添付の図面を参照し、本発明を詳細に説明する。重複する説明は、適宜簡略化或いは省略する。各図では、同一又は相当する部分に、同一の符号を付している。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1における脱臭装置を示す正面図である。図2は、この発明の実施の形態1における脱臭装置を示す平面図である。図3は、この発明の実施の形態1における脱臭装置を示す側面図である。
脱臭装置は、本体ケース1によって外形が形成される。本体ケース1は、全体として箱形状を呈する。本体ケース1は、例えば、主要部分が樹脂からなる。図1乃至図3では詳細が示されていないが、本体ケース1は、例えば、分解可能な複数の部材によって構成される。これらの部材には、機器を収納するためケース部1aとケース部1aに取り付けられる平板状の前面パネル1bとが含まれる。
本体ケース1に、吸込口2と吹出口3とが形成される。
吸込口2は、本体ケース1の内部に空気を取り込むための開口である。吸込口2は、例えば、前面パネル1bに形成される。本実施の形態では、吸込口2が、前面パネル1bに形成された複数の開口からなる場合を一例として示している。これらの開口は、水平方向に長手を有するスリット状を呈する。
吹出口3は、本体ケース1の内部の空気を本体ケース1の外に放出するための開口である。吹出口3からは、臭気物質が除去された清浄な空気が放出される。吹出口3は、例えば、ケース部1aの上面に形成される。
脱臭装置を使用する者は、操作部4を操作して情報を入力する。操作部4は、例えば、ケース部1aの上面に設けられる。操作部4は、表示部と複数の操作釦と操作基板とを備える。表示部は、使用者に情報を報知する。表示部は、例えば、LEDからなる。操作釦は、使用者が情報を入力するために使用される。使用者は、操作釦を押して情報を入力する。操作釦及び表示部は、操作基板に実装される。操作基板は、本体ケース1の内部に配置される。操作基板は、後述の制御装置に電気的に接続される。
図4は、この発明の実施の形態1における脱臭装置の断面を示す図である。図4は、図1におけるA−A断面を示す。
脱臭装置は、送風機5、ルーバー6、脱臭部7、中仕切板8、HEPAフィルター9、プレフィルター10、ミスト発生装置11、凝縮装置12、タンク13、制御装置(図示せず)を備える。ケース部1aは、前面パネル1b側が開口する箱状を呈する。送風機5、ルーバー6、脱臭部7、中仕切板8、HEPAフィルター9、プレフィルター10、ミスト発生装置11、凝縮装置12、タンク13、制御装置は、ケース部1aの内部に配置される。
本体ケース1の内部に、吸込口2と吹出口3とを繋ぐ風路14が形成される。
送風機5は、風路14に気流を発生させる。送風機5は、風路14に配置される。送風機5が動作すると、本体ケース1の外部の空気が吸込口2から本体ケース1の内部に取り込まれる。本体ケース1の内部に取り込まれた空気は、風路14を通過し、吹出口3から本体ケース1の外に放出される。送風機5は、制御装置によって制御される。
以下の説明においては、送風機5が動作した時の風路14内の空気の流れを基準に、上流及び下流を定義する。即ち、吸込口2が風路14の最上流であり、吹出口3が風路14の最下流である。
本体ケース1の内部の空間は、仕切板15によって上流側と下流側とに分けられる。仕切板15は、前面パネル1bとほぼ平行に配置される。また、仕切板15に、開口が形成される。送風機5は、空気の吸引口を仕切板15に形成された開口に向けた状態で、仕切板15の下流側に配置される。
送風機5として、多翼式ファン(シロッコファン)を用いることが好適である。多翼式ファンは、モータと回転軸と多数の羽とを備える。羽は、回転軸に沿った方向に一定の幅を有する。羽は、回転軸から一定の距離離れた位置に等間隔に配置される。即ち、羽は、回転軸の周囲に配置される。羽は、回転軸がモータによって回転されることにより、回転軸と共に回転する。回転軸は、水平に配置される。また、回転軸は、その軸方向が脱臭装置の前面から背面に向かう方向に配置される。
送風機5の吸引口は、脱臭装置の前面側、即ち吸込口2側を向く。送風機5は、吸引口から空気を吸引し、上方に向けて空気を放出する。送風機5から放出された空気は、風路14を上方に移動し、吹出口3に至る。図4に示すDは、仕切板15と脱臭装置の背面側のパネルとの間隔を示している。
吹出口3は、例えば、送風機5の直上部に配置される。吹出口3の近傍に、ルーバー6が設けられる。ルーバー6は、吹出口3から吹き出される空気の方向を変える。また、ルーバー6によって吹出口3を閉じることもできる。ルーバー6は、吹出口3のすぐ下方で風路14内に配置される。
ルーバー6は、複数の板状の風向板とリンク機構と駆動部とを備える。風向板は、吹出口3のすぐ近くで、一定の間隔を空けて平行に並んで配置される。風向板は、両端に設けられた軸を介して、本体ケース1に設けられる。風向板は、一定の角度の範囲内であれば、この軸を中心に回転するように動く。風向板は、リンク機構によって繋がれている。駆動部は、リンク機構を駆動する。駆動部によってリンク機構が駆動されると、風向板の向きが変わる。駆動部は、例えば、モータからなる。ルーバー6は、制御装置によって制御される。
使用者がルーバー6に直接触れることがないように、吹出口3を覆うように格子が設けられる。格子が設けられていない場合は、風向板の調整を使用者が手で行えるように構成しても良い。
脱臭部7は、臭気物質を除去する。脱臭部7は、風路14に配置される。また、脱臭部7は、送風機5の上流に配置される。送風機5が動作することによって風路14に気流が発生すると、吸込口2から本体ケース1の内部に取り込まれた空気が脱臭部7を通過する。脱臭部7は、通過する空気から臭気物質を取り除く。
脱臭部7は、例えば、平板形状或いは円板形状を呈する。脱臭部7は、例えば、ハニカムコアに吸着材が塗布或いは含浸されたものからなる。ハニカムコアは、セラミック或いはアルミニウムから形成される。ハニカムコアには、蜂の巣状の複数の開口が形成される。吸着材は、バインダーで臭気物質を吸着するゼオライト或いは活性炭等からなる。臭気物質を吸着する吸着材は、疎水性であることが好ましい。
吸着材に金属酸化物を混合しても良い。吸着材に金属酸化物を混合すれば、吸着した臭気物質の再放出を抑制することができる。この金属酸化物には、加熱再生触媒或いは光触媒として用いられるものも含まれる。例えば、吸着材に混合される金属酸化物として、酸化マンガン、酸化銅、酸化亜鉛、酸化タングステン等が挙げられる。
臭気物質を除去するための手段は、上記脱臭部7の構成に限定されない。
中仕切板8は、風路14に配置される。中仕切板8は、脱臭部7の上流に配置される。また、中仕切板8に、円形状の開口が形成される。風路14内の空気は、吸込口2から吹出口3に至る際に、中仕切板8に形成された上記開口を必ず通過する。即ち、中仕切板8は、開口以外の箇所で空気を通さない。使用者が脱臭部7に直接触れることがないように、中仕切板8に形成された開口を覆うように放射状の枠が設けられる。
HEPAフィルター9及びプレフィルター10は、塵埃を除去するためのフィルターである。
HEPAフィルター9のHEPAは、High Efficiency Particulate Airの略である。空気には、細かい塵埃が含まれる。HEPAフィルター9は、通過する空気から細かい塵埃を取り除く。例えば、HEPAフィルター9は、通過する空気から花粉、ダニの糞、カビの胞子及びハウスダスト等をろ過する。HEPAフィルター9は、風路14に配置される。HEPAフィルター9は、中仕切板8の上流に配置される。HEPAフィルター9は、吸込口2とほぼ同じ大きさを有する。
プレフィルター10は、目の粗いフィルターである。プレフィルター10は、HEPAフィルター9と同様に、吸込口2とほぼ同じ大きさを有する。プレフィルター10は、風路14に配置される。プレフィルター10は、HEPAフィルター9に達する前の空気から大きな塵埃を取り除く。即ち、プレフィルター10は、HEPAフィルター9の上流に配置される。プレフィルター10は、HEPAフィルター9の塵埃除去機能を長期間持続させる目的で使用される。
ミスト発生装置11は、ミストを発生させる。ミスト発生装置11は、制御装置によって制御される。ミスト発生装置11は、例えば、ミスト発生部16と配管17とを備える。図5は、ミスト発生装置11の一例を示す斜視図である。
ミストは、ミスト発生部16によって生成される。ミストを発生させる方式は、超音波方式でもスチーム方式でも良い。図5は、ミスト発生部16が超音波方式或いはスチーム方式によってミストを発生させる場合を示している。かかる場合、ミスト発生部16は、水を貯留する。なお、ミスト発生部16は、ペルチェ等の熱電素子を有しても良い。かかる場合、ミスト発生部16は、空気中の水分からミストを生成する。ミスト発生部16は、風路14内或いは風路14外に配置される。
配管17は、ミスト発生部16から伸び、風路14に配置される。配管17は、風路14を完全に塞ぐことがないように配置される。配管17に、多数の孔18が形成される。配管17のうち孔18が形成された部分は、脱臭部7の上流に配置される。例えば、配管17のうち孔18が形成された部分は、中仕切板8と脱臭部7との間に配置される。孔18は、脱臭部7の極近い位置に配置される。孔18は、脱臭部7の方向、即ち下流側を向いて開口する。
ミスト発生部16が発生させたミストは、配管17を通って孔18から風路14に供給される。即ち、ミスト発生装置11は、脱臭部7の上流でミストを発生させる。ミスト発生装置11から供給されたミストが脱臭部7の全体に供給されるように、配管17のうち孔18が形成された部分は、脱臭部7の前面全域に対向するように配置される。
ミスト発生部16は、カートリッジ式であることが好ましい。また、使用者が前面パネル1bを取り外すことなくミスト発生部16に給水できることが好ましい。ミスト発生部16が貯留する水に菌がわかないように、ミスト発生部16に抗菌剤或いは薬剤が備えられていても良い。また、ミスト発生部16が貯留する水に、過酸化水素を含む活性酸素種或いは塩素成分を電気的に生成しても良い。
ミストを発生させるための手段は、ミスト発生装置11の構成に限定されない。
凝縮装置12は、風路14内の高湿空気を露点以下にして、液化させる。凝縮装置12は、制御装置によって制御される。凝縮装置12は、例えば、凝縮板19を備える。凝縮板19は、風路14に配置される。凝縮板19は、脱臭部7の下流に配置される。例えば、凝縮板19は、脱臭部7に下流側から対向するように、脱臭部7と仕切板15との間に配置される。ミスト発生装置11が発生させたミストは、脱臭部7を通過した後、脱臭部7の下流において凝縮板19で液化される。
凝縮装置12は、風路14内の空気に含まれる水分(ミストを含む)を熱交換によって露点以下にし、液化させる。このため、凝縮板19の材質は、熱伝導性の良い金属等であることが好ましい。また、凝縮装置12は、ペルチェ等の熱電素子を有しても良い。かかる場合、熱電素子は、一方の面で吸熱し、他方の面で発熱する。凝縮装置12は、温度の高い物質から低い物質に効率的に熱を移動させる熱交換器を備えても良い。かかる場合、脱臭部7の背面側に金属配管を這わせ、金属配管の内部に充填した冷媒を循環させれば良い。
凝縮装置12は、凝縮板19を駆動する駆動部を備えても良い。かかる場合、凝縮板19は、閉鎖位置と開放位置とに配置可能な機構を有する。閉鎖位置は、風路14を塞ぐための位置である。凝縮板19が閉鎖位置に配置されると、風路14内の空気は、凝縮装置12を通過できなくなる、或いは殆ど通過できなくなる。図4は、駆動部によって凝縮板19が駆動され、凝縮板19が閉鎖位置に配置された状態を示している。開放位置は、風路14を開放するための位置である。例えば、凝縮板19が開放位置に配置されると、凝縮板19は水平に配置される。凝縮板19が開放位置に配置されていれば、風路14内の空気は、凝縮装置12を通過して凝縮装置12の上流から凝縮装置12の下流に移動することができる。
空気に含まれる水分を凝縮させるための手段は、凝縮装置12の構成に限定されない。
タンク13は、凝縮装置12によって液化された凝縮水を貯留する。タンク13は、凝縮板19の下方に設けられる。タンク13は、例えば、風路14の外に配置される。凝縮板19の表面に付着した凝縮水は、凝縮板19を伝って下方に移動する。凝縮板19を滴下する凝縮水は、最下部の凝縮板19からタンク13に回収される。凝縮板19の表面で発生した凝縮水は、タンク13に溜められる。
タンク13は、ミスト発生部16と同様に、カートリッジ式であることが好ましい。また、使用者が前面パネル1bを取り外すことなくタンク13の取り付け及び取り外しが可能であることが好ましい。タンク13を風路14の外に配置しておけば、使用者は、タンク13に溜まった凝縮水を簡単に廃棄することができる。タンク13内の水に菌がわかないように、タンク13内に抗菌剤或いは薬剤が入れられていても良い。また、タンク13内の水に、過酸化水素を含む活性酸素種或いは塩素成分を電気的に生成しても良い。
次に、上記構成を有する脱臭装置の動作について説明する。
脱臭装置は、室内の空気を内部に取り込み、取り込んだ空気から塵埃と臭気物質とを取り除く。脱臭装置は、塵埃及び臭気物質を取り除いた清浄な空気を室内に放出する。以下において、脱臭装置が行う上記動作のことを清浄運転という。
使用者が操作部4に対して操作を行うと、清浄運転を開始するための信号が制御装置に入力される。制御装置は、予め記憶されたプログラムを実行し、清浄運転を開始させる。
清浄運転では、先ず、送風機5が駆動される。送風機5が吸引動作を開始すると、風路14に気流が発生する。脱臭装置が室内に設置されている場合、送風機5が動作を開始すると、室内の空気が吸込口2から風路14に取り込まれる。吸込口2から風路14に取り込まれた空気は、本体ケース1の内部を背面側へと流れる。
吸込口2から風路14に取り込まれた空気は、先ず、プレフィルター10を通過する。空気がプレフィルター10を通過することにより、空気から大きな塵埃が取り除かれる。プレフィルター10を通過した空気は、HEPAフィルター9を通過する。空気がHEPAフィルター9を通過することにより、空気から微細な塵埃が取り除かれる。
HEPAフィルター9及びプレフィルター10によって塵埃が取り除かれた空気は、中仕切板8の開口を通過する。清浄運転が行われている間、ミスト発生装置11は動作していない。即ち、清浄運転中、ミスト発生装置11はミストを風路14に供給しない。中仕切板8を通過した空気は、ミスト発生装置11を通過する。
ミスト発生装置11を通過した空気は、脱臭部7を通過する。脱臭部7に形成されたハニカム形状の開口を空気が通過する際に、空気から臭気物質が除去される。なお、「空気から臭気物質が除去される」とは、空気から臭気物質が完全に除去されることだけでなく、空気から臭気物質の一部が除去されることを含む。即ち、「空気から臭気物質が除去される」とは、脱臭部7を通過する前の空気に含まれる臭気物質の量より、脱臭部7を通過した後の空気に含まれる臭気物質の量の方が少ないことを意味する。清浄運転が継続して行われることにより、室内の空気に含まれていた臭気物質が脱臭部7に徐々に蓄積されていく。
清浄運転が行われている間、凝縮板19は、開放位置に配置される。また、清浄運転が行われている間、凝縮装置12は動作していない。即ち、清浄運転中、凝縮板19は冷却されていない。脱臭部7を通過した空気は、凝縮板19の間を通過する。
凝縮板19の間を通過した空気は、仕切板15を通過して送風機5に至る。仕切板15を通過した空気は、吸引口から送風機5の内部に取り込まれる。送風機5は、その径方向に空気を放出する。即ち、送風機5の内部に取り込まれた空気は、送風機5から上方に向けて放出される。
送風機5から放出された空気は、ルーバー6に達する。空気がルーバー6を通過する際に風向板によって空気の流れが整えられる。風向板によって風向きが整えられた空気は、吹出口3から室内に放出される。
清浄運転が行われると、脱臭部7に臭気物質が蓄積されていく。脱臭部7は、吸着した臭気物質が増えるにつれて、その脱臭能力が低下する。以下に、脱臭部7の脱臭能力を回復させるための回復運転について説明する。
制御装置は、予め定められたタイミングで回復運転を行う。回復運転と清浄運転とは同時に行われない。回復運転を行うタイミングとして、以下の例が挙げられる。
・清浄運転を開始する時
・清浄運転が行われた累積時間が一定の時間を超えた時(回復運転が行われると、累積時間をリセットする。)
・回復運転が前回行われてから一定の時間が経過した時
・回復運転を開始するための信号が操作部4から制御装置に入力された時
回復運転は、24時間に一回以上行われることが好ましい。
回復運転が開始されると、制御装置は、ミスト発生装置11からミストを発生させる。また、制御装置は、ミスト発生装置11から発生させたミストが吹き飛ばされてしまうことを防止するため、回復運転を開始する際に送風機5を停止させる。ミストは、配管17の孔18から風路14に供給される。孔18は、下流側を向いて開口する。このため、孔18から風路14に供給されたミストは、ミスト発生装置11からの微小な風圧によって下流に流れる。
ミスト発生装置11から供給されたミストにより、ミスト発生装置11の下流側は高湿度になる。この高湿空気は、脱臭部7に達し、脱臭部7を通過する。高湿空気は、脱臭部7を通過する際に、脱臭部7に吸着されていた臭気物質を脱臭部7から奪う。これにより、脱臭部7から臭気物質が除去される。また、高湿空気に含まれる一部の水分は、臭気物質と置換して脱臭部7の表面に留まる。
図6は、脱臭部7の再生方法を説明するための図である。出願人は、ゼオライトを用いて以下の実験を行った。ゼオライトは、脱臭部7の吸着材として用いられる物質である。
実験では、先ず、Y型ゼオライト粉末を密閉容器の中に酢酸試薬と共に入れて放置した。酢酸は、臭気物質である。密閉容器内でY型ゼオライトに臭気物質を付着させた後、Y型ゼオライトを実験条件分ずつ取り分け、伸縮性のある容器に入れた。そして、この伸縮性のある容器に、10%RH〜70%RHに湿度調整された純エアーを充填し、2時間放置した。
2時間放置した後に容器内の空気を調べたところ、初期湿度40%RHのものに対し、初期湿度70%RHのものには、1.5倍の酢酸が空気中に放出されていた。湿度40%RHの空気は、一般環境相当の空気である。なお、2時間放置した後の容器内の空気の湿度は、全て40%RH〜50%RH前後であり、初期湿度による差異は殆ど見られなかった。このため、ゼオライトが水分を放出或いは吸収することによって、容器内の空気の湿度が調整されたと考えられる。
脱臭装置では、ミスト発生装置11からミストを発生させることにより、脱臭部7の周辺を常に湿度80%RH以上にしておくことができるように構成される。脱臭部7からの酢酸除去量と経過時間とは、図6に示すように比例関係となる。
脱臭部7を通過した後の臭気物質を含む高湿空気は、ミスト発生装置11からの微小な風圧によって更に下流に流され、凝縮装置12の凝縮板19に至る。凝縮板19の表面は、制御装置による制御によって低温に保たれる。高湿空気に含まれる水分は、凝縮板19によって冷却されることにより、凝縮板19の表面で液化する。凝縮板19の表面で発生した凝縮水には、臭気物質が含まれる。この凝縮水は、臭気物質を含んだまま凝縮板19を伝って下方に流れ、タンク13に回収される。
凝縮装置12が凝縮板19を動かすための可動機構を備える場合、ミスト発生装置11がミストを発生させている間、凝縮板19は閉鎖位置に配置される。これにより、高湿空気が凝縮板19から下流に流れることを防止することができ、脱臭部7の周辺を効率的に高湿雰囲気に保つことができる。但し、凝縮装置12が上記可動機構を備えることは必須ではない。ミスト発生装置11からの風圧は微小であるため、高湿空気は、風路14をゆっくりと移動する。凝縮板19の表面が十分に冷却されていれば、高湿空気中の水分を凝縮板19で液化させることができる。
回復運転では、一定時間、ミスト発生装置11からミストが供給される。このため、タンク13には、最下段の凝縮板19から次々に凝縮水が回収される。
ミスト発生装置11から一定時間ミストを供給すると、制御装置は、ミスト発生装置11を停止させる。また、制御装置は、凝縮装置12を停止させ、凝縮板19の冷却を終了させる。制御装置は、凝縮板19を開放位置に配置させる。
ミスト発生装置11を停止させた直後は、脱臭部7に多くの水分が含まれる。このため、ミスト発生装置11を停止させた後、送風機5を駆動させて、風路14に気流を発生させることが好ましい。この時発生させる風は、清浄運転時に発生させる風より弱くても良い。ミスト発生装置11を停止させた後に微風を発生させ、脱臭部7を乾燥させる。
上記構成を有する脱臭装置であれば、脱臭部7をムラなく再生することができる。清浄運転時に脱臭装置から異臭が発生することを防止でき、使用者に脱臭効果を実感させることができる。特に雨天の時等、湿度が高い時にこのような効果が現れ易い。即ち、湿度が高い時に清浄運転を行うと、脱臭部7に吸着されていた親水性の臭気物質が、通過する空気の水分に移動する。これにより、吹出口3から臭気物質が再放出されてしまう。親水性の臭気物質として、例えば、酢酸、イソ吉草酸等のカルボン酸及びアンモニア等が挙げられる。上記構成の脱臭装置であれば、吹出口3から臭気物質が再放出されることを防止できる。
制御装置は、外部の機器或いはネットワークとの間で情報の送受信を行っても良い。かかる場合、制御装置は、外部から取得した天気予報等の情報に基づいて再生運転を制御する。例えば、制御装置は、外部から取得した湿度に関する情報に基づいて再生運転を開始する。即ち、制御装置は、湿度が高くなる前にミスト発生装置11を動作させ、脱臭部7から臭気物質を除去する。これにより、湿度が高い時に行われる清浄運転において、脱臭部7から臭気物質が再放出されることを防止する。
また、上記構成を有する脱臭装置では、以下の効果も期待できる。
清浄運転が行われている間、ミスト発生装置11及び凝縮装置12によって気流の圧力が大きく損なわれることはない。清浄運転中は、多量の空気が脱臭部7を通過する。上記構成の脱臭装置であれば、脱臭能力の低下を防止できる。
上記構成の脱臭装置であれば、再生運転を行うために高熱源を備える必要がない。再生運転を行うことによって周囲の温度が大きく上昇することはなく、使用者の生活空間に対する温度影響を小さくすることができる。
再生運転を行うために、脱臭部7を本体ケース1から取り外す必要がない。例えば、水洗い或いは日光に当てることによって脱臭能力を回復させる場合は、臭気物質を除去するための手段を本体ケース1から取り外さなければならない。上記構成の脱臭装置であれば、脱臭能力を回復させるための手間を大幅に簡素化でき、メンテナンスが容易になる。
脱臭部7が有する吸着材として疎水性の材料を用いる場合は、使用環境における湿度の影響を殆ど受けることなく十分な脱臭効果が期待できる。
臭気物質を吸着するための吸着材の他に、金属酸化物といった一般に触媒として用いられる材料を脱臭部7の表面に塗布或いは含浸させても良い。かかる場合は、ペット臭及び介護臭をすばやく除去することができる。介護臭とは、病院或いは介護施設、介護現場で発生する臭気である。
凝縮装置12が凝縮板19を動かすための可動機構を備える場合は、ミスト発生装置11の動作中に凝縮板19を閉鎖位置に配置しておけば、脱臭部7の脱臭能力を早期に回復させることができる。また、回復運転中に臭気物質が送風機5に付着することを抑制できる。同様に、回復運転中に臭気物質が吹出口3から室内に放出されることを抑制できる。
タンク13内の水に活性酸素種或いは塩素成分を電気的に生成するための装置を備える場合は、例えば活性酸素種の酸化作用によって水中の臭気物質を分解することができる。タンク13に溜まった水から臭気が発生することを抑制できる。なお、活性酸素種の酸化作用によって水中の臭気物質を分解するためには、水中の活性酸素種の濃度を一定以上に保つ必要がある。電極に印加する電圧は、設計事由等によって適宜設定される。
上記構成の脱臭装置では、吸込口2が本体ケース1の前面に形成される。大きく開口する吸込口2を臭気の発生源に向けることができる。臭気物質を本体ケース1の内部に早く取り込み、室内から臭気物質を効率的に取り除くことができる。また、吹出口3は、本体ケース1の上面に形成される。本体ケース1の側面或いは背面に吹出口3を形成しても良い。臭気の発生源に吸込口2を対向させた際に、吹出口3からの空気が臭気の発生源に直接流れ込むことはない。臭気が室内に拡散してしまうことを防止できる。
前面パネル1bをケース部1aに簡単に着脱できるように構成しても良い。プレフィルター10及びHEPAフィルター9は、吸込口2のすぐ下流に配置される。使用者は、前面パネル1bをケース部1aから取り外すことにより、本体ケース1の前面に形成された開口からプレフィルター10及びHEPAフィルター9を簡単に取り外すことができる。プレフィルター10及びHEPAフィルター9に付着した塵埃を容易に取り除くことができ、メンテナンス性に優れる。
送風機5は、脱臭部7の下流に配置される。送風機5に、脱臭部7によって臭気物質が除去された空気が流入する。臭気物質が送風機5の内部に付着することを抑制することができ、吹出口3から悪臭が発生することを防止できる。
風路14は、本体ケース1の前面から背面側に水平に延びた後、仕切板15の後方で90度方向転換し、上向きになる。送風機5として多翼式ファンを用いると共に、この送風機5を仕切板15のすぐ下流に配置することにより、送風機5より上流では、吸込口2から水平に直線的な気流を発生させることができる。送風機5より下流では、吹出口3に向けて直線的な気流を発生させることができる。即ち、吹出口3に向けて効率よく風の向きを変えることができる。
プレフィルター10、HEPAフィルター9、脱臭部7、仕切板15は、送風機5が発生させる気流に対してほぼ垂直に配置される。風路14を通過する空気は、上記各部材の前面にほぼ垂直な方向から当たる。このため、空気の流れが阻害されず、気流の乱れを抑制できる。
送風機5の吸引口は、本体ケース1の半分の高さに配置されることが望ましい。また、本体ケース1を正面から見た場合に、本体ケース1の投影面積Aと吸込口2の面積Bとの関係が次式を満足することが望ましい。
B≧0.6A
この関係は、本体ケース1を正面から見た時の投影面積に対して、吸込口2から室内の空気を取り込める最大限の関係を表す。上記式を満足することができれば、室内の空気を本体ケース1の内部により多く取り込むことができ、効率的に脱臭部7で臭気物質を除去することができる。
実施の形態2.
図7は、この発明の実施の形態2における脱臭装置の断面を示す図である。図7は、図1におけるA−A断面に相当する。
本実施の形態における脱臭装置は、加熱装置20、蓋体21、駆動装置22を更に備える点において実施の形態1で開示した構成と相違する。以下においては、実施の形態1で開示した構成と相違する構成について詳しく説明する。本実施の形態において説明しない構成は、実施の形態1で開示した構成と同じである。
脱臭部7は、例えば、ハニカムコアに吸着材及び触媒が塗布或いは含浸されたものからなる。触媒は、臭気物質(特に、アンモニア)を吸着し且つ吸着した臭気物質を加熱によって酸化分解する。このような性質を有する触媒として、例えば、白金系或いはマンガン、銅、亜鉛が含まれる金属酸化物が挙げられる。
本実施の形態における脱臭部7は、円板形状を呈することが好ましい。脱臭部7は、中心が軸によって支持される。脱臭部7は、風路14内で軸を中心に回転可能に保持される。脱臭部7は、例えば、前面が風路14内の気流の方向に対して垂直になるように配置される。軸は、上記気流の方向に対して平行に配置される。
加熱装置20は、脱臭部7を加熱する。具体的に、加熱装置20は、脱臭部7を局部的に加熱する。加熱装置20は、風路14に配置される。加熱装置20は、脱臭部7の下流に配置される。例えば、加熱装置20は、脱臭部7と凝縮板19との間に配置される。加熱装置20は、脱臭部7の一部に対し、下流側から対向する。加熱装置20は、制御装置によって制御される。
加熱装置20は、例えば、ヒータユニットとユニットケースとを備える。
ヒータユニットは、脱臭部7を実際に加熱する機能を備える。ヒータユニットは、ユニットケースに収納される。ヒータユニットは、制御装置に電気的に接続される。ヒータユニットは、状況に応じて制御装置によって通電制御される。
ヒータユニットは、例えば、発熱部と発熱部を熱するヒータ部とを備える。
発熱部は、板状を呈する。発熱部は、平面形状或いは扇形状を呈する。発熱部の表面は、ヒータ部から受けた熱の放射率を向上させるため、耐熱塗装(黒色)が施される。即ち、ヒータユニットでは、ヒータ部で発生させた熱を板状の発熱部が受ける。ヒータ部から熱を受けた発熱部は、表面全体から熱を放射する。発熱部の表面は、脱臭部7の一部に下流側から対向する。このため、脱臭部7のうち発熱部に対向する部分は、発熱部によってムラなく加熱される。
ヒータ部として、例えば、PTCヒータが用いられる。PTCヒータは、チタン酸バリウムを主成分とする半導体セラミックからなる。PTCヒータは、自己温度制御性を有する。即ち、PTCヒータは、外部から温度制御を行う必要がない。PTCヒータは、サーモスタットのように断続的な制御を行わないため、火花及びノイズが発生しない。PTCヒータは、安定的な使用が可能である。
脱臭部7は、中心より下方の領域であって、下方に向かうに従って左右に等しく広がるように形成された扇形の領域が、加熱装置20によって下流側から覆われる。加熱装置20のヒータユニットは、脱臭部7に近接し、脱臭部7に直接対向する。加熱装置20は、脱臭部7の回転を妨げることがないように固定される。
蓋体21は、脱臭部7を加熱するための加熱空間を加熱装置20と共に形成する。蓋体21は、風路14に配置される。蓋体21は、脱臭部7の上流に配置される。例えば、蓋体21は、中仕切板8と脱臭部7との間に配置される。蓋体21は、脱臭部7が存在しなければ、加熱装置20のヒータユニットに対向する。即ち、蓋体21は、加熱装置20が対向する脱臭部7の一部に対し、その逆側(即ち、上流側)から対向する。
蓋体21は、例えば、扇形の板状を呈する。蓋体21は、ステンレス等からなり、中仕切板8の背面にネジ等によって固定される。中仕切板8は、開口より下方の領域であって、下方に向かうに従って左右に等しく広がるように形成された扇形の領域が、蓋体21によって下流側から覆われる。
蓋体21は、加熱装置20を覆うことが可能な大きさを有する。加熱装置20のヒータユニットと蓋体21とによって挟まれた空間が、脱臭部7を加熱するための加熱空間である。蓋体21の脱臭部7に対向する表面は、熱の放射率を向上させるために耐熱塗装が施される。加熱空間は、熱が逃げ無いように、一部が保温材料で覆われる。
脱臭部7を加熱するための手段は、上記加熱装置20及び蓋体21の構成に限定されない。
ミスト発生装置11は、ミストを風路14に供給する部分が、中仕切板8と脱臭部7との間に配置される。図5に示す例であれば、配管17のうち孔18が形成された部分が、ミストを風路14に供給する部分(ミスト供給部分)に相当する。脱臭部7は、一部が加熱空間に常に配置される。ミスト発生装置11のミスト供給部分は、脱臭部7のうち加熱空間に配置されていない部分に上流側から対向する。図7は、ミスト発生装置11のミスト供給部分を蓋体21の上方に配置した場合を一例として示している。
駆動装置22は、加熱装置20が対向する脱臭部7の部位を変更する。駆動装置22は、制御装置によって制御される。本実施の形態では、駆動装置22が脱臭部7を動かして、脱臭部7の加熱装置20に対向する部位を変更する。駆動装置22が加熱装置20及び蓋体21を動かして上記部位を変更しても良い。
駆動装置22は、例えば、モータとブラケットとを有する。
モータは、制御装置に電気的に接続される。モータは、状況に応じて制御装置によって通電制御される。モータの回転軸にギアが設けられる。このギアは、脱臭部7に設けられたギアに噛み合う。モータの回転軸が回転すると、脱臭部7が軸を中心に回転する。
ブラケットは、モータを保持するための部材である。モータは、ブラケットを介して中仕切板8の背面に固定される。駆動装置22は、中仕切板8の開口と中仕切板8の角とに挟まれた位置に配置される。駆動装置22は、加熱装置20で発生する熱の影響を受け難くするため、加熱装置20から離れた上方の位置に配置されることが好ましい。
制御装置による通電制御によって駆動装置22のモータが駆動されると、脱臭部7が軸を中心に回転する。加熱装置20と蓋体21とは本体ケース1に固定されているため、脱臭部7を回転させることによって、加熱空間に配置される脱臭部7の部位を変更することができる。即ち、脱臭部7と加熱装置20との相対的な位置関係を変更することができる。
次に、上記構成を有する脱臭装置の動作について説明する。
脱臭装置は、脱臭部7の脱臭能力を回復させるための回復運転として、加湿運転と加熱運転とを行う。加湿運転は、実施の形態1で説明した回復運転である。即ち、脱臭装置は、加湿運転においてミスト発生装置11からミストを発生させ、脱臭部7から臭気物質を除去する。
加熱運転は、脱臭部7を加熱して、脱臭部7から臭気物質を除去する運転である。制御装置は、送風機5が停止していることを条件に加熱運転を開始する。例えば、加熱運転は、清浄運転が終了した後に開始される。また、加熱運転は、清浄運転が行われていない時に開始される。
加熱運転が開始されると、制御装置は、加熱装置20のヒータユニットを通電させる。これにより、ヒータユニットが発熱し、脱臭部7のヒータユニットに対向している部分が加熱される。脱臭部7を加熱する温度と加熱する時間とは、脱臭部7から臭気物質を除去するのに十分な温度と時間とに予め設定される。
加熱装置20のヒータユニットは、空気を介して脱臭部7に対向する。ヒータユニットで発生した熱は、この空気層によって僅かに冷却される。このため、ヒータユニットの温度と脱臭部7の温度とには、僅かな差異が生じる。制御装置は、この温度の差異を加味した上で、ヒータユニットをある温度まで上昇させる。制御装置は、ヒータユニットを所望の温度まで上昇させると、ヒータユニットを一定時間その温度に保つ。
加熱運転において脱臭部7を加熱する時間は、脱臭装置の設計事由に基づいて適宜決定される。上記設計事由には、例えば、脱臭装置を使用する環境の温度、除去の対象となる臭気物質、脱臭部7に備えられた触媒の有無及び触媒の種類等がある。上記加熱時間は、加熱運転の開始時に計測が開始される。ヒータユニットが所望の温度に上昇してから上記加熱時間の計測を開始しても良い。
ヒータユニットが所望の温度まで上昇した後は、送風機5を動作させても良いし、動作させなくても良い。脱臭部7を効率的に加熱するためには、送風機5を停止させておくことが好ましい。送風機5を停止させておけば、ヒータユニットで発生した熱を加熱空間に効率的に留めておくことができる。一方、脱臭部7において酸化分解反応を促進させるためには、送風機5を動作させることが好ましい。送風機5を動作させれば、脱臭部7において酸化分解された生成物を風によって脱臭部7から除去することができる。脱臭部7に吸着された臭気物質及び脱臭装置を使用する環境に応じて送風機5を動作させるか否かを決定すれば良い。脱臭部7のある部位を加熱する際に、送風機5の停止と動作との双方を行っても良い。
加熱空間に配置された脱臭部7の部位は、上流側の表面(前面)が耐熱塗装が施された蓋体21によって覆われる。また、上記部位は、下流側の表面(背面)が加熱装置20のヒータユニットに覆われる。このため、上記部位は、ヒータユニットから発生した熱と蓋体21から放射される熱とによって効率よく加熱される。
脱臭部7のある部位に対する加熱処理が終了すると、制御装置は、駆動装置22を制御して脱臭部7を一定の角度だけ回転させる。これにより、脱臭部7のうち加熱処理が終了した部位が回転方向にずれて、加熱空間の外に出る。また、加熱処理が終了していない部位が、加熱空間に配置される。脱臭部7を回転させる角度は、例えば、ヒータユニットの扇形の中心角と同程度であることが好ましい。脱臭部7を回転させる角度は、上記中心角より小さい角度でも良い。これにより、脱臭部7を一回転させる間に、脱臭部7の全ての部位に対して加熱処理が行われる。脱臭部7を回転させるタイミングは、ある部位への加熱処理が終了した直後でも良いし、清浄運転を行う直前でも良い。他のタイミングでも良い。
制御装置に、上記一連の動作を行うためのプログラムを予め登録しておいても良い。制御装置は、ある条件が成立すると、上記プログラムを実行する。プログラムが実行されると、例えば、脱臭部7がある角度だけ回転され、臭気物質が多く吸着されている部分が加熱空間に配置される。その後、脱臭部7が停止し、加熱装置20のヒータユニットが一定時間通電される。制御装置にプログラムを予め記憶させておけば、上記一連の動作を自動的に行うことができる。
加熱運転は、加湿運転が行われるタイミングとは別のタイミングで開始されることが好ましい。加熱運転と加湿運転とが同時に行われると、加熱装置20で発生した熱が、ミスト発生装置11からのミストによって奪われてしまう。脱臭部7が目標温度に到達するまでに、長い時間が費やされてしまう。一方、加湿運転が行われている時に加熱装置20を補助的に用いることは、脱臭部7の脱臭能力を短時間で回復させるために有効である。温度が高い方が飽和蒸気圧が高くなり、絶対湿度が上昇する。このため、温度を高くすることによって、脱臭部7の脱臭能力を短時間で回復させることができる。
制御装置は、外部の機器或いはネットワークとの間で情報の送受信を行っても良い。かかる場合、制御装置は、外部から取得した天気予報等の情報に基づいて再生運転を制御する。例えば、制御装置は、定期的或いは頻繁に加熱運転を行う。また、制御装置は、外部から湿度が高くなる旨の情報を取得した場合に、湿度が高くなる前にミスト発生装置11を動作させ、加湿運転を行う。
上記構成を有する脱臭装置では、以下の効果が期待できる。
再生運転として加湿運転と加熱運転との双方が行われるため、疎水性の臭気物質が存在する環境下で脱臭装置が使用された場合であっても、脱臭部7の脱臭能力を回復させることができる。疎水性の臭気物質には、例えば、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素化合物並びにノナン及びデカン等の直鎖系炭化水素といった、壁材或いは接着剤に由来するものが含まれる。ミスト発生装置11と加熱装置20との双方を脱臭部7に対向させているため、再生運転として加湿運転と加熱運転との双方を行うことができる。
脱臭装置は、脱臭部7と加熱装置20との相対的な位置関係を変更するための手段を備える。加熱装置20を脱臭部7の全体に対向させる必要がなく、加熱装置20の小型化が可能となる。例えば、加熱装置20に大型のヒータ部を必要としない。脱臭装置の構造を簡素化でき、コストを低減させることができる。
加熱装置20が脱臭部7の一部にのみ対向するため、加熱装置20が、風路14に発生する気流の妨げになることを最小限に抑えることができる。脱臭部7に多くの空気を流すことができ、脱臭効率を向上させることができる。
また、脱臭装置が脱臭部7と加熱装置20との相対的な位置関係を変更するための手段を備えるため、脱臭部7の全ての部位に対して確実に加熱処理を行うことができる。加熱ムラの発生を抑制し、脱臭部7をムラなく再生することができる。
脱臭部7は、円形状を呈することが好ましい。脱臭部7が回転する機構を有するため、加熱装置20のヒータユニットは、脱臭部7の径方向の大きさが少なくとも脱臭部7の半径と同じ大きさであれば良い。加熱装置20のヒータユニットを脱臭部7の直径より小さくしても、ヒータユニットを脱臭部7の全域に対向させることができる。また、脱臭部7が円形状を呈していれば、脱臭部7を配置するために必要な空間を最小限に抑えることができる。即ち、本体ケース1の内部で脱臭部7が専有する空間を最小限に抑えることができる。
脱臭部7の表面に、臭気物質を吸着するための吸着材と共に、臭気物質を吸着し且つ吸着した臭気物質を酸化分解する触媒が塗布或いは含浸される。これにより、ペット臭及び介護臭をすばやく除去することができる。介護臭とは、病院或いは介護施設、介護現場で発生する臭気である。
加熱装置20は、脱臭部7の下流に配置される。また、加熱装置20は、送風機5の上流に配置される。このため、仕切板15の開口の周囲で生じる圧損(空気の流れの損失)を低減させるために設けられた空間に加熱装置20を配置することができる。
加熱装置20のユニットケースは、例えば、脱臭部7に対向する側が開口する。ヒータユニットは、ユニットケースの内部空間に配置され、ユニットケースの上記開口を通じて熱を放射する。ヒータユニットは、一定時間通電されることによって脱臭部7を目標温度まで上昇させることができる加熱能力を有する。
ユニットケースは、例えば、扇形を呈する。ユニットケースが扇形を呈する場合は、脱臭部7を覆う領域を必要最小限に抑えることができる。この扇形の中心角は、脱臭部7を回転させる角度に合わせて設定される。
加熱装置20及び蓋体21は、その全体或いは要部が、脱臭部7の中心軸より低い位置に配置される。加熱装置20は、ヒータユニット等からなる構成部材が比較的重い。重量が大きい部材を脱臭装置の下側に配置することができる。脱臭装置の重心を低くすることができ、脱臭装置を設置した時に安定する。
実施の形態1で開示した構成と実施の形態2で開示した構成とは、脱臭装置の設計事由に基づいて適宜選択される。上記設計事由として、例えば、脱臭装置を使用する環境の温度及び湿度、除去の対象となる臭気物質、脱臭部7に備えられた吸着材及び触媒の有無及び種類等が挙げられる。