JP2014224696A - 放射能汚染水の除染方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塩類濃度の高い放射能汚染水を被処理水とする場合であっても、放射能汚染水から放射性セシウムを効率よく除去でき、しかも、放射性セシウムを吸着した後の後処理を容易に行うことができる、新たな放射能汚染水の除洗方法を提供する。【解決手段】放射性セシウムを含有し、且つ塩類濃度0.3w/v%以上の放射性セシウム含有放射能汚染水を、難溶性フェロシアン化合物を含有する放射性物質吸着材Aと接触させて、該放射性物質吸着材Aに放射性セシウムを吸着させる工程と、前記工程で放射性セシウムを吸着した放射性物質吸着材Aを洗浄して溶解塩類を除去した後、該放射性物質吸着材Aを酸性水と接触させて放射性物質吸着材Aが吸着した放射性セシウムを該酸性水中に抽出する工程、前記工程で放射性セシウムが抽出された該酸性水を、ゼオライトを含有する放射性物質吸着材Bと接触させる工程を備えた放射能汚染水の除洗方法を提案する。【選択図】なし

Description

本発明は、放射性セシウムを含有する放射能汚染水の除染方法に関する。
2011年3月11日に我が国を襲った東日本大震災は大津波の発生を伴うものであり、東北地方沿岸部の市町村に壊滅的被害をもたらす未曾有の大災害となった。その津波による被害は東京電力(株)福島原子力発電所にも及び、原子炉冷却施設の機能停止、燃料棒のメルトダウン、水蒸気爆発などを引き起こし、放射性物質放出による環境汚染ならびに施設内の高レベル放射性物質汚染排液の発生という憂慮すべき事態を現出させた。そのため、放射性物質汚染排液から放射性物質を除去することは、日本国が可及的速やかに解決しなければならない課題の一つである。
原子力発電所等の放射性物質取り扱い施設から放出される主な放射性核種として、ウラン−235の核分裂反応により生成されるヨウ素−131(半減期8.02日)などの放射性ヨウ素と、セシウム−137(半減期30.07年)、セシウム−134(半減期2.06年)などの放射性セシウムが挙げられる。
このうち、放射性ヨウ素は、半減期が8日程度と短いため、震災直後には浄水汚泥などから検出され問題となったが、現在では沈静化している。一方、放射性セシウムは、半減期も長く、また東北地方や関東地方に幅広く拡散されたため、放射性セシウムにより汚染された土壌、落葉、瓦礫、下水汚泥、焼却灰の処理が大きな問題となっている。
中でも、放射性セシウムを含有した焼却灰、特に焼却飛灰には、揮発した放射性セシウムが濃縮しているばかりか、放射性セシウムが塩化セシウムとなって極めて水に溶解し易い形態で存在する。そのため、このような焼却灰を洗浄した際に排出される洗浄排水には放射性セシウムが多量に溶解することになる。しかし、水に溶解した状態で存在する放射性セシウムの除染処理技術は未だ確立されていない。
放射性セシウムを除去する技術としては、その結晶格子内にセシウムイオンを選択的に取り入れることができる、フェロシアン化合物(鉄、銅、ニッケル塩など)の立体的特性(図2のb)参照)を利用して、フェロシアン化合物粉末を放射性セシウム含有排水に添加接触させた後、固液分離して放射性セシウム含有量を低減する技術や、粘土結晶格子面上のSiO四面体層の配列により形成された6個の酸素原子による六角形構造にセシウムイオンを選択的に取り入れることができる、モンモリロナイト属の粘土鉱物の立体的特性(図1及び図2のa)参照)を利用して、モンモリロナイト属の粘土鉱物粉末を放射性セシウム含有排水に添加接触させた後、固液分離して放射性セシウム含有量を低減する技術など、セシウム吸着能を有する粉末状の吸着剤に放射性セシウム含有排水を接触させてセシウムを吸着除去する技術が知られている(図1、図2参照)。
しかし、放射性物質吸着能を有する粉末状の吸着剤に放射性物質含有排水を接触させた後に固液分離する方法では、粉末状の吸着剤から水分を分離することが難しいため、固液分離後に放射性物質を含有する大量の汚泥(スラリー)が発生し、その汚泥減容化処理が必要となるという課題を抱えていた。
かかる課題を解決するための手段として、水分を分離させることが比較的容易な粒状の吸着剤を利用する方法や、多孔性素材の表面や空隙部に放射性物質吸着能を有する物質を添着或いは担持させた放射性物質除去物質を利用する方法などが考えられる。
前者の方法に関しては、例えば特許文献1(特開昭56−79999号公報)において、60〜80メッシュ径のX型ゼオライトを湿潤後、硫酸銅水溶液を加えて銅イオンを吸着させたのち、フェロシアン化カリウム水溶液と反応させることにより、ゼオライトの空隙内および各面にフェロシアン化銅を生成させることにより、フェロシアン化金属化合物を添着させる添着方法、および該添着ゼオライトを吸着剤として用いる処理方法が開示されている。
他方、後者の方法に関しては、例えば特許文献2(特開平9−173832号公報)において、多孔性樹脂に低沸点有機溶剤に可溶かつ水に難溶の第四級アンモニウム塩を担持させ、さらにヘキサシアノ鉄(II)酸塩(発明者注:フェロシアン化塩の別名)含有水溶液で処理したのち、この処理物を銅塩含有水溶液と接触させて該樹脂の細孔内にヘキサシアノ鉄(II)酸銅を沈積させ、次いで樹脂内の第四級アンモニウム塩を低沸点有機溶剤で抽出することを特徴とするヘキサシアノ鉄(II)酸銅担持多孔性樹脂の製造方法が開示されている。
また、特許文献3(特公昭62−43519号公報)には、フェロシアン化銅をゼオライトに添着させてなる放射性物質除去物質が開示され、特許文献4(特開平9−173832号公報)には、ヘキサシアノ鉄(II)酸銅を多孔性樹脂に担持させてなる放射性物質除去物質が開示されている。
さらにまた、特許文献5(特公昭62−43519号公報)には、フェロシアン化銅を粒状活性炭に添着させてなる放射性物質除去物質が開示されている。
特開昭56−79999号公報 特開平9−173832号公報 特公昭62−43519号公報 特開平9−173832号公報 特公昭62−43519号公報
難溶性フェロシアン化合物は、被処理水の塩類濃度に関係なく、放射性セシウムを選択性に吸着するセシウム選択吸着性が極めて高いという特徴を有している。そのため、処理条件によっては、放射性セシウムを吸着し過ぎてしまって、放射性セシウムを吸着した後の難溶性フェロシアン化合物の後処理に苦慮したり、放射性セシウムの崩壊熱によってフェロシアンが分解する可能性があったりするなどの課題を抱えていた。
他方、ゼオライトは、放射性セシウムを吸着し過ぎることがないため、放射性セシウムを吸着した後の後処理が容易であるという実用的な利点がある反面、焼却灰洗浄水や焼却灰埋立浸出水、汚染土壌の薬液処理水などのように、塩類濃度の高い放射能汚染水を被処理水とした場合には、放射性セシウムを吸着する能力が極端に低下してしまうという課題を抱えていた。
そこで本発明は、難溶性フェロシアン化合物とゼオライトのそれぞれの長所を生かすことにより、塩類濃度の高い放射能汚染水を被処理水とする場合であっても、放射能汚染水から放射性セシウムを効率よく除去することができ、しかも、放射性セシウムを吸着した後の後処理を容易に行うことができる、新たな放射能汚染水の除洗方法を提供せんとするものである。
本発明は、放射性セシウムを含有し、且つ塩類濃度0.3w/v%以上の放射性セシウム含有放射能汚染水を、難溶性フェロシアン化合物を含有する放射性物質吸着材Aと接触させて、該放射性物質吸着材Aに放射性セシウムを吸着させる工程と、前記工程で放射性セシウムを吸着した放射性物質吸着材Aを洗浄して溶解塩類を除去した後、該放射性物質吸着材Aを酸性水と接触させて放射性物質吸着材Aが吸着した放射性セシウムを該酸性水中に抽出する工程、前記工程で放射性セシウムが抽出された該酸性水を、ゼオライトを含有する放射性物質吸着材Bと接触させる工程を備えた放射能汚染水の除洗方法を提案する。
本発明が提案する放射能汚染水の除洗方法によれば、塩類濃度の高い放射能汚染水であっても、先ずは、難溶性フェロシアン化合物を含有する放射性物質吸着材Aによって、放射能汚染水から放射性セシウムを効率よく吸着除去することができる。
次に、放射性セシウムを吸着した放射性物質吸着材Aを洗浄して溶解塩類を除去した後、該放射性物質吸着材Aを酸性水と接触させることで、難溶性フェロシアン化合物に吸着された放射性セシウムを酸性水中に抽出させることができる。
そして、このように放射性セシウムが抽出された酸性水は、塩類濃度が低いため、ゼオライトを含有する放射性物質吸着材Bであっても、放射性セシウムを吸着することができ、しかも吸着し過ぎることがないため、放射性セシウムを吸着した後のゼオライトの後処理を容易に行うことができる。
さらには、酸性水と接触させた後の放射性物質吸着材Aは、再利用することができる。
モンモリロナイト系粘土鉱物の酸化ケイ素層の酸素原子配列を模式的に示した図である。 モンモリロナイト系粘土鉱物の酸素の六角形格子内およびフェロシアン化合物の立方格子結晶内に、セシウムイオンを取り込む状態の一例を模式的に示した図である。
次に、本発明を実施するための形態について説明する。但し、本発明が次に説明する実施形態に限定されるものではない。
<本除洗方法>
本発明を実施するための形態の一例として、放射性セシウムを含有し、且つ塩類濃度の高い放射能汚染水を被処理水とする放射能汚染水の除洗方法であって、該被処理水を、難溶性フェロシアン化合物を含有する放射性物質吸着材Aと接触させて、該放射性物質吸着材Aに放射性セシウムを吸着させる工程(「放射性セシウム1次吸着工程」と称する)と、前記工程で放射性セシウムを吸着した放射性物質吸着材Aを洗浄して溶解塩類を除去した後、該放射性物質吸着材Aを酸性水と接触させて放射性物質吸着材Aが吸着した放射性セシウムを該酸性水中に抽出する工程(「放射性セシウム抽出工程」と称する)と、前記工程で放射性セシウムが抽出された該酸性水を、ゼオライトを含有する放射性物質吸着材Bと接触させる工程(「放射性セシウム2次吸着工程」と称する)と、を備えた放射能汚染水の除洗方法(以下「本除洗方法」と称する)について説明する。
<放射能汚染水>
本除染方法の被処理水としての放射能汚染水は、放射性セシウムを含有すると共に、塩類濃度の高い汚染水であるのが好ましい。
被処理水の放射性セシウムの濃度は、放射性セシウムによる放射能濃度として10〜5000Bq/Lであればよい。
また、被処理水の塩類濃度は0.3w/v%以上、中でも0.5w/v%以上、その中でも1w/v%以上或いは10w/v%以下、その中でも5w/v%以下であれば特によい。前述したように、ゼオライトは、塩類濃度の高い放射能汚染水を被処理水とした場合、放射性セシウムを吸着する能力が極端に低下するため、塩類濃度が0.3w/v%以上である被処理水に対して本除洗方法による効果をより一層享受することができる。
なお、放射性セシウムを含んだ焼却灰洗浄水や焼却灰埋立浸出水、放射能汚染土壌の薬液処理水などは、大抵は塩類濃度0.3w/v%以上である。
ここでの塩類濃度とは、全塩類の濃度の意味であり、JIS K 0102(2008) 工場排水試験方法14.3項記載の溶解性蒸発残留物質と同様に測定することができる。
<放射性セシウム1次吸着工程>
本工程では、被処理水を、難溶性フェロシアン化合物を含有する放射性物質吸着材Aと接触させて、該放射性物質吸着材Aに放射性セシウムを吸着させて、放射性セシウムが除去された処理液を得る。
この際、放射能汚染水を放射性物質吸着材Aと接触させる前に、被処理水としての放射能汚染水のpHを酸性領域に調整してもよい。
被処理水のpHが低ければ、難溶性フェロシアン化合物の水に対する溶解度を下げることができる反面、被処理水のpHが低過ぎると、難溶性フェロシアン化合物のセシウム選択吸着性が低下してしまうため、放射能汚染水のpHを5以下、中でも3以上に調整するのが好ましい。
放射能汚染水のpHを調整する手段としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、シュウ酸などの酸を添加する方法を挙げることができる。中でも、塩酸若しくは硫酸を添加する方法を採用するのが好ましい。
本工程で使用する放射性物質吸着材Aについては、後述する。
放射能汚染水を放射性物質吸着材Aと接触させる方法としては、例えば、放射性物質吸着材を、例えばろ過カラムのような容器内に充填して充填層を形成し、この充填層に、放射性物質を含む汚染水を通水するようにすればよい。但し、このような接触方法に限定するものではなく、任意の方法を採用可能である。
<放射性セシウム抽出工程>
本工程では、前記工程で放射性セシウムを吸着させた放射性物質吸着材Aを洗浄して溶解塩類を除去する。そして次に、溶解塩類を除去した放射性物質吸着材Aを酸性水と接触させて、放射性物質吸着材Aに吸着された放射性セシウムを該酸性水中に抽出させて、放射性セシウムが抽出された酸性水を回収する。
この際、放射性物質吸着材Aを洗浄する方法としては、放射性物質吸着材Aをカラムに充填して、下向流若しくは上向流で通水して、押出し洗浄するようにすればよい。その他、水中に浸漬して撹拌するなどの洗浄方法を挙げることができる。但し、このような洗浄方法に限られるものではない。
洗浄水としては、水道水、蒸留水、脱イオン水などを挙げることができる。
次に、溶解塩類を除去した放射性物質吸着材Aを酸性水と接触させる際、酸性水としては、pH3以下、特にpH2以下、その中でもpH1以下、その中でも0.1〜1の酸性度を有する酸性水と接触させるようにすればよい。
難溶性フェロシアン化合物は、pH3以下、特にpH2以下、その中でもpH1以下、その中でも0.1〜1の酸性度を有する酸性水と接触させることにより、吸着したセシウムを酸性水側に溶出することが判明した。
このような酸性水としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、シュウ酸などの水溶液を挙げることができる。
また、放射性物質吸着材Aを酸性水と接触させる方法としては、酸性水中に放射性物質吸着材Aを投入して撹拌すればよい。但し、このような接触方法に限定するものではない。
なお、酸性水と接触させた後の放射性物質吸着材Aは、回収して再び再利用することができる。
<放射性セシウム2次吸着工程>
本工程では、前記工程で回収した「放射性セシウムが抽出された酸性水」を、ゼオライトを含有する放射性物質吸着材Bと接触させて、放射性セシウムを放射性物質吸着材Bに吸着させて、放射性セシウムが除去された処理液を得る。
本工程で使用する放射性物質吸着材Bについては、後述する。
前記酸性水を放射性物質吸着材Bと接触させる方法としては、例えば、放射性物質吸着材Bを、例えばろ過カラムのような容器内に充填して充填層を形成し、この充填層に前記酸性水を通水するようにすればよい。但し、このような接触方法に限定するものではなく、任意の方法を採用可能である。
なお、前記工程で回収した「放射性セシウムが抽出された酸性水」は、必要に応じて、中和した後、前記放射性物質吸着材Bと接触させるようにしてもよい。
この際、中和によってpH5〜9、中でも5.8以上或いは8.6以下に調整するのが好ましい。
また、中和する手段としては、前記酸性水に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水などを添加する方法を挙げることができる。
<放射性物質吸着材A>
本除染方法で使用する放射性物質吸着材Aとしては、難溶性フェロシアン化合物を有効成分として含有するものを使用することができる。
難溶性フェロシアン化合物のセシウム吸着性は極めて高いため、処理条件などによっては、処理後の放射性物質吸着材における放射能汚染レベルが高くなり過ぎてしまい、処理後の放射性物質吸着材を処理することが困難になる可能性がある。
そのため、放射性物質吸着材Aにおける難溶性フェロシアン化合物の含有量は0.09〜10w/w%、中でも0.2w/w%以上或いは5w/w%以下、その中でも2w/w%以下に調整するのが好ましい。
具体的には、難溶性フェロシアン化合物と、粘土鉱物、活性炭及びゼオライトからなる群のうちから選ばれる1つ以上の非フェロシアン化合物とを組み合わせて放射性物質吸着材を含有させると共に、前記難溶性フェロシアン化合物と前記非フェロシアン化合物の合計量に対する難溶性フェロシアン化合物の含有割合を0.09〜10w/w%、中でも0.2w/w%以上或いは5w/w%以下、その中でも2w/w%以下に調整するのが好ましい。
放射性物質吸着材Aの好ましい一例として、アルギン酸金属塩を含有する多孔質体粒状体を基体粒子とし、難溶性フェロシアン化合物が前記基体粒子の表面乃至内部に散在してなる構成を備えた粒子(「本放射性物質吸着材粒子A1」と称する)を含有する放射性物質吸着材(以下、「本放射性物質吸着材A1」と称する)を挙げることができる。
本放射性物質吸着材A1は、中でも、難溶性フェロシアン化合物と共に、粘土鉱物、活性炭及びゼオライトからなる群のうちから選ばれる1つ以上の非フェロシアン化合物が、前記基体粒子の表面乃至内部に散在してなる構成を備えた粒子A1を含有する放射性物質吸着材A1であるのが好ましい。
但し、本放射性物質吸着材A1を構成する粒子のほとんどが本放射性物質吸着材粒子A1であれば、これ以外の粒子が多少混じっていても、本放射性物質吸着材粒子A1のみからなる場合と同様の効果を得ることができるから、本放射性物質吸着材A1は、本放射性物質吸着材粒子A1が全体の80質量%以上、好ましくは90質量%以上を占めれば、本放射性物質吸着材粒子A1以外の粒子を含んでいてもよい。
(本放射性物質吸着材粒子A1)
本放射性物質吸着材粒子A1が微粒であると、前述のように放射性物質含有排水を接触させた後に固液分離しても、放射性物質除去物質から水分を分離させることが難しいため、固液分離した後に放射性物質を含有する大量の汚泥が発生することになってしまう。そのため、本放射性物質吸着材粒子は、固液分離し易い大きさであるのが好ましい。かかる観点から、本放射性物質吸着材粒子A1の平均粒径は1mm以上であることが重要である。その一方、本放射性物質吸着材粒子A1が大き過ぎると、表面積が小さくなり、放射性物質の除去効率が低下するため、5mm以下であるのが好ましい。
かかる観点から、本放射性物質吸着材粒子A1の平均粒径は1mm以上であることが重要であり、接触効率や圧力損失を考慮すると、中でも1.2mm以上或いは3mm以下、その中でも特に1.5mm以上或いは2.5mm以下であるのが好ましい。
本放射性物質吸着材粒子A1の形状、言い換えれば多孔質体粒状体(基体)の形状は、球状、楕円球状、扁平板状など任意である。中でも、分散性などの点で球状であるのが好ましい。
本放射性物質吸着材粒子A1は、被処理水が粒子内部まで浸透することができるという点で、粒子表面から内部に通じる空隙を多数含む多孔質体であるのが好ましい。
そしてその気孔率は、放射性物質の吸着効率の点などから、10v/v%〜70v/v%であるのが好ましく、中でも30v/v%以上或いは60v/v%以下であるのが好ましい。
また、同じく放射性物質の吸着効率の点などから、気孔径は、0.1μm〜50μmであるのが好ましく、中でも0.5μm以上或いは20μm以下であるのが好ましい。
本放射性物質吸着材粒子A1の充填密度は、カラム通水時および逆洗時の流動性などの点で0.3〜1.5g/mLであるのが好ましく、中でも0.4g/mL以上或いは1.2g/mL以下であるのが好ましい。
(アルギン酸金属塩)
アルギン酸金属塩は、2価以上の金属イオン、例えばバリウムイオンやカルシウムイオンを含有する水中に滴下することにより、瞬時にゲル化反応を起こし、球状造粒物を作ることが知られている。例えば塩化カルシウム水溶液にアルギン酸ナトリウム水溶液を一滴ずつ入れると、アルギン酸ナトリウムと塩化カルシウムが反応し、アルギン酸ナトリウム水溶液の表面にアルギン酸カルシウム膜が形成され、アルギン酸ナトリウム水溶液が球状になり、所謂人工種子(イクラ)が形成されることが知られている。
本放射性物質吸着材粒子A1を構成するアルギン酸金属塩としては、例えばアルギン酸ナトリウム、アルギン酸リチウム、アルギン酸カリウムなどを挙げることができ、中でも、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸リチウム、アルギン酸カリウムが好ましく、価格などを考慮すると、アルギン酸ナトリウムが特に好適である。
(放射性物質除去物質)
本放射性物質吸着材A1が含有する放射性物質除去物質は、難溶性フェロシアン化合物を含み、必要に応じて、放射性物質を何らかの手段で捕らえることができる機能を有するその他の物質を含むことができる。例えば、粘土鉱物、活性炭及びゼオライトなどを挙げることができる。
難溶性フェロシアン化合物としては、例えばFe塩、Ni塩、Cu塩,Co塩など難溶性フェロシアン化合物を挙げることができ、中でも価格などを考慮すると、Fe塩(紺青)が好適である。
この種の難溶性フェロシアン化合物は、放射性セシウムを選択的に除去することができる。
粘土鉱物としては、セシウムイオンを選択吸着できる酸素配列の立体構造を持ったものであれば何れでもよく、特に限定するものではない。モンモリロナイト属あるいはカオリナイト属のように、粘土結晶格子面上のSiO四面体層の配列により形成された6個の酸素原子による六角形構造(図1)を有しているものが好適であり、ALO八面体層の両面をSiO四面体層が挟んだ形状の三層構造をしているモンモリロナイト属、或いは、ALO八面体層とSiO四面体層からなる二層構造をしているカオリナイト属の粘土鉱物が特に好適である。
これらの粘土鉱物としては、Na形モンモリロナイトであるベントナイト、H形モンモリロナイトである酸性白土、これらを酸処理して可溶性陽イオンを溶出させて表面活性を高めた活性白土、およびカオリン(白陶土)が挙げられる。
このように、粘土鉱物は、放射性セシウムを選択的に除去することができ、結晶構造に基づく選択吸着が有効であることから、モンモリロナイト系粘土鉱物、難溶性フェロシアン化合物、天然ゼオライトが有効である。中でも、難溶性フェロシアン化合物が特に好ましい。
活性炭としては、例えば石炭系、ヤシ殻系、木質系など、あらゆる種類の活性炭粉末を利用することができ、この種の活性炭は、塩素酸化法との併用で、放射性ヨウ素を除去することができる。また、水溶性フェロシアン化合物を吸着除去することができる。
ゼオライトは、天然ゼオライト、合成ゼオライトのいずれでもよい。
この種のゼオライトは、高い陽イオン交換能を有していることから放射性陽イオン核種を除去することができる。よって、放射性セシウムのほかにも、放射性ストロンチウムを除去することができる。特に、4A型合成ゼオライトはストロンチウムの選択除去性が高いことが知られている。
このように、本放射性物質吸着材粒子A1は、目的に合わせて含有する放射性物質除去物質を選択し、必要に応じて組み合わせて用いることが可能であるから、複数の核種を同時除去することも可能であり、汎用性が極めて高いといえる。
(放射性物質除去物質A1の含有量)
本放射性物質吸着材粒子A1は、放射性物質除去効率の観点から、粒子の表面及び内部に合計で、60質量%以上の放射性物質除去物質を含有するのが好ましく、中でも70質量%以上含有するのが好ましい。
なお、本放射性物質吸着材粒子A1において、放射性物質除去効率の観点から、放射性物質除去物質は粒子の表面及び内部に均一濃度で分散しているか、或いは、表面の濃度が内部の濃度よりも高い状態で分散しているのが好ましい。
(本放射性物質吸着材A1の製造方法)
本放射性物質吸着材A1は、アルギン酸金属塩の水溶液に上記放射性物質除去物質を加えて分散させてアルギン酸金属塩ゾルを作製する工程と、該アルギン酸金属塩ゾルを、ゲル化剤を含んだ水溶液中に滴下してアルギン酸カルシウムゲルを作製する工程と、このアルギン酸カルシウムゲルを乾燥させて水分を離脱させることにより多孔質体造粒物とする工程とを経て製造することができる(以下「本製造方法」と称する)。
ただし、本放射性物質吸着材A1の製造方法がこの製法に限定されるものではない。
このような本製造方法によれば、任意の難水溶性の粉末状素材をアルギン酸カルシウムゲルで包み込むことにより、容易に、しかも任意の割合で粒状に成形することが可能である。
また、粉体の成形方法としては、転動造粒成形、圧密成形、押し出し成形などがあるが、これらの方法はいずれも成形体を圧密状態にするものであるため、被処理水が粒子内部へ浸入することが困難であり、有効に利用されるのは粒子表面に限定されるのに対し、本製造方法によれば、アルギン酸カルシウムゲルを乾燥させて水分を離脱させることにより粒子内に空隙を作るため、粒子表面から内部に通じる空隙を多数含む多孔質体を作製することができるから、被処理水が粒子内部へ容易に浸入することができるため、内部の放射性物質除去物質も有効に利用される。
しかも、後述するように、添加する放射性物質除去物質の濃度を調整することで本放射性物質吸着材の粒度制御が可能である。
アルギン酸金属塩ゾル作製工程では、例えば、アルギン酸金属塩を水に溶解して粘稠性の水溶液を作製し、この水溶液に放射性物質除去物質を加えて均一に分散・混合させることでアルギン酸金属塩ゾルを作製する。
アルギン酸金属塩は、水に可溶であり、粘稠性の水溶液となる。アルギン酸金属塩の水溶液の濃度としては0.5〜5w/v%が好ましく、中でも1w/v%以上或いは2w/v%以下であるのが特に好ましい。
アルギン酸金属塩の水溶液中に加える放射性物質除去物質の量は、放射性物質除去効率の観点から、アルギン酸金属塩に対して60質量%以上、中でも70質量%以上とするのが好ましい。
アルギン酸カルシウムゲル作製工程では、例えば、カルシウム塩などのゲル化剤を含んだ水溶液を調製しておき、緩やかに撹拌した当該水溶液中に前記ゾル状液体を内径2mm〜3mmのノズルから液滴を滴下させることにより、前記放射性物質除去物質を均一に包含したアルギン酸カルシウムゲルを作製する。
ゲル化剤としては、2価以上の金属塩を使用することができ、例えばバリウム、カルシウム、銅、鉄、アルミニウム等の塩が挙げられる。具体的には例えば塩化バリウム、塩化カルシウム、硫酸銅、塩化第二鉄、ポリ塩化アルミニウム等を挙げることができ、中でもカルシウム塩が価格や取扱上の安全性などの理由で特に好ましい。
カルシウム塩としては、塩化物塩、臭化物塩、硝酸塩など、水溶性のカルシウム塩であれば特に限定するものではない。価格などを考慮すると、塩化カルシウムが好適である。
カルシウム塩水溶液の濃度としては特に限定するものではないが、2〜6%程度が好適である。
多孔質化工程では、上記のようにして得られたアルギン酸カルシウムゲルを、乾燥させることで造粒物内から水分を脱離させる過程で、造粒物を多孔質化させることができる。
アルギン酸カルシウムゲルを乾燥させる前に、必要に応じて、アルギン酸カルシウムゲルを水或いは食塩水などで洗浄してもよい。また、0℃〜−20℃で一度凍結させた後にこれは融解させる凍結融解を行う工程を付加してもよい。このような洗浄により、余分なカルシウムイオンを除去することができるから、例えばカルシウムと類似する放射性ストロンチウムの除去率を高めることが期待することができる。
乾燥手段としては、例えば自然乾燥、減圧乾燥、加温乾燥など公知の乾燥手段を適宜採用することができる。中でも、乾燥時間の点で加温乾燥が特に好ましい。
乾燥温度は、粒子内部の空隙の大きさと割合を調整する観点から、50〜120℃とするのが好ましく、中でも50℃以上或いは100℃以下とするのがより好ましい。
なお、前記難溶性フェロシアン化合物の代わりに、ゼオライトよりも分配係数が高い放射性セシウム吸着物質を使用しても、前記難溶性フェロシアン化合物と同様の効果を得ることができ、同様に再利用することもできる。
ゼオライトよりも分配係数が高い放射性セシウム吸着物質としては、例えばクラウンエーテルなどを挙げることができる。
なお、分配係数Kdとは、吸着された吸着剤中の被吸着物質濃度と、液中に残留する被吸着物質濃度との比で表わされ、吸着平衡試験などにより求めることができる(次の式参照)。
Figure 2014224696
上記式において、各文字は次の意味である。
:被処理水中のセシウムイオン濃度、
C:処理水中のセシウム濃度、
V:被処理水の量[mL]
m;吸着剤量[g]
<放射性物質吸着材B>
本除染方法で使用する放射性物質吸着材Bとしては、ゼオライトを有効成分として含有するものを使用することができる。
ゼオライトは、天然ゼオライト、合成ゼオライトのいずれでもよい。この種のゼオライトは、高い陽イオン交換能を有していることから放射性陽イオン核種を除去することができる。よって、放射性セシウムのほかにも、放射性ストロンチウムを除去することもできる。
放射性物質吸着材Bの一例として、セシウム選択吸着性の高いモルデナイト系天然ゼオライトや合成チャバサイトを挙げることができる。
また、放射性物質吸着材Bの一例として、アルギン酸金属塩を含有する多孔質体粒状体を基体粒子とし、粉末状ゼオライトが前記基体粒子の表面乃至内部に散在してなる構成を備えた粒子B1を含有する放射性物質吸着材B1を挙げることができる。
このような放射性物質吸着材B1は、上記放射性物質吸着材A1の製造方法において、難溶性フェロシアン化合物の代わりに粉末状ゼオライトを用いることで製造することができる。
<語句の説明>
本明細書において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳述する。
<放射性物質吸着材A>
放射性物質吸着材Aの製造例を以下に示す。
(放射性物質吸着材A−1)
1w/v%のアルギン酸ナトリウム水溶液に難溶性フェロシアン鉄を混合し、重量組成比で難溶性フェロシアン鉄13w/w%、アルギン酸ナトリウム0.9w/w%の原料ゾル溶液(アルギン酸ナトリウムゾル)を調製した。
この原料ゾル溶液を、4w/w%塩化カルシウム溶液からなるゲル化剤中に滴下して球状の湿潤ゲルを得た。そして、得られた湿潤ゲルを、乾燥温度50℃で12時間乾燥させ、球状の多孔質体造粒物(表の「乾燥品」「吸着材A−1」)を得た。
こうして得られた吸着材A−1は、アルギン酸金属塩(アルギン酸ナトリウム)を含有する多孔質体粒状体を基体粒子とし、難溶性フェロシアン化合物(フェロシアン化鉄)が前記基体粒子の表面乃至内部に散在してなる構成を備えた粒子からなるものであった。
Figure 2014224696
(放射性物質吸着材A−2〜A−8)
1w/v%のアルギン酸ナトリウム水溶液に難溶性フェロシアン鉄及びカオリンを混合し、重量組成比で難溶性フェロシアン鉄0.013〜1.3w/w%(表参照)、アルギン酸ナトリウム0.9w/w%、カオリン13w/w%の原料ゾル溶液(アルギン酸ナトリウムゾル)を調製した。以降は、吸着材А−1と同様にして、球状の多孔質体造粒物(表の「乾燥品」「吸着材A−2」〜「吸着材A−8」)を得た。
こうして得られた吸着材A−2〜A−8は、アルギン酸金属塩(アルギン酸ナトリウム)を含有する多孔質体粒状体を基体粒子とし、難溶性フェロシアン化合物(フェロシアン化鉄)及びカオリンが前記基体粒子の表面乃至内部に散在してなる構成を備えた粒子からなるものであった。
Figure 2014224696
(放射性物質吸着材A−9〜A−15)
1w/v%のアルギン酸ナトリウム水溶液に難溶性フェロシアン鉄及び粉末活性炭を混合し、重量組成比で難溶性フェロシアン鉄0.013〜1.3w/w%(表参照)、アルギン酸ナトリウム0.9w/w%、活性炭13w/w%の原料ゾル溶液(アルギン酸ナトリウムゾル)を調製した。
この原料ゾル溶液を、塩化カルシウム3w/w%、ポリ塩化アルミニウム1w/w%からなるゲル化剤中に滴下して球状の湿潤ゲルを得た。そして、得られた湿潤ゲルを、乾燥温度50℃で12時間乾燥させ、球状の多孔質体造粒物(表の「乾燥品」「吸着材A−9」〜「吸着材A−15」)を得た。
こうして得られた吸着材A−9〜A−15は、アルギン酸金属塩(アルギン酸ナトリウム)を含有する多孔質体粒状体を基体粒子とし、難溶性フェロシアン化合物(フェロシアン化鉄)及び活性炭が前記基体粒子の表面乃至内部に散在してなる構成を備えた粒子からなるものであった。
Figure 2014224696
(放射性物質吸着材A−16〜A−22)
1w/v%のアルギン酸ナトリウム水溶液に難溶性フェロシアン鉄、カオリン及び粉末活性炭を混合し、重量組成比で難溶性フェロシアン鉄0.013〜1.3w/w%(表参照)、アルギン酸ナトリウム0.9w/w%、カオリン6.5w/w%、活性炭6.5w/w%の原料ゾル溶液(アルギン酸ナトリウムゾル)を調製した。
この原料ゾル溶液を、塩化カルシウム3w/w%、塩化第二鉄1w/w%からなるゲル化剤中に滴下して球状の湿潤ゲルを得た。そして、得られた湿潤ゲルを、乾燥温度50℃で12時間乾燥させ、球状の多孔質体造粒物(表の「乾燥品」「吸着材A−16」〜「吸着材A−22」)を得た。
こうして得られた吸着材A−16〜A−22は、アルギン酸金属塩(アルギン酸ナトリウム)を含有する多孔質体粒状体を基体粒子とし、難溶性フェロシアン化合物(フェロシアン化鉄)、カオリン及び活性炭が前記基体粒子の表面乃至内部に散在してなる構成を備えた粒子からなるものであった。
Figure 2014224696
(放射性物質吸着材A−23〜A−29)
1w/v%のアルギン酸ナトリウム水溶液に難溶性フェロシアン鉄、カオリン及び粉末活性炭を混合し、重量組成比で難溶性フェロシアン鉄0.013〜1.3w/w%(表参照)、アルギン酸ナトリウム0.9w/w%、カオリン6.5w/w%、活性炭6.5w/w%の原料ゾル溶液(アルギン酸ナトリウムゾル)を調製した。
この原料ゾル溶液を、塩化カルシウム3w/w%、ポリ塩化アルミニウム1w/w%からなるゲル化剤中に滴下して球状の湿潤ゲルを得た。そして、得られた湿潤ゲルを、乾燥温度50℃で12時間乾燥させ、球状の多孔質体造粒物(表の「乾燥品」「吸着材A−23」〜「吸着材A−29」)を得た。
こうして得られた吸着材A−23〜A−29は、アルギン酸金属塩(アルギン酸ナトリウム)を含有する多孔質体粒状体を基体粒子とし、難溶性フェロシアン化合物(フェロシアン化鉄)、カオリン及び活性炭が前記基体粒子の表面乃至内部に散在してなる構成を備えた粒子からなるものであった。
Figure 2014224696
(放射性物質吸着材A−30〜A−33)
1w/v%のアルギン酸ナトリウム水溶液に難溶性フェロシアン鉄、カオリン及び粉末活性炭を混合し、重量組成比で難溶性フェロシアン鉄0.013w/w%、アルギン酸ナトリウム0.9w/w%、カオリン6.5w/w%、活性炭6.5w/w%の原料ゾル溶液(アルギン酸ナトリウムゾル)を調製した。
この原料ゾル溶液を、塩化カルシウム3w/w%と、塩化第二銅1w/w%、塩化ニッケル1w/w%、塩化コバルト1w/w%又はポリ塩化アルミニウム1w/w%とからなるゲル化剤中に滴下して球状の湿潤ゲルを得た。そして、得られた湿潤ゲルを、乾燥温度50℃で12時間乾燥させ、球状の多孔質体造粒物(表の「乾燥品」「吸着材A−30」〜「吸着材A−33」)を得た。
こうして得られた吸着材A−30〜A−33は、アルギン酸金属塩(アルギン酸ナトリウム)を含有する多孔質体粒状体を基体粒子とし、難溶性フェロシアン化合物(フェロシアン化鉄)、カオリン及び活性炭が前記基体粒子の表面乃至内部に散在してなる構成を備えた粒子からなるものであった。
Figure 2014224696
(放射性物質吸着材A−34)
1w/v%のアルギン酸リチウム水溶液に難溶性フェロシアン鉄、カオリン及び粉末活性炭を混合し、重量組成比で難溶性フェロシアン鉄0.013w/w%(表参照)、アルギン酸ナトリウム0.9w/w%、カオリン6.5w/w%、活性炭6.5w/w%の原料ゾル溶液(アルギン酸ナトリウムゾル)を調製した。
この原料ゾル溶液を、塩化カルシウム3w/w%、ポリ塩化アルミニウム1w/w%からなるゲル化剤中に滴下して球状の湿潤ゲルを得た。そして、得られた湿潤ゲルを、乾燥温度50℃で12時間乾燥させ、球状の多孔質体造粒物(表の「乾燥品」「吸着材A−34」)を得た。
こうして得られた吸着材A−34は、アルギン酸金属塩(アルギン酸リチウム)を含有する多孔質体粒状体を基体粒子とし、難溶性フェロシアン化合物(フェロシアン化鉄)、カオリン及び活性炭が前記基体粒子の表面乃至内部に散在してなる構成を備えた粒子からなるものであった。
Figure 2014224696
(放射性物質吸着材A−35〜A−37)
放射性物質吸着材A−35は、ケイ酸ナトリウム10w/w%、フェロシアン化鉄21w/w%を含有する原料ゾル溶液に、pH7となるよう硫酸を加えて混練し、得られたゲル化物を50℃で、12時間乾燥剤後、粉砕、篩い分けを行い、粒径2〜3mmの破砕状吸着剤A−35を得た。
放射性物質吸着材A−36は、ケイ酸ナトリウム10w/w%、カオリン20w/w%、フェロシアン化鉄1w/w%を含有する原料ゾル溶液に、pH7となるよう硫酸を加えて混練し、得られたゲル化物を50℃で、12時間乾燥剤後、粉砕、篩い分けを行い、粒径2〜3mmの破砕状吸着剤A−36を得た。
放射性物質吸着材A−37は、ケイ酸ナトリウム10w/w%、粉末活性炭20w/w%、フェロシアン化鉄1w/w%を含有する原料ゾル溶液に、pH7となるよう硫酸を加えて混練し、得られたゲル化物を50℃で、12時間乾燥剤後、粉砕、篩い分けを行い、粒径2〜3mmの破砕状吸着剤A−37を得た。
Figure 2014224696
(放射性物質吸着材A−38〜A−40)
放射性物質吸着材A−38は、酸化マグネシウム10w/w%、フェロシアン化鉄21w/w%を含有する原料ゾル溶液に、pH7となるよう硫酸を加えて混練し、得られたゲル化物を50℃で、12時間乾燥剤後、粉砕、篩い分けを行い、粒径2〜3mmの破砕状吸着剤A−38を得た。
放射性物質吸着材A−39は、酸化マグネシウム10w/w%、カオリン20w/w%、フェロシアン化鉄1w/w%を含有する原料ゾル溶液に、pH7となるよう硫酸を加えて混練し、得られたゲル化物を50℃で、12時間乾燥剤後、粉砕、篩い分けを行い、粒径2〜3mmの破砕状吸着剤A−39を得た。
放射性物質吸着材A−40は、酸化マグネシウム10w/w%、粉末活性炭20w/w%、フェロシアン化鉄1w/w%を含有する原料ゾル溶液に、pH7となるよう硫酸を加えて混練し、得られたゲル化物を50℃で、12時間乾燥剤後、粉砕、篩い分けを行い、粒径2〜3mmの破砕状吸着剤A−40を得た。
Figure 2014224696
<放射性物質吸着材B>
放射性物質吸着材Bの例を以下に示す。
(放射性物質吸着材B−1〜B−2)
放射性物質吸着材B−1及び〜B−2は、天然ゼオライトからなる例であり、吸着剤B−1はモルデナイト系ゼオライト、吸着剤B−2はクリノプチロライト系ゼオライトからなるものである。
Figure 2014224696
(放射性物質吸着材B−3〜B−5)
1w/v%のアルギン酸ナトリウム水溶液にゼオライト及び粉末活性炭を混合し、重量組成比でゼオライト6.5〜13w/w%(表参照)、アルギン酸ナトリウム0.9w/w%、活性炭0〜6.5w/w%の原料ゾル溶液(アルギン酸ナトリウムゾル)を調製した。
この原料ゾル溶液を、塩化カルシウム3w/w%、塩化第二鉄1w/w%又はポリ塩化アルミニウム1w/w%からなるゲル化剤(表参照)中に滴下して球状の湿潤ゲルを得た。そして、得られた湿潤ゲルを、乾燥温度50℃で12時間乾燥させ、球状の多孔質体造粒物(表の「吸着材B−3」〜「吸着材B−5」)を得た。
こうして得られた吸着材B−3〜B−5は、アルギン酸金属塩(アルギン酸ナトリウム)を含有する多孔質体粒状体を基体粒子とし、ゼオライト及び活性炭が前記基体粒子の表面乃至内部に散在してなる構成を備えた粒子からなるものであった。
Figure 2014224696
<試験1:吸着剤Aと吸着剤Bのセシウム吸着性能比較>
海水(溶解塩類濃度:3.4%)、10w/w%海水(溶解塩類濃度:0.34%)、水道水(溶解塩類濃度:0.022%)に塩化セシウムを溶解し、それぞれセシウム濃度10mg/Lに調整した原水に対する、吸着剤A(吸着剤A−1、A−2、A−3)と吸着剤B(吸着剤B−1、B−2、B−3)のセシウム吸着選択係数の比較を表12に示す。
なお、セシウム吸着選択係数は、上記原水50mLに対して各吸着剤を1mg/L添加して6時間振とう接触後、孔径1μmのメンブレンフィルターでろ過し、フレームレス原子吸光光度法により、原水および処理水中のセシウム濃度を測定し、前述した式([数1])より分配係数Kdを求めて、これをセシウム吸着選択係数Kdとした。
表12には、海水100%、海水10%、水道水100%のCs10mg/L含有水で吸着試験を行ったときの選択係数Kd(mL/g)を示して比較した。
Figure 2014224696
表12は、塩類濃度を変化させた場合の、吸着剤A(紺青系)と吸着剤B(ゼオライト系)のセシウム吸着性能を比較した結果である。
水道水を対象とした場合の選択係数は吸着剤Aのグループが5,000〜5,500mL/g、吸着剤Bのグループが4,000〜5,000mL/gとほぼ同等であった。これに対し、10w/w%海水を対象とした場合は吸着剤Aのグループが4,000〜5,000mL/g、吸着剤Bのグループが450〜500mL/g、海水を対象とした場合は吸着剤Aのグループが400〜1,000mL/g、吸着剤Bのグループが60〜200mL/gであった。
これより、溶解塩類濃度が高い場合には、吸着剤Aのグループの選択係数の方が吸着剤Bのグループより高い値を示すことが分かった。
<試験2>
(試験2―1)
吸着剤A−1を1,000mL充填したカラムに、放射性セシウムによる放射能濃度100Bq/Lの海水(溶解塩類濃度:3.4w/v%、pH7.5)を充填容積の500倍量通水し、処理水を得た。
放射性セシウムを吸着した処理済吸着剤А−1をカラムから取り出して、均一に混合後、放射能濃度を測定したところ、処理済吸着剤А−1の放射能濃度は乾燥物換算で85,000Bq/kgであった。
次に、当該処理済吸着剤А−1を200mL充填したカラムに純水を通水し、洗浄排水の電気伝導率が10mS/mになるまで洗浄して溶解塩類を除去した。
次に、純水に塩酸を添加してpH0.5に調整した酸性水を、当該処理済吸着剤А−1の充填容積の100倍量通水して放射性セシウムを抽出し、放射性セシウム抽出排水を得た。その結果、該抽出後の処理済吸着剤A−1の放射能濃度は乾燥物換算で1,000Bq/kg未満であった。
次に、前記放射性セシウム抽出排水をpH7に中和した後、該放射性セシウム抽出排水を、吸着剤B−1を200mL充填したカラムに通水したところ、通水後の吸着剤B−1の放射能濃度は乾燥物換算で80,000Bq/kgであった。結果を表13に示す。
なお、放射能濃度は、放射能濃度等測定方法ガイドライン(環境省、平成23年12月)に準拠してゲルマニウム半導体検出器によるガンマ線スペクトロメトリーにより放射性セシウム濃度(Bq/kg)を測定した。
Figure 2014224696
<試験3>
(試験3−1)
吸着剤A−1を1,000mL充填したカラムに、放射性セシウムによる放射能濃度100Bq/Lの海水(溶解塩類濃度:3.4w/v%、pH7.5)を充填容積の500倍量通水し、処理水を得た。
放射性セシウムを吸着した処理済吸着剤А−1をカラムから取り出して、均一に混合後、放射能濃度を測定したところ、処理済吸着剤А−1の放射能濃度は乾燥物換算で85,000Bq/kgであった。
次に、当該処理済吸着剤А−1を200mL充填したカラムに純水を通水し、洗浄排水の電気伝導率が10mS/mになるまで洗浄して溶解塩類を除去した。
次に、純水に塩酸を添加してpH2に調整した酸性水を、当該処理済吸着剤А−1の充填容積の100倍量通水して放射性セシウムを抽出し、放射性セシウム抽出排水を得た。その結果、該抽出後の処理済吸着剤A−1の放射能濃度は乾燥物換算で3,000Bq/kgであり、大部分の放射性セシウムが放射性セシウム抽出排水に移行したことが確認された。
次に、前記放射性セシウム抽出排水をpH7に中和した後、該放射性セシウム抽出排水を、吸着剤B−1を200mL充填したカラムに通水したところ、通水後の吸着剤B−1の放射能濃度は乾燥物換算で80,000Bq/kgであった。結果を表14に示す。
(試験3−2)
吸着剤A−1を1,000mL充填したカラムに、放射性セシウムによる放射能濃度100Bq/Lの海水(溶解塩類濃度:3.4w/v%、pH7.5)を充填容積の500倍量通水し、処理水を得た。
放射性セシウムを吸着した処理済吸着剤А−1をカラムから取り出して、均一に混合後、放射能濃度を測定したところ、処理済吸着剤А−1の放射能濃度は乾燥物換算で85,000Bq/kgであった。
次に、当該処理済吸着剤А−1を200mL充填したカラムに純水を通水し、洗浄排水の電気伝導率が10mS/mになるまで洗浄して溶解塩類を除去した。
次に、純水に塩酸を添加してpH3に調整した酸性水を、当該処理済吸着剤А−1の充填容積の100倍量通水して放射性セシウムを抽出し、放射性セシウム抽出排水を得た。その結果、該抽出後の処理済吸着剤A−1の放射能濃度は乾燥物換算で7,500Bq/kgであり、大部分の放射性セシウムが放射性セシウム抽出排水に移行したことが確認された。
次に、前記放射性セシウム抽出排水をpH7に中和した後、該放射性セシウム抽出排水を、吸着剤B−1を200mL充填したカラムに通水したところ、通水後の吸着剤B−1の放射能濃度は乾燥物換算で75,000Bq/kgであった。結果を表14に示す。
(試験3−3)
吸着剤A−1を1,000mL充填したカラムに、放射性セシウムによる放射能濃度100Bq/Lの海水(溶解塩類濃度:3.4w/v%、pH7.5)を充填容積の500倍量通水し、処理水を得た。
放射性セシウムを吸着した処理済吸着剤А−1をカラムから取り出して、均一に混合後、放射能濃度を測定したところ、処理済吸着剤А−1の放射能濃度は乾燥物換算で85,000Bq/kgであった。
次に、当該処理済吸着剤А−1を200mL充填したカラムに純水を通水し、洗浄排水の電気伝導率が10mS/mになるまで洗浄して溶解塩類を除去した。
次に、純水に塩酸を添加してpH4に調整した酸性水を、当該処理済吸着剤А−1の充填容積の100倍量通水して放射性セシウムを抽出し、放射性セシウム抽出排水を得た。その結果、該抽出後の処理済吸着剤A−1の放射能濃度は乾燥物換算で65,000Bq/kgであり、放射性セシウムの抽出は若干量であった。結果を表14に示す。
次に、前記放射性セシウム抽出排水をpH7に中和した後、該放射性セシウム抽出排水を、吸着剤B−1を200mL充填したカラムに通水したところ、通水後の吸着剤B−1の放射能濃度は乾燥物換算で18,000Bq/kgであった。結果を表14に示す。
Figure 2014224696
<試験4>
(試験4−1)
吸着剤A−3を1,000mL充填したカラムに、放射性セシウムによる放射能濃度100Bq/Lの海水(溶解塩類濃度:3.4w/v%、pH7.5)を充填容積の500倍量通水し、処理水を得た。
放射性セシウムを吸着した処理済吸着剤А−3をカラムから取り出して、均一に混合後、放射能濃度を測定したところ、処理済吸着剤А−3の放射能濃度は乾燥物換算で15,000Bq/kgであった。
次に、当該処理済吸着剤А−3を200mL充填したカラムに純水を通水し、洗浄排水の電気伝導率が10mS/mになるまで洗浄して溶解塩類を除去した。
次に、純水に塩酸を添加してpH0.5に調整した酸性水を、当該処理済吸着剤А−3の充填容積の100倍量通水して放射性セシウムを抽出し、放射性セシウム抽出排水を得た。その結果、該抽出後の処理済吸着剤A−3の放射能濃度は乾燥物換算で1,000Bq/kg未満であった。
次に、前記放射性セシウム抽出排水をpH7に中和した後、該放射性セシウム抽出排水を、吸着剤B−3を200mL充填したカラムに通水したところ、通水後の吸着剤B−3の放射能濃度は乾燥物換算で13,000Bq/kgであった。結果を表15に示す。
Figure 2014224696
<試験5>
(試験5−1)
吸着剤A−3を1,000mL充填したカラムに、放射性セシウムによる放射能濃度100Bq/Lの海水(溶解塩類濃度:3.4w/v%、pH7.5)を充填容積の500倍量通水し、処理水を得た。
放射性セシウムを吸着した処理済吸着剤А−3をカラムから取り出して、均一に混合後、放射能濃度を測定したところ、処理済吸着剤А−3の放射能濃度は乾燥物換算で15,000Bq/kgであった。
次に、当該処理済吸着剤А−3を200mL充填したカラムに純水を通水し、洗浄排水の電気伝導率が10mS/mになるまで洗浄して溶解塩類を除去した。
次に、純水に塩酸を添加してpH2に調整した酸性水を、当該処理済吸着剤А−3の充填容積の100倍量通水して放射性セシウムを抽出し、放射性セシウム抽出排水を得た。その結果、該抽出後の処理済吸着剤A−3の放射能濃度は乾燥物換算で1,500Bq/kgであり、大部分の放射性セシウムが放射性セシウム抽出排水に移行したことが確認された。
次に、前記放射性セシウム抽出排水をpH7に中和した後、該放射性セシウム抽出排水を、吸着剤B−3を200mL充填したカラムに通水したところ、通水後の吸着剤B−3の放射能濃度は乾燥物換算で12,500Bq/kgであった。結果を表16に示す。
(試験5−2)
吸着剤A−3を1,000mL充填したカラムに、放射性セシウムによる放射能濃度100Bq/Lの海水(溶解塩類濃度:3.4w/v%、pH7.5)を充填容積の500倍量通水し、処理水を得た。
放射性セシウムを吸着した処理済吸着剤А−3をカラムから取り出して、均一に混合後、放射能濃度を測定したところ、処理済吸着剤А−3の放射能濃度は乾燥物換算で15,000Bq/kgであった。
次に、当該処理済吸着剤А−3を200mL充填したカラムに純水を通水し、洗浄排水の電気伝導率が10mS/mになるまで洗浄して溶解塩類を除去した。
次に、純水に塩酸を添加してpH3に調整した酸性水を、当該処理済吸着剤А−3の充填容積の100倍量通水して放射性セシウムを抽出し、放射性セシウム抽出排水を得た。その結果、該抽出後の処理済吸着剤A−3の放射能濃度は乾燥物換算で5,000Bq/kgであり、大部分の放射性セシウムが放射性セシウム抽出排水に移行したことが確認された。
次に、前記放射性セシウム抽出排水をpH7に中和した後、該放射性セシウム抽出排水を、吸着剤B−3を200mL充填したカラムに通水したところ、通水後の吸着剤B−3の放射能濃度は乾燥物換算で9,000Bq/kgであった。結果を表16に示す。
(試験5−3)
吸着剤A−3を1,000mL充填したカラムに、放射性セシウムによる放射能濃度100Bq/Lの海水(溶解塩類濃度:3.4w/v%、pH7.5)を充填容積の500倍量通水し、処理水を得た。
放射性セシウムを吸着した処理済吸着剤А−3をカラムから取り出して、均一に混合後、放射能濃度を測定したところ、処理済吸着剤А−3の放射能濃度は乾燥物換算で15,000Bq/kgであった。
次に、当該処理済吸着剤А−3を200mL充填したカラムに純水を通水し、洗浄排水の電気伝導率が10mS/mになるまで洗浄して溶解塩類を除去した。
次に、純水に塩酸を添加してpH4に調整した酸性水を、当該処理済吸着剤А−3の充填容積の100倍量通水して放射性セシウムを抽出し、放射性セシウム抽出排水を得た。その結果、該抽出後の処理済吸着剤A−3の放射能濃度は乾燥物換算で12,0000Bq/kgであり、放射性セシウムの抽出は若干量であった。
次に、前記放射性セシウム抽出排水をpH7に中和した後、該放射性セシウム抽出排水を、吸着剤B−3を200mL充填したカラムに通水したところ、通水後の吸着剤B−3の放射能濃度は乾燥物換算で2,500Bq/kgであった。結果を表16に示す。
Figure 2014224696
<試験6:吸着剤Aの再使用>
(試験6−1)
前記試験2−1で放射性セシウム抽出した後の吸着剤A−1を充填したカラムに、放射性セシウムを含有した放射能濃度100Bq/Lの海水(溶解塩類濃度:3.4w/v%、pH7.5)を、充填容積の500倍量通水し、処理水を得た。
放射性セシウムを吸着した処理済吸着剤А−1をカラムから取り出して均一に混合後、放射能濃度を測定したところ、処理済吸着剤А−1の放射能濃度は乾燥物換算で80,000Bq/kgであり、再使用が可能であった。結果を表17に示す。
(試験6−2)
前記試験4−1で放射性セシウム抽出した後の吸着剤A−3充填カラムに放射性セシウムによる放射能濃度100Bq/Lの海水(溶解塩類濃度:3.4w/v%、pH7.5)を充填容積の500倍量通水し、処理水を得た。
放射性セシウムを吸着した処理済吸着剤А−3をカラムから取り出して、均一に混合後、放射能濃度を測定したところ、処理済吸着剤А−3の放射能濃度は乾燥物換算で13,000Bq/kgであり、再使用が可能であった。結果を表17に示す。
Figure 2014224696
<試験7>
(試験7−1)
吸着剤A−37を1,000mL充填したカラムに、放射性セシウムによる放射能濃度100Bq/Lの海水(溶解塩類濃度:3.4w/v%、pH7.5)を充填容積の500倍量通水し、処理水を得た。
放射性セシウムを吸着した処理済吸着剤А−37をカラムから取り出して、均一に混合後、放射能濃度を測定したところ、処理済吸着剤А−37の放射能濃度は乾燥物換算で10,000Bq/kgであった。
次に、当該処理済吸着剤А−37を200mL充填したカラムに純水を通水し、洗浄排水の電気伝導率が10mS/mになるまで洗浄して溶解塩類を除去した。
次に、純水に塩酸を添加してpH0.5に調整した酸性水を、当該処理済吸着剤А−37の充填容積の100倍量通水して放射性セシウムを抽出し、放射性セシウム抽出排水を得た。その結果、該抽出後の処理済吸着剤A−37の放射能濃度は乾燥物換算で1,000Bq/kg未満であった。
次に、前記放射性セシウム抽出排水を、吸着剤B−1を200mL充填したカラムに通水したところ、通水後の吸着剤B−3の放射能濃度は乾燥物換算で9,700Bq/kgであった。結果を表18に示す。
Figure 2014224696
<試験8>
(試験8−1)
吸着剤A−39を1,000mL充填したカラムに、放射性セシウムによる放射能濃度100Bq/Lの海水(溶解塩類濃度:3.4w/v%、pH7.5)を充填容積の500倍量通水し、処理水を得た。
放射性セシウムを吸着した処理済吸着剤А−39をカラムから取り出して、均一に混合後、放射能濃度を測定したところ、処理済吸着剤А−39の放射能濃度は乾燥物換算で8,000Bq/kgであった。
次に、当該処理済吸着剤А−39を200mL充填したカラムに純水を通水し、洗浄排水の電気伝導率が10mS/mになるまで洗浄して溶解塩類を除去した。
次に、純水に塩酸を添加してpH0.5に調整した酸性水を、当該処理済吸着剤А−39の充填容積の100倍量通水して放射性セシウムを抽出し、放射性セシウム抽出排水を得た。その結果、該抽出後の処理済吸着剤A−39の放射能濃度は乾燥物換算で1,000Bq/kg未満であった。
次に、前記放射性セシウム抽出排水をpH7に中和した後、該放射性セシウム抽出排水を、吸着剤B−3を200mL充填したカラムに通水したところ、通水後の吸着剤B−3の放射能濃度は乾燥物換算で7,500Bq/kgであった。結果を表19に示す。
Figure 2014224696
<試験9>
放射性物質吸着剤A−3の代わりに、放射性物質吸着剤A−2及びA−4〜A−8を用いた以外は、前記試験4−1と同様の試験を実施した。
その結果、フェロシアン化鉄濃度を変化させても、ほぼ同様に放射性セシウムを放射性物質吸着剤Aから吸着剤Bへ移行させることができるという結果が得られた。
<試験10>
放射性物質吸着剤A−3の代わりに、放射性物質吸着剤A−9〜A−15を用いた以外は、前記試験4−1と同様の試験を実施した。
その結果、フェロシアン化鉄濃度を変化させても、また、カオリンに代え活性炭を含有させても、さらにまたゲル化剤にポリ塩化アルミニウムを含有させても、ほぼ同様に放射性セシウムを放射性物質吸着剤Aから吸着剤Bへ移行させることができるという結果が得られた。
<試験11>
放射性物質吸着剤A−3の代わりに、放射性物質吸着剤A−16〜A−22を用いた以外は、前記試験4−1と同様の試験を実施した。
その結果、フェロシアン化鉄濃度を変化させても、また、カオリンの半量を活性炭に代え含有させても、さらにまたゲル化剤に塩化第二鉄を含有させても、ほぼ同様に放射性セシウムを放射性物質吸着剤Aから吸着剤Bへ移行させることができるという結果が得られた。
<試験12>
放射性物質吸着剤A−3の代わりに、放射性物質吸着剤A−23〜A−29を用いた以外は、前記試験4−1と同様の試験を実施した。
その結果、フェロシアン化鉄濃度を変化させても、また、カオリンの半量を活性炭に代え含有させても、さらにまたゲル化剤にポリ塩化アルミニウムを含有させても、ほぼ同様に放射性セシウムを放射性物質吸着剤Aから吸着剤Bへ移行させることができるという結果が得られた。
<試験13>
放射性物質吸着剤A−3の代わりに、放射性物質吸着剤A−30〜A−32を用いた以外は、前記試験4−1と同様の試験を実施した。
その結果、フェロシアン化鉄濃度を変えても、また、カオリンの半量を活性炭に代え含有させても、さらにまたゲル化剤に塩化第二銅、または塩化ニッケル、さらにまたは塩化コバルトを含有させても、ほぼ同様に放射性セシウムを放射性物質吸着剤Aから吸着剤Bへ移行させることができるという結果が得られた。
<試験14>
放射性物質吸着剤A−3の代わりに、放射性物質吸着剤A−33〜A−34を用いた以外は、前記試験7−1と同様の試験を実施した。
その結果、アルギン酸塩をカリウム塩またはリチウム塩に変えても、また、フェロシアン化鉄濃度を変えても、また、カオリンに代え活性炭を含有させても、さらにまたゲル化剤にポリ塩化アルミニウムを含有させても、ほぼ同様に放射性セシウムを放射性物質吸着剤Aから吸着剤Bへ移行させることができるという結果が得られた。
<試験15>
放射性物質吸着剤A−37の代わりに、放射性物質吸着剤A−35,36を用いた以外は、前記試験4−1と同様の試験を実施した。
その結果、活性炭を含有させずフェロシアン化鉄のみを含有させても、また、活性炭に代えカオリンを含有させても、ほぼ同様に放射性セシウムを放射性物質吸着剤Aから吸着剤Bへ移行させることができるという結果が得られた。
<試験16>
放射性物質吸着材剤A−39の代わりに、放射性物質吸着剤A−38,40を用いた以外は、前記試験8−1と同様の試験を実施した。
その結果、カオリンを含有させずフェロシアン化鉄のみを含有させても、また、カオリンに代え活性炭を含有させても、ほぼ同様に放射性セシウムを放射性物質吸着剤Aから吸着剤Bへ移行させることができるという結果が得られた。
<試験16>
放射性物質吸着剤B−3の代わりに、放射性物質吸着剤B−2、B−4〜B−5を用いた以外は、前記試験4−1と同様の試験を実施した。
その結果、モルデナイト系ゼオライトに代えクリノプチロライト系ゼオライトを使用しても、また、粉末ゼオライトをアルギン酸固化したものであっても、ほぼ同様に放射性セシウムを放射性物質吸着剤Aから吸着剤Bへ移行させることができるという結果が得られた。

Claims (9)

  1. 放射性セシウムを含有し、且つ塩類濃度0.3w/v%以上の放射性セシウム含有放射能汚染水を、難溶性フェロシアン化合物を含有する放射性物質吸着材Aと接触させて、該放射性物質吸着材Aに放射性セシウムを吸着させる工程と、前記工程で放射性セシウムを吸着した放射性物質吸着材Aを洗浄して溶解塩類を除去した後、溶解塩類を除去した前記放射性物質吸着材Aを、酸性水と接触させて放射性物質吸着材Aが吸着した放射性セシウムを該酸性水中に抽出する工程と、前記工程で放射性セシウムが抽出された該酸性水を、ゼオライトを含有する放射性物質吸着材Bと接触させて、該放射性物質吸着材Bに放射性セシウムを吸着させる工程と、を備えた放射能汚染水の除洗方法。
  2. 前記酸性水の酸性度がpH3以下であることを特徴とする請求項1に記載の放射能汚染水の除洗方法。
  3. 放射性セシウムが抽出された酸性水を中和した後、前記放射性物質吸着材Bと接触させることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射能汚染水の除洗方法。
  4. 放射性物質吸着材Aとして、アルギン酸金属塩を含有する多孔質体粒状体を基体粒子とし、難溶性フェロシアン化合物が前記基体粒子の表面乃至内部に散在してなる構成を備えた粒子を含有する放射性物質吸着材を用いることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の放射能汚染水の除洗方法。
  5. 放射性物質吸着材Aとして、難溶性フェロシアン化合物の含有量が0.2〜5w/w%である放射性物質吸着材を用いることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の放射能汚染水の除洗方法。
  6. 放射性物質吸着材Aとして、難溶性フェロシアン化合物と、粘土鉱物、活性炭及びゼオライトからなる群のうちから選ばれる1つ以上の非フェロシアン化合物とを含有し、且つ、前記難溶性フェロシアン化合物と前記非フェロシアン化合物の合計量に対する難溶性フェロシアン化合物の含有割合が0.2〜5w/w%である放射性物質吸着材を用いることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の放射能汚染水の除洗方法。
  7. 放射性物質吸着材Bとして、天然ゼオライトを用いることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の放射能汚染水の除洗方法。
  8. 放射性物質吸着材Bとして、アルギン酸金属塩を含有する多孔質体粒状体を基体粒子とし、ゼオライトが前記基体粒子の表面乃至内部に散在してなる構成を備えた粒子を含有する放射性物質吸着材を用いることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の放射能汚染水の除洗方法。
  9. 前記難溶性フェロシアン化合物の代わりに、ゼオライトよりも分配係数が高い放射性セシウム吸着物質を使用することを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の放射能汚染水の除洗方法。
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