JP2014222572A - リチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高温、高電圧使用時に優れたサイクル特性及び優れた充放電容量を示すリチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池を提供する。【解決手段】 集電体と、集電体の表面に配置され、正極活物質及び結着剤を含む正極活物質層と、正極活物質層の表面の少なくとも一部に配置される被覆層と、を有し、被覆層は複数の絶縁性の無機粉末と、被覆層用バインダーと、を有し、被覆層は空隙を有することを特徴とする。【選択図】 図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池に関するものである。
近年、携帯電話やノート型パソコンなどのポータブル電子機器の発達や、電気自動車の実用化などに伴い、小型軽量でかつ高容量の二次電池が必要とされている。現在、高容量二次電池としては、正極材料としてコバルト酸リチウム(LiCoO)、負極材料として炭素系材料を用いたリチウムイオン二次電池が商品化されている。
リチウムイオン二次電池は高温、高電圧使用環境下においても使用できることが要望されている。本明細書では4.3V以上の電圧で使用することを高電圧使用と定義する。しかし高温、高電圧で駆動された場合には、リチウムイオン二次電池はサイクル特性が極端に悪化するという問題があった。
この原因として、高温、高電圧で駆動された場合、充電時に正極近傍で電解液の酸化分解が生じ、酸化分解により生じた酸などによって正極活物質などの金属成分が溶出することが考えられている。正極活物質から金属成分が溶出すると、正極の容量が下がりサイクル特性が悪化する。また電解液の酸化分解や金属成分の溶出によって生じた、電解液の分解物や金属成分の溶出物は、正極側から負極側に移動して、負極表面で還元分解される。その結果、分解物が負極活物質表面に堆積し、その堆積物により、負極活物質へのリチウムの挿入が阻害され、結果としてサイクル特性が悪化する。
高温、高電圧の使用環境下においてサイクル特性を上げるために、様々な検討が行われている。
例えば特許文献1には、正極活物質層の上にマグネシアを含む無機粒子からなるフィラー粒子とバインダーとが含まれた被覆層を形成することが記載されている。この技術では、正極活物質層の上に設けられた被覆層が電解液の分解物や金属成分の溶出物を物理的にトラップする。特許文献1には、この被覆層を有することで、リチウムイオン二次電池は高温、高電圧の使用環境下でのサイクル特性、保存特性に優れることが記載されている。
しかしながら、特許文献1には、被覆層が形成されることによって充放電容量がどの程度下がるかは記載されていない。また特許文献1には、被覆層を構成するマグネシアは水と反応してアルカリ性になると記載されており、被覆層の構成成分であるマグネシアは溶出すると推測される。つまり被覆層はサイクルを重ねると徐々に破壊されていくと推測される。従って高温、高電圧の使用環境下でも安定的な物質で正極活物質層を保護することが求められる。
また特許文献2には、電池反応に関与するイオンを透過できる絶縁体、半導体、絶縁体と半導体の複合体から選択される膜によって負極に対向する面の正極表面が被覆されている二次電池が記載されている。特許文献2には正極表面が上記膜で被覆されることにより電池内部の短絡を抑制でき、電池のサイクル寿命を延ばすことができることが記載されている。特許文献2には正極表面に窒化物をスパッタリングして成膜することが開示されている。特許文献2に記載の技術ではスパッタリングにより窒化物よりなる保護膜を形成していることから、保護膜は空隙のない緻密な膜である。そのため特許文献2に記載の窒化物からなる保護膜を有するリチウム電池は、保護膜がないリチウム電池に比べて保護膜が抵抗となって充放電容量が下がることが推測される。特許文献2には、保護膜が形成されることによって充放電容量がどの程度下がるかは記載されていない。また特許文献2には、高温、高電圧での使用については記載されていない。
特開2008−53207号公報 特開平6−168739号公報
本発明者らは、高温、高電圧の使用環境下において優れたサイクル特性及び優れた充放電容量を有するリチウムイオン二次電池とするのに有利な被覆層の材料について検討した。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、高温、高電圧の使用環境下において優れたサイクル特性及び優れた充放電容量を有するリチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明者等が鋭意検討した結果、正極活物質層の表面に複数の絶縁性の無機粉末と被覆層用バインダーとを有し、かつ空隙を有する被覆層を配置することにより、リチウムイオン二次電池が高温、高電圧の使用環境下でも優れたサイクル特性及び充放電容量を発揮できることを見いだした。
すなわち、本発明のリチウムイオン二次電池用正極は、集電体と、集電体の表面に配置され、正極活物質及び結着剤を含む正極活物質層と、正極活物質層の表面の少なくとも一部に配置される被覆層と、を有し、被覆層は複数の絶縁性の無機粉末と、被覆層用バインダーと、を有し、被覆層は空隙を有することを特徴とする。
被覆層の表面を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope)で観察した画像において、被覆層の表面の開口率が5%以上50%以下であることが好ましい。
被覆層の厚みは1μm以上で正極活物質層の厚みの20%以下であることが好ましい。
無機粉末の平均粒径D50は100nm以上1μm以下であることが好ましい。
無機粉末は、窒化ホウ素、窒化アルミニウム及び窒化珪素から選ばれる少なくとも1つからなることが好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池は、上記リチウムイオン二次電池用正極と、負極と、非水電解液と、を有することを特徴とする。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極は、正極活物質層の表面の少なくとも一部に配置される被覆層を有する。この被覆層は、複数の絶縁性の無機粉末と被覆層用バインダーとを有する。そして、被覆層は空隙を有する。
このような被覆層を有する正極を用いるため、本発明のリチウムイオン二次電池は高温、高電圧の使用環境下においても優れたサイクル特性及び充放電容量を発揮する。
本実施形態のリチウムイオン二次電池用正極を説明する模式図である。 実施例1、実施例2、実施例3及び比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池のサイクル試験結果を表すグラフである。
<リチウムイオン二次電池用正極>
本発明のリチウムイオン二次電池用正極は、集電体と、集電体の表面に配置される正極活物質層と、正極活物質層の表面の少なくとも一部に配置される被覆層と、を有する。
集電体は、リチウムイオン二次電池の放電または充電の間、電極に電流を流し続けるための化学的に不活性な電子高伝導体をいう。集電体の材料として、例えばステンレス鋼、チタン、ニッケル、アルミニウム、銅などの金属材料または導電性樹脂を挙げることができる。また集電体は、箔、シート、フィルムなどの形態をとることができる。そのため、集電体として、例えば、銅箔、ニッケル箔、アルミニウム箔、ステンレス箔などの金属箔を好適に用いることができる。
集電体は、その厚みが10μm〜100μmであることが好ましい。
正極活物質層は、正極活物質と結着剤とを含む。正極活物質層は必要に応じて導電助剤をさらに含んでも良い。
正極活物質としては、リチウム含有化合物あるいは他の金属化合物よりなるものを用いることができる。リチウム含有化合物としては、例えば、層状構造を有するリチウムコバルト複合酸化物、層状構造を有するリチウムニッケル複合酸化物、スピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物、一般式: LiCoNiMn (Dはドープ成分であり、Al、Mg、Ti、Sn、Zn、W、Zr、Mo、Fe、Naからなる成分であり、必要に応じて添加される、p+q+r+s=1、0<p<1、0≦q<1、0≦r<1、0≦s<1、0.8≦a<2.0、−0.2≦x−(a+p+q+r+s)≦0.2)で表される層状構造を有するリチウムコバルト含有複合金属酸化物、一般式:LiMPOで示されるオリビン型リチウムリン酸複合酸化物(MはMn、Fe、Co及びNiのうちの少なくとも一種)、一般式:LiMPOFで示されるフッ化オリビン型リチウムリン酸複合酸化物(MはMn、Fe、Co及びNiのうちの少なくとも一種)、一般式:LiMSiOで示されるケイ酸塩系型リチウム複合酸化物(MはMn、Fe、Co及びNiのうちの少なくとも一種)を用いることができる。また他の金属化合物としては、例えば、酸化チタン、酸化バナジウム若しくは二酸化マンガンなどの酸化物、または硫化チタン若しくは硫化モリブデンなどの二硫化物が挙げられる。
また正極活物質は、化学式:LiMO(MはNi,Co及びMnから選択される少なくとも1つである)で表されるリチウム含有酸化物よりなることが好ましく、さらに一般式: LiCoNiMn (Dはドープ成分であり、Al、Mg、Ti、Sn、Zn、W、Zr、Mo、Fe、Naからなる成分であり、必要に応じて添加される、p+q+r+s=1、0<p<1、0≦q<1、0≦r<1、0≦s<1、0.8≦a<2.0、−0.2≦x−(a+p+q+r+s)≦0.2)で表される層状構造を有するリチウムコバルト含有複合金属酸化物よりなることが好ましい。
リチウム含有酸化物としては、例えば、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3、LiNi0.6Co0.2Mn0.2、LiNi0.5Co0.2Mn0.3、LiCoO、LiNi0.8Co0.2、LiCoMnOを用いることができる。中でもLiCo1/3Ni1/3Mn1/3、LiNi0.5Co0.2Mn0.3は、熱安定性の点で好ましい。
正極活物質はその平均粒径D50が1μm〜20μmである粉末形状であることが好ましい。正極活物質の平均粒径D50が小さいと、同じ質量の正極活物質を使用した場合、正極活物質の個数が増え、正極活物質全体の表面積が大きくなる。正極活物質の表面積が増えることは正極活物質と電解液との反応面積が増えることになり、電解液の分解が促進され、リチウムイオン二次電池のサイクル特性が悪くなる。従って正極活物質の平均粒径D50はあまり小さいことは好ましくなく、正極活物質の平均粒径D50は1μm以上が好ましい。正極活物質の平均粒径D50が20μmより大きいとリチウムイオン二次電池の抵抗が大きくなり、リチウムイオン二次電池の出力特性が下がる。正極活物質の平均粒径D50は粒度分布測定法によって計測できる。
結着剤は、上記正極活物質及び導電助剤を集電体に繋ぎ止める役割を果たす。結着剤として、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン及びフッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリ酢酸ビニル系樹脂等の熱可塑性樹脂、ポリイミド及びポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、並びにスチレンブタジエンゴム(SBR)等のゴムを用いることができる。
導電助剤は、電極の導電性を高めるために必要に応じて正極活物質層に添加される。導電助剤として、炭素質微粒子であるカーボンブラック、黒鉛、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(登録商標)(KB)、気相法炭素繊維(VGCF)等を単独でまたは二種以上組み合わせて使用することができる。導電助剤の使用量については、特に限定的ではないが、例えば、正極に含有される活物質100質量部に対して、1質量部〜30質量部程度とすることができる。
正極活物質層を集電体の表面に配置するには、正極活物質及び結着剤、並びに必要に応じて導電助剤を含む正極活物質層形成用組成物を調製し、さらにこの組成物に適当な溶剤を加えてペースト状にしてから、集電体の表面に塗布後、乾燥することによって行うことができる。なお、必要に応じて電極密度を高めるべく正極活物質層を配置された集電体を圧縮してもよい。
正極活物質層形成用組成物の塗布方法としては、ロールコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの従来から公知の方法を用いればよい。
粘度調整のための溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、メタノール、メチルイソブチルケトン(MIBK)などが使用可能である。
被覆層は正極活物質層の表面の少なくとも一部に配置される。正極活物質層の表面の少なくとも一部は被覆層によって被覆されるので、正極活物質は電解液と直接接触しにくい。そのため、正極活物質による電解液の分解反応が抑制される。そのためサイクル特性が悪化するのを抑制できる。
被覆層は空隙を有する。被覆層は複数の絶縁性の無機粉末と被覆層用バインダーとを有する。被覆層において複数の無機粉末はところどころ隙間をあけて配置されており、被覆層用バインダーは無機粉末同士の間及び無機粉末と正極活物質層との間に配置される。空隙は無機粉末同士の間、無機粉末と被覆層用バインダーとの間または無機粉末と正極活物質層との間に形成される。被覆層に空隙があるため、リチウムイオンは被覆層を容易に通過し正極活物質層へ到達する。つまり被覆層はリチウムイオンの伝導の抵抗になりにくく、被覆層が正極活物質層の表面に配置されていても正極の充放電容量は低下しにくい。
また被覆層は複数の無機粉末で形成された複雑な形状をしているので表面積が大きい。そのため被覆層は正極活物質から溶出した金属成分の溶出物や電解液の分解物を物理的にトラップしやすい。金属成分の溶出物や電解液の分解物を正極表面で物理的にトラップできるので、負極活物質表面に分解物等が堆積するのを抑制できる。結果としてリチウムイオン二次電池のサイクル特性が悪化するのを抑制できる。
また被覆層用バインダーは無機粉末同士及び無機粉末と正極活物質層とを結着させている。そのため被覆層は正極活物質層から剥離しにくい。そのためサイクルを重ねても上記被覆層の効果が持続しやすい。
被覆層用バインダーは無機粉末に対して3質量%以上50質量%以下で被覆層に含まれればよい。被覆層用バインダーが無機粉末に対して50質量%より多く被覆層に含有されると、無機粉末による正極活物質層の保護効果が少なくなり、また空隙が形成されにくくなる。被覆層用バインダーが無機粉末に対して3質量%より少なく被覆層に含有されると、被覆層用バインダーの結着効果が得にくくなる。
空隙は被覆層のどこにあってもよい。空隙は被覆層の表面だけでなく、被覆層の内部にあってもよい。また一つの空隙は他の空隙と連通していてもよい。
被覆層の表面を電子顕微鏡で観察すると、被覆層に開口部があることがわかる。この開口部は、被覆層に含まれる空隙を通じて表面から正極活物質層が観察されている箇所を指す。従ってこの開口部の面積を被覆層全体の面積で割ることによって、開口率を求めることができる。この時、被覆層全体の面積は開口部の面積を含む。
被覆層の表面を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope)で観察した画像において、被覆層の表面の開口率が5%以上50%以下であることが好ましい。開口率が5%以上であると被覆層のリチウムイオンの透過性が良好である。開口率が50%以下であれば、正極活物質に電解液が直接接触することを少なくでき、そのため正極活物質による電解液の分解を良好に抑制できる。
被覆層の厚みは、実質的に無機粉末の平均粒径D50と同等以上となる。正極活物質層の表面に無機粉末が少なくとも一層となる厚みを有する被覆層が配置されていれば、正極活物質層は被覆層によって保護される。
また被覆層の厚みは1μm以上で正極活物質層の厚みの20%以下であることが好ましい。被覆層の厚みが1μm以上であれば、高温、高電圧の使用環境下でもリチウムイオン二次電池のサイクル特性をより向上することが出来る。被覆層の厚みが正極活物質層の厚みの20%以下であれば、電池内において正極活物質層の体積すなわち正極活物質の量を減らさなくてもよく、リチウムイオン二次電池の充放電容量を低下させなくてすむ。
無機粉末の平均粒径D50は、正極活物質の平均粒径D50よりも小さいことが好ましい。無機粉末の平均粒径D50が正極活物質の平均粒径D50よりも小さいと、無機粉末を含む被覆層は正極活物質層の表面の凹凸に沿って正極活物質層を被覆することが出来る。そうすると正極活物質層の表面に存在する正極活物質の表面を無機粉末を含む被覆層が被覆しやすい。正極活物質の表面の少なくとも一部が無機粉末を含む被覆層で被覆されれば、正極活物質の表面が電解液と直接接触することを抑制でき、電解液が正極活物質によって分解されるのを抑制できる。無機粉末は、平均粒径D50が100nm以上1μm以下であることが好ましい。無機粉末の平均粒径D50が100nm以上1μm以下であれば、より無機粉末を含む被覆層が正極活物質層の表面を被覆しやすい。
無機粉末は、絶縁性であるため、正極活物質層の表面に絶縁性の無機粉末を含む被覆層が配置されると正極と負極とが短絡するのを抑制できる。
絶縁性の無機粉末として、例えば、窒化物、炭化物、金属酸化物が使用できる。窒化物としては、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化珪素及び窒化炭素が例示できる。炭化物としては炭化珪素、炭化ホウ素が例示できる。金属酸化物としては、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウムが例示できる。
特に無機粉末は熱的に安定であるものが好ましい。その理由から、無機粉末は窒化物であることが好ましい。一般的に窒化物は1500℃程度まで熱的に安定である。1500℃はリチウムイオン二次電池の熱暴走範囲より十分に高い温度であるので、窒化物はリチウムイオン二次電池が熱暴走するのを抑制できる。
また一般的に窒化物は化学的な安定性が高く、電池反応に伴う余分な副反応を起こすことなく配置することが可能である。その物質の化学的な安定性が高いため、無機粉末は、窒化ホウ素、窒化アルミニウム及び窒化珪素から選ばれる少なくとも1つからなることが好ましい。
被覆層は正極活物質層の表面に配置される。被覆層と正極活物質層とが混合しないように被覆層は正極活物質層ができあがってから配置されることが望ましい。
この正極活物質層へ被覆層を配置する方法は、特に限定されない。例えば、以下の方法で正極活物質層へ被覆層を配置できる。被覆層の材料を有機溶媒もしくは水に溶かして溶液を作成し、噴霧器を用いて正極活物質層の塗布面に噴霧し、有機溶媒または水を揮発、除去することによって正極活物質層に被覆層を配置することができる。この場合の有機溶媒はエタノール、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、メタノール、ブタノール、メチルイソブチルケトン(MIBK)などが使用できる。水は蒸留水やイオン交換水など、不純物を取り除いたものが好ましい。
また被覆層の材料を粘度調整のための有機溶媒もしくは水に溶かしてペースト状の混合物を作成し、そのペースト状の混合物を正極活物質層上に塗布し、塗布後に乾燥することによって正極活物質層に被覆層を配置することができる。塗布方法としては、ロールコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの従来から公知の方法を用いればよい。粘度調整のための有機溶媒としては、エタノール、NMP、メタノール、ブタノール、MIBKなどが使用可能である。水は蒸留水やイオン交換水など、不純物を取り除いたものが好ましい。
上記した被覆層の配置方法において、被覆層における開口率の調整は、被覆層の塗布量を調整するによって行うことができる。被覆層の塗布量が多い方が開口率は小さくなる。
被覆層用バインダーとして、ケイ素元素、アルミニウム元素、ジルコニウム元素などの元素を含む無機バインダー、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂またはメラミン樹脂などが使用できる。
被覆層の配置を簡便にするために、被覆層用バインダーとして、有機溶媒に溶解でき、有機溶媒が揮発したら室温で固化するバインダーを用いることが好ましい。このようなバインダーを用いれば、被覆層を形成するために電極を加熱する必要がない。被覆層用バインダーとして、例えば常温で固化させることのできる無機バインダーを用いることが好ましい。無機バインダーは化学的に安定であるため、電池反応に伴う分解反応を抑制することができる。無機バインダーとしては、ジルコニウム元素、特に酸化ジルコニウムを含む無機バインダーを好ましく用いることができる。
図1に本実施形態のリチウムイオン二次電池用正極を説明する模式図を示す。図1において、集電体1の上に正極活物質3が結着剤2によって結着されている。正極活物質層4は、正極活物質3と結着剤2とからなる。被覆層5は正極活物質層4の上に配置される。
図1の被覆層5において、無機粉末51はところどころに隙間を空けて配置され、被覆層用バインダー52は無機粉末51同士の間及び無機粉末51と正極活物質層4との間に配置されている。被覆層用バインダー52によって、複数の無機粉末51同士また無機粉末51と正極活物質層4とが結着されている。図1にみられるように空隙6が無機粉末51同士の間、無機粉末51と被覆層用バインダー52との間または無機粉末51と正極活物質層4との間に形成される。また無機粉末51は正極活物質3及び結着剤2の表面の凹凸に沿って配置している。
<リチウムイオン二次電池>
本発明のリチウムイオン二次電池は、上記リチウムイオン二次電池用正極を有することを特徴とする。上記リチウムイオン二次電池用正極を有するリチウムイオン二次電池は、高温、高電圧の使用環境下でも優れたサイクル性能を有する。
本発明のリチウムイオン二次電池は、電池構成要素として、上記したリチウムイオン二次電池用正極に加えて、負極、セパレータ、電解液を用いる。
負極は、集電体と、集電体の表面に結着させた負極活物質層を有する。負極活物質層は、負極活物質、結着剤を含み、必要に応じて導電助剤を含む。集電体、結着剤、導電助剤は正極で説明したものと同様である。
負極活物質としては、リチウムを吸蔵、放出可能な炭素系材料、リチウムと合金化可能な元素、リチウムと合金化可能な元素を有する元素化合物、あるいは高分子材料などを用いることができる。
炭素系材料としては、難黒鉛化性炭素、人造黒鉛、コークス類、グラファイト類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭あるいはカーボンブラック類が挙げられる。ここで、有機高分子化合物焼成体とは、フェノール類やフラン類などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。
リチウムと合金化可能な元素は、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Ti、Ag、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Biの少なくとも1種を有するとよい。中でも、リチウムと合金化可能な元素は、珪素(Si)または錫(Sn)であるとよい。
リチウムと合金化可能な元素を有する元素化合物としては、例えば、ZnLiAl、AlSb、SiB、SiB、MgSi、MgSn、NiSi、TiSi、MoSi、CoSi、NiSi、CaSi、CrSi、CuSi、FeSi、MnSi、NbSi、TaSi、VSi、WSi、ZnSi、SiC、Si、SiO、SiO(0<v≦2)、SnO(0<w≦2)、SnSiO、LiSiOあるいはLiSnOなどが使用できる。リチウムと合金化可能な元素を有する元素化合物は珪素化合物または錫化合物であることがよい。珪素化合物は、SiO(0.5≦x≦1.5)であることがよい。錫化合物は、例えば、スズ合金(Cu−Sn合金、Co−Sn合金等)などが使用できる。
高分子材料としては、ポリアセチレン、ポリピロールなどが使用できる。
セパレータは正極と負極とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータは、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、あるいはポリエチレンなどの合成樹脂製の多孔質膜、またはセラミックス製の多孔質膜が使用できる。
電解液はリチウムイオン二次電池用に用いることのできる電解液が使用できる。電解液は、溶媒とこの溶媒に溶解された電解質とを含んでいる。
例えば溶媒として環状エステル類、鎖状エステル類、エーテル類が使用できる。環状エステル類として、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ガンマブチロラクトン、ビニレンカーボネート、2−メチル−ガンマブチロラクトン、アセチル−ガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトン等が使用できる。鎖状エステル類として、例えばジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル等が使用できる。エーテル類として、例えばテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン等が使用できる。
また上記電解液に溶解させる電解質として、例えばLiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO等のリチウム塩を使用することができる。
例えば、電解液として、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネートなどの溶媒にLiClO、LiPF、LiBF、LiCFSOなどのリチウム塩を0.5mol/lから1.7mol/l程度の濃度で溶解させた溶液を使用することができる。
上記リチウムイオン二次電池は車両に搭載することができる。上記リチウムイオン二次電池は、優れたサイクル性能を有するため、そのリチウムイオン二次電池を搭載した車両は、寿命、出力の面で高性能となる。
車両としては、電池による電気エネルギーを動力源の全部または一部に使用する車両であればよく、例えば、電気自動車、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド鉄道車両、電動フォークリフト、電気車椅子、電動アシスト自転車、電動二輪車が挙げられる。
以上、本発明のリチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。
<リチウムイオン二次電池用正極の作成>
(正極A)
まず正極活物質として平均粒径D50が5μmのLiNi0.5Co0.2Mn0.3と導電助剤としてアセチレンブラックと、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、それぞれ94質量部、3質量部、3質量部として混合し混合物とした。この混合物を適量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させて、スラリーを作製した。
集電体として厚み20μmのアルミニウム箔を準備した。集電体にスラリーをのせ、ドクターブレードを用いてスラリーが膜状になるように集電体に塗布した。得られたシートを80℃で20分間乾燥してNMPを揮発させて除去した。その後、ロ−ルプレス機により、集電体と集電体上の塗布物を強固に密着接合させた。この時電極密度は3.2g/cmとなるようにした。接合物を120℃で6時間、真空乾燥機で加熱した。加熱後の接合物を、所定の形状(25mm×30mmの矩形状)に切り取り、正極Aとした。正極Aの厚さは50μm程度であった。
(正極B)
絶縁性の無機粉末として、平均粒径D50が500nmの窒化ホウ素の粉末を準備した。被覆層用バインダーとしてテトラブトキシジルコニウムを準備した。窒化ホウ素粉末とテトラブトキシジルコニウムを質量比で3:2になるように秤量して混合して混合物とした。混合物をブタノールに分散した。噴霧器を用いて上記したブタノールに分散した混合物を正極Aの表面に噴霧回数を1回として噴霧した。噴霧回数1回の噴霧時間は噴霧範囲における単位面積当たり5秒とした。ブタノールを揮発、除去することにより正極Aの表面に厚み1μmの窒化ホウ素粉末と被覆層用バインダーとからなる被覆層を形成した。これを正極Bとする。正極Bの表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察すると被覆層は正極活物質層の表面に追随するように配置されていることが確認できた。
(正極C)
噴霧回数を2回とした以外は正極Bと同様にして正極Aの表面に厚み2μmの窒化ホウ素粉末と被覆層用バインダーとからなる被覆層を形成した。これを正極Cとする。噴霧回数を2回としたとは具体的には、噴霧範囲全体に1回噴霧した後で、2回目の噴霧を1回目の噴霧した箇所に1回目の噴霧と同様に再度行ったことで行った。正極Cの表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察すると被覆層は正極活物質層の表面に追随するように配置されていることが確認できた。
(正極D)
噴霧回数を5回とした以外は正極Bと同様にして正極Aの表面に厚み5μmの窒化ホウ素粉末と被覆層用バインダーとからなる被覆層を形成した。これを正極Dとする。正極Dの表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察すると被覆層は正極活物質層の表面に追随するように配置されていることが確認できた。
<被覆層の走査型電子顕微鏡(SEM)による画像観察>
上記正極B、C、Dの各被覆層を走査型電子顕微鏡で観察し、被覆層の表面における開口率を計測した。SEMの焦点距離は、被膜層の厚みに応じて1μm〜5μmの表面深さが観察可能なように設定した。開口部は、被覆層に含まれる空隙を通じて表面から正極活物質層が観察されている箇所を指す。開口率(%)=開口部の面積÷被覆層全体の面積×100で計算した。正極Bの被覆層の開口率は50%であり、正極Cの被覆層の開口率は25%であり、正極Dの被覆層の開口率は5%であった。
<ラミネート型リチウムイオン二次電池作製>
(実施例1)
正極Bを正極として用いた実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池を次のようにして作製した。
負極は以下のように作製した。黒鉛粉末97質量部と、導電助剤としてアセチレンブラック1質量部と、結着剤として、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)1質量部、カルボキシメチルセルロース(CMC)1質量部とを混合して混合物とした。この混合物を適量のイオン交換水に分散させてスラリーを作製した。このスラリーを負極用集電体である厚み20μmの銅箔にドクターブレードを用いて膜状になるように塗布した。スラリーを塗布した集電体を乾燥後プレスし、接合物を120℃で6時間、真空乾燥機で加熱した。所定の形状(25mm×30mmの矩形状)に切り取り、負極とした。負極の厚さは45μm程度であった。
正極B及び負極を用いて、ラミネート型リチウムイオン二次電池を製作した。詳しくは、正極B及び負極の間に、セパレータとしてポリプロピレン樹脂からなる矩形状シート(27×32mm、厚さ25μm)を挟装して極板群とした。この極板群を二枚一組のラミネートフィルムで覆い、三辺をシールした後、袋状となったラミネートフィルムに電解液を注入した。電解液としてエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネー(DEC)をEC:DEC=3:7(体積比)で混合した溶媒にLiPF6を1mol/lとなるように溶解した溶液を用いた。その後、残りの一辺をシールすることで、四辺が気密にシールされ、極板群及び電解液が密閉されたラミネート型リチウムイオン二次電池を得た。なお、正極及び負極は外部と電気的に接続可能なタブを備え、このタブの一部はラミネート型リチウムイオン二次電池の外側に延出している。以上の工程で、実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例2)
実施例1における正極Bを正極Cに変更した以外は実施例1と同様にして実施例2のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例3)
実施例1における正極Bを正極Dに変更した以外は実施例1と同様にして実施例3のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
(比較例1)
実施例1における正極Bを正極Aに変更した以外は実施例1と同様にして比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
<実施例1、実施例2、実施例3及び比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池のサイクル特性評価>
実施例1、実施例2、実施例3及び比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池のサイクル特性を評価した。サイクル特性の評価としては、以下の条件で充放電を繰り返したサイクル試験を行い各サイクルの放電容量を測定した。充電の際は、60℃において1Cレート、電圧4.5VでCC充電(定電流充電)をした。放電の際は3.0V、1CレートでCC放電(定電流放電)を行った。この充放電を1サイクルとし、200サイクルまでサイクル試験を行った。この際の放電容量は、正極活物質の質量あたりの放電容量を計算して用いた。従って放電容量の単位はmAh/gである。図2に実施例1、実施例2、実施例3及び比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池のサイクル数と放電容量(mAh/g)の関係を示す。
図2の結果をみると、初回の放電容量は、実施例1、実施例2及び実施例3のラミネート型リチウムイオン二次電池は、比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池と同等か若干低かった。具体的には、比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池の初回の放電容量が191.5mAh/gに対して、実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池の初回の放電容量が189.4mAh/g、実施例2のラミネート型リチウムイオン二次電池の初回の放電容量が187.9mAh/g、実施例3のラミネート型リチウムイオン二次電池の初回の放電容量が192.3mAh/gであった。
このことから、窒化ホウ素粉末と被覆層用バインダーとからなる被覆層が正極活物質層の表面に配置される正極を用いても、ラミネート型リチウムイオン二次電池の初回の放電容量はほとんど変わらないことがわかった。被覆層には空隙が存在する。そのため被覆層が正極活物質層の表面に配置されていても、被覆層がリチウムイオンの伝導の抵抗にはあまりならなかったためと推察される。また被覆層の厚みが異なる実施例1、実施例2及び実施例3のラミネート型リチウムイオン二次電池の初回の放電容量の結果から、被覆層の厚みを厚くしても初回の放電容量が低下することはないことがわかった。
そして、65サイクルまでは、実施例1、実施例2及び実施例3のラミネート型リチウムイオン二次電池の放電容量は、比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池の放電容量とほぼ同等であった。65サイクル目以降は、実施例1、実施例2及び実施例3のラミネート型リチウムイオン二次電池の放電容量は、比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池の放電容量より高くなった。
200サイクル目の放電容量を比較すると、比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池の200サイクル目の放電容量が95.9mAh/gに対して、実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池の200サイクル目の放電容量が117.6mAh/g、実施例2のラミネート型リチウムイオン二次電池の200サイクル目の放電容量が127.3mAh/g、実施例3のラミネート型リチウムイオン二次電池の200サイクル目の放電容量が130.2mAh/gとなった。つまり200サイクル目の放電容量は比較例1<実施例1<実施例2<実施例3の順に高くなった。このことから被覆層の厚みが厚い方が、サイクル特性が高いことがわかった。またこの結果から、60℃という高温において窒化ホウ素粉末と被覆層用バインダーとからなる被覆層が正極活物質層の表面に1μm以上形成されている正極を用いたラミネート型リチウムイオン二次電池は、被覆層が形成されていない正極を用いたラミネート型リチウムイオン二次電池に比べてサイクル特性が向上することがわかった。
上記の結果より、複数の絶縁性の無機粉末と被覆層用バインダーとを有し、かつ空隙を有する被覆層を正極活物質層の表面に有すると、リチウムイオン二次電池は、高温、高電圧の使用環境下においても優れたサイクル特性及び充放電容量を有することがわかった。
1:集電体、2:結着剤、3:正極活物質、4:正極活物質層、5:被覆層、51:無機粉末、52:被覆層用バインダー、6:空隙。
また被覆層の材料を粘度調整のための有機溶媒もしくは水に溶かしてペースト状の混合物を作成し、そのペースト状の混合物を正極活物質層上に塗布し、塗布後に乾燥することによって正極活物質層に被覆層を配置することができる。塗布方法としては、スプレーコート法を用いればよい。粘度調整のための有機溶媒としては、エタノール、NMP、メタノール、ブタノール、MIBKなどが使用可能である。水は蒸留水やイオン交換水など、不純物を取り除いたものが好ましい。

Claims (6)

  1. 集電体と、
    該集電体の表面に配置され、正極活物質及び結着剤を含む正極活物質層と、
    該正極活物質層の表面の少なくとも一部に配置される被覆層と、
    を有し、
    該被覆層は複数の絶縁性の無機粉末と、被覆層用バインダーと、を有し、
    該被覆層は空隙を有することを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極。
  2. 前記被覆層の表面を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope)で観察した画像において、前記被覆層の表面の開口率が5%以上50%以下である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  3. 前記被覆層の厚みは1μm以上で前記正極活物質層の厚みの20%以下である請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  4. 前記無機粉末の平均粒径D50は100nm以上1μm以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  5. 前記無機粉末は、窒化ホウ素、窒化アルミニウム及び窒化珪素から選ばれる少なくとも1つからなる請求項1〜4のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極と、
    負極と、
    非水電解液と、
    を有するリチウムイオン二次電池。
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