JP2014228216A - 磁気冷暖房装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷房または暖房効率をより高くすることのできる磁気冷暖房装置を提供する。
【解決手段】磁気熱量効果を有する磁気熱量材料a1〜a12と磁気熱量材料の熱を輸送する熱スイッチ部30a、30bとを交互に配置する熱輸送器MBを間隔を設けて環状に複数配置した円盤状の熱生成ディスク10と、熱生成ディスク10の各磁気熱量材料a1〜a12と対峙し各磁気熱量材料に選択的に磁気を印加し除去する磁石2を環状に複数配置する円盤状の磁気印加ディスク20と、熱生成ディスク10または磁気印加ディスク20のいずれか一方を回転させて、熱輸送器MBの環状の配置方向に相対的に移動させるモーターと、を備え、一つの磁石2が周方向に隣接して並ぶ複数の磁気熱量材料に対して磁気を印加できる大きさであることを特徴とする磁気冷暖房装置。
【選択図】図26

Description

本発明は、磁気冷暖房装置に関する。
従来用いられている室温域の冷凍機、例えば、冷蔵庫、冷凍庫、エアコンなどの冷凍機の大半は、フロンガスや代替フロンガスなどの気体冷媒の相変化を利用している。最近では、フロンガスの排出に伴うオゾン層破壊の問題が露呈し、さらに、代替フロンガスの排出に伴う地球温暖化への影響も懸念されている。このため、フロンガスや代替フロンガスなどの気体冷媒を用いた冷凍機に代わる、クリーンでかつ熱輸送能力の高い、革新的な冷凍機の開発が強く望まれている。
このような背景から、最近になって注目されるようになった冷凍技術が磁気冷凍技術である。磁性体の中には、その磁性体に印加する磁界の大きさが変化すると、その変化に応じて自身の温度を変化させる、いわゆる磁気熱量効果を発現するものがある。この磁気熱量効果を発現する磁性体を磁気熱量材料と称し、この磁気熱量材料を利用して熱を輸送する冷凍技術が磁気冷凍技術である。
磁気冷凍技術を応用した磁気冷暖房装置としては、例えば、下記特許文献1に記載されているような、固体物質の熱伝導を利用して熱を輸送する技術がある。
この磁気冷暖房装置は、磁気を印加すると温度が上昇(発熱)する正の磁気熱量材料(磁性体)使用している。この正の磁気熱量材料を熱伝導部材を介して内側から外側方向へ複数配列させて1つの磁性体ブロックを構成している。そして、この磁性体ブロックを環状に複数配置して磁性体ユニットを形成する。この磁性体ユニットと同心で内径と外径が略等しい円盤上の回転体に永久磁石を配置して磁気ユニットを形成する。
永久磁石が配置されている磁気ユニットを磁性体ユニットと対向するように配置して磁性体ユニットに対し相対的に回転させる。これにより正の磁気熱量材料に磁気が印加また除去される。また、熱伝導部材はこの回転に合わせて正の磁気熱量材料同士の間で挿脱させる。これにより磁気熱量効果により磁気熱量材料が発生する熱を磁気熱量材料が配置される一方向に熱伝導部材を介して輸送している。
国際公開第2012/150681号
従来の技術では、各磁気熱量材料に対して磁気を印加する磁石の大きさが同じ大きさとなっている。このため磁気ユニットを磁性体ユニットに対して相対的に回転させると、一つの磁気熱量材料を見れば、その磁気熱量材料の一部の領域にのみ磁石がかかっている時間が存在することになる。たとえば正の磁気熱量材料は、励磁時に発熱し、消磁時に吸熱状態になる。負の磁気熱量材料は、励磁時に吸熱し、消磁時に発熱状態になる。以下正の磁気熱量材料を考える。
このような磁気熱量材料では、磁石がかかり始めの励磁時に発熱して、磁石がかかっている時間の間、温度が高い状態が続く(発熱状態と呼ぶことにする)領域がある。一方、磁石がはずれる消磁時には吸熱になり、磁石がかかっていない時間の間は、温度の低い状態が続く(吸熱状態と呼ぶことにする)領域もある。
つまり磁気ユニットと磁性体ユニットの相対的な回転によって一つひとつの磁気熱量材料では、磁石のかかり始めまたは離れ始めのときに、発熱状態と吸熱状態が同時に存在することになるのである。そうすると一つの磁気熱量材料内で発生した熱が磁気熱量材料内部でキャンセルされてしまうことになり、冷房または暖房効率が低下することになる。
そこで本発明の目的は、冷房または暖房効率をより高くすることのできる磁気冷暖房装置を提供することである。
上記目的を達成するための本発明に係る磁気冷暖房装置は、磁気熱量効果を有する磁気熱量材料と当該磁気熱量材料の熱を輸送する熱スイッチ部とを交互に配置する熱輸送器を、間隔を設けて環状に複数配置した円盤状の熱生成ディスクを備える。また、熱生成ディスクの各磁気熱量材料と対峙し各磁気熱量材料に選択的に磁気を印加し除去する磁石を環状に複数配置する円盤状の磁気印加ディスクを備える。熱生成ディスクまたは磁気印加ディスクの少なくともいずれか一方を回転させて、熱輸送器の環状の配置方向に相対的に移動させるモーターを備える。そして、磁石は、一つの磁石が環状の周方向に隣接して並ぶ複数の磁気熱量材料に対して磁気を印加できる大きさであることを特徴とする。
本発明に係る磁気冷暖房装置によれば、一つの磁石の大きさを環状の周方向に隣接して並ぶ複数の磁気熱量材料に磁気を印加できる大きさとした。これにより環状の周方向に磁石を回転させたときに、磁気熱量材料に対して部分的に磁石がかかる状態にいる時間よりも、完全に磁石が重畳する位置に磁石が存在する状態にいる時間の方が、長くなるようにすることができる。したがって、一つの磁気熱量材料に対して部分的に磁石がかかる時間を少なくして、一つの磁気熱量材料内で発熱と吸熱の状態が同時に起こる磁気熱量材料の数を減らし、冷房または暖房効率を向上することができる。
本実施形態に係る磁気冷暖房装置の外観図である。 磁気冷暖房装置の内部構成を説明するための図であり、図1中A−A線に沿う部分断面図であって、略円筒形状の磁気冷暖房装置における半径部分を示している。 磁気熱量材料の配置を説明するための平面図である。 磁石の配置を説明するための平面図である。 内周冷媒通路および外周冷媒通路に通じている冷媒出入口を説明するための図であり、図5Aは図3におけるA−A線に沿う切断部端面図であり、図5Bは図3におけるB−B線に沿う切断部端面図である。 内周冷媒および外周冷媒を流す方向について説明するための説明図である。 内周冷媒および外周冷媒を流す方向について説明するための説明図である。 内周冷媒通路が高温側熱交換器、外周冷媒通路が低温側熱交換器とした場合における内周冷媒と外周冷媒のそれぞれの温度変化の仕方を説明するためのグラフであり、図8Aは平流方式のときのグラフであり、図8Bは向流方式のときのグラフである。 並流方式の場合の一つの磁性体ブロックにおける磁気熱量材料の並びを説明するための説明図である。 並流方式の場合における各磁性体ブロックを構成する複数の磁気熱量材料のそれぞれのキュリー点を示すグラフである。 向流方式の場合の一つの磁性体ブロックにおける磁気熱量材料の並びを説明するための説明図である。 向流方式の場合における各磁性体ブロックを構成する複数の磁気熱量材料のそれぞれのキュリー点を示すグラフである。 熱スイッチ部の形態1を説明するための説明図である。 熱スイッチ部の形態2を説明するための説明図である。 熱スイッチ部の形態3を説明するための説明図である。 熱スイッチ部の形態4を説明するための説明図である。 熱スイッチ部の形態5を説明するための説明図である。 熱スイッチ部の形態6を説明するための説明図である。 熱スイッチ部の形態7を説明するための説明図である。 熱スイッチ部の形態8における熱スイッチ部の構成を説明するための熱スイッチ部分の断面図である。 熱スイッチ部の形態8における熱スイッチ部の構成を説明するための熱スイッチ部分の平面図である。 エレクトロウェッティングの原理を説明するための説明図である。 隙間における液体金属の移動を説明するための説明図で、隙間における液体金属部分の拡大図である。 図20と同じ部分の断面図であり、液体金属が隙間を上がってきた状態、すなわち熱伝達状態を示している。 熱スイッチ部の形態9における熱スイッチ部の構成を説明するための平面図である。 第1の状態における磁気印加ディスク上の磁石の位置を示す概略平面図である。 第1の状態のときの磁性体ブロックの概略断面図であって、Aは磁石セット2a部分の断面図であり、Bは磁石セット2b部分の断面図である。 第1の状態から回転が進んだ第2の状態における磁気印加ディスク上の磁石の位置を示す概略平面図である。 第2の状態から回転が進んだ第3の状態における磁気印加ディスク上の磁石の位置を示す概略平面図である。 周方向の一部を直線的に展開した状態を側面から見たモデル図であり、AおよびBは本実施形態のモデル(実施形態モデルと称する)を示し、CおよびDは比較のために従来技術と同様に磁気熱量材料に対して同じ大きさの磁石を一つおきに対峙するように構成したモデル(比較例モデルと称する)である。 冷暖房システムに係る磁気冷暖房装置の空気の循環系統を示す図である。 冷暖房システムに係る磁気冷暖房装置の制御系のブロック図である。 図32の空調情報入力部のさらに具体的な制御系のブロック図である。 磁気冷暖房装置の動作を制御する手順を示すフローチャートである。 内周冷媒通路が低温側熱交換器、外周冷媒通路が高温側熱交換器とした場合における内周冷媒と外周冷媒のそれぞれの温度変化の仕方を説明するためのグラフであり、図35Aは平流方式のときのグラフであり、図35Bは向流方式のときのグラフである。 内周冷媒通路が低温側熱交換器、外周冷媒通路が高温側熱交換器とした場合において、並流方式の場合における各磁性体ブロックを構成する複数の磁気熱量材料のそれぞれのキュリー点を示すグラフである。 内周冷媒通路が低温側熱交換器、外周冷媒通路が高温側熱交換器とした場合において、向流方式の場合における各磁性体ブロックを構成する複数の磁気熱量材料のそれぞれのキュリー点を示すグラフである。 一つの磁石が周方向に隣接して並ぶ2個の磁気熱量材料に磁気を印加する大きさであり、かつ周方向に磁気熱量材料2個分離して配置した例を示す図である。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面における各部材の大きさや比率は説明の都合上誇張または簡略化されており、実際の大きさや比率とは異なる。
〔実施形態1〕
[全体構成]
図1は本実施形態に係る磁気冷暖房装置の外観図である。図に示すように、磁気冷暖房装置500は略円柱状の外形をしており、ハウジング50によって覆われている。
ハウジング50からは、内周冷媒通路41(詳細後述)に接続されていて内周冷媒の入口または出口となる内周冷媒出入口45と、外周冷媒通路42(詳細後述)に接続されていて外周冷媒の入口または出口となる外周冷媒出入口46が引き出されている。内周冷媒出入口45および外周冷媒出入口46は、直径方向の両端においてそれぞれが隣り合うように設けられている。
また、ハウジング50の中心部には、ハウジング50に対して回転自在となっている回転軸60が出ている。
図2は磁気冷暖房装置の内部構成を説明するための図であり、図1中A−A線に沿う部分断面図(磁石2の断面を通る位置)であって、略円柱状の磁気冷暖房装置における半径部分を示している。図3は磁気熱量材料の配置を説明するための平面図である。図4は磁石の配置を説明するための平面図である。
ハウジング50の内部には、磁気熱量効果を有する磁性体である磁気熱量材料1と、熱を輸送するための熱スイッチ部30aおよび30bが交互に並べられた磁性体ブロックが入っている。この磁性体ブロックが熱輸送器となる。
熱スイッチ部30aおよび30bは機能的には同じものであるが、熱伝達状態(オン状態)と断熱状態(オフ状態)が30aと30bで互いに逆となる。熱スイッチ部30aと30bのオン、オフの切り替えは、磁気印加ディスク(後述)の回転に合わせてどちらか一方の状態となるようにする。この熱スイッチ部30aと30bのオン、オフを切り替えることで複数の磁気熱量材料1の熱を半径方向に輸送している。すなわち、環状に接続された磁性体ブロックMBの円周方向と交差する方向に熱を輸送するのである。
図3を参照して磁性体ブロック(熱輸送器)を説明する。一つの磁性体ブロックMBは、複数の磁気熱量材料1と熱スイッチ部30aおよび30bが半径方向に交互に配置されている。そして、磁性体ブロックMBは環状に間隔をあけて並列に12個配置している。各磁性体ブロックMBの間(間隔の部分)は空気層または断熱材などにより断熱されている。この環状に並べた12個の磁性体ブロックMBにより中空状で円盤形状となった熱生成ディスク10が構成されている。
磁気熱量材料1については後に詳述するが、本実施形態では磁気熱量効果として磁気が印加されると発熱し磁気が除去されると吸熱する正の磁気熱量材料を用いている。
熱生成ディスク10の内周に沿って内周冷媒通路41が設けられている。内周冷媒通路41は内周端にある磁気熱量材料1と熱スイッチ部30aを介して隣接されている。この内周冷媒通路41は高温側熱交換器となるものである。
また、熱生成ディスク10の外周に沿って外周冷媒通路42が設けられている。外周冷媒通路42は外周端にある磁気熱量材料1と熱スイッチ部30aを介して隣接している。外周冷媒通路42は低温側熱交換器となるものである。
内周冷媒通路41(高温側熱交換器)に流す冷媒を内周冷媒、外周冷媒通路42(低温側熱交換器)に流す冷媒を外周冷媒と称する。
磁気熱量材料1、熱スイッチ部30aおよび30b、内周冷媒通路41、および外周冷媒通路42は、磁気熱量材料基板11上に固定されている(図2参照)。
このような内周冷媒通路41と外周冷媒通路42の配置とすることで、一つひとつの磁性体ブロックMBによって生成される熱による温度差が最も大きくなる磁性体ブロックの内周端と外周端に冷媒を流すことができるようになる。
熱生成ディスク10は、図2に示したように、磁気熱量材料基板11の内周端において内周冷媒通路41ごと回転軸60に対してボールベアリングなどの回転支持部材51を介して回転軸60の回転を妨げないように支持されている。一方、熱生成ディスク10の磁気熱量材料基板11外周端は外周冷媒通路42ごとハウジング50に固定されている。
熱生成ディスク10の上下には、図2に示したように、磁気印加ディスク20が配置されている。図4を参照して磁気印加ディスク20を説明する。磁気印加ディスク20上には、複数の磁石2が設けられている。各磁石2は、複数の磁気熱量材料1の半径方向(熱輸送方向)には、磁気熱量材料1に対して一つおきに対峙する。一方、環状の周方向には、複数の磁気熱量材料1に対して一つの磁石2が対峙するように配置されている。つまり、本実施形態では、一つの磁石2の大きさが、周方向に並んだ3個の磁気熱量材料1分の大きさと同じ大きさとなっているのである。なお、各磁石2は磁石基板21上に固定されている。
またここで複数の磁石2は、180度回転した位置ごとに配置されている。すなわち、符号(2a)で示したセット(磁石セット2aと称する)が、最も内周側に配置されている磁気熱量材料1から外周方向へ一つおきに配置されている。一方符号(2a)で示したセット(磁石セット2bと称する)は、最も内周側の次に配置されている磁気熱量材料1から外周方向へ一つおきに配置されている。そしてこれら磁石セット2aと磁石セット2bは、磁石2の配置されている半径方向での位置が異なるものの、180度回転した位置となっている。これにより円盤状の磁気印加ディスク20の回転安定性が保たれるようになっている。
磁気印加ディスク20は、熱生成ディスク10に対して相対的に回転して90度進むごとに、磁気が印加される磁気熱量材料1が3個ずつ切り替わって行くことになる。
また、磁気印加ディスク20は、図2に示すように、磁気熱量材料1と磁石2の間に隙間がある。磁気印加ディスク20は中空状であり、その内周端は回転軸60に固定されている。一方、磁気印加ディスク20の外周端はハウジング50との間に隙間があり、熱生成ディスク10の外周部(おおむね外周冷媒通路42部分)において、ボールベアリングなどの回転支持部材52を介して回転自在に支持されている。これにより磁気印加ディスク20は回転軸60の回転によって、熱生成ディスク10に対して相対的に回転することができるようになっている。回転軸60は、この回転軸60を回転させる駆動源となるモーター(不図示)により回転する。
熱生成ディスク10と、熱生成ディスク10に対して図示上下側に配置された磁気印加ディスク20の磁石2が1セットとなって一つの層を形成している。このようなセット(層)が、図2に示したように、複数積層されている。積層方向中間部分にある磁気印加ディスク20は、図2に示したように、磁気印加ディスク20の一方側の磁気熱量材料1と対峙する磁石2を保持するとともに、他方の側の磁気熱量材料1と対峙する磁石2を保持している。そして、一方側の磁気熱量材料1に対峙する磁石2の位置と、他方の側の磁気熱量材料1に対峙する磁石2の位置が、磁気印加ディスク20の回転方向に180度ずれた配置となるようにしている。すなわち、図2に示した断面は、1セットとする層が、上から第1層、第2層、…とすれば、第1層目は図4に示した符号(2a)の磁石2が見える位置となっており、第2層目は図4に示した符号(2b)の磁石2が見える位置となっている。このような層間での磁石2の位置の違いは180度ではなくてもよく、たとえば90度ずれていてもよい。
なお、積層方向の端にある磁気印加ディスク20は、図2に示したように、磁気熱量材料1と対峙する磁石2を保持している。
1セットとなった熱生成ディスク10と磁気印加ディスク20の積層数は任意であり、積層数を多くすることで、冷媒の流速が同じであれば、磁気冷暖房装置全体に流すことのできる冷媒の量を多くすることができる。
[熱交換器]
内周冷媒通路および外周冷媒通路について説明する。
内周冷媒通路41は高温側熱交換器となるものである。内周冷媒通路41は熱生成ディスク10のもっとも内周側に位置した磁気熱量材料1と熱スイッチ部30aを介して隣接している。内周冷媒通路41は、図3に示したように、熱生成ディスク10の内周に沿って2つの通路が設けられている。このために円周方向において2か所に仕切り板41aが設けられている。これにより2本の内周冷媒通路41内を流れる冷媒(流体)は互いに混じることなく、熱生成ディスク10の直径方向の一方端から入り、内周に沿って流れて半周したところで直径方向の他方端から出るように流れる。
外周冷媒通路42は低温側熱交換器となるものである。外周冷媒通路42は熱生成ディスク10のもっとも外周側に位置した磁気熱量材料1と熱スイッチ部30aを介して隣接している。外周冷媒通路42は、図3に示したように、熱生成ディスク10の内周に沿って2つの通路が設けられている。このために円周方向において2か所に仕切り板42aが設けられている。これにより2本の外周冷媒通路42内を流れる冷媒(流体)は互いに混じることなく、熱生成ディスク10の直径方向の一方端から入り、外周に沿って流れて半周したところで直径方向の他方端から出るように流れる。
2つの内周冷媒通路41を仕切る仕切り板41aと、2つの外周冷媒通路42を仕切る仕切り板42aとは、熱生成ディスク10の円周方向において同じ位置にある。これにより内周冷媒通路41の内周冷媒出入口45と、外周冷媒通路42の外周冷媒出入口46とがほぼ同じ位置で隣り合うように配置することができる。このような配置とすることで、後述するように、内周冷媒と外周冷媒が交差することなく流すことができる。そして、それらの流れを同じ方向とする平流方式と、互いに逆方向とする向流方式にすることができる。
図5は内周冷媒通路および外周冷媒通路に通じている冷媒出入口を説明するための図であり、図5Aは図3におけるA−A線に沿う切断部端面図であり、図5Bは図3におけるB−B線に沿う切断部端面図である。なお、図5においては一つの熱生成ディスク10のみ示したが、他の熱生成ディスク10も同様である。
図5Aに示すように、内周冷媒出入口45と外周冷媒出入口46は、熱生成ディスク10の外周端において隣り合うように設けられている。内周冷媒出入口45は、磁性体ブロックMBの間を通って内周冷媒通路41に接続されている(図3参照)。また、外周冷媒通路42は図5Bから分かるように外壁42bにより外周冷媒が取るための通路が形成されている。図示しないが内周冷媒通路41も同様に外壁により形成されている。
各冷媒出入口45、46はパイプ状(円筒)部材である。しかし、各冷媒出入口45、46はパイプ形状に限らず、矩形状などであってもよい。
このように磁性体ブロックMBの内周と外周にそれぞれ沿うように冷媒を流す内周冷媒通路41および外周冷媒通路42を設けたことで、複数の熱生成ディスク10を積層した場合に、各冷媒通路が層を跨がることがなくなる。このため層を跨る配管による余分な体積の増加がなく冷暖房装置全体としてコンパクトにすることができる。
ここで本実施形態1の磁気冷暖房装置500は、内周冷媒の出口温度は、外周冷媒の出口温度より高くなるように構成している。このため各磁性体ブロックMBにおいて内周側が高温、外周側が低温となるように熱輸送しているのである。ここでいう低温、高温とは、相対的に内周側が外周側よりも高温(逆にいうと外周側が内周側よりも低温)という意味である。
内周冷媒および外周冷媒を流す方向について説明する。図6および7は、内周冷媒および外周冷媒を流す方向について説明するための説明図である。図中の矢印が例場合の流れる方向である。なお、図6および7においては熱生成ディスク10のみを示した。また、図中「MB1」〜「MB6」は磁性体ブロックMBを識別するための符号であり、12個の磁性体ブロックMBにおいて図示左右対称となるように付した。
内周冷媒および外周冷媒を流す方向は、図6に示すように共に同じ方向に流す並流方式と、図7に示すように互いに逆方向に流す向流方式とがある。本実施形態1では、いずれの方式においても、内周冷媒通路41が高温側熱交換器、外周冷媒通路42が低温側熱交換器である。
並流方式は、図6に示すように、熱生成ディスク10の直径方向のA側(こちらを一端側とする)にある内周冷媒出入口45と外周冷媒出入口46からそれぞれの冷媒を入力する。そして直径方向のA側とは反対のB側(他端側)にある内周冷媒出入口45と外周冷媒出入口46からそれぞれの冷媒を出力するものである。したがって、平流方式においては、内周冷媒、外周冷媒共にA側からB側へ流すことになる。
このため内周冷媒はA側から入って磁性体ブロックMB1〜MB6の熱を奪って暖かくなってB側から放出される。外周冷媒はA側から入って磁性体ブロックMB1〜MB6により冷やされてB側から放出される。
向流方式は、図7に示すように、外周冷媒は、熱生成ディスク10の直径方向のA側((一端側)から入力してB側(他端側)から出力する。一方、内周冷媒は、B側(他端側)から入力してA側(一端側)から出力する。したがって、向流方式においては、外周冷媒はA側から入って磁性体ブロックMB1〜MB6により冷やされてB側から放出される。内周冷媒はB側から入って磁性体ブロックMB6〜MB1の熱を奪って暖かくなってA側から放出される。
図8は、内周冷媒通路が高温側熱交換器、外周冷媒通路が低温側熱交換器とした場合における内周冷媒と外周冷媒のそれぞれの温度変化の仕方を説明するためのグラフであり、図8Aは平流方式のときのグラフであり、図8Bは向流方式のときのグラフである。これらグラフにおいて横軸は図6および7におけるA側からB側までの位置を示し、縦軸は温度を示す。
各グラフにおいて、内周冷媒および外周冷媒は、入口での温度が同じであり、ここではTbであるとする。また、グラフ中のMB1〜MB6は各磁性体ブロック(図6および7参照)と温度の関係を示している。
並流方式は、図8Aに示すように、内周冷媒が入口温度Tbから出口温度Thにまで温度が上昇する。この温度変化を+ΔT(=Th−Tb)とする。この+ΔTはたとえば30Kである。一方、外周冷媒は入口温度Tbから出口温度Tcまで温度が下降する。この温度変化を−ΔT(=Tc−Tb)とする。この−ΔTはたとえば30Kである。これにより、内周冷媒通路41の出口における内周冷媒温度Thの方が外周冷媒通路42の出口における外周冷媒温度Tcより高い温度となる。
図8Aのグラフからわかるように、並流方式では、磁性体ブロックMB1においては、内周冷媒と外周冷媒の温度差がほとんど少ないが、磁性体ブロックMB6に行くほどこの温度差が大きくなっている。したがって、磁性体ブロックMB1は冷却(または加熱)する温度は少なくてもよいが、磁性体ブロックMB6では2×ΔTに相当する温度を冷却(または加熱)しなければならないことになる。
向流方式は、図8Bに示すように、内周冷媒が入口温度Tbから出口温度Thにまで温度が上昇する。この温度変化を+ΔT(=Th−Tb)とする。この+ΔTはたとえば30Kである。一方、外周冷媒は入口温度Tbから出口温度Tcまで温度が下降する。この温度変化を−ΔT(=Tc−Tb)とする。この−ΔTはたとえば30Kである。これにより、内周冷媒通路41の出口における内周冷媒温度Thの方が外周冷媒通路42の出口における外周冷媒温度Tcより高い温度となる。
そして図8Bのグラフからわかるように、向流方式では、磁性体ブロックMB1〜MB6はいずれも内周冷媒と外周冷媒の温度差に相当する温度範囲を冷却(または加熱)することになる。しかも磁性体ブロックMB1〜MB6はそれぞれがΔTに相当する温度を冷却(または加熱)すればよいことになる。
ここで、冷房効率の指標となるカルノーサイクルにおける成績係数(COP)を求める。COP=(T低温)/((T高温)−(T低温))である。式中(T高温)−(T低温)は、内周冷媒と外周冷媒における磁性体ブロックMB1〜MB6のそれぞれの内周側と外周側の温度差である。
並流方式では、((T高温)−(T低温))は、最大2×ΔTということになる(MB6の内周側と外周側の温度差に相当する)。このことから並流方式の成績係数は、COP=Tc/(2×ΔT)となる。
一方、向流方式では、((T高温)−(T低温))はどの磁性体ブロックにおいてもΔTということなる。このことから向流方式の成績係数は、COP=Tc/ΔTとなる。したがって、向流方式の方が並流方式より2倍冷却効率がよいことになる。
[磁気熱量材料]
磁気熱量材料について説明する。
磁気熱量材料1は、磁気の移動(印加、除去)により温度変化する磁性体である。そして磁気を移動させたときに変化する温度範囲が決まっている。この変化する温度範囲を作動温度という。作動温度は、磁気熱量材料1が持つキュリー点に対応している。したがって、磁気熱量材料1のキュリー点を、その磁気熱量材料1が担う温度範囲に合わせることで、効率よく温度変化させることができる。
キュリー点は磁気熱量材料を構成する材料によって決まってくる。磁気熱量材料を構成する具体的な材料としては、たとえば、公知のLaFeSiHを用いることができる。LaFeSiHは、その組成中の水素の量の変化で、キュリー点を変えることができる(たとえば参考文献1“Large magnetocaloric effects and thermal transport properties of La(FeSi)13 and their hydrides” K. Fukamichiら Journal of Alloys and Compounds 408−412 (2006) p.307−312)。また、同様に、一般式:La(Fe1−x13(Mは、Si、Alからなるグループ中から選択された1種または2種以上の元素であり、xおよびzの値は、それぞれ、0.05≦x≦0.2;0.3≦z≦3;で規定される)であらわされる磁気熱量材料(特開2003−96547号公報)でも、前述したキュリー点を変えることができる。
本実施形態では、上述した冷媒の流し方に応じて、各磁気熱量材料1のキュリー点を変えている。
まず並流方式の場合を説明する。
図9は並流方式の場合の一つの磁性体ブロックにおける磁気熱量材料の並びを説明するための説明図である。図9においては、一つの磁性体ブロックMBを構成する複数の磁気熱量材料のそれぞれを区別するために外周側から内周側方向へa1〜a12の符号を付した。
図10は並流方式の場合における各磁性体ブロックを構成する複数の磁気熱量材料のそれぞれのキュリー点を示すグラフであり、横軸は低温側温度Tcから高温側温度Thまでの温度であり、縦軸は各磁気熱量材料が変化する温度である。図10におけるa1〜a12は図9で各磁気熱量材料に付した符号に対応する。また、グラフ中の山形の複数の曲線のそれぞれのピークがキュリー点である。
図10に示したように、並流方式の場合は、片側6個の磁性体ブロックMB1〜MB6は全て、それぞれの複数の磁気熱量材料a1〜a12のキュリー点が外周側(a1)から内周側(a12)へ高くなるようにしている。これは、本実施形態においては内周冷媒が外周冷媒と比較して相対的に高温になる。そこでそれぞれの磁気熱量材料a1〜a12のキュリー点をこのようにすることで、最適な磁気熱量効果を得られるようになる。しかも並流方式の場合は、冷媒の入口側と出口側とで磁性体ブロックMBの内周側と外周側の温度差が異なるので、最も温度差が大きくなる出口における温度差2×ΔTに合わせて、各磁性体ブロックMBを構成する複数の磁気熱量材料のキュリー点を設定したである。また一つひとつの磁性体ブロックの中にある複数の磁気熱量材料a1〜a12のキュリー点の平均値は、同じとなるようにしている。したがって熱生成ディスク10を構成する複数の磁性体ブロックMBは、磁気熱量材料a1〜a12が同じ構成となった磁性体ブロックMBを環状に12個並列に並べればよい。このため向流方式と対比すれば熱生成ディスク10を製造する際のコストを低減することができる。
次に向流方式の場合の磁気熱量材料を説明する。
向流方式の場合は、一つの磁性体ブロックMBにおいて内周側と外周側との温度差は、すべての磁性体ブロックMBで同じであり、既に説明したようにΔTに相当する温度差を得られればよい(ただし各磁性体ブロックが担う温度領域が異なる(後述))。そして、このΔTが最大温度差である。
ここで一つひとつの磁気熱量材料が担う温度差が並流方式と同じであると仮定する。平流方式では12個の磁気熱量材料を用いて一つの磁性体ブロックMBを構成して、2×ΔTの温度差となるようにしていた。これが向流方式の場合は磁性体ブロックの内周側と外周側でΔTの温度差が得られればよいのであるから、一つの磁性体ブロックを6個の磁気熱量材料で構成すればよいことになる。このことは先に説明したCOPが向流方式では並流方式の2倍あることからもわかる。
図11は向流方式の場合の一つの磁性体ブロックにおける磁気熱量材料の並びを説明するための説明図である。図11においては磁性体ブロックを構成する複数の磁気熱量材料のそれぞれを区別するために外周側から内周側方向へa1〜a6の符号を附した。
図12は向流方式の場合における各磁性体ブロックを構成する複数の磁気熱量材料のそれぞれのキュリー点を示すグラフであり、横軸は低温側温度Tcから高温側温度Thまでの温度であり、縦軸は各磁気熱量材料が変化する温度である。図11におけるa1〜a6は、図11で各磁気熱量材料に付した符号に対応する。また、グラフ中の山形の複数の曲線のそれぞれのピークがキュリー点である。
図12に示すように、向流方式の場合も並流方式と同様に、各磁性体ブロックMB1〜MB6を構成するそれぞれの複数の磁気熱量材料a1〜a6のキュリー点は外周側(a1)から内周側(a6)へ高くなるようにしている。そして向流方式の場合はさらに片側6個の磁性体ブロックMB1〜6のそれぞれが冷媒の温度変化域に対応して、異なる温度領域を担うようになっている。つまり、図8Bに示したように磁性体ブロックMB1〜MB6の温度が異なることから、それに合わせて磁性体ブロックMB1〜MB6のそれぞれが担う温度領域を変えているのである。このため向流方式では、一つひとつの磁性体ブロック中にある複数の磁気熱量材料a1〜a6のキュリー点の平均値が、磁性体ブロックMB1〜MB6方向に低くなるようにしている。つまり、各磁性体ブロックMB1〜MB6を構成する磁気熱量材料a1〜a6のキュリー点の平均値が、外周冷媒を基準としても、内周冷媒を基準としても、それらの入口から出口の方向に段階的に変化しているのである。
またこのことは、各磁性体ブロックMB1〜MB6における外周側に位置する磁気熱量材料a1を見れば、そのキュリー点は外周冷媒の入口側(A側、すなわちMB1側)が高く、出口側(B側、すなわちMB6側)が低くなるように配置されていることになる。また、内周側に位置する磁気熱量材料a6を見れば、そのキュリー点は内周冷媒の入口側(B側、すなわちMB6側)が低く、出口側(A側、すなわちMB1側)が高くなるように配置されていることになる。
このように向流方向においては、各磁性体ブロックMB1〜MB6を構成する磁気熱量材料a1〜a6は外周側から内周側へ、段階的にキュリー点(作動温度)が変化するようにキュリー点の異なる磁気熱量材料を配置している。さらに、各磁性体ブロックMB1〜MB6を構成する磁気熱量材料a1〜a6のキュリー点の平均値は、冷媒の入口から出口の方向に段階的に変化しているものとなっているのである。
これにより向流方式においては、磁気冷暖房装置500として必要な温度差を平流方式と比較して、より少ない数の磁気熱量材料で得ることができる。
もちろん、向流方式においても、一つひとつの磁性体ブロックMBを構成する磁気熱量材料1の数を12個としてもよい。その場合には、冷媒出口側における内周冷媒と外周冷媒の温度差を平流方式の約倍の温度差にすることができる。
なお、一つひとつの磁性体ブロックを構成する磁気熱量材料の数を6個とした場合の全体構成については図示していないが、既に説明した12個とした場合と同じである。
[熱スイッチ部]
次に熱スイッチ部について説明する。
熱スイッチ部30aおよび30bは、一つの磁性体ブロックMB内において、内周冷媒通路41と磁気熱量材料1の間、隣接する磁気熱量材料1同士の間、磁気熱量材料1と外周冷媒通路42の間に配置されていて、これらの間の熱の伝達、遮断を行う熱伝達部である。この熱スイッチ部30aおよび30bについては、様々な形態がある。
<熱スイッチ部の形態1>
図13は熱スイッチ部の形態1を説明するための説明図である(図においては途中の磁気熱量材料1を省略した)。
熱スイッチ部の形態1は、熱スイッチ部30aおよび30bとして磁気の印加、除去によって絶縁体、金属に相転移する転移体を使用した例である。
熱スイッチ部の形態1は、図13に示すように、磁気熱量材料1の両面に熱スイッチ部30aと30bが配置されている。熱スイッチ部30a、30bは、磁気熱量材料1の対向する両面に接合または接着によって一体化する。熱スイッチ部30aの磁気熱量材料1がない存在しない側には内周冷媒通路41が接合または接着されることになる。熱スイッチ部30bは、その両側とも磁気熱量材料1が接合または接着されることになる。そして同様に磁気熱量材料1の数だけ熱スイッチ部30a、30bが設けられて、最後に外周冷媒通路42が熱スイッチ部30aに接合または接着される。
(熱スイッチ部の動作)
熱スイッチ部30aおよび30bとして用いた転移体は、たとえば9テスラ程度の磁気が印加されると、印加される前よりも熱伝導率が大きくなる。熱伝導率の大きさの変化は、100倍から3000倍の範囲である。したがって、熱スイッチ部30aおよび30bは、磁気が印加されなければ熱伝導率は極めて小さくなり、接続されている内周冷媒通路41と磁気熱量材料1の間、磁気熱量材料1同士の間、磁気熱量材料1と外周冷媒通路42の間でそれぞれ熱を伝導しない。一方、熱スイッチ部30aおよび30bに磁気が除去されると熱伝導率が極めて大きくなって、内周冷媒通路41と磁気熱量材料1の間、磁気熱量材料1同士の間、磁気熱量材料1と外周冷媒通路42の間でそれぞれ熱を伝導する。熱スイッチ部30aおよび30bへの磁気の印加、除去は、磁石2によって行えばよい。
転移体は、少なくとも1種類以上の電荷整列絶縁体を含む。したがって、転移体に磁気を印加すると金属に相転移して熱伝導率が相対的に大きくなる。また、転移体から磁気を除去すると絶縁体に相転移して熱伝導率が相対的に小さくなる。したがって、このような転移体を含む熱スイッチ部30aおよび30bに対して、一方に磁気を印加するとき、他方は磁気を印加しないようにすることで、互いに逆の状態、すなわち一方が熱伝導であれば他方は断熱状態にすることができる。
磁気を印加することで絶縁体から金属に相転移するメカニズムを解明する研究の結果によれば、次のような報告がなされた。
遷移金属の酸化物の中には、大量の電子が存在し電子間の相関が強い物質であるために、電子同士が反発し合い局在化した、電荷整列絶縁体という絶縁体が多く存在している。電荷整列絶縁体では、電子のスピンや軌道など、電荷以外の電子の持つ性質(自由度)に直接作用する外場が、電荷整列絶縁体という絶縁体を金属に相変化させる。特に、磁気が電子のスピンに作用すると、局在している大量の電子を雪崩のように動かし、絶縁体を金属に相変化させる。報告によると、ネオジウムストロンチウムマンガン酸化物を用いた場合、温度10K(−236℃)2.4テスラの磁気では電気抵抗率が500Ωmと高い絶縁体状態であったが、9テスラの磁気では電気抵抗率が0.2Ωmと4桁ほど減少したことが示された。本実施形態の熱スイッチ部30aはこの現象を積極的に利用して、磁気冷暖房装置500を構成している。なお、本実施形態では、磁気を印加すると金属化する電荷整列絶縁体として、Gd0.55Sr0.45MnO、Pr0.5Ca0.5MnOを用いる。
このように、熱スイッチ部30aおよび30bを、電荷整列絶縁体を含む転移体で形成すると、磁気の印加、除去によって、熱伝導率の大きさを大きく変えることができ、熱スイッチ部30aおよび30bとして機能させることができる。このような熱伝導率が変化する熱スイッチ部30aおよび30bを用いることで、隣接する磁気熱量材料1への磁石2による磁気の印加、除去と同時に、これら熱スイッチ部30aおよび30bへも磁気の印加、除去を行うことができる。
<熱スイッチ部の形態2>
図14は熱スイッチ部の形態2を説明するための説明図である。
熱スイッチ部の形態2に係る熱スイッチ部30aおよび30bは、電圧の印加、除去により金属状態と絶縁状態に変化する相転移体を使用した例である。
熱スイッチ部の形態2に係る熱スイッチ部30aおよび30bは同じ形態であり、電極31Aおよび31Bと、これら電極31Aおよび31Bの間に取り付ける金属/絶縁相転移体32とによって構成される。電極31Aの一方の面は磁気熱量材料1の一方の面に接合または接着によって取り付ける。電極31Bの一方の面は他の磁気熱量材料1の一方の面に接合または接着によって取り付ける。したがって、熱スイッチ部30aおよび30bは、複数の磁気熱量材料1と電極31Aおよび31Bと介して一体化されることになる。なお、内周冷媒通路41と磁気熱量材料1の間、および磁気熱量材料1と外周冷媒通路42と間においても同様に熱スイッチ部30aが接合または接着されて一体化される。
電極31A、31Bは導電性の良好な、たとえばアルミニウムや銅などの金属(金属単体または合金でもよい)を用いる。磁気熱量材料1の間では電極31Aと31Bを介して熱が伝導するので、電極31Aと31Bは熱伝導率のより大きい金属を用いることが好ましい。
電極31A、31Bを磁気熱量材料1および金属/絶縁相転移体32に接着する接着剤は、熱伝導率の大きいものを用いる。たとえば、接着剤に金属粉を接着性が妨げられない程度に混ぜ込んだ熱伝導性を改善した接着剤を用いる。
金属/絶縁相転移体32は、電圧を印加すると絶縁体から金属に相転移し、熱伝導率が大きくなり、逆に、電圧を遮断すると金属から絶縁体に相転移し、熱伝導率が小さくなる性質を持つものである。金属と絶縁体の相互間の相転移を示す絶縁体は、無機酸化物モット絶縁体または有機モット絶縁体がある。無機酸化物モット絶縁体は少なくとも遷移金属元素を含む。モット絶縁体としては、LaTiO、SrRuO、BEDT−TTF(TCNQ)が知られている。金属と絶縁体の相互間の相転移が可能なデバイスとして現在知られているものは、ZnO単結晶薄膜電気二重層FET、TMTSF/TCNQ積層型FET素子がある。熱は、熱電子および格子結晶によって移送することができる。ZnO単結晶薄膜電気二重層FETおよびTMTSF/TCNQ積層型FET素子は、電圧を印加すると熱電子が活発に移動するようになる性質を利用する。ここでは、金属/絶縁相転移体32に、少なくとも遷移金属元素を含む無機酸化物モット絶縁体、有機モット絶縁体、ZnO単結晶薄膜電気二重層FET、TMTSF/TCNQ積層型FET素子など、電圧の印加除去によって熱伝導率が大きく変化するものを用いる。
図14に示すように、電極31Aと31Bとの間に直流電圧Vを印加すると、金属/絶縁相転移体32の熱伝導率が相対的に大きくなって、磁気熱量材料1と各冷媒通路41および42の間および磁気熱量材料1間で熱の移動が起こる。一方、電極31Aと31Bとの間の直流電圧Vを除去すると、金属/絶縁相転移体32の熱伝導率が相対的に小さくなって、磁気熱量材料1と各冷媒通路41および42の間および磁気熱量材料1間の熱の移動が阻止される。したがって、熱スイッチ部30aおよび30bは、電圧の印加、除去によって熱の移動を制御する熱スイッチ部となる。
このように熱スイッチ部30aおよび30bの熱伝導の断続は、電極31Aと31Bに電圧を印加、除去することによってできる。電極31Aと31Bを設けることで、金属/絶縁相転移体32に容易に電圧を印加することができる。また、金属/絶縁相転移体32に、少なくとも遷移金属元素を含む無機酸化物モット絶縁体、有機モット絶縁体、ZnO単結晶薄膜電気二重層FET、TMTSF/TCNQ積層型FET素子を用いると、熱伝導率の変化の応答性が良好になる。
この様な形態の熱スイッチ部30aおよび30bは磁気熱量材料1との並び方向にのみ熱を輸送できるため、熱的な損失が小さくできる。熱スイッチ部30aおよび30bは、電圧の印加、除去に応じて、磁気熱量材料1間をすべての接触面を使って接続できるので、熱輸送能力および熱輸送効率を向上させることができる。
<熱スイッチ部の形態3>
図15は熱スイッチ部の形態3を説明するための説明図である。
熱スイッチ部の形態3に係る熱スイッチ部30aおよび30bは、熱スイッチ部の形態2で説明した熱スイッチ部30aおよび30bに、さらに補助電極33A、33Bを追加している。その他の構成および動作は熱スイッチ部の形態2と同様である。
補助電極33Aと33Bは、金属/絶縁相転移体32に接合または接着によって取り付ける。補助電極33Aと33Bは熱伝導性を考慮しなくてもよい。また補助電極33Aと33Bを金属/絶縁相転移体32に接着する接着剤も熱伝導性を考慮しなくてもよい。補助電極33Aと33Bと接着剤には、熱電子が通過しないからである。
補助電極33Aと33Bは、電極31Aと31Bに対して、直交方向に電圧を印加する。補助電極33Aと33Bとの間に直流電圧を印加すると、金属/絶縁相転移体32内の電子の分布が補助電極33Aと33Bの方向に偏る。このため、磁気熱量材料1との間を移動する熱電子の抵抗が減少し、熱電子が移動しやすくなる。つまり、補助電極33Aと33Bを設けることで、金属/絶縁相転移体32の熱伝導率をより大きくすることができる。
<熱スイッチ部の形態4>
図16は熱スイッチ部の形態4を説明するための説明図である。
熱スイッチ部の形態4に係る熱スイッチ部30aおよび30bには、電極31Aと31Bを、金属/絶縁相転移体32と磁気熱量材料1との間には設けずに、金属/絶縁相転移体32内を移動する熱電子の移動方向に対して直交する方向から電圧が印加できるように設けている。その他の構成および動作は熱スイッチ部の形態2と同様である。
したがって、金属/絶縁相転移体32は、磁気熱量材料1および各冷媒通路41および42に直接取り付ける。金属/絶縁相転移体32と磁気熱量材料1とは、接合または接着剤で取り付ける。このときに用いる接着剤は、熱伝導性の大きいものを用いる。
電極31Aと31Bは、金属/絶縁相転移体32に接合または接着によって取り付ける。電極31Aと31Bは熱伝導性を考慮しなくてもよい。また電極31Aと31Bを金属/絶縁相転移体32に接着する接着剤も熱伝導性を考慮しなくてもよい。電極31Aと31Bと接着剤には、熱電子が通過しないからである。
電極31Aと31Bは、金属/絶縁相転移体32内を移動する熱電子の移動方向に対して、直交方向に電圧を印加する。電極31Aと31Bとの間に直流電圧を印加すると、金属/絶縁相転移体32内の電子の分布が電極31Aと31Bの方向に偏って相転移する。このため、磁気熱量材料1との間を移動する熱電子の抵抗が減少し、熱電子が移動しやすくなる。
熱スイッチ部の形態2、3の場合には、熱電子の通過方向に電極31A、31Bが存在するので、熱電子にとっては電極31A、31Bが障害物となる。このため、電極31A、31Bの存在は熱伝導率を小さくする方向に働く。熱スイッチ部の形態4の場合には、金属/絶縁相転移体32を磁気熱量材料1に直接取り付けるので、電極31A、31Bの存在は熱伝導率を下げる方向には働かない。したがって、本形態に係る熱スイッチ部30aおよび30bの熱伝導率は、熱スイッチ部の形態2、3の場合と比較して、大きくなる。
<熱スイッチ部の形態5>
図17は熱スイッチ部の形態5を説明するための説明図である。
熱スイッチ部の形態5に係る熱スイッチ部30a、30bは、金属/絶縁相転移体32を磁気熱量材料1に直接取り付け、磁気熱量材料1に直流電圧を印加できるようにしたものである。金属/絶縁相転移体32と磁気熱量材料1とは接合または接着剤で取り付ける。接着剤は熱伝導率の大きいものを用いる。その他の構成および動作は熱スイッチ部の形態2と同様である。
磁気熱量材料1を電極の代わりに用いると、構造が単純化され、また、部品点数の減少と製造工程の簡略化が図れる。また、熱スイッチ部の形態4の場合と同様に、熱スイッチ部30aおよび30bの熱伝導率は、熱スイッチ部の形態2、3の場合と比較して、大きくなる。
<熱スイッチ部の形態6>
図18は熱スイッチ部の形態6を説明するための説明図である。
熱スイッチ部の形態6は、熱スイッチ部30aおよび30bに絶縁体34を追加している。具体的には、図18に示すように、熱電子の移動を妨げる絶縁体34を電極31Aと金属/絶縁相転移体32との間に設けている。図18では、図14の構成に絶縁体34を追加しているが、図15〜17の構成に対して絶縁体34を追加してもよい。その他の構成および動作は熱スイッチ部の形態2と同様である。
絶縁体34は、熱電子以外の電子の移動を阻止するために設ける。電極31Aと31Bとの間に直流電圧を印加すると、電極31Aと31Bとの間に電流が流れるが、本来移動してほしい熱電子に加え、熱輸送に関与しない電子を過剰に移動させてしまう可能性がある。この熱輸送に関与しない電子の過剰の移動を防ぐために、絶縁体34を金属/絶縁相転移体32に取り付けることによって、金属/絶縁相転移体32の熱伝導率の低下を防止できる。
<熱スイッチ部の形態7>
図19は熱スイッチ部の形態7を説明するための説明図である。
熱スイッチ部の形態7は、熱スイッチ部の形態4に係る図16の熱スイッチ部30aおよび30bに分極体35を追加している。具体的には、電極31Aと金属/絶縁相転移体32との間に熱電子の移動を促す分極体35を配置する。分極体35は、誘電体およびイオン性液体のうちの少なくとも1種類以上から形成する。その他の構成および動作は熱スイッチ部の形態4と同様である。
分極体35は、金属/絶縁相転移体32内を移動する電子を取り出したり、金属/絶縁相転移体32内に電子を注入したりする。このため、金属/絶縁相転移体32内の電子の分布状態が変化して、熱電子が流れやすくなる。分極体35を配置することで、金属/絶縁相転移体32の熱伝導率をより大きくすることができる。
<熱スイッチ部の形態8>
図20は熱スイッチ部の形態8における熱スイッチ部の構成を説明するための熱スイッチ部分の断面図である。図21は熱スイッチ部の形態8における熱スイッチ部の構成を説明するための熱スイッチ部分の平面図(図20の矢視Aの図)である。
本形態の熱スイッチ部30は、電気濡れ(エレクトロウェッティング)効果を利用したものである。
ここでは、磁気熱量材料1とそれに隣接する磁気熱量材料1’の間に設けられた熱スイッチ部30を例に説明する。なお、熱スイッチ部30は、これまでに説明した熱スイッチ部30aおよび30bとなるものである。
熱スイッチ部30は、磁気熱量材料1に接する第1電極構造体71と、磁気熱量材料1’に接する第2電極構造体81と、第1電極構造体71および第2電極構造体81の間の隙間90と、この隙間90に出し入れされる液体金属95とを有する。また、隙間90の一端には、液体金属95を収容する液溜まり77を有する。なお、隙間90において、液溜まり77を設けた一端の反対側の端部は開放端92となっている。
第1電極構造体71と第2電極構造体81は、同じ構造を有していて、隙間90を中心線とする対称構造である。第1電極構造体71は、磁気熱量材料1側から順に、第1電極72、誘電体73、第2電極74、撥液コート層75を有する。第2電極構造体81も同様に、磁気熱量材料1’側から順に、第1電極72、誘電体73、第2電極74、および撥液コート層75を有する。つまり、隙間90を中心としてみれば、第1電極構造体71も第2電極構造体81も、隙間90側から順に撥液コート層75、第2電極74、誘電体73、第1電極72となるように配置されているのである。
磁気熱量材料全体の下部には、下部基板76を有する。この下部基板76内に、隙間90に連通した液溜まり77を有している。
第2電極74は、液溜まり77内部にまで入っていて、液体金属95と電気的に導通することができるようになっている。一方、第1電極72は液溜まり77からは絶縁されている。すなわち、第1電極72は液体金属95と絶縁されているのである。
これにより、第1電極72と第2電極74は、その間にある誘電体73を介したキャパシター構造となっていて、これがそのまま液体金属95と第1電極72のキャパシターとして作用することになる(詳細後述)。
第1電極構造体71と第2電極構造体81の上部には、それぞれ第1および第2電極72、74から導かれた配線が形成される上部基板100を有する。上部基板100は、第1電極構造体71側と第2電極構造体81側とで、隙間90の延長によって分離、絶縁され、第1電極構造体71および第2電極構造体81と同様に隙間90によって対称な同じ構造である。上部基板100は、それぞれ第1電極72からの第1配線111と、第2電極74からの第2配線112が絶縁層113によって絶縁されている。第1および第2配線111および112は、この熱スイッチ部30を制御するために、磁気冷暖房装置500の制御装置(不図示)に接続されている。そして制御装置が、磁気の移動に同期して、この熱スイッチ部30による熱伝達状態と断熱状態を切り替えている。
以下さらにこの熱スイッチ部30各部を詳細に説明する。
第1電極72および第2電極74は、たとえば、銅、アルミニウムなど、導電性のものであれば、特に限定されない。第1電極72および第2電極74の形状はともに同じであり、隙間90の大きさ(隙間の間隔を除く)と一致する電極板となっている。
誘電体73は、第1電極72と第2電極74の間にあって、たとえば、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜など、誘電体73であれば特に限定されない。誘電体73の形状は第1電極72および第2電極74と同じ大きさであり、第1電極72と第2電極74が短絡しない形状となっている。
撥液コート層75は、液体金属95に対して撥液性を有する。また、撥液コート層75は、導電性であることが好ましい。このような撥液コート層75に用いる材料とは、たとえば、導電性酸化膜、導電性ガラス材、導電性セラミックス材、グラフェンなどが好ましい。
このように、撥液コート層75が液体金属95に対して撥液性となっていることで、電気を印加していない状態では、液体金属95が容易に液溜まり77内に収納されるようになる。また、導電性を有することで、第2電極74に流した電気を液体金属95に直接流すことができて効率がよい。また、第2電極74に電気を流して液体金属95を第1電極構造体71と第2電極構造体81の間の隙間90に充填する際に、液溜まり77内を空にできるので、液体金属95使用量を少なくすることができる。
なお、液溜まり77内に常に液体金属95の一部が残留して、第2電極74から液体金属95に電気を流すことができれば、撥液コート層75は撥液性を有するだけで、導電性のないものであってもよい。また、第2電極74の隙間90側の表面に極薄いシリコン酸化膜やシリコン窒化膜などの絶縁性の撥液性部材を形成してもよい。極薄いシリコン酸化膜やシリコン窒化膜であれば、これらが介在していても第2電極74に電気を流したときにトンネル効果によって、液体金属95に電気を流すことができる。
このような部材によって構成される撥液コート層75の形状は第2電極74を覆う大きさである。
さらに、第2電極74自体を導電性で、かつ、その表面が撥液性となる部材を用いてもよい。つまり第2電極74自体を導電性酸化膜、導電性ガラス材、導電性セラミックス材、グラフェンなどによって形成するのである。この場合、第2電極74の隙間側表面に、撥液コート層を設ける必要がなくなる。
下部基板76は、少なくとも第1および第2電極72、74との間で絶縁されているものであればよい。たとえば、全体が絶縁性を有する材料として、エポキシ基板、フェノール基板、ABS樹脂基板などが用いられる。そして、これら基板に液溜まり77を設ける。この場合、液体金属95を液溜まり77内に収納しやすいように、液溜まり内壁面を親液性にする。親液性を持たせるためには、液溜まり壁面に金属膜79(たとえば銅、ニッケル、アルミニウムなどの金属膜)を形成することが好ましい。
また、下部基板76としては、たとえばシリコン基板を用いることもできる。シリコン基板を用いた場合、まず液溜まり77の形成後、液溜まり77内部の壁面表面を含めて、すべての表面をシリコン酸化膜やシリコン窒化膜などにより絶縁層(不図示)を形成する。そして、液溜まり77内に親液性を持たせるために金属膜79(たとえば銅、ニッケル、アルミニウムなどの金属膜、さらにシリコン基板とした場合は導電性を付与したポリシリコンなどでもよい)を形成することが好ましい。
液溜まり77内に形成した金属膜79は第2電極74と導通するようにしてもよい。
なお、液溜まり77内の金属膜79はなくてもよい。上述したとおり、液溜まり77内の金属膜79は、液溜まり77内壁面を親液性にすることで液体金属95が下がったときに、液体金属95が液溜まり77内に収納されやすくするためのものである。このため、液溜まり77の大きさが十分に大きく、液溜まり77内壁面が親液性でなくても液体金属95の収納がスムーズにゆく場合には金属膜79はなくてもよい。
さらに、下部基板76の液溜まり77には、液体金属95が漏れ出ない程度の空気穴93が設けられている(空気穴93の機能については後述)。
上部基板100は、第1電極構造体71側と第2電極構造体81側で同じ構成であり、第1電極72と電気的に接続された第1配線111と、第2電極74と電気的に接続された第2配線112と、これらを絶縁分離する絶縁層113を有する。また、すでに説明したように、第1電極構造体71側と第2電極構造体81側は隙間90によって絶縁、分離されているため、当然に上部基板100も第1電極構造体71側と第2電極構造体81側でそれぞれ分離して同じ構成となるように設けられている。また、各第2配線112の隙間90に面した部分は、撥液コート層75が形成されている。また、隙間90部分は、上から見ると、図21に示すように、撥液コート層75が隙間90を取り囲むように形成されており、隙間90の側面部分75aから液体金属95が漏れないようになっている。なお、隙間90の側面部分75aには、図示しないが、撥液コート層75の外側に、隙間の側面部分(または磁気熱量材料1の側面を含めた側面全体)を覆う構造体(不図示)があってもよい。このような構造体は、たとえば樹脂やセラミックなど非磁性、非導電性の部材が好ましい。
上部基板100で配線が対向した部分(図20中のまるで囲った部分)は、開放端92となっていて、液体金属95の移動によって隙間90内の圧力が上ったり下がったりしないようになっている。このため液体金属95は、スムーズに隙間90内を移動できる。
上部基板100に用いられる配線111、112は、第1および第2電極72および74と同じく、銅、アルミニウムなどである。一方、絶縁層113は、少なくとも誘電体73よりも誘電率の低い絶縁体(絶縁材)が好ましい。
配線111、112は、第1および第2電極72および74に対して電圧を印加するための配線である。このため配線が対向した部分(図20中のまるで囲った開放端92近傍部分)でも、第1および第2電極72および74と同じ電圧がかかる。そうすると、上部基板100の絶縁層113として誘電率の高い材料が用いられていると、この部分でも液体金属95と配線112との間がキャパシター構造となってしまう。そうすると液体金属95が上昇してきたときに、その勢いで、まるで囲んだ部分からさらに上にまで液体金属95が来て、吐出してしまう虞がある。これを防ぐために、この配線112同士が隙間90を介して向き合う部分では、誘電率が低い絶縁材を用いることで、液体金属95がこの配線112同士が対向する部分の隙間90に入ってくるのを防止している。具体的には、たとえば、半導体装置において使用されている、いわゆるLow−k材料を使用することができる。たとえばシリコン酸化物にフッ素や炭素を添加したもの、有機ポリマーなどがある。そのほか、第1および第2電極72、74の間に用いた誘電体73よりも誘電率が低い材料であればよい。これらLow−k材料であってもよい。これらのLow−k材料は、SiOの比誘電率4.2〜4.0に対して、比誘電率3.0以下であることが知られている。
なお、絶縁体である絶縁層113を配置する開放端92近傍部分は、配線112および113が絶縁される厚みであるが、たとえば隙間上端から誘電体73の厚み程度の厚さ分もあれば、液体金属95が上がってきたときに上端から吐出することはない。
そして、液体金属95(導電性流体と称されることもある)は、少なくともこの磁気冷暖房装置500が使用される温度範囲において液体の金属である。たとえば、ガリウム、インジウム、スズの共晶合金であるガリンスタンを用いることができる。ガリンスタンは、常温で液体の金属であり、ガリウム、インジウム、スズの組成よって融点が異なる。たとえば、ガリウム68.5%、インジウム21.5%、スズ10%のガリンスタンは、融点:−19℃、沸点:1300℃以上、比重:6.44g/cm3、粘度:0.0024Pa・s(at20℃)、熱伝導率:16.5W/(m・K)である。そのほかにも、周知の様々な液体金属95を用いてもよく、熱伝達率が高いものが好ましい。
次に、このように構成された熱スイッチ部30の作用を説明する。
本形態の熱スイッチ部30においては、熱スイッチ部としての機能を隙間90と液溜まり77の間を行き来する液体金属95により行っている。そして、液体金属95を隙間90と液溜まり77の間を行き来させるためには、エレクトロウェッティングを用いている。エレクトロウェッティングによる液体金属95の移動自体には、公知であり、たとえば、特開2007−103363号公報などに開示されるので、ここでは本形態の理解のために必要な原理について説明する。
図22はエレクトロウェッティングの原理を説明するための説明図である。
エレクトロウェッティングは、電極板300上に設けられた誘電体301の表面に液体金属95(ここでは液滴として示した)を乗せ、電極板300と液体金属95の間に電圧を印加することで、誘電体表面における液体金属95との濡れ性を制御する技術である。
電極板300と液体金属95との間は誘電体301を介してキャパシターが形成されている。図22Aに示すように、電極板300と液体金属95との間に電圧を印加すると、このキャパシターの静電エネルギーが変化(増加)して、それに相当する液体金属95の表面エネルギーが減少し、液体金属95の表面張力が低下する。これにより液体金属95の表面に対する接触角度θが変化する。ここで接触角度θとは、液体金属95が乗っている誘電体301の表面における液体金属表面とのなす角をいう。この接触角度θは、液体金属95の表面張力に応じて0°〜180°の範囲で変化する。
ここで図22Aに示すように(電圧印加時)、接触角度θが、0°から90°までは、液体金属95に対する表面の濡れ性がよい状態、すなわち親液性のある状態である。一方、図22Bに示すように(電圧印加無しのとき)、接触角度θは、90°を超えて180°であり、これが濡れ性の悪い状態、すなわち撥液性の状態である。このように誘電体表面に置いた液体金属95の接触角度θを、電圧の印加によって変更できるのがエレクトロウェッティングである。
図23は隙間における液体金属の移動を説明するための説明図で、隙間における液体金属部分の拡大図である。
本形態では、液体金属95が移動する表面は、磁気熱量材料0と10’の間の隙間90に対向するように設けられた撥液コート層75である。この撥液コート層75は、すでに説明したとおり、液体金属95に対する撥液性を有する。このため、第1および第2電極72、74の間に電圧を印加しなければ、図23Aに示すように、液体金属95は、撥液コート層75の表面においてその接触角度は90°以上となって撥液性(疎液性ともいう)となっている。
このように液体の接触面(撥液コート層75の表面)と接触角度が90°以上となることで、図23Aに示したように、液体金属95の液面は、中央部分が凸となって、液体金属95の撥液コート層75表面との接触部分が下がった状態になる。このため液体金属95が撥液コート層75表面を伝って行く力が働かなくなり、液体金属95が毛細管現象によって上昇してしまうことはない。
この状態は、熱スイッチ部30全体としては図20に示した状態であり、液体金属95は、液溜まり77内にあって、隙間90は空気により満たされている。したがって、この空気で満たされた隙間90によって磁気熱量材料1と1’の間は断熱状態となる。
一方、磁気熱量材料1と1’のそれぞれにある第1電極72と第2電極74の間に電圧を印加すると、第1電極72と第2電極74の間にある誘電体73が分極して静電エネルギーが変化(増加)する。このとき第2電極74と液体金属95とは電気的導通がとられているため、結果的に、液体金属95と第1電極72とが誘電体73を介してキャパシター構造となっている。この構造はエレクトロウェッティングの原理を説明した図22の電極板300と誘電体301を介した液体金属95とによるキャパシター構造と同様の構造ということである。
このため、第1電極72と第2電極74の間に電圧を印加したことで、液体金属95の表面エネルギーが増加して、それに伴い撥液コート層75(誘電膜)表面における液体金属95の表面張力が減少し、濡れ性がよくなる。そうすると、図23Bに示すように、撥液コート層75表面に接している液体金属95表面の接触角度θが90°以下になる。これにより、液体金属95自体の表面張力は失われるものの、隙間90を登ってゆく張力が働くことになる。図23Bにおけるhがもとの液面に位置(図23A)からの上昇量である。なお、図23においてdは隙間の間隔である。
図24は、図20と同じ部分の断面図であり、液体金属95が隙間90を上がってきた状態、すなわち熱伝達状態を示している。
図示するように、液体金属95は隙間90の頂上である上部基板100の位置まで到達する。上部基板100の隙間部分ではすでに説明したように、上部基板100の第1配線111と第2配線112の間には誘電体が存在しない(または誘電率が低い)。このため、この部分での静電エネルギーはほとんど変化しないため、上昇した液体金属95の濡れ性はよくならないので、これ以上液体金属95が上昇することはない。
そして、液体金属95が上昇したことにより、隙間90は液体金属95で満たされて磁気熱量材料1と1’間の熱の伝達が起きて熱伝達状態になる。
このようにして本形態の熱スイッチ部30では、エレクトロウェッティングにより熱スイッチ部30に設けた隙間90に液体金属95が充填された熱伝達状態と、隙間90から液体金属95を排除した断熱状態を、電気的に制御することができるのである。
熱スイッチ部30を構成する各部の好ましいサイズは、ガリンスタンを液体金属95として用いた場合、隙間90の間隔が10μm〜50μmが好ましいものとなる。下限値を10としたのは、この程度の隙間90をあけることで、液体金属95が下がって隙間90内に空気が入ったときに十分な断熱性を有するようにするためである。一方、上限の50μmは、液体金属95が上がって隙間90を満たした場合の熱伝達性能を保つためである。
なお、図24に示したように、液体金属95が隙間90を上昇すると液溜まり77内から液体金属95が出てゆくことになる。このとき、仮に液溜まり77が密閉状態だと、液溜まり77内部が負圧(真空)になるため液体金属95が液溜まり77から隙間90に出て行きづらくなる。そこで、本形態では、液溜まり77の下部端に空気穴93を設けたのである。空気穴93の大きさは液体金属95が漏れ出ない程度でかつ空気の流入、流出が起こる程度の大きさとする。なお、空気穴93の位置は、液溜まり77の下部端以外であってもよく、液体金属95が液溜まり77から隙間90に出て行きやすくなるように配置されていればよい。
ここで、本形態においては、隙間90を介して対向する第1および第2電極構造体71および81は、それぞれ第1電極72と第2電極74を、誘電体73を介して平行に設けている。このうち、エレクトロウェッティングの作用しているのは、第1電極72、液体金属95、およびその間の誘電体73によって構成されるキャパシターである。このため、エレクトロウェッティングの原理としては、液体金属95に電圧を印加することができれば、第2電極74はなくてもよい。たとえば、下部基板を通して、液体金属と電気的に接続される電極を設けるなどである。この場合、第2電極は隙間内に存在しないので、隙間の対向する面は誘電体となり、液体金属に対して撥液性があるので、撥液コート層もなくてよい。
ただし、このようにした場合(第2電極を省略した場合)、キャパシター構造としては、第1電極72の対向電極となる液体金属95が移動するため、電極面積が増減することになる。このため、エレクトロウェッティング作用を起こさせる誘電体での静電エネルギーも増減してしまうことになる。したがって、同じ電圧を印加していても液体金属の上昇量によってエレクトロウェッティング作用により液体金属を移動させる力が変わって、液体金属の上昇速度が変化するおそれがある。
本形態では、第1電極72と第2電極74を、誘電体73を介して平行に設けているので、第1電極72と第2電極74によるキャパシターの大きさは、液体金属95の移動によって変化しない。したがって、同じ電圧の印加でも、液体金属の移動によって液体金属の移動速度が変化したりせず安定的に熱伝達と断熱を切り替えることができる。なお、第2電極を省略した場合でも、液体金属の移動速度が若干不安定になるおそれはあるものの、第2電極を設けた場合と同様に、熱伝達と断熱の切り替えは可能である。
<熱スイッチ部の形態9>
図25は熱スイッチ部の形態9における熱スイッチ部30の構成を説明するための平面図であって、図20中の矢視Aに相当する方向から見た図である。
本形態の熱スイッチ部30もまた、電気濡れ(エレクトロウェッティング)効果を利用したものである。したがって、熱スイッチ部の形態8の変形例となる。
熱スイッチ部の形態9は、熱スイッチ部30の隙間90に第1電極構造体71側と第2電極構造体81側のそれぞれの壁面、すなわち撥液コート層75の表面にブレード82を配置したものである。このブレード82は、下部基板76の液溜まり77から上部基板100方向に垂直に延びており、第1電極構造体71側のブレード82と第2電極構造体81側のブレード82は互い接触しない幅となっている。ブレード82自体は、たとえば撥液コート層75の材料をそのままブレード82の構造となるように形成するとよい。
そのほかの構成は、熱スイッチ部の形態8と同じであるので説明を省略する。
このようにすることで、液体金属95と第1電極構造体71の壁面および第2電極構造体81の壁面との接触表面積が大きくなって熱伝達効率が良くなる。また、第1電極構造体71側のブレード82と第2電極構造体81側のブレード82との間で隙間dが形成されるため、このブレード82間の隙間dでもブレード壁面に液体金属95の表面張力が働き、いっそう液体金属95が上昇しやすくなる(電圧印加時)。ブレード82間の隙間dもすでに説明したとおり、10μm〜50μm程度が好ましい。
以上説明した熱スイッチ部の形態1〜9は、いずれも、熱スイッチ部自身を移動させて、各冷媒通路41および42と磁気熱量材料1の間、磁気熱量材料1同士の間を挿脱させる必要がなくなるため、熱スイッチ部30aおよび30b(または30)の耐久性が向上し、同時に信頼性も向上する。
本実施形態で好ましく適用し得る熱スイッチ部の形態を説明したが、本発明はこれらの熱スイッチ部の形態に限定されない。たとえば、従来技術のように各冷媒通路41および42と磁気熱量材料1の間、磁気熱量材料1同士の間を摺動する部材を設けてもよい。この場合、摺動部材が磁気印加ディスク20の回転に同期して各冷媒通路41および42と磁気熱量材料1の間、磁気熱量材料1同士の間を挿脱することで熱伝達および断熱を行うことになる。
[全体動作および作用]
次に、磁気冷暖房装置500の動作および作用を説明する。
まず、全体動作について説明する。
磁気冷暖房装置500の動作は、磁気印加ディスク20を回転させることで磁気印加ディスク20上の磁石2が、それに対峙する磁気熱量材料1に対して磁気を印加、除去することになる。
図26は第1の状態における磁気印加ディスク上の磁石の位置を示す概略平面図であり、図27はこの第1の状態のときの磁性体ブロックの概略断面図であって、Aは磁石セット2a部分の断面図であり、Bは磁石セット2b部分の断面図である。図28は第1の状態から回転が進んだ第2の状態における磁気印加ディスク上の磁石の位置を示す概略平面図である。図29は第2の状態から回転が進んだ第3の状態における磁気印加ディスク上の磁石の位置を示す概略平面図である。なお、図27の概略断面図においては1セット(層)分のみ示し、ハウジング50は省略した。また、各図において磁気熱量材料には説明のために外周側から順にa1〜a12の符号を付した。
まず、第1の状態(図26、図27A)では、磁石セット2aは、図示する2点鎖線で囲んだ連続して隣接した3個の磁性体ブロックMBra〜MBrcに磁石2がかかることになる。このためこの3個の磁性体ブロックMBra〜MBrc部分における磁気熱量材料a2、a4、a6、a8、a10、a12と同周で周方向に隣接する3個の磁気熱量材料に磁石2が対峙する位置となっている。そしてこの部分の磁気熱量材料a2、a4、a6、a8、a10、a12と同周で周方向に隣接する3個の磁気熱量材料に同時に磁気が印加される。
一方、磁石セット2b(図26、図27B)は、図示する2点鎖線で囲んだ連続して隣接した3個の磁性体ブロックMBla〜MBlcに磁石2がかかることになる。このため3個の磁性体ブロックMBla〜MBlc部分の磁気熱量材料a1、a3、a5、a7、a9、a11と同周で周方向に隣接する3個の磁気熱量材料に磁石2が対峙する位置となっている。そしてこの部分の磁気熱量材料a1、a3、a5、a7、a9、a11と同周で周方向に隣接する3個の磁気熱量材料に同時に磁気が印加される。
本実施形態で用いている磁気熱量材料は磁気が印加されると発熱し磁気が除去されると吸熱する正の磁性体(磁気熱量材料)である。したがって、磁石セット2aの磁石2により磁気が印加された磁気熱量材料a2、a4、a6、a8、a10、a12と同周で周方向に隣接する3個の磁気熱量材料、および磁石セット2bの磁石2により磁気が印加された磁気熱量材料a1、a3、a5、a7、a9、a11と同周で周方向に隣接する3個の磁気熱量材料が発熱することになる。一方、この第1の状態のときに磁気が印加されていないそのほかの磁気熱量材料は吸熱となる。
そしてこの第1の状態のとき、磁石セット2aが位置している3個の磁性体ブロックMBra〜MBrc部分では熱スイッチ30aを磁気の印加と同時にオン(熱伝達状態)にする。一方、熱スイッチ30bはオフ(断熱状態)のままである。すなわち磁石2により磁気が印加された磁気熱量材料a2、a4、a6、a8、a10、a12と同周で周方向に隣接する3個の磁気熱量材料のそれぞれの内周側にある熱スイッチ30aと外周冷媒通路42bの内周側にある熱スイッチ30aはオンにし、磁気熱量材料a2、a4、a6、a8、a10、a12のそれぞれの外周側にある熱スイッチ30bはオフのままである。
これにより磁気熱量材料a2、a4、a6、a8、a10、a12および外周冷媒通路42と、それらの内周側にある部材が熱平衡になろうとする。すなわち、外周冷媒通路42と磁気熱量材料a1、磁気熱量材料a2と磁気熱量材料a3、…、磁気熱量材料a12と内周冷媒通路41がそれぞれ同じ温度になろうとして熱が伝達される。
同時に磁石セット2bが位置している3個の磁性体ブロックMBla〜MBlc部分では熱スイッチ30bを磁気の印加と同時にオン(熱伝達状態)にする。一方、熱スイッチ30aはオフ(断熱状態)のままである。すなわち、磁石セット2bの磁石2により磁気が印加された磁気熱量材料a1、a3、a5、a7、a9、a11と同周で周方向に隣接する3個の磁気熱量材料のそれぞれの内周側にある熱スイッチ30bを磁気の印加と同時にオンにする。このとき3個の磁性体ブロックMBla〜MBlc部分の熱スイッチ30aはオフのままである。これにより磁気熱量材料a1、a3、a5、a7、a9、a11と同周で周方向に隣接する3個の磁気熱量材料と、それらの内周側にある部材は熱平衡になろうとする。すなわち、磁気熱量材料a1とa2、磁気熱量材料a3と磁気熱量材料a4、…、磁気熱量材料a11とa12がそれぞれ同じ温度になろうとして熱が伝達される。
このような第1の状態から磁気印加ディスク20の回転が進むと第2の状態(図28)となる。第2の状態は、磁気印加ディスク20が、たとえば1乃至29度回転した状態を示している。すなわち、1個の磁性体ブロック分の角度に満たない角度だけ回転した状態である。なお、磁気印加ディスク20の回転方向は図中時計回りである。
このような第2の状態になると、図28に示すように、磁気印加ディスク20の磁石セット2aは磁性体ブロックMBrd部分にかかるようになる。すなわち、磁性体ブロックMBrd部分では、磁石2が磁気熱量材料a2、a4、a6、a8、a10、a12に部分的に対峙する位置となる。また、磁石セット2bは磁性体ブロックMBld部分にかかるようになる。すなわち、磁性体ブロックMBld部分では、磁石2が磁気熱量材料a1、a3、a5、a7、a9、a11に部分的に対峙する位置となる。

そして、磁性体ブロックMBrd部分においては、熱スイッチ部30aをオンにし、熱スイッチ部30bをオフのままにする。一方、磁性体ブロックMBld部分においては、熱スイッチ部30bをオンにし、熱スイッチ部30aをオフのままにする。これらにより、回転方向(周方向)の一部に磁石2がかかった状態となっている磁性体ブロックMBrdおよび磁性体ブロックMBldのそれぞれの磁気熱量材料に合わせて熱の輸送ができるようになる。
また同時に、磁性体ブロックMBra部分からは、磁石セット2aが離れ始める。同様に磁性体ブロックMBla部分からは、磁石セット2bが離れ始める。
磁性体ブロックMBra部分においては、熱スイッチ部30aをオフにし、熱スイッチ部30bはオフのままにする。一方、磁性体ブロックMBla部分においては、熱スイッチ部30aをオフのままにし、熱スイッチ部30bをオフにする。
これらにより、同等に回転方向(周方向)の一部から、磁石2が離れ始めた状態となっている磁性体ブロックMBraおよび磁性体ブロックMBlaのそれぞれの磁気熱量材料は、熱的に孤立して熱の輸送ができなくなる。
この第2の状態から磁気印加ディスク20の回転がさらに進むと、図29に示した第3の状態となる。第3の状態は、磁気印加ディスク20が、第1の状態から、1個の磁性体ブロック分の角度だけ回転した状態である。
この第3の状態になると、第1の状態において、磁石2がかかっていた3個の磁性体ブロックのうち回転方向後端側の1個の磁性体ブロックから磁石2が完全に離れることになる。つまり、図29に示すように、磁石セット2aは磁性体ブロックMBra部分から完全にはなれ、磁石セット2bは磁性体ブロックMBla部分から完全に離れる。
正の磁気熱量材料は、励磁時(すなわち磁気(磁場)の無印加状態から磁気(磁場)の印加への移行期)に発熱し、消磁時(すなわち磁気(磁場)の印加状態から磁気(磁場)の無印加への移行期)に吸熱する。そのため、磁石のかかり始め、磁石の離れ始めに、熱スイッチの切り替えが必要である。
したがって、磁性体ブロックMBraおよびMBla部分における熱スイッチ部は、以前の状態を継続させたままにする。たとえば磁性体ブロックMBraは、それまでは熱スイッチ部30aがオフ、熱スイッチ部30bがオフであったので、そのままの状態を継続しておく。そして、次に磁石セット2bが磁性体ブロックMBraに至ったときに、熱スイッチ部30bをオン、熱スイッチ部30aをオフのままにする。
同様に、磁性体ブロックMBlaは、熱スイッチ部30bがオフ、熱スイッチ部30aがオフであったので、そのままの状態を継続し、次に磁石セット2aが磁性体ブロックMBlaに至ったときに、熱スイッチ部30aをオン、熱スイッチ部30bをオフのままにする。
このような熱スイッチ部の制御は、たとえば前述した熱スイッチ部の形態2〜9のように電気的な制御によって熱スイッチ部をスイッチングする場合に好ましい制御形態である。なぜなら磁石2が到達した磁性体ブロックごとに熱スイッチ部をオフからオンの切り替え、またはオフの継続を行う。磁石2が離れた始めた磁性体ブロックは、すべての熱スイッチ部をオフとする。つまり、第2の状態になった時点で磁性体ブロックMBraおよびMBlaの中のすべての熱スイッチ部をオフにするのである。
また、磁石2が離れた始めた磁性体ブロックは、すべての熱スイッチ部をオフとする制御ではなくて、磁石2が完全に離れた磁性体ブロックは、すべての熱スイッチ部をオフとする制御を行うこととしてもよい。
たとえば、熱スイッチ部の形態1に示したように磁気的な制御に対しては、磁石2が完全に離れた磁性体ブロックは、すべての熱スイッチ部をオフとする制御が好ましい制御形態である。同様に、磁石2が完全に離れた磁性体ブロックは、すべての熱スイッチ部をオフとする制御は、たとえば従来技術のように熱伝達部材を摺動させる構成の場合にも好ましい制御形態である。
なぜなら、磁気印加ディスク20の磁石セット2aおよび2bにおいて、それぞれの熱スイッチ部をオンにする位置に磁石を配置したり(熱スイッチ部の形態1の場合)、磁石とともに摺動する熱伝達部材を配置したり(熱伝達部材を摺動させる場合)する。これにより磁気印加ディスク20が回転すると、自動的に磁石セット2aおよび2bが到達した各磁性体ブロックでは磁石セット2aおよび2bのそれぞれに対応した熱スイッチ部がオンになる。一方、磁石セット2aおよび2bが離れた磁性体ブロックではすべての熱スイッチ部が自動的にオフになる。
以上のようにして本実施形態の磁気冷暖房装置は、磁気印加ディスク20を連続的に回転させることで、冷房または暖房が行うことができるのである。
次に、本実施形態において、一つの磁石が、周方向に隣接して並んだ複数の磁気熱量材料に対して磁気を印加するようにした作用を説明する。
図30は、周方向の一部を直線的に展開した状態を側面から見たモデル図であり、AおよびBは本実施形態のモデル(実施形態モデルと称する)を示し、CおよびDは比較のために従来技術と同様に磁気熱量材料に対して同じ大きさの磁石を一つおきに対峙するように構成したモデル(比較例モデルと称する)である。図30においては、説明のために、磁気熱量材料には符号m1〜m6としたが、これらはすべて同じ磁気熱量材料である。
ここでは先に比較例モデルから説明する。
図30Cは、比較例モデルにおいて、一つの磁石2が一つおきの磁気熱量材料m1、m3、m5に対して完全に重畳した状態を示している。この状態では、磁石2からの磁力線の多くが、磁石が重畳している磁気熱量材料1に入ることになる。一方、磁気熱量材料m2、m4、m6は磁石2と対峙していない。
この図30Cの状態から、磁石2が移動する(磁気印加ディスクが回転する)と、図30Dの状態となる。この状態では図示するように、磁石2の位置は磁気熱量材料m1、m3、m5の一部にかかり、さらにそれらにそれぞれ隣接する磁気熱量材料m2、m4、m6の一部にもかかってくる。しかも、このように一つの磁気熱量材料の一部に磁石がかかった状態は、磁石2が磁気熱量材料から去る時(m1、m3、m5)と、次の磁気熱量材料に到達する時(m2、m4、m6)で起こる。このため完全に重畳した状態(図30C)が継続する時間は、磁石2が磁気熱量材料上に来た一瞬であるのに対し、一つの磁気熱量材料の一部に磁石がかかっている時間は、その磁気熱量材料上を磁石2が通過する間の時間となる。このため一つの磁気熱量材料の一部に磁石がかかっている時間の方が、磁石と磁気熱量材料が完全に重畳している時間より長い時間となる。
この一つの磁気熱量材料の一部に磁石がかかっている状態では、一つ磁気熱量材料において発熱と吸熱が同時に起こることになる。このため、発熱と吸熱が互いにキャンセルしてしまうことになり、効率がその分低下してしまうのである。
また、比較モデルでは、図30Cの状態においても、磁石2が対峙していない磁気熱量材料m2、m4、m6方向へも、わずかながら磁石2からの磁力線が到達してしまう虞がある。
これらの状態を改善するための単純な方法は、磁気熱量材料同士の間隔を広くすることである。磁気熱量材料同士の間隔を広くすることで、本来、磁気を加えたくない隣接する磁気熱量材料への磁気の影響を少なくすることができる。
しかし、磁気熱量材料同士の間隔を広くしてしまうと、磁気熱量材料を高密度に集積できず、単位体積あたりの冷暖房能力が小さくなる。特に本実施形態との比較(後述)では、同じ冷房または暖房効果を得ようとすれば、装置全体の大きさが大きくなってしまうことになる。装置全体が大きくなるとその分、熱伝達効率も悪くなり、いっそう冷暖房効率が下がることになる。
また、別の方法としては、磁石2が磁気熱量材料に完全に重畳した状態でいったん磁気印加ディスクの回転を停止させることでも、発熱と吸熱が同時に起こる状態よりも、磁石2が磁気熱量材料に完全に重畳した状態の時間を長くすることができる。しかし、磁気印加ディスクの回転を停止させるとなると、その分モーターの停止、起動に多くの電力が消費されて、冷暖房装置としてのエネルギー効率が低下してしまう。
一方、本実施形態では、図30Aに示した実施形態モデルのように、また既に説明したとおり、一つの磁石2が複数の磁気熱量材料m1〜m3に対して一度に磁気を印加することができる。一方、磁気熱量材料m4〜m6に対しては、磁気は印加されていない。
この図30Aの状態から、磁石2が移動する(磁気印加ディスクが回転する)と、図30Bの状態となる。この状態では図示するように、磁石2の位置は磁気熱量材料m1の一部に残り、m3、m5は完全に重畳した状態が続き、磁気熱量材料m4の一部にかかってくることになる。
したがって、本実施形態では、磁石2が移動するとき、一つひとつの磁気熱量材料上で磁石2が完全に重畳している時間は、磁気熱量材料2個分を磁石2が移動している時間ということになる。一方、磁気熱量材料に対して部分的に磁石2がかかっている時間は、1個の磁気熱量材料上を磁石2が移動する時間ということになる。したがって、磁石2と磁気熱量材料1が完全に重畳する時間の方が、磁気熱量材料に対して部分的に磁石2がかかる時間よりも長くなるのである。
このため本実施形態では、一つの磁気熱量材料において発熱と吸熱が同時に起こる時間が少なくなり、効率が向上するのである。
このように従来技術を基にした比較例モデルと、実施形態モデルを比較すると、本実施形態では磁石2と磁気熱量材料1が完全に重畳する時間が長いため、磁気印加時においては十分に発熱させることができる。しかも、磁気熱量材料1に対して磁石2が部分的にかかっている状態(つまり発熱と吸熱が互いにキャンセルされてしまう状態)が短く(少なく)なるので、その分、冷房または暖房効率が良くなるのである。
さらに、本実施形態では、隣接する磁気熱量材料に対する磁気の影響も少なくなる。これは、図30Aに示した実施形態モデルからわかるように、複数の磁気熱量材料(本実施懈怠では3個)に一度に磁気を印加する。このため、これらの間では隣接する磁気熱量材料の上にある磁石2からの磁気が影響したとしても、なんら問題はない。図30Aにおいては、磁石2が対峙している磁気熱量材料m3と磁石2が対峙していない磁気熱量材料m4の間では、磁気熱量材料m4は磁気の影響を受けることになるが、全体としてみれば、3個の磁気熱量材料に対して、磁気の影響を受けるのは前後2個の磁気熱量材料である。このため全体としてみれば、隣接する磁気熱量材料への磁気の影響による効率低下は無視できる程度となる。これは、図30Cを参照して説明したとおりであり、比較例モデルでは、すべての磁気熱量材料が隣接する磁気熱量材料の上にある磁石からの磁気の影響を受けてしまっている。これに対して本実施形態の方(図30A)は隣接する磁気熱量材料の上の磁石からの磁気の影響を受けている磁気熱量材料の数が少ないことがわかる。
このため、本実施形態は、磁気熱量材料の周方向の配置を従来技術より密にしても、効率の低下を抑得ることができ、装置全体の小型化を図ることが可能になる。そして、装置全体を小型化できることにより、その分、装置全体としての熱伝導距離も短くなるので、いっそう冷房または暖房効率をよくすることができる。
これらことから本実施形態においては、磁気印加ディスクを一定速度で回転させることができる(ただし、運転周波数を従来技術に比べて6倍にする必要があるが)。このため、所定周期ごとに一定の角度動かし、停止させる場合に比べて磁気冷暖房装置全体としての駆動エネルギーを小さくすることができる。なぜならば、本実施形態では、高周波運転を維持するための駆動エネルギーは大きいが、毎回駆動と停止を繰り返すための駆動エネルギーに対しては、半分にできるためである。たとえばこれにより運転周波数20Hzで駆動停止を繰り返す場合の装置に比べて、本実施形態の装置を運転周波数120Hzで運転すると100%程度(つまり2倍程度)COP向上させることが可能となる。
また、本実施形態においては、周方向において磁石セット2aと2bを180度離して配置した。このため、相対的な磁気の漏れにより本来磁気を印加しない位置にある磁気熱量材料への磁気の影響を少なくすることができる。単純に比較例モデルのごとく、1つおきの磁気熱量材料に対して、磁石を対峙するように配置した場合と比較して、磁気熱量材料の割合を2倍程度、密に配置することが可能となる。これにより単位体積あたりの冷暖房能力が向上する(従来の磁気熱量材料として周方向に72列配列させた場合と比較して100%程度(2倍程度)向上する。
また、本実施形態では、周方向の磁石間の間隔が大きくなるので、相対的に磁場漏れの影響が小さくなり、最大磁束密度と最小磁束密度の差(ΔB)を大きくすることができる。磁気熱量材料の周方向の間隔を1mmとした場合、本実施形態は従来よりもΔBが20%大きくなる。このため冷暖房能力が20%向上することになる。
[冷暖房システム]
次に、本実施形態の磁気冷暖房装置500を、たとえば自動車などの冷暖房システム(いわゆるエアコンディショナー)として用いた例を説明する。
図31は冷暖房システムに係る磁気冷暖房装置500の冷媒の循環系統を示す図である。図に示すように、磁気冷暖房装置500には、低温側放熱器630、高温側放熱器730を接続する。低温側放熱器630は外周冷媒通路用ポンプ780を介して外周冷媒通路42の外周冷媒出入口46に接続する。高温側放熱器730は内周冷媒通路用ポンプ790を介して内周冷媒通路41の内周冷媒出入口45に接続する。ここで冷媒はたとえば空気である。なお、冷媒は空気に限らず、その他の気体や液体を使用してもよい。
外周冷媒通路用ポンプ780は外周冷媒通路42を流れる冷媒の流量を制御する。内周冷媒通路用ポンプ790は内周冷媒通路41を流れる冷媒の流量を制御する。
外周冷媒通路42で冷やされた冷媒は低温側放熱器630に供給され、低温側放熱器用ファン630Fによって強制的に送風された外部の空気と熱交換される。熱交換された後の冷媒は再び外周冷媒通路42に戻って冷却される。一方、内周冷媒通路41で温められた冷媒は高温側放熱器730に供給され、高温側放熱器用ファン730Fによって強制的に送風された外部の空気と熱交換される。熱交換された後の冷媒は再び内周冷媒通路41に戻って加熱される。このようにして低温側放熱器630は外部の空気を冷却し高温側放熱器730は外部の空気を加熱する。
ここで空調する空間が車室内などであれば、車室内を冷房する場合には、低温側放熱器630によって熱交換された冷風を車室内に供給する。一方、車室内を暖房する場合には、高温側放熱器730によって熱交換された温風を車室内に供給する。
図32は、冷暖房システムの制御系のブロック図である。また、図33は、図32の空調情報入力部のさらに具体的な制御系のブロック図である。
図32に示すように、冷暖房システムの制御系は、空調情報入力部1000、空調制御部(制御部)1100、モーター制御部1200、回転軸用モーター700、熱スイッチ制御部1300、ポンプ制御部1400、ファン制御部1500を備える。空調制御部1100およびモーター制御部1200は制御部を形成する。
空調情報入力部1000は空調に必要な情報を入力する。空調に必要な情報は、設定温度、外周流入冷媒温度、外周流出冷媒温度、内周流入冷媒温度、内周流出冷媒温度である。空調情報入力部1000の具体的な説明は、後述の図33に基づいて行う。
回転軸用モーター700は、磁気印加ディスク20を回転させるための回転軸60を回転させるモーターである。
空調制御部1100は、本実施形態に係る磁気冷暖房装置500の動作を総括的に制御する。空調制御部1100の具体的な説明は、後述の図34のフローチャートに基づいて行う。
モーター制御部1200は、空調制御部1100の指令を受けて、回転軸用モーター700の回転速度を制御する。また、熱スイッチ制御部1300は、磁気熱量材料基板900A−900Fが有する磁気熱量材料1間に位置して設けられている熱スイッチのオン、オフを制御する。熱スイッチは磁気熱量材料1間の熱伝導を、磁気印加ディスク20の回転に同期させて制御するスイッチである。
ポンプ制御部1400は、図31に示した外周冷媒通路用ポンプ780と内周冷媒通路用ポンプ790の動作を制御する。ポンプ制御部1400は、より多くの冷房能力が要求されると外周冷媒通路用ポンプ780の冷媒流出量を増加させ、より多くの暖房能力が要求されると内周冷媒通路用ポンプ790の冷媒流出量を増加させる。
ファン制御部1500は、図31に示した低温側放熱器用ファン630Fと高温側放熱器用ファン730Fの動作を制御する。ファン制御部1500は、より多くの冷房能力が要求されると低温側放熱器用ファン630Fの送風量を増加させ、より多くの暖房能力が要求されると高温側放熱器用ファン730Fの送風量を増加させる。
図33に示すように、空調情報入力部1000は、温度設定部1010、外周流入冷媒温度センサ1020、外周流出冷媒温度センサ1030、内周流入冷媒温度センサ1040、内周流出冷媒温度センサ1050、磁気熱量材料周囲温度センサ1060、冷媒通路温度センサ1070を備える。
温度設定部1010は、磁気冷暖房装置500が空調する空間(たとえば車室内)の温度を設定する。外周流入冷媒温度センサ1020は、外周冷媒通路42に流入する冷媒の温度を検出する。外周流出冷媒温度センサ1030は、外周冷媒通路42から流出する冷媒の温度を検出する。内周流入冷媒温度センサ1040は、内周冷媒通路41に流入する冷媒の温度を検出する。内周流出冷媒温度センサ1050は、内周冷媒通路41から流出する冷媒の温度を検出する。磁気熱量材料周囲温度センサ1060は、磁気熱量材料1の周囲の温度を検出する。磁気熱量材料1の周囲の温度を検出するのは、磁気熱量材料1の周囲温度が、磁気熱量材料1の熱生成量に影響を与えるからである。冷媒通路温度センサ1070は、外周冷媒通路42と内周冷媒通路41の温度を検出する。
温度設定部1010、磁気熱量材料周囲温度センサ1060、冷媒通路温度センサ1070を設けるのは、磁気冷暖房装置500でどの程度の熱量を発生させなければならないかを知るためである。外周流入冷媒温度センサ1020、外周流出冷媒温度センサ1030、内周流入冷媒温度センサ1040、内周流出冷媒温度センサ1050は、磁気冷暖房装置500が、安定した温度を保ち続ける高温源および低温源を形成するために必要となる。
ここで、車室内を冷房するときには、外周流入冷媒温度センサ1020が磁気冷暖房装置500に戻ってきて外周冷媒出入口46に入る冷媒の温度を監視する流入冷媒温度監視部となる。また、このとき外周流出冷媒温度センサ1030は外周冷媒出入口46から出て行く冷媒の温度を監視する流出冷媒温度監視部となる。
逆に車室内を暖房するときには、内周流入冷媒温度センサ1040が磁気冷暖房装置500に戻ってきて内周冷媒出入口45に入る冷媒の温度を監視する流入冷媒温度監視部となる。また、このとき内周流出冷媒温度センサ1050は内周冷媒出入口45から出て行く冷媒の温度を監視する流出冷媒温度監視部となる。
磁気冷暖房装置500が発生する熱量は、磁気印加ディスク20の回転速度(周波数)に比例する。必要熱力が大きくなると磁気印加ディスク20の回転速度を上昇させ、必要熱力が小さくなると磁気印加ディスク20の回転速度を低下させる。磁気印加ディスク20は回転軸用モーター700によって駆動されるので、磁気印加ディスク20の回転速度の制御は空調制御部1100およびモーター制御部1200が行う。つまり、空調制御部1100およびモーター制御部1200が回転軸用モーター700の回転速度を制御することで磁気冷暖房装置500が発生する熱量を調整する。
冷暖房システムに係る磁気冷暖房装置500の動作を、図34を参照しながら説明する。図34は磁気冷暖房装置の動作を制御する手順を示すフローチャートである。
まず、操作者は、温度設定部1010から車室内(空調する空間)の設定温度を入力する。設定温度が入力されると、空調制御部1100は、要求熱量と要求温度差を入力する(S10)。
空調制御部1100は、車室内の空間容量、現在の車室内の温度、車室内の設定温度を参照して、車室内を設定温度にするために必要な要求熱量を求める。また、外周冷媒通路42から流出する冷媒の温度と内周冷媒通路41から流出する冷媒の温度との差を求める。この求めた値を、要求熱量、要求温度差として入力する。
次に、空調制御部1100は、入力した要求熱量と要求温度差をあらかじめ記憶しているマップと照合して、回転軸用モーター700の回転速度、すなわち動作周波数fを入力する。また、磁気熱量材料周囲温度検出センサ1060が検出する温度から外周冷媒通路42に流入する冷媒の温度の基準となる冷媒温度、磁気熱量材料周囲温度検出センサ1060が検出する温度と要求温度差の半分の温度から外周冷媒通路42から流出する冷媒の温度、磁気熱量材料周囲温度検出センサ1060が検出する温度から内周冷媒通路41に流入する冷媒の温度の基準となる冷媒温度、磁気熱量材料周囲温度検出センサ1060が検出する温度と要求温度差の半分の温度から内周冷媒通路41から流出する冷媒の温度を入力する。また、外周冷媒通路42に対して冷媒を供給する外周冷媒通路用ポンプ780の冷媒流量と、内周冷媒通路41に対して冷媒を供給する内周冷媒通路用ポンプ790の冷媒流量も入力する。さらに、低温側放熱器用ファン630Fの風量と高温側放熱器用ファン730Fの風量も入力する(S20)。
空調制御部1100は磁気冷暖房装置500を運転する。具体的には、空調制御部1100は、入力した動作周波数fを実現するために、モーター制御部1200に回転数の指示を出す。動作周波数fは、1つの磁気熱量材料1に対して1秒間に何回磁気の印加除去をするかを示すものである。たとえば、動作周波数fが6Hzであったとすると、磁気印加ディスク20が1秒間に1回転すると一つの磁気熱量材料1に対して6回の磁気の印加除去が行われる(磁気の印加と除去で1回)。このため、回転軸用モーター700と磁気印加ディスク800Aが直結されていれば、回転軸用モーター700に要求される回転数は60rpmである。モーター制御部1100にはこの回転数を指示する。
空調制御部1100は、図示しない磁気熱量材料基板上の磁気熱量材料1の周囲温度を検出する磁気熱量材料周囲温度検出センサ1060により得られる磁気熱量材料1の周囲温度、外周冷媒通路42と内周冷媒通路41の温度を検出する冷媒通路温度センサ1070により得られる温度、動作周波数fの情報に基づき見積もられる磁気冷暖房装置500が生成した熱量が要求熱量に対して誤差範囲にあるか否かを判断する(S30)。誤差範囲はあらかじめ設定しておく。空調制御部1100は、生成した熱量が誤差範囲になければ(S30:NO)、誤差範囲内に収まるように、動作周波数fを変更する(S40)。具体的には、磁気冷暖房装置500が生成した熱量が要求熱量よりもかなり小さければ、生成する熱量を増加させるために、回転軸用モーター700の回転速度を増加する。逆に、磁気冷暖房装置500が生成した熱量が要求熱量よりも大きすぎれば、生成する熱量を減少させるために、回転軸用モーター700の回転速度を低下する。
空調制御部1100は、生成した熱量が誤差範囲内であれば(S30:YES)、外周流入冷媒温度センサ1020によって検出された外周冷媒通路42の流入口の冷媒の温度、および内周流入冷媒温度センサ1040によって検出された内周冷媒通路41の流入口の冷媒の温度が、各々、外周冷媒通路および内周冷媒通路41へ流入する冷媒の温度の基準となる冷媒温度と誤差内にありかつ外周流出冷媒温度センサ1030によって検出された外周冷媒通路42の流出口の冷媒の温度、および内周流出冷媒温度センサ1050によって検出された内周冷媒通路41の流出口の冷媒の温度が、各々、設定した外周冷媒通路および内周冷媒通路41から流出する冷媒の温度と誤差内にあるか否かを判断する(S50)。誤差範囲はあらかじめ設定しておく。空調制御部1100は、外周冷媒通路42および内周冷媒通路41の流入口および流出口の冷媒の温度が誤差内になければ(S50:NO)、誤差囲内に収まるように、ポンプ制御部1400とファン制御部1500に指令を出し、外周冷媒通路42に対して冷媒を流す外周冷媒通路用ポンプ780と内周冷媒通路41に対して冷媒を流す内周冷媒通路用ポンプ790の冷媒流量を変更するとともに、低温側放熱器用ファン630Fと高温側放熱器用ファン730Fの風量を変更する(S60)。
空調制御部1100は、外周冷媒通路および内周冷媒通路41へ流入する冷媒の温度、および外周冷媒通路および内周冷媒通路41から流出する冷媒の温度が誤差内であれば(S50:YES)処理を終了する。
このように、冷暖房システムに係る磁気冷暖房装置500によれば、回転軸用モーター700の回転速度を制御することと、外周冷媒通路用ポンプ780、内周冷媒通路用ポンプ790による空気流量を制御することと、低温側放熱器用ファン630F、高温側放熱器用ファン730Fの風量を制御することによって、空調に利用される空気の温度を容易に調整することができる。
このように構成された実施形態の冷暖房システムは、本実施形態に係る磁気冷暖房装置を用いたので、自動車の車室内などの冷暖房を磁気冷凍技術を利用して効率よく行うことができる。しかも、コンパクトな磁気冷暖房装置によって冷暖房することができる。もちろん、本発明の冷暖房システムは、自動車の車室内ばかりでなく、通常の建物の部屋内などの冷暖房に用いることも可能である。さらには、居住空間としての車室内や部屋内だけでなく、様々な物体の冷暖房に用いることも可能である。
〔実施形態2〕
上述した実施形態1では内周冷媒通路41が高温側熱交換器、外周冷媒通路42が低温側熱交換器となる形態を説明した。しかし、各冷媒通路の熱交換機としての機能は逆であってもよい。つまり、内周冷媒通路41が低温側熱交換器、外周冷媒通路42が高温側熱交換器となる形態であってもよいのである。この形態を実施形態2として説明する。
本実施形態2では、内周冷媒の出口温度は外周冷媒の出口温度より低くなる。このため各磁性体ブロックMBにおいて内周側が低温、外周側が高温となるように熱輸送しているのである。ここでいう低温、高温とは、相対的に内周側が外周側よりも低温(逆にいうと外周側が内周側よりも高温)という意味である。
したがって、磁気冷暖房装置の外観構成および各部の構成は、上述した実施形態1と同じである。このため本実施形態2においても磁石2は、複数(本実施形態2でも3個)の磁気熱量材料に対して同時に磁気を印加できる大きさであることに変わりはない。
ただし本実施形態2では、磁性体ブロックMB1〜MB6(各熱輸送器)および各磁性体ブロックを構成する磁気熱量材料a1〜a12(またはa1〜a6)が担う温度範囲が異なる。このためここでは、磁気冷暖房装置の外観構成および各部の構成は上述した実施形態1と同じであるのでそれらの説明は省略し、本実施形態2における磁性体ブロックMB1〜MB6および各磁性体ブロックを構成する磁気熱量材料a1〜a12(またはa1〜a6)が担う温度について説明する。
図35は、内周冷媒通路が低温側熱交換器、外周冷媒通路が高温側熱交換器とした場合における内周冷媒と外周冷媒のそれぞれの温度変化の仕方を説明するためのグラフであり、図35Aは平流方式のときのグラフであり、図35Bは向流方式のときのグラフである。ここでも各グラフにおいては、内周冷媒および外周冷媒は、入口での温度が同じであり、ここではTbであるとする。また、グラフ中のMB1〜MB6は各磁性体ブロック(図6および7参照)と温度の関係を示している。
まず、並流方式の場合を説明する。
並流方式の各冷媒の流れは、図6に示したものと同様であり、内周冷媒通路41、外周冷媒通路42ともに、各冷媒をA側から入れてB側から出す。
この場合は、図35Aに示すように、外周冷媒が入口温度Tbから出口温度Thにまで温度が上昇する。温度変化は、+ΔT(=Th−Tb)であり、+ΔTはたとえば30Kである。一方、内周冷媒は入口温度Tbから出口温度Tcまで温度が下降する。温度変化は−ΔT(=Tc−Tb)であり、−ΔTはたとえば30Kである。これにより、内周冷媒通路41の出口における内周冷媒温度Tcの方が外周冷媒通路42の出口における外周冷媒温度Thより低い温度となる。
図35Aのグラフからわかるように、並流方式では、磁性体ブロックMB1においては、内周冷媒と外周冷媒の温度差がほとんど少ないが、磁性体ブロックMB6に行くほどこの温度差が大きくなっている。したがって、磁性体ブロックMB1は冷却(または加熱)する温度は少なくてもよいが、磁性体ブロックMB6では2×ΔTに相当する温度を冷却(または加熱)しなければならないことになる。
このように並流方式では、外周冷媒と内周冷媒の温度変化が実施形態1(図8A)と入れ替わっているだけで、磁性体ブロックMB1〜MB6のそれぞれが担う温度域は図8Aに示した場合と同じになる(ただし、磁性体ブロックMB1〜MB6のそれぞれを構成する複数の磁気熱量材料のそれぞれが担う温度は異なる(詳細後述))。
次に向流方式における各冷媒の流れは、図7に示したものと同様であり、外周冷媒通路4ではA側から外周冷媒を入れてB側から出す。一方、内周冷媒通路41ではB側から内周冷媒を入れてA側から出す。
この場合は、図35Bに示すように、外周冷媒が入口温度Tbから出口温度Thにまで温度が上昇する。この温度変化を+ΔT(=Th−Tb)とする。この+ΔTはたとえば30Kである。一方、内周冷媒は入口温度Tbから出口温度Tcまで温度が下降する。この温度変化を−ΔT(=Tc−Tb)とする。この−ΔTはたとえば30Kである。これにより、内周冷媒通路41の出口における内周冷媒温度Tcの方が外周冷媒通路42の出口における外周冷媒温度Thより低い温度となる。
図35Bのグラフからわかるように、向流方式では、磁性体ブロックMB1〜MB6はいずれも内周冷媒と外周冷媒の温度差に相当する温度範囲を冷却(または加熱)することになる。しかも磁性体ブロックMB1〜MB6はそれぞれがΔTに相当する温度を冷却(または加熱)すればよいことになる。
そして向流方式においては、磁性体ブロックMB1〜MB6のそれぞれが担う温度域は図35Bに示したように、磁性体ブロックMB1からMB6方向に高くなる。
また実施形態2においても、実施形態1同様に並流方式と向流方式を比べれば、カルノーサイクルにおける成績係数(COP)は、向流方式の方が並流方式より2倍冷却効率がよいことになる。
次に、本実施形態2における各磁性体ブロックを構成する各磁気熱量材料が担う温度について説明する。磁気熱量材料1は、実施形態1と同様に、磁気が印加されると発熱し磁気が除去されると吸熱する正の磁性体(磁気熱量材料)である。そして磁気熱量材料1のキュリー点を、その磁気熱量材料1が担う温度範囲に合わせることで、効率よく温度変化させることができる。
まず、並流方式における各磁性体ブロックを構成する各磁気熱量材料が担う温度について説明する。図36は、内周冷媒通路が低温側熱交換器、外周冷媒通路が高温側熱交換器とした場合において、並流方式の場合における各磁性体ブロックを構成する複数の磁気熱量材料のそれぞれのキュリー点を示すグラフであり、横軸は低温側温度Tcから高温側温度Thまでの温度であり、縦軸は各磁気熱量材料が変化する温度である。ここで、図36における一つの磁性体ブロックMBを構成する複数の磁気熱量材料は、図9と同じであり外周側から内周側方向へa1〜a12とする。
図36に示すように、並流方式の場合の一つの磁性体ブロックにおける磁気熱量材料a1〜a12は、内周側から外周側方向(すなわちa12からa1方向)へ、そのキュリー点が高くなるように並べている。なお、並流方式の場合、各磁性体ブロックを構成する複数の磁気熱量材料a1〜a12のキュリー点の平均値は同じである。
したがって、並流方式の場合は、本実施形態2においても磁気熱量材料a1〜a12が同じ構成となった磁性体ブロックMBを環状に12個並列に並べればよい。このため向流方式と対比すれば熱生成ディスク10を製造する際のコストを低減することができる。
次に、向流方式における各磁性体ブロックを構成する各磁気熱量材料が担う温度について説明する。図37は本実施形態2において、内周冷媒通路が低温側熱交換器、外周冷媒通路が高温側熱交換器とした場合において、向流方式の場合における各磁性体ブロックを構成する複数の磁気熱量材料のそれぞれのキュリー点を示すグラフであり、横軸は低温側温度Tcから高温側温度Thまでの温度であり、縦軸は各磁気熱量材料が変化する温度である。また、グラフ中の山形の複数の曲線のそれぞれのピークがキュリー点である。ここで、図37における一つの磁性体ブロックMBを構成する複数の磁気熱量材料は、図10と同じであり外周側から内周側方向へa1〜a6とする。
実施形態2において、向流方式の場合は、図37に示すように、各磁気熱量材料a1〜a6のキュリー点は、内周側から外周側方向(すなわちa6からa1方向)へ、そのキュリー点が高くなるように並べている。そして、各磁性体ブロックMB1〜MB6のそれぞれを構成する複数の磁気熱量材料a1〜a6のキュリー点の平均値は、各磁性体ブロックMB1〜MB6方向に高くなるようにしている。つまり、各磁性体ブロックMB1〜MB6を構成する磁気熱量材料a1〜a6のキュリー点の平均値が、外周冷媒を基準としても、内周冷媒を基準としても、それらの入口から出口の方向に段階的に変化しているのである。
このことは、各磁性体ブロックMB1〜MB6における外周側に位置する磁気熱量材料a1を見れば、そのキュリー点は外周冷媒の入口側(A側、すなわちMB1側)が低く、出口側(B側、すなわちMB6側)が高くなるように配置されていることになる。また、内周側に位置する磁気熱量材料a6を見れば、そのキュリー点は内周冷媒の入口側(B側、すなわちMB6側)が高く、出口側(A側、すなわちMB1側)が低くなるように配置されていることになる。
したがって、本実施形態2も向流方向においては、各磁性体ブロックMB1〜MB6を構成する磁気熱量材料a1〜a6は外周側から内周側へ、段階的にキュリー点(作動温度)が変化するようにキュリー点の異なる磁気熱量材料を配置している。さらに、各磁性体ブロックMB1〜MB6を構成する磁気熱量材料a1〜a6のキュリー点の平均値は、冷媒の入口から出口の方向に段階的に変化しているものとなっているのである。
このように構成された向流方式では、本実施形態2においても、実施形態1と同様に、磁気冷暖房装置500として必要な温度差を、平流方式と比較してより少ない数の磁気熱量材料で得ることができる。
もちろん実施形態2においても、向流方式において一つひとつの磁性体ブロックMBを構成する磁気熱量材料1の数を12個としてもよい。その場合には、冷媒出口側における内周冷媒と外周冷媒の温度差を平流方式の約倍の温度差にすることができる。
なおここで説明した実施形態2の磁気冷暖房装置を冷暖房システム(図31参照)に用いた場合、外周冷媒と内周冷媒の作用が高温側と低温側とで逆になる。すなわち、低温側放熱器630は冷媒通路用ポンプ780を介して内外周冷媒通路41の内周冷媒出入口45に接続する。高温側放熱器730は冷媒通路用ポンプ790を介して外周冷媒通路42の内周冷媒出入口46に接続する。また、制御においては、外周冷媒と内周冷媒が逆になるだけであるので、説明は省略する。
なお、実施形態1と実施形態2における作用、効果の違いは以下のとおりである。
実施形態1では、内周冷媒通路の出口における内周冷媒の温度が外周冷媒通路の出口における外周冷媒の温度より高くなるようにした。すなわち、内周冷媒通路を高温側熱交換器とし、外周冷媒通路を低温側熱交換器としたものである。この場合、たとえばモーターで回転軸を回すと、ボールベアリングなどの回転支持部材部が摩擦で発熱し、熱くなる。そこで、内周側に高温側熱交換があることで、この発生した熱を冷媒と熱交換させることができるので、暖房能力を向上することができる。
実施形態2では、内周冷媒通路の出口における内周冷媒の温度が外周冷媒通路の出口における外周冷媒の温度より低くなるようにした。すなわち、内周冷媒通路を低温側熱交換器とし、外周冷媒通路を高温側熱交換器としたものである。
磁気冷凍システムにおける磁気熱量材料の伝熱特性として、QH=QL+W(ここで、QHは発熱量、QLは吸熱量、Wは1冷暖房サイクルでの仕事量)となることが知られている(参考文献:「Main characteristics of a Brayton refrigeration cycle of paramagnetic salt」 (Journal of Applied Physics/ Volume 75 Issue 3, pp.1249−1253, 1 February 1994, American Institute of Physics)の特に図2)。
この伝熱特性を実施形態2にあてはめれば、低温側の吸熱量QL、高温側の発熱量QHとなる。このため高温側熱交換部に渡す熱量の方が、1冷暖房サイクルでの仕事量の分だけ、低温側熱交換部から受け取る熱量より大きくなる。このため高温側熱交換部が外周側にある場合は、内周側に比べて熱交換できる面積が大きくなるため、実施形態1と比較して、1サイクルで交換できる熱量を多くすることができる。
以上説明した本発明を適用した実施形態の効果を説明する。
(1)実施形態によれば、複数の磁気熱量材料と、この磁気熱量材料の熱を輸送する熱スイッチ部とを交互に配置した磁性体ブロック(熱輸送器)を環状に並べることで中空状の熱生成ディスクを形成している。一方、熱生成ディスクの各磁気熱量材料と対峙し各磁気熱量材料に選択的に磁気を印加し除去する磁石を環状に複数配置する円盤状の磁気印加ディスクを備えている。そして一つの磁石を環状の周方向に隣接して並ぶ複数の磁気熱量材料に対して磁気を印加できる大きさとしたものである。これにより磁気熱量材料に対して部分的に磁石がかかる状態よりも、完全に磁石が重畳する位置に磁石が存在する時間の方が長くなる。したがって、一つの磁気熱量材料に対して部分的に磁石がかかる時間を少なくして、一つの磁気熱量材料内で発熱と吸熱の状態が同時に起こる磁気熱量材料の数を減らし、冷暖房効率を向上することができる。
(2)また、上述した実施形態においては、一つの磁石が一度に磁気を印加できる大きさは周方向に隣接した3個分の磁気熱量材料としている。これにより、一度に完全に磁石と重畳する周方向の磁気熱量材料の数を2個以上にすることができ、いっそう冷暖房効率を向上することができる。
ここで一つの磁石が一度に磁気を印加できる大きさは3個分の磁気熱量材料に限定されるものではない。周方向に隣接した2個以上の磁気熱量材料に相当する大きさであればよい。つまり一度に完全に重畳して磁気を印加できる周方向に並ぶ磁気熱量材料の数は最低2個分あればよいのである。これにより磁気熱量材料に対して部分的に磁石がかかる状態よりも、完全に磁石が重畳する位置に磁石がかかる時間の方が長くなる。
一方、磁石の配置間隔は、周方向に並ぶ磁気熱量材料の配置密度を上げる観点から、周方向に並ぶ磁気熱量材料2つの分離れていることが好ましい。これにより周方向に常に、少なくとも1個の磁気熱量材料には磁石が全くかからない位置となる。しかも、この磁石が全くかからない位置となる少なくとも1個の磁気熱量材料は、磁石が対峙している隣接する磁気熱量材料からも1個以上離れることになるので、磁石からの磁気の漏れによる影響を受けることがなくなるのである。
図38は、上記した、一つの磁石が周方向に隣接して並ぶ2個の磁気熱量材料に磁気を印加する大きさであり、かつ周方向に磁気熱量材料2個分離して配置した例を示す図である。
図示するように、磁石セット2aは、磁気熱量材料a2、a4、a6、a8、a10、a12とそれぞれ同心円に並ぶ2個の磁気熱量材料を同じ大きさとなる磁石2を配置した。そして、この磁石セット2aの磁石2は、周方向に磁気熱量材料2個分離して配置した。一方、磁石セット2bは、磁気熱量材料a1、a3、a5、a7、a9、a11のそれぞれ同心円に並ぶ2個の磁気熱量材料を同じ大きさとなる磁石2を配置した。そして、この磁石セット2bの磁石2は、周方向に磁気熱量材料2個分離して配置した。なお、磁石セット2aも2bも、熱輸送方向(外周側から内周側方向)には、それぞれ磁気熱量材料1個分離してある。
(3)本実施形態では、使用する磁気熱量材料として、全て正の磁気熱量材料を使用することとした。これにより、一度に磁気を印加する複数の磁気熱量材料が磁気の印加により同じように発熱する一方、磁気が除去されれば同じように吸熱するようになる。このため、たとえば、正、負の磁気熱量材料が混合されていてこれらに一度に磁気を印加して隣接する磁気熱量材料同士で発熱と吸熱が同時に起きてしまうようなことを防止して、効率の低下を招くことがない。
本実施形態では、磁石2がかかり始めた磁性体ブロックや離れた始めた磁性体ブロックは、すべての熱スイッチ部をオフとする制御をし、磁石2が磁性体ブロックに完全にかかったまたは完全に離れた磁性体ブロックでは、熱スイッチ部のオンオフ切り替えをするとした制御を行うことができる。
また、磁石2がかかり始めた磁性体ブロックや離れた始めた磁性体ブロックにおいて、熱スイッチ部のオンオフ切り替えを行うとしてもよい。
(4)本実施形態では、磁気印加ディスクと熱生成ディスクを複数、交互に積層することにした。これによりコンパクトな形状で、大きな冷房または暖房能力を得ることができる。
以上本発明を適用した実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
たとえば、環状に磁性体ブロックMBを配置することにより、この環状の周方向に並ぶ磁気熱量材料の数も、とくに限定されるものではなく、何個並んでいてもよい。
また、本発明においては、一つひとつの磁性体ブロックMBを構成する磁気熱量材料の数(内周から外周方向の配列)は、何個であってもよい。たとえば最低は、内周冷媒通路と外周冷媒通路の間に1個の磁気熱量材料があればよい。また、内周冷媒通路と外周冷媒通路の間に12個以上の磁気熱量材料を配置すれば、内周冷媒と外周冷媒のそれぞれの出口温度の差をより大きくすることができる。
また、磁気熱量材料は、正の磁気熱量材料に限らず、磁気を印加すると吸熱し除去すると発熱する負の磁気熱量材料を用いてもよい。ただし、負の磁気熱量材料を用いた場合でも、すべてが負の磁気熱量材料により構成することになる。これは、上述した実施形態と同じ理由であり、すべてが負の磁気熱量材料であれば同時に磁気を印加しても負の磁気熱量材料同士は同時に吸熱し、磁気が除去されれば発熱することになるので、効率の低下を招くことがないためである。
また、磁気印加ディスクを回転させる場合に限らず、熱生成ディスクを回転させてもよい。また、磁気印加ディスクまたは熱生成ディスクを回転させるため駆動源は、中心部ではなく、外周部に設けてもよい。
そのほか、様々な変形形態が可能であり、本発明は、特許請求の範囲により規定した事項によって定められるものである。
1、a1〜a12、m1〜6 磁気熱量材料、
2 磁石、
10 熱生成ディスク、
11 磁気熱量材料基板、
20 磁気印加ディスク、
21 磁石基板、30a、
30b 熱スイッチ部、
41 内周冷媒通路、
42 外周冷媒通路、
45 内周冷媒出入口、
46 外周冷媒出入口、
50 ハウジング、
60 回転軸、
500 磁気冷暖房装置、
630 低温側放熱器、
730 高温側放熱器、
780 外周冷媒通路用ポンプ、
790 内周冷媒通路用ポンプ、
700 回転軸用モーター、
1000 空調情報入力部、
1020 外周流入空気温度センサ(流入冷媒温度監視部)、
1030 外周流出空気温度センサ(流出冷媒温度監視部)、
1040 内周流入空気温度センサ(流入冷媒温度監視部)、
1050 内周流出空気温度センサ(流出冷媒温度監視部)、
1100 空調制御部(制御部)、
1200 モーター制御部、
1300 熱スイッチ制御部、
1400 ポンプ制御部、
1500 ファン制御部、
2a、2b 磁石セット、
MB、MB1〜MB6、MBra〜MBrd、MBla〜MBld 磁性体ブロック(熱輸送器)。

Claims (4)

  1. 磁気熱量効果を有する磁気熱量材料と当該磁気熱量材料の熱を輸送する熱スイッチ部とを交互に配置する熱輸送器を、間隔を設けて環状に複数配置した円盤状の熱生成ディスクと、
    前記熱生成ディスクの各磁気熱量材料と対峙し前記各磁気熱量材料に選択的に磁気を印加し除去する磁石を環状に複数配置する円盤状の磁気印加ディスクと、
    前記熱生成ディスクまたは前記磁気印加ディスクの少なくともいずれか一方を回転させて、前記熱輸送器の前記環状の配置方向に相対的に移動させるモーターと、を備えた磁気冷暖房装置であって、
    前記磁石は、一つの磁石が前記環状の周方向に隣接して並ぶ複数の磁気熱量材料に対して磁気を印加できる大きさであることを特徴とする磁気冷暖房装置。
  2. 前記磁石は、前記環状の周方向に、少なくとも前記磁気熱量材料2個分に相当する大きさであり、かつ、前記磁石は、前記環状の周方向に、少なくとも前記磁気熱量材料2個分離れて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気冷暖房装置。
  3. 前記磁気熱量効果を有する磁気熱量材料は、磁気を印加すると発熱し除去すると吸熱する正の磁気熱量材料、または磁気を印加すると吸熱し除去すると発熱する負の磁気熱量材料のいずれか一方の磁気熱量材料であることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気冷暖房装置。
  4. 前記熱生成ディスクと前記磁気印加ディスクとを間隔を設けて複数交互に積層し、前記モーターは、積層した複数の熱生成ディスク及び積層した複数の磁気印加ディスクの少なくともいずれか一方を相対的にかつ一体的に移動させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の磁気冷暖房装置。
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