JP2014235074A - 校正治具および光干渉測定装置の校正方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】校正治具200の上面部200aに、2つの頂点である頂点201aと頂点202aとの間に矩形開口203を設け、校正治具200の高さプロファイルを測定することにより、x軸、y軸、z軸、θx軸、θy軸、θz軸の校正を行うことで、y座標の値を測定・記憶せずに、測定装置の座標校正のためのデータ処理時間を短縮することができる。
【選択図】図1
Description
従来、測定装置のxyz座標系における各軸の校正方法に用いられる校正治具として、1つ又は複数の基準球が知られている。この校正治具を用いた校正方法では、x、y、z方向に移動可能な原子間力プローブ102の先端に取り付けられたルビースタイラス103により、基準球101の表面が走査されて形状測定され、そして、その測定値と基準球101の設計値との差より測定装置のxyz座標系における各軸が校正されていた(例えば、特許文献1参照)。
まず、対象物に測定光を当て、その反射光より対象物の形状を測定する光干渉測定装置の座標軸の校正に用いる本発明の校正治具について説明する。座標軸の校正は、光干渉測定装置の測定座標における、xyz座標の各軸を校正するものである。
図2,図3に示すように、段差ゲージ部204には、校正治具200の上面部200aと平行な段差である第1のゲージ204aと、それに比べより深い第2のゲージ204bが設けられており、その中間に段差ゲージ上面部204cが設けられている。段差ゲージ上面部204cは校正治具200の上面部200aの一部である。
光干渉測定装置で矩形開口203の底面203aを測定する際、その深さdを短辺hで割った値、すなわちアスペクト比が高いと、矩形開口203を通過して底面203aに到達する測定光のエネルギーが低下して測定不能となる問題がある。
例えば、光干渉測定装置の測定アスペクト比が10でLzが5mmであり、dがLzの90%で4.5mmであるとき、hの最小値は下記の式1により決定される。
4.5mm÷10=0.45・・・(式1)
これによりh>0.45mmである必要がある。一方で、後述するθx軸の校正の際には、アスペクト比は高いほど高精度な校正が可能となる。そのため、短辺hは、測定できる範囲で小さい程よい。
深さdは後述のように測定可能範囲Lzよりも小さい範囲で可能な限り大きいことが望ましい。もし深さdを例えばLzの10%にすると、測定アスペクト比10から算出される短辺hの最小値は0.5mm÷10=50μmとなる。しかしながら、hをこのように50μmと小さくすることは、校正治具200の材料に後述のようなセラミックを用いた場合、加工時クラックを生じやすく加工が困難であるため好ましくない。これを避けるために、dは、少なくとも測定可能範囲Lzの50%以上であることが好ましい。
図2の矩形開口203により、保持すべきデータ量を削減し、データ処理に要する時間を短縮することができる。詳細は後述する。
なお、本実施の形態では簡単のために校正治具200の上面部200aをx軸、y軸校正に用いるが、もし校正治具200の設置面を校正に用いる必要があるときは、校正治具200の上面部200aと設置面の傾斜角度を平行に加工すれば良い。
SS−OCT装置300において、参照光の光路長と、測定光の光路長とが等しいとき、検出される干渉光の光ビート信号の周波数はゼロとなる。このときの測定光の反射面の位置を、便宜上、ゼロ点とする。
そして、ステップS5では、ステップS4で得られた高さプロファイルがz1=z2となっているかを判定する。z1=z2であれば、θy軸の校正を完了し、ステップS6へ進む。そうでなければステップS3に戻る。図10に、θy軸の校正が完了した際に得られる高さプロファイルを示す。
そして、ステップS8では、上記ステップS7で得られた高さプロファイルが、z3になっているかを判定する。所定の値z3になっていればz軸の校正を完了し、ステップS9へと進む。そうでなければステップS6へ戻る。
次に、図8のステップS9ではy軸の校正を行う。具体的には、高さプロファイルに図2の頂点201aが含まれるように、y軸の駆動を行う。つまり、高さを測定した際に頂点201aを含む第1の円錐201全形が高さとして測定されるように、高さを測定する領域に第1の円錐201の形成位置が位置され、かつ、測定領域に第1の円錐201の頂点201aが含まれるようにy軸を調整する。
そして、ステップS11では、走査可能範囲Lxに図2の頂点201aが含まれたかどうか判定する。含まれていればy軸の校正を完了し、図8のステップS12へと進む。そうでなければステップS9へ戻る。ここでは、高さプロファイルにおける図2の第1の円錐201を示す2次曲線の極点における高さデータとそのときのy軸位置を図6のOCT演算部314に記録しながら、図7のy軸調整機構405を調整し、記録された中で最も深い箇所を測定したy軸位置を図2の頂点201aの位置とする。頂点201aは円錐の側面に比べて傾斜がないため光軸に対し垂直に近くなり、図6の測定ヘッド307へ反射・散乱する測定光がより強くなることを利用して図2の頂点201aの位置を検出してもよい。
そして、ステップS14では、走査可能範囲Lx内の高さプロファイルに図2の頂点201aと頂点202aが含まれたかどうか判定する。含まれていればθz軸の校正を完了して図8のステップS15へと進み含まれていなければステップS12に戻る。ここでの走査可能範囲Lxに図2の頂点202aを含ませる方法は、図8のステップS10と同様である。
そして、ステップS17では、図2の頂点201aの位置が、xcになっているかを判定し、なっていればx軸の校正を完了し、図8のステップS18へと進む。そうでなければステップS15へ戻る。
その後、図8のステップS19では再度、SS−OCT測定を行い、高さプロファイルを得る。
従来、θx軸の校正を行うには、校正治具をy軸方向に走査して離間した2点の高さzの測定と、その際のy座標の値が必要であった。これに対し、本発明の光干渉測定装置の校正方法および校正治具では、校正治具のy座標を測定せず矩形開口203の深さを測定することにより、y座標の値を記憶することなく、x軸方向への一次元方向の走査を行うだけで、θx軸の校正を行うことができる。そのため、光干渉測定装置の座標校正のためのデータ処理時間を短縮することができる。
なお、ステップS6〜S8においてz軸の校正をする際は、ステップS18〜S20におけるθx軸の校正が終了していないため、このときのθx軸のズレ量をΔθxとすると、ステップS8の判定に用いる測定値は本来の高さよりも1/cosΔθx倍大きく測定される誤差を含む。そのため、これらの影響を防ぎ、更なる高精度な校正を望む場合は、ステップS18〜S20によるθx軸校正のあとに、ステップS6〜S8を再度実施することでz軸を再校正してもよい。
zスケールとは、検出された干渉光の光ビート信号を周波数解析して得られた周波数を、ゼロ点からの距離に変換するための係数である。zスケールは図6のSS−OCT装置300と校正治具200との位置関係がどうあっても変動しないが、例えば、波長走査光源302が交換された場合などは、zスケールの校正が必要となる。
図8のステップS20が完了した後、走査可能範囲Lxにおける高さプロファイルには、図3の段差ゲージ部204が含まれている。このとき、予めストアされている校正前の仮のzスケールをzeと称する。まず、段差ゲージ部204の設計値である真の高さg1とg2は、校正治具200の設計寸法もしくはデプスメータ等による出来上がり寸法の測定から既知であり、予め図6のOCT演算部314にストアしておく。
zc=ave(gn’/gn×ze)・・・(式2)
こうして算出された真のzスケールzcによって、ストアされている仮のzスケールzeを更新し、以降の高さプロファイルの算出に用いる。これによりzスケールの校正は完了となる。
200a 上面部
201 第1の円錐
201a 頂点
201b 開口
202 第2の円錐
202a 頂点
202b 開口
203 矩形開口
203a 底面
204 段差ゲージ部
204a 第1のゲージ
204b 第2のゲージ
204c 段差ゲージ上面部
300 SS−OCT装置
301 光ファイバ干渉計
302 波長走査光源
307 測定ヘッド
308 照射コリメートレンズ
309 ガルバノミラー
310 fθレンズ
314 OCT演算部
401 θx軸調整機構
402 θy軸調整機構
403 θz軸調整機構
404 x軸調整機構
405 y軸調整機構
406 z軸調整機構
101 基準球
102 原子間力プローブ
103 ルビースタイラス
Claims (11)
- 上面部と、
前記上面部に設けられる2つの頂点と、
前記上面部に設けられる凹部とを有し、
前記上面部の平面視において、2つの前記頂点を結ぶ直線上に前記凹部の開口と底面とが位置することを特徴とする校正治具。 - 前記底面は、前記上面部と平行である請求項1記載の校正治具。
- 校正対象である光干渉測定装置に備わる光源のコヒーレンス長と前記光干渉測定装置に備わる演算装置とから制限される測定範囲を前記光干渉測定装置の高さ測定範囲とした場合に、
前記開口から前記底面までの距離が前記高さ測定範囲以下である請求項1または請求項2記載の校正治具。 - 前記開口から前記底面までの距離が前記高さ測定範囲の50%以上で100%より小さい請求項3記載の校正治具。
- 前記開口の前記直線に垂直な辺と前記開口から前記底面までの距離とのアスペクト比を、前記高さ測定範囲および前記開口の位置に形成される測定光のスポット径により制限される測定アスペクト比以内で最大にすることを特徴とする請求項4記載の校正治具。
- 前記開口は、前記直線と平行な長辺と該長辺と垂直な短辺とを有する矩形状である請求項1〜請求項5のいずれか記載の校正治具。
- 前記頂点は、錐形状構造の先端に設けられる請求項1〜請求項6のいずれか記載の校正治具。
- 前記上面部に該上面部と平行な段差ゲージ部をさらに有する請求項1〜請求項7のいずれか記載の校正治具。
- 請求項1〜請求項8のいずれか記載の校正治具を用いて前記上面部の高さプロファイルを測定しながら行う光干渉測定装置のxyz座標系における各軸の校正方法であって、
前記上面部の高さプロファイルが所定のプロファイルとなるようにθy軸を校正する工程と、
前記所定のプロファイルがあらかじめ定めた所定の値を示すようにz軸を校正する工程と、
前記高さプロファイルに2つの前記頂点が含まれるようにy軸およびθz軸を校正する工程と、
前記頂点の位置があらかじめ定めた所定の位置となるようにx軸を校正する工程と、
前記底面の深さが最も深くなるようにθx軸を校正する工程と
を有することを特徴とする光干渉測定装置の校正方法。 - 請求項8記載の校正治具を用いて前記上面部の高さプロファイルを測定しながら行う光干渉測定装置のxyz座標系における各軸の校正方法であって、
前記上面部の高さプロファイルが所定のプロファイルとなるようにθy軸を校正する工程と、
前記所定のプロファイルがあらかじめ定めた所定の値を示すようにz軸を校正する工程と、
前記高さプロファイルに2つの前記頂点が含まれるようにy軸およびθz軸を校正する工程と、
前記頂点の位置があらかじめ定めた所定の位置となるようにx軸を校正する工程と、
前記底面の深さが最も深くなるようにθx軸を校正する工程と、
前記各工程の後に前記段差ゲージ部の測定高さと実際の高さの比によりzスケールの校正を行う工程と
を有することを特徴とする光干渉測定装置の校正方法。 - 前記光干渉測定装置がガルバノミラーを有し、
前記直線と前記ガルバノミラーの走査方向とを一致させた後に、前記θx軸を校正する工程を行うことを特徴とする請求項9または請求項10記載の光干渉測定装置の校正方法。
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