JP2014235406A - 部品の製造方法および加工装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】球面レンズ等の光学素子の研磨加工において、加工条件を簡易に設定でき、かつ表面欠陥を生じさせず、被加工物を目標とする形状に加工するための方法を提供する。【解決手段】工具1と被加工物5とを相対的に移動させることで、被加工物5を目標とする形状に加工する被加工物5の製造方法であって、前記工具1は支持部11と、前記被加工物5と対向する面に形成された遷移金属を含む触媒部12と、前記支持部11と前記触媒部12との間に配された弾性体13とを有し、前記触媒部12と前記被加工物5との間に水分子を含有する加工液9を介在させて前記工具1と前記被加工物5を相対的に移動させる。【選択図】図1

Description

本発明は、球面レンズ等の部品の製造方法および加工装置に関するものである。
従来、球面レンズ等の光学素子の研磨加工方法としては、発泡ポリウレタン等の弾性体工具に砥粒を含む研磨スラリーを供給し、工具に砥粒を一時的に保持させ、被加工物に前記砥粒を一定荷重で接触させる。そして工具と被加工物を相対的に回転および揺動させることで、被加工物を破壊しながら除去を行う遊離砥粒研磨方法が一般的である。この加工動作により、被加工物を所望の形状に加工するとともに、平滑化された面を得る。この遊離砥粒研磨方法における研磨量は、工具と被加工物の接触圧力、工具と被加工物の相対速度および工具と被加工物の接触時間(滞留時間)に比例することが知られている。しかし、工具と被加工物を相対的に回転及び揺動させる遊離砥粒研磨方法は、工具の中心部と周辺部における被加工物に対する相対速度が異なる。ゆえに、工具と被加工物の相対速度、工具と被加工物の接触時間を被加工面全面にわたって常に一定とすることは困難である。また、所望の形状にするためには、被加工物の被加工面全面にわたって接触圧力を制御しなければならないが、遊離砥粒研磨方法は工具に対して一定の荷重を被加工物に加えながら行なう加工方法である。しかも被加工面全面の研磨量は一定ではなく、さらに、砥粒により工具も摩耗してしまい、工具も刻一刻と形状が変化してしまうため、接触圧力を制御することは不可能であった。所望の形状を有する被加工物を得るためには、接触圧力、相対速度、滞留時間の条件を逐一適切に設定し直す必要があり、このような加工条件の設定は、熟練した技能を必要とすることが多かった。そのため、相対速度、滞留時間の条件設定によって所望の形状を得るための装置および方法について提案がなされている。例えば特許文献1に示される研磨装置は、被加工物の工具に対する揺動幅をあらかじめ設定される範囲で制御可能な装置である。この装置によれば、被加工物と工具の揺動幅をあらかじめ設定した範囲で連続的に変化させられるため、研磨量のムラを平均化することができる。また、特許文献2に示される方法は、被加工物および工具の揺動幅を一定にしたまま、揺動中心位置を連続的に変化させる方法である。この方法によれば、工具位置による接触圧力のムラを分散させることで、被加工物の研磨量ムラを抑えることができる。
特開平09−300191号公報 特開2006−116678号公報
しかしながら、研磨スラリーを用いる遊離砥粒研磨方法においては、被加工物を破壊しながら除去を行う方法であるため、被加工物表面にキズなどの表面欠陥が生じる可能性がある。砥粒を使用している以上、あらゆる加工条件において表面欠陥の発生を防ぐことは困難である。また、工具も砥粒により摩耗してしまうため常に形状が変化してしまう。そのため、加工結果から適切な条件を逐一設定し直すという作業が必要となる。
さらに、上記特許文献1および2に記載の従来例では、使用する工具と被加工物との接触圧力分布によって、適切な揺動幅、揺動位置の範囲も変化する。そのため、適切な揺動幅、揺動位置の範囲を設定するには、任意の条件で試し加工を行い、その加工結果から適切な条件を設定するという作業を要する。また、目標とする形状によっても、適切な揺動幅、揺動位置の範囲は異なるため、上記と同様に試し加工の結果から適切な条件を設定するという作業が必要となる。すなわち、従来の研磨方法においては、所望の形状を得るための条件設定に多大な労力を要するという問題があった。
本発明の解決すべき課題は、部品の製造方法において、加工条件を簡易に設定でき、かつ表面欠陥を生じさせず、被加工物を目標とする形状に加工するための部品の製造方法および加工装置を提供することである。
本発明の部品の製造方法は、工具と被加工物とを相対的に移動させることで、前記被加工物を目標とする球面形状に加工することで部品を製造する部品の製造方法であって、前記工具は支持部と、前記被加工物と対向する面に形成された遷移金属を含む触媒部と、前記支持部と前記触媒部との間に配された弾性体とを有し、前記触媒部は球面形状を有し、前記触媒部と前記被加工物との間に水分子を含有する加工液を供給し、前記弾性体を収縮させることで、前記触媒部と前記被加工物とを前記加工液を介在させて接触させ、前記収縮させた弾性体の収縮量が所定の値以下になるまで加工を行なうことを特徴とする。
本発明の部品の製造方法は、工具と被加工物とを相対的に移動させることで、前記被加工物を目標とする球面形状に加工することで部品を製造する部品の製造方法であって、前記工具は支持部と、前記被加工物と対向する面に形成された遷移金属を含む触媒部と、前記支持部と前記触媒部との間に配された弾性体とを有し、前記工具は円筒型であって、前記触媒部の前記被加工物と対向する面は円形状を有し、前記工具を工具の回転軸の回りに回転させ、前記被加工物を被加工物の回転軸の回りに回転させて、前記触媒部と前記被加工物との間に水分子を含有する加工液を供給し、前記弾性体を収縮させることで、前記触媒部と前記被加工物とを前記加工液を介在させて接触させ、前記収縮させた弾性体の収縮量が所定の値以下になるまで加工を行なうことを特徴とする。
本発明の加工装置は、被加工物を保持する保持部と、前記被加工物を加工するための工具と、前記被加工物を回転軸の回りに回転させる手段と、前記工具を工具の回転軸の回りに回転させる手段と、を有する加工装置であって、前記工具は、円筒型であって、支持部と、前記被加工物と対向する面に形成された遷移金属を含む触媒部と、前記支持部と前記触媒部との間に配された弾性体とを有し、前記触媒部の前記被加工物と対向する面は円形状を有し、前記被加工物と前記触媒部の前記被加工物と対向する面に水分子を含む加工液を供給する手段をさらに有することを特徴とする。
本発明によれば、砥粒を使用せずに被加工物を目標とする形状に加工することができ、表面欠陥のない被加工物が得られる。また、工具の摩耗を抑えることができるため、加工条件を簡易に設定することができ、加工の生産性が向上するという効果を奏する。
本実施形態に係る製造方法を示す図である。 本実施形態に係る製造方法で使用される工具の例を示す図である。 本実施形態に係る製造方法をより詳細に示す図である。 本実施形態に係る製造方法を示す図である。
図1に本発明を実施するための形態を示す。図1(a)において、工具1は回転駆動体2に、回転駆動体2は旋回駆動体3に、旋回駆動体3はX軸、Y軸に移動可能なステージ4に、ステージ4は加工装置本体(不図示)にそれぞれ取り付けられている。被加工物5は保持部6に、保持部6は回転駆動体7に、回転駆動体7はX軸、Y軸に移動可能なステージ8に、ステージ8は加工機本体(不図示)にそれぞれ取り付けられている。また、加工装置にはHOを含む加工液9を供給するための供給手段10が取り付けられている。加工装置は、任意の位置に原点Oを有している。図1(b)に、図1(a)における工具1の詳細を示す。図1(b)において、工具1は支持部11と、被加工物5表面と対向する面に触媒部12が形成され、支持部11と触媒部12の間には弾性体13を有している。前記弾性体13は、単一の弾性材料のみで構成されてもよく、複数の弾性材料で構成されてもよい。本実施形態は、加工装置の任意の位置に設定される原点Oを基準に、ステージ4、ステージ8、旋回駆動体3、回転駆動体2、回転駆動体7を駆動し、工具1および被加工物5の相対的な位置を制御する。そして、触媒部12表面と被加工物5表面(被加工面)との間に水分子(HO)を含む加工液9を介在させた状態で触媒部12と被加工物を接近させ相対的に移動させることで被加工物5の被加工面を加工する。水分子(H2O)を含む加工液9を介在させた状態で触媒部12と被加工物5を接触させるとは、触媒部12と被加工物5との間に、極めて薄い水分子を含む液膜が介在している状態を含む。以下、この状態を含め、本明細書では触媒部12と被加工物5を接触させると称する。なお、極めて薄い水分子を含む液膜の膜厚は、3Å以上10Å以下 であることが好ましい。
本実施形態に係る触媒部12は、水分子(HO)からOHとHとの解離を促進させる。解離したOHとHは、被加工物を構成する酸素元素に作用し、酸素元素と他の元素のバックボンドを切断し、加水分解により被加工物表面から酸素元素を加工液中に溶け出させるとともに、バックボンドを切られた他の元素も溶出させる。この加水分解作用により、被加工物を加工する。この時、触媒部12は、水分子の解離を促進させるだけであるため、摩耗が少なく、形状の変化を十分に抑えることができる。触媒部12の材料は、加水分解による分解生成物の生成を助長する触媒物質として、少なくとも1種類以上の遷移金属元素を含む。遷移金属元素としては、Pt、Au、Ag、Cu、Ni、Cr、Mo等が挙げられるが、これらの金属元素単体でも、または遷移金属元素を含む複数の金属元素からなる合金であってもよい。また、触媒部12を弾性体14と接合する手段としては、特に限定されるものではないが、触媒材料を弾性体表面に薄膜コーティングする方法が望ましい。触媒部を薄膜コーティングする方法については、スパッタ法やCVD法、めっき法、塗布乾燥法といった一般的なコーティング方法でよく、その方法に限定されない。また、触媒部と弾性体の密着力を上げるために、触媒部と弾性体の間にはカーボンなどの中間層を設けることがより望ましい。触媒部の膜厚については、特に限定されないが、触媒が単体の元素であればその原子サイズ以上、複数の元素からなるものであればその凝集体のサイズ以上であることが望ましい。また、被加工物が光学素子である場合、一般的に500nm以下の形状精度が求められる。このとき、触媒部の膜厚の違いが被加工物の形状精度に影響をおよぼすため、膜厚は工具加工面内で均一にすることが望ましい。工具加工面での膜厚誤差を許容する場合は、被加工物の形状精度を劣化させないという観点から、500nm以下であることが望ましい。
本実施形態に係る弾性体13は、特にその材料が限定されるものではないが、弾性体13の変形によって被加工物5と固体触媒12の接触面積を増大させることで、局所的な圧力増加を生じさせない機能を有することが望ましい。また、接触により弾性体13にひずみが発生した際に、塑性変形しないことが望ましい。すなわち、弾性率と降伏応力の比率が、想定されるひずみ量より十分大きいことが望ましい。一般的に、光学素子においては加工前の被加工物の形状と目標形状との最大誤差量は10μm以下であることが多い。例えば、弾性体13の厚みを1mmとし、形状誤差による変形量を10μmとすると、ひずみ量は1%である。このような場合、弾性体13の弾性率と降伏応力の比率が1%以上であることが望ましい。前記材料としては、圧縮弾性率が2000MPa以上3000MPa以下、降伏応力が1MPa以上100MPa以下であるエポキシ樹脂や、圧縮弾性率が70MPa以上700MPa、降伏応力が20MPa以上30MPa以下であるポリウレタン樹脂などの合成樹脂材料が挙げられる。被加工物への表面欠陥発生リスクをさらに低減させるという観点から、圧縮弾性率がより小さい材料が望ましい。前記材料としては、圧縮弾性率が1MPa以上10MPa以下、降伏応力が1MPa程度である発泡ポリウレタン樹脂等の発泡樹脂材料が挙げられる。また、被加工物5と固体触媒12の相対運動により発生する弾性体13のせん断変形や、遠心力による変形を小さくするという観点から、圧縮弾性率が0.1MPa以上であることが望ましい。
本実施形態に係る被加工物の材質については、特に限定されるものではない。被加工物が光学素子である場合の材料として用いられるものとしてとしては主にガラスが挙げられ、その組成としてはホウ酸を含むホウ酸塩系ガラス、リン酸を含むリン酸塩系ガラス、さらには酸化バリウム、酸化チタン、酸化ランタン等を含むガラスが挙げられる。また、リン酸塩系ガラスについては、フッ化カルシウム、フッ化バリウムなどのフッ化物を含むフツリン酸塩系ガラスも挙げられる。ガラス以外の被加工物の材質を追記してください。
本発明に係る加工液は、水分子(HO)を含むことが必須であるが、その組成は限定されるものではない。例えば、pH調整のためにHNOやKOHなどの成分が含まれていてもよい。また、pH緩衝液として、酢酸緩衝液やリン酸緩衝液など成分が含まれていてもよい。加工液のpHについては、加工速度の観点から2以上12以下の範囲が望ましく、さらに装置の劣化や環境負荷の低減の観点から、3以上10以下の範囲であることがより望ましい。また、加工液全体の重量に対する水分子の重量が99重量%以上になるように、加工液中に水分子(HO)を含むことが好ましく、加工液全体の重量に対して水分子以外の物質の含有量が1ppm以下であることがより好ましい。また、加工液中にpH緩衝液を含む場合は、加工液全体の重量に対する水分子の重量が95重量%以上になるように、加工液中に水分子(HO)を含むことが好ましい。そして、加工液全体の重量に対して水分子およびpH緩衝液以外の物質の含有量が1ppm以下であることがより好ましい。また、本発明においては固体粒子による被加工物の除去作用を必要としないため、加工液には固体粒子を含まないことが望ましい。
次に、工具の形状について図2を用いて説明する。
本発明に係る工具1の形状は、特に限定されるものではないが、円筒型の工具、もしくは、触媒部12の、被加工面と対向する面が、被加工物の目標とする形状(目標形状)を転写する形状であり、たとえば球面形状を有する工具が望ましい。被加工物の目標とする形状も球面形状であることが望ましい。図2(a)、図2(b)に、円筒型工具の例を示す。図2(a)において、弾性体13に圧力が加わっていない状態において触媒部12は円形状を有し、被加工物5の目標とする形状面(加工後の形状)と接する円の径(以下、有効径と記載)をDtとする。また、被加工物5の外径をDw、円筒型工具の幅をW、触媒部12先端の曲率半径をR3とする。ここで、DtはDw/2以上であることが望ましい。R3の大きさはW以上であればよく、Wに近い値であることがより望ましい。また、触媒部12と被加工物5の接触面積を増やし、加工速度を増やす観点から、図2(b)に示すような、触媒部12の曲率半径が、被加工物の目標曲率半径R0である工具も望ましい。また、さらに加工速度を増やすという観点から、図2(c)に示されるような、触媒部12の、被加工面と対向する面が、被加工物の目標とする形状(目標形状)を転写する形状を有する工具でもよい。図2(c)において、触媒部12の被加工面と対向する面の曲率半径は、被加工物の目標とする形状の曲率半径R0に設定される。
次に、本発明の部品の製造方法の一実施形態について、図1を用いて説明する。
図1(a)に示すように、工具1は回転駆動体2によって回転する。被加工物5は、回転駆動体7によって回転する。本実施形態では工具1および被加工物5が両方とも回転する例を示すが、工具1と被加工物5のどちらか一方が回転する形態であってもよい。回転駆動体2、ステージ4によって工具1を移動させ、回転駆動体7、ステージ8によって被加工物5移動させて、工具および被加工物を相対的に移動させる。また、旋回駆動体3、ステージ4によって工具1を被加工物5に対して揺動(円周方向に往復移動)させてもよい。弾性体13に圧力が加わっていない状態での触媒部12先端の移動軌跡を、原点Oを基準に決められる被加工物5の目標形状の面に一致させた状態で、工具1と被加工物5を相対的に移動させることが好ましい。被加工物の目標とする形状は予め求めておくことが望ましい。
図1(c)に、弾性体13が収縮していない状態(弾性体13に圧力が加わっていない状態)での触媒部12先端の移動軌跡を、被加工物6の加工後の目標とする形状の面に一致するように、工具1と被加工物5を相対的に移動させている状態を示す。ここでは、加工前の被加工物5が、目標とする曲率半径R0と異なる曲率半径R1を有している場合の状態を示している。図1(c)に示されるように、加工前および加工中の被加工物が目標とする形状に対する形状誤差(加工しなければならない部分)を有している場合、弾性体13が収縮(弾性変形)することによってその誤差量を吸収する。そのため、被加工物5に局所的な圧力増大を生じさせることなく触媒部12と被加工面との水分子を介した接触状態を保つことができ、表面欠陥が生じることなく被加工物5表面(被加工面)を加工できる。そして、弾性体13の収縮量が所定の値になるまで(理想的には変形が無くなるまで)加工を行うことで、図1(b)に示されるように、目標とする形状を有する被加工物が得られる。
より具体的に、既知のカーブジェネレータを用いた被加工物の製造方法の例を次に説明する。図3は、円筒形状の工具によって、凹面の球面レンズを加工する例を示したものである。図3(a)において、被加工物5の目標とする形状の曲率半径(加工後の曲率半径)をR0、被加工物5の加工前の曲率半径をR1、触媒部12の先端の有効径をDt、被加工物の回転軸をAA’、工具の回転軸をBB’、AA’とBB’のなす角度をθとする。また、有効径Dtにおける触媒部12先端の点をPt 1、Pt 2とし、被加工物の目標とする形状(加工後の形状)における回転軸AA’上の点をP0とする。このとき、R1>R0とし、AA’とBB’は同一平面上に存在するものとする。まず、θ = sin−1(Dt /2R0)となるようにAA’を旋回させ、さらにPt 1がAA’と一致するように工具をX軸方向に移動する。このときの工具および被加工物の位置関係を、図3(b)に示す。この状態で、P0とPt1が一致する方向に工具1をY軸方向に移動させることで被加工物5に触媒部12を接触させる。前記触媒部と前記被加工物の被加工面との間に水分子(HO)を含む加工液を供給しながら、前記被加工物および前記工具を回転させることで、被加工物を加工する。
さらに、Pt 2が曲率半径R0の面と一致した時、工具1のY軸方向への移動を停止させる。Pt 2が曲率半径R0の面と一致した時とは、すなわち、弾性体13に圧力が加わっていない状態(弾性体13が収縮していない状態)での触媒部12先端の移動軌跡が、被加工物5の目標とする形状(加工後の形状)R0面と一致した時である。このときの工具1および被加工物5の位置関係を、図3(c)に示す。加工初期においては、前記触媒部表面は曲率半径R1上で被加工物と水分子を介して接触するため、R1とR0の形状誤差部分(加工しなければならない部分)を吸収するように弾性体13が収縮する。弾性体13の収縮量が所定の値以下になるまで被加工物5を加工することで、図3(d)に示すように、目標とする形状の曲率半径R0を有する被加工物が得られる。このように非常に簡単な加工条件設定だけで、目標とする形状を得ることができる。
弾性体の収縮が完全に無くなるまで(弾性体13の収縮量が0になるまで)加工(接触)を続けることが望ましい。しかし、弾性体の収縮量が、被加工物9に許容される仕様上の形状誤差の最大値(所定の値)以下であれば弾性体の収縮が残っている状態で加工を終了することももちろん可能である。
触媒部と被加工物の距離が一定の距離(例えば10Åより大きく)離れると被加工物は加工されなくなる。よって、弾性体の収縮がなくなり、被加工物と弾性体の距離が一定の距離(例えば10Åより大きく)離れると、触媒部12と被加工物との接触を続けても、それ以上加工は進まない。接触時間を十分長くとればいずれは収縮量が0となり触媒部と被加工物の距離が一定の距離(例えば10Åより大きく)離れ、加工は終了する。しかし、弾性体13の収縮量を、触媒部と被加工物の水分子を介した接触により発生する少なくとも1つ以上の物理量によりモニターすることで、加工の終了を検知することができる。これにより加工時間の短縮をはかることができる。前記物理量は、荷重センサによって工具および被加工物に加わる力をモニターしてもよく、工具あるいは被加工物の回転駆動体に付加されるトルク値をモニターしてもよい。特に、モニター手段の簡易化という観点から、前記物理量は工具もしくは被加工物の回転駆動体に付加されるトルク値であることがより好ましい。前記物理量があらかじめ定められた値以下になった時点で、加工を終了する。これにより、被加工物が目標とする形状と一致した時点で加工を終了できるため、加工時間を短縮することができる。また、弾性体13を収縮させて、触媒部12先端の移動軌跡を、被加工物5の目標とする形状R0面と一致するように弾性体13を収縮させながら工具を移動させる。その時の工具および被加工物に加わる力を荷重センサによってあらかじめ計測しておく。予め計測しておいた値になった時、工具1のY軸方向への移動を停止させればよい。または、工具の触媒部12先端の移動軌跡が、被加工物5の目標とする形状R0面に一致するように弾性体13を収縮させながら工具を移動させた時の回転駆動体に付加されるトルク値を計測しておく。予め計測しておいたトルク値になった時、工具1のY軸方向への移動を停止させればよい。
また、弾性体13が収縮(弾性変形)することによってその誤差量を吸収できるが、弾性体13が塑性変形することがないように、予め弾性体の厚みを規定しておくことが望ましい。図4において、加工前の被加工物の形状と加工後の目標形状における、被加工物の回転軸BB’方向の最大形状誤差量をtwとする。また、弾性体13のBB’方向の厚みをteとし、弾性体に対してBB’方向に変位を与えたときに降伏点となるときの変形量をΔteとする。Δteがtwより大きくなるように厚みteを予め設定しておくことが望ましい。これにより、加工初期の段階でPtとP0が一致する位置に工具を移動した場合においても、弾性体13が塑性変形することがないため、目標とする形状を有する被加工物が得られる。
また、事前に測定される被加工物の加工速度に応じて、少なくとも触媒部の先端が被加工物に接触してから目標形状面と一致する位置までの移動速度が設定しておくことが望ましい。例えば、図4において触媒部を被加工物に一定圧力で接触させたときに測定される加工速度がVrであるとすると、工具のBB’方向への移動速度Vtは、Vr以下になるように設定される。これにより、弾性体13が降伏点となるときの変形量が小さい場合においても、弾性体13が塑性変形することがなく、より好ましい。
以上のような被加工物の製造方法により、加工条件を簡易に設定することができるため、加工の生産性が向上し、かつ表面欠陥のない目標形状を有する光学素子を得ることが可能になる。
1 工具
2 回転駆動体
3 旋回駆動体
4 ステージ
5 被加工物
6 保持部
7 回転駆動体
8 ステージ
9 加工液
10 供給手段
11 支持部
12 触媒部
13 弾性体

Claims (24)

  1. 工具と被加工物とを相対的に移動させることで、前記被加工物を目標とする球面形状に加工することで部品を製造する部品の製造方法であって、
    前記工具は支持部と、前記被加工物と対向する面に形成された遷移金属を含む触媒部と、前記支持部と前記触媒部との間に配された弾性体とを有し、
    前記触媒部は球面形状を有し、
    前記触媒部と前記被加工物との間に水分子を含有する加工液を供給し、前記弾性体を収縮させることで、前記触媒部と前記被加工物とを前記加工液を介在させて接触させ、
    前記収縮させた弾性体の収縮量が所定の値以下になるまで加工を行なうことを特徴とする部品の製造方法。
  2. 前記被加工物は酸素元素を含むことを特徴とする請求項1記載の部品の製造方法。
  3. 前記被加工物はガラスであることを特徴とする請求項1または2記載の部品の製造方法。
  4. 前記部品は光学素子であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか一項記載の部品の製造方法。
  5. 前記弾性体は、ポリウレタン樹脂あるいは発泡ポリウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1乃至4いずれか一項記載の部品の製造方法。
  6. 前記触媒部は、薄膜コーティングによって形成されることを特徴とする請求項1乃至5いずれか一項記載の部品の製造方法。
  7. 前記触媒部は、Pt、Au、Ag、Cu、Ni、Cr、Moいずれかの金属元素単体、Pt、Au、Ag、Cu、Ni、Cr、Moを含む金属、またはPt、Au、Ag、Cu、Ni、Cr、Moを含む複数の金属元素からなる合金であることを特徴とする請求項1乃至6いずれか一項記載の部品の製造方法。
  8. 前記工具および前記被加工物のうち、少なくともいずれか一方が回転することを特徴とする請求項1乃至7いずれか一項記載の部品の製造方法。
  9. 前記弾性体の収縮量は、前記工具に加わる荷重を測定することにより求めることを特徴とする請求項1乃至8いずれか一項記載の部品の製造方法。
  10. 前記弾性体の収縮量は、前記工具および被加工物の少なくとも一方の回転におけるトルク値により求めることを特徴とする請求項8記載の部品の製造方法。
  11. 前記触媒部と前記被加工物とを、前記触媒部と前記被加工物との間に水分子を介在させて接触させることにより、前記触媒部により前記水分子の解離を促進させ、前記被加工物を構成する酸素元素と他の元素のバックボンドを切断し加水分解により前記酸素元素を溶出させることを特徴とする請求項2乃至10いずれか一項記載の部品の製造方法。
  12. 工具と被加工物とを相対的に移動させることで、前記被加工物を目標とする球面形状に加工することで部品を製造する部品の製造方法であって、
    前記工具は支持部と、前記被加工物と対向する面に形成された遷移金属を含む触媒部と、前記支持部と前記触媒部との間に配された弾性体とを有し、
    前記工具は円筒型であって、前記触媒部の前記被加工物と対向する面は円形状を有し、前記工具を工具の回転軸の回りに回転させ、前記被加工物を被加工物の回転軸の回りに回転させて、
    前記触媒部と前記被加工物との間に水分子を含有する加工液を供給し、前記弾性体を収縮させることで、前記触媒部と前記被加工物とを前記加工液を介在させて接触させ、
    前記収縮させた弾性体の収縮量が所定の値以下になるまで加工を行なうことを特徴とする部品の製造方法。
  13. 前記被加工物は酸素元素を含むことを特徴とする請求項12記載の部品の製造方法。
  14. 前記被加工物はガラスであることを特徴とする請求項12または13記載の部品の製造方法。
  15. 前記部品は光学素子であることを特徴とする請求項12乃至14いずれか一項記載の部品の製造方法。
  16. 前記弾性体は、ポリウレタン樹脂あるいは発泡ポリウレタン樹脂であることを特徴とする請求項12乃至15いずれか一項記載の部品の製造方法。
  17. 前記触媒部は、薄膜コーティングによって形成されることを特徴とする請求項12乃至16いずれか一項記載の部品の製造方法。
  18. 前記触媒部は、Pt、Au、Ag、Cu、Ni、Cr、Moいずれかの金属元素単体、Pt、Au、Ag、Cu、Ni、Cr、Moを含む金属、またはPt、Au、Ag、Cu、Ni、Cr、Moを含む複数の金属元素からなる合金であることを特徴とする請求項12乃至17いずれか一項記載の部品の製造方法。
  19. 前記弾性体の収縮量は、前記工具に加わる荷重を測定することにより求めることを特徴とする請求項12乃至18いずれか一項記載の部品の製造方法。
  20. 前記弾性体の収縮量は、前記工具および被加工物の少なくとも一方の回転におけるトルク値により求めることを特徴とする請求項12乃至19いずれか一項記載の部品の製造方法。
  21. 前記触媒部と前記被加工物とを、前記触媒部と前記被加工物との間に水分子を介在させて接触させることにより、前記触媒部により前記水分子の解離を促進させ、前記被加工物を構成する酸素元素と他の元素のバックボンドを切断し加水分解により前記酸素元素を溶出させることを特徴とする請求項13乃至20いずれか一項記載の部品の製造方法。
  22. 被加工物を保持する保持部と、
    前記被加工物を加工するための工具と、
    前記被加工物を回転軸の回りに回転させる手段と、
    前記工具を工具の回転軸の回りに回転させる手段と、を有する加工装置であって、
    前記工具は、円筒型であって、支持部と、前記被加工物と対向する面に形成された遷移金属を含む触媒部と、前記支持部と前記触媒部との間に配された弾性体とを有し、前記触媒部の前記被加工物と対向する面は円形状を有し、
    前記被加工物と前記触媒部の前記被加工物と対向する面に水分子を含む加工液を供給する手段をさらに有することを特徴とする加工装置。
  23. 前記工具または前記被加工物に加わる力をモニターする荷重センサを有することを特徴とする請求項22記載の加工装置。
  24. 前記工具を回転させる手段または前記被加工物を回転させる手段に付加されるトルク値をモニターする手段を有することを特徴とする請求項22記載の加工装置。
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