JP7196431B2 - ガスバリア積層体および包装体 - Google Patents
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Description
内容物に対して、加熱処理(レトルト殺菌処理あるいはボイル処理)を施しても、不快なレトルト臭を抑制し、且つガスバリア性が劣化しにくく、優れたガスバリア性を有するガスバリア積層体および包装体の提供を目的とする。
プラスチック材料からなるフィルム基材と、その上に設けられた被覆層を備える積層体であって、
前記被覆層が、ポリカルボン酸系重合体と、一般式R1Si(OR2)3で表されるシランカップリング剤、その加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群から選択される少なくとも1種のケイ素含有化合物とを、99.5:0.5~80.0:20.0の質量比で含有した層と、吸光光度法により測定される波長350nmにおける吸光度から波長500nmの吸光度を差し引いた値とする紫外線吸光度が0.58以上、0.65以下を示す多価金属化合物を含有する層とを含み、前記多価金属化合物が、酸化亜鉛であり、前記フィルム基材と前記被覆層の間に、密着層と、無機酸化物からなる無機蒸着層とを備えることを特徴とするガスバリア積層体である。
(ただし、前記ケイ素含有化合物の質量は、前記シランカップリング剤換算の質量であり、一般式のR1はグリシジルオキシ基又はアミノ基を含む有機基であり、R2はアルキル基であり、3個のR2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
前記フィルム基材上に改質処理層を備え、前記改質処理層上に無機酸化物からなる無機蒸着層を備え、前記無機蒸着層上に前記被覆層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア積層体である。
前記無機酸化物が、酸化アルミニウムもしくは、酸化ケイ素であることを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリア積層体である。
請求項1~3のいずれかに記載のガスバリア積層体を用いて成ることを特徴とする包装体である。
ただし本発明において、密着層2および無機蒸着層3は必須ではない。
また本発明は、上記の層に限るものではなく、必要に応じて他の機能を有する層を積層しても構わない。例えば、表面保護層、シーラント層、絵柄層、などの機能層を積層させてもよい。これらの機能層は、単層あるいは複数の層を組み合わせてもかまわない。
またポリエステルポリオールとは、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、メチルフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸およびこれらの反応性誘導体等の酸原料と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスヒドロキシエチルテレフタレート、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等のアルコール原料から周知の製造方法で得られたポリエステル系樹脂の内末端に2個以上のヒドロキシル基をもつもので、後に加えるイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応させるものである。
ただし本発明は、上記の層に限るものではなく、必要に応じて他の機能を有する層を積層しても構わない。例えば、表面保護層、シーラント層、絵柄層、などの機能層を積層させてもよい。これらの機能層は、単層あるいは複数の層を組み合わせてもかまわない。
RIE処理にはプラズマが利用される。プラズマ中に発生したラジカルやイオンにより、プラスチック基材1表面に官能基を付与する化学効果が得られる。また、イオンエッチングによって表面不純物を除去すると共に、表面粗さを大きくする物理的効果も得られる。そのため、RIE処理により前記化学効果および前記物理的効果が発現している改質処理層22により、プラスチック基材1と無機蒸着層3との間の密着性が向上し、高温高湿環境下においてもプラスチック基材1と無機蒸着層3との間の剥離が生じにくくなる。そのため、ガスバリア積層体25全体の耐熱性が向上し、ボイル処理、レトルト処理、加熱調理等の加熱処理を行ったときの、プラスチック基材1と無機蒸着層3との間のデラミネーションの発生やガスバリア性の劣化等が抑制される。
本例で用いるプレーナ型プラズマ処理装置は、図示しない真空室内に、電極(カソード)6と、フィルム基材9を保持する円筒型の処理ロールとを備え、処理ロール8の内側に電極6が配置されている。
このようなプレーナ型プラズマ処理装置の処理ロール8の外側に、RIE処理する方法のガスを導入し、フィルム基材9を処理ロール8に沿って搬送しながら電極6に電圧を印加すると、処理ロール8の外側でプラズマが発生し、プラズマ中のラジカルが、対極である処理ロール8側に引き寄せられ、フィルム基材9の表面に作用する。また、カソードである電極6側にフィルム基材9が設置されているため、フィルム基材9上に高い自己バイアスが得られ、この高い自己バイアスにより、プラズマ中のイオン7がフィルム基材9側に引き寄せられ、フィルム基材9の表面にスパッタ作用(物理的作用)が働き、RIE処理が行われる。
電圧を印加する電極6が処理ロール8の外側に配置されている装置でプラズマ処理する場合、フィルム基材9はアノード側に配置されることになる。この場合、高い自己バイアスは得られず、フィルム基材9にはラジカルのみが作用する。ラジカルの作用は化学反応だけであり、化学反応だけではフィルム基材と無機蒸着層との密着性を充分に向上させることができない。
本例で用いるホローアノード型プラズマ処理装置は、図示しない真空室内に電極(アノード)8と、フィルム基材9を保持し、電極6の対極(カソード)として機能する処理ロール9と、インピーダンスを整合させるためのマッチングボックス11と、ガス導入ノズル10と、電極6の両端に配置された遮蔽板12とを備える。
電極6は、処理ロール8側が開口した箱型である。ガス導入ノズル10が、電極6の上方に配置され、電極6および遮蔽板12と、処理ロール8との間の空隙に、RIE処理を行うためのガスを導入できるようになっている。マッチングボックス11は、電極6の背
面に配置され、電極6に接続されている。遮蔽板12は、処理ロール8の外周に沿った局面形状を有しており、処理ロール8の外側に、処理ロール8と対向するように配置されている。
電極6の面積(Sa)は、処理ロール8側に開口した箱型であることにより、対極となるフィルム基材9の処理面の面積(Sc)、つまり、電極6の開口の大きさよりも大きく(Sa>Sc)なっている。
Sa>Scではない装置で、プラズマ処理すると、高い自己バイアスは得られず、フィルム基材9にはラジカルのみが作用する。ラジカルの作用は化学反応だけであり、化学反応だけではフィルム基材と無機蒸着層との密着性を充分に向上させることができない。
RIE処理は、2基以上のプラズマ処理装置は同じものを使用する必要はない。例えば、プレーナ型プラズマ処理装置でフィルム基材を処理し、その後連続してホローアノード型プラズマ処理装置を用いて処理を行うこともできる。
(1)で表されるシランカップリング剤、その加水分解物及びそれらの縮合物からなる群から選択される少なくとも1種のケイ素含有化合物(A2)(以下「(A2)成分」)とを、99.5:0.5~80.0:20.0の質量比(但し、前記(A2)成分の質量は前記シランカップリング剤換算の質量である)で含有している層(A)である。
R1Si(OR2)3 ・・・(1)
[式(1)中、R1 はグリシジルオキシ基又はアミノ基を含む有機基であり、R2 はアルキル基であり、3個のR2 はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
また、層(A)とともに層(B)を有することで、レトルト処理、ボイル処理および調湿処理からなる群から選択される少なくとも1種の処理を施した際に、層(A)に含まれる(A1)成分と層(B)に含まれる多価金属化合物が反応して、(A1)成分のカルボキシ基が多価金属イオンとがイオン架橋を形成し、優れたガスバリア性を有するガスバリア積層体とすることができる。
(A1)成分のポリカルボン酸系重合体とは、分子内に2個以上のカルボキシ基を有する重合体である。
(A1)成分としては、たとえば、エチレン性不飽和カルボン酸の(共)重合体;エチレン性不飽和カルボン酸と他のエチレン性不飽和単量体との共重合体;アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、ペクチン等の分子内にカルボキシル基を有する酸性多糖類が挙げられる。
前記エチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等が挙げられる。
前記エチレン性不飽和カルボン酸と共重合可能なエチレン性不飽和単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル等の飽和カルボン酸ビニルエステル類、アルキルアクリレート類、アルキルメタクリレート類、アルキルイタコネート類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
これらのポリカルボン酸系重合体は1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
該重合体において、前記アクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸及びイタコン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合性単量体から誘導される構成単位の割合は、80mol%以上であることが好ましく、90mol%以上であることがより好ましい(ただし、該重合体を構成する全構成単位の合計を100mol%とする)。該重合体は、単独重合体でも、共重合体でもよい。
該重合体が、上記構成単位以外の他の構成単位を含む共重合体である場合、該他の構成単位としては、例えば前述のエチレン性不飽和カルボン酸と共重合可能なエチレン性不飽和単量体から誘導される構成単位などが挙げられる。
多価金属化合物としては、層(B)の説明で挙げる多価金属化合物と同様のものが挙げられ、多価金属化合物である塩基性化合物としては、例えば酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。一価金属化合物である塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
カルボキシ基の中和度としては、層(A)を、(A1)成分と(A2)成分とを含有するコーティング液(a)からなる塗膜を乾燥することにより形成する場合は、該コーティング液(a)の塗工性や塗液安定性の観点から、30mol%以下であることが好ましく、25mol%以下であることがより好ましい。(A1)成分としては、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
R1Si(OR2)3 ・・・(1)
[式(1)中、R1はグリシジルオキシ基又はアミノ基を含む有機基であり、R2はアルキル基であり、3個のR2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
シランカップリング剤(1)の具体例としては、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらの中でも、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。
加水分解物としては、前記一般式(1)中の3つのOR2のうち少なくとも1つがOHとなったものが挙げられる。縮合物としては、少なくとも2分子の加水分解物のSi-OH同士が縮合してSi-O-Si結合を形成したものが挙げられる。なお、以下においては、シランカップリング剤の加水分解物が縮合したものを、加水分解縮合物と記すことがある。
物のみで存在することは稀である。すなわち(A2)成分は、通常、シランカップリング剤(1)、その加水分解物、およびこれらの縮合物が混在している。また、加水分解物には、部分加水分解物、完全加水分解物が含まれる。
例えば可塑剤としては、公知の可塑剤から適宜選択して使用することが可能である。該可塑剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリエチレンオキサイド、ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、エリトリトール、グリセリン、乳酸、脂肪酸、澱粉、フタル酸エステルなどを例示することができる。
添加剤として、ポリビニルアルコール等の水酸基を2つ以上有する化合物を含む場合、
該化合物の水酸基と、(A1)成分のカルボキシ基の一部とがエステル結合を形成していてもよい。層(A)に添加剤が含まれている場合には、(A1)成分と添加剤との質量比((A1)成分:添加剤)は通常は70:30~99.9:0.1の範囲であり、80:20~98:2であることが好ましい。
層(A)は、通常、コーティング法により形成することができる。具体的には、(A1)成分と(A2)成分とを含有するコーティング液(a)からなる塗膜を乾燥することにより形成できる。コーティング液(a)に含まれる(A1)成分、(A2)成分としてはそれぞれ、前記と同様のものを用いることができる。
このような有機溶媒としては、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、
イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。水と有機溶媒との混合溶媒としては、上述した水と有機溶媒との混合溶媒が好ましく、水と炭素数1~5のアルコールとの混合溶媒がより好ましい。混合溶媒としては、水が20~95質量%の量で存在し、有機溶媒が80~5質量%の量で存在する(ただし、水と有機溶媒との合計を100重量%とする)ものが好ましい。
層(B)は、多価金属化合物を含有する。多価金属化合物とは、金属イオンの価数が2以上の多価金属の化合物である。多価金属としては、例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属;チタン、ジルコニウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛などの遷移金属;アルミニウム、ケイ素が挙げられる。多価金属としては、耐熱性、耐水性、透明性の観点から、カルシウムまたは亜鉛が特に好ましい。すなわち、多価金属化合物としては、カルシウム化合物または亜鉛化合物が好ましい。
これらの中でも、工業的生産性の観点からは、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化カ
ルシウム、炭酸カルシウム、酢酸亜鉛、酢酸カルシウムが好ましく、酸化亜鉛が特に好ましい。
上記の中でも、コーティング液(b)に用いる溶媒に可溶または分散可能な樹脂を含有することが好ましい。これにより、コーティング液(b)の塗工性、製膜性が向上する。このような樹脂としては、例えば、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、イソシアネート樹脂等が挙げられる。
層(B)の形成方法としては、例えば、コーティング法、ディッピング法等が挙げられる。これらの中でも、生産性の観点から、コーティング法が好ましい。以下、コーティング法により層(B)を形成する場合について説明する。
レトルト処理は、一般に食品等を保存するために、カビ、酵母、細菌などの微生物を加圧殺菌する処理である。通常は、105~140℃、0.15~0.30MPaで、10~120分の条件で加圧殺菌処理する。レトルト装置は、加熱蒸気を利用する蒸気式と加圧過熱水を利用する熱水式等があり、内容物となる食品等の殺菌条件に応じて適宜使い分ける。
ボイル処理は、食品等を保存するため湿熱殺菌する処理である。通常は、内容物にもよるが、食品等を包装したガスバリア積層体を、60~100℃、大気圧下で、10~120分の条件で湿熱殺菌処理を行う。ボイル処理は、通常、熱水槽を用いて行うが、一定温度の熱水槽の中に浸漬し、一定時間後に取り出すバッチ式と、熱水槽の中をトンネル式に通して殺菌する連続式がある。
すなわち、紫外線吸光度が高いほど、レトルト臭の抑制、優れたガスバリア性能を有することができる。しかし、これにより製造上のコストアップは勿論、透明度が落ち外観性能を低下させてしまうため、紫外線吸光度が高すぎることは好ましくない。
本発明者の知見によれば、紫外線吸光度は0.3以上、0.7以下であれば、充分なバリア性を有する。
アクリルポリオールとトリイジルイソシアネートを、アクリルポリオールのOH基に対してNCO基が等量となるように加え、全固形分が5w%になるよう酢酸エチルで希釈し、さらにこれにβ-(3,4エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシランを全固形分に対し5w%添加して混合し、密着層形成用組成物(コーティング溶液)を得た。
プラズマ処理装置として、図3に示したのと同様の構成を有するプレーナ型プラズマ処理装置を用い、RIE処理により改質処理層22を形成した。プラズマ発生ガスとして、アルゴン/酸素混合ガスを電極部へ導入し、電極部に周波数13.5MHzの高周波電源を用いて電圧を印加してプラズマを発生させ、RIE処理を行った。このとき印加電力は150W、自己バイアス値は600V、プラズマ密度Epd値は、500W・sec/m2とした。
コーティング液(a):以下の手順で調製した。
数平均分子量200,000のPAA水溶液(東亞合成製 アロンA-10H、固形分濃度25質量%)20gを蒸留水58.9gで溶解した。その後、アミノプロピルトリメトキシシライン(APTMS:アルドリッチ製)0.44gを添加し、攪拌を行い均一な溶液とし、これをコーティング液(a)とした。
酸化亜鉛微粒子水分散液(住友大阪セメント製 ZE143)100gと硬化剤Liofol HAERTER UR 5889‐21(Henkel製)1gを混合してコーティング液(b)を得た。
2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET:東レ製、ルミラー(登録商標)P60、厚さ12μm)のコロナ処理側に、グラビアコート機を用いてグラビアコート法によって厚み0.1μmとなるように密着層2を作成し、電子線加熱方式による真空蒸着装置により、金属アルミニウムを蒸発させ、そこに酸素ガスを導入し、酸化アルミニウムを蒸着して厚さ20nmの無機蒸着層3を形成した。この無機蒸着層3上に、被覆層4を形成するため、コーティング溶液(a)を、乾燥後の厚さが1μmとなるようにバーコーターを用いて塗工した後、80℃で5分間乾燥し、層(A)を形成した。この層(A)上に、コーティング液(b)を、吸光光度法により測定される波長350nmにおける吸光度から波長500nmの吸光度を差し引いた値とする紫外線吸光度が0.30を目標値として濃度調整をし、乾燥後の厚さが1μmとなるようにバーコーターを用いて塗工した後、90℃で2分間乾燥させた後に50℃で3日間熟成処理して、層(B1)を形成した。なお実際の紫外線吸光度は、下記の測定方法に従い実測し、下記表1に記載した。また他の実施例・比較例も同様に実測した。
これにより[PET(12μm)/密着層2(0.1μm)/無機蒸着層3(20nm)/被覆層4:層(A)(1μm)/層(B1)(1μm)]の構成を有するガスバリア積層体を得た。なおここで( )内の値は各層の厚さを表し、以下の例も同様である。
次に、このラミネートフィルムを、10cm×10cmの大きさに切り出した。切り出したフィルム片2枚を、CPP層を内側にして重ね合わせ、ヒートシールにて包装体を形成し、その中に含硫アミノ酸含有物として濃度0.3%/LのL-システイン水溶液150ml(関東化学(株)製、L-システイン使用)を充填した後、同じくヒートシールにて、密封包装した。その後、貯湯式レトルト釜を用いて0.18MPa、121℃で30分間レトルト処理を行った。
参考例1と同様の操作を行って、被覆層4の層(A)を形成した後、この層(A)上に、コーティング液(b)を、吸光光度法により測定される波長350nmにおける吸光度から波長500nmの吸光度を差し引いた値とする紫外線吸光度が、0.60を目標値として濃度調整をし、乾燥後の厚さが1μmとなるようにバーコーターを用いて塗工した後、90℃で2分間乾燥させた後に50℃で3日間熟成処理して、層(B2)を形成した。これにより[PET(12μm)/密着層2(0.1μm)/無機蒸着層3(20nm)/被覆層4:層(A1)(1μm)/層(B2)(1μm)]の構成を有するガスバリア積層体を得た。
その後、参考例1と同様にラミネートフィルムを得て、ヒートシールにて包装体を形成し、その中に濃度0.3%/LのL-システイン水溶液150ml(関東化学(株)製、L-システイン使用)を充填した後、同じくヒートシールにて、密封包装した。その後、貯湯式レトルト釜を用いて0.18MPa、121℃で30分間レトルト処理を行った。
参考例1と同様の操作を行って、被覆層4の層(A)を形成した後、この層(A)上に、コーティング液(b)を、吸光光度法により測定される波長350nmにおける吸光度から波長500nmの吸光度を差し引いた値とする紫外線吸光度が、0.10を目標値として濃度調整をし、乾燥後の厚さが1μmとなるようにバーコーターを用いて塗工した後、90℃で2分間乾燥させた後に50℃で3日間熟成処理して、層(B3)を形成した。
これにより[PET(12μm)/密着層2(0.1μm)/無機蒸着層3(20nm)/被覆層4:層(A)(1μm)/層(B3)(1μm)]の構成を有するガスバリア積層体を得た。
その後、参考例1と同様にラミネートフィルムを得て、ヒートシールにて包装体を形成し、その中に濃度0.3%/LのL-システイン水溶液150ml(関東化学(株)製、L-システイン使用)を充填した後、同じくヒートシールにて、密封包装した。その後、貯湯式レトルト釜を用いて0.18MPa、121℃で30分間レトルト処理を行った。
参考例1と同様の操作を行って、被覆層4の層(A)を形成した後、この層(A)上に、コーティング液(b)を、吸光光度法により測定される波長350nmにおける吸光度から波長500nmの吸光度を差し引いた値とする紫外線吸光度が、0.20を目標値として濃度調整をし、乾燥後の厚さが1μmとなるようにバーコーターを用いて塗工した後、90℃で2分間乾燥させた後に50℃で3日間熟成処理して、層(B4)を形成した。これにより[PET(12μm)/密着層2(0.1μm)/無機蒸着層3(20nm)/被覆層4:層(A)(1μm)/層(B4)(1μm)]の構成を有するガスバリア積層体を得た。
その後、参考例1と同様にラミネートフィルムを得て、ヒートシールにて包装体を形成し、その中に濃度0.3%/LのL-システイン水溶液150ml(関東化学(株)製、L-システイン使用)を充填した後、同じくヒートシールにて、密封包装した。その後、貯湯式レトルト釜を用いて0.18MPa、121℃で30分間レトルト処理を行った。
2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET:東レ製、ルミラー(登録商標)P60、厚さ12μm)のコロナ処理側に、RIE処理を施し、改質処理層22とした。
RIE処理面上に、電子線加熱方式による真空蒸着装置により、金属アルミニウムを蒸発させ、そこに酸素ガスを導入し、酸化アルミニウムを蒸着して厚さ20nmの無機蒸着層3を形成した。この無機蒸着層3上に、被覆層4を形成するため、コーティング溶液(a)を、乾燥後の厚さが1μmとなるようにバーコーターを用いて塗工した後、80℃で5分間乾燥し、層(A)を形成した。この層(A)上に、コーティング液(b)を、吸光光度法により測定される波長350nmにおける吸光度から波長500nmの吸光度を差し引いた値とする紫外線吸光度が0.30を目標値として濃度調整をし、乾燥後の厚さが1μmとなるようにバーコーターを用いて塗工した後、90℃で2分間乾燥させた後に50℃で3日間熟成処理して、層(B1)を形成した。なお実際の紫外線吸光度は、下記の測定方法に従い実測し、下記表1に記載した。また他の実施例・比較例も同様に実測した。
これにより[PET(12μm)/改質処理層22/無機蒸着層3(20nm)/被覆層4:層(A)(1μm)/層(B1)(1μm)]の構成を有するガスバリア積層体を得た。
次に、このラミネートフィルムを、10cm×10cmの大きさに切り出した。切り出したフィルム片2枚を、CPP層を内側にして重ね合わせ、ヒートシールにて包装体を形成し、その中に含硫アミノ酸含有物として濃度0.3%/LのL-システイン水溶液150ml(関東化学(株)製、L-システイン使用)を充填した後、同じくヒートシールにて、密封包装した。その後、貯湯式レトルト釜を用いて0.18MPa、121℃で30分間レトルト処理を行った。
参考例3と同様の操作を行って、被覆層4の層(A)を形成した後、この層(A)上に、コーティング液(b)を、吸光光度法により測定される波長350nmにおける吸光度から波長500nmの吸光度を差し引いた値とする紫外線吸光度が、0.60を目標値として濃度調整をし、乾燥後の厚さが1μmとなるようにバーコーターを用いて塗工した後、90℃で2分間乾燥させた後に50℃で3日間熟成処理して、層(B2)を形成した。
これにより[PET(12μm)/改質処理層22/無機蒸着層3(20nm)/被覆層4:層(A)(1μm)/層(B2)(1μm)]の構成を有するガスバリア積層体を得た。
その後、参考例3と同様にラミネートフィルムを得て、ヒートシールにて包装体を形成し、その中に濃度0.3%/LのL-システイン水溶液150ml(関東化学(株)製、L-システイン使用)を充填した後、同じくヒートシールにて、密封包装した。その後、貯湯式レトルト釜を用いて0.18MPa、121℃で30分間レトルト処理を行った。
参考例3と同様の操作を行って、被覆層4の層(A)を形成した後、この層(A)上に、コーティング液(b)を、吸光光度法により測定される波長350nmにおける吸光度から波長500nmの吸光度を差し引いた値とする紫外線吸光度が、0.10を目標値として濃度調整をし、乾燥後の厚さが1μmとなるようにバーコーターを用いて塗工した後、90℃で2分間乾燥させた後に50℃で3日間熟成処理して、層(B3)を形成した。
これにより[PET(12μm)/改質処理層22/無機蒸着層3(20nm)/被覆
層4:層(A)(1μm)/層(B3)(1μm)]の構成を有するガスバリア積層体を得た。
その後、参考例3と同様にラミネートフィルムを得て、ヒートシールにて包装体を形成し、その中に濃度0.3%/LのL-システイン水溶液150ml(関東化学(株)製、L-システイン使用)を充填した後、同じくヒートシールにて、密封包装した。その後、貯湯式レトルト釜を用いて0.18MPa、121℃で30分間レトルト処理を行った。
参考例3と同様の操作を行って、被覆層4の層(A)を形成した後、この層(A)上に、コーティング液(b)を、吸光光度法により測定される波長350nmにおける吸光度から波長500nmの吸光度を差し引いた値とする紫外線吸光度が、0.20を目標値として濃度調整をし、乾燥後の厚さが1μmとなるようにバーコーターを用いて塗工した後、90℃で2分間乾燥させた後に50℃で3日間熟成処理して、層(B4)を形成した。
これにより[PET(12μm)/改質処理層22/無機蒸着層3(20nm)/被覆層4:層(A)(1μm)/層(B4)(1μm)]の構成を有するガスバリア積層体を得た。
その後、参考例3と同様にラミネートフィルムを得て、ヒートシールにて包装体を形成し、その中に濃度0.3%/LのL-システイン水溶液150ml(関東化学(株)製、L-システイン使用)を充填した後、同じくヒートシールにて、密封包装した。その後、貯湯式レトルト釜を用いて0.18MPa、121℃で30分間レトルト処理を行った。
参考例1,3、実施例2、4及び比較例1~4で得られたガスバリア積層体及びレトルト処理を行った包装体について、以下の(1)~(4)に示す測定及び評価を行った。
分光光度計(株式会社島津製作所製 島津自記分光光度計UV-2450)を用いた。また、測定の際は積分球付属装置を使用した。測定範囲は、波長300~550nmにて行い、波長350nmにおける吸光度から波長500nmの吸光度を差し引いた値に、同様の方法で、多価金属化合物を含有する層を含まない状態(2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムに密着層2及び無機蒸着層3を積層、または2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムに改質処理層22及び無機蒸着層3を積層)での測定値0.02を差し引いた値を紫外線吸光度とした。
なお、レトルト処理を行った包装体については、レトルト処理した後、包装体に充填されていた濃度0.3%/LのL-システイン水溶液を抜き、一晩乾燥させたガスバリア積層体に対し、測定を行った。
[酸素透過度の測定方法]
酸素透過度は、酸素透過度測定装置(Modern Control社製 OXTRAN
2/20)を用いて、温度30℃、相対湿度70%の条件で測定した。測定方法は、JIS K-7126、B法(等圧法)に準拠し、測定値は単位[cc/m2 ・day・MPa]で表記した。
[水蒸気透過度の測定方法]
水蒸気透過度は、水蒸気透過度測定装置(Modern Control社製 PERMATRAN 3/31)を用いて温度40℃、相対湿度90%の条件で測定した。測定方法は、JIS K-7129に準拠し、測定値は単位[g/m2 ・day]で表記した。
レトルト処理した後、包装体に充填されていた濃度0.3%/LのL-システイン水溶液を抜き、一晩乾燥させたガスバリア積層体に対し、JIS K 6854-3(T形剥離)に基づいて密着性評価を行った。なお、積層体と基材とが剥離せず密着したまま包装体が切れてしまった場合は「基材切れ」と表示した。
レトルト処理した後、包装体を開封し、包装体内の硫化水素濃度を、北川式ガス検知器(光明理化学工業株式会社製 ガス採取器AP-20B及び、硫化水素検知管)を用いて定量した。
表1から、参考例1では、レトルト処理を行った包装体は、充分な密着性を有し、包装体内の硫化水素濃度が低く、酸素透過度で1[cc/m2・day・MPa]レベル、水蒸気透過度で3[g/m2・day]レベルが得られて良好であり、参考例3、実施例2、4でも同様に密着性、硫化水素濃度の低さ、酸素・水蒸気透過度の低さが得られて良好な結果が得られた。
2 密着層
22 改質処理層
3 無機蒸着層
4 被覆層
5、25 ガスバリア積層体
6 電極
7 イオン
8 処理ロール
9 フィルム基材
10 ガス導入ノズル
11 マッチングボックス
12 遮蔽板
Claims (4)
- プラスチック材料からなるフィルム基材と、その上に設けられた被覆層を備える積層体であって、
前記被覆層が、ポリカルボン酸系重合体と、一般式R1Si(OR2)3で表されるシランカップリング剤、その加水分解物、及びそれらの縮合物からなる群から選択される少なくとも1種のケイ素含有化合物とを、99.5:0.5~80.0:20.0の質量比で含有した層と、吸光光度法により測定される波長350nmにおける吸光度から波長500nmの吸光度を差し引いた値とする紫外線吸光度が0.58以上、0.65以下を示す多価金属化合物を含有する層とを含み、
前記多価金属化合物が、酸化亜鉛であり、
前記フィルム基材と前記被覆層の間に、密着層と、無機酸化物からなる無機蒸着層とを備えることを特徴とするガスバリア積層体。
(ただし、前記ケイ素含有化合物の質量は、前記シランカップリング剤換算の質量であり、一般式のR1はグリシジルオキシ基又はアミノ基を含む有機基であり、R2はアルキル基であり、3個のR2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。) - 前記フィルム基材上に改質処理層を備え、前記改質処理層上に無機酸化物からなる無機蒸着層を備え、前記無機蒸着層上に前記被覆層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア積層体。
- 前記無機酸化物が、酸化アルミニウムもしくは、酸化ケイ素であることを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリア積層体。
- 請求項1~3のいずれかに記載のガスバリア積層体を用いて成ることを特徴とする包装体。
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