JP2014233653A - 多結晶シリコン洗浄方法及び多結晶シリコン洗浄装置 - Google Patents
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【解決手段】酸性系の洗浄液を満たした状態の複数の洗浄槽11〜15に多結晶シリコンを順次浸漬しながら洗浄する多結晶シリコン洗浄方法であって、最後位及び最後位の洗浄槽よりも上流側の少なくとも1つ以上の洗浄槽15において、洗浄液中のパーティクルの数を測定し、該パーティクル数が予め決められた上限値と下限値との範囲内に収まるように管理する。
【選択図】 図1
Description
また、特許文献2には、多結晶シリコンの洗浄工程において、洗浄槽の底部から抜き出した洗浄液をフィルタで濾過して洗浄液中のパーティクルとして金属微粒子やシリコン微粒子を低減させた後に、再び洗浄槽に循環させることによって多結晶シリコンを洗浄することが提案されている。この場合、特許文献2には、洗浄液中に含まれるパーティクルが多結晶シリコン表面に再付着するのを防止できるとともに、特定の粒径範囲のパーティクルを効果的に除去でき、洗浄効果を高められることが記載されている。
また、最後位の洗浄槽には、前段の洗浄槽により段階的に洗浄された多結晶シリコンが投入されることから、通常、パーティクルも含めた不純物レベルは最も低くなる。このため、最後位の洗浄槽内のパーティクルレベルを安定した状態で維持して異常パーティクルの挙動を把握するために、少なくとも最後位の洗浄槽よりも上流側の洗浄槽においてパーティクル数を測定することで、パーティクル数の変化を早期に、また確実に検出することが可能となり、異常を早期に把握することができる。
段階的に多結晶シリコンの洗浄を行う各洗浄槽内の洗浄液中のパーティクル数を測定して管理を行うことにより、パーティクルの変動が各洗浄槽で発生しているのか、あるいは各洗浄槽の影響により変動が発生しているのかの把握が容易となり、各段階での多結晶シリコンの洗浄の品質レベルを安定的に把握することができる。また、いずれかの洗浄槽において異常パーティクルが検知された場合に、各洗浄槽内の洗浄液中のパーティクル数を時系列的に対比することにより、異常発生源の特定が行いやすくなるので、原因調査や製造ライン復旧までの時間を短縮することが可能となる。
本実施形態の多結晶シリコン洗浄方法は、多結晶シリコンロッドを切断又は破砕することにより細分化して得られた塊状もしくは棒状の多結晶シリコンSを洗浄するものであり、図1に示すような多結晶シリコン洗浄装置を用いて行われる。
この多結晶シリコン洗浄装置1は、洗浄液である酸液(酸性系の洗浄液)を満たした5つの洗浄槽11〜15と、純水を満たした2つの洗浄槽16,17とが一直線状に並べられており、その上方に、多結晶シリコンSを各槽11〜17に順次移送するための移送手段30が設けられている。酸液を満たした洗浄槽11〜15は、浸漬順序の1番目から順に、第一槽11〜第五槽15とされる。そして、各槽11〜17の大きさは、例えば、(配列方向の幅)600mm×(長さ)1200mm×(深さ)630mmとされる。
また、第一槽11から第四槽14の間には、オーバーフロー流路21が設けられている。これらオーバーフロー流路21は、第四槽14が最も高い位置に設けられ、前段の洗浄槽が順次低い位置に設けられていることにより、第四槽14から順次第一槽11に向けて後段の洗浄槽の洗浄液がオーバーフローして、前段の洗浄槽に流れ込むようになっている。また、第一槽11には、排液処理系22が接続され、オーバーフローした洗浄液が排液処理系22に送られるようになっている。そして、各槽11〜15には、内部に溜められるフッ酸と硝酸の洗浄液のうち、フッ酸を補給するためのフッ酸供給系23がそれぞれ設けられている。硝酸供給系24は、第四槽14と第五槽15のみ設けられている。
表1に各洗浄槽11〜15におけるフッ酸(HF)と硝酸(HNO3)の比率(体積割合)の例を示す。
なお、パーティクルカウンタ50は、第一槽11や第二層12にも設けることとしてもよい。
また、移送手段30は、例えば、洗浄槽11〜17の上方に、これら洗浄槽の配列方向に沿うレール31が支持されるとともに、そのレール31に沿って移動可能に吊り上げ機32が設けられ、その吊り上げ機32に、多結晶シリコンSを収納したバスケット33が上下動可能に吊り下げられた構成とされている。
バスケット33は、耐酸性のプラスチックにより上方を開放状態とした箱状に形成されるとともに、その側壁及び底板に多数の貫通孔が形成された構成とされている。また、バスケット33には、洗浄中にバスケット33内の多結晶シリコンSが飛び出さないように、必要に応じて、貫通孔の開いた蓋を取り付けることができる。
また、洗浄装置1では、図2に示すように、吊り上げ機32には2つのバスケット33が吊り下げ可能とされ、これらバスケット33は、各槽11〜17のレール31と直交する方向(各槽の長さ方向)に並んで浸漬されるようになっている。なお、バスケットは2つに限らず、例えば洗浄槽の長さ方向に3つ以上並べて吊り下げるようにしてもよい。
なお、各槽11〜17内には、バスケット33を載置する台41が設置されている。これら台41には、載置されたバスケット33を嵌める受け部(図示略)が設けられており、バスケット33は受け部によって係脱可能に固定されるようになっている。
塊状もしくは棒状の多結晶シリコンSは、ほぼ大きさ及び重量を揃えてバスケット33に入れた状態で移送手段30によって移送される。このように、バスケット33に入れる多結晶シリコンSの大きさや重量を一定範囲内に管理することで、多結晶シリコンSの総表面積を一定範囲内に揃えることができ、多結晶シリコンSの表面に付着しているパーティクルの付着割合の変動を小さくすることができる。
この場合、多結晶シリコンSは、その大きさに応じて、大、中、小のサイズに区別される。例えば、塊状の多結晶シリコンは、最大辺の長さが約3〜150mmの範囲とされ、そのうち大きいサイズが約90〜150mm、中程度のサイズが約45〜90mm、小さいサイズが約3〜45mmとされる。そして、そのサイズ毎に揃えた状態でバスケット33に収容される。
Si+2HNO3 → SiO2+2HNO2
SiO2+6HF → H2SiF6+2H2O
この第一槽11では、投入される多結晶シリコンSの表面に不純物やパーティクルが多く付着していることから、後段の洗浄槽にパーティクルを持ち込まないように、エッチングを促進するため、液温を高めに設定している。
なお、第一槽11から第三槽13は、エッチング反応も盛んに進むため、液温がさらに上昇する傾向にある。このため、熱交換器25に主として冷媒を流通させ、液温を初期の設定温度に維持する制御が行われる。これにより、エッチング反応の変動が抑制されるため、槽内のパーティクル変動も抑制されることから、パーティクル数の安定した管理を行うことができる。
第五槽15は、他の洗浄槽11〜14と異なり、他の槽からの洗浄液がオーバーフローしてくることはなく、定期的に新しい洗浄液に入れ替えられる。また、前段の洗浄槽11〜14において順に洗浄された多結晶シリコンSが移送されるので、第四槽14からのパーティクルの持ち込みも少なくなっている。このため、第五槽15は、酸液の各洗浄槽11〜15中のパーティクル数が最も低い状態となっている。したがって、第五槽15でのパーティクル推移は、より変動が少なく、安定した傾向の把握が可能となる。
このため、多結晶シリコン洗浄中のパーティクル推移の管理としては、洗浄する多結晶シリコンSの槽内への投入量や大きさ、洗浄時の液温度、洗浄液の組成や補給量、洗浄液の循環、洗浄液中への浸漬時間や浸漬方法などを調整又は規定することで、多結晶シリコンの洗浄状態(エッチング量)が安定化し、その結果、洗浄液中のパーティクル数が安定した状態で推移することができるため、各洗浄槽での異常パーティクルが把握し易くなり、安定した管理状態を得ることができる。
例えば、循環液量が低いと比重の大きいパーティクルや、サイズの大きなパーティクルは、洗浄槽内の底部に沈んでしまい、パーティクル数の測定値にばらつきを生じさせるおそれがある。このため、パーティクルが洗浄槽の底部に沈まないように一定以上の流量(例えば80L/min以上)を設定して、槽内の液循環を行う必要がある。また、循環流量は、90L/minに設定することが好ましい。
このような洗浄槽内の安定したパーティクル数推移下において、例えば第四槽14の循環路28で系内を構成する配管やタンク内等で経時劣化が発生し、洗浄液中に系内材質の一部が混入した場合、パーティクルの形で第四槽14内に循環液とともに流れ込む。この際、第四槽14内で行っている槽内液のサンプリングによるパーティクル測定で、系内に混入した材質に伴うパーティクルがカウントされることとなる。その結果、異常発生前のパーティクル数に対して相対的にパーティクル数が増えることで、不安定なパーティクル数の推移状態となり、系内異常を早期に把握することができる。したがって、混入したパーティクルが後段へ流入したり持ち込まれたりすることが防止できる。
また、上記実施形態においては、例えば最大辺の長さが0.1μm以上のサイズのパーティクルをカウントすることとしていたが、系内で発生する経時劣化による混入物は、一定の形状のパーティクルが生じるとは限らない。このため、測定するパーティクルのサイズを、例えば、0.1μm以上、0.15μm以上、0.2μm以上、0.3μm以上、0.5μm以上のサイズ毎で測定することで、異常発生に起因するパーティクルの挙動をパーティクル数の変動の小さいところで把握することができるとともに、異常発生の早期の把握を行いやすくすることができる。
洗浄装置1では、例えばリオン株式会社製のパーティクルカウンタ(型式KL‐27)を使用し、第三槽13から第五槽15の3つの洗浄槽において多結晶シリコン洗浄中の洗浄液のサンプリングを行い、洗浄液中に含まれるパーティクル数をサイズ毎(0.1μm以上、0.2μm以上、0.5μm以上のサイズ)に測定した。また、本事例は、第三槽13、第四槽14及び第五槽15にパーティクルカウンタ50を取り付けて測定を行った場合の結果である。
洗浄液のサンプリングは1日に1回(1回/日)行っており、サンプリングの結果が、最後位の洗浄槽(第五槽15)よりも1つ手前の洗浄槽(第四槽14)及び2つ手前の洗浄槽内(第三槽13)において、パーティクル測定値の平均値±2σ(すなわち、パーティクル数の上限値及び下限値)を超えるパーティクルの測定値が得られるか否かにより、洗浄系に異常がないかどうかの調査を行った。そして、表2の表中において、パーティクル測定値の平均値±σを超えるパーティクル測定値には「A」を括弧内に表記し、パーティクル測定値の平均値±2σを超えるパーティクル測定値には「B」を括弧内に表記した。
例えば、第三槽の0.1μm以上のパーティクル数の変動をみる場合、3番目の洗浄ロットのパーティクル数の変動割合は、平均値を(1336+1308+1516)/3=1387として、標準偏差σを算出することとしている。
また、最後位の洗浄槽(第五槽)よりも前段の洗浄槽(第三槽、第四槽)のパーティクル測定結果を比較すると、パーティクルの異常発生の影響が、最後位よりも時系列的に早い段階で見られる場合があることが確認された。これは、最後位よりも前段の、例えば第三槽の洗浄系内で経時劣化などの異常が発生し、その際の系内に流入したパーティクルの影響が出ているか、あるいは各洗浄槽の共通する系内でパーティクル発生の異常が発生し、パーティクル測定の順序等が起因しているかによることが考えられる。
また、これらの結果を踏まえ点検を行ったところ、洗浄系で使用している洗浄液(酸液)を保管している容器内のライニングに異常があることが確認されたため、洗浄中の多結晶シリコンを洗浄槽から回収するとともに、洗浄装置1の操業を停止した。
このように、パーティクルの異常発生の予兆を把握することができ、洗浄装置1を早期に停止することができたことから、多結晶シリコンへの汚染の影響を最小限に留めることができた。
なお、上述の例は、上限値を超えた場合の例であるが、一方で、パーティクルに含まれるシリコン等が溶けることによりパーティクル数が減少し、下限値を超えた場合も、多結晶シリコン自体の溶解が進み、歩留まりが悪くなることが予想できるので、洗浄装置を停止する等の措置をとることが可能である。
また、多結晶シリコンの洗浄中に、洗浄液中のパーティクル数を測定しているので、パーティクル数の推移を把握することができる。これにより、安定したパーティクル数の推移を管理している中で、何らかの外因によってパーティクルが異常発生した場合等に、その異常をパーティクル数の増加によって早期に把握することができる。このため、多結晶シリコンが汚染される前に洗浄を停止し、原因調査や復旧処理を行うことができ、速やかに稼働を再開することができる。このように、洗浄系内の配管やタンク、機器等が経年劣化によって損傷し、洗浄液の汚染を引き起こした場合も被害を低減することが可能となり、安定的な製造ラインを確保することができ、長期間安定的に生産を行うことが可能となる。
また、最後位の洗浄槽には、前段の洗浄槽により段階的に洗浄されてパーティクルの持ち込み量が最も低い状態の多結晶シリコンが投入されることから、少なくとも最後位の洗浄槽よりも上流側の洗浄槽においてパーティクル数を測定することで、パーティクル数の変化を確実に検出することが可能となり、異常を早期に把握することができる。
例えば、洗浄槽の数は、上記実施形態の洗浄装置の構成に限定されるものではない。また、洗浄する多結晶シリコンの種類(大きさ)や量は、限定されるものではなく、洗浄時間(浸漬時間や揺動時間)も適宜設定することが可能である。
また、本事例では、各洗浄槽内のパーティクル測定を日単位で行っているが、測定の頻度やタイミングは、日単位に限定せず、洗浄中であれば何れのタイミングで複数回の測定を行うこととしてもよい。
また、パーティクルのサイズについては、0.1μm〜0.5μmの間のパーティクルを測定対象としたが、パーティクルサイズについては、0.1μm以下や0.5μm以上のサイズ測定を適宜採用してもよい。
11〜17 洗浄槽
21 オーバーフロー流路
22 排液処理系
23 フッ酸供給系
24 硝酸供給系
25 熱交換器
26 液温測定器
27 熱媒体供給系
28 循環路
29 濾過部
30 移送手段
31 レール
32 吊り上げ機
33 バスケット
41 台
50 パーティクルカウンタ
51 検知手段
61 純水供給系
62 排水系
Claims (4)
- 酸性系の洗浄液を満たした状態の複数の洗浄槽に多結晶シリコンを順次浸漬しながら洗浄する多結晶シリコン洗浄方法であって、最後位及び最後位の洗浄槽よりも上流側の少なくとも1つ以上の洗浄槽において、洗浄液中のパーティクルの数を測定し、該パーティクル数の上限値だけでなく下限値も予め定めておき、該上限値と下限値との範囲内に収まるように管理することを特徴とする多結晶シリコン洗浄方法。
- 少なくとも2つ以上の洗浄槽の洗浄液のパーティクル数を洗浄中に測定し、これらのパーティクル数を時系列的に対比しながら管理を行うことを特徴とする請求項1記載の多結晶シリコン洗浄方法。
- 前記パーティクル数の管理範囲は、予め一定期間に測定された各洗浄槽のパーティクル数に基づき定められ、前記パーティクル数の標準偏差をσとした場合に、平均値±2σの範囲で管理されることを特徴とする請求項1又は2に記載の多結晶シリコン洗浄方法。
- 酸性系の洗浄液を満たした状態の複数の洗浄槽を備え、これら洗浄槽に多結晶シリコンを順次浸漬しながら洗浄する多結晶シリコン洗浄装置であって、最後位及び最後位よりも上流側の少なくとも1つ以上の洗浄槽において洗浄液中のパーティクル数を測定するパーティクルカウンタを備えるとともに、該パーティクルカウンタにより測定されるパーティクル数と、予め定められたパーティクル数の上限値及び下限値とを比較してパーティクル数の異常を検知する検知手段を有していることを特徴とする多結晶シリコン洗浄装置。
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