JP2014235011A - 土壌除染装置及び方法 - Google Patents

土壌除染装置及び方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014235011A
JP2014235011A JP2013114850A JP2013114850A JP2014235011A JP 2014235011 A JP2014235011 A JP 2014235011A JP 2013114850 A JP2013114850 A JP 2013114850A JP 2013114850 A JP2013114850 A JP 2013114850A JP 2014235011 A JP2014235011 A JP 2014235011A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
eluent
soil
cesium
adsorption tower
treatment tank
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013114850A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6178116B2 (ja
Inventor
中村 秀樹
Hideki Nakamura
秀樹 中村
由樹 井上
Yuki Inoue
由樹 井上
紘子 阿部
Hiroko Abe
紘子 阿部
直樹 田嶋
Naoki Tajima
直樹 田嶋
関 秀司
Hideji Seki
秀司 関
宮本 真哉
Masaya Miyamoto
真哉 宮本
芳恵 赤井
Yoshie Akai
芳恵 赤井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP2013114850A priority Critical patent/JP6178116B2/ja
Publication of JP2014235011A publication Critical patent/JP2014235011A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6178116B2 publication Critical patent/JP6178116B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)

Abstract

【課題】放射性セシウムを含有する土壌を簡易かつ効率的に除染することのできる土壌除染装置及び方法を提供すること。【解決手段】放射性セシウムを含む土壌Sと酸溶液Lを含む溶離液とを収容して放射性セシウムを前記溶離液に溶離させる処理槽11と、前記溶離液中のセシウムを吸着する吸着剤を収容する吸着塔12と、前記処理槽11と前記吸着塔12の入水口12Aとを接続する第1の配管13と、前記吸着塔12の出水口12Bと前記処理槽11とを接続する第2の配管14と、前記第1の配管13に介装され、前記溶離液を前記処理槽11と前記吸着塔12との間で循環させる移送ポンプ15とを有し、前記処理槽11と前記吸着塔12との間で前記溶離液を循環させる土壌除染装置及び方法。【選択図】図1

Description

本発明は、放射性セシウムを含有する土壌の除染装置及び方法に関する。
例えば、原子力発電所において大規模な事故が発生した場合、大量の放射性核種が飛散し、土壌、樹木、建築物、建造物、海洋及び湖沼水等の環境汚染を引き起こすことが懸念される。そのため、放射性核種を含有する土壌、建築物、建造物、汚泥や焼却灰の処理方法の開発が急務となっている。
放射性核種で汚染された土壌や汚泥に含有される放射性核種の大部分はセシウム134やセシウム137であり、特にセシウム137は半減期が30.2年と長く、長期に影響を及ぼすことが想定される。そのため、汚染土壌や汚泥からのセシウムの除去が望まれる。
また、このような放射性の汚染物質の除去に関しては、いくつかの提案がなされている。
例えば、放射性物質を含む汚染物質とカチオン、アニオン等の化学種を混合させた後、陽極及び陰極間に電位勾配を生ぜしめ、これらカチオンあるいはアニオンをそれぞれ陰極及び陽極へ移動させながら、その間に上記放射性物質と親和性のあるマトリックス材料を配置して吸着させるとともに、これらの系のpHを所定の値以下とすることによって汚染物質を沈殿させ、上記放射性物質を除去することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、汚染土壌の表層に少なくとも一組の電極を所定の間隔で埋設し、これらの電極間に通電することにより電極で汚染物質を集積するとともに、汚染土壌中に有害物質高蓄積植物を栽培し、当該植物に上記汚染物質を吸収させて除去する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、これらの方法では、電極の設置や通電が必要であり、オンサイトでの処理が難しいという課題がある。また、植物栽培の工程を含むため処理に長時間を要するという課題もある。
さらに、環境対応型合成無機イオン吸着材、無機ヒ素吸着材を用いる方法も提案されているが、この方法は、海洋や河川、湖沼、地下水等の陸水、及び農薬、合金や半導体等の製造排水の分離・除去に有用であるが、土壌や汚泥では、吸着に使用した吸着剤の除去が出来ないという課題がある(例えば、特許文献3参照。)。
また、汚染された水及び土壌から地衣類とその代謝生成物及び合成代謝生成物とを用いて放射性核種を除去する方法も提案されているが、対象核種がウラン、プルトニウムであり、セシウムの除去には適していない(例えば、特許文献4参照。)。さらに、地層又は海底層に存在する可溶性重金属汚染物質に対処する方法も提案されているが、安定化することにより重金属汚染物質が地下水によって再び流動化させられるのを防ぐものであり、セシウムを除去するものではない(例えば、特許文献5参照。)。
特許第4128620号公報 特開2007−289897号公報 特許第3557461号公報 特開2002−107489号公報 特開平6−39055号公報
本発明は、放射性セシウムを含有する土壌を簡易かつ効率的に除染することのできる土壌除染装置及び方法を提供することを目的とする。
本発明による土壌除染装置の一態様は、放射性セシウムを含有する土壌を除染する土壌除染装置であって、前記土壌と酸溶液を含む溶離液とを収容して前記土壌中のセシウムを前記溶離液に溶離させる処理槽と、前記溶離液中のセシウムを吸着する吸着剤を収容する吸着塔と、前記処理槽と前記吸着塔の入水口とを接続する第1の配管と、前記吸着塔の出水口と前記処理槽とを接続する第2の配管と、前記第1の配管に介装され、前記溶離液を前記処理槽と前記吸着塔との間で循環させる移送ポンプとを有することを特徴とする。
本発明による土壌除染方法の一態様は、放射性セシウムを含有する土壌を除染する土壌除染方法であって、前記土壌と酸溶液を含む溶離液とを処理槽に収容し、前記土壌中のセシウムを前記溶離液中に溶離させる第1のステップと、前記溶離液を、セシウムを吸着する吸着剤を収容する吸着塔に供給し、前記溶離液中のセシウムを前記吸着剤に吸着させる第2のステップと、前記吸着塔から前記溶離液を前記処理槽に供給する第3のステップとを有し、前記溶離液を前記処理槽と前記吸着塔との間で循環させ、前記第1乃至第3のステップを連続して繰り返し行うことを特徴とする。
本発明によれば、放射性セシウムを含有する土壌を簡易かつ効率的に除染することができる。
実施形態の土壌除染装置を概略的に示す図である。 実施形態の土壌除染装置を概略的に示す図である。 実施例の溶離回数と溶離率の関係を示すグラフである。 実施例の溶離液pHと溶離率の関係を示すグラフである。 実施例の溶離液の温度と溶離率の関係を示すグラフである。 実施例及び比較例の土壌除染方法による溶離率を比較するグラフである。 比較例の溶離液を繰り返し使用した場合の溶離率の変化を示すグラフである。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態における除染装置の概略構成を示す図である。
図1に示す除染装置10は、溶離液Lと土壌Sとを収容する処理槽11と、吸着塔12と、処理槽11と吸着塔12の入水口12Aとを接続する第1の配管13と、吸着塔の出水口12Bと処理槽11とを接続する第2の配管14とを有している。吸着塔12内には溶離液L中のセシウムを吸着除去するための吸着剤121が収容されている。
第1の配管13には、溶離液Lを処理槽11と吸着塔12との間に循環させる移送ポンプ15が介装されている。第1の配管13の取水口13Aは、処理槽11内の液面より下に位置しており、溶離液L中の固形分を除去するためのフィルタ16を備えている。
除染装置10において、セシウムを含む溶離液Lは、フィルタ16で溶離液L中の固形分が除去されて、移送ポンプ15により処理槽11から第1の配管13を介して吸着塔12に送られる。吸着塔12内で、溶離液Lが吸着剤121と接触することで、溶離液L中のセシウムが吸着剤121に吸着されて除去される。次いで、溶離液Lは吸着塔12の出水口12Bから第2の配管14を介して処理槽11に送られる。このように、除染装置10は、溶離液L中のセシウムを吸着剤121に吸着させて除去し、セシウムの除去された溶離液Lを循環使用する連続式の装置である。
処理槽11には、処理槽11内の溶離液Lを所定の温度に加熱するためのヒータ等の加熱装置17が設けられている。また、処理槽11には、攪拌子等の撹拌装置を設置することが好ましい。なお、攪拌子に代えて、あるいはこれに加えて超音波印加装置を配設することもできる。
除染装置10を構成する処理槽11、第1の配管13及び第2の配管14は、耐食性の高い材料から構成する。処理槽11は、実験室レベルにおいてはビーカーなどのガラス容器でもよいが、実用レベルにおいては、耐食性に富むステンレス鋼等からなる処理槽とすることが好ましい。第1の配管13、第2の配管14についても、耐食性に富むステンレス鋼等からなる配管とすることが好ましい。
また、処理槽11の容量は、処理すべき土壌Sの量に応じて適宜選択し、第1及び第2の配管の態様は処理に要する溶離液Lの循環流量により適宜決定する。
次に、図1に示す除染装置10を用いた除染方法について説明する。
最初に、図1に示すように、処理槽11に放射性セシウムを含む土壌Sと、溶離液Lとしての酸溶液とを収容し、加熱装置17によって溶離液Lを加熱する。また、必要に応じて溶離液Lを撹拌する。これにより、土壌Sに含有されたセシウムが溶離液Lに溶離するようになる。(第1のステップ)。
なお、図1において、土壌Sと溶離液Lとは分離して記載しているが、実際には、上述した攪拌混合の操作及び土壌Sの態様(形態及び大きさ等)が相伴って、土壌Sは、溶離液Lに分散するようになる。しかしながら、ここでは本実施形態の説明の便宜のために、土壌Sと溶離液Lとを分離して記載している。
土壌Sは、放射性セシウムを含む土壌であり、汚泥、砂等を含んでいてもよい。
土壌Sは、一般的に、Si、Al、Fe、Ca、Na、K、Mg及び残部を含んでいる。これらの元素は酸化物や所定の塩として土壌S中に存在するのが通常であり、上記残部には、動植物が作り出した有機物等が含まれる。
土壌Sは上記した元素の酸化物で構成される積層構造を有しており、セシウムの多くはこの積層構造の中に取り込まれた形で存在している。酸溶液からなる溶離液Lに土壌Sを浸漬することで、この積層構造の一部が壊され、内部のセシウムがイオンとして溶離する。
一般的に、土壌はこれ自体が粒子の集合体であって、粒子自体はμmのオーダからmmのオーダ程度であるので、溶離液Lとの接触面積を大きくすることができ、以下に説明する土壌Sからのセシウムの抽出を効率的かつ効果的に行うことができる。
酸溶液としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸及びシュウ酸等の水溶液を用いることが好ましく、中でも、塩酸、シュウ酸の水溶液が好ましい。なお、酸溶液として2価の酸である硫酸及びシュウ酸を用いる場合には、1価の酸に比べて処理に要する酸の量(モル数)を少なくすることができる。
酸溶液の濃度は、土壌Sの種類に応じて適宜設定する。酸溶液の濃度は0.05mol/L以上1.0mol/L以下であることが好ましい。
酸溶液の水素イオン濃度は、土壌Sに含有される鉄を溶解することのできる水素イオン濃度以上であることが好ましい。これは、土壌Sが鉄を多く含む場合に、酸溶液が土壌Sに含まれる鉄を溶解することで土壌Sを分解し、土壌Sの内部のセシウムを外部へ流出し易くするためである。例えば、塩酸を用いる場合には、酸溶液の水素イオン濃度は、pHで1.5以下であることが好ましく、pHで0.9以下であることがより好ましい。
なお、上記したように酸溶液で土壌Sのセシウムを溶解させる場合は、溶離液Lを好ましくは80℃以上100℃以下、より好ましくは95℃以上100℃以下に加熱することによって、溶解率を向上させることができ、効率的に溶離することができる。
上記した処理でセシウムを含んだ溶離液Lは、移送ポンプ15により第1の配管13を介して処理槽11から吸着塔12に送られる。
このとき、溶離液L中の固形分はフィルタ16を通過することで除去される。
フィルタ16は、土壌Sを通過させないものであれば限定されない。例えばポリエチレン、ポリスルホン及びポリプロピレン等を材料とする中空糸膜からなるフィルタを用いることができる。
吸着塔12内では、溶離液Lがこの吸着塔12内に収容された吸着剤121と接触することにより溶離液L中のセシウムが除去される。(第2のステップ)。
吸着剤121は、セシウムに対して高い吸着性能を有するものであれば特に限定されず、例えば、フェロシアン化物、ケイチタン酸及びゼオライトを使用することができる。
フェロシアン化物としては、フェロシアン化カリウム、フェロシアン化ナトリウム、フェロシアン化カルシウム、フェロシアン化鉄、フェロシアン化ニッケル、フェロシアン化銅などを挙げることができる。また、ゼオライトは、モルデナイト型ゼオライト、チャバサイト型ゼオライト、クリノプチロライト型ゼオライト、A型ゼオライト、Y型ゼオライト、X型ゼオライトなどを挙げることができる。さらに、ケイチタン酸は、ケイチタン酸バリウム、ケイチタン酸ストロンチウムなどの塩であってもよい。
なお、吸着剤121としては、例えば、溶離液Lの温度を95℃以上として循環させる場合には、耐熱性の観点から、ゼオライトであることが好ましく、中でも、モルデナイト型ゼオライトであることが特に好ましい。
また、充填する吸着剤121の量は、吸着剤121の種類、溶離液L中のセシウム濃度に応じて適宜決定する。
上記したように、吸着剤121と接触することでセシウムが除去された溶離液Lは第2の配管14を介して処理槽11に送られる。(第3のステップ)。処理槽11中で、当該溶離液Lで再度土壌Sが処理され、上記同様溶離液L中にセシウムが溶離する。(第1のステップ)。
なお、除染装置10内での溶離液Lの循環流量は、溶離液L中のセシウム濃度、吸着剤の量や種類により適宜決定する。当該循環流量は、移送ポンプ15の吐出量を変えることで調節することができる。
本実施形態の土壌除染方法は、上記した一連の工程(第1〜3のステップ)を連続して繰り返し行い、セシウムを含む溶離液L中のセシウムを除去しながら、これを溶離液Lとして循環使用するものである。これにより、常時、溶離液Lのセシウム濃度が低く保たれ、土壌Sに含有されるセシウムの溶離が促進される。そのため、セシウムの除去処理を簡易、迅速かつ効率的に行うことができ、バッチ式での処理に比べて短時間で大きい溶離率が得られる。
(実施形態2)
図2に示す除染装置20は、図1に示す除染装置10において、第1の配管13内の溶離液Lと第2の配管14内の溶離液Lとの間で熱交換を行う熱交換器18を備えている。その他の構成要素は図1に示す除染装置10と同様であるため、同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
除染装置20において、処理槽11内の溶離液Lは、移送ポンプ15で吸引され、第1の配管13を通る過程で熱交換器18において第2の配管14内の溶離液Lと熱交換する。これにより第1の配管14内の溶離液Lは、冷却されてその温度が低下する。その後、実施形態1と同様、溶離液Lは吸着塔12に送られ、ここで溶離液Lに含まれるセシウムが除去される。吸着塔12から送り出された溶離液Lは、吸着塔12を通流する過程でその温度が低下する。温度の低下した溶離液Lは、第2の配管14を通る過程で熱交換器18において、第1の配管13内の溶離液Lと熱交換する。これにより、第2の配管14内の溶離液Lは加熱されてその温度が上昇した状態で処理槽11に送られる。(第4のステップ)。このとき、第1の配管13内の溶離液Lが冷却されることで放出される熱が、第2の配管14内の溶離液Lを加熱するため、これらを別々に加熱、冷却する場合と比べて、除染装置20での熱効率を向上させることができる。
このため、本実施形態では、吸着剤121として、高温の酸に溶解するような吸着剤、具体的には、フェロシアン化物及びケイチタン酸等を用いることができる。
また、熱交換器18は、第1の配管内の溶離液Lの温度を吸着剤121の耐熱温度以下にできるものであれば、特に限定されずに用いることができる。
このように、本実施形態の除染装置20では、冷却される溶離液Lと加熱される溶離液Lとの間で熱交換することで、処理系外への熱の放出を抑制し、熱効率を向上させることができる。さらに、耐熱性及び耐酸性の小さい吸着剤を用いることができるので、除染装置20の設計の自由度を増加させることができる。
また、実施形態1と同様、常時、溶離液L中のセシウム濃度が低く保たれるので、土壌S中のセシウムの溶離が促進され、簡易、迅速かつ効率的に土壌Sに含まれる放射性セシウムが除去される。
(実施例1)
本実施例では、放射性セシウムを含む土壌を、塩酸で溶離した場合の溶離回数と溶離率の関係を調べた。
具体的には、500mlビーカーに、放射性セシウムを含む土壌5gと溶離液として濃度0.5mol/Lの塩酸250ml(塩酸水溶液の体積[ml]/土壌の質量[g](液固比)50ml/g)を収容し、撹拌しながらこれを加熱し、温度を95℃とした。
溶離前の土壌の放射能と、溶離液の温度を95℃、溶離時間を1時間としてバッチ式で溶離を行った後の土壌の放射能を測定し、以下のように溶離率を算出した。
溶離率[%]=(1−溶離後の土壌中の放射能[Bq]÷溶離前の土壌中の放射能[Bq])×100
次いで、溶離後に、ビーカーから溶離液を排出し、液固比50ml/gで、残留した土壌を、新しい、濃度0.5mol/Lの塩酸に浸漬した。続けて上記と同様に溶離を行い、溶離率を測定した。このような処理を4回繰り返し行った。結果を、縦軸を溶離率、横軸を溶離回数として図3のグラフに示す。
図3より、溶離回数を増やすことによりセシウムの溶離率が高くなっており、溶離回数4回で溶離率70%を得られることが判明した。このことから、溶離したセシウムを溶離液から除去して溶離液のセシウム濃度を常時低く保てば、土壌中のセシウムの溶離が促進され、溶離液を効率的に使用できることが判明した。
(実施例2)
本実施例では、放射性セシウムを含む土壌に対し、pHの異なる溶離液で溶離を行った場合の、溶離液のpHと溶離率の関係を調べた。
具体的には、実施例1と同様に、液固比50ml/gで、放射性セシウムを含む土壌をpH0.9の塩酸に浸漬した。溶離液を加温し、温度を95℃として、溶離時間1時間でのバッチ処理を5回(5時間)行って、溶離率を測定した。
次いで、用いる塩酸のpHを0.9〜1.5の間で変更して、上記と同様に溶離を行い、それぞれの溶離率を測定した。結果を、縦軸を溶離率、横軸を溶離液のpHとして、図4のグラフに示す。
図4より、溶離液のpHが1.5以下で溶離率40%以上、pHが0.9以下では溶離率65%以上を得られることが判明した。
(実施例3)
本実施例では、放射性セシウムを含む土壌に対し、塩酸で溶離を行った場合の、溶離液の温度と溶離率の関係を調べた。
実施例1の処理において、溶離液の温度を40℃、60℃、85℃、90℃、95℃としてそれぞれ1時間、バッチ式で溶離を行ったときの溶離率を測定した。溶離液を95℃とした際には、バッチ処理を4時間行い、溶離開始から1時間後、2時間後、3時間後、4時間後の溶離率を測定した。結果を、縦軸を溶離率、横軸を溶離液の温度として図5のグラフに示す。
図5において、黒ひし形はそれぞれの温度で1時間のバッチ処理を行った結果であり、ひし形は当該処理を95℃で2、3、4時間行った後の結果を示す。
同図より溶離液の温度95℃では、58%以上の溶離率が得られることが判明した。すなわち、溶離液の温度は95℃以上であることが好ましいことが分かる。また、溶離液温度95℃において、溶離時間を延長すると溶離率は若干上昇するものの、その大幅な向上は認められないことが判明した。
(実施例4)
本実施例では、放射性セシウムを含む土壌に対し、バッチ式で繰り返し溶離を行った場合と、実施形態の構成により連続式で溶離を行った場合との溶離率の経時変化を比較した。
具体的には、いずれも、溶離液として0.5mol/Lの塩酸を用い、溶離液温度95℃、液固比50ml/gとした。
バッチ式の溶離では、上記条件で1時間の溶離を4回繰り返し行った。
連続式の溶離では、実施形態の構成において、フィルタ16は中空糸膜フィルタを使用し、吸着剤121は、ゼオライトを用いた。吸着塔12での循環流量(SV)を10h-1として3時間、溶離を行った。
結果を、縦軸を溶離率、横軸を溶離時間として図6のグラフに示す。図6において、ひし形は実施形態の構成で溶離を行った場合、黒四角はバッチ式で溶離を行った場合を示す。
同図より、バッチ式では3時間後(繰り返し処理3回後)に溶離率70%程度となるが、実施形態の連続式の溶離では、溶離時間2時間で溶離率70%を達成したことが判明した。このとき必要な酸溶液の総量は、バッチ式の1/2となる。これは、連続式では、当初添加した酸溶液を溶離液として循環使用するのに対し、バッチ式では毎回、溶離液から土壌を分離回収し、当該土壌に対して酸溶液を新しく添加するためである。
さらに、溶離時間を同じとした場合には連続式ではバッチ式より高い溶離率が得られることがわかる。
(比較例1)
本比較例では、溶離液を繰り返し使用した場合の溶離率の変化を調べた。
具体的には、液固比50ml/gで、土壌を溶離液である0.5mol/Lの塩酸に浸漬し、溶離液の温度を95℃、溶離時間を1時間としてバッチ式での溶離を行った。
その後、溶離後の溶離液を土壌から分離して取り出し、この溶離液に新たな未処理の土壌を浸漬して上記と同様に溶離を行った。
このような操作を5回繰り返し、それぞれ溶離率を測定した。結果を、縦軸を溶離率、横軸を溶離回数として図7のグラフに示す。
図7より溶離液を2回使用したときに溶離率は30%以下となり、溶離液の使用回数が増えると溶離率はさらに低下することが判明した。このことから、使用回数が増えると、溶離率が低下し、その結果、溶離液の使用量が多くなることが分かる。このように、溶離液を繰り返し使用する場合には、土壌に含まれる放射性セシウムが効率的に除去されないことが分かる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として掲示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10,20…除染装置
11…処理槽
12…吸着塔
12A…入水口
12B…出水口
121…吸着剤
13…第1の配管
13A…取水口
14…第2の配管
15…移送ポンプ
16…フィルタ
17…加熱装置
18…熱交換器
S…土壌
L…溶離液

Claims (10)

  1. 放射性セシウムを含有する土壌を除染する土壌除染装置であって、
    前記土壌と酸溶液を含む溶離液とを収容して前記土壌中のセシウムを前記溶離液に溶離させる処理槽と、
    前記溶離液中のセシウムを吸着する吸着剤を収容する吸着塔と、
    前記処理槽と前記吸着塔の入水口とを接続する第1の配管と、
    前記吸着塔の出水口と前記処理槽とを接続する第2の配管と、
    前記第1の配管に介装され、前記溶離液を前記処理槽と前記吸着塔との間で循環させる移送ポンプと
    を有することを特徴とする土壌除染装置。
  2. 前記処理槽内の前記溶離液を加熱する加熱装置を有することを特徴とする請求項1記載の土壌除染装置。
  3. 前記酸溶液は、塩酸、硫酸、硝酸及びシュウ酸から選ばれる少なくとも1種を含む水溶液であることを特徴とする請求項1又は2記載の土壌除染装置。
  4. 前記第1の配管内の溶離液と前記第2の配管内の溶離液との間で熱交換を行う熱交換器を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の土壌除染装置。
  5. 前記吸着剤は、フェロシアン化物、ケイチタン酸及びゼオライトから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の土壌除染装置。
  6. 放射性セシウムを含有する土壌を除染する土壌除染方法であって、
    前記土壌と酸溶液を含む溶離液とを処理槽に収容し、前記土壌中のセシウムを前記溶離液中に溶離させる第1のステップと、
    前記溶離液を、セシウムを吸着する吸着剤を収容する吸着塔に供給し、前記溶離液中のセシウムを前記吸着剤に吸着させる第2のステップと、
    前記吸着塔から前記溶離液を前記処理槽に供給する第3のステップと
    を有し、
    前記溶離液を前記処理槽と前記吸着塔との間で循環させ、前記第1乃至第3のステップを連続して繰り返し行うことを特徴とする土壌除染方法。
  7. 前記処理槽内の前記溶離液の温度は、80℃以上100℃以下とすることを特徴とする請求項6記載の土壌除染方法。
  8. 前記酸溶液は、塩酸、硫酸、硝酸及びシュウ酸から選ばれる少なくとも1種を含む水溶液であることを特徴とする請求項6又は7記載の土壌除染方法。
  9. 前記第2のステップと前記第3のステップの間に、前記吸着塔に供給される溶離液と前記処理槽に供給される溶離液との間で熱交換を行う第4のステップを有することを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項記載の土壌除染方法。
  10. 前記吸着剤は、フェロシアン化物、ケイチタン酸及びゼオライトから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項記載の土壌除染方法。
JP2013114850A 2013-05-31 2013-05-31 土壌除染装置及び方法 Active JP6178116B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013114850A JP6178116B2 (ja) 2013-05-31 2013-05-31 土壌除染装置及び方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013114850A JP6178116B2 (ja) 2013-05-31 2013-05-31 土壌除染装置及び方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014235011A true JP2014235011A (ja) 2014-12-15
JP6178116B2 JP6178116B2 (ja) 2017-08-09

Family

ID=52137842

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013114850A Active JP6178116B2 (ja) 2013-05-31 2013-05-31 土壌除染装置及び方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6178116B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017181337A (ja) * 2016-03-31 2017-10-05 Jfeエンジニアリング株式会社 放射性セシウム含有物の除染方法
JP2017181335A (ja) * 2016-03-31 2017-10-05 Jfeエンジニアリング株式会社 放射性セシウム含有物の除染方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5912755A (ja) * 1982-07-13 1984-01-23 Toshiba Corp 無機コバルト吸着材の再生方法
US5679256A (en) * 1994-06-20 1997-10-21 Rose; Jane Anne In-situ groundwater clean-up and radionuclide disposal method
JP2013050313A (ja) * 2011-08-30 2013-03-14 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 土壌からのセシウムの脱離方法
JP2013088361A (ja) * 2011-10-20 2013-05-13 Toshiba Corp 土壌浄化システム

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5912755A (ja) * 1982-07-13 1984-01-23 Toshiba Corp 無機コバルト吸着材の再生方法
US5679256A (en) * 1994-06-20 1997-10-21 Rose; Jane Anne In-situ groundwater clean-up and radionuclide disposal method
JP2013050313A (ja) * 2011-08-30 2013-03-14 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 土壌からのセシウムの脱離方法
JP2013088361A (ja) * 2011-10-20 2013-05-13 Toshiba Corp 土壌浄化システム

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017181337A (ja) * 2016-03-31 2017-10-05 Jfeエンジニアリング株式会社 放射性セシウム含有物の除染方法
JP2017181335A (ja) * 2016-03-31 2017-10-05 Jfeエンジニアリング株式会社 放射性セシウム含有物の除染方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6178116B2 (ja) 2017-08-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Sylvester et al. Radioactive liquid waste treatment at Fukushima Daiichi
Weerasekara et al. Metal oxide enhanced microfiltration for the selective removal of Co and Sr ions from nuclear laundry wastewater
KR102058277B1 (ko) 액체 방사성 폐기물의 처리 및 그의 회수 방법
JP5947271B2 (ja) 除染システム
Zhang et al. Enhanced removal of iodide ions by nano Cu2O/Cu modified activated carbon from simulated wastewater with improved countercurrent two-stage adsorption
Adeola et al. Advances in the management of radioactive wastes and radionuclide contamination in environmental compartments: a review
JP5684102B2 (ja) 放射性セシウム含有物質の処理方法及びその処理装置
JP2014163843A (ja) 洗浄用酸の再生利用方法および再生処理設備
JP6180838B2 (ja) 土壌除染方法及び装置
WO2003082751A1 (en) Electrochemical process for decontamination of radioactive materials
JP6439242B2 (ja) 放射性廃イオン交換樹脂の除染方法および除染装置
JP6178116B2 (ja) 土壌除染装置及び方法
CN107545940A (zh) 放射性废水的络合吸附处理方法
JP2014001991A (ja) 放射性核種除去システム及び放射性核種除去方法
JP2014016210A (ja) 放射性汚染水除染システム及び放射性汚染水除染プロセス
JP2004045371A (ja) 放射性核種を含有する液体処理方法と装置
Gatea et al. Review on Decontamination Manners of Radioactive Liquids
JP6049403B2 (ja) 除染廃液処理方法
JP2012242092A (ja) 放射性セシウム含有汚染水の処理方法
JP2020008498A (ja) 放射性ヨウ素を含有する汚染水の除染方法
Sun et al. Efficient Co‐Adsorption and Highly Selective Separation of Cs+ and Sr2+ with a K+‐Activated Niobium Germanate by the pH Control
JP2012225892A (ja) 溶液から放射性物質を除去する方法
KR100764904B1 (ko) 이온교환체를 이용한 세슘 또는 스트론튬의 방사성 핵종 제거방법
Azman et al. Forward Osmosis as a Contemporary Treatment Solution for Mitigating Radionuclide Pollution in Water Bodies
JP2014235130A (ja) 廃液処理方法及び廃液処理システム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160210

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161129

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161130

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170118

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170613

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170713

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6178116

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151