JP2014145687A - 放射性ストロンチウム含有排水の処理装置 - Google Patents

放射性ストロンチウム含有排水の処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 他の硬度成分を多量に含む放射性ストロンチウム含有放射性排水から放射性ストロンチウムを効率よく除去するための装置を提供する。
【解決手段】 1は硬度成分除去剤を充填した3連複塔タイプの硬度成分予備除去塔であり、この硬度成分予備除去塔1の後段には、チタン酸アルカリ金属塩を基材とする吸着剤を充填した3連複塔タイプのストロンチウム吸着塔2とが、順次連続した構成を有する。まず、放射性ストロンチウム及びカルシウム、マグネシウム、安定同位体ストロンチウムなどの他のアルカリ土類金属を含む排水を原水Wとして、硬度成分予備除去塔1に供給する。この硬度成分予備除去塔1では、硬度成分であるカルシウム、マグネシウムを主に吸着する。次にこの予備処理水W1をストロンチウム吸着塔2に供給する。このストロンチウム吸着塔2で、ストロンチウムを効率的に除去して処理水W2を得ることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、放射性ストロンチウム含有排水、特に放射性ストロンチウムとともにカルシウムやマグネシウムなどの他の硬度成分を多量に含む放射性排水から放射性ストロンチウムを効率よく除去するための装置に関する。
放射性ストロンチウムは、半減期が29年と長く、また、水への拡散性が高い核分裂生成物であり、放射性ストロンチウム含有排水の、効率的な処理システムが望まれている。このような水中の放射性ストロンチウムを処理する方法として、オルトチタン酸から成る吸着剤を用いて、吸着除去する方法が適用されている(非特許文献1、非特許文献2)。そのような吸着剤として、チタン酸ナトリウムを用い、これを顆粒化して吸着剤として用いる方法が提案されている(特許文献1)。
久保田益光ほか「群分離法の開発:無機イオン交換体カラム法による90Sr及び134Csを含む廃液の処理法の開発」、JAERI−M82−144(1982) 「無機材料研究所研究報告書」第112号(科学技術庁)
特許第4428541号公報
チタン酸アルカリ金属塩から成るストロンチウム吸着剤は、高塩類濃度下でも高効率でストロンチウム吸着を除去できる素材である。また、同じアルカリ土類金属であるカルシウム、マグネシウムなどよりも、ストロンチウムの分配係数が高いため、ストロンチウムに対して優れた選択性を示す。しかしながら、海水が混入した放射性排水では、ストロンチウムに比べ、大幅に高い濃度でカルシウム、マグネシウムなどの硬度成分が共存するため、チタン酸アルカリ金属塩を用いた場合でも、カルシウム、マグネシウムの吸着サイトの占有(消費)は無視し得なくなる。このため、ストロンチウムを高濃度で含む排水を処理する場合、高価な機能性材料であるチタン酸アルカリ金属塩を大量に用いる必要があった。
チタン酸アルカリ金属塩を基材とする吸着剤は、その用途が限られており、非常に高価であり、その使用量はできるだけ少なく抑えたい。そのため、チタン酸アルカリ金属塩を基材とする吸着剤をより有効に利用しうる装置の確立が望まれている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、放射性ストロンチウムとともにカルシウムやマグネシウムなどの他の硬度成分を多量に含む放射性排水から放射性ストロンチウムを効率よく除去するための装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、放射性ストロンチウム及び他の硬度成分を含む排水から放射性ストロンチウムを除去するための装置であって、チタン酸アルカリ金属を基材とするストロンチウム吸着剤を充填したストロンチウム吸着塔の前段に、他の硬度成分を除去可能な異なる吸着剤を充填した硬度成分予備除去塔を備えることを特徴とする放射性ストロンチウム含有排水の処理装置を提供する(発明1)。上記発明(発明1)において、前記硬度成分としては、他のアルカリ土類金属成分が含まれ得る(発明2)。
かかる発明(発明1,2)によれば、放射性ストロンチウムとともにカルシウムやマグネシウムなどの他のアルカリ土類金属成分を硬度成分として高濃度で含む高塩類濃度排水を、まず硬度成分予備除去塔に通水することで、カルシウム、マグネシウムおよびストロンチウムをそれぞれ一定の割合以上で除去する。このときカルシウム、マグネシウムの量が非常に多いので、これらがより多く除去されることになる。その結果、後段に設置するチタン酸アルカリ金属を基材としたストロンチウム吸着剤に対する硬度負荷を低減できる。そして、その後ストロンチウム吸着剤を充填したストロンチウム吸着塔に通水することで、放射性ストロンチウムを効果的に低減することができる。
上記発明(発明1,2)においては、前記硬度成分予備除去塔で用いる吸着剤が、A型もしくはX型のゼオライトであるのが好ましい(発明3)。
かかる発明(発明3)によれば、放射性ストロンチウムとともにカルシウムやマグネシウムなどの他のアルカリ土類金属成分を硬度成分として高濃度で含む高塩類濃度排水を、A型、X型ゼオライトを充填した硬度成分予備除去塔に通水することで、以下に示すイオン交換反応により、カルシウム、マグネシウムおよびストロンチウムを一定の割合以上で除去することができる。
Ca2+ + 2R−Na → R−Ca−R + 2Na
Mg2+ + 2R−Na → R−Mg−R + 2Na
Sr2+ + 2R−Na → R−Sr−R + 2Na
上記発明(発明1,2)においては、前記硬度成分予備除去塔で用いる吸着剤が、カチオン交換樹脂であるのが好ましい(発明4)。また、上記発明(発明4)においては、前記カチオン交換樹脂が強酸性カチオン交換樹脂または弱酸性カチオン交換樹脂であるのが好ましい(発明5)。特に上記発明(発明4,5)においては、前記カチオン交換樹脂がNa型であるのが好ましい(発明6)。
かかる発明(発明4〜6)によれば、放射性ストロンチウムとともにカルシウムやマグネシウムなどの他のアルカリ土類金属成分を硬度成分として高濃度で含む高塩類濃度排水を、強酸性カチオン交換樹脂または弱酸性カチオン交換樹脂に通水することで、上記発明3と同様のイオン交換反応により、カルシウム、マグネシウムおよびストロンチウムを一定の割合以上で除去することができる。特にNa型の強酸性カチオン交換樹脂を用いることで、処理水を酸性にすることを抑制できる。この結果、後段に設置するチタン酸アルカリ金属を基材とするストロンチウム吸着剤を充填したストロンチウム吸着塔への硬度負荷を低減できるばかりでなく、チタン酸アルカリ金属の吸着能を低下させる酸性での供給を回避することが可能となる。
上記発明(発明1〜6)においては、前記硬度成分予備除去塔と前記ストロンチウム吸着塔との間に該硬度成分予備除去塔の予備処理水のpHを所定のアルカリ度に調整するためのpH調整手段を備えるのが好ましい(発明7)。
かかる発明(発明7)によれば、硬度成分予備除去塔の出口水にアルカリを添加して、ストロンチウム吸着塔に供給される処理水をアルカリ性とすることで、チタン酸アルカリ金属による吸着能を維持して、ストロンチウム吸着剤の使用料を低減することができる。
本発明によれば、放射性ストロンチウムとともにカルシウムやマグネシウムなどの他のアルカリ土類金属成分を硬度成分として高濃度で含む高塩類濃度排水を、まず硬度成分予備除去塔に通水した後、ストロンチウム吸着剤を充填したストロンチウム吸着塔に通水することで、放射性ストロンチウムを効果的に低減することができる。
このような効果が得られる理由は以下のとおりである。すなわち、ストロンチウムとともに、同じアルカリ土類金属であるカルシウム、マグネシウムなどの硬度成分が共存する排水が、放射性ストロンチウムで汚染された場合、放射性ストロンチウムの除去には、チタン酸アルカリ金属塩を基材とする吸着剤が好適である。これは、チタン酸アルカリ金属塩が、ストロンチウムの吸着において、カルシウムやマグネシウムよりも高い選択性を有するためである。
しかしながら、このような排水に海水が混入したりすると、海水中には表1に示すようにカルシウムやマグネシウムが、ストロンチウムと比較して大幅に多く含まれているので、排水中のこれらの濃度が大幅に高くなる。
Figure 2014145687
このように海水が混入した放射性排水中では、放射性ストロンチウムの濃度に比べ、カルシウム、マグネシウムの濃度が非常に高くなる。ここで、放射性ストロンチウムの濃度と放射能(ベクレル)の関係は表2に示す通りであり、高い放射能を示す排水であっても、放射性ストロンチウムの濃度は非常に低いことになる。
Figure 2014145687
上記表1及び表2から明らかなとおり、放射性ストロンチウム含有排水に海水が混入した場合、除去の対象は放射性ストロンチウムであるにもかかわらず、排水中の全ストロンチウム濃度は、実質、海水由来のストロンチウム濃度とみなすことができる。また、カルシウムおよびマグネシウムは、ストロンチウムに対して、それぞれ、重量比で57倍および170倍と非常に多量に存在することになる。
一方、ストロンチウムの吸着剤として知られるチタン酸アルカリ金属塩の一種である二チタン酸カリウムは、以下のイオン交換反応により、ストロンチウムを吸着する。
Sr2+ + KTi → SrTi + 2K
しかしながら、前述のように海水が混入した排水中のストロンチウム濃度は、硬度成分としてのカルシウムやマグネシウムなどの他のアルカリ土類金属の濃度に比べて大幅に低いので、ストロンチウムを吸着除去するために、チタン酸アルカリ金属塩を基材とする吸着剤を用いた場合、この吸着剤がストロンチウムの吸着に対する選択性が高いとはいえカルシウムおよびマグネシウムの吸着による吸着剤の消費は無視し得ないことになる。
そこで、本発明においては、まず硬度成分予備除去塔に通水してカルシウム、マグネシウムなどを大幅に除去した後ストロンチウム吸着剤を充填したストロンチウム吸着塔に通水することで、ストロンチウム吸着剤の浪費を防止し、放射性ストロンチウムを効果的に低減することができるのである。
本発明の第一の実施形態に係る放射性ストロンチウム含有排水の処理装置を示すフロー図である。 本発明の第二の実施形態に係る放射性ストロンチウム含有排水の処理装置を示すフロー図である。
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して詳細に説明する。ただし、本実施形態はいずれも例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は、本発明の第一の実施形態による放射性ストロンチウム含有排水の処理装置を示している。図1に示す装置において、1は硬度成分除去剤を充填した3連複塔タイプの硬度成分予備除去塔であり、この硬度成分予備除去塔1の後段には、チタン酸アルカリ金属塩を基材とする吸着剤を充填した3連複塔タイプのストロンチウム吸着塔2が、管路3を介して順次連結した構成を有する。
上述したような装置において、硬度成分予備除去塔1に充填される硬度成分除去剤としては、カルシウムやマグネシウムなどのアルカリ土類金属イオンを吸着する汎用吸着剤を用いることができ、例えば、強酸性カチオン交換樹脂、弱酸性カチオン交換樹脂などのカチオン交換樹脂、A型ゼオライト、X型ゼオライト等のゼオライトを好適に用いることができる。
強酸性カチオン交換樹脂としては、H型やNa型などがあるが、Na型強酸性カチオン交換樹脂が好ましい。Na型のイオン交換樹脂を用いてカルシウムやマグネシウムを共存する高塩類濃度排水を処理した場合、イオン交換反応により、カルシウムやマグネシウムの代わりにNaが溶離され、処理水のpH低下やpH変動を防ぐことができる。ストロンチウム吸着塔2に充填されるチタン酸アルカリ金属塩を基材とする吸着剤は、アルカリ領域でストロンチウムに対しより高い分配係数を示すため、ストロンチウム吸着塔2の原水(予備処理水W1)のpH低下を防ぐことにより、ストロンチウム吸着材の処理性能を高めることができる。
一方、弱酸性カチオン交換樹脂は、Naの保持力が弱いため、あえてNa型とする必要はなく、H型のものを用いることができる。弱酸性カチオン交換樹脂は、強酸性カチオン交換樹脂に比べ、単位樹脂量当たりの交換基容量が大きく、その点では有利である。ただし、処理水が酸性になるため、後段のストロンチウム吸着塔2に充填されたチタン酸カリウム塩を基材とするストロンチウム吸着剤を効率的に用いるためには、pH調整を行ってもよい。
また、カチオン交換樹脂と同様にカチオン交換反応による硬度除去能を有することから、硬度成分除去剤としてゼオライトを用いることができる。しかも、ゼオライトは、アルカリ金属を格子内に有しており、カルシウムやマグネシウムとイオン交換する際、アルカリ金属を溶離するため、処理水を酸性にしないという利点を有する。上述したようなゼオライトは、その結晶構造によって、さまざまな形態が知られており、チャバサイト、モルデナイト、クリノプチロライト、A型ゼオライトやX型ゼオライトなどがある。これらの中では、チャバサイト、モルデナイト、クリノプチロライトなどのゼオライトはセシウムなどアルカリ金属の吸着に対して高い選択性を有する一方、A型ゼオライトやX型ゼオライトは、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムなどアルカリ土類金属に対して高い吸着選択性を有することから、本発明の目的上はA型ゼオライト及びX型ゼオライトが好ましい。
また、ストロンチウム吸着塔2に充填されるチタン酸アルカリ金属塩を基材とする吸着剤に用いるチタン酸アルカリ金属塩としては、陽イオン交換性に優れることから、チタン酸ナトリウム、チタン酸カリウムが好ましい。このチタン酸アルカリ金属塩は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態においては、この粉末状のチタン酸アルカリ金属塩を粒状体に成形するのが好ましい。チタン酸アルカリ金属塩が粉末状であれば、チタン酸アルカリ金属塩を一定の形状に成形しやすく、汎用性の面で好適である。粉末状のチタン酸アルカリ金属塩としては、市販品を用いることができ、市販のチタン酸アルカリ金属塩粉末の粒径は一般的に100μm未満、例えば200meshパス(75μm未満)であることから、このような粒径のチタン酸アルカリ金属塩粉末を用いることができる。このようなチタン酸アルカリ金属塩粉末を成形する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、バインダー等を用いてチタン酸アルカリ金属塩粉末を粒状体に成形する方法が挙げられる。
このチタン酸アルカリ金属塩の粒状体の大きさは、粒径で200μm以上3mm未満、好ましくは0.5〜2mmである。この粒状体の大きさが上記範囲よりも大きいと、表面積が小さくなってしまう為、放射性物質吸着能が低下するおそれがあり、小さいとストロンチウム吸着塔2のストレーナーからリークするおそれがある。なお、ここで、粒状体の粒径とは、粒状体が球状であればその直径に該当し、その他の形状の場合、当該粒状体を2枚の平行な板で挟んだとき、その板の間隔が最も大きくなる部位の長さ(2枚の板の間隔)をさす。このようにして得られるチタン酸アルカリ金属塩の粒状体よりなる基体の表面には高分子材料等をコーティングして被膜することができる。なお、特許第4428541号公報に記載された態様のものも好適に用いることができる。
次に上述したような本実施形態の放射性ストロンチウム含有排水の処理装置を用いた放射性ストロンチウム含有排水の処理方法について説明する。
まず、放射性ストロンチウム及びカルシウム、マグネシウム、安定同位体ストロンチウムなどの他のアルカリ土類金属を含む排水を原水Wとして、硬度成分予備除去塔1に供給する。この硬度成分予備除去塔1では、硬度成分であるカルシウム、マグネシウムを主に吸着する。
次に、硬度成分予備除去塔1で処理された予備処理水W1をストロンチウム吸着塔2に供給する。このストロンチウム吸着塔2には、ストロンチウムに対する選択性の非常に高いチタン酸アルカリ金属塩を基材とする吸着剤が充填されているので、ストロンチウムを効率的に除去して処理水W2を得ることができる。
本実施形態のように、チタン酸アルカリ金属塩によるストロンチウムの吸着サイトを占有するおそれのあるカルシウム、マグネシウムを予め硬度成分予備除去塔1で大幅に吸着除去してその濃度を低下させた後、チタン酸アルカリ金属塩を基材とするストロンチウム吸着剤で処理することにより、ストロンチウム吸着剤の破過までの積算通水量を多く取ることができる。特に硬度成分予備除去塔1にNa型カチオン交換樹脂吸着塔を用いることで、チタン酸カルシウムを基材とする吸着剤を充填した吸着塔入口水のpHを、ストロンチウムに対する選択性を低下させる酸性とすることなく、中性もしくはアルカリ性とすることができる。
また、使用済みの吸着剤、すなわち破過した硬度成分除去剤及びストロンチウム吸着剤は、コンクリート固化など適当な手段によって処分すればよい。その際、ストロンチウム等のβ崩壊核種が吸着している場合、そのβ崩壊による熱によって、固化体の温度が上昇する。一般に、有機材料は耐放射線性が弱く、一定以上の放射線に曝露されると脆化して、安定化効果を喪失する場合がある。従って、Na型強酸性カチオン交換樹脂やNa型弱酸性カチオン交換樹脂を用いる場合は、吸着した核種の崩壊熱による温度上昇が、材料の耐熱温度以下となる場合に用いることが好ましい。また、無機材料であるA型ゼオライトや、X型ゼオライトなどのゼオライトは、耐熱性が高く、吸着する核種濃度が高い場合でも使用することができる。
次に本発明の第二の実施形態について、図2を参照して詳細に説明する。図2に示す装置は、硬度成分予備除去塔1とストロンチウム吸着塔2との間に硬度成分予備除去塔1の予備処理水W1のpHを所定のアルカリ度に調整するためのpH調整手段4を有する以外は、前述した第一の実施形態と同じ構成を有するので、同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
このpH調整手段4は、攪拌機を備えたpH調整槽5と、このpH調整槽5に設置された図示しないpH計と、アルカリ添加機構6と、このアルカリ添加機構6に図示しない制御機構により相互に接続した開閉機構としての自動弁7とを備え、硬度成分予備除去塔1から排出される予備処理水W1が所定のpH未満の場合には、アルカリ添加機構6によりアルカリを添加する一方、所定のpH未満の予備処理水W1がストロンチウム吸着塔2に供給されないよう自動弁7を開閉するように構成されている。
このように硬度成分予備除去塔1とストロンチウム吸着塔2との間に硬度成分予備除去塔の予備処理水W1のpHを所定のアルカリ度に調整するためのpH調整手段4を設けることにより、以下のような効果が得られる。すなわち、例えば、硬度成分予備除去塔1に弱酸性カチオン交換樹脂を充填した場合、弱酸性カチオン交換樹脂は、強酸性カチオン交換樹脂に比べ、単位樹脂量当たりの交換基容量が大きく、その点では有利であるが、予備処理水W1は酸性になるため、pH調整手段4により予備処理水W1にアルカリを添加して積極的にアルカリ性とすることにより、ストロンチウム吸着塔2におけるストロンチウム吸着剤の性能の低下を抑制することができる。第二の実施形態におけるその他の諸条件は前述した第一の実施形態と同じでよい。
以上、本発明について添付図面を参照に説明してきたが、本発明は前記第一及び第二の実施形態に限定されず、種々の変更実施が可能である。例えば、前記実施形態においては、 硬度成分予備除去塔1及びストロンチウム吸着塔2を複塔としたが、単塔でも良い。また、複数の塔を直列する場合は、通水順をメリーゴーラウンドのように変更することで、破過容量を高くしてもよい。また、硬度成分予備除去塔1及びストロンチウム吸着塔2への通水方向は下向流であっても上向流であってよい。さらに、第二の実施形態においては、攪拌機を備えたpH調整槽5の代わりにスタティックミキサを採用してもよい。
以下の実施例及び比較例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
下記表3に示す性状の模擬海水を原水Wとして用意した。この原水の放射性ストロンチウム(85Sr)に起因する放射線量は、1.1×10Bq/Lであった。
Figure 2014145687
この模擬海水Wを図1に示す装置に1時間通水し、処理水W2を得た。この処理水W2のストロンチウム濃度、カルシウム濃度、マグネシウム濃度及び処理水中の放射性ストロンチウム(85Sr)の線量を分析するとともに、DFを算出した。結果を表4に示す。なお、DFとはDecontamination Factorの略であり、原水の放射線核種濃度/処理水の放射線核種濃度を示す。
なお、図1に示す装置において、硬度成分予備除去塔1において、硬度成分除去剤としては、強酸性カチオン交換樹脂を用い、1塔当り200mLの強酸性カチオン交換樹脂を充填したものを3塔連続させた。また、ストロンチウム吸着塔2には、二チタン酸カリウムを1塔当り200mL充填したものを3塔連続させた。なお、通水速度(SV)は
10h−1とした。
(比較例1)
実施例1において、硬度成分予備除去塔1を用いずにストロンチウム吸着塔2のみで処理した処理水W2を得た。得られた処理水W2のストロンチウム濃度、カルシウム濃度、マグネシウム濃度、処理水中の放射性ストロンチウム(85Sr)の線量を分析するとともに、DFを算出した。結果を表4にあわせて示す。
Figure 2014145687
表4から明らかなように、通水1時間では、実施例1、比較例1ともに硬度成分の破過は起こっていないが、実施例1の放射性ストロンチウム含有排水の処理装置を用いて処理することにより、比較例1と比べて処理水中の放射性ストロンチウムをより低濃度まで低減できることがわかる。
1…硬度成分予備除去塔
2…ストロンチウム吸着塔
3…管路
4…pH調整手段
5…pH調整槽
6…アルカリ添加機構
7…自動弁
W…原水
W1…予備処理水
W2…処理水

Claims (7)

  1. 放射性ストロンチウム及び他の硬度成分を含む排水から放射性ストロンチウムを除去するための装置であって、チタン酸アルカリ金属を基材とするストロンチウム吸着剤を充填したストロンチウム吸着塔の前段に、他の硬度成分を除去可能な異なる吸着剤を充填した硬度成分予備除去塔を備えることを特徴とする放射性ストロンチウム含有排水の処理装置。
  2. 前記硬度成分が、他のアルカリ土類金属成分を含むことを特徴とする請求項1に記載の放射性ストロンチウム含有排水の処理装置。
  3. 前記硬度成分予備除去塔で用いる吸着剤が、A型もしくはX型のゼオライトであることを特徴とする請求項1または2に記載の放射性ストロンチウム含有排水の処理装置。
  4. 前記硬度成分予備除去塔で用いる吸着剤が、カチオン交換樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の放射性ストロンチウム含有排水の処理装置。
  5. 前記カチオン交換樹脂が強酸性カチオン交換樹脂または弱酸性カチオン交換樹脂であることを特徴とする請求項4に記載の放射性ストロンチウム含有排水の処理装置。
  6. 前記カチオン交換樹脂がNa型であることを特徴とする請求項4または5に記載の放射性ストロンチウム含有排水の処理装置。
  7. 前記硬度成分予備除去塔と前記ストロンチウム吸着塔との間に、該硬度成分予備除去塔の予備処理水のpHを所定のアルカリ度に調整するためのpH調整手段を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の放射性ストロンチウム含有排水の処理装置。
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