JP2014229490A - 電池用固体電解質の製造方法 - Google Patents

電池用固体電解質の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】焼成時のリチウムの揮発による消失を抑えるとともに、原料の粉体混合物を均一かつ迅速に加熱することで、リチウム−ランタン−ジルコニウム酸化物からなる、サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池用固体電解質を簡潔な工程により製造する方法を提供する。【解決手段】リチウム化合物、ランタン化合物およびジルコニウム化合物を粉砕混合した後、混合物を加熱する第1焼成工程と、第1焼成工程で得られる焼成物にγ−アルミナを混合して成形した後、成形体を加熱する第2焼成工程とからなる固体電解質の製造方法であって、前記第1焼成工程及び第2焼成工程における加熱手段としてマイクロ波を用いることで、焼成中のリチウムの揮発を抑えたリチウムイオン二次電池用の固体電解質を製造する。【選択図】なし

Description

本発明は、電池用固体電解質の製造方法およびその用途に関する。詳細には、リチウム化合物、ランタン化合物およびジルコニウム化合物を、マイクロ波を用いて2段階で焼成することで得られる、電池用固体電解質の製造方法およびその用途に関する。
近年、AV機器、パソコンなどの電子機器や通信機器などのポータブル化やコードレス化が急速に進展している。これらの電子機器や通信機器の電源として、エネルギー密度が高く負荷特性の優れた二次電池が要望されており、高電圧、高エネルギー密度で、サイクル特性に優れているリチウムイオン二次電池の利用が拡大している。
しかしながら、これらのリチウムイオン二次電池では、通常、電解質としてリチウム塩を炭酸エステルなどの有機溶媒に溶解した電解液が用いられており、そのため短絡や過充電などの異常の発生によって電池が過度に加熱された場合に、電解液が発火あるいは爆発し火災事故に繋がる恐れがある。また、電池の破損等によって電解液が漏洩した場合にも、周囲の状況によっては漏洩した電解液が発火、燃焼する恐れがある。
そこで、リチウム二次電池の安全性を確保するために、電解質として固体の電解質を用いることが試みられている。固体の電解質としては、有機、無機の種々の化合物が検討されており、有機化合物としてはリチウム塩を溶解したポリアルキレンオキシドなどの高分子化合物、無機化合物としてはリチウムを含む金属酸化物や硫化物あるいはリン酸塩化合物などが提案されている。
これらの固体電解質のうち、リチウムを含む金属酸化物としては、例えば、ジルコニウムを含有するリチウムとニオブの酸化物(特許文献1参照)や、ケイ素を含有するリチウム−チタン−ランタン酸化物(特許文献2参照)、あるいは、β−アルミナのアルミニウムの一部をリチウムに置換したLi−β−アルミナ(特許文献3参照)などが開示されているが、なかでも、化学的安定性や電極反応における安定性、あるいはイオン伝導性が高いことから、ガーネット型の結晶構造を有するリチウム−ランタン−ジルコニウム酸化物が注目されている。
ガーネット型のリチウム−ランタン−ジルコニウム酸化物は、基本組成がLiLaZr12で表され、原料となるリチウム化合物、ランタン化合物およびジルコニウム化合物の粉体を混合して焼成することで製造されるが、リチウムが比較的揮発し易いため、焼成工程の間にリチウムが失われ、得られたリチウム−ランタン−ジルコニウム酸化物の組成が目的とする基本組成とは異なったものとなることがある。
そこで、最終的に得られるリチウム−ランタン−ジルコニウム酸化物の組成を基本組成に近づけるために、原料のリチウム化合物を多めに仕込んで焼成する方法や、焼成の途中段階でリチウム化合物を添加する方法などが提案されている。
前者の原料リチウム化合物を多めに仕込む方法として、例えば、特許文献4では、その実施例で、炭酸リチウム粉末、酸化ランタン粉末および酸化ジルコニウム粉末を混合する際に、炭酸リチウムを化学量論量より1割多く用いて乳鉢で混合し、900℃で5時間仮焼成、放冷後、再度乳鉢で粉砕して980℃で5時間本焼成、更に放冷後乳鉢で粉砕して980℃で5時間再焼成してLiLaZr12多結晶体を得ること、そして得られた多結晶体を1000℃で4時間焼成して燒結体を製造する方法が開示されている。
後者の焼成の途中段階でリチウム化合物を添加する方法として、例えば、特許文献5では、その実施例で、次のような方法が開示されている。すなわち、LiCO、La(OH)、ZrOをLiLaZr12の基本組成の化学量論比になるように秤量し、エタノール中遊星ボールミルで混合粉砕して、950℃で10時間仮焼する。次いで、本焼成でのLiの欠損も補う目的で、LiCOを5atmic%添加し、エタノール中遊星ボールミルで粉砕混合した後、950℃で5時間再度仮焼し、得られた粉末を成形し1150℃で36時間本焼成を行うという方法である。
しかしながら、原料として用いるリチウム化合物の種類や粒子径によって、焼成温度や時間などの最適な焼成条件が異なり、それに応じて焼成中に失われるリチウムの量も変化するため、特許文献4〜5の方法では、目的とする組成のリチウム−ランタン−ジルコニウム酸化物を得るためには、原料のリチウム化合物の種類や性状によって、仕込むリチウム化合物の量を調整したり、焼成工程の途中で添加するリチウム化合物の量を調整する必要があり、製造工程が煩雑となる。
また、特許文献4〜5に開示された方法等においては、焼成は外部からの加熱により行われており、こうした外部加熱の場合には、原料のリチウム化合物、ランタン化合物およびジルコニウム化合物の粉体混合物は、表面から加熱されるので、粉体の内部まで十分に焼成するためには長時間に亘る加熱が必要となり、その結果、揮発して失われるリチウムの量が多くなることが想定される。さらに、粒子表面と粒子内部との温度差により構成元素の分布状態に違いが生じ、微細な結晶構造に歪みが発生するなどの恐れがある。そのため、粒子の凝集や結晶構造の不均一性などの問題が起こり、得られたリチウム−ランタン−ジルコニウム酸化物をリチウムイオン二次電池などの固体電解質として使用した場合に、電池性能の低下に繋がることがある。
特開2012−230821号公報 特表2011−529243号公報 特開2011−079707号公報 特開2010−143785号公報 特開2010−102929号公報
本発明は、焼成時のリチウムの揮発による消失を抑えるとともに、原料の粉体混合物を均一かつ迅速に加熱することで、リチウム−ランタン−ジルコニウム酸化物からなる、サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池用固体電解質を、簡潔な工程により製造する方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明者等は鋭意検討した結果、リチウム化合物、ランタン化合物およびジルコニウム化合物の粉体を粉砕混合した後、得られた粉体を、マイクロ波を照射して焼成した後、γ−アルミナを添加しマイクロ波を照射して再度焼成することにより、焼成中のリチウムの揮発を抑えるとともに、サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池に使用することができる固体電解質を製造できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)リチウム化合物、ランタン化合物およびジルコニウム化合物を粉砕混合した後、混合物を加熱し、リチウム−ランタン−ジルコニウム酸化物を製造する第1焼成工程と、前記リチウム−ランタン−ジルコニウム酸化物にγ−アルミナを混合して成形した後、成形体を加熱する第2焼成工程とからなる固体電解質の製造方法であって、
前記第1焼成工程および第2焼成工程における加熱手段としてマイクロ波を用いることを特徴とする、電池用固体電解質の製造方法。
(2)前記第1焼成工程の焼成温度が800〜1000℃で、昇温速度が1000℃/h以上である、前記(1)に記載の電池用固体電解質の製造方法。
(3)前記第2焼成工程の焼成温度が900〜1100℃で、昇温速度が500℃/h以上である、前記(1)または(2)に記載の電池用固体電解質の製造方法。
(4)前記第1焼成工程において、リチウム化合物、ランタン化合物およびジルコニウム化合物に、さらに他の遷移金属化合物を添加して粉砕混合した後、混合物を加熱する、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の電池用固体電解質の製造方法。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の電池用固体電解質を用いたことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
本発明の製造方法によれば、マイクロ波が瞬間的に被加熱物質である粉体中に侵入し、粉体が均一に加熱されるため、電気炉などを用いて外部加熱により粉体を焼成するのに比べてより短時間で焼成可能となるため、製造効率が向上する。
焼成時間が短いため、リチウムの揮発による消失が抑えられるので、目的の組成のリチウムーランタンージルコニウム酸化物を、化学量論量のリチウム化合物、ランタン化合物およびジルコニウム化合物から製造することができる。
粒子内部まで均等に加熱されるため均一な結晶構造のリチウム−ランタン−ジルコニウム酸化物が得られるので、固体電解質として用いることにより、特にサイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を提供できる。
本発明における固体電解質は、基本組成をLiLaZr12とするリチウム−ランタン−ジルコニウム酸化物(以下、「LLZ」と称する。)であるが、リチウム、ランタンおよびジルコニウムに加えて更に他の遷移金属を含むこともできる。
本発明のLLZの製造に用いるリチウム化合物としては、水酸化リチウム、炭酸リチウム、酸化リチウム、硝酸リチウム、塩化リチウム、酢酸リチウムなどが挙げられるが、なかでも水酸化リチウム(LiOH)が好ましく用いられる。
ランタン化合物としては、水酸化ランタンや酸化ランタンなどが挙げられるが、水酸化ランタン(La(OH))が好ましく用いられる。
ジルコニウム化合物としては、酸化ジルコニウム(ZrO)が好ましく用いられる。
また、本発明において、リチウム、ランタンおよびジルコニウムに加えて添加される他の遷移金属としては、ニオブ、タンタル、テルル、ハフニウムなどから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの遷移金属は、それぞれ該当する酸化物などの化合物として、リチウム化合物、ランタン化合物およびジルコニウム化合物とともに粉砕混合することで用いられる。
本発明のLLZの製造においては、まず、目的とするLLZの組成に対応した化学量論量のリチウム化合物、ランタン化合物およびジルコニウム化合物を秤り取り、これらを粉砕混合する。
リチウム化合物、ランタン化合物およびジルコニウム化合物は無水の状態で用いることが好ましい。無水状態の化合物を用いることで、焼成工程でマイクロ波を照射した際に、これらの化合物に含まれる結晶水や付着水などの余分な水分を除去する必要がなくなるので、混合粉体をより速やかに昇温することができる。
リチウム化合物、ランタン化合物あるいはジルコニウム化合物が、結晶水や付着水を含有している場合には、予め加熱乾燥して使用することが好ましい。加熱乾燥条件は特に限定されないが、特に吸湿し易い水酸化リチウムの場合を考慮して、130〜200℃で2〜12時間程度処理するのがよい。
リチウム化合物、ランタン化合物およびジルコニウム化合物の粉体を粉砕混合する方法は特に限定されず、乳鉢、ボールミル、振動ボールミル、ハンマーミル、撹拌ミル、遊星粉砕機などを用いることができる。
粉砕混合時間は、使用する装置や、原料となるリチウム化合物、ランタン化合物およびジルコニウム化合物の種類によって異なるため、特に限定されるものではなく、所望の粒径の粉体が得られるまで行えばよい。
粉砕混合して得られる粉体の粒子径は、その後マイクロ波照射により焼成することで生成するLLZの粒子径、延いては当該LLZを電解質として用いた場合のリチウムイオン二次電池のサイクル特性などに影響を及ぼすこととなる。粒子径が大きすぎる場合は、粒子内部の加熱が不充分となり粒子内部での反応が十分に進行せず、電解質としての機能が不十分となることがあるため、粉砕混合後の粒子径を1〜100μm、より好ましくは1〜50μm程度に調整し、平均粒子径を50μm以下とすることが好ましい。
粉砕混合後、得られた粉体を、マイクロ波を透過するガラス製、セラミックス製あるいは耐熱樹脂製などのマイクロ波透過性容器に移し、粉体を収容したマイクロ波透過性容器を、マイクロ波発振器を備えたマイクロ波焼成炉内に設置し1度目の焼成を行う。
マイクロ波を照射することにより混合粉体がマイクロ波を吸収し加熱される。1度目の焼成では、所定の焼成温度に達するまで、1000℃/h以上の昇温速度で昇温することが好ましい。昇温速度が1000℃/h未満であると、焼成温度に達するまでの時間が長くなり、その分リチウムが揮発し易くなる。
第1焼成工程における焼成温度としては、800〜1000℃が好ましく、より好ましくは850〜950℃である。焼成温度が800℃未満では、反応が不充分なため得られるLLZは電解質として十分な機能を発揮し得ない恐れがあり、一方、焼成温度が1000℃を越えると、揮発するリチウムの量が増えるため目的とする組成のLLZが得られない恐れがある。焼成時間は、焼成温度により異なり特に限定されるものではなく、LLZ生成反応が十分に進行する適宜な時間を設定すればよい。
照射するマイクロ波の周波数は1〜300GHz、通常は周波数2.45GHzのマイクロ波を照射する。マイクロ波の出力は、昇温速度が1000℃/h以上になるように1.5〜9.5kWの範囲で調整するのがよい。所定の焼成温度に達した後その温度を維持する方法としては、マイクロ波照射をPID制御などにより制御する方法が好ましい。
第1焼成工程での加熱によりLLZが生成するので、該焼成物を放冷した後、γ−アルミナ粉体を添加して混合し、所定の形状に成形した後、成形物にマイクロ波を照射して2度目の焼成を行う。焼成で得られた焼成物が一部凝集している場合には、放冷後、一旦粗粉砕してからγ−アルミナを添加して粉砕混合した後、成形することもできる。
混合物の粒子径が大きすぎる場合には成形状態が不良となり、2度目の焼成中に成形体が割れたり崩れたりする恐れがあるので、混合物の粒子径を1〜100μm、より好ましくは1〜50μm程度に調整し、平均粒子径を50μm以下とすることが好ましい。
γ−アルミナは、原料として用いたリチウム化合物、ランタン化合物およびジルコニウム化合物の合計量100質量部に対して0.5〜3質量部添加することが好ましい。γ−アルミナの添加量が少な過ぎると成形体が脆くなり、多過ぎるとLLZ結晶構造が変化する恐れがある。
成形体は、公知の成形法により加圧成形等を行うことで得られる。成形体の形状やサイズは特に限定されるものではなく、コイン状や板状等のリチウム二次電池の固体電解質に適した形状やサイズとすればよい。
第2焼成工程での加熱は、得られた成形体をマイクロ波を透過するガラス製、セラミックス製あるいは耐熱樹脂製などのマイクロ波透過性容器に移し、成形体を収容したマイクロ波透過性容器を、マイクロ波発振器を備えたマイクロ波焼成炉内に設置しマイクロ波を照射することにより行う。
第2焼成工程の加熱は、所定の焼成温度に達するまで、500℃/h以上1000℃/h未満の昇温速度で昇温することが好ましい。第2焼成工程では、昇温速度を第1焼成工程よりも遅くすることが望ましく、焼成速度を遅くすることで高強度の焼結体を製造することができる。昇温速度が500℃/h未満であると、焼成温度に達するまでの時間が長くなり、リチウムイオンが時間をかけて除々に蒸発するため、LLZの結晶構造が成長しリチウムイオン導電性が低下する。このため、リチウムイオン二次電池の固体電解質として用いた場合には、電解質の内部抵抗が高いため、電池特性が低下する恐れがある。
第2焼成工程における焼成温度としては、900〜1100℃が好ましく、より好ましくは950〜1050℃である。焼成温度が900℃未満では、十分に焼成されないため成形体として十分な強度を有する燒結体が得られない恐れがある。一方、焼成温度が1100℃を越えると、LLZの結晶構造が成長し過ぎるため、固体電解質として用いた場合にリチウムイオン二次電池のサイクル特性が低下する恐れがある。焼成時間は焼成温度により異なり特に限定されるものではなく、焼結体の強度やLLZの結晶構造を勘案して適宜な時間を設定すればよい。
照射するマイクロ波の周波数は1〜300GHz、通常は周波数2.45GHzのマイクロ波を照射する。マイクロ波の出力は、昇温速度が500℃/h以上になるように1.5〜9.5kWの範囲で調整するのがよい。焼成温度を維持する方法としては、1度目の焼成の場合と同様、マイクロ波照射をPID制御などにより制御する方法が好ましい。
1度目の焼成および2度目の焼成は酸化性雰囲気下で行うことが好ましい。酸化性雰囲気としては、例えば、酸素を含有する雰囲気が使用され、酸素の含有量は、好ましくは3〜40%である。酸化性雰囲気中には、例えば、不活性ガスなどを配合してもよい。
本発明の方法で得られたLLZは、固体電解質としてリチウム二次電池に用いた場合、特にサイクル特性に優れた電池を得ることができる。
本発明の方法で得られたLLZが、固体電解質として優れた性能を発揮する理由の詳細は不明であるが、次のように推定される。
すなわち、例えば、電気炉などの外部加熱手段を用いた場合には、熱は、原料であるリチウム化合物、ランタン化合物およびジルコニウム化合物の粉体混合物の外側から内部へと伝わるので、粉体混合物の内部が所定の焼成温度まで到達するまでの間、外側部分の粉体は長時間に渡って加熱されつづけることとなり、揮発し易いリチウムが揮散されて失われることとなる。そのため、粉体混合物の外側部に存在した粉体と内部に存在した粉体では組成が大きく異なるLLZが生成する場合がある。また、本発明のように1度目の焼成後成形し2度目の焼成を行う方法では、電気炉などの外部加熱手段を用いた場合には、2度目の焼成においても、成形体の外側部と内部では昇温速度が異なり、長い時間加熱される外側部では結晶構造が成長し易いため、成形体の外側と内部では結晶の成長度合いが異なる場合がある。このように、組成の異なるLLZが混在したり、あるいは結晶構造の大きさが異なるLLZが混在する場合には、電解質の内部構造が不均質となるため、リチウム二次電池に用いた場合に、充放電を繰り返すと、電解質の結晶構造が破壊され、充放電とともに電池性能が低下し、サイクル特性に問題が生じる恐れがある。
これに対して、本発明では、加熱手段としてマイクロ波を用いるので、原料であるリチウム化合物、ランタン化合物およびジルコニウム化合物の粉体混合物はマイクロ波を吸収して発熱することで加熱される。そのため、粉体混合物の内部の粉体は、外側の粉体からの伝熱の他に、粉体混合物の内部まで到達するマイクロ波を吸収することでも発熱するので、昇温速度を大きくしても、粉体混合物の外側と内部がほぼ同じように昇温し、リチウムの揮散を抑えることができる。あるいは、リチウムが揮散したとしても粉体混合物の外側と内部で同じように揮散するため、均一な組成のLLZが得られるものと推定される。さらに、2度目の焼成の場合にも、成形体はその内部もマイクロ波を吸収して発熱するので、成形体の外側と内部での結晶の成長度合いが同じとなるものと推定される。したがって、本発明の方法で得られるLLZは、組成、結晶構造とも均質となるので、リチウムイオン二次電池の電解質に用いた場合に、充放電を繰り返してもLLZの内部構造の破壊が起こり難く、電池のサイクル特性を向上させるものと推定される。
本発明のリチウムイオン二次電池は、固体電解質として本発明のリチウム−ランタン−ジルコニウム酸化物(LLZ)の成形燒結体を用いることで、全固体のリチウムイオン二次電池となり、常法により製造することができる。
本発明の全固体リチウムイオン二次電池の正極および負極としては、リチウムイオン二次電池に使用される公知の正極活物質および負極活物質を全て用いることができる。
正極活物質としては、例えば、コバルト複合酸化物(LiCoO)、リチウムマンガン複合酸化物(LiMnまたはLiMnO)、リチウムニッケル複合酸化物(LiNiO)などのリチウムと遷移金属を含む複合酸化物や、リン酸鉄リチウム(LiFePO)、リン酸コバルトリチウム(LiCoPO)などのリチウムリン酸化合物などが挙げられる。
粉末状の正極活物質を成形して正極とすることもでき、正極活物質に導電剤やバインダーを加え適宜有機溶媒を用いてペースト状としたものを膜状に成形して正極としてもよいし、前記ペースト状のものを集電体などに塗布乾燥して正極とすることもできる。前記の導電剤としては、例えば、グラファイト、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラック類などが挙げられる。バインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが挙げられる。
負極活物質としては、例えば、金属リチウム、リチウム−アルミニウムやリチウム−スズあるいはリチウム−ケイ素などのリチウム合金、LiTi12などのリチウムチタン酸化物、グラファイトなどの炭素材などが挙げられる。
負極活物質が箔状の場合は、箔状の負極活物質をそのまま負極として用いることができる。粉末状の負極活物質の場合には、バインダーを加え適宜有機溶媒を用いてペースト状とし膜状に成形するか、あるいは集電体などに塗布乾燥して負極とすることができる。また、負極活物質の導電性を高めるために導電剤を添加することもできる。バインダーや導電剤の具体例としては、前記正極の製造の場合に用いたものと同じバインダーや導電剤が挙げられる。
本発明のLLZの成形燒結体を挟んで、片側に正極、反対側に負極を積層し、両極の更に外側に集電体を積層することにより、本発明のリチウムイオン二次電池を得ることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池の形状は特に限定されず、ラミネート型、コイン型、円筒型、角型などのいずれであってもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
水酸化リチウム・一水和物(関東化学製)を200℃の恒温乾燥機中で12時間乾燥させた後、20.0gを秤量し、次いで、水酸化ランタン(純度99.9%、信越化学工業製)67.8gおよび酸化ジルコニウム(東ソー製)29.3gを秤量し、ボールミル(日陶科学製)を用いて1時間粉砕しながら混合した。リチウム:ランタン:ジルコニウムはモル比で7:3:2である。粉体混合物の平均粒子径は2μmであった。
なお、粉体の平均粒子径の測定は、キーエンス社製走査型電子顕微鏡(SEM)による2000倍の画像を解析して、粉体の面積および個数を導出し、面積法を用いて行った。3回の測定平均値として求めた。
粉体混合物を、焼成用セラミック容器に移し、その容器をマイクロ波焼成炉(共栄電気炉製作所製)に設置し、2.45GHzのマイクロ波を照射し1度目の焼成を開始した。50分後に炉内温度が900℃に達した時点より6時間炉内温度を900℃に維持した後マイクロ波の照射を終了し、自然放冷した。自然放冷後の粉体混合物を乳鉢で軽く解砕した後、メノウ製の容器に移し、γ−アルミナを1.5g添加し、メノウ棒を用いて混合した。
粉体混合物各100gを、金型ダイスと一軸プレス機を用いて成形し、直径8mm、厚さ1mmのペレット10個を作製した。
作製したペレットを焼成用セラミック容器に移し、その容器をマイクロ波焼成炉に設置し、2.45GHzのマイクロ波を照射し2度目の焼成を開始した。90分後に炉内温度が1000℃に達した時点より20時間炉内温度を1000℃に維持した後マイクロ波の照射を終了し自然放冷して、ペレット状のリチウム−ランタン−ジルコニウム酸化物(LLZ)燒結体を得た。
得られたペレット状LLZ燒結体を用いて、組成を分析した。
また、ペレットの上下両面を研磨してから、固体電解質としてリチウムイオン二次電池の作製に用いた。
(比較例1)
1度目の焼成および2度目の焼成を電気炉(モトヤマ製)で行った以外は実施例1と同様にして、ペレット状のLLZ燒結体を作製した。
1度目の焼成では昇温速度を600℃/hとし、900℃に6時間維持して焼成した。2度目の焼成では昇温速度を300℃/hとし、1000℃に20時間維持して焼成した。
得られたペレット状のLLZ燒結体は、実施例1と同様、組成を分析するとともに、リチウムイオン二次電池の作製に用いた。
(LLZ燒結体の組成分析)
実施例1および比較例1で得られたペレット状のLLZ燒結体について、ボールミルで粉砕した後、X線回折装置を用いて、LLZ燒結体の結晶構造を求めた。結果を表1に示す。
(実施例2:電池作製例)
実施例1および比較例1で得られたペレット状のLLZ燒結体を用いて評価用のリチウムイオン二次電池を作製した。
両面を研磨したペレット状のLLZ燒結体の片面に正極材を塗布乾燥し、反対面には負極材としてリチウム箔を積層し、電圧電流取り出し端子を取り付けた後、テフロン(登録商標)板で挟んで圧着固定することで電池を組立てた。
なお、正極材としては、正極活物質としてのコバルト酸リチウム(日本化学工業製)、導電剤としてのアセチレンブラック(ストレムケミカル製)、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン(アルドリッチ製)を質量比で90:5:5になるように乳鉢に秤量し、溶媒としてN−メチルー2−ピロリドンを加え約10分間混合して調整したスラリーを用いた。
(充放電測定)
上記の電池作成例により作成した評価用電池について、電池充放電装置(北斗電工社製)を用いて、電池特性を評価した。電圧範囲は3.0〜4.2V、充放電レートは0.5Cとした。充放電のサイクルを繰り返した時の電池のエネルギー密度を測定し、初期のエネルギー密度がどの程度保持されているかを評価した。LLZの組成分析結果と併せて表1に示す。
Figure 2014229490
上記の結果より、マイクロ波を用いて焼成する場合は、電気炉を用いて焼成する場合よりも、所定の焼成温度までの昇温が速く、その結果短時間で焼成が完了するので、原料として用いたリチウムが焼成中に揮発などによって失われることがなく、安定かつ均一な組成のリチウム−ランタン−ジルコニウム酸化物を得ることができた。
そして、当該リチウム−ランタン−ジルコニウム酸化物を固体電解質として用いることで、サイクル特性に優れる全固体のリチウムイオン二次電池が得られることがわかる。なお、実施例1と比較例1のサイクル特性は同等であったが、この原因として、電解質の内部抵抗が高いため、電池特性としては同レベルの結果になったものと推察される。より薄膜化したLLZ電解質を電池に適用した場合は、マイクロ波焼成品と電気炉焼成品のサイクル特性の差はより明確になるものと考察する。
本発明によれば、原料のリチウム化合物を多めに仕込んだり、焼成途中で追加したりする必要がないので、簡便な工程で安定かつ均一な組成のリチウム−ランタン−ジルコニウム酸化物を得ることができる。そのため、本発明のリチウム−ランタン−ジルコニウム酸化物は、サイクル特性に優れた全固体リチウムイオン二次電池用の電解質として好適に使用することができる。

Claims (5)

  1. リチウム化合物、ランタン化合物およびジルコニウム化合物を粉砕混合した後、混合物を加熱し、リチウム−ランタン−ジルコニウム酸化物を製造する第1焼成工程と、前記リチウム−ランタン−ジルコニウム酸化物にγ−アルミナを混合して成形した後、成形体を加熱する第2焼成工程とからなる固体電解質の製造方法であって、
    前記第1焼成工程および第2焼成工程における加熱手段としてマイクロ波を用いることを特徴とする、電池用固体電解質の製造方法。
  2. 前記第1焼成工程の焼成温度が800〜1000℃で、昇温速度が1000℃/h以上である、請求項1に記載の電池用固体電解質の製造方法。
  3. 前記第2焼成工程の焼成温度が900〜1100℃で、昇温速度が500℃/h以上である、請求項1または2に記載の電池用固体電解質の製造方法。
  4. 前記第1焼成工程において、リチウム化合物、ランタン化合物およびジルコニウム化合物に、さらに他の遷移金属化合物を添加して粉砕混合した後、混合物を加熱する、請求項1〜3のいずれかに記載の電池用固体電解質の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の電池用固体電解質を用いたことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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