JP2014237071A - プラント故障予兆検知及び回復支援システム - Google Patents
プラント故障予兆検知及び回復支援システム Download PDFInfo
- Publication number
- JP2014237071A JP2014237071A JP2013119397A JP2013119397A JP2014237071A JP 2014237071 A JP2014237071 A JP 2014237071A JP 2013119397 A JP2013119397 A JP 2013119397A JP 2013119397 A JP2013119397 A JP 2013119397A JP 2014237071 A JP2014237071 A JP 2014237071A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- plant
- seawater
- water quality
- failure
- seawater desalination
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02A—TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
- Y02A20/00—Water conservation; Efficient water supply; Efficient water use
- Y02A20/124—Water desalination
- Y02A20/131—Reverse-osmosis
Landscapes
- Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
Abstract
【課題】海水淡水化プラントの装置の故障あるいは異常をより早期に検知するとともに、検知内容に基づき原因を決定、運転員に対し適切な対策を提示する。【解決手段】本発明は、海水淡水化プラント2を構成する装置の故障を検知する手段6と、装置内部を流れる流体(海水、造水)の水質の異常を検知する手段7を備え、検知する手段6,7の検知結果から海水淡水化プラント2を回復するための複数の対策方法を提示することによって上記課題を解決する。【選択図】図1
Description
本発明は、海水から淡水を製造するプラントの制御システムに関する。
海水から淡水を製造し、飲用あるいは工業用として提供する海水淡水化プラントには、メーカ各社より蒸発法、逆浸透法など種々の方式が提案されている。
例えば蒸発法は、ボイラなどの熱源を用いて海水を熱して蒸気を得、さらにこの蒸気を冷却して淡水を得る方法である。一方、逆浸透法は、海水を加圧し、この海水を逆浸透膜(RO膜)と呼ばれる濾過膜に通すことで海水から淡水(造水)を濾し出す方法である。海水の加圧には高圧ポンプを用いる。高圧ポンプの駆動には駆動力であるタービン、あるいは発電プラントなどの電源が必要となる。
上に述べた方法のうち、逆浸透法による海水淡水化プラントでは、高圧ポンプの揚低、RO膜の濾過性能が造水の製造量に大きく影響する。たとえば、海水中には塩分、微量金属のほか微生物が含まれる。特に微生物は、有機物を餌としてRO膜の表面にバイオフィルムと呼ばれるコロニーを形成し、海水の膜通過を阻害する。一般にバイオフィルムが発生した海水淡水化プラントは、造水製造量が大きく低下することが知られている。
一方、海水が高酸性ないし高アルカリ性へと変化した場合には、高圧ポンプ内部の部材が腐食・損傷して、圧力・流量の低下、腐食割れなどのトラブルの原因となる。RO膜は、膜メーカが指定する圧力まで海水を加圧することで所定の濾過性能が発揮される。そのため、高圧ポンプにて充分な圧力が得られない場合にはプラントを停止し、装置の交換、修理などの対策を講じる必要がある。
たとえば特許文献1には、海水淡水化プラントにおいて、エネルギー回収装置の故障や逆浸透膜の劣化を検出した際、故障や劣化を運転員に警報にて知らせるとともに、劣化の場合にはRO膜を洗浄し、また故障の場合はポンプの運転方法を切り換えるなどの対策を講じる運転管理方法が記載されている。
特許文献1の運転管理方法は、プラント計測値および装置の機械的な特性に基づき異常の発生有無を検知する。これら方法にて検知された異常は、制御装置を通じて運転員へと通報される。また、異常に基づき運転員に対策を指示、故障発生を想定して予め用意されたプラント制御へと切り替えることを特徴とする。
しかしながら、飲用水や工業用水を継続して供給することが求められる海水淡水化プラントにおいては、これら装置の異常をなるべく早期に検知し、故障発生を回避することでなるべく運転を継続することが望ましい。故障や装置の異常は、圧力・流量・水の成分などのごくわずかな変化に端を発し、その後徐々に変化が拡大して装置の故障あるいはプラントの停止に至る。そのため、装置の異常に関しては、圧力・流量・水の成分などといった計測点のみならず、現場運転員による定時巡回や保守点検などにおける情報も反映される必要がある。このように、海水淡水化プラントにおいては造水製造量の低下や装置の故障をなるべく早期に検出するとともに、トラブル発生時には速やかに最善の対策を講じることが望ましい。
また、RO膜や高圧ポンプなど複数の装置から構成される海水淡水化プラントにおいては、プロセス上流側の異常が下流側へと伝播する。特に、非圧縮性流体である水を扱う本プラントでは、圧力や流量の異常は、瞬時にプラント全体へと波及する。そのため、異常が発生した箇所を精度よく特定する必要がある。
本発明の目的は、海水淡水化プラント内の複数の装置において、当該装置の故障あるいは異常をより早期に検知するとともに、検知内容に基づき原因を決定、運転員に対し適切な対策を提示する点にある。
本発明は、プラントを構成する装置の故障を検知する手段と、装置内部を流れる流体(海水、造水)の水質の異常を検知する手段と、前記検知結果からプラントを回復するための複数の対策方法を運転員に提示する手段とを備える。
本発明のプラント故障予兆検知及び回復支援システムは、装置の異常を海水の化学的特性及び機械的特性から検知することにより、海水及び造水に間欠的に注入される薬品類を外乱として異常の発生箇所を適切に特定できる。
プラントからの流量・圧力・温度計測値から得られた装置の機械的性能指標を計算する手段と、装置内部を流れる流体(海水、造水)の成分から得られた水質の化学的性能指標を計算する手段とを備えた。
また、前述の装置の機械的性能指標から、装置における故障発生箇所を推定する手段と、水質の化学的性能指標から、装置における水質異常の発生箇所を推定する手段とを備えた。
さらにまた、先に計算した装置の機械的性能指標と、水質の化学的性能指標と、装置故障発生箇所と、水質異常の発生箇所から、あらかじめ用意されたプラントを正常に回復するためのプラント操作方法あるいは対策方法から適切な操作方法ないし対策方法を選択する手段と、選択した部を運転員に提示する手段とを備えた。
さらにまた、運転員によってなされたプラント操作あるいは対策を入力するとともに、故障あるいは異常発生時の装置の機械的性能指標および水質の化学的性能指標と、対策後の装置の機械的性能指標および水質の化学的性能指標とを比較し、運転員によってなされたプラント操作あるいは対策の改善効果を計算する手段を備え、この効果に応じてあらかじめ用意したプラント操作方法あるいは対策方法の表示順序あるいは表示の有無を修正する手段とを備えた。
本発明の好適な一実施形態である海水淡水化プラントの予兆検知異常診断システムについて説明する。
図1は、本実施例の海水淡水化プラント2の予兆検知異常診断システム1のシステム構成図である。
海水淡水化プラント(以下、プラント)2は、プラント制御装置3に対し水温・ポンプ吐出圧力・造水の製造量・水質等の計測値を送信(出力)する。プラント制御装置3は、水温・ポンプ吐出圧力・造水の製造量・水質等の計測値を受信(入力)し、プラント2の計測値、たとえばポンプ吐出圧力、造水の製造量が目標の値となるよう、プラント2に対しポンプ回転数、バルブ開度等の操作量を出力する。
プラント2の計測値およびプラント制御装置3の操作量は、プラント操作部4に備えたモニターなどの表示装置に表示される。表示装置でその数値を確認した運転員が、同じく操作部4に備えた操作卓などを用いて直接指定することも可能である。
かかるプラントおよび制御装置に対し、本実施例の予兆検知異常診断システム1は、制御装置2よりプラントの計測値および操作量を装置故障検知部6および水質異常検知部7に入力する。
装置故障検知部6では、装置性能指標計算部11において、プラント2の計測値および操作量を入力し、プラント構成機器の性能指標を計算する。また、故障箇所推定部12において、前記プラント構成機器の性能指標を入力し、プラントにおける機器の故障発生位置を特定する。
次に、水質異常検知部7では、水質指標計算部9において、プラントの計測値および操作量を入力し、プラント内の水質指標を計算する。また、異常箇所推定部10において、前記水質指標を入力し、プラントにおける水質の異常発生位置を特定する。
次に、プラント回復支援部8では、装置故障検知部6において計算した性能指標と故障発生位置、さらに水質異常検知部7において計算した水質指標と異常発生位置を入力し、故障あるいは異常に対するプラント回復方法の一覧を回復方法候補表示部5に出力する。
次に、運転員は、前記回復方法候補表示部5に示されたプラント回復方法の一覧と、現場において収集される各種プラント状態(騒音、振動など)に基づいて、一覧の中から任意のプラント回復方法を選択し、プラント操作部4にて回復方法を実行する。運転員が選択した回復方法は、プラント回復支援部8へと入力される。
運転員からの対策結果が入力された場合には、プラントの故障あるいは水質の異常が発見された際の機器性能の指標および水質の指標と、現在の機器性能の指標および水質の指標とを比較し、指標の改善が高い対策については、回復方法候補表示部5での表示順位を上げるよう順位を修正する。逆に、指標の改善が低い対策については、表示の順位を下げるよう順位を修正する。これにより、次回以降は効果のあった対策がより上位に表示され、次回以降プラント故障あるいは水質異常が発生した場合の適切な回復方法が示される。
以上に述べた予兆検知異常診断システム1では、機器の故障、水質の異常の度合いをそれぞれ装置性能指標および水質指標として計算し、この値に基づき予兆を検知するほか、対策の効果を評価する。
次に、本システムにおける装置性能指標および水質指標の計算方法について図2を用いて説明する。
図2は、本システムの予兆検知対象である海水淡水化プラント1の系統構成図の一例である。なお、図2において、プラント2の主要部分である高圧ポンプ21、RO膜23、圧力回収装置24と、それに付随する補機のみ示している。
給水ポンプ20は、海水28を汲み上げ、これを高圧ポンプ21および圧力回収装置24に供給する。
圧力回収装置24では、海水の一部をRO膜23からの加圧された濃縮水を用いて加圧するとともに、ブースターポンプ22によりその水圧をさらに高める。
また、高圧ポンプ21においても、海水を所定の圧力まで加圧する。
高圧ポンプ21出口およびブースターポンプ22出口で得られた高圧の海水はRO膜23へと供給する。RO膜23では、膜の逆浸透作用を用いて加圧した海水から造水29を濾し取る。このとき、造水の圧力はほぼ大気圧まで低下している。また、造水を濾しとったのちの海水は、圧力回収装置24にて給水ポンプ20側の海水へとその圧力を伝達し、濃縮水30として排水される。
なお、本プラント2には、給水ポンプ20の出口、RO膜23の造水側出口、および圧力回収装置24の濃縮水側出口に薬品注入の配管25、26、27をそれぞれ備える。配管25からは、RO膜でのファウリングを防止するための酸・アルカリの薬液を注入する。また、配管26からは、RO膜での濾過に伴い酸性となった造水のpHを調整するための薬液を注入する。配管27においても同様に、濃縮水のpHを調整するための薬液を注入し、濃縮水を排水として放流する際に環境への影響を最小限とする。
図2に示すように、本実施例のプラント2は、プラント2内部の機器の状態を監視・制御するための圧力・流量・温度を計測する圧力流量計測器37、38、39、40、41、42、43と、プラント2の内部の水質を監視・制御するための水質計測器31、32、33、34、35、36を備える。なお、図2に記載の圧力流量計測器37、38、39、40、41、42、43では、海水・造水あるいは濃縮水の圧力、流量、温度を計測する。また、水質計測器は、水質のうち電気伝導度を計測する。
図2に示すように、第1の水質計測器31は、給水ポンプ20の上流側(海水28の取水側)に設置され、取水された海水28の水質を計測する。第2の水質計測器32は、取水した海水28に第1の薬品25を添加した後の流水の水質を計測する。第3の水質計測器33は、第1の薬品25を添加した後の流水であって、RO膜23に入る前の流水の水質を計測する。第1の水質計測器31、第2の水質計測器32及び第3の水質計測器33が、プラント2内部を流れる流水の流れの上流側(海水28の取水側)からこの順番で配置され、RO膜23で処理される前の流水の水質を計測する。第4の水質計測器34は、RO膜23で処理された後の流水(造水)の水質を計測する。第5の水質計測器35は、RO膜23で処理された後の流水(造水)であって、第2の薬品26を添加した後の流水の水質を計測する。第4の水質計測器34及び第5の水質計測器35が、上流側からこの順番で配置される。第6の水質計測器36は、RO膜23の処理で生成された濃縮水30の水質を計測する。
図2に示すように、第1の圧力流量計測器37は、給水ポンプ20と高圧ポンプ21の間を流れる流水の圧力・流量・温度を計測する。第2の圧力流量計測器38は、給水ポンプ20と圧力回収装置24の間を流れる流水の圧力・流量・温度を計測する。この第2の圧力流量計測器38は、圧力回収装置24に入る前の流水の圧力・流量・温度を計測している。第3の圧力流量計測器39は、圧力回収装置24と当該圧力回収装置24の後段に配置されるブースターポンプ22の間を流れる流水の圧力・流量・温度を計測する。第4の圧力流量計測器40は、ブースターポンプ22とRO膜23の間を流れる流水の圧力・流量・温度を計測する。第5の圧力流量計測器41は、RO膜23で処理された後の流水(造水)の圧力・流量・温度を計測する。第6の圧力流量計測器42は、RO膜23と圧力回収装置24の間を流れる流水(濃縮水30)の圧力・流量・温度を計測する。第7の圧力流量計測器43は、圧力回収装置24を出てきた流水(濃縮水30)の圧力・流量・温度を計測する。
かかるプラント2に対し、本実施例の予兆検知異常診断システム1では、水質指標計算部8に水質計測器31、32、33、34、35、36からのpH及び電気伝導度を入力し、プラント内各機器における水質指標を計算する。
たとえば、高圧ポンプ21における水質指標X21は水質計測器32の計測結果C32及び水質計測器33の計測結果C33により〔数式1〕に示される。
〔数式1〕 X21=C32−C33
〔数式1〕 X21=C32−C33
本プラント2において高圧ポンプ前後の水質は、通常運転においては変化しない。そのため、水質指標X21は、高圧ポンプ前後の水質の差を求め、この差が変動した場合に異常と判断する。
また、RO膜23における水質指標X23は水質計測器33の計測結果C33、水質計測器34の計測結果C34、水質計測器36の計測結果C36、圧力流量計測器40の流量計測結果G40、圧力流量計測器41の流量計測結果G41、配管27に注入される薬品の流量計画値41、薬品の水質C27および関数f1により〔数式2〕に示される。
〔数式2〕 X23=(G40×f1(C33)+G27×f1(C27)−(G40−G41)×f1(C36))÷G41−f1(C34)
〔数式2〕 X23=(G40×f1(C33)+G27×f1(C27)−(G40−G41)×f1(C36))÷G41−f1(C34)
ここで、上記〔数式2〕の関数f1は、液体の電気伝導度から液体中の不純物の割合の算出に用いる。上記〔数式2〕は、RO膜入口及び出口における不純物の質量バランスより、RO膜濃縮水側の不純物量を推定し、これを実際の不純物量と比較するものであり、この差が変動した場合にはRO膜の水質異常と判断する。
なお、本実施例では異常の診断に上記〔数式1〕及び〔数式2〕に示す指標を用いる。これにより異常と判断するための計測値の量を削減することが可能となる。
本実施例の海水淡水化プラント2の予兆検知異常診断システムにおける異常箇所推定部10では、プラント運転中の水質指標(例えば、本実施例ではX21、X23)を逐次計算し、各指標の変化からそれぞれの機器における水質異常の有無を判定する。異常の判定方法としては、閾値を設けて水質が閾値を超えた場合に異常とする方法、複数の指標の傾向(傾き、平均値、分散)の変化をとらえ異常とする方法、複数の指標をデータ群とみなし、データ群の傾向の変化をとらえ異常とする方法などがあるが本システムではどの方法を用いても良い。
なお、本実施例では水質として電気伝導度を計測したが、塩分濃度を直接計測した値を用いてもよい。
次に、本実施例の海水淡水化プラントの予兆検知異常診断システムにおける装置性能指標計算部11について説明する。
装置性能指標計算部11では、プラント機器の圧力・流量及び温度から、プラント器の状態を装置性能指標として計算する。
たとえば、高圧ポンプ21における機器性能指標としては、ポンプからの水の漏れ出し量を評価する〔数式3〕と、ポンプの性能を評価する〔数式4〕がある。
〔数式3〕 Y21A=G40ーG39−G37
〔数式4〕 Y21B=f2(P40−P37、N37)−G37
〔数式3〕 Y21A=G40ーG39−G37
〔数式4〕 Y21B=f2(P40−P37、N37)−G37
ここで、上記〔数式3〕のG40、G39、G37はそれぞれ計測器40、計測器39、計測器37における流量計測値を示す。また、上記〔数式4〕のP40、P37はそれぞれ計測器40、計測器37における圧力計測値を示す。上記〔数式4〕のN37は高圧ポンプ21の回転数である。さらに、上記〔数式4〕に示す関数f2は、ポンプの性能曲線(Q−H)カーブを表す。Q−Hカーブはポンプを所定の揚低及び回転数にて作動させた場合のポンプ吐出流量(あるいは吸込流量)の関連性を曲線にて表したものである。ポンプの内部の翼が破損した場合、高圧ポンプ出口における圧力あるいは流量がQ−Hカーブに示す曲線から逸脱することから、ポンプ内部の機器の性能を評価することが可能である。
ここでは高圧ポンプの性能指標について計算したが、RO膜についても同様に、RO膜メーカなどから提供されている膜の性能計算式などを利用して透過水量(造水量)の基準値を求め、これとRO膜出口の造水量との差を故障の診断指標とすればよい。
また、故障箇所推定部12では、プラント運転中において先に示した機器性能指標を逐次計算し、各指標の変化からそれぞれの機器における故障の有無を判定する。水質と同様、閾値との比較により故障を判定しても良いし、複数の指標の傾向の変化から異常をとらえてもよい。
次に、本実施例の海水淡水化プラントの予兆検知異常診断システムにおける回復方法候補選択部13について、その動作を説明する。
回復方法候補選択部13は、故障内容選択部と、回復方法選択部から構成される。故障内容選択部において故障判定に用いるテーブルの内容を表1に示す。
表1は、先にもとめた機器性能指標及び水質指標を行に、対応する故障を列に設定し、各列の故障が発生した場合の各行の指標の変化を定性的に示したものである。テーブルにおいて「+」の記号は、故障発生時に指標が正の値となる(あるいは増加する)場合、「−」の記号は故障発生時に指標が負の値となる(あるいは減少する)場合を示す。「0」は指標と故障の間に因果関係がなく指標が変化しない場合、「×」は因果関係は認められるものの指標の変動が不定の場合を示す。
このような表1に対し、回復方法候補選択部13では、まず各指標の値と図3の列との一致の度合いを評価し、一致した故障内容(P1,P2,・・・、Pn)を出力する。なお、表1は各指標の値の変化を定性的に示すのみであり、複数の故障内容が出力される場合も存在する。
次に、回復方法選択部の内容を表2に示す。
表2は、先に求めた故障内容を行に、対応する対策を列に設定した表である。表において数値は各故障に対する対策の重み(1は故障に対する対策の優先度大)を示す。回復方法選択部では、先に得られた故障に対応する各対策への重みを列毎に集計する。
また、この重みの集計値の大きいものから順に回復方法候補表示部5に出力する。
なお、先に示した表1「+」「−」などの記号は機器の特性から求められるが、表2の重みを適切に設定することは難しい。そこで、本発明においては、故障・異常を対策したあとの指標の変動量をプラント性能回復量比較部14にて計算し、表1を用いて一致した故障内容(P1’,P2’,・・・・、Pn’)を再び求める。
さらに、回復方法候補修正部15において故障内容P1,P2,・・・・,PnとP1’,P2’,・・・,Pn’を比較し、運転員が実施した対策(たとえばA1)の重み付けを再修正する。すなわち、対策により故障(たとえばP1)が検出されなくなった場合には、行P1、列A1の重みに一定値を加えたのち、行P1の全ての重みの合計値が1となるようするよう、行P1の値を0〜1で正規化する。また、対策により依然として故障が検出された場合には、対応する重みを一定値にて減じたのち、対応する行の全ての重みの合計値が1となるよう行の重みを0〜1にて正規化する。
本実施例のプラント故障予兆検知及び回復支援システムによれば、海水淡水化システムを構成する装置の異常を海水の化学的特性及び機械的特性から検知することにより、海水及び造水に間欠的に注入される薬品類を外乱として異常の発生箇所を適切に特定できるようになる。
本実施例のプラント故障予兆検知及び回復支援システムによれば、前記検知結果からプラントを回復するための複数の対策方法を表示装置に表示して運転員に提示するとともに、提示した対策方法の効果を再評価し、対策方法を修正することにより、故障発生時における対策方法の精度を高めてより適切な対策方法を提示することが可能になる。
本発明の第2の実施例である海水淡水化プラントの予兆検知異常診断システムについて説明する。
図2は、実施例2の海水淡水化プラントの予兆検知異常診断システムのシステム構成図である。
図2では、異なる場所に設置した複数基の海水淡水化プラント2の各機器の故障及び水質の異常を、各プラントに対応して設置した予兆検知異常診断部60にて検知・診断するとともに、検知・診断の結果として機器性能指標、水質指標を通信ネットワーク50を介してプラント回復支援部8に送出し、さらに、故障内容及び回復方法記録部61に記録した故障内容選択部(表1)及び回復方法選択部(表2)に基づき各プラントの予兆検知異常診断部60に対策内容を出力する。
また、各プラントの運転員の操作及び操作前後の指標に基づき回復方法選択部(表2)の重み付けを修正する。
本実施例のプラント故障予兆検知及び回復支援システムによれば、海水淡水化システムを構成する装置の異常を海水の化学的特性及び機械的特性から検知することにより、海水及び造水に間欠的に注入される薬品類を外乱として異常の発生箇所を適切に特定できるようになる。
本実施例のプラント故障予兆検知及び回復支援システムによれば、前記検知結果からプラントを回復するための複数の対策方法を表示装置に表示して運転員に提示するとともに、提示した対策方法の効果を再評価し、対策方法を修正することにより、故障発生時における対策方法の精度を高めてより適切な対策方法を提示することが可能になる。
本実施例のプラント故障予兆検知及び回復支援システムによれば、複数のプラントの機器故障、水質異常を単一のプラント回復支援部に集約することができる。そのため、複数のプラントの故障によって故障内容選択部及び回復方法選択部の精度を早期に高めることが可能となる。また、プラント回復支援部8によって複数のプラントの故障を一括で把握・管理することが可能となる。
本実施例では、通信ネットワーク50を介して機器性能指標、水質指標をプラント回復支援部8に送出しているが、機器性能指標及び水質指標は各プラントに共通の指標であり、各プラントで計測器の種類や計測位置が異なる場合においても、各プラントを共通的に診断することが可能となる。
海水淡水化プラントの機器故障、水質の異常を検知するとともに、運転員に対し適切な対策を提示することが可能となる。
1・・・予兆検知異常診断システム
2・・・海水淡水化プラント
3・・・プラント制御装置
4・・・プラント操作部
5・・・回復方法候補表示部
6・・・装置故障検知部
7・・・水質異常検知部
8・・・プラント回復支援部
9・・・水質指標計算部
10・・・異常箇所推定部
11・・・装置性能指標計算部
12・・・故障箇所推定部
13・・・回復方法候補選択部
14・・・プラント性能回復量比較部
15・・・回復方法候補修正部
20・・・給水ポンプ
21・・・高圧ポンプ
22・・・ブースターポンプ
23・・・RO膜
24・・・圧力回収装置
25・・・第1の薬品
26・・・第2の薬品
27・・・第3の薬品
28・・・海水
29・・・造水
30・・・濃縮水
31・・・第1の水質計測器
32・・・第2の水質計測器
33・・・第3の水質計測器
34・・・第4の水質計測器
35・・・第5の水質計測器
36・・・第6の水質計測器
37・・・第1の圧力流量計測器
38・・・第2の圧力流量計測器
39・・・第3の圧力流量計測器
40・・・第4の圧力流量計測器
41・・・第5の圧力流量計測器
42・・・第6の圧力流量計測器
43・・・第7の圧力流量計測器
50・・・通信ネットワーク
60・・・予兆検知異常診断部
61・・・故障内容及び回復方法記録部
2・・・海水淡水化プラント
3・・・プラント制御装置
4・・・プラント操作部
5・・・回復方法候補表示部
6・・・装置故障検知部
7・・・水質異常検知部
8・・・プラント回復支援部
9・・・水質指標計算部
10・・・異常箇所推定部
11・・・装置性能指標計算部
12・・・故障箇所推定部
13・・・回復方法候補選択部
14・・・プラント性能回復量比較部
15・・・回復方法候補修正部
20・・・給水ポンプ
21・・・高圧ポンプ
22・・・ブースターポンプ
23・・・RO膜
24・・・圧力回収装置
25・・・第1の薬品
26・・・第2の薬品
27・・・第3の薬品
28・・・海水
29・・・造水
30・・・濃縮水
31・・・第1の水質計測器
32・・・第2の水質計測器
33・・・第3の水質計測器
34・・・第4の水質計測器
35・・・第5の水質計測器
36・・・第6の水質計測器
37・・・第1の圧力流量計測器
38・・・第2の圧力流量計測器
39・・・第3の圧力流量計測器
40・・・第4の圧力流量計測器
41・・・第5の圧力流量計測器
42・・・第6の圧力流量計測器
43・・・第7の圧力流量計測器
50・・・通信ネットワーク
60・・・予兆検知異常診断部
61・・・故障内容及び回復方法記録部
Claims (4)
- 海水を加圧する高圧ポンプと前記高圧ポンプで加圧した海水から淡水を得るRO膜を備える海水淡水化プラントの監視制御装置であって、
前記海水淡水化プラントを構成する装置の内部を流れる海水又は造水の流量、圧力及び温度計測値の情報の少なくともいずれか一つの情報に基づく機械的性能指標を計算する手段と、
前記海水淡水化プラントを構成する装置の内部を流れる海水又は造水の成分から得られた水質の化学的性能指標を計算する手段と、
前記機械的性能指標及び前記化学的性能指標から前記装置の機械故障あるいは水質の異常を検知する手段と、
前記機械故障又は水質異常からプラントを回復するための操作方法ないし対策方法を複数表示する手段を備えたことを特徴とする海水淡水化プラント故障予兆検知及び回復支援システム。 - 請求項1に記載の海水淡水化プラント故障予兆検知及び回復支援システムであって、
運転員によってなされたプラント操作あるいは対策を入力する手段を備え、当該操作あるいは対策の前および後の前記機械的性能指標あるいは前記化学的性能指標を比較し、比較結果に基づき対策方法の表示順序あるいは表示の有無を修正する手段を備えたことを特徴とする海水淡水化プラントの故障予兆検知及び回復支援システム。 - 機械的性能指標を計算する手段は、
海水淡水化プラントに設置された計測器から受け取る、前記海水又は造水の流量、圧力及び温度計測値の情報を用いて機械的性能指標を計算することを特徴とする請求項1又は2に記載の海水淡水化プラント故障予兆検知及び回復支援システム。 - 化学的性能指標を計算する手段は、
海水淡水化プラントに設置された水質計測器から受け取る、前記海水又は造水の水質の情報を用いて化学的性能指標を計算することを特徴とする請求項1又は2に記載の海水淡水化プラント故障予兆検知及び回復支援システム。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013119397A JP2014237071A (ja) | 2013-06-06 | 2013-06-06 | プラント故障予兆検知及び回復支援システム |
CN201410227546.0A CN104238542A (zh) | 2013-06-06 | 2014-05-27 | 设备故障预兆检测和恢复支援系统 |
IN2690CH2014 IN2014CH02690A (ja) | 2013-06-06 | 2014-06-02 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013119397A JP2014237071A (ja) | 2013-06-06 | 2013-06-06 | プラント故障予兆検知及び回復支援システム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014237071A true JP2014237071A (ja) | 2014-12-18 |
Family
ID=52134734
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013119397A Pending JP2014237071A (ja) | 2013-06-06 | 2013-06-06 | プラント故障予兆検知及び回復支援システム |
Country Status (3)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2014237071A (ja) |
CN (1) | CN104238542A (ja) |
IN (1) | IN2014CH02690A (ja) |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104102198A (zh) * | 2014-07-04 | 2014-10-15 | 中广核工程有限公司 | 一种px能量回收装置故障监测系统及方法 |
WO2016158801A1 (ja) * | 2015-03-31 | 2016-10-06 | 三菱重工業株式会社 | 作業計画システム、作業計画方法、意思決定支援システム、コンピュータプログラム、及び記録媒体 |
KR20180008152A (ko) * | 2016-07-15 | 2018-01-24 | 두산중공업 주식회사 | 담수화 플랜트 설비 관리 장치 및 시스템 |
WO2019225307A1 (ja) * | 2018-05-21 | 2019-11-28 | 栗田工業株式会社 | 除濁システムの診断装置 |
JP2020163302A (ja) * | 2019-03-29 | 2020-10-08 | 栗田工業株式会社 | 水処理装置の管理システム |
CN113666457A (zh) * | 2021-08-31 | 2021-11-19 | 重庆夏软科技有限公司 | 一种基于水质监测的净水优化系统及方法 |
WO2022065322A1 (ja) * | 2020-09-25 | 2022-03-31 | 株式会社ササクラ | 真空蒸発式造水装置を管理する管理装置 |
JP7520268B1 (ja) | 2023-08-29 | 2024-07-22 | 三菱電機株式会社 | 水処理プラントの異常診断システムおよび水処理プラントの異常診断方法 |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106053111B (zh) * | 2016-06-21 | 2019-04-09 | 首钢京唐钢铁联合有限责任公司 | 一种判定海水淡化设备故障的方法 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005246239A (ja) * | 2004-03-04 | 2005-09-15 | Ebara Corp | 膜ろ過装置及びその運転方法 |
JP2010089036A (ja) * | 2008-10-09 | 2010-04-22 | Ebara Corp | 膜分離装置、膜分離装置の運転管理方法 |
CN201359700Y (zh) * | 2009-02-27 | 2009-12-09 | 德阳市伊诗特科技有限公司 | 配置冗余控制器和冗余网络的海水淡化控制系统 |
-
2013
- 2013-06-06 JP JP2013119397A patent/JP2014237071A/ja active Pending
-
2014
- 2014-05-27 CN CN201410227546.0A patent/CN104238542A/zh active Pending
- 2014-06-02 IN IN2690CH2014 patent/IN2014CH02690A/en unknown
Cited By (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104102198A (zh) * | 2014-07-04 | 2014-10-15 | 中广核工程有限公司 | 一种px能量回收装置故障监测系统及方法 |
WO2016158801A1 (ja) * | 2015-03-31 | 2016-10-06 | 三菱重工業株式会社 | 作業計画システム、作業計画方法、意思決定支援システム、コンピュータプログラム、及び記録媒体 |
JPWO2016158801A1 (ja) * | 2015-03-31 | 2018-01-25 | 三菱重工業株式会社 | 作業計画システム、作業計画方法、意思決定支援システム、コンピュータプログラム、及び記録媒体 |
US10963826B2 (en) | 2015-03-31 | 2021-03-30 | Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. | Work planning system, work planning method, decision-making support system, computer program, and storage medium |
KR20180008152A (ko) * | 2016-07-15 | 2018-01-24 | 두산중공업 주식회사 | 담수화 플랜트 설비 관리 장치 및 시스템 |
KR101867063B1 (ko) | 2016-07-15 | 2018-06-14 | 두산중공업 주식회사 | 담수화 플랜트 설비 관리 장치 및 시스템 |
JP2019202242A (ja) * | 2018-05-21 | 2019-11-28 | 栗田工業株式会社 | 除濁システムの診断装置 |
WO2019225307A1 (ja) * | 2018-05-21 | 2019-11-28 | 栗田工業株式会社 | 除濁システムの診断装置 |
JP2020163302A (ja) * | 2019-03-29 | 2020-10-08 | 栗田工業株式会社 | 水処理装置の管理システム |
JP7314571B2 (ja) | 2019-03-29 | 2023-07-26 | 栗田工業株式会社 | 水処理装置の管理システム |
WO2022065322A1 (ja) * | 2020-09-25 | 2022-03-31 | 株式会社ササクラ | 真空蒸発式造水装置を管理する管理装置 |
CN113666457A (zh) * | 2021-08-31 | 2021-11-19 | 重庆夏软科技有限公司 | 一种基于水质监测的净水优化系统及方法 |
JP7520268B1 (ja) | 2023-08-29 | 2024-07-22 | 三菱電機株式会社 | 水処理プラントの異常診断システムおよび水処理プラントの異常診断方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
IN2014CH02690A (ja) | 2015-10-23 |
CN104238542A (zh) | 2014-12-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2014237071A (ja) | プラント故障予兆検知及び回復支援システム | |
JP6878256B2 (ja) | 水質診断システム、発電プラント、及び水質診断方法 | |
JP6469980B2 (ja) | 故障診断システム及び故障診断方法 | |
US9314742B2 (en) | Method and system for reverse osmosis predictive maintenance using normalization data | |
CN111051806A (zh) | 冷却水监测和控制系统 | |
JP2007330843A (ja) | 水処理施設の管理システム | |
RU2014130015A (ru) | Способ мониторинга работы системы обработки жидкого пищевого продукта | |
JP2009178713A (ja) | 水処理施設の管理システム | |
JP7437998B2 (ja) | 水処理システム、水処理システムの運転管理支援システム及び水処理システムの運転方法 | |
JP3311158B2 (ja) | 造水プラントの運転制御装置 | |
CN110821849B (zh) | 一种消防泵汽蚀监控方法 | |
WO2015198898A1 (ja) | プラント異常予知装置、異常予知装置、表示装置及び表示方法 | |
US20230072711A1 (en) | Apparatus and methods for cleaning reverse osmosis systems | |
KR102041670B1 (ko) | 막분리 모듈의 파울링을 판별하는 막여과 시스템 | |
JP5638636B2 (ja) | 制御装置、制御システム及び制御方法 | |
JP2008196889A (ja) | 水質計測システム | |
JP2016097342A (ja) | 時期管理装置、時期管理方法、時期算出装置、およびプログラム | |
CN113077008A (zh) | 蠕动泵故障预测方法、装置及蠕动泵 | |
JP6660029B2 (ja) | 調節弁の開度異常検出装置、開度異常検出方法 | |
Lior et al. | Advanced instrumentation, measurement, control and automation (IMCA) in multistage flash (MSF) and reverse-osmosis (RO) water desalination | |
JP2021051527A (ja) | 浄化槽用ブロワー及びポンプ、制御盤の保守・点検システム | |
JP3235584U (ja) | 浄化槽用ブロワー及びポンプ及び制御盤の保守点検システム | |
CN113713624B (zh) | 一种污水处理的双陶瓷膜一体化装置及压力故障判断方法 | |
WO2022181687A1 (ja) | Roシステムの制御方法 | |
Cox et al. | Improving shipboard maintenance practices using non-intrusive load monitoring |