JP6049403B2 - 除染廃液処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、系統除染等に適用される無機イオン交換体を用いた除染廃液処理方法に関する。
一般に、原子炉等の原子力プラントは、多数の機器や配管等の部材により構成されている。これらの部材を長期にわたって使用していると、例えば、部材を構成する金属の腐食等の要因により、部材の表面にコバルト等の放射性核種を含む酸化被膜が付着することがある。このため、これらの部材の周囲では放射線量が高まる場合がある。そこで、定期点検時等において、当該部材の表面から酸化皮膜を除去する必要があり、例えば、部材の化学除染が実施されている。
化学除染の方法としては、以下に示す技術が知られている。即ち、部材を過マンガン酸水溶液中に浸漬して、該部材の表面に付着した酸化被膜に含まれるクロム系酸化物中のクロムをCr3+からCr6+として酸化溶出する。次に、シュウ酸等の有機酸を添加して、酸化被膜の主要成分である鉄系酸化物中の鉄をFe2+として還元溶出する。このとき、放射性核種も同時に溶出される。そして、イオンを含むイオン交換樹脂に接触させて、上記の水溶液から放射性物質を処理水の中に溶出して、放射性物質を除去することが可能である。この際、処理水中に溶出している放射性物質をイオン交換樹脂で吸着し除去すると、イオン交換樹脂が二次廃棄物となる。
除去される放射性物質の種類により、使用されるイオン交換樹脂の種類は大きく分けて二つに分類できる。金属イオン等の除去に使用されるカチオン交換樹脂と、処理水に含まれているシュウ酸等の添加物の除去に使用されるアニオン樹脂とである。カチオン交換樹脂は、処理水中の僅かな金属イオン等を除去するため使用されるので使用量が少なく、廃棄量はそれほど多くならないが、金属イオン等は放射性核種を含むことが多いため処理が非常に難しい高線量の二次廃棄物となる。一方、アニオン交換樹脂は、処理水の大部分を占める添加物等を除去するために使用されるので使用量が多く、廃棄量が膨大になるが、焼却処理等が可能な低線量の二次廃棄物となる。これらのような二次廃棄物量の削減方法として、例えば特許文献1に記載の方法が開示されている。
特許文献1に記載の方法では、シュウ酸を含む処理水を反応層へ送り、酸素含有ガスを吹き込みながら紫外線を照射した後で、水酸化カルシウムを添加させて攪拌する。これにより、有機酸であるシュウ酸をカルシウム塩に、金属イオンを水酸化物にそれぞれ変化させ共沈させる。共沈によって放射性核種も合わせて沈殿させ固体スラッジを形成する。そして、固体スラッジごと放射性核種をフィルターによって濾過することで処理水中から放射性核種を除去する。これによって、処理水中のシュウ酸及び放射性核種を事前に除去することができ、イオン交換樹脂の使用量を抑えることができる。
特開2003−202396号公報
しかしながら、有機酸であるシュウ酸を含む放射性廃棄物の固体スラッジは、長期にわたる貯蔵の間に有機酸が分解されてしまう。固体スラッジのような固化された二次廃棄物は、定められた処分場で貯蔵されることで最終的に処分されている。しかし、放射性核種が含まれた有機酸が、二次廃棄物から分解して状態で土壌へ流出し地下水を汚染する可能性もあり、適当な処分場を容易に用意することが困難であるという問題を有している。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、二次廃棄物量を増加させずに有機物の二次廃棄物を無機物の二次廃棄物へと置き換えることが可能な除染廃液処理方法を提供するものである
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明の一態様に係る除染廃液処理方法は、除染対象物を浸漬した処理水中に、過マンガン酸を含む酸化剤を添加することで前記除染対象物からクロムを酸化溶出させる酸化工程と、該酸化工程の後に、前記処理水に有機酸を添加することで前記過マンガン酸を分解する分解工程と、該分解工程の後に、前記処理水を、マンガンを吸着する無機イオン交換体に通水する無機イオン交換体通水工程と、該無機イオン交換体通水工程の後に、前記処理水中に有機酸を添加することで前記除染対象物から鉄を還元溶出させる還元工程と、該還元工程の後に、前記処理水に溶出した放射性核種をイオン交換樹脂で除去する除去工程と、を備えることを特徴とする。
このような構成によれば、有機酸を添加し、過マンガン酸を分解して、マンガンイオンとしてから無機イオン交換体で吸着し除去することで、マンガンを処理水中から除去することができる。これにより、イオン交換樹脂の代りに無機イオン交換体でマンガンを除去することができ、イオン交換樹脂の使用量を低減することができる。二次廃棄物量を増加させずに有機物であるイオン交換樹脂の二次廃棄物を無機物である無機イオン交換体の二次廃棄物に置き換えることが可能となる。
また、本発明の他の態様に係る除染廃液処理方法は、前記酸化工程と前記分解工程との間に、pH調整剤を添加することで前記処理水のpHを2以上4以下にするpH調整工程を更に有することを特徴とする。
このような構成によれば、処理水にpH調整剤を添加してpHを2〜4に調整し、酸性とすることで、分解に使用する有機酸で処理水のpHを調整する必要がなくなり、有機酸によって効率的に過マンガン酸を分解することができる。そのため、僅かな有機酸で過マンガン酸を効率的に分解することができ、効率的に処理水からマンガンを無機イオン交換体で除去することが可能となる。
さらに、本発明の他の態様に係る除染廃液処理方法は、前記酸化工程の後に、前記処理水中の過マンガン酸を沈殿させる還元剤を添加する沈殿工程と、該沈殿工程の後に、前記過マンガン酸の沈殿物を除去する沈殿物除去工程と、をさらに備えることを特徴とする。
このような構成によれば、過マンガン酸を沈殿させる還元剤を処理水に添加することで、酸化工程で使用した酸化剤に含まれる過マンガン酸が、酸化マンガンを含む沈殿物へと変化する。過マンガン酸を沈殿物として除去することで、短時間で過マンガン酸のほとんどを除去することができ、その後、除去し切れなかった過マンガン酸を無機イオン交換体によって除去することができる。これによって、過マンガン酸をほぼすべて事前に除去することができ、放射性核種を除去する際にイオン交換樹脂で同時に処理される過マンガン酸の量が大幅に減少し、イオン交換樹脂の使用量を低減することが可能となる。
本発明の除染廃液処理方法によれば、無機イオン交換体を用いてマンガンを除去することで、イオン交換樹脂の使用量を低減させ、二次廃棄物を無機化することで処理を容易にすることが可能な除染廃液処理方法を提供するものである。
本発明の実施形態に係る化学洗浄方法の対象となる除染対象物の例を示す図である。 本発明の第一実施形態に係る化学洗浄方法の行程を説明するフローチャートである。 本発明の第二実施形態に係る化学洗浄方法の行程を説明するフローチャートである。 本発明の第三実施形態に係る化学洗浄方法の行程を説明するフローチャートである。
以下、図面を参照し、本実施形態に係る除染装置を用いた除染方法について説明する。
まず、本実施形態の対象となる除染対象物Zについて説明する。
本実施形態の対象となる除染対象物Zは、原子力プラントを構成する配管、容器、各種機器等の部品であって、炉水が接触する部品である。
ここで、原子力プラントとしては、例えば、図1に示すように、加圧水型原子炉50を備えている原子力発電プラントPがある。
この原子力発電プラントPは、燃料棒51等が収納される加圧水型原子炉50と、加圧水型原子炉50内の一次冷却水の沸騰を抑えるために一次冷却水を加圧する加圧器52と、一次冷却水の熱により二次冷却水を蒸気にする蒸気発生器53と、蒸気発生器53からの一次冷却水を加圧水型原子炉50に戻す冷却材ポンプ54とを備えている。そして、蒸気発生器53から流れてくる一次冷却水を取り込み浄化した後に加圧水型原子炉50に戻すイオン交換樹脂塔60を備えている。さらに、蒸気発生器53で発生した蒸気で駆動する蒸気タービン56と、蒸気タービン56の駆動で発電する発電機57と、蒸気タービン56からの蒸気を水に戻す復水器58と、復水器58からの水を蒸気発生器53に戻す給水ポンプ59とを備えている。
この加圧水型原子炉50と蒸気発生器53とは一次冷却水配管55a,55bで接続され一次冷却系統を形成している。そして、復水器58と蒸気タービン56とは給水配管55dで接続され二次冷却系統を形成している。さらに、蒸気発生と冷却材ポンプ54との間、及び、冷却材ポンプ54と原子炉との間で化学体積制御配管55e,55fと接続され、化学体積制御配管55e,55f同士が電磁弁61を介して接続されることで内部の処理水を循環可能なように化学体積制御系統を形成している。また、蒸気発生器53と蒸気タービン56とは蒸気配管55cで接続されている。
このように構成された原子力発電プラントPにおいて、炉水、即ち一次冷却水に接する部材である一次冷却系部材(以下、「除染対象物Z」と称する。)としては、加圧水型原子炉50、加圧器52、蒸気発生器53、冷却材ポンプ54、これらを接続する一次冷却水配管55a,55b、この一次冷却水配管55a,55b等に設けられている各種弁等がある。化学体積制御系統であるイオン交換樹脂塔60や化学体積制御配管55e,55fも一次冷却系部材である。これら除染対象物Zは、鉄を主成分としてクロムやニッケルを含むステンレス鋼やニッケル基合金であるインコネル等で形成されている。
この除染対象物Zを構成する金属元素は、僅かに炉水に溶出して、一部が加圧水型原子炉50内の燃料棒51の表面に付着する。燃料棒51の表面に付着した金属元素は、燃料棒51から中性子線が照射させることにより、原子核反応を起こして、クロム、ニッケル、コバルト等の放射性核種となる。これら放射性核種は、大部分が酸化物の形態で燃料棒51の表面に付着したままであるが、その一部が炉水中に溶出されたり、不溶性固体として放出されたりする。炉水中に溶出又は放出された放射性核種は、除染対象物Zの炉水接触面に付着し、この炉水接触面に鉄を主成分とする酸化皮膜を形成する。このため、除染対象物Z近傍で作業する作業員は、部品に形成された酸化皮膜中の放射性核種からの放射線に曝されることになる。
本実施形態は、上記で説明した原子力発電プラントPの系統除染に関するもので、除染対象物Zである配管等の内部を一次冷却水が原子力プラント内を循環するように化学溶液である処理水を循環させながら、除染対象物Zの内表面に付着している放射性核種を含んだ酸化被膜を除去した処理水を除染する除染廃液処理方法である。
図2に示すように、第一実施形態の除染廃液処理方法は、酸化工程S10と、分解工程S20と、無機イオン交換体通水工程S30と、還元工程S40と、除去工程S50とを備えている。
まず、酸化工程S10を実行する。
即ち、酸化工程S10は、処理水に酸化剤として過マンガン酸を添加し、除染対象物Z内部に酸化剤を添加した処理水を供給し循環させる。除染対象物Z内部に過マンガン酸を添加した処理水を循環させることで、除染対象物Zの酸化被膜中のクロムがCr6+として酸化溶出し、この放射性核種であるクロムを含有する一次処理水W1が生成される。一次処理水W1には酸化剤として添加された過マンガン酸イオンも残留している。この際の化学反応式は、以下(1)式で表すことができる。
Cr3++MnO +4H → Cr6++MnO+2HO…(式1)
次に、分解工程S20を実施する。
即ち、分解工程S20は、酸化工程S10を実施後の一次処理水W1を化学体積制御配管55eに流通させ、有機酸であるシュウ酸を一次処理水W1に100〜200ppm程度添加する。化学体積制御配管55e内で一次処理水W1に残留する過マンガン酸イオンはシュウ酸と反応し、マンガンイオン(Mn )となる。この際の化学反応式は、以下(2)式で表すことができる。
2MnO +5C+6H →2Mn +10CO+8HO…(式2)
そして、一次処理水W1中の過マンガン酸イオンがマンガンイオン(Mn )へと分解した二次処理水W2が生成される。二次処理水W2は、マンガンイオン(Mn )と共にイオン交換樹脂塔60へと流入する。
次に、無機イオン交換体通水工程S30を実施する。
即ち、無機イオン交換体通水工程S30は、まず、イオン交換樹脂塔60に無機イオン交換体であるゼオライトを設置する。ここで用いられるゼオライトは、マンガンイオン(Mn )を除去するためのものであるため、カチオン交換型のゼオライトが使用される。イオン交換樹脂塔60に流入した二次処理水W2をゼオライトに通水させることで二次処理水W2に含有されているマンガンイオン(Mn )をゼオライトに吸着させる。マンガンイオン(Mn )を吸着したゼオライトはイオン交換樹脂塔60から除去される。マンガンイオン(Mn )が除去された二次処理水W2は、化学体積制御配管55fから一次冷却水配管55bへと流通される。
次に、還元工程S40を実施する。
即ち、還元工程S40は、無機イオン交換体通水工程S30を実施後に化学体積制御配管55fから一次冷却系統である一次冷却水配管55bに戻された二次処理水W2に、還元剤としてシュウ酸及びピコリン酸を添加し、除染対象物Z内部にこれらの還元剤を添加した二次処理水W2を供給し循環させる。
除染対象物Z内部に還元剤を添加した二次処理水W2を循環させることで、ステンレス鋼に付着する酸化被膜中の鉄がシュウ酸によって還元溶出する。この際の化学式は、以下(3)式で表すことができる。
Figure 0006049403
一方で、インコネルの酸化被膜に含まれるニッケルとシュウ酸とが反応しシュウ酸ニッケルが溶出される。この際の化学式は、以下(4)式で表すことができる。
Figure 0006049403
そして、ピコリン酸がニッケルの溶出を促進し、シュウ酸ニッケルからニッケルを分解する。この際の化学反応式は、以下(5)式で表すことができる。
Figure 0006049403
これらの反応により、二次処理水W2に放射性核種である鉄やニッケルを含有させた三次処理水W3が生成される。
最後に、除去工程S50を実施する。
即ち、除去工程S50では、まず、イオン交換樹脂をゼオライトの除去されたイオン交換樹脂塔60に設置するそして、三次処理水W3を化学体積制御配管55eからイオン交換樹脂塔60に流入させる。イオン交換樹脂塔60でイオン交換樹脂に三次処理水W3を通水させることで、三次処理水W3中に含有されているクロム、鉄、ニッケルの放射性核種を吸着させて除去する。また、イオン交換樹脂を用いて、三次処理水W3中に残留する放射性核種で汚染されたピコリン酸なども同時に吸着させて除去して、三次処理水W3を除染する。除染された三次処理水W3は次サイクル以降再び処理水として使用される。
次に、上記工程の第一実施形態による化学除染方法の作用について説明する。
上記のような除染廃液処理方法によれば、有機酸であるシュウ酸を一次処理水W1に添加し、過マンガン酸イオンをマンガンイオン(Mn )へと分解することができる。無機イオン交換体通水工程S30にて、分解によって生成されたマンガンイオン(Mn )を含有する二次処理水W2を無機イオン交換体であるゼオライトに通水させることで、ゼオライトにマンガンイオン(Mn )が吸着し二次処理水W2中から除去できる。ゼオライトによってマンガンイオン(Mn )が除去される効率はイオン交換樹脂と同程度の50g/L程度だが、ゼオライトは無機物であり、これにマンガンイオン(Mn )が吸着しても無機物のままのため、発生する二次廃棄物を無機化することが可能となる。これにより、イオン交換樹脂の代りに無機イオン交換体でマンガンイオン(Mn )を二次処理水W2中から除去することができ、イオン交換樹脂の使用量を低減することができる。そのため、二次廃棄物量を増加させずに有機物であるイオン交換樹脂の二次廃棄物を無機物である無機イオン交換体の二次廃棄物に置き換えることが可能となる。
さらに、無機物で構成された二次廃棄物は、アスファルト固化やセメント固化を実施して埋め立てられた後の、土中で分解されることがないため安定して処分することが可能となる。
また、無機イオン交換体であるゼオライトは放射性核種も吸着することが可能なため、放射性核種の一部を事前に除去することも可能となる。
次に、図3を参照して第二実施形態の除染廃液処理方法について説明する。
第二実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を伏して詳細な説明を省略する。この第二実施形態の除染廃液処理方法は、酸化工程S10と分解工程S20の間に、二次処理水W2に対してpH調整工程S60を実施し、分解工程S20実施後に二種無機イオン交換体通水工程S31とを実施する点について第一実施形態と相違する。
即ち、第二実施形態では、酸化工程S10を実施した後、pH調整剤を添加し一次処理水W1中のpHを調整するpH調整工程S60を実施する。そして、第一実施形態と同様に分解工程S20を実施した後で、2種類の無機イオン交換体を用いる二種無機イオン交換体通水工程S31を実施する。その後、還元工程S40と、除去工程S50とを実施する。
pH調整工程S60は、まず、酸化工程S10実施後の一次処理水W1を、化学体積制御配管55eへ流入させる。そして、化学体積制御配管55e内の一次処理水W1にpH調整剤である硝酸を5mM程度添加し、pHを変化させた一次処理水W11を生成する。pH調整剤である硝酸は、使用される除染対象物Zによって適宜添加量を調整すればよく、一次処理水W11のpHが1から5の範囲に収まるまで添加されることが好ましく、2から4の範囲に収まるまで添加されることがより好ましい。
なお、使用されるpH調整剤は硝酸に限定されるものでなく、例えば、硫酸、塩酸等の酸が使用されても良い。
二種無機イオン交換体通水工程S31は、分解工程S20が実施された後の二次処理水W21に対して、2種類の無機イオン交換体を用いて2段階で実施される。第一段階として、第一実施形態の無機イオン交換体通水工程S30と同様に、マンガンイオン(Mn )をカチオン交換型ゼオライトに吸着させる。そしてイオン交換樹脂塔60からゼオライトを除去する。第二段階として、第一段階でゼオライトに通水した二次処理水W21を一次冷却水配管55bに戻さず、電磁弁61を開放して化学体積制御系統を循環させる。そして、アニオン交換型のゼオライトをイオン交換樹脂塔60に設置し、二次処理水W21を通水させ、二次処理水W2中に残留する硝酸を吸着除去する。硝酸が除去された二次処理水W22は、化学体積制御配管55fから一次冷却水配管55bへと流通される。
その後、一次冷却系統にて還元工程S40等が実施される。
上記のような第二実施形態の除染廃液処理方法によれば、一次処理水W1中にpH調整剤である硝酸を添加して、pHを調整することで一次処理水が酸性になり、マンガンイオン(Mn )をシュウ酸によって効率的に分解することができる。なぜならば、分解工程S20では一次処理水W1が酸性になり、マンガンイオン(Mn )が一次処理水W1中に溶けやすくなってからでないと分解反応が促進されない。しかし、一次処理水W1が酸性となっていない場合、過マンガン酸を分解させるために添加するシュウ酸が一次処理水W1を酸性にするために使用されてしまう。これにより、シュウ酸が添加され過ぎてしまうと、シュウ酸は、過マンガン酸を分解せずに、シュウ酸マンガンを生成し沈殿物となってしまう。シュウ酸マンガンになってしまうと、イオンではなくなるため無機イオン交換体であるゼオライトに吸着せず、一次処理水W1中からマンガンを除去出来なくなってしまう。そこで、硝酸によって一次処理水W1を酸性であるpH1〜5の範囲にすることで、添加されたシュウ酸がすぐに過マンガン酸を分解してマンガンイオン(Mn )とすることができる。特に一次処理水W1のpHを2〜4の範囲にすることで最も分解を効率的に実施することができる。これにより、僅かなシュウ酸で過マンガン酸を効率的に分解することができ、効率的にマンガンイオン(Mn )を無機イオン交換体で除去することが可能となる。
また、アニオン交換型のゼオライトを用いて一次処理水W1中のpHの調整に用いた硝酸を除去することができるため、硝酸を使用したことにより僅かに増加する二次廃棄物を無機物とし、イオン交換樹脂の使用量を増加させずに実施することができる。
次に、図4を参照して第三実施形態の除染廃液処理方法について説明する。
第二実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を伏して詳細な説明を省略する。この第三実施形態の除染廃液処理方法は、酸化工程S10を実施後に、沈殿工程S70と沈殿物除去工程S80とを実施してから分解工程S20を実施する点について第一実施形態と相違する。
即ち、第三実施形態では、第一実施形態と同様に酸化工程S10を実施した後で、過マンガン酸を沈殿させる沈殿工程S70と、沈殿した過マンガン酸を除去する沈殿物除去工程S80とを実施する。その後、第一実施形態と同様に分解工程S20と、無機イオン交換体通水工程S30と、還元工程S40と、除去工程S50とを実施する。
沈殿工程S70は、酸化工程S10を実施後の一次処理水W1を化学体積制御配管55eに流通させ、還元剤である過酸化水素を一次処理水W1に添加する。化学体積制御配管55e内で一次処理水W1に残留する過マンガン酸イオンは過酸化水素と反応し、二酸化マンガンとなり沈殿する。この際の化学反応式は、以下(6)式で表すことができる。
MnO +2H → MnO+2O+2HO…(式6)
過マンガン酸イオンが二酸化マンガンとなり沈殿物P1となることで一次処理水W1から除去され沈殿処理水W4が生成される。沈殿処理水W4は、沈殿物P1と共にイオン交換樹脂塔60へと流入する。
次に、沈殿物除去工程S80を実施する。
沈殿物除去工程S80は、まず、イオン交換樹脂塔60にフィルターを設置する。イオン交換樹脂塔60に流入した沈殿処理水W4をフィルターに通水させることで沈殿処理水W4に混在する沈殿物P1をフィルターに捕集させる。沈殿物P1を捕集したフィルターはイオン交換樹脂塔60から除去される。沈殿物P1が除去された沈殿処理水W4は、化学体積制御配管55fから一次冷却水配管55bへと流通される。
その後、一次冷却系統にて分解工程S20等が実施される。
上記のような第三実施形態の除染廃液処理方法によれば、沈殿工程S70にて過マンガン酸を沈殿させる還元化剤である過酸化水素を一次処理水W1に添加することで、酸化工程S10後に一次処理水W1に残留する過マンガン酸イオンが二酸化マンガンとなり沈殿物P1へと変化する。過マンガン酸イオンを沈殿物P1としてフィルターに捕集して除去することで、沈殿処理水W4中のマンガンを数百g/L程度除去できる。これはイオン交換樹脂で過マンガン酸イオンと共にマンガンを除去した場合の50g/Lと比較すると数倍の捕集効率となる。さらに、沈殿物P1が生成される反応速度が、シュウ酸で分解され過マンガン酸から生成されたマンガンイオン(Mn )の無機イオン交換体であるゼオライトへの吸着速度よりも早い。そのため、反応速度が速いことにより短時間で多くのマンガンを除去できる沈殿工程S70及び沈殿物除去工程S80を実施し、沈殿処理水W4中のマンガンイオン(Mn )の大部分を素早く除去する。そして、完全に除去し切れなかったマンガンイオン(Mn )を沈殿処理水W4中からゼオライトによって除去することでほぼ全てのマンガンイオン(Mn )を除去することが可能となる。これによって、クロムや鉄に含まれる放射性核種を除去する際にイオン交換樹脂で同時に処理される過マンガン酸の量が大幅に減少し、イオン交換樹脂の使用量を低減することが可能となる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、クレームの範囲によってのみ限定される。
なお、本発明は、系統除染に限定されるものではなく、原子力発電プラントP等を廃炉にする際に、大型の除染設備等で分解された除染対象物Zを浸漬させて除染する場合にも使用することができる。
また、各工程は本実施形態の通りに一次処理系統や化学体積制御系統で実施されることに限定されるものではなく、全ての系統で実施することができる。
さらに、無機イオン交換体としては、ゼオライトの他には、例えば、粘土鉱物が使用できる。さらにゼオライトとしてはリンやアンチモンを含んだゼオライトなどが挙げられる。
P…原子力発電プラント 51…燃料棒 50…加圧水型原子炉 52…加圧器 53…蒸気発生器 54…冷却材ポンプ 56…蒸気タービン 57…発電機 58…復水器 59…給水ポンプ 60…イオン交換樹脂塔 61…電磁弁 55a…一次冷却水配管 55b…一次冷却水配管 55c…蒸気配管 55d…給水配管 55e…化学体積制御配管 55f…化学体積制御配管 Z…除染対象物 S10…酸化工程 S20…分解工程 S30…無機イオン交換体通水工程 S40…還元工程 S50…除去工程 S60…pH調整工程 S31…二種無機イオン交換体通水工程 S70…沈殿工程 S80…沈殿物除去工程 W1…一次処理水 W2…二次処理水 W3…三次処理水 W4…沈殿処理水 P1…沈殿物

Claims (3)

  1. 除染対象物を浸漬した処理水中に、過マンガン酸を含む酸化剤を添加することで前記除染対象物からクロムを酸化溶出させる酸化工程と、
    該酸化工程の後に、前記処理水に有機酸を添加することで前記過マンガン酸を分解する分解工程と、
    該分解工程の後に、前記処理水を、マンガンを吸着する無機イオン交換体に通水する無機イオン交換体通水工程と、
    該無機イオン交換体通水工程の後に、前記処理水中に有機酸を添加することで前記除染対象物から鉄を還元溶出させる還元工程と、
    該還元工程の後に、前記処理水に溶出した放射性核種をイオン交換樹脂で除去する除去工程と、を備えることを特徴とする除染廃液処理方法。
  2. 前記酸化工程と前記分解工程との間に、pH調整剤を添加することで前記処理水のpHを2以上4以下にするpH調整工程を更に有することを特徴とする請求項1に記載の除染廃液処理方法。
  3. 前記酸化工程の後に、前記処理水中の過マンガン酸を沈殿させる還元剤を添加する沈殿工程と、
    該沈殿工程の後に、前記過マンガン酸の沈殿物を除去する沈殿物除去工程と、をさらに備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の除染廃液処理方法。
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