JP2014233190A - 形状可変素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡素な構成で任意な形状に形成する光学ミラー20を提供する。【解決手段】ヘッドアップディスプレイ1において、光学ミラー20は、電解質層30と、電解質層30の片面30a側に沿うように片面30a側の全体に亘って薄膜状に形成されている片面電極31と、電解質層30の反対面30b側に沿ようにそれぞれ独立して薄膜状に形成されている反対面電極32〜35とを備える。片面電極31および反対面電極32〜35の間に反対面電極毎に制御回路40から電圧が印加されることにより、電解質層30が反対面電極毎に屈曲する。したがって、電解質層30の片面30a側には、パターニングにより複数の電極を設けることなく、光学ミラー20において任意な形状に形成することができる。【選択図】図2

Description

本発明は、形状可変素子に関するものである。
従来の形状可変素子において、電解質層と、電解質層の片面側に配置されている複数の第1の電極層と、電解質層のうち片面側の反対側に配置されている複数の第2の電極層とを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
このものにおいて、複数の第1の電極層は、それぞれ、複数の第2の電極層のうち対応する第2の電極層とともに、電解質層を介して対向するように配置されている。つまり、複数対の第1、第2の電極層が共通の電解質層を介して対向することになる。このため、対をなす第1、第2の電極層の間に第1の電極毎に電圧を制御回路から印加することにより、電解質層が第1の電極層毎に屈曲することになる。したがって、形状可変素子としては、任意な形状に変形されることになる。
特許4646530号明細書
上記特許文献1では、形状可変素子を任意な形状に変形させるために、電解質層の片面側に複数の第1の電極層を配置し、かつ電解質層の反対面側に複数の第2の電極層を配置することが必要になる。このため、形状可変素子として構成が複雑になる。
本発明は上記点に鑑みて、簡素な構成で、任意な形状に形成することができる形状可変素子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、イオン交換樹脂からなる電解質層(30)と、電解質層の片面側に沿うように片面側の全体に亘って膜状に形成されている第1の電極(31)と、電解質層のうち片面側に対する反対面側に沿うようにそれぞれ独立して膜状に形成されている複数の第2の電極(32、33、34、35、60〜75)と、を備え、第1の電極および第2の電極の間に第2の電極毎に電圧が印加される際に、電解質層内で第1、第2の電極の間の電界に応じてイオンが第2の電極毎に移動することにより、電解質層が第2の電極毎に屈曲するようになっていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明では、電解質層の片面側には、パターニングにより形成される複数の電極に代えて、片面側の全体に亘って薄膜状に形成されている第1の電極が設けられている。このため、電解質層が第2の電極毎に屈曲することにより、第1の電極のうち第2の電極に対応する対応部分と第2の電極とが電解質層に沿うように変形する。したがって、簡素な構成で、任意な形状に形成することができる形状可変素子を提供することができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
本発明の第1実施形態におけるヘッドアップディスプレイを示す図である。 第1実施形態における光学ミラーの正面図である。 第1実施形態における光学ミラーの背面図である。 図2中のIV−IV断面図である。 第1実施形態の光学ミラーの製造工程を示すフローチャートである。 第1実施形態のヘッドアップディスプレイの電気的構成を示す図である。 第1実施形態における光学ミラーの電解質層の背面側を示す図である。 第1実施形態における光学ミラーの作動を示す図である。 本発明の第2実施形態における光学ミラーの構造を示す断面図である。 本発明の第3実施形態における光学ミラーにおいて反対面電極を省略した背面図である。 第3実施形態における光学ミラーの断面図である。 本発明の第4実施形態における光学ミラーの構造を示す背面図である。 第4実施形態における光学ミラーの断面図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
図1に本発明の形状可変素子が適用される自動車用のヘッドアップディスプレイ1の第1実施形態の構成を示す。
ヘッドアップディスプレイ1は、図1に示すように、表示装置10、および光学ミラー20を備える。表示装置10は、表示光を面状に出力する。光学ミラー20は、表示装置10から出力される面状の表示光をフロントウインドシールド21に向けて反射する。光学ミラー20は、その形状が変更されて、焦点距離や反射方向を変えるようになっている。
次に、本実施形態の光学ミラー20の構造について図2を参照して説明する。
光学ミラー20は、図2、図3、および図4に示すように、電解質層30、および電極31、32、33、34、35を備える。
電解質層30は、電極31〜35とともに、イオン導電性高分子アクチュエータを構成するものである。電解質層30は、薄膜状に形成されたものであって、薄膜状のイオン交換樹脂にイオン液体(電解液)が含浸されているものである。電解質層30は、その厚み寸法が面方向に均一になるように形成されている。電解質層30は、その板厚方向(図1中紙面手前側)から視て四角形に形成されている。
本実施形態のイオン交換樹脂としては、例えば、Nafion(Du pont社製)、Flemion(旭硝子社製)、Aciplex(旭化成社製)等の、陽イオン交換樹脂が用いられる。
この陽イオン交換樹脂を用いたイオン導電性高分子アクチュエータは、電極31および電極32〜35の間の電界によってイオン液体中の陽イオンが電極31および電極32〜35の間を移動することにより、電解質層30が屈曲するようになっているものである。
電極31は、電解質層30の片面側に沿って片面側の全体に亘って薄膜状に形成されている第1の電極である。電極31は、アルミニウム、銀、金等の導電性金属膜からなるのである。電極31の片面側は、その面方向の中心点が光軸中心、即ち頂点となる光反射面を構成する。
本実施形態の光反射面は、電極31を構成する金属膜のうち片面側が研磨されることによって形成されたものである。なお、本実施形態の光反射面は、電極31の表面粗さとしては、算術平均粗さ(Ra)が20nm以下になるように設定されている。
電極32、33、34、35は、図2および図3に示すように、電解質層30のうち片面30a側に対する反対面30b(図4参照)側に沿ってそれぞれ薄膜状に形成されている。電極32、33、34、35は、それぞれ、板厚方向(図3中の紙面手前側)から視て四角形に形成されている。電極32、33、34、35は、電解質層30の反対面30b側においてに分散して配置されている。
具体的には、電極32は、図3に示すように、電解質層30の反対面30bにて右上に配置されている。電極33は、電解質層30の反対面30bにて右下に配置されている。電極34は、電解質層30の反対面30bにて左下に配置されている。電極35は、電解質層30の反対面32bにて左上に配置されている。
なお、以下、電極31と電極32、33、34、35とを説明の便宜上区別するために、電極31を片面電極31とし、電極32、33、34、35を反対面電極32、33、34、35とする。
次に、本実施形態の光学ミラー20の製造方法について図5を参照して説明する。
まず、第1の工程では、陽イオン交換樹脂からなる陽イオン交換樹脂膜を基板の一面に沿うように形成する(ステップS100)。次の第2の工程では、陽イオン交換樹脂膜のうち基板に対して反対側の片面全体に亘って導電性金属膜を形成する(ステップS110)。次の第3の工程では、導電性金属膜の表面を研磨して光反射面を形成する(ステップS120)。これにより、導電性金属膜の片面全体に亘って電極31が形成されることになる。次の第4の工程では、陽イオン交換樹脂膜から基板を剥がす(ステップS130)。
次の第5に工程にて、陽イオン交換樹脂膜のうち基板を剥がした面に対して電極32、33、34、35を形成する。つまり、陽イオン交換樹脂膜のうち片面(すなわち、電極31)に対する反対側の面(以下、反対面という)に対して電極32、33、34、35を印刷法によって形成する。
具体的には、銀等の導電性金属の粒子(例えば、ナノ粒子)を溶媒に混ぜた導電性ペーストを用意する。そして、陽イオン交換樹脂膜の反対面のうち右上側において印刷によって導電性ペーストを当該反対面に沿う薄膜状に形成して導電性薄膜を成膜する。この形成された右上側の導電性薄膜は、電極32に対応する。この右上側の導電性薄膜と同様に、電極33に対応する導電性薄膜を導電性ペーストを用いた印刷によって上記反対面の右下側に上記反対面に沿うように成膜する。以下、同様に、導電性ペーストを用いた印刷法によって、電極34、35に対応する導電性薄膜を、上記反対面の左下側、左上側に形成する。
このように、陽イオン交換樹脂膜の反対面のうち右上側、右下側、左下側、左上側に電極32〜35に対応する導電性薄膜がそれぞれ独立して形成される。その後、それぞれの導電性薄膜を加熱して溶媒を気化させて硬化させる。これにより、電極32、33、34、35が形成されることになる。(ステップS140)。
次に、第6工程で、陽イオン交換樹脂膜にイオン液体を含浸させる(ステップS150)。このことにより、電解質層30が形成されることになる。以上により、光学ミラー20が完了することになる。
次に、本実施形態のヘッドアップディスプレイ1の電気的構成について説明する。
ヘッドアップディスプレイ1は、図6に示すように、制御回路40を備える。
制御回路40は、光学ミラー20の片面電極31および反対面電極32、33、34、35の間に反対面電極毎に電圧を印加して光学ミラー20の形状を変化させる。
次に、本実施形態のヘッドアップディスプレイ1の作動を図7、図8を参照して説明する。図8において制御回路40を電池の記号で示している。
まず、制御回路40が片面電極31および反対面電極32の間に直流電圧を印加する。すると、電解質層30の反対面30bの中心点を固定端として、電解質層30のうち反対面電極32に対応する対応電解質層301(図7参照)、片面電極31のうち反対面電極32に対応する部分(以下、右上電極部分という)、および反対面電極32が屈曲する。
例えば、片面電極31が陽極電極で、反対面電極32が陰極電極になるように制御回路40が電極31、32の間に直流電圧を印加する。すると、陽イオンが対応電解質層301内を電極31、32の間の電界に沿って反対面電極32側に移動する。これに伴い、図8(a)に示すように、対応電解質層301が反対面電極32側に凸になるように屈曲する。右上電極部分および反対面電極32が対応電解質層301に沿うように変形する。
また、片面電極31が陰極電極で、反対面電極32が陽極電極になるように制御回路40が電極31、32の間に直流電圧を印加する。すると、陽イオンが対応電解質層301内を電極31、32の間の電界に沿って片面電極31側に移動する。これに伴い、図8(b)に示すように、対応電解質層301が片面電極31側に凸になるように屈曲する。右上電極部分および反対面電極32が対応電解質層301に沿うように変形する。
このように制御回路40から電極31、32の間に直流電圧を印加して対応電解質層301を屈曲させる際に、電極31、32の間の印加電圧を大きくなるほど、対応電解質層301が大きく屈曲する。
次に、制御回路40が片面電極31および反対面電極33の間に直流電圧を印加する。すると、電解質層30の反対面30bの中心点を固定端として、電解質層30のうち反対面電極33に対応する対応電解質層302(図7参照)、片面電極31のうち反対面電極33に対応する部分(以下、右下電極部分という)、および反対面電極33が屈曲する。
例えば、片面電極31が陽極電極で、反対面電極33が陰極電極になるように制御回路40が電極31、32の間に直流電圧を印加する。すると、陽イオンが対応電解質層302内を電極31、33の間の電界に沿って反対面電極33側に移動する。これに伴い、対応電解質層302が反対面電極33側に凸になるように屈曲する。右下電極部分および反対面電極33が対応電解質層302に沿うように変形する。
また、片面電極31が陰極電極で、反対面電極33が陽極電極になるように制御回路40が電極31、33の間に直流電圧を印加する。すると、陽イオンが対応電解質層302内を電極31、33の間の電界に沿って片面電極31側に移動する。これに伴い、対応電解質層302が片面電極31側に凸になるように屈曲する。右下電極部分および反対面電極33が対応電解質層302に沿うように変形する。
このように制御回路40から電極31、33の間に直流電圧を印加して対応電解質層302を屈曲させる際に、電極31、33の間の印加電圧を大きくするほど、対応電解質層302が大きく屈曲する。
次に、制御回路40が片面電極31および反対面電極34の間に直流電圧を印加する。すると、電解質層30の反対面30bの中心点を固定端として、電解質層30のうち反対面電極34に対応する対応電解質層303(図7参照)、片面電極31のうち反対面電極34に対応する部分(以下、左下電極部分という)、および反対面電極34が屈曲する。
例えば、片面電極31が陽極電極で、反対面電極34が陰極電極になるように制御回路40が電極31、34の間に直流電圧を印加する。すると、陽イオンが対応電解質層303内を電極31、34の間の電界に沿って反対面電極34側に移動する。これに伴い、対応電解質層302が反対面電極34側に凸になるように屈曲する。左下電極部分および反対面電極34が対応電解質層303に沿うように変形する。
また、片面電極31が陰極電極で、反対面電極34が陽極電極になるように制御回路40が電極31、34の間に直流電圧を印加する。すると、陽イオンが対応電解質層303内を電極31、34の間の電界に沿って片面電極31側に移動する。これに伴い、対応電解質層303が片面電極31側に凸になるように屈曲する。左下電極部分および反対面電極34が対応電解質層303に沿うように変形する。
このように制御回路40から電極31、34の間に直流電圧を印加して対応電解質層303を屈曲させる際に、電極31、34の間の印加電圧を大きくするほど、対応電解質層303が大きく屈曲する。
次に、制御回路40が片面電極31および反対面電極35の間に直流電圧を印加する。すると、電解質層30の反対面30bの中心点を固定端として、電解質層30のうち反対面電極35に対応する対応電解質層304(図7参照)、片面電極31のうち反対面電極35に対応する部分(以下、左上電極部分という)、および反対面電極35が屈曲する。
例えば、片面電極31が陽極電極で、反対面電極35が陰極電極になるように制御回路40が電極31、35の間に直流電圧を印加する。すると、陽イオンが対応電解質層304内を電極31、35の間の電界に沿って反対面電極35側に移動する。これに伴い、対応電解質層304が反対面電極35側に凸になるように屈曲する。左上電極部分および反対面電極35が対応電解質層304に沿うように変形する。
また、片面電極31が陰極電極で、反対面電極35が陽極電極になるように制御回路40が電極31、35の間に直流電圧を印加する。すると、陽イオンが対応電解質層304内を電極31、35の間の電界に沿って片面電極31側に移動する。これに伴い、対応電解質層304が片面電極31側に凸になるように屈曲する。左上電極部分および反対面電極35が対応電解質層304に沿うように変形する。
このように制御回路40から電極31、35の間に直流電圧を印加して対応電解質層304を屈曲させる際に、電極31、35の間の印加電圧を大きくするほど、対応電解質層304が大きく屈曲する。
そして、制御回路40が片面電極31および反対面電極32〜35の間に反対面電極毎に相違する電圧を印加したり、或いは、制御回路40が片面電極31および反対面電極32〜35の間に反対面電極毎に同一電圧を印加することにより、電解質層30が電極31〜35とともに変形する。つまり、光学ミラー20の形状が変化して、光反射面(すなわち、電極31の片面側)が任意な形状に変化する。
以上説明した本実施形態によれば、ヘッドアップディスプレイ1において、光学ミラー20は、電解質層30と、電解質層30の片面30a側に沿うように片面30aの全体に亘って薄膜状に形成されている片面電極31と、電解質層30の反対面30b側に沿ようにそれぞれ独立して薄膜状に形成されている反対面電極32〜35と、を備える。片面電極31および反対面電極32〜35の間に反対面電極毎に制御回路40から電圧が印加されることにより、電解質層30、片面電極31、および反対面電極32〜35が反対面電極毎に屈曲するようになっていることを特徴とする。
したがって、本実施形態の電解質層30の片面30a側には、パターニングにより形成される複数の電極に代えて、電解質層30の片面30a側の全体に亘って薄膜状に形成されている片面電極31が設けられている。これにより、簡素な構成で、任意な形状に形成することができる光学ミラー20を提供することができる。
本実施形態では、電解質層30の片面30a側には、上述の如く、複数の電極に代えて、片面30a側の全体に亘って薄膜状に形成されている片面電極31が設けられている。このため、電解質層30の片面30a側に電極を形成する製造工程の工数を低減することができる。
本実施形態の光学ミラー20では、光反射面は、電極31を構成する金属膜の片面側が研磨されることによって形成されたものである。これにより、高反射率の光反射面の実現が可能になる。したがって、光反射面によって反射される表示のボケ・にじみを低減することができる。
また、電極31以外に光反射膜を別途用意して、この光反射膜を電極31の片面側に配置して光学ミラー20を構成することも可能である。この場合、電解質層30の屈曲によって電極31とともに光反射膜も変形させる必要がある。このため、電解質層30自体を変形させるための力が不足する場合がある。
これに対して、本実施形態では、上述の如く、電極31を構成金属膜の片面側を研磨して光反射面を構成している。このため、電解質層30の屈曲によって電極31および光反射膜の双方を変形させる必要がない。よって、電解質層30を変形させるために十分な力を用いることができる。これにより、電解質層30の十分な変形量を確保しつつ、電解質層30の十分な変形速度を確保することができる。さらに、電極31以外に光反射膜を用いる必要がないので、光学ミラー20の軽量化も図ることができる。
本実施形態では、陽イオン交換樹脂膜に対して印刷によって導電性金属膜を形成して電極31〜35を形成する。このため、エッチング等を用いる必要がないので、製造工程の工数の低減、材料の低減を図ることができる。
(第2実施形態)
本第2実施形態では、光学ミラー20の電解質層30の厚み寸法を、次のように、相違させるようにする。
本実施形態の光学ミラー20では、図9に示すように、電解質層30のうち片面電極31と反対面電極32〜35とによって挟まれる部分の厚み寸法S1よりも、電解質層30のうち片面電極31と反対面電極32〜35とによって挟まれる部分以外の他の部分30eの厚み寸法S2の方を小さくする。
ここで、電解質層30のうち片面電極31と反対面電極32〜35とによって挟まれる部分以外の他の部分30eとは、電解質層30の反対面側が露出する部分のことである。以下、このように電解質層30のうち反対面側が露出する部分を電解質層露出部分30eという。
図9中の厚み寸法S1は、電解質層30のうち電極31、32の間の部分301、および電解質層30のうち電極31、33の間の部分302のそれぞれの厚み寸法を示している。図6中の厚み寸法S2は、電解質層30のうち電解質層露出部分30eの厚み寸法を示している。
以上説明した本実施形態によれば、光学ミラー20の電解質層30のうち片面電極31と反対面電極32〜35とによって挟まれる部分の厚み寸法S1よりも、電解質層露出部分30eの厚み寸法S2の方を小さい。
ここで、反対面電極32〜35のうち制御対象である反対面電極(以下、制御対象電極という)と片面電極31との間に電圧が制御回路40から印加されているときに、この印加電圧が電解質層30のうち制御対象電極の周囲に影響を与える場合がある。制御対象電極は、反対面電極32〜35のうち、電解質層30を屈曲させるために本来電圧を印加させるべき反対面電極のことである。
例えば、上記印加される印加電圧によって、電解質層露出部分30e内の陽イオンが、電解質層30のうち制御対象電極および片面電極31の間の領域に移動する場合がある。この場合、電解質層露出部分30e内の陽イオンの移動に伴って電解質層露出部分30eや制御対象電極部が不要に変形する。
これに対して、本実施形態では、上述の如く、電解質層30のうち片面電極31と反対面電極32〜35とによって挟まれる部分の厚み寸法S1よりも、電解質層露出部分30eの厚み寸法S2の方が小さい。このため、電解質層30の厚み寸法が面方向に亘って均一である場合に比べて、電解質層露出部分30eや制御対象電極部の不要な変化量を小さくすることができる。
さらに、上記印加される印加電圧によって、制御対象電極に隣接する反対面電極(以下、隣接反対面電極という)と片面電極31の間の陽イオンが、電解質層30のうち制御対象電極や電解質露出部分30eおよび片面電極31の間の領域に移動する場合がある。この場合、隣接反対面電極や電解質露出部分30eおよび片面電極31の間の電解質層30が不要に変形する。
これに対して、本実施形態では、上述の如く、電解質層30のうち片面電極31と反対面電極32〜35とによって挟まれる部分の厚み寸法S1よりも、電解質層露出部分30eの厚み寸法S2の方を小さい。したがって、隣接反対面電極と片面電極31の間の陽イオンを、制御対象電極や電解質露出部分30eおよび片面電極31の間の電解質層30側に移動させることを抑制することができる。このため、電解質層30が不要に変形することを抑制することができる。
(第3実施形態)
上記第1実施形態では、光学ミラー20において、反対面電極32、33、34、35に対して共通の電解質層30を設けた例について説明したが、これに代えて、本実施形態では、反対面電極32〜35に対応して電解質層を反対面電極毎に独立するように形成したものを用いる例について説明する。
図10は、光学ミラー20において反対面電極32〜35を省略した状態を示す背面図である。図11は、図4に相当する断面図であって、本実施形態の光学ミラー20の断面図である。
本実施形態の光学ミラー20では、図10および図11に示すように、図2の電解質層30に代わる電解質層30A、30B、30C、30Dが設けられている。電解質層30A、30B、30C、30Dは、反対面電極毎に独立するように形成されている。
電解質層30Aは、電極31、32の間にて反対面電極32に沿って薄膜状に形成されている。電解質層30Bは、電極31、33の間にて反対面電極33に沿って薄膜状に形成されている。電解質層30Cは、電極31、34の間にて反対面電極34に沿って薄膜状に形成されている。電解質層30Dは、電極31、35の間にて反対面電極35に沿って薄膜状に形成されている。
図10に示すように、片面電極31の反対面側のうち反対面電極毎の電解質層30以外の部分には、弾性変形可能な半透膜50が配置されている。半透膜50は、片面電極31の反対面に沿って薄膜状に形成されている。半透膜50は、陽イオンの移動を阻害する多孔質膜からなるものである。本実施形形態の半透膜50として、例えば、セロファン、酢酸セルロース等が用いられる。
以上説明した本実施形態によれば、光学ミラー20では、電解質層30A、30B、30C、30Dが反対面電極毎に独立するように形成されている。このため、制御回路40が片面電極31および反対面電極32〜35の間に反対面電極毎に電圧を与える際に、電解質層30A、30B、30C、30Dが独立して屈曲することができる。したがって、光学ミラー20の変形の自由度をより一層上げることができる。
さらに、本実施形態では、電解質層30A、30B、30C、30Dのうち2つの電解質層の間に半透膜50が配置されることになる。半透膜50は、上記2つの電解質層の間で陽イオンの移動を防ぐためのものである。
例えば、半透膜50に代えて電解質層が設けられている場合には、反対面電極32〜35のうち1つの反対面電極と片面電極31との間に電圧が制御回路40から印加されているときに、上記1つの反対面電極に対応する電解質層に隣接する電解質層(以下、隣接電解質層という)内の陽イオンが、上記電圧の影響によって上記1つの反対面電極側の電解質層に移動する場合がある。上記1つの反対面電極側の電解質層とは、電解質層30A〜30Dのうち上記1つの反対面電極に対向する電解質層のことである。この場合、隣接電解質層内の陽イオンの移動に伴って隣接電解質層が不要に変形してしまう。
これに対して、本実施形態では、上述の如く、電解質層30A〜30Dのうち隣接電解質層と上記1つの反対面電極側の電解質層との間で陽イオンが移動することを半透膜50が防ぐことができる。このため、電解質層の不要な変形を未然に防ぐことができる。
(第4実施形態)
本第4実施形態では、電解質層30の反対面側に複数の反対面電極をマトリックス状に並べた光学ミラー20において、光反射面を球面状に変形させる例について説明する。
図12に本実施形態の光学ミラー20の背面図を示す。本実施形態では、光学ミラー20には、図3の反対面電極32〜35に代えて、反対面電極60〜75が設けられている。反対面電極60〜75は、それぞれ、薄膜状に形成されている。反対面電極60〜75は、マトリックス状に配置されている。
なお、反対面電極60〜75は、上記第1実施形態の電極32、33、34、35と同様に、導電性ペーストを用いた印刷法によって形成されたものである。
このように構成される本実施形態では、制御回路40が片面電極31および反対面電極60〜75の間に反対面電極毎に電圧を印加する際に、片面電極31および中心側反対面電極の間の印加電圧よりも片面電極31および外周側反対面電極の間の印加電圧に比べて小さくする。
中心側反対面電極65、66、69、70は、反対面電極60〜75のうち、電解質層30の面方向中心側に位置する反対面電極65、66、69、70である。外周側反対面電極は、反対面電極60〜75のうち、電解質層30の面方向外周側に位置する反対面電極60〜64、67、68、71〜75である。
以上説明した本実施形態によれば、制御回路40が片面電極31および反対面電極60〜75の間に電圧を印加する際に、片面電極31と中心側反対面電極との間の印加電圧よりも、片面電極31と外周側反対面電極との間の印加電圧の方を小さくする。このことにより、電解質層30の面方向中心側の方が電解質層30の面方向外周側よりも大きく屈曲することになる。
電解質層30のうち面方向中心側とは、電解質層30のうち反対面電極65、66、69、70に対向する領域のことである。電解質層30のうち面方向外周側とは、電解質層30のうち反対面電極60〜64、67、68、71〜75に対向する領域のことである。
以上により、光学ミラー20の光反射面において、面方向中心側のよりも、面方向外周側の方が小さく屈曲することになる。このため、光学ミラー20の光反射面においてその面方向中心側が凸状となる滑らかな球面状に形成することができる(図13参照)。
なお、図13では、光学ミラー20の面方向中心側が屈曲した角度θ1よりも、光学ミラー20の面方向外周側が屈曲した角度θ2よりも小さくした例を示している。
(他の実施形態)
上記第1〜3の実施形態では、電極32、33、34、35を導電性ペーストを用いた印刷法によって形成した例について説明したが、これに代えて、陽イオン交換樹脂膜の反対面に導電性ペーストを塗布する方法や蒸着法、スパッタリング法、無電解めっき法などで導電性薄膜を形成してこの導電性薄膜を電極32〜35としてもよい。尚、電極31の形成方法も同様である。
上記第4の実施形態においても、反対面電極60〜75を導電性ペーストを用いた印刷法によって形成する場合に限らず、これに代えて、陽イオン交換樹脂膜の反対面に導電性ペーストを塗布する方法や蒸着法、スパッタリング法、無電解めっき法などで導電性薄膜を形成してこの導電性薄膜を反対面電極60〜75としてもよい。
上記第1、2の実施形態では、電解質層30内の陽イオンの移動によって電解質層30を屈曲させるイオン導電性高分子アクチュエータを電解質層30および電極31〜35を用いて構成した例について説明したが、これに代えて、次の(1)、(2)のようにしてもよい。
(1)電解質層30内の陰イオンの移動によって電解質層30を屈曲させるイオン導電性高分子アクチュエータを電解質層30および電極31〜35を用いて構成してもよい。
(2)電解質層30内の陰イオンおよび陽イオンのそれぞれの移動によって電解質層30を屈曲させるイオン導電性高分子アクチュエータを電解質層30および電極31〜35を用いて構成してもよい。
上記第3の実施形態において、電解質層30A、30B、30C、30Dおよび電極31〜35によって電解質層30内の陽イオンの移動によって電解質層30を屈曲させるイオン導電性高分子アクチュエータを構成した例について説明したが、これに代えて、上記の(1)と同様に、電解質層30A〜30D内の陰イオンの移動によって電解質層30A〜30Dを屈曲させるイオン導電性高分子アクチュエータを構成してもよい。
或いは、上記の(2)と同様に、電解質層30A〜30D内の陰イオンおよび陽イオンのそれぞれの移動によって電解質層30A〜30Dを屈曲させるイオン導電性高分子アクチュエータを構成してもよい。
上記第4の実施形態において、電解質層30および電極31、60〜75によって電解質層30内の陽イオンの移動によって電解質層30を屈曲させるイオン導電性高分子アクチュエータを構成した例について説明したが、これに代えて、上記の(1)と同様に、電解質層30内の陰イオンの移動によって電解質層30を屈曲させるイオン導電性高分子アクチュエータを構成してもよい。
或いは、上記の(2)と同様に、電解質層30内の陰イオンおよび陽イオンのそれぞれの移動によって電解質層30を屈曲させるイオン導電性高分子アクチュエータを構成してもよい。
上記第1〜4実施形態では、表示装置10から出力される面状の表示光を光学ミラー20によって反射させる例について説明したが、これに限らず、表示装置10から出力される線状の表示光を光学ミラー20によって反射させるようにしてもよい。
上記第1〜4実施形態では、反対面電極32〜35、60〜75として、板厚方向から視て正方形の薄膜状に形成された電極をマトリックス状に配置した例について説明したが、これに代えて、反対面電極32〜35、60〜75として、短冊状にした電極をマトリックス状に配置してもよい。
上記第1〜4実施形態では、本発明に係る光学ミラー20をヘッドアップディスプレイ1に適用した例について説明したが、これに代えて、顕微鏡、望遠鏡などの各種の光学機器に本発明に係る光学ミラー20を適用してもよい。
上記第1〜4実施形態では、本発明の形状可変素子を光学ミラー20に適用した例について説明したが、これに代えて、光学ミラー20以外の機器に本発明の形状可変素子を適用してもよい。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記第1〜第4の実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。
1 ヘッドアップディスプレイ
10 表示装置
20 光学ミラー
21 フロントウインドシールド
30 電解質層
30A、30B、30C、30D 電解質層
31 片面電極(第1の電極)
32、33、34、35 反対面電極(第2の電極)
40 制御回路

Claims (8)

  1. イオン交換樹脂からなる電解質層(30)と、前記電解質層の片面側に沿うように前記片面側の全体に亘って膜状に形成されている第1の電極(31)と、前記電解質層のうち前記片面側に対する反対面側に沿うようにそれぞれ独立して膜状に形成されている複数の第2の電極(32、33、34、35、60〜75)と、を備え、
    前記第1の電極および前記第2の電極の間に前記第2の電極毎に電圧が印加される際に、前記電解質層内で前記第1、第2の電極の間の電界に応じてイオンが前記第2の電極毎に移動することにより、前記電解質層が前記第2の電極毎に屈曲するようになっていることを特徴とする形状可変素子。
  2. 前記第1の電極および前記第2の電極の間に前記第2の電極毎に相違する電圧が印加されることにより、前記電解質層が前記第2の電極毎に相違する形状に屈曲するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の形状可変素子。
  3. 前記複数の第2の電極は、それぞれ、導電性材料を印刷法で膜状に形成されたものからなることを特徴とする請求項1または2に記載の形状可変素子。
  4. 前記電解質層のうち前記第1の電極と前記複数の第2の電極とによって挟まれる部分の厚み寸法よりも、前記電解質層のうち前記第1の電極と前記複数の第2の電極とによって挟まれる部分以外の他の部分の厚み寸法の方が小さくなっていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の形状可変素子。
  5. 前記電解質層は、前記第2の電極毎に独立するように形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の形状可変素子。
  6. 前記第1の電極と前記複数の第2の電極のうち前記電解質層の面方向外周側に位置する第2の電極との間の印加電圧を、前記第1の電極と前記複数の第2の電極のうち前記電解質層の面方向中心側に位置する第2の電極との間の印加電圧に比べて小さくすることにより、前記電解質層の前記面方向外周側が前記電解質層のうち前記面方向中心側に比べて小さく屈曲するようになっていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の形状可変素子。
  7. 前記第1の電極には、光を反射する光反射面が形成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の形状可変素子。
  8. 前記第1の電極は、前記電解質層の片面側に沿うように形成された金属膜から構成されており、
    前記光反射面は、前記金属膜の研磨によって形成されたものであることを特徴とする請求項7に記載の形状可変素子。
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