JP2014223788A - 耐湿熱性ガスバリアフィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリエステルフィルムの少なくとも片面の表層に高速イオンの照射による改質層が設けられ、その上に金属酸化物層、保護層がこの順で設けられた耐湿熱性ガスバリアフィルム。
【選択図】図1
Description
真空蒸着後のバリア性フィルムの全光線透過率(%)を、日本電色工業(株)製ヘイズメーターNDH2000により測定した。80%以上を透明包装材料として好適な範囲とした。
東洋モートン(株)製ドライラミネート用接着剤AD−503タイプ20重量部、東洋モートン(株)製硬化剤CAT−10タイプ1重量部、および酢酸エチル20重量部を混合し、30分攪拌して固形分濃度19重量%のドライラミネート用接着剤溶液を調整した。次に本発明の耐湿熱性ガスバリアフィルムの保護層の面にバーコート法により上記接着剤溶液を塗工し、80℃で45秒間乾燥して3.5μmの接着剤層を形成した。接着剤層面に無延伸ナイロンフィルム東レフィルム加工(株)製「レイファン」(登録商標)NO1401タイプ(厚さ30μm)を重ね、富士テック(株)製「ラミパッカー」(LPA330)を用いてヒートロールを40℃に加熱して貼り合わせた。次に未延伸ポリプロピレンフィルム「トレファン」(登録商標)NO ZK100タイプ(厚さ70μm)を同じ方法で貼り合わせた。このラミネートフィルムを40℃に加熱したオーブン内で2日間エージングして接着剤を硬化させた。
レトルト処理後、パッケージを幅15mm、長さ150mmに切断してカットサンプルを作成し、(株)オリエンテック製「テンシロン」(PTM50タイプ)を使用して耐湿熱性ガスバリアフィルムとナイロンフィルム間を界面としてその界面に水を綿棒で塗工しながら、180°ピール法により、引っ張り速度50mm/minで剥離し強度を測定した。これらの測定を異なる2枚のカットサンプルを使用して行い、得られた値の平均値をレトルト処理後低速ウェット密着強度(N/15mm)とした。1N/15mm以上を合格とした。
レトルト処理後、パッケージを幅100×100mmに切断したサンプルを作成し、酸素透過率(cc/(m2day・atm))をJISK7126−2(制定2006年8月20日)に準じて、モダンコントロール社製酸素透過率測定装置OX−TRAN2/20を用いて、23℃、0%RHの条件にて測定した。サンプル3点の平均値を求めた。酸素透過率0.5cc/(m2day・atm)以下を合格範囲内とした。
レトルト処理後、パッケージを幅100×100mmに切断したサンプルを作成し、水蒸気透過率(g/m2day)をJISK7129B(制定2008年3月20日)に準じて、モダンコントロール社製水蒸気透過率測定装置Permatran−W3/30を用いて、40℃、90%RHの条件にて測定した。サンプル3点の平均値を求めた。水蒸気透過率1g/m2day以下を合格範囲内とした。
改質層の厚さは、以下の方法で求めた。ポリエステルのイオンビーム処理を行った後、大気中に取り出して、TOF-SIMS分析(IONTOF社TOF−SIMS5)による分析を行った。
A.ポリエステルフィルムへの改質層と金属酸化物層の形成
連続巻き取り式蒸着機((株)アルバック製)のフィルム巻き出し部と蒸着部の間に、有効長1mのリニア型アノードレイヤータイプのイオン源(米Veeco社、ALS1000L)を、フィルム走行面から50mmの距離に設置した。イオン源用電源は、米グラスマン・ハイボルテージ社SHタイプを用いた。フィルム走行面からフィルム背面側に10mm遠ざかった位置に1m×200mmの水冷を施したイオン電流測定用の電極を設け、イオン源を動作させた状態で正のリターディング電圧を変化させながらイオン電流を測定した。リターディング電圧とイオン電流の関係から非特許文献1と同様にしてイオンのエネルギー分布からイオンの平均エネルギーEa(eV)を算出した。なお、リターディング電圧をかけない状態でのイオン電流I(A)も測定した。まずイオン源には酸素を80cc/min導入し、アノード電圧2kV、アノード電流860mAで動作させた。この際のイオンの平均エネルギーEaは0.6keVであり、イオン電流は650mAでることを確認した。実施例2以降においても同様にイオン源の動作条件でのイオンの平均エネルギーとイオン電流を事前に測定した。
保護層として塗布する樹脂はアクリル系共重合体であり、アクリロニトリル(AN)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)およびメチルメタクリレート(MMA)の各モノマーをそれぞれ20:50:30の割合(質量%)で共重合したものを準備した。該共重合樹脂をメチルエチルケトン(MEK)、ピロメリット酸ジ無水物(PMDA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)酢酸プロピル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)およびn−プロピルアルコールの混合溶剤に溶解させて固形分濃度が6.93質量%の共重合樹脂の溶液を得た。
上記フィルムの酸化アルミニウム層上に、上記保護層塗液を、ロール・ツー・ロールのダイレクトグラビアコーティング機にて、59線/cm、深度64μmの格子柄のグラビアロールを使用し、速度100m/minにて酸化アルミニウム層上にコーティングを行った後、乾燥炉で乾燥を行い、厚さ0.2μmの保護層を形成し、耐湿熱性ガスバリアフィルムを作成した。乾燥時のフィルム温度はヒートラベルにて140℃になるよう乾燥条件を設定した。このフィルムのレトルト後の各種特性を測定し、表1に記載した。
実施例1と同様の方法で、イオン源のアノード電圧を3kV、アノード電流1680mA、送り速度8m/sとした。イオンの平均エネルギーEaは0.9keVであり、イオン電流は1430mAであった。単位面積あたりの照射エネルギー密度は161J/m2であり、特性は良好であった。
実施例1と同様の方法で、イオン源のアノード電圧を1kV、アノード電流390mA、送り速度3m/sとした。イオンの平均エネルギーは0.3keV、イオン電流は260mA、単位面積あたりの照射密度は26J/m2であり特性は良好だった。
実施例1と同様の方法で、イオン源のアノード電圧を0.6kV、アノード電流210mA、送り速度3m/sとした。イオンの平均エネルギーは0.2keV、イオン電流は150mA、照射エネルギー密度は10J/m2であった。耐水密着力は1N/15mm、酸素透過率が0.5cc/(m2day・atm)、水蒸気透過率が1g/(m2day)であり、何とか使用に耐えるレベルであった。
実施例1と同様の方法で、イオン源の電圧を3kV、イオン電流1680mA、送り速度1.5m/sとした。照射エネルギー密度は858J/m2であった。耐レトルト性としては優れた特性であった。ただし高速イオン照射が強すぎたため、全光線透過率が79%と若干低めで褐色の着色があり、用途がやや限定される懸念があった。
実施例1において、保護層を下記の通り作製した。実施例1に比べても良好な結果が得られた。
エチルシリケート40(多摩化学工業株式会社製)、イソプロピルアルコール、アセチルアセトンアルミニウム、イオン交換水からなる加水分解液を溶液1とする。ポリビニルアルコール水溶液、シランカップリング剤(東レ・ダウコーニング株式会社製エポキシシランSH6040、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン) 、酢酸、イソプロピルアルコール及びイオン交換水からなる混合液を溶液2とする。EVOH(エチレン共重合比率29%)をイソプロピルアルコールおよびイオン交換水の混合溶媒に溶解して溶液3とする。
溶液1 エチルシリケート40 11.460 (wt%)
イソプロピルアルコール 17.662
アルミニウムアセチルアセトン 0.020
H2O 13.752
溶液2 ポリビニルアルコール 1.520
シランカップリング剤 0.050
イソプロピルアルコール 13.844
H2O 35.462
酢酸 0.130
溶液3 EVOH 0.610
イソプロピルアルコール 3.294
H2O 2.196
B.保護層の形成
上記フィルムの酸化アルミニウム層上に、上記ガスバリア性組成物をロール・ツー・ロールのダイレクトグラビアコーティング機にて、18線/cm、深度200μmの格子柄のグラビアロールを使用し、速度100m/minにて酸化アルミニウム層上にコーティングを行った後、乾燥炉で乾燥を行い、厚さ0.25μmの保護層を形成し、耐湿熱性ガスバリアフィルムを作成した。乾燥時のフィルム温度はヒートラベルにて100℃になるよう乾燥条件を設定した。
実施例1において、イオン照射を行わずに酸化アルミニウム層を蒸着した以外は、実施例1と同様に保護層を形成し、作成した。
実施例1において、銅をターゲットとするマグネトロンカソードを1Paの酸素中で高周波にて放電させて発生させたプラズマ中をフィルムを通過させてイオンビームに代わる表面処理とした。カソードの形状は1.3m×100mmで、放電時の電圧、電流は320V、9.2Aとした。それ以外は実施例1と同様に酸化アルミニウム層を蒸着し、保護層を形成し、作成した。
実施例1において、保護層を形成しないこと以外は実施例1と同様に作成した。
2 改質層
3 金属酸化物層
4 保護層
11真空槽
12真空ポンプ
13巻き出しロール
14巻き取りロール
15冷却ドラム
16蒸発源
17イオン源
18イオン電流測定電極
19イオン源動作用電源
Claims (7)
- ポリエステルフィルムの少なくとも片面の表層に高速イオンの照射による改質層が設けられ、その上に金属酸化物層、保護層がこの順で設けられたことを特徴とする耐湿熱性ガスバリアフィルム。
- 135℃30分間のレトルト処理後における改質層と金属酸化物層間の低速ウェット密着強度が1N/15mm以上である請求項1に記載の耐湿熱性ガスバリアフィルム。
- 金属酸化物層が酸化アルミニウムからなる請求項1または2に記載の耐湿熱性ガスバリアフィルム。
- 改質層の厚さが、10nmから200nmである請求項1から3のいずれかに記載の耐湿熱性ガスバリアフィルム。
- 真空槽内でポリエステルフィルムに連続的に金属酸化物層を形成する真空蒸着装置において、該フィルムの巻き出し部と金属酸化物層蒸着部との間に設置され、該フィルムの幅方向の全幅に同時に高速イオンを照射することができるイオン源により該フィルムの少なくとも片面の表層の組成を変化させて改質し、引き続き金属酸化物層を形成することを特徴とする耐湿熱性ガスバリアフィルムの製造方法。
- イオン源によりポリエステルフィルムに照射される高速イオンの平均エネルギーEaが100eV〜2keVの範囲にあり、該高速イオンによるイオン電流I(A)、ポリエステルフィルムの送り速度v(m/s)、該フィルムの幅 W(m)から、Ea×I/(v×W)の式で求められる照射エネルギー密度(J/m2)が20〜800J/m2の範囲にある請求項5に記載の耐湿熱性ガスバリアフィルムの製造方法。
- イオン源が、ポリエステルフィルムの幅方向に沿って直線部が伸びるレーストラック形状の間隙を有するカソードとその隙間背後のアノードからなり、該間隙の幅方向に磁力線が渡っており、該カソードに対して該アノードに正の電圧を印加することでアノード前面の空間にプラズマを発生させるとともに、該間隙より高速イオンを照射することができるアノードレイヤータイプのイオン源である請求項5または6に記載の耐湿熱性ガスバリアフィルムの製造方法。
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