JP2020008498A - 放射性ヨウ素を含有する汚染水の除染方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ヨウ素吸着剤によりヨウ化物イオンを吸着除去した後の極微量のヨウ素酸イオンを含む放射性物質汚染水の除染方法を提供する。【解決手段】放射性ヨウ素を含有する放射性物質汚染水の除染方法であって、ヨウ素吸着剤を用いて除染処理した後の汚染水を酸化処理し、次いで、ヨウ素酸イオン吸着剤を用いて通水処理することを特徴とする除染方法。【選択図】なし
Description
本発明は、放射性ヨウ素を含有する汚染水の除染方法に関する。
2011年3月11日の東日本大震災の際、福島第一原子力発電所で発生した事故により、放射性ヨウ素を含む放射性廃液が大量に発生している。この放射性廃液には、原子炉圧力容器や格納容器、使用済み燃料プールに注水される冷却水に起因して発生する汚染水や、トレンチ内に滞留しているトレンチ水、原子炉建屋周辺のサブドレンと呼ばれる井戸より汲み上げられるサブドレン水、地下水、海水などがある(以下「放射性廃液」と称す。)。これらの放射性廃液は、サリー(SARRY, Simplified Active Water Retrieve and Recovery System(単純型汚染水処理システム)セシウム除去装置)やアルプス(ALPS, Advanced Liquid Processing System(多核種除去装置))などと呼ばれる処理設備にて放射性物質が除去され、処理された水はタンクに回収されている。放射性物質のうち放射性ヨウ素は主にヨウ化物イオン、ヨウ素酸イオンあるいはヨウ化メチルの形態で汚染水中に存在しているものが大半を占めている。そして放射性ヨウ素を選択的に吸着・除去可能な物質として、銀担持活性炭、銀担持無機物などがある。たとえばアルプスでは、銀担持活性炭や銀担持ゼオライト、活性炭、酸化セリウム系吸着剤などの吸着剤が使用され、放射性ヨウ素が除去されている。
放射性ヨウ素の除去に関連して、放射性ヨウ素を含む流体を、銀含有量が50wt%以下である銀含有バインダレスゼオライト成形体からなるヨウ素吸着剤に通過させ、当該ヨウ素吸着剤に放射性ヨウ素を吸着させる、放射性ヨウ素含有流体の処理方法が提案されている(特許文献1)。また、高分子樹脂と、当該高分子樹脂100重量部あたり10重量部以上の含水希土類元素水酸化物と、を含み、当該含水希土類元素水酸化物は、乾燥物100重量部あたり1重量部以上30重量部以下の含水量を有することを特徴とする、ヨウ素化合物吸着剤が提案されている(特許文献2)。
福島第一原子力発電所の汚染水の処理では、主にサリーやアルプスを用いて、種々の吸着剤により放射性物質を吸着除去している。放射性ヨウ素については、ヨウ化物イオンは銀担持活性炭、ヨウ素酸イオンは酸化セリウム系吸着剤、ヨウ化メチルはTEDA添着活性炭で処理をしている。しかし、これらの方法を用いてもすべての放射性ヨウ素が除去できることはなく、処理した汚染水には極微量の放射性ヨウ素が残留している。
本発明の目的は、原子力発電プラント、特に、福島第一原子力発電所で発生する汚染水など、放射性ヨウ素を含む流体を除染する方法であって、流体中の放射性ヨウ素濃度を低減する方法を提供することにある。特に、ヨウ素吸着剤によりヨウ化物イオンを吸着除去した後の極微量のヨウ素酸イオンを含む放射性物質汚染水の除染方法を提供することを目的とする。
銀担持活性炭や銀担持ゼオライトなどの銀担持系吸着剤、活性炭、酸化セリウム系吸着剤などで処理した流体中に微量に残留する放射性ヨウ素の化学的形態についてはヨウ化物イオン、ヨウ素酸イオン、有機ヨウ素、単体ヨウ素などがあるが、その割合などは知られていない。
放射性ヨウ素のうちヨウ化物イオンは銀担持活性炭で除去されるが、これはヨウ化物イオンと銀が反応してヨウ化銀として沈殿することを利用するものである。ヨウ化銀は難溶解性物質ではあるものの、溶解度積に従いある程度のヨウ化銀は溶解するため、処理済み汚染水中には、除去しきれない放射性ヨウ素が極僅かに存在している。たとえば、アルプスで処理した汚染水には、10Bq/L程度の放射性ヨウ素が存在しているといわれている。この数値を用い、放射性ヨウ素であるI−129の1Bqあたりの質量と半減期より濃度を計算すると、10Bq/Lはヨウ素濃度で1.5ppbに相当する。一方、ヨウ化銀の25℃における溶解度積は昭和56年2月1日裳華房発行「大学実習分析化学」350ページによると8.24×10−17(mol/L)2であることから溶解可能なヨウ化物イオンの濃度は1.17ppbとなり、両者の値はほぼ一致し、処理済み汚染水中の放射性ヨウ素は、その多くがヨウ化物イオンであると推定される。
本発明者らは、銀担持活性炭や銀担持ゼオライトなどで除去しきれない極微量な放射性ヨウ素の存在に関して酸化剤の活用に着目し、流体中の放射性ヨウ素の濃度を低減させることができる新規な方法を発明した。具体的には、本発明は、以下の態様を含む。
[1]放射性ヨウ素を含有する放射性物質汚染水の除染方法であって、
ヨウ素吸着剤を用いて除染処理した後の汚染水を酸化処理し、
次いで、ヨウ素酸イオン吸着剤を用いて通水処理することを特徴とする除染方法。
[2]前記ヨウ素吸着剤を用いて除染処理した後の汚染水は、ヨウ素酸イオン濃度0.1mg/L以下に相当する放射性ヨウ素を含む、前記[1]に記載の除染方法。
[3]前記酸化処理は、次亜塩素酸塩水溶液、次亜臭素酸塩水溶液、過酸化水素水、オゾンガスから選択される1種以上の酸化促進剤を用いることを特徴とする、前記[1]又は[2]に記載の除染方法。
[4]前記オゾンガスは、直径1μm以上100μm未満の気泡であるマイクロバブル、直径1μm未満の気泡であるナノバブル、直径100μm未満の気泡であるファインバブルから選択される1種以上の微細気泡であることを特徴とする、前記[3]に記載の除染方法。
[5]前記酸化処理は、前記ヨウ素吸着剤を用いて除染処理した後の汚染水をPd担持ゲル型イオン交換樹脂と接触させることをさらに含む、前記[3]又は[4]に記載の除染方法。
[6]前記ヨウ素酸イオン吸着剤は、酸化セリウム系吸着剤である、前記[1]〜[5]のいずれか1に記載の除染方法。
[7]前記ヨウ素吸着剤は、銀担持活性炭、銀担持ゼオライト、銀担持イオン交換樹脂、銀担持キレート樹脂から選択される銀担持型ヨウ素吸着剤である、前記[1]〜[6]のいずれか1に記載の除染方法。
[1]放射性ヨウ素を含有する放射性物質汚染水の除染方法であって、
ヨウ素吸着剤を用いて除染処理した後の汚染水を酸化処理し、
次いで、ヨウ素酸イオン吸着剤を用いて通水処理することを特徴とする除染方法。
[2]前記ヨウ素吸着剤を用いて除染処理した後の汚染水は、ヨウ素酸イオン濃度0.1mg/L以下に相当する放射性ヨウ素を含む、前記[1]に記載の除染方法。
[3]前記酸化処理は、次亜塩素酸塩水溶液、次亜臭素酸塩水溶液、過酸化水素水、オゾンガスから選択される1種以上の酸化促進剤を用いることを特徴とする、前記[1]又は[2]に記載の除染方法。
[4]前記オゾンガスは、直径1μm以上100μm未満の気泡であるマイクロバブル、直径1μm未満の気泡であるナノバブル、直径100μm未満の気泡であるファインバブルから選択される1種以上の微細気泡であることを特徴とする、前記[3]に記載の除染方法。
[5]前記酸化処理は、前記ヨウ素吸着剤を用いて除染処理した後の汚染水をPd担持ゲル型イオン交換樹脂と接触させることをさらに含む、前記[3]又は[4]に記載の除染方法。
[6]前記ヨウ素酸イオン吸着剤は、酸化セリウム系吸着剤である、前記[1]〜[5]のいずれか1に記載の除染方法。
[7]前記ヨウ素吸着剤は、銀担持活性炭、銀担持ゼオライト、銀担持イオン交換樹脂、銀担持キレート樹脂から選択される銀担持型ヨウ素吸着剤である、前記[1]〜[6]のいずれか1に記載の除染方法。
本発明の方法により、放射性ヨウ素含有流体中に含まれる極微量のヨウ素酸イオンまで除去することができ、放射性ヨウ素を含有する放射性汚染水の効果的な除染が可能になる。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の放射性ヨウ素を含有する放射性物質汚染水の除染方法は、ヨウ素吸着剤を用いて除染処理した後の汚染水(以下、単に「汚染水」という。)を酸化処理し、次いで、ヨ
ウ素酸イオン吸着剤を用いて通水処理することを特徴とする。
本発明の放射性ヨウ素を含有する放射性物質汚染水の除染方法は、ヨウ素吸着剤を用いて除染処理した後の汚染水(以下、単に「汚染水」という。)を酸化処理し、次いで、ヨ
ウ素酸イオン吸着剤を用いて通水処理することを特徴とする。
酸化処理する汚染水は、ヨウ素吸着剤を用いて除染処理されたものであればよく、特に限定されないが、ヨウ素酸イオン濃度0.1mg/L以下に相当する極微量の放射性ヨウ素を含有する汚染水である場合、従来の除染方法では除染することができなかったために特に効果を発揮する。ヨウ素吸着剤としては、従来使用されているヨウ素吸着剤を制限無く用いることができる。例えば、銀担持活性炭、銀担持ゼオライト、銀担持イオン交換樹脂、銀担持キレート樹脂などを単独又は任意に組み合わせて用いることができる。
酸化処理により、汚染水中に残留又は溶解しているヨウ化物イオンをヨウ素酸イオンに変換する。酸化処理は、次亜塩素酸塩水溶液、次亜臭素酸塩水溶液、過酸化水素水、オゾンガスから選択される1種以上の酸化促進剤を用いることが好ましい。
次亜塩素酸塩水溶液としては次亜塩素酸ナトリウム水溶液などを好ましく用いることができ、次亜臭素酸塩水溶液としては次亜臭素酸ナトリウム水溶液などを好ましく用いることができる。次亜塩素酸塩水溶液、次亜臭素酸塩水溶液、過酸化水素水、オゾンガスなどの酸化促進剤は単独又は任意に組み合わせて用いることができる。汚染水中のヨウ化物イオンをヨウ素酸イオンに変換するのに必要なモル当量以上の酸化促進剤を汚染水に添加することが望ましい。オゾンガスは、マイクロバブル、ナノバブル、ファインバブルから選択される1種以上の微細気泡として導入されることが好ましい。マイクロバブルとは、直径1μm以上100μm未満の気泡であり、ナノバブルとは、直径1μm未満の気泡であり、ファインバブルとは、直径100μm未満の気泡である。これらの微細な気泡を汚染水中に注入することが望ましい。
酸化処理は、汚染水に酸化促進剤を導入することによって行うことが好ましい。導入方法としては、汚染水を滞留したタンクや貯留池などに適宜の形態で酸化促進剤を導入する方法、汚染水をタンクや貯留池から後段の吸着処理設備へ移送する配管に酸化促進剤の注入ラインを設けて、移送中に適宜の形態で酸化促進剤を導入する方法など、を制限なく用いることができる。酸化促進剤は反応活性が高く、短時間で酸化反応が完了するため、吸着処理の直前に導入することが好ましい。
酸化処理は、汚染水をPd担持ゲル型イオン交換樹脂と接触させることをさらに含むものでもよい。この場合、Pd担持ゲル型イオン交換樹脂は、酸化触媒として作用する。汚染水とPd担持ゲル型イオン交換樹脂との接触は、酸化促進剤を注入した後、吸着処理の前に行われることが好ましく、後段の吸着処理設備の上部にPd担持ゲル型イオン交換樹脂を充填するなど適宜の態様で配設することができる。
次いで、ヨウ素酸イオンを含有する汚染水を、ヨウ素酸イオン吸着剤を用いて通水処理する。通水処理は、ヨウ素酸イオン吸着剤を充填してなるカラムに、汚染水を下降流で通水することにより行うことが好ましい。
ヨウ素酸イオン吸着剤としては、公知のヨウ素酸イオン吸着剤を用いることができるが、カラムに充填して通水処理するためには粉末状ではなく成形体であることが好ましい。例えば円柱状に成形した酸化セリウム系吸着剤、チタン系吸着剤、及び希土類元素水酸化物系吸着剤などを単独又は任意に組み合わせて用いることができる。特に通水処理の観点から、湿潤状態で0.1N以上の強度を有し、粒径250μm以上1200μm以下の粒子状に成形されている吸着剤が好ましい。
通水処理の条件としては、ヨウ素酸イオン吸着剤を20cm以上200cm以下の層高で充填した吸着塔に、汚染水を通水線流速(LV)1m/h以上40m/h、空間速度(
SV)200h−1以下で通水することが望ましい。
SV)200h−1以下で通水することが望ましい。
以下、実施例により本発明の放射性ヨウ素除去方法について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<模擬汚染水の調製>
(1)20Lの純水に、以下の試薬(和光純薬特級試薬)を添加して、塩分濃度が0.3wt%の10倍希釈模擬海水を調製した。
<模擬汚染水の調製>
(1)20Lの純水に、以下の試薬(和光純薬特級試薬)を添加して、塩分濃度が0.3wt%の10倍希釈模擬海水を調製した。
塩化ナトリウム:44.2g
塩化マグネシウム6水和物:19.8g
塩化カルシウム2水和物:3g
硫酸ナトリウム:7.8g
炭酸水素ナトリウム:0.38g
(2)10倍希釈模擬海水に、ヨウ素濃度が0.1mg/Lとなるようにヨウ化カリウムを添加し、ヨウ素吸着剤により処理した後の汚染水を模した模擬汚染水1を調製した。
(3)模擬汚染水1に、有効塩素濃度5%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を0.6mL添加し、十分に撹拌して、ヨウ素吸着剤により処理した後の汚染水を酸化処理した模擬汚染水2を調製した。
(4)模擬汚染水1に、40%過酸化水素水0.5mLを添加し、さらにPd担持イオン交換樹脂(ランクセス株式会社製K3733)を1mL添加し、十分に撹拌して、ヨウ素吸着剤により処理した後の汚染水をPd担持イオン交換樹脂の併用で酸化処理した模擬汚染水3を調製した。
塩化マグネシウム6水和物:19.8g
塩化カルシウム2水和物:3g
硫酸ナトリウム:7.8g
炭酸水素ナトリウム:0.38g
(2)10倍希釈模擬海水に、ヨウ素濃度が0.1mg/Lとなるようにヨウ化カリウムを添加し、ヨウ素吸着剤により処理した後の汚染水を模した模擬汚染水1を調製した。
(3)模擬汚染水1に、有効塩素濃度5%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を0.6mL添加し、十分に撹拌して、ヨウ素吸着剤により処理した後の汚染水を酸化処理した模擬汚染水2を調製した。
(4)模擬汚染水1に、40%過酸化水素水0.5mLを添加し、さらにPd担持イオン交換樹脂(ランクセス株式会社製K3733)を1mL添加し、十分に撹拌して、ヨウ素吸着剤により処理した後の汚染水をPd担持イオン交換樹脂の併用で酸化処理した模擬汚染水3を調製した。
<ヨウ素酸イオン吸着剤材料への通水試験(ヨウ素酸イオン吸着性能評価)>
3本の内径7mmのガラスカラムに、ヨウ素酸イオン吸着剤として酸化セリウム系吸着剤(日本海水株式会社製吸着剤EJ−101)を3.85mL充填して10cmの層高を形成して、吸着塔を準備した。各吸着塔に、模擬汚染水1、模擬汚染水2及び模擬汚染水3を1.3mL/minの流量(線速度2m/h、空間速度20h−1)でそれぞれ通水し、出口水を1日後に採取して、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS,型式:Agilent 7700x、アジレントテクノロジー社製)を用いてヨウ素127を測定することによりヨウ素濃度を定量し、ヨウ素酸イオンの除去率を求めた。
・模擬汚染水1(対照):除去率8%
・模擬汚染水2(次亜塩素酸ナトリウム水溶液による処理):除去率99%
・模擬汚染水3(過酸化水素水+Pd担持イオン交換樹脂による処理):除去率95%
以上、本発明の除染方法によれば、海水中ヨウ素濃度0.1mg/Lを海水中ヨウ素濃度0.005mg/L(5ppb)〜0.001mg/L(1ppb)まで低減できることが確認できた。本実験は、処理対象となる海水中ヨウ素濃度が0.1mg/Lと高いため、処理後の海水中ヨウ素濃度が5ppb〜1ppbの範囲であったが、海水中ヨウ素濃度がより低い汚染水を処理対象とする場合、たとえば海水中ヨウ素濃度が12ppbである汚染水を処理対象とする場合には、本発明の除染方法により1ppb未満まで海水中ヨウ素濃度を低下させることができると考えられる。
3本の内径7mmのガラスカラムに、ヨウ素酸イオン吸着剤として酸化セリウム系吸着剤(日本海水株式会社製吸着剤EJ−101)を3.85mL充填して10cmの層高を形成して、吸着塔を準備した。各吸着塔に、模擬汚染水1、模擬汚染水2及び模擬汚染水3を1.3mL/minの流量(線速度2m/h、空間速度20h−1)でそれぞれ通水し、出口水を1日後に採取して、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS,型式:Agilent 7700x、アジレントテクノロジー社製)を用いてヨウ素127を測定することによりヨウ素濃度を定量し、ヨウ素酸イオンの除去率を求めた。
・模擬汚染水1(対照):除去率8%
・模擬汚染水2(次亜塩素酸ナトリウム水溶液による処理):除去率99%
・模擬汚染水3(過酸化水素水+Pd担持イオン交換樹脂による処理):除去率95%
以上、本発明の除染方法によれば、海水中ヨウ素濃度0.1mg/Lを海水中ヨウ素濃度0.005mg/L(5ppb)〜0.001mg/L(1ppb)まで低減できることが確認できた。本実験は、処理対象となる海水中ヨウ素濃度が0.1mg/Lと高いため、処理後の海水中ヨウ素濃度が5ppb〜1ppbの範囲であったが、海水中ヨウ素濃度がより低い汚染水を処理対象とする場合、たとえば海水中ヨウ素濃度が12ppbである汚染水を処理対象とする場合には、本発明の除染方法により1ppb未満まで海水中ヨウ素濃度を低下させることができると考えられる。
本発明の除染方法は、福島第一原子力発電所で発生する汚染水中に含まれる放射性ヨウ素の低減に適用可能である。福島第一原子力発電所において、現状の汚染水処理装置であるアルプスでは、ヨウ化銀の溶解度積より放射性ヨウ化物イオン濃度をある一定レベル以下にすることは原理的に不可能である。そこで、アルプスで処理した汚染水に次亜塩素酸水溶液などを添加し、ヨウ素酸吸着剤で処理することで、放射性ヨウ素濃度をさらに低減させることが出来る。
Claims (7)
- 放射性ヨウ素を含有する放射性物質汚染水の除染方法であって、
ヨウ素吸着剤を用いて除染処理した後の汚染水を酸化処理し、
次いで、ヨウ素酸イオン吸着剤を用いて通水処理する
ことを特徴とする除染方法。 - 前記ヨウ素吸着剤を用いて除染処理した後の汚染水は、ヨウ素酸イオン濃度0.1mg/L以下に相当する放射性ヨウ素を含む、請求項1に記載の除染方法。
- 前記酸化処理は、次亜塩素酸塩水溶液、次亜臭素酸塩水溶液、過酸化水素水、オゾンガスから選択される1種以上の酸化促進剤を用いることを特徴とする、請求項1又は2に記載の除染方法。
- 前記オゾンガスは、直径1μm以上100μm未満の気泡であるマイクロバブル、直径1μm未満の気泡であるナノバブル、直径100μm未満の気泡であるファインバブルから選択される1種以上の微細気泡であることを特徴とする、請求項3に記載の除染方法。
- 前記酸化処理は、前記ヨウ素吸着剤を用いて除染処理した後の汚染水をPd担持ゲル型イオン交換樹脂と接触させることをさらに含む、請求項3又は4に記載の除染方法。
- 前記ヨウ素酸イオン吸着剤は、酸化セリウム系吸着剤、チタン系吸着剤、希土類元素水酸化物系吸着剤から選択される吸着剤である、請求項1〜5のいずれか1に記載の除染方法。
- 前記ヨウ素吸着剤は、銀担持活性炭、銀担持ゼオライト、銀担持イオン交換樹脂、銀担持キレート樹脂から選択される銀担持型ヨウ素吸着剤である、請求項1〜6のいずれか1に記載の除染方法。
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JP2018131746A JP2020008498A (ja) | 2018-07-11 | 2018-07-11 | 放射性ヨウ素を含有する汚染水の除染方法 |
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Cited By (2)
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JP2021162596A (ja) * | 2020-03-30 | 2021-10-11 | コリア アトミック エナジー リサーチ インスティテュートKorea Atomic Energy Research Institute | 放射性廃棄物の放射能計測方法 |
JP7054122B1 (ja) | 2021-12-14 | 2022-04-13 | 有限会社木村研究所 | 還元剤の製造方法及び還元性水素水溶液の製造方法 |
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2018
- 2018-07-11 JP JP2018131746A patent/JP2020008498A/ja active Pending
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JP7125161B2 (ja) | 2020-03-30 | 2022-08-24 | コリア アトミック エナジー リサーチ インスティテュート | 放射性廃棄物の放射能計測方法 |
US11598887B2 (en) | 2020-03-30 | 2023-03-07 | Korea Atomic Energy Research Institute | Method for measuring radioactivity of radioactive waste |
JP7054122B1 (ja) | 2021-12-14 | 2022-04-13 | 有限会社木村研究所 | 還元剤の製造方法及び還元性水素水溶液の製造方法 |
JP2023087909A (ja) * | 2021-12-14 | 2023-06-26 | 有限会社木村研究所 | 還元剤の製造方法及び還元性水素水溶液の製造方法 |
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