JP2015146299A - 固体電解質の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アルミニウム化合物などの成形助剤を用いる必要がなく、また焼成中にリチウムが消失する恐れが少なく、安定した組成で、かつ緻密な構造を有する、リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物の成形体からなる固体電解質の製造方法を提供する。
【解決手段】リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物の成形体からなる固体電解質の製造方法であって、ランタン化合物とジルコニウム化合物とを粉砕混合し、混合物を所定の形状に成形した後、該成形体を焼成し(第1焼成工程)、得られたランタンジルコニウム複合酸化物からなる成形焼結体に、リチウム化合物を含浸し、焼成する(第2焼成工程)ことを特徴とする固体電解質の製造方法である。固体電解質は、任意の形状に成形でき、緻密な構造体であり電気容量が大きいので、Liイオン二次電池等の固体電解質としての使用に好適である。
【選択図】なし

Description

本発明は、固体電解質の製造方法、及びその用途に関する。詳細には、リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物の成形体からなる固体電解質の製造方法であって、ランタン化合物とジルコニウム化合物の混合物からなる成形体を焼成した後、該焼成した成形体にリチウム化合物を含浸し焼成することにより、緻密な構造の固体電解質成形体を製造する方法、及びその用途に関する。
近年、AV機器、パソコンなどの電子機器や通信機器などのポータブル化やコードレス化が急速に進展している。これらの電子機器や通信機器の電源として、エネルギー密度が高く負荷特性の優れた二次電池が要望されており、高電圧、高エネルギー密度で、サイクル特性にも優れている、リチウムイオン二次電池の利用が拡大している。
しかしながら、これらのリチウムイオン二次電池では、通常、電解質としてリチウム塩を炭酸エステルなどの有機溶媒に溶解した電解液が用いられている。そのため、短絡や過充電などの異常発生によって電池が過度に加熱された場合、電解液が発火あるいは爆発し、火災事故に繋がる恐れがある。また、電池の破損等によって電解液が漏洩した場合にも、周囲の状況によっては漏洩した電解液が発火、燃焼する恐れがある。
そこで、リチウム二次電池の安全性を確保するために、電解液の代わりに、固体電解質を用いることが試みられている。固体電解質としては、種々の有機化合物あるいは無機化合物が検討されている。有機化合物としては、リチウム塩を溶解したポリアルキレンオキシドなどの高分子化合物が提案され、無機化合物としては、リチウムを含む金属酸化物や硫化物あるいはリン酸塩化合物などが提案されている。
これらの固体電解質のうち、リチウムを含む金属酸化物としては、例えば、ジルコニウムを含有するリチウムとニオブの酸化物(特許文献1参照)、ケイ素を含有するリチウムチタンランタン酸化物(特許文献2参照)、β−アルミナのアルミニウムの一部をリチウムに置換したLi−β−アルミナ(特許文献3参照)等が開示されている。なかでも、化学的安定性や電極反応における安定性、あるいはイオン伝導性が高いことから、ガーネット型の結晶構造を有するリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物が注目されている。
ガーネット型のリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物は、基本組成がLiLaZr12で表され、原料となるリチウム化合物、ランタン化合物及びジルコニウム化合物の粉体を混合、焼成することで製造されるが、リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物は、ペレット形状などに成形した焼結体とするのが難しく、固体電解質として電池などに用いる場合に取り扱いが難しいという問題がある。
そこで、成形が可能なリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物を得る方法として、例えば、リチウム化合物、ランタン化合物及びジルコニウム化合物に、アルミニウム化合物を加えて2段階で焼成する方法が開示されている(特許文献4参照)。具体的には、その実施例では、化学量論量の水酸化リチウム、水酸化ランタン及び酸化ジルコニウムの粉末をライカイ機で混合した後、第1の熱処理工程として900℃に加熱して一次焼成粉末を得た後、γ−アルミナ粉末を添加し、金型でプレスしてペレットに成形し、第2の熱処理工程として1,000℃で加熱する方法が記載されている。
また、特許文献5には、特許文献4と同じくリチウム化合物、ランタン化合物及びジルコニウム化合物に、アルミニウム化合物を加えて2段階で焼成する方法において、ランタンに対するリチウムのモル比を2.1超2.6以下で配合した焼成用原料を用いることで、焼結体密度やLiイオン伝導度が良好な焼結体が得られることが報告されている。
そして、リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物の製造時にアルミニウム化合物を添加する場合に、更に緻密な焼結体を得る方法として、アルミニウム化合物に加えてシリコン化合物を添加する方法も開示されている(特許文献6参照)。具体的には、その実施例に示されているように、水酸化リチウム(1水塩)、酸化ランタン、酸化ジルコニウム、アルミナ及びシリカを所定量秤り取り、ペレット状に成形した後、900℃で仮焼成する。仮焼成後ボールミルで粉砕し、再びペレットに成形した後、1,125℃に加熱して前駆体形成を行う。次いで得られた前躯体をボールミルで粉砕し、再度ペレットに成形して、1,235℃に加熱して焼成するという、3度に渡って加熱処理する方法である。
しかしながら、特許文献4、5の方法では、リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物中には、アルミニウムが含まれることになり、また特許文献6の方法では、アルミニウムに加えて更にシリコンが含まれることになるため、リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物の結晶構造の均一性が損なわれ、リチウム二次電池などの固体電解質として使用した場合に、電池性能の低下に繋がる恐れがある。
また、特許文献4、5の方法では、900℃以上の熱処理を2度、特許文献6の方法では、900℃以上の熱処理を3度実施するが、リチウムは比較的揮発し易いため、高温に長く曝されるほど、熱処理工程中に失われるリチウムの量が多くなり、一定した組成のリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物を安定して製造することが難しくなる。
さらに、複数回に渡って熱処理を行う場合、一旦放冷して粉砕や成形などの操作を施してから次の熱処理を行うことになるので、熱処理温度が高いほど、また熱処理の回数が多いほど、必要なエネルギーが多くなるという課題もある。
特開2012−230821号公報 特表2011−529243号公報 特開2011−079707号公報 特開2011−051855号公報 特開2011−073963号公報 特開2012−018792号公報
本発明は、アルミニウム化合物などの成形助剤が不要で、焼成中でのリチウムの消失が抑制された、安定した組成でかつ緻密な構造を有する、リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物の成形体からなる固体電解質の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明者等は鋭意検討した結果、ランタンとジルコニウムを含む化合物を焼成した成形体に、化学量論量のリチウム化合物を含浸した後、再度焼成することによって、緻密な構造を有するリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物の成形体からなる固体電解質を製造できることを知見し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物の成形体からなる固体電解質の製造方法であって、ランタン化合物とジルコニウム化合物とを粉砕混合し、混合物を所定の形状に成形した後、該成形物を焼成し(第1焼成工程)、得られたランタンジルコニウム複合酸化物からなる成形体に、リチウム化合物を含浸し、焼成する(第2焼成工程)ことを特徴とする固体電解質の製造方法を提供する。
本発明において、前記の第1焼成工程で焼成する成形物には、リチウム成分が含まれていないため高温での焼成が可能である。高温で焼成することにより、成形体の気孔率が高くなるので、焼成温度は1,300〜1,700℃の範囲で焼成することが好ましい。熱源としては、熱風、赤外線、マイクロ波、高周波またはこれらの組合せを使用できる。また、前記リチウム化合物は、リチウム化合物の水溶液であると、焼結体とのなじみが良く含浸性に優れているうえに、沸点が高く扱い易い。前記リチウム化合物としては、水酸化リチウムまたは酸化リチウムが挙げられる。また、前記ジルコニウム化合物としては、酸化物(ZrO)、ハロゲン化物、オキソ酸塩、錯塩、ケイ酸塩、有機酸塩等が存在するが、空気中で化学的に安定で取り扱い易いなどの点より、酸化ジルコニウムが好ましい。前記の第1焼成工程で得られたランタンジルコニウム複合酸化物からなる成形体の気孔率は、75%以上であることが好ましい。気孔率が上記の値に満たない場合は、リチウム化合物の含浸量を高くできないため、電池容量を上げることが難しくなる。
上記の第2焼成工程において、加熱手段として好ましいのはマイクロ波である。熱源としては、熱風、赤外線を使用した場合、加熱部分でリチウム化合物が反応するため、成形体の表面でのみ反応が進行してしまい、LiLaZr12構造の緻密な焼結体を得ることが困難になる。この第2焼成工程における焼成温度は、200〜500℃の範囲が好ましい。200℃未満では所望の複合酸化物を得ることが難しく、500℃を超えるとリチウム化合物が気化してしまい、反応効率が極端に低下する。
本発明に係る固体電解質の製造方法によれば、ランタンジルコニウム酸化物の成形体を先ず作製した後、該成形体にリチウム化合物を含浸させて焼成するので、成形体の気孔の内部に含浸したリチウム化合物が均一に反応した、緻密な成形体からなるリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物を製造することができる。また、緻密な構造を有するリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物の成形体は、イオン伝導性や成形体強度に優れているので、リチウム二次電池などの固体電解質として好適に用いることができる。
また、焼成時にアルミニウムなどの成形助剤を必要としないため、リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物の結晶構造の均一性が損なわれることがなく、固体電解質としての機能の低下を防止することができる。
さらに、リチウム化合物を添加した後の第2焼成工程における加熱手段にマイクロ波を用いることで、加熱温度を他の加熱手段よりも低く設定でき省エネルギー化になるだけでなく、焼成中にリチウムが揮発して失われる恐れも少なく、リチウムが成形体の内部で均一に加熱され反応するので、原料組成に近い組成で、緻密で均質な構造のリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物を、安定して製造することができる。
本発明において製造する固体電解質は、その基本組成を、LiLaZr12とするリチウムランタンジルコニウム系複合酸化物(以下、「LLZ」と称することがある。)である。
本発明におけるLLZの製造方法では、先ず、ランタン化合物とジルコニウム化合物とを粉砕混合して均一な混合物を調製した後、得られた混合物を所定の形状に成形し、該成形物を焼成する(第1焼成工程)ことで成形体を得る。
上記のランタン化合物としては特に限定されるものではなく、水酸化ランタン、酸化ランタン、塩化ランタン、硝酸ランタン等の公知のランタン化合物を、単独で、または組合せで用いることができる。その中でも、焼成時に有害な分解ガスが発生することの無い、水酸化ランタン(La(OH))が好ましい。
上記のジルコニウム化合物としては特に限定されるものではなく、酸化物(酸化ジルコニウム)、ハロゲン化物(塩化ジルコニウム等)、オキソ酸塩、錯塩、ケイ酸塩、硝酸塩(硝酸ジルコニウム)、有機酸塩(酢酸ジルコニル等)等が挙げられる。その中でも、有害な分解ガスなどの発生が少ないこと等から、酸化ジルコニウム(ZrO)が好ましい。
上記の第1焼成工程では、LLZの基本組成にしたがい、ランタンとジルコニウムのモル比が3:2となるように、化学量論量のランタン化合物とジルコニウム化合物を、粉砕しながら、できるだけ均一に混合し、混合物を所定の形状に成形する。ランタン化合物及びジルコニウム化合物は、粉末状のものを用いると混合を短時間かつ均一に行うことができて、好ましい。粉砕混合方法としては、乳鉢、ボールミル、振動ボールミル、ライカイ機、ハンマーミル、撹拌ミル、遊星粉砕機などの公知の混合機を、単独または組合せて用いることができる。
粉砕混合は、ランタン化合物とジルコニウム化合物との混合物の平均粒径が、0.5〜100μmとなるまで行うことが好ましく、1〜50μmの範囲がより好ましい。混合物の平均粒子径が大き過ぎると、成形物に圧力を掛けても緻密な高密度の成形物を得ることが困難となり、焼成中に割れや崩れが発生する恐れがある。一方、混合物の平均粒子径を小さくすると、粉砕混合時間が長くなるだけでなく、成形物の密度もさほど高くならないので、非効率的である。
得られた混合物は、加圧成形など公知の成形法により所定の形状に成形される。この際、成形物の形状や大きさを、固体電解質が用いられる用途に応じた形状に予め調製しておくと、後工程を省略できることができて、好ましい。Liイオン二次電池用の固体電解質に用いる場合は、電池の構造に合わせた形状、例えば、コイン状、板状、シート状などにすれば良く、サイズは任意である。
なお、上記の混合物の成形時には、成形体の物性を損なわない範囲で、焼結用バインダーを適量添加することもでき、焼結用バインダーとしては、カーボンブラック、グラファイトなどを挙げることができる。焼結用バインダーの添加量は、混合物100質量部に対して、0.5〜5質量部が好ましい。
第1焼成工程における焼成温度としては、1,300〜1,700℃の範囲が好ましく、より好ましくは1,400〜1,600℃の範囲である。焼成温度が1,300℃以上としたのは、ランタンジルコニウム酸化物の生成反応が遅くなることで、反応の進行状態が不均一になるのを防止するためであり、1300℃未満では、成形体の割れや崩れが発生する頻度が高くなるうえ、成形体の気孔率が低下するために、固体電解質におけるリチウム含有量を増やすことが困難になる。一方、焼成温度が1,700℃を超える場合は、成形体の気孔率が高くなることで、成形体の割れや崩れが発生する頻度が高くなるうえに、得られる成形体の強度が低下するため、固体電解質として使用するのに不適切なものとなる。焼結体の気孔率としては、75%以上であることが好ましく、より好ましくは80〜90%の範囲である。また、成形体の気孔率が低くなり過ぎると、リチウム化合物が含浸されにくくなる問題が発生することがある。
第1焼成工程における焼成時間は、焼成温度により異なるため特に限定されるものではないが、ランタンジルコニウム酸化物の生成反応が十分に進行する適宜な時間を設定すればよい。通常は10〜50時間である。焼成は酸素雰囲気下で行い、不活性ガスなどを混合してもよい。空気雰囲気下で行うと、設備的にも経済的にも好都合である。
次いで、第1焼成工程で得られたランタンジルコニウム複合酸化物からなる成形体を、室温まで放冷した後、リチウム化合物を含浸し、焼成する(第2焼成工程)ことで、本発明のLLZ成形焼結体からなる固体電解質が製造される。
成形体に含浸させるリチウム化合物は、LLZの基本組成にしたがって、リチウム、ランタン、ジルコニウムのモル比が7:3:2となるように、化学量論量のリチウム化合物を使用する。リチウム化合物としては、特に限定されるものではなく、水酸化リチウム、酸化リチウム、塩化リチウム、硝酸リチウム、硫酸リチウム、酢酸リチウムなどが挙げられる。その中でも、水への溶解度が高く、加熱による有害な分解ガスの発生が少ないことから、水酸化リチウム(LiOH)、または、水に溶解して水酸化リチウムになる酸化リチウム(LiO)が好ましい。
第1焼成工程で得られた、ランタンジルコニウム複合酸化物からなる成形体にリチウムを含浸させる方法は、化学量論量のリチウムを含浸させることが可能な方法であれば特に限定されない。例えば、以下の方法を挙げることができる。
(1)必要量のリチウム化合物を溶媒に溶解した溶液の一部を、ランタンジルコニウム複合酸化物からなる成形体に含浸させた後、該成形体を乾燥して溶媒を除去する。再度、上記の溶液の一部を、上記の成形体に含浸させた後、乾燥して溶媒を除去する。そして、用意した溶液が無くなるまで、含浸と乾燥を繰り返す。
(2)少量の水に、必要量の水酸化リチウム等を分散させたスラリーを、ランタンジルコニウム複合酸化物からなる成形体に含浸させる。この場合、水酸化リチウムとしては、成形体の気孔(空隙)に入り込むことが容易な、微粒子状のものを使用することが好ましい。
(3)溶解度の大きいLi塩(LiCl)を水に溶解して高濃度のLiCl水溶液を調製し、該水溶液をランタンジルコニウム複合酸化物からなる成形体に含浸させる。
(4)ランタンジルコニウム複合酸化物からなる成形体に、粉末状のLiOHを添加し、熱溶融によりLiOHを含浸させる。この場合、溶融温度は、LiOHの融点(462℃)以上とすることが好ましい。
これらの方法でリチウム化合物を含浸する手順は特に限定されず、ランタンジルコニウム複合酸化物からなる成形体を、マイクロ波を透過するガラス製、セラミックス製あるいは耐熱樹脂製などのマイクロ波透過性容器に移してから、所定量のリチウム化合物を添加してもよいし、あるいは、別途、所定量のリチウム化合物をランタンジルコニウム複合酸化物に含浸、添加しておいてからマイクロ波透過性容器に移してもよい。
上記の各方法において、使用する溶媒としては、リチウム化合物を溶解できる溶媒であれば特に限定されるものではないが、水、メタノール、ホルムアミド、ジメチルホルムアミドなどの極性溶媒が、成形焼結体への含浸性に優れており、火災等の危険性が小さいので好ましい。中でも、安全で有害な分解ガスの発生がない、水が好適に用いられる。
リチウム化合物の溶媒に対する使用量(濃度)は、特に限定されないが、含浸する液量を少なくするためには、できるだけ飽和溶液あるいは高濃度の溶液を用いることが好ましい。
上記の第2焼成工程においては、加熱手段としてマイクロ波を用いることが好ましい。つまり、熱源として熱風、赤外線を使用した場合は、加熱部分でリチウム化合物が反応するため、成形体の表面でのみ反応が進行してしまい、LiLaZr12構造の緻密な焼結体を得ることが困難になるので、好ましくない。ランタンジルコニウム酸化物からなる成形体とリチウム化合物を収容したマイクロ波透過性容器を、マイクロ波発振器を備えたマイクロ波焼成炉内に設置し、焼成を行うことにより、緻密な構造のLLZ焼結体の成形体を得ることができる。
第2焼成工程における焼成温度は、200〜500℃の範囲が好ましく、300〜450℃の範囲がより好ましい。200℃未満では所望のLLZ構造体を得ることが難しくなり、500℃を超えるとリチウム化合物が気化してしまい、反応効率が極端に低下する。焼成は酸素雰囲気下で行い、不活性ガスなどを混合してもよい。空気雰囲気下で行うと、設備的にも経済的にも好都合である。
焼成時間は、焼成温度により異なり特に限定されるものではなく、LLZ生成反応が完了する適宜な時間を設定すればよい。
マイクロ波は、周波数が1〜300GHz、通常は周波数2.45GHzのマイクロ波を照射する。マイクロ波の出力は、1.5〜9.5kWの範囲で調整するのがよい。所定の焼成温度に達した後その温度を維持する方法としては、マイクロ波照射をPID制御などにより制御する方法が好ましい。
本発明の方法により緻密な構造のLLZ焼結体の成形体が得られる理由の詳細は不明であるが、以下のように推定される。すなわち、本発明では、ランタンジルコニウム複合酸化物からなる成形体は、マイクロ波により直接加熱されることで、ランタンジルコニウム複合酸化物からなる成形体の内部まで均一に加熱される。該成形体に添加したリチウム化合物も、マイクロ波により直接加熱されるので、ランタンジルコニウム複合酸化物とリチウム化合物からLLZが生成する反応は、成形体の部位とは無関係に均一に進行する。そして、ランタンジルコニウム複合酸化物からなる成形体の気孔(空隙)部に浸透したリチウム化合物は、該成形体の気孔内に入り込み、気孔を埋めて行く形で進行するものと思われる。その結果、LLZの生成とともに、ランタンジルコニウム複合酸化物からなる成形体の空隙部は次第に減少し、より緻密な構造のLLZ成形体(LLZ焼結体)が得られるものと推察される。
本発明の方法で得られたLLZ焼結体の成形体は、固体電解質としてリチウム二次電池に用いた場合、サイクル特性などに優れた電池を得ることができる。また、本発明のリチウムイオン二次電池は、固体電解質として本発明のLLZ焼結体を用いることにより、常法により、全固体のリチウムイオン二次電池を製造することができる。
全固体リチウムイオン二次電池において、正極及び負極は、リチウムイオン二次電池に使用される公知の正極活物質及び負極活物質を用いることができる。
正極活物質としては、例えば、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)、リチウムマンガン複合酸化物(LiMnまたはLiMnO)、リチウムニッケル複合酸化物(LiNiO)などのリチウムと遷移金属を含む複合酸化物や、リン酸鉄リチウム(LiFePO)、リン酸コバルトリチウム(LiCoPO)などのリチウムリン酸化合物などが挙げられる。
粉末状の正極活物質を成形して正極とすることもでき、正極活物質に導電剤やバインダーを加え適宜有機溶媒を用いてペースト状としたものを、膜状に成形して正極としてもよいし、前記ペースト状のものを集電体などに塗布乾燥して正極とすることもできる。前記の導電剤としては、例えば、グラファイト、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラック類などが挙げられる。バインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが挙げられる。
負極活物質としては、例えば、金属リチウム、リチウム−アルミニウムやリチウム−スズあるいはリチウム−ケイ素などのリチウム合金、LiTi12などのリチウムチタン酸化物、グラファイトなどの炭素材などが挙げられる。
負極活物質が箔状の場合は、箔状の負極活物質をそのまま負極として用いることができる。粉末状の負極活物質の場合には、バインダーを加え適宜有機溶媒を用いてペースト状とし膜状に成形するか、あるいは集電体などに塗布乾燥して負極とすることができる。また、負極活物質の導電性を高めるために導電剤を添加することもできる。バインダーや導電剤の具体例としては、前記正極の製造の場合に用いたものと同じバインダーや導電剤が挙げられる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、本発明のLLZ焼結体の成形体を挟んで、片側に正極、正極の反対側に負極を積層し、これら両極の更に外側に、集電体を積層することにより得ることができる。リチウムイオン二次電池の形状は、ラミネート型、コイン型、円筒型、角型等のいずれであってもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
水酸化ランタン(純度99.9%、信越化学工業製)67.8g及び酸化ジルコニウム(東ソー製)29.3gを秤量し、ボールミル(日陶科学製)を用いて1時間粉砕しながら混合した。ランタン:ジルコニウムはモル比で3:2である。粉体混合物の平均粒子径は1.5μmであった。
なお、粉体の平均粒子径の測定は、キーエンス社製走査型電子顕微鏡(SEM)による2,000倍の画像を解析して、粉体の面積及び個数を導出し、面積法を用いて行った。3回の測定平均値として求めた。
得られた粉体混合物を、金型ダイスと一軸プレス機を用いて成形し、直径約13mm、厚さ約23mmのペレット10個を作製した。作製したペレットを焼成用セラミック容器に移し、その容器を電気炉(株式会社モトヤマ製)に設置し、第1焼成工程を開始した。
炉内温度が1,500℃に達した時点より36時間炉内温度を1,500℃に維持した後、自然放冷して、ペレット状のランタンジルコニウム酸化物成形体を得た。
得られた10個のペレットの密度の平均値は、4.3g/cmで、気孔率は84%であった。
なお、密度の測定はアルキメデス法により、また気孔率の測定は吸脱着法により行った。
焼成用セラミック容器を3個用意し、各容器に密度を測定した後のペレット状の成形体1個を入れ、次いで、別途作成した水酸化リチウム1水和物(関東化学製)3.4gを、30mlの水に溶解した溶液を加えた。リチウム:ランタン:ジルコニウムのモル比は7:3:2となる。
ペレットと水酸化リチウム水溶液を入れた3個の容器をマイクロ波焼成炉(共栄電気炉製作所製)に設置し、2.45GHzのマイクロ波を、出力16kWhで照射し、第2焼成工程を開始した。炉内温度が400℃に達した時点より36時間、炉内温度を400℃に維持した後、マイクロ波の照射を終了し、自然放冷して、ペレット状のリチウムランタンジルコニウム酸化物成形体(LLZ焼結体)を得た。
得られた3個のLLZ焼結体ペレットについて、ペレット状のランタン−ジルコニウム酸化物焼結体の場合と同様にして密度を測定した。3個のペレットの密度の平均値は、
4.6g/cmであった。
(比較例1)
水酸化リチウム1水和物(関東化学製)を200℃の恒温乾燥機中で12時間乾燥させた後、20.0gを秤量し、次いで、水酸化ランタン(純度99.9%、信越化学工業製)67.8g及び酸化ジルコニウム(東ソー製)29.3gを秤量し、ボールミル(日陶科学製)を用いて1時間粉砕しながら混合した。リチウム:ランタン:ジルコニウムはモル比で7:3:2である。粉体混合物の平均粒子径は5μmであった。
粉体混合物を、焼成用セラミック容器に移し、その容器を電気炉(株式会社モトヤマ製)に設置し、1度目の焼成を開始した。炉内温度が900℃に達した時点より6時間炉内温度を900℃に維持した後自然放冷した。
自然放冷後の粉体混合物を乳鉢で軽く解砕した後、メノウ製の容器に移し、γ−アルミナを1.5g添加し、メノウ棒を用いて混合した。得られた粉体混合物を、金型ダイスと一軸プレス機を用いて成形し、直径約13mm、厚さ約10mmのペレット10個を作製した。
作製したペレットを焼成用セラミック容器に移し、その容器を電気炉(株式会社モトヤマ製)に設置し、2度目の焼成を開始した。炉内温度が1,000℃に達した時点より36時間、炉内温度を1,000℃に維持した後、自然放冷して、ペレット状のリチウムランタンジルコニウム酸化物(LLZ)焼結体を得た。
得られたペレット状LLZ焼結体について、実施例1と同様にして密度を測定した。3個のペレットの密度の平均値は、3.6g/cmであった。
上記の実施例及び比較例より、本発明によれば、高密度のLLZ焼結体が得られることが分かる。
本発明によれば、緻密な構造のリチウムランタンジルコニウム酸化物成形体を製造できる。そのため、該成形体を、全固体リチウムイオン二次電池の固体電解質として使用することにより、サイクル特性や充放電容量に優れた全固体リチウムイオン二次電池を提供することが可能になる。

Claims (9)

  1. リチウムランタンジルコニウム系複合酸化物の成形体からなる固体電解質の製造方法であって、ランタン化合物とジルコニウム化合物とを粉砕混合し、混合物を所定の形状に成形した後、該成形物を焼成し(第1焼成工程)、得られたランタンジルコニウム複合酸化物からなる成形体に、リチウム化合物を含浸し、焼成する(第2焼成工程)ことを特徴とする固体電解質の製造方法。
  2. 前記第1焼成工程において、酸素含有雰囲気下、温度1,300〜1,700℃の範囲で焼成することを特徴とする請求項1に記載の固体電解質の製造方法。
  3. 前記リチウム化合物が、リチウム化合物の水溶液であることを特徴とする請求項1または2に記載の固体電解質の製造方法。
  4. 前記リチウム化合物が、水酸化リチウムまたは酸化リチウムであることを特徴とする請求項3に記載の固体電解質の製造方法。
  5. 前記ジルコニウム化合物が、酸化ジルコニウム(ZrO)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
  6. 前記第1焼成工程で得られたランタンジルコニウム複合酸化物からなる成形体の気孔率が、75%以上であることを特徴とする請求項1に記載の固体電解質の製造方法。
  7. 前記第2焼成工程において、加熱手段としてマイクロ波を用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
  8. 前記第2焼成工程において、酸素含有雰囲気下、温度200〜500℃の範囲で焼成することを特徴とする請求項7に記載の固体電解質の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の固体電解質を用いたことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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