JP2014228061A - 駆動力伝達装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】装置を小型化しながら十分なクラッチ押圧力を発生させることが可能な駆動力伝達装置を提供する。【解決手段】駆動力伝達装置11は、第1の駆動軸31及び第2の駆動軸32の間に配置されたクラッチ4と、クラッチ4を収容する第1ケース部材51、及び第1の駆動軸31を貫通させる貫通孔52aが形成された第2ケース部材52を有するケース部材5と、電動モータ6のロータ62の回転に基づく回転力を入力部材71から受けて軸方向の押圧力に変換し、出力部材72からクラッチ4に出力する押圧機構7と、出力部材72と第2ケース部材52との間に配置され、ロータ62の回転を減速して押圧機構7の入力部材71に付与する減速機構8とを備え、減速機構8は、ロータ62の回転力によって偏心して回転する偏心回転部材81と、偏心回転部材81を支持する複数のピン82とを有し、複数のピン82は、第2ケース部材52に立設されて押圧機構7による押圧力の反力を受ける。【選択図】図2A
Description
本発明は、例えば車両の駆動力を断続可能に伝達する駆動力伝達装置に関する。
従来、車両の駆動力を断続可能に伝達する駆動力伝達装置として、特許文献1に記載のトルク伝達装置が知られている。
特許文献1に記載のトルク伝達装置は、同軸上で相対回転可能に支持されたクラッチハブ及びクラッチハウジングと、クラッチハブとクラッチハウジングとの間に配置された摩擦多板クラッチと、摩擦多板クラッチを加圧する加圧セットと、加圧セットを動作させる電動モータとを備えている。加圧セットは、一対のインターナルギヤと、一対のインターナルギヤに共に噛み合う遊星ギヤと、遊星ギヤを支持する遊星キャリヤと、一対のインターナルギヤの内方で遊星ギヤに噛み合うサンギヤとを備えている。加圧セットは、クラッチハブ及びクラッチハウジングの軸方向に沿って電動モータと並置され、サンギヤは、電動モータの出力軸としての回転駆動軸の一端部に一体形成されている。
一対のインターナルギヤは互いに歯数が異なり、遊星ギヤが回転すると一対のインターナルギヤ間にその歯数差に応じた差動回転が発生する。一対のインターナルギヤの対向面にはそれぞれカム面が形成され、これらカム面間を転動するカムボールによってカム機構が構成されている。そして、電動モータのトルクによってサンギヤが回転すると、遊星キャリヤに支持された遊星ギヤが回転し、一対のインターナルギヤに差動回転が発生してカム機構が作動する。加圧セットは、カム機構によって発生したカム推力によって摩擦多板クラッチを加圧し、クラッチハブ及びクラッチハウジングをトルク伝達可能に連結する。
特許文献1に記載のトルク伝達装置では、加圧セットと電動モータとがクラッチハブ及びクラッチハウジングの軸方向に沿って並んで配置されているので、軸方向の装置寸法が大きくなってしまう。この軸方向の装置寸法を小さくするために、例えばサンギヤの内側に電動モータを配置することも考えられるが、この場合には電動モータの径が小さくなるため、十分なクラッチの押圧力を確保するためには、電動モータの軸方向寸法を長くすること等により、結果的に電動モータを大型化しなければならなくなる。
そこで、本発明は、装置を小型化しながら十分なクラッチ押圧力を発生させることが可能な駆動力伝達装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決することを目的として、同一軸線上で相対回転可能に配置され、軸方向に押圧されることにより互いに摩擦係合する第1の摩擦部材及び第2の摩擦部材を有するクラッチと、前記第1の摩擦部材と共に回転する第1の駆動軸及び前記第2の摩擦部材と共に回転する第2の駆動軸を相対回転可能に支持し、前記第1の駆動軸を貫通させる貫通孔が形成された側壁部と前記クラッチを収容する筒部とを有する有底筒状のケース部材と、前記ケース部材の内面に固定されたステータ、ならびに前記ステータの内側における前記第1及び第2の摩擦部材と同軸上で回転するロータを有する電動モータと、前記第1の駆動軸の外周側に配置され、前記ロータの回転に基づく回転力を入力部材から受けて軸方向の押圧力に変換し、出力部材から前記クラッチに出力する押圧機構と、前記押圧機構の前記出力部材と前記ケース部材の前記側壁部との間に配置され、前記ロータの回転を減速して前記押圧機構の前記入力部材に付与する減速機構とを備え、前記減速機構は、前記ロータの回転力によって前記ロータの内側で偏心して回転する偏心回転部材と、前記偏心回転部材を支持する支持部材とを有し、前記支持部材は、前記ケース部材の側壁部に立設されて前記押圧機構による前記押圧力の反力を受ける、駆動力伝達装置を提供する。
本発明によれば、装置を小型化しながら十分なクラッチ押圧力を発生させることが可能となる。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る駆動力伝達装置、及び駆動力伝達装置の制御装置が搭載された四輪駆動車の概略を示す構成図である。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る駆動力伝達装置、及び駆動力伝達装置の制御装置が搭載された四輪駆動車の概略を示す構成図である。
(四輪駆動車100の構成)
四輪駆動車100は、駆動力伝達系101と、駆動力伝達装置11と、制御装置12と、四輪駆動車100の駆動源であるエンジン102と、トランスミッション103と、主駆動輪としての前輪104L,104Rと、補助駆動輪としての後輪105L,105Rとを備えている。なお、図1において符号中の文字「L」は四輪駆動車100の前進方向に対する左側を示し、文字「R」は四輪駆動車100の前進方向に対する右側を示している。
四輪駆動車100は、駆動力伝達系101と、駆動力伝達装置11と、制御装置12と、四輪駆動車100の駆動源であるエンジン102と、トランスミッション103と、主駆動輪としての前輪104L,104Rと、補助駆動輪としての後輪105L,105Rとを備えている。なお、図1において符号中の文字「L」は四輪駆動車100の前進方向に対する左側を示し、文字「R」は四輪駆動車100の前進方向に対する右側を示している。
駆動力伝達系101は、前輪側駆動力伝達系101Aと、後輪側駆動力伝達系101Bと、前輪側駆動力伝達系101A及び後輪側駆動力伝達系101Bをつなぐプロペラシャフト20とを有し、四輪駆動車100の四輪駆動状態を二輪駆動状態に、また二輪駆動状態を四輪駆動状態にそれぞれ切り替え可能に構成されている。駆動力伝達系101は、四輪駆動車100のトランスミッション103側から後輪105L,105Rに至る駆動力伝達経路に、フロントディファレンシャル21及びリヤディファレンシャル22と共に配置され、四輪駆動車100の図略の車体に搭載されている。
前輪側駆動力伝達系101Aは、フロントディファレンシャル21及び駆動力断続装置23を含み、プロペラシャフト20における前輪104L,104R側に配置されている。
フロントディファレンシャル21は、サイドギヤ211L,211Rと、一対のピニオンギヤ212と、一対のピニオンギヤ212を回転可能に支持するギヤ支持部材213と、サイドギヤ211L,211R及び一対のピニオンギヤ212を収容するフロントデフケース214とを有し、トランスミッション103に連結されている。サイドギヤ211Lは、前輪104L側のアクスルシャフト24Lに接続され、サイドギヤ211Rは、前輪104R側のアクスルシャフト24Rに接続される。一対のピニオンギヤ212は、サイドギヤ211L,211Rにギヤ軸を直交させて噛合する。
駆動力断続装置23は、第1のスプライン歯部231と、第2のスプライン歯部232と、スリーブ233とを有するドグクラッチからなる。駆動力断続装置23は、四輪駆動車100の前輪104L,104R側に配置され、スリーブ233が図略のアクチュエータによって進退移動可能である。第1のスプライン歯部231はフロントデフケース214に、第2のスプライン歯部232はリングギヤ262に、それぞれ回転不能に接続されている。スリーブ233は、第1のスプライン歯部231及び第2のスプライン歯部232にスプライン嵌合可能に連結されている。この構成により、駆動力断続装置23は、プロペラシャフト20とフロントデフケース214とを断続可能に連結する。
後輪側駆動力伝達系101Bは、リヤディファレンシャル22及び駆動力伝達装置11を含み、プロペラシャフト20における後輪105L,105R側に配置されている。
リヤディファレンシャル22は、サイドギヤ221L,221Rと、一対のピニオンギヤ222と、一対のピニオンギヤ222を回転可能に支持するギヤ支持部材223と、サイドギヤ221L,221R及び一対のピニオンギヤ222を収容するリヤデフケース224とを有し、プロペラシャフト20に連結されている。一対のピニオンギヤ222は、サイドギヤ221L,221Rにギヤ軸を直交させて噛合する。サイドギヤ221Lは、後輪105L側のアクスルシャフト25Lに接続され、サイドギヤ221Rは、後輪105R側のアクスルシャフト25Rに駆動力伝達装置11を介して接続される。
駆動力伝達装置11は、リヤディファレンシャル22のサイドギヤ221Rと後輪105R側のアクスルシャフト25Rとの連結を断続可能である。リヤディファレンシャル22のサイドギヤ221Rと後輪105R側のアクスルシャフト25Rとの連結が遮断されると、エンジン102の駆動力が後輪105Rに伝達されなくなると共に、リヤディファレンシャル22のサイドギヤ221L,221R及び一対のピニオンギヤ222が空回りすることにより後輪105Lにも駆動力が伝達されなくなる。
一方、リヤディファレンシャル22のサイドギヤ221Rと後輪105R側のアクスルシャフト25Rとが連結されると、エンジン102の駆動力が後輪105Rに伝達されると共に、リヤディファレンシャル22のサイドギヤ221Lを介して後輪105Lにも駆動力が伝達される。これにより、四輪駆動車100が四輪駆動状態となる。
前輪104L,104Rは、エンジン102がトランスミッション103及びフロントディファレンシャル21を介して前輪側のアクスルシャフト24L,24Rに駆動力を出力することにより駆動される。一方の後輪105Lは、エンジン102がトランスミッション103、駆動力断続装置23、プロペラシャフト20、及びリヤディファレンシャル22を介して後輪105L側のアクスルシャフト25Lに駆動力を出力することにより駆動される。他方の後輪105Rは、エンジン102がトランスミッション103、駆動力断続装置23、プロペラシャフト20、リヤディファレンシャル22、及び駆動力伝達装置11を介して後輪105R側のアクスルシャフト25Rに駆動力を出力することにより駆動される。
プロペラシャフト20の前輪104L,104R側の端部には、互いに噛合するドライブピニオン261及びリングギヤ262からなる前輪側歯車機構26が配置されている。また、プロペラシャフト20の後輪105L,105R側の端部には、互いに噛合するドライブピニオン271及びリングギヤ272からなる後輪側歯車機構27が配置されている。
制御装置12は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶素子からなる記憶部121と、記憶部121に記憶されたプログラムに従って動作するCPU(Central Processing Unit)等を有する制御部122と、駆動力伝達装置11の電動モータ6(後述)を制御するモータ制御回路123とを有している。モータ制御回路123により電動モータ6に電流が供給されると、駆動力伝達装置11によってリヤディファレンシャル22のサイドギヤ221Rから後輪105R側のアクスルシャフト25Rにエンジン102の駆動力が伝達される。一方、電動モータ6に電流が供給されなくなると、リヤディファレンシャル22のサイドギヤ221Rと後輪105R側のアクスルシャフト25Rとの連結が遮断される。
(駆動力伝達装置11の構成)
図2Aは、駆動力伝達装置11の構成例を示す断面図である。図2Bは、図2Aの部分拡大図である。駆動力伝達装置11は、回転軸線Oに対して対称に構成されているので、図2Aでは、駆動力伝達装置11の回転軸線Oよりも上側の半分を図示している。
図2Aは、駆動力伝達装置11の構成例を示す断面図である。図2Bは、図2Aの部分拡大図である。駆動力伝達装置11は、回転軸線Oに対して対称に構成されているので、図2Aでは、駆動力伝達装置11の回転軸線Oよりも上側の半分を図示している。
駆動力伝達装置11は、リヤディファレンシャル22のサイドギヤ221Rに相対回転不能に連結される第1の駆動軸31と、後輪105R側のアクスルシャフト25Rに相対回転不能に連結される第2の駆動軸32との間で駆動力を断続可能に伝達する。第1の駆動軸31と第2の駆動軸32とは、同一軸線上で相対回転可能である。
また、駆動力伝達装置11は、第1の駆動軸31と第2の駆動軸32とを駆動力伝達可能に連結するクラッチ4と、第1の駆動軸31と第2の駆動軸32とを相対回転可能に支持するケース部材5と、ケース部材5に収容されたステータ61及びロータ62からなる電動モータ6と、電動モータ6のロータ62の回転に基づく回転力を回転軸線O方向の押圧力に変換してクラッチ4に出力する押圧機構7と、ロータ62の回転を減速して押圧機構7に付与する減速機構8とを備えている。以下、これら各部の構成について、詳細に説明する。
(第1の駆動軸31の構成)
第1の駆動軸31は、リヤディファレンシャル22のサイドギヤ221Rにスプライン嵌合によって連結される軸部311と、軸部311の外周面から径方向外方に突出し、クラッチ4の収容空間の底部を形成する円環板状の底板部312と、底板部312の外周側の端部から第1の駆動軸31及び第2の駆動軸32の回転軸線Oに沿って延在する円筒状の円筒部313とを一体に有している。
第1の駆動軸31は、リヤディファレンシャル22のサイドギヤ221Rにスプライン嵌合によって連結される軸部311と、軸部311の外周面から径方向外方に突出し、クラッチ4の収容空間の底部を形成する円環板状の底板部312と、底板部312の外周側の端部から第1の駆動軸31及び第2の駆動軸32の回転軸線Oに沿って延在する円筒状の円筒部313とを一体に有している。
軸部311の一端部311aは、サイドギヤ221Rにスプライン嵌合するためのスプライン嵌合部として形成されている。軸部311の他端部311bは、第2の駆動軸32との間に配置された玉軸受91によって支持されている。底板部312は、軸部311の他端部311bの近傍から径方向外方に突出している。底板部312には、クラッチ4を押圧する軸状の押圧部材75を挿通させる挿通孔312aが複数箇所(例えば3〜6箇所)に形成されている。円筒部313の内周面には、回転軸線Oに対して平行な方向に延びる複数のスプライン歯からなるスプライン係合部313aが形成されている。このスプライン係合部313aには、後述するクラッチ4の複数のアウタクラッチプレート41が相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合する。
(第2の駆動軸32の構成)
第2の駆動軸32は、アクスルシャフト25Rにスプライン嵌合によって連結される小径筒部321と、第1の駆動軸31の円筒部313の内周面に対向する外周面を有する大径筒部322とを一体に有している。大径筒部322の外周面には、回転軸線Oに対して平行な方向に延びる複数のスプライン歯からなるスプライン係合部322aが形成されている。このスプライン係合部322aには、後述するクラッチ4の複数のインナクラッチプレート42が相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合する。大径筒部322は、第1の駆動軸31の軸部311における他端部311bを収容し、大径筒部322の内周面と軸部311の他端部311bの外周面との間に玉軸受91が配置されている。
第2の駆動軸32は、アクスルシャフト25Rにスプライン嵌合によって連結される小径筒部321と、第1の駆動軸31の円筒部313の内周面に対向する外周面を有する大径筒部322とを一体に有している。大径筒部322の外周面には、回転軸線Oに対して平行な方向に延びる複数のスプライン歯からなるスプライン係合部322aが形成されている。このスプライン係合部322aには、後述するクラッチ4の複数のインナクラッチプレート42が相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合する。大径筒部322は、第1の駆動軸31の軸部311における他端部311bを収容し、大径筒部322の内周面と軸部311の他端部311bの外周面との間に玉軸受91が配置されている。
(クラッチ4の構成)
クラッチ4は、複数のアウタクラッチプレート41と、複数のアウタクラッチプレート41に対して同一軸線上で相対回転可能に配置された複数のインナクラッチプレート42とを有し、第1の駆動軸31の円筒部313と第2の駆動軸32の大径筒部322との間に配置されている。複数のアウタクラッチプレート41と複数のインナクラッチプレート42とは、回転軸線Oに沿って軸方向に交互に配置されている。
クラッチ4は、複数のアウタクラッチプレート41と、複数のアウタクラッチプレート41に対して同一軸線上で相対回転可能に配置された複数のインナクラッチプレート42とを有し、第1の駆動軸31の円筒部313と第2の駆動軸32の大径筒部322との間に配置されている。複数のアウタクラッチプレート41と複数のインナクラッチプレート42とは、回転軸線Oに沿って軸方向に交互に配置されている。
複数のアウタクラッチプレート41は、その外周部が第1の駆動軸31の円筒部313に形成されたスプライン係合部313aに相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合している。複数のインナクラッチプレート42は、その内周部が第2の駆動軸32の大径筒部322に形成されたスプライン係合部322aに相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合している。第1の駆動軸31は、複数のアウタクラッチプレート41と共に回転し、第2の駆動軸32は、複数のインナクラッチプレート42と共に回転する。複数のアウタクラッチプレート41と複数のインナクラッチプレート42とは、軸方向に押圧されることにより互いに摩擦係合する。
複数のインナクラッチプレート42のうち、最も第1の駆動軸31の底板部312側に配置されたインナクラッチプレート42と底板部312との間には、円筒部313に形成されたスプライン係合部313aに相対回転不能かつ軸方向移動可能に係合した環状の押圧プレート43が配置されている。クラッチ4は、底板部312に形成された複数の挿通孔312aにそれぞれ挿通された押圧部材75から押圧プレート43を介して軸方向の押圧力を受け、この押圧力によって複数のアウタクラッチプレート41と複数のインナクラッチプレート42とが摩擦係合し、第1の駆動軸31と第2の駆動軸32とを駆動力伝達可能に連結する。
(ケース部材5の構成)
ケース部材5は、有底円筒状の第1ケース部材51と、第1ケース部材51の開口を塞ぐようにして配置された第2ケース部材52とからなる。第1ケース部材51と第2ケース部材52とは、複数のボルト92(図2Aには1つのボルト92のみを示す)によって固定されている。
ケース部材5は、有底円筒状の第1ケース部材51と、第1ケース部材51の開口を塞ぐようにして配置された第2ケース部材52とからなる。第1ケース部材51と第2ケース部材52とは、複数のボルト92(図2Aには1つのボルト92のみを示す)によって固定されている。
第1ケース部材51は、円筒部511と底部512とを一体に有し、クラッチ4,電動モータ6,押圧機構7,及び減速機構8を収容している。底部512には、その中心部に第2の駆動軸32の小径筒部321を貫通させる貫通孔512aが形成されている。貫通孔512aの内面と小径筒部321の外周面との間には、玉軸受93及びシール部材94が配置されている。また、複数のアウタクラッチプレート41のうち、最も底部512側に配置されたアウタクラッチプレート41と底部512との間には、針状スラストころ軸受95が配置されている。
第2ケース部材52には、第1の駆動軸31の軸部311を貫通させる貫通孔52aが形成されている。貫通孔52aの内面と軸部311の外周面との間には、玉軸受96及びシール部材97が配置されている。
第1ケース部材51の円筒部511は、クラッチ4を収容する本発明の「筒部」の一態様であり、第2ケース部材52は、第1の駆動軸31を貫通させる貫通孔52aが形成された本発明の「側壁部」の一態様である。
(電動モータ6の構成)
図3は、電動モータ6及び減速機構8の構成を示す断面図である。電動モータ6は、第1ケース部材51の円筒部511の内面に固定されたステータ61と、第1及び第2の駆動軸31,32と同軸上でステータ61に対して回転可能に支持されたロータ62とを有している。
図3は、電動モータ6及び減速機構8の構成を示す断面図である。電動モータ6は、第1ケース部材51の円筒部511の内面に固定されたステータ61と、第1及び第2の駆動軸31,32と同軸上でステータ61に対して回転可能に支持されたロータ62とを有している。
ステータ61は、回転磁界が発生するように励磁電流が供給される複数(図3に示す例では12個)のコイル611と、複数のコイル611が巻き回された複数(図3に示す例では12個)のティース部612aを有する環状の磁性部材612と、磁性部材612を第1ケース部材51に固定するための固定部材613とを有している。固定部材613は、図2Aに示すように、第1ケース部材51の円筒部511にボルト98によって固定されると共に、磁性部材612を保持している。また、固定部材613には、その内周部に回転軸線Oに沿ってスプライン係合部613aが形成されている。なお、図3では、固定部材613の図示を省略している。
ロータ62は、ステータ61の内側に配置され、円筒状の磁性材料からなるコア部材620の外周面に複数のN磁極621と複数のS磁極622とが交互に配置されている。N磁極621は、強磁性体からなる永久磁石のN極をステータ61の内周面に対向するように配置することにより形成され、S磁極622は、永久磁石のS極をステータ61の内周面に対向するように配置することにより形成されている。
ロータ62は、回転軸線O上にコア部材620の外周面620aの中心軸C1を有するが、コア部材620の内周面620bの中心軸C2は回転軸線O上にはなく、回転軸線O及び中心軸C1に対して偏心量δをもって偏心している。すなわち、コア部材620の径方向の厚みは、最も厚みが厚い厚肉部620cから最も厚みが薄い薄肉部620dに向かって厚みが徐々に薄くなっている。厚肉部620cと薄肉部620dとは、回転軸線Oを挟んで対称な位置に形成されている。
(減速機構8の構成)
減速機構8は、ロータ62の内側に配置され、ロータ62の回転を減速して押圧機構7に付与するように構成されている。本実施の形態では、減速機構8が偏心揺動型減速機構によって構成されている。より具体的には、減速機構8は、少歯数差インボリュート減速機構である。
減速機構8は、ロータ62の内側に配置され、ロータ62の回転を減速して押圧機構7に付与するように構成されている。本実施の形態では、減速機構8が偏心揺動型減速機構によって構成されている。より具体的には、減速機構8は、少歯数差インボリュート減速機構である。
減速機構8は、ロータ62の回転力によってロータ62の内側で偏心して回転する偏心回転部材81と、偏心回転部材81を支持する支持部材としての複数(本実施の形態では6本)のピン82と、複数のピン82のそれぞれに外嵌された複数の針状ころ軸受83とを有している。偏心回転部材81は、複数のピン82をそれぞれ挿通させる複数(本実施の形態では6個)の挿通孔810を有している。また、本実施の形態では、ロータ62と偏心回転部材81との相対回転を円滑にすべく、ロータ62のコア部材620の内周面620bと偏心回転部材81の外周面81bとの間に複数の円筒ころ84が配置されている。
ピン82は、その形状が円柱状であり、ロータ62の内側における複数箇所に第1の駆動軸31の軸部311の周方向に沿って等間隔に配置されている。また、ピン82は、図2Bに示すように、その軸方向の一方の端部である基端部82aが第2ケース部材52に形成された保持穴52bに圧入されて保持され、第2ケース部材52に立設されている。
複数のピン82における基端部82aとは反対側の端部である先端部82bには、回転軸線Oを中心とする環状に形成された第1の環状部材85が固定されている。また、偏心回転部材81と第2ケース部材52との間には、複数のピン82に支持された第2の環状部材86が配置されている。
第1の環状部材85には、複数(6個)の嵌合穴850が形成され、この嵌合穴850にピン82の先端部82bが例えば圧入により嵌合されている。第1の環状部材85には、外周部に外周側ブッシュ851が設けられ、内周部に内周側ブッシュ852が設けられている。第2の環状部材86には、複数のピン82をそれぞれ挿通させる複数(6個)の挿通孔860が形成されている。第2の環状部材86には、外周部に外周側ブッシュ861が設けられ、内周部に内周側ブッシュ862が設けられている。
第1及び第2の環状部材85,86は、外周側ブッシュ851,861の外周面をロータ62のコア部材620の内周面に対向させてロータ62を支持している。また、第1及び第2の環状部材85,86は、内周側ブッシュ852,862の内周面を後述する押圧機構7の入力部材71の外周面に対向させて入力部材71を支持している。
偏心回転部材81は、第1の環状部材85と第2の環状部材86との間に配置され、これら第1及び第2の環状部材85,86によって軸方向移動が規制されている。偏心回転部材81の挿通孔810の内径は、ピン82に外嵌された針状ころ軸受83の外輪の外径よりも大きく、針状ころ軸受83の外輪の外周面83aと偏心回転部材81の挿通孔810の内周面810aとの間には隙間が形成されている。この隙間の寸法は、偏心回転部材81の偏心量δに対応した寸法である。より詳細には、針状ころ軸受83の外周面83aと挿通孔810の内周面810aとは一点で接触すると共に、この接触点の反対側の位置では偏心量δと同寸法の隙間が形成されている。
偏心回転部材81の内周端には、後述する押圧機構7の入力部材71の外周面に形成されたギヤ部71aに偏心して噛み合うギヤ部81aが形成されている。入力部材71のギヤ部71a及び偏心回転部材81のギヤ部81aは、コア部材620の厚肉部620cに対応する位置で噛み合い、薄肉部620dに対応する位置では、偏心量δに応じた隙間が形成されることにより互いに噛み合わないように構成されている。
偏心回転部材81のギヤ部81aの歯数は、入力部材71のギヤ部71aの歯数よりも僅かに多く、本実施の形態では、偏心回転部材81のギヤ部81aの歯数が81であり、入力部材71のギヤ部71aの歯数が78である。これにより、ロータ62が回転軸線Oの周りを1回転すると、歯数差(本実施の形態では3歯)分だけ入力部材71が回転軸線Oの周りを回転する。このように、減速機構8は、ロータ62の回転を減速して押圧機構7の入力部材71に付与する。
(押圧機構7の構成)
押圧機構7は、入力部材71と、出力部材72と、出力部材72に保持された複数(本実施の形態では3個)のローラユニット73とを有し、ロータ62の回転力を減速機構8を介して入力部材71から受けて軸方向の押圧力に変換し、出力部材72からクラッチ4に出力する。入力部材71,出力部材72,及び複数のローラユニット73は、第1の駆動軸31の軸部311の外周側に配置されている。この押圧機構7の構成について、図4〜7を参照して詳細に説明する。
押圧機構7は、入力部材71と、出力部材72と、出力部材72に保持された複数(本実施の形態では3個)のローラユニット73とを有し、ロータ62の回転力を減速機構8を介して入力部材71から受けて軸方向の押圧力に変換し、出力部材72からクラッチ4に出力する。入力部材71,出力部材72,及び複数のローラユニット73は、第1の駆動軸31の軸部311の外周側に配置されている。この押圧機構7の構成について、図4〜7を参照して詳細に説明する。
図4は、入力部材71,出力部材72,及び複数(3つ)のローラユニット73を示す押圧機構7の分解斜視図である。図5は、入力部材71を示し、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は(b)のA−A線断面図である。図6は、ローラユニット73を示し、(a)は側面図、(b)は斜視図、(c)は(a)のB−B線断面図、(d)は(a)のC−C線断面図である。図7は、出力部材72を示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は背面図、(d)は(a)のD−D線断面図、(e)は正面側から見た斜視図である。
入力部材71は、図5に示すように、減速機構8の内側に配置される円筒部711と、円筒部711におけるクラッチ4側の端部から外方に突出して形成された円環板状のフランジ部712と、フランジ部712のクラッチ4側の側面から軸方向に突出して形成された複数の円弧状の突部713とを一体に有している。
円筒部711には、第1の駆動軸31の軸部311を挿通させる挿通孔711aが中心部に形成されている。円筒部711の軸方向の中央部における外周面には、偏心回転部材81のギヤ部81aに噛み合うギヤ部71aが形成され、ギヤ部71aのフランジ部712側には第1の環状部材85の内周側ブッシュ852に対向する第1対向面711bが形成されている。また、円筒部711の外周面におけるギヤ部71aよりも先端側(フランジ部712側とは反対側)の端部には、第2の環状部材86の内周側ブッシュ862に対向する第2対向面711cが形成されている。第1対向面711bの外径はギヤ部71aの外径よりも大きく、第2対向面711cの外径はギヤ部71aの外径よりも小さく形成されている。
フランジ部712は、第1の環状部材85の軸方向端面85a(図2B参照)に対向している。第1の環状部材85の軸方向端面85aとフランジ部712の第1の環状部材85側の軸方向端面712aとの間には、針状スラストころ軸受74が配置されている。針状スラストころ軸受74は、フランジ部712に形成された段部712bに係合することで、フランジ部712に保持されている。
突部713には、ローラユニット73の後述する転動体731の転動によって入力部材71から受けた回転力を軸方向の押圧力に変換するための第1及び第2のカム面713a,713bが形成されている。第1のカム面713aは、第2のカム面713bよりもカム角が大きく形成されている。また、突部713には、第2のカム面713bに連続して周方向に延び、軸方向に対して直交する平坦面713cが軸方向端部に形成されている。本実施の形態では、入力部材71に3つの突部713が間隔をあけて形成され、周方向に隣り合う一対の突部713同士の間には、電動モータ6に電流が供給されない初期状態においてローラユニット73が収容される凹部71bが形成されている。
ローラユニット73は、図6に示すように、円柱状の支持軸730と、支持軸730に対して転動可能に配置された円筒状の転動体731と、支持軸730の外周面730aと転動体731の内周面731aとの間に配置された複数の円柱状のころ732とを有している。支持軸730の軸方向長さは、転動体731の軸方向長さよりも長く、支持軸730はその両端部730b,730cが転動体731の軸方向端面から突出している。
出力部材72は、図2A及び図2Bに示すように、入力部材71と回転軸線Oに沿って並んで配置されている。また、出力部材72は、図7に示すように、第1の駆動軸31の軸部311を挿通させる挿通孔72aが中心部に形成された円環板状であり、その中心部側に設けられた厚肉部721と、厚肉部721よりも外周側に設けられた薄肉部722とを一体に有している。また、薄肉部722の外周側には、薄肉部722の外周面722aから放射状に突出した複数(3つ)の突起723が形成されている。
複数の突起723は、図2Bに示すように、固定部材613のスプライン係合部613aに係合し、出力部材72のケース部材5に対する回転を規制する。つまり、出力部材72は、ケース部材5に対して軸方向に移動可能かつ相対回転不能である。
出力部材72の厚肉部721には、環状の凹部721aが形成され、この凹部721aに複数(3つ)のローラユニット73が収容されている。凹部721aの外周端部には、ローラユニット73の支持軸730の一方の端部730bを支持する第1の支持部721bが3箇所に形成されている。また、凹部721aの内周端部には、第1の支持部721bに向かい合う位置に、ローラユニット73の支持軸730の他方の端部730cを支持する第2の支持部721cが形成されている。
本実施の形態では、第1の支持部721bが凹部721aの外周端部において径方向外方に窪んで形成され、第2の支持部721cが凹部721aの内周端部において径方向内方に窪んで形成されている。ローラユニット73は、入力部材71側から凹部721aに挿入されることにより、出力部材72に支持される。また、厚肉部721には、第1の支持部721bと第2の支持部721cとの間における凹部721aの底面に、クラッチ4側からローラユニット73の転動体731を臨ませる開口721dが形成されている。
図2Bに示すように、出力部材72の薄肉部722のクラッチ4側の軸方向端面722bと、クラッチ4を押圧する軸状の押圧部材75との間には、針状スラストころ軸受76が配置されている。針状スラストころ軸受76は、厚肉部721と薄肉部722との間の段差部に係合することで、出力部材72に保持されている。押圧部材75は、第1の駆動軸31の底板部312に形成された挿通孔312aを挿通する軸部751と、軸部751よりも大径に形成され、軸部751の一端部に設けられた頭部752とを一体に有している。軸部751の外周部には、コイルバネ77が配置されている。コイルバネ77は、押圧部材75の頭部752及び第1の駆動軸31の底板部312に当接し、押圧部材75を出力部材72側に向かって付勢している。つまり、押圧部材75の頭部752は、針状スラストころ軸受76に弾性的に押し付けられている。
押圧機構7は、出力部材72に保持されたローラユニット73の転動体731が入力部材71の突部713に形成された第1及び第2のカム面713a,713bを転動することで、入力部材71から受けた回転力によって出力部材72が軸方向に移動するカム機構である。クラッチ4の複数のアウタクラッチプレート41と複数のインナクラッチプレート42とは、転動体731が第1のカム面713aを転動することで隙間詰めされて互いに接触し、転動体731が第2のカム面713bを転動することで軸方向に押圧されて摩擦係合する。複数のアウタクラッチプレート41と複数のインナクラッチプレート42との間の摩擦力によって第1の駆動軸31から第2の駆動軸32に伝達される駆動力は、電動モータ6に供給される電流によって制御される。
図2A及び図2Bに示すように、減速機構8は、押圧機構7の入力部材71及び針状スラストころ軸受74を介して、出力部材72と第2ケース部材52との間に配置されている。押圧機構7によるクラッチ4の押圧力の反力は、入力部材71から針状スラストころ軸受74を介して第1の環状部材85に作用する。複数のピン82は、第1の環状部材85を介してクラッチ4の押圧力の反力を受ける。
(駆動力伝達装置11の動作)
電動モータ6に電流が供給されていない状態では、第1の駆動軸31と第2の駆動軸32とがクラッチ4によって連結されず、リヤディファレンシャル22のサイドギヤ221Lから後輪105Rに駆動力が伝達されない。この状態では、一対のピニオンギヤ222が空転することによって後輪105Lにも駆動力が伝達されず、四輪駆動車100は、主駆動輪である前輪104L,104Rのみにエンジン102の駆動力が伝達される二輪駆動状態となる。
電動モータ6に電流が供給されていない状態では、第1の駆動軸31と第2の駆動軸32とがクラッチ4によって連結されず、リヤディファレンシャル22のサイドギヤ221Lから後輪105Rに駆動力が伝達されない。この状態では、一対のピニオンギヤ222が空転することによって後輪105Lにも駆動力が伝達されず、四輪駆動車100は、主駆動輪である前輪104L,104Rのみにエンジン102の駆動力が伝達される二輪駆動状態となる。
制御装置12は、前輪104L,104Rの回転数と後輪105L,105Rの回転数との差である差動回転数や、運転者のアクセルペダルによる加速操作量等に基づき、制御部122が後輪105L,105Rに駆動力を伝達すべきと判断した場合には、後輪105L,105Rに伝達すべき駆動力に応じた電流をモータ制御回路123によって電動モータ6に供給する。
電動モータ6に電流が供給され、ロータ62がステータ61に対して回転すると、偏心回転部材81が回転軸線Oに対して偏心して回転することにより、ロータ62の回転力が減速機構8で減速されて押圧機構7の入力部材71に付与される。これにより、押圧機構7の出力部材72に保持されたローラユニット73の転動体731が第1及び第2のカム面713a,713bを転動し、出力部材72が軸方向に移動する。
出力部材72が軸方向に移動すると、出力部材72の薄肉部722との間に針状スラストころ軸受76を介して配置された押圧部材75がクラッチ4を押圧し、複数のアウタクラッチプレート41と複数のインナクラッチプレート42とが摩擦係合する。これにより、第1の駆動軸31から第2の駆動軸32に駆動力が伝達される。すなわち、四輪駆動車100は、主駆動輪である前輪104L,104R、及び補助駆動輪である後輪105L,105Rに共にエンジン102の駆動力が伝達される四輪駆動状態となる。
(第1の実施の形態の作用及び効果)
上記した第1の実施の形態によれば、以下の作用及び効果が得られる。
上記した第1の実施の形態によれば、以下の作用及び効果が得られる。
(1)電動モータ6は、減速機構8の外周側に配置されているので、電動モータを減速機構に軸方向に並列させた場合、又は減速機構の内側に電動モータを配置した場合に比較してロータ62の直径を大きくすることができ、クラッチ4への十分なクラッチ押圧力を発生させることができると共に、駆動力伝達装置11を小型にすることができる。
(2)押圧機構7においてクラッチ4の押圧力の反力として発生する軸方向のスラスト力は、第1の環状部材85を介して複数のピン82が受けることにより、ケース部材5(第2ケース部材52)に伝達される。すなわち、複数のピン82は、偏心回転部材81を支持すると共に、クラッチ4の押圧力の反力を受ける反力受け部材としても機能し、出力部材72と第2ケース部材52との間に配置された減速機構8の複数のピン82を通してクラッチ押圧力の反力が受け止められる。これにより、例えばケース部材5の一部を内方に突出させて反力受け部を設ける必要がなく、駆動力伝達装置11をさらに小型化することができる。
(3)複数のピン82は、第1の環状部材85を介してクラッチ押圧力の反力を受けるので、複数のピン82が受ける反力が均等化され、反力を安定して受けることができる。
(4)押圧機構7は、回転軸線Oの周方向に対して傾斜した第1及び第2のカム面713a,713bをローラユニット73の転動体731が転動することで、入力部材71から受けた回転力によって出力部材72が軸方向に移動するカム機構であるので、例えばボールねじ等を用いた機構に比較して、簡素な構成で押圧機構7を小型に構成することができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について、図8及び図9を参照して説明する。
次に、本発明の第2の実施の形態について、図8及び図9を参照して説明する。
図8は、本発明の第2の実施の形態に係る駆動力伝達装置11Aを示す断面図である。図8において、第1の実施の形態について説明したものと実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の又は対応する符号を付してその重複した説明を省略する。
この駆動力伝達装置11Aは、第1の実施の形態に係る駆動力伝達装置11と同様に、第1の駆動軸31と第2の駆動軸32とを駆動力伝達可能に連結するクラッチ4と、第1の駆動軸31と第2の駆動軸32とを相対回転可能に支持するケース部材5と、ケース部材5に収容されたステータ61及びロータ62からなる電動モータ6と、電動モータ6のロータ62の回転に基づく回転力を回転軸線O方向の押圧力に変換してクラッチ4に出力する押圧機構7Aと、ロータ62の回転を減速して押圧機構7Aに付与する減速機構8Aとを備えているが、押圧機構7Aの構成、及び減速機構8Aの第1の環状部材85Aの形状が第1の実施の形態とは異なる。
本実施の形態に係る押圧機構7Aは、入力部材71Aと、出力部材72Aと、出力部材72Aに保持された複数のローラユニット73とを有し、ロータ62の回転力を減速機構8Aを介して入力部材71Aから受けて軸方向の押圧力に変換し、出力部材72Aからクラッチ4に出力する。
入力部材71Aは、第1の駆動軸31の軸部311を挿通させる挿通孔71Aaが形成された円筒状であり、その外周面には、偏心回転部材81のギヤ部81aに噛み合うギヤ部71aが形成されている。また、入力部材71Aは、クラッチ4側に延在して設けられた円筒状の延在部714を有し、この延在部714の外周面には、回転軸線Oに沿ってスプライン係合部714aが形成されている。
出力部材72Aは、第1の実施の形態に係る出力部材72と同様に、複数のローラユニット73を保持する厚肉部721と、厚肉部721よりも外周側に設けられた薄肉部722とを一体に有しているが、薄肉部722の外周部には突起723(図7参照)が形成されていない。一方、厚肉部721の内周部には、入力部材71Aのスプライン係合部714aに係合するスプライン係合部721eが形成されている。これにより、出力部材72Aは、入力部材71Aに対して軸方向移動可能かつ相対回転不能に連結されている。
図9は、本実施の形態に係る第1の環状部材85Aを示し、(a)は側面図、(b)は正面図である。第1の環状部材85Aには、出力部材72Aに向かって突出する複数(3つ)の突部853が形成されている。本実施の形態では、第1の環状部材85Aに3つの円弧状の突部853が同心状に形成され、それぞれの突部853に、ローラユニット73の転動体731の転動によって入力部材71Aから受けた回転力を軸方向の押圧力に変換するための第1及び第2のカム面853a,853bが形成されている。
第1のカム面853aは、第2のカム面853bよりもカム角が大きく形成されている。また、突部853には、第2のカム面853bに連続して周方向に延び、軸方向に対して直交する平坦面853cが軸方向端部に形成されている。3つの突部853のうち、周方向に隣り合う一対の突部853同士の間には、電動モータ6に電流が供給されない初期状態においてローラユニット73が収容される凹部853dが形成されている。
上記のように構成された駆動力伝達装置11Aにおいて、電動モータ6に電流が供給され、ロータ62がステータ61に対して回転すると、偏心回転部材81が回転軸線Oに対して偏心して回転することにより、ロータ62の回転力が減速機構8Aで減速されて押圧機構7Aの入力部材71Aに付与される。これにより、出力部材72Aが入力部材71Aと共に第1の環状部材85Aに対して回転し、出力部材72Aに保持されたローラユニット73の転動体731が第1及び第2のカム面853a,853bを転動する。そして、転動体731の転動に伴って出力部材72Aが軸方向に移動する。
出力部材72Aが軸方向に移動すると、第1の実施の形態と同様に、出力部材72Aの薄肉部722との間に針状スラストころ軸受76を介して配置された押圧部材75がクラッチ4を押圧し、複数のアウタクラッチプレート41と複数のインナクラッチプレート42とが摩擦係合する。これにより、第1の駆動軸31から第2の駆動軸32に駆動力が伝達される。
本実施の形態によっても、第1の実施の形態について説明した作用及び効果と同様の作用及び効果が得られる。また、第1の環状部材85Aと出力部材72Aとの間に入力部材71のフランジ部712(図2参照)が介在しないので、さらに駆動力伝達装置11Aを小型化し、軸方向寸法を短縮することが可能となる。
以上、本発明の駆動力伝達装置を上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能であり、例えば次に示すような変形も可能である。
上記実施の形態では、減速機構8,8Aとして少歯数差インボリュート減速機構を適用した場合について説明したが、これに限らず、例えばサイクロイド減速機構を応用して適用することも可能である。また、押圧機構7としては、カム機構に限らず、例えばボールねじ機構を用いて回転力を軸方向の押圧力に変換することも可能である。
上記実施の形態では、偏心回転部材81と第2ケース部材52との間に第2の環状部材86を配置した場合について説明したが、第2の環状部材86を省略してもよい。この場合、偏心回転部材81は、第2ケース部材52の内面に対向して軸方向移動が規制される。
4…クラッチ、5…ケース部材、6…電動モータ、7,7A…押圧機構、8,8A…減速機構、11,11A…駆動力伝達装置、12…制御装置、20…プロペラシャフト、21…フロントディファレンシャル、22…リヤディファレンシャル、23…駆動力断続装置、24L,24R…アクスルシャフト、25L,25R…アクスルシャフト、26…前輪側歯車機構、27…後輪側歯車機構、31…第1の駆動軸、32…第2の駆動軸、41…アウタクラッチプレート、42…インナクラッチプレート、43…押圧プレート、51…第1ケース部材、52…第2ケース部材、52a…貫通孔、52b…保持穴、61…ステータ、62…ロータ、71,71A…入力部材、71Aa…挿通孔、71a…ギヤ部、71b…凹部、72,72A…出力部材、72a…挿通孔、73…ローラユニット、74…針状スラストころ軸受、75…押圧部材、76…針状スラストころ軸受、77…コイルバネ、81…偏心回転部材、81a…ギヤ部、81b…外周面、82…ピン、82a…基端部、82b…先端部、83…針状ころ軸受、83a…外周面、84…円筒ころ、85,85A…第1の環状部材、85a…軸方向端面、86…第2の環状部材、91…玉軸受、92…ボルト、93…玉軸受、94…シール部材、95…針状スラストころ軸受、96…玉軸受、97…シール部材、98…ボルト、100…四輪駆動車、101…駆動力伝達系、101A…前輪側駆動力伝達系、101B…後輪側駆動力伝達系、102…エンジン、103…トランスミッション、104L,104R…前輪、105L,105R…後輪、121…記憶部、122…制御部、123…モータ制御回路、211L,211R…サイドギヤ、212…ピニオンギヤ、213…ギヤ支持部材、214…フロントデフケース、221L,221R…サイドギヤ、222…ピニオンギヤ、223…ギヤ支持部材、224…リヤデフケース、231…第1のスプライン歯部、232…第2のスプライン歯部、233…スリーブ、261…ドライブピニオン、262…リングギヤ、271…ドライブピニオン、272…リングギヤ、311…軸部、311a…一端部、311b…他端部、312…底板部、312a…挿通孔、313…円筒部、313a…スプライン係合部、321…小径筒部、322…大径筒部、322a…スプライン係合部、511…円筒部、512…底部、512a…貫通孔、611…コイル、612…磁性部材、612a…ティース部、613…固定部材、613a…スプライン係合部、620…コア部材、620a…外周面、620b…内周面、620c…厚肉部、620d…薄肉部、621…N磁極、622…S磁極、711…円筒部、711a…挿通孔、711b…第1対向面、711c…第2対向面、712…フランジ部、712a…軸方向端面、712b…段部、713…突部、713a…第1のカム面、713b…第2のカム面、713c…平坦面、714…延在部、714a…スプライン係合部、721…厚肉部、721a…凹部、721b…第1の支持部、721c…第2の支持部、721d…開口、721e…スプライン係合部、722…薄肉部、722a…外周面、722b…軸方向端面、723…突起、730…支持軸、730a…外周面、730b,730c…端部、731…転動体、731a…内周面、751…軸部、752…頭部、810…挿通孔、810a…内周面、850…嵌合穴、851,861…外周側ブッシュ、852,862…内周側ブッシュ、853…突部、853a…第1のカム面、853b…第2のカム面、853c…平坦面、853d…凹部、860…挿通孔、861…外周側ブッシュ、862…内周側ブッシュ、C1,C2…中心軸、O…回転軸線、δ…偏心量
Claims (4)
- 同一軸線上で相対回転可能に配置され、軸方向に押圧されることにより互いに摩擦係合する第1の摩擦部材及び第2の摩擦部材を有するクラッチと、
前記第1の摩擦部材と共に回転する第1の駆動軸及び前記第2の摩擦部材と共に回転する第2の駆動軸を相対回転可能に支持し、前記第1の駆動軸を貫通させる貫通孔が形成された側壁部と前記クラッチを収容する筒部とを有する有底筒状のケース部材と、
前記ケース部材の内面に固定されたステータ、ならびに前記ステータの内側における前記第1及び第2の駆動軸と同軸上で回転するロータを有する電動モータと、
前記第1の駆動軸の外周側に配置され、前記ロータの回転に基づく回転力を入力部材から受けて軸方向の押圧力に変換し、出力部材から前記クラッチに出力する押圧機構と、
前記押圧機構の前記出力部材と前記ケース部材の前記側壁部との間に配置され、前記ロータの回転を減速して前記押圧機構の前記入力部材に付与する減速機構とを備え、
前記減速機構は、前記ロータの回転力によって前記ロータの内側で偏心して回転する偏心回転部材と、前記偏心回転部材を支持する支持部材とを有し、
前記支持部材は、前記ケース部材の側壁部に立設されて前記押圧機構による前記押圧力の反力を受ける、
駆動力伝達装置。 - 前記支持部材は、前記ロータの内側における複数箇所に前記第1の駆動軸の周方向に沿って等間隔に配置された複数の円柱状のピンからなり、
前記偏心回転部材は、前記ピンを挿通させる複数の挿通孔を有すると共に、前記押圧機構の前記入力部材に偏心して噛み合うギヤ部を内周端に有する、
請求項1に記載の駆動力伝達装置。 - 前記減速機構は、前記複数のピンの基端部が前記ケース部材に形成された保持穴に圧入されて保持され、かつ前記複数のピンの先端部に固定された環状部材によって前記偏心回転部材の軸方向移動が規制され、
前記支持部材は、前記環状部材を介して前記押圧力の反力を受ける、
請求項2に記載の駆動力伝達装置。 - 前記押圧機構は、前記第1の駆動軸の周方向に対して傾斜したカム面を転動部材が転動することで、前記入力部材から受けた回転力によって前記出力部材が軸方向に移動するカム機構である、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の駆動力伝達装置。
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