JP2014506711A - X線回転陽極 - Google Patents

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Abstract

本発明は、支持体(14)と、その支持体(14)上に形成された焦点軌道(16)を有するX線回転陽極(10)に関する。支持体(14)および焦点軌道(16)が粉末冶金法により複合体として作られ、支持体(14)がモリブデン又はモリブデン基合金から形成され、焦点軌道(16)がタングステン又はタングステン基合金から形成されている。最終的に熱処理されたX線回転陽極(10)において、焦点軌道(16)の少なくとも一部分が再結晶されていない構造および/または部分再結晶された構造で存在する。
【選択図】図3

Description

本発明は、支持体と、その支持体上に形成された焦点軌道とを有し、支持体および焦点軌道が粉末冶金法により複合体として製造されており、支持体がモリブデン又はモリブデン基合金から形成され、焦点軌道がタングステン又はタングステン基合金から形成されているX線回転陽極に関する。
X線回転陽極は、X線ビームを発生するためにX線管において使用される。使用中には電子がX線管の陰極から放出され、集束された電子ビームとして、回転するX線回転陽極へ向かって加速される。電子ビームのエネルギーの大部分がX線回転陽極内で熱に変換されるのに対して、少ない割合のエネルギーがX線として放出される。局部的に放出される熱量がX線回転陽極の激しい加熱をもたらし、高い温度勾配をもたらす。これはX線回転陽極に強い負荷をもたらす。X線回転陽極の回転によって陽極材料の過熱が防止される。
典型的にはX線回転陽極は、支持体と、その支持体上に形成されている被覆とを有し、その被覆は、特にX線ビームを発生するように設計されており、専門分野では焦点軌道と呼ばれる。焦点軌道は、通常、少なくとも使用中に電子ビームに曝される支持体領域を覆っている。特に、焦点軌道には、例えばタングステン、タングステン基合金、特にタングステン・レニウム合金等のような高い原子番号を有する材料が使用される。支持体は、とりわけ電子ビームの衝突点で放出される熱の効果的な熱放散を保証しなければならない。ここで(高い熱伝導率を有する)適切な材料としては、特にモリブデン、モリブデン基合金等が実証されている。実証されている低コストの製造方法は、支持体および焦点軌道が複合体として製造される粉末冶金法による製造である。
高い放射効率もしくは(X線の)線量効率にとって、焦点軌道の表面ができるだけ滑らかであることが重要である。長期間使用特性および到達可能な寿命に鑑み、焦点軌道は、焦点軌道表面の粗さや、焦点軌道表面における幅の広いおよび/または深い亀裂形成に対して、できるだけ安定でなければならない。支持体には、高い温度および温度勾配ならびに高い回転速度のために、相対的に高い機械的応力が発生する。これらの応力にも拘らず、支持体は巨視的な変形に対してできるだけ安定でなければならない。焦点軌道および支持体におけるこのような安定は、焦点軌道も支持体も完全再結晶された構造で存在することによって得られるというのが、これまで主流を占めていた説であった。その際に、この方法では、発生する高い使用温度においてすら、焦点軌道の構造も支持体の構造も、後からの構造変化(例えば再結晶等)に対して十分に安定であることが仮定された。
しかし、従来の粉末冶金法の際に行われる焦点軌道内での再結晶は、比較的大きい粒度をもたらす。このような構造は、優先的に粒界に沿って伝播する比較的深い幅広の亀裂形成の危険を秘めている。更に、大きい粒度の場合、使用期間の経過に伴って焦点軌道表面に比較的大きい粗さも生じる傾向が強い。支持体内の再結晶構造は、支持体の強度および硬度の低下をもたらす。特に温度が高い場合および機械的負荷が大きい場合に、支持体の塑性変形が(特に降伏応力を超過した際に)生じ得る。特に、高い線量率(もしくは放射能力)が供給可能でかつX線回転陽極の回転速度が比較的高い高パワー範囲においては、これらの臨界値が超過される。従って、(完全再結晶された)支持体材料の低下した耐熱性のために、完全再結晶された支持体構造を有するX線回転陽極の使用可能性が制限される。従来、高温においても支持体の高い強度および硬度が必要である用途に対しては、特殊合金、および/または強度を高めるために原子の不純物又は粒子として存在する不純物を添加された材料が使用される(例えば、特許文献1参照)。
特許文献2には、0.9μm〜10μmの粒度を有しCVD被覆法で製造可能であるタングステン・レニウム合金からなる焦点軌道を有するX線回転陽極が記載されている(CVD:chemical vapour deposition、化学蒸着)。
米国特許出願公開第2005/0135959号明細書 米国特許出願第6487275号明細書
従って、本発明の課題は、長い使用期間にわたって高い線量効率を可能にし、かつ長寿命を有する、粉末冶金法により複合体として製造可能なX線回転陽極を提供することにある。
この課題は、請求項1によるX線回転陽極によって解決される。本発明の有利な実施形態は従属請求項に記載されている。
本発明によれば、支持体と、その支持体上に形成された焦点軌道とを有するX線回転陽極が提供される。支持体および焦点軌道が粉末冶金法により複合体として製造され、支持体がモリブデン又はモリブデン基合金から形成され、焦点軌道がタングステン又はタングステン基合金から形成されている。最終的に熱処理されたX線回転陽極において、焦点軌道の少なくとも一部分が、再結晶されていない構造および/または部分再結晶された構造で存在する。
焦点軌道の少なくとも一部分が、再結晶されていない構造および/または部分再結晶された構造で存在することによって、この一部分は、粒再形成によって生じた結晶粒を全く持たない(再結晶されていない構造の場合)か、又は粒再形成によって生じた結晶粒を明らかに100%よりも少ない割合でしか持たない(部分再結晶された構造の場合)。この部分の残り成分は、粉末冶金法による製造時に変形工程、特に鍛造工程によって得られる変形構造の形で存在する。全体として、再結晶されていない構造および/または部分再結晶された構造を有する部分では、(大傾角粒界および大傾角粒界部分についても、小傾角粒界についても)非常に粒の細かい構造が得られ、この構造は高い強度および硬度を有する。この構造は非常に滑らかな表面を有し、このことは線量効率に関して有利である。この構造は、(例えば、電子ビームによる「コンディショニング」もしくは「調整」の際に、および/または使用時に)電子ビームの作用により局部的に再結晶されることが確認された。再結晶が起こる領域は、焦点軌道上の電子ビーム軌道の直近周辺に制限され、焦点軌道の厚みに応じて下方の支持体にまで(そして場合によっては支持体の中にまで)延びている。焦点軌道は再結晶された領域に高められた延性を有し、このことは亀裂形成の回避に関して有利である。また、焦点軌道は高められた熱伝導率を有し、このことは支持体への効果的な熱放散に関して有利である。焦点軌道の周辺領域は十分に変化のないままである。特に、焦点軌道の周辺領域は、再結晶されていない構造および/または部分再結晶された構造内にあり、従って高い強度および硬度を有する。このことは焦点軌道の再結晶された領域の安定化に関して有利である。更に、驚くべきことに焦点軌道の(使用中に)局部的に再結晶された構造が、従来の製造方法、特に従来の粉末冶金法による製造方法の場合の再結晶工程の際におけるよりも著しく粒子の小さいままであることが判明した。焦点軌道表面は、再結晶された構造を有する領域においても長い使用期間にわたって滑らかであり、一様な細分化された亀裂模様を有する。従って、本発明によるX線回転陽極により長い使用期間にわたって高い線量効率が得られる。更に、本発明によるX線回転陽極は高寿命を有する。電子ビームの作用時における焦点軌道の再結晶された構造の微細粒形成に関して考えられ得る説明は、電子ビームの作用によって衝撃的な変化が起きることである。それに対して、従来の粉末冶金法による製造の場合に実施される熱処理時に、保持温度到達まで炉内で加熱する際に既に、再結晶特性に影響を及ぼす回復過程が起きることが確認された。
焦点軌道の特定の組成では、(変形行程、特に鍛造工程において調整される)変形度が増すほど高い初期硬度(および高い初期強度)を得ることができる。硬度(および強度)は、この初期硬度(および初期強度)から出発して、構造の再結晶度と共に減少する。再結晶度の増大にともなって延性も増大する。以下に実施形態に関連して述べる焦点軌道面に対して垂直な<111>方向および<001>方向の優先集合組織は、特に鍛造工程によって(焦点軌道面に対してほぼ垂直方向に生じる力作用の際に)調整される。この優先集合組織も構造の再結晶度と共に減少する。支持体についても相応の関係が当てはまる。これらの関係から、専門家は、焦点軌道をその都度形成する際に、本発明に従って定められた特徴を焦点軌道の少なくとも一部分において維持するために、粉末冶金法による製造のパラメータ(特に、鍛造中の温度、鍛造工程時の変形度、熱処理中の温度、熱処理の期間)をどのように選定しなければならないかを認識する。これに関して、(焦点軌道に関してならびに支持体に関して)部分再結晶された構造とは、粒再形成によって生じた結晶粒が変形構造によって取り囲まれおりかつ部分再結晶された構造の断面積に対してこれらの結晶粒が5〜90%の範囲の面積割合を成している構造のことである。粒再形成によって生じた結晶粒の面積割合が5%以下の範囲にあるか、又は粒再形成によって生じた結晶粒が構造内に全く存在しない場合、これに関しては、再結晶されていない構造から出発する。面積割合が90%を上回る場合、これに関しては、完全再結晶された構造から出発する。面積割合を決定するのに適した可能な測定方法は、以下において図4A乃至4Bの説明に関連して後述する。
本発明によるX線回転陽極は、特に、高い放射パワー(もしくは線量率)および高い回転速度のために設計されている高パワーX線回転陽極である。このような高パワーX線回転陽極は、特に、例えばコンピュータトモグラフィ(CT)および心臓血管応用(CV)のような医療分野において使用される。一般に、支持体、特に焦点軌道とは反対側の支持体面には、なおも別の層、連結部分(例えばグラファイト体等)等々が設けられるとよい。高パワーX線回転陽極の場合、一般に支持体の付加的な放熱が必要である。特に、本発明によるX線回転陽極は能動的冷却用に設計されている。この場合には、支持体に直接に境を接して又は支持体近傍内に、特にX線回転陽極の中心を貫通して(例えば回転対称軸に沿って延びる通路を通して)支持体の熱排出に役立つ流体が案内される。代替として、X線回転陽極の蓄熱容量を高めるために、そして放熱を高めるために、支持体の裏側にグラファイト体を(例えば、ろう付け、拡散接合等によって)取り付けるとよい。しかし、代替として、X線回転陽極を比較的低い放射パワー用に設計してもよい。この場合、事情によっては、能動的冷却およびグラファイトブロックを省略してもよい。
モリブデン基合金とは、特に、モリブデンを主成分として、即ち(重量パーセントで測定して)他の含有元素のそれぞれの割合よりも高い割合で有する合金のことである。支持体材料としては、特に、高い強度および硬度を有する特殊合金を使用してもよいし、および/または強度を高めるためにそれぞれの支持体材料に原子不純物又は粒子を添加してもよい。実施形態によれば、モリブデン基合金が、少なくとも80(重量%)のモリブデン、特に少なくとも98重量%のモリブデンを有する。タングステン基合金とは、特に、タングステンを主成分として有する合金のことである。特に、焦点軌道は、26重量%までのレニウム割合を有するタングステン・レニウム合金から成る。特に、レニウム割合は5〜10重量%の範囲にある。焦点軌道および支持体のこれらの上述の組成の場合に、特にそれぞれ上述の狭い方の範囲の場合に、硬度、耐熱性および熱伝導に関して良好な特性を得ることができる。
「最終的に熱処理されたX線回転陽極」とは、粉末冶金法による製造時に実施される全ての熱処理を終了したX線回転陽極のことである。必要とされる特徴は(そして従属請求項および変形例に関して後述する特徴も)、特に、粉末冶金法による製造時に実施される熱処理の終了後に存在するような(未使用の)完成品に関係する。支持体および焦点軌道を複合体として粉末冶金法により製造することは、完成品において、とりわけ支持体と焦点軌道との間の明確な拡散領域において認識できる。例えばCVD法(CVD:chemical vapour deposition、化学蒸着)又は真空プラズマ溶射法による焦点軌道の形成におけるような代わりの製造方法の場合には、拡散領域が典型的に小さく形成されているか、又は殆ど存在しない。焦点軌道の「部分」は、特に、焦点軌道の巨視的な関連部分(即ち、多数の粒界および/または粒界部分を含む)に関係する。この場合に、必要とされる特性を有するこのような複数の部分も存在し得る。特に、電子ビームの軌道が延在している焦点軌道の部分は、必要とされる特性を有する。特に、焦点軌道はそれの全範囲にわたって必要とされる特性を有する。再結晶されていない構造および/または部分再結晶された構造は、まさしく再結晶され得なかった構造、まさしく部分再結晶され得た構造、又は部分的に再結晶され得なかった構造および部分的に部分再結晶され得た構造に関係する。
一実施形態によれば、焦点軌道面に対して垂直な焦点軌道の部分が、X線回析(XRD:X-ray Diffraction)により決定することができる4以上の集合組織係数TC(222)を持つ<111>方向の優先集合組織と、X線回析により決定することができる5以上の集合組織係数TC(200)を持つ<001>方向の優先集合組織とを有する(ただし、
Figure 2014506711
であり、この式において、I(hkl)はピーク(hkl)の測定された強度、I0 (hkl)はJCPDSデータバンクによるピーク(hkl)の集合組織のない強度、nは評価されたピークの個数であり、次のピーク、即ち(110),(200),(211),(220),(310),(222)および(321)が評価された)。従って、焦点軌道において、<111>方向および<001>方向は、焦点軌道面に対して平行な方向に沿ってよりも強く焦点軌道面の垂線に沿って配向されている。その際に「焦点軌道面」は焦点軌道の主広がり面によって決定される。焦点軌道面が湾曲している場合には(例えば、円錐台状に広がっている焦点軌道の場合である)、焦点軌道のその都度の測定点又は基準点に存在する焦点軌道の主広がり面が用いられる。
上述のように、焦点軌道面に対して垂直な<111>方向および<001>方向の優先集合組織は、鍛造工程によって調整され、焦点軌道の再結晶度が増大するにつれて減少する。更に、再結晶度は、(鍛造時および/または鍛造後の)熱処理の温度上昇および時間増加にともなって増大する。従って、上述の集合組織係数は焦点軌道の再結晶度のための尺度でもある。特に、焦点軌道の再結晶度が低いほど、この方向の集合組織係数が高くなる。この実施形態に従って指定された集合組織係数の範囲内において、焦点軌道の部分は、再結晶されていない構造で存在するか、又は比較的低い再結晶度を有する部分再結晶された構造で存在する。この範囲内では焦点軌道の上述の有利な特性(高い硬度、粒の細かさ)が得られ、これらの有利な特性は更に高い集合組織係数において更に強く現れることが確認された。一実施形態によれば、焦点軌道面に対して垂直方向の焦点軌道の部分は、5以上の集合組織係数TC(222)および/または6以上の集合組織係数TC(200)を有する。変形度が低い(例えば、X線回転陽極の(全)変形度の20%〜30%の範囲でしかない)場合には、上述の優先集合組織も、より少ない強さで際立つ。一実施形態によれば、焦点軌道面に対して垂直な焦点軌道の部分が3.3以上の集合組織係数TC(222)および/または4以上の集合組織係数TC(200)を有し、この低い限界値の範囲は特に比較的低い変形度の場合に近似される。
タングステンおよびタングステン基合金は、立方体の内部中心に置かれた結晶構造を有する。角括弧記号<・・・>内の方向データはそれぞれ等価な方向も関係する。例えば<001>方向は、[001]方向のほかに、方向[001-](1-は1の上にバー”−”が付されている表示を表す)、[010]、[002]、[200]、[100]も含む(それぞれ立方体の内部中心に置かれた単位格子に対して)。丸括弧記号(・・・)により、それぞれ格子面が表示される。XRD測定の際に評価されるピークは、それぞれ付属の格子面(例えば、(222))により表示される。ここでも、専門分野において知られているように、XRD測定の際に評価可能な格子面(222)に対するピークは、それと等価な格子面(例えば(111)等)によっても重みづけされることを考慮すべきである。従って、XRD測定により決定されたピーク(222)の強度および特にそれから求められた集合組織係数TC(222)は、(焦点軌道面に対して垂直な)<111>方向の優先集合組織の尺度である。同様に、XRD測定により決定されたピーク(200)の強度および特にそれから求められた集合組織係数TC(200)は、<001>方向の優先集合組織の尺度である。
集合組織係数は、それぞれ、次の式、即ち、
Figure 2014506711
に従って算定され、例えば、TC(222)については、
Figure 2014506711
に従って算定された。但し、I(hkl)は、集合組織係数TC(hkl)を決定されるべき該当ピーク(hkl)のXRD測定により決定された強度を表す。1つのピーク(hkl)の「決定された強度」としては、それぞれ、XRD測定の際に検出された当該ピーク(hkl)の最大値を使用することができる。各集合組織係数TC(hkl)を決定する際に、Ij(hkl)のj=1〜nにわたる合計に、後続のXRD測定により決定されたピーク(110)、(200)、(211)、(220)、(310)、(222)、および(321)の強度が加算される(即ち、ここでは:n=7)。I0 (hkl)は、集合組織係数TC(hkl)を決定されるべき該当ピーク(hkl)の(通常は正規化された)集合組織のない強度を表す。この集合組織のない強度は、該当材料が全く集合組織を持たないときに生じる。同様に、I0 (hkl)のj=1〜nにわたる合計に、これらの7つのピークの集合組織のない強度が加算される。各ピークでの集合組織のない強度はデータバンクから得ることができ、それぞれ該当材料の主成分に対するデータが用いられる。従って、ここでは焦点軌道のために、タングステン(JCPDS-No.00-004-0806)についての「Powder Diffraction File」(粉末X線回析測定データ)を使用した。特に、ピーク(110)について集合組織のない強度100、ピーク(200)について集合組織のない強度15、ピーク(211)について集合組織のない強度23、ピーク(220)について集合組織のない強度8、ピーク(310)について集合組織のない強度11、ピーク(222)について集合組織のない強度4、そしてピーク(321)について集合組織のない強度18を使用した。
次に、X線回析により種々のピークの強度を決定するためにここで使用された試料準備および測定方法を説明する。先ず、焦点軌道は、鍛造ゾーンの領域(鍛造工程において鍛造工具と直接に接触した、又は鍛造工具に対して直ぐ近くにあった焦点軌道の上部領域)が、完成されたX線回転陽極において完全に除去されなかった場合に、除去されるように研磨される。特に、焦点軌道面に対して平行方向の研磨面を有する焦点軌道は、(焦点軌道の出発厚さに応じて)0.1〜0.5mmの残存厚さに研磨される。続いて、得られた研磨面が何度も、少なくとも2度、(研磨工程に伴う変形構造を除去するために)電解研磨される。XRD測定の実施中に試料は回転されて、約10mmの直径を有する面にわたって回析を励起させられた。XRD測定を実施するために、θ2−θ回析ジオメトリが使用される。ここでは回析させられた強度が概観撮影において0.020°のステップ幅でかつ測定角度ごとにそれぞれ2秒の測定時間で測定された。X線として1.5406Åの波長を有するCu−Kα1放射が使用された。付加的に存在するCu−Kα2放射によって得られた撮影内に生じる付加的な効果が、相応のソフトウェアによって強調された。それに続いて、上述の7つのピークに対するピーク最大値が決定される。ここではXRD測定が、θ2−θ回析ジオメトリ、ゲーベルミラーおよびゾル−X−検出器(Sol-X-Detektor)を有するブルカー・エイエックスエス(Brucker axs)社製のブラッグ−ブレンターノ型回析計「D4 Endeaver」を用いて実施された。しかし、専門分野において知られているように、同等の結果が得られる相応の調整を有するその他の装置も使用することができる。
モリブデンおよびモリブデン基合金は、同様に立方体の内部中心に置かれた結晶構造を有する。従って、既に焦点軌道に関して説明した表記法、集合組織係数の決定式、試料準備ならびに測定方法が相応に適用可能である。試料準備の際にX線回転陽極が既述の方法と違って支持体材料まで研磨され、研磨面は焦点軌道面に対して平行である。支持体における集合組織のない強度については、モリブデン(JCPDS-No.00-042-1120)についての「Powder Diffraction File」(粉末X線回析測定データ)を使用した。特に、ピーク(110)については集合組織のない強度100、ピーク(200)については集合組織のない強度16、ピーク(211)については集合組織のない強度31、ピーク(220)については集合組織のない強度9、ピーク(310)については集合組織のない強度14、ピーク(222)については集合組織のない強度3、ピーク(321)については集合組織のない強度24を使用した。
一実施形態によれば、焦点軌道面に対して垂直方向の焦点軌道の部分において、X線回析により決定可能な集合組織係数TC(222)およびTC(310)の次の関係が満たされている。
Figure 2014506711
この比によって、どれほど強くピーク(222)が広がっているか、もしくは滑らかになっているかが表される。ピーク(222)が強く滑らかにされている場合には、それによって(隣接する)ピーク(310)の強さも高められ、それにともなってその比の値が減らされる。従って、その比が大きいほど、ピーク(222)がより少ない強さで滑らかにされることが当てはまる。焦点軌道の部分が再結晶されていない構造および/または部分再結晶された構造で存在する本発明によるX線回転陽極の場合には、この比が、従来において粉末冶金法により複合体として製造されたX線回転陽極の場合よりも明らかに高いことが確認された。特に、この比は再結晶度の増大にともなって減少する。従って、この比は焦点軌道を表す量であり、この比のより高い値では焦点軌道の上述の好ましい特性(粒の細かさ、僅かな粗さ)が格別に存在する。特にこれは7以上の比である。しかし、変形度が低い場合、この比は5よりも低い値を有し得る。特に、この比は4以上又は3.5以上であり、これらの低い限界値の範囲は、特に、低い変形度(例えば20〜30%の範囲の(全)変形度)を有するX線回転陽極の場合に達成される。それにも拘らず、これらの低い限界値も、従来において粉末冶金法により複合体として製造されたX線回転陽極の場合よりも高い。
一実施形態によれば、焦点軌道の部分が350HV30以上の硬度を有する。既に説明したように、このように高い硬度は、特に、使用期間にわたる焦点軌道の粗さおよび/または変形の回避に関して有利である。この説明の際に行う硬度データは、DIN ISO 6507-1による硬度決定に関係する。特に、2秒の負荷時間(DIN EN ISO 6507-1によれば、2〜8秒)と、10秒の作用期間もしくは荷重保持時間(DIN EN ISO 6507-1によれば、10〜15秒)を用いるとよい。この負荷時間および作用期間は、特にモリブデンおよびモリブデン基合金の場合、得られる測定値に影響を及ぼす。硬度測定(焦点軌道の場合にも支持体の場合にも)、特に、焦点軌道面に対して垂直に向いた半径方向のX線回転陽極断面において実施される。
一実施形態によれば、焦点軌道の部分が完全に部分再結晶された構造で存在する。特に焦点軌道全体が完全に部分再結晶された構造で存在する。一実施形態によれば、部分再結晶された構造内で粒再形成によって生じた結晶粒が変形構造によって取り囲まれ、部分再結晶された構造の断面積に対して、これらの結晶粒が10%〜80%の範囲、特に20%〜60%の範囲の面積割合を有する。これらの範囲内、特に狭い方の範囲内において、表面状態および線量効率に関して、また長い使用期間に関しても、焦点軌道の良好な特性を達成することができた。指定された値範囲のために適用可能な面積割合の決定方法は図に基づいて説明する(特に、図4A〜4Dに対する説明を参照されたい)。上述の実施形態に対する代替として、焦点軌道の部分又は場合によっては焦点軌道の全体が再結晶されていない構造で存在してもよい。他の実施形態によれば、一般に(部分が部分再結晶された構造および/または再結晶されていない構造で存在するかどうかに関係なく)、(粒再形成によって生じた結晶粒の)面積割合は80%以下、特に60%以下である。
一実施形態によれば、焦点軌道の部分が10μm以下の平均小傾角粒界間隔を有する。平均小傾角粒界間隔は、焦点軌道の部分の範囲内における焦点軌道面に対して垂直に向いた半径方向の断面において粒界、粒界部分および5°以上の粒界角度を有する小傾角粒界が決定される測定方法によって決定可能であり、焦点軌道面に対して平行方向の平均小傾角粒界間隔を決定するために、それによって得られる粒界パターンの中へ、互いに17.2μmの間隔をそれぞれ有し焦点軌道面に対してそれぞれ平行に延びる複数の線から成り前記断面に対して平行に延びる線群が置かれ、個々の線において各線と粒界パターンの線との互いに隣接するそれぞれ2つずつの交点の間の間隔がそれぞれ決定され、これらの間隔の平均値が焦点軌道面に対して平行方向の平均小傾角粒界間隔として決定され、焦点軌道面に対して垂直方向の平均小傾角粒界間隔を決定するために、得られる粒界パターンの中へ、互いに17.2μmの間隔をそれぞれ有し焦点軌道面に対してそれぞれ垂直に延びる複数の線から成り断面に対して平行に延びる線群が置かれ、個々の線において各線と粒界パターンの線との互いに隣接するそれぞれ2つずつの交点の間の間隔がそれぞれ決定され、これらの間隔の平均値が焦点軌道面に対して垂直方向の平均小傾角粒界間隔として決定され、平均小傾角粒界間隔が、焦点軌道面に対して平行方向の平均小傾角粒界間隔と、焦点軌道面に対して垂直方向の平均小傾角粒界間隔との幾何学的平均値として決定される。この測定方法を実施するための詳細は図4A〜4Dの説明において示す。10μm以下の平均小傾角粒界間隔を有するこのような微細粒構造は、特に焦点軌道表面の粗さの回避に関して有利である。構造のこの粒の細かさはまたもや変形度に関係する。従って、特にX線回転陽極の高い変形度において、小さい平均小傾角粒界間隔を達成することができる。特に、一実施形態による平均小傾角粒界間隔は5μm以下である。X線回転陽極の小さい変形度の場合、その小傾角粒界間隔は若干大きい。特に、それは一実施形態によれば15μmであり、この大きい限界値自体は、従来において粉末冶金法により複合体として製造されたX線回転陽極において対応する値よりも小さい。
サブ構造が存在するか否か、そしてサブ構造がどの程度存在するかに関する特性量は、平均(大傾角)粒界間隔(即ち、15°以上の粒界角度)と平均(小傾角)粒界間隔(即ち、5°以上の粒界角度)との比である。この比が大きいほど再結晶度が減少する。一実施形態によれば、この比は1.2以上である。特に、この比は1.5以上であり、更に好ましくは2以上である。
一実施形態によれば、焦点軌道の部分が焦点軌道面に対して平行方向に<101>方向の優先集合組織を有する。焦点軌道の再結晶度が低いほど、焦点軌道面に対して平行なこの方向における<101>方向の優先集合組織が高い。焦点軌道面に対して平行な方向における<101>方向の優先集合組織と、<111>方向および<001>方向の優先集合組織との相対的な比は、EBSD解析(EBSD:Electron Backscatter Diffraction、後方散乱電子回析)により推定することができる。EBSD解析により、優先集合組織および対応するEBSD集合組織係数を、焦点軌道面に対して平行方向においても焦点軌道面に対して垂直方向においても決定することができ、このためには試料面(例えば、図3に示されているような断面)のみを検査すればよい。試料準備および測定方法は全体的に図4A〜4Dを参照して説明し、EBSD集合組織係数を決定するための詳細(特に、測定の厳密な処理)に立ち入ることはしない。EBSD集合組織係数の厳密な決定方法の説明なしにも、異なるEBSD集合組織係数の比較から、異なる方向(焦点軌道面に対して垂直方向および平行方向)における優先集合組織の際立ち(明確さ)に関する情報を得ることができる。本発明による試料では、焦点軌道面に対して垂直な方向において、<111>方向について5.5のEBSD集合組織係数を、そして<001>方向について5.5のEBSD集合組織係数を決定した。焦点軌道面に対して平行な方向において、本発明による試料では、半径方向(RD)において<110>方向について2.5のEBSD集合組織係数を、そして接線方向(TD)において<110>方向について2.2のEBSD集合組織係数を決定した。従って、焦点軌道面に対して平行な方向における<110>方向(もしくは<101>方向)の優先集合組織が、焦点軌道面に対して垂直な<111>方向および<001>方向の集合組織の半分も際立っていないことを確認できた(これは、他の試料に基づいて正しいことを確認した)。
一実施形態によれば、焦点軌道が(焦点軌道面に対して垂直方向に測って)0.5mm〜1.5mmの範囲の厚さを有する。使用中に、特に約1mmの範囲の厚さが実証された。一実施形態によれば、焦点軌道および/または支持体が(理論的な厚さに対して相対的に)96%以上、特に98%以上の相対厚さを有し、これは、特に材料特性および熱伝導に関して有利である。厚さ測定は特にDIN ISO 3369に従って行われた。
一実施形態によれば、(最終的に熱処理されたX線回転陽極において)支持体の少なくとも一部分が、再結晶されていない構造および/または部分再結晶された構造で存在する。これらの特徴を有する支持体は、再結晶された構造を有する支持体に比べて、特に高い機械的負荷時に巨視的な変形に対する高い安定性を有することが分かった。このような支持体は、能動冷却に基づいて支持体(又は支持体の少なくとも大部分)の温度が再結晶限界以下の範囲に保つことができる能動冷却式のX線回転陽極の場合に格別に好適である。更に、このような支持体は低い放射パワー範囲(いわゆる中域範囲および低域範囲)にも非常に好適である。支持体の裏面にグラファイト体が取り付けなければならない場合には、支持体の再結晶限界を上回る支持体(又は支持体の部分)の温度上昇が回避されるように、グラファイト体が(例えば拡散接合によって)取り付けられると好ましい。本発明に従って焦点軌道が少なくとも部分的に再結晶されていない構造および/または部分再結晶された構造で存在することによって、支持体も、粉末冶金法による製造時に、複合体としてコスト的に良好にかつ簡単に、再結晶されていない構造および/または部分再結晶された構造で製造することができる。一実施形態によれば、支持体の部分が230HV10以上、特に260HV10以上の硬度を有する。これらの範囲は巨視的な変形に対する支持体の高い安定性に関して有利であり、より高い硬度の範囲において格別に高い安定性がもたらされる。
焦点軌道に関する上述の説明に対応して、支持体の場合にも(支持体の特定組成において)硬度、変形度、再結晶度、延性の相互関連性が存在する。この相互関連性から、専門家にとっては、支持体のそれぞれの組成において、支持体に関して挙げられた特徴を支持体の少なくとも一部において得るために、どのようにして粉末冶金法による製造のパラメータ(特に、鍛造中の温度、鍛造工程時の変形度、熱処理中の温度、熱処理の期間)を選定しなければならないかということが明らかになる。支持体の「部分」は、特に支持体の巨視的な関連部分(即ち、多数の粒界および/または粒界部分を含む)に関係する。要求された特性を有する複数のこのような部分も存在し得る。特に、支持体はそれの全範囲にわたってそれぞれ要求された特性を有する。
この実施形態の他の利点は、支持体のために典型的な材料および材料組合せを使用できることにあり、このことは、特に製造費用およびコストに関して有利である。支持体の硬度および強度を高めるために、特殊合金の使用および/または支持体材料への原子不純物又は粒子の添加は必要でない。一実施形態によれば、支持体がモリブデン基合金から成り、その他の合金成分が(例えば酸素による不純物を除いて)、Ti(Ti:チタン),Zr(Zr:ジルコニウム),Hf(Hf:ハフニウム)のグループの少なくとも1つの元素と、C(C:炭素),N(N:窒素)のグループの少なくとも1つの元素とによって構成されている。酸素成分は基本的にできるだけ少なくすべきである。一実施形態によれば、支持体材料は、規格ASTMB387−90において粉末冶金法による製造用に挙げられているTZMと呼ばれるモリブデン合金によって構成されている。TZM合金は、特に0.40〜0.55重量%のTi成分(Ti:チタン)、0.06〜0.12重量%のZr成分(Zr:ジルコニウム)、0.010〜0.040重量%のC成分(C:炭素)、0.03重量%以下のO成分(O:酸素)、および(不純物を除く)残り成分Mo(Mo:モリブデン)を有する。一実施形態によれば、支持体材料はモリブデン合金によって構成され、このモリブデン合金は、1.0〜1.3重量%のHf成分(Hf:ハフニウム)、0.05〜0.12重量%のC成分、0.06重量%以下のO成分、および(不純物を除く)残り成分Moを有する(この合金は一部ではMHCとも呼ばれる)。両組成では酸素が不純物をなし、酸素の成分はできるだけ低くすべきである。上述の組成は、良好な熱伝導が実証され、そして製造中の処理が非常に良好であった。
一実施形態によれば、焦点軌道面に対して垂直方向の支持体の部分が<111>方向および<001>方向の優先集合組織を有する。一実施形態によれば、支持体の部分が焦点軌道面に対して平行な方向において<101>方向の優先集合組織を有する。上述の優先集合組織は、既に焦点軌道に関して説明したように鍛造工程において相応に調整される。優先集合組織は再結晶度の増大にともなって再び減少する。この関係から、ここでも専門家にとっては、(すでに焦点軌道に関して説明したようのと同様に)、上述の優先集合組織を支持体の少なくとも一部分において得るために、支持体のそれぞれの組成において粉末冶金法による製造のパラメータをどのように選定しなければならないかということが明らかになる。一実施形態によれば、焦点軌道面に対して垂直方向の支持体の部分が、X線回析により決定可能な5以上の集合組織係数TC(222)を持つ<111>方向の優先集合組織と、X線回析により決定可能な5以上の集合組織係数TC(200)を持つ<001>方向の優先集合組織とを有する。一実施形態によれば、これらの集合組織係数TC(222)およびTC(200)がそれぞれ少なくとも4以上である(この低い限界値を上回る範囲は、特に低い変形度において達成することができる)。支持体の高い硬度および安定性に関しては、低い再結晶度が有利であり、従って優先集合組織の高い際立ちが有利である。従って、一実施形態によれば、集合組織係数TC(222)およびTC(200)がそれぞれ少なくとも5.5以上である。
鍛造工程の際に焦点軌道面に対してほぼ垂直方向の力作用が生じる。製造プロセス中においてこの力作用の方向は一般にX線回転陽極の(将来の)回転対称軸に対してほぼ平行である。焦点軌道面がほぼ平らに形成されている場合には、この対称性が維持されたままである。これに対して焦点軌道面が平らでなく、例えば円錐台状に形成されている場合には(図3参照)、一般に鍛造工程後に、又は鍛造工程の際に、外側の取り巻いている部分が所望の角度(例えば8°〜12°の範囲内)だけ折り曲げられる。その際に焦点軌道および支持体の鍛造工程中に調整された集合組織は維持されたままである。従って、支持体の集合組織に関しては、更に焦点軌道面(もしくは焦点軌道と支持体との間の境界面)が関係する。斜めに曲げられた焦点軌道の場合における上述の形状変化に基づいて、中央領域における支持体の集合組織が僅かに相違する(中央領域においては、厳密に言えば焦点軌道面に代わって、回転対称軸に対して垂直に向いた平面が重要である)。
一実施形態によれば、支持体部分が室温において2.5%以上の伸び率を有する。特に、支持体部分が室温において5%以上の伸び率を有する。その伸び率では、更に支持体の再結晶度が増すにつれて、室温での支持体の延性および伸び率が増す。この関係に基づいて、専門家は粉末冶金法による製造のパラメータ(特に、1つ又は複数の熱処理の期間および温度)を適切に選定することができ、それによってそれぞれにおける伸び率の値範囲達成することができる。伸び率の指定に付属した測定方法は、DIN EN ISO 6892-1に従って実施することができ、それぞれ支持体内で半径方向に走る試料が測定試料として使用される。特にDIN EN ISO 6892-1に記載された応力速度基方法Bを適用することができる。
更に、本発明は、場合によっては1つ又は複数の上述の実施形態および/または変形例に従って構成することができる本発明によるX線回転陽極を、X線の発生のためにX線管に使用することに関する。
更に、本発明は、場合によっては1つ又は複数の上述の実施形態および/または変形例に従って構成することができる本発明によるX線回転陽極の製造方法に関する。この方法は次のステップ、即ち、
A)適切な出発粉末のプレスおよび焼結によって複合体として製造され、モリブデン又はモリブデン基混合物からなる支持体部分と、その支持体部分の上に形成されたタングステン又はタングステン基混合物からなる焦点軌道部分とを有する出発物体を準備するステップと、
B)その物体を鍛造するステップと、
C)その鍛造ステップの際に又は鍛造ステップ後にその物体の熱処理を行うステップと、を有し、
最終的に熱処理されたX線回転陽極において前記焦点軌道部分から得られる焦点軌道の少なくとも一部分が再結晶されていない構造および/または部分再結晶された構造で存在するように低い温度でかつ当該構造で存在するような期間にわたって前記熱処理が行われる。プレスおよび焼結は、密度の高い均一な焼結体(以下において、物体ともいう)が得られる(これは専門分野において知られているとりである)。焼結体は、特に、(理論的密度に対して)94%以上の相対密度を有する。本発明による上述のX線回転陽極は、特に上述の製造方法によって入手可能である。この方法は、更に別のステップを有する。特に鍛造のステップおよび熱処理のステップは何度も相次いで行われてよい。最後の熱処理は特に真空内で行われるとよい。一実施形態によれば、鍛造が、材料の変形抵抗を十分に下げるために、高められた温度で行われ、鍛造工程に続いて付加的に熱処理(応力低減焼きなまし)が実施される。
一実施形態によれば、(鍛造中および/または鍛造工程の後に続く熱処理時の)熱処理が、焦点軌道の再結晶温度以下の温度、特に焦点軌道の再結晶限界の範囲内の温度で行われる。一実施形態によれば、(鍛造中および/または鍛造工程の後に続く熱処理時の)熱処理が、支持体の再結晶温度以下の温度、特に支持体の再結晶限界の範囲内の温度で行われる。再結晶温度は、とりわけそれぞれの(材料)組成およびそれぞれの材料の変形度に関係する。変形度が高いほど、再結晶温度が低くなる。X線回転陽極の形状に応じて、異なる変形度の範囲も存在し得る。一実施形態によれば、熱処理が1,500℃以下、特に1,300−1,500℃の範囲の温度で行われる。これらの温度は、特に、TZMからなる支持体又は上述のMo,Hf,CおよびOからなる具体的な組成からなる支持体の場合に、焦点軌道においても支持体においても所望の特性を得るのに適している。鍛造工程後に実施される熱処理の期間は、特にほんの少しの時間、例えば1〜5時間の範囲である。
一実施形態によれば、鍛造物体が鍛造終了後に2少なくとも20%、特に20%〜60%の範囲の変形度を有する。しかし、80%までの変形度も可能である。鍛造時の力作用は、特に焦点軌道面に対して正確に又はほぼ垂直に向けられているX線回転陽極の回転対称軸に対して平行に生じる。(力作用方向に沿った)各物体の出発高さに対する、力作用方向に対して平行に得られる各物体の相対的な高さ変化から成る比が、変形度と呼ばれる。
以下において、添付図面を参照する実施例の説明に基づいて、本発明の他の利点および有効性を明らかにする。
図1A乃至1Cは異なる再結晶度の具体例を示すための概略図である。 図2は熱処理の温度に関係した硬度の推移の具体例を示すための概略図である。 図3はX線回転陽極の概略断面図である。 図4A乃至4DはEBSD解析の具体例を示すための概略図である。 図5A乃至5Cは異なった方向に沿った本発明によるX線回転陽極の焦点軌道の逆極点図である。 図6はCVDにより形成された焦点軌道の逆極点図である。 図7は真空プラズマ溶射によって形成された焦点軌道の逆極点図である。
図1A〜1Cおよび図2の以下の説明は、再結晶されていない構造と、部分再結晶された構造と、(完全に)再結晶された構造とを互いに区別する基準を示す。更に、これらの図に基づいて、再結晶度を定めるパラメータを説明する。これらの説明は、焦点軌道に関しても支持体に関しても当てはまる。図1A〜1Cには、例えば適切に準備された研磨面の電子顕微鏡撮影時に、特にEBSD解析(EBSD:Electron Backscatter Diffraction、後方散乱電子回析)の際に表示可能であるような(非常に拡大された)構造が概略的に示されている。図4A〜4Dを参照して、適切な試料準備方法、適切な測定装置および適切な測定方法を説明する。専門分野において知られているように、粒界もしくは粒界部分(ならびに場合によっては小傾角粒界も)および転位を、このような電子顕微鏡撮影で可視化することができる。このために最小回転角度が指定され、その角度の到達から粒界が描かれる。図1A〜1Cでは(図1Bにおいて分離して示された部分図を除いて)15°の最小回転角度を指定したことから出発するので、大傾角粒界(もしくは粒界部分)の経過が目に見える。図2には、粉末冶金による製造の際に鍛造工程後に得られる初期硬度AHから出発して(変形構造の初期硬度AH)、例えば1時間という時間の如く予め定められた時間tにわたって行われる後続の熱処理(応力緩和焼鈍)の温度Tに対する硬度の推移が示されている。熱処理が、もっと長い予め定められた時間にわたって行われる場合には図2に示された段部がむしろ左側へ(即ち、低い温度の方へ)ずれ、これに対してもっと短い時間の場合にはむしろ右側へ(即ち、高い温度の方へ)ずれる。
図1Aには、例えば、(粉末冶金法による製造の際に行われる)鍛造工程後に得られるような純粋の変形構造が示されている。専門分野において知られているように、このような変形構造は、相応の結晶粒を取り巻く明確な粒界を持っていない。むしろ、それぞれ開放始端および/または開放終端を有する粒界部分2しか認識できない。部分的に、(鍛造工程中の変形度に応じて)焼結体の元の粒の粒界の部分をなおも認識することができる。更に、変形(鍛造工程)によって、図1Aおよび1Bにおいて記号“⊥”によって示されている転位4と、新たな粒界部分2とが形成されている。焼結体の元の粒は、これらの粒がなおも認識可能であるかぎり、変形に基づいて強く押し潰されて歪められている。更に、変形構造は、各研磨面のEBSD解析の際にもっと小さい最小回転角度を設定する場合に可視化できるサブ構造を有する。以下に、図1Bを参照して変形構造のサブ構造を説明する。変形度の増大にともなって、(焼結体の粒の)元の粒界は部分的に消え、又はそれどころか完全に消える。変形構造のこれらの典型的な特徴の強さおよび頻度は、とりわけ(材料の)組成および変形度に関係する。特に、変形度の増大にともなって、ますます小傾角粒界部分が発生し、大傾角粒界部分の頻度も増大することを考慮すべきである。一様な組織の場合に規則的にASTM規格E112−96に従って行われる平均粒界の決定は、(少なくとも15°の最小回転角度においては)粒界部分しか認識できないために不可能である。
変形構造においては、一般に、温度上昇にともなって増加する回復過程が進行する。例えば転位の消滅および/または整列を認識できるこのような回復過程にとって、活性化エネルギーは必要でない。これらの回復過程は硬度の減少をもたらす。この回復過程の範囲EH(図2におけるT1までの範囲)では硬度が温度上昇にともなって連続的に減少し、この範囲EHでの勾配は比較的平らである(図2参照)。特定の温度T1から再結晶時の粒再形成に必要な活性エネルギーが形成される。この温度T1は、とりわけ変形構造の組成および変形度に関係すると共に、その都度実施される熱処理の期間に関係する。再結晶が生じると、(先ず)部分再結晶された構造が生じる。図1Bには部分再結晶された構造が示され、これは粒再形成によって生じた幾つかの結晶粒6を有する。結晶粒(もしくはクリスタリット)6はそれぞれ取り巻いている粒界8を有し、これらの粒界8は、例えば、特にEBSD解析(EBSD:Electron Backscatter Diffraction、後方散乱電子回析)の際に適切に準備された研磨面の電子顕微鏡撮影で表示可能である。更に、部分再結晶された構造の残りの部分(つまり結晶粒6の周りを囲んでいる部分)が変形構造内に存在する。粒再形成に基づいて、ならびに部分的に回復過程に基づいて、変形構造内に発生する転位4がますます消滅する。
既に説明したように、変形構造の他の特徴は変形構造がサブ構造を有することにある。このようなサブ構造は、例えば5°の最小回転角度(又は必要ならば更に小さい角度)のような小さい最小回転角度を指定することによって、可視化することができる。このようにして、大傾角粒界(粒界部分2および周りを囲んでいる粒界8)のほかにさらに、サブ構造を成す小傾角粒界9も認識することができる。このことが図1Bの下側のボックス内に示されており、このボックス内には上側のボックス内に示されている構造の一部が拡大表示されている。サブ構造の小傾角粒界9はこの図に細線で示されている。この図により明らかのように、粒界部分2の大傾角粒界に部分的になおも小傾角粒界9が続いている。その場合に粒再形成によって生じた結晶粒6にはサブ構造がない。本発明によるX線回転陽極では、変形構造のサブ構造9が特に微細粒で形成されている。
熱処理の温度に(また時間にも)ともなって増える再結晶がますます起きるにつれて、硬度が激しく減少する(図2参照)。図2において、温度T1から、その前ではなだらかに下降するグラフが急峻に下降する勾配に移行する。なだらかに下降するグラフ部分と急峻に下降するグラフ部分との間の移行範囲、特に最高曲率を有する点が、再結晶限界RKSとして示されている(図2参照)。再結晶度が増すにつれて、粒再形成によって既に生じていた結晶粒が大きくなり、粒再形成によって他の結晶粒および変形構造がますます消滅する。特に、変形構造は、粒再形成によって生じた結晶粒により、ますます「やつれ果てる」。再結晶度が更に増すにともなって、粒再形成によって生じた結晶粒の粒界が互いにぶつかり、最終的に(少なくとも十分に)残る中間空間が更に埋められる。この段階で結晶成長が再び遅くなり、図2においてグラフの勾配がなだらかになる。再結晶が99°まで終了した状態、特に粒再形成によって生じた結晶粒が、構造断面積に対して99%の面積割合を有する状態に到達する。図2においてT2に対応する再結晶温度は、(図2において熱処理の期間が1時間であるとすると)1時間の熱処理後に、この再結晶温度で再結晶が99%まで終了するように定められる。温度T1から始まって再結晶温度T2まで及ぶ範囲RKは、この範囲内で再結晶過程の大部分が進行することから、再結晶範囲と呼ばれる。最後にはグラフは範囲EBに移行し、この範囲EBにおいてグラフはもはや下降しないか、又はなおも非常になだらかに下降する。この範囲においてなおも粒成長が生じるが、しかし再結晶は行われないか、又は非常に僅かな程度(特に、構造の残りの1%程度)でのみなおも再結晶が行われる。
図1Cは理想的な完全再結晶された構造を示す。粒界は粒再形成によって生じた結晶粒に直接に互いに隣接する。元の変形構造が完全に全部消滅している。図1Cには完全再結晶された構造の「理想状態」が示されている。というのは、粒界のそれぞれが全ての広がり方向に沿って互いに隣接しているからである。
図3には、回転対称軸12に対して回転対称に形成されているX線回転陽極10の構成が概略的に示されている。X線回転陽極10は、相応の回転軸上に取り付け可能な皿状の支持体14を有する。上面側では支持体14上にリング状の焦点軌道16が形成されており、この焦点軌道16は、図示の実施形態では(扁平の円錐の)円錐台形状を有する。焦点軌道16は、支持体14のうち少なくとも、電子ビームの使用時に消耗される領域を覆っている。一般に焦点軌道16は電子ビームの軌道領域よりも広い該支持体14の領域を覆っている。X線回転陽極10の外形および構造は、専門分野において知られているように、図示のX線回転陽極と相違する。図3により明らかであるように、再結晶されていない構造および/または部分再結晶された構造の(巨視的な)割合は、(焦点軌道においても支持体においても)一般に、半径方向の(即ち、回転対称軸12を通り)かつ焦点軌道面に対して垂直に延在する断面を次の点に関して検査することによって確定することができる。即ち、どの領域が再結晶されていない構造および/または部分再結晶された構造で存在しているかという点に関して検査することである。
次に、図4A〜4Dを参照しながら走査型電子顕微鏡により実施可能なEBSD解析(EBSD:Electron Backscatter Diffraction、後方散乱電子回析)を説明する。このようなEBSD解析では、顕微鏡面上でそれぞれの構造の特徴描写が行われる。特に、このようなEBSD解析では、それぞれの構造の粒の細かさを決定し、サブ構造の発生および程度を確定し、部分再結晶された構造内において粒再形成によって生じた結晶粒の割合ならびにその構造内で生じる優先集合組織を決定することができる。このために、試料準備の際に、焦点軌道面に対して半径方向かつ垂直方向に向いたX線回転陽極断面(図3に示された断面に相当する)を作製する。適切な研磨面の準備は、特に、X線回転陽極の得られた断面の少なくとも一部を浸漬、研削、研磨およびエッチングすることによって行い、引き続いて(研削工程によって生じた表面上の変形構造を取り除くために)表面を更にイオン研磨する。特に、検査すべき研磨面は、X線回転陽極の焦点軌道の一部分と、支持体の一部分とを有するように選ぶとよく、それにより両部分を検査することができる。測定装置は、準備された研磨面に電子ビームが20°の角度で衝突するようになっている。走査型電子顕微鏡(ここでは:Carl Zeiss社製の「Ultra 55 plus」)の場合、電子源(ここでは:電界放射陰極)と試料との間の距離が16.2mmであり、試料とEBSDカメラ(ここでは:「DigiViewIV」)との間の距離が16mmである。括弧内に示した製品は、それぞれ出願人が使用した装置型式に該当し、基本的には、既述の機能を可能にする他の装置型式も、適切な方法で使用可能である。加速電圧は20kVであり、50倍の拡大が設定され、順次走査される試料上の個々のピクセルの間隔は4μmである。
個々のピクセル17は互いに正三角形に配置され、三角形の辺長はそれぞれ4μmのラスタ間隔18に対応する(図4A参照)。個々のピクセル17についての情報は、50nm(ナノメータ)の直径と50nmの深さを持つ表面を有するそれぞれの試料の1つの容積に由来する。1つのピクセルの情報の表示は六角形19(図4Aに破線で示す)の形で行われ、その六角形19の辺は、それぞれ当該ピクセル17と隣の(6個の)ピクセル17との間の中間垂直線を成す。被検査試料面21は、特に1,700μm×1,700μmである。図4Bに示されているように、被検査試料面21は、ここでは、上半分において(断面で)約850×1700μm2の焦点軌道部分22を有し、下半分において(断面で)約850×1700μm2の支持体部分24を有する。(焦点軌道と支持体との間の)境界面26は、焦点軌道面に対して平行であり、かつ被検査試料面21の中心を通っている(それぞれ試料面の両側面に対して平行)。更に、境界面26は半径方向RDに対して平行である(例えば図3、図4Bにおける方向RD参照)。以上に図4Aを参照して説明したように、被検査試料面21は4μmのラスタにより走査される。
平均粒界間隔(もしくは小傾角粒界間隔)を決定するために、EBSD解析において被検査試料面21内の最小回転角度以上の粒界角度を有する粒界および粒界部分を可視化することができる。ここでは平均粒界間隔を決定するために、走査型電子顕微鏡において15°の最小回転角度を設定する。X線回転陽極の検査される部分は、60%の(全)変形度を有する。焦点軌道の高い硬度に基づいて焦点軌道自体の(局部的)変形度は少ないのに対して、支持体の(局部的)変形度は少なくとも部分的に高いことを考慮すべきである。特に、支持体の変形度は、焦点軌道から離れて焦点軌道面に対して垂直方向に下に向かって増大する。従って、検査結果は、それぞれ検査される部分の(全)変形度と、被検査試料面21の位置とに関係する。境界面26の領域内における被検査試料面21の前述の位置に基づいて、検査される焦点軌道部分22も、検査される支持体部分24も、境界面26から1mmよりも少なく隔てられている(これは、特に、高さに応じて異なる変形度、即ち回転対称軸に対して平行な方向において異なる変形度が生じる支持体に関しては重要である)。走査型電子顕微鏡によって、被検査試料面21内において、2つのラスタ点17の間においてそれぞれの格子同士の方位差が15°以上であることが確定されるならば常に、2つのラスタ点17の間において粒界もしくは粒界部分が決定されて表示される(異なる最小回転角度が設定される場合は、後者が重要である)。方位差としてはそれぞれ、比較すべきラスタ点17のそれぞれに存在する結晶格子同士を互いの中に移行させるために必要とされる最小傾角が用いられる。この過程は、各ラスタ点17において、当該ラスタ点を取り巻く全てのラスタ点に関して(即ち、それぞれ6つの取り巻くラスタ点に関して)実施される。図4Aには模範的に粒界部分20が示されている。このようにして、被検査試料面21内では、部分再結晶された構造の場合に(15°の最小回転角度において)粒界部分と周りを囲んでいる粒界とによって構成される粒界パターン32が得られる。これが図4Cおよび4Dにおいて焦点軌道の一部28について概略的に示されている。5°の最小回転角度を設定する場合、付加的になおもサブ構造の小傾角粒界を可視化することができる(これらは図4Cおよび4Dには示されていない)。
以下において、焦点軌道面に対して平行な方向における焦点軌道材料の平均粒界間隔の決定方法を説明する。焦点軌道材料の粒界間隔を決定するために、その都度、被検査試料面21のうちの約850×1,700μm2の焦点軌道部分22のみが評価される。ここで説明する方法では、方向RDに沿った、即ち焦点軌道面(もしくは図4Bにおける境界面26)に対して平行にかつほぼ半径方向に延びる方向に沿った平均粒界間隔が決定される。このために、(1,700×1,700μm2の面積を有する)被検査試料面21内において、粒界パターン32の中に、それぞれ1,700μmの長さと17.2μm(1,700μm/99)の相対間隔とを有する98本の線群34が置かれる。図4Cには、検査される焦点軌道部分22内に置かれた焦点軌道の一部分28が示されている。線群34は、検査される表面(もしくは断面)に対して平行に延び、個々の線はそれぞれ方向RDに対して平行に延びている。個々の線において、各線と粒界パターン32の線との交点のうち互いに隣接するそれぞれ2つの交点の間の間隔がそれぞれ決定される。1つの線の端が粒界パターン32の1つの線との交点を成していない領域(即ち、粒界パターン32の1つの線が、検査される焦点軌道部分22の境界に達するために開放端が形成されている領域)では、線端から粒界パターン32の1つの線との最初の交点までの部分の長さが半分の結晶粒として評価される。焦点軌道部分22(約850×1,700μm2)内で決定された種々の間隔の頻度が評価され、それらの間隔の平均値(検出された間隔の総計を測定された間隔の個数で割算した値に相当する)が形成される。平均粒界間隔を決定するための上述の方法は、インターセプトレングス(Intercept Length)法とも呼ばれる。焦点軌道面に対して垂直な、即ち方向NDに沿った平均粒界間隔の決定は、焦点軌道部分22内において相応に行われる。ここでも粒界パターン32内に(再び98本の)線群36が置かれる。その際に、線群36は検査される表面(もしくは断面)に平行に延び、個々の線はそれぞれ方向NDに対して平行に延びている。このことが、図4Dに再び概略的に一部分28について示されている。間隔の評価は上述と同様にして相応に行われる。このようにして、(大傾角)粒界および(大傾角)粒界部分から構成される構造の粒の細かさの尺度を定めることができる。焦点軌道面に対して平行方向の平均粒界間隔は、一般に、焦点軌道面に対して垂直方向の平均粒界間隔よりも大きい。この効果は、鍛造工程中における焦点軌道面に垂直な力作用によって引き起こされる。平均粒界間隔dは、次式に基づいて明らかのように、焦点軌道面に対して平行方向の平均粒界間隔dpと、焦点軌道面に対して垂直方向の平均粒界間隔dsとから決定される。
Figure 2014506711
対応する方法で、5°の最小回転角度の指定のもとで焦点軌道面に対して平行および垂直な方向の焦点軌道部分の平均(小傾角)粒界間隔を決定することができる。これから、ここでも上記の式に従って平均小傾角粒界間隔を決定することができる。5°の最小回転角度の指定によって、付加的に、(変形構造内に存在する)サブ構造の小傾角粒界が一緒に考慮される。このようにして、(大傾角)粒界と(大傾角)粒界部分と小傾角粒界とから構成される構造の粒の細かさのための尺度を定めることができる。
再結晶度は、顕微鏡面上で、図1A〜1Cに概略的に示したような研磨図において粒再形成によって生じた結晶粒の(検査される部分の全面積に対する相対的な)面積割合を算定することにより決定することができる。この決定は、ここでも走査型電子顕微鏡を用いてEBSD解析にて行うことができる。これに関しては、既に図4A〜4Dを参照して説明した測定装置および試料準備と、既に説明した測定方法とが用いられる。最小回転角度として、特に15°以上の角度を指定するならば、大傾角粒界の広がり具合が分かる。このようにして、特に、粒再形成によって生じた結晶粒の周りを囲んでいる粒界ならびに(大傾角)粒界部分を決定することができる。更に、個々の結晶粒が、粒再形成によって生じた結晶粒(これはサブ構造を持たない)であるかどうかを検査するために、付加的に同じ範囲を、5°以上の最小回転角度(又は最小回転角度としての他の小さい値)の指定により検査することができる。引続いて、検査される面積の全体に対する、粒再形成によって生じた結晶粒の面積の相対比が決定される。
更に、再結晶度を同様に硬度に基づいて推定することができる。これは、例えば、同じように作られた多数の試料を鍛造工程後に予め定められた期間においてそれぞれ異なる温度で熱処理することによって行うことができる(場合によっては追加又は代替として熱処理期間を変えることができる)。試料では、それぞれ(試料内の)同じ位置で硬度測定が行われる。従って、図2に示した曲線の推移を追跡して、各試料がその曲線のどの範囲にあるかを確認することができる。既に説明したように、好ましくは再結晶限界RKSの周りの範囲TB内において動作させられる(範囲TBは、図2において再結晶限界RKSの周りの破線の円によって示されている)。
再結晶度を決定する際には一般に、規定の材料(例えばモリブデンおよびモリブデン合金)の場合に明確な回復過程(英語表現:extended recovery)が行われることを考慮すべきである。その際に、この回復過程は、部分的に支持された見解によれば、粒再形成の芽生えももたらし得る。この芽生えから粒再形成が起きるかぎり、この種の粒再形成も、この明細書では再結晶の用語に含まれる。明確な回復過程が生じる場合には、図2におけるグラフは回復過程EHの範囲において既に強く下降し、再結晶限界が高い温度の方へずれる。その際に、このグラフは、少なくとも構造が再結晶されている範囲EBにおいて、再び、明確な回復過程なしの材料におけると同様に経過する。特に定性的に、図2に破線によって概略的に示されているように相違が生じる。モリブデン基合金の場合には、この作用が付加的に粒子形成によって重畳され、このことは同様に具体的な曲線推移に影響を及ぼし得る。しかし、定性的に曲線推移は常に殆ど図2に示されているとおりである。
次に、本発明によるX線回転陽極の製造を本発明の一実施形態に従って説明する。先ず支持体のための出発粉末が混合され、そして焦点軌道のための出発粉末が混合される。支持体のための出発粉末は、支持体に関して(不純物を除いて)、0.5重量%のチタン、0.08重量%のジルコニウム、0.01〜0.04重量%の炭素、0.03重量%以下の酸素および残り成分のモリブデンの組成(即ち、TZM)が(粉末冶金法による製造時に実施される全ての熱処理の終了後に)得られるように選ばれる。更に、出発粉末は、焦点軌道に関して(不純物を除いて)、10重量%のレニウムおよび90重量%のタングステンの組成が得られるように選ばれている。これらの出発粉末は複合体としてX線回転陽極ごとに400トン(4×105kgに相当)でプレスされる。引き続いて、得られた物体が、2,000℃〜2,300℃の範囲の温度において2〜24時間焼結される。焼結後に得られる出発物体(焼結体)は、特に94%の相対密度を有する。焼結後に得られる出発物体は、1,300℃〜1,500℃の範囲(好ましくは1,300℃)の温度で鍛造され、その物体は鍛造工程後に20〜60%の範囲(好ましくは60%)の変形度を有する。鍛造工程後にその物体の熱処理が1,300℃〜1,500℃の範囲(好ましくは1,400℃)の温度で2〜10時間実施される。この実施例において範囲指定がなされるかぎり、各範囲内での種々の組み合わせについてそれぞれ良好な結果を得ることができる。本発明による焦点軌道特性に関して(および主として上述の有利な支持体特性に関しても)、プレス工程および焼結工程における上述のパラメータは、臨界的ではないのに対して、特に鍛造工程およびその後の熱処理における温度は、焦点軌道の特性(特に焦点軌道の再結晶度)に影響を及ぼす。特に、鍛造工程およびその後の熱処理工程における上述の好ましい温度において(上述の60%の好ましい変形度において)格別に良好な結果が得られる。
上述の実施例に基づいて製造されたX線回転陽極の場合には、焦点軌道において450HV30の硬度が得られ、支持体において315HV10の硬度が得られる。硬度測定は回転対称軸を通る断面において実施すべきである。更に、支持体は室温において、650MPa(メガパスカル)の0.2%弾性限界Rp 0.2および5%の伸び率Aを達成することができる。この場合に支持体内で半径方向に向いた試料を測定試料として使用すべきである。測定方法として、規格「DIN EN ISO 6892-1」に記載された応力速度基方法Bを適用することができる。これに比べて、粉末冶金法により製造される従来の支持体(特殊合金を除いて付加的な粒子で強化された材料)の場合、典型的には最大220HV10の硬度および低い弾性限界が得られる。
従って、これらの結果は、本発明によるX線回転陽極の場合、粉末冶金法により製造される従来のX線回転陽極の場合よりも明らかに(焦点軌道および支持体の)高い硬度および(少なくとも支持体での)高い弾性限界が得られることを示す。更に、これらの検査は、鍛造工程の後に続く(支持体材料の)再結晶限界の範囲内の温度での熱処理によって、支持体材料の十分な延性改善を達成することができる。この種の「慎重な扱いによる」延性改善(即ち、比較的低い温度での熱処理)の際に、焦点軌道の構造が更に非常に微細な粒状のままであることが同時に達成される。達成された延性改善は、特に、室温における伸び率Aの得られた値に基づいて認識可能である。熱処理されていない試料の場合、(プレス、焼結および鍛造を施された)支持体材料の伸び率が典型的には1%以下である。延性改善によって、X線回転陽極がもろく壊れやすいことを回避することができる。
本発明により形成されるX線回転陽極において焦点軌道の寿命が検査された。その際に亀裂がそれぞれ微細粒構造の粒界に沿って方向を変え、従って伝播方向が幾度も変化することが確認できた。この微細粒構造に沿った亀裂の転向のおかげで、焦点軌道内の深くまで亀裂が伝播することが回避される。寿命末期には焦点軌道において一様に形成された亀裂を有する均等分布の亀裂パターンを観察することができた。それに対して、真空プラズマ溶射によって焦点軌道を形成した比較用X線回転陽極には、焦点軌道の結晶が茎状に形成されて焦点軌道面に対して垂直方向に向いている。それゆえ、亀裂は粒界に沿って焦点軌道の深くまで(場合によっては下方の支持体にまで)広がる。
焦点軌道および支持体の集合組織を検査すべく、図4A〜4Dを参照して既に説明したようにX線回転陽極を被検査試料として準備した。X線回転陽極は本発明に従って製造した。焦点軌道の組成は、(不純物を除いて)90重量%のタングステンおよび10重量%のレニウムで、支持体の組成は、(不純物を除いて)0.5重量%のチタン、0.08重量%のジルコニウム、0.01〜0.04重量%の炭素、0.03重量%以下の酸素および残り成分のモリブデンであった。測定装置も既に説明した装置に相当する。測定方法では、集合組織を決定するために適用可能もしくは実施可能であるかぎり、図4A〜4Dを参照して既に説明した設定を使用した。焦点軌道のEBSD解析の際に得られた逆極点図を図5A〜5Cに示す。焦点軌道に関しては、その都度の検査範囲において巨視的な互いに垂直な方向、即ち、焦点軌道面に対して垂直に延びる方向NDと、ほぼ半径方向にかつ焦点軌道面に対して平行に延びる方向RDと、接線方向にかつ焦点軌道面に対して平行に延びる方向TDとを定義した(これらの方向は、具体的に示すために図3に書き込まれている)。当該X線回転陽極の製造過程における鍛造工程の際の力作用は焦点軌道面に対して垂直に(即ち、方向NDに沿って)行われた。図5Aには方向NDにおける焦点軌道の逆極点図が示され、図5Bには方向RDにおける逆極点図が示され、図5Cには方向TDにおける逆極点図が示されている。図5Aに基づいて、方向NDに沿った<111>方向および<001>方向の明確な優先集合組織を認識することができる。更に、図5Bおよび5Cに基づいて、方向RDおよびTDに沿った<101>方向の(より少ない強さの)明確な優先集合組織を認識することができる。X線回転陽極の支持体の外側範囲において決定した支持体の集合組織に関して、相応の成果が達成された。特に、方向NDに沿った<111>方向および<001>方向の明確な優先集合組織と、方向RDおよびTDに沿った<101>方向の(若干より少ない強さの)明確な優先集合組織とが測定された。
比較のために、純粋なタングステンからCVD法によって形成した焦点軌道(図6参照)と、タングステン・レニウム合金(タングステン成分:90重量%、レニウム成分:10重量%)から真空プラズマ溶着によって形成した焦点軌道(図7参照)とについて、それぞれ試料を相応に準備し、それらの試料を集合組織に関して検査した。図6には方向TDにおける逆極点図を示す。図6に基づいて明らかであるように、CVDコーティングによって形成した焦点軌道は、方向TDに沿った<111>方向の優先集合組織を有する。図7には方向NDにおける逆極点図を示す。図7に基づいて明らかであるように、真空プラズマ溶着によって形成した焦点軌道は、方向NDに沿った<001>方向の明確な優先集合組織を有する。
2 粒界部分
6 結晶粒
8 結晶粒
9 小傾角粒界
10 X線回転陽極
12 回転対称軸
14 支持体
16 焦点軌道
32 粒界パターン
34 線群
36 線群
AH 初期硬度
EH 回復過程の範囲
RK 再結晶範囲
RKS 再結晶限界
ND 焦点軌道面に対して垂直方向
RD 焦点軌道面に対して平行な半径方向
TD 焦点軌道面に対して平行な接線方向

Claims (17)

  1. 支持体(14)と、その支持体(14)上に形成された焦点軌道(16)とを有し、支持体(14)および焦点軌道(16)が粉末冶金法により複合体として製造されており、支持体(14)がモリブデン又はモリブデン基合金から形成され、焦点軌道(16)がタングステン又はタングステン基合金から形成されているX線回転陽極において、
    最終的に熱処理されたX線回転陽極(10)において焦点軌道(16)の少なくとも一部分が、再結晶されていない構造および/または部分再結晶された構造で存在することを特徴とするX線回転陽極。
  2. 焦点軌道面に対して垂直方向(ND)の焦点軌道の部分が、X線回析により決定可能な4以上の集合組織係数TC(222)を有する<111>方向の優先集合組織と、X線回析により決定可能な5以上の集合組織係数TC(200)を有する<001>方向の優先集合組織とを持つことを特徴とする請求項1記載のX線回転陽極。
  3. 焦点軌道面に対して垂直方向(ND)の焦点軌道(16)の部分において、X線回析により決定可能な集合組織係数TC(222)およびTC(310)の次の関係、即ち、
    Figure 2014506711
    が満たされていることを特徴とする請求項1又は2記載のX線回転陽極。
  4. 焦点軌道(16)の部分が350HV30以上の硬度を有することを特徴とする請求項1乃至3の1つに記載のX線回転陽極。
  5. 焦点軌道(16)の部分が、部分再結晶された構造で存在することを特徴とする請求項1乃至4の1つに記載のX線回転陽極。
  6. 部分再結晶された構造内で粒再形成によって生じた結晶粒(6)が変形構造によって取り囲まれており、部分再結晶された構造の断面積に対して、これらの結晶粒(6)が10%〜80%の範囲の面積割合を有することを特徴とする請求項5記載のX線回転陽極。
  7. 焦点軌道(16)の部分が10μm以下の平均小傾角粒界間隔を有し、
    平均小傾角粒界間隔は、焦点軌道(16)の部分の範囲内における焦点軌道面に対して垂直方向に広がる半径方向の断面において粒界(8)、粒界部分(2)および5°以上の粒界角度を有する小傾角粒界(9)を決定する測定方法によって決定可能であり、
    焦点軌道面に対して平行方向の平均小傾角粒界間隔を決定するために、それによって得られる粒界パターン(32)の中へ、互いに17.2μmの間隔をそれぞれ有し焦点軌道面に対してそれぞれ平行に延びる複数の線から成り前記断面に対して平行に延びる線群(34)が置かれ、個々の線において各線と粒界パターン(32)の線との互いに隣接するそれぞれ2つずつの交点の間の間隔がそれぞれ決定され、これらの間隔の平均値が焦点軌道面に対して平行方向の平均小傾角粒界間隔として決定され、
    焦点軌道面に対して垂直方向の平均小傾角粒界間隔を決定するために、得られる粒界パターン(32)の中へ、互いに17.2μmの間隔をそれぞれ有し焦点軌道面に対してそれぞれ垂直に延びる複数の線から成り前記断面に対して平行に延びる線群(34)が置かれ、個々の線において各線と粒界パターン(32)の線との互いに隣接するそれぞれ2つずつの交点の間の間隔がそれぞれ決定され、これらの間隔の平均値が焦点軌道面に対して垂直方向の平均小傾角粒界間隔として決定され、
    平均小傾角粒界間隔が、焦点軌道面に対して平行方向の平均小傾角粒界間隔と、焦点軌道面に対して垂直方向の平均小傾角粒界間隔との幾何学的平均値として決定されることを特徴とする請求項1乃至6の1つに記載のX線回転陽極。
  8. 焦点軌道(16)の部分が焦点軌道面に対して平行方向(RD,TD)に<101>方向の優先集合組織を有することを特徴とする請求項1乃至7の1つに記載のX線回転陽極。
  9. 支持体(14)の少なくとも一部分が、再結晶されていない構造および/または部分再結晶された構造で存在することを特徴とする請求項1乃至8の1つに記載のX線回転陽極。
  10. 支持体(14)の部分が230HV10以上の硬度を有することを特徴とする請求項9記載のX線回転陽極。
  11. 焦点軌道面に対して垂直方向(ND)の支持体(14)の部分が<111>方向および<001>方向の優先集合組織を有すること、および/または
    焦点軌道面に対して平行方向(RD,TD)の支持体(14)の部分が<101>方向の優先集合組織を有することを特徴とする請求項9又は10記載のX線回転陽極。
  12. 支持体(14)の部分が室温において2.5%以上の伸び率を有することを特徴とする請求項9乃至11の1つに記載のX線回転陽極。
  13. 支持体(14)がモリブデン基合金から成り、その他の合金成分がTi,Zr,Hfのグループの少なくとも1つの元素と、C,Nのグループの少なくとも1つの元素とから成ることを特徴とする請求項1乃至12の1つに記載のX線回転陽極。
  14. X線の発生のためにX線管における請求項1乃至13の1つに記載のX線回転陽極の使用。
  15. A)適切な出発粉末のプレスおよび焼結によって複合体として製造され、モリブデン又はモリブデン基混合物からなる支持体部分と、その支持体部分の上に形成されタングステン又はタングステン基混合物からなる焦点軌道部分とを有する出発物体を準備するステップと、
    B)その物体を鍛造するステップと、
    C)その鍛造ステップの際に又は鍛造ステップ後にその物体の熱処理を行うステップと、を有し、
    最終的に熱処理されたX線回転陽極(10)において前記焦点軌道部分から得られる焦点軌道(16)の少なくとも一部分が再結晶されていない構造および/または部分再結晶された構造で存在するように低い温度でかつ当該構造で存在するような期間にわたって前記熱処理が行われる請求項1乃至13の1つに記載のX線回転陽極の製造方法。
  16. 前記熱処理が1,300〜1,500℃の範囲の温度で行われることを特徴とする請求項15記載の方法。
  17. 鍛造される物体が鍛造終了後に20%〜60%の変形度を有することを特徴とする請求項15又は16記載の方法。
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