JP2014222691A - 窒化物半導体テンプレートおよびその製造方法、並びに窒化物半導体発光素子 - Google Patents

窒化物半導体テンプレートおよびその製造方法、並びに窒化物半導体発光素子 Download PDF

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【課題】発光効率に優れた発光素子を形成できる窒化物半導体テンプレートを提供する。【解決手段】基板と、基板上に、III族原料と塩素系ガスとから生成されるIII族原料ガスおよび窒素原子を含有するV族原料ガスにより成長された窒化物半導体層と、を備え、窒化物半導体層における塩素の平均濃度が、8.20?1016cm−3以下の窒化物半導体テンプレートである。【選択図】図1

Description

本発明は、窒化物半導体テンプレートおよびその製造方法、並びに窒化物半導体発光素子に関する。
窒化物半導体発光素子は、GaNなどの窒化物半導体からなっており、赤色から紫外の発光が可能な発光素子として注目を集めている。窒化物半導体発光素子は、窒化物半導体テンプレート上に、発光部として、例えばn型半導体層、発光層およびp型半導体層を順に気相成長させることで形成される(例えば、特許文献1を参照)。窒化物半導体テンプレート(以下、単に「テンプレート」ともいう)は、例えば、基板上に窒化物半導体層(例えばn型GaN層)が気相成長されて形成されている。
このような窒化物半導体発光素子(以下、単に「発光素子」ともいう)においては、発光効率に優れていることが重要となる。発光素子の発光効率は、発光部の結晶性の向上に伴って高くなる傾向がある。発光部の結晶性は、発光部が気相成長されるテンプレートの窒化物半導体層の結晶性に依存することが知られている。すなわち、窒化物半導体層の結晶性が低いと、その上に気相成長される発光部の結晶性も低下する場合がある。このため、テンプレートの窒化物半導体層には優れた結晶性が要求される。
結晶性の向上のため、テンプレートの窒化物半導体層においては、一般的に厚く気相成長される。具体的には、窒化物半導体層は、例えば10μm程度の厚さに形成される。
窒化物半導体層を気相成長させる方法(気相成長方法)としては、有機金属気相成長法(MOVPE法)やハイドライド気相成長法(HVPE法)などが挙げられる。MOVPE法によれば、不純物の混入が少なく、良好な結晶性を得ることができる。しかし、MOVPE法では、結晶成長速度が数μm/hr程度と遅いため、一般的に厚く形成される窒化物半導体層を成長させるには成長時間が長く、製造コストが増大するといった問題がある。そこで、窒化物半導体層の気相成長方法としては、結晶成長速度が10μm/hr以上あるいは100μm/hr以上と速いHVPE法が用いられる。
特開2002−280611号公報
しかしながら、HVPE法により窒化物半導体層が形成されたテンプレートでは、発光部を形成して発光素子とした場合、発光効率が不十分となる場合があった。つまり、HVPE法により形成されたテンプレートでは、発光効率に優れた窒化物半導体発光素子を作製することが困難であった。
本発明は、上記課題に鑑みて成されたものであり、その目的は、発光効率に優れた窒化物半導体発光素子を作製できる窒化物半導体テンプレートおよびその製造方法、並びに発光効率に優れた窒化物半導体発光素子を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため、HVPE法により窒化物半導体層が形成されたテンプレートを用いて発光素子を作製する場合、その発光効率が低い要因について鋭意検討を行った。その結果、発光効率が低い要因は、テンプレートの窒化物半導体層中に混入している不純物(塩素(Cl))が、窒化物半導体層上に気相成長されて形成される発光部中に拡散するためであることがわかった。
塩素(Cl)の窒化物半導体層への混入、およびClの窒化物半導体層から発光部への拡散は以下のように生じている。
Clの窒化物半導体層への混入は、HVPE法により窒化物半導体層を成長させる際に用いるIII族原料ガスによって生じる。例えばHVPE法によりGaN層を気相成長させてテンプレートを形成する場合、III族原料ガスとして、溶融したガリウム金属(Ga)に塩化水素(HCl)を反応させて発生させた塩化ガリウム(GaCl)ガスを用いる。GaClガスはClを含有しており、GaN層の気相成長の際、GaClガスに由来するClがGaN層中に不可避的に混入することとなる。また、未反応のHCl(つまりGa金属と反応しきれないHCl)に由来するClがGaN層中に不可避的に混入することとなる。
Clの拡散は、Clが混入する窒化物半導体層を備えるテンプレートを用いて発光素子を作製する場合に生じる。具体的には、発光素子は、テンプレートをMOVPE装置に設置し、テンプレートの窒化物半導体層上に発光部を再成長させることで作製される。発光部の再成長は600℃〜1000℃程度の高温環境下で行われるため、この再成長の間、テンプレートは高温に曝される。この際、テンプレートの窒化物半導体層中に混入していたClは活性化され、発光部(活性層)へと拡散することとなる。発光部ではClの拡散によりCl濃度が増加するため、作製される発光素子は発光効率が低下し、発光特性(LED特性)が劣化してしまう。
このように、HVPE法で形成されたテンプレートを用いて発光素子を作製する場合、主にIII族原料ガスに由来し、窒化物半導体層に不可避的に混入しているClが、発光部に拡散することで、発光素子の発光効率が低下することとなっていた。
以上のことから、本発明者らは、発光素子の発光効率を向上させるには、Clの発光部への拡散を抑制する必要があると考えた。Clの拡散を抑制するには発光部の成長温度を低減することが考えられるが、その低減には限界があることから、テンプレートの窒化物半導体層に混入しているClの含有量(Cl濃度)を低減する必要があると考えた。
そこで、本発明者らは、テンプレートの窒化物半導体層におけるCl濃度を低減する方法について、鋭意検討を行った。その結果、HVPE法により窒化物半導体層を気相成長させる際、原料ガス(III族原料ガスなど)と共に、キャリアガスとして、窒素ガスおよび/または水素ガスに対してアルゴンガスを所定の割合で含む不活性ガスを供給することにより、Clの窒化物半導体層への混入を抑制し、窒化物半導体層におけるCl濃度を低減できることを見出した。つまり、原料ガスと共に所定のキャリアガスを供給し、基板上を所定の不活性ガス雰囲気として、その基板上に窒化物半導体層を気相成長させることによって、Cl濃度の低い窒化物半導体層を形成できることを見出した。そして、テンプレートの窒化物半導体層におけるCl濃度を低減することにより、発光部を形成する際に拡散されるCl量も低減できるので、発光素子を形成した場合に優れた発光効率を得られることを見出した。
本発明は、上記知見に基づきなされたものであり、以下の通りである。
本発明の第1の態様によれば、
基板と、前記基板上に、III族原料と塩素系ガスとから生成されるIII族原料ガスおよび窒素原子を含有するV族原料ガスにより成長された窒化物半導体層と、を備え、前記窒化物半導体層における塩素の平均濃度が、8.20×1016cm−3以下である、窒化物半導体テンプレートが提供される。
本発明の第2の態様によれば、
前記窒化物半導体層における塩素の最大濃度が、5.00×1017cm−3以下である、第1の態様の窒化物半導体テンプレートが提供される。
本発明の第3の態様によれば、
窒素ガスおよび/または水素ガスに対してアルゴンガスを体積流量の割合で1%以上含むキャリアガスと共に、III族原料と塩素系ガスとから生成されるIII族原料ガスおよび窒素原子を含有するV族原料ガスを基板上に供給し、前記基板上に窒化物半導体層を成長させる工程を有する、窒化物半導体テンプレートの製造方法が提供される。
本発明の第4の態様によれば、
第1または第2の態様の窒化物半導体テンプレート上に窒化物半導体からなる発光部を備える、窒化物半導体発光素子が提供される。
本発明によれば、発光効率に優れた窒化物半導体発光素子を作製できる窒化物半導体テンプレート及びその製造方法、並びに発光効率に優れた窒化物半導体発光素子が得られる。
本発明の一実施形態に係る窒化物半導体テンプレートの断面図である。 本発明の一実施形態に係る窒化物半導体発光素子の断面図である。 本発明の一実施形態で好適に用いられるハイドライド気相成長装置の概略構成図である。 キャリアガスにおけるArガスの割合と、窒化物半導体テンプレートの窒化物半導体層におけるClの平均濃度との相関を示す図である。 窒化物半導体テンプレートの窒化物半導体層におけるClの平均濃度と、窒化物半導体発光素子の相対光出力との相関を示す図である。
〈本発明の一実施形態〉
以下、本発明の一実施形態について説明をする。
(1)窒化物半導体テンプレート
まず、本実施形態に係る窒化物半導体テンプレートについて図1を用いて説明をする。図1は、本発明の一実施形態に係る窒化物半導体テンプレートの断面図である。
本実施形態に係る窒化物半導体テンプレート1(以下、単に「テンプレート1」ともいう)は、ハイドライド気相成長法(HVPE法)により、III族原料と塩素系ガスとから生成されるIII族原料ガスおよび窒素原子を含有するV族原料ガスを基板11上に供給し、基板11上にバッファ層12および窒化物半導体層13を順に成長させて得られる。そして、上述したように、窒化物半導体層13の成長の際に、キャリアガスとしてアルゴン(Ar)ガスを含む不活性ガスを用いることによって、窒化物半導体層13への塩素の混入が抑制されている。
すなわち、本実施形態のテンプレート1は、基板11と、バッファ層12と、窒化物半導体層13とを順に積層させた構造を有しており、窒化物半導体層13における塩素の平均濃度が、8.20×1016cm−3以下となっている。
基板11は、その面上にバッファ層12や窒化物半導体層13を気相成長させて形成できるものであれば、特に限定されない。基板11としては、例えば、サファイア基板、ZnO基板、SiC基板、Si基板、GaAs基板、AlN基板、AlGaN基板などを用いることができる。これら基板では、サファイア基板を用いるのが好ましく、特に発光素子用としてはサファイア基板の表面に凹凸が施されたPSS(Patterned Sapphire Substrate)基板を用いるのが好ましい。
バッファ層12は、基板11上に形成されており、その面上に成長される窒化物半導体層13の結晶性を向上させることができる。バッファ層12は、例えば600℃以下の低温の成長温度で気相成長させた窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)などから構成される。または、例えば1000℃以上の高温の成長温度で気相成長させたAlNなどから構成される。なお、バッファ層12の厚さは、特に限定されないが、例えば10nm以上200nm以下とすることができる。
窒化物半導体層13は、バッファ層12上に形成されている。窒化物半導体層13としては、例えば窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)、窒化ガリウムアルミニウムインジウム(InAlGaN)などから構成される。
窒化物半導体である窒化物半導体層13には、上述したように、III族原料ガスに由来する塩素(Cl)が不純物として不可避的に混入している。ただし、本実施形態では、窒化物半導体層13を気相成長させる際に、原料ガスとともに、キャリアガスとしてアルゴン(Ar)ガスを含む不活性ガスを供給することで、Clの混入を抑制している。これにより、窒化物半導体層13におけるClの平均濃度は、従来(例えば、Clの平均濃度は1.2×1017cm−3程度(後述の比較例参照))と比較して低く、8.20×1016cm−3以下となっている。好ましくは、5.00×1016cm−3以下となっている。窒化物半導体層13におけるClの平均濃度が8.20×1016cm−3以下であると、窒化物半導体層13上に高温で発光部を形成して発光素子を作製する際、Clの発光部への拡散を抑制し、発光素子の発光効率を向上させることができる。一方、窒化物半導体層13におけるClの平均濃度が8.20×1016cm−3を超えると、Clが発光部へ拡散する量が多くなり、発光素子の発光効率を向上させることが困難となる。なお、Clの平均濃度は、窒化物半導体層13における深さ方向のCl濃度の分布から算出されるCl濃度の平均を示している。Clの平均濃度とするのは、Clの混入量が基板11ないしバッファ層12との界面付近では多い一方、バッファ層12から離れるほど少なく、Clの濃度が窒化物半導体層13の厚さ方向において不均一となるためである。
また、窒化物半導体層13においては、Clの平均濃度が所定の範囲内であっても、Clの濃度が窒化物半導体層13の厚さ方向において局所的に高い部分があると、Clの拡散によって発光素子の発光効率を低下させるおそれがある。このため、窒化物半導体層13においては、Clの最大濃度が5.00×1017cm−3以下であることが好ましく、3.94×1017cm−3以下であることがより好ましい。
なお、窒化物半導体層13の厚さは、特に限定されず、例えば2μm以上20μm以下とすることができる。また、窒化物半導体層13は、例えばシリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)などのn型不純物を含有してもよく、n型半導体層としてもよい。n型不純物の含有量は、テンプレートの用途などに応じて適宜選定される。
(2)ハイドライド気相成長装置
本実施形態のテンプレート1は、例えば図3に示すようなハイドライド気相成長装置30(HVPE装置30)を用いて製造される。ここで、テンプレート1の製造方法の説明に先立ち、テンプレート1の製造に用いるHVPE装置30について説明をする。図3は、本発明の一実施形態で好適に用いられるハイドライド気相成長装置30の概略構成図である。
図3に示すHVPE装置30は、バッファ層12や窒化物半導体層13を気相成長させる反応炉31を備える。反応炉31は、上流側の原料部31aと下流側の成長部31bとに分かれており、原料部31aの外周には原料部ヒータ32aが設けられ、成長部31bの外周には成長部ヒータ32bが設けられている。また、反応炉31における原料部31a側の側壁には、側壁を貫通して成長部32bに向かうように、第1のIII族原料ガス供給管41a、第2のIII族原料ガス供給管41b、V族原料ガス供給管42、およびドーピングガス供給管43の4系統のガス供給系40が設けられている。また、成長部31b側の側壁には、反応炉31内のガスを排気するガス排気管60が側壁を貫通して設けられている。
反応炉31内の成長部31bには、バッファ層12および窒化物半導体層13の成長がなされる基板11を支持するサセプタ33が設けられており、サセプタ33は回転軸34により回転可能に支持されている。基板11は、成長面が4系統のガス供給系40の供給口と対向するようにサセプタ33に支持される。
第1のIII族原料ガス供給管41aにおける反応炉31内の原料部31aには、例えばガリウム(Ga)を収容する第1の原料容器50aが設けられている。第1のIII族原料ガス供給管41aからは、反応炉31内の成長部31bへ、GaN等からなる窒化物半導体層13の形成に用いるIII族原料ガスが供給される。すなわち、第1のIII族原料ガス供給管41aには、例えばHCl、Clなどの塩素系ガスG1が供給される。塩素系ガスG1が第1の原料容器50aに供給されることで、Gaとの反応により第1のIII族原料ガスG2として塩化ガリウム(GaCl)ガスが生成される。そして、第1のIII族原料ガス供給管41aから、反応炉31内の成長部31bへ第1のIII族原料ガスG2が供給される。
第2のIII族原料ガス供給管41bにおける反応炉31内の原料部31aには、例えばアルミニウム(Al)を収容する第1の原料容器50aが設けられている。第2のIII族原料ガス供給管41bからは、反応炉31内の成長部31bへ、AlN等からなるバッファ層12の形成に用いるIII族原料ガスが供給される。すなわち、第2のIII族原料ガス供給管41bには、第1のIII族原料ガス供給管41aと同様に、塩素系ガスG1が供給される。塩素系ガスG1が第2の原料容器50bに供給されることで、Alとの反応により第2のIII族原料ガスG3として塩化アルミニウム(AlCl)ガスが生成される。そして、第2のIII族原料ガス供給管41bから、反応炉31内の成長部31bへ第2のIII族原料ガスG3が供給される。
V族原料ガス供給管42からは、反応炉31内の成長部31bへ、窒素原子を含有するV族原料ガスG4が供給される。V族原料ガスG4としては、窒素原子を含有するものであれば特に限定されず、例えばアンモニア(NH)ガスなどが用いられる。
ドーピングガス供給管43からは、反応炉31内の成長部31bへ、ドーピング原料ガスG5が供給される。ドーピング原料ガスG5としては、特に限定されず、例えばジクロロシラン(SiHCl)ガスなどが用いられる。
上述の4系統のガス供給系40(第1のIII族原料ガス供給管41a、第2のIII族原料ガス供給管41b、V族原料ガス供給管42およびドーピングガス供給管43)には、各原料ガスG2〜G5と共にキャリアガスとしての不活性ガスが供給される。この供給により、基板11上は不活性ガスの雰囲気となり、この雰囲気下で窒化物半導体層13が気相成長される。本実施形態では、基板11上に供給される不活性ガスが窒素(N)ガスおよび/または水素(H)ガスに対してアルゴン(Ar)ガスを体積流量の割合で1%以上含むように、各原料ガスG2〜G5と共に所定のキャリアガスが供給される。これにより、後述するように、窒化物半導体層13が気相成長される基板11上を所定の不活性ガス雰囲気として、窒化物半導体層13へのClの混入を抑制し、その濃度を低減することができる。
各原料ガスG2〜G5と共に供給されるキャリアガスとしては、基板11上に供給される不活性ガスがArガスを所定の割合で含むように、適宜選択される。キャリアガスとしては、例えばNガス、Hガス、Arガス、あるいはこれらの混合ガスが用いられる。
(3)窒化物半導体テンプレートの製造方法
次に、図3に示すHVPE装置30を用いて上述のテンプレート1を製造する方法について説明をする。
テンプレート1の製造においては、HVPE法により、III族原料と塩素系ガスとから生成されるIII族原料ガスおよび窒素原子を含有するV族原料ガスを基板11上に供給し、基板11上にバッファ層12および窒化物半導体層13を順に気相成長させて形成する。本実施形態においては、塩素(Cl)の窒化物半導体層13への混入を抑制するため、キャリアガスとして窒素ガスおよび/または水素ガスとアルゴンガスとを混合した不活性ガスを供給しつつ、気相成長を行う。すなわち、基板11上を所定の不活性ガス雰囲気として気相成長させることにより、窒化物半導体層13を形成する。
(基板の搬入)
まず、基板11を反応炉31内に搬入し、成長部31bに位置するサセプタ33に載置する。
(バッファ層の形成)
続いて、原料部ヒータ32aによって反応炉31の原料部31aを加熱する。同時に、成長部ヒータ32bによって反応炉31の成長部31bを加熱する。これにより、基板11を所定の温度(例えば600℃以下、または1000℃以上)とする。
続いて、第2のIII族原料ガス供給管41bから、塩素系ガスG1として例えばHClを供給し、第2の原料容器50bで第2のIII族原料ガスG3としての塩化アルミニウム(AlCl)ガスを生成させる。そして、生成した第2のIII族原料ガスG3を反応炉31内の基板11上に供給する。第2のIII族原料ガスG3の供給量は、バッファ層12を形成できる程度であれば特に限定されず、例えば10sccm以上500sccm以下とすることができる。第2のIII族原料ガスG3の供給量を上記範囲内とするため、塩素系ガスG1の供給量を適宜調整する。なお、塩素系ガスG1をキャリアガスと共に供給し、基板11上にキャリアガスと共に第2のIII族原料ガスG3を供給してもよい。第2のIII族原料ガスG3と共に供給するキャリアガスの供給量は、特に限定されず、例えば0.5slm以上15slm以下とすることができる。
また、第2のIII族原料ガスG3の供給と併行して、V族原料ガス供給管42からV族原料ガスG4として例えばNHガスを反応炉31内の基板11上に供給する。V族原料ガスG4の供給量は、バッファ層12を形成できる程度であれば特に限定されず、例えば30sccm以上1000sccm以下とすることができる。なお、V族原料ガスG4は、キャリアガスと共に基板11上に供給してもよい。V族原料ガスG4と共に供給するキャリアガスの供給量は、特に限定されず、0.5slm以上30slm以下とすることができる。
そして、基板11に、第2のIII族原料ガスG3であるAlClガスと、V族原料ガスG4であるNHガスとを供給し、反応させることによって、基板11上に所定の厚さのバッファ層12としてAlN層を気相成長させる。
(窒化物半導体層の形成)
次に、バッファ層12上に所定の厚さの窒化物半導体層13を気相成長させて形成する。窒化物半導体層13の気相成長の際、基板11上を、Nガスおよび/またはHガスに対してArガスを体積流量の割合で1%以上含む不活性ガスの雰囲気とする。本実施形態では、所定の不活性ガス雰囲気とするため、各原料ガス(例えば、III族原料ガスやV族原料ガスなど)と共に供給するキャリアガスとして、Nガスおよび/またはHガスに対してArガスを体積流量の割合で1%以上含む不活性ガスを用いる。なお、以下では、Arガスを体積流量の割合を、単にArガスの割合ともいう。
具体的には、第1のIII族原料ガス供給管41aから、塩素系ガスG1として例えばHClを供給し、第1の原料容器50aで第1のIII族原料ガスG2としての塩化ガリウム(GaCl)ガスを生成させる。そして、生成した第1のIII族原料ガスG2を反応炉31内の基板11上に供給する。第1のIII族原料ガスG2の供給量は、窒化物半導体層13を形成できる程度であれば特に限定されず、例えば10sccm以上500sccm以下とすることができる。第1のIII族原料ガスG2の供給量を上記範囲内とするため、塩素系ガスG1の供給量を適宜調整する。
第1のIII族原料ガスG2と共に、キャリアガスとして、上述したArガスを1%以上の割合で含む不活性ガスを供給する。Arガスを含む不活性ガスの供給量は、特に限定されず、例えば0.5slm以上15slm以下とする。このうち、Arガスの供給量は、Arガスの割合として、Nガスおよび/またはHガスに対するArガスの体積流量の割合が1%以上となるように調整する。例えば、Nガスおよび/またはHガスの供給量5slm以上50slm以下に対して、Arガスの供給量を0.05slm以上とする。Arガスの体積流量の割合としては、1%以上であれば特に限定されないが、2%以上であることが好ましい。Arガスの割合が1%未満であると、Clの混入を十分に抑制できず、Clの濃度が高くなるおそれがある。一方、Arガスの割合の上限値については、特に限定されないが、コストを低減する観点から低いことが好ましく、例えば30%以下であることが好ましい。
また、第1のIII族原料ガスG2の供給と併行して、V族原料ガス供給管42からV族原料ガスG4として例えばNHガスを反応炉31内の基板11上に供給する。V族原料ガスG4の供給量は、窒化物半導体層13を形成できる程度であれば特に限定されず、例えば0.5slm以上5slm以下とすることができる。この供給の際、V族原料ガスG4と共に、キャリアガスとして、上述したArガスを含む不活性ガスを供給する。Arガスを含む不活性ガスの供給量は、特に限定されず、1.0slm以上30slm以下とすることができる。
また、第1のIII族原料ガスG2およびV族原料ガスG4の供給と併行して、ドーピングガス供給管43から、Siなどのn型不純物を含有するドーピング原料ガスG5を基板11上に供給する。この供給の際、ドーピング原料ガスG5と共に、キャリアガスとして、上述したArガスを所定の割合で含む不活性ガスを供給する。
そして、第1のIII族原料ガスG2であるGaClガスと、V族原料ガスG4であるNHガスと、ドーピング原料ガスG5とを基板11に供給して反応させることで、基板11上に所定の厚さの窒化物半導体層13としてのn型GaN層を気相成長させる。窒化物半導体層13の形成により、テンプレート1を得る。本実施形態においては、窒化物半導体層13の気相成長の際、第1のIII族原料ガスG2やV族原料ガスG4などの各原料ガスのそれぞれと共に、キャリアガスとしてArガスを1%以上の割合で含む不活性ガスを基板11上に供給している。つまり、基板11上を、Arガスを1%以上の割合で含む不活性ガスの雰囲気として、その基板11上に窒化物半導体層13を気相成長させている。これにより、後述するように、窒化物半導体層13へのClの混入を抑制し、その濃度を低減することができる。
ここで、アルゴン(Ar)ガスの作用について説明をする。
Arガスは、NガスやHガスなどと同様に不活性であり、キャリアガスとして用いられることがある。しかし、本発明者らの知見によれば、HVPE法により気相成長する場合において、Arガスは、キャリアガスとして作用するだけでなく、気相成長される窒化物半導体層13へのClの混入を抑制する作用を示すことがわかった。具体的には、図4に示すように、キャリアガスにおけるArガスの割合を増加させることにより、窒化物半導体層13におけるClの濃度を低減できることがわかった。図4は、キャリアガスにおけるArガスの割合と、窒化物半導体テンプレートの窒化物半導体層におけるClの平均濃度との相関を示す図である。図4において、横軸は、気相成長の際に基板に供給されるキャリアガスにおけるArガスの割合を示しており、Arガスの割合は、Nガスおよび/またはHガスの体積流量に対するArガスの体積流量の割合となっている。また、縦軸は、気相成長される窒化物半導体層におけるClの平均濃度を示す。図4に示すように、Arガスの割合を1%以上とすると、Clの平均濃度を8.20×1016cm−3以下に低減できることが示されている。また、Arガスの割合を2%以上とすると、Clの平均濃度を5.00×1016cm−3以下に低減できることが示されている。一方、Arガスを含有させないと、Clの平均濃度は高く、1.20×1017cm−3程度となることが示されている。ArガスがClの混入を抑制するメカニズムは定かではないが、以下のように推測される。Arは、周期表においてClと隣同士であり、電子配置や大きさがClと類似している。このArが、基板11付近でClと共存することにより、基板11付近での実効的なCl濃度を低減させる。そして、基板11付近でのCl濃度が低下することによって、気相成長される窒化物半導体層13などへのClの混入が低減されることになる。
(窒化物半導体テンプレートの搬出)
最後に、反応炉31内の加熱を停止し、降温させて、HVPE装置30からテンプレート1を搬出する。
(4)発光素子
次に、上述のテンプレート1を用いて形成される発光素子20について、図2を用いて説明をする。図2は、本発明の一実施形態に係る発光素子の断面図である。
図2に示すように、発光素子20は、テンプレート1の窒化物半導体層13上に発光部21を備えており、発光部21はn型半導体層22、発光層23およびp型半導体層24が順に成長させて形成されている。
発光部21は発光素子20の発光特性に影響を及ぼすことから、n型半導体層22、発光層23、およびp型半導体層24には結晶性に優れることが要求される。このため、発光部21は、例えば有機金属気相成長法(MOVPE法)により形成される。MOVPE法によれば、n型半導体層22が1000℃程度、発光層23が600℃〜800℃程度、p型半導体層24が1000℃程度の高温環境下でそれぞれ気相成長されて、発光部21が形成される。このとき、テンプレート1が高温に曝されて、窒化物半導体層13に混入したClが発光部21へ拡散する。しかし、本実施形態においては、窒化物半導体層13におけるClの濃度が8.20×1016cm−3以下と低いため、Clの発光部21への拡散を抑制することができる。つまり、発光部21において、Clの拡散による発光効率の低下を抑制することができる。
発光素子20の構成は、特に限定されず、例えば以下の構成とすることができる。
n型半導体層22は、所定濃度のn型不純物を含有しており、例えばn型GaNから形成されている。n型不純物としては、例えばシリコン(Si)、セレン(Se)、テルル(Te)などを用いることができる。n型半導体層22の厚さは、特に限定されず、例えば10μm以上15μm以下とすることができる。
発光層23は、バリア層と井戸層とからなる多重量子井戸(MQW:Multiple Quantum Well)構造を有している。すなわち、発光層23は、例えばInGaN層を井戸層とし、この井戸層よりもバンドギャップの大きい例えばGaN層をバリア層とし、井戸層とバリア層とを1層ずつ交互に積層した構造を有している。なお、発光層23としては、多重量子井戸構造に限定されず、単一量子井戸(SQW)構造でもよい。また、発光層23は、不純物の添加を行わないアンドープの窒化物半導体で形成される。発光層23の厚さとしては、特に限定されず、例えば数100nm程度とすることができる。
p型半導体層24は、所定濃度のp型不純物を含有しており、例えばp型AlGaNやp型GaNから形成されている。p型不純物としては、例えばマグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、炭素(C)などを用いることができる。p型半導体層24の厚さは、特に限定されず、例えば200nm以上500nm以下とすることができる。
また、p型半導体層24には、その表面に第1電極25が形成されている。また、発光部21が除去されて窒化物半導体層13が露出する領域には、第2電極26が設けられている。
〈本実施形態に係る効果〉
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
本実施形態によれば、窒化物半導体テンプレートは、基板と、III族原料と塩素系ガスとから生成されるIII族原料ガスおよび窒素原子を含有するV族原料ガスにより成長される窒化物半導体層とを備えている。窒化物半導体層は、HVPE法により成長されており、Clが不可避的に混入することとなるが、Clの平均濃度が8.20×1016cm−3以下となっている。好ましくは、Clの平均濃度が5.00×1016cm−3以下となっている。これにより、窒化物半導体テンプレート上に発光部を形成した場合であっても、Clの発光部への拡散を抑制し、発光素子における発光効率の低下を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、Nガスおよび/またはHガスに対してArガスを体積流量の割合で1%以上含むキャリアガスと共に、III族原料ガスおよびV族原料ガスを基板上に供給し、窒化物半導体層を成長させている。つまり、基板上を、Arガスを1%以上の割合で含む不活性ガスの雰囲気として、窒化物半導体層を成長させている。これにより、窒化物半導体層へのClの混入を抑制し、窒化物半導体層におけるClの平均濃度を8.20×1016cm−3以下に低減することができる。
また、本実施形態によれば、キャリアガスにおけるArガスの割合、つまりNガスおよび/またはHガスに対するArガスの体積流量の割合が2%以上であることが好ましい。これにより、Clの濃度を5.00×1016cm−3以下に低減することができ、発光素子を形成した場合の発光効率を向上させることができる。
〈本発明の他の実施形態〉
以上、本発明の一実施形態について具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
上述の実施形態では、基板と窒化物半導体層との間にバッファ層を備える窒化物半導体テンプレートの場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、バッファ層を設けずに、基板上に窒化物半導体層を設けてもよい。
また、上述の実施形態では、キャリアガスとしてArガスを含む不活性ガスを供給し、混入するClの平均濃度を低減した窒化物半導体層を形成する場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明では、窒化物半導体層と同様にバッファ層を気相成長させて、Clの平均濃度の低いバッファ層を形成してもよい。
また、上述の実施形態では、窒化物半導体層を気相成長させる際、各原料ガスと共に、キャリアガスとしてArガスを所定の割合で含む不活性ガスを供給する場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、基板上に供給された不活性ガスが、Nガスおよび/またはHガスに対して所定の割合でArガスを含めばよく、各原料ガスと共に供給されるキャリアガスは限定されない。すなわち、例えば、第1のIII族原料ガスと共にNガスを供給すると同時に、V族原料ガスと共にHガスとArガスとの混合ガスを供給することによって、基板上に供給された不活性ガスがArガスを所定の割合で含むようにしてもよい。もしくは、第1のIII族原料ガスと共にNガスとHガスとArガスとの混合ガスを供給すると同時に、V族原料ガスのみを供給することによって、不活性ガスがArガスを所定の割合で含むようにしてもよい。
次に、本発明の実施例について説明をする。これらの実施例は、本発明に係る窒化物半導体テンプレートおよび窒化物半導体発光素子の一例であって、本発明はこれらの実施例により限定されない。
(1)窒化物半導体テンプレートの製造
本実施例では、図3に示すHVPE装置を用いて、図1に示すようなテンプレートを製造した。すなわち、厚さ50μm、直径100mmのサファイア基板上に、バッファ層として窒化アルミニウム(AlN)層を30nm成長させ、バッファ層上に、窒化物半導体層としてn型窒化ガリウム(GaN)層を6μm成長させて、実施例1〜4および比較例1〜3のテンプレートを製造した。実施例1〜4では、キャリアガスにおけるArガスの割合を適宜変更し、Clの平均濃度が異なるn型GaN層を気相成長させた。また、比較例1〜3では、Arガスを含まないキャリアガスを用いた以外は、実施例1〜4と同様に製造した。なお、比較例1〜3のテンプレートは、同一の成長条件で製造した。
具体的には、以下のように製造した。
まず、反応炉内のサセプタ上にサファイア基板を載置し、反応炉内の原料部を900℃に加熱すると同時に成長部を1100℃に加熱した。
その後、第2のIII族原料ガスとしてAlClガスを、第2のIII族原料ガス供給管からサファイア基板上に流量50sccmで供給した。これと併行して、V族原料ガスとしてNHガスを、V族原料ガス供給管からサファイア基板上に流量1slmで供給した。これらの原料ガスを供給する際、キャリアガスとして、流量8slmのNガス、流量2slmのHガス、および所定流量のArガスを供給した。そして、サファイア基板上に原料ガスを供給し、所定時間、気相成長させて、厚さ30nmのAlN層を形成した。
続いて、第1のIII族原料ガスとしてGaClガスを、第1のIII族原料ガス供給管からAlN層上に流量100sccmで供給した。これと併行して、V族原料ガスとしてNHガスを、V族原料ガス供給管からAlN層上に流量2slmで供給した。また、ドーピング原料ガスとしてSiHClガスを、ドーピングガス供給管からAlN層上に供給した。これらの原料ガスを供給する際、キャリアガスとして、流量15slmのNガス、流量5slmのHガス、および所定流量のArガスを供給した。そして、AlN層上に原料ガスと共にキャリアガスとしての不活性ガスを供給し、所定時間、気相成長させて、厚さ6μmのn型GaN層を形成し、テンプレートを製造した。
実施例1〜4、比較例1〜3における成長条件を以下の表1に示す。
(2)発光素子の製造
次に、得られたテンプレート上に発光部を形成し、図2に示すような発光素子を製造した。すなわち、得られたテンプレートのn型GaN層上に、MOVPE法により発光部としてn型GaN層(厚さ3μm)、InGaN/GaNからなる6ペアの多重量子井戸層、およびp型AlGaN層とp型GaNコンタクト層とからなるp型半導体層(厚さ400nm)を成長させた。その後、p型半導体層上にNi/Au電極を形成した。また、成長させた表面をRIE(Reactive Ion Etching)により部分的に除去し、テンプレートのGaN層の一部を露出させてTi/Al電極を形成し、その後、チップ化等を行うことにより、実施例1〜4および比較例1〜3の窒化物半導体発光素子を得た。
(3)評価方法
得られた窒化物半導体テンプレートについて、n型GaN層のCl濃度を測定し、評価した。また、テンプレートを用いて製造された発光素子について発光特性を評価した。具体的には、以下に示すように評価した。
(塩素濃度)
実施例1〜4および比較例1〜3の窒化物半導体テンプレートについて、そのn型GaN層におけるCl濃度を測定した。具体的には、2次イオン質量分析(SIMS: Secondary Ion Mass Spectrometry)により、n型GaN層の厚さ方向に複数箇所のCl濃度を測定した。そして、得られた複数のCl濃度からClの平均濃度を算出した。また、Clの最大濃度を測定した。
(発光特性)
実施例1〜4および比較例1〜3のテンプレートを用いて製造された発光素子について、20mA通電時の光出力を測定し、算出された相対光出力から、その発光効率を評価した。なお、比較例1の光出力を1として、相対光出力を算出した。
(4)評価結果
実施例1〜4、比較例1〜3の評価結果について、以下の表2に示す。
表2に示すように、実施例1〜4のテンプレートにおけるn型GaN層では、Clの平均濃度が8.20×1016cm−3以下であり、比較例で最も低い比較例2(1.19×1017cm−3)よりも低いことが確認された。また、実施例1〜4においては、Clの最大濃度が3.94×1017cm−3以下であり、いずれも5.00×1017cm−3以下であることが確認された。また、Arガスの割合とClの平均濃度との関係を示す図4によれば、Arガスの割合を増加させると、Clの平均濃度が低減する傾向にあることが確認された。特に、Arガスの割合を2%以上とした実施例2〜4では、Clの平均濃度を5.00×1016cm−3以下に低減できることが確認された。
また、実施例1〜4の発光素子では、表2および図5に示すように、形成される発光部へのClの拡散混入が抑制されているため、比較例1〜3の発光素子よりも光出力が高く、発光効率が高いことが確認された。図5は、テンプレートの窒化物半導体層におけるClの平均濃度と、発光素子の相対光出力との相関を示す図である。図5において、横軸は、テンプレートのn型GaN層におけるClの平均濃度を示し、縦軸は、形成される発光素子における相対光出力を示す。図5および表2によれば、用いるテンプレートのGaN層におけるClの平均濃度が低いほど、発光素子の相対光出力が大きくなる傾向にあることが確認された。
なお、本実施例では、Nガス、HガスおよびArガスの混合ガスを用いた場合のみを例示したが、NガスとArガスを用いた場合、またはHガスとArガスを用いた場合であっても、混入するClの濃度を同様にして低減できることが確認されている。また、上記実施例では、NガスおよびHガスの合計の体積流量を一定とし、この一定の体積流量のNガスおよびHガスに対するArガスの体積流量を変更して、キャリアガスにおけるArガスの割合を調整したが、例えば、Nガス、HガスおよびArガスを混合ガスしたキャリアガスの総流量を一定とし、この総流量が一定のキャリアガス中に含まれるArガスの流量を変更して、Arガスの割合を調整するようにしても勿論よい。
1 窒化物半導体テンプレート
11 基板
12 バッファ層
13 窒化物半導体層
20 窒化物半導体発光素子
21 発光部

Claims (4)

  1. 基板と、
    前記基板上に、III族原料と塩素系ガスとから生成されるIII族原料ガスおよび窒素原子を含有するV族原料ガスにより成長された窒化物半導体層と、を備え、
    前記窒化物半導体層における塩素の平均濃度が、8.20×1016cm−3以下である
    ことを特徴とする窒化物半導体テンプレート。
  2. 前記窒化物半導体層における塩素の最大濃度が、5.00×1017cm−3以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体テンプレート。
  3. 窒素ガスおよび/または水素ガスに対してアルゴンガスを体積流量の割合で1%以上含むキャリアガスと共に、III族原料と塩素系ガスとから生成されるIII族原料ガスおよび窒素原子を含有するV族原料ガスを基板上に供給し、前記基板上に窒化物半導体層を成長させる工程を有する
    ことを特徴とする窒化物半導体テンプレートの製造方法。
  4. 請求項1または2に記載の窒化物半導体テンプレート上に窒化物半導体からなる発光部を備える
    ことを特徴とする窒化物半導体発光素子。
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