以下、図面により実施の形態について説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。
[1.全体構成]
図2に示すように、本実施形態の運転支援装置は、アクセルペダル2aに反力Fを与えることができるアクチュエータ2bが設けられた、いわゆるアクティブペダルを備えている。アクチュエータ2bがアクセルペダル2aに与える反力Fの大きさは、ECU(電子制御装置)10によって制御される。本運転支援装置は、車両1の車速が目標値である目標車速VTに滑らかに到達するように、アクセルペダル2aに適切な反力Fを付加する。
まず、図2を用いてECU10の入力側及び出力側にそれぞれ接続される装置を順に説明する。ECU10の入力側には、車速センサ3,カメラ4,レーダ5,車速設定スイッチ6及びアクセルポジションセンサ(APS)7が接続される。一方、ECU10の出力側には、アクチュエータ2bが接続される。
車速センサ(車速検出手段)3は、車両1の車速を検出するものであり、例えば駆動輪の回転速度に応じた車速信号(車速情報)を出力する。以下、車速センサ3で検出された車速を実車速Vという。車速センサ3で検出された車速情報は、随時ECU10に伝達される。
カメラ4は、例えば車両1の前部中央に設置されたCCDカメラやCMOSカメラ等であって、車両1の前方の画像を撮像するものである。カメラ4によって撮像される画像は、例えば車両1の前方の道路標識や路面上の道路標示等であり、少なくとも速度規制の標識,標示を含む。カメラ4によって撮像された画像(静止画像)は、随時ECU10に画像データとして送信され、ECU10において各画像データに対して画像処理される。
レーダ5は、例えば車両1の前端部中央に設置されたレーザレーダやミリ波レーダ等であって、車両1の前方にレーザ波等を送出し、その反射波を受信することで、車両1の前方を走行する先行車の情報を検出するものである。ここで検出される先行車の情報は、例えば先行車の有無情報や、先行車までの距離(車間距離),角度(相対位置)や速度(相対速度)等の情報である。レーダ5により検出された各情報は、随時ECU10に伝達される。
車速設定スイッチ6は、例えば図示しないハンドルのスポークなど、ドライバがハンドルを握ったときに用意に操作できる位置に設けられた操作スイッチであり、目標値としての目標車速VTを設定するものである。この車速設定スイッチ6は、従来周知のクルーズコントロール装置やACC装置の一部として設けられた車速設定スイッチを併用してもよいし、これら装置とは別体で設けられたものでもよい。これらカメラ4,レーダ5及び車速設定スイッチ6は、目標車速VTを設定するために用いられるものである。
アクセルポジションセンサ7は、アクセルペダル2aの開度(アクセル開度)を検出するものであり、例えばアクセルペダル2aの操作量に応じた開度信号(開度情報)を出力する。アクセルポジションセンサ7で検出されたアクセル開度情報は、随時ECU10に伝達される。以下、アクセルポジションセンサ7で検出されたアクセル開度を実アクセル開度Aという。
アクチュエータ2bは、アクセルペダル2aに対して、ドライバによる踏み込み操作を押し戻す方向(すなわち、ドライバによるアクセルペダル2aの踏み込み方向とは逆方向)に反力Fを与えるものである。アクチュエータ2bは、後述する制御部17によりその反力Fの大きさや反力Fの与え方が制御される。
ECU10は、各種演算処理を実行するCPU、その制御に必要なプログラムやデータの記憶されたROM、CPUでの演算結果等が一時的に記憶されるRAM、外部との間で信号を入出力するための入出力ポート、時間をカウントするタイマー等を備えたコンピュータである。
[2.制御構成]
本実施形態に係るECU10は、目標車速VTが設定された場合に、アクセルペダル2aに適切な反力Fを与えることで、ドライバが意識的にアクセルペダル2aの操作をしなくても、実車速Vを目標車速VTに滑らかに到達させる支援制御を実施する。このような支援制御を実施するために、図1に示すように、ECU10には目標車速設定部11,最終目標アクセル開度取得部12,目標アクセル開度設定部13,モード設定部14,判定部15,初期反力値取得部16及び制御部17が設けられる。
これらの各要素は電子回路(ハードウェア)によって実現してもよく、ソフトウェアとしてプログラミングされたものとしてもよいし、あるいはこれらの機能のうちの一部をハードウェアとして設け、他部をソフトウェアとしたものであってもよい。なお、ここでは一つのECU10に全ての要素が設けられている場合を例示しているが、これらの要素が複数の制御装置に分けて設けられ、各制御装置が情報伝達可能に構成されていてもよい。
目標車速設定部(目標車速設定手段)11は、カメラ4,レーダ5及び車速設定スイッチ6の少なくとも何れか一つの情報を用いて、車両1の目標車速VTを設定するものである。目標車速VTの設定手法は手動設定と自動設定とに大別される。ここでは、手動設定は車速設定スイッチ6を用いて行われ、自動設定はカメラ4及びレーダ5の少なくとも一つを用いて行われる。
目標車速設定部11は、ドライバによる車速設定スイッチ6の操作を検出した場合は、この操作に基づいて目標車速VTを設定する。例えば、高速道路のような定速走行できる場所を走行しているときに、ドライバによって手動で目標車速VTが設定される。
また、目標車速設定部11は、車両1にISA(Intelligent Speed Adaptation)が備えられている場合、カメラ4により撮像された速度規制の標識の画像から、標識の速度(制限速度)を目標車速VTとして自動的に設定する。ISAには、車両が制限速度を認識した場合にその情報を車内に表示し、ドライバが速度違反すると警告を発するものや、走行速度の上限値を制限速度に抑制するものがある。なお、ISAの具体的な構成は省略する。
また、目標車速設定部11は、車両1にACC(Adaptive Cruise Control)が備えられている場合、レーダ5により検出された先行車との車間距離を一定に保つように、先行車の車速を目標車速VTとして自動的に設定する。ACCは、先行車との車間距離を安全に保ちながら自動的に追従走行する車間距離制御付きクルーズコントロールシステムである。なお、ACCの具体的な構成もここでは省略する。目標車速設定部11で設定された目標車速VTは、最終目標アクセル開度取得部12,目標アクセル開度設定部13及び判定部15に伝達される。
最終目標アクセル開度取得部(最終目標アクセル開度取得手段)12は、例えば図3のマップを用いて、目標車速設定部11で設定された目標車速VTに対応するアクセル開度を最終目標アクセル開度AFTとして取得するものである。最終目標アクセル開度AFTとは、設定された目標車速VTで走行可能なアクセル開度、すなわち平坦な道路でアクセルペダル2aを踏み続けながら走行したと仮定した場合に、実車速Vが目標車速VTに収束するようなアクセルペダル2aの踏み込み量を意味する。
最終目標アクセル開度AFTは、目標車速VTに応じた値が予め実験等により求められており、図3に示すようなマップとしてECU10に記憶されている。最終目標アクセル開度取得部12は、目標車速設定部11から伝達された目標車速VTをこのマップに適用して最終目標アクセル開度AFTを取得する。最終目標アクセル開度取得部12で取得された最終目標アクセル開度AFTは、目標アクセル開度設定部13に伝達される。
目標アクセル開度設定部(目標アクセル開度設定手段)13は、反力Fの大きさを制御する際の基準となる目標アクセル開度ATを設定するものである。つまり、ここで設定される目標アクセル開度ATは、アクセルペダル2aに与えられる反力Fの大きさを左右する。目標アクセル開度設定部13は、目標車速設定部11で目標車速VTが設定された後、最終目標アクセル開度取得部12で取得された最終目標アクセル開度AFTを目標アクセル開度ATとして設定する(すなわち、AT=AFTとする)。ただし、目標アクセル開度設定部13は、目標車速設定部11で設定された目標車速VTと目標車速VTが設定された時点での実車速V(以下、この実車速Vを初期車速V0という)とに応じて、AT=AFTとするまでの時間を変化させる。
具体的に説明すると、目標アクセル開度設定部13は、目標車速設定部11で設定された目標車速VTと初期車速V0とが所定の閾値VTHよりも離れている場合は、目標アクセル開度ATをその時点での実アクセル開度Aから徐々に最終目標アクセル開度AFTに近づける。その時点での実アクセル開度Aとは、目標車速VTが設定された時点での実アクセル開度Aのことであり、以下これを初期アクセル開度A0という。初期アクセル開度A0は、アクセルポジションセンサ7で検出された実アクセル開度Aであってもよいし、初期車速V0で走行可能なアクセルペダル2aの操作量(アクセル開度)を、図3のマップを用いて求めてもよい。
つまり、目標アクセル開度設定部13は、目標車速VTと初期車速V0との差の絶対値が所定の閾値VTHよりも大きい場合、すなわち以下の式(1)の関係を満たす場合は、目標アクセル開度ATを徐々に最終目標アクセル開度AFTに近づける。ここで、閾値VTHは、短時間で車速の変化があってもドライバが強い加速感を感じない程度の速度であり、例えば10km/hに設定されている。なお、閾値VTHは予め設定された一定値であってもよく、目標車速VTや初期車速V0に応じて設定されてもよい。
|VT−V0|>VTH ・・・(1)
一方、目標アクセル開度設定部13は、目標車速VTと初期車速V0との差の絶対値が閾値VTH以下である場合、すなわち上記の式(1)の関係を満たさない場合は、目標車速VTが設定された後すぐに最終目標アクセル開度AFTを目標アクセル開度ATとして設定する。つまりこの場合は、目標車速設定部11により目標車速VTが設定される時点と目標アクセル開度設定部13により目標アクセル開度ATが設定される時点とが略同時となる。
目標アクセル開度設定部13は、上記の式(1)の関係を満たす場合は、さらに目標車速VTと初期車速V0との大きさを比較して、加速が必要となる加速シーン(加速時)なのか、或いは減速が必要となる減速シーン(減速時)なのかを判定する。目標アクセル開度設定部13は、以下の式(2)の関係を満たす場合は加速シーンであると判定し、式(2)の関係を満たさない場合は減速シーンであると判定する。
VT>V0 ・・・(2)
また、目標アクセル開度設定部13は、上記の式(1)及び(2)の関係を満たすか否かの判定を、一度に行ってもよい。例えば図4に示すように、目標車速VTから初期車速V0を減算した値(VT−V0)を閾値VTH及び閾値VTHに−1を乗じた値(−VTH)と比較する。そして、目標車速VTから初期車速V0を減算した値(VT−V0)が、閾値VTHよりも大きい場合は目標アクセル開度ATを変化させる加速シーンであると判定し、−VTHよりも小さい場合は目標アクセル開度ATを変化させる減速シーンであると判定する。なお、目標車速VTから初期車速V0を減算した値(VT−V0)が−VTH以上かつVTH以下の場合は、目標車速VTが設定された後すぐに最終目標アクセル開度AFTを目標アクセル開度ATとして設定する。
目標アクセル開度設定部13は、加速シーンであると判定した場合は、図5(a)に示すように、目標アクセル開度ATを初期アクセル開度A0から徐々に大きくして最終目標アクセル開度AFTに近づけるように変化させる(すなわち、AT=A0→AFTとする)。このとき、目標アクセル開度設定部13は、目標アクセル開度ATを直線的に増大させてもよいし、曲線状に滑らかに増大させてもよい。目標アクセル開度ATを曲線的に変化させる場合は、例えば最終目標アクセル開度AFTに時間遅れを与えるフィルタをかけてもよい。
一方、目標アクセル開度設定部13は、減速シーンであると判定した場合は、図5(b)に示すように、目標アクセル開度ATを初期アクセル開度A0から徐々に小さくし、最終目標アクセル開度AFTよりも小さいアクセル開度(以下、これを過渡目標アクセル開度ALという)まで変化させる。そして、今度は目標アクセル開度ATを、この過渡目標アクセル開度ALから徐々に大きくして最終目標アクセル開度AFTに近づけるように変化させる(すなわち、AT=A0→AL→AFTとする)。このとき、目標アクセル開度設定部13は、加速シーンと同様、目標アクセル開度ATを直線的に減少させてもよいし、曲線状に滑らかに減少させてもよい。
つまり、減速シーンでは、目標アクセル開度ATが一度最終目標アクセル開度AFTよりも小さい過渡目標アクセル開度ALまで小さくされた後、最終目標アクセル開度AFTに近づくように増大(復帰)される。なお、過渡目標アクセル開度ALは、初期アクセル開度A0及び最終目標アクセル開度AFTに応じて目標アクセル開度設定部13により設定される。
換言すれば、目標アクセル開度設定部13は、上記の式(1)の関係を満たす場合は、目標車速VTが設定されてから所定時間tFTが経過した時点で目標アクセル開度ATを最終目標アクセル開度AFTとする。なお、この所定時間tFTは、予め設定された一定値であってもよいし、目標車速VTと初期車速V0との差に応じて設定される値であってもよい。目標アクセル開度設定部13で設定された目標アクセル開度ATは、モード設定部14に伝達される。
モード設定部(モード設定手段)14は、目標アクセル開度設定部13で設定された目標アクセル開度ATに対するアクセルポジションセンサ7で検出された実アクセル開度Aの大小関係に基づいて、アクセルペダル2aに与える反力Fの制御モードを設定するものである。ここで設定されるモードは、反力Fを増加させる増加モードと、反力Fを維持する維持モードと、反力Fを減少させる減少モードの三つのモードのうちの何れか一つである。
図6は、目標アクセル開度設定部13により目標アクセル開度ATが設定された場合に、この目標アクセル開度ATを基準として決められる三つの領域を示す模式図である。実アクセル開度Aは、図中に破線で示すように、操作されていないアクセルペダル2aの踏面2cの位置を0(基準)とし、この状態からアクセルペダル2aの踏み込み量が増大するに連れて増大する。なお、図6中のD,K,Iは、それぞれ減少モードとなる領域,維持モードとなる領域,増加モードとなる領域に対応する。
モード設定部14は、目標アクセル開度設定部13で設定された目標アクセル開度ATの前後(例えば数%まで)の範囲を維持モードの領域Kとする。モード設定部14は、実アクセル開度Aが維持モードの領域K内にある場合、反力Fの制御モードを「維持モード」に設定する。つまり、維持モードは、目標アクセル開度ATよりも所定開度だけ小さい位置A1から目標アクセル開度ATよりも所定開度だけ大きい位置A2までの範囲(例えば、AT±1%の範囲)内に実アクセル開度Aが含まれる場合に設定される。
モード設定部14は、維持モードの領域Kよりもアクセルペダル2aの踏み込み側の範囲を増加モードの領域Iとする。モード設定部14は、実アクセル開度Aが増加モードの領域I内にある場合、反力Fの制御モードを「増加モード」に設定する。つまり、増加モードは、目標アクセル開度ATよりも所定開度だけ大きい位置A2から実アクセル開度Aの最大値A3までの範囲内に実アクセル開度Aが含まれる場合に設定される。
また、モード設定部14は、維持モードの領域Kよりも実アクセル開度Aが小さい方の範囲を減少モードの領域Dとする。モード設定部14は、実アクセル開度Aが減少モードの領域D内にある場合、反力Fの制御モードを「減少モード」に設定する。つまり、減少モードは、実アクセル開度Aの基準位置から目標アクセル開度ATよりも所定開度だけ小さい位置A1までの範囲内に実アクセル開度Aが含まれる場合に設定される。
なお、モード設定部14により設定されるモードは、目標アクセル開度ATが目標アクセル開度設定部13により増減されることで図6中のD,K,Iの領域が変化するため、実アクセル開度Aが変化していなくても変化することがある。例えば、図6に示す目標アクセル開度ATの位置が踏み込み側に変化した場合、図6中のA1及びA2の位置も踏み込み側に変化するため、維持モードの領域Kの位置が増加モードの領域I側へずれる。これにより、増加モードの領域Iは小さくなり、減少モードの領域Dは大きくなるため、実アクセル開度Aが同じ位置であってもモードは変化し得る。モード設定部14で設定されたモードは、制御部17に伝達される。
判定部15は、以下の条件A及びBが共に成立するか否かを判定するものである。判定部15は、共に成立すると判定した場合、制御部17に対して、モード設定部14で設定されたモードが増加モードであっても反力Fを維持するように指令を送る。
条件A:目標アクセル開度ATが徐々に増加される加速シーンである。
条件B:目標車速VTと実車速Vとの差が所定速度VDよりも大きい。
判定部15は、目標車速設定部11で設定された目標車速VTと車速センサ3で検出された実車速Vとを用いて、これら二つの条件が成立するか否かを判定する。条件Aが成立するのは、目標車速VTから実車速Vを引いた値が閾値VTH以上の場合である。また、条件Bが成立するのは、以下の式(3)の関係を満たす場合である。なお、所定速度VDは、実車速Vが目標車速VTに近付いたか否かを判定するための閾値であり、例えば5km/hに設定されている。
VT−V>VD ・・・(3)
つまり、判定部15は、上記の条件A及びBを共に満たす場合は、モード設定部14により設定されたモードが増加モードであっても、反力Fを増加させずにその時の反力Fを維持するように制御部17に指令を送る。これは、設定されるモードが増加モードと維持モードとの間でハンチングすることを防止するためである。すなわち、ドライバによる踏み込み操作量が目標アクセル開度ATに対して大きい場合は、本来であれば反力Fを増大させてドライバの足を押し戻す。しかしながら、目標アクセル開度設定部13により目標アクセル開度ATが増加されているときであって実車速Vと目標車速VTとの差が大きい場合は、速やかな加速が要求されているため、過度な減速を抑制すべく反力Fを維持する。
初期反力値取得部16は、図7のマップを用いて、アクチュエータ2bで発生させる反力Fの初期値(以下、初期反力値とF0いう)を取得するものである。ここで、初期反力値F0とは、ドライバに反力Fが発生したことを気付かせるための最初の反力値であり、実アクセル開度Aに応じた値が予め実験等により求められており、図7に示すようなマップとしてECU10に記憶されている。初期反力値取得部16は、目標車速VTの設定時の実アクセル開度A(すなわち初期アクセル開度A0)をこのマップに適用して初期反力値F0を取得する。初期反力値取得部16で取得された初期反力値F0は、制御部17に伝達される。
制御部(制御手段)17は、モード設定部14により設定されたモードに応じてアクチュエータ2bを制御し、適切な反力Fをアクセルペダル2aに与えるものである。制御部17は、設定されたモードが減少モードである場合は、反力Fを減らすようにアクチュエータ2bを制御する。つまり、減少モードのときは実アクセル開度Aが目標アクセル開度ATに対して小さい(アクセルペダル2aの操作量が足りない)状態であるため、反力Fを減少させることでアクセルペダル2aを踏み込みやすくし、維持モードへと変化させる。
また、制御部17は、設定されたモードが維持モードである場合は、反力Fを維持するようにアクチュエータ2bを制御する。つまり、維持モードのときはアクセルペダル2aの操作量が適切であるため、反力Fを維持することでそのときの操作量を保持する。
また、制御部17は、設定されたモードが増加モードである場合は、反力Fを増やすようにアクチュエータ2bを制御する。つまり、増加モードのときは実アクセル開度Aが目標アクセル開度ATに対して大きい状態(踏み込みすぎ)であるため、反力Fを増大させることでドライバの足を押し戻し、維持モードへと変化させる。
以上の内容について、図8(a)及び(b)を用いてさらに具体的に説明する。図8(a)は、減少モード又は維持モードにおける反力Fの変化を例示したグラフであり、図8(b)は、各モードにおける反力Fの変化を例示したグラフである。なお、図8(a)及び(b)中のD,K,Iは設定されているモードを示し、それぞれ減少モード,維持モード,増加モードに対応する。
図8(a)において、モード設定部14によりモードが設定された時刻をt0とする。時刻t0において設定されたモードが減少モードの場合は、制御部17は反力Fを0とする。これにより、ドライバはアクセルペダル2aを踏み込みやすくなる。時刻t1において、設定されたモードが減少モードから維持モードに変化すると、制御部17は反力Fを素早く階段状に増加させ、初期反力値取得部16から伝達された初期反力値F0に達したところでその値を維持する(すなわち、F=F0とする)。
このように、維持モードに変化した段階で、反力Fを素早く初期反力値F0まで階段状に増加させることで、ドライバに反力Fが発生したことを気付かせることができ、過剰なアクセル操作となることを抑制することができる。また、反力Fを維持することにより、ドライバが積極的にアクセルペダル2aを操作しなくても、制御部17の制御に従うことで、実アクセル開度Aを目標アクセル開度AT付近に留めることができる。
図8(a)に示すように、時刻t2において、設定されたモードが維持モードから減少モードに変化すると、制御部17は反力Fを初期反力値F0からリニアに減少させる。これは、反力Fを減らす場合は、あえてドライバに気付かせる必要もなく、リニアに減少させることで徐々にアクセルペダル2aを踏み込みやすくすることができるためである。減少モードにおいて反力Fが0に到達したら、反力0の状態を維持する。
そして、時刻t3において再び減少モードから維持モードに変化すると、制御部17は時刻t1からの維持モードと同様、反力Fを素早く初期反力値F0まで階段状に増加させ、初期反力値F0に達したところでその値を維持する。その後、時刻t4において、再び維持モードから減少モードに変化すると、制御部17は時刻t2からの減少モードと同様、反力Fを初期反力値F0からリニアに減少させる。
ここで、反力Fが0に到達する前の時刻t5において、設定されたモードが減少モードから維持モードに変化した場合は、時刻t5における反力Fから素早く初期反力値F0まで階段状に増加させ、初期反力値F0を維持する。このように、制御部17は、モード設定部14により設定されたモードが減少モード又は維持モードの場合は、反力Fを0以上かつ初期反力値F0以下(0≦F≦F0)となるように、アクチュエータ2bを制御する。
また、図8(b)において、モード設定部14によりモードが設定された時刻をt6とする。時刻t6において設定されたモードが維持モードの場合は、制御部17は反力Fを素早く階段状に増加させ、初期反力値取得部16から伝達された初期反力値F0に達したところでその値を維持する(すなわち、F=F0とする)。そして、時刻t7においてが維持モードから増加モードに変化すると、制御部17は反力Fを初期反力値F0から階段状に増加させる。なお、このときの反力Fの増加速度は、維持モードでの反力Fの増加速度よりも遅い。これは、少しずつ反力Fを増加させることで、ドライバの足を徐々に押し戻し、維持モードへと変化させるためである。
制御部17は、増加モードでは反力Fを増大させ続け、最大反力値FMAXに到達した後は最大反力値FMAXを維持する。その後、時刻t8において、設定されたモードが増加モードから維持モードに変化すると、制御部17は時刻t8における反力Fを維持する。なお、反力Fが最大反力値FMAXに到達する前に増加モードから維持モードに変化した場合は、制御部17はモードが変化した時点での反力Fを維持する。この場合の反力Fは、初期反力値F0よりも大きく、最大反力値FMAXよりも小さい(F0<F<FMAX)。
時刻t9においてが維持モードから減少モードに変化すると、制御部17は、モードが変化した時点における反力Fから所定反力値FDだけ減少させた後、リニアに減少させる。このように、モード変化時に反力Fを一気に減らすことで、アクセルペダル2aを踏み込んでいいタイミングをわかりやすくすることができる。特に、反力Fが最大反力値FMAX程度まで大きくなっている場合は、維持モードから減少モードに変化したときに一気に反力Fを減らすことで、反力Fを早めに初期反力値F0程度まで減少させることができ、アクセルペダル2aの踏み込みやすさを素早く確保することができる。
なお、制御部17は、減少モードに変化した時点での反力Fが初期反力値F0よりも大きい場合は、モード変化時に反力Fを一気に減少させる。このときに減少させる所定反力値FDは、予め設定された一定値であってもよいし、減少モードに変化する前の反力Fの大きさに応じて設定される値であってもよい。
制御部17は、減少モードで反力Fを減らしているときに、反力Fが初期反力値F0に到達する前の時刻t10において減少モードから維持モードに変化した場合は、時刻t10における反力Fを維持する。なお、制御部17は、反力Fが初期反力値F0よりも小さくなったところで維持モードに変化した場合は、図8(a)の時刻t5と同様、反力Fを初期反力値F0まで素早く階段状に増加させ、初期反力値F0を維持する。
このように、制御部17は、モード設定部14により設定されるモードが減少モード,維持モード及び増加モードにおいて変化する場合は、反力Fを0以上かつ最大反力値FMAX以下(0≦F≦FMAX)となるように、アクチュエータ2bを制御する。
ただし、制御部17は、判定部15から指令が送られてきた場合は、判定部15からの指令を優先させ、モード設定部14により設定されているモードが増加モードであっても、反力Fを維持するようにアクチュエータ2bを制御する。
[3.フローチャート]
次に、図9〜図11のフローチャートを用いて、ECU10で実行される制御の手順の例を説明する。図9は、目標アクセル開度設定部13による目標アクセル開度ATの設定手順を示したフローチャートである。また、図10はECU10による反力Fの制御手順を例示するフローチャートであり、図11(a)〜(c)は図10のサブフローチャートである。これらのフローチャートは、車両1のイグニッションスイッチやパワースイッチがオンの状態にされると、所定の制御周期で実行される。
まず、目標車速設定部11で実行されるフローチャートについて説明する。図9に示すように、ステップS10において、目標車速設定部11により目標車速VTが設定されているか否かが判定される。目標車速VTが設定されていない場合や目標車速VTの設定が解除された場合は、このフローをリターンする。つまり、以下の処理は、目標車速VTが設定されている場合にのみ実行される。
目標車速VTが設定中の場合は、ステップS20において、目標車速VTが新規であるか否かが判定される。目標車速VTが新規なもの、すなわち初めて目標車速VTが設定された場合や目標車速VTの設定が更新された場合はステップS30へ進み、目標車速VTが前回周期と同一であればステップS150へ進む。
ステップS30では、最終目標アクセル開度取得部12により目標車速VTに応じた最終目標アクセル開度AFTが取得される。続くステップS40では、車速センサ3により実車速Vが検出されるとともに、この実車速Vが初期車速V0に設定される。ステップS50では、アクセルポジションセンサ7により実アクセル開度Aが検出されるとともに、この実アクセル開度Aが初期アクセル開度A0に設定される。そして、ステップS60においてフラグZが0に設定される。ここで、フラグZは、減速シーンにおいて目標アクセル開度ATが減少中であるか否かを判定するためのものであり、フラグZ=1は減少中に対応し、フラグZ=0はそれ以外の状態に対応する。
ステップS70において、目標車速VTと初期車速V0との差の絶対値が閾値VTHよりも大きいか否か、すなわち上記の式(1)の関係を満たすか否かが判定される。式(1)の関係を満たす場合は、ステップS80において目標アクセル開度ATが初期アクセル開度A0に設定される。そして、ステップS90において、目標車速VTと初期車速V0とが比較され、加速シーンであるか、減速シーンであるかが判定される。
ステップS90において、目標車速VTが初期車速V0よりも高いときはステップS100に進み、目標アクセル開度ATに所定値Bが加算されたものが新たな目標アクセル開度ATに設定される。例えば、最初にステップS100に進んだときは、ステップS80で設定された目標アクセル開度AT(すなわち、初期アクセル開度A0)に、所定値Bを加算した値が新たな目標アクセル開度ATとされる。ステップS100で目標アクセル開度ATが設定されたら、このフローをリターンする。
次の制御周期において、目標車速VTが前回周期のまま設定されていれば、ステップS20からステップS150へ進む。ここで、フラグZは前回周期のステップS60においてZ=0に設定されているため、ステップS160へ進み、目標アクセル開度ATが最終目標アクセル開度AFTよりも小さいか否かが判定される。目標アクセル開度ATが未だ最終目標アクセル開度AFTに到達していない場合は、ステップS170へ進み、加速シーンか減速シーンかが判定され、加速シーンのときはステップS100へ進む。そして、目標アクセル開度ATに再び所定値Bが加算されたものが新たな目標アクセル開度ATに設定され、フローをリターンする。
このように、ステップS100において目標アクセル開度ATが増大され続けた結果、目標アクセル開度ATが最終目標アクセル開度AFT以上になると、ステップS160からステップS180に進む。そして、ステップS180において目標アクセル開度ATが最終目標アクセル開度AFTに設定されて、このフローをリターンする。つまり、ステップS70において上記の式(1)の関係を満たすと判定されて、ステップS90で加速シーンであると判定された場合、目標アクセル開度ATは初期アクセル開度A0から徐々に増大され、最終的には最終目標アクセル開度AFTに設定される。
なお、目標アクセル開度ATに加算する所定値Bは、図5(a)のグラフの傾きに相当し、直線の場合は単位時間(単位制御周期)当たりの変化量(定数)に設定されており、曲線の場合は時間の関数(一次関数や二次関数等)に設定されている。これにより、目標アクセル開度ATを直線的又は曲線的に滑らかに増加させることができる。
一方、ステップS90において、目標車速VTが初期車速V0よりも低いときはステップS110に進み、目標アクセル開度ATから所定値Cが減算されたものが新たな目標アクセル開度ATに設定される。例えば、最初にステップS110に進んだときは、ステップS80で設定された目標アクセル開度AT(すなわち、初期アクセル開度A0)から、所定値Cを引いた値が新たな目標アクセル開度ATとされる。ステップS110で目標アクセル開度ATが設定されたら、ステップS120において、目標アクセル開度ATが過渡目標アクセル開度AL以下であるか否かが判定される。目標アクセル開度ATが過渡目標アクセル開度ALよりも大きい場合は、ステップS125においてフラグZがZ=1に設定されて、このフローをリターンする。
次の制御周期において、目標車速VTが前回周期のまま設定されていれば、ステップS20からステップS150へ進む。ここで、フラグZはZ=1に設定されているため、ステップS110へ進み、目標アクセル開度ATから再び所定値Cが減算されたものが新たな目標アクセル開度ATに設定され、ステップS120の判定が実施される。このように、ステップS110において目標アクセル開度ATが減少され続けた結果、目標アクセル開度ATが過渡目標アクセル開度AL以下になると、ステップS120の判定でYESルートからステップS130に進む。
ステップS130では、フラグZがZ=0に設定される。続くステップS140において、目標アクセル開度ATに所定値Eが加算されたものが新たな目標アクセル開度ATに設定され、このフローをリターンする。次の制御周期において、目標車速VTが前回周期のまま設定されていれば、ステップS20からステップS150へ進み、フラグZはZ=0に設定されているため、ステップS160の判定に進む。ステップS160では、目標アクセル開度ATが最終目標アクセル開度AFTよりも小さいか否かが判定されるため、目標アクセル開度ATが未だ最終目標アクセル開度AFTに到達していなければ、ステップS170の判定に進む。
ステップS170では、加速シーンか減速シーンかが判定され、減速シーンのときはステップS140へ進む。そして、目標アクセル開度ATに再び所定値Eが加算されたものが新たな目標アクセル開度ATに設定され、フローをリターンする。このように、ステップS140において目標アクセル開度ATが増大され続けた結果、目標アクセル開度ATが最終目標アクセル開度AFT以上になると、ステップS160からステップS180に進む。そして、ステップS180において目標アクセル開度ATが最終目標アクセル開度AFTに設定されて、このフローをリターンする。
つまり、ステップS70において上記の式(1)の関係を満たすと判定されて、ステップS90で減速シーンであると判定された場合、目標アクセル開度ATは初期アクセル開度A0から徐々に減少され、過渡目標アクセル開度ALに達したら、今度は徐々に増大されて、最終的には最終目標アクセル開度AFTに設定される。なお、所定値Cは図5(b)のグラフのVT設定時からtLの勾配に対応し、所定値Eは同グラフのtLからtFTの勾配に対応する。これらは、直線の場合は単位時間(単位制御周期)当たりの変化量(定数)に設定されており、曲線の場合は時間の関数(一次関数や二次関数等)に設定されている。
ところで、ステップS70において、目標車速VTと初期車速V0との差の絶対値が閾値VTH以下であると判定された場合は、ステップS190において、目標アクセル開度ATが最終目標アクセル開度AFTに設定され、フローをリターンする。つまりこの場合は、目標アクセル開度ATは、すぐに最終目標アクセル開度AFTに設定される。
次の制御周期において、目標車速VTが前回周期のまま設定されていれば、ステップS20からステップS150,ステップS160へと進む。この場合は、目標アクセル開度ATがすでに最終目標アクセル開度AFTに設定されているため、ステップS180で同様の設定がなされ、このフローをリターンする。
次に、反力Fの制御に関するフローチャートについて説明する。図10に示すように、ステップY10において、目標車速設定部11により目標車速VTが設定されているか否かが判定される。目標車速VTが設定されていない場合や目標車速VTの設定が解除された場合は、ステップY160へ進み、アクチュエータ2bの制御を特に行わず、ステップY170において反力Fを0に設定し、このフローをリターンする。つまり、以下の処理は、目標車速VTが設定されている場合にのみ実行される。
目標車速VTが設定中の場合は、ステップY20において、目標車速VTが新規であるか否かが判定され、目標車速VTが新規なもの、すなわち初めて目標車速VTが設定された場合や目標車速VTの設定が更新された場合はステップY25へ進み、目標車速VTが前回周期と同一であればステップY50へ進む。
ステップY25では、車速センサ3により実車速Vが検出されるとともに、この実車速Vが初期車速V0に設定される。ステップY30では、アクセルポジションセンサ7により実アクセル開度Aが検出されるとともに、この実アクセル開度Aが初期アクセル開度A0に設定される。ステップY40では、初期反力値取得部16によりステップY30で設定された初期アクセル開度A0から初期反力値F0が取得される。これらステップY25〜Y40は、目標車速VTが新規な時に一度だけ実施される。
ステップY50では、目標アクセル開度設定部13により設定された目標アクセル開度ATが取得される。この目標アクセル開度ATは、目標アクセル開度設定部13が図9のフローチャートを実行することで設定されるものであるため、その値は変化し得る。ステップY60では、アクセルポジションセンサ7により実アクセル開度Aが検出されるとともに、車速センサ3により実車速Vが検出される。続くステップY70では、ステップY50で取得された目標アクセル開度ATとステップY60で検出された実アクセル開度Aとに基づいて、モード設定部14によりモードが設定される。そして、ステップY80〜Y140において、設定されたモードに応じて反力Fが制御される。
まず、ステップY80において、ステップY70で設定されたモードが減少モードであるか否かが判定され、減少モードである場合はステップY90に進み、図11(a)のサブフローチャートが実行される。一方、減少モードでない場合はステップY100へ進み、ステップY70で設定されたモードが維持モードであるか否かが判定される。維持モードである場合は、ステップY110へ進み、図11(b)のサブフローチャートが実行される。
また、維持モードでもない場合は、ステップY70で設定されたモードは増加モードであることになる。この場合、ステップY120において、判定部15において目標車速VTとステップY25で設定された初期車速V0との差の絶対値が閾値VTHよりも大きいか否か、すなわち上記の式(1)の関係を満たすか否かが判定される。式(1)の関係を満たす場合は、さらにステップY130において、目標車速VTからステップY70で検出された実車速Vを減算した値が所定速度VDよりも大きいか否かが判定される。これらステップY120及びY130の判定は、上記の条件A及びBを満たすか否かの判定に対応し、判定部15において実施される。
目標車速VTから実車速Vを減算した値が所定速度VDよりも大きい場合は、ステップY110へ進み、図11(b)に示す維持モードのサブフローチャートが実行される。つまり、ステップY120及びY130の判定で何れもYESルートに進んだときは、判定部15から制御部17へ指令が送られ、ステップY70で設定されたモードが増加モードであっても維持モードの制御を実行する。一方、ステップY120及びY130の判定の何れか一つでもNOルートに進んだときは、増加モードへ進み、図11(c)のサブフローチャートが実行される。
図11(a)〜(c)のサブフローチャートでは、アクセルペダル2aに与える反力Fがそれぞれ設定される。つまり、ステップY90,Y110又はY140において、図11(a)〜(c)の何れかのサブフローチャートが実行されると、アクチュエータ2bで発生させるべき反力Fが決定する。そして、ステップY150において、それぞれのモードで設定された変動パターンで反力Fを発生させるようにアクチュエータ2bが制御され、このフローをリターンする。
図11(a)に示すように、減少モードでは、まずステップY91において反力Fが0よりも大きいか否かが判定される。目標車速VTが新規な場合に最初に減少モードに進んだときは、未だ反力Fが与えられていない(アクチュエータ2bが制御されていない)ため、反力Fは0である。また、目標車速VTが新規でない場合でも減少モードにおいて反力Fが減少されて反力Fが0のときもある。このような場合は、このフローを終了する。つまり、減少モードでは、反力Fが0の場合はそのままの値(すなわち、反力F=0)が維持される。
一方、実アクセル開度Aが減少モードになる以前に、維持モードや増加モードに進み、反力Fが与えられている場合(F>0の場合)は、ステップY92において反力Fが初期反力値F0よりも大きいか否かが判定される。反力Fが初期反力値F0以下の場合は、ステップY95へ進み、反力Fから所定値Gが減算されたものが新たな反力Fに設定され、このフローを終了する。つまり、減少モードでは、反力Fが初期反力値F0以下の場合は、反力Fは初期反力値F0から徐々に小さい値にされる。
また、反力Fが初期反力値F0よりも大きい場合は、ステップY93において、前回周期も減少モードであったか否かが判定される。前回周期が減少モードでない場合、すなわち維持モードから減少モードへモードが変化した時は、ステップY94において反力Fから所定反力値FDが減算されたものが新たな反力Fに設定され、このフローを終了する。次の制御周期において、再びステップY93へ進んだときは、前回周期でも減少モードであったため、ステップY95に進み、反力Fから所定値Gが減算されたものが新たな反力Fに設定され、このフローを終了する。
つまり、減少モードでは、反力Fが初期反力値F0よりも大きい場合は、モードが変化した時点で反力Fは所定反力値FDだけ一気に減少され、その後は徐々に小さな値にされる。なお、所定値Gは、図8(a)のグラフの減少モードでの(例えば時刻t2からの)傾きに相当し、単位時間(単位制御周期)当たりの変化量(定数)に設定されている。
図11(b)に示すように、維持モードでは、ステップY111において反力Fが初期反力値F0よりも小さいか否かが判定される。反力Fが初期反力値F0よりも小さい場合は、ステップY112へ進み、反力Fに所定値Hが加算されたものが新たな反力Fに設定され、このフローを終了する。なお、所定値Hは、図8(a)のグラフの維持モードに入った直後(例えば時刻t1直後)の段差高さに相当し、予め設定された一定値である。これにより、制御周期毎に所定値Hだけ反力Fを増加させることができるため、初期反力値F0まで素早く階段状に増加させることができる。一方、反力Fが初期反力値F0以上の場合は、このフローを終了する。つまり、反力Fが初期反力値F0未満では、反力Fを階段状に増加させ、反力Fが初期反力値F0以上であれば、そのときの反力Fの値が維持される。
図11(c)に示すように、増加モードでは、ステップY141において、反力Fが初期反力値F0よりも小さいか否かが判定される。反力Fが初期反力値F0よりも小さい場合は、ステップY142において反力Fが初期反力値F0に設定されて、このフローを終了する。つまり、増加モードでは、反力Fは初期反力値F0以上に設定される。
ステップY141において、反力Fが初期反力値F0以上の場合はステップY143へ進み、カウント値Xが所定値XTH以上であるか否かが判定される。ここで、カウント値Xは、反力Fを階段状に増加させる際の増加のタイミングを決定するためのものであり、所定値XTH以上になるまではステップY145に進み、カウント値Xに1が加算されたものが新たなカウント値Xとされる。なお、所定値XTHは予め設定された定数であり、カウント値Xが所定値XTHになるまでにかかる時間が、反力Fを階段状に増加させる際の反力一定の時間と等しくなるような値に設定されている。つまり、所定値XTHは、図8(b)のグラフの時刻t7から階段状に増加する反力Fの一定状態の時間に対応する。
ステップY145において、カウント値Xは制御周期毎に1ずつ加算される。続くステップY147では、反力Fが最大反力値FMAX未満であるか否かが判定され、反力Fが最大反力値FMAX未満のときはこのフローを終了する。そして、再び増加モードのサブフローチャートが実行された場合は、ステップY141からステップY143へ進んで同様の判定が実施され、カウント値Xが所定値XTH以上になるまではステップY145へ進み、カウント値Xが加算され続ける。
カウント値Xが所定値XTH以上になった場合は、ステップY144へ進み、カウント値Xが0にリセットされ、ステップY146において反力Fに所定値Jが加算されたものが新たな反力Fに設定される。なお所定値Jは、図8(b)のグラフの時刻t7から階段状に増加する反力Fの増加量(段差高さ)に相当し、予め設定された一定値である。そして、ステップY147の判定が実施される。つまり、増加モードでは、カウント値Xが所定値XTH以上になるまでの時間(すなわち反力一定の時間)が経過した時点で、反力Fに所定値Jが加算されて、反力Fが階段状に増加される。
したがって、図8(b)に示すように、増加モードで反力Fを階段状に増加させるときの速さは、維持モードにおいて反力Fを初期反力値F0まで階段状に増加させるときの速さよりも遅くなる。なお、ここでは、維持モードでは反力Fが制御周期毎に所定値Hだけ増加する場合を例示しているが、維持モードにおいても増加モードと同様、所定の制御周期毎に所定値Hが反力Fに加算されるような構成としてもよい。
ステップY147において、反力Fが最大反力値FMAX以上になると、ステップY148において反力Fが最大反力値FMAXに設定されて、このフローを終了する。このように増加モードでは、反力Fは初期反力値F0から一定の速さで階段状に増大され、最大反力値FMAX以上になると最大反力値FMAXが維持される。
[4.作用]
次に、図12(a),(b)及び図13(a),(b)を用いて、目標車速VTと初期車速V0との差の絶対値が閾値VTHよりも大きい場合に、本運転支援装置によって実施される目標アクセル開度ATの変化に伴う車速の変化の例を説明する。図12(a)及び(b)は加速シーンにおける車速及びアクセル開度のタイムチャートを示し、図13(a)及び(b)は減速シーンにおける車速及びアクセル開度のタイムチャートを示す。
図12(a)及び(b)に示すように、時刻t11において目標車速VTが設定されると、この目標車速VTに応じた最終目標アクセル開度AFTが取得される。また、目標車速VTが設定された時刻t11での実車速Vが初期車速V0に設定される。このとき、目標車速VTと初期車速V0との差の絶対値が閾値VTHよりも大きい場合、時刻t11での実アクセル開度Aが初期アクセル開度A0に設定されるとともに、この初期アクセル開度A0が時刻t11においての目標アクセル開度ATとして設定される。
目標アクセル開度ATは、時間の経過とともに初期アクセル開度A0から徐々に最終目標アクセル開度AFTに近づけられる。ここでは、図12(b)に示すように、目標アクセル開度ATは曲線的に増大する。これに伴い、モード設定部14により設定されるモードも時間の経過とともに変化し、モードに応じて適切な反力Fがアクセルペダル2aに与えられる。これにより、実アクセル開度Aは、目標アクセル開度ATの変化にやや遅れて追従しながら滑らかに増大し、やがて最終目標アクセル開度AFTに達する。このように実アクセル開度Aが変化することで、実車速Vは、時刻t11から徐々に増大し、滑らかに目標車速VTに到達する。
また、図13(a)及び(b)に示すように、時刻t12において目標車速VTが設定されると、この目標車速VTに応じた最終目標アクセル開度AFTが取得されるとともに、過渡目標アクセル開度ALが設定される。また、目標車速VTが設定された時刻t12での実車速Vが初期車速V0に設定される。このとき、目標車速VTと初期車速V0との差の絶対値が閾値VTHよりも大きい場合、時刻t12での実アクセル開度Aが初期アクセル開度A0に設定されるとともに、この初期アクセル開度A0が時刻t12においての目標アクセル開度ATとして設定される。
目標アクセル開度ATは、時間の経過とともに初期アクセル開度A0から徐々に過渡目標アクセル開度ALに近づけられ、過渡目標アクセル開度ALに達すると最終目標アクセル開度AFTに近づけられる。ここでは、図13(b)に示すように、目標アクセル開度ATは直線的に減少され、過渡目標アクセル開度ALに達した後は直線的に増大される。
これに伴い、モード設定部14により設定されるモードも時間の経過とともに変化し、モードに応じて適切な反力Fがアクセルペダル2aに与えられる。これにより、実アクセル開度Aは、目標アクセル開度ATの変化にやや遅れて追従しながら滑らかに変化し、やがて最終目標アクセル開度AFTに達する。このように実アクセル開度Aが変化することで、実車速Vは、時刻t12から徐々に減少し、滑らかに目標車速VTに到達する。
特に、減速シーンでは、目標アクセル開度ATが最終目標アクセル開度AFTよりも小さい過渡目標アクセル開度ALまで減少されてから最終目標アクセル開度AFTになるように増大されるため、実車速Vは、時刻t12から速やかに減少し、その後滑らかに目標車速VTに到達する。
[5.効果]
したがって、本実施形態に係る運転支援装置によれば、反力Fの大きさを制御する際の基準となる目標アクセル開度ATを、目標車速VTが設定された時点での実アクセル開度Aから徐々に最終目標アクセル開度AFTに近づけるように変化させるため、アクセルペダル2aに与えられる反力Fの大きさが突然大きく変化するようなことがない。つまり、目標アクセル開度ATを変化させることで、適切な反力Fをアクセルペダル2aに与えることができ、ドライバによるアクセル操作のガイドラインとすることができる。これにより、ドライバが積極的にアクセル操作をしなくてもアクセルペダル2aに加わる反力Fに任せることで、滑らかに目標車速VTへ到達させることができる。
また、減速時(減速シーン)では、目標アクセル開度ATを一度最終目標アクセル開度AFTよりも小さい開度ALまで減少させ、その後最終目標アクセル開度AFTまで増加させることで、素早く減速させながら、滑らかに定速走行に移行することができる。言い換えると、滑らかな減速からの定速走行を実現することができる。
また、設定された目標アクセル開度ATに対する実アクセル開度Aの大小関係に基づいて、増加モード,維持モード,減少モードの何れか一つのモードが設定され、このモードに応じてアクチュエータ2bが制御される。具体的には、アクセルペダル2aに付与される反力Fの変動パターンがモード毎に、そのモードに適した形で設定される。そのため、ドライバによる積極的なアクセル操作を要せず、アクセルペダル2aの操作量を目標アクセル開度ATに近づけることができる。
また、目標アクセル開度ATが変化している場合であって目標車速VTと実車速Vとの差が大きい加速時では、モード設定部14により設定されたモードが増加モードであっても反力Fを維持する。これにより、ドライバによるアクセルペダル2aの踏み込みを許可して車速の過度な減少を防ぎ、滑らかな加速を実現させることができる。
ここで、設定されたモードが減少モードから維持モードに変化した時点での反力Fが初期反力値F0未満の場合は、反力Fが初期反力値F0まで階段状に増加される。これにより、アクセルペダル2aに足を置いているドライバに反力Fが発生したことを気付かせることができ、過剰なアクセル操作となることを抑制することができる。また、維持モードでは反力Fが維持されるため、ドライバが意識的にアクセルペダル2aを操作しなくても、制御部17による制御に従うことで、実アクセル開度Aを目標アクセル開度AT付近に留めることができ、実車速Vを目標車速VTに到達させることができる。
また、モード設定部14により設定されたモードが維持モードから減少モードに変化した時点での反力Fが初期反力値F0よりも大きい場合は、モードが変化した時点で反力Fを所定反力値FDだけ減少させるため、アクセルペダル2aを踏み込んでいいタイミングをわかりやすくすることができる。特に、反力Fが最大反力値FMAX程度まで大きくなっている場合は、モードが減少モードに変化した時点で一気に反力Fを減らすことで、反力Fを早めに初期反力値F0程度まで減少させることができ、アクセルペダル2aの踏み込みやすさを素早く確保することができる。
また、目標車速VTと初期車速V0との差の絶対値が所定の閾値VTH以上の場合に目標アクセル開度ATを変化させ、目標車速VTと初期車速V0との差の絶対値が閾値VTH未満では目標アクセル開度ATをすぐに最終目標アクセル開度AFTに設定する。これにより、実車速Vが大きく変化し得る場面では実車速Vを滑らかに目標車速VTに近づけることができるとともに、制御構成を簡素化することができる。
なお、本運転支援装置は、アクセルペダル2aに反力Fを与えるアクチュエータ2bを制御して、実車速Vを目標車速VTとするものであるため、アクチュエータ2bとこれを制御するECU10とを追加すれば、既存のアクセルペダル2aにも採用することができる。
また、本運転支援装置は、あくまでもドライバによるアクセルペダル2aの操作を支援するものであり、実アクセル開度Aや実車速Vが自動的に変更されるものではないため、ドライバは制御部17の制御に反してアクセル操作を行うこともできる。例えば、目標車速VTを設定して定速走行に移行しているときに、前方に他車両が割り込んできたような場合、ドライバは自らの意思でアクセルペダル2aの踏み込みを中止したり、ブレーキ操作を行ったりすることができるため、安全性を損なうことがない。
[6.その他]
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
上記実施形態では、目標車速VTと初期車速V0との差の絶対値が所定の閾値VTH以上の場合に目標アクセル開度ATを変化させているが、目標車速VTと初期車速V0との差にかかわらず、目標車速VTが設定された場合は、常に目標アクセル開度ATを変化させてもよい。この場合、目標車速VTと初期車速V0との差の絶対値と閾値VTHとを比較する処理を省略することができる。
また、目標車速VTと初期車速V0との差が所定の閾値VTHよりも小さい減速シーンにおいて、過渡目標アクセル開度ALを設定する代わりに、タイマーを用いて目標アクセル開度ATを変化させてもよい。例えば、過渡目標アクセル開度ALを設定せず、目標アクセル開度ATを一定の速さで減少させ、最終目標アクセル開度AFTに達した時点から所定時間が経過した後に、今度は目標アクセル開度ATを一定の速さで増大させて最終目標アクセル開度AFTに到達させてもよい。
なお、目標車速VTと初期車速V0との差が所定の閾値VTHよりも小さい減速シーンにおいて、目標アクセル開度ATを初期アクセル開度A0から徐々に最終目標アクセル開度AFTに近づけるように変化させてもよい。つまり、減速シーンでも、図12(a),(b)に示す加速シーンのように目標アクセル開度ATを変化させてもよい。反対に、加速シーンにおいて、図13(a),(b)に示す減速シーンのように目標アクセル開度ATを変化させてもよい。
また、図5(a)及び(b)に目標アクセル開度ATの最終目標アクセル開度AFTへの近づけ方の一例を図示したが、目標アクセル開度ATの変化のさせ方は特に限定されない。
また、上記実施形態では、目標アクセル開度ATを変化させている場合であって目標車速VTと実車速Vとの差が所定速度VDよりも大きい加速時では、増加モードが設定されている場合であっても反力Fを維持するようにアクチュエータ2bを制御しているが、このような加速時においても通常と同様の制御を実施してもよい。
また、上記の所定値B,所定値C及び所定値Eは時間の関数に限られず、予め設定された一定値であってもよい。この場合は、目標アクセル開度ATは階段状に変化するが、所定値B,所定値C及び所定値Eの大きさと制御周期とによって徐々に目標アクセル開度ATを変化させることができる。つまり、所定値B,所定値C及び所定値Eの設定によって、目標アクセル開度ATの変化の仕方を変えることができる。
また、所定値Gも予め設定された一定値であってもよいし、所定値H,所定値Jが時間の関数に設定されていてもよい。つまり、減少モードから維持モードに変化した場合に、反力Fを階段状ではなくリニアに増加させてもよいし、反対に維持モードから減少モードに変化した場合に、反力Fを階段状に減少させてもよい。
なお、実車速Vを検出する手段は車速センサ3に限られず、例えば車速センサ3の代わりに加速度センサを設け、加速度センサで検出された加速度をECU10において積分し、実車速Vを取得してもよい。
また、カメラ4やレーダ5の位置は特に限られず、車速設定スイッチ6の構成や配置も上記したものに限られない。さらに、目標車速VTの設定手法として手動設定のみを採用してもよい。この場合、カメラ4及びレーダ5は装備されていなくてもよい。なお、ISAを利用して目標車速VTを設定する場合は、カメラ4による情報に代えてGPSや車載システムに記録されている速度地図データベース等を用いてもよい。