2008年の合衆国労働統計局の業務上災害死亡者数調査(CFOI)によれば、2007年中の足場の使用に関連する死亡事故は88件あり、それをはるかに超える件数の傷害事故が発生したと報告されている。事故死の27%及び傷害事故の多くは、足場の架設中に25フィートを超える高さの溶接フレーム足場から転落したことによるものであった。当局は、安全性に関して、順次架設技術を使用することにより足場からの転落を回避すべきであると勧告している。勧告は、露出したプラットホーム縁部が区画間の支柱間長さを超えないように規則的な間隔でガードレール及び垂直支柱を設置することを含む。架設工程でガードレールに連結された安全ハーネス又は安全ベルトを使用することも、実際に推奨されている安全措置である。しかし、従来の足場で使用される構成要素によって、足場架設中の転落事故による傷害を防止するための安全ハーネスの使用は非常に限定される。本明細書で説明するように、従来の足場構成要素は、その性質上及び設計上、架設工程における安全ハーネスの効果的な使用を妨げるという欠点を有する。
単管足場は、結合装置により結合された管部材から組み立てられるためにそう呼ばれる。この足場は強度に優れているため、大きな荷重を支持しなければならない場合又は多数のプラットホームを数階の高さまで組み上げなければならない場合に多く使用される。足場の構成要素は、結合リング又はロゼットを有する垂直支柱と、結合リング又はロゼットに結合された布丸太及びガードレールなどの水平構成要素と、フーティングと、デッキ/プラットホームと、斜め筋交とを含む。それらの構成要素は多目的に利用可能であるので、種々の構成で複数の方向へ組み立てることができるが、正しく構築することは困難でもある。
従来の足場システムは種々の構成要素を有する。図1は、ポール、管、梁、ブラケット、支柱、フレームなどの堅固な支持部材により支持された1つ以上のプラットホームから構成される支持足場100を示す。詳細には、支持足場100は、デッキ/プラットホーム101、水平部材又は布丸太102、垂直支柱103という構成要素を含む。足場100の剛性を向上させるために、更なる構成要素として斜め筋交が含まれる。
図2は、垂直支柱103を示す図である。垂直支柱は、通常、溶融めっき鋼又はアルミニウムから製造された円筒形の管200である。垂直支柱の直径を拡大又は縮小させることによりつばを形成するか、あるいは垂直支柱のいずれか一方又は双方の端部にスピゴットを設けることにより、垂直支柱の端と端の接合は容易になる。水平部材及び斜め筋交を結合するためのロゼット201が管に沿って位置決めされ、その後、溶接又は他の手段により装着される。ロゼット間の所定の間隔を例えば20インチとして、垂直支柱は、管に沿って配置された1〜8個以上のロゼットを有する。
図3は、布丸太102を示す。布丸太は、ガードレール及び筋交要素の双方の機能を果たす水平部材である。布丸太102は、管300、ヘッド301及びウェッジ302から構成される。足場の支柱間長さ、デッキの種類及び荷重に応じて、種々の長さの布丸太102を利用可能である。このような布丸太を垂直支柱に結合する従来の方法では、以下に更に説明するように足場からの転落が起こりやすい。ある高さに管を設置した後、作業員が足場100を渡ってガードレール(例えば布丸太102)を設置することができるようにするために、例えば合板ボードが装着された溶融めっき鋼、アルミニウム、木又はアルミニウムのフレームから製造されたデッキ又はプラットホーム101が設置される。
次に図4を参照すると、布丸太102を垂直支柱200のロゼット201に結合するように布丸太102の端部にあるヘッド301の溝穴又は間隙に打ち込まれたウェッジ302が示される。作業員は、まず布丸太102の基端部でこの打ち込みを実行し、次に布丸太102の先端部で打ち込みを実行しなければならない。しかし、布丸太102の基端部はウェッジ302を使用して垂直支柱に結合されているが、布丸太102の先端部は結合されないままである。すなわち、作業員が布丸太102の先端部に着くまでプラットホームを渡って行き、先端部でウェッジ302を打ち込むまで、先端部は結合されないままである。この間、布丸太102の先端部は垂直支柱に結合されないままである。従って、作業員がハーネスで布丸太102につながれた状態で、結合されないままの先端部に向かって足場が傾くと、作業員はプラットホームに沿って転がり落ち、布丸太の結合されていない端部から安全ハーネスが外れてしまうので、ハーネスは作業員の安全を保つ手段とはならない。
図5に示されるように、従来のロゼット500は、垂直支柱の管を受け入れるための中央開口503と、直角な結合を容易にするための4つの小さな穴501A〜Dと、ある特定の複数の角度での結合を容易にするための4つの大きな穴502A〜Dとを有する。ヘッド504は、布丸太の端部に結合され且つ垂直溝穴及び水平溝穴を有する。通常、ヘッド504の水平溝穴がロゼット500の上下に位置決めされ且つヘッドの垂直溝穴はロゼット500の開口と位置合わせされるように、ヘッド504はロゼット500に関して位置決めされる。次に、特に摩擦力を使用して布丸太102をヘッド504を介し、ロゼット500を介して垂直支柱103に結合するために、ウェッジ302が垂直溝穴(間隙)に打ち込まれる。尚、ウェッジ302が取り付けられるまで、ロゼット500と水平部材のヘッドとの間には著しく広い隙間があるために安全上の問題が起こりやすいという欠点がある。更に、取り付け後、作業員がプラットホームを渡る間にウェッジは頻繁にゆるむ。ウェッジがゆるむと、足場は不安定になり、崩壊する。また、足場が崩壊しないまでも、図示されるように鋼製ウェッジはヘッド又は布丸太と一体に形成されているわけではないので、ウェッジが足場から落下して、下にいる作業員の怪我につながる危険もある。
布丸太(本明細書においては水平部材とも呼ばれる)の両端部を垂直支柱(本明細書においては垂直部材とも呼ばれる)に同時に結合するように構成され且つ1人の作業員が水平部材の両端で実質的に同時にウェッジを垂直支柱に差し込み、ロックすることができるようにするためのウェッジアセンブリ機構を有する足場装置が望まれている。本発明は、そのような装置を提供する。
本発明は、従来の足場システムに固有の安全性、剛性及び作業に関連する問題を解決する足場システム及びその構成要素である。本発明に関して、リング、つば、ロゼット又は類似する機能を有する構成要素はロゼットと呼ばれる。また、本発明に関して、垂直支柱又は類似する機能を有する構成要素は垂直部材と呼ばれ、布丸太、ガードレール又は類似する機能を有する構成要素は水平部材と呼ばれる。以上の用語の使用は、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
本明細書で述べる通り、本発明の構成要素は、各端部にウェッジヘッドを有するのが好ましい少なくとも1つの水平部材を単独で含むか、あるいは少なくとも1つのロゼットが同軸に位置合わせされた状態で固定されている少なくとも1つの垂直部材と組み合わせて含む。ロゼットは、ウェッジヘッド(水平部材の別の構成要素であってもよいが、水平部材の端部に一体に形成された部分であってもよい)の嵌合要素又は尖端部分を受け入れる開口を有する。本発明の構成要素は、ウェッジヘッド及び水平部材の中に配置されたウェッジアセンブリを更に含み、ウェッジアセンブリは、ハンドルとは別にウェッジ部分を有するか、あるいは一体に形成されたハンドルとウェッジ部分を有する。ウェッジアセンブリは、水平部材の一方の端部で、ロッド又はケーブル又は他の伝達手段を使用して、水平部材の他方の端部のウェッジアセンブリに反応可能に結合される。各ウェッジヘッドは、ロゼットに形成された格子状開口に嵌合するような大きさに形成された1つ又は複数の尖端部分を更に含む。ウェッジヘッドは穴又は溝穴を有し、ハンドルにより操作された場合、ウェッジヘッドをロックするためにウェッジ部分の全体又は一部がこの穴又は溝穴を貫通して伸長し、水平部材をロゼットに結合するように動作する。
本発明の1つの態様は、放射状に配列された一連の切欠きを含むロゼットを有する垂直部材に水平部材を結合する際に使用するための継手であり、水平部材はウェッジアセンブリを収納する中空の管を更に備え、ウェッジアセンブリは端部にウェッジ部分を有する。ウェッジ部分の全体又は一部は、ウェッジヘッド及び/又は水平部材の中空の管又は空胴に対して伸縮自在である。水平部材の端部に配置されたウェッジヘッドは、ロゼットの放射状に配列された切欠きに対応する嵌合要素を有する。ウェッジヘッド又は水平部材の嵌合要素がロゼットの放射状に配列された切欠きに受け入れられた状態で、例えばハンドルを使用してウェッジアセンブリが操作されると、ウェッジ部分はウェッジヘッド又は水平部材をロゼットに堅固に接合又は結合する。
そこで図6を参照すると、本発明のロゼット600の一実施形態の平面図が示される。ロゼット600の一実施形態は円形であり且つある幅又は広がりを有する。この幅又は広がりは、以下に更に詳細に説明するようにウェッジヘッドをロゼット600と係合させるのに適切な任意の寸法である。ロゼット600は、垂直部材の垂直管を受け入れるような大きさに形成された実質的に円形の中央開口601又は中央切欠きを有する。別の態様において、この中央開口又は中央切欠きは、垂直部材の横断面形状に対応するどのような形状であってもよい。垂直管に差し込まれた後、ロゼット600は、垂直部材の垂直管と同軸に位置合わせされるように溶接されるか又は他の方法により装着される。垂直管の長さに沿って複数のロゼットがそのようにして位置決めされ且つ固定される。ロゼット600の外周と中央開口601の外周との間に、以下に更に詳細に説明するように少なくとも1つのウェッジヘッドの尖端部分を受け入れる複数の放射状に配列された切欠き602がある。放射状に配列された切欠き602が格子状に配置されているので、ロゼット600を介して複数の水平部材を垂直部材に装着できる。図6に示されるように、放射状に配列された切欠きは8つあるが、異なる数の放射状に配列された切欠きがロゼット600に配置されてもよい。本発明の一実施形態において、放射状に配列された切欠き602は、内側縁部及び外側縁部がそれぞれ異なる半径の同心円の円弧を描くような実質的に台形の形状である。線分と円弧が交わる部分は面取りされているので、内側角部は凹面の緩やかな形状になっており、応力の集中が軽減される。この台形の内側縁部及び外側縁部は、その一部分で、台形の中心を中心とする円の一部分を形成する円弧形切欠きとして更に切り取られている。ロゼットの上面及び下面の各々と、ロゼットの垂直の内壁とが交差する部分は丸みを帯びさせるか、斜角をつける又は面取りがされる。放射状に配列された切欠き602は、ウェッジヘッドの垂直尖端部分を受け入れる大きさに形成される。言い換えると、垂直部材は、放射状に配列された一連の切欠きを有する少なくとも1つのロゼットを含み、垂直部材は、ロゼットと同軸に位置合わせされるように固定され、切欠きは、ロゼットの放射状に配列された切欠きに対応する嵌合要素を有するウェッジヘッドを受け入れ、ウェッジヘッドの嵌合要素がロゼットの放射状に配列された切欠きに受け入れられた状態でウェッジアセンブリが操作されると、ウェッジアセンブリは、ウェッジ部分に水平部材をロゼットに堅固に結合させる。
図7は、複数のロゼット600が垂直管701に同軸に位置合わせされるように位置決めされ且つ固定された本発明の垂直部材700の一実施形態を示す。
図8は、本発明のウェッジヘッドの第1の実施形態を示す側面図800である。水平部材810の少なくとも一方の端部にあるハンドル及びウェッジアセンブリは、ウェッジヘッドと一体化されている。図示されるように、そのようなウェッジヘッドがロゼット801に結合されている。ウェッジヘッド802は、ウェッジヘッド802の上面に装着されたオプションのフィンガバー(図示せず)を含む。フィンガバーは、ウェッジヘッド802の上面から水平部材810の外面のある位置まで延出する。フィンガバーは、ウェッジヘッド801の水平部材810への装着を補強すると共に、ハンドル812の損傷を防止する。ウェッジヘッド802に回転可能に一体に形成されたウェッジアセンブリは、ピン804に巻き付けられたばね803により付勢されたウェッジ818と、ハンドル812と、ウェッジヘッド802の内壁にある穴に嵌合するピン808によってウェッジヘッド802に回転可能に結合されたハンドルリンクアセンブリ806とを含む。ばね803は、ウェッジ818を案内すると共にウェッジ818に下向きの圧力を加えるように、ウェッジ818の上面と接触する端部に横部分を含む。この下向きの圧力は、ウェッジ818に対する圧力からロゼット801に対する圧力に変換される。ウェッジヘッド802と一体に形成された支え814は、ウェッジ818の底面に、ウェッジ818の上面に対するばね803の下向きの力に対抗する上向きの力を加える。
本装置をロゼットにロックするために又はロック解除するためにユーザにより圧力が加えられる第1の延出部分はハンドル812である。ハンドル812から一体にオフセット角度を持つ延出部がハンドルリンクアセンブリ806である。ハンドルリンクアセンブリ806は、ウェッジ及びロッドなどの構成要素をウェッジヘッド802に結合するための複数の開口を有する。ハンドル812及びハンドルリンクアセンブリ806は、ピン805によってウェッジヘッド802に回転可能に結合され且つガイド813及びピン807を介して円弧運動に従って移動可能である。ロッド809の第1の端部は、ピン811によってハンドルリンクアセンブリ806に回転可能に結合される。ロッド809の第2の端部(図示せず)は、水平部材810の先端部にある第2のウェッジに結合される。
以下に更に詳細に説明するように、第2の実施形態において、ロッド809及びそれに関連する機構の代わりに、水平部材の一方の端部にあるウェッジヘッドの第1のハンドルリンクアセンブリを水平部材の第2の端部のウェッジヘッドに結合するケーブルが使用される。ケーブルの張力は、対応するハンドルの位置に応じて、水平部材の各端部のウェッジを同時に伸長(ロック)位置又は後退(解除)位置のいずれかに同時に付勢するように作用する。以下に説明するように、ケーブルは、内側ピン、ホイール又は軸の周囲にねじ山を有し且つ特にばねによって付勢される。
作業中、ウェッジヘッド802は水平部材810の一方の端部にある。ウェッジヘッド802は、ウェッジヘッド802に回動可能に結合されたハンドル812を有し、ウェッジヘッド802の内部にあるハンドル812の端部は、第1の端部でハンドルリンクアセンブリ806と一体に形成される。ハンドルリンクアセンブリ806はウェッジヘッド802に回動可能に結合され、ウェッジ818の先端部は、ピン808又はそれに類似する機構によってハンドルリンクアセンブリ806の中央部分に回転可能に結合される。ウェッジ818は、ばね803の横部分により付勢されているので、ウェッジ818がハンドル802により伸長された場合、ウェッジ818はロゼットの面に下向きの圧力を加える。ロッド809の第1の端部は、ピン811又はそれに類似する機構によってハンドルリンクアセンブリ806の第2の端部に結合され、ロッドの第2の端部(図示せず)は、水平部材の先端部で伸縮するように第2のウェッジ(図示せず)に結合される。水平部材の先端部におけるロッド809及びウェッジ818のハンドルリンク機構への結合は、図10に示されるような回転可能なカム機構を介して実現される。ロッド809が(いずれかの端部におけるハンドル812の動きによって)左又は右のいずれかの方向へ動くことにより、水平部材の両端部にあるウェッジが同時に伸長(ロゼットに配置されている場合はロックのために)又は後退するように、カム機構は、中空円筒形の水平部材の中に配置される。
図9Aは、最初にロゼットに配置された場合にウェッジ818を伸長位置まで延出させることにより、水平部材をロック位置にロックするように作用する引き上げ位置にあるハンドル812を示す本発明のウェッジヘッド802の第1の実施形態(ロゼットは省略されている)を示す第1の斜視図である。
図9Bは、ウェッジ818を解除位置まで後退させる引き下げ位置にあるハンドル812を示す本発明のウェッジヘッド802の第1の実施形態(ロゼットは省略されている)を示す第2の斜視図である。
図10は、カム機構1001を示す水平部材の一部である。カム機構1001は、その中心で水平部材に回動可能に結合されている。カムの端部は、ロッド809の各先端部に回動可能に結合され、双方のロッド809を同時に伸長位置又は後退位置へ動かすように作用する。
図11は、本発明の第2の実施形態1100を示す側面図である。図示されるように、第1の端部1101A及び第2の端部1101Bを有するケーブル1101は、水平部材1107の一方の端部の第1のウェッジヘッド1105に配置された第1のハンドル1103及びリンクアセンブリを水平部材1101の第2の端部で第2のウェッジヘッド1106の第2のハンドル1104にプーリ1102を介して結合する。第1のウェッジヘッド1105は、第1のハンドル1103の各部分の周囲でハウジングとして機能し、第2のウェッジヘッド1106は、第2のハンドル1104の各部分の周囲でハウジングとして機能する。
詳細には、第1のハンドル1103は、実質的に水平のハンドルグリップ延長部分1103Aとして形成され、水平ハンドルグリップ延長部分1103Aは、水平ハンドルグリップ延長部分1103Aから内側へ湾曲することによって実質的に直交する方向に延出する実質的に垂直のウェッジ1103Bを有する。垂直ロック延長部分1103Bの底部に近接して配置されたケーブルリンクアセンブリ1103Cは、第1のハンドル1103からケーブル1101の第1の端部1101Bへのアンカーポイントとして機能する。
第2のハンドル1104は、実質的に水平のハンドルグリップ延長部分1104Aとして形成され、水平ハンドルグリップ延長部分1104Aは、水平ハンドルグリップ延長部分1104Aから内側へ湾曲することによって実質的に直交する方向に延出する実質的に垂直のウェッジ1104Bを有する。ケーブルリンクアセンブリ1104Cは、水平ハンドルグリップ延長部分1104Aの底部の、水平ハンドルグリップ延長部分1104Aの端部と、水平ハンドルグリップ延長部分1104Aから垂直ウェッジ1104Bに至る湾曲点との間に配置され、第2のハンドル1104からケーブル1101の第2の端部1101Aへのアンカーポイントとして機能する。
第1のハンドル1103は、水平ハンドルグリップ延長部分1103Aと垂直ウェッジ1103Bとの間の湾曲点に近接して配置された開口1103Dを有する。この開口1103Dは、第1のウェッジヘッド1105の壁を貫通して第1のハンドル1103を回転可能に結合するように第1のハンドル1103を貫通してピン、リベット、ねじ又は他の類似の構造を軸方向に受け入れる。結合部材は、ボルト及びナット、リベット、回転関節、ピン及び関連する座金、ブシュ及び/又は軸受を含むが、それらに限定されず、各結合部材はリンクアセンブリの一部である。
第2のハンドル1104は、水平ハンドルグリップ延長部分1104Aと垂直ウェッジ1104Bとの間の湾曲点に近接して配置された開口1104Dを有する。この開口1104Dは、第2のウェッジヘッド1106の壁を貫通して第2のハンドル1104を回転可能に結合するように第2のハンドル1104を貫通してピン、リベット、ねじ又は他の類似の構造を軸方向に受け入れる。結合部材は、ボルト及びナット、リベット、回転関節、ピン及び関連する座金、ブシュ及び/又は軸受を含むが、それらに限定されず、各結合部材はリンクアセンブリの一部である。
ケーブル1101の張力は、水平部材の各端部にあるウェッジ部分1103B、1104Bを対応するハンドルの位置に応じてロック位置又は解除位置へ同時に付勢するように作用する。ケーブルは、内部ピン、ホイール及び軸の周囲にねじ山を有し且つばねによって付勢される。ハンドル1103又は1104のいずれかを操作することにより、対応するウェッジ部分1103B、1104Bは、それぞれ対応するウェッジヘッド1105、1106のハウジング部分に対して同時に後退又は伸長される。ウェッジ部分1103B、1104Bがロック解除位置にある場合、すなわち第1のハンドル1103及び第2のハンドル1104が上部位置にある場合にロゼットの開口を受け入れるために、ウェッジヘッド1105、1106の底部に上向きの歯1103E、1104Eが一体に形成される。ロゼットが歯1103E、1104E(複数の歯がウェッジヘッド1105、1006に一体に形成されてもよい)の中に位置決めされた後、第1のハンドル1103又は第2のハンドル1104のいずれかに力が加えられる。その結果、関連するウェッジ部分1103B、1104Bは共にロック位置へ動く。この同時ロック効果は、ばね1110、1111により加えられる力を受けて作用するケーブル1101の動作により実現される。
第1のハンドル1103及び第2のハンドル1104並びに関連するウェッジ部分1103B、1104Bは、ピン、軸又は類似する構造を介してウェッジヘッド1105、1106に結合されたばね1110、1111を介して特定の位置(伸長(ロック)位置又は後退(解除)位置)へばねの力によって付勢される。
ウェッジのロック解除位置を示す図11を参照すると、第1のハンドル1103が引き上げ位置にある場合、ケーブル1101の第2の端部1101Bは最も右側の位置にあり、ばね1110には強い圧縮力が加えられている。同時に、第2のハンドル1104は引き上げ位置にあり、ケーブル1101の第1の端部1101Aは高い位置にあるので、ばね1111には強い圧縮力が加えられている。
ウェッジのロック位置を示す図12を参照すると、第1のハンドル1103が引き下げ位置にある場合、ケーブル1101の第2の端部1101Bは最も左側の位置にあり、ばね1110に加えられている圧縮力は弱い。同時に、第2のハンドル1104は引き下げ位置にあり、ケーブル1101の第1の端部1101Aは低い位置にあるので、ばね1111に加えられている圧縮力は弱い。図からわかるように、対応するウェッジ部分をロック又は解除するために一方のハンドルを操作することにより、他方のハンドルも動き、そのハンドルに対応するウェッジ部分を同時にロック又は解除する。
実施形態は、各垂直部材に装着された、例えば溶接された少なくとも1つのロゼットとの組み合わせを更に含む。各垂直部材は、その垂直部材に沿って例えば溶接により固定された複数の等間隔で又は互いに異なる間隔で配置されたロゼットを含む。ロゼットは、水平部材の端部の尖端部分などの嵌合要素を受け入れるように構成された開口のパターン又は格子状開口を有する。ウェッジヘッドは水平部材の端部に配置されてもよい。水平部材は、好ましくは円筒形の中空の管であり、第1の端部及び第2の端部を有する。本明細書において更に詳細に説明されるように、第1の端部及び第2の端部にウェッジヘッドが固定装着されてもよい。
本発明は、足場の垂直部材に水平部材を結合する方法を更に含む。方法は、水平部材を設ける工程を含む。水平部材はその各端部に結合されたウェッジヘッドを有し、各ウェッジヘッドは、一部がウェッジヘッドの中に配置されたウェッジアセンブリを有し、各ウェッジアセンブリは対応するウェッジヘッドに回動可能に結合され、各ウェッジアセンブリは、ウェッジリンクアセンブリを介してウェッジに伝達可能に結合されたハンドルを更に備え、ウェッジリンクアセンブリは、カム機構を介して水平部材の中に動作可能に結合され、いずれかのハンドルの係合を解除することにより、各ウェッジの一部を対応するウェッジヘッドの中へ同時に後退させる工程を備える。方法は、各ウェッジヘッドを垂直部材の対応するロゼットに配置し且つ各ウェッジが水平部材の端部を垂直部材に同時にロックさせるように一方のハンドルと係合する工程を更に備える。
本発明の一実施形態では、各水平部材の各端部にウェッジヘッドを配置する構成であるので、足場の構成要素は、格子構造によって所定の角度を利用して常に正しく且つ堅固に保持される。本発明の足場構造は、従来の足場システムと関連して起こっていた先端部からの転落の危険を低減する。更に、本発明の足場構造は、水平部材の取り付け中及び解体中の手動工具の必要性を低減する。本発明の足場構造は、足場システムの架設及び解体に要する労力を軽減し且つ時間を短縮するという利点を有する。
本発明の構成要素は、溶融めっき又は粉末被覆された鋼、鉄又は他の弾性材料を含む多様な材料から製造可能である。ロゼットの直径は7インチ(7")であるのが好ましく、第1の内部ロッド及び第2の内部ロッドは、例えば鋼製又は鉄製の2本の正方形又は円形の棒であり、各ロッドは、一端部に追加形成されるか又は一体に形成された楔形ウェッジを有し、反対側の端部はクランク/カムアセンブリに結合される。ロゼットの開口の格子パターン及びそれらの開口に嵌合するような大きさに形成された尖端部分を有するヘッドを利用 することにより、高所の作業用プラットホームにおいて水平部材を種々の角度(例えば45度、90度、180度)で装着できる。
本発明によれば、足場架設中、作業員は、1つの水平部材の2つのウェッジ部分を1箇所から係合させ、取り外すことができるので、架設に要する時間が短縮され且つ作業環境をより安全に保てるという利点が得られる。これは、各ウェッジを実質的に同時に係合、取り外しするために、水平部材の第1の端部と第2の端部との間で一方のハンドルのみを操作すればよいからである。これにより、1人の作業員が場所を変えることなく8つまでの水平部材を1つの垂直部材に装着できる。
本発明は、互いに噛合させることにより、1つの垂直部材で複数の水平部材から堅固な屈曲結合を実現する構成要素の格子構造を更に備える。ウェッジアセンブリの一部であるウェッジは、共に、1つの位置から垂直部材のロゼットの所定位置にロックされる。内部ウェッジ部分は外部ハンドルにより所定場所にロックされるので、手動工具を使用する必要はない。外部ハンドルは所定場所にロックされることにより、二次ロック装置を構成する。
図示され且つ以上説明された実施形態は単なる例である。以上の説明の中で本発明の詳細と共に本発明の実施形態の多くの特徴及び利点が説明されたが、開示は単なる例であり、本明細書において使用される用語の一般的な幅広い意味により示される範囲のすべてにおいて本発明の原理の中で変更が実施されてもよい。例えば、水平部材を垂直部材に結合することに関して本明細書で説明された原理は、筋交部材を垂直部材又は水平部材に結合する目的でも利用可能である。結合することは、装着すること、係合させること、取り付けること、クランプすること、溶接すること、ボルト留めすることを含むが、それらに限定されず、結合に使用される構成要素は、ボルト及びナット、リベット、U字金具、ラッチ、クランプ、溶接部、ねじ、リベットなどを含む。更に、本明細書では、放射状に配列された8つの切欠きを有するロゼットを例として説明したが、9つ以上又は7つ以下の放射状に配列された切欠きを有するロゼットも本発明の範囲内に含まれると考えられる。また、本発明は、約7インチの標準直径を有するロゼットを説明したが、適切などのような直径でも使用可能である。本明細書では、1対の垂直尖端部分を有するウェッジヘッド又は2対の垂直尖端部分を有するウェッジヘッドの使用を例として説明したが、1つ以上の尖端部分を有するウェッジヘッドは本発明の範囲内に含まれると考えられる。ロゼットは、ウェッジヘッドの対応する1つ又は1組の尖端部分を受け入れるような大きさに形成された何らかの適切な形状の切欠きを含む。垂直部材には、どのような数の同軸に位置合わせされたロゼットが装着されてもよく、ロゼットの垂直方向の間隔は、所期の用途に適するのであれば、どのような間隔であってもよい。更に一般的には、本発明は、水平部材と、少なくとも1つのロゼットが同軸に位置合わせされた状態で固定された垂直部材と、水平部材の中に配置されたウェッジアセンブリとを有し、ウェッジアセンブリの一部は水平部材をロゼットにロックするために使用される足場システムである。垂直部材に沿って、複数の等間隔で配置されたロゼットが同軸に位置合わせされた状態で固定され、少なくとも1つのロゼットは、水平部材の端部を受け入れるように構成された開口のパターン又は格子状開口を有する。