JP2015000469A - 研削盤およびツルーイング方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ツルーイング時のルーイングロールの摩耗量を正確に演算できることで、正確なツルーイングロール径を用いたツルーイングが可能な研削盤およびツルーイング方法を提供する。【解決手段】ツルーイングロール8と砥石車11に設定切込み速度を付与して両者を回転させたときに、砥石車用砥粒に対するツルーイング用砥粒の進入角を砥粒進入角θと定義する。所定のツルーイング前のツルーイングロール8の径の値をRtk、ツルーイング後の値をRtk+1とし、ツルーイングによる砥石車11のツルーイング量をtとし、ツルーイングロール摩耗係数をKとし、ツルーイングロール8の径のツルーイング後の値Rtk+1を式Rtk+1=Rtk−t・K・θにより演算する。所定のツルーイングの次に行われるツルーイング時には、ツルーイングロール8の径の値としてRtk+1を用いて砥石車11とツルーイングロール8の相対位置を決定する。【選択図】図5
Description
本発明は、研削盤の砥石車のツルーイング方法に関するものであり、詳しくはツルーイングロールの摩耗を補正したツルーイングロール径の値を用いてツルーイングロールの位置決めを行う研削盤およびツルーイング方法に関するものである。
ツルーイングを行うとツルーイングロールが摩耗して、ツルーイングロールの径が変化し結果としてツルーイング作用位置が変化する。そうすると、ツルーイング時の砥石車に対するツルーイングロールの切込み量が変化したり、砥石車のツルーイング形状に誤差を生じたりする。そのため、ツルーイングロールの径を常に正確に把握して、ツルーイングロールの切込み位置を正確に管理することが重要である。
ツルーイングロールの径を以下に示す方法で管理することが行われている。
工作物を定寸加工し、そのときの砥石車の位置を読み取ることで砥石車の半径を求め、その砥石車とツルーイングロールの双方の外周を接触させたときの砥石車とツルーイングロールの相対位置から、ツルーイングロールの径を演算する従来技術1がある(例えば、特許文献1)。
また、使用開始時に実測したツルーイングロールの径からツルーイングロールの摩耗量を差引くことで現在のツルーイングロールの径を演算する従来技術2があり、以下にその演算式を示す。
現在のツルーイングロール径=(初期ツルーイングロール径)−(ツルーイングロール摩耗量)=(初期ツルーイングロール径)−(ツルーイング量)×(ツルーイングロール摩耗係数)
ここで、ツルーイング量は、ツルーイングロールの径を実測した後に現在までにツルーイングにより除去した砥石車の総量である。また、ルーイングロール摩耗係数は、所定のツルーイング量Tのツルーイングを行った後に、その前後におけるツルーイングロール径の差ΔRを測定し、式(ツルーイングロール摩耗係数)=ΔR/Tにより、平均的な値が設定されている。
ツルーイングロールの径を以下に示す方法で管理することが行われている。
工作物を定寸加工し、そのときの砥石車の位置を読み取ることで砥石車の半径を求め、その砥石車とツルーイングロールの双方の外周を接触させたときの砥石車とツルーイングロールの相対位置から、ツルーイングロールの径を演算する従来技術1がある(例えば、特許文献1)。
また、使用開始時に実測したツルーイングロールの径からツルーイングロールの摩耗量を差引くことで現在のツルーイングロールの径を演算する従来技術2があり、以下にその演算式を示す。
現在のツルーイングロール径=(初期ツルーイングロール径)−(ツルーイングロール摩耗量)=(初期ツルーイングロール径)−(ツルーイング量)×(ツルーイングロール摩耗係数)
ここで、ツルーイング量は、ツルーイングロールの径を実測した後に現在までにツルーイングにより除去した砥石車の総量である。また、ルーイングロール摩耗係数は、所定のツルーイング量Tのツルーイングを行った後に、その前後におけるツルーイングロール径の差ΔRを測定し、式(ツルーイングロール摩耗係数)=ΔR/Tにより、平均的な値が設定されている。
特許文献1では、工作物を定寸加工する必要があり、定寸装置の設置が困難な加工ではツルーイングロール径の測定ができなかった。
また、従来技術2では、ツルーイング時のルーイングロールの摩耗量は、ツルーイング量のみに比例するとして演算されている。そのため、砥石車の径の変化などのツルーイング状態の変化による微小なツルーイングロール摩耗の変動を反映することができないため、ツルーイングロール径の誤差を生じていた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、特別な測定装置を用いることなく、ツルーイング時のルーイングロールの摩耗量を正確に演算できることで、正確なツルーイングロール径を用いたツルーイングが可能な研削盤およびツルーイング方法を提供することを目的とする。
また、従来技術2では、ツルーイング時のルーイングロールの摩耗量は、ツルーイング量のみに比例するとして演算されている。そのため、砥石車の径の変化などのツルーイング状態の変化による微小なツルーイングロール摩耗の変動を反映することができないため、ツルーイングロール径の誤差を生じていた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、特別な測定装置を用いることなく、ツルーイング時のルーイングロールの摩耗量を正確に演算できることで、正確なツルーイングロール径を用いたツルーイングが可能な研削盤およびツルーイング方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の特徴は、回転駆動され、複数のツルーイング用砥粒により形成されたツルーイングロールと、複数の砥石車用砥粒により形成された砥石車と、前記ツルーイングロールと前記砥石車を相対移動させる移動手段と、前記ツルーイングロールの径の値を用いて前記砥石車と前記ツルーイングロールの相対位置を決定して、前記移動手段を制御して前記砥石車の研削作用面をツルーイングする制御装置を備える研削盤において、前記制御装置は、前記ツルーイングロールと前記砥石車に設定切込み速度を付与して両者を回転させたときに、前記砥石車用砥粒に対する前記ツルーイング用砥粒の進入角である砥粒進入角を取得する砥粒進入角取得手段と、所定のツルーイング前の前記ツルーイングロールの径であるツルーイング前ツルーイングロール径を取得するツルーイングロール径取得手段と、所定のツルーイングによる前記砥石車のツルーイング量を取得するツルーイング量取得手段と、あらかじめ設定されたツルーイング時の前記ツルーイングロールの摩耗比率であるツルーイングロール摩耗係数と、前記砥粒進入角と、前記ツルーイング量と、前記ツルーイング前ツルーイングロール径から、所定のツルーイング後の前記ツルーイングロールの径を演算するツルーイングロール径演算手段とを備え、前記所定のツルーイングの次に行われるツルーイング時には、所定のツルーイング後の前記ツルーイングロールの径を用いて前記砥石車と前記ツルーイングロールの相対位置を決定することである。
請求項2に係る発明の特徴は、複数の砥石車用砥粒により形成された砥石車の形状を、複数のツルーイング用砥粒により形成されたツルーイングロールにより形成するツルーイング方法であって、前記ツルーイングロールと前記砥石車に設定切込み速度を付与して両者を回転させたときに、前記砥石車用砥粒に対する前記ツルーイング用砥粒の進入角を砥粒進入角とし、所定のツルーイング前の前記ツルーイングロールの径をツルーイング前ツルーイングロール径とし、ツルーイングによる前記砥石車の除去量をツルーイング量とし、あらかじめ設定されたツルーイング時の前記ツルーイングロールの摩耗比率をツルーイングロール摩耗係数とし、前記ツルーイングロールのツルーイング後の径を、前記ツルーイングロール摩耗係数と、前記砥粒進入角と、前記ツルーイング量と、前記ツルーイング前ツルーイングロール径から、所定のツルーイング後の前記ツルーイングロールの径であるツルーイング後ツルーイングロール径を演算し、前記所定のツルーイングの次に行われるツルーイング時には、前記ツルーイング後ツルーイングロール径の値を用いて前記砥石車と前記ツルーイングロールの相対位置を決定することである。
請求項1に係る発明によれば、ツルーイング後のツルーイングロール径を、砥粒進入角とツルーイング量を用いて演算するツルーイングロール径演算手段を備えているので、砥粒進入角の変化に起因するツルーイングロール摩耗量の変化を補正でき、ツルーイングロール径を正確に演算可能になる。よって、ツルーイングによる砥石車の形状成形精度が良い研削盤を提供できる。
請求項2に係る発明によれば、ツルーイング後のツルーイングロール径を、砥粒進入角とツルーイング量を用いて演算するので、砥粒進入角の変化に起因するツルーイングロール摩耗量の変化を補正でき、ツルーイング径を正確に演算可能になる。よって、ツルーイングによる砥石車の形状成形精度が良いツルーイング方法を提供できる。
以下、本発明の実施の形態を、ベアリング外輪の内周軌道面を研削する内面研削盤の砥石車に、円弧形状のツルーイングを実施する例に基づき説明する。
図1に示すように、内面研削盤1は、ベッド2を備え、ベッド2上には、送りモータ12の回転によりベース4をX軸方向に送る送り装置3と、X軸に直交するZ軸方向に、送りモータ13の回転により砥石台10を送る砥石台送り装置9を備えている。ベース4上には、工作物Wを回転可能に保持する主軸5と、図示しない旋回モータにより、X軸とZ軸に直交するB軸回りに旋回される旋回テーブル6を備えている。旋回テーブル6上には、ツルーイングロール8を回転駆動するツルーイング装置7を備えている。砥石台10は砥石車11を回転自在に支持し、砥石車11を回転させる回転モータ(図示省略する)を備えている。
以上の構成により、主軸5とツルーイング装置7は、送り装置3により砥石車11に対してX軸方向に切込み送りを与えられる。また、砥石車11は砥石台送り装置9によりZ軸方向に送られ、工作物Wの内周加工面に砥石車11が接触する研削位置と、ツルーイングロール8の外周に砥石車11が接触するツルーイング位置に割出しされる。
図1に示すように、内面研削盤1は、ベッド2を備え、ベッド2上には、送りモータ12の回転によりベース4をX軸方向に送る送り装置3と、X軸に直交するZ軸方向に、送りモータ13の回転により砥石台10を送る砥石台送り装置9を備えている。ベース4上には、工作物Wを回転可能に保持する主軸5と、図示しない旋回モータにより、X軸とZ軸に直交するB軸回りに旋回される旋回テーブル6を備えている。旋回テーブル6上には、ツルーイングロール8を回転駆動するツルーイング装置7を備えている。砥石台10は砥石車11を回転自在に支持し、砥石車11を回転させる回転モータ(図示省略する)を備えている。
以上の構成により、主軸5とツルーイング装置7は、送り装置3により砥石車11に対してX軸方向に切込み送りを与えられる。また、砥石車11は砥石台送り装置9によりZ軸方向に送られ、工作物Wの内周加工面に砥石車11が接触する研削位置と、ツルーイングロール8の外周に砥石車11が接触するツルーイング位置に割出しされる。
図2示すように、ツルーイング装置7は、旋回テーブル6上に固定されたガイド72によりX軸と平行なU軸方向に往復運動可能に支持されたツルーイング本体71を備え、ツルーイング本体71はモータ73で回転駆動される送りねじ74によりU軸方向に送られる。ここで、ツルーイングロール8は、U軸方向に送られるとき、旋回テーブル6の旋回中心P上を通過する位置に保持されている。
この内面研削盤1は、所定のプログラムを実行することで自動化された研削加工やツルーイングを実行する制御装置30を備えている。制御装置30の機能的構成として、送り装置3の送りを制御するX軸制御部31、砥石台送り装置9の送りを制御するZ軸制御部32、旋回テーブル6の旋回を制御するB軸制御部33、ツルーイング装置7の送りを制御するU軸制御部34、砥石車11の回転を制御する砥石軸制御部35、ツルーイングロール8の回転を制御するツルーイングロール軸制御部36などを具備している。また、予め設定した演算式に基づき砥粒進入角やツルーイングロール径などの演算を行う演算部37(砥粒進入角取得手段、ツルーイングロール径取得手段)、各種プログラムやツルーイングに関する各種データなどを記録する記録部38を備えている。
砥石車11の回転中心を含む断面における研削作用面を、中心角αの円弧にツルーイングする方法について、図3、図4に基づき説明する。なお、ツルーイングロール8と砥石車11の径については、直径と半径のどちらを用いてもよいが、以下の説明では、数式簡略化のため、半径を用いた例で説明する。
図3に示すツルーイング装置の側面図において、ツルーイングロール8の半径をRtとし、砥石車11の半径をRwとし、砥石車11のツルーイングの円弧半径をRsとする。また、X軸の原点位置を砥石車11の回転中心Oの位置とし、X軸
(ベース4)の基準位置を旋回テーブル6の旋回中心Pとし、X軸の送り位置を回転中心Oと旋回中心P間のX軸方向の距離で表す。
ツルーイングロール8はUt=Rt+Rsで演算される送り位置Utに位置決めされる。次に、ベース4がXt=Rw−Rsで演算されるXtに位置決めされ、砥石車11とツルーイングロール8の外周が接触する。この状態で図4に示すように、旋回テーブル6の搖動運動により、ツルーイングロール8を中心角αの8’と8”の間で往復円弧運動をさせることで砥石車11の外周に半径Rsの円弧形状のツルーイングを行うことができる。
図3に示すツルーイング装置の側面図において、ツルーイングロール8の半径をRtとし、砥石車11の半径をRwとし、砥石車11のツルーイングの円弧半径をRsとする。また、X軸の原点位置を砥石車11の回転中心Oの位置とし、X軸
(ベース4)の基準位置を旋回テーブル6の旋回中心Pとし、X軸の送り位置を回転中心Oと旋回中心P間のX軸方向の距離で表す。
ツルーイングロール8はUt=Rt+Rsで演算される送り位置Utに位置決めされる。次に、ベース4がXt=Rw−Rsで演算されるXtに位置決めされ、砥石車11とツルーイングロール8の外周が接触する。この状態で図4に示すように、旋回テーブル6の搖動運動により、ツルーイングロール8を中心角αの8’と8”の間で往復円弧運動をさせることで砥石車11の外周に半径Rsの円弧形状のツルーイングを行うことができる。
以上のように、砥石車11のツルーイングの円弧の半径RsはRs=Ut−Rtで決まり、半径Rsを所望の精度にするためには、ツルーイングロール8の半径Rtの誤差を所定の値以下とする必要がある。
ツルーイングロール8はツルーイングを行うとわずかに摩耗して、半径Rtが徐々に減少する。この摩耗量を正確に予測できれば、所定の時点で実測したツルーイングロール8の半径Rtを基準として、予測されるツルーイングによる摩耗量を減算することで、所望の時点の半径Rtを演算できる。
従来は、ツルーイングによる摩耗量はツルーイング時の砥石車11の除去量であるツルーイング量に比例するものとして、演算により求めていた。
ツルーイングロール8はツルーイングを行うとわずかに摩耗して、半径Rtが徐々に減少する。この摩耗量を正確に予測できれば、所定の時点で実測したツルーイングロール8の半径Rtを基準として、予測されるツルーイングによる摩耗量を減算することで、所望の時点の半径Rtを演算できる。
従来は、ツルーイングによる摩耗量はツルーイング時の砥石車11の除去量であるツルーイング量に比例するものとして、演算により求めていた。
本実施例は、ツルーイングロール8の摩耗量が、ツルーイング時のツルーイング量のみならず、砥粒進入角によっても異なることを見出したので、砥粒進入角の影響も加味したツルーイングロール摩耗係数Kと砥粒進入角を用いて所望の時点のツルーイングロール8の半径Rtを演算するものである。
ここで、砥粒進入角について説明する。
図5は、ツルーイング時のツルーイングロール8と砥石車11の関係を示しており、ツルーイングロール8と砥石車11は互いにつれ回りする方向に回転し、砥石車11の周速度がツルーイングロール8の周速度より大きい。ツルーイングロール8と砥石車11が接触を開始する点Sを接触開始点Sとし、接触開始点Sにおける、ツルーイングロール8の周速度のベクトルをVtとし、砥石車11の周速度のベクトルをVwとする。両ベクトルの先端を結ぶ直線をmとしたとき、mとベクトルVwの成す角度θを砥粒進入角と称し、砥石車用砥粒に対するツルーイング用砥粒の切込み特性を示す指標として用いられる。
図5は、ツルーイング時のツルーイングロール8と砥石車11の関係を示しており、ツルーイングロール8と砥石車11は互いにつれ回りする方向に回転し、砥石車11の周速度がツルーイングロール8の周速度より大きい。ツルーイングロール8と砥石車11が接触を開始する点Sを接触開始点Sとし、接触開始点Sにおける、ツルーイングロール8の周速度のベクトルをVtとし、砥石車11の周速度のベクトルをVwとする。両ベクトルの先端を結ぶ直線をmとしたとき、mとベクトルVwの成す角度θを砥粒進入角と称し、砥石車用砥粒に対するツルーイング用砥粒の切込み特性を示す指標として用いられる。
図6に、砥粒進入角θと、砥石車用砥粒とツルーイング用砥粒の相対速度との関係を示す。ベクトルVwからベクトルVtを引いたベクトルであるベクトル(Vw−Vt)の方向は、直線mの方向である。ベクトル(Vw−Vt)を、砥石車用砥粒にツルーイング用砥粒が押し込まれる方向のベクトルVhと、互いに滑る方向のベクトルVsに分解すると、
砥粒進入角θが大きいほど、ベクトルVhの比率が大きくなる。ベクトルVhが大きくなると押し込み方向に大きな圧縮力が発生し、ツルーイング用砥粒が破砕して摩耗しやすくなる。結果として、砥粒進入角θが大きいほどツルーイングロール8の摩耗量が大きくなる。砥粒進入角θは、式(1)により定義されることが知られており、式(1)において、Vtはツルーイング用砥粒の速度ベクトルの大きさであり、Vwは砥石車用砥粒の速度ベクトルの大きさであり、γは図5に示すように接触開始点Sおける速度ベクトルVt、Vwの成す角度である。
砥粒進入角θが大きいほど、ベクトルVhの比率が大きくなる。ベクトルVhが大きくなると押し込み方向に大きな圧縮力が発生し、ツルーイング用砥粒が破砕して摩耗しやすくなる。結果として、砥粒進入角θが大きいほどツルーイングロール8の摩耗量が大きくなる。砥粒進入角θは、式(1)により定義されることが知られており、式(1)において、Vtはツルーイング用砥粒の速度ベクトルの大きさであり、Vwは砥石車用砥粒の速度ベクトルの大きさであり、γは図5に示すように接触開始点Sおける速度ベクトルVt、Vwの成す角度である。
また、速度ベクトルVt、Vwの成す角度γは、ツルーイングロール8と砥石車11の中心間距離L、砥石車11の半径Rw、ツルーイングロール8の半径Rtの幾何学的な関係から式(2)で求めることができる。ここで、ツルーイング時のツルーイングロール8の砥石車11に対する切込みをtとすると、Lは式L=Rw+Rt−tにより演算できる。
ツルーイング方法について説明する。
予め、ツルーイングに関する各種データである、ツルーイングロール8の半径Rtの初期値、砥石車11の半径Rwの初期値、ツルーイングロール摩耗係数Kの値、1回のツルーイング当りの切込み量に相当するツルーイング量t、ツルーイングロール8の回転速度nt、砥石車11の回転速度nw、ツルーイングの円弧形状の中心角の角度α、ツルーイング円弧の半径Rsなどを記録部38に入力しておく。
ここで、半径Rt、Rwの初期値は初めてツルーイングをする時に実測した値とする。ツルーイングロール摩耗係数Kは、ツルーイングした時の、ツルーイング量tと砥粒進入角θの積当りのツルーイングロールの半径摩耗量(ツルーイング前後の半径差)ΔRtであり、式K=ΔRt/(t・θ)を用いて演算する。予備実験により砥粒進入角θの異なるツルーイング条件で複数回ツルーイングしてKを算出し、その平均値を用いる。
予め、ツルーイングに関する各種データである、ツルーイングロール8の半径Rtの初期値、砥石車11の半径Rwの初期値、ツルーイングロール摩耗係数Kの値、1回のツルーイング当りの切込み量に相当するツルーイング量t、ツルーイングロール8の回転速度nt、砥石車11の回転速度nw、ツルーイングの円弧形状の中心角の角度α、ツルーイング円弧の半径Rsなどを記録部38に入力しておく。
ここで、半径Rt、Rwの初期値は初めてツルーイングをする時に実測した値とする。ツルーイングロール摩耗係数Kは、ツルーイングした時の、ツルーイング量tと砥粒進入角θの積当りのツルーイングロールの半径摩耗量(ツルーイング前後の半径差)ΔRtであり、式K=ΔRt/(t・θ)を用いて演算する。予備実験により砥粒進入角θの異なるツルーイング条件で複数回ツルーイングしてKを算出し、その平均値を用いる。
具体的なツルーイング工程について図7のフローチャートに基づき説明する。
ここで、ツルーイング前の、ツルーイングロール8の半径をRtk、砥石車11の半径をRwkとし、ツルーイング後の、ツルーイングロール8の半径をRtk+1、砥石車11の半径をRwk+1と称する。
砥石車11の周速度Vw、ツルーイングロール8の周速度Vt、角度γ、ツルーイングロール8と砥石車11の中心間距離Lを演算し記録部38に入力する。演算式はVw=2・Rwk・nw、Vt=2・Rtk・nt、L=Rwk+Rtk−tと、γについては式(2)を用いる(S1)。砥粒進入角θを式(1)により演算し記録部38に入力する(S2)。ツルーイングロール8を回転させる(S3)。U軸を駆動して、ツルーイングロール8をツルーイング開始位置Utへ位置決めする。ここで、Utは式Ut=Rtk+Rsで演算される(S4)。Z軸を駆動して、砥石車11をツルーイングロール8と対向するツルーイング開始位置Ztへ位置決めする(S5)。X軸を駆動して、ベース4の旋回中心Pをツルーイング開始位置Xtへ位置決めする。ここで、Xtは式Xt=Rwk−Rsで演算される(S6)。B軸を駆動して、ツルーイングロール8を左回りにα/2旋回させる。この操作によりツルーイングロール8は図4に示す8’の位置に位置決めされる(S7)。ベース4をツルーイング量tだけステップ送りで前進させ、ツルーイングロール8を砥石車11に切込む(S8)。B軸を駆動して、ツルーイングロール8を右回りにα旋回させる。この操作によりツルーイングロール8は、砥石車11の研削作用面をX軸方向でtだけ除去し図4に示す8”の位置に位置決めされる(S9)。ベース4を後退させ、旋回中心Pをツルーイング開始位置Xtへ位置決めする(S10)。B軸を駆動して、ツルーイングロール8を左回りにα/2旋回させる。この操作により、ツルーイングロール8は図7に示す8の位置に位置決めされ、その回転軸と砥石車11の回転軸が平行になる(S11)。ツルーイングロール8の半径Rtの値を式Rtk+1=Rtk−K・t・θを用いて演算部37により演算し、記録部38のRtの値をRtk+1に書き換える(S12)。
砥石車11の半径Rwの値を式Rwk+1=Rwk−t・(1−K・θ)を用いて演算部37により演算し、記録部38のRwの値をRwk+1に書き換える(S13)。
ここで、ツルーイング前の、ツルーイングロール8の半径をRtk、砥石車11の半径をRwkとし、ツルーイング後の、ツルーイングロール8の半径をRtk+1、砥石車11の半径をRwk+1と称する。
砥石車11の周速度Vw、ツルーイングロール8の周速度Vt、角度γ、ツルーイングロール8と砥石車11の中心間距離Lを演算し記録部38に入力する。演算式はVw=2・Rwk・nw、Vt=2・Rtk・nt、L=Rwk+Rtk−tと、γについては式(2)を用いる(S1)。砥粒進入角θを式(1)により演算し記録部38に入力する(S2)。ツルーイングロール8を回転させる(S3)。U軸を駆動して、ツルーイングロール8をツルーイング開始位置Utへ位置決めする。ここで、Utは式Ut=Rtk+Rsで演算される(S4)。Z軸を駆動して、砥石車11をツルーイングロール8と対向するツルーイング開始位置Ztへ位置決めする(S5)。X軸を駆動して、ベース4の旋回中心Pをツルーイング開始位置Xtへ位置決めする。ここで、Xtは式Xt=Rwk−Rsで演算される(S6)。B軸を駆動して、ツルーイングロール8を左回りにα/2旋回させる。この操作によりツルーイングロール8は図4に示す8’の位置に位置決めされる(S7)。ベース4をツルーイング量tだけステップ送りで前進させ、ツルーイングロール8を砥石車11に切込む(S8)。B軸を駆動して、ツルーイングロール8を右回りにα旋回させる。この操作によりツルーイングロール8は、砥石車11の研削作用面をX軸方向でtだけ除去し図4に示す8”の位置に位置決めされる(S9)。ベース4を後退させ、旋回中心Pをツルーイング開始位置Xtへ位置決めする(S10)。B軸を駆動して、ツルーイングロール8を左回りにα/2旋回させる。この操作により、ツルーイングロール8は図7に示す8の位置に位置決めされ、その回転軸と砥石車11の回転軸が平行になる(S11)。ツルーイングロール8の半径Rtの値を式Rtk+1=Rtk−K・t・θを用いて演算部37により演算し、記録部38のRtの値をRtk+1に書き換える(S12)。
砥石車11の半径Rwの値を式Rwk+1=Rwk−t・(1−K・θ)を用いて演算部37により演算し、記録部38のRwの値をRwk+1に書き換える(S13)。
以上のようなツルーイング方法によれば、ツルーイング毎に、そのツルーイングにおける砥粒進入角θを演算して、その砥粒進入角θとツルーイング量tに対応するツルーイングロール8の摩耗量を差引いて、ツルーイング後のツルーイングロール8の半径Rtを演算するので、正確なツルーイングロール8の半径Rtを常に認識できる。よって、ツルーイングによる砥石車の形状成形精度が良い研削盤を提供できる。
なお、本実施例ではツルーイング量tとして砥石車11に対する半径切込み量tを用いたが、砥石車11のツルーイング除去量Mを用いてもよい。この場合、除去量Mは式M=t・2・Rwにより演算する。こうすることで、砥石車11の径Rwの変化によるツルーイング除去量Mの変化を反映した、ツルーイングロール8の摩耗を演算でき、ツルーイングロール8の径の精度がより高くなる。
K:ツルーイングロール摩耗係数 W:工作物 θ:砥粒進入角 3:送り装置 4:ベース 6:旋回テーブル 7:ツルーイング装置 8:ツルーイングロール 9:砥石台送り装置 10:砥石台 11:砥石車 30:制御装置 31:X軸制御部 32:Z軸制御部 33:B軸制御部 34:U軸制御部 36:ツルーイングロール制御部 37:演算部 38:記録部
Claims (2)
- 回転駆動され、複数のツルーイング用砥粒により形成されたツルーイングロールと、
複数の砥石車用砥粒により形成された砥石車と、
前記ツルーイングロールと前記砥石車を相対移動させる移動手段と、
前記ツルーイングロールの径の値を用いて前記砥石車と前記ツルーイングロールの相対位置を決定して、前記移動手段を制御して前記砥石車の研削作用面をツルーイングする制御装置を備える研削盤において、
前記制御装置は、
前記ツルーイングロールと前記砥石車に設定切込み速度を付与して両者を回転させたときに、前記砥石車用砥粒に対する前記ツルーイング用砥粒の進入角である砥粒進入角を取得する砥粒進入角取得手段と、
所定のツルーイング前の前記ツルーイングロールの径であるツルーイング前ツルーイングロール径を取得するツルーイングロール径取得手段と、
所定のツルーイングによる前記砥石車のツルーイング量を取得するツルーイング量取得手段と、
あらかじめ設定されたツルーイング時の前記ツルーイングロールの摩耗比率であるツルーイングロール摩耗係数と、前記砥粒進入角と、前記ツルーイング量と、前記ツルーイング前ツルーイングロール径から、所定のツルーイング後の前記ツルーイングロールの径を演算するツルーイングロール径演算手段とを備え、
前記所定のツルーイングの次に行われるツルーイング時には、所定のツルーイング後の前記ツルーイングロールの径を用いて前記砥石車と前記ツルーイングロールの相対位置を決定する研削盤。 - 複数の砥石車用砥粒により形成された砥石車の形状を、複数のツルーイング用砥粒により形成されたツルーイングロールにより形成するツルーイング方法であって、
前記ツルーイングロールと前記砥石車に設定切込み速度を付与して両者を回転させたときに、前記砥石車用砥粒に対する前記ツルーイング用砥粒の進入角を砥粒進入角とし、
所定のツルーイング前の前記ツルーイングロールの径をツルーイング前ツルーイングロール径とし、ツルーイングによる前記砥石車の除去量をツルーイング量とし、
あらかじめ設定されたツルーイング時の前記ツルーイングロールの摩耗比率をツルーイングロール摩耗係数とし、
前記ツルーイングロールのツルーイング後の径を、前記ツルーイングロール摩耗係数と、前記砥粒進入角と、前記ツルーイング量と、前記ツルーイング前ツルーイングロール径から、所定のツルーイング後の前記ツルーイングロールの径であるツルーイング後ツルーイングロール径を演算し、
前記所定のツルーイングの次に行われるツルーイング時には、前記ツルーイング後ツルーイングロール径の値を用いて前記砥石車と前記ツルーイングロールの相対位置を決定するツルーイング方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013127459A JP2015000469A (ja) | 2013-06-18 | 2013-06-18 | 研削盤およびツルーイング方法 |
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Cited By (1)
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CN113458973A (zh) * | 2021-07-28 | 2021-10-01 | 大连理工大学 | 一种用于数控磨床的砂轮在位修整装置 |
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2013
- 2013-06-18 JP JP2013127459A patent/JP2015000469A/ja active Pending
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