JP2014226247A - 流動体内蔵クッションおよび流動体内臓マット - Google Patents

流動体内蔵クッションおよび流動体内臓マット Download PDF

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Abstract

【課題】クッション本体内に封入する流動体量を増加させることなく人体が載置された場合における底着きの発生を抑制することができる流動体内臓クッションおよび流動体内臓マットを提供する。
【解決手段】流動体内蔵クッション100は、シート102とシート103とを重ね合わせて周囲を接合することにより密閉空間105を備えたクッション本体101によって構成される。密閉空間105内には、流動体107が封入されるとともに堰部110によって寝姿勢骨盤対向部120および流路130がそれぞれ形成される。寝姿勢骨盤対向部120は、ユーザの仰臥位における骨盤B1およびこの骨盤B1に繋がる2つの大転子B2の外側を断続的に囲むように配置された堰部110からなる寝姿勢骨盤堰部111によって形成されている。流路130は、寝姿勢骨盤堰部111と空間縁部106との間の領域に沿って設けられた堰部110によって形成される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、人が寝る際や座る際に体の下に敷いて用いる流動体内蔵クッションおよび流動体内臓マットに関する。
従来から、可撓性を有する2つのシートを対向配置して形成した密閉空間内に流動体を流動可能に封入した流動体内臓クッションが知られている。例えば、下記特許文献1には、可撓性を有する2つのシートを対向配置して密閉空間を形成するクッション本体内に流動体としての液体とこの液体の流路を形成する堰部とをそれぞれ設けた寝具用の流動体内蔵クッションが開示されている。
国際公開番号WO2009/001567号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載された流動体内蔵クッションにおいては、クッション本体上に人体が載置された際に所謂底着きが生じて体圧の分散性能が著しく低下するとともにこの底着きを防止するために増量した流動体によって流動体内臓クッション全体が重くなるという問題があった。ここで底着きとは、クッション本体上に人体が載置された際にクッション本体が押し潰されてクッション本体を構成する2つのシートが互いに接触する現象であり、特に、クッション本体において人体における骨が体表に向かって張り出した部分を支持する部分で生じ易い。
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、クッション本体内に封入する流動体量を増加させることなく人体が載置された場合における底着きの発生を抑制することができる流動体内臓クッションおよび流動体内臓マットを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、可撓性を有する2つのシートを対向配置して形成した密閉空間内に流動体を流動可能に封入したクッション本体と、クッション本体における密閉空間内にて前記2つのシートを互いに繋げることにより同密閉空間内を仕切って流動体の流動を規制する堰部とを備えてクッション本体が人体の下に敷かれて用いられる流動体内蔵クッションであって、クッション本体は、人体の座姿勢時に骨盤が対向する座姿勢骨盤対向部、同人体の仰臥位姿勢時に骨盤が対向する寝姿勢骨盤対向部、および同人体の仰臥位姿勢時に肩甲骨が対向する寝姿勢肩甲骨対向部のうちの少なくとも一つを有しており、座姿勢骨盤対向部は、クッション本体における人体の坐骨および尾骨に対向する部分の外側を断続的または連続的に囲む堰部からなる座姿勢骨盤堰部によって同座姿勢骨盤堰部の内側に形成されており、寝姿勢骨盤対向部は、クッション本体における人体の仙骨に対向する部分の外側および/または尾骨および坐骨に対向する部分の外側を断続的または連続的に囲む堰部からなる寝姿勢骨盤堰部によって同寝姿勢骨盤堰部の内側に形成されており、寝姿勢肩甲骨対向部は、クッション本体における人体の肩甲骨に対向する部分の外側を断続的または連続的に囲む堰部からなる寝姿勢肩甲骨堰部によって同寝姿勢肩甲骨堰部の内側に形成されており、座姿勢骨盤対向部、寝姿勢骨盤対向部および寝姿勢肩甲骨対向部は、座姿勢骨盤堰部、寝姿勢骨盤堰部および寝姿勢肩甲骨堰部の内側に堰部が形成されない無堰領域で構成されていることにある。
このように構成した本発明の特徴によれば、流動体内蔵クッションは、流動体が封入されたクッション本体内に堰部である座姿勢骨盤堰部、寝姿勢骨盤堰部および寝姿勢肩甲骨堰部で囲った状態で座姿勢骨盤対向部、寝姿勢骨盤対向部および寝姿勢肩甲骨対向部のうちの少なくとも1つを備えるとともに、これらの座姿勢骨盤対向部、寝姿勢骨盤対向部および寝姿勢肩甲骨対向部は内側領域に堰部が存在しない無堰領域で構成されている。これにより、流動体内蔵クッションは、座姿勢骨盤対向部、寝姿勢骨盤対向部および寝姿勢肩甲骨対向部がその領域内で堰部による凹む部分を有することなく各中央部に向かって凸状に膨らんで形成されるため、流動体量を増加させることなく座姿勢骨盤対向部、寝姿勢骨盤対向部および寝姿勢肩甲骨対向部の厚さを確保することができる。この結果、流動体内蔵クッションは、クッション本体内に封入する流動体量を増加させることなく人体が載置された場合における底着きの発生を抑制することができる。
また、本発明に係る流動体内蔵クッションは、座姿勢骨盤対向部が人体における坐骨および尾骨を覆う大きさに形成されているとともに座姿勢骨盤対向部の内側領域に堰部が設けられていないため、底着きを生じさせ易い坐骨や尾骨に対して異物感を与えることなく効果的に弾性支持することができる。
また、本発明に係る流動体内臓クッションは、寝姿勢骨盤対向部が人体における仙骨および/または尾骨および坐骨を覆う大きさに形成されているとともに寝姿勢骨盤対向部の内側領域に堰部が設けられていないため、底着きを生じさせ易い仙骨および/または坐骨や尾骨に対して異物感を与えることなく効果的に弾性支持することができる。
また、本発明に係る流動体内臓クッションは、寝姿勢肩甲骨対向部が人体における肩甲骨を覆う大きさに形成されているとともに寝姿勢肩甲骨対向部の内側領域に堰部が設けられていないため、底着きを生じさせ易い肩甲骨に対して異物感を与えることなく効果的に弾性支持することができる。
また、本発明の他の特徴は、前記流動体内蔵クッションにおいて、堰部は、座姿勢骨盤堰部、寝姿勢骨盤堰部および寝姿勢肩甲骨堰部の外側の領域に設けられて流動体の流路を形成するとともにクッション本体の外縁部側に設けられる堰部ほど同堰部の太さが太く形成されることにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、流動体内蔵クッションは、堰部が座姿勢骨盤堰部、寝姿勢骨盤堰部および寝姿勢肩甲骨堰部のうちの少なくとも1つの外側の領域に設けられて流動体の流路を形成するとともにクッション本体の外縁部側に設けられる堰部ほど同堰部の太さが太く形成されるため、座姿勢骨盤対向部、寝姿勢骨盤対向部および寝姿勢肩甲骨対向部の各厚さ(膨らみ量)を確保しながらクッション本体内の流動体量を抑えて軽量化することができる。また、流動体内蔵クッションは、座姿勢骨盤対向部、寝姿勢骨盤対向部および寝姿勢肩甲骨対向部側の堰部がクッション本体の縁部側の堰部に比べて相対的に細く形成されるため、座姿勢骨盤対向部、寝姿勢骨盤対向部および寝姿勢肩甲骨対向部上に載置される人体への接触感や異物感を抑えることができる。
また、本発明の他の特徴は、前記流動体内蔵クッションにおいて、堰部は、座姿勢骨盤堰部、寝姿勢骨盤堰部および寝姿勢肩甲骨堰部の外側の領域に設けられて流動体の流路を形成し、流路は、クッション本体内における少なくとも流動体の注入口付近以外の流路においてクッション本体の外縁部側の流路ほど同流路の幅が狭くなった部分を有することにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、流動体内蔵クッションは、堰部が座姿勢骨盤堰部、寝姿勢骨盤堰部および寝姿勢肩甲骨堰部のうちの少なくとも1つの外側の領域にクッション本体の外縁部側ほど幅が狭い部分を有した流路が形成されているため、座姿勢骨盤対向部、寝姿勢骨盤対向部および寝姿勢肩甲骨対向部に存在する流動体量を増加させてこれらの厚さをより厚くすることができるとともに、これらの座姿勢骨盤対向部、寝姿勢骨盤対向部および寝姿勢肩甲骨対向部上に人体が載置された場合、各座姿勢骨盤対向部、寝姿勢骨盤対向部および寝姿勢肩甲骨対向部内からの流動体の流路への流出を外縁部に向かって段階的に抑制して人体を精度よく弾性支持することができる。
また、本発明の他の特徴は、前記流動体内臓クッションにおいて、寝姿勢骨盤対向部は、人体の仰臥位姿勢時における骨盤の平面視での大きさ以上の大きさに形成されていることにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、流動体内蔵クッションは、寝姿勢骨盤対向部が人体の骨盤の平面視での大きさ以上の大きさに形成されているため、人体の仰臥位状態における腰部および臀部を精度よく弾性支持することができるとともに、人体が仰臥位状態から側臥位状態に移行した場合、すなわち、ユーザが寝返りを打った場合であっても腰部の側部を精度よく弾性支持することができる。
また、本発明の他の特徴は、前記流動体内臓クッションにおいて、寝姿勢骨盤対向部は、さらに、人体の仰臥位姿勢時における平面視での2つの大転子間の幅以上の大きさに形成されていることにある
このように構成した本発明の他の特徴によれば、流動体内蔵クッションは、寝姿勢骨盤対向部が人体の仰臥位姿勢時における平面視での2つの大転子間の幅以上の大きさで形成されているため、人体が仰臥位状態から側臥位状態に移行した場合、すなわち、人体が寝返りを打った場合や寝姿勢骨盤対向部上で人体が移動した場合であっても腰部および臀部をより精度よく弾性支持することができる。
また、本発明は流動体内蔵クッションの発明として実施できるばかりでなく、この流動体内蔵クッションを備えた流動体内臓マットの発明としても実施できるものである。
具体的には、例えば、流動体内蔵マットは、請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載した流動体内臓クッションの一部または全部を布製または樹脂製のシート材で直接的または間接的に覆って構成するとよい。この場合、流動体内蔵マットは、流動体内蔵クッションの上側および下側のうちの少なくとも一方に弾性体(例えば、羽毛、綿、発泡樹脂、ウレタンなど)からなる詰物を配置して構成することもできる。これらによっても、流動体内蔵マットは、上記流動体内蔵クッションと同様の作用効果が期待できる。
本発明に係る流動体内蔵クッションの全体構成の概略を模式的に示す平面図である。 図1に示す流動体内蔵クッションにおけるA−A線から見た流動体内蔵クッションの断面を模式的に示す断面図である。 本発明の変形例に係る流動体内蔵クッションの全体構成の概略を模式的に示す平面図である。 本発明の他の変形例に係る流動体内蔵クッションの全体構成の概略を模式的に示す平面図である。 本発明の他の変形例に係る流動体内蔵クッションの全体構成の概略を模式的に示す平面図である。 本発明の他の変形例に係る流動体内蔵クッションの全体構成の概略を模式的に示す平面図である。 本発明の他の変形例に係る流動体内蔵クッションの全体構成の概略を模式的に示す平面図である。 本発明の他の変形例に係る流動体内蔵クッションの全体構成の概略を模式的に示す平面図である。 本発明に係る流動体内蔵マットの全体構成の概略を模式的に示す斜視図である。
(流動体内蔵クッション100の構成)
以下、本発明に係る流動体内蔵クッションの一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る流動体内蔵クッション100の全体構成の概略を模式的に示す平面図である。また、図2は、図1に示す流動体内蔵クッション100におけるA−A線から見た流動体内蔵クッション100の断面を模式的に示す断面図である。なお、本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表している。このため、各図面間および各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。この流動体内蔵クッション100は、ユーザが横になる際にユーザの腰部および臀部の下に敷いて用いるものである。
この流動体内蔵クッション100は、クッション本体101によって構成されている。クッション本体101は、2つの方形状のシート102とシート103とを互いに重ね合わせて周囲を接合することによってこれら2つのシート102とシート103との間に密閉空間105を形成して構成されている。より具体的には、このクッション本体101は、撓み変形が可能な所謂可撓性を有する合成樹脂製のシート材からなる2つのシート102およびシート103における各外縁部を全周に亘って熱溶着にて接合した外周接合部104によって一体化されて構成されている。
本実施形態においては、2つのシート102,103は、縦が約400mm、横が約500mmおよび厚さが約0.6mmのEVA(エチレン酢酸ビニル)樹脂シートによって構成されている。なお、本実施形態における流動体内蔵クッション100は、図示上下方向が流動体内蔵クッション100を使用するユーザの身長方向(図示上側が頭部)であり縦方向となるとともに、図示左右方向がユーザの身長方向に直交する左右方向であり横方向となる。
密閉空間105は、2つのシート102とシート103との間で流動体107を液密的に保持する収容部である。この密閉空間105は、2つのシート102とシート103とを各シート102,103における外周接合部104の内側部分を外周接合部104に沿って互いに接合した空間縁部106によって密閉された袋状に形成されている。本実施形態においては、空間縁部106は、シート102とシート103とを熱溶着により互いに接合して構成されている。
この密閉空間105を構成する空間縁部106は、クッション本体101における外周接合部104の一部とともに形成された1つの注水口106aと、空間縁部106のみによって形成された3つの張出部106b〜106dとをそれぞれ備えている。これらのうち、注水口106aは、密閉領域104内に流動体107を注入するための開口部であり、クッション本体101における外周接合部104の一部、より具体的には、外周部104における図示上側の左右方向中央部に繋がって形成されている。この注水口106aは、密閉領域105内に流動体107を注入した後閉塞される。
張出部106b〜106dは、密閉空間105内において後述する堰部110とともに流動体107の流路を形成する部分であり、密閉空間105の内側に向かってそれぞれ凸状に張り出して形成されている。これらの張出部106b〜106dのうち、張出部106b,106cは空間縁部106における図示左右方向における両端部に形成されているとともに、張出部106dは空間縁部106における図示下側の左右方向中央部形成されている。
密閉空間105内に封入される流動体107は、クッション本体101上に載置されるユーザの腰部および臀部を密閉空間105内で支持するための液体である。本実施形態においては、流動体107は、水によって構成されている。この場合、流動体107には、凍結防止剤(例えば、プロピレングリコールや塩化ナトリウムなど)、粘性を高める増粘剤(例えば、アルギン酸や多糖類など)、腐敗を防止する腐敗防止剤や酸化防止剤(二酸化塩素など)を適宜添加してもよい。この流動体107は、クッション本体101に加えられる外力(ユーザの体重の一部)によってクッション本体101を撓み変形させながら密閉空間105内を流動できる量だけ充填される。なお、この流動体107は、密閉空間105内にて流動可能な液体、気体、固体(例えば、粒状物)であれば水に限定されるものではない。
密閉空間105内には、堰部110によって寝姿勢骨盤対向部120および流路130がそれぞれ形成されている。堰部110は、密閉空間105内をシート102,103間で仕切って流動体107の流れる方向を規制するための壁体であり、クッション本体101を構成するシート102とシート103とを熱溶着によって互いに接合することにより形成されている。
寝姿勢骨盤対向部120は、クッション本体101上に仰臥するユーザの骨盤B1に対向してユーザの腰部および臀部を支持する部分である。この寝姿勢骨盤対向部120は、ユーザの仰臥位における骨盤B1およびこの骨盤B1に繋がる2つの大転子B2の各外側を断続的に囲むように配置された堰部110からなる寝姿勢骨盤堰部111によって寝姿勢骨盤堰部111の内側領域に形成されている。すなわち、寝姿勢骨盤対向部120は、ユーザの仰臥位状態における平面視での2つの大転子B2間を含む骨盤B1の大きさ以上の大きさに形成されるとともに、寝姿勢骨盤対向部120内に堰部110が存在しない無堰領域で構成されている。なお、図1においては、骨盤B1および大転子B2をそれぞれ二点鎖線で示している。
流路130は、寝姿勢骨盤対向部120に対して流動体107を出入りさせながら仰臥位状態または側臥位状態のユーザの腰部および臀部を含む領域を支持する部分である。この流路130は、寝姿勢骨盤堰部111と空間縁部106との間の領域にこれらに沿って延びる堰部110によって同堰部110の両側にそれぞれ形成される。
この場合、流路130は、密閉空間105内において注入口106aに繋がる注入口付近C(図中破線で示す)以外の部分に形成された流路130がクッション本体101の外縁部側の流路130ほど幅が狭い部分を有して構成されている。ここで、流路130の幅の狭い部分とは、互いに隣接する堰部110同士または互いに隣接する堰部110と空間縁部106との間で両者の間が狭い(近い)部分である。例えば、堰部110と空間縁部106との間の一部の幅W1は、この堰部110と寝姿勢骨盤堰部111との間の一部の幅W2よりも狭く形成されている。また、堰部110と張出部106dとの間の一部の幅W3は、この張出部106dと寝姿勢骨盤堰部111との間の一部の幅W4よりも狭く形成されている。すなわち、空間縁部106における張出部106b〜106dは、クッション本体101の外縁部側の流路130ほど幅を狭くするように空間縁部106から張り出して形成されている。
このように流路130の幅を寝姿勢骨盤対向部120の幅(内径)よりも狭くするとともにクッション本体101の外縁部側の流路130ほど狭く形成することによって寝姿勢骨盤対向部120の厚さt1を最も厚くしつつ流路130の厚さt2を寝姿勢骨盤堰部111側からクッション本体101の外縁部側に向かって段階的に低く形成することができる(図2参照)。また、流路130の幅を寝姿勢骨盤対向部120の幅(内径)よりも狭くするとともにクッション本体101の外縁部側の流路130ほど狭く形成することによって寝姿勢骨盤対向部120内から流路130に流出する流動体107の流速を抑えることができる。
また、流路130を形成する各堰部110は、クッション本体101の外縁部側の堰部110ほど太さが太く形成されている。本実施形態においては、6つの寝姿勢骨盤堰部111はそれぞれ5mmの太さで形成されており、これら6つの寝姿勢骨盤堰部111の外側に設けられた4つの堰部110はそれぞれ8mmの太さで形成されている。なお、寝姿勢骨盤堰部111の太さは、4mm以上かつ6mm以下が好適であり、寝姿勢骨盤堰部111以外の堰部110の太さは5mm以上かつ10mm以下が好適である。
ここで、流動体内蔵クッション100の製造方法について説明しておく。この流動体内蔵クッション100は、従来の流動体内蔵クッションと同様の工程によって製造することができる。すなわち、流動体内蔵クッション100を製造する作業者は、2つのシート102,103をそれぞれ用意した後、図示しない高周波ウェルダー加工機を用いて2つのシート102とシート103とを互いに溶着する。この場合、高周波ウェルダー加工機は、クッション本体101における注水口106aを除く外周接合部104および空間縁部106、および寝姿勢骨盤堰部111を含む堰部110に対応する2つのシート102,103上の各位置を溶着する。
これにより、2つのシート102,103は、これら2つのシート102,103間に注水口106aを除く外周接合部104および空間縁部106、および寝姿勢骨盤堰部111を含む堰部110がそれぞれ形成されるとともに、これらによって形成された密閉空間105が注水口106aを介して外部に連通した袋状に形成される。
次に、作業者は、袋状に形成された2つのシート102,103間に流動体107を充填する。具体的には、作業者は、注水口106aを介して2つのシート102,103間に流動体107を注水する。この場合、流動体107を注水する量は、流動体内蔵クッション100の仕様に応じて適宜決定されるが、少なくとも、クッション本体101に加えられる外力によってクッション本体101を撓み変形させながら密閉空間105内を流動できる量だけ充填される。また、この流動体107の注水作業においては、密閉空間105内における注入口付近Cが注水口106a側に向って広くなるように形成されているため、流動体107を効率良く導入することができる。
次に、作業者は、袋状の2つのシート102,103間に形成された注水口106aを熱溶着用のヒータを用いて密封する。これにより、2つのシート102,103の外周接合部104および密閉空間105の空間縁部106の各全周が完全に接合されて密閉空間105を備えるクッション本体101、すなわち、流動体内蔵クッション100が完成する。この場合、クッション本体101内においては、前記したように、寝姿勢骨盤対向部120の厚さt1を最も厚くしつつ流路130の厚さt2を寝姿勢骨盤堰部111側からクッション本体101の外縁部側に向かって段階的に低く形成される(図2参照)。なお、シート102とシート103との接合は、高周波ウェルダー加工や溶着用のヒータ以外の熱溶着方法、例えば、超音波ウェルダー加工やインパルス熱溶着加工を用いて溶着するようにしてもよいし、熱溶着以外の方法、例えば、接着材による接着によって接合してもよい。
(流動体内蔵クッション100の作動)
次に、上記のように構成した流動体内蔵クッション100の作動について説明する。まず、ユーザは、流動体内蔵クッション100を用意する。次に、ユーザは、横になる場所(例えば、床面上、長椅子上、布団上またはベッド上など)における腰部および臀部の載置場所上に流動体内蔵クッション100を配置する。この場合、ユーザは、流動体内蔵クッション100上にシーツ、敷きパッド(シーツより厚手の敷物)、薄手の布団または薄手のマットレスなどを敷いて流動体内蔵クッション100を覆うこともできる。
次に、ユーザは、前記配置した流動体内蔵クッション100上に仰臥する。この場合、ユーザは、自身の骨盤B1がクッション本体101における寝姿勢骨盤対向部120上に位置するように流動体内蔵クッション100上に仰臥する。これにより、ユーザの腰部および臀部は、主として、流動体内蔵クッション100の寝姿勢骨盤対向部120によって支持される。
ここで、本発明者による実験によれば、人体の仰臥位状態における腰部および臀部においては、骨盤B1における仙骨、坐骨および尾骨に面する体表面に体圧が集中する。一方、寝姿勢骨盤対向部120は、内側領域に堰部110が存在しない無堰領域で構成されているため、寝姿勢骨盤対向部120の中央部に向かって凹むことなく凸状に膨らんで形成される。また、寝姿勢骨盤対向部120は、骨盤B1における仙骨、坐骨および尾骨を覆うことができる大きさ、より具体的には平面視における骨盤B1および2つの大転子B2間を覆うことができる大きさに形成されている。これらにより、流動体内蔵クッション100における寝姿勢骨盤対向部120は、ユーザの腰部および臀部、とりわけ、仙骨、坐骨および尾骨に面する体表面部分に対して底着きを生じさせることなく支持することができる。
また、本発明者の実験によれば、人体の側臥位状態における腰部においては、骨盤B1における腸骨および大転子B2に面する体表面に体圧が集中するとともに、人体の仰臥位状態と側臥位状態の中間である半側臥位状態における腰部においては骨盤B1における大腿骨頭および大転子B2に面する体表面に体圧が集中する。一方、寝姿勢骨盤対向部120は、平面視における骨盤B1および2つの大転子B2間を覆うことができる大きさに形成されている。したがって、ユーザが仰臥位姿勢から半側臥位および側臥位姿勢に寝返りを打った際においても流動体内蔵クッション100における寝姿勢骨盤対向部120は、ユーザの腰部、とりわけ、骨盤B1における腸骨、大腿骨頭および大転子B2に面する体表面部分に対して底着きを生じさせることなく支持することができる。
また、流動体内蔵クッション100は、クッション本体101内における流路130の幅をクッション本体101の外縁部側の流路130ほど狭く形成しているため、寝姿勢骨盤対向部120の厚さをクッション本体101内において最も厚く形成できるほか、寝姿勢骨盤対向部120内の流動体107の流路130への流出速度を遅くするとともに寝姿勢骨盤対向部120内で多くの流動体107を留まらせて厚さの減少を抑えることができる。
したがって、流動体内蔵クッション100は、例えば、ユーザが仰臥する上半身を起き上がらせるギャッチアップ機能を有したギャッチアップベッドにセットされた場合においては、このギャッチアップ時においても寝姿勢骨盤対向部120内から寝姿勢骨盤対向部120の下方の流路130への流動体107の流出を抑えながらユーザの腰部および臀部を支持することができる。
また、流動体内蔵クッション100は、クッション本体101内における各堰部110をクッション本体101の外縁部側の堰部110ほど太さを太く形成しているため、寝姿勢骨盤対向部120の厚さを確保しながらクッション本体101内の流動体107の総量を抑えて軽量化することができる。また、流動体内蔵クッション100は、寝姿勢骨盤対向部120側の堰部110がクッション本体101の縁部側の堰部110に比べて相対的に細く形成されるため、寝姿勢骨盤対向部120上に載置される人体への接触感や異物感を抑えることができる。
そして、流動体内蔵クッション100の使用を終える場合には、ユーザは、流動体内蔵クッション100上から人体を離脱させる。これにより、流動体内蔵クッション100は、ユーザの腰部および臀部が載置されていた寝姿勢骨盤対向部120内に周辺領域から流動体107が流入するため、使用前の状態に復元する。
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、流動体内蔵クッション100は、流動体107が封入されたクッション本体101内に堰部110である寝姿勢骨盤堰部111で囲った状態で寝姿勢骨盤対向部120を備えるとともに、この寝姿勢骨盤対向部120は内側領域に堰部110が存在しない無堰領域で構成されている。これにより、流動体内蔵クッション100は、寝姿勢骨盤対向部120がその領域内で堰部110によって凹む部分を有することなく各中央部に向かって凸状に膨らんで形成されるため、流動体107の総量を増加させることなく寝姿勢骨盤対向部120の厚さを確保することができる。この結果、流動体内蔵クッション100は、クッション本体101内に封入する流動体107量を増加させることなく人体が載置された場合における底着きの発生を抑制することができる。
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、下記各変形例の説明および参照する図においては、上記実施形態と同様の構成部分について同じ符号を付して、その説明を省略する。
例えば、上記実施形態においては、流動体内蔵クッション100は、寝姿勢骨盤対向部120の平面視での大きさをユーザの仰臥位状態での2つの大転子B2間を含む骨盤B1の平面視での大きさ以上の大きさに形成した。しかし、寝姿勢骨盤対向部120は、人体の仰臥位状態における仙骨に対向する部分および/または尾骨および坐骨に対向する部分を覆う大きさで形成されていればよく、必ずしも、上記実施形態に限定されるものではない。
したがって、流動体内蔵クッション100は、例えば、図3に示すように、人体の仰臥位状態における腰部の両側部の外側に4つの寝姿勢骨盤堰部111を配置することにより腰幅に対応する横幅の寝姿勢骨盤対向部120を形成するとともに、これら4つの寝姿勢骨盤対向部120の横幅方向に沿って堰部110を形成することにより全体として横長に形成することができる。これによれば、流動体内蔵クッション100は、寝姿勢骨盤対向部120が上記実施形態における寝姿勢骨盤対向部120よりも横長に形成されるため、ユーザが仰臥位状態から側臥位状態に寝返りした場合や、就寝中に横幅方向に移動した場合においても精度よくユーザの腰部および臀部を支持することができる。なお、図3においては、ユーザの仰臥位時における臀部および大腿部の腰部周辺部Yを二点鎖線で示している。また、図3に示した流動体内臓クッション100においては、張出部106dが空間縁部106における図示上側および下側の各左右方向中央部形成されている。また、空間縁部106とこの空間縁部106に隣接する堰部110との間の一部の幅W1、寝姿勢骨盤堰部111とこの寝姿勢骨盤堰部111に隣接する堰部110との間の一部の幅W2、空間縁部106に隣接する堰部110と寝姿勢骨盤堰部111に隣接する堰部110との間の一部の幅W2’の各関係は、W1<W2’<W2となっている。
また、流動体内蔵クッション100は、例えば、図4に示すように、人体の仰臥位状態における腸骨に対向する部分を囲むように2つの寝姿勢骨盤堰部111を配置するとともに、これら2つの寝姿勢骨盤堰部111に対向する側に空間縁部106を兼ねる外周接合部104を形成することにより寝姿勢骨盤対向部120を形成することもできる。この場合、外周接合部104は、2つの寝姿勢骨盤堰部111の内側に腸骨を配置した場合において、仰臥位状態における骨盤B1の尾骨に対して若干仙骨側(仙骨の最も外側に張り出した部分と尾骨との間)に位置するように形成される。このように、外周接合部104を骨盤B1の尾骨に対して若干仙骨側に配置する理由は、仰臥位状態の骨盤B1においては尾骨に対して若干仙骨側の幅方向の領域に体表に向かって張り出す骨部が存在せず、仰臥位状態において体圧の集中する部分が生じないことを本発明者が実験によって知見したことによる。なお、図4においては、骨盤B1および大転子B2をそれぞれ二点鎖線で示している。
したがって、このように構成した流動体内蔵クッション100によれば、寝姿勢骨盤対向部120が仰臥位状態における骨盤B1の仙骨および腸骨に対向して形成されるため、流動体内蔵クッション100の全体の大きさをコンパクトにしながら仰臥位状態および側臥位状態における腰部および臀部の各上部を効果的に支持することができる。なお、この図4に示した流動体内蔵クッション100は、上下方向を反転して配置すれば、仰臥位状態における骨盤B1の尾骨および坐骨に対向する部分に寝姿勢骨盤対向部120が形成されるため、仰臥位状態および側臥位状態における腰部および臀部の各下部を効果的に支持することができる。なお、図4に示す流動体内臓クッション100は、前記図3に示す流動体内臓クッション100と同様に、空間縁部106を兼ねる外周接合部104とこの外周接合部104に隣接する堰部110との間の一部の幅W1、寝姿勢骨盤堰部111とこの寝姿勢骨盤堰部111に隣接する堰部110との間の一部の幅W2、外周接合部104に隣接する堰部110と寝姿勢骨盤堰部111に隣接する堰部110との間の一部の幅W2’の各関係は、W1<W2’<W2となっている。
また、流動体内蔵クッション100は、例えば、図5に示すように、人体の仰臥位状態における仙骨、腸骨、尾骨および坐骨を含む骨B1全体に対向する部分を囲むように4つの寝姿勢骨盤堰部111を配置して図示縦長の寝姿勢骨盤対向部120を形成するとともに、この寝姿勢骨盤対向部120の縦幅方向に沿って堰部110を形成することにより全体として縦長に形成することもできる。この場合、クッション本体101内において最も外側に配置された堰部110にクッション本体101を貫通する貫通孔110aを設けることができる。このように構成した流動体内蔵クッション100はよれば、寝姿勢骨盤対向部120が上記実施形態における寝姿勢骨盤対向部120よりも縦長に形成されるため、幅広い身長のユーザに対して1つの流動体内蔵クッション100を共通に用いることができる。また、この流動体内蔵クッション100は、堰部110に設けた貫通孔110aによって通気性を確保することができる。なお、図5においては、骨盤B1および大転子B2をそれぞれ二点鎖線で示している。また、図5に示す流動体内臓クッション100は、前記図4に示す流動体内臓クッション100と同様に、空間縁部106を兼ねる外周接合部104とこの外周接合部104に隣接する堰部110との間の一部の幅W1、寝姿勢骨盤堰部111とこの寝姿勢骨盤堰部111に隣接する堰部110との間の一部の幅W2、外周接合部104に隣接する堰部110と寝姿勢骨盤堰部111に隣接する堰部110との間の一部の幅W2’の各関係は、W1<W2’<W2となっている。
また、上記実施形態においては、流動体内蔵クッション100は、人体の寝姿勢における腰部および臀部の下に敷かれてこれらを支持するように構成した。しかし、流動体内蔵クッション100は、人体の寝姿勢時における骨盤B1のほか、人体の座姿勢時における骨盤B1および人体の寝姿勢における肩甲骨B3に対向配置されるように構成されていればよい。すなわち、流動体内蔵クッション100は、人体の座姿勢時における骨盤B1に対向配置される座姿勢骨盤対向部、人体の寝姿勢時における骨盤に対向配置される寝姿勢骨盤対向部、および人体の寝姿勢における肩甲骨に対向配置される寝姿勢肩甲骨対向部のうちの少なくとも1つを備えて構成されていればよい。
具体的には、例えば、図6に示すように、流動体内蔵クッション100は、人体の仰臥位状態における両肩の肩甲骨B3に対向する部分を囲むように4つの寝姿勢肩甲骨堰部112を配置して寝姿勢肩甲骨対向部121を形成するとともに、この寝姿勢肩甲骨対向部121に対して図示下方(人体における腰側)に沿って5つの堰部110をそれぞれ形成することにより全体として縦長に形成することができる。なお、図6においては、肩甲骨B3を二点鎖線で示している。
この場合、クッション本体101は、人体の仰臥位状態における肩部から腰部に掛けての平面視での形状に対応して図示下側に向かって幅が狭くなる逆台形状に形成することができる。また、クッション本体101における外周接合部104は、外周接合部104における一部、より具体的には図示上辺部および図示中間部がそれぞれ内側に向かって突出して空間縁部106としての張出部106b〜106dがそれぞれ形成されるとともに、その他の部分が上記実施形態における空間縁部106を兼ねる外周接合部104として構成されている。このように構成した流動体内蔵クッション100によれば、寝姿勢肩甲骨対向部121が人体における肩甲骨B3を覆う大きさに形成されているとともに寝姿勢肩甲骨対向部121の内側領域に堰部110が設けられていないため、底着きを生じさせ易い肩甲骨B3に対して異物感を与えることなく効果的に弾性支持することができる。なお、図6に示す流動体内臓クッション100は、前記図4,5にそれぞれ示す流動体内臓クッション100と同様に、空間縁部106を兼ねる外周接合部104とこの外周接合部104に隣接する堰部110との間の一部の幅W1、寝姿勢肩甲骨堰部112とこの寝姿勢肩甲骨堰部112に隣接する堰部110との間の一部の幅W2、外周接合部104に隣接する堰部110と寝姿勢肩甲骨堰部112に隣接する堰部110との間の一部の幅W2’の各関係は、W1<W2’<W2となっている。また、注入口付近Cは、注水口106a側と寝姿勢肩甲骨対向領域121との間で幅が一定に形成されている。
また、例えば、図7に示すように、流動体内蔵クッション100は、人体の座姿勢における骨盤B1の尾骨および坐骨にそれぞれ対向する領域BT,BZを囲むように連続的なリング状の座姿勢骨盤堰部113を配置することにより円形の座姿勢骨盤対向部122を形成して全体として平面リング形状に形成することができる。すなわち、流動体内蔵クッション100は、座姿勢骨盤対向部122が内側領域に流動体107が存在しない貫通孔で構成されるとともに、この座姿勢骨盤対向部122と外周接合部104との間の領域に流動体107が封入された密閉空間105が形成されて構成されている。このことは、座姿勢骨盤対向部122、寝姿勢骨盤対向部120および寝姿勢肩甲骨対向部121を構成する無堰領域は、水や空気などの流動体107のみが存在して形成されていれば良いことを意味する。
そして、図7に示す流動体内蔵クッション100においては、クッション本体101における座姿勢骨盤対向部122の外側の密閉空間105内に断続的な2重のリング状の堰部110が設けられている。この場合、堰部110は、クッション本体101の密閉空間105内において流路130の幅が外周部側の流路130ほど狭く形成されるように配置されるとともに、堰部110自身の太さも外周部側の流路堰部110ほど広く(太く)なるように形成されている。
すなわち、図7に示す流動体内臓クッション100は、前記図4〜6にそれぞれ示す流動体内臓クッション100と同様に、空間縁部106を兼ねる外周接合部104とこの外周接合部104に隣接する堰部110との間の一部の幅W1、座姿勢骨盤堰部113とこの座姿勢骨盤堰部113に隣接する堰部110との間の一部の幅W2、外周接合部104に隣接する堰部110と座姿勢骨盤堰部113に隣接する堰部110との間の一部の幅W2’の各関係は、W1<W2’<W2となっている。
このように構成した流動体内臓クッション100においては、ユーザが流動体内臓クッション100上に着座した際、ユーザの尾骨および坐骨に対向する部分が貫通孔からなる座姿勢骨盤対向部122で構成されているとともにユーザの尾骨および坐骨の外側の臀部を座姿勢骨盤対向部122の外側のクッション本体101が支持するため、底着きを生じさせ易い尾骨および坐骨に対して異物感を与えることなく安定的に弾性支持することができる。また、流動体内臓クッション100は、クッション本体101における密閉空間105は外周接合部104側から座姿勢骨盤堰部113側に向かって厚さが段階的に厚くなるため、流動体107の総量の増加を抑えつつユーザが着座した際における底着きを抑制することができる。
さらに、流動体内臓クッション100は、ユーザの着座によってユーザの大腿部に対向して同大腿部を支持する大腿部対向部Dの流動体107が大腿部対向部Dの周囲の領域に押し退けられるが、ユーザの臀部を支持する部分から押し退けられる流動体107によって大腿部対向部Dからの流動体107の流出量が制限されるため、大腿部の底着きを抑えながら安定的に支持することができる。なお、図7においては、ユーザが腰掛けた座姿勢時における臀部および大腿部の腰部周辺部Yを二点鎖線で示すとともに、この座姿勢時における骨盤B1の尾骨および坐骨に対向する領域BT,BZおよび大腿部対向部Dをそれぞれ二点鎖線で示している。
また、クッション本体101の密閉空間105内において流路130の幅を外周部側ほど狭く形成するとともに堰部110自身の太さを外周部側ほど太くする堰部110として、例えば、図8に示すように、堰部110をクッション本体101の内周部側から外周部側に向かって広がりながら円弧状に延びる勾玉状やドロップ状に形成することもできる。また、堰部110は、クッション本体101の密閉空間105内において流路130の幅が外周部側の流路130ほど狭く形成されるように配置される。
すなわち、空間縁部106を兼ねる外周接合部104と堰部110との間の一部の幅W1は、座姿勢骨盤堰部113と堰部110との間の一部の幅W2に対して狭く形成されている。このように構成した流動体内臓クッション100においても、クッション本体101における密閉空間105は外周接合部104側から座姿勢骨盤堰部113側に向かって厚さが段階的に厚くなるため、流動体107の総量の増加を抑えつつユーザが着座した際における底着きを抑制することができる。
また、流動体内臓クッション100は、ユーザの着座によってユーザの大腿部に対向して同大腿部を支持する大腿部対向部Dの流動体107が大腿部対向部Dの周囲の領域に押し退けられるが、ユーザの臀部を支持する部分から押し退けられる流動体107によって大腿部対向部Dからの流動体107の流出量が制限されるため、大腿部の底着きを抑えながら安定的に支持することができる。なお、図8においては、ユーザが腰掛けた座姿勢時における臀部および大腿部の腰部周辺部Yを二点鎖線で示すとともに、この座姿勢時における骨盤B1の尾骨および坐骨に対向する領域BT,BZおよび大腿部対向部Dをそれぞれ二点鎖線で示している。
また、図7,図8に示したように、流動体内臓クッション100におけるシート本体101をリング状に形成する場合、シート本体101は平面視で真円形状に限定されるものではなく、真円以外の形状、例えば、横長の楕円形状、おむすび形状(ギターのピック状)、リンゴの断面形状(ハート形)などの形状で構成することができる。これらの形状によれば、流動体内臓クッション100は、臀部や大腿部の幅が広いユーザを安定的に支持することができる。
また、上記実施形態および上記各変形例においては、流動体内臓クッション100は、寝姿勢骨盤対向部120、寝姿勢肩甲骨対向部121および座姿勢骨盤対向部122のうちの1つを備えて構成した。しかし、流動体内臓クッション100は、寝姿勢骨盤対向部120、寝姿勢肩甲骨対向部121および座姿勢骨盤対向部122のうちの少なくとも1つを備えて構成されていればよく、必ずしも上記実施形態および上記各変形例に限定されるものではない。すなわち、流動体内臓クッション100は、寝姿勢骨盤対向部120、寝姿勢肩甲骨対向部121および座姿勢骨盤対向部122のうちの2つ以上を備えて構成することができる。
また、上記実施形態および上記各変形例においては、寝姿勢骨盤対向部120および寝姿勢肩甲骨対向部121を形成する寝姿勢骨盤堰部111および寝姿勢肩甲骨堰部112を断続的に延びる堰部110で構成するとともに、座姿勢骨盤対向部122を形成する座姿勢骨盤堰部112を連続的に延びる堰部110で構成した。しかし、寝姿勢骨盤対向部120および寝姿勢肩甲骨対向部121を形成する寝姿勢骨盤堰部111および寝姿勢肩甲骨堰部112は連続的に延びる堰部110で構成するとともに、座姿勢骨盤対向部122を形成する座姿勢骨盤堰部112を断続的に延びる堰部110で構成することもできる。これらの場合、寝姿勢骨盤対向部120、寝姿勢肩甲骨対向部121および座姿勢骨盤対向部122は、流動体107を封入した密閉空間で構成することにより人体を比較的に高い反発力で弾性的に支持することができるとともに、寝姿勢骨盤対向部120、寝姿勢肩甲骨対向部121および座姿勢骨盤対向部122を貫通孔で構成することにより底着きの発生を防止することができる。
また、上記実施形態および上記各変形例においては、クッション本体101の密閉空間105内に形成される流路130の幅(W1,W2,W2’,W3,W4)をクッション本体101の外周部側ほど狭くなるように堰部110、空間縁部106および外周接合部104をそれぞれ形成した。この場合、クッション本体101の密閉空間105内に形成される流路130は、互いに隣接する堰部110、空間縁部106および外周接合部104間のすべての幅で均一な幅を維持する必要はなく、互いに隣接する堰部110、空間縁部106および外周接合部104間で一部の幅が狭く形成されていればよい。また、クッション本体101の密閉空間105内に形成される流路130は、密閉空間105内において均一な幅で形成することができるとともに、クッション本体101の外周部に向かって広くなるように形成することもできる。これらによって、流動体内臓クッション100は、クッション本体100の厚さを任意の厚さに設定することができる。
また、上記実施形態および上記各変形例においては、クッション本体101の密閉空間105内に形成される堰部110をクッション本体101の外周部側ほど太い太さで形成した。しかし、クッション本体101の密閉空間105内に形成される堰部110は、すべての堰部110の太さが同一で構成することができるとともに、クッション本体101の外周部側ほど細い太さで形成することもできる。また、堰部110は、1つの堰部110において太さが変化するように構成されていてもよい。これらによれば、流動体内蔵クッション100は、流路130内を流れる流動体107の流れ易さを任意に設定することができる。
また、上記実施形態および上記各変形例においては、流動体内蔵クッション100は、ユーザが横になる場所に設置して使用した。しかし、流動体内蔵クッション100は、ユーザが使用する寝具や座布団と一体的に構成することもできる。具体的には、流動体内蔵クッションの一部または全部を布製や樹脂製のシート材で直接的または間接的に覆って流動体内蔵マットとして構成することができる。例えば、流動体内蔵マット200は、図9に示すように、ベッドに用いるマットレス201内に流動体内蔵クッション100を配置して構成することができる。この場合、流動体内蔵マット200は、流動体内蔵クッション100をウレタン製の板状の詰物(図示せず)上に配置して布製や樹脂製のシート材202で直接的に覆って構成することができるとともに、流動体内蔵クッション100をウレタン製の板状の詰物内に配置した上でこの詰め物を介して間接的に布製や樹脂製のシート材202で覆って構成することができる。なお、図9においては、マットレス201内に内蔵される流動体内蔵クッション100を二点鎖線で示している。
また、上記実施形態における流動体内蔵クッション100を構成するクッション本体101、シート体102,103、密閉空間105、流動体107、注水口106a、堰部110、流路130の各形状、大きさ、数(量も含む)および材質などは、流動体内蔵クッション100の仕様、用途またはユーザの好みなどに応じて適宜決定されるものであり、上記実施形態に限定されるものでないことは当然である。
また、上記実施形態においては、堰部110は、袋体101を構成するシート102とシート103とを互いに接合することにより形成されている。しかし、堰部110は、収容空間105内における前記2つのシート102,103を互いに繋げることにより同密閉空間内105を仕切って流動体107の流動を規制するように構成されていれば、必ずしも上記実施形態に限定されるものではない。例えば、堰部110は、シート102とシート103との間にシート102,103と同一または異なるシート状部材または板状部材などからなる壁状に形成することもできる。この場合、流路130は、2つの壁状の堰部110間に形成してもよいし、1つの壁状の堰部110に貫通孔を設けて構成してもよい。
B1…骨盤、B2…大転子、B3…肩甲骨、BT…座姿勢における骨盤の尾骨に対向する領域、BZ…座姿勢における骨盤の坐骨に対向する領域、Y…腰部周辺部、大腿部対向部D、t1…寝姿勢骨盤対向部の厚さ、t2…流路の厚さ、
C…注入口付近、
W1…堰部と空間縁部と間の一部の幅、W2…堰部と寝姿勢骨盤堰部との間の一部の幅、W2’…隣接する堰部間の一部の幅、W3…堰部と張出部との間の一部の幅、W4…張出部と寝姿勢骨盤堰部との間の一部の幅、
100…流動体内蔵マット、101…クッション本体、102,103…シート、104…外周接合部、105…密閉空間、106…空間縁部、106a…注入口、106b〜106d…張出部、107…流動体、
110…堰部、110a…貫通孔、111…寝姿勢骨盤堰部、112…寝姿勢肩甲骨堰部、113…座姿勢骨盤堰部、
120…寝姿勢骨盤対向部、121…寝姿勢肩甲骨対向部、122…座姿勢骨盤対向部、
130…流路、
200…流動体内蔵マット、201…マットレス、202…シート材。

Claims (6)

  1. 可撓性を有する2つのシートを対向配置して形成した密閉空間内に流動体を流動可能に封入したクッション本体と、
    前記クッション本体における前記密閉空間内にて前記2つのシートを互いに繋げることにより同密閉空間内を仕切って前記流動体の流動を規制する堰部とを備えて前記クッション本体が人体の下に敷かれて用いられる流動体内蔵クッションであって、
    前記クッション本体は、
    前記人体の座姿勢時に骨盤が対向する座姿勢骨盤対向部、同人体の仰臥位姿勢時に骨盤が対向する寝姿勢骨盤対向部、および同人体の仰臥位姿勢時に肩甲骨が対向する寝姿勢肩甲骨対向部のうちの少なくとも一つを有しており、
    前記座姿勢骨盤対向部は、
    前記クッション本体における前記人体の坐骨および尾骨に対向する部分の外側を断続的または連続的に囲む前記堰部からなる座姿勢骨盤堰部によって同座姿勢骨盤堰部の内側に形成されており、
    前記寝姿勢骨盤対向部は、
    前記クッション本体における前記人体の仙骨に対向する部分の外側および/または尾骨および坐骨に対向する部分の外側を断続的または連続的に囲む前記堰部からなる寝姿勢骨盤堰部によって同寝姿勢骨盤堰部の内側に形成されており、
    前記寝姿勢肩甲骨対向部は、
    前記クッション本体における前記人体の肩甲骨に対向する部分の外側を断続的または連続的に囲む前記堰部からなる寝姿勢肩甲骨堰部によって同寝姿勢肩甲骨堰部の内側に形成されており、
    前記座姿勢骨盤対向部、前記寝姿勢骨盤対向部および前記寝姿勢肩甲骨対向部は、
    前記座姿勢骨盤堰部、前記寝姿勢骨盤堰部および前記寝姿勢肩甲骨堰部の内側に前記堰部が形成されない無堰領域で構成されていることを特徴とする流動体内蔵クッション。
  2. 請求項1に記載した流動体内蔵クッションにおいて、
    前記堰部は、
    前記座姿勢骨盤堰部、前記寝姿勢骨盤堰部および前記寝姿勢肩甲骨堰部の外側の領域に設けられて前記流動体の流路を形成するとともに前記クッション本体の外縁部側に設けられる前記堰部ほど同堰部の太さが太く形成されることを特徴とする流動体内蔵クッション。
  3. 請求項1または請求項2に記載した流動体内蔵クッションにおいて、
    前記堰部は、
    前記座姿勢骨盤堰部、前記寝姿勢骨盤堰部および前記寝姿勢肩甲骨堰部の外側の領域に設けられて前記流動体の流路を形成し、
    前記流路は、
    前記クッション本体内における少なくとも前記流動体の注入口付近以外の前記流路において前記クッション本体の外縁部側の前記流路ほど同流路の幅が狭くなった部分を有することを特徴とする流動体内蔵クッション。
  4. 請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載した流動体内臓クッションにおいて、
    前記寝姿勢骨盤対向部は、
    前記人体の仰臥位姿勢時における骨盤の平面視での大きさ以上の大きさに形成されていることを特徴とする流動体内蔵クッション。
  5. 請求項4に記載した流動体内臓クッションにおいて、
    前記寝姿勢骨盤対向部は、さらに、
    前記人体の仰臥位姿勢時における平面視での2つの大転子間の幅以上の大きさに形成されていることを特徴とする流動体内蔵クッション。
  6. 請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載した流動体内臓クッションの一部または全部を布製または樹脂製のシート材で直接的または間接的に覆った流動体内臓マット。
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