JP2014232775A - 太陽電池およびその製造方法、ならびに太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池およびその製造方法、ならびに太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】変換効率を向上させ、製造コストを低減できる太陽電池を提供する。
【解決手段】光電変換部50の一主面上の集電極7は、第1の方向に延びるn本(n≧2)のフィンガー電極と、前記第1の方向に略垂直な第2の方向に延びるバスバー電極から構成され、各々、光電変換部側から順に第一導電層71と第二導電層72とを含み、導電層の間に絶縁層9を含み、絶縁層は、前記第一導電層を被覆するように形成され、前記第一導電層上の絶縁層は、開口部を有し、前記開口部を通じて前記第一導電層と前記第二導電層が導通されることが好ましい。前記フィンガー電極を形成する第一導電層は、端部の幅をW1、前記バスバー電極との交差部の幅をW2としたとき、W1<W2を満たすことが好ましい。前記フィンガー電極は、端部の膜厚をd1、前記バスバー電極との交差部の膜厚をd2としたとき、0.85×d1≦d2≦1.15×d1を満たすことが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池およびその製造方法に関する。さらに、本発明は太陽電池モジュールに関する。
エネルギー問題や地球環境問題が深刻化する中、化石燃料にかわる代替エネルギーとして、太陽電池が注目されている。太陽電池では、半導体接合等からなる光電変換部への光照射により発生したキャリア(電子および正孔)を外部回路に取り出すことにより、発電がおこなわれる。光電変換部で発生したキャリアを効率的に外部回路へ取出すために、太陽電池の光電変換部上には集電極が設けられる。
例えば、単結晶シリコン基板や多結晶シリコン基板を用いた結晶シリコン系の太陽電池では、受光面に細い金属からなる集電極が設けられる。また、結晶シリコン基板上に、非晶質シリコン層および透明電極層を有するヘテロ接合太陽電池でも、透明電極層上に集電極が設けられる。
太陽電池の集電極は、一般に、スクリーン印刷法により、銀ペーストをパターン印刷することにより形成される。この方法は、工程自体は単純であるが、銀の材料コストが大きいことや、樹脂を含有する銀ペースト材料が用いられるために、集電極の抵抗率が高くなるとの問題がある。銀ペーストを用いて形成された集電極の抵抗率を小さくするためには、銀ペーストを厚く印刷する必要がある。しかしながら、印刷厚みを大きくすると、電極の線幅も大きくなるため、電極の細線化が困難であり、集電極による遮光損が大きくなる。
これらの課題を解決するための手法として、材料コストおよびプロセスコストの面で優れるめっき法により集電極を形成する方法が知られている。例えば、特許文献1、2では、光電変換部を構成する透明電極上に、銅等からなる金属層がめっき法により形成された太陽電池法が開示されている。この方法においては、まず、光電変換部の透明電極層上に、集電極の形状に対応する開口部を有するレジスト材料層(絶縁層)が形成され、透明電極層のレジスト開口部に、電気めっきにより金属層が形成される。その後、レジストが除去されることで、所定形状の集電極が形成される。
また、特許文献3では、透明電極上にSiO2等の絶縁層を設けた後、絶縁層を貫通する溝を設けて透明電極層の表面または側面を露出させ、透明電極の露出部と導通するように金属集電極を形成する方法が開示されている。具体的には、透明電極層の露出部に光めっき法等により金属シードを形成し、この金属シードを起点として電気めっきにより金属電極を形成する方法が提案されている。このような方法によれば、特許文献1,2のようにレジストを用いる必要がないため、材料コストおよびプロセスコスト面でより有利である。また、低抵抗の金属シードを設けることにより、透明電極層と集電極との間の接触抵抗を低下させることができる。
また特許文献4では、導電性シードの凹凸を大きくすることにより、絶縁層製膜時に、光電変換部の導電性シード以外の部分の全面を覆い、導電性シード上に不連続な開口部を形成し、該開口部を通じてめっき層を形成する旨が記載されている。
集電極は、集光効率と集電効率の両方を満足させるために、一般的に、上下、左右対称の櫛型形状となっており、光入射により太陽電池素子内部で発生した電気を収集するための微細な多数のフィンガー電極と、そのフィンガー電極に垂直に交わり、フィンガー電極が収集した電気を外部に取り出すための比較的幅広なバスバー電極により形成される。
特許文献5では、被めっき面の端部に電荷が集中することを利用するため、通常厚みの厚いバスバーをフィンガー電極端部に配置する旨が記載されている。特許文献6には、スクリーン印刷法によって形成される集電極に関して、バスバー電極とフィンガー電極の接続部に幅広な領域を設けることで、スクリーン版により生じる、フィンガー電極とバスバー電極との膜厚差が小さくなり、焼成冷却時における膜厚の差に起因した断線がなくなる旨が報告されている。また特許文献7には、フィンガー電極端部の厚みを最小にし、バスバー電極に近づくにつれて厚くする旨が記載されている。
特開昭60−66426号公報 特開2000−58885号公報 特開2011−199045号公報 特表2013−507781号公報 特開2000−294819号公報 特開2009−272405号公報 特開平6−53531号公報
上記特許文献3の方法によれば、高価なレジスト材料を用いることなく、めっき法により細線パターンの集電極を形成可能である。しかしながら、特許文献3では、絶縁層と透明電極層とを貫通する溝内で、透明電極層の側面と金属集電極とが接しているが、透明電極層の厚みは一般に100nm程度であるため、両者の接触面積が小さい。そのため、透明電極と集電極との間の抵抗が高くなり、集電極としての機能を十分に発揮できないとの問題がある。
特許文献4のように、適当な粗さと多孔性を有する導電性ペーストを用いる方法においては、下地層の内部に空洞ができやすく、該空洞にめっき液が浸透しやすい。下地層にめっき液が浸透した状態で高温高湿環境下に暴露されると太陽電池特性が劣化するとの問題が生じやすいと考えられる。また特許文献4においては、めっき時の厚みムラについては何ら検討がされていない。
また特許文献5では、バスバー電極とフィンガー電極のそれぞれの厚みに関して検討されているが、フィンガー電極の厚みムラについての検討はなされていない。すなわち幅広なバスバー電極をフィンガー電極の端部に形成すると、端部でめっきが集中し、端部以外のフィンガー電極の厚みが薄くなり、フィンガー電極の抵抗を充分に低下させることができないと考えられる。また、端部近傍のフィンガー電極が必要以上に幅広になることで遮光損が生じると考える。
また、特許文献6には、スクリーン印刷法によって形成される集電極に関して、バスバー電極とフィンガー電極の接続部に幅広な領域を設けることで、隣り合う異なる膜厚の領域間の膜厚差が小さくなり、焼成冷却時における膜厚の差に起因した断線がなくなる旨が報告されているが、めっきを行っておらず、集電極をめっきによって形成する際のめっき厚の均一性に関しては検討がなされていない。
また特許文献7では、電流量が最も小さいフィンガー電極端部の幅を狭く、膜厚も薄くすることで遮光損の低減がなされているが、フィンガー電極端部の膜厚を最小限とすると、一定の厚みを有する場合に比べ剥離や欠損が生じやすいと考えられる。また厚みを制御するためのめっき工程において、ホルダの引き上げをホルダ引上げ装置や手動などによって実施したり、めっきを行う表面積に応じて電流量を制御するなど、めっき工程が複雑かつ煩雑となる。
本発明は、上記のような太陽電池の集電極形成に関わる従来技術の問題点を解決し、太陽電池の変換効率を向上させること、および太陽電池の製造コストを低減することを目的とする。
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討した結果、所定の集電極を用いることにより、結晶シリコン系太陽電池の変換効率が向上可能であり、さらに当該集電極が低コストで形成可能であることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下に関する。
光電変換部と、前記光電変換部の一主面上の集電極とを有する太陽電池であって、前記集電極は、第1の方向に延びるn本(n≧2)のフィンガー電極と、前記第1の方向に略垂直な第2の方向に延びるバスバー電極から構成されており、前記フィンガー電極および前記バスバー電極は、各々、前記光電変換部側から順に第一導電層と第二導電層とを含み、かつ、前記第一導電層と前記第二導電層の間に絶縁層を含み、前記絶縁層は、前記第一導電層を被覆するように形成され、かつ、前記第一導電層上の絶縁層は、開口部を有し、前記開口部を通じて前記第一導電層と前記第二導電層が導通されており、前記フィンガー電極を形成する第一導電層は、端部の幅をW1、前記バスバー電極との交差部の幅をW2としたとき、W1<W2を満たし、前記フィンガー電極は、端部の膜厚をd1、前記バスバー電極との交差部の膜厚をd2としたとき、0.85×d1≦d2≦1.15×d1を満たす、太陽電池。
前記フィンガー電極を形成する第一導電層は、前記端部と、前記バスバー電極との交差部と、の中間点の幅をW0としたとき、0.75×W0≦W1≦W0を満たすことが好ましい。
前記フィンガー電極を形成する第一導電層は、前記端部と、前記バスバー電極との交差部と、の中間点の幅をW0としたとき、W0<W2≦1.25×W0を満たすことが好ましい。
前記絶縁層は、前記第一導電層が形成されていない第一導電層非形成領域上にも形成されていることが好ましい。
前記第二導電層がめっき層であることが好ましい。
前記集電極を構成する複数のフィンガー電極のうち、前記バスバー電極の端部から最も近いフィンガー電極をフィンガー電極A、また最も遠いフィンガー電極をフィンガー電極Bとしたとき、前記バスバー電極との交差部から前記フィンガー電極端部へ向かう距離がxの地点において、前記フィンガー電極Aおよびフィンガー電極Bを形成する第一導電層の幅を各々WAxおよびWBxとしたとき、WAx<WBxを満たし、前記フィンガー電極Aおよびフィンガー電極Bの膜厚を各々dAxおよびdBxとしたとき、0.85×dAx≦dBx≦1.15×dAxを満たす、ことが好ましい。
前記光電変換部は、一導電型結晶シリコン基板の一主面上に、シリコン系薄膜、および透明電極層をこの順に有し、前記透明電極層上に前記集電極を有することが好ましい。
前記第一導電層は、低融点材料を含み、前記低融点材料の熱流動開始温度T1が前記光電変換部の耐熱温度よりも低温であることが好ましい。
前記第一導電層は、低融点材料を含み、前記低融点材料の熱流動開始温度T1が250℃以下であることが好ましい。
前記太陽電池を備える太陽電池モジュールを作製することが好ましい。
前記太陽電池は、前記光電変換部上に第一導電層が形成される第一導電層形成工程;前記第一導電層上に絶縁層が形成される絶縁層形成工程;およびめっき法により前記第一導電層と導通する第二導電層が形成されるめっき工程、をこの順に有し、前記絶縁層は、前記第一導電層上に開口部を有し、前記めっき工程において、前記第二導電層は、前記絶縁層の開口部を通じて前記第一導電層に導通される方法により製造することが好ましい。
前記第一導電層は熱流動開始温度T1が前記光電変換部の耐熱温度よりも低温である低融点材料を含み、前記絶縁層形成工程後に、前記低融点材料の熱流動開始温度T1よりも高温のアニール温度Taで加熱処理が行われることにより前記開口部が形成されることが好ましい。
前記第一導電層は熱流動開始温度T1が前記光電変換部の耐熱温度よりも低温である低融点材料を含み、前記絶縁層形成工程において、前記低融点材料の熱流動開始温度T1よりも高温の基板温度Tbで前記絶縁層が形成されることにより、絶縁層の形成と同時に前記開口が形成されることが好ましい。
前記絶縁層形成工程において、前記光電変換部の第一導電層非形成領域上にも絶縁層が形成されることが好ましい。
前記光電変換部は、一導電型結晶シリコン基板の一主面上に、シリコン系薄膜および透明電極層をこの順に有し、前記透明電極層上に前記集電極が形成されることが好ましい。
本発明によれば、めっき法により集電極が形成可能であるため、集電極が低抵抗化され、太陽電池の変換効率を向上することができる。また、所定のフィンガー電極を有する集電極を用いることにより、膜厚を制御することができ、結果として変換効率をより向上させることができる。
本発明の太陽電池を示す模式的断面図である。 一実施形態に係る太陽電池の光入射側の模式図である。 一実施形態に係るヘテロ接合太陽電池を示す模式的断面図である。 本発明の第一導電層形成後の第一導電層の光入射面側の模式図および模式的断面図である。 本発明の一実施形態による太陽電池の製造工程の概念図である。 低融点材料の加熱時の形状変化の一例を示す概念図である。 低融点材料粉末の加熱時の形状変化、およびネッキングについて説明するための概念図である。 焼結ネッキングが生じた金属微粒子のSEM写真である。 めっき装置の構造模式図である。 一般的な例および本発明の、第一導電層形成後の第一導電層の光入射面側の模式図および模式的断面図である。 一般的な例および本発明の、第二導電層形成後の集電極の光入射面側の模式図および模式的断面図である。 めっき時の基板と給電点について説明するための模式図である。 フィンガー電極の端部がフィンガー電極に垂直な方向に延びる電極に接続している場合の太陽電池の光入射側の模式図である。 実施例における絶縁層の光学特性を示す図である。
図1に模式的に示すように、本発明の太陽電池100は、光電変換部50の一主面上に集電極7を備える。集電極7は、光電変換部50側から順に、第一導電層71と第二導電層72とを含む。集電極は、第1の方向に延びるn本(n≧2)のフィンガー電極7aと、前記第1の方向に略垂直な第2の方向に延びるバスバー電極7bから構成される(図2)。フィンガー電極およびバスバー電極は、各々、光電変換部側から順に第一導電層と第二導電層とを有する。図1に示すように、第一導電層71と第二導電層72との間には、開口部を有する絶縁層9が形成され、第二導電層72の一部は、絶縁層9の開口部9hを介して、第一導電層71に導通されていることが好ましい。
以下、本発明の一実施形態であるヘテロ接合結晶シリコン太陽電池(以下、「ヘテロ接合太陽電池」と記載する場合がある)を例として、本発明をより詳細に説明する。ヘテロ接合太陽電池は、一導電型の単結晶シリコン基板の表面に、単結晶シリコンとはバンドギャップの異なるシリコン系薄膜を有することで、拡散電位が形成された結晶シリコン系太陽電池である。シリコン系薄膜としては非晶質のものが好ましい。中でも、拡散電位を形成するための導電型非晶質シリコン系薄膜と結晶シリコン基板の間に、薄い真性の非晶質シリコン層を介在させたものは、変換効率の最も高い結晶シリコン太陽電池の形態の一つとして知られている。
図3は、本発明の一実施形態に係る結晶シリコン系太陽電池の模式的断面図である。結晶シリコン系太陽電池101は、光電変換部50として、一導電型単結晶シリコン基板1の一方の面(光入射側の面)に、導電型シリコン系薄膜3aおよび光入射側透明電極層6aをこの順に有する。一導電型単結晶シリコン基板1の他方の面(光入射側の反対面)には、導電型シリコン系薄膜3bおよび裏面側透明電極層6bをこの順に有することが好ましい。光電変換部50表面の光入射側透明電極層6a上には、第一導電層71および第二導電層72を含む集電極7が形成されている。第一導電層71と第二導電層72との間には開口部を有する絶縁層9が形成されている。
一導電型単結晶シリコン基板1と導電型シリコン系薄膜3a,3bとの間には、真性シリコン系薄膜2a,2bを有することが好ましい。裏面側透明電極層6b上には裏面金属電極8を有することが好ましい。図2は、太陽電池を光入射側から見たときの図を示す。集電極7は、第1の方向に延びるn本(n≧2)のフィンガー電極7aと、前記第1の方向に略垂直な第2の方向に延びるバスバー電極7bから構成される。
まず、本発明の結晶シリコン系太陽電池における、一導電型単結晶シリコン基板1について説明する。一般的に単結晶シリコン基板は、導電性を持たせるために、シリコンに対して電荷を供給する不純物を含有している。単結晶シリコン基板は、シリコン原子に電子を導入するための原子(例えばリン)を含有させたn型と、シリコン原子に正孔を導入する原子(例えばボロン)を含有させたp型がある。すなわち、本発明における「一導電型」とは、n型またはp型のどちらか一方であることを意味する。
ヘテロ接合太陽電池では、単結晶シリコン基板へ入射した光が最も多く吸収される入射側のへテロ接合を逆接合として強い電場を設けることで、電子・正孔対を効率的に分離回収することができる。そのため、光入射側のヘテロ接合は逆接合であることが好ましい。一方で、正孔と電子とを比較した場合、有効質量および散乱断面積の小さい電子の方が、一般的に移動度が大きい。以上の観点から、ヘテロ接合太陽電池に用いられる単結晶シリコン基板1は、n型単結晶シリコン基板であることが好ましい。単結晶シリコン基板1は、光閉じ込めの観点から、表面にテクスチャ構造を有することが好ましい。
テクスチャが形成された一導電型単結晶シリコン基板1の表面に、シリコン系薄膜が製膜される。シリコン系薄膜の製膜方法としては、プラズマCVD法が好ましい。プラズマCVD法によるシリコン系薄膜の形成条件としては、基板温度100〜300℃、圧力20〜2600Pa、高周波パワー密度0.004〜0.8W/cmが好ましく用いられる。シリコン系薄膜の形成に使用される原料ガスとしては、SiH、Si等のシリコン含有ガス、またはシリコン系ガスとHとの混合ガスが好ましく用いられる。
導電型シリコン系薄膜3は、一導電型または逆導電型のシリコン系薄膜である。例えば、一導電型単結晶シリコン基板1としてn型が用いられる場合、一導電型シリコン系薄膜、および逆導電型シリコン系薄膜は、各々n型、およびp型となる。p型またはn型シリコン系薄膜を形成するためのドーパントガスとしては、BまたはPH等が好ましく用いられる。また、PやBといった不純物の添加量は微量でよいため、予めSiHやHで希釈された混合ガスを用いることが好ましい。導電型シリコン系薄膜の製膜時に、CH、CO、NH、GeH等の異種元素を含むガスを添加して、シリコン系薄膜を合金化することにより、シリコン系薄膜のエネルギーギャップを変更することもできる。
シリコン系薄膜としては、非晶質シリコン薄膜、微結晶シリコン(非晶質シリコンと結晶質シリコンとを含む薄膜)等が挙げられる。中でも非晶質シリコン系薄膜を用いることが好ましい。例えば、一導電型単結晶シリコン基板1としてn型単結晶シリコン基板を用いた場合の光電変換部50の好適な構成としては、透明電極層6a/p型非晶質シリコン系薄膜3a/i型非晶質シリコン系薄膜2a/n型単結晶シリコン基板1/i型非晶質シリコン系薄膜2b/n型非晶質シリコン系薄膜3b/透明電極層6bの順の積層構成が挙げられる。この場合、前述の理由から、p層側を光入射面とすることが好ましい。
真性シリコン系薄膜2a,2bとしては、シリコンと水素で構成されるi型水素化非晶質シリコンが好ましい。単結晶シリコン基板上に、CVD法によってi型水素化非晶質シリコンが製膜されると、単結晶シリコン基板への不純物拡散を抑えつつ表面パッシベーションを有効に行うことができる。また、膜中の水素量を変化させることで、エネルギーギャップにキャリア回収を行う上で有効なプロファイルを持たせることができる。
p型シリコン系薄膜は、p型水素化非晶質シリコン層、p型非晶質シリコンカーバイド層、またはp型非晶質シリコンオキサイド層であることが好ましい。不純物拡散の抑制や直列抵抗低下の観点ではp型水素化非晶質シリコン層が好ましい。一方、p型非晶質シリコンカーバイド層およびp型非晶質シリコンオキサイド層は、ワイドギャップの低屈折率層であるため、光学的なロスを低減できる点において好ましい。
ヘテロ接合太陽電池101の光電変換部50は、導電型シリコン系薄膜3a,3b上に、透明電極層6a,6bを備えることが好ましい。透明電極層は、透明電極層形成工程により形成される。透明電極層6a,6bは、導電性酸化物を主成分とする。導電性酸化物としては、例えば、酸化亜鉛や酸化インジウム、酸化錫を単独または混合して用いることができる。導電性、光学特性、および長期信頼性の観点から、酸化インジウムを含んだインジウム系酸化物が好ましく、中でも酸化インジウム錫(ITO)を主成分とするものがより好ましく用いられる。ここで「主成分とする」とは、含有量が50重量%より多いことを意味し、70重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましい。透明電極層は、単層でもよく、複数の層からなる積層構造でもよい。
透明電極層には、ドーピング剤を添加することができる。例えば、透明電極層として酸化亜鉛が用いられる場合、ドーピング剤としては、アルミニウムやガリウム、ホウ素、ケイ素、炭素等が挙げられる。透明電極層として酸化インジウムが用いられる場合、ドーピング剤としては、亜鉛や錫、チタン、タングステン、モリブデン、ケイ素等が挙げられる。透明電極層として酸化錫が用いられる場合、ドーピング剤としては、フッ素等が挙げられる。
ドーピング剤は、光入射側透明電極層6aおよび裏面側透明電極層6bの一方もしくは両方に添加することができる。特に、光入射側透明電極層6aにドーピング剤を添加することが好ましい。光入射側透明電極層6aにドーピング剤を添加することで、透明電極層自体が低抵抗化されるとともに、透明電極層6aと集電極7との間での抵抗損を抑制することができる。
光入射側透明電極層6aの膜厚は、透明性、導電性、および光反射低減の観点から、10nm以上140nm以下であることが好ましい。透明電極層6aの役割は、集電極7へのキャリアの輸送であり、そのために必要な導電性があればよく、膜厚は10nm以上であることが好ましい。膜厚を140nm以下にすることにより、透明電極層6aでの吸収ロスが小さく、透過率の低下に伴う光電変換効率の低下を抑制することができる。また、透明電極層6aの膜厚が上記範囲内であれば、透明電極層内のキャリア濃度上昇も防ぐことができるため、赤外域の透過率低下に伴う光電変換効率の低下も抑制される。
透明電極層の製膜方法は、特に限定されないが、スパッタ法等の物理気相堆積法や、有機金属化合物と酸素または水との反応を利用した化学気相堆積(MOCVD)法等が好ましい。いずれの製膜方法においても、熱やプラズマ放電によるエネルギーを利用することもできる。
透明電極層作製時の基板温度は、適宜設定される。例えば、シリコン系薄膜として非晶質シリコン系薄膜が用いられる場合、200℃以下が好ましい。基板温度を200℃以下とすることにより、非晶質シリコン層からの水素の脱離や、それに伴うシリコン原子へのダングリングボンドの発生を抑制でき、結果として変換効率を向上させることができる。
裏面側透明電極層6b上には、裏面金属電極8が形成されることが好ましい。裏面金属電極8としては、近赤外から赤外域の反射率が高く、かつ導電性や化学的安定性が高い材料を用いることが望ましい。このような特性を満たす材料としては、銀やアルミニウム等が挙げられる。裏面金属電極層の製膜方法は、特に限定されないが、スパッタ法や真空蒸着法等の物理気相堆積法や、スクリーン印刷等の印刷法等が適用可能である。
透明電極層6a上に、集電極7が形成される。集電極7は、図2に示すように第1の方向に延びるn本(n≧2)のフィンガー電極7aと、前記第1の方向に略垂直な第2の方向に延びるバスバー電極7bから構成される。ここで「略垂直」とは、各フィンガー電極とバスバー電極がなす角度が85度以上であることを意味する。即ち、全てのフィンガー電極がバスバー電極となす角度が必ずしも90度でなくてもよいが、低抵抗化の観点からは、各フィンガー電極が90度に近いことがより好ましく、全てが90度、すなわち垂直であることが特に好ましい。
本発明においては、集電極を構成するフィンガー電極とバスバー電極は、各々、第一導電層と第二導電層を有する。図4は本発明の太陽電池の第一導電層形成後における、第一導電層の光入射側の模式図および模式的断面図である。図4にも示すように、フィンガー電極71aとバスバー電極71bを構成する第一導電層を形成し、該第一導電層上に第二導電層を形成することで、フィンガー電極7aとバスバー電極7bが形成される。
この際、フィンガー電極7aを形成する第一導電層のフィンガー部分71aの端部と前記バスバー電極との交差部の幅を各々W1およびW2としたとき、W1<W2を満たす(図4(A1))。また第二導電層形成後のフィンガー電極7aの交差部の膜厚d2が、前記フィンガー電極の端部の膜厚をd1としたとき0.85×d1≦d2≦1.15×d1を満たす(図4(B2))。このような集電極を用いることにより、後述のように太陽電池特性がより向上すると考えられる。第一導電層71は、光電変換部の耐熱温度よりも低温の熱流動開始温度Tを有する、低融点材料を含むことが好ましい。
本実施形態においては、第一導電層71と第二導電層72との間に開口部を有する絶縁層9が形成される。本発明の集電極7において、第二導電層72の一部は、第一導電層71に導通されている。ここで「一部が導通されている」とは、典型的には絶縁層に開口部が形成され、その開口部に第二導電層の材料が充填されていることによって、導通されている状態であり、また絶縁層の一部の膜厚が、数nm程度と非常に薄くなる(すなわち局所的に薄い膜厚の領域が形成される)ことによって、第二導電層72が第一導電層71に導通しているものも含む。例えば、第一導電層71の低融点材料がアルミニウム等の金属材料である場合、その表面に形成された酸化被膜(絶縁層に相当)を介して第一導電層71と第二導電層との間が導通されている状態が挙げられる。
絶縁層9に、第一導電層と第二導電層とを導通させるための開口部を形成する方法は特に制限されず、レーザー照射、機械的な孔開け、化学エッチング等の方法が採用できる。一実施形態では、第一導電層中の低融点材料を熱流動させることによって、その上に形成された絶縁層に開口部を形成する方法が挙げられる。
第一導電層中の低融点材料の熱流動により開口を形成する方法としては、低融点材料を含有する第一導電層71上に絶縁層9を形成後、低融点材料の熱流動開始温度T1以上に加熱(アニール)して第一導電層の表面形状に変化が生じさせ、その上に形成されている絶縁層9に開口(き裂)を形成する方法;あるいは、低融点材料を含有する第一導電層71上に絶縁層9を形成する際にT1以上に加熱することにより、低融点材料を熱流動させ、絶縁層の形成と同時に開口を形成する方法が挙げられる。
以下、第一導電層中の低融点材料の熱流動を利用して、絶縁層に開口を形成する方法を図面に基づいて説明する。なお、本発明においては、以下の実施形態に限定されるものではない。
図5は、太陽電池の光電変換部50上への集電極7の形成方法の一実施形態を示す工程概念図である。この実施形態では、まず、光電変換部50が準備される(光電変換部準備工程、図5(A))。例えば、ヘテロ接合太陽電池の場合は、前述のように、一導電型シリコン基板上に、シリコン系薄膜および透明電極層を備える光電変換部が準備される。
光電変換部の一主面上に、低融点材料711を含む第一導電層71が形成される(第一導電層形成工程、図5(B))。この際、図2に示すように、本発明における集電極は、第1の方向に延びるn本(n≧2)のフィンガー電極7aと、前記第1の方向に略垂直な第2の方向に延びるバスバー電極7bから構成される。この際、フィンガー電極7aを形成する第一導電層のフィンガー電極71aは、前記フィンガー電極の端部と前記バスバー電極との交差部の幅を各々W1およびW2としたとき、W1<W2を満たす。このような第一導電層を用いることにより、後述のようにめっきにより第二導電層を形成した際、集電極の厚みを所定の範囲にすることができ、厚みムラによる抵抗損を抑制することができる。
第一導電層71上には、絶縁層9が形成される(絶縁層形成工程、図5(C))。絶縁層9は、第一導電層71上にのみ形成されていてもよく、光電変換部50の第一導電層71が形成されていない領域(第一導電層非形成領域)上にも形成されていてもよい。特に、ヘテロ接合太陽電池のように、光電変換部50の表面に透明電極層が形成されている場合は、第一導電層非形成領域上にも絶縁層9が形成されることが好ましい。
絶縁層が形成された後、加熱によるアニール処理が行われる(アニール工程、図5(D))。アニール処理により、第一導電層71がアニール温度Taに加熱され、低融点材料が熱流動することによって表面形状が変化し、それに伴って第一導電層71上に形成された絶縁層9に変形が生じる。絶縁層9の変形は、典型的には、絶縁層への開口部9hの形成である。開口部9hは、例えばき裂状に形成される。
アニール処理により絶縁層に開口部を形成した後に、めっき法により第二導電層72が形成される(めっき工程、図5(E))。第一導電層71は絶縁層9により被覆されているが、絶縁層9に開口部9hが形成された部分では、第一導電層71が露出した状態である。そのため、第一導電層がめっき液に曝されることとなり、この開口部9hを起点として金属の析出が可能となる。このような方法によれば、集電極の形状に対応する開口部を有するレジスト材料層を設けずとも、集電極の形状に対応する第二導電層をめっき法により形成することができる。
また上述のように、第一導電層として所定のフィンガー電極71aを用いることにより、めっき後のフィンガー電極7aの膜厚をより均一にすることができる。すなわち、前記W1<W2を満たすフィンガー電極71a(第一導電層)を用いることにより、第二導電層形成後の前記集電極(第一導電層+第二導電層)におけるフィンガー電極7aの交差部の膜厚d2が、前記フィンガー電極の端部の膜厚をd1としたとき0.85×d1≦d2≦1.15×d1を満たすように形成でき、厚みムラによる遮光損を抑制することができる。
(第一導電層)
第一導電層71は、めっき法により第二導電層が形成される際の導電性下地層として機能する層である。そのため、第一導電層は電解めっきの下地層として機能し得る程度の導電性を有していればよい。なお、本明細書においては、体積抵抗率が10−2Ω・cm以下であれば導電性であると定義する。また、体積抵抗率が、10Ω・cm以上であれば、絶縁性であると定義する。
本発明における第一導電層71は、図4に示すように、前記フィンガー電極の端部と前記バスバー電極との交差部の幅を各々W1およびW2としたとき、W1<W2を満たす。上記範囲の第一導電層を用いることにより、後述のように、めっき膜厚の分布を調整することが可能となり、厚みムラをより抑制することができる。この際、第二導電層形成後の前記集電極(第一導電層+第二導電層)におけるフィンガー電極7aの交差部の膜厚d2が、前記フィンガー電極の端部の膜厚をd1としたとき0.85×d1≦d2≦1.15×d1を満たすように形成でき、厚みムラによる遮光損を抑制することができる。
なお、本発明における第一導電層のフィンガー電極端部と、バスバーとの交差部との膜厚を各々d1’およびd2’としたとき、d1’とd2’の厚みは、第二導電層形成後の集電極の膜厚d1とd2が上記範囲を満たせば特に限定されず、前記W1とW2を調整して適宜調整することができる。
上述のように、第二導電層形成後の集電極のフィンガー電極の幅は集光の観点から出来る限り細くすることが好ましく、10〜200μmが好ましく、10〜120μmがより好ましい。中でもスクリーン印刷で作製する場合は、50〜120μm程度が好ましい。なお、本発明のように、フィンガー電極の端部と、バスバーとの交差部付近など、各部位で幅フィンガー電極の幅が異なる場合であっても、フィンガー電極の部位に関わらず、第二導電層形成後の集電極の幅は、上記の範囲に含まれることが好ましい。
ここで、後述のように、めっきは等方的に成長するため、第一導電層のフィンガー電極71aの幅を細くすることで、めっき後の集電極のフィンガー電極7aの幅を細くすることができる。
めっきが集中しやすいフィンガー電極の端部に関しては、予め第一導電層の幅を細くすることで、第二導電層を形成する際にめっきの集中を抑制し、遮光損を低減することができる。フィンガー電極の第一導電層に関して、フィンガー電極の端部とバスバー電極との交差部との中間点の幅をW0としたとき、W0<W2≦1.25×W0を満たすことが好ましい。また0.75×W0≦W1≦W0を満たすことが好ましい。中でも、W0<W2≦1.25×W0および0.75×W0≦W1≦W0を満たすことがより好ましい。
W0<W2≦1.25×W0および0.75×W0≦W1≦W0を満たすように第一導電層を形成することで、フィンガー電極の膜厚均一化により、集電極の低抵抗化され、太陽電池特性が向上することが期待できる。また、第一導電層におけるフィンガー電極71aの端部の幅を細くすることで、過剰にめっきされて端部のフィンガー電極が幅広になることを抑制することで、遮光損を低減することが期待できる。
第一導電層におけるバスバー電極の厚みは、第一導電層におけるフィンガー電極と同程度であっても良いし、図4などに示すように、フィンガー電極よりも厚くてもよい。例えば、スクリーン印刷により第一導電層を形成する場合、バスバー電極はフィンガー電極よりも厚いため、通常、図4などに示すように、厚みが厚くなる。
第一導電層71の膜厚は、コスト的な観点から20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。一方、第一導電層71のライン抵抗を所望の範囲とする観点から、膜厚は0.5μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。
第一導電層71は、熱流動開始温度Tの低融点材料を含むことが好ましい。熱流動開始温度とは、加熱により材料が熱流動を生じ、低融点材料を含む層の表面形状が変化する温度であり、典型的には融点である。高分子材料やガラスでは、融点よりも低温で材料が軟化して熱流動を生じる場合がある。このような材料では、熱流動開始温度=軟化点と定義できる。軟化点とは、粘度が4.5×10Pa・sとなる温度である(ガラスの軟化点の定義に同じ)。
低融点材料は、アニール処理において熱流動を生じ、第一導電層71の表面形状に変化を生じさせるものであることが好ましい。そのため、低融点材料の熱流動開始温度Tは、アニール温度Taよりも低温であることが好ましい。また、本発明においては、光電変換部50の耐熱温度よりも低温のアニール温度Taでアニール処理が行われることが好ましい。したがって、低融点材料の熱流動開始温度Tは、光電変換部の耐熱温度よりも低温であることが好ましい。
光電変換部の耐熱温度とは、当該光電変換部を備える太陽電池(「太陽電池セル」または「セル」ともいう)あるいは太陽電池セルを用いて作製した太陽電池モジュールの特性が不可逆的に低下する温度である。例えば、図3に示すヘテロ接合太陽電池101では、光電変換部50を構成する単結晶シリコン基板1は、500℃以上の高温に加熱された場合でも特性変化を生じ難いが、透明電極層6や非晶質シリコン系薄膜2,3は250℃程度に加熱されると、熱劣化を生じたり、ドープ不純物の拡散を生じ、太陽電池特性の不可逆的な低下を生じる場合がある。そのため、ヘテロ接合太陽電池においては、第一導電層71は、熱流動開始温度Tが250℃以下の低融点材料を含むことが好ましい。
低融点材料の熱流動開始温度Tの下限は特に限定されない。アニール処理時における第一導電層の表面形状の変化量を大きくして、絶縁層9に開口部9hを容易に形成する観点からは、第一導電層の形成工程において、低融点材料は熱流動を生じないことが好ましい。例えば、塗布や印刷により第一導電層が形成される場合は、乾燥のために加熱が行われることがある。この場合は、低融点材料の熱流動開始温度Tは、第一導電層の乾燥のための加熱温度よりも高温であることが好ましい。かかる観点から、低融点材料の熱流動開始温度Tは、80℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。
低融点材料は、熱流動開始温度Tが上記範囲であれば、有機物であっても、無機物であってもよい。低融点材料は、電気的には導電性であっても、絶縁性でも良いが、導電性を有する金属材料であることが望ましい。低融点材料が金属材料であれば、第一導電層の抵抗値を小さくできるため、電気めっきにより第二導電層が形成される場合に、第二導電層の膜厚の均一性を高めることができる。また、低融点材料が金属材料であれば、光電変換部50と集電極7との間の接触抵抗を低下させることも可能となる。
低融点材料としては、低融点金属材料の単体もしくは合金、複数の低融点金属材料の混合物を好適に用いることができる。低融点金属材料としては、例えば、インジウムやビスマス、ガリウム等が挙げられる。
第一導電層71は、上記の低融点材料に加えて、低融点材料よりも相対的に高温の熱流動開始温度Tを有する高融点材料を含有することが好ましい。第一導電層71が高融点材料を有することで、第一導電層と第二導電層とを効率よく導通させることができ、太陽電池の変換効率を向上させることができる。例えば、低融点材料として表面エネルギーの大きい材料が用いられる場合、アニール処理により第一導電層71が高温に曝されて、低融点材料が液相状態になると、図6に概念的に示すように、低融点材料の粒子が集合して粗大な粒状となり、第一導電層71に断線を生じる場合がある。これに対して、高融点材料はアニール処理時の加熱によっても液相状態とならないため、第一導電層形成材料中に高融点材料を含有することによって、図6に示すような低融点材料の粗大化による第一導電層の断線が抑制され得る。
高融点材料の熱流動開始温度Tは、アニール温度Taよりも高いことが好ましい。すなわち、第一導電層71が低融点材料および高融点材料を含有する場合、低融点材料の熱流動開始温度T、高融点材料の熱流動開始温度T、およびアニール処理におけるアニール温度Taは、T<Ta<Tを満たすことが好ましい。高融点材料は、絶縁性材料であっても導電性材料であってもよいが、第一導電層の抵抗をより小さくする観点から導電性材料が好ましい。また、低融点材料の導電性が低い場合は、高融点材料として導電性の高い材料を用いることにより、第一導電層全体としての抵抗を小さくすることができる。導電性の高融点材料としては、例えば、銀、アルミニウム、銅などの金属材料の単体もしくは、複数の金属材料を好ましく用いることができる。
第一導電層71が低融点材料と高融点材料とを含有する場合、その含有比は、上記のような低融点材料粗大化による断線の抑止や、第一導電層の導電性、絶縁層への開口部の形成容易性(第二導電層の金属析出の起点数の増大)等の観点から、適宜に調整される。その最適値は、用いられる材料や粒径の組合せに応じて異なるが、例えば、低融点材料と高融点材料の重量比(低融点材料:高融点材料)は、5:95〜67:33の範囲である。低融点材料:高融点材料の重量比は、10:90〜50:50がより好ましく、15:85〜35:65がさらに好ましい。
第一導電層71の材料として、金属粒子等の粒子状低融点材料が用いられる場合、アニール処理による絶縁層への開口の形成を容易とする観点から、低融点材料の粒径Dは、第一導電層の膜厚dの1/20以上であることが好ましく、1/10以上であることがより好ましい。低融点材料の粒径Dは、0.25μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましい。また、第一導電層71が、スクリーン印刷等の印刷法により形成される場合、粒子の粒径は、スクリーン版のメッシュサイズ等に応じて適宜に設定され得る。例えば、粒径は、メッシュサイズより小さいことが好ましく、メッシュサイズの1/2以下がより好ましい。なお、粒子が非球形の場合、粒径は、粒子の投影面積と等面積の円の直径(投影面積円相当径、Heywood径)により定義される。
低融点材料の粒子の形状は特に限定されないが、扁平状等の非球形が好ましい。また、球形の粒子を焼結等の手法により結合させて非球形としたものも好ましく用いられる。一般に、金属粒子が液相状態となると、表面エネルギーを小さくするために、表面形状が球形となりやすい。アニール処理前の第一導電層の低融点材料が非球形であれば、アニール処理により熱流動開始温度T以上に加熱されると、粒子が球形に近付くため、第一導電層の表面形状の変化量がより大きくなる。そのため、第一導電層71上の絶縁層9への開口部の形成が容易となる。
前述のごとく、第一導電層71は導電性であり、体積抵抗率が10−2Ω・cm以下であればよい。第一導電層71の体積抵抗率は、10−4Ω・cm以下であることが好ましい。第一導電層が低融点材料のみを有する場合は、低融点材料が導電性を有していればよい。第一導電層が、低融点材料および高融点材料を含有する場合は、低融点材料および高融点材料のうち、少なくともいずれか一方が導電性を有していればよい。例えば、低融点材料/高融点材料の組合せとしては、絶縁性/導電性、導電性/絶縁性、導電性/導電性が挙げられるが、第一導電層をより低抵抗とするためには、低融点材料および高融点材料の双方が導電性を有する材料であることが好ましい。
第一導電層71の材料として上記のような低融点材料と高融点材料との組合せ以外に、材料の大きさ(例えば、粒径)等を調整することにより、アニール処理時の加熱による第一導電層の断線を抑制し、変換効率を向上させることも可能である。例えば、銀、銅、金等の高い融点を有する材料も、粒径が1μm以下の微粒子であれば、融点よりも低温の200℃程度あるいはそれ以下の温度T’で焼結ネッキング(微粒子の融着)を生じるため、本発明の「低融点材料」として用いることができる。このような焼結ネッキングを生じる材料は、焼結ネッキング開始温度T’以上に加熱されると、微粒子の外周部付近に変形が生じるため、第一導電層の表面形状を変化させ、絶縁層9に開口部を形成することができる。また、微粒子が焼結ネッキング開始温度以上に加熱された場合であっても、融点T’未満の温度であれば微粒子は固相状態を維持するため、図6に示すような材料の粗大化による断線が生じ難い。すなわち、金属微粒子等の焼結ネッキングを生じる材料は、本発明における「低融点材料」でありながら、「高融点材料」としての側面も有しているといえる。
このような焼結ネッキングを生じる材料では、焼結ネッキング開始温度T’=熱流動開始温度Tと定義できる。図7は、焼結ネッキング開始温度について説明するための図である。図7(A)は、焼結前の粒子を模式的に示す平面図である。焼結前であることから、粒子は互いに点で接触している。図7(B)および図7(C)は、焼結が開始した後の粒子を、各粒子の中心を通る断面で切ったときの様子を模式的に示す断面図である。図7(B)は焼結開始後(焼結初期段階)、図7(C)は、(B)から焼結が進行した状態を示している。図7(B)において、粒子A(半径r)と粒子B(半径r)との粒界は長さaABの点線で示されている。
焼結ネッキング開始温度T’は、rとrの大きい方の値max(r,r)と、粒界の長さaABとの比、aAB/max(r,r)が、0.1以上となるときの温度で定義される。すなわち、少なくとも一対の粒子のaAB/max(r,r)が0.1以上となる温度を焼結ネッキング開始温度という。なお、図7では単純化のために、粒子を球形として示しているが、粒子が球形でない場合は、粒界近傍における粒子の曲率半径を粒子の半径とみなす。また、粒界近傍における粒子の曲率半径が場所によって異なる場合は、測定点の中で最も大きな曲率半径を、その粒子の半径とみなす。例えば、図8(A)に示すように、焼結を生じた一対の微粒子A,B間には、長さaABの粒界が形成されている。この場合、粒子Aの粒界近傍の形状は、点線で示された仮想円Aの弧で近似される。一方、粒子Bの粒界近傍は、一方が破線で示された仮想円Bの弧で近似され、他方が実線で示された仮想円Bの弧で近似される。図8(B)に示されるように、rB2>rB1であるため、rB2を粒子Bの半径rとみなす。なお、上記の仮想円は、断面もしくは表面の観察像の白黒2値化処理により境界を定め、粒界近傍の境界の座標に基づいて最小二乗法により中心座標および半径を算出する方法により、決定できる。なお、上記の定義により焼結ネッキング開始温度を厳密に測定することが困難な場合は、微粒子を含有する第一導電層を形成し、加熱により絶縁層に開口部(き裂)が生じる温度を焼結ネッキング開始温度とみなすことができる。後述するように、絶縁層形成時に加熱が行われる場合は、絶縁層形成時の基板の加熱により開口部(き裂)が生じる温度を焼成ネッキング開始温度とみなすことができる。
第一導電層の形成材料には、上記の低融点材料(および高融点材料)に加えて、バインダー樹脂等を含有するペースト等を好ましく用いることができる。また、スクリーン印刷法により形成された第一導電層の導電性を十分向上させるためには、熱処理により第一導電層を硬化させることが望ましい。したがって、ペーストに含まれるバインダー樹脂としては、上記乾燥温度にて硬化させることができる材料を用いることが好ましく、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、アクリル系樹脂等が適用可能である。この場合、硬化とともに低融点材料の形状が変化し、図5(D)に示すように、アニール処理時に、低融点材料近傍の絶縁層に開口(き裂)が生じやすくなるためである。なお、バインダー樹脂と導電性の低融点材料の比率は、いわゆるパーコレーションの閾値(導電性が発現する低融点材料含有量に相当する比率の臨界値)以上になるように設定すればよい。
第一導電層71は、インクジェット法、スクリーン印刷法、導線接着法、スプレー法、真空蒸着法、スパッタ法等の公知技術によって作製できる。
本発明においては、集電極は、第1の方向に延びるn本(n≧2)のフィンガー電極と、前記第1の方向に略垂直な第2の方向に延びるバスバー電極から構成されているため、櫛形形状であることが好ましい。この際、前記フィンガー電極および前記バスバー電極は、各々、前記光電変換部側から順に第一導電層と第二導電層とを含み、上述のように、第一導電層(各々フィンガー電極71aとバスバー電極71b)を形成後に第二導電層を形成することにより、フィンガー電極7aとバスバー電極7bを形成する。従って、第一導電層の形状を櫛形にすることが好ましい。
第一導電層の形成方法は、特に制限されないが、パターン化された第一導電層の形成には、生産性の観点からスクリーン印刷法が適している。スクリーン印刷法では、金属粒子からなる低融点材料を含む印刷ペースト、および集電極のパターン形状に対応した開口パターンを有するスクリーン版を用いて、集電極パターンを印刷する方法が好ましく用いられる。
一方、印刷ペーストとして、溶剤を含む材料が用いられる場合には、溶剤を除去するための乾燥工程が必要となる。前述のごとく、この場合の乾燥温度は、低融点材料の熱流動開始温度Tよりも低温であることが好ましい。乾燥時間は、例えば5分間〜1時間程度で適宜に設定され得る。
第一導電層は、複数の層から構成されてもよい。例えば、光電変換部表面の透明電極層との接触抵抗が低い下層と、低融点材料を含む上層からなる積層構造であっても良い。このような構造によれば、透明電極層との接触抵抗の低下に伴う太陽電池の曲線因子向上が期待できる。また、低融点材料含有層と、高融点材料含有層との積層構造とすることにより、第一導電層のさらなる低抵抗化が期待できる。
以上、第一導電層が印刷法により形成される場合を中心に説明したが、第一導電層の形成方法は印刷法に限定されるものではない。例えば、第一導電層は、パターン形状に対応したマスクを用いて、蒸着法やスパッタ法により形成されてもよい。
(絶縁層)
第一導電層71上には、絶縁層9が形成される。ここで、第一導電層71が所定のパターン(例えば櫛形)に形成された場合、光電変換部50の表面上には、第一導電層が形成されている第一導電層形成領域と、第一導電層が形成されていない第一導電層非形成領域とが存在する。
絶縁層9は、少なくとも第一導電層形成領域に形成される。本発明において、絶縁層9は、第一導電層71と第二導電層72との付着力の向上にも寄与すると考えられる。一般的に、めっき法にて集電極を形成する場合、第一導電層(下地層)と第二導電層の間の密着性の点では改善の余地があった。
特に、集光効率を向上させる観点から細線化した集電極が好ましく用いられ、この場合、より密着性を向上させることが望まれている。上述のように、フィンガー電極の端部は、厚みが厚くなる傾向があり、めっきは等方的に成長するため、フィンガー電極の端部の幅も増大して抵抗損が大きくなるため、フィンガー電極の端部を細くすることが行われるが、この場合、フィンガー電極の端部から剥がれが生じやすくなる。
これに対し、本発明では、第一導電層71におけるフィンガー電極の端部と、バスバー電極の交差部の幅を各々W1およびW2としたとき、W1<W2と端部を細くした場合であっても、第一導電層と第二導電層の間に絶縁層を形成することにより、第一導電層と第二導電層の間の剥離防止効果がより期待できる。これにより、歩留まりの向上(剥がれ防止による効果)や集光効率の向上(細線化による効果)などがより期待できる。
特に第一導電層としてAg層等を用い、その上にめっき法によりCu層が形成される場合などAg層とCu層の付着力は小さいが、酸化シリコン等の絶縁層上に、酸化シリコン等の絶縁層上にCu層が形成されることにより、第二導電層の付着力が高められ、太陽電池の信頼性を向上することが期待される。
本発明において、絶縁層9は、第一導電層非形成領域上にも形成されていることが好ましく、第一導電層非形成領域の全面に形成されていることが特に好ましい。絶縁層が第一導電層非形成領域にも形成されている場合、めっき法により第二導電層が形成される際に、光電変換部をめっき液から化学的および電気的に保護することが可能となる。例えば、ヘテロ接合太陽電池のように光電変換部50の表面に透明電極層が形成されている場合は、透明電極層の表面に絶縁層が形成されることで、透明電極層とめっき液との接触が抑止され、透明電極層上への金属層(第二導電層)の析出を防ぐことができる。また、生産性の観点からも、第一導電層形成領域と第一導電層非形成領域との全体に絶縁層が形成されることがより好ましい。
さらに、この場合、第一導電層が絶縁層により覆われているため、第一導電層を細線化した場合であっても、基板からの第一導電層の剥離を防止できるため、歩留まり向上効果がより期待できる。
絶縁層9の材料としては、電気的に絶縁性を示す材料が用いられる。また、絶縁層9は、めっき液に対する化学的安定性を有する材料であることが望ましい。めっき液に対する化学的安定性が高い材料を用いることにより、第二導電層形成時のめっき工程中に、絶縁層が溶解しにくく、光電変換部表面へのダメージが生じにくくなる。また、第一導電層非形成領域上にも絶縁層9が形成される場合、絶縁層は、光電変換部50との付着強度が大きいことが好ましい。例えば、ヘテロ接合太陽電池では、絶縁層9は、光電変換部50表面の透明電極層6aとの付着強度が大きいことが好ましい。透明電極層と絶縁層との付着強度を大きくすることにより、めっき工程中に、絶縁層が剥離しにくくなり、透明電極層上への金属の析出を防ぐことができる。また上述のように、第一導電層と基板との剥離防止効果がより期待できる。
絶縁層9には、光吸収が少ない材料を用いることが好ましい。絶縁層9は、光電変換部50の光入射面側に形成されるため、絶縁層による光吸収が小さければ、より多くの光を光電変換部へ取り込むことが可能となる。例えば、絶縁層9が透過率90%以上の十分な透明性を有する場合、絶縁層での光吸収による光学的な損失が小さく、第二導電層形成後に絶縁層を除去することなく、そのまま太陽電池として使用することができる。
またフィンガー電極の端部やバスバー電極との交差部などの部位によってフィンガー電極の幅が異なる場合、部位に応じた幅を有する第一導電層を形成した後、従来のように、レジストなどを形成してその後除去する方法などでは、製造工程が煩雑になると推測される。
これに対し、上記のような光吸収の少ない材料を用いることにより、レジストの除去等が不要となるため、太陽電池の製造工程を単純化でき、生産性をより向上させることが可能となる。絶縁層9が除去されることなくそのまま太陽電池として使用される場合、絶縁層9は、透明性に加えて、十分な耐候性、および熱・湿度に対する安定性を有する材料を用いることがより望ましい。
絶縁層の材料は、第一導電層や第二導電層との密着性が高いものであれば特に制限されず、無機絶縁性材料でも、有機絶縁性材料でもよい。無機絶縁性材料としては、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等の材料を用いることができる。有機絶縁性材料としては、例えば、ポリエステル、エチレン酢酸ビニル共重合体、アクリル、エポキシ、ポリウレタン等の材料を用いることができる。
アニール処理における第一導電層の表面形状の変化に伴って生じる界面の応力等による、絶縁層への開口部の形成を容易とする観点から、絶縁層の材料は、破断伸びが小さい無機材料であることが好ましい。
このような無機材料の中でも、めっき液耐性や透明性の観点からは、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウム、サイアロン(SiAlON)、酸化イットリウム、酸化マグネシウム、チタン酸バリウム、酸化サマリウム、タンタル酸バリウム、酸化タンタルフッ化マグネシウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム等が好ましく用いられる。中でも、電気的特性や透明電極層との密着性等の観点からは、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウム、サイアロン(SiAlON)、酸化イットリウム、酸化マグネシウム、チタン酸バリウム、酸化サマリウム、タンタル酸バリウム、酸化タンタルフッ化マグネシウム等が好ましく、屈折率を適宜に調整し得る観点からは、酸化シリコンや窒化シリコン等がより好ましく用いられる。また第一導電層や第二導電層との密着性の観点からは、酸化シリコンなどが特に好ましい。なお、これらの無機材料は、化学量論的(stoichiometric)組成を有するものに限定されず、酸素欠損等を含むものであってもよい。
絶縁層9の膜厚は、絶縁層の材料や形成方法に応じて適宜設定される。絶縁層9の膜厚は、例えばアニール処理における第一導電層の表面形状の変化に伴って生じる界面の応力等によって、絶縁層に開口部が形成され得る程度に薄いことが好ましい。かかる観点から、絶縁層9の膜厚は、1000nm以下であることが好ましく、500nm以下であることがより好ましい。また、第一導電層非形成部における絶縁層9の光学特性や膜厚を適宜設定することで、光反射特性を改善し、太陽電池セル内部へ導入される光量を増加させ、変換効率をより向上させることが可能となる。このような効果を得るためには、絶縁層9の屈折率が、光電変換部50表面の屈折率よりも低いことが好ましい。また、絶縁層9に好適な反射防止特性を付与する観点から、膜厚は30nm〜250nmの範囲内で設定されることが好ましく、50nm〜250nmの範囲内で設定されることがより好ましい。なお、第一導電層形成領域と第一導電層非形成領域の両方に絶縁層を形成する場合、第一導電層形成領域上の絶縁層の膜厚と第一導電層非形成領域上の絶縁層の膜厚は異なっていてもよい。例えば、第一導電層形成領域では、開口部の形成を容易とする観点で絶縁層の膜厚が設定され、第一導電層非形成領域では、適宜の反射防止特性を有する光学膜厚となるように絶縁層の膜厚が設定されてもよい。
ヘテロ接合太陽電池のように、光電変換部50の表面に透明電極層(一般には屈折率:1.9〜2.1程度)を有する場合、界面での光反射防止効果を高めて太陽電池セル内部へ導入される光量を増加させるために、絶縁層の屈折率は、空気(屈折率=1.0)と透明電極層との中間的な値であることが好ましい。また、太陽電池セルが封止されてモジュール化される場合、絶縁層の屈折率は、封止剤と透明電極層の中間的な値であることが好ましい。かかる観点から、絶縁層9の屈折率は、例えば1.4〜1.9が好ましく、1.5〜1.8がより好ましく、1.55〜1.75がさらに好ましい。絶縁層の屈折率は、絶縁層の材料、組成等により所望の範囲に調整され得る。例えば、酸化シリコンの場合は、酸素含有量を小さくすることにより、屈折率が高くなる。なお、本明細書における屈折率は、特に断りがない限り、波長550nmの光に対する屈折率であり、分光エリプソメトリーにより測定される値である。また、絶縁層の屈折率に応じて、反射防止特性が向上するように絶縁層の光学膜厚(屈折率×膜厚)が設定されることが好ましい。
絶縁層は、公知の方法を用いて形成できる。例えば、酸化シリコンや窒化シリコン等の無機絶縁性材料の場合は、プラズマCVD法、スパッタ法等の乾式法が好ましく用いられる。また、有機絶縁性材料の場合は、スピンコート法、スクリーン印刷法等の湿式法が好ましく用いられる。これらの方法によれば、ピンホール等の欠陥が少なく、緻密な構造の膜を形成することが可能となる。
中でも、より緻密な構造の膜を形成する観点から、絶縁層9はプラズマCVD法で形成されることが好ましい。この方法により、200nm程度の厚いものだけでなく、30〜100nm程度の薄い膜厚の絶縁層を形成した場合も、緻密性の高い構造の膜を形成することができる。
例えば、図3に示す結晶シリコン系太陽電池のように、光電変換部50の表面にテクスチャ構造(凹凸構造)を有する場合、テクスチャの凹部や凸部にも精度よく膜形成できる観点からも、絶縁層はプラズマCVD法により形成されることが好ましい。緻密性が高い絶縁層を用いることにより、めっき処理時の透明電極層へのダメージを低減できることに加えて、透明電極層上への金属の析出を防止することができる。このように緻密性が高い絶縁膜は、図3の結晶シリコン系太陽電池におけるシリコン系薄膜3のように、光電変換部50内部の層に対しても、水や酸素などのバリア層として機能し得るため、太陽電池の長期信頼性の向上の効果も期待できる。
なお、図3に示す実施形態のように、第一導電層71と第二導電層72との間に絶縁層9が形成される場合、すなわち第一導電層を覆うように第一導電層形成領域上に絶縁層が形成される場合の絶縁層9の形状は、必ずしも連続した層状でなくてもよく、島状であっても良い。なお、本明細書における「島状」との用語は、表面の一部に、絶縁層9が形成されていない非形成領域を有する状態を意味する。
本発明において、絶縁層9は、第一導電層71と第二導電層72との付着力の向上にも寄与し得る。例えば、下地電極層であるAg層上にめっき法によりCu層が形成される場合、Ag層とCu層との付着力は小さいが、酸化シリコン等の絶縁層上にCu層が形成されることにより、第二導電層の付着力が高められ、太陽電池の信頼性を向上することが期待される。
上述のように、第一導電層として例えば低融点材料を有する場合、第一導電層71上に絶縁層が形成された後、第二導電層72が形成される前にアニール処理が行われる。アニール処理時に、第一導電層71が低融点材料の熱流動開始温度Tよりも高温に加熱され、低融点材料が流動状態となるために、第一導電層の表面形状が変化する。この変化に伴って、その上に形成される絶縁層9に開口部9hが形成される。したがって、その後のめっき工程において、第一導電層71の表面の一部が、めっき液に曝されて導通するため、図5(E)に示すように、この導通部を起点として金属を析出させることが可能となる。
なお、この場合、開口部は主に第一導電層71の低融点材料711上に形成される。低融点材料が絶縁性材料の場合、開口部の直下は絶縁性であるが、低融点材料の周辺に存在する導電性の高融点材料にもめっき液が浸透するために、第一導電層とめっき液とを導通させることが可能である。
アニール処理時におけるアニール温度(加熱温度)Taは、低融点材料の熱流動開始温度Tよりも高温、すなわちT<Taであることが好ましい。アニール温度Taは、T+1℃≦Ta≦T+100℃を満たすことがより好ましく、T+5℃≦Ta≦T+60℃を満たすことがさらに好ましい。アニール温度は、第一導電層の材料の組成や含有量等に応じて適宜設定され得る。
また、前述のごとく、アニール温度Taは、光電変換部50の耐熱温度よりも低温であることが好ましい。光電変換部の耐熱温度は、光電変換部の構成により異なる。例えば、ヘテロ接合太陽電池や、シリコン系薄膜太陽電池のように透明電極層や非結晶質シリコン系薄膜を有する場合の耐熱温度は250℃程度である。そのため、光電変換部が非晶質シリコン系薄膜を備えるヘテロ接合太陽電池や、シリコン系薄膜太陽電池の場合、非晶質シリコン系薄膜およびその界面での熱ダメージ抑制の観点から、アニール温度は250℃以下に設定されることが好ましい。より高性能の太陽電池を実現するためにはアニール温度は200℃以下にすることがより好ましく、180℃以下にすることがさらに好ましい。これに伴って、第一導電層71の低融点材料の熱流動開始温度Tは、250℃未満であることが好ましく、200℃未満がより好ましく、180℃未満がさらに好ましい。
一方、一導電型結晶シリコン基板の一主面上に逆導電型の拡散層を有する結晶シリコン太陽電池は、非晶質シリコン薄膜や透明電極層を有していないため、耐熱温度は800℃〜900℃程度である。そのため、250℃よりも高温のアニール温度Taでアニール処理が行われてもよい。
なお、絶縁層への開口部の形成方法は、上記のように、絶縁層形成後にアニール処理などを行う方法に限定されない。例えば、図3(破線矢印)で示されるように、絶縁層90の形成と同時に開口部9hを形成することもできる。例えば、基板を加熱しながら絶縁層が形成されることで、絶縁層の形成と略同時に開口部が形成される。ここで、「絶縁層の形成と略同時」とは、絶縁層形成工程の他に、アニール処理等の別途の工程が行われていない状態、すなわち、絶縁層の製膜中、あるいは製膜直後の状態を意味する。製膜直後とは、絶縁層の製膜終了後(加熱停止後)から、基板が冷却され室温等に戻るまでの間も含むものとする。また、低融点材料上の絶縁層に開口部が形成される場合、低融点材料上の絶縁層の製膜が終わった後であっても、その周辺に絶縁層が製膜されることに追随して、低融点材料周辺の絶縁層に変形が生じ、開口部が形成される場合も含むものとする。
絶縁層の形成と略同時に開口部を形成する方法としては、例えば、絶縁層形成工程において、第一導電層71の低融点材料711の熱流動開始温度T1よりも高い温度Tbに基板を加熱しながら、第一導電層71上に絶縁層9を製膜する方法が用いられる。低融点材料が流動状態となっている第一導電層上に絶縁層9が製膜されるため、製膜と同時に製膜界面に応力が生じ、例えばき裂状の開口が絶縁層に形成される。
なお、絶縁層形成時の基板温度Tb(以下、「絶縁層形成温度」)とは、絶縁層の製膜開始時点の基板表面温度(「基板加熱温度」ともいう)を表す。一般に、絶縁層の製膜中の基板表面温度の平均値は、通常製膜開始時点の基板表面温度以上となる。したがって、絶縁層形成温度Tbが、低融点材料の熱流動開始温度T1よりも高温であれば、絶縁層に開口部等の変形を形成することができる。
例えば、絶縁層9がCVD法やスパッタ法等の乾式法により形成される場合は、絶縁層製膜中の基板表面温度を低融点材料の熱流動開始温度T1よりも高温とすることにより、開口部を形成することができる。また、絶縁層9がコーティング等の湿式法により形成される場合は、溶媒を乾燥する際の基板表面温度を低融点材料の熱流動開始温度T1よりも高温とすることにより、開口部を形成することができる。なお、湿式法により絶縁層が形成される場合の「製膜開始時点」とは、溶媒の乾燥開始時点を指す。絶縁層形成温度Tbの好ましい範囲は、前記アニール温度Taの好ましい範囲と同様である。
基板表面温度は、例えば基板表面に温度表示材(サーモラベルやサーモシールとも呼ばれる)や熱電対を貼り付けて測定することができる。また、加熱部(ヒーターなど)の温度は、基板の表面温度が所定範囲となるように適宜に調整することができる。
絶縁層形成工程においてアニール処理を行う場合、絶縁層の材料および組成、製膜条件(製膜方法、基板温度、導入ガスの種類および導入量、製膜圧力、パワー密度等)を適宜調整することにより、絶縁層に開口部を形成することができる。
プラズマCVD法により絶縁層9が形成される場合、緻密な膜を形成する観点から、絶縁層形成温度Tbは、130℃以上が好ましく、140℃以上がより好ましく、150℃以上がさらに好ましい。また、絶縁層製膜時の基板表面の最高到達温度は、光電変換部の耐熱温度よりも低温であることが好ましい。プラズマCVDによる製膜速度は、より緻密な膜を形成する観点から、1nm/秒以下が好ましく、0.5nm/秒以下がより好ましく、0.25nm/秒以下がさらに好ましい。プラズマCVDにより、酸化シリコンが形成される場合の製膜条件としては、基板温度145℃〜250℃、圧力30Pa〜300Pa、パワー密度0.01W/cm2〜0.16W/cm2が好ましい。絶縁層の形成と略同時に開口部が形成された後、開口部の形成が不十分な箇所がある場合等は、さらに前述のアニール工程が行われてもよい。
(第二導電層)
上記のように、開口部9hを有する絶縁層9が形成された後、第一導電層形成領域の絶縁層9上に第二導電層72がめっき法により形成される。この際、第二導電層として析出させる金属は、めっき法で形成できる材料であれば特に限定されず、例えば、銅、ニッケル、錫、アルミニウム、クロム、銀、金、亜鉛、鉛、パラジウム等、あるいはこれらの混合物を用いることができる。
太陽電池の動作時(発電時)には、電流は主として第二導電層を流れる。そのため、第二導電層での抵抗損を抑制する観点から、第二導電層のライン抵抗は、できる限り小さいことが好ましい。具体的には、第二導電層のライン抵抗は、1Ω/cm以下であることが好ましく、0.5Ω/cm以下であることがより好ましい。一方、第一導電層のライン抵抗は、電気めっきの際の下地層として機能し得る程度に小さければよく、例えば、5Ω/cm以下にすればよい。
第二導電層は、無電解めっき法、電解めっき法のいずれでも形成され得るが、生産性の観点から、電解めっき法を用が好適である。電解めっき法では、金属の析出速度を大きくすることができるため、第二導電層を短時間で形成することができる。
酸性銅めっきを例として、電解めっき法による第二導電層の形成方法を説明する。なお、ここでは第一導電層上に開口部を有する絶縁層が形成されている場合について説明する。図9は、第二導電層の形成に用いられるめっき装置10の概念図である。光電変換部上に第一導電層および開口部を有する絶縁層が形成された基板12と、陽極13とが、めっき槽11中のめっき液16に浸されている。基板12上の第一導電層71は、基板ホルダ14を介して電源15と接続されている。陽極13と基板12との間に電圧を印加することにより、絶縁層9で覆われていない第一導電層の上、すなわちアニール処理により絶縁層に生じた開口部を起点として、選択的に銅を析出させることができる。
ここで、めっきにより第二導電層を形成する場合、通常、めっきは起点となる部分から等方的に成長するため、第一導電層の厚みが同じ場合、幅が異なる場合であっても、同条件にてめっき層を形成すると、原理的には、厚みが等しくなると考えられる。
しかしながら、図10に示すように、集電極としてフィンガー電極とバスバー電極を有するものを用いた場合、一般的に、極細のフィンガー電極(40〜120μm程度)に対してバスバー電極(0.5〜2mm程度)は厚く、めっきした際に、めっきがバスバー電極に集中しやすく、バスバー近傍のフィンガー電極にめっきが集中しにくくなる。これに伴い、バスバー電極近傍のフィンガー電極とそれ以外のフィンガー電極とで厚みに差が生じた。
また、図10に示すように、フィンガー電極の端部は、電荷の集中に起因して、他の部分に比べて厚みが厚くなる傾向がある。このような、フィンガー電極におけるバスバー電極近傍や端部の厚みの差に伴い、電流の取り出しの効率が低下するため、光電変換特性が低下するといった問題が生じた。
これに対し、本発明における前記第一導電層におけるフィンガー電極は、上述のように、端部および前記バスバー電極との交差部の幅を各々W1およびW2としたとき、W1<W2とすることにより、めっき膜厚の分布を調整することが可能となり、厚みムラをより抑制することができる。
この際、前記集電極(すなわち第一導電層と第二導電層)のバスバー電極との交差部の膜厚を各々d1およびd2としたとき、W1<W2とすることにより0.85×d1≦d2≦1.15×d1に調整することができる。
中でも、前記第一導電層のフィンガー電極端部と、前記バスバー電極との交差部との中間点の幅をW0としたとき、W0<W2≦1.25×W0を満たすことが好ましい。また0.75×W0≦W1≦W0を満たすことがより好ましく、図11に示すように、W0<W2≦1.25×W0および0.75×W0≦W1≦W0を満たすことが特に好ましい。
なお、第一導電層における幅をW1<W2を満たすように形成することにより、第二電極層形成後のフィンガー電極において、フィンガー電極端部と、バスバーとの交差部との幅を各々W1tとW2tとしたとき、W1t<W2tと容易にすることができる。めっき後のフィンガー電極全体の厚みとしては、20〜80μmの範囲に含まれることが好ましく、30〜60μmの範囲に含まれることが特に好ましい。
また、前述の通り、被めっき面の端部には電荷が集中しやすいことから、各フィンガー電極の端部と同様に、複数のフィンガーのうち、バスバー電極の端部から近いフィンガー電極にも電荷が集中すると考えられる。図12(A)の示すように、集電極を構成する複数のフィンガー電極のうち、バスバー電極の端部から最も近いフィンガー電極をフィンガー電極A、また最も遠いフィンガー電極をフィンガー電極Bとしたとき、Aにめっきが集中しやすく膜厚が厚くなる傾向がある。一方、Bにはめっきが集中しにくく、膜厚が薄くなる傾向がある。
また、めっき装置でめっきを行う際に、電極端子を第一導電層に接触させることが必要である。その電極端子と第一導電層の接触点(給電点)は、例えば図12(B)のように各バスバー電極の端部に設けることができる。この給電点17に対して距離が近いフィンガー電極にはめっきが集中しやすく膜厚が厚くなる傾向があり、距離が遠いフィンガー電極にはめっきが集中しにくく、膜厚が薄くなる傾向がある。そこで、図12(B)のように各バスバー電極の端部に給電点が設けられた場合には、Aにめっきが集中しやすくい一方、Bにはめっきが集中しにくくなると推測される。
そこで、図12(C)に示すように、バスバー電極との交差部からフィンガー電極端部へ向かう距離がxの地点において、フィンガー電極7aを形成する第一導電層のフィンガー電極71aの幅を各々WAx,WBxとしたときに、WAx<WBxとなるように第一導電層を形成することでめっきの膜厚を均一化することが可能となる。すなわち、最も近い位置のバスバー電極からの距離がxであるときの、第二導電層形成後のフィンガー電極A,Bの各々の膜厚をdAx、dBxとしたとき、0.85×dAx≦dBx≦1.15×dAxを満たす、厚みの均一な電極を得ることができる。このようにバスバー電極の端部からの距離に応じて第一導電層の幅を調整し、均一な膜厚のフィンガー電極を形成できることで集電極を低抵抗化され、かつめっきが集中しやすい部位のフィンガー電極が幅広になることを防ぐことにより遮光損が低減されることで太陽電池特性の向上が期待できる。なお、「バスバー電極との交差部からの距離がxの地点」とは、例えば、2本のバスバー電極により挟まれているフィンガー電極については、2本のバスバー電極から近いほうの距離を意味する。
また、フィンガー電極の本数が10本以上である場合には、バスバー電極の端部から最も近いフィンガー電極(フィンガー電極A)のみならず、バスバー電極の端部から比較的近いフィンガー電極には、その距離に応じてめっきが集中することが推測される。
そのような場合は、バスバー電極の端部から比較的近い複数のフィンガー電極については、その距離に応じて、膜厚を適宜変更すれば良い。例えば、バスバー電極の端部からの距離がAとBの間にあるフィンガー電極に関し、最も近い位置のバスバー電極からの距離がxであるときの、第一導電層のフィンガー電極71aの幅を、WAx以上、WBx以下とすることで、より均一な膜厚のフィンガー電極を形成できる。これにより、集電極を低抵抗化され、かつ遮光損が低減されることで太陽電池特性の向上が期待できる。
なお、給電点に関して、図12(B)のようにバスバー電極の両側端部に設けるのではなく、片側の端部にのみ設けられた場合には、給電点が設けられた一方の片側の端部に近いフィンガー電極に比べ、給電点が設けられていない他方の片側の端部にはめっきがそれほど集中しないことが推測される。そのような場合には、給電点が設けられた一方の片側の端部に近いフィンガー電極について、第一導電層の幅を特に細くすることで膜厚の均一化することが可能となる。
なお、本発明においては、本発明の機能を損なわない限り、例えば図13のように、フィンガー電極の端部同士は連結していても良い。すなわち該連結部分にめっきが集中しうると考えられるが、連結部分の幅がフィンガー電極の幅と同程度など、十分細い場合、フィンガー電極の端部を細くすることでめっきの集中も抑制できる。なおこのようにフィンガー電極に端部がなく、集電極の周囲に、フィンガー電極の端部を連結するように延びる電極(フィンガー周囲連結電極18)が形成されている場合には、図13の拡大部分に示す通り、フィンガー電極とフィンガー周囲連結電極の交差部を、フィンガー電極の端部とみなすものとする。
酸性銅めっきに用いられるめっき液16は銅イオンを含む。例えば硫酸銅、硫酸、水を主成分とする公知の組成のものが使用可能であり、これに0.1〜10A/dmの電流を流すことにより、第二導電層である金属を析出させることができる。適切なめっき時間は、集電極の面積、電流密度、陰極電流効率、設定膜厚等に応じて適宜設定される。
第二導電層は、複数の層から構成させても良い。例えば、Cu等の導電率の高い材料からなる第一のめっき層を、絶縁層の開口部を介して第一導電層上に形成した後、化学的安定性に優れる第二のめっき層を第一のめっき層の表面に形成することにより、低抵抗で化学的安定性に優れた集電極を形成することができる。
めっき工程の後には、めっき液除去工程を設けて、基板12の表面に残留しためっき液を除去することが好ましい。めっき液除去工程を設けることによって、アニール処理で形成された絶縁層9の開口部9h以外を起点として析出し得る金属を除去することができる。開口部9h以外を起点として析出する金属としては、例えば絶縁層9のピンホール等を起点とするものが挙げられる。めっき液除去工程によってこのような金属が除去されることによって、遮光損が低減され、太陽電池特性をより向上させることが可能となる。
めっき液の除去は、例えば、めっき槽から取り出された基板12の表面に残留しためっき液をエアーブロー式のエアー洗浄により除去した後、水洗を行い、さらにエアーブローにより洗浄液を吹き飛ばす方法により行うことができる。水洗の前にエアー洗浄を行い基板12表面に残留するめっき液量を低減することによって、水洗の際に持ち込まれるめっき液の量を減少させることができる。そのため、水洗に要する洗浄液の量を減少させることができるとともに、水洗に伴って発生する廃液処理の手間も低減できることから、洗浄による環境負荷や費用が低減されるとともに、太陽電池の生産性を向上させることができる。
ここで、一般に、ITO等の透明電極層や、酸化シリコン等の絶縁層は親水性であり、基板12の表面や絶縁層9の表面の水との接触角は、10°程度あるいはそれ以下である場合が多い。一方、エアーブロー等によるめっき液の除去を容易にする観点からは、基板12の表面の水との接触角を20°以上とすることが好ましい。基板表面の接触角を大きくするために、基板12表面に撥水処理が行われてもよい。撥水処理は、例えば表面への撥水層の形成することにより行われる。撥水処理により、基板表面のめっき液に対する濡れ性を低下させることができる。
なお、絶縁層9の表面への撥水処理に代えて、撥水性を有する絶縁層9が形成されてもよい。すなわち水との接触角θ大きい(例えば20°以上)の絶縁層9が形成されることにより、別途の撥水処理工程を省略できるため、太陽電池の生産性をより向上させることができる。絶縁層に撥水性を持たせる方法としては、例えば、絶縁層の製膜条件(例えば、製膜室に導入するシリコン原料ガスと酸素原料ガスの流量比)を変更したプラズマCVD法により、絶縁層としての酸化シリコン層を製膜する方法が挙げられる。
本発明においては、集電極形成後(めっき工程後)に絶縁層除去工程が行われてもよい。特に、絶縁層として光吸収の大きい材料が用いられる場合は、絶縁層の光吸収による太陽電池特性の低下を抑制するために、絶縁層除去工程が行われることが好ましい。絶縁層の除去方法は、絶縁層材料の特性に応じて適宜選択される。例えば、化学的なエッチングや機械的研磨により絶縁層が除去され得る。また、材料によってはアッシング(灰化)法も適用可能である。この際、光取り込み効果をより向上させる観点から、第一導電層非形成領域上の絶縁層が全て除去されることがより好ましい。また、絶縁層9上に撥水層91が形成されている場合、絶縁層9とともに撥水層91も除去されることが好ましい。なお、絶縁層として光吸収の小さい材料が用いられる場合は、絶縁層除去工程が行われる必要はない。
以上、ヘテロ接合太陽電池の光入射側に集電極7が設けられる場合を中心に説明したが、裏面側にも同様の集電極が形成されてもよい。ヘテロ接合太陽電池のように結晶シリコン基板を用いた太陽電池は、電流量が大きいため、一般に、透明電極層/集電極間の接触抵抗の損失による発電ロスが顕著となる傾向がある。これに対して、本発明では、第一導電層と第二導電層を有する集電極は、透明電極層との接触抵抗が低いため、接触抵抗に起因する発電ロスを低減することが可能となる。
また、本発明は、ヘテロ接合太陽電池以外の結晶シリコン太陽電池や、GaAs等のシリコン以外の半導体基板が用いられる太陽電池、非晶質シリコン系薄膜や結晶質シリコン系薄膜のpin接合あるいはpn接合上に透明電極層が形成されたシリコン系薄膜太陽電池や、CIS,CIGS等の化合物半導体太陽電池、色素増感太陽電池や有機薄膜(導電性ポリマー)等の有機薄膜太陽電池のような各種の太陽電池に適用可能である。
結晶シリコン太陽電池としては、一導電型(例えばp型)結晶シリコン基板の一主面上に逆導電型(例えばn型)の拡散層を有し、拡散層上に前記集電極を有する構成が挙げられる。このような結晶シリコン太陽電池は、一導電型層の裏面側にp層等の導電型層を備えるのが一般的である。このように、光電変換部が非晶質シリコン層や透明電極層を含まない場合は、低融点材料の熱流動開始温度Tおよびアニール温度Taは、250℃より高くてもよい。
シリコン系薄膜太陽電池としては、例えば、p型薄膜とn型薄膜との間に非晶質の真性(i型)シリコン薄膜を有する非晶質シリコン系薄膜太陽電池や、p型薄膜とn型薄膜との間に結晶質の真性シリコン薄膜を有する結晶質シリコン系半導体太陽電池が挙げられる。また、複数のpin接合が積層されたタンデム型の薄膜太陽電池も好適である。このようなシリコン系薄膜太陽電池では、透明電極層や非晶質シリコン系薄膜の耐熱性を勘案して、低融点材料の熱流動開始温度Tおよびアニール温度Taは250℃以下であることが好ましく、200℃以下であることがより好ましく、180℃以下であることがさらに好ましい。
本発明の太陽電池は、実用に供するに際して、モジュール化されることが好ましい。太陽電池のモジュール化は、適宜の方法により行われる。例えば、集電極にタブ等のインターコネクタを介してバスバーが接続されることによって、複数の太陽電池セルが直列または並列に接続され、封止剤およびガラス板により封止されることによりモジュール化が行われる。
以下、図3に示すヘテロ接合太陽電池に関する実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1のヘテロ接合太陽電池を、以下のようにして製造した。
一導電型単結晶シリコン基板として、入射面の面方位が(100)で、厚みが200μmのn型単結晶シリコンウェハを用い、このシリコンウェハを2重量%のHF水溶液に3分間浸漬し、表面の酸化シリコン膜が除去された後、超純水によるリンスが2回行われた。このシリコン基板を、70℃に保持された5/15重量%のKOH/イソプロピルアルコール水溶液に15分間浸漬し、ウェハの表面をエッチングすることでテクスチャが形成された。その後に超純水によるリンスが2回行われた。原子間力顕微鏡(AFM パシフィックナノテクノロジー社製)により、ウェハの表面観察を行ったところ、ウェハの表面はエッチングが最も進行しており、(111)面が露出したピラミッド型のテクスチャが形成されていた。
エッチング後のウェハがCVD装置へ導入され、その光入射側に、真性シリコン系薄膜2aとしてi型非晶質シリコンが5nmの膜厚で製膜された。i型非晶質シリコンの製膜条件は、基板温度:150℃、圧力:120Pa、SiH/H流量比:3/10、投入パワー密度:0.011W/cmであった。なお、本実施例における薄膜の膜厚は、ガラス基板上に同条件にて製膜された薄膜の膜厚を、分光エリプソメトリー(商品名M2000、ジェー・エー・ウーラム社製)にて測定することにより求められた製膜速度から算出された値である。
i型非晶質シリコン層2a上に、逆導電型シリコン系薄膜3aとしてp型非晶質シリコンが7nmの膜厚で製膜された。p型非晶質シリコン層3aの製膜条件は、基板温度が150℃、圧力60Pa、SiH/B流量比が1/3、投入パワー密度が0.01W/cmであった。なお、上記でいうBガス流量は、HによりB濃度が5000ppmまで希釈された希釈ガスの流量である。
次にウェハの裏面側に、真性シリコン系薄膜2bとしてi型非晶質シリコン層が6nmの膜厚で製膜された。i型非晶質シリコン層2bの製膜条件は、上記のi型非晶質シリコン層2aの製膜条件と同様であった。i型非晶質シリコン層2b上に、一導電型シリコン系薄膜3bとしてn型非晶質シリコン層が4nmの膜厚で製膜された。n型非晶質シリコン層3bの製膜条件は、基板温度:150℃、圧力:60Pa、SiH/PH流量比:1/2、投入パワー密度:0.01W/cmであった。なお、上記でいうPHガス流量は、HによりPH濃度が5000ppmまで希釈された希釈ガスの流量である。
この上に透明電極層6aおよび6bとして、各々酸化インジウム錫(ITO、屈折率:1.9)が100nmの膜厚で製膜された。ターゲットとして酸化インジウムを用い、基板温度:室温、圧力:0.2Paのアルゴン雰囲気中で、0.5W/cmのパワー密度を印加して透明電極層の製膜が行われた。裏面側透明電極層6b上には、裏面金属電極8として、スパッタ法により銀が500nmの膜厚で形成された。光入射側透明電極層6a上には、第一導電層71および第二導電層72を有する集電極7が以下のように形成された。
第一導電層71の形成には、低融点材料としてのSnBi金属粉末(粒径DL=25〜35μm、融点T=141℃)と、高融点材料としての銀粉末(粒径DH=2〜3μm、融点T=971℃)とを、20:80の重量比で含み、さらにバインダー樹脂としてエポキシ系樹脂を含む印刷ペーストが用いられた。この印刷ペーストを、集電極パターンに対応する開口幅(L=80μm)を有し、フィンガー電極端部が連結した#230メッシュ(開口幅:l=85μm)のスクリーン版を用いて、スクリーン印刷し、90℃で乾燥が行われた。
第一導電層71形成の際、図4に示すように、フィンガー電極のバスバー電極との交差部が、フィンガー電極の端部よりも幅広となるようにした。具体的には、フィンガー電極の端部およびバスバー電極との交差部の幅を各々W1およびW2とし、フィンガー電極の端部と、バスバー電極との交差部との中間点の幅をW0とした場合、W2=1.2×W1=1.2×W0となるように第一導電層形成を行った。第一導電層形成後には、光学顕微鏡(OLS3000:オリンパス社製)を用いて実際に全フィンガー電極(80本)のうち、無作為に選んだ10本のフィンガー電極それぞれについてW1,W2,W0を測定し、各フィンガーについてW2/W0, W1/W0を算出した。算出した値の平均値は、W2/W0=1.20、W1/W0=1.00であった。
第一導電層71が形成されたウェハが、CVD装置に投入され、絶縁層9として酸化シリコン層(屈折率:1.5)が、プラズマCVD法により80nmの厚みで光入射面側に形成された。
絶縁層9の製膜条件は、基板温度:135℃、圧力133Pa、SiH/CO流量比:1/20、投入パワー密度:0.05W/cm(周波数13.56MHz)であった。この条件で光入射面側に形成された絶縁層の屈折率(n)および消衰係数(k)は図14に示す通りであった。その後、絶縁層形成後のウェハが熱風循環型オーブンに導入され、大気雰囲気において、180℃で20分間、アニール処理が実施された。
以上のようにアニール処理が行われた基板12が、図9に示すように、めっき槽11に投入された。めっき液16には、硫酸銅五水和物、硫酸、および塩化ナトリウムが、それぞれ120g/l、150g/l、および70mg/lの濃度となるように調製された溶液に、添加剤(上村工業製:品番ESY−2B、ESY−H、ESY−1A)が添加されたものが用いられた。このめっき液を用いて、温度40℃、電流3A/dmの条件でめっきが行われ、第一導電層71上の絶縁層上に、10μm程度の厚みで第二導電層72として銅が均一に析出した。第一導電層が形成されていない領域への銅の析出はほとんど見られなかった。第二導電層形成後に、レーザー顕微鏡(OLS3000:オリンパス社製)を用いて実際に全フィンガー電極(80本)のうち、無作為に選んだ10本のフィンガー電極それぞれについてd1,d2,d0を測定し、各フィンガーについてd2/d0, d1/d0を算出した。算出した値の平均値は、d2/d0=0.98、d1/d0=1.12であった。
その後、レーザー加工機によりセル外周部のシリコンウェハが0.5mmの幅で除去され、本発明のヘテロ接合太陽電池が作製された。
(実施例2)
第一導電層のフィンガー電極の端部の幅を、バスバー電極との交差部や、上記中間点よりも狭くなるように第一導電層形成を行った点を除いて、実施例1と同様にしてヘテロ接合太陽電池が作製された。具体的には、第一導電層のフィンガー電極の各部位での幅の関係が、W1=0.8×W0、W2=1.2×W0となるように第一導電層形成を行った。実施例1と同様に第一導電層形成後のフィンガーの幅(W1,W2,W0)を測定し、算出した値の平均値は、W2/W0=1.20、W1/W0=0.80であった。また、実施例1と同様に第二導電層形成後のフィンガーの膜厚(d1,d2,d0)を測定し、算出した値の平均値は、d2/d0=0.96、d1/d0=1.01であった。
(実施例3)
フィンガー電極合計80本のうち、バスバー電極の端部から最も近いフィンガー電極計10本(バスバー電極両端について5本ずつ)の第一導電層の幅が、他のフィンガー電極の第一導電層の幅に対し0.8倍になるように第一導電層形成を行った点を除いて、実施例2と同様にしてヘテロ接合太陽電池が作製された。実施例1,2と同様に第一導電層形成後のフィンガーの幅(W1,W2,W0)を測定し、算出した値の平均値は、W2/W0=1.20、W1/W0=0.80であった。また、実施例1と同様に第二導電層形成後のフィンガーの膜厚(d1,d2,d0)を測定し、算出した値の平均値は、d2/d0=1.01、d1/d0=1.03であった。
(参考例1)
第一導電層のフィンガー電極の各部位での幅の関係がW0=W1=W2となるように第一導電層が形成された点を除いて、実施例1と同様にしてヘテロ接合太陽電池が作製された。実施例1と同様に第一導電層形成後のフィンガーの幅(W1,W2,W0)を測定し、算出した値の平均値は、W2/W0=1.00、W1/W0=1.00であった。また、実施例1と同様に第二導電層形成後のフィンガーの膜厚(d1,d2,d0)を測定し、算出した値の平均値は、d2/d0=0.84、d1/d0=1.17であった。
(比較例1)
第一導電層形成領域に対応するマスクを用い、第一導電層形成領域以外の部分に絶縁層として酸化シリコン層を形成した後、酸化シリコン層が形成されていない箇所(絶縁層非形成箇所)に第一導電層を形成し、前記第一導電層上に直接めっき法にて第二導電層を形成した点を除いて実施例1と同様にヘテロ接合太陽電池が作製された。実施例1と同様に第一導電層形成後のフィンガーの幅(W1,W2,W0)を測定し、算出した値の平均値は、W2/W0=1.00、W1/W0=1.00であった。また、実施例1と同様に第二導電層形成後のフィンガーの膜厚(d1,d2,d0)を測定し、算出した値の平均値は、d2/d0=0.83、d1/d0=1.19であった。
以上のようにしてヘテロ接合太陽電池が作製された。上記参考例、および各実施例のヘテロ接合太陽電池の作製条件、太陽電池特性の測定結果、および電極の剥離箇所の有無を表1に示す。
電極の剥離箇所の有無とは、各実施例、参考例1、比較例1のそれぞれのフィンガー電極の端部について、付着強度を比較するために、テープ(メンディングテープ:3M社製)での剥離実験を行った後に光学顕微鏡(OLS3000:オリンパス社製)での観察を実施した結果である。観察には20倍の対物レンズを使用した。
剥離実験の際、フィンガー電極の端部を覆うように、フィンガー電極の端部から中心に向かって2〜3cmの位置までテープを貼り付けた。その後にテープの端(すなわち端部側)から貼りつけたテープを手で剥がした後で、フィンガー端部の第二導電層が第一導電層から剥離した箇所の有無を観察した。この際、密着性評価を1〜5点で評価し、密着性が最も高いものを5点、最も低いものを1点とした。観察の結果を表1に示す。
参考例1と実施例1とを比較すると、実施例1ではフィンガー電極のバスバー電極との交差部付近を幅広にしたにも拘らず、参考例1に比べ太陽電池特性が向上している。参考例1では、太いバスバー電極と細いフィンガー電極の交差部において、バスバー電極にめっきが集中しやすくバスバー電極近傍のフィンガー電極の厚みが薄くなってしまうという点について改善の余地があり、実施例1でバスバー電極との交差部を幅広としたことでフィンガー電極の厚みが均一化したものと考えられる。バスバー電極との交差部を幅広としたことによる電流値の減少が生じたものの、フィンガー電極の厚み均一化によるFFの向上が大きく、結果として太陽電池特性が向上したものと考えられる。
実施例1と実施例2を比較すると、実施例2では実施例1よりもフィンガー電極の端部を細くした結果、太陽電池特性の向上が見られた。フィンガー電極の端部はめっきが集中しやすいため、あらかじめ第一導電層の端部を細くしたことで、端部がめっきで太くなってしまうことが防止され電流値が上昇したものと考えられる。
実施例2と実施例3を比較すると、実施例3では給電点近傍のフィンガー電極の第一導電層を細くした結果、太陽電池特性の向上が見られた。給電点近傍の電極はめっきが集中しやすいため、あらかじめ給電点近傍のフィンガー電極の第一導電層を細くしたことで、給電点近傍がめっきで太くなってしまうことが防止され電流値が上昇したものと考えられる。給電点から離れた箇所にも終電点近傍と同程度にめっきされる結果となり、全体のフィンガー電極に対するめっきの付き方が均一化されることでFFも向上し、太陽電池特性が向上したものと考えられる。
実施例1、比較例1を比較すると、比較例1ではフィンガー電極の端部に第一導電層と第二導電層との剥離箇所が観測され、実施例1では剥離箇所が観測されなかった。これは、絶縁層をマスク製膜したことで第一導電層と第二導電層の間に絶縁層を有さない比較例1に対し、実施例1では第一導電層と第二導電層の間に絶縁層が存在するので付着強度が向上したものと考えられる。実施例2、実施例3、および参考例1で剥離箇所が観察されなかったのも、第一導電層と第二導電層の間に絶縁層を有し、付着強度が向上した結果と考えられる。特に、実施例2,3については、フィンガー電極端部を細くしたにもかかわらず、実施例1と同様に剥離強度が強くなった。
上記の結果から、本発明により太陽電池特性を向上させることが可能であると考えられる。
以上、実施例を用いて説明したように、本発明によれば、絶縁層のパターニングを行うことなく、太陽電池の集電極を作製することができるため、高出力の太陽電池を低コストで提供することが可能となる。
1.一導電型単結晶シリコン基板
2.真性シリコン系薄膜
3.導電型シリコン系薄膜
6.透明電極層
7.集電極
71.第一導電層
711.低融点材料
72.第二導電層
7a.フィンガー電極
7b.バスバー電極
71a.第一導電層フィンガー電極部
71b.第一導電層バスバー電極部
8.裏面金属電極
9.絶縁層
9h.開口部
50.光電変換部
100.太陽電池
101.ヘテロ接合太陽電池
10.めっき装置
11.めっき槽
12.基板
13.陽極
14.基板ホルダ
15.電源
16.めっき液
17.給電点
18.フィンガー周囲連結電極

Claims (15)

  1. 光電変換部と、前記光電変換部の一主面上の集電極とを有する太陽電池であって、
    前記集電極は、第1の方向に延びるn本(n≧2)のフィンガー電極と、前記第1の方向に略垂直な第2の方向に延びるバスバー電極から構成されており、
    前記フィンガー電極および前記バスバー電極は、各々、前記光電変換部側から順に第一導電層と第二導電層とを含み、かつ、前記第一導電層と前記第二導電層の間に絶縁層を含み、
    前記絶縁層は、前記第一導電層を被覆するように形成され、かつ、前記第一導電層上の絶縁層は、開口部を有し、前記開口部を通じて前記第一導電層と前記第二導電層が導通されており、
    前記フィンガー電極を形成する第一導電層は、端部の幅をW1、前記バスバー電極との交差部の幅をW2としたとき、W1<W2を満たし、
    前記フィンガー電極は、端部の膜厚をd1、前記バスバー電極との交差部の膜厚をd2としたとき、0.85×d1≦d2≦1.15×d1を満たす、太陽電池。
  2. 前記フィンガー電極を形成する第一導電層は、前記端部と、前記バスバー電極との交差部と、の中間点の幅をW0としたとき、0.75×W0≦W1≦W0を満たす、請求項1に記載の太陽電池。
  3. 前記フィンガー電極を形成する第一導電層は、前記端部と、前記バスバー電極との交差部と、の中間点の幅をW0としたとき、W0<W2≦1.25×W0を満たす、請求項1または2に記載の太陽電池。
  4. 前記絶縁層は、前記第一導電層が形成されていない第一導電層非形成領域上にも形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池。
  5. 前記第二導電層がめっき層である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池。
  6. 前記集電極を構成する複数のフィンガー電極のうち、前記バスバー電極の端部から最も近いフィンガー電極をフィンガー電極A、また最も遠いフィンガー電極をフィンガー電極Bとしたとき、
    前記バスバー電極との交差部から前記フィンガー電極端部へ向かう距離がxの地点において、前記フィンガー電極Aおよびフィンガー電極Bを形成する第一導電層の幅を各々WAxおよびWBxとしたとき、WAx<WBxを満たし、
    前記フィンガー電極Aおよびフィンガー電極Bの膜厚を各々dAxおよびdBxとしたとき、0.85×dAx≦dBx≦1.15×dAxを満たす、請求項1〜5のいずれか1項に記載の太陽電池。
  7. 前記光電変換部は、一導電型結晶シリコン基板の一主面上に、シリコン系薄膜、および透明電極層をこの順に有し、前記透明電極層上に前記集電極を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の太陽電池。
  8. 前記第一導電層は、低融点材料を含み、前記低融点材料の熱流動開始温度T1が前記光電変換部の耐熱温度よりも低温である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の太陽電池。
  9. 前記第一導電層は、低融点材料を含み、前記低融点材料の熱流動開始温度T1が250℃以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の太陽電池。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の太陽電池を備える太陽電池モジュール。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法であって、
    前記光電変換部上に第一導電層が形成される第一導電層形成工程;
    前記第一導電層上に絶縁層が形成される絶縁層形成工程;および
    めっき法により前記第一導電層と導通する第二導電層が形成されるめっき工程、をこの順に有し、
    前記絶縁層は、前記第一導電層上に開口部を有し、
    前記めっき工程において、前記第二導電層は、前記絶縁層の開口部を通じて前記第一導電層に導通される太陽電池の製造方法。
  12. 前記第一導電層は熱流動開始温度T1が前記光電変換部の耐熱温度よりも低温である低融点材料を含み、
    前記絶縁層形成工程後に、前記低融点材料の熱流動開始温度T1よりも高温のアニール温度Taで加熱処理が行われることにより前記開口部が形成される、請求項11に記載の太陽電池の製造方法。
  13. 前記第一導電層は熱流動開始温度T1が前記光電変換部の耐熱温度よりも低温である低融点材料を含み、前記絶縁層形成工程において、前記低融点材料の熱流動開始温度T1よりも高温の基板温度Tbで前記絶縁層が形成されることにより、絶縁層の形成と同時に前記開口が形成される、請求項11に記載の太陽電池の製造方法。
  14. 前記絶縁層形成工程において、前記光電変換部の第一導電層非形成領域上にも絶縁層が形成される、請求項11〜13のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  15. 前記光電変換部は、一導電型結晶シリコン基板の一主面上に、シリコン系薄膜および透明電極層をこの順に有し、前記透明電極層上に前記集電極が形成される、請求項11〜14のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
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