JP2014503994A - 被装構造体を製造するための方法 - Google Patents

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Abstract

電子装置の被装部(1)を製造するための方法であって、金属製の外板部(3)を備えた被装部素材(2)を選択することと、電気分解に基づく方法を使って外板部(3)の表面上に被覆層(4)を製造することとを含む方法。

Description

本発明は、電子装置の被装部を製造するための方法であって、金属製の外板部を備えた被装部素材を選択することと、その外板部の表面上に被覆層を製造することとを含む方法に関する。
本発明は更に、電子装置に関する。
無線データ伝送特性が搭載された、被装が金属製の移動局及び対応の電子装置の需要が、絶えず増加している。これは、金属被装が、丈夫で高品質な製品の印象を与えることによるものである。
しかし、汚れた金属表面は汚れを落とすのが極めて困難であるという課題がある。金属表面がもつ汚れるという性向を低減し且つ/又は金属表面の汚れを容易に落とせるようにする被覆層で金属表面を被覆することが知られている。しかし、PVD(物理気相成長)コーティング法等の被覆形成に使用される方法は、使用するのが難しい上に、費用がかかる。
本発明の目的は、新規且つ改良型の、電子装置の被装部を製造するための方法、及び電子装置の被装部を提供することである。
被装部を製造するための本発明の方法及び本発明の被装部は、独立請求項の特徴部分の記載によって特徴付けられる。本発明の他の実施例は、他の請求項の開示によって特徴付けられる。
本特許出願の明細書及び図面にも、発明的実施例が開示されている。本特許出願の発明的内容は、後掲の請求項に規定されるものとは別の態様で規定することも可能である。特に、明示的若しくは黙示的な副次的作業の観点から、又は得られる便益群若しくは複数組の便益集合に鑑みて本発明を検討すれば、本発明的内容は、諸々の別個の発明で構成できる場合もある。その場合、それら別個の発明的観念に鑑みれば、後掲の請求項に包含される規定の一部は、無くてもかまわない。本発明の様々な実施例の特徴的事項は、基本的な発明的観念の範囲内で、他の実施例に適用することができる。
以下に、本発明のいくつかの実施例の特徴的事項を無作為に列挙する:
−外板部はステンレス鋼製である。
−透明な被覆層が作製される。
−本質的に不透明な被覆層が作製される。
−被覆層は着色剤を含む。
−被覆層は、平均5〜50μm、好ましくは10〜15μmの厚さで作製される。
−被覆層の上に付加層が作製される。
−電子装置は移動遠距離通信装置である。
本発明の観念は、被装部の金属表面が、電気分解に基づくコーティング方法を使って被覆されることである。これの利点は、いくつかの異なる材料から成る被覆を形成でき、それによってその被覆の性質をほとんど無限に変更できることから、本方法の費用が安くなること、及び被覆された被装部がSTR試験に合格することである。
本発明のいくつかの実施例について、添付図面に沿って更に詳細に説明する。
本発明の被装部の概略断面図である。 本発明の方法の概略図である。
図面では、本発明のいくつかの実施例は、見易くするために簡略化して示されている。図面では、同様の参照番号は同様の要部を指している。
図1は、本発明による電子装置の被装部の概略断面図である。被装部1の断面が同図に示す実施例と異なっていてもよいことは、明らかである。
本明細書では、電子装置は、特に可搬型の電子装置を指す。例えば、携帯電話、通信機器、パームトップコンピュータ、ポータブルコンピュータ、ゲームコンソール又はゲームコントローラ、音響素材及び/又は映像素材用再生装置、ナビゲータといったものである。電子装置の被装構造体は、典型的には、1又は複数の被装部を備えている。これらの被装部は、別の被装部及び/又はその装置のフレームに、固定的に又は開閉可能に装着される。上記被装構造体によって形成される閉鎖空間は、電子装置の機能に必要な電子コンポーネントを収納しており、それらのコンポーネントは、その被装構造体によって、例えばちり、ほこり、及び機械的応力から防護されている。
被装部1は、金属製の外板部3と、その表面上に構成された被覆層4とを備えている。同図に示す実施例では、被装部1は、外板部3及び被覆層4だけで形成されている。別の実施例では、被装部1は、外板部3及び被覆層4だけでなく、1又は複数の他の要部も備えている。上記他の要部は、プラスチック、金属、又はプラスチック複合物により構成することが可能である。上記他の要部は、被覆層4で被覆されている場合もあれば、被覆されていない場合もある。被覆層4が付着しないように、上記他の要部に、例えばコーティングプロセス中に覆いを被せておくことができる。或いは、上記他の要部の材料は、被覆材料が結合しない類の材料とすることができる。1又は複数の他の要部が、射出成形のインサートとして、接着によって、又はねじ、ピン、若しくはリベットといった固定部材を用いて、外板部3に固定されている場合もある。
外板部3の金属は、ステンレス鋼等の鋼、アルミニウム、又は任意の導電性金属とすることができる。
被覆層4は、透明とすることができる。この場合、それを通して下の外板部3を視認することができる。透明な被覆層4は、無色の層とすることもできれば、着色層、即ち彩色された層とすることもできる。更に、被覆層4は、本質的に不透明とすることもできる。この場合、それを通して下の外板部3を視認することはできない。
被覆層の平均厚は、10〜15μmのように、5〜50μmの範囲とすることができる。但し、厚さは、0.1〜4μmのように、5μm未満とすることも可能である。厚さは、50μmを超えるものであっても可能であり、最大ミリメートルの範囲の厚さまで可能である。
図2は、本発明の方法の一実施例の概略図である。
被覆層4は、混合液6を収容したコーティングトレイ5の中で作製される。混合液6は、典型的には、好ましくは80〜90重量パーセントの脱イオン水を収容している。混合液6の他の部分は、コーティング粒子を含んでいる。コーティング粒子は、高分子材料を含んでおり、必要な場合、着色剤及び/又は何か他の添加剤を含んでいる。前記高分子材料は、エポキシ又はアクリルといった熱硬化プラスチックであることが好ましい。
金属製の外板部3を備えた被装部素材2は、混合液6の中に浸漬されている。素材2は、第1の電極7aと一緒に電極対を形成しており、直流電圧源8に接続されている。混合液6は更に、電極対の第2の電極7bも収容しており、これも、前記直流電圧源8に接続されている。図2に示す実施例では、素材2は、カソード、即ち負極となるように配置されている。それに対応して、第2の電極7bは、正極となるように配置されている。このタイプのカソード型の実施例では、混合液6中のコーティング粒子は、正に帯電している。
電極相互間の電流は、水の電気分解を誘発する。電気分解の結果として、正に帯電したコーティング粒子は電気的に不安定になり、反対の電荷を有する素材2の表面に凝結する。コーティング粒子の薄い層が、素材2の表面に出現する。上記凝結は、典型的には、混合液6と接触するであろう導電性表面が素材2に残されていないときに終了する。
本発明の別の実施例では、素材2は、アノード、即ち正極になるように配置される。このタイプのアノード型の実施例は、負に帯電したコーティング粒子を使用する。これらの粒子は、電気分解の結果として、素材2の表面に堆積する。
本方法は、上記コーティングステップに先立って、前処理ステップ9を含んでいることが好ましい。この前処理ステップでは、実際のコーティングプロセスの際に高品質の被覆が製作されるように、素材2の外板部3又は素材2全体の汚れが落とされ、必要であれば、例えばリン酸塩処理のような前処理が施される。
加えて、本方法は、コーティングステップに続く後処理ステップ10を含んでいることが好ましい。これは、素材表面から余分なコーティング粒子が除去される流水洗浄ステップ等の諸々の部分的ステップを包含することができる。それら除去後の粒子は、回収されてコーティングプロセスに戻されることが好ましい。後処理ステップ10は、コーティング粒子が丈夫で硬質の被覆層を形成するように素材が加熱される、熱処理ステップを含んでいることが好ましい。熱処理の結果として、被覆層4の熱硬化性プラスチックは、架橋構造を形成する。熱処理の継続時間及び温度は、被覆材料に応じて選択される。典型的には、熱処理は、少なくとも20分間継続する。最低温度は、典型的には約80℃である。選択の際に、素材の諸特性、例えば材料の熱抵抗が考慮されなければならないことは、当然のことである。
本方法は、例えば搬送機によって搬送されるように素材2が配置されるような態様で、自動化することができる。この搬送機は、方法のステップ全てにわたって素材2を移送することが好ましい。電極対を形成するのに必要な電気回路は、その搬送機を介して形成することができる。
被覆層4上に保護膜層を構成することができる。この場合、被覆層4は、被装部1に対する上記付加層の接着性を向上する下塗りの働きをする。上記付加層は、前に説明した方法又は何か他の公知のコーティング方法そのものを用いて作製することができる。
上掲の態様で被覆された被装部1は、例えば携帯電話の被装部に使用される典型的なSTR(Standard Technology Requirements)試験に合格する。STR試験は、化学染色、溶剤耐性、接着性、振動磨耗、指紋、UV、湿気、温度衝撃、及び塩水噴霧の各試験が独立して行われる試験、及び前記試験が種々の組み合わせで行われる試験、といった被装部2の特性に関する試験含む。
場合によっては、他の特徴的事項に関わらず、本出願に開示の特徴的事項をそのまま使用することができる。逆に、必要であれば、本出願に開示の特徴的事項を組み合わせて、多種多様に複合化することができる。
以上を総括して言えることは、本発明による方法は、電気分解に基づく方法を使って被覆層を製造することを特徴とする、ということである。
更に、本発明の電子装置が、請求項1による被装部を備えることを特徴とすることも、表明することができる。
図面及び関連の説明は、本発明の観念を例示することを意図されているに過ぎない。当業者であれば明らかなように、本発明は、例示を目的に説明されている前述の実施例に限定されない。後掲の請求項に規定の発明的観念の範囲内で、本発明の多くの変更形態及び様々な実施例が実現可能である。

Claims (9)

  1. 金属製の外板部(3)を備えた被装部素材(2)を選択することと、
    前記外板部(3)の表面上に被覆層(4)を製作することと、
    を含む、電子装置の被装構造体(1)を製造するための方法であって、
    電気分解に基づく方法を使って前記被覆層(4)を製作することを特徴とする方法。
  2. 前記外板部(3)はステンレス鋼製であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 透明な被覆層(4)を製作することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 本質的に不透明な被覆層(4)を製作することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
  5. 前記被覆層(4)は着色剤を含むことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
  6. 平均厚が5〜50μm、好ましくは10〜15μmである被覆層(4)を製作することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記被覆層(3)上に付加層を製作することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法。
  8. 請求項1の前記被装部(1)を備えることを特徴とする、電子装置。
  9. 移動遠距離通信装置であることを特徴とする、請求項8の電子装置。
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