JP2014225700A - ガス放電チャンバ - Google Patents
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Abstract
【課題】機械応力(ウインドウホルダやレーザガス圧力)及び光の吸収による熱応力等により破損する現象を低減し、出力レーザの直線偏光度を高くすると共に、強い紫外線(特にArF)レーザ光照射による劣化を抑制するフッ化カルシウム結晶を用いたガス放電チャンバを提供する。
【解決手段】ガス放電チャンバの第1ウィンドウ(2)及び第2ウィンドウ(3)は、入射平面及び射出平面がフッ化カルシウム結晶の(111)結晶面に平行であり、チャンバ(1)内部から見て、フッ化カルシウム結晶内に入射したレーザ光が、第1ウィンドウ(2)及び第2ウィンドウ(3)それぞれの<111>軸と<001>軸を含む面を通過する配置に対して、第1ウィンドウ(2)及び第2ウィンドウ(3)は、<111>軸を中心として同じ角度回転した位置に設置されることを特徴とする。
【選択図】図3
【解決手段】ガス放電チャンバの第1ウィンドウ(2)及び第2ウィンドウ(3)は、入射平面及び射出平面がフッ化カルシウム結晶の(111)結晶面に平行であり、チャンバ(1)内部から見て、フッ化カルシウム結晶内に入射したレーザ光が、第1ウィンドウ(2)及び第2ウィンドウ(3)それぞれの<111>軸と<001>軸を含む面を通過する配置に対して、第1ウィンドウ(2)及び第2ウィンドウ(3)は、<111>軸を中心として同じ角度回転した位置に設置されることを特徴とする。
【選択図】図3
Description
本発明は、ガス放電チャンバに関し、特に、エキシマレーザやフッ素分子レーザ等の半導体露光装置で使用される真空紫外レーザ装置に関するものである。
(露光用光源)
半導体集積回路の微細化、高集積化につれて、半導体露光装置においては解像力の向上が要請されている。このため、露光用光源から放出される光の短波長化が進められており、露光用光源には、従来の水銀ランプに代わってガスレーザ装置が用いられている。現在の露光用ガスレーザ装置としては、波長248nmの深紫外光を放出するKrFエキシマレーザ装置、並びに、波長193nmの真空紫外光を放出するArFエキシマレーザ装置が用いられている。次世代の露光技術として、露光用レンズとウエハー間を液体で満たして屈折率を変えることによって、露光光源の見かけの波長を短波長化する液浸技術をArFエキシマレーザ露光に適用しようとしている。ArFエキシマレーザ液浸では、純水を液浸液にした場合134nmの波長になる。また、次々世代の露光用光源として、波長157nmの真空紫外光を放出するF2(フッ素分子)レーザ装置によるF2 レーザ液浸露光が採用される可能性もある。F2レーザ液浸では、115nmの波長になると言われている。
半導体集積回路の微細化、高集積化につれて、半導体露光装置においては解像力の向上が要請されている。このため、露光用光源から放出される光の短波長化が進められており、露光用光源には、従来の水銀ランプに代わってガスレーザ装置が用いられている。現在の露光用ガスレーザ装置としては、波長248nmの深紫外光を放出するKrFエキシマレーザ装置、並びに、波長193nmの真空紫外光を放出するArFエキシマレーザ装置が用いられている。次世代の露光技術として、露光用レンズとウエハー間を液体で満たして屈折率を変えることによって、露光光源の見かけの波長を短波長化する液浸技術をArFエキシマレーザ露光に適用しようとしている。ArFエキシマレーザ液浸では、純水を液浸液にした場合134nmの波長になる。また、次々世代の露光用光源として、波長157nmの真空紫外光を放出するF2(フッ素分子)レーザ装置によるF2 レーザ液浸露光が採用される可能性もある。F2レーザ液浸では、115nmの波長になると言われている。
(露光用光学素子と色収差)
多くの半導体露光装置の光学系には、投影光学系が採用されている。投影光学系では、異なる屈折率を有するレンズ等の光学素子が組み合わされて色収差補正が行われる。現在、露光用光源であるレーザ波長の248nm〜157nmの波長(紫外線)域では、投影光学系のレンズ材料として使用に適する光学材料は、合成石英とフッ化カルシウム以外にはない。このため、KrFエキシマレーザ用の投影レンズとしては、合成石英のみで構成された全屈折タイプの単色レンズが採用され、ArFエキシマレーザ用の投影レンズとしては、合成石英とフッ化カルシウム で構成された全屈折タイプの部分色消しレンズが採用されている。ところが、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザの自然発振スペクトル線幅は約350〜400pmと広いために、これらの投影レンズを使用すると、色収差が発生して解像力が低下する。そこで、色収差が無視できるまでに、これらのガスレーザ装置から放出されるレーザ光のスペクトル線幅を狭帯域化する必要がある。このため、これらのガスレーザ装置には狭帯域化素子(エタロンやグレーティング等)を有する狭帯域化モジュールがレーザ共振器内に設けられ、スペクトル線幅の狭帯域化が実現されている。
多くの半導体露光装置の光学系には、投影光学系が採用されている。投影光学系では、異なる屈折率を有するレンズ等の光学素子が組み合わされて色収差補正が行われる。現在、露光用光源であるレーザ波長の248nm〜157nmの波長(紫外線)域では、投影光学系のレンズ材料として使用に適する光学材料は、合成石英とフッ化カルシウム以外にはない。このため、KrFエキシマレーザ用の投影レンズとしては、合成石英のみで構成された全屈折タイプの単色レンズが採用され、ArFエキシマレーザ用の投影レンズとしては、合成石英とフッ化カルシウム で構成された全屈折タイプの部分色消しレンズが採用されている。ところが、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザの自然発振スペクトル線幅は約350〜400pmと広いために、これらの投影レンズを使用すると、色収差が発生して解像力が低下する。そこで、色収差が無視できるまでに、これらのガスレーザ装置から放出されるレーザ光のスペクトル線幅を狭帯域化する必要がある。このため、これらのガスレーザ装置には狭帯域化素子(エタロンやグレーティング等)を有する狭帯域化モジュールがレーザ共振器内に設けられ、スペクトル線幅の狭帯域化が実現されている。
(液浸リソグラフィーと偏光照明)
上記したように、ArFエキシマレーザ液浸リソグラフィーの場合、媒体としてH2 Oを使用したとき、屈折率が1.44になるため、屈折率に比例するレンズ開口数NAは原理的に従来の開口数に対して1.44倍に増やすことができる。NAが高くなるにつれ、光源であるレーザ光の偏光の影響が大きくなる。偏光の向きがマスクパターンの方向に平行であるTE偏光の場合は影響がないが、それが直交するTM偏光の場合は、像のコントラストが低くなってしまう。これは、後者の場合、ウエハー上の焦点における電界のベクトルが異なる方向であるため、ウエハーへの入射角が大きくなるに従い、電界のベクトルが同一である前者に比べ、強度が弱くなってしまうためである。この影響はNAが1.0に近づくか超える場合に強くなり、ArFエキシマレーザ液浸はこの場合に該当する。そのため、以上のように露光装置の照明系では、所望の偏光状態を制御する必要がある。この偏光照明の制御には、露光装置の照明系に入力されるレーザの偏光状態が所望軸方向の2直線偏光であることが要求されている。
上記したように、ArFエキシマレーザ液浸リソグラフィーの場合、媒体としてH2 Oを使用したとき、屈折率が1.44になるため、屈折率に比例するレンズ開口数NAは原理的に従来の開口数に対して1.44倍に増やすことができる。NAが高くなるにつれ、光源であるレーザ光の偏光の影響が大きくなる。偏光の向きがマスクパターンの方向に平行であるTE偏光の場合は影響がないが、それが直交するTM偏光の場合は、像のコントラストが低くなってしまう。これは、後者の場合、ウエハー上の焦点における電界のベクトルが異なる方向であるため、ウエハーへの入射角が大きくなるに従い、電界のベクトルが同一である前者に比べ、強度が弱くなってしまうためである。この影響はNAが1.0に近づくか超える場合に強くなり、ArFエキシマレーザ液浸はこの場合に該当する。そのため、以上のように露光装置の照明系では、所望の偏光状態を制御する必要がある。この偏光照明の制御には、露光装置の照明系に入力されるレーザの偏光状態が所望軸方向の2直線偏光であることが要求されている。
非特許文献1には、露光装置のレーザ偏光に関する記載がある。
一般に、偏光光の偏光状態(すなわち直線偏光、楕円偏光及び円偏光)は、互いに垂直な偏光成分の和で記述される。一方、非偏光は、互いに垂直な偏光成分の光強度は均等となる。
ここで、本明細書において、露光装置が要求するレーザ光の偏光状態を示すパラメータを以下に新しく定義する。全体のレーザ光に対して所望軸方向の偏光成分の割合を直線偏光度(LP)と定義する。
直線偏光度は、所望軸方向で計測される直線偏光成分の光強度とレーザ光全体のエネルギーの割合であり、レーザの偏光は、直線偏光度が高く維持されることが要求されている。
レーザの直線偏光度LPは以下に示すような方法で計測される。図28に示されるように、偏光子(ローションプリズム)を光軸中心に回転させて、透過光強度の最大値Imax及び最小値Iminを測定したときに、直線偏光度は、以下の式で示される。
LP=(Imax−Imin)/(Imax+Imin) ・・・(1)
LP=(Imax−Imin)/(Imax+Imin) ・・・(1)
ここで、Imaxをローションプリズムの設置角度γ=0°を所定軸方向成分とすると、Iminのローションプリズムの設置角度はγ+90°となる。
これ以降の記述では、偏光状態とは、直線偏光または円偏光または楕円偏光を表し、直線偏光度は(1)式で表現されるパラメータとする。
(直線偏光度を高めるための従来技術)
レーザ光の直線偏光度を高めるための技術として、これまでに特許文献1と特許文献2に記載の技術がある。
レーザ光の直線偏光度を高めるための技術として、これまでに特許文献1と特許文献2に記載の技術がある。
特許文献1に記載のものは、レーザに使用する光学素子のフッ化カルシウム結晶の(100)面に対して垂直にレーザ光の光軸が透過するようにして、光学素子内部を光が通過するときに受ける真性複屈折による直線偏光度の悪化を防ぐ方法である。
しかしながら、上記の従来技術には、次に述べるような問題がある。
レーザ光の直線偏光度はレーザ装置内の光学素子をレーザ光が通過するときに、光学素子の複屈折によって悪化する。複屈折には、外部からの機械応力や熱応力による応力複屈折と、それらの応力が無い状態でも、その結晶構造によって発現する本来的に存在する真性複屈折がある。
特許文献1に記載のものでは、光学素子の(100)面に垂直にレーザ光が通過するように配置することによって、真性複屈折による直線偏光度の悪化を防いでいるが、応力を与えたときに発生する応力複屈折は、(100)面に垂直な<100>方向が最も大きく、チャンバウィンドウとして使用する場合、ウィンドウのホールド時の応力やチャンバ内の数気圧のガスによる圧力、また、レーザ照射による発熱応力等によって応力複屈折が発生する可能性がある問題があった。
すなわち、従来のレーザのガス放電チャンバ用に搭載しているフッ化カルシウム結晶のウィンドウは真性複屈折の問題を主に解決する方法が提案されていが、フッ化カルシウムウィンドウ結晶の機械及び熱応力による複屈折の問題が発生していた。
また、カット面は(111)面と17.58°または26.76°をなす角度でカットして、このカット面をチャンバウィンドウの両面としているため以下の2つの課題が発生していた。一つは、このカット面を表面荒さが小さな高精度研磨ができないため、レーザ照射による表面損傷の閾値が低くなっていた。二つ目は、チャンバウィンドウとして使用する場合、約4000hPaのガス圧力がかかるため、例えば、壁界しやすい(111)面で、破損する可能性があった。さらに、カット面を(111)面と17.58°でカットした場合には、チャンバウィンドウと光軸とのなす角度は、70°となり、P偏光とS偏光のフレネル反射がそれぞれ4.2%と30.0%なり、このウィンドウを透過することにより、P偏光成分は選択されるが、P偏光のフレネル反射が大きいため、レーザの出力を確保することができないという問題があった。
ここで、レーザの場合は、レーザ共振器内で、レーザ光が2枚のウィンドウが設置されたガス放電チャンバを何回も往復するため、P偏光のフレネル反射が4.5%でもレーザの出力が低下する課題があった。
そこで、特許文献2のように、2つの平面を備えて紫外線がその1つの平面2から入射し、他の平面から射出するフッ化カルシウム結晶からなるウィンドウ等の紫外線ガスレーザ用光学素子において、少なくとも一方の平面がフッ化カルシウム結晶の(110)結晶面に平行である紫外線ガスレーザ用光学素子により、真性複屈折及び応力複屈折による直線偏光度の悪化を防止すると共に、カット面を平滑にしてレーザ照射により割れや欠陥の発生を防止する技術が開示されている。
Denis G. Flagello, Steve Hansen, Bernd Geh, Michael Totzeck,"Challenges with Hyper-NA(NA>1.0)Polarized Light Lithography for Sub λ/4 resolution"Proceedings of SPIE Vol.5754(2005)p.53-68
しかしながら、特許文献2に示す技術では、真性複屈折及び応力複屈折による直線偏光度の悪化を防止すると共に、フッ化カルシウム結晶のカット面を(110)面にすることにより、ウィンドウに対して垂直方向にかかるチャンバガス圧力やウィンドウをホールドするための機械応力によって、使用時に、へき開する可能性があった。すなわち、結晶内部でへき開面である(111)面に沿ってスリップしたり、これにより、ウィンドウが割れたりしてしまう可能性があった。
本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、機械応力(ウインドウホルダやガス圧力)と光の吸収による熱応力等により破損する現象を低減し、出力レーザ光の直線偏光度を高くすると共に、強い紫外線(特にArF)レーザ光照射による直線偏光度の低化を抑制するフッ化カルシウム結晶を用いたガス放電チャンバを提供することである。
そのために、第1発明のガス放電チャンバは、チャンバと、チャンバ内部に封入されたレーザガスと、そのレーザガスを励起する手段と、励起されたレーザガスから発生する光がチャンバ外部へ出射するためにチャンバに設けられた第1ウィンドウ及び第2ウィンドウとを有し、前記第1ウィンドウ及び前記第2ウィンドウが光軸上に沿って配置されているガス放電チャンバにおいて、前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウは、複屈折性を有した結晶であって、前記第1のウィンドウに入射するレーザ光の第1の偏光状態から前記第1のウィンドウを透過して第2の偏光状態に変換され、前記第2の偏光状態のレーザ光が前記励起されたレーザガス中を通過し、前記第2のウィンドウを透過して、前記第2の偏光状態から前記第1の偏光状態に略変換されるように前記第1のウィンドウ及び第2のウィンドウの結晶をレーザ光軸に対して配置したことを特徴とする。
そして、第2発明は、第1発明において、前記第1の偏光状態と第2の偏光状態が略一致するように前記第1のウィンドウ及び第2のウィンドウの結晶をレーザ光軸に対して配置されることを特徴とする。
さらに、第3発明は、第1及び第2発明において、前記チャンバの前記第1ウィンドウ及び前記第2ウィンドウは略同じ方向に傾けて設置され、前記第1の偏光状態は第1ウィンドウ及び第2ウィンドウのP偏光に対して、直線偏光であることを特徴とする。
そして、第4発明は、第3発明において、前記第2の偏光状態は楕円偏光であることを特徴とする。
さらに、第5発明のガス放電チャンバは、チャンバと、チャンバ内部に封入されたレーザガスと、そのレーザガスを励起する手段と、励起されたレーザガスから発生する光がチャンバ外部へ出射するためにチャンバに設けられた第1ウィンドウ及び第2ウィンドウとを有し、前記第1ウィンドウ及び前記第2ウィンドウが光軸上に沿って配置されているガス放電チャンバにおいて、前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウは、入射平面及び射出平面がフッ化カルシウム結晶の(111)結晶面に平行であり、前記チャンバ内部から見て、前記フッ化カルシウム結晶内に入射したレーザ光が、前記第1ウィンドウ及び前記第2ウィンドウそれぞれの<111>軸と<001>軸を含む面を通過する配置に対して、前記第1ウィンドウ及び前記第2ウィンドウは、<111>軸を中心として同方向へ同じ角度回転した位置に設置されることを特徴とする。
すなわち、ガス放電チャンバに設置した前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウは、複屈折性を有した結晶であって、前記第1のウィンドウに入射するレーザ光の第1の偏光状態から前記第1のウィンドウを透過して第2の偏光状態で前記励起されたレーザガス中を通過し、前記第2の偏光状態のレーザ光が前記第2のウィンドウを透過して、前記第1の偏光状態に略戻るように前記第1のウィンドウ及び第2のウィンドウの結晶をレーザ光軸に対して配置する。これにより、ガス放電チャンバ内をレーザ光が透過または往復しても直線偏光度の低下を抑制できる。
そして、前記第1の偏光状態と第2の偏光状態が略一致するように前記第1のウィンドウ及び第2のウィンドウの結晶をレーザ光軸に対して配置することにより、ガス放電チャンバ内をレーザ光が透過または往復しても直線偏光度の低下を抑制できる。
さらに、前記チャンバの前記第1ウィンドウ及び前記第2ウィンドウは略同じ方向に傾けて設置され、前記第1の偏光状態は第1ウィンドウ及び第2ウィンドウのP偏光に対して、直線偏光とすることによって、第1ウィンドウ及び第2ウィンドウの表面におけるP偏光のフレネル反射を低減できるのでレーザの共振器ロスを低減し、増幅効率が高くなる。
また、本発明のガスレーザ用光学素子は、結晶表面を(111)面とすることにより、表面粗さが小さな高精度研磨が可能となり、潜傷によるレーザ照射による光の吸収を防ぎ表面損傷を防止することが可能となる。
また、チャンバ内部から見て、フッ化カルシウム結晶内に入射したレーザ光が、第1ウィンドウ及び第2ウィンドウそれぞれの<111>軸と<001>軸を含む面を通過する配置に対して、第1ウィンドウ及び第2ウィンドウは、<111>軸を中心として同方向へ同じ角度回転した位置に設置されるので、ウィンドウでの応力複屈折の影響を2枚組み合わせることによって、キャンセルすることができる。
さらに、チャンバ電極等の劣化による出力低下分を補償するためのチャンバ内のレーザガス圧力増加に対して、レーザ直線偏光度の低下を防止することができる。また、2枚のウィンドウの劣化具合が同じである場合は、キャンセル効果によって、素子の劣化による直線偏光度の低下を防止することができる。
以下、本発明に係る実施形態の紫外線ガスレーザ用光学素子及び紫外線ガス放電チャンバについて説明する。
図1は、フッ化カルシウムの結晶格子を示す。本実施形態では、フッ化カルシウムの結晶は、結晶方位に合わせて(111)面でカットされる。フッ化カルシウム結晶は、図1に示すような、面心立方格子で構成されている。
図2に示すように、フッ化カルシウム結晶の軸<001>、<100>に対する光の進行方向Lの角度θとφを定義すると、図2のφ=45°、θ=54.74°の方向が<111>軸方向となる。(111)面の表面は他の結晶軸表面よりも、一番硬いため、表面粗さが小さく、潜傷が少ない研磨が可能となる。
図3及び図4は、本実施形態によるフッ化カルシウムのウィンドウを用いたチャンバ1を示す。図3は、チャンバ1を示す図、図4(a)は、第1ウィンドウ2をチャンバ内部の矢印Aから見た図、図4(b)は、第2ウィンドウ3をチャンバ内部の矢印Bから見た図である。
チャンバ1には、前記のように、光軸L上に2つの第1ウィンドウ2及び第2ウィンドウ3が取り付けてある。図示しない発振段レーザから発振されたレーザ光は、チャンバ1に入射するように構成されている。レーザ光は、第1部分反射ミラー4及び第2部分反射ミラー5により第1及び第2ウィンドウ2,3を多数往復する。
すなわち、発振段レーザから発振されたレーザ光は部分反射ミラー4の裏面からシード光として注入される。チャンバ1の第1ウィンドウ1及び第2ウィンドウ2は略同じ方向にブリュースタ角度に傾けて設置されている。シードレーザ光は、これら第1及び第2ウィンドウのP偏光の方向に直線偏光で入射する。そして、このシード光は、チャンバ1に設置されている第1のウィンドウ2を透過する。さらに、チャンバ1内部で放電励起されたレーザ媒体を通過することによってシード光が増幅され、第2のウィンドウ3を透過し、部分反射ミラー5に入射する。ここで、部分反射ミラーにより一部は透過し出力レーザ光として外部に出力され、一部は反射されて、再び第2のウィンドウ3を透過する。そして、チャンバ1内部で図示しない放電電極により放電励起されたレーザ媒体を再び通過することによってさらにレーザ光が増幅され、第1のウィンドウ2を透過して、部分反射ミラー4に入射する。そして、この部分反射ミラー4を反射したレーザ光が再び、第2のウィンドウに入射することを繰り返すことによって、部分反射ミラー4と部分反射ミラー5の間で複数回往復して増幅発振する。その結果、増幅段の光特性(スペクトル線幅等)が維持された状態で、増幅光が部分反射ミラー5から出力される。このように、第1及び第2ウィンドウに対してP偏光の直線偏光をシード光として注入することにより、第1及び第2ウィンドウでのP偏光のフレネル反射が小さいので、効率よくシード光を増幅することができる。第1及び第2ウィンドウの設置角度はブリュースタ角度で設置することが望ましいが、P偏光の反射率が小さな45度から62度の範囲であれば大きな問題は発生しない。
本実施形態では、図3に示すように、レーザ光軸Lに対して傾けて設置されるウィンドウとして、フッ化カルシウム結晶を両面とも(111)面でカットした第1ウィンドウ2及び第2ウィンドウ3を用いる。そして、本実施形態では、図4(a)及び図4(b)に示すように、チャンバ1の内部から見て(図3の矢印A,B参照)、第1ウィンドウ2及び第2ウィンドウ3それぞれを、結晶内に入射したレーザ光が<111>軸と<001>軸を含む面を通過する配置から、<111>軸を中心軸として2枚とも略同じ角度θ°回転した位置に設置する。ここで、角度θ°は反時計回りの方向を正とし、反時計周りの方向を負とする。
レーザ光を1パスで見た場合は、1パスの光軸Lに対して、結晶方位の角度が(−θ、+θ)となるため、位相差の変化をキャンセルすることができると推定される。
すなわち、第1ウィンドウに入射する偏光状態が第1のウィンドウを透過することによって第2の偏光状態に変化する。そして、第2の偏光状態のレーザ光が第2ウィンドウを透過することによって、第1の偏光状態に略戻るように前記第1及び第2のウィンドウのフッ化カルシウム結晶の方位をレーザの光軸に対して配置している。これにより、第1ウィンドウ及び第2ウィンドウ透過することによってレーザの偏光状態がほとんど変化することがなく、部分反射ミラー4及び部分反射ミラー5のミラー間を複数回往復しても、部分反射ミラー5から出力される増幅レーザ光の偏光状態は、発振段からのシード光の偏光状態が維持される。
なお、角度を決定する時は、事前にX線回折分析を行い、結晶方位<001>軸、<010>軸、<100>軸を計測しておくと良い。ウィンドウの<001>軸、<010>軸、<100>軸方向の側面に印を付けておき、その印に従って、角度θ°回転させて取り付けるようにすると効率が良い。
次に、光軸Lがウィンドウを通過する状態について説明する。なお、ここでは、第2ウィンドウ3について説明するが、第1ウィンドウ2については第2ウィンドウ3と同様に構成されるので、説明は省略する。
図5は、本実施形態によるフッ化カルシウムを用いた回転前の第2ウィンドウ3を示す断面図、図6は、回転後の第2ウィンドウ3を示す上面図である。
図5は、フッ化カルシウム結晶を<001>軸、<110>軸及び<111>軸を含む断面で見た図である。フッ化カルシウム結晶からなる第2ウィンドウ3は、(111)面に対して、平行な面の第1表面3a及び第2表面3bで研磨されている。例えば、本実施形態では、<001>軸、<110>軸及び<111>軸を含む面内で、入射角度α=55.7°でフッ化カルシウム結晶基板に対してレーザビームが第2ウィンドウ23の中央に入射する。すると、第1表面3aにおいて、光がスネルの法則にしたがって、屈折角度β=33.4°で屈折する。この時、フッ化カルシウム内部の屈折光軸Lがフッ化カルシウム結晶の<001>軸、<110>軸及び<111>軸を含む面内で、且つ、<111>軸と<001>軸のなす角度の間(0°<γ<54.7°)を透過するように、フッ化カルシウム結晶を配置する。そして、フッ化カルシウム結晶内を透過して、第2表面3bで再び、第1表面3aと同様にスネルの法則にしたがって、レーザ光は、<001>軸、<110>軸及び<111>軸を含む面内で、出射角α=55.7°で第2ウィンドウ3から出射する。
この実施例では、ウィンドウへの入射または出射角度をα=55.7°の例を示したが、この実施例に限定されることなく、ウィンドウのP偏光に対するフレネル反射によりレーザの出力が低下しない範囲例えば、α=45°から62度程度の範囲であってもよい。
本実施形態では、この状態から第2ウィンドウ3を、<111>軸を中心軸として角度θ回転した位置に設置する。
図6はフッ化カルシウム結晶を<111>軸の真上から見た図であり、フッ化カルシウム結晶の各面方位軸を放射状に示している。フッ化カルシウム結晶は、図1に示したような面心立方格子であるため、結晶方位の軸は<111>軸を対称軸とすると3回対称となる。したがって、フッ化カルシウム結晶ウィンドウの<111>軸の真上から見て、<001>軸を基準軸とし、時計回りの角度を負とし、反時計回りの角度を正とすると、<001>軸と<011>軸とのなす角度−60度、<001>軸と<010>軸となす角度は−120度、<001>軸と<110>軸とのなす角度は180度、<001>軸と<101>軸とのなす角度は60度、<001>軸と<100>軸とのなす角度は120度となる。なお、<001>軸と<110>軸とのなす角度は−180度(=180度)とも表記できる。
図6に示すように、第2ウィンドウ3は、結晶内に入射したレーザ光が<111>軸と<001>軸を含む面を通過する配置に対して、<111>軸を中心軸として角度θ°回転した位置に設置される。
次に、複屈折による偏光の変化を説明する。一般に、結晶内を伝播する光は、互いに直交する2つの直線偏光の波の線形結合であり、それぞれの位相速度と振幅の大きさで、偏光状態と偏光方向が決まる。結晶内に熱応力や機械応力等による複屈折が発生すると、結晶中を伝播する光ビームの位相速度がその偏光方向に依存してずれていく。これにより、結晶中を伝播する光は、結晶中の互いに直交する進相軸と遅相軸方向の2方向に分けた時、2方向の伝播する光の速度(複屈折であるため)が異なることによって、それぞれの位相が変化する。
この現象のため、図7に示すように、例えば、直線偏光を入射した場合、楕円偏光(2つ成分の位相差が90°ずれた場合は円偏光)となって、偏光状態が変化して出射する。
図7に示す偏光状態の変化に関して、以下に詳しく説明する。結晶の光学軸が図に示すように、結晶の両側面に対して垂直方向に配置されている。ここで、光学軸は水平面であって、進相軸となっている場合を考える。そして、位相差δ=0°の直線偏光が結晶の光学軸(進相軸)に対して45度の偏光方向で入射したと過程する。この直線偏光の光が結晶を透過することによって、直線偏光の進相軸成分(Ey)と遅相軸成分(Ex)の位相がδだけずれる。その結果、結晶を透過した直線偏光は楕円偏光に変換される。ここで、δ=90°の場合は円偏光に変換される。
複屈折による位相差の大きさは、光が伝播する結晶方位によって異なる。光学軸となる結晶方位に伝播した場合は、複屈折性が無いため、位相差は0である。フッ化カルシウム結晶の真性複屈折のみを考えた場合では、光学軸は、<111>軸と<001>軸、<100>軸又は<010>軸とこれに等価な軸となる。
図8に、直線偏光が結晶の複屈折によって位相差が発生する状態を模式的に示す。すなわち、直線偏光の光を進相軸成分(Ey)と遅相軸成分(Ex)2つの成分に分解して、光の進行方向をz軸として、進相軸成分(Ey)と遅相軸成分(Ex)複屈折によって位相差δが発生した場合の光の状態を示す。また、図8に示すように、入射する光の偏光方向が、結晶の進相軸または遅相軸と平行もしくは、垂直であれば、2成分に分かれないため、位相差は発生しない。
次に、チャンバ1で使用する光入射角に計測用ウィンドウ102を設置して、<111>軸を中心軸として回転させ、光の伝播方向の結晶方位を変化させて、その偏光状態の変化を観測した結果を示す。
図9は、偏光状態観測実験系を示す図である。使用したレーザ光は直線偏光の狭帯域ArFレーザ101(4kHz,10mJ)を用い、チャンバウィンドウで使用する場合を模擬できるように、計測用ウィンドウ102は、入射角α=55.7°で設置し、入射するレーザの偏光方向も、実際の装置と合わせて、図9に示すように紙面と平行方向で入射させた。計測用ウィンドウ102を通過したレーザ光は、直線偏光度計測器103に入れて、その直線偏光度を計測した。直線偏光度計測器103では、光路を折り返すことによって、反射するレーザ光の各偏光成分の光強度が変化しない様に、2枚の折り返しウィンドウ104a,104bを使用している。
ここで、2枚の折返しウィンドウ104a,104bの作用に関して詳しく説明する。計測用ウィンドウ102を透過したレーザ光は、入射角45度の角度で折返しウィンドウ104aに入射し、表面反射で45度の角度で紙面に対して垂直な平面内で反射させる。そして、入射角45度の角度で折返しウィンドウ104bに入射し、表面反射で45度の角度で紙面に対して垂直な平面内で反射させる。これら2枚の折り返しウィンドウ104a,104bを各々1回表面反射した光は、ウィンドウ104bの表面反射した光のP偏光成分とS偏成分の反射率が異なる。そこで、ウィンドウ104bの表面反射によって、このP偏光がS偏光として反射し、S偏光がP偏光として反射するため反射率がキャンセルされる。その結果、ウィンドウ104bを反射した光は光計測用ウィンドウ102を透過した光Lの各偏光成分の光強度を一致させることができる。
ローションプリズム(偏光子)105を通過し、センサ106で出力を計測する。そして、ローションプリズム105を回転させて出力を計測し、前述した式(1)で、直線偏光度を計測した。図10に示すように、計測用ウィンドウ102は、(111)面カットのものを使用し、<111>軸を回転中心として、10°間隔で回転させながら、0°〜約180°の範囲にわたって、その直線偏光度の変化を計測した。
図11は、入射レーザ光の直線偏光度を0.999の場合の回転角度に対する直線偏光度の計測結果を示すグラフである。θ=0°は、光軸Lが<001>軸方向であることを示す。回転角度θのプラス方向は、計測用ウィンドウ102を反時計方向に回転させた時を示す。
図11に示すように、θ=30°,90°,150°と略60°間隔で、直線偏光度が低下しているのが分かった。逆に、θ=0°,60°,120°の方位では、直線偏光度がほとんど変化していないことが分かった。これにより、<001>軸, <101>軸の方向に光が伝播した場合は、その位相差は変化せず、その中間の角度で、位相差が変化していることが分かった。特に、<001>軸方向から、30°ずれた角度が、位相差変化の変極点となっていることが分かった。
図12は、入射レーザ光の直線偏光度を0.971の場合の回転角度に対する直線偏光度の計測結果を示すグラフである。この結果も、同じ様に、θ=0°,60°,120°付近で、透過後のレーザ直線偏光度は入射光と同じで変わらないが、θ=30°,90°,150°付近で直線偏光度の変化が最大になっている。
さらに詳しく説明すると、計測用ウィンドウ102を透過したレーザ光の直線偏光度はθ=0°,60°,120°付近では、入射レーザ光の直線偏光度と略同じとっているが、θ=30°,150°付近では極大となり、θ=60°付近で極小となった。また、回転角度θ=0°及び120°の場合と60°の場合を比較すると、60°の場合は直線偏光度が極大点となり、入射した直線偏光度と同じ直線偏光度を維持している。このため、回転角度θ=0°及び120°の場合に比べて、回転角度の設置精度が回転角度θ=60°のほうが悪くても直線偏光度を維持できるメリットがある。フッ化カルシウム結晶は3回対称の結晶構造であるため、θ=120°及び−120°でも同様な結果になると推定される。
このような回転角度と直線偏光度関係が図12のグラフのようになった推定原因を以下に述べる。つまり、回転角度0°(<001>軸), 60°(<101>軸)の方向に光が伝播した場合は、その位相差はほとんど変化せず、その中間の角度で、位相差が変化していると推定している。特に、<001>軸方向から、30°、90°ずれた角度が、位相差変化の変極点(それぞれ、極大点と極小点)となっている。位相変化により直線偏光度が良くなるのは、結晶を通過することによって、もともとずれていた位相差が小さくなる方向へシフトしたためであると推定している。
ここで、図11と図12の共通の点は、回転角度θ=0°、60°及び120°では、計測用ウィンドウ102を透過しても、レーザ光の直線偏光度がほとんど変化していないことである。
図13は、入射光の直線偏光度が約0.995、繰り返し周波数4kHzの条件で、パルスエネルギーを変化させた時の回転角度に対する直線偏光度の計測結果を示すグラフである。入射光のエネルギーが大きくなるにつれて回転角度θ=−30°,30°,90°付近の極小値が小さくなることが判明した。
この計測結果の推定原因を以下に述べる。入射するレーザ光のパルスエネルギーを変化させた時、位相差の大きさが変化していると推定される。つまり、ウィンドウのレーザ光の吸収により熱が発生し、その結果、熱応力による応力複屈折の大きさが変化していると推定される。このため、この特性は、応力複屈折に対する特性であり、<001>軸や<101>軸方向(回転角度θ=0°や60°の軸)では複屈折性がほとんどなく、その中間の30°で、位相差が最大になることが分かった。
以下に、図15、図16及び図17を使用して、第1のウィンドウ及び第2のウィンドウを透過させることによって、直線偏光度を変化させない推定原理に関して説明する。
図14及び図15は、レーザ光が2枚のウィンドウを通過する図であり、図16は、ウィンドウの回転角度と位相変化を模式的に示すグラフである。図14はレーザ光が2枚のウィンドウを通過する断面図、図15(a)は第1ウィンドウを図14の矢印Cから見た図、図15(b)は第1ウィンドウを図14の矢印Dから見た図である。
図14及び図15に示すように、1枚のウィンドウで、結晶方位を+θの位置にすると、光の位相差dを+δ変えることができる。逆に、結晶方位を−θの位置にすると、光の位相差dを−δ変えることができる。そのため、+θと−θの角度に合わせた2枚のウィンドウを組み合わせることによって、図16に示すように、どんな偏光状態の光を入れても、2枚のウィンドウを通過することによって元の偏光状態に戻る。その結果、直線偏光度の変化(低下)を低減することが可能となる。
また、1枚のウィンドウの熱応力による偏光状態の変化を2枚目のウィンドウで元に戻す(位相差変化のキャンセル)ことができる。つまりウィンドウでの応力複屈折の影響を2枚組み合わせることによって、キャンセルすることができる。位相差の振幅(変化)δは、フッ化カルシウム結晶のメーカやグレードによって異なる。2枚を組み合わせ、キャンセル効果を効率良く得るには、その位相差の振幅(変化)が同じである同メーカ同グレードのものを組み合わせると良い。
次に、実験用チャンバ221を設置して、<111>軸を中心軸として実験用第1及び第2ウィンドウ222,223を回転させ、光の伝播方向の結晶方位とチャンバのガス加圧量を変化させて、その直線偏光度の変化を観測した結果を示す。
図17及び図18は、実験用チャンバ221を用いた直線偏光度観測実験系を示す図である。図17に示す様に、実験用第1及び第2ウィンドウ222,223を有し、内部にガス圧力を印加できる実験用チャンバ221を製作し、ここにレーザ光を透過させ、直線偏光度計測器224で、その影響を計測した。
図18(a)は実験用チャンバ221を図17の矢印Cから見た実験用第1ウィンドウ222、図18(b)は実験用チャンバ201を図17の矢印Dから見た実験用第2ウィンドウ223である。この実験では、<111>軸を中心軸として実験用第1ウィンドウ222を+90°、実験用第2ウィンドウ223を−90°回転させる第1の配置と、<111>軸を中心軸として実験用第1及ウィンドウ222を+90°、実験用第2ウィンドウ223を+90°回転させる第2の配置とで直線偏光度を比較した。ここで、角度は反時計回りが正の符号で、時計回りが負の符号を示している。
図19は、ガス加圧量に対する直線偏光度の計測結果を示すグラフである。同じ方向に結晶方位を配置した第2の配置(+90°、+90°)の場合は、その影響を2倍受け、直線偏光度がガス圧力増加による機械応力の増加に伴い低下していくのが分かる。しかし、実験用第1及び第2ウィンドウ222,223を第1の配置(+90°、−90°)にすると、直線偏光度は、ガス圧力による機械応力を増加させても変化(低下)しなかった。この特性は、(+30°、−30°)、(+0°、−0°)に配置しても同じであり、(+30°、−30°)、(+0°、−0°)の配置の場合も直線偏光度は、変化しなかった。したがって、実験用第1及び第2ウィンドウ222,223を第1の配置のようなキャンセル配置にすることで、ガス圧力による機械応力が加わっても、直線偏光度の低下を低減することができる。
また、この配置は、次の理由でも、有効である。
(1)レーザ装置として使用時、チャンバ電極等の劣化により、出力が低下する。この出力低下分を補償するため、チャンバ内のレーザガスの圧力を増加させている。よって、本発明の結晶方位の関係でない場合は、このガス圧力増加による応力複屈折の増加による影響を受けて、レーザの直線偏光度が低下することが予測される。しかし、本発明の配置をすることによって、このガス圧増加によるレーザ直線偏光度の低下を防止することができる。
(2)レーザ使用時、ウィンドウ自身も光照射により劣化する。主に、吸収の増加により、熱応力が増加していくものと推測される。この場合、チャンバウィンドウとして使用される2枚のウィンドウの劣化具合が同じであれば、本発明のキャンセル効果によって、素子の劣化による直線偏光度の低下を防止することができる。
以上、本実施形態のガスレーザ用光学装置について説明した。その例を説明するために、図20に、2ステージレーザシステムの主として光学系の概略の構成と、その中での本発明による紫外線ガスレーザ用光学装置の配置例を示す。
2ステージレーザシステムは、発振段レーザ10とその発振段レーザ10から発振されたレーザ光(シード光)を入射させて増幅する増幅段レーザ20とからなるもので、特に狭帯域で40W以上の高出力が必要な露光用のArFエキシマレーザ装置やF2レーザ装置に期待されているものである。
発振段レーザ10にはレーザガスが封入されるチャンバ11と、共振器を構成する狭帯域化モジュール14及び出力鏡としての部分反射ミラー15とが含まれ、さらに、図示していないレーザガス励起システムや制御系、さらには、冷却系、ガス交換システム等が含まれる。
チャンバ11には、前記のように、光軸L上に2つのウィンドウ12と13が取り付けてある。また、狭帯域化モジュール14には、ビーム拡大光学系を構成する単数あるいは複数のビーム拡大プリズム16(図では2個)と、狭帯域化素子としてのグレーティング17(又はエタロン)が含まれる。図示されているグレーティング17はリトロー配置されており、入射角度と回折角度が同じとなるように配置されている。このリトロー配置では、狭帯域化素子すると同時に、発振段レーザ10のリアミラーの役目も果たしている。狭帯域化素子としてエタロンが使用された場合は、リアミラーをエタロンの後ろに配置する必要がある。
増幅段レーザ20も、レーザガスが封入されるチャンバ21と、共振器を構成する部分反射ミラー24、25とが含まれ、さらに、図示していないレーザガス励起システムや制御系、さらには、冷却系、ガス交換システム等が含まれる。
チャンバ21には、光軸L上に2つのウィンドウ22と23が取り付けてある。なお、図20においては、発振段レーザ10から発振されたレーザ光は、ミラー18と19でそれぞれ反射されて増幅段レーザ20に入射するように構成されている。レーザウィンドウは発振段及び増幅段レーザの共振器内に配置されているので、レーザ光が多数(複数回)往復する。
以下に発振段レーザから出力されたレーザ光のモニタ、レーザ光の増幅、及び光学パルスストレッチ機構に関して詳しく説明する。
この発振段レーザ10から出力されたレーザ光はまずミラー18により高反射される。そして、発振段レーザパワーモニタ30に入射する。この発振段レーザパワーモニタ30には、第1ビームスプリッタ31と光センサ32により構成されている。
発振段レーザ光はビームスプリッタ31により、一部反射され、光センサ32に入射する。ここで、発振段レーザ10の出力をモニタしている。第1ビームスプリッタ31を透過したレーザ光はミラー10により高反射されて、シード光として、部分反射ミラー24の裏面から注入される。そして、増幅段レーザの共振器である部分反射ミラー24と部分反射ミラー25の中に注入される。
シード光が注入されると同期して、図示しないチャンバ21内に設置されている放電電極による放電によりレーザガスが励起される。この励起ガス中をシード光が通過することにより増幅される。ここで、シード光の第1の偏光状態は第1ウィンドウ22を透過することにより、第2偏光状態に変換され、励起領域を通過することにより増幅される。そして、第2ウィンドウ23を透過することにより、再び第1の偏光状態に戻る。
部分反射ミラー25に到達して、一部のレーザ光の透過光は、レーザ光として出力され、一部の光は反射してフィードバック光として部分反射ミラー24と部分反射ミラー25からなる共振器中に戻る。このフィードバック光の偏光状態は第1の偏光状態で、第2ウィンドウ23に入射し、透過することによって、第2ウィンドウ23を透過して、第2の偏光状態に変換される。そして、このレーザ光は増幅領域を通過増幅し、第1ウィンドウ22を透過することにより再び第1の偏光状態に変換される。そして、部分反射ミラー24によって、一部のレーザ光を反射して、再び第1の偏光状態のレーザ光で第1ウィンドウに入射する。このようにして、シード光を増幅発振させることによって、発振段レーザから出力されたレーザ光のスペクトルと偏光状態を維持した状態で、高出力化が可能となる。
さらに、部分反射ミラー25から出力されたレーザ光はモニタモジュール40に入射する。モニタモジュール40内部には出力レーザ光をサンプルするための第2ビームスプリッタ41が配置されている。このサンプル光は出力レーザ光のパルスエネルギーとスペクトルを検出するためのパワー及びスペクトル検出器42に入力される。モニタモジュール40を通過したレーザ光は、レーザパルスの時間幅を長くするための光学パルスストレッチャ50に入射する。
光学パルスストレッチャ50は、レーザビームの一部を光学遅延回路に入力するための第3ビームスプリッタ51と光学遅延回路を構成する4枚の高反射ミラー52からなっている。レーザ光は第3ビームスプリッタ51により一部の光は、そのまま通過し図示しない露光装置に入力される。一方、第3ビームスプリッタ51により反射された光は4枚の高反射ミラー52から構成している光遅延回路により、遅れたレーザパルス光が再び第3ビームスプリッタ51に到達し、一部の反射光は露光装置に入力される。一方、一部の透過光は再び光学遅延回路に入射する。これを繰り返すことによって、露光装置にパルス幅が伸張させたレーザパルスを露光装置に供給できる。
ところで、レーザの出力高いビームが通過する第2ビームスプリッタ及び第3ビームスプリッタは熱応力による複屈折が発生すると予測され、直線偏光度を悪化させる可能性がある。そこで、(111)面で研磨されたフッ化カルシウム結晶をビームスプリッタとして採用し、図11のグラフに示したように、<111>軸を中心に回転角度θ=0°,60°120°、180°(=−180°)、−60°、−120°付近に配置することによって、直線偏光度の悪化を抑制することができる。また、第1ビームスプリッタ31も同様な結晶と配置にすることによって、発振段レーザの出力光の直線偏光度をほとんど悪化させずにシード光として増幅段レーザ20に注入することができる。
したがって、フッ化カルシウム 結晶の表面を(111)面で研磨し、かつ、<111>軸でフッ化カルシウム 結晶を回転させることにより、直線偏光度の高いレーザの出力光を得ることができる。
つまり、レーザチャンバ21のウィンドウ22と23として、表面が(111)面のフッ化カルシウム結晶を使用する場合に、上記2枚のウィンドウ22と23を透過する前と透過後のレーザの偏光状態が変化しないように、<111>軸を中心に回転配置させる。その結果、高出力においても直線偏光度の高いレーザ出力光を得ることができる。
そして、チャンバ11、21に取り付けるウィンドウ12、13、22、23を本発明による紫外線ガスレーザ用光学素子で構成することが望ましい。
また、増幅段レーザ20の部分反射ミラー24、25を取り外したMOPA(Master Oscillator Power Amplifier )システムや、リング増幅タイプに本発明を適用しても同様の効果がある。
図21にリング増幅タイプに本発明を適用した場合の実施例を示す。発振段レーザから出力されたシード光はリング共振器の出力結合ミラーである45度の角度で部分反射ミラー113からリング共振器中に第1の偏光状態のシード光が注入される。ここで、チャンバ21の第1ウィンドウ22及び第2ウィンドウ23は略同じ方向にブリュースタ角度に傾けて設置されている。シードレーザ光は、これら第1ウィンドウ21及び第2ウィンドウ22のP偏光の方向に直線偏光となるようにシード光は入射する。そして高反射ミラー110により、45度よりも多少小さな角度で入反射され第1の偏光状態で第2ウィンドウ23を透過し、第2の偏光状態に変換される。そして、放電領域を通過することにより、増幅され、第1ウィンドウ22を透過して、第1の偏光状態に戻る。
そして、高反射ミラー112により、高反射ミラー110と同じ角度で入反射して、高反射ミラー111により45度で第1の偏光状態で反射されて、第1ウィンドウ22に入射する。そして、第1ウィンドウ22を透過することにより、第2’の偏光状態に変換される。そして、レーザの放電領域を通過して増幅される。そして、この増幅光は第2ウィンドウ23を透過することによって、再び第1の偏光状態に戻る。そして、入射角度45度で部分反射ミラーにより一部は出力レーザ光として出力する。一方、反射光は、リング共振器のフィードバック光として戻る。ここで、第2の偏光状態と第2’の偏光状態はほとんど同じであるが、ウィンドウに対する入射角度が多少ことなるため厳密には異なる。しかし、第1及び第1のウィンドウによるキャンセル効果は同じであり、シード光の偏光状態とほとんど同じ偏光状態でリング共振器の部分反射ミラー113を透過して高パルスエネルギーのレーザ光が出力される。
この実施例では、第1及び第2ウィンドウの設置角度をブリュースタ角度で設置した例を示したが、この実施例に限定されることなく、入射角度は45度から62度の範囲であれば大きな問題は発生しない。
ところで、(111)面で研磨されたフッ化カルシウムのウィンドウの<111>軸中心での回転角度は、第1の偏光状態と第2及び2‘の偏光状態と略同じになるような回転角度θ=0°、60°、120°、180°(=−180°)、−60°、−120°に設置してもよい。
次に、参考例について説明する。前述の実施例では、フッ化カルシウム 結晶をチャンバウィンドウ1に用いた実施例に関して説明したが、フッ化カルシウム 結晶だけでなく、例えば、エキシマレーザの波長域で使用可能なMgF2 結晶を第1チャンバウィンドウ2及び第2チャンバウィンドウ3として使用する場合に、同様な原理で実施することができる。
図22及び図23は、参考例としてのMgF2 (フッ化マグネシウム)のウィンドウを用いたチャンバ1を示す。図22は、チャンバ1を示す図、図23(a)は、第1ウィンドウ2をチャンバ内部の矢印Aから見た図、図23(b)は、第2ウィンドウ3をチャンバ内部の矢印Bから見た図である。
MgF2 はフッ化カルシウム に比べて、原理的にバンドギャップが大きいのでArFレーザのレーザ耐性は高い。MgF2 結晶は、正方晶系の結晶構造であり、a軸とc軸の結晶格子の長さが異なるので、複屈折性をもっている。この複屈折性によるレーザの直線偏光度の悪化を防ぐ解決手段で示した様に、チャンバウィンドウは第1チャンバウィンドウ2及び第2チャンバウィンドウ3の2枚で構成されている。この2枚のc軸(光学軸)の方位の角度を、図23に示すように、チャンバ内部から見て(図22の矢印A,B参照)、同じ様に取り付ける。1パスで見た場合は、1パスの光軸Lに対して、結晶方位の角度が(−θ、+θ)となるように取り付けることにより、位相差の変化をキャンセルすることができる。
角度を決定する時は、事前にX線回折分析を行い、c軸の結晶方位を計測しておくと良い。ウィンドウのc軸方向の側面に印を付けておき、その印に従って、θ°回転させて取り付けるようにすると効率が良い。
この実施例ではc軸がウィンドウの法線に対して垂直(90度)なウィンドウの場合の例を示したが、c軸の方向がウィンドウの法線に対して、例えば、c軸とウィンドウの法線のなす角度を0<τ<90度の範囲で製作し、両チャンバウィンドウを同一角度τで製作して、両チャンバウィンドウの設置角度θ°と− θ°でチャンバウィンドウを設置してもよい。
レーザとしては、シングルチャンバでも効果があるし、MOPOタイプ(インジェクションロック)、MOPAタイプ(増幅段)や、リング増幅タイプにも効果がある。
なお、本発明に係るガス放電チャンバは、MOPOのPO、MOPAのPA、シングルレーザのレーザチャンバとして適用される。
以上の説明では、図24及び図25に示した様に、2枚のチャンバウィンドウを平行に傾けて取り付けた場合について説明した。この場合、チャンバ内部から見て、同方向へ同角度(例えば+θ)結晶を<111>軸で回転させると、1パスで見た場合に、(−θ、+θ)の関係になる。この配置とは異なり、図26及び図27に示すように、2枚のチャンバウィンドウの傾きの方向が逆である場合(ハの字型)もウィンドウの配置として考えられる。この場合も、チャンバ内部から見て、同方向へ同角度(例えば+θ)結晶を<111>軸で回転させると、1パスで見た場合に、(−θ、+θ)の関係にすることが可能である。
以上、本発明のガス放電チャンバを実施例に基づいて説明したが、本発明はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能である。
すなわち、ガス放電チャンバに設置した前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウは、複屈折性を有した結晶であって、前記第1のウィンドウに入射するレーザ光の第1の偏光状態から前記第1のウィンドウを透過して第2の偏光状態で前記励起されたレーザガス中を通過し、前記第2の偏光状態のレーザ光が前記第2のウィンドウを透過して、前記第1の偏光状態に略戻るように前記第1のウィンドウ及び第2のウィンドウの結晶をレーザ光軸に対して配置する。これにより、ガス放電チャンバ内をレーザ光が透過または往復しても直線偏光度の低下を抑制できる。
1 チャンバ
2 第1のウィンドウ (第1ウィンドウ)
3 第2のウィンドウ (第2ウィンドウ)
L レーザ光軸
2 第1のウィンドウ (第1ウィンドウ)
3 第2のウィンドウ (第2ウィンドウ)
L レーザ光軸
そのために、ガス放電チャンバは、チャンバと、チャンバ内部に封入されたレーザガスと、そのレーザガスを励起する手段と、励起されたレーザガスから発生する光がチャンバ外部へ出射するためにチャンバに設けられた第1ウィンドウと、を有し、前記第1ウィンドウが光軸上に沿って配置されているガス放電チャンバにおいて、前記第1ウィンドウは、入射平面及び射出平面がフッ化カルシウム結晶の(111)結晶面に平行であり、前記チャンバ内部から見て、前記フッ化カルシウム結晶内に入射したレーザ光が、前記第1ウィンドウの<111>軸と<001>軸を含む面を通過する配置に対して、前記第1ウィンドウは、<111>軸を中心として回転して、60°付近の角度回転させた位置に設置され、ることを特徴とするガス放電チャンバ。
Claims (5)
- チャンバと、チャンバ内部に封入されたレーザガスと、そのレーザガスを励起する手段と、励起されたレーザガスから発生する光がチャンバ外部へ出射するためにチャンバに設けられた第1ウィンドウ及び第2ウィンドウとを有し、前記第1ウィンドウ及び前記第2ウィンドウが光軸上に沿って配置されているガス放電チャンバにおいて、
前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウは、複屈折性を有した結晶であって、前記第1のウィンドウに入射するレーザ光の第1の偏光状態から前記第1のウィンドウを透過して第2の偏光状態に変換され、前記第2の偏光状態のレーザ光が前記励起されたレーザガス中を通過し、前記第2のウィンドウを透過して、前記第2の偏光状態から前記第1の偏光状態に略変換されるように前記第1のウィンドウ及び第2のウィンドウの結晶をレーザ光軸に対して配置したことを特徴とするガス放電チャンバ。 - 前記第1の偏光状態と第2の偏光状態が略一致するように前記第1のウィンドウ及び第2のウィンドウの結晶をレーザ光軸に対して配置したことを特徴とする請求項1記載のガス放電チャンバ。
- 前記チャンバの前記第1ウィンドウ及び前記第2ウィンドウは略同じ方向に傾けて設置され、前記第1の偏光状態は第1ウィンドウ及び第2ウィンドウのP偏光に対して、直線偏光であることを特徴とする請求項1または2記載のガス放電チャンバ。
- 前記第2の偏光状態は楕円偏光であることを特徴とする請求項3記載のガス放電チャンバ。
- チャンバと、チャンバ内部に封入されたレーザガスと、そのレーザガスを励起する手段と、励起されたレーザガスから発生する光がチャンバ外部へ出射するためにチャンバに設けられた第1ウィンドウ及び第2ウィンドウとを有し、前記第1ウィンドウ及び前記第2ウィンドウが光軸上に沿って配置されているガス放電チャンバにおいて、
前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウは、入射平面及び射出平面がフッ化カルシウム結晶の(111)結晶面に平行であり、
前記チャンバ内部から見て、前記フッ化カルシウム結晶内に入射したレーザ光が、前記第1ウィンドウ及び前記第2ウィンドウそれぞれの<111>軸と<001>軸を含む面を通過する配置に対して、
前記第1ウィンドウ及び前記第2ウィンドウは、<111>軸を中心として同方向へ同じ角度回転した位置に設置される
ことを特徴とするガス放電チャンバ。
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