JPWO2018203526A1 - アルミニウム蒸着フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

アルミニウム蒸着フィルムおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

ポリエチレンテレフタレートフィルム、活性化処理層、酸化アルミニウム蒸着層からアルミニウム蒸着層へ連続的に組成変化する蒸着層がこの順で積層されたアルミニウム蒸着フィルム。耐水密着性に優れることにより、ボイル後においても、蒸着層と基材フィルムとの密着性に優れたアルミニウム蒸着フィルムを提供する。

Description

本発明は、蒸着層と基材フィルム間の耐水密着性に優れたアルミニウム蒸着フィルムおよびその製造方法に関する。
基材フィルム上に、真空蒸着によりアルミニウム、酸化アルミニウムや酸化珪素などの薄膜を形成したガスバリア性蒸着フィルムが包装材料として好適に使用されている。このガスバリア性蒸着フィルムを積層したラミネートフィルムは、ガスバリア性、耐水性、耐湿性に優れ、ボイル耐性、レトルト耐性、環境対応性にも優れた包装材料として好適に使用されている。
なかでもアルミニウムを蒸着したものは、遮光性を有し、金属光沢に富むことから高級感があること、ガスバリア性能に優れること、安価に作製できることから、食品包装材料用途に広範に用いられている。
例えば、最外層にナイロンフィルムを用い内層にアルミニウム蒸着フィルムを用いたゼリーの蓋材は、腰があって光沢を有した高級感のある外観となる。しかしながら、内容物を充填した後に殺菌のためのボイル処理の際、最外層のナイロンフィルムを熱水が透過し、アルミニウム蒸着フィルムにダメージを与え、アルミニウム蒸着層と基材フィルム間の密着力が大幅に低下し、アルミニウム蒸着層と基材フィルム間で剥離が生じたり、アルミニウム蒸着層が水と反応して金属光沢を失い、商品として陳列した際の見映えが悪くなったり、内容物が腐敗することがあった。
上記問題を解決する方法として、コロナ処理層を有した基材フィルムにアルミニウム蒸着膜を形成する方法が用いられることが多い(例えば特許文献1を参照)。また近年、高いエネルギーのイオンを照射することにより基材フィルムと蒸着層間の密着強度を向上させる方式が注目されている(例えば特許文献2を参照)。
またアルミニウム蒸着層と基材フィルムとの界面に水が浸潤した際の密着性を向上させるための手法として、蒸着層との密着性に優れるアンカーコート層を基材フィルム上に設け、その上に蒸着層を形成する方法が知られている(例えば特許文献3を参照)。
一方、蒸着装置内で基材フィルム表面にグロー放電処理を行い、引き続き蒸着薄膜を設けること(例えば特許文献4を参照)、基材表面に核付金属蒸着層を形成する方法(例えば特許文献5を参照)、基材フィルムにグロー放電下で金属アンカー層を形成し、金属酸化物層を形成した後、ガラス転移点50〜80℃の二液硬化型樹脂層を設ける方法(例えば特許文献6を参照)などが知られている。
特開平5−112861号公報 特開2014−223788号公報 特開2007−69456号公報 特開平8−267645号公報 特開平10−36958号公報 特開2001−162711号公報
特許文献1、4、5による技術では、ボイル処理後の密着性が十分でない等の問題があった。
特許文献2、3、6による技術では、金属酸化物蒸着フィルムに対しては非常に有効な処理である一方、金属蒸着フィルムに対しては耐水密着性が十分でないという問題があった。
また、特許文献4〜6のプラズマを用いた処理方法によれば、アンカーコート層を設ける手法に比べ製造コストは低くなるが、高速でアルミニウム蒸着フィルムを製造しようとすると、プラズマ処理強度を維持するために、プラズマ処理装置への投入電力を大きくする必要があった。しかし、投入電力を上げていくと、グロー放電から瞬間的にアーク放電等の異常放電へ移行する危険性が高くなり、アーク放電が発生した場合には、表面処理が不十分な箇所が出現し、さらに瞬間的な高い電流がフィルム表面近傍で流れることにより、フィルムに損傷を与え、フィルムに穴が開く、フィルムが変形する等、外観不良となる問題があった。
近年、アルミニウム蒸着フィルムの耐水密着性への要求が高度化してきているなかで、上記の様な異常放電による不具合箇所が発生せず、高速で安定して製造できるアルミニウム蒸着フィルムの出現が待たれていた。
本発明の課題は、このような従来技術の問題点を解決しようとするものであり、耐水密着性に優れることにより、ボイル後においても蒸着層と基材フィルムとの密着性に優れたアルミニウム蒸着フィルムを提供することである。
上記問題を解決するため、本発明は以下の構成をとる。
(1)ポリエチレンテレフタレートフィルム、活性化処理層、酸化アルミニウム蒸着層からアルミニウム蒸着層へ連続的に組成変化する蒸着層がこの順に積層されたアルミニウム蒸着フィルム。
(2)前記活性化処理層がアノードレイヤー型のイオン源によりイオン照射が行われた改質層である(1)記載のアルミニウム蒸着フィルム。
(3)前記活性化処理層が30ng/cm〜120ng/cmの銅蒸着層である(1)記載のアルミニウム蒸着フィルム。
(4)ポリエチレンテレフタレートフィルムが、7から13μmの範囲の厚さの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである(1)から(3)のいずれかに記載のアルミニウム蒸着フィルム。
(5)酸化アルミニウム蒸着層の膜厚が6から30nmの範囲であり、アルミニウム蒸着層の膜厚が19から50nmの範囲である(1)から(4)のいずれかに記載のアルミニウム蒸着フィルム。
(6)ポリエチレンテレフタレートフィルムと蒸着層との界面のウェット密着強度が0.5N/15mm以上である(1)から(5)のいずれかに記載のアルミニウム蒸着フィルム。
(7)90℃、60分間のボイル処理後の、ポリエチレンテレフタレートフィルムと蒸着層との界面のウェット密着強度が0.3N/15mm以上である(1)から(6)のいずれかに記載のアルミニウム蒸着フィルム。
(8)真空槽内において、ポリエチレンテレフタレートフィルムを搬送しながらアノードレイヤー型のイオン源により連続的にイオン照射を行い、引き続き該照射面に反応性蒸着により、酸化アルミニウム蒸着層とアルミニウム蒸着層を連続的に形成するアルミニウム蒸着フィルムの製造方法。
(9)真空槽内において、ポリエチレンテレフタレートフィルムを搬送しながらスパッタリングにより連続的に銅蒸着層を形成し、引き続き該照射面に反応性蒸着により、酸化アルミニウム蒸着層とアルミニウム蒸着層を連続的に形成するアルミニウム蒸着フィルムの製造方法。
本発明によれば、蒸着層と基材フィルム間の耐水密着性に優れたアルミニウム蒸着フィルムを安価に製造することができる。
本発明のアルミニウム蒸着フィルムの構成の一例 本発明に用いられる製造装置の一例 本発明に用いられる製造装置の一例 本発明のアルミニウム蒸着フィルムのオージェ電子分光法によるデプスプロファイルの一例
本発明は、ポリエチレンテレフタレートフィルム、活性化処理層、酸化アルミニウム蒸着層からアルミニウム蒸着層へ連続的に組成変化する蒸着層がこの順に積層されたアルミニウム蒸着フィルムである。活性化処理層はドライプロセスにより形成され、その上に酸化アルミニウム蒸着層からアルミニウム蒸着層へ連続的に組成変化する蒸着層が積層されたアルミニウム蒸着フィルムである。
本発明において、活性化処理層は、オフライン、好ましくはインラインで、真空中でのプロセスにより形成される。ドライプロセスによる活性化処理層を設けることで、低コストで生産性良く本発明のアルミニウム蒸着フィルムを製造することができる。
本発明における活性化処理層の形成は具体的には、低圧でのプラズマ処理、プラズマ化学気相蒸着処理、プラズマ重合処理、各種イオン源によるイオンビーム処理や、特定の金属の蒸着などがあるが、なかでもアノードレイヤー型のイオン源によるイオン照射によるもの、または銅蒸着であることが好ましい。
すなわち本発明の1つの実施態様は、ポリエチレンテレフタレートフィルムの少なくとも片面に、アノードレイヤー型のイオン源によりイオン照射が行われた改質層を形成し、該改質層上に酸化アルミニウム蒸着層からアルミニウム蒸着層へ連続的に組成変化する蒸着層が積層されたアルミニウム蒸着フィルムである。
本発明のアルミニウム蒸着フィルムの一例は、図1に模式的に示すように、ポリエチレンテレフタレートフィルム基材1、アノードレイヤー型のイオン源によるイオン照射が行われた改質層2、酸化アルミニウム蒸着層3からアルミニウム蒸着層4へ連続的に組成変化する蒸着層からなる。
本発明においてポリエチレンテレフタレートフィルムとは、テレフタル酸とエチレングリコールの両モノマーを原料に、縮重合によるポリエステル結合により重合したポリエチレンテレフタレート樹脂からなるフィルム(以下、PETフィルムと称することがある。)である。
本発明においてPETフィルムは、機械強度の点から二軸延伸が行なわれたものが望ましい。PETフィルムの厚さは、限定されるものではないが、食品包装材料用として、7から13μmの範囲の厚さのものが標準であり好ましい。
本実施態様の発明においてPETフィルムは、予め表面処理としてアノードレイヤー型のイオン源によりイオン照射が行われる。図2に本発明を実施するための蒸着装置を例示するが、真空槽5内において、アノードレイヤー型のイオン源15によりイオン照射が、繰出部7と冷却ドラム9の間にてロール・ツー・ロール方式で連続的に行われ、改質層が設けられる。
アノードレイヤー型のイオン源とは、レーストラック状の間隙部の間隙幅方向に磁場を形成し、開口部背面に配置されたアノードに間隙部(カソード)に対して正の電圧を印加し、間隙部磁場に基づく電子のホール運動によりプラズマを強化するとともにイオンの加速を行う方式のイオン源である。イオン発生部であるレーストラック形状をフィルムの幅方向に長く伸ばすことでリニア形状が得られ、フィルムの巾方向に均一なイオン照射を行うことができる。
通常の低圧プラズマ処理(あるいはグロー放電処理)においてもイオン照射による表層の改質が行われるが、この場合のイオンのエネルギーは0.1〜数eV程度とされており、改質の効果は表層のみに限定されている。本発明においては、好ましくは100eV以上の高速イオンを照射してPETフィルムの少なくとも片面の表層を改質することが重要である。
照射する高速イオンのエネルギーは、イオン源の機構によって特徴的な分布を持つ。一般的なイオン源では、プラズマを発生させる機構、プラズマからイオンを引き出す機構、および引き出したイオンに加速電圧をかける機構が独立しており、加速電圧に従ったシャープなエネルギー分布を持つ高速イオンを得ることができる。一方で、本発明で用いるアノードレイヤータイプのイオン源では、上記の機構が独立でないためにイオンのエネルギーに分布が生じる。イオンの持つエネルギーにより加重平均した平均イオンエネルギーを指標とするならば、100eV〜1keVの範囲とすることが好ましい。100eV以上とすることで、PETフィルムの表層の改質の効率を高くすることができる。平均イオンエネルギーが150eV程度から改質層がより効率よく形成されるようになり、300eVでは充分効率よく形成される。これより平均イオンエネルギーを高くして、1keV程度までは適切な領域となる。これを超えると処理としては過剰になるとともに、改質層を形成するだけでなく、高いエネルギーにより改質層もエッチングされて生産性の無駄を生じる。
本発明においてPETフィルム表層の改質の程度は、以下に定義する指標により管理できる。イオンのエネルギーは、1個のイオンがPETフィルム表層に与えるエネルギーを意味する。イオン電流は、照射されるイオン粒子により流れる電流であり、改質のために入射する時間当たりのイオンの数に対応する。フィルムを送りながら処理する場合、フィルムの幅と送り速度の積が単位時間当たりの処理面積である。PETフィルムの表層改質の程度は、イオンの平均エネルギーEaとイオン電流Iの積である電力値を、単位時間当たりの処理面積で割って、単位面積あたりの照射エネルギー値(以下照射エネルギー密度)(J/m)として、Ea×I/(v×W)で表される。ここで、フィルムの送り速度はv(m/s)、フィルムの幅はW(m)である。Eaについては実施例の説明において後述する。
この照射エネルギー密度については20J/mから800J/m範囲が本発明においては好適な領域である。20J/m以上とすることで十分な表層改質効果を得ることができ、800J/m以下とすることで過度な処理をすることなく、改質層とすることができる。
上述のような適切な照射エネルギー条件は、イオン源に導入するガスの流量や動作圧力、動作電圧などのパラメータを調整し、フィルムの送り速度を適宜選択することで達成できる。
本発明においては、PETフィルムの少なくとも片面表層に高速イオンを照射して表層を改質することで耐水密着性を向上させ、ボイル処理後の密着強度の低下を防ぐことができる。こうした層では高速イオンにより高分子の一部が分解され、分子鎖中の水素が排除されることで炭素リッチな層が形成されることが想定され、炭素リッチな層は酸化アルミニウム蒸着層との親和性が高く、蒸着層の密着性を確実なものとすると考えられる。
本発明におけるアノードレイヤー方式のイオン源によりイオン照射が行われたPETフィルムの改質層の存在は、ガスクラスターイオンにより深さ方向にエッチングを行いながら組成を測定する飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)により確認できる。すなわち、TOF−SIMSでPETフィルムの表面を観察し、C16とC の2種のフラグメントに注目する。C16は、イオンの衝撃によりPETの分子結合の一部が破壊し、大気中の窒素がPETフィルム中に取り込まれた成分に起因する。C は、イオンビーム処理によっても変化が見られず表層から均等に分布している成分に相当する。強い原子結合を持つベンゼン環に起因すると考えられる。イオンビーム処理が強く行われるほどにC16が多く検出されるので、C に対する比率が改質層の指標となる。
この比率において、0.1以上となる領域が改質により生じた層である。
改質層は、1nm以上の厚さで効果を発現しやすく、10nm以上が望ましい。100nm以下とすることで、生産性よく、過剰な処理による褐色の着色を生じることなく透明な改質層を得ることができ好ましい。
本実施態様の発明において、PETフィルムは、真空層内で上記のイオン照射が行われ、引き続き酸化アルミニウム蒸着層およびアルミニウム蒸着層が順次積層される。若しくは、真空槽内で上記のイオン照射が行われ、巻取部に巻き取られた後、一旦大気中に取り出し、再び真空槽内で酸化アルミニウム蒸着層およびアルミニウム蒸着層が順次積層されてもよい。
次に、本発明の他の実施態様は、PETフィルム表面に30ng/cm〜120ng/cmの銅蒸着層を形成し、その上に酸化アルミニウム蒸着層からアルミニウム蒸着層へ連続的に組成変化する蒸着層が積層されたアルミニウム蒸着フィルムである。銅蒸着層は、好ましくは35ng/cm〜110ng/cmであり、より好ましくは40ng/cm〜100ng/cmである。
銅蒸着量は、30ng/cm未満では耐水密着力不足となる場合があり、120ng/cmを超えると銅金属による赤銅色が顕著になり、アルミニウムによる金属光沢が阻害される。また、次に述べる銅蒸着層を形成するためのプラズマ処理強度を高くする必要から、電極での異常放電が発生し、PETフィルムが変色、変形し、外観が問題となる場合がある。
銅蒸着層を形成する方法としては、特に限定されるものではないが、銅をターゲットとしたスパッタリングによる銅蒸着層形成方法とすることが、一定量を安定的に形成することができ好ましい。なかでも、プレーナーマグネトロン方式のスパッタリングは大電力を投入しやすく、放電の安定性の点からより好ましい。銅蒸着層は、通常のロール・ツー・ロール型の真空蒸着機において、蒸着直前の同時(インライン)処理により形成することが好ましいが、蒸着に先立って事前に(オフライン)形成しておいても良い。
図3に、本実施態様の発明のアルミニウム蒸着フィルムを製造するための真空蒸着装置の一例を示す。PETフィルム11は繰り出し軸7から繰り出され、高周波電源19により励起されたプレーナーマグネトロン方式のスパッタリング電極18により銅蒸着層が形成され、引き続き蒸着が行われる。
本発明において、酸化アルミニウム蒸着層からアルミニウム蒸着層へ連続的に組成変化する蒸着層が積層されるとは、アルミニウムを蒸発させながら、蒸着初期には酸素と反応させる反応性蒸着により酸化アルミニウム蒸着層を設け、蒸着後半に連続的に真空蒸着でアルミニウム蒸着層を設けることを意味する。このように酸化アルミニウム蒸着層からアルミニウム蒸着層へ連続的に組成変化する蒸着層を設けることにより、PETフィルム上に酸化アルミニウム蒸着層を形成した後、一度蒸着機から取り出し、再度蒸着機へ投入し、酸化アルミニウム蒸着層の上にアルミニウム蒸着層を形成した場合と比較し、酸化アルミニウム蒸着層とアルミニウム蒸着層間の密着がより強くなる上、コスト面においても安価に作製することができる。図2、3に示すように、長尺のPETフィルムに酸化アルミニウム蒸着層およびアルミニウム蒸着層を順次積層しようとする場合は、蒸着源10に対向する冷却ドラム9上でPETフィルムに蒸着が行われるにあたり、蒸着初期には繰出部側のガス吹出口12から導入される酸素により酸化アルミニウム蒸着層が設けられるが、酸素は繰出部側で消費されるため、巻取部側の蒸着後半ではアルミニウム蒸着層が積層される。アルミニウム蒸着源の加熱方法としては、抵抗加熱、高周波加熱、電子ビーム加熱等の周知の方法を用いることができる。
酸化アルミニウム蒸着層の厚さは6nm以上30nm未満が望ましい。6nmよりも薄いとボイル処理後の密着強度が低くなり、30nm以上だと、ボイル後の密着強度が頭打ちになる一方、コストが上がり、金属光沢が損なわれやすくなる。酸化アルミニウム蒸着層の厚さは、7nm以上25nm未満がさらに好ましい。また、アルミニウム蒸着層の厚さは19nm以上100nm未満が望ましい。19nmよりも薄いと金属光沢の外観が損なわれ、さらに遮光性・ガスバリア性能の観点から食品保護に不十分なものとなる場合があるためである。100nm以上だと、ガスバリア性が頭打ちになる一方、コストが上がり、PETフィルムの熱負けが発生しやすいために低速で蒸着せざるを得ず、生産性が低下する。好ましくは25nm〜80nmの範囲であり、より好ましくは30nm〜50nmの範囲である。
本発明のアルミニウム蒸着フィルムの光学濃度は1.5〜4.0の範囲が好ましい。1.5未満であると、遮光性、ガスバリア性能が不十分となることがある。4.0を超えるとガスバリア性能が頭打ちになる一方、PETフィルムの熱負けが発生しやすいために低速で蒸着せざるを得ず、生産性が低下する。より好ましくは1.8〜3.5の範囲である。なお、光学濃度とは、光線透過率をT(%)とした場合に−Log(T(%)/100(%))で計算される値である。
本発明のアルミニウム蒸着フィルムの、PETフィルムと蒸着層との界面のウェット密着強度は0.5N/15mm以上であることが好ましい。ウェット密着強度とは実施例で説明するが、剥離界面に水を塗布しながら低速で剥離しながら測定する剥離強度であり、近年の耐水密着性への厳しい要求から、本法によるウェット密着強度は1N/15mm以上がさらに好ましい。
本発明のアルミニウム蒸着フィルムは、殺菌を目的とした90℃、60分間のボイル処理後において、蒸着層とPETフィルム間の密着強度の低下が小さいことが特長であり、ボイル処理後において、水を付着させながら50mm/minの速度にて行なう強度測定において、0.3N/15mm以上である。このため、輸送中や商品陳列後に蒸着層とPETフィルム間で剥離が生じることがなく好ましい。
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、各特性値は以下の方法で測定した。
(1)表面抵抗値(Ω/□)
アルミニウム蒸着フィルムの表面抵抗値は、(株)三菱化学アナリテック製「ロレスタ」EP MCP−T360を用いて測定した。
(2)光学濃度
アルミニウム蒸着フィルムの光学濃度は、米マクベス社製光学濃度計TD904を用いて測定した。
(3)ウェット密着強度(方法1)(N/15mm)
東洋モートン(株)製ドライラミネート用接着剤AD−503タイプ20重量部、東洋モートン(株)製硬化剤CAT−10タイプ1重量部、および酢酸エチル20重量部を混合し、10分、攪拌して固形分濃度19重量%のドライラミネート用接着剤溶液を調整した。
貼合フィルムとしてユニチカ(株)製15μm延伸ナイロンフィルム「エンブレム(登録商標)」ONUM、三井化学東セロ(株)製40μm直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)フィルム「T.U.X(登録商標)」FCSを用いた。
まず、延伸ナイロンフィルムの易接着処理面にバーコート法により上記接着剤溶液を塗工し、80℃で45秒間乾燥して2.7μmの接着剤層を形成した。富士テック(株)製「ラミパッカー」LPA330を用いてヒートロールを40℃に加熱し、延伸ナイロンフィルムとアルミニウム蒸着フィルムのアルミニウム蒸着面を貼合し、L−LDPEフィルムのコロナ処理面に延伸ナイロンフィルムと同様に接着剤を塗布しアルミニウム蒸着フィルムの蒸着を施してない側とを貼合し、ラミネートフィルムを作製した。
接着剤を硬化後、15mm、長さ100mmに切断してカットサンプルを作製した。(株)オリエンテック製「テンシロン」万能材料試験機PTM50タイプを使用してアルミニウム蒸着フィルムと延伸ナイロンフィルム間を界面として綿棒で水を界面に塗布しながら、T型剥離法により、引っ張り速度50mm/minで剥離し強度を測定した。これらの測定を異なる3枚のカットサンプルを使用して行い、得られた値の平均値をウェット密着強度(N/15mm)とした。
(4)ボイル後ウェット密着強度(方法1)(N/15mm)
上記(3)のラミネートフィルムから150mm角に切り出してカットサンプルを作成した。2枚のカットサンプルをL−LDPEフィルム面が対向するようにして重ね、ヒートシーラーを用いて3辺の端部10mmを熱シールして150mm角のパッケージを作成した。水道水100mlを入れてからヒートシールで140℃2秒間圧着して封止した。
次にそのパッケージを、(株)トミー精工製オートクレーブ(SR−24タイプ)を用いて温度90℃で60分間ボイル処理した。
ボイル処理後、袋内部の水を排出後、パッケージを幅15mm、長さ150mmに切断してカットサンプルを作成し、30分後に「テンシロン」を使用して蒸着フィルムと延伸ナイロンフィルム間を界面として綿棒で水を界面に塗布しながら、T型剥離法により、引っ張り速度50mm/minで剥離し強度を測定した。これらの測定を異なる3枚のカットサンプルを使用して行い、得られた値の平均値をボイル処理後低速ウェット密着強度(N/15mm)とし、0.3N/15mm以上を合格とした。
(5)ウェット密着強度(方法2)(N/15mm)
DIC(株)製ドライラミネート用ポリエステル系接着剤(LX500)10重量部、DIC(株)製硬化剤(KW75)1重量部、および酢酸エチル21重量部を混合し、10分攪拌してドライラミネート用接着剤溶液を調整した。
貼合フィルムとして上記(4)と同様、15μm延伸ナイロンフィルム「エンブレム(登録商標)」ONUM、40μmL−LDPEフィルム「T.U.X(登録商標)」FCSを用いた。まず、延伸ナイロンフィルムの易接着処理面にバーコート法により上記接着剤溶液を塗工し、80℃で45秒間乾燥して2.5μmの接着剤層を形成した。アルミニウム蒸着フィルムのアルミニウム蒸着面に、接着剤を塗布した延伸ナイロンフィルムを富士テック(株)製「ラミパッカー」(LPA330)を用いてヒートロールを40℃に加熱して貼合した。さらに、L−LDPEフィルムのコロナ処理面に延伸ナイロンフィルムと同様に接着剤を塗布し、アルミニウム蒸着フィルムのPETフィルム面に貼合した。このラミネートフィルムを40℃に加熱したオーブン内で3日間エージングして接着剤を硬化させた。
接着剤を硬化後、15mm、長さ100mmに切断してカットサンプルを作製した。厚さ3mm、長さ150mm、幅50mmのアクリル板にラミネートフィルムのL−LDPEフィルム側を両面テープにより固定し、延伸ナイロンフィルムを「テンシロン」の上、アクリル板を下のチャックにセットし、180°剥離法を用い、引っ張り速度50mm/minで剥離界面に綿棒を使用し水を塗りながら剥離して、1水準につき3枚ずつサンプルについてラミネート強度平均値によりウェット密着強度を確認した。
(6)ボイル後ウェット密着強度(方法2)(N/15mm)
上記(5)によるラミネートフィルムを用い、上記(4)と同様のボイル処理を行った後、パッケージを幅15mm、長さ150mmに切断してカットサンプルを作成し、30分後に厚さ3mm、長さ150mm、幅50mmのアクリル板にラミネートフィルムのL−LDPEフィルム側を両面テープにより固定し、延伸ナイロンフィルムを「テンシロン」の上、アクリル板を下のチャックにセットし、180°剥離法を用い、引っ張り速度50mm/minで剥離界面に綿棒を使用し水を塗りながら剥離して、1水準につき3枚ずつサンプルについてラミネート強度平均値によりボイル後のウェット密着強度を確認した。
(7)蒸着層膜厚(nm)
オージェ電子分光分析装置(アルバックファイ社製 SAM−670型走査型オージェ電子分光装置)にて、アルミニウム蒸着フィルムの最表面よりArイオンエッチングと測定を繰り返すことにより、横軸がエッチング時間、縦軸が原子%のデプスプロファイルを得た。
Arイオンエッチング条件
加速電圧:2kV
測定条件
加速電圧:3kV
試料電流:10nA
試料傾斜角度:72°
ビーム径:200nmφ 。
デプスプロファイルから下記指標によりアルミニウム蒸着層、酸化アルミニウム蒸着層の厚さを確認した。算出には、SiO換算のエッチングレート4.7nm/minを用いた。
アルミニウム蒸着層膜厚(nm):最表層からPETフィルム側でアルミニウムの原子%が最大値の1/2となるまでのエッチング時間から算出した。
酸化アルミニウム蒸着層膜厚(nm):上記記述のPETフィルム側でアルミニウムの原子%が最大値の1/2となった点から、酸素の原子%がPETフィルム側で20原子%となるまでのエッチング時間から算出した。アルミニウムの原子%が最大値を取る点からPETフィルム側で酸素の原子%最大値が30%未満である場合は、アルミニウム蒸着膜とPETフィルム界面における自然酸化膜由来の酸素と考え、酸化アルミニウム蒸着層とは見なさなかった。
また、本発明における酸化アルミニウム蒸着層からアルミニウム蒸着層へ連続的に組成変化する蒸着層であることは、アルミニウム濃度が最表層からPETフィルム側に向けて最大値を取った後、その最大値の80%から最大値の1/2(アルミニウム蒸着層と酸化アルミニウム蒸着層の界面)となる間の遷移領域の厚さが2nm以上であることにより確認した。
(8)改質層の厚さ(nm)
本発明のドライプロセスによる活性化処理層であるアノードレイヤー型のイオン源のイオン照射による改質層の厚さは、以下の方法で求めた。
PETフィルムのアノードレイヤー型のイオン源のイオン照射を行った後、大気中に取り出して、TOF−SIMS分析(IONTOF社TOF−SIMS5)による分析を行った。
一次イオン源(Arクラスターイオンビーム、2.5keV,0.35nA)でエッチングを行い、それぞれの深さでビスマス液体金属(Bi 、10keV,0.5pA)を照射して得られる二次イオンである分子片(フラグメント)をカウントした。フラグメントの質量から対応する分子式を特定し、エッチング時間に対する変化としてデータ集計した。エッチング時間に対するエッチング深さは、SiO換算で10sが1nmに相当するが、これに別途わかっているSiOに対するPETのエッチング速度比5倍を乗じてエッチング深さに換算した。
改質層の厚さを求めるのには、C16とC のピーク面積の比を用いた。C16は、イオンの衝撃によりPETの分子結合の一部が破壊し、大気中の窒素がPETに取り込まれた成分に起因する。C は、イオンビーム処理によっても変化が見られず表層から均等に分布している成分に相当する。強い原子結合を持つベンゼン環に起因すると思われる。イオンビーム処理が強く行われるほどにC16が多く検出されることを利用して、C に対する比率を改質層の指標とする。この比率において、0.1以上となる領域を改質層として改質層の厚さを定義した。
(9)銅蒸着量(ng/cm
本発明のドライプロセスによる活性化処理層である銅蒸着層の銅蒸着量は、以下の方法で求めた。
アルミニウム蒸着フィルムを10cm角に切断したカットサンプルを作成し、カットサンプルを硝酸20mLに24時間浸漬した後、得られた溶液の銅の吸光度(波長324.8nm)を原子吸光分光光度計(島津製作所社製 AA−6300タイプ)で測定して、銅の溶解量(濃度)が分かっている標準サンプルを検量線として銅蒸着量を算出した。これらの算出を異なる4枚のカットサンプルを使用して行い、得られた値の平均値を銅蒸着量(ng/cm)とした。
(実施例1)
連続巻き取り式蒸着機((株)アルバック製)のフィルム繰出部と蒸着部の間に、有効長1mのリニア型アノードレイヤータイプのイオン源(米Veeco社、ALS1000L)を、フィルム走行面から50mmの距離に設置した。イオン源用電源は、米グラスマン・ハイボルテージ社SHタイプを用いた。フィルム走行面からフィルム背面側に10mm遠ざかった位置に1m×200mmの水冷を施したイオン電流測定用電極16を設け、イオン源を動作させた状態で正のリターディング電圧を変化させながらイオン電流を測定した。リターディング電圧とイオン電流の関係からイオンのエネルギー分布を求め、イオンの平均エネルギーEa(eV)を算出した。なお、リターディング電圧をかけない状態でのイオン電流I(A)も測定した。まずイオン源には酸素を0.08L/min導入し、アノード電圧2kV、アノード電流860mAで動作させた。この際のイオンの平均エネルギーEaは0.6keVであり、イオン電流Iは650mAであることを確認した。実施例2以降においても同様にイオン源の動作条件でのイオンの平均エネルギーとイオン電流を事前に測定した。
上記の条件で、1m幅、12μm厚さのPETフィルム(東レ(株)製「ルミラー(登録商標)」P60)を、フィルム速度を240m/min(4m/s)でイオン照射して巻き取り、巻取りロールを大気中に取り出して24時間保管後、同じ連続巻き取り式蒸着機の繰出部7に取り付け、真空引きを行った。
その後、酸素ガスを蒸着部の繰出部側に設置したガス吹出口から2.6L/minで導入しながら、速度360m/minで蒸着を実施した。このような方法により、それぞれの厚さが14nm、24nmの酸化アルミニウム蒸着層およびアルミニウム蒸着層を連続的に形成し、アルミニウム蒸着フィルムを作製した。改質層の厚さは、69nmであった。
(実施例2)
実施例1において、蒸着加工中の酸素導入量を1.6L/minの条件でそれぞれの厚さが8nm、38nmの酸化アルミニウム蒸着層およびアルミニウム蒸着層を連続的に形成した以外は、実施例1と同様にしてアルミニウム蒸着フィルムを作製した。
(実施例3)
実施例1において、イオン源には酸素を0.1L/min導入し、アノード電圧印加を1.2kV、アノード電流を390mAの条件でイオン照射を実施した。実施例1と同様にして、それぞれの厚さが20nm、26nmの酸化アルミニウム蒸着層およびアルミニウム蒸着層を連続的に形成し、アルミニウム蒸着フィルムを作製した。イオンの平均エネルギーEaは0.3keVであり、イオン電流Iは260mAであった。改質層の厚さは6nmであった。
(実施例4)
実施例3において、蒸着加工中の酸素導入量を1.0L/minの条件でそれぞれの厚さが7nm、35nmの酸化アルミニウム蒸着層およびアルミニウム蒸着層を連続的に形成してアルミニウム蒸着フィルムを作製した。
(比較例1)
イオン照射処理を行わず、蒸着加工中に酸素を導入せずに厚さが43nmの金属アルミニウム蒸着層のみを形成した。ボイル処理後ウェット密着強度を測定しようと試みたが、既に剥離しており測定不可であった。
(比較例2)
イオン照射処理を行わない以外は、実施例1と同様にして蒸着加工を実施した。
各実施例、比較例のイオン照射、蒸着条件、アルミニウム蒸着フィルムの特性を表1に示す。
以上の各実施例の結果より明らかなように、本発明のアルミニウム蒸着フィルムは、ボイル処理後ウェット密着強度において優れる結果であった。特に実施例1については、PETフィルム側にアルミニウム蒸着層が一部残っており、PETフィルムと蒸着層の密着力が非常に強固なものであることが確認できた。一方、比較例1は、活性化処理層である改質層および酸化アルミニウム蒸着層がないため、比較例2は改質層がないため、いずれもボイル処理後ウェット密着強度が劣る結果であった。
(実施例5)
基材フィルムには2m幅、12μm厚さのPETフィルム(台湾の新科光電材料製M121)を使用した。連続巻き取り式蒸着機((株)アルバック製)のフィルム繰出部と蒸着部の間に、銅をターゲットとするプレーナーマグネトロン方式の放電電極を、フィルム走行面から20mmの距離に設置し、電極近傍に酸素ガスを1.0L/min流しながら高周波電源(周波数60kHz)により供給された電圧をかけることで、プラズマを発生させ、PETフィルム上に99ng/cmの銅蒸着層を形成した。放電電極への投入電力は31kWとした。その後、酸素ガスを蒸着部の繰出部側に設置したガス吹出口から8.4L/minで導入しながら、速度420m/minで蒸着を実施した。このような方法により、それぞれの厚さが16nm、44nmの酸化アルミニウム蒸着層およびアルミニウム蒸着層を連続的に形成し、アルミニウム蒸着フィルムを作製した。以下ウェット密着強度(方法2)とボイル後ウェット密着強度(方法2)で評価を行った。
(実施例6)
実施例5において、放電電力を15kWに設定し、銅蒸着層量を30ng/cmとした以外は、実施例5と同様にしてアルミニウム蒸着フィルムを作製した。
(実施例7)
実施例1において、蒸着加工中の酸素導入量を6.0L/minの条件でそれぞれの厚さが13nm、44nmの酸化アルミニウム蒸着層およびアルミニウム蒸着層を連続的に形成した以外は、実施例5と同様にしてアルミニウム蒸着フィルムを作製した。
(実施例8)
実施例6において、蒸着加工中の酸素導入量を6.0L/minの条件でそれぞれの厚さが11nm、41nmの酸化アルミニウム蒸着層およびアルミニウム蒸着層を連続的に形成した以外は、実施例6と同様にしてアルミニウム蒸着フィルムを作製した。
(実施例9)
実施例5において速度を600m/minとし、放電電極への投入電力は31kWのまま、酸素導入量を10.5L/minとし、アルミニウム蒸発量を速度アップにあわせて増加させてアルミニウム蒸着フィルムを作製した。
(実施例10)
蒸着加工中に酸素導入量を18.4L/mとし、厚さが35nmの酸化アルミニウム蒸着層を形成した以外は実施例5と同条件でアルミニウム蒸着フィルムを作製した。外観が銀色ではなく、黄色になった。
(実施例11)
蒸着加工中のフィルム速度を70m/minとし、実施例5と同じ方法を用いて、放電電力を10kWとし、180ng/cmの銅蒸着層を形成した。その後、酸素導入量を2.0L/mとし、厚さが19nmの酸化アルミニウム蒸着層を形成した後、230nmのアルミニウム蒸着層を形成したアルミニウム蒸着フィルムを作製した。フィルムが熱負けにより、変形した。
(実施例12)
金属アルミニウム蒸着層を15nmとした以外は、実施例5と同条件で作製した。光学濃度が小さく、遮光性が不十分であり、外観が銀色ではなく、黒色になった。
(比較例3)
蒸着加工中に酸素を導入せずに厚さが45nmのアルミニウム蒸着層のみを形成した以外は実施例5と同条件でアルミニウム蒸着フィルムを作製した。ウェット密着強度が不足であった。
(比較例4)
ウェット密着強度を上げるべく、放電電力を40kWまで上げて、比較例3と同様にアルミニウム蒸着層のみを形成した。ウェット密着強度は0.6N/15mmまで上昇したが、蒸着加工中、放電電極の異常放電が頻発し、変色、変形箇所が多数発生した。また銅による着色も顕著であった。
(比較例5)
銅蒸着層を設けなかった以外は、実施例5と同条件で作製した。ウェット密着強度が不足であった。
(比較例6)
銅蒸着層を設けず、蒸着加工中に酸素を導入せずに厚さが44nmのアルミニウム蒸着層のみを形成した以外は実施例5と同条件で作製した。ウェット密着強度が不足であった。
(比較例7)
実施例5と同様の方法を用いて、実施例5と同条件、同膜厚の銅蒸着層及び酸化アルミニウム蒸着層を単独で形成した後、巻取られたフィルムロールを一度蒸着機から取り出し、再度蒸着機の繰出しに取り付け、実施例5と同膜厚のアルミニウム蒸着層のみを形成した。酸化アルミニウム蒸着層とアルミニウム蒸着層の間の遷移領域の厚さは2nm未満であった。酸化アルミニウム蒸着層とアルミニウム蒸着層の界面で剥離し、ウェット密着強度が不足であった。
上記実施例、比較例の結果より明らかなように、本発明のアルミニウム蒸着フィルムは、耐水密着性において優れる結果であった。一方、比較例3、4は、酸化アルミニウム蒸着層がないため、比較例5は銅蒸着層がないため、比較例6は酸化アルミニウム蒸着層及び銅蒸着層がないため、比較例10は酸化アルミニウム蒸着層と金属アルミニウム蒸着層が連続的に形成されていないため、いずれも耐水密着性が劣る結果であった。
本発明のアルミニウム蒸着フィルムは耐水性に優れ、本発明のアルミニウム蒸着フィルムを用いたラミネートフィルムは、ボイル処理を行なっても蒸着膜とPETフィルム基材間の密着強度が強く、ボイル殺菌を必要とする内容物の包装材料として好適に用いることができる。
1 PETフィルム基材
2 活性化処理層
3 酸化アルミニウム蒸着層
4 アルミニウム蒸着層
5 真空槽
6 真空ポンプ
7 繰出部
8 巻取部
9 冷却ドラム
10 蒸着源
11 PETフィルム
12 ガス吹出口
13 ガス流量制御器
14 酸素ボンベ
15 アノードレイヤー型イオン源
16 イオン電流測定電極
17 イオン源動作用電源
18 スパッタリング電極
19 高周波電源
20 アルミニウム原子%最大値
21 PETフィルム側におけるアルミニウム原子%最大の1/2値
22 酸素の原子%最大値
23 PETフィルム側における酸素20原子%
24 アルミニウム蒸着層
25 酸化アルミニウム蒸着層

Claims (9)

  1. ポリエチレンテレフタレートフィルム、活性化処理層、酸化アルミニウム蒸着層からアルミニウム蒸着層へ連続的に組成変化する蒸着層がこの順に積層されたアルミニウム蒸着フィルム。
  2. 前記活性化処理層がアノードレイヤー型のイオン源によりイオン照射が行われた改質層である請求項1のアルミニウム蒸着フィルム。
  3. 前記活性化処理層が30ng/cm〜120ng/cmの銅蒸着層である請求項1のアルミニウム蒸着フィルム。
  4. ポリエチレンテレフタレートフィルムが、7から13μmの範囲の厚さの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである請求項1から3のいずれかに記載のアルミニウム蒸着フィルム。
  5. 酸化アルミニウム蒸着層の膜厚が6から30nmの範囲であり、アルミニウム蒸着層の膜厚が19から50nmの範囲である請求項1から4のいずれかに記載のアルミニウム蒸着フィルム。
  6. ポリエチレンテレフタレートフィルムと蒸着層との界面のウェット密着強度が0.5N/15mm以上である請求項1から5のいずれかに記載のアルミニウム蒸着フィルム。
  7. 90℃、60分間のボイル処理後の、ポリエチレンテレフタレートフィルムと蒸着層との界面のウェット密着強度が0.3N/15mm以上である請求項1から6のいずれかに記載のアルミニウム蒸着フィルム。
  8. 真空槽内において、ポリエチレンテレフタレートフィルムを搬送しながらアノードレイヤー型のイオン源により連続的にイオン照射を行い、引き続き該照射面に反応性蒸着により、酸化アルミニウム蒸着層とアルミニウム蒸着層を連続的に形成する耐ボイル性ガスバリアフィルムの製造方法。
  9. 真空槽内において、ポリエチレンテレフタレートフィルムを搬送しながらスパッタリングにより連続的に銅蒸着層を形成し、引き続き該銅蒸着層上に反応性蒸着により、酸化アルミニウム蒸着層とアルミニウム蒸着層を連続的に形成するアルミニウム蒸着フィルムの製造方法 。
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