JP5761096B2 - 多結晶シリコン洗浄装置及び洗浄方法 - Google Patents
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Description
このため、例えば複数の洗浄槽間の移送を2つのロボットハンドで処理する場合、容器の移し替えが必要になり、洗浄槽内に移送した後に以降の移送処理を別のロボットハンドで移送する場合には、ロボットハンドによる容器のチャッキング解除、及び再度別のロボットハンドによるチャッキングが行われる必要がある。
更に、チャッキング位置がずれた場合、所定時間以上洗浄液内に容器が浸漬されていることより、酸液による多結晶シリコンのエッチングが必要以上に進み、多結晶シリコンのロスが生じることで、安定したエッチング品質を維持することが難しいという問題があった。
さらに、本発明の多結晶シリコン洗浄装置において、前記洗浄槽の内底部に、洗浄液を供給する供給パイプが設けられているとよい。
容器の上下移動によるピストン運動によって新鮮な酸液を容器内に効率的に取り込んで循環させることができるとともに、上下移動時の振動および酸液との抵抗で容器内の多結晶シリコン同士の接触している箇所の位置関係を変更することができ、エッチング反応を促進することができる。
この実施形態の多結晶シリコン洗浄装置1は、多結晶シリコンロッドを切断または破砕することにより細分化して得られた塊状もしくは棒状の多結晶シリコンSを洗浄する装置である。
多結晶シリコン洗浄装置は複数の洗浄槽により構成されるが、本実施形態の多結晶シリコン洗浄装置1は、図1に示すように、例えば、洗浄液である酸液を満たした五つの洗浄槽21〜25と、純水を満たした二つの洗浄槽26,27とが一直線上に並べられたものである。これら洗浄槽21〜27は、その配列方向に沿う寸法より、これと直交する方向の寸法が、長く形成されている。酸液には、例えば、フッ化水素と硝酸との混合液が用いられる。
搬送手段4には、例えば、各洗浄槽21〜27の上方に設けられたレール40に沿って移送可能に支持される吊り上げ機41が備えられる。この吊り上げ機41に、多結晶シリコンSを収納した容器3が上下動可能に吊り下げられる構成とされており、容器3を把持して、各洗浄槽21〜27の上方から上げ降ろしすることにより、所定時間、洗浄槽21〜27内の洗浄液に浸漬させるようになっている。
図2に示すように、吊り上げ機41には二つの容器3が吊り下げ可能とされており、これら容器3は、各洗浄槽21〜27内に、レール40に直交する方向(各洗浄槽の長さ方向)に並んで浸漬されるようになっている。なお、容器3は二つに限らず、例えば、洗浄槽の長さ方向に三つ以上並べて吊り下げるようにしてもよい。
また、吊り上げ機41は、容器3の上部に設けられたフランジ31を保持する樹脂製の保持ハンド42を備え、この保持ハンド42によって容器3を把持した状態で、上下移動することができる。
多結晶シリコンSは、シーメンス法の場合、棒状に製造されるが、適宜の大きさに切断あるいは破砕され、カットロッドと称される短尺の棒状物または不定形な塊状物とされる。これら棒状あるいは塊状物をほぼ大きさを揃えて容器3に入れた状態で図示しないコンベア等によって1番目の洗浄槽21の近傍に移送し、容器3の上方から搬送手段4の吊り上げ機41を下降させ、保持ハンド42により容器3のフランジ31を把持する。
図2(b)の二点鎖線Aで示すように、搬送手段4により二つの容器3を保持して洗浄槽21の上方へ移動させ、搬送手段4を下降させて洗浄槽21内のガイド枠5の凹部51に容器3を載置させ、洗浄液の酸液Wに浸漬させる。
ガイド枠5には、洗浄槽21内への容器3の導入を案内するガイド板54が設けられていることから、ガイド板54の傾斜面に沿わせて下降させられることで、ガイド枠5の凹部51に容器3を配置することができる。
多結晶シリコンSは、浸漬により次の反応式に基づきエッチングされる。
Si+2HNO3 → SiO2+2HNO2
SiO2+6HF → H2SiF6+2H2O
容器3の上下移動の操作は、図4に示すように、ガイド枠5の凹部51の内底面から若干の隙間h1をあけ、容器3を浮かせた状態で行われ、図4の実線Xで示す位置から二点鎖線Yで示す位置までの間(距離h2)で、容器3を複数回移動させることにより行われる。この容器3の上下移動時において、容器3を引き上げる際には、容器3内には上方から下方へ酸液Wが押し流されるとともに、ガイド枠5内の圧力が容器3の引き上げに伴い低下することにより、新たな酸液Wが下方からガイド枠5内に取り込まれる。また、容器3を降下する際には、ガイド枠5内の酸液Wが容器3の押圧によりガイド枠5外に開口部51a,51b,55を経由して押し出されるとともに、容器3内に新鮮な酸液が勢いよく供給される。このように、容器3の上下動によるピストン運動によって反応に寄与した酸液と新鮮な酸液とを効率的に循環させることができる。
そして、前述の容器3の上下移動により新鮮な酸液Wが容器3内に送り込まれることで、多結晶シリコンSのエッチングを促すとともに、上下移動時の振動および酸液Wとの抵抗で容器3内の多結晶シリコンS同士の接触している箇所の位置関係を変更することができ、その接触部分のエッチングがされにくい箇所のエッチング反応を促進することができる。
そして、洗浄後、洗浄槽21内に浸漬した容器3を再度引き上げる際には、容器3が所定位置のガイド枠5上に配置されていることから、確実に容器3を把持して搬送することが可能である。
洗浄槽21内において酸液Wを内底面2aに配置された供給パイプ6から供給して上部からオーバーフローさせることにより、多結晶シリコンSの塊から離脱して酸液W中に浮遊する不純物やシリコン片、容器3の切削片等の微粉末を酸液Wとともに洗浄槽21から排出させることができる。したがって、酸液W中の微粉末が多結晶シリコン塊に再付着するのを防止し、効率のよい洗浄が可能となる。なお、オーバーフローして回収された酸液は、フィルタを通して不純物やシリコン片、容器3の切削片などが除去され、再利用される。
傾斜角度θが10°より小さいと、チャッキング位置がずれた状態で洗浄槽内に容器3を浸漬させる際に、容器3の下部とガイド板54の先端部とが接触し易くなる。容器3の下部とガイド板54の先端部とが接触した場合には、その接触時の衝撃で、ガイド板54や容器3の破損、又は容器3が傾いて洗浄槽内に落下する等のトラブルになるおそれがある。また、洗浄液に酸液を使用した際のエッチングによる気泡の分散効果が小さくなる。
傾斜角度θが35°より大きいと、ガイド板54の傾斜面と容器3の下部との接触時に加わる衝撃が大きくなり、容器3のガイド枠5への導入案内がスムーズに行われずに、ガイド板54の摩耗や破損が生じ易くなる。
さらに、多結晶シリコンSと酸液Wとの反応により生ずる気泡が上昇することに伴い、ガイド枠5に設けられた開口部55から容器3の外底面32に向けて新鮮な酸液Wを取り込むことができるので、この開口部55を通って下方から新鮮な酸液Wが容器3内に供給され、多結晶シリコンSと酸液Wとのエッチング反応を均一に促進させて付着した不純物の除去効率を向上させることができる。
例えば、洗浄槽の数、洗浄槽内のガイド枠の数、使用する酸液の種類等は一例であり、使用状況に応じて変更可能である。
また、各洗浄槽内の供給パイプは、図2(a)に示すように、内底面上に水平に伸びた直線状の構造以外に、ガイド枠の外周部に沿ってU字状に配置する構造としてもよい。さらに、供給パイプは、複数本を配置する構成としてもよい。また、供給パイプの孔は、上記実施形態のように上方に向けた孔61が開けられる構造以外に、供給パイプ側面や、斜め上方に洗浄液が噴き出すような位置に設ける等、適宜設定することができる。
2a 内底面
3 容器
4 搬送手段
5 ガイド枠
6 供給パイプ
8 オーバーフロー部
8a 排液口
21〜27 洗浄槽
31 フランジ
32 外底面
40 レール
41 吊り上げ機
42 保持ハンド
51 凹部
51a,51b 開口部
52 縦板
53 縦フレーム
54 ガイド板
55 開口部
61 孔
S 多結晶シリコン
W 酸液
Claims (4)
- 多結晶シリコンをバスケット状の容器に収納した状態で洗浄槽に浸漬して洗浄する多結晶シリコンの洗浄装置であって、洗浄槽の内底部に前記容器を載置状態に保持するガイド枠を有しており、該ガイド枠には上方から前記容器の導入を案内する複数のガイド板が上方に向かうにしたがって前記ガイド枠の保持中心から離間する方向に傾斜して設けられていることを特徴とする多結晶シリコン洗浄装置。
- 前記ガイド枠の下部及び側部に、該ガイド枠内外を連通する開口部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の多結晶シリコン洗浄装置。
- 前記洗浄槽の内底部に、洗浄液を供給する供給パイプが設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の多結晶シリコン洗浄装置。
- 請求項1から3のいずれか一項に記載の多結晶シリコン洗浄装置を用いて、多結晶シリコンをバスケット状の容器に収納した状態で洗浄槽に浸漬して洗浄する方法であって、前記容器を前記ガイド枠に載置して浸漬状態で静置する操作と、前記容器を前記ガイド枠から浮かせた状態で、液面付近で複数回上下移動する操作とを交互に行うことを特徴とする多結晶シリコンの洗浄方法。
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