JP2014229769A - 電子部品装置の製造方法 - Google Patents

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裕之 千歳
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Abstract

【課題】 封止用シートの電子部品への追従性を高めることが可能な電子部品装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】 複数の電子部品が被実装体に実装された積層体を準備する工程Aと、外周の長さが500mm以上である熱硬化性の封止用シートを準備する工程Bと、加熱板上に積層体を電子部品が実装された面を上にして配置するとともに、積層体の電子部品が実装された面上に封止用シートを配置する工程Cと、工程Cの後、熱プレスして、電子部品を封止シートに埋め込んで封止する工程Dとを具備する半導体装置の製造方法。
【選択図】 図4

Description

本発明は、電子部品装置の製造方法に関する。
近年、実装基板上に実装された電子部品の封止に使用される封止用シートが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、実装基板上に実装された電子部品上に封止用シートを配置し、封止用シートを所定条件でプレスすることにより、電子部品を封止用シートに埋め込み、その後、封止用シートを硬化させることにより、電子部品が封止された電子部品装置が作製されることが記載されている。
特開2013−7028号公報
電子部品を封止用シートに埋め込む場合、その後のプロセスでの不具合を軽減させる観点から、封止用シートの電子部品への追従性が高いことが望まれる。
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、封止用シートの電子部品への追従性を高めることが可能な電子部品装置の製造方法を提供することにある。
本願発明者等は、下記の構成を採用することにより、前記の課題を解決できることを見出して本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、電子部品装置の製造方法であって、
複数の電子部品が被実装体に実装された積層体を準備する工程Aと、
外周の長さが500mm以上である熱硬化性の封止用シートを準備する工程Bと、
加熱板上に前記積層体を前記電子部品が実装された面を上にして配置するとともに、前記積層体の前記電子部品が実装された面上に前記封止用シートを配置する工程Cと、
前記工程Cの後、熱プレスして、前記電子部品を前記封止用シートに埋め込む工程Dとを具備することを特徴とする。
本発明に係る電子部品装置の製造方法によれば、加熱板上に前記積層体を前記電子部品が実装された面を上にして配置するとともに、前記積層体の前記電子部品が実装された面上に前記封止用シートを配置する(工程C)。その後、熱プレスして、前記電子部品を前記封止用シートに埋め込む(工程D)。従って、加熱板と封止用シートとの間に積層体を介在させた状態で電子部品を封止用シートに埋め込む工程が行なわれる。加熱板と封止用シートとの間に積層体が介在しているため、加熱板の熱は、封止用シートに伝わり難くなっている。その結果、封止用シートは熱硬化しにくい状態となり、低粘度の状態、すなわち、流動性の高い状態を維持することができる。そして、この状態で埋め込み工程が行なわれる。その結果、封止用シートの電子部品への追従性を高めることができる。
特に、複数の電子部品を外周の長さが500mm以上という大面積の封止用シートにて封止する場合、封止用シートの電子部品への追従性は、より高いことが要望される。
本発明では、加熱板と封止用シートとの間に積層体が介在しているため、複数の電子部品を外周の長さが500mm以上という大面積の封止用シートにて封止する場合にも、封止用シートの電子部品への充分な追従性を確保することが可能となる。
なお、封止用シートの外周の長さとは、封止用シートにおける外側の周りの長さ全体をいい、例えば、封止用シートが矩形の場合は、[(縦の長さ)×2+(横の長さ)×2]のことをいい、封止用シートが円形の場合は、円周全体の長さ[2×π×(半径)]を言う。
前記構成において、前記封止用シートは、混練物を塗工して形成されたものであることが好ましい。混練物を塗工して封止用シートを形成すると、厚みの調整が容易となる。また、封止用シート形成時に空気の噛み込みが抑制される。特に、外周の長さが500mm以上という大面積の封止用シートとする場合には、空気の噛み込みの抑制が顕著となる。このように、前記構成によれば、厚み調整が容易であり且つ歩留りの高い封止用シートが得られる。その結果、当該封止用シートを使用して製造される電子部品装置の信頼性を向上させることができる。
前記構成において、前記封止用シートの0〜200℃における最低溶融粘度が100000Pa・s以下であることが好ましい。前記封止用シートの0〜200℃における最低溶融粘度が100000Pa・s以下であると、電子部品の封止用シートへの埋め込み性を向上させることができる。
本発明によれば、封止用シートの電子部品への追従性を高めることが可能な電子部品装置の製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る電子部品装置の製造方法を説明するための断面模式図である。 本発明の一実施形態に係る電子部品装置の製造方法を説明するための断面模式図である。 本発明の一実施形態に係る電子部品装置の製造方法を説明するための断面模式図である。 本発明の一実施形態に係る電子部品装置の製造方法を説明するための断面模式図である。 本発明の一実施形態に係る電子部品装置の製造方法を説明するための断面模式図である。 本発明の一実施形態に係る電子部品装置の製造方法を説明するための断面模式図である。 実施例における埋め込み性評価の方法を説明するための正面模式図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。ただし、本発明はこれらの実施形態のみに限定されるものではない。
本実施形態に係る電子部品装置の製造方法は、
複数の電子部品が被実装体に実装された積層体を準備する工程Aと、
外周の長さが500mm以上である熱硬化性の封止用シートを準備する工程Bと、
加熱板上に前記積層体を前記電子部品が実装された面を上にして配置するとともに、前記積層体の前記電子部品が実装された面上に前記封止用シートを配置する工程Cと、
前記工程Cの後、熱プレスして、前記電子部品を前記封止シートに埋め込んで封止する工程Dととを少なくとも具備する。
前記電子部品としては、被実装体に実装され、電子部品としての機能を発揮するものであれば、特に限定されないが、例えば、SAW(Surface Acoustic Wave)フィルタ;圧力センサ、振動センサなどのMEMS(Micro Electro Mechanical Systems);LSIなどのIC、トランジスタなどの半導体素子;コンデンサ;抵抗などの電子デバイスを挙げることできる。
前記被実装体としては、特に限定されないが、プリント配線基板、半導体ウエハ等を挙げることができる。
前記積層体の具体例としては、前記電子部品として半導体素子(例えば、半導体チップ)を用いるとともに前記被実装体として半導体ウエハを用い、CoW(chip on wafer)接続を施したものを挙げることができる。
以下、前記電子部品として半導体チップ、前記被実装体として半導体ウエハを使用した場合について説明する。
図1〜図6は、本発明の一実施形態に係る電子部品装置の製造方法を説明するための断面模式図である。
[積層体を準備する工程]
図1に示すように、本実施形態に係る電子部品装置の製造方法では、まず、複数の半導体チップ23が半導体ウエハ22に実装された積層体20を準備する(工程A)。半導体チップ23は、回路が形成された半導体ウエハを公知の方法でダイシングして個片化することにより形成できる。半導体チップ23の半導体ウエハ22への搭載には、フリップチップボンダーやダイボンダーなどの公知の装置を用いることができる。半導体チップ23と半導体ウエハ22とはバンプ(図示せず)などの突起電極を介して電気的に接続されている。また、半導体チップ23と半導体ウエハ22との間の距離は適宜設定でき、一般的には15〜50μm程度である。この間隙には、封止樹脂(アンダーフィル)を充填してもよい。
[封止用シートを準備する工程]
また、本実施形態に係る電子部品装置の製造方法では、図2に示すように、外周の長さが500mm以上である熱硬化性の封止用シート10を準備する(工程B)。封止用シート10は、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどの支持体上に積層された状態で準備してもよい。この場合、支持体には封止用シート10の剥離を容易に行うために離型処理が施されていてもよい。
(封止用シート)
封止用シート10は、外周の長さが500mm以上であり、800mm以上であることが好ましい。また、封止用シート10の外周の長さの上限は特に限定されないが、実用的な範囲を考慮して、例えば3000mm以下とすることができる。複数の半導体チップ23を外周の長さが500mm以上という大面積の封止用シート10にて封止する場合、封止用シート10の半導体チップ23への追従性は、より高いことが要望される。本実施形態では、後述するように、加熱板32と封止用シート10との間に積層体20が介在しているため(図3参照)、複数の半導体チップ23を外周の長さが500mm以上という大面積の封止用シート10にて封止する場合にも、封止用シート10の半導体チップ23への充分な追従性を確保することが可能となる。
封止用シート10は、エポキシ樹脂、及び、硬化剤としてのフェノール樹脂を含むことが好ましい。これにより、良好な熱硬化性が得られる。
前記エポキシ樹脂としては、特に限定されるものではない。例えば、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂などの各種のエポキシ樹脂を用いることができる。これらエポキシ樹脂は単独で用いてもよいし2種以上併用してもよい。
エポキシ樹脂の硬化後の靭性及びエポキシ樹脂の反応性を確保する観点からは、エポキシ当量150〜250、軟化点もしくは融点が50〜130℃の常温で固形のものが好ましく、なかでも、信頼性の観点から、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂がより好ましい。
前記フェノール樹脂は、エポキシ樹脂との間で硬化反応を生起するものであれば特に限定されるものではない。例えば、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、クレゾールノボラック樹脂、レゾール樹脂などが用いられる。これらフェノール樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
前記フェノール樹脂としては、エポキシ樹脂との反応性の観点から、水酸基当量が70〜250、軟化点が50〜110℃のものを用いることが好ましく、なかでも硬化反応性が高いという観点から、フェノールノボラック樹脂を好適に用いることができる。また、信頼性の観点から、フェノールアラルキル樹脂やビフェニルアラルキル樹脂のような低吸湿性のものも好適に用いることができる。
エポキシ樹脂とフェノール樹脂の配合割合は、硬化反応性という観点から、エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対して、フェノール樹脂中の水酸基の合計が0.7〜1.5当量となるように配合することが好ましく、より好ましくは0.9〜1.2当量である。
封止用シート10中のエポキシ樹脂及びフェノール樹脂の合計含有量は、2.5重量%以上が好ましく、3.0重量%以上がより好ましい。2.5重量%以上であると、電子部品、被実装体などに対する接着力が良好に得られる。封止用シート10中のエポキシ樹脂及びフェノール樹脂の合計含有量は、20重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好ましい。20重量%以下であると、吸湿性を低減できる。
封止用シート10は、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。これにより、未硬化時のハンドリング性や、硬化物の低応力性が得られる。
前記熱可塑性樹脂としては、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリブタジエン樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、6−ナイロンや6,6−ナイロンなどのポリアミド樹脂、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、PETやPBTなどの飽和ポリエステル樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フッ素樹脂、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。なかでも、低応力性、低吸水性という観点から、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体が好ましい。
封止用シート10中の熱可塑性樹脂の含有量は、1.5重量%以上が好ましく、2.0重量%以上がより好ましい。1.5重量%以上であると、柔軟性、可撓性が得られる。封止用シート10中の熱可塑性樹脂の含有量は、6重量%以下が好ましく、4重量%以下がより好ましい。4重量%以下であると、電子部品や被実装体との接着性が良好である。
封止用シート10は、無機充填剤を含むことが好ましい。
前記無機充填剤は、特に限定されるものではなく、従来公知の各種充填剤を用いることができ、例えば、石英ガラス、タルク、シリカ(溶融シリカや結晶性シリカなど)、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化ホウ素の粉末が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。なかでも、線膨張係数を良好に低減できるという理由から、シリカ、アルミナが好ましく、シリカがより好ましい。
シリカとしては、シリカ粉末が好ましく、溶融シリカ粉末がより好ましい。溶融シリカ粉末としては、球状溶融シリカ粉末、破砕溶融シリカ粉末が挙げられるが、流動性という観点から、球状溶融シリカ粉末が好ましい。なかでも、平均粒径が10〜30μmの範囲のものが好ましく、15〜25μmの範囲のものがより好ましい。
なお、平均粒径は、例えば、母集団から任意に抽出される試料を用い、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することにより導き出すことができる。
封止用シート10中の前記無機充填剤の含有量は、封止用シート10全体に対して、85〜95重量%であることが好ましく、より好ましくは、88〜95重量%である。前記無機充填剤の含有量が封止用シート10全体に対して85重量%以上であると、熱膨張率を低く抑えられることにより,熱衝撃よる機械的な破壊を抑制することができる。その結果、一方、前記無機充填剤の含有量が封止用シート10全体に対して95量%以下であると、柔軟性、流動性、接着性がより良好となる。
封止用シート10は、硬化促進剤を含むことが好ましい。
硬化促進剤としては、エポキシ樹脂とフェノール樹脂の硬化を進行させるものであれば特に限定されず、例えば、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートなどの有機リン系化合物;2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールなどのイミダゾール系化合物;などが挙げられる。なかでも、混練時の温度上昇によっても硬化反応が急激に進まず、封止用シート10を良好に作製できるという理由から、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾールが好ましい。
硬化促進剤の含有量は、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂の合計100重量部に対して0.1〜5重量部が好ましい。
封止用シート10は、難燃剤成分を含むことが好ましい。これにより、部品ショートや発熱などにより発火した際の、燃焼拡大を低減できる。難燃剤組成分としては、例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化鉄、水酸化カルシウム、水酸化スズ、複合化金属水酸化物などの各種金属水酸化物;ホスファゼン系難燃剤などを用いることができる。
少量でも難燃効果を発揮するという観点から、ホスファゼン系難燃剤に含まれるリン元素の含有率は、12重量%以上であることが好ましい。
封止用シート10中の難燃剤成分の含有量は、全有機成分(無機フィラーを除く)中、10重量%以上が好ましく、15重量%以上がより好ましい。10重量%以上であると、難燃性が良好に得られる。封止用シート10中の熱可塑性樹脂の含有量は、30重量%以下が好ましく、25重量%以下がより好ましい。30重量%以下であると、硬化物の物性低下(具体的には、ガラス転移温度や高温樹脂強度などの物性の低下)が少ない傾向がある。
封止用シート10は、シランカップリング剤を含むことが好ましい。シランカップリング剤としては特に限定されず、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
封止用シート10中のシランカップリング剤の含有量は、0.1〜3重量%が好ましい。0.1重量%以上であると、硬化物の強度が十分得られ吸水率を低くできる。3重量%以下であると、アウトガス量を低くできる。
封止用シート10は、顔料を含むことが好ましい。顔料としては特に限定されず、カーボンブラックなどが挙げられる。
封止用シート10中の顔料の含有量は、0.1〜2重量%が好ましい。0.1重量%以上であると、レーザーマーキング等によるマーキングをした際の良好なマーキング性が得られる。2重量%以下であると、硬化物強度が十分得られる。
なお、樹脂組成物には、上記の各成分以外に必要に応じて、他の添加剤を適宜配合できる。
封止用シート10の0〜200℃における最低溶融粘度は、100000Pa・s以下であることが好ましく、50000Pa・s以下であることがより好ましい。封止用シート10の0〜200℃における最低溶融粘度が100000Pa・s以下であると、半導体チップ23(電子部品)の封止用シート10への埋め込み性を向上させることができる。
また、封止用シート10の0〜200℃における最低溶融粘度は、1000Pa・s以上であることが好ましく、10000Pa・s以上であることがより好ましく、20000Pa・sより大きいことがさらに好ましく、25000Pa・sより大きいことが特にに好ましい。封止用シート10の0〜200℃における最低溶融粘度が1000Pa・s以上であると、積層体20の上に封止用シート10を配置した際、封止用シート10の外周部分(直下に電子部品がない部分)が垂れ下がることを抑制し、封止用シートと実装基板との間に空気が閉じ込められた状態でプレスされるのを抑制することができる。その結果、プレス後に得られる電子部品装置にボイドの発生が起りにくくなる。
封止用シート10の0〜200℃における最低溶融粘度は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、無機充填剤等の添加量によりコントロールすることができる。
封止用シート10は、単層構造であってもよいし、2以上の封止用シートを積層した多層構造であってもよいが、層間剥離のおそれがなく、シート厚の均一性が高くし易いという理由から、単層構造が好ましい。
封止用シート10の厚さは、特に限定されないが、封止用シートとして使用する観点から、例えば、50μm〜2000μmである。
封止用シート10の製造方法は特に限定されないが、封止用シート10を形成するための樹脂組成物の混練物を調製し、得られた混練物を塗工する方法や、得られた混練物をシート状に塑性加工する方法が好ましい。これにより、溶剤を使用せずに封止用シート10を作製できるので、電子部品(半導体チップ23)が揮発した溶剤により影響を受けることを抑制することができる。
具体的には、後述の各成分をミキシングロール、加圧式ニーダー、押出機などの公知の混練機で溶融混練することにより混練物を調製し、得られた混練物を塗工又は塑性加工によりシート状にする。混練条件として、温度は、上述の各成分の軟化点以上であることが好ましく、例えば30〜150℃、エポキシ樹脂の熱硬化性を考慮すると、好ましくは40〜140℃、さらに好ましくは60〜120℃である。時間は、例えば1〜30分間、好ましくは5〜15分間である。
混練は、減圧条件下(減圧雰囲気下)で行うことが好ましい。これにより、脱気できるとともに、混練物への気体の侵入を防止できる。減圧条件下の圧力は、好ましくは0.1kg/cm以下、より好ましくは0.05kg/cm以下である。減圧下の圧力の下限は特に限定されないが、例えば、1×10−4kg/cm以上である。
混練物を塗工して封止用シート10を形成する場合、溶融混練後の混練物は、冷却することなく高温状態のままで塗工することが好ましい。塗工方法としては特に制限されず、バーコート法、ナイフコート法,スロットダイ法等を挙げることができる。塗工時の温度としては、上述の各成分の軟化点以上が好ましく、エポキシ樹脂の熱硬化性および成形性を考慮すると、例えば40〜150℃、好ましくは50〜140℃、さらに好ましくは70〜120℃である。
混練物を塑性加工して封止用シート10を形成する場合、溶融混練後の混練物は、冷却することなく高温状態のままで塑性加工することが好ましい。塑性加工方法としては特に制限されず、平板プレス法、Tダイ押出法、スクリューダイ押出法、ロール圧延法、ロール混練法、インフレーション押出法、共押出法、カレンダー成形法などなどが挙げられる。塑性加工温度としては上述の各成分の軟化点以上が好ましく、エポキシ樹脂の熱硬化性および成形性を考慮すると、例えば40〜150℃、好ましくは50〜140℃、さらに好ましくは70〜120℃である。
なお、封止用シート10は、適当な溶剤に封止用シート10を形成するための樹脂等を溶解、分散させてワニスを調整し、このワニスを塗工して得ることもできる。
[封止用シートと積層体とを配置する工程]
積層体を準備する工程(工程A)、及び、封止用シートを準備する工程(工程B)の後、図3に示すように、下側加熱板32上に積層体20を半導体チップ23が実装された面を上にして配置するとともに、積層体20の半導体チップ23が実装された面上に封止用シート10を配置する(工程C)。この工程Cにおいては、下側加熱板32上にまず積層体20を配置し、その後、積層体20上に封止用シート10を配置してもよく、積層体20上に封止用シート10を先に積層し、その後、積層体20と封止用シート10とが積層された積層物を下側加熱板32上に配置してもよい。
[電子部品を封止用シートに埋め込む工程]
前記工程Cの後、図4に示すように、下側加熱板32と上側加熱板34とにより熱プレスして、半導体チップ23(電子部品)を封止用シート10に埋め込む(工程D)。封止用シート10は、半導体チップ23及びそれに付随する要素を外部環境から保護するための封止樹脂として機能することとなる。これにより、半導体ウエハ22上に実装されている半導体チップ23が封止用シート10に埋め込まれた構造体26が得られる。
半導体チップ23を封止用シート10に埋め込む際の熱プレス条件としては、温度が、例えば、40〜100℃、好ましくは50〜90℃であり、圧力が、例えば、0.1〜10MPa、好ましくは0.5〜8MPaであり、時間が、例えば0.3〜10分間、好ましくは0.5〜5分間である。これにより、半導体チップ23が封止用シート10に埋め込まれた電子部品装置を得ることができる。また、封止用シート10の半導体チップ23及び半導体ウエハ22への密着性および追従性の向上を考慮すると、減圧条件下においてプレスすることが好ましい。
前記減圧条件としては、圧力が、例えば、0.1〜5kPa、好ましくは、0.1〜100Paであり、減圧保持時間(減圧開始からプレス開始までの時間)が、例えば、5〜600秒であり、好ましくは、10〜300秒である。
[熱硬化工程]
次に、封止用シート10を熱硬化処理して電子部品装置28を形成する(図5参照)。具体的には、例えば、半導体ウエハ22上に実装されている半導体チップ23が封止用シート10に埋め込まれた構造体26全体を加熱することにより封止体28を得る。
熱硬化処理の条件として、加熱温度が好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上である。一方、加熱温度の上限が、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下である。加熱時間が、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上である。一方、加熱時間の上限が、好ましくは180分以下、より好ましくは120分以下である。また、必要に応じて加圧してもよく、好ましくは0.1MPa以上、より好ましくは0.5MPa以上である。一方、上限は好ましくは10MPa以下、より好ましくは5MPa以下である。
[ダイシング工程]
続いて、封止体28のダイシングを行ってもよい(図6参照)。これにより、半導体チップ23単位での電子部品装置29を得ることができる。
[基板実装工程]
必要に応じて、電子部品装置29に対して(半導体ウエハ22の半導体チップ23とは反対側の面に対して)再配線及びバンプを形成し、これを別途の基板(図示せず)に実装する基板実装工程を行うことができる。電子部品装置29の前記別途の基板への実装には、フリップチップボンダーやダイボンダーなどの公知の装置を用いることができる。この基板実装工程を行なった場合、FOWLP(ファンアウト型ウエハレベルパッケージ)を得ることができる。
以上、本実施形態に係る電子部品装置の製造方法によれば、下側加熱板32上に積層体20を半導体チップ23が実装された面を上にして配置するとともに、積層体20の半導体チップ23が実装された面上に封止用シート10を配置する(工程C)。その後、熱プレスして、半導体チップ23を封止用シート10に埋め込む(工程D)。従って、下側加熱板32と封止用シート10との間に積層体20を介在させた状態で半導体チップ23を封止用シート10に埋め込む工程が行なわれる。下側加熱板32と封止用シート10との間に積層体20が介在しているため、下側加熱板32の熱は、封止用シート10に伝わり難くなっている。その結果、封止用シート10は熱硬化しにくい状態となり、低粘度の状態、すなわち、流動性の高い状態を維持することができる。そして、この状態で埋め込み工程が行なわれる。その結果、封止用シート10の半導体チップ23への追従性を高めることができる。
特に、複数の半導体チップ23を外周の長さが500mm以上という大面積の封止用シート10にて封止する場合、封止用シート10の半導体チップ23への追従性は、より高いことが要望される。
本実施形態では、下側加熱板32と封止用シート10との間に積層体20が介在しているため、複数の半導体チップ23を外周の長さが500mm以上という大面積の封止用シート10にて封止する場合にも、封止用シート10の半導体チップ23への充分な追従性を確保することが可能となる。
上述した実施形態では、本発明の電子部品として半導体チップ23、被実装体として半導体ウエハ22を使用した場合について説明したが、本発明はこの例に限定されず、前記電子部品として半導体チップ以外のものを使用し、前記被実装体として半導体ウエハ以外のものを使用した場合にも上記電子部品装置の製造方法を適用することができる。
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている材料や配合量などは、特に限定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
実施例で使用した成分について説明する。
エポキシ樹脂a:新日鐵化学(株)製のYSLV−80XY(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキン当量200g/eq、軟化点80℃)
フェノール樹脂a:明和化成社製のMEH−7851−SS(ビフェニルアラルキル骨格を有するフェノール樹脂、水酸基当量203g/eq、軟化点67℃)
無機充填剤a:電気化学工業社製のFB−9454FC(溶融球状シリカ、平均粒子径20μm)
硬化促進剤a:四国化成工業社製の2PHZ−PW(2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール)
熱可塑性樹脂a:カネカ社製のSIBSTER 072T(スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体)
(封止用シートの作成)
実施例1〜2、比較例1
表1に記載の配合比に従い、各成分を配合し、ロール混練機により60〜120℃、10分間、減圧条件下(0.01kg/cm)で溶融混練し、混練物を調製した。次いで、得られた混練物を、120℃の条件下、スロットダイ法により塗工してシート状に形成し、表1に示す厚さの封止用シートを作製した。なお、実施例、比較例の封止用シートの外周の長さは、いずれも1400mm(縦350mm×横350mm)とした。
(最低溶融粘度の測定)
粘弾性測定装置ARES(レオメトリックス・サイエンティフィック社製)を用いて各サンプルを測定したときの0〜200℃における溶融粘度の最低値を最低溶融粘度とした。測定条件は、昇温速度10℃/min、ひずみ:20%、周波数:0.1Hzとした。結果を表1に示す。
(電子部品が実装された基板の準備)
電子部品が実装された基板を準備した。基板には、直径300mm、厚さ700μmの半導体ウェハを用いた。電子部品は、縦10mm、10mm、厚さ500μmの半導体チップを用い、前記基板上に10mmの間隔(1の電子部品の端部と隣の電子部品の端部との距離)をあけて、縦14個×横14個に実装した。なお、パンプの高さは、50μmである。
(評価用サンプルの作成)
実施例1〜2については、瞬時真空積層装置VS008−1515(ミカドテクノス(株)製)の下側加熱板上に、電子部品が実装された面を上にして前記基板を配置し、その上に、封止用シートを配置した。その後、減圧下で熱プレスした。
比較例1については、瞬時真空積層装置VS008−1515(ミカドテクノス(株)製)の下側加熱板上に、封止用シートを配置し、その上に、電子部品が実装された面を下にして前記基板を配置した。その後、減圧下で熱プレスした。熱プレス条件は、表1の通りである。
熱プレスの後、150℃のオーブンにて1時間加熱した。その後、室温(23℃)にまで自然冷却し、評価用サンプルとした。
(凹凸追従性評価)
測定顕微鏡システム(CCS−CORE PLUS、イノテック社製)を用い、各サンプルについて、基板の下面から封止用シートの上面までの厚さをランダムで30点、測定した。その際の最大値と最小値の差を算出し、この差が50μm未満である場合を○、50μm以上100μm未満の場合を△、100μm以上の場合を×として評価した。結果を表1に示す。
(埋め込み性の評価)
自動研磨装置(BUEHLER製、Automet250 Ecomet250)を用い、各サンプルを研磨して断面を観察した。図7は、実施例における埋め込み性評価の方法を説明するための正面模式図である。断面観察において、チップ端部から空隙の距離Z(図7参照)が200μm未満の場合を○、200μm以上500μm未満の場合を△、500μm以上の場合を×として評価した。結果を表1に示す。
Figure 2014229769
10 封止用シート
20 積層体
22 半導体ウエハ(被実装体)
23 半導体チップ(電子部品)
28 電子部品装置
32 下側加熱板

Claims (3)

  1. 複数の電子部品が被実装体に実装された積層体を準備する工程Aと、
    外周の長さが500mm以上である熱硬化性の封止用シートを準備する工程Bと、
    加熱板上に前記積層体を前記電子部品が実装された面を上にして配置するとともに、前記積層体の前記電子部品が実装された面上に前記封止用シートを配置する工程Cと、
    前記工程Cの後、熱プレスして、前記電子部品を前記封止シートに埋め込んで封止する工程Dとを具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 前記封止用シートは、混練物を塗工して形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
  3. 前記封止用シートの0〜200℃における最低溶融粘度が100000Pa・s以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品装置の製造方法。
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