JP2008251849A - 窒化物系化合物半導体の結晶成長方法およびiii族窒化物系半導体 - Google Patents

窒化物系化合物半導体の結晶成長方法およびiii族窒化物系半導体 Download PDF

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Abstract

【課題】バルク全体にわたって低抵抗化が可能な高品質のp型ドーパントを含む窒化物系化合物半導体の結晶成長方法を提供すること。
【解決手段】本発明の結晶成長方法においては、p型ドーパントを含む、組成変調のない(III族元素と窒素元素の組成比が一定の)III族窒化物系半導体を結晶成長させるプロセスにおいて、Mgなどのドーパントの原料供給量(例えばCpMg)を実質的に一定に維持する一方、III族元素の原料供給量(例えばTMG)を連続的に増大させるという工程が設けられる。この方法により、ドーパント原料供給量とIII族元素原料供給量を何れも一定とした場合に比較して、結晶中でのドーパント濃度の深さ方向プロファイルを均一化することが可能となる。
【選択図】図5

Description

本発明は窒化物系化合物半導体の結晶成長方法に関し、より詳細には、窒素をV族元素として含むIII−V族化合物半導体薄膜結晶のエピタキシャル成長技術に関する。
青色発光素子と蛍光体との組み合わせにより得られる白色光源は、液晶ディスプレイなどのバックライト、発光ダイオード(LED)イルミネーション、自動車用照明、あるいは蛍光灯に代替する一般照明などとしての応用が盛んに研究されてきており、その一部は既に実用化されている。現在では、このような青色発光素子は主に、有機金属気相成長法(MOCVD法)や分子線エピタキシ法(MBE法)などの手法により窒化ガリウム系半導体結晶の薄膜を成長させることにより作製されている。
図1(A)〜(F)は、MOCVD法で窒化ガリウム系半導体薄膜を積層成長させて青色LEDを作製する一般的な結晶成長プロセス例を説明するための図である。これらの図では、基板としてサファイア基板を用いた例が示されている。先ず、サファイア基板101を結晶成長用の反応炉内のサセプタに載置して炉内に水素ガスを供給し、1000℃程度もしくはそれ以上の温度(この図では1055℃)で所定の時間保持して基板表面を清浄化(サーマルクリーニング)する(図1(A))。
この表面清浄化処理の後、基板温度を540℃程度の比較的低温の領域まで一旦下げ、基板温度を充分に安定させた状態で炉内に結晶成長用のガスを供給させていわゆる低温バッファ層102を形成する。ここで用いられる結晶成長用ガスは、例えば、ガリウム供給源であるトリメチルガリウム(TMG)と窒素供給源であるアンモニア(NH)であり、これらの原料ガスが水素ガスをキャリヤガスとして供給され、GaNのバッファ層102が得られる(図1(B))。
このバッファ層102の形成後、基板温度を再び1000℃程度の高温領域まで上げ、基板温度が充分に安定した後に、トリメチルガリウム(TMG)とアンモニア(NH)を水素ガスをキャリヤガスとして供給してアンドープGaN層103を成膜する。そして、上記供給ガス中にGaN結晶中でn型ドーパントとなるSiの供給源であるモノシランガス(SiH)を所定の流量だけ混入させて結晶成長を継続させて、上記アンドープGaN層103の上にn型GaN層104を成膜する(図1(C))。
次に、基板温度を中間領域(この図では720℃)まで下げて基板温度が充分に安定した後に、この成長温度でInGaNの量子井戸層とGaNの障壁層を交互に複数層積層させたInGaN/GaN多重量子井戸発光層105を形成する(図1(D))。ここで、GaNの障壁層の成長はトリメチルガリウム(TMG)とアンモニア(NH)が窒素をキャリヤガスとして供給することで行われ、InGaNの量子井戸層の成長は上記ガスにさらに所定流量のトリメチルインジウム(TMI)を混入させて実行される。
続いて、基板温度を1020℃付近の高温領域まで再度上げ、水素をキャリヤガスとして、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルガリウム(TMG)、アンモニア(NH)、およびp型ドーパントとなるMgの供給源であるシクロペンタジエニルマグネシウム(CpMg)を供給してMgドープのAlGaN層106を形成し(図1(E))、さらに、上記供給ガスのうちのトリメチルアルミニウム(TMA)の供給を断ってMgドープのGaN層107を形成する(図1(F))。なお、p型ドーパントはMgに変えてZnやBe或いはCとする場合もある。このようにして半導体基板が完成する。
ところで、窒化物系化合物半導体結晶中でp型伝導を示すドーパント(アクセプタ)として最もよく用いられるマグネシウム(Mg)は「メモリ効果」が大きいことが知られている。メモリ効果とは、ドーパントの原料供給を停止した後においても成膜中の結晶に当該ドーパントの取り込まれが引き続き生じる現象である。この原因は、ドーパント原料(ここではMg)が結晶成長用反応炉の配管内壁や反応炉内の上流部などに吸着し、この吸着原料が再蒸発するために、原料供給用バルブを遮断した後においても引き続いて原料供給が行われてしまうことにある。
このメモリ効果は、ドーパント原料の供給停止後だけでなく、原料供給時においても深刻な影響をもたらす。すなわち、ドーパント原料の供給開始時においては、供給したドーパント(ここではMg)の一部が配管内部や反応炉上流部に吸着して成膜用基板まで到達することができないために成膜用基板に対する実効的な原料供給量は低くなる。その後、結晶成長の進行に伴ってドーパント原料の吸着量が飽和し、成膜用基板への実効的供給量が一定となるが、このような実効的原料供給量の変化があるために、得られた膜中のドーパント濃度は成膜初期において低くならざるを得ない。
図2は、Mgをドーパントとして含むGaN膜を表面に備える多重量子井戸構造の窒化物半導体素子をSIMS分析した結果である。ここで示した試料において、MgドープGaN膜(Mg−GaN)の成長は、水素をキャリヤガスとして、トリメチルガリウム(TMG)とアンモニア(NH)およびMgの供給源であるシクロペンタジエニルマグネシウム(CpMg)を供給して行われており、当該成膜中のCpMgの流量は一定(1um以上の厚膜を形成した場合に4×1019cm−3の濃度になる条件)としている。しかし、図2のSIMSプロファイルから明瞭に読み取れるように、MgドープGaN膜の成長初期(成膜開始から膜厚50nm程度)におけるMg濃度は1×1019cm−3以下の低濃度となっている。このようなドーパントプロファイルが生じると、pn接合デバイスの素子抵抗が高くなってしまうなどの問題が生じる結果となる。
しかし、これまで提案されてきているメモリ効果に対する解決策は何れも充分なものとは言えない。例えば、特許文献1には、Mgのメモリ効果抑制のために、Mgの原料供給用配管を他の原料供給用配管とは別個に設け、反応炉内への原料導入ノズルも噴射出口まで独立している分離構成とする有機金属気相結晶成長装置が提案されているが、本発明者らの追試によれば、原料供給用配管の構成を変更した程度では、充分なメモリ効果の低減は認められなかった。
Mg原料の導入直後の実効供給濃度の低下を補償するために、結晶成長開始時において原料供給量(導入量)を増加させる手法も考えられるが、この場合にもメモリ効果が抑制されるまでに一定の時間を必要とするために、結晶中でのMgプロファイルを均一化するには不充分である。
また、成長中断を用いる方法でメモリ効果を回避する選択もあり得る。例えば、成膜基板近傍におけるMg濃度が十分高い値に達するまでIII族の供給を停止して結晶成長を中断するという選択である。しかし、このような成長中断は結晶性の低下に繋がり易く、得られる結晶の特性は低下するのが実情である。
さらに、特許文献2には、MOCVD法でp型III族窒化物半導体を成長させる際に、その成長速度を制御してキャリア濃度の高い低抵抗の膜を得るという手法が開示されているが、この手法では、p型層の成長速度を低速とせざるを得ないという問題や、多くの場合に上述の成長中断が必要となるという問題もある。また、p型層の成長中にはInGaN活性層中でInとGaの相互拡散が生じ、発光特性が劣化する。そのため、p型層の成長速度が遅い場合、所定の膜厚を得るためには成長時間が長くなり、発光層の劣化がより進行してしまう。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、バンドギャップなどの諸物性を変化させることなくバルク全体にわたって低抵抗化が可能な高品質のp型ドーパントを含む窒化物系化合物半導体の結晶成長方法を提供することにある。
特開2005−197326号公報 特開2003−23179号公報
かかる課題を解決するために、本発明の窒化物系化合物半導体の結晶成長方法は、III族窒化物系半導体の結晶成長プロセスにおいて、p型伝導を示すドーパントの原料供給量を実質的に一定としつつIII族元素の原料供給量を連続的に増大させる工程を備えていることを特徴とする。
本発明において、III族窒化物系半導体の結晶成長プロセスにおけるIII族元素の原料供給は停止しないことが好ましい。
本発明の結晶成長方法は例えば有機金属気相成長法に適用可能であり、上記のドーパントは例えばMg、Be、Zn、Cの群から選択される少なくとも1の元素であり、III族窒化物系半導体は、GaN、AlN、InN、BNまたはこれらの混晶などである。
本発明の手法で得られたIII族窒化物系半導体は、例えば成膜後に600℃≦T≦950℃の範囲の温度(T)の熱処理が施されることで正孔濃度Dを2×1016cm−3≦D≦1×1018cm−3とすることができる。
本発明によれば、p型ドーパントを含む、組成変調のないIII族窒化物系半導体を結晶成長させるプロセスにおいて、Mgなどのドーパントの原料供給量(ここではCpMg)を実質的に一定に維持する一方、III族元素の原料供給量(ここではTMG)を連続的に増大させるという工程を設けることとしたので、バンドギャップなどの諸物性を変化させることなくバルク全体にわたって低抵抗化が可能でしかも欠陥レベルの低い高品質のp型ドーパントを含む窒化物系化合物半導体の結晶成長方法を提供することが可能となる。
以下に、図面を参照して本発明の窒化物系化合物半導体の結晶成長方法について説明する。
本発明においては、p型ドーパントを含む、組成変調のない(III族元素と窒素元素の組成比が一定の)III族窒化物系半導体を結晶成長させるプロセスにおいて、Mgなどのドーパントの原料供給量を実質的に一定に維持する一方、III族元素の原料供給量を連続的に増大させるという工程を設ける。この手法によれば、III族窒化物系半導体の成長初期におけるドーパントとIII族元素の原料供給量比が高まることでドーパントが結晶中に取り込まれ易くなり、その結果、上述のメモリ効果の影響が軽減されてドーパントの濃度プロファイルの均一化を図ることができる。また、従来法のように、成長中断を伴うことがないために、結晶性の低下を招く虞もない。なお、「組成変調のない」(あるいは、「III族元素と窒素元素の組成比が一定の」)の意図するところは、結晶成長中に不可避的に混入する不純物までをも考慮するものではない。
本発明の窒化物系化合物半導体の結晶成長方法を実施例により具体的に説明する前に、本発明の基礎となった事前検討結果について説明する。
図3は、p型ドーパントとなり得るMgの原料(CpMg)の供給量とGaN膜をホール測定して得たキャリア濃度との関係を説明するための図である。本発明者らの検討によれば、GaN膜中のキャリヤ濃度はMg供給量の減少につれて徐々に増加する傾向を示すが、ある供給量以下(ここでは100cc)で顕著なキャリア濃度低下を示し、ホール測定そのものが不能となる程度に高抵抗化してしまうという現象が確認された。
この現象につき本発明者らは以下のように考えている。アンドープのGaN結晶はn型を示すため、p型のGaN結晶を得るためには、アンドープのGaN結晶中に含まれているn型キャリア濃度を打ち消すに充分な濃度以上のp型ドーパントが結晶中に取り込まれる必要があるが、p型ドーパントの取り込みは窒化物系半導体の結晶性を低下させ易く、この結晶性の低下によりp型化を意図して導入したドーパントが不活性化されてしまう。このため、キャリヤ濃度を上げて低抵抗化するためのドーパント供給量は、結晶性の低下をもたらさない程度のものとすることが望ましい。
また、本発明者らが成長中断が結晶性に及ぼす影響について検討した結果、成長中断中に結晶表面から窒素が脱離して結晶欠陥が発生し、素子抵抗の増大や通電時の突然劣化が引き起こされることが確認された。
具体的には、LED素子構造を作製する際に、InGaN/GaN多重量子井戸発光層を形成した後、水素とアンモニアの混合ガス雰囲気において1000℃まで基板温度を上げて、CpMgを供給し、その状態で60秒間待機した後、TMGを追加で供給してMgドープGaN層をMOCVD法で形成した。このようなプロセスによれば、III族原料(TMG)の供給に先立ってMg原料(CpMg)を一定時間供給させるための成長中断を行ったために、MgドープGaNの結晶成長初期から充分に結晶中のMg濃度を高くすることが可能になる。この成膜の後に基板をMOCVD炉から取り出してアニール炉に投入し、窒素ガス中で800℃まで昇温させてMgドープGaN層中のp型キャリヤを活性化させた。
この成膜基板を用いてLED素子を作製して通電したところ、数mAの極めて低電流領域で、電気特性が不安定になってダイオード特性を示さなくなり故障した。この現象は、上述の成長中断時において結晶表面から窒素が脱離し、この窒素脱離起因の欠陥が素子特性を劣化させたものと理解される。
さらに、本発明者らが、Mg原料の供給量を一定にした条件で、GaN結晶中のMg濃度のIII族原料供給量依存性を調べたところ、図4に示すように、結晶中Mg濃度は、III族原料(ここではTMG)供給量に反比例することが確認されている。すなわち、結晶中のMg濃度を増加させるためには、供給量に追随し難いMg原料の供給量を変化させるよりも、III族元素の原料供給量を変化(減少)させた方が制御し易いということが確認できる。
本発明は、これらの知見に基づいてなされたものであり、p型ドーパントの原料供給量を結晶性の低下をもたらさない程度の範囲で一定としつつIII族元素の原料供給量が連続的に増大するように制御し、これにより成長中断を伴わなくても結晶中でのp型ドーパント濃度のプロファイルの均一化を実現するものである。
従って、本発明の結晶成長方法においては、図5(A)に図示したように、p型ドーパントを含む、組成変調のない(III族元素と窒素元素の組成比が一定の)III族窒化物系半導体を結晶成長させるプロセスにおいて、Mgなどのドーパントの原料供給量(ここではCpMg)を実質的に一定に維持する一方、III族元素の原料供給量(ここではTMG)を連続的に増大させるという工程が設けられる。そして、このIII族窒化物系半導体の結晶成長プロセスにおいては、III族元素の原料供給は停止されることがないため、成長中断も生じない。この方法により、図5(B)に図示したようなドーパント原料供給量とIII族元素原料供給量を何れも一定とした場合に比較して、結晶中でのドーパント濃度の深さ方向プロファイルを均一化することが可能となる。
図6は、MOCVD法で窒化ガリウム系半導体薄膜を積層成長させて青色LEDを作製する結晶成長プロセスを説明するための図である。本実施例では基板としてはサファイアが用いられている。先ず、サファイア基板1を結晶成長用の反応炉内のサセプタに載置して炉内に水素ガスを供給し、1020℃もしくはそれ以上の温度(本実施例では1060℃)で所定の時間保持して基板表面を清浄化(サーマルクリーニング)する(図6(A))。
この処理の後、基板温度を550℃程度の比較的低温の領域まで一旦下げ、基板温度を充分に安定させた状態で炉内に結晶成長用のガスを供給させていわゆる低温バッファ層2を形成する。ここで用いられる結晶成長用ガスは、例えば、ガリウム供給源であるトリメチルガリウム(TMG)と窒素供給源であるアンモニア(NH)であり、これらの原料ガスが水素ガスをキャリヤガスとして供給され、GaNのバッファ層2が得られる(図6(B))。
このバッファ層2の形成後、基板温度を再び1000℃程度の高温領域まで上げ、基板温度が充分に安定した後に、トリメチルガリウム(TMG)とアンモニア(NH)を水素ガスをキャリヤガスとして供給してアンドープGaN層3を成膜し、さらに、上記供給ガス中にGaN結晶中でn型ドーパントとなるSiの供給源であるモノシランガス(SiH)を所定の流量だけ混入させて結晶成長を継続させて、アンドープGaN層3の上にn型GaN層4を成膜する(図6(C))。
次に、基板温度を中間領域(本実施例では750℃)まで下げて基板温度が充分に安定した後に、この成長温度でInGaNの量子井戸層とGaNの障壁層を交互に複数層積層させたInGaN/GaN多重量子井戸発光層5を形成する(図6(D))。ここで、GaNの障壁層の成長はトリメチルガリウム(TMG)とアンモニア(NH)を水素をキャリヤガスとして供給することで行われ、InGaNの量子井戸層の成長は上記ガスにさらに所定流量のトリメチルインジウム(TMI)を混入させて実行される。
続いて、基板温度を1000℃付近の高温領域まで再度上げ、水素をキャリヤガスとして、トリメチルガリウム(TMG)を20μmol/分、アンモニアガス(NH)を5リットル/分、p型ドーパントとなるMgの供給源であるシクロペンタジエニルマグネシウム(CpMg)を1.5μmol/分で供給する条件下で10秒間維持し、その後300秒かけてTMG流量を20μmol/分から100μmol/分へと線形的に増加させる。その後4分間、原料供給条件を一定にした状態で結晶成長を継続し、Mgドープのp型GaN層6を100nm形成する(図6(E))。なお、p型ドーパントはMgに代えて、ZnやBe或いはCとする場合もあり、これらの群から選択される複数の元素をドーパントとする場合もあり得る。
このような結晶成長に続いて、結晶中のp型キャリヤを活性化させるために、窒素雰囲気中で850℃でアニールして得られた青色LED用半導体基板を評価した結果、p型GaN層6中のマグネシウム濃度はこの層全体にわたって2×1019cm−3以上で均一なプロファイルを示すことが確認され、また、素子化した試料の順方向電圧は、電流値が20mAの場合に2.7Vと低く良好な値を示した。
また、p型GaN層6中でのキャリヤ濃度を求めるために、高温GaNバッファ層の上に1μmの厚さのMgドープGaN膜を上述と同様の手法で形成したところ、ホール測定によるキャリヤ濃度は概ね1×1018cm−3を示した。なお、MgドープのAl0.2Ga0.8Nの場合には、キャリア濃度として2×1016cm−3程度の値が得られた。
なお、結晶成長後のドーパント活性化温度について検討したところ、熱処理温度が500℃ではキャリヤの活性化効果は確認できず、600℃では2×1017cm−3、800℃で最大のキャリヤ濃度1×1018cm−3を示したが、950℃の熱処理ではキャリヤ濃度が2×1017cm−3に低下した。この結果から、成膜後熱処理温度は600℃から950℃の範囲にすることが望ましい。
上述したように、本発明によれば、III族窒化物系半導体の成長初期におけるドーパントとIII族元素の原料供給量比が高まることでドーパントが結晶中に取り込まれ易くなり、その結果、上述のメモリ効果の影響が軽減されてドーパントの濃度プロファイルの均一化を図ることができる。また、従来法のように、成長中断を伴うことがないために、結晶性の低下を招く虞もない。なお、本発明は、GaNの他にも、AlN、InN、BNまたはこれらの混晶のIII族窒化物系半導体にも適用可能である。
MOCVD法で窒化ガリウム系半導体薄膜を積層成長させて青色LEDを作製する一般的な結晶成長プロセス例を説明するための図である。 Mgをドーパントとして含むGaN膜を表面に備える多重量子井戸構造の窒化物半導体素子をSIMS分析した結果である。 p型ドーパントであるMgの原料(CpMg)の供給量とGaN膜をホール測定して得たキャリア濃度との関係を説明するための図である。 Mg原料の供給量を一定にした条件で、GaN結晶中のMg濃度のIII族原料供給量依存性を調べた結果である。 本発明のIII族窒化物系半導体結晶成長プロセスにおける原料供給シーケンスを説明するための図である。 本実施例の結晶成長プロセスを説明するための図である。
符号の説明
1、101 サファイヤ基板
2、102 低温バッファ層
3、103 アンドープGaN層
4、104 n型GaN層
5、105 InGaN/GaN多重量子井戸発光層
6、107 MgドープGaN層
106 MgドープのAlGaN層

Claims (7)

  1. III族窒化物系半導体の結晶成長プロセスにおいて、p型伝導を示すドーパントの原料供給量を実質的に一定としつつIII族元素の原料供給量を連続的に増大させる工程を備えていることを特徴とする窒化物系化合物半導体の結晶成長方法。
  2. 前記III族窒化物系半導体の結晶成長プロセスにおいて、前記III族元素の原料供給を停止しない請求項1に記載の窒化物系化合物半導体の結晶成長方法。
  3. 前記ドーパントは、Mg、Be、Zn、Cの群から選択される少なくとも1の元素である請求項1又は2に記載の窒化物系化合物半導体の結晶成長方法。
  4. 前記III族窒化物系半導体は、GaN、AlN、InN、BNまたはこれらの混晶である請求項1乃至3の何れか1項に記載の窒化物系化合物半導体の結晶成長方法。
  5. 前記結晶成長方法は、有機金属気相成長法である請求項1乃至4の何れか1項に記載の窒化物系化合物半導体の結晶成長方法。
  6. p型伝導を示すドーパントの原料供給量を実質的に一定としつつIII族元素の原料供給量を連続的に増大させる工程を備えている結晶成長プロセスで得られたIII族窒化物系半導体であって、正孔濃度Dが2×1016cm−3≦D≦1×1018cm−3であるIII族窒化物系半導体。
  7. 成膜後に温度Tが600℃≦T≦950℃の範囲の熱処理が施されている請求項6に記載のIII族窒化物系半導体。
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