペースト(ペースト1、2、6、7)に比較して、本発明によるペースト6は、最も変動幅の少ないペースト粘度を有する。純DNHFDC(固形物質)によっては、PVCペーストは製造不能であり、また、DINCHとのDNHFDC混合物も、使用された測定システムでは高せん断速度時に有意な測定がほぼ不可能なほどの非常に高いペースト粘度を示す。可塑剤Hexamoll(登録商標)DINCHと本発明によるフランジカルボン酸ジヘプチルエステルとの混合物(ペースト4)は、ペースト粘度レベルの顕著な低下と並んで、可塑剤としてHexamoll(登録商標)DINCHのみを含むペースト(ペースト2)に比較して、変動幅の非常に大きな減少をも結果する。本発明によるペーストの粘度レベルの全般的な高まりは、当業者により、たとえば粘性添加剤または溶剤の添加により、それぞれの加工に際して存在する所与条件に容易に適合させることができる。
卓越したゲル化特性を有する可塑剤、特にいわゆる高速ゲル化剤については、それを用いて製造されたPVCペーストが粘度安定性に欠陥を示すことが多い。ペーストが工業的規模で通例1箇所のセンター生産設備で生産され、次いで、しだいに一連の製造施設(たとえばコーティング施設)に配給される限りで、PVCペーストの貯蔵保管安定性は大きな意義を有している。こうした場合、ペーストの製造からその加工まで、7日に及ぶ期間が経過することがある。
ペーストの貯蔵保管安定性を測定するために、貯蔵保管2時間後、貯蔵保管24時間後および貯蔵保管7日間後に、せん断速度100s-1にて、粘度測定が実施された。測定と測定の間、ペーストは密閉容器中に25℃にて貯蔵保管された。測定の実施は上記と同様にして実施された。結果は第4表に示したとおりである。
第4表:粘度測定の結果(貯蔵保管安定性)
Figure 2014512342
*=本発明による
上記の結果は、本発明によるフランジカルボン酸ジヘプチルエステルの貯蔵保管安定性に関する要件は、単独物質(試料6)としても、DINCHとの混合物(試料4)としても等しく満たされることを明らかにしている。これに対して、DNHFDC/DINCH混合物(試料3)は貯蔵保管期間が長引くと共に強度に固化してしまい、もはや加工不能となる。
実施例5 床被覆用トップコートフィルムを製造するためのPVCプラスチゾルへの本発明によるフランジカルボン酸ジヘプチルエステルの使用:ゲル化挙動(ゲル化速度)の測定
ペーストのゲル化挙動の検査は、せん断応力制御されて運転された、プレート−プレート測定システム(PP25)を備えた振動モードによるPhysica MCR 101で行なわれた。均等な温度分布と均一な試料温度を達成するべく、付加的な調温フードが装置に接続された。
以下のパラメータが設定された:
モード:温度勾配
スタート温度:25℃
最終温度:180℃
加熱/冷却率:5℃/min
振動周波数:4〜0.1Hz 対数ランプ
角周波数オメガ:10 1/s
測定点数:63
測定点持続時間:0.5min
自動隙間追従F:0N
測定点持続時間一定
隙間幅 0.5mm
測定の実施:
測定システム下側プレートに、へらを用いて、被測定ペーストが1滴、気泡を生じないように塗布された。その際、測定システムが会合された後、多少のペーストが測定システムから均等にはみ出す(周囲、約6mm以下)ように注意が払われた。続いて、調温フードが試料上にポジショニングされて、測定が開始された。温度と相関した、ペーストのいわゆる複素粘度が測定された。(5℃/minの加熱率によって定められた)時間内に一定の温度が達成されるため、ゲル化温度以外に、被測定系のゲル化速度に関する判定も得られる。ゲル化現象の発生は、複素粘度が突然激しく上昇することによって認識することができた。この粘度上昇の発生が早ければ早いほど、当該系のゲル化能は優れている。得られた測定カーブから、補間法により、各々のプラスチゾルについて、1000Pa*sないし10000Pa*sの複素粘度が達成される温度が測定された。加えてさらに、タンジェント法により、存在する試料によって達成される最高プラスチゾル粘度が測定され、ならびに、錘の落下によって、最高プラスチゾル粘度が発生開始する温度が測定された。結果は第5表に示したとおりである。
第5表:ゲル化テストの結果
Figure 2014512342
*=本発明による
可塑剤物質しか含んでいないペースト(ペースト1、2、6、7)に比較して、本発明によるペーストは最も早いゲル化を示す。このゲル化は、VESTINOL(登録商標)9ペーストのゲル化よりも著しく早く、かつ、より低温で進行する。また、ゲル化現象中に達成可能な最高粘度も、本発明による試料が明白に最も高い。同様なことはゲル化現象中に最高粘度が達成される温度についても当てはまる。これは本発明による試料の場合が最も低く、その際、Vestinol(登録商標)9およびDINCHによる試料との差がとりわけ大きい。したがって、本発明によるフランジカルボン酸ジヘプチルエステルにより、卓越したゲル化特性を有すると同時に、そのペーストのゲル化によって高い強度の成形体を供することのできる可塑剤が提供される。本発明による可塑剤を含むPVC配合物は、とりわけ、高速かつ低い加工温度で加工可能である。ペースト粘度の著しい低下をもたらす(実施例4、参照)Hexamoll(登録商標)DINCHを比較的僅かな割合で混入しても、ゲル化特性に副次的な影響が示されるにすぎない。DINCHの混入によっても、依然として、標準可塑剤VESTINOL(登録商標)9による場合よりも著しく急速なゲル化が可能である。
実施例6:床被覆用トップコートフィルムを製造するためのPVCプラスチゾルへの本発明によるフランジカルボン酸ジヘプチルエステルの使用:注型品のショアA硬度の測定(可塑剤効果)
ショア硬度は検体の柔軟さの尺度である。一定の測定時間内に、標準化された針が検体中に侵入し得る深度が深ければ深いほど、測定値は低いものになる。最も効果の高い可塑剤は、同一可塑剤量で、最も低いショア硬度値を結果する。実際に、合成物/配合物は一定のショア硬度に調整ないし最適化されることが多いため、非常に効果的な可塑剤であれば、配合物への添加に際し一定の割合を節約することができ、これは加工コストの低下を意味する。
ショア硬度を測定するために、実施例3によって製造されたペーストが、直径42mmの真鍮製の円形の注入型に注入された(注入秤量:20.0g)。次いで、注入型内のペーストは空気循環乾燥器中で30分間にわたり200℃でゲル化され、冷却後に取り出され、測定前に少なくとも24時間にわたって乾燥器中(25℃)に貯蔵保管された。ディスクの厚さは約12mmであった。
硬度測定は、DIN 53 505に準拠し、Zwick−Roell社のショア−A−硬度測定機で実施され、測定値はそれぞれ3秒後に読み取られた。各々の検体(たとえば注型品)につき、測定は異なった3箇所で実施され、平均値が形成された。硬度測定の結果は第6表に示したとおりである。
第6表:ショアA硬度測定の結果
Figure 2014512342
*=本発明による
可塑剤物質しか含んでいないペースト(ペースト1、2、6、7)に比較して、本発明によるペースト6から製造された注型品は、最も低いショアA硬度、したがって、最高度の"柔軟さ"、を有している。これにより、PVC混合物に配合されて極めて高い可塑剤効果を有するエステルが提供されることとなり、その結果、たとえば標準可塑剤Vestinol(登録商標)9に比較して、必要とされる可塑剤量の点で顕著な節約可能性がもたらされる。驚くべきことに、著しく効果の低いDINCHの混入(試料4)によっても本発明によるエステルの可塑剤効果は僅かに低下するにすぎず、依然として、標準可塑剤よりも遥かに良好である。
実施例7:床被覆用トップコートフィルムを製造するためのPVCプラスチゾルへの本発明によるフランジカルボン酸ジヘプチルエステルの使用:透明トップコートフィルムの透明度と黄色度指数の測定
フィルムの製造は、プラスチゾルの熟成時間24時間(25℃にて)の経過後に行なわれた。フィルム製造のため、Mathis Labcoater(メーカー:W.Mathis AG社)のロールドクターに1.40mmのドクター隙間が設定された。これはセンサ隙間ゲージによってコントロールされ、場合により再調整された。製造されたペーストは、フレームに平坦に張設された上質光沢紙(Ultracast Patent;Sappi Ltd.社)にMathis Labcoaterのロールドクターで塗設された。次いで、ドクター塗設されたプラスチゾルは2分間にわたりMathis炉中で200℃にてゲル化された。冷却後にフィルム厚さは高速厚さ計(KXL047;Mitutoyo社)により0.01mmの精度で測定された。このフィルムのフィルム厚さは、上述したドクター隙間にて、あらゆる場合に0.95〜1.05mmであった。厚さの測定は、フィルムの異なった3箇所で実施された。
透明度は、透明度が高い(=不透明度が低い)場合にのみ最適な全体像の達成が可能となるために、床被覆材分野におけるPVCトップコートの重要な品質判定基準である。PVCトップコートフィルムの透明度は、また、フィルム製造に使用される配合成分の適合性の尺度として、とりわけ、PVC母材と可塑剤との適合性評価の尺度としても当てはまる。高い透明度(=低い不透明度)は、通例、良好な適合性を意味する。不透明度の測定はByk Gardner社の"Spectro Guide"装置によって行なわれた。不透明度測定の背景として、白いタイルと黒いタイルが利用された。色測定機のメニューから不透明度測定が選択された。測定自体は試料の異なった3箇所で実施され、自動的に評価された(平均値)。
黄色度指数はもう一つの重要な品質判定基準である。トップコートの黄変はフロア装飾の大幅な視覚的印象悪化を招来し得るために、PVCトップコートの場合には非常に低い黄色度指数しか許容されることができない。黄変は、一方で配合成分(同じくその副生成物および分解生成物)によって引き起こされることがあるだけでなく、他方で製造工程中および/またはトップコートないし床被覆材の使用中の(たとえば熱酸化)分解によっても生ずることがある。
黄色度指数(Index YD 1925)は検体の黄変の尺度である。色測定はByk−Gardner社の"Spectro Guide"装置で行なわれた。色測定の背景として、白い参照タイルが利用された。以下のパラメータが設定された:
光種別:C/2°
測定回数:3
示度:CIE L*a*b*
測定指数:YD1925
測定自体は、(プラスチゾル・ドクター塗布厚さ200μm時の実効−および平滑フォームにつき)試料の異なった3箇所で実施された。3回の測定から得られた値は平均された。第7表は結果を示している。
第7表:透明なトップコートフィルムの不透明度および黄色度指数
Figure 2014512342
*=本発明による;n.bb=測定不可、試料は強度に不均質
本発明によるフランジカルボン酸ジヘプチルエステル(例4および6)は、単独物質としても、DINCHとの混合物としても等しく、不透明度が非常に低いことにより、PVCとの卓越した適合性を示している。さらに、同じく、単独物質としても、DINCHとの混合物としても、非常に低い黄色度指数が達成される。これは、再生可能原料、とくに砂糖をベースとして製造される可塑剤が、通例、比較的高い黄色度指数を有する点を顧慮すれば、ますます驚くべきことである。他方、DNHFDCを含む比較試料(試料3)は、不均質であり、ここで意図される適用(透明な床被覆トップコート)には不適である。
実施例8:床被覆用トップコートフィルムを製造するためのPVCプラスチゾルへの本発明によるフランジカルボン酸ジヘプチルエステルの使用:トップコートフィルムの水中放置(30℃にて)および保温放置(80℃にて)
さまざまな環境条件下での耐老化性は、PVC可塑剤のさらなる重要な品質判定基準である。とりわけ、水に対する挙動(配合成分の吸水および洗脱)と高温に対する挙動(配合成分の蒸発および熱劣化)は耐老化性の判定に資するものである。
プラスチック床が比較的多量の水を吸収する場合には、それにより、一方でその材料特性が変化すると共に、他方で視覚的印象も変化する(たとえば混濁)。したがって、高い吸水性は、通例、望ましくない。洗脱は、使用条件下における配合成分の持久性にとっての付加的な基準である。これは、特に、安定剤、可塑剤および/またはそれらの成分に当てはまる。というのも、プラスチック床中のこれらの配合成分の濃度低下は、製品特性を劣化させるだけでなく、また、床被覆材の耐用寿命を大幅に低下させるからである。
耐水性を測定するために、ゲル化された1mmポリマーフィルム(Mathis炉でのゲル化条件:200℃/2min.)が使用された。検体として、フィルムから直径3cmの円盤が切り抜かれた。水中放置前に、これらの検体は24時間にわたって、乾燥剤(KC−Trockenperlen,BASF SE社)を備えた乾燥器中に25℃にて貯蔵保管された。当初重量(初期秤量)は、化学天秤で正確に0.1mgと秤量された。検体は、次いで、VE水を満たした振動浴(Typ"WNB 22"、ペルチエ冷却装置"CDP"付き:Memmert GmbH社)中に30℃の温度にて7日間試料ホルダーと共に水面下に置かれ、連続的に振動に付された。水中放置終了後、これらの円盤は水浴から取り出され、乾燥されて、秤量された(=7日間後の重量)。当初重量との差から吸水分が計算された。秤量後、検体は、再び24時間にわたって、乾燥剤(KC−Trockenperlen)を備えた乾燥器中に25℃にて貯蔵保管され、続いて再度、秤量された(最終秤量=乾燥後の重量)。当初重量との差から、水中放置による質量損失(=洗脱による損失)が計算された。
熱劣化に対する耐性を測定するため、上記と同様にして、検体が製造された。検体は、上記と同様にして、予備乾燥されて当初秤量され、さらに、実施例7に述べたようにして、黄色度指数が測定された。続いて、検体は、乾燥器中に80℃にて1週間貯蔵保管された。その後、検体の質量損失が求められ、さらにあらためて、それらの黄色度指数が求められた。結果は第8表に示したとおりである。
第8表:耐老化性に関する検査結果
Figure 2014512342
*=本発明による;n.bb=測定不可、試料は強度に不均質
すべての試料の吸水は、標準可塑剤Vestinol(登録商標)9と同じレベルである。洗脱はいかなる場合にも認められない。したがって、本発明によるシランジカルボン酸ジヘプチルエステルの耐水性は卓越していると評価することができる。
他方、80℃での水中放置については、試料間に大きな相異があることが明らかとなった。驚くべきことに、本発明による検体4は、DNHFDC(6個の炭素原子を有するエステル基)を含む検体(3)よりも、著しく低い質量損失を示している。したがって、本発明による可塑剤を含む検体は、高温時に著しく優れた耐性を有する。変色に関しては、驚くべきことに、可塑剤物質しか含んでいない試料(1、2、6、7)に比較して、本発明によるフランジカルボン酸ジヘプチルエステルを含む試料は温度負荷に続いて僅かな黄変を示すにすぎず、したがって、標準可塑剤Vestinol(登録商標)9を含む試料と同じレベルであると共に、驚くべきことに、DINCH試料よりも著しく優れている。これは、全面的または部分的に再生可能原料(とりわけ、それが砂糖の場合)をベースとした可塑剤は、通例、高温時には黄変し易いという点を顧慮すれば、ますます驚異的である。
上記により、ゲル化したPVCフィルム中で水に対する極めて優れた耐性と同時に、卓越した熱安定性をもたらすエステルが提供される。
実施例9:床被覆用トップコートフィルムを製造するためのPVCプラスチゾルへの本発明によるフランジカルボン酸ジヘプチルエステルの使用:柔軟性(DMTA)の測定
ゲル化したフィルム(実施例7によるフィルム製造、Mathis炉にて200℃/2min.)から製造された検体につき、DIN 65583に定めるDMTA測定が実施された。動的粘弾性測定(DMTA)のため、検体に振動力を印加することにより、周波数および温度と相関した粘弾性が検出され、粘弾性率および減衰率が求められる。その際、損失弾性率の最大値がガラス転移温度として評価される。以下の第9表は結果を示したものである。
第9表:DMTA測定の結果
Figure 2014512342
*=本発明による
可塑剤物質しか含んでいない検体(ペースト1、2、6、7)に比較して、本発明によるペースト6から製造された検体は、驚くべきことに、+30℃にて最高の柔軟性(つまり、最低の貯蔵弾性率)を有する。DINCHとの混合物(ペースト3、4、5)を観察すれば、この場合、+30℃にて、本発明によるフランジカルボン酸ジヘプチルエステルを含む検体(試料4)は、それがD2EHFDCよりも遥かに高い分岐度を有するにもかかわらず、直鎖状DNHFDC(試料3)を含む検体ならびに単分岐鎖状のD2EHFDC(試料5)を含む検体のいずれよりも高い柔軟性を有していることが認められる。本発明による試料は、さらに、0℃時および−30℃時にも、D2EHFDCに比較して同じく著しく高い柔軟性を有する。これは、本発明による試料のガラス転移温度が他の2つの試料に比較して高く、かつ、軟質PVC検体の柔軟性は、通例、ガラス転移温度が低下するにつれて増加するとの点を顧慮すれば、ますます驚異的である。

Claims (21)

  1. フランジカルボン酸のヘプチルエステル。
  2. ジヘプチルエステルであることを特徴とする、請求項1に記載のヘプチルエステル。
  3. 以下の特性
    1)20℃時の密度は最高で1.1g/cm3であること、
    2)25℃時の固有粘度は最高で120mPa*sであること、
    3)示差走査熱量計による測定時に、温度>20℃にて融解信号を生じないこと、
    の少なくとも1つを有することを特徴とする、請求項1または2のいずれか1項に記載のヘプチルエステル。
  4. 請求項3に挙げた特性の少なくとも2つを有することを特徴とする、請求項3に記載のヘプチルエステル。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の少なくとも1つのヘプチルエステルを含む組成物。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の少なくとも1つのヘプチルエステルを含むことを特徴とする可塑剤または可塑剤組成物。
  7. 少なくとも2つの異性体ジヘプチルフラン−2,5−ジカルボキシレートを含むことを特徴とする、請求項6に記載の可塑剤または可塑剤組成物。
  8. 前記の異性体ジヘプチルフラン−2,5−ジカルボキシレートは異性体ヘプチル基を含むことを特徴とする、請求項6または7のいずれか1項に記載の可塑剤または可塑剤組成物。
  9. 前記の異性体ジヘプチルフラン−2,5−ジカルボキシレートのいずれもエステル混合物中に99.9質量%を超える割合を有していないことを特徴とする、請求項7または8のいずれか1項に記載の可塑剤または可塑剤組成物。
  10. 前記の異性体ヘプチル基の少なくとも1つは、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基および2−エチル−3−メチルブチル基から選択されていることを特徴とする、請求項8に記載の可塑剤または可塑剤組成物。
  11. 安息香酸アルキル、アジピン酸ジアルキル、グリセリンエステル、クエン酸トリアルキルエステル、アシル化されたクエン酸トリアルキルエステル、メリット酸トリアルキルエステル、二安息香酸グリコール、テレフタル酸ジアルキルエステル、フタル酸ジアルキルエステル、イソソルビットのジアルカノイルエステル、1,2−、1,3−または1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のジアルキルエステルから選択された少なくとも1つの付加的な可塑剤を含むことを特徴とする、請求項6〜10の少なくとも1項に記載の可塑剤組成物。
  12. 以下の方法工程
    a)フランジカルボン酸および/または少なくとも1つのフランジカルボン酸誘導体を、7個の炭素原子を有する1以上の脂肪族アルコールと接触させる方法工程と、
    b)前述した反応混合物を、50℃を超える温度に加熱し、該反応混合物からの少なくとも1の低分子物質を(好ましくは熱的)分離しつつエステル化ないしエステル交換反応を行う方法工程と
    を含んでなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のヘプチルエステルの製造方法。
  13. 以下の方法工程
    a)5−ヒドロキシメチルフルフラールおよび/または少なくとも1のフラン誘導体を、7個の炭素原子を有する1以上の脂肪族アルコール、ならびに少なくとも1の触媒および少なくとも1の酸素含有成分と接触させる方法工程と、
    b)前述した反応混合物を、0℃を超える温度に温度調節し、酸化的エステル化を実施する方法工程と
    を含んでなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のヘプチルエステルの製造方法。
  14. 請求項6〜11のいずれか1項に記載の可塑剤または可塑剤組成物の、ポリマー用の可塑剤としての使用。
  15. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のヘプチルエステルの、接着剤、シール材、コーティング材、塗料、染料、プラスチゾル、ペースト、合成皮革、床被覆材、アンダーフロア保護材、クロスコーティング、壁紙またはインキにおける使用。
  16. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の少なくとも1つのヘプチルを含むプラスチック組成物。
  17. ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリレート、とくにポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアルキルメタクリレート(PAMA)、フルオロポリマー、とくにポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルアセタール、とくにポリビニルブチラール(PVB)、ポリスチレンポリマー、とくにポリスチレン(PS)、発泡性ポリスチレン(EPS)、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート・コポリマー(ASA)、スチレンアクリロニトリル・コポリマー(SAN)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン・コポリマー(ABS)、スチレン−無水マレイン酸・コポリマー(SMA)、スチレン−メタクリル酸・コポリマー、ポリオレフィン、とくにポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)、ポリエチレン−ビニルアセテート(EVA)、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリウレタン(PU)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリスルフィド(PSu)、バイオポリマー、とくにポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシブチラール(PHB)、ポリヒドロキシ吉草酸(PHV)、ポリエステル、デンプン、セルロースおよびセルロース誘導体、とくにニトロセルロース(NC)、エチルセルロース(EC)、酢酸セルロース(CA)、セルロース−アセテート/ブチレート(CAB)、ゴムまたはシリコーンならびに上記のポリマーおよびそれらのモノマー単位の混合物またはコポリマーから選択された少なくとも1のポリマーを含むことを特徴とする、請求項16に記載のプラスチック組成物。
  18. ポリマー100質量部当たり5〜200質量部の量で可塑剤が含まれていることを特徴とする、請求項16または17に記載のプラスチック組成物。
  19. 含まれているポリマーの少なくとも1つは、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルブチレート、安息香酸ビニル、メチルアクリレート、エチルアクリレートまたはブチルアクリレートからなる群から選択された1以上のモノマーと塩化ビニルとのコポリマーであることを特徴とする、請求項16〜18のいずれか1項に記載のプラスチック組成物。
  20. 請求項16〜19のいずれか1項に記載のプラスチック組成物を含む成形体またはシート。
  21. 床被覆材、壁被覆材、ホース、異形材、ポリマーフィルム、屋根葺き材、遮水シート、ケーブル−もしくはワイヤ被覆材、防水シート、宣伝バナー、合成皮革、包装シート、医用品、玩具、シール材、家具/調度である、請求項20に記載の成形体またはシート。
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