JP2014230397A - 静電誘導型電気機械変換素子およびナノピンセット - Google Patents

静電誘導型電気機械変換素子およびナノピンセット Download PDF

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Abstract

【課題】静電容量および静電容量変化を向上させることができる静電型電気機械変換素子の提供。
【解決手段】静電誘導型電気機械変換素子1は、複数の櫛歯電極部112を有する第1電極と、複数の櫛歯電極部112に対して隙間を介して歯合するように配設された複数の櫛歯電極部104を有する第2電極と、櫛歯電極部112と櫛歯電極部104との間の電場形成空間に配設され、比誘電率が1よりも大きな材料から成る複数の孤立櫛歯113と、第2電極の櫛歯電極部104と孤立櫛歯113とが相対変位するように、第1電極、第2電極および孤立櫛歯113の各々を固定支持または可動支持するベース部110と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、MEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)構造による静電誘導型電気機械変換素子およびナノピンセットに関する。
従来、単結晶シリコンを異方性エッチングすることで櫛歯構造を作り、静電アクチュエータを作成することが知られている。また、特許文献1に開示されているように、静電アクチュエータの櫛歯側面に、無機酸化膜を形成してエレクトレット化することができる。特に、静電アクチュエータを用いた振動発電や静電トランスにおいては、電界が高いほど電気機械結合係数が上昇し、発電量や変換効率が向上するので、エレクトレット形成における帯電処理時に高い電圧を印加したり、櫛歯間の容量を向上させたりすることが望ましい。
特開2013−013256号公報
しかしながら、帯電処理において高い電圧をかけると、櫛歯同士がPull-inしたまま離れない場合がある。また、静電容量の向上のためには、櫛歯同士を狭いギャップで構成することが求められるが、狭いギャップで形成すると余計にPull-inしやすくなるという問題があった。
請求項1の発明による静電誘導型電気機械変換素子は、複数の第1櫛歯電極部を有する第1電極と、複数の第1櫛歯電極部に対して隙間を介して歯合するように配設された複数の第2櫛歯電極部を有する第2電極と、第1櫛歯電極部と第2櫛歯電極部との間の電場形成空間に配設され、比誘電率が1よりも大きな材料から成る複数の誘電体部材と、第1電極および/または第2電極と誘電体部材とが相対変位するように、第1電極、第2電極および誘電体部材の各々を固定支持または可動支持するベース部と、を備えることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載の静電誘導型電気機械変換素子において、第1電極および誘電体部材はベース部に固定支持され、第2電極は可動支持されていることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1に記載の静電誘導型電気機械変換素子において、第1電極および第2電極はベース部に固定支持され、誘電体部材は可動支持されていることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項2または3に記載の静電誘導型電気機械変換素子において、誘電体部材は、第1櫛歯電極部と第2櫛歯電極部との隙間に配置されることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項2に記載の静電誘導型電気機械変換素子において、誘電体部材は、第2櫛歯電極部の先端と隙間を介して対向配置され、第2電極は、第2櫛歯電極部の先端から誘電体部材に向かう第1方向、および、第2櫛歯電極部から第1櫛歯電極部に向かう第2方向の、両方に直交する方向に、変位可能に可動支持されていることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項2乃至5のいずれか一項に記載の静電誘導型電気機械変換素子において、可動支持されている第2電極または誘電体部材の運動エネルギーを電気エネルギーに変換して出力することを特徴する。
請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の静電誘導型電気機械変換素子において、第1櫛歯電極部および第2櫛歯電極部の少なくとも一方の表面には、アルカリイオンを含むSiO層から成るエレクトレットが形成されていることを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項2に記載の静電誘導型電気機械変換素子において、複数の第3櫛歯電極部を有し、ベース部に設けられる第3電極と、複数の第3櫛歯電極部に対して隙間を介して歯合するように配設された複数の第4櫛歯電極部を有し、前記可動部に設けられる第4電極と、をさらに備え、複数の誘電体部材および第2電極は固定部に固定され、第3電極から昇圧出力が取り出されることを特徴とする。
請求項9の発明によるナノピンセットは、開閉自在に設けられた一対の把持部と、一対の把持部の少なくとも一方に対応して設けられた請求項4に記載の静電誘導型電気機械変換素子と、静電誘導型電気機械変換素子の第1電極と第2電極との間に電圧を印加して、該静電誘導型電気機械変換素子により把持部を開閉駆動させる駆動制御部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、静電型電気機械変換素子における静電容量および静電容量変化を向上させることができる。
図1は、本発明に係る静電誘導型電気機械変換素子1の構成を示す図である。 図2は、櫛歯構造を有する従来の静電誘導型電気機械変換素子100の基本構成を示す図である。 図3は、図1,2に示した櫛歯構造における静電容量を説明する模式図である。 図4は、図3に示す構造においてオーバーラップ面積が変化した場合を示す図である。 図5Aは、製造方法の第1のステップを説明する図である。 図5Bは、製造方法の第2のステップを説明する図である。 図5Cは、製造方法の第3のステップを説明する図である。 図5Dは、製造方法の第4のステップを説明する図である。 図5Eは、製造方法の第5のステップを説明する図である。 図5Fは、製造方法の第6のステップを説明する図である。 図5Gは、製造方法の第7のステップを説明する図である。 図5Hは、製造方法の第8のステップを説明する図である。 図6Aは、レジストで孤立櫛歯113を形成する方法を説明する図である。 図6Bは、図6Aに続くステップを説明する図である。 図7は、第1の実施例を説明する図である。 図8は、第2の実施例を説明する図である。 図9は、エレクトレット製造方法を説明する図である。 図10は、帯電処理を説明する図である。 図11は、静電誘導型電気機械変換素子1の第1の変形例を示す図である。 図12は、静電誘導型電気機械変換素子1の第2の変形例を示す図である。 図13は、静電誘導型電気機械変換素子1の第3の変形例を示す図である。 図14は、静電誘導型電気機械変換素子1の第4の変形例を示す図である。 図15は、第3の実施例を説明する図である。 図16は、コンデンサ型マイクロフォンの概略構成を示す図である。
以下、図を参照して本発明を実施するための形態について説明する。まず、図1〜図4を参照して、本発明に係る静電誘導型電気機械変換素子の基本概念について説明する。
図1は、本発明に係る静電誘導型電気機械変換素子1の構成を示す図である。静電誘導型電気機械変換素子1は、可動部10および固定部11を有する。固定部11は、ベース部110、ベース部110上に固定された固定電極111および孤立櫛歯113を備える。後述するように、ベース部110と固定電極111および孤立櫛歯113との間には絶縁層が形成されており、固定電極111と孤立櫛歯113とは電気的に絶縁されている。固定電極111は導電材で形成され、可動部方向に突出する複数の櫛歯電極部112が設けられている。
一方、可動部10は導電材で形成され、幅が狭くなった弾性支持部102を介してベース部110に固定されている。ベース部110と可動部10との間にも絶縁層が形成されている。可動部10の側面には、固定電極111の方向に突出する複数の櫛歯電極部101が形成されている。一方、固定電極111には、可動部10方向に突出する複数の櫛歯電極部112が形成されている。各櫛歯電極部101は、一対の櫛歯電極部112間の隙間に挿入されるように配置されている。孤立櫛歯113は、櫛歯電極部112と櫛歯電極部101との間に隙間を介して配置されている。後述するように、ベース部110と可動部10、固定電極111および孤立櫛歯113との間には絶縁層が設けられているので、可動部10、固定電極111および孤立櫛歯113は互いに絶縁されている。
詳細は後述するが、図1の静電誘導型電気機械変換素子1を、電気的エネルギーを力学的エネルギーに変換するアクチュエータとして機能させる場合には、固定部側から電力を入力して、可動部10を駆動する構成とする。また、力学的エネルギーを電気的エネルギーに変換する発電素子として機能させる場合には、外力により可動部を変位させて固定部側から電力を出力させる。
図2は、比較例として、櫛歯構造を有する従来の静電誘導型電気機械変換素子100の基本構成を示したものである。図1および2に示す櫛歯構造では、孤立櫛歯113を用いているか否かが異なっている。図2においては、図1に示す構成と同様の部分には同一符号を付した。図2の構成の場合には、孤立櫛歯113を設けていない分だけ、同一大きさとした場合には、櫛歯電極部101,112の数が多い。
(原理説明)
図3の(a)、(b)は、図1,2に示した櫛歯構造における静電容量を説明する模式図である。図3(a)に示すモデルは、図2の一つの櫛歯電極部101と一つの櫛歯電極部112とにより構成される単位コンデンサ構造を示したものである。ここでは、櫛歯電極部101,112のオーバーラップが最も大きくなった場合を示している。図3(b)に示すモデルは、図1の場合の単位コンデンサ構造を示したものであり、櫛歯電極部101と櫛歯電極部112との間には孤立櫛歯113が配置されている。一対の櫛歯電極部101,112間の距離は、寸法dに設定されている。図3(a)の場合の静電容量C1は、平行平板の静電容量を表す式(1)で表される。なお、式(1)において、ε0は真空の誘電率である。
Figure 2014230397
一方、図3(b)は図1の場合であって、櫛歯電極部101,112間に孤立櫛歯113が配設されている。櫛歯電極部101および112と孤立櫛歯113との間隔は、それぞれd0、d2である。また、孤立櫛歯113の厚さ寸法をd1とする。すなわち、櫛歯電極部101,112間の距離dは、d=d0+d1+d2と表される。
この場合、図3(b)に示す構造において、電極間の距離dのうち、比誘電率の高い部分によって空間のうちd1の分だけは比誘電率が上昇しているとみなすことができる。すなわち、d0,d2に相当する部分では誘電率は真空の誘電率のままであり、d1に相当する部分では誘電率は真空の誘電率に比誘電率を掛けたものとなる。このように考えることで、櫛歯電極部101、112間の静電容量C2は次式(2)で与えられる。式(2)において、εrは孤立櫛歯113を構成する材料の比誘電率であり、εr>1であれば式(1)で与えられる静電容量よりも大きくなる。孤立櫛歯113に用いられるεr>1の材料としては、例えば、シリコン、シリコン酸化膜、レジスト、フッ素樹脂、酸化チタン等の誘電体を用いることができる。
Figure 2014230397
櫛歯電極部101が形成されている可動部10は、図1,2に示すように図示左右方向に移動可能であるが、図3(a)および図3(b)に示す状態が最も静電容量が大きい状態である。そして、図3(a)の状態から図4(a)に示すように櫛歯電極部101を右方向に移動させると、静電容量が減少する。そのときの容量変化ΔC1は次式(3)のようになる。
Figure 2014230397
また、図3(b)の状態から図4(b)に示すように櫛歯電極部101を右方向に移動させると、このときの容量変化ΔC2は次式(4)で表される。
Figure 2014230397
なお、図1に示す例では、孤立櫛歯113はベース部110に固定されているが、仮に、櫛歯電極部101,112および孤立櫛歯113の位置関係が図4(c)に示すように変化した場合、そのときの静電容量C2は次式(5)となる。この場合の容量変化ΔC2は次式(6)で表される。
Figure 2014230397
具体的な数値を代入して図4(a)〜図4(c)の場合の静電容量Cおよび変化量ΔC1,ΔC2を求めると、以下のようになる。なお、図1と図2とを比較すると、一つの櫛歯電極部101と一つの櫛歯電極部112により構成される単位コンデンサ構造(すなわち、図3(a)、図3(b)に示す構造)の数は、図2の場合の方が多くなる。
ここでは、図3(a)における櫛歯電極部101,112の厚さ寸法を20μmとし、対向する面の面積Sを100μm×200μmとする。また、図4におけるオーバーラップの面積S1はS1=S/2とする。そして、図1のように構成した場合の単位コンデンサ構造の数を250組とし、図2のように構成した場合(従来構成)の単位コンデンサ構造の数を500組として計算をする。
(図4(a)の場合)
d=10μm=10×10−6
S(トータル)=500×100×10−6×200×10−6
S1(トータル)=500×100×10−6×200×10−6×1/2
ε0≒8.85×10−12
これを式(1)、(3)に代入すると、
C1≒8.9×10−12F=8.9pF
ΔC1≒4.4pF
(図4(b)の場合)
d=40μm、d1=20μm、d0=d2=10μm
S(トータル)=250×100×10−6×200×10−6
S1(トータル)=250×100×10−6×200×10−6×1/2
ε0≒8.85×10−12
εr≒16
これを式(2),(4)に代入すると、
C≒9.4×10−12F=9.4pF
ΔC≒4.7pF
(図4(c)の場合)
d=40μm、d1=20μm、d0=d2=10μm
S(トータル)=250×100×10−6×200×10−6
S1(トータル)=250×100×10−6×200×10−6×1/2
ε0≒8.85×10−12
εr≒18
これを式(2),(6)に代入すると、
C≒1.1×10−12F=1.1pF
ΔC≒4.7pF
以上のように、可動側の電極を構成する櫛歯電極部101と、固定側の電極を構成する櫛歯電極部112との間に、比誘電率が1よりも大きな孤立櫛歯113を配置することにより、静電容量および静電容量の変化を大きくすることが可能となる。図4(b)の構成の場合にはεr≧16と設定し、図4(c)の場合にはεr≧18と設定することで、静電容量および静電容量の変化が図4(a)に示す構造よりも大きくなる。特に、荷電時の電極間のギャップを広げ、印加電圧を大きくすることができるので、容量向上以上に、電気機械結合係数の向上に寄与することが可能となる。逆に、高電圧を印加できない環境でも、面積当たりの容量変化を増加させることができる。
なお、図4(b)の構成の場合、櫛歯電極部112に対して孤立櫛歯113は相対移動しないので、櫛歯電極部112と孤立櫛歯113との隙間寸法d0を可能な限り小さくすることができる。例えば、MEMS加工技術では0.1μm程度まで小さくすることができる。この場合、d0=0.1μmとした分だけd1=20.9μmと孤立櫛歯113の厚さを増やしたり、または、櫛歯電極部の数を増やしたりすることができるので、より小さなεrを採用することができる。
また、図4(c)の構成の場合、プラス電極およびグランド電極の両方が固定側の櫛歯電極部となるため、プルインに対して非常に強い構成となっている。ただし、図4(b)の構成の場合と比べて、εrを大きくする必要がある。
電気機械変換素子を音圧センサや振動発電等に用いる場合には、静電容量の大きさや変化量ΔCが出力インピーダンスや電流値に影響する。そのため、図4(b)の構成と図4(c)の構成とを比較した場合、図4(b)の構成を用いるのが好ましい。
(静電誘導型電気機械変換素子の製造方法)
図5A〜図5H,図6A,6Bを参照して静電誘導型電気機械変換素子1の製造方法を説明する。図1に示す静電誘導型電気機械変換素子1は、例えば、SOI(Silicon on Insulator)基板を用いて、半導体微細加工技術により一体で形成される。SOI基板は、上部Si層33、SiO層32および下部Si層32で構成され、2枚のSi単結晶板の一方にSiO層を形成し、そのSiO層を挟むように貼り合わせたものである。なお、Si基板では電極パッドとなる部分の金属への密着性向上や、導電性の改善のために、適宜ドーピングを行ったものが用いられる場合がある。このドーピングはP型、N型いずれの特性であっても本件の発明においては問題はない。
図5Aに示す第1のステップでは、フォトリソを用いてSi層33の上に窒化膜(Si)34を成膜する。図5Bに示す第2のステップでは、窒化膜34の上に、レジストを塗布し、フォトリソを用いて可動櫛歯電極101および固定櫛歯電極112の接続用電極形成用レジストパターン35A、35Bを形成する。その後、第3のステップでRIE等(例えば、ICP−RIE)を用いて基板表側からエッチングし、レジストパターン35A、35Bが形成された部分以外の窒化膜34を除去する(図5C)。
図5Dに示す第4のステップでは、図5Cに示す基板の上に、レジストを塗布し、フォトリソを用いて可動櫛歯電極101、固定櫛歯電極112および孤立櫛歯113を形成するためのレジストパターン36a、36b、36cを形成する。
図5Eに示す第5のステップでは、RIE等を用いてSi層33をエッチングし、その後、レジストパターン36a、36b、36cを除去する。その結果、SiO層32上に、可動部10、固定電極111および孤立櫛歯113が形成される。
図5Fに示す第6のステップでは、基板の裏側、すなわち、Si層31上にベース部形成用レジストパターン40を形成する。次いで、図5Gに示す第7のステップでは、RIE等を用いてSi層31をエッチングし、ベース部110を形成する。その後、露出しているSiO2層32を、緩衝フッ化水素溶液を用いてエッチングすることにより、図5Hに示すような静電誘導型電気機械変換素子1が完成する。この静電誘導型電気機械変換素子1では、孤立櫛歯113は、SOI基板のSi層33により形成されることになる。
図5Hに示す静電誘導型電気機械変換素子1では、孤立櫛歯113をシリコンで形成したが、シリコン以外の材料(比誘電率が1より大きい材料)で形成しても良い。例えば、以下のように、レジスト材で形成しても良い。この場合、Si層33上に図6Aに示すようにレジストパターン37を形成し、その後、Si層33をエッチングすることにより孤立櫛歯113を形成するための孔38(図6B)を形成する。そして、この孔38内にレジスト材を充填することにより、予めレジスト材による孤立櫛歯113を形成しておく。その後、上述したようなプロセスで可動部10、固定電極111を形成すれば良い。
(第1の実施例)
図7は、図1に示す櫛歯構造の静電誘導型電気機械変換素子を用いた第1の実施例を示す図であり、ナノピンセット20の概略構成を示す図である。なお、図1と同様の構成には同一の符号を付した。このナノピンセット20は、固定部11に形成された把持部104、114を備える。そして、一方の把持部104を櫛歯アクチュエータで駆動することで、固定部11に形成された把持部114と、可動部10に形成された把持部104との間に試料を把持する。
把持部104は可動部10に形成されており、静電誘導型電気機械変換素子で構成される櫛歯アクチュエータにより開閉駆動される。櫛歯アクチュエータは、複数の櫛歯電極部112が形成された固定電極111と、複数の櫛歯電極部101が形成された可動部10と、可動部10をベース部110に弾性支持する弾性支持部103と、複数の孤立櫛歯113とを備える。そして、駆動制御部200により可動部10と固定電極111との間に電圧を印加することで、可動部10を図示左右方向に駆動する。
本実施例の場合、比誘電率が1よりも大きい孤立櫛歯113を櫛歯電極部101,112間に配置することで、所望の把持力を得るために必要な印加電圧をより低くすることができる。また、印加電圧が大きくなり過ぎた場合であっても、櫛歯電極部101,112間に孤立櫛歯113があるため、可動側の櫛歯電極部101と固定側の櫛歯電極部112とがプルイン(固着状態)してしまうのを防止することができる。
なお、図7に示した例では、一方の把持部114を固定とし、他方の把持部104を可動としたが、把持部114についても、把持部104と同様の櫛歯アクチュエータを設けて、可動としても良い。
(第2の実施例)
図8は、図1に示す櫛歯構造の静電誘導型電気機械変換素子を用いた第2の実施例を示す図であり、振動発電素子40の概略構成を示す。なお、図1と同様の構成には同一の符号を付した。図8に示す振動発電素子40では、固定電極111は出力抵抗Rを介して接地されており、可動部10の櫛歯電極部101は固定電極111の櫛歯電極部112よりも高電位または低電位に保持される。櫛歯電極部101にバイアス電圧を印加する方法としては、外部電圧源を用いる方法や、エレクトレットを用いる方法などがある。図8に示す例では、櫛歯電極部101にプラスに帯電したエレクトレットを形成することにより、櫛歯電極101を高電位に保持するような構成としている。
可動部10が図示左右方向に振動すると、櫛歯電極部112の間に挿入された櫛歯電極部101の挿入量が変化して、上述したように櫛歯電極部101,112における静電容量が変化する。この静電容量の変化に伴って出力抵抗Rに電流が流れ、出力抵抗Rの両端に電圧が発生する。櫛歯電極部101,112間に、比誘電率が1よりも大きな孤立櫛歯113を配置することで、静電容量および静電容量変化を大きくすることができる。その結果、発電素子の出力レベルの向上を図ることができる。
(エレクトレットの形成方法)
櫛歯電極部101へのエレクトレットの形成方法としては、例えば、特開2013−13256号公報に記載の方法(Bias-Temperature法:B−T法)を応用すれば良い。図9、図10は、櫛歯電極部101にエレクトレット層を形成する方法を説明する図である。本実施の形態では、Si層33から形成された可動部10、固定電極111の表面にKイオンを含むシリコン酸化膜(SiO)を形成し、これを帯電させることでエレクトレットとして用いる。なお、ここでは、孤立櫛歯113は、Siまたはシリコン酸化膜(SiO)により形成されているとして説明する。
図9において、試料50は、静電誘導型電気機械変換素子1が形成された基板である。試料50が納められた酸化炉12には、KOH水溶液の蒸気を含む窒素ガスが供給される。このKOH水溶液の蒸気を含む窒素ガスは、純水にKOHを溶解したKOH水溶液14をホットバスで温め、窒素ガス(キャリアガス)11でバブリングすることにより得られる。ヒータ13により試料50を加熱するとシリコンが熱酸化され、Si層31,33の表面にKイオンを含むSiO層が形成される。
次いで、可動部10に形成された上記SiO層をプラスに帯電させるために、試料50を高温に加熱しつつ、可動部10と固定電極111との間に電圧を印加する。図10は、帯電処理を説明する図であり、帯電処理時の櫛歯電極部101,112を模式的に示したものである。なお、図10に示す例では、櫛歯電極部101のエレクトレットをプラスに帯電させる場合を示しており、櫛歯電極部101側を高電位側としている。
Si層33から形成された櫛歯電極部101,112の表面付近には、Kイオンを含むSiO層111a,112aが形成されている。Kイオンは、SiO層111a,112aの全体に分布している。このような状態において、加熱しながら図10に示すように電圧を印加するとKイオンに力が作用し、Kイオンは電場の方向に沿って移動する。その結果、櫛歯電極部101のSiO層111aにおいては、表面付近にKイオンが分布してプラスに帯電する。一方、櫛歯電極部112の場合は逆であって、SiO層112aの表面付近がマイナスに帯電することになる。
なお、図10に示す例では、孤立櫛歯113をレジスト等で形成したが、Si層33で形成しても良い。この場合、孤立櫛歯113の表面にも、Kイオンを含むSiO層が形成されることになる。
なお、上記の実施形態では、エレクトレット膜を形成するためのイオンとしてKイオンを使用した例を説明したが、Kイオン以外の正イオンであっても本発明によるエレクトレット構造を形成することができる。特に、イオン半径の大きいアルカリイオンを用いると、エレクトレット形成後のイオン移動が少なく、従って表面電位の保持期間の長いエレクトレット膜とすることができる。この場合、上記で説明したウェット酸化で、水酸化カリウム水溶液の代わりに、Kイオン以外のアルカリイオンを含む水溶液を用いる。
(第3の実施例)
図15は、図1に示す静電誘導型電気機械変換素子を用いた第3の実施例を示す図であり、昇圧回路50の概略構成を示す。昇圧回路50は、可動部10を挟んで左右両側に一対の固定電極111B,111Aを備えている。さらに、可動部10の左側には櫛歯電極部112Bと歯合するように複数の櫛歯電極部101Bが形成され、可動部10の右側には櫛歯電極部112Aと歯合するように複数の櫛歯電極部101Aが形成されている。図15に示す昇圧回路50は、可動部10を共有した2つの櫛歯アクチュエータα、βからなる3端子型櫛歯アクチュエータを用いている。
入力側の固定電極111Aと接地との間には、3端子型櫛歯アクチュエータの共振周波数成分を印加する交流電源51が接続されている。可動部10と接地との間には、櫛歯電極間にクーロン力を発生させるための直流電源53が接続されている。なお、直流電源53としては、固定的な直流電圧を発生する直流電源回路の他に、エレクトレットなど他の直流電圧発生源を含む。そして、出力側の固定電極111Bから、ボルテージフォロア52を介して昇圧出力を取り出す。
図15に示す昇圧回路50は、可動部10に直流電圧を印加すると、櫛歯アクチュエータα,βはそれぞれ別のコンデンサであるとみなすことができる。固定電極111Aに共振周波数の交流電圧を印加することにより、可動部10は振動し容量のスイッチング(充放電)を行うことができる。なお、本実施の形態による3端子型櫛歯アクチュエータを自励発振回路の帰還回路中に組み込むことにより交流電源を省略することも可能である。
ボルテージフォロア52の出力端からは、入力した交流電圧の振幅の値を超える振幅を持つ交流電圧が出力される。この交流電圧を整流することで(図示せず)、直流を得ることができる。こうして得られた直流電圧は、適切な回路条件を設定することで、印加した直流電圧を越える値を有する。
このようにして昇圧回路としての機能が実現されるが、既述の通り直流電圧を印加する手段として、エレクトレットなどの永久帯電膜による電荷を用いることもできる。特に、エレクトレットを用いた場合には非常に高い直流電圧(例えば、100V以上の直流電圧)を得ることができるので、最終的に取り出せる直流電圧も数十V〜数百Vまで高めることができる。しかも、MEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)による非常に高いQ値を利用しているので、高効率の昇圧回路とすることができる。
ところで、上述した実施例1〜3では、図1に示す静電誘導型電気機械変換素子1を用いてナノピンセットや振動発電素子を構成したが、静電誘導型電気機械変換素子1としては図1に示す構成に限らず、下記の変形例に示すような構成の静電誘導型電気機械変換素子1を用いても良い。
(静電誘導型電気機械変換素子1の変形例1)
図11は、静電誘導型電気機械変換素子1の第1の変形例を示す図である。なお、図1に示す静電誘導型電気機械変換素子1と同様の構成要素には同一符号を付した。図11は、静電誘導型電気機械変換素子1の可動部10、櫛歯電極部101,112,ベース部110、固定電極111および孤立櫛歯113aの各立体形状を示す斜視図である。
図11の静電誘導型電気機械変換素子1においては、可動部10はx方向に移動可能に弾性支持されており、櫛歯電極部101は櫛歯電極部112対してx方向にずれることになる。孤立櫛歯113aは、図1の孤立櫛歯113に対応するものであり、比誘電率が1よりも大きい材料で形成されている。図1の構成では、孤立櫛歯113は櫛歯電極部101,112の間に配置されていたが、図11の孤立櫛歯113aは櫛歯電極部101の先端に対向するように配置されている。そのため、櫛歯電極部101の先端から出た電気力線は、孤立櫛歯113aを通って櫛歯電極部112に入ることになる。そのため、孤立櫛歯113aを設けていない図2の構成に比べて、静電容量および静電容量の変化を向上させることができる。
(静電誘導型電気機械変換素子1の変形例2)
図12は、静電誘導型電気機械変換素子1の第2の変形例を示す図である。なお、図1に示す静電誘導型電気機械変換素子1と同様の構成要素には同一符号を付した。図12(a)は、静電誘導型電気機械変換素子1の可動部10、櫛歯電極部101,112,ベース部110、固定電極111および孤立櫛歯113bを示す正面図である。一方、図12(b)は、静電誘導型電気機械変換素子1の櫛歯電極部112,ベース部110、固定電極111および孤立櫛歯113bを背面側から見た斜視図である。
図12の場合も、図11に示す場合と同様に、可動部10はx方向に移動可能に弾性支持されており、櫛歯電極部101は櫛歯電極部112対してx方向にずれることになる。孤立櫛歯113bは、図11の孤立櫛歯113aに対応するものであり、支持部117を介して櫛歯電極部112に固定されている。この支持部117は、図5F,図5Gに示すステップにおいて、ベース部110をエッチングで形成する際に同時に形成される。支持部117は、Si層31とSiO層32とで形成されており、Si層31は絶縁体であるSiO層32を介して櫛歯電極部112および孤立櫛歯113bと接続されている。そのため、櫛歯電極部112と孤立櫛歯113bとは、電気的に絶縁されている。なお、孤立櫛歯113b自体が十分な絶縁性(100MΩ・cm以上)を有するものであれば、Si材等を介して櫛歯電極部112と繋がっていても構わない。
(静電誘導型電気機械変換素子1の変形例3)
図13は、静電誘導型電気機械変換素子1の第3の変形例を示す図である。第3変形例は、図12に示す第2変形例をさらに変形したものであり、孤立櫛歯113bは複数の梁115によって支持されている。図13(b)は、梁115が形成されている部分の斜視図である。梁115は非常に薄い板状の部材であり、例えば、厚さ寸法が1μm以下の矩形断面を有している。梁115は、櫛歯電極部112および孤立櫛歯113bを形成する際に、SOI基板のSi層33によって同時に形成される。
櫛歯電極部101にエレクトレット形成のためにSi層33を熱酸化した際に、梁115は非常に薄いために梁115全体が熱酸化され絶縁性のSiOとなる。その結果、櫛歯電極部112と孤立櫛歯113bとが電気的に絶縁されことになる。
(静電誘導型電気機械変換素子1の変形例4)
図14は、静電誘導型電気機械変換素子1の第4の変形例を示す図である。図14(a)は静電誘導型電気機械変換素子1の平面図、図14(b)はA−A断面図である。図1や、図11〜13に示した静電誘導型電気機械変換素子1においては、可動側と固定側のそれぞれに櫛歯電極部を設け、それら櫛歯電極部間に比誘電率が1よりも大きな材料で形成された孤立櫛歯を配置するようにした。
一方、図14に示す静電誘導型電気機械変換素子1では、両方の櫛歯電極部112、116を固定側に設け、可動部10に電気的に絶縁された櫛歯107を形成するようにした。可動部10が図示左右に振動すると、櫛歯電極部112,116間に配置された櫛歯107の挿入量が変化し、静電容量が変化する。これは、図4(c)に示したモデルに対応する。
図14(b)のA−A断面図に示すように、固定部10はSOI基板のSi層33、SiO層32およびSi層31で形成されている。Si層31は、二点鎖線で示すB部分がエッチングにより削除されている。櫛歯107は、SiO層32を介してSi層31上に形成されている。例えば、櫛歯電極部116は接地電位とされ、櫛歯電極部112はプラス電位とされる。図14の静電誘導型電気機械変換素子1をアクチュエータとして使用する場合には、櫛歯電極部112の電位を変化させることで、櫛歯107の挿入量を変化させる。また、振動発電素子として用いる場合には、櫛歯電極部112に上述したエレクトレットを形成して、プラス電位とする。
図14の構成の場合、比誘電率の十分に高い櫛歯107が、櫛歯電極112,116間の空隙を移動することで静電容量変化を与える構造である。容量変化を引き上げるには、櫛歯107の比誘電率をかなり高くする必要が有るが、高い電圧を印加できる構造なので、高性能のエレクトレットを形成することができる。
以上説明したように、本発明では、図1に示したように、複数の櫛歯電極部112を有する固定電極111と、複数の櫛歯電極部112に対して隙間を介して歯合するように配設された複数の櫛歯電極部101を有する第2電極(可動部10)と、櫛歯電極部112と櫛歯電極部101との間の電場形成空間に配設され、比誘電率が1よりも大きな材料から成る複数の誘電体部材(孤立櫛歯113)と、櫛歯電極部101と孤立櫛歯113とが相対変位するように、固定電極111および孤立櫛歯113はベース部110に固定支持され、櫛歯電極部101が形成された可動部10はベース部110に可動支持されている。
このように、櫛歯電極部101,112間の隙間に比誘電率が1よりも大きな誘電体部材を配置することで、静電誘導型電気機械変換素子の静電容量や、櫛歯電極部101,112間のオーバーラップ面積が変化した時の静電容量変化を、より大きくすることができる。
さらに、MEMS技術における櫛歯は微少構造であるため、櫛歯表面に誘電体膜を形成すると櫛歯自体に反りが生じるという問題があるが、上述のように櫛歯電極部間の電場形成空間に配設する構成(例えば、孤立配置構造や充填による形成構造)としたので、櫛歯の反りという問題を避けることができる。誘電体部材の配置構造としては、図1に示すように櫛歯電極部101,112間の電場形成空間に誘電体部材を配置しても良いし、図11に示すように、櫛歯電極部101の先端側の電場形成空間に、櫛歯電極部101の先端と隙間を介して対向配置するようにしても良い。
本実施の形態における手法を用いれば、従来と同等のプロセスルールにて、静電容量を向上させたエレクトレット形静電アクチュエータ、あるいはより高電圧の電界をもつエレクトレット型静電アクチュエータを形成することができる。また、櫛歯間隔を狭くしたりして高電圧を印加せずとも、高出力を得ることのできるエレクトレット型静電アクチュエータを形成することが可能になる。あるいは、ギャップをある程度広げても容量を落とさずにすむので、そのぶん高電圧を印加することも可能である。なお、エレクトレットを用いない外部バイアス電圧タイプの静電型電気機械変換素子においても、容量変化を向上させ、S/N比や出力レベルを向上させることができる。
なお、図1に示す例ではベース部に固定支持され第1櫛歯電極部および誘電体部材に対して第2櫛歯電極部を移動させるようにしたが、固定側に第2櫛歯電極部を設け、それに対して可動部側の第1櫛歯電極部および誘電体部材を移動させるような構造としても良い。また、図14に示す例では、固定側に設けられた一対の櫛歯電極部に対して、誘電体部材を移動させるようにしたが、誘電体部材を固定側に設け、それに対して一対の櫛歯電極部を移動させるようか構造としても良い。
なお、上述した実施の形態では、櫛歯構造の静電アクチュエータを例に説明したが、本発明は櫛歯構造に限らず、図16に示すような薄膜型の静電アクチュエータにも適用できる。図16は、コンデンサ型マイクロフォンの概略構成を示す図であり、可動薄膜51とバックプレート50とを備えている。そして、可動薄膜51とバックプレート50との間のギャップ空間には、比誘電率が1よりも大きな誘電体板53が隙間を介して配置されている。バックプレート50は接地電位とされ、可動薄膜51はプラス電位とされる。誘電体板53は、絶縁層52によって可動薄膜51およびバックプレート50から絶縁されている。
図示下方から音波が入力すると、音圧により可動薄膜が振動し静電容量が変化する。図16に示すマイクロフォンでは誘電体板53を備えているので、静電容量およびその変化が大きくなり、出力も大きくなる。誘電体板53はそれ自体がチャージすることもあるので、スティッキング防止のディンプルなどを表面に設けることが望ましい。また、誘電体表面に導体を形成し、必要に応じてチャージを逃がせるようにしてもよい。さらに誘電体板53の対向電極側にもう一層絶縁層があっても差し支えはない。
上述した各実施形態はそれぞれ単独に、あるいは組み合わせて用いても良い。それぞれの実施形態での効果を単独あるいは相乗して奏することができるからである。また、本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではない。
1,100:静電誘導型電気機械変換素子、10:可動部、11:固定部、20:ナノピンセット、40:振動発電素子、50:昇圧回路、101、112,112A,112B,116:櫛歯電極部、104,114:把持部、110:ベース部、111,111A,111B:固定電極、113,113a,113b:孤立櫛歯、200:駆動制御部

Claims (9)

  1. 複数の第1櫛歯電極部を有する第1電極と、
    前記複数の第1櫛歯電極部に対して隙間を介して歯合するように配設された複数の第2櫛歯電極部を有する第2電極と、
    前記第1櫛歯電極部と前記第2櫛歯電極部との間の電場形成空間に配設され、比誘電率が1よりも大きな材料から成る複数の誘電体部材と、
    前記第1電極および/または前記第2電極と前記誘電体部材とが相対変位するように、前記第1電極、前記第2電極および前記誘電体部材の各々を固定支持または可動支持するベース部と、を備えることを特徴とする静電誘導型電気機械変換素子。
  2. 請求項1に記載の静電誘導型電気機械変換素子において、
    前記第1電極および前記誘電体部材は前記ベース部に固定支持され、前記第2電極は可動支持されていることを特徴とする静電誘導型電気機械変換素子。
  3. 請求項1に記載の静電誘導型電気機械変換素子において、
    前記第1電極および前記第2電極は前記ベース部に固定支持され、誘電体部材は可動支持されていることを特徴とする静電誘導型電気機械変換素子。
  4. 請求項2または3に記載の静電誘導型電気機械変換素子において、
    前記誘電体部材は、前記第1櫛歯電極部と前記第2櫛歯電極部との隙間に配置されることを特徴とする静電誘導型電気機械変換素子。
  5. 請求項2に記載の静電誘導型電気機械変換素子において、
    前記誘電体部材は、前記第2櫛歯電極部の先端と隙間を介して対向配置され、
    前記第2電極は、前記第2櫛歯電極部の先端から前記誘電体部材に向かう第1方向、および、前記第2櫛歯電極部から前記第1櫛歯電極部に向かう第2方向の、両方に直交する方向に、変位可能に可動支持されていることを特徴とする静電誘導型電気機械変換素子。
  6. 請求項2乃至5のいずれか一項に記載の静電誘導型電気機械変換素子において、
    可動支持されている前記第2電極または前記誘電体部材の運動エネルギーを電気エネルギーに変換して出力することを特徴する静電誘導型電気機械変換素子。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の静電誘導型電気機械変換素子において、
    前記第1櫛歯電極部および前記第2櫛歯電極部の少なくとも一方の表面には、アルカリイオンを含むSiO層から成るエレクトレットが形成されていることを特徴とする静電誘導型電気機械変換素子。
  8. 請求項2に記載の静電誘導型電気機械変換素子において、
    複数の第3櫛歯電極部を有し、前記ベース部に設けられる第3電極と、
    前記複数の第3櫛歯電極部に対して隙間を介して歯合するように配設された複数の第4櫛歯電極部を有し、前記可動部に設けられる第4電極と、をさらに備え、
    前記複数の誘電体部材および前記第2電極は前記固定部に固定され、前記第3電極から昇圧出力が取り出されることを特徴とする静電誘導型電気機械変換素子。
  9. 開閉自在に設けられた一対の把持部と、
    前記一対の把持部の少なくとも一方に対応して設けられた請求項4に記載の静電誘導型電気機械変換素子と、
    前記静電誘導型電気機械変換素子の前記第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加して、該静電誘導型電気機械変換素子により前記把持部を開閉駆動させる駆動制御部と、を備えることを特徴とするナノピンセット。
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