JP2014221745A - タンパク質標識抗体およびそれを含む組成物、ならびにそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】抗体を用いたアッセイの感度を向上させること。【解決手段】ポリアルキレングリコールで修飾されており、かつ、タンパク質による抗体の標識比率を低下させたタンパク質標識抗体;(i)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質標識抗体、および(ii)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質非標識抗体を含む抗体組成物;ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質標識抗体または抗体組成物の製造方法;ならびにポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質標識抗体または抗体組成物を用いて、サンプルにおいて標的物質を測定することを含む、標的物質の測定方法。【選択図】図1
Description
本発明は、タンパク質標識抗体およびそれを含む組成物、ならびにそれらの製造方法などに関する。
臨床検査用の抗体を用いたアッセイでは、更なる感度向上が求められている。検出感度を低下させる要因の一つとしては、使用される遊離抗原、抗体またはこれらの標識体の、磁気ビーズ等の固相表面への非特異反応が知られている。抗体の非特異反応の抑制のため、従来、アルブミン、カゼイン等の生物由来物質、およびPEG等の化学合成物による表面被覆、つまりブロッキングが行われてきた(特許文献1)。また、感度を上昇させるため、抗体一分子につき多分子の標識酵素を結合させる方法が一般的に用いられる(特許文献2)。
しかしながら、上述した方法は、抗体を用いたアッセイの感度の向上に必ずしも十分でない。
したがって、本発明は、抗体を用いたアッセイの感度を向上させることを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質標識抗体又はそれを含む組成物を、タンパク質による抗体の標識比率を低下させた状態で用いることにより、抗体の非特異反応を抑制できることなどを見出した。これにより、本発明者らは、抗体の非特異反応を抑制してアッセイの感度を向上させることに成功し、もって本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕ポリアルキレングリコールで修飾されており、かつ、タンパク質による抗体の標識比率を低下させたタンパク質標識抗体。
〔2〕タンパク質が酵素である、〔1〕のタンパク質標識抗体。
〔3〕ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールである、〔1〕または〔2〕のタンパク質標識抗体。
〔4〕修飾に用いられるポリアルキレングリコールと同種のポリアルキレングリコールから構成されるリンカーを介して、抗体がタンパク質で標識されている、〔1〕〜〔3〕のいずれかのタンパク質標識抗体。
〔5〕修飾に用いられるポリアルキレングリコールと異種のリンカーを介して、抗体がタンパク質で標識されている、〔1〕〜〔3〕のいずれかのタンパク質標識抗体。
〔6〕抗体が多量体抗体である、〔1〕〜〔5〕のいずれかのタンパク質標識抗体。
〔7〕抗体がIgMである、〔6〕のタンパク質標識抗体。
〔8〕以下(i)および(ii)の抗体を含む、抗体組成物:
(i)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質標識抗体;および
(ii)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質非標識抗体。
〔9〕〔1〕〜〔7〕のいずれかのタンパク質標識抗体、または〔8〕の抗体組成物を含む、キット。
〔10〕抗体を、タンパク質による標識反応およびポリアルキレングリコールによる修飾反応に付して、ポリアルキレングリコールで修飾されており、かつ、タンパク質による抗体の標識比率を低下させたタンパク質標識抗体を得ることを含む、抗体の製造方法。
〔11〕抗体を、抗体の量に対して不十分な量のタンパク質による標識反応およびポリアルキレングリコールによる修飾反応に付して、(i)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質標識抗体および(ii)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質非標識抗体を含む抗体組成物を得ることを含む、抗体組成物の製造方法。
〔12〕抗体に対するタンパク質の量比が0.1以上0.5未満の範囲内である、〔11〕の方法。
〔13〕(i)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質標識抗体および(ii)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質非標識抗体を混合して、(i)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質標識抗体および(ii)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質非標識抗体を含む抗体組成物を得ることを含む、抗体組成物の製造方法。
〔14〕〔1〕〜〔7〕のいずれかのタンパク質標識抗体、〔8〕の抗体組成物、または〔9〕のキットを用いて、サンプルにおいて標的物質を測定することを含む、標的物質の測定方法。
〔1〕ポリアルキレングリコールで修飾されており、かつ、タンパク質による抗体の標識比率を低下させたタンパク質標識抗体。
〔2〕タンパク質が酵素である、〔1〕のタンパク質標識抗体。
〔3〕ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールである、〔1〕または〔2〕のタンパク質標識抗体。
〔4〕修飾に用いられるポリアルキレングリコールと同種のポリアルキレングリコールから構成されるリンカーを介して、抗体がタンパク質で標識されている、〔1〕〜〔3〕のいずれかのタンパク質標識抗体。
〔5〕修飾に用いられるポリアルキレングリコールと異種のリンカーを介して、抗体がタンパク質で標識されている、〔1〕〜〔3〕のいずれかのタンパク質標識抗体。
〔6〕抗体が多量体抗体である、〔1〕〜〔5〕のいずれかのタンパク質標識抗体。
〔7〕抗体がIgMである、〔6〕のタンパク質標識抗体。
〔8〕以下(i)および(ii)の抗体を含む、抗体組成物:
(i)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質標識抗体;および
(ii)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質非標識抗体。
〔9〕〔1〕〜〔7〕のいずれかのタンパク質標識抗体、または〔8〕の抗体組成物を含む、キット。
〔10〕抗体を、タンパク質による標識反応およびポリアルキレングリコールによる修飾反応に付して、ポリアルキレングリコールで修飾されており、かつ、タンパク質による抗体の標識比率を低下させたタンパク質標識抗体を得ることを含む、抗体の製造方法。
〔11〕抗体を、抗体の量に対して不十分な量のタンパク質による標識反応およびポリアルキレングリコールによる修飾反応に付して、(i)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質標識抗体および(ii)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質非標識抗体を含む抗体組成物を得ることを含む、抗体組成物の製造方法。
〔12〕抗体に対するタンパク質の量比が0.1以上0.5未満の範囲内である、〔11〕の方法。
〔13〕(i)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質標識抗体および(ii)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質非標識抗体を混合して、(i)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質標識抗体および(ii)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質非標識抗体を含む抗体組成物を得ることを含む、抗体組成物の製造方法。
〔14〕〔1〕〜〔7〕のいずれかのタンパク質標識抗体、〔8〕の抗体組成物、または〔9〕のキットを用いて、サンプルにおいて標的物質を測定することを含む、標的物質の測定方法。
本発明は、抗体の非特異反応の抑制によるアッセイ感度の向上に有用である。
本発明は、ポリアルキレングリコールで修飾されており、かつ、タンパク質による抗体の標識比率を低下させたタンパク質標識抗体の製造方法を提供する。以下、必要に応じて、本発明の方法(I)と略称する。本発明の方法(I)は、抗体を、タンパク質による標識反応およびポリアルキレングリコールによる修飾反応に付して、ポリアルキレングリコールで修飾されており、かつ、タンパク質による抗体の標識比率を低下させたタンパク質標識抗体を得ることを含む。得られた抗体は、単離または精製されてもよい。
表現「タンパク質による抗体の標識比率を低下させた」とは、抗体がタンパク質により十分に標識されていないことを意味する。換言すれば、本表現は、タンパク質による抗体の標識数が最大未満であることを意味する。抗体およびタンパク質のサイズにもよるが、1分子の抗体は複数分子のタンパク質で標識可能である。タンパク質による抗体の標識反応において、抗体をタンパク質で十分に標識しないように反応させること(例、低濃度のタンパク質の使用、および短い反応時間の採用)により、タンパク質による抗体の標識比率を低下させることが可能である。
本発明の方法(I)で材料として用いられる抗体は、ポリクローナル抗体でもモノクローナル抗体でもよい。抗体は、免疫グロブリン(例、IgG、IgM、IgA、IgD、IgE、IgY)のいずれのアイソタイプであってもよい。抗体はまた、全長抗体であってもよい。用語「全長抗体」とは、可変領域および定常領域を各々含む重鎖および軽鎖を含む抗体(例、2つのFab部分およびFc部分を含む抗体)をいう。抗体はまた、このような全長抗体に由来する抗体断片であってもよい。抗体断片は、本発明の全長抗体の一部であり、例えば、F(ab’)2、Fab’、Fab、Fvが挙げられる。抗体はまた、単鎖抗体等の改変抗体であってもよい。抗体はさらに、ELISA等のイムノアッセイにおいて、1次抗体または2次抗体として用いられるものであってもよい。2次抗体として用いられる抗体は、標的物質に対する抗体(1次抗体)の1次抗体部分に対するものであってもよく、標的物質および1次抗体の複合体に対する抗体であってもよい。
一実施形態では、本発明の方法(I)で材料として用いられる抗体は、多量体抗体であってもよい。用語「多量体抗体」とは、多量体構造を有する抗体をいい、例えば、多量体構造を天然で有する抗体(例、5量体構造を有するIgMおよび二量体構造を有するIgA等の免疫グロブリン)、ならびに多量体構造を有する改変抗体が挙げられる。多量体構造を有するように抗体を改変する複数の技術が知られているので(例、Holliger,P.et al.,(2005).Engineered antibody fragments and the rise of single domains. Nature biotechnology,23(9),1126−1136.、Casey,J.L.et al.,(2002).Tumour targeting of humanised cross−linked divalent−Fab’ antibody fragments: a clinical phase I/II study.British journal of cancer,86(9),1401−1410.、および特開2010−119303を参照)、当業者は、このような技術を用いることで、多量体構造を有する改変抗体を作製することができる。例えば、5量体構造を有するIgMを少量のタンパク質で適切に標識した場合には、5量体構造を有するIgM 1分子あたり1分子のタンパク質で標識すること、即ち、タンパク質による抗体の標識比率を低下させることが可能である(例、後述する実施例を参照)。
別の実施形態では、本発明の抗体は、親和性複合体に対する抗体であってもよい。用語「親和性複合体(affinity complex)」とは、2以上の因子の会合または凝集(即ち、非共有結合)により形成される複合体をいう。一方、親和性複合体と異なる複合体としては、共有結合性複合体が挙げられる。用語「共有結合性複合体(covalent complex)」とは、2以上の因子の共有結合により形成される複合体をいう。このような共有結合性複合体としては、例えば、免疫原性のない低分子物質(即ち、ハプテン)と、キャリア(例、BSA、KLH等のタンパク質)とが、共有結合を介して結合したコンジュゲ−ト(conjugate)が挙げられる。換言すれば、共有結合性複合体は、免疫原性のない低分子物質(即ち、ハプテン)に対する免疫を動物において惹起し、それにより、低分子物質に対する抗体を取得するために、従来から動物に投与されている、免疫されるべき複合体(即ち、免疫複合体)であり得る。親和性複合体の詳細については、例えば、WO2013/042426を参照のこと。
親和性複合体を構成する因子は、好ましくは、タンパク質であってもよい。このようなタンパク質としては、親和的結合の能力を有するタンパク質、凝集能を有するタンパク質が挙げられる。親和的結合の能力を有するタンパク質としては、例えば、リガンド依存性タンパク質〔例、Gタンパク質共役型レセプター等の細胞膜上レセプター、ならびに可溶性レセプター(例、免疫グロブリン、細胞膜上レセプターから切断された細胞外ドメイン)、および核内レセプター〕、核酸結合タンパク質(例、転写因子、核酸の保護または輸送タンパク質)、タンパク質複合体を形成するタンパク質(例、アダプタータンパク質)、細胞外マトリクスタンパク質(例、細胞間接着タンパク質)、酵素〔例、チロシンキナーゼ(レセプターまたは非レセプター)、セリン/スレオニンキナーゼ等のキナーゼ〕、糖タンパク質が挙げられる。凝集能を有するタンパク質としては、例えば、変性タンパク質、病原性タンパク質(例、βアミロイド等の神経変性タンパク質)が挙げられる。好ましくは、親和性複合体を構成する因子であるタンパク質は、上述したような抗体であってもよい。この場合、本発明の抗体は、例えば、二次抗体として使用できる。
親和性複合体を構成する因子はまた、低分子物質であってもよい。用語「低分子物質(small substance)」とは、分子量1,500未満の化合物をいう。低分子物質は、天然物質または合成物質である。低分子物質の分子量は、1,200未満、1,000未満、800未満、700未満、600未満、500未満、400未満または300未満であってもよい。低分子物質の分子量はまた、50以上、100以上、150以上または200以上であってもよい。低分子物質としては、例えば、リガンド、ホルモン、脂質、脂肪酸、ビタミン、オピオイド、神経伝達物質(例、カテコールアミン)、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、単糖、オリゴ糖、アミノ酸、およびオリゴペプチド、あるいは医薬、毒物、および代謝産物が挙げられる。ホルモンとしては、例えば、ステロイドホルモン、甲状腺ホルモン、ペプチドホルモンが挙げられる。
本発明の抗体が1次抗体として用いられる場合、または本発明の抗体が2次抗体として用いられる場合における1次抗体の標的物質としては、例えば、低分子物質、タンパク質、糖、核酸(例、DNA、RNA)、ならびにそれらの誘導体が挙げられる。
一実施形態では、低分子物質は、ビタミンであってもよい。ビタミンとしては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、B12、C、D、E、Kが挙げられる。好ましくは、ビタミンは、脂溶性ビタミン(例、ビタミンA、D、E、K)であり、より好ましくは、以下に示すようなビタミンDである。低分子物質はまた、ビタミンの代謝産物であってもよい。ビタミンの代謝産物としては、例えば、上述したようなビタミンにヒドロキシル基が付加された化合物、および抱合体(例、グルクロン酸抱合体、硫酸抱合体、グルタチオン抱合体、アセチル抱合体、アミノ酸抱合体)が挙げられる。低分子物質はさらに、ビタミン類似治療用薬物またはその代謝産物であってもよい。
別の実施形態では、低分子物質は、ステロイド化合物であってもよい。ステロイド化合物とは、ステロイド骨格(シクロペンタノペルヒドロフェナントレン骨格)を有する化合物をいう。ステロイド化合物としては、ステロイドホルモン、およびステロイド骨格を保持するその誘導体(例、タンパク質同化ステロイド、抗男性ホルモン剤および抗卵胞ホルモン剤等の合成ステロイド)が挙げられる。ステロイドホルモンとしては、例えば、男性ホルモン、卵胞ホルモン、黄体ホルモン、コルチコイド(例、糖質コルチコイド、鉱質コルチコイド)が挙げられるが、卵胞ホルモンが好ましい。卵胞ホルモンとしては、例えば、エストロン、エストラジオール、エストリオールが挙げられる。低分子物質はまた、ステロイド化合物の代謝産物であってもよい。ステロイド化合物の代謝産物としては、例えば、上述したようなステロイド化合物にヒドロキシル基が付加された化合物、および抱合体が挙げられる。抱合体としては、例えば、グルクロン酸抱合体、硫酸抱合体(例、エストラジオールの3位もしくは17位のいずれかのヒドロキシル基、または3位および17位の双方のヒドロキシル基に硫酸基が抱合された化合物)、グルタチオン抱合体、アセチル抱合体、アミノ酸抱合体が挙げられる。低分子物質はさらに、ステロイド化合物類似治療用薬物(例、エストラムスチン)またはその代謝産物(例、エストロムスチン)であってもよい。
さらに別の実施形態では、低分子物質は、アミノ酸化合物であってもよい。アミノ酸化合物とは、アミノ基およびカルボキシル基を有する化合物をいう。アミノ酸化合物としては、例えば、α−アミノ酸(例、グリシン、アラニン、アスパラギン、システイン、グルタミン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン、リジン、オルニチン、シトルリン)、β−アミノ酸(例、β−アラニン)、γ−アミノ酸(例、γ-アミノ酪酸)、ならびに、アミノ基およびカルボキシル基を保持するそれらの誘導体が挙げられる。アミノ酸化合物は、L体またはD体であってもよい。低分子物質はまた、アミノ酸化合物の代謝産物であってもよい。アミノ酸化合物の代謝産物としては、例えば、上述したようなアミノ酸化合物にヒドロキシル基が付加された化合物、および上述したような抱合体が挙げられる。低分子物質はさらに、アミノ酸化合物類似治療用薬物またはその代謝産物であってもよい。
好ましくは、アミノ酸化合物は、チロシンから生合成されるチロシン誘導体であってもよい。チロシン誘導体としては、甲状腺ホルモン(例、トリヨードチロニン、チロキシン)が挙げられる。チロシン誘導体はまた、甲状腺ホルモンの代謝産物であってもよい。甲状腺ホルモンの代謝産物としては、例えば、甲状腺ホルモンにヒドロキシル基が付加された化合物、および上述したような抱合体が挙げられる。低分子物質はさらに、甲状腺ホルモン類似治療用薬物またはその代謝産物であってもよい。
好ましくは、アミノ酸化合物は、チロシンから生合成されるチロシン誘導体であってもよい。チロシン誘導体としては、甲状腺ホルモン(例、トリヨードチロニン、チロキシン)が挙げられる。チロシン誘導体はまた、甲状腺ホルモンの代謝産物であってもよい。甲状腺ホルモンの代謝産物としては、例えば、甲状腺ホルモンにヒドロキシル基が付加された化合物、および上述したような抱合体が挙げられる。低分子物質はさらに、甲状腺ホルモン類似治療用薬物またはその代謝産物であってもよい。
本発明において抗体を標識するために用いられるタンパク質は、抗体を用いるアッセイに有用なアミノ酸重合体である。具体的には、このようなタンパク質は、検出可能な物性(例、吸光度)を有し得る物質、もしくは検出可能なシグナル(例、発光、蛍光)を発生し得る物質を生成し得るタンパク質(例、酵素)、または検出可能な物性を有し得る、もしくは検出可能なシグナルを発生し得るタンパク質(例、蛍光タンパク質)をいう。このようなタンパク質としては、例えば、上述した物質を生成し得る酵素(例、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、βガラクトシダーゼ)、シグナルを発生し得るタンパク質(例、緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質)が挙げられる。
ポリアルキレングリコールは、1種または2種以上のアルキレングリコールが重合した高分子化合物である。アルキレングリコールとしては、例えば、メチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、へキシレングリコール、ヘプチレングリコール、オクチレングリコールが挙げられる。ポリアルキレングリコールとしては、例えば、ポリメチレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリペンチレングリコール、ポリへキシレングリコール、ポリヘプチレングリコール、ポリオクチレングリコールが挙げられるが、ポリエチレングリコール(PEG)が好ましい。ポリエチレングリコール(PEG)としては、特に限定されないが、例えば、PEG2000〜5000の範囲内にあるPEG(例、PEG2000、PEG3400、およびPEG5000)が挙げられる。
本発明の方法(I)では、標識反応および修飾反応のいずれを先に行ってもよく、または標識反応および修飾反応を同時に行ってもよい。例えば、本発明の方法(I)は、後述する方法A)、またはB)によって行うことができる。
方法A)
A−1)抗体をタンパク質で標識して、タンパク質標識抗体を得ること(標識反応);
A−2)タンパク質標識抗体をポリアルキレングリコールで修飾して、ポリアルキレングリコールで修飾されており、かつ、タンパク質による抗体の標識比率を低下させたタンパク質標識抗体を得ること(修飾反応)。
A−1)抗体をタンパク質で標識して、タンパク質標識抗体を得ること(標識反応);
A−2)タンパク質標識抗体をポリアルキレングリコールで修飾して、ポリアルキレングリコールで修飾されており、かつ、タンパク質による抗体の標識比率を低下させたタンパク質標識抗体を得ること(修飾反応)。
方法B)
B−1)抗体をポリアルキレングリコールで修飾して、ポリアルキレングリコールで修飾された抗体を得ること(修飾反応);
B−2)ポリアルキレングリコールで修飾された抗体をタンパク質で標識して、ポリアルキレングリコールで修飾されており、かつ、タンパク質による抗体の標識比率を低下させたタンパク質標識抗体を得ること(標識反応)。
B−1)抗体をポリアルキレングリコールで修飾して、ポリアルキレングリコールで修飾された抗体を得ること(修飾反応);
B−2)ポリアルキレングリコールで修飾された抗体をタンパク質で標識して、ポリアルキレングリコールで修飾されており、かつ、タンパク質による抗体の標識比率を低下させたタンパク質標識抗体を得ること(標識反応)。
上記方法で材料として用いられる抗体は、標識反応のための反応基が導入された抗体であってもよく、また、上記方法で材料として用いられるタンパク質は、修飾反応のための反応基が導入されたタンパク質であってもよい。したがって、上記方法は、(a)抗体に第1反応基を導入して、第1反応基導入抗体を得ること、および/または(b)タンパク質に第2反応基を導入して、第2反応基導入タンパク質を得ることをさらに含んでいてもよい。
タンパク質による抗体の標識は、上記のとおり導入され得る第1反応基および第2反応基を利用して行われてもよいが、抗体およびタンパク質が元々有する反応基(例、チオール基、アミノ基、ヒドロキシル基)を利用して行われてもよく、あるいは、第1反応基および第2反応基、ならびに抗体およびタンパク質が元々有する反応基を含む全ての反応基を利用して行われてもよい。
抗体に対する第1反応基の導入、およびタンパク質に対する第2反応基の導入は、当該分野において公知の方法により行うことができる。第1反応基および第2反応基は、互いに反応する基であり、同じであっても異なっていてもよいが、反応の制御等の観点から、異なることが好ましい。第1反応基および第2反応基としては、例えば、チオール基(例、2−イミノチオラン等のチオール化剤により導入可能)、マレイミド基(例、N−ヒドロキシスクシンイミド基およびマレイミド基の双方を有する化合物等のマレイミド化剤により導入可能)、アジド基(例、N-ヒドロキシスクシンイミド基およびアジド基の双方を有する化合物等のアジド化剤により導入可能)、アルキン基(例、N-ヒドロキシスクシンイミド基およびアルキンの双方を有する化合物等のアルキン化剤により導入可能)が挙げられる。
第1反応基および第2反応基の導入は、上述したような反応基を有するリンカーを介して行われてもよい。
第1反応基および第2反応基の導入は、上述したような反応基を有するリンカーを介して行われてもよい。
一実施形態では、リンカーは、修飾に用いられるポリアルキレングリコールと同種のポリアルキレングリコールから構成されるリンカーであってもよい。修飾に用いられるポリアルキレングリコールと「同種」のポリアルキレングリコールから構成されるリンカーとは、修飾反応に用いられるポリアルキレングリコールと同一の種類のポリアルキレングリコールをその組成として含むリンカーをいう。抗体およびタンパク質として第1反応基導入抗体および第2反応基導入タンパク質がそれぞれ用いられる場合、本実施形態で用いられるリンカーは、第1反応基と反応し得る基および第2反応基と反応し得る基を一方および他方の末端にそれぞれ有し、かつ、第1反応基と反応し得る基と第2反応基と反応し得る基との間にポリアルキレングリコール部分を有するもの(以下、必要に応じて、「ポリアルキレングリコールリンカー」と略称する)が好ましい。このようなリンカーの使用は、方法B)に関して後述したような利点を有する。
別の実施形態では、リンカーは、修飾に用いられるポリアルキレングリコールと異種のリンカーである。修飾に用いられるポリアルキレングリコールと「異種」のリンカーとは、ポリアルキレングリコールをその組成として含まないリンカーをいう。抗体およびタンパク質として第1反応基導入抗体および第2反応基導入タンパク質がそれぞれ用いられる場合、本実施形態で用いられるリンカーは、第1反応基と反応し得る基および第2反応基と反応し得る基を一方および他方の末端にそれぞれ有し、かつ、第1反応基と反応し得る基と第2反応基と反応し得る基との間に任意の部分(ポリアルキレングリコール以外の部分)を有するもの、または有しないもの(第1反応基と第2反応基とが互いに直接連結されたもの)が好ましい。このようなリンカーの使用は、方法A)に関して後述したような利点を有する。
方法A)
A−1)において、タンパク質による抗体の標識反応は、当該分野において公知の方法により行うことができる。例えば、このような標識反応は、抗体およびタンパク質の双方と反応し得るリンカーを用いて行うことができる。
A−2)において、ポリアルキレングリコールによるタンパク質標識抗体の修飾反応は、ポリアルキレングリコールによる抗体の修飾反応に関する公知の方法に準じて行うことができる。この場合、ポリアルキレングリコールは、タンパク質標識抗体において残存する反応基の不活化基として作用させることもできる。
標識反応、次いで修飾反応を行うことを特徴とする方法A)により製造される抗体は、タンパク質標識抗体全体の非特異反応を抑制し得るなどの利点がある。すなわち、方法A)により製造される抗体は、抗体の非特異反応を抑制するのみならず、タンパク質の非特異反応も抑制し得る。方法A)により製造される抗体は、標識に用いられるタンパク質として非特異反応性が高いものを用いた場合であっても、その非特異反応を抑制し得るため有用である。
A−1)において、タンパク質による抗体の標識反応は、当該分野において公知の方法により行うことができる。例えば、このような標識反応は、抗体およびタンパク質の双方と反応し得るリンカーを用いて行うことができる。
A−2)において、ポリアルキレングリコールによるタンパク質標識抗体の修飾反応は、ポリアルキレングリコールによる抗体の修飾反応に関する公知の方法に準じて行うことができる。この場合、ポリアルキレングリコールは、タンパク質標識抗体において残存する反応基の不活化基として作用させることもできる。
標識反応、次いで修飾反応を行うことを特徴とする方法A)により製造される抗体は、タンパク質標識抗体全体の非特異反応を抑制し得るなどの利点がある。すなわち、方法A)により製造される抗体は、抗体の非特異反応を抑制するのみならず、タンパク質の非特異反応も抑制し得る。方法A)により製造される抗体は、標識に用いられるタンパク質として非特異反応性が高いものを用いた場合であっても、その非特異反応を抑制し得るため有用である。
方法B)
B−1)において、ポリアルキレングリコールによる抗体の修飾反応は、当該分野において公知の方法により行うことができる。
B−2)において、ポリアルキレングリコールで修飾された抗体のタンパク質による標識は、抗体がポリアルキレングリコールにより十分に修飾されていない場合(即ち、抗体がポリアルキレングリコールにより立体的に十分にブロックされていない場合)には、タンパク質による抗体の標識反応に関する公知の方法に準じて行うことができる。あるいは、B−1)においてポリアルキレングリコールリンカーが用いられる場合には、B−2)では、ポリアルキレングリコールで修飾された抗体の表面に露出している未反応の第2反応基を利用して、ポリアルキレングリコールで修飾された抗体のタンパク質による標識を行うことができる。
方法B)は、ポリアルキレングリコールで修飾されており、かつ、タンパク質による抗体の標識比率を低下させたタンパク質標識抗体において、残存する反応基を保護することをさらに含んでいてもよい。反応基の保護は、当該分野において公知の方法により行うことができる。反応基の保護基としては、ポリアルキレングリコールを有する基を用いてもよい。
修飾反応、次いで標識反応を行うことを特徴とする方法B)により製造される抗体は、抗体の非特異反応のみを選択的に抑制できるという利点がある。すなわち、ポリアルキレングリコールによるタンパク質の修飾が所望されない場合(例、ポリアルキレングリコールがタンパク質の機能に不利に影響し得る場合)、方法B)は有用である。
方法B)はまた、さらなる利点を有する。B−1)においてポリアルキレングリコールリンカーが用いられる場合、ポリアルキレングリコールによる抗体の修飾反応のみならず、上記(a)も同時に達成することができる。換言すれば、(a)抗体に第1反応基(ポリアルキレングリコールリンカー)を導入して、第1反応基(ポリアルキレングリコールリンカー)導入抗体を得ることにより、ポリアルキレングリコールによる抗体の修飾反応も達成することができる。したがって、ポリアルキレングリコールリンカーを用いる方法B)は、B−1)および(a)の双方の工程を1工程として簡略的に行うことができるため有用である。
B−1)において、ポリアルキレングリコールによる抗体の修飾反応は、当該分野において公知の方法により行うことができる。
B−2)において、ポリアルキレングリコールで修飾された抗体のタンパク質による標識は、抗体がポリアルキレングリコールにより十分に修飾されていない場合(即ち、抗体がポリアルキレングリコールにより立体的に十分にブロックされていない場合)には、タンパク質による抗体の標識反応に関する公知の方法に準じて行うことができる。あるいは、B−1)においてポリアルキレングリコールリンカーが用いられる場合には、B−2)では、ポリアルキレングリコールで修飾された抗体の表面に露出している未反応の第2反応基を利用して、ポリアルキレングリコールで修飾された抗体のタンパク質による標識を行うことができる。
方法B)は、ポリアルキレングリコールで修飾されており、かつ、タンパク質による抗体の標識比率を低下させたタンパク質標識抗体において、残存する反応基を保護することをさらに含んでいてもよい。反応基の保護は、当該分野において公知の方法により行うことができる。反応基の保護基としては、ポリアルキレングリコールを有する基を用いてもよい。
修飾反応、次いで標識反応を行うことを特徴とする方法B)により製造される抗体は、抗体の非特異反応のみを選択的に抑制できるという利点がある。すなわち、ポリアルキレングリコールによるタンパク質の修飾が所望されない場合(例、ポリアルキレングリコールがタンパク質の機能に不利に影響し得る場合)、方法B)は有用である。
方法B)はまた、さらなる利点を有する。B−1)においてポリアルキレングリコールリンカーが用いられる場合、ポリアルキレングリコールによる抗体の修飾反応のみならず、上記(a)も同時に達成することができる。換言すれば、(a)抗体に第1反応基(ポリアルキレングリコールリンカー)を導入して、第1反応基(ポリアルキレングリコールリンカー)導入抗体を得ることにより、ポリアルキレングリコールによる抗体の修飾反応も達成することができる。したがって、ポリアルキレングリコールリンカーを用いる方法B)は、B−1)および(a)の双方の工程を1工程として簡略的に行うことができるため有用である。
本発明はまた、ポリアルキレングリコールで修飾されており、かつ、タンパク質による抗体の標識比率を低下させたタンパク質標識抗体を提供する。
本発明の抗体は、例えば、上述したような、本発明の方法(I)により製造することができる。本発明の抗体はまた、例えば、後述するような、抗体組成物の製造方法により製造された抗体組成物から、ポリアルキレングリコールで修飾されており、かつ、タンパク質による抗体の標識比率を低下させたタンパク質標識抗体を精製することにより得ることができる。抗体の精製法としては、例えば、抗体に親和性を有する物質(例、抗体の定常領域に対する抗体、プロテインA、プロテインG)を利用する方法、および当該分野において公知の他の方法が挙げられる。本発明により提供される、ポリアルキレングリコールで修飾されており、かつ、タンパク質による抗体の標識比率を低下させたタンパク質標識抗体について、「抗体」、「タンパク質」、「ポリアルキレングリコール」、「標識」、「修飾」等の用語、ならびにタンパク質による抗体の標識様式、ポリアルキレングリコールによる抗体またはタンパク質標識抗体の修飾様式(例えば、これらの定義、例示、および好ましい例示)は、上述したとおりである。したがって、本発明の抗体に関して、その製造方法に係る記載を援用することができる。
本発明の抗体において、抗体に対するタンパク質の結合数は、抗体およびタンパク質の種類および分子量等の因子によって変動し得るため特に限定されないが、例えば、1個または2個である。
本発明の抗体では、「ポリアルキレングリコールで修飾されており、かつ、タンパク質による抗体の標識比率を低下させたタンパク質標識抗体」のうち、「抗体」部分のみがポリアルキレングリコールで修飾されていてもよく、または「抗体」部分および「タンパク質」部分の双方がポリアルキレングリコールで修飾されていてもよい。このような場合、抗体に対するポリアルキレングリコールの結合数は、抗体の種類および分子量等の因子によって変動し得るため特に限定されないが、例えば1以上である。抗体に対するポリアルキレングリコールの結合数は、好ましくは3以上、より好ましくは5以上、さらにより好ましくは10以上、特に好ましくは20以上であり得る。抗体に対するポリアルキレングリコールの結合数はまた、60以下、50以下または40以下であり得る。
一実施形態では、本発明の抗体は、修飾に用いられるポリアルキレングリコールと同種のポリアルキレングリコールから構成されるリンカーを介して、抗体がタンパク質により標識されている抗体であってもよい。本実施形態では、本発明の抗体は、方法B)に関して上述したような利点を有する。
別の実施形態では、本発明の抗体は、修飾に用いられるポリアルキレングリコールと異種のリンカーを介して、抗体がタンパク質により標識されている抗体であってもよい。本実施形態では、本発明の抗体は、方法A)に関して上述したような利点を有する。
本発明の抗体は、支持体に固定されていてもよい。支持体としては、例えば、粒子(例、磁性粒子)、メンブレン(例、ニトロセルロース膜)、ガラス、プラスチック、金属、プレート(例、マルチウェルプレート)、デバイスが挙げられる。本発明の抗体はまた、濾紙等の媒体に含浸された形態で提供されてもよい。
本発明はまた、抗体組成物の製造方法を提供する。以下、必要に応じて、本発明の方法(II)と略称する。
本発明の方法(II)について、後述するような、「抗体」、「タンパク質」、「ポリアルキレングリコール」、「標識」、「修飾」等の用語、ならびにタンパク質による抗体の標識様式、ポリアルキレングリコールによる抗体またはタンパク質標識抗体の修飾様式(例えば、これらの定義、例示、および好ましい例示)などは、上述したとおりである。したがって、本発明の方法(II)に関して、上述した記載を援用することができる。
一実施形態では、本発明の方法(II)は、抗体を、抗体の量に対して不十分な量のタンパク質による標識反応およびポリアルキレングリコールによる修飾反応に付して、(i)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質標識抗体および(ii)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質非標識抗体を含む抗体組成物を得ることを含む。以下、必要に応じて、本発明の方法(II−1)と略称する。
(i)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質標識抗体には、ポリアルキレングリコールで修飾されており、かつ、タンパク質による抗体の標識比率を低下させたタンパク質標識抗体、およびポリアルキレングリコールで修飾されており、かつ、タンパク質による抗体の標識比率を低下させていないタンパク質標識抗体(すなわち、ポリアルキレングリコールで修飾されており、かつ、タンパク質により抗体が十分に標識されているタンパク質標識抗体)が含まれる。
標識反応において、表現「抗体の量に対して不十分な量のタンパク質」とは、本発明の方法(II−1)で用いられる抗体の総量よりもタンパク質の量が少ないことをいう。抗体に対するタンパク質の量比〔即ち、タンパク質の量(mol)/抗体の総量(mol)〕は、例えば0.05以上1.0未満の範囲内である。量比の下限値は、好ましくは0.10以上、より好ましくは0.15以上、さらにより好ましくは0.20以上である。量比の上限値は、好ましくは0.8未満、より好ましくは0.6未満、さらにより好ましくは0.5未満、特に好ましくは0.4未満である。タンパク質による抗体の標識の程度はまた、例えば、反応時間等の反応条件を適宜設定することによっても調節することができる。
本発明の方法(II−1)において、ポリアルキレングリコールの量は、抗体の量に対して過剰であってもよい。ポリアルキレングリコールの量が抗体の量に対して「過剰」であるとは、本発明の方法(II−1)全体をとおして用いられるポリアルキレングリコールの量が、本発明の方法(II−1)で得られる抗体を保護するために十分な量であることをいう。用語「過剰」に関連して、抗体に対するポリアルキレングリコールの量比〔即ち、ポリアルキレングリコールの量(mol)/抗体の総量(mol)〕は、抗体をポリアルキレングリコールで十分に保護するという観点から、例えば5以上、好ましくは10以上、より好ましくは20以上、さらにより好ましくは30以上、特に好ましくは50以上である。標識反応に付された抗体に対するポリアルキレングリコールのモル比はまた、特に限定されないが、過剰のポリアルキレングリコールの使用の回避によるコストの削減等の観点から、例えば1000以下、好ましくは500以下、より好ましくは200以下であってもよい。ポリアルキレングリコールによる抗体の修飾の程度はまた、例えば、反応時間等の反応条件を適宜設定することによって調節することができる。
本発明の方法(II−1)では、標識反応および修飾反応のいずれを先に行ってもよく、または標識反応および修飾反応を同時に行ってもよい。例えば、本発明の抗体組成物の製造方法は、後述する方法A’)またはB’)によって行うことができる。
方法A’)
A−1’)抗体を不十分な量のタンパク質で標識して、タンパク質標識抗体およびタンパク質非標識抗体を含む抗体混合物を得ること(標識反応);
A−2’)前記抗体混合物をポリアルキレングリコールで修飾して、(i)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質標識抗体および(ii)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質非標識抗体を含む抗体組成物を得ること(修飾反応)。
A−1’)抗体を不十分な量のタンパク質で標識して、タンパク質標識抗体およびタンパク質非標識抗体を含む抗体混合物を得ること(標識反応);
A−2’)前記抗体混合物をポリアルキレングリコールで修飾して、(i)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質標識抗体および(ii)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質非標識抗体を含む抗体組成物を得ること(修飾反応)。
方法B’)
B−1’)抗体を不十分な量のポリアルキレングリコールで修飾して、タンパク質との反応性を保持し得る、ポリアルキレングリコールで修飾された抗体を得ること(修飾反応);
B−2’)タンパク質との反応性を保持し得る、ポリアルキレングリコールで修飾された抗体を不十分な量のタンパク質で標識して、(i)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質標識抗体および(ii)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質非標識抗体を含む抗体組成物を得ること(標識反応)。
B−1’)抗体を不十分な量のポリアルキレングリコールで修飾して、タンパク質との反応性を保持し得る、ポリアルキレングリコールで修飾された抗体を得ること(修飾反応);
B−2’)タンパク質との反応性を保持し得る、ポリアルキレングリコールで修飾された抗体を不十分な量のタンパク質で標識して、(i)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質標識抗体および(ii)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質非標識抗体を含む抗体組成物を得ること(標識反応)。
本発明の方法(II−1)において、材料として用いられる抗体は、標識反応のための反応基が導入された抗体であってもよく、また、材料として用いられるタンパク質は、修飾反応のための反応基が導入されたタンパク質であってもよい。したがって、上記方法は、(a)抗体に第1反応基を導入して、第1反応基導入抗体を得ること、および/または(b)タンパク質に第2反応基を導入して、第2反応基導入タンパク質を得ることをさらに含んでいてもよい。
タンパク質による抗体の標識は、上記のとおり導入され得る第1反応基および第2反応基を利用して行われてもよいが、抗体およびタンパク質が元々有する反応基(例、チオール基、アミノ基、ヒドロキシル基)を利用して行われてもよく、あるいは、第1反応基および第2反応基、ならびに抗体およびタンパク質が元々有する反応基を含む全ての反応基を利用して行われてもよい。
抗体に対する第1反応基、およびタンパク質に対する第2反応基、ならびにそれらの導入方法の詳細は、上述したとおりである。例えば、第1反応基および第2反応基の導入は、上述したような反応基を有するリンカーを介して行われてもよい。リンカーの詳細は、上述したとおりである。
方法A’)
A−1’)において、不十分な量のタンパク質による抗体の標識反応は、当該分野において公知の方法により行うことができるが、抗体に対するタンパク質の量比は、上述したとおりである。例えば、このような標識反応は、抗体およびタンパク質の双方と反応し得るリンカーを用いて行うことができる。
A−2’)において、ポリアルキレングリコールによる抗体混合物の修飾反応は、ポリアルキレングリコールによる抗体の修飾反応に関する公知の方法に準じて行うことができる。この場合、ポリアルキレングリコールは、抗体混合物に含まれる抗体において残存する反応基の不活化基として作用させることもできる。
標識反応、次いで修飾反応を行うことを特徴とする方法A’)により製造される抗体組成物は、タンパク質標識抗体全体の非特異反応を抑制し得るなどの利点がある。すなわち、方法A’)により製造される抗体組成物は、抗体の非特異反応を抑制するのみならず、タンパク質の非特異反応も抑制し得る。方法A’)により製造される抗体組成物は、標識に用いられるタンパク質として非特異反応性が高いものを用いた場合であっても、その非特異反応を抑制し得るため有用である。
A−1’)において、不十分な量のタンパク質による抗体の標識反応は、当該分野において公知の方法により行うことができるが、抗体に対するタンパク質の量比は、上述したとおりである。例えば、このような標識反応は、抗体およびタンパク質の双方と反応し得るリンカーを用いて行うことができる。
A−2’)において、ポリアルキレングリコールによる抗体混合物の修飾反応は、ポリアルキレングリコールによる抗体の修飾反応に関する公知の方法に準じて行うことができる。この場合、ポリアルキレングリコールは、抗体混合物に含まれる抗体において残存する反応基の不活化基として作用させることもできる。
標識反応、次いで修飾反応を行うことを特徴とする方法A’)により製造される抗体組成物は、タンパク質標識抗体全体の非特異反応を抑制し得るなどの利点がある。すなわち、方法A’)により製造される抗体組成物は、抗体の非特異反応を抑制するのみならず、タンパク質の非特異反応も抑制し得る。方法A’)により製造される抗体組成物は、標識に用いられるタンパク質として非特異反応性が高いものを用いた場合であっても、その非特異反応を抑制し得るため有用である。
方法B’)
B−1’)において、不十分な量のポリアルキレングリコールによる抗体の修飾反応は、ポリアルキレングリコールによる抗体の修飾反応に関する公知の方法に準じて行うことができる。抗体の量に対して不十分な量のポリアルキレングリコールで抗体を修飾することで、ポリアルキレングリコールによる抗体の立体的なブロックを回避することができるので、タンパク質との反応性を保持し得る、ポリアルキレングリコールで修飾された抗体を得ることができる。
B−2’)において、タンパク質との反応性を保持し得る、ポリアルキレングリコールで修飾された抗体の、不十分な量のタンパク質による標識は、タンパク質による抗体の標識反応に関する公知の方法に準じて行うことができる。あるいは、B−1’)においてポリアルキレングリコールリンカーが用いられる場合には、B−2’)では、ポリアルキレングリコールで修飾された抗体の表面に露出している未反応の第2反応基を利用して、ポリアルキレングリコールで修飾された抗体のタンパク質による標識を行うことができる。
方法B’)は、抗体組成物に含まれる抗体において、残存する反応基を保護することをさらに含んでいてもよい。反応基の保護は、当該分野において公知の方法により行うことができる。反応基の保護基としては、ポリアルキレングリコールを有する基を用いてもよい。
修飾反応、次いで標識反応を行うことを特徴とする方法B’)により製造される抗体組成物は、抗体の非特異反応のみを選択的に抑制できるという利点がある。すなわち、ポリアルキレングリコールによるタンパク質の修飾が所望されない場合(例、ポリアルキレングリコールがタンパク質の機能に不利に影響し得る場合)、方法B’)は有用である。
方法B’)はまた、さらなる利点を有する。B−1’)においてポリアルキレングリコールリンカーが用いられる場合、ポリアルキレングリコールによる抗体の修飾反応のみならず、上記(a)も同時に達成することができる。換言すれば、(a)抗体に第1反応基(ポリアルキレングリコールリンカー)を導入して、第1反応基(ポリアルキレングリコールリンカー)導入抗体を得ることにより、ポリアルキレングリコールによる抗体の修飾反応も達成することができる。したがって、ポリアルキレングリコールリンカーを用いる方法B’)は、B−1’)および(a)の双方の工程を1工程として簡略的に行うことができるため有用である。
B−1’)において、不十分な量のポリアルキレングリコールによる抗体の修飾反応は、ポリアルキレングリコールによる抗体の修飾反応に関する公知の方法に準じて行うことができる。抗体の量に対して不十分な量のポリアルキレングリコールで抗体を修飾することで、ポリアルキレングリコールによる抗体の立体的なブロックを回避することができるので、タンパク質との反応性を保持し得る、ポリアルキレングリコールで修飾された抗体を得ることができる。
B−2’)において、タンパク質との反応性を保持し得る、ポリアルキレングリコールで修飾された抗体の、不十分な量のタンパク質による標識は、タンパク質による抗体の標識反応に関する公知の方法に準じて行うことができる。あるいは、B−1’)においてポリアルキレングリコールリンカーが用いられる場合には、B−2’)では、ポリアルキレングリコールで修飾された抗体の表面に露出している未反応の第2反応基を利用して、ポリアルキレングリコールで修飾された抗体のタンパク質による標識を行うことができる。
方法B’)は、抗体組成物に含まれる抗体において、残存する反応基を保護することをさらに含んでいてもよい。反応基の保護は、当該分野において公知の方法により行うことができる。反応基の保護基としては、ポリアルキレングリコールを有する基を用いてもよい。
修飾反応、次いで標識反応を行うことを特徴とする方法B’)により製造される抗体組成物は、抗体の非特異反応のみを選択的に抑制できるという利点がある。すなわち、ポリアルキレングリコールによるタンパク質の修飾が所望されない場合(例、ポリアルキレングリコールがタンパク質の機能に不利に影響し得る場合)、方法B’)は有用である。
方法B’)はまた、さらなる利点を有する。B−1’)においてポリアルキレングリコールリンカーが用いられる場合、ポリアルキレングリコールによる抗体の修飾反応のみならず、上記(a)も同時に達成することができる。換言すれば、(a)抗体に第1反応基(ポリアルキレングリコールリンカー)を導入して、第1反応基(ポリアルキレングリコールリンカー)導入抗体を得ることにより、ポリアルキレングリコールによる抗体の修飾反応も達成することができる。したがって、ポリアルキレングリコールリンカーを用いる方法B’)は、B−1’)および(a)の双方の工程を1工程として簡略的に行うことができるため有用である。
別の実施形態では、本発明の方法(II)は、上記(i)および(ii)の抗体を混合して、これらの抗体を含む抗体組成物を得ることを含む。以下、必要に応じて、本発明の方法(II−2)と略称する。具体的には、本発明の方法(II−2)は、方法C’)によって行うことができる。
方法C’)
C−1’)(i)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質標識抗体を提供すること;
C−2’)(ii)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質非標識抗体を提供すること;および
C−3’)上記(i)および(ii)の抗体を混合して、上記(i)および(ii)の抗体を含む抗体組成物を得ること。
C−1’)(i)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質標識抗体を提供すること;
C−2’)(ii)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質非標識抗体を提供すること;および
C−3’)上記(i)および(ii)の抗体を混合して、上記(i)および(ii)の抗体を含む抗体組成物を得ること。
C−1’)において、(i)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質標識抗体の提供は、例えば、本発明の方法(I)により、(i)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質標識抗体を作製することにより行うことができる。
C−2’)において、(ii)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質非標識抗体の提供は、例えば、ポリアルキレングリコールによる抗体の修飾反応に関する公知の方法により行うことができ、また、ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質非標識抗体として、公知のポリアルキレングリコール修飾抗体を入手してもよい。
C−3’)において、上記(i)および(ii)の抗体の混合は、適切な比率で行われる。具体的には、(i)の抗体の量に対する(i)および(ii)の抗体の総量の比〔即ち、(i)の抗体の量(mol)/(i)および(ii)の抗体の総量(mol)〕が、例えば0.05以上1.0未満の範囲内となるように、混合が行われる。量比の下限値は、好ましくは0.10以上、より好ましくは0.15以上、さらにより好ましくは0.20以上である。量比の上限値は、好ましくは0.8未満、より好ましくは0.6未満、さらにより好ましくは0.5未満〔即ち、(i)の抗体の量が(ii)の抗体の量よりも少ない〕、特に好ましくは0.4未満である。
C−2’)において、(ii)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質非標識抗体の提供は、例えば、ポリアルキレングリコールによる抗体の修飾反応に関する公知の方法により行うことができ、また、ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質非標識抗体として、公知のポリアルキレングリコール修飾抗体を入手してもよい。
C−3’)において、上記(i)および(ii)の抗体の混合は、適切な比率で行われる。具体的には、(i)の抗体の量に対する(i)および(ii)の抗体の総量の比〔即ち、(i)の抗体の量(mol)/(i)および(ii)の抗体の総量(mol)〕が、例えば0.05以上1.0未満の範囲内となるように、混合が行われる。量比の下限値は、好ましくは0.10以上、より好ましくは0.15以上、さらにより好ましくは0.20以上である。量比の上限値は、好ましくは0.8未満、より好ましくは0.6未満、さらにより好ましくは0.5未満〔即ち、(i)の抗体の量が(ii)の抗体の量よりも少ない〕、特に好ましくは0.4未満である。
本発明はまた、以下(i)および(ii)の抗体を含む、抗体組成物を提供する:
(i)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質標識抗体;および
(ii)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質非標識抗体。
(i)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質標識抗体;および
(ii)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質非標識抗体。
本発明の抗体組成物は、例えば、本発明の方法(II)により製造することができる。本発明により提供される抗体組成物について、「抗体」、「タンパク質」、「ポリアルキレングリコール」、「標識」、「修飾」等の用語、ならびにタンパク質による抗体の標識様式、ポリアルキレングリコールによる抗体またはタンパク質標識抗体の修飾様式(例えば、これらの定義、例示、および好ましい例示)、ならびに(i)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質標識抗体、および(ii)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質非標識抗体は、上述したとおりである。したがって、抗体組成物に関して、上述した記載を援用することができる。
本発明の組成物において、(i)の抗体の量に対する(i)および(ii)の抗体の総量の比〔即ち、(i)の抗体の量(mol)/(i)および(ii)の抗体の総量(mol)〕は、例えば0.05以上1.0未満の範囲内である。量比の下限値は、好ましくは0.10以上、より好ましくは0.15以上、さらにより好ましくは0.20以上である。量比の上限値は、好ましくは0.8未満、より好ましくは0.6未満、さらにより好ましくは0.5未満〔即ち、(i)の抗体の量が(ii)の抗体の量よりも少ない〕、特に好ましくは0.4未満である。
本発明の抗体組成物は、組成物中の抗体が支持体に固定されていてもよい。本発明の抗体組成物はまた、媒体に含浸された形態で提供されてもよい。支持体および媒体は、上述したとおりである。
本発明はまた、キットを提供する。本発明のキットは、本発明の抗体、または本発明の抗体組成物を含む。本発明のキットは、本発明の抗体を含む場合、ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質非標識抗体を、本発明の抗体とは隔離された形態で(例えば、本発明の抗体を収容している容器とは異なる容器中に)含んでいてもよい。このような形態のキットは、本発明の組成物の用時調製に利用できる。本発明のキットはまた、後述する標的物質の測定方法に有用な物質を含んでいてもよい。このような物質としては、例えば、1次抗体、2次抗体、酵素の基質(例、本発明の抗体を標識しているタンパク質が酵素である場合)、コントロール用の標的物質が挙げられる。タンパク質のアッセイに本発明のキットは、上述したような支持体および媒体を個別に含んでいてもよい。
本発明はまた、本発明の抗体および組成物を用いる標的物質の測定方法を提供する。本発明の測定方法は、サンプルにおいて標的物質を測定することを含む。本発明の測定方法は、臨床検査等の検査に有用である。
サンプルは、標的物質を含有する、または含有すると疑われるサンプルである。サンプルの由来は特に限定されず、生物由来の生物学的サンプルであってもよく、または環境サンプルなどであってもよい。生物学的サンプルが由来する生物としては、例えば、哺乳動物(例、ヒト、サル、マウス、ラット、ウサギ、ウシ、ブタ、ウマ、ヤギ、ヒツジ)等の動物、昆虫、微生物、植物が挙げられる。生物学的サンプルはまた、血清、血液、血漿、唾液、組織または細胞抽出液であってもよい。環境サンプルとしては、例えば、土壌、海水または淡水由来のサンプルが挙げられる。サンプルは、本発明の測定方法に付される前に、他の処理に付されてもよい。このような処理としては、例えば、遠心分離、抽出、ろ過、沈殿、分画が挙げられる。
本発明の測定方法は、定性的または定量的に行うことができる。本発明の測定方法はまた、免疫学的手法により行うことができる。このような免疫学的手法としては、例えば、酵素免疫測定法(EIA)(例、直接競合ELISA、間接競合ELISA、サンドイッチELISA)、放射免疫測定法(RIA)、蛍光免疫測定法(FIA)、磁性粒子法、免疫クロマト法、ルミネッセンス免疫測定法、スピン免疫測定法、ウエスタンブロット法、ラテックス凝集法が挙げられる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
実施例1:本発明のタンパク質標識抗体の調製
本発明のタンパク質標識抗体を調製した。タンパク質としては、酵素アルカリフォスファターゼ(ALP)を用いた。ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール(PEG)を用いた。抗体としては、25OH VD3と抗25OH VD3抗体(1次抗体)との複合体を認識するニワトリ由来IgM(イムノグロブリンM、2次抗体)を用いた(WO2013/042426を参照)。25OH VD3(25−ヒドロキシビタミンD3の構造は、以下のとおりである。
本発明のタンパク質標識抗体を調製した。タンパク質としては、酵素アルカリフォスファターゼ(ALP)を用いた。ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール(PEG)を用いた。抗体としては、25OH VD3と抗25OH VD3抗体(1次抗体)との複合体を認識するニワトリ由来IgM(イムノグロブリンM、2次抗体)を用いた(WO2013/042426を参照)。25OH VD3(25−ヒドロキシビタミンD3の構造は、以下のとおりである。
具体的には、本発明のタンパク質標識抗体であるPEG修飾ALP標識IgMの調製は、以下のとおり行った。
1)チオール化抗体の調製
・1mg/mLイミノチオラン溶液を調製した。イミノチオランは、IgM中に存在するリジン残基のアミノ基をチオール基に変換するために用いた。
・IgM溶液に、モル比でIgMに対して100倍量のイミノチオランを加えた。
・得られた溶液を37℃で1時間インキュベートすることにより、IgMをイミノチオランと反応させ、チオール化IgM〔IgM−(導入チオール基)x〕を生成した。今回使用したIgMにおいてH鎖およびL鎖のリジン残基の個数はそれぞれ20個および8個である。つまり、IgM単量体中のリジン残基の個数は56個であり、5量体から構成されるIgM中のリジン残基の個数は280個である。IgM:イミノチオラン=1:100(モル比)での反応、立体障害、反応時間、反応効率等を考慮すると、IgMに導入されるチオール基の数x(IgMが元々有するチオール基の数を除く)は、約20〜40個であると推定された。
・反応後の溶液をPD−10カラムに供して未反応のイミノチオランを除き、チオール化IgM〔IgM−(導入チオール基)x〕を取得した。
・1mg/mLイミノチオラン溶液を調製した。イミノチオランは、IgM中に存在するリジン残基のアミノ基をチオール基に変換するために用いた。
・IgM溶液に、モル比でIgMに対して100倍量のイミノチオランを加えた。
・得られた溶液を37℃で1時間インキュベートすることにより、IgMをイミノチオランと反応させ、チオール化IgM〔IgM−(導入チオール基)x〕を生成した。今回使用したIgMにおいてH鎖およびL鎖のリジン残基の個数はそれぞれ20個および8個である。つまり、IgM単量体中のリジン残基の個数は56個であり、5量体から構成されるIgM中のリジン残基の個数は280個である。IgM:イミノチオラン=1:100(モル比)での反応、立体障害、反応時間、反応効率等を考慮すると、IgMに導入されるチオール基の数x(IgMが元々有するチオール基の数を除く)は、約20〜40個であると推定された。
・反応後の溶液をPD−10カラムに供して未反応のイミノチオランを除き、チオール化IgM〔IgM−(導入チオール基)x〕を取得した。
2)マレイミド化タンパク質の調製
・1mM HCl溶液を使用して100mg/mlのNHS−PEG3400−マレイミド溶液を調製した。NHS−PEG3400−マレイミドの構造式は、以下のとおりである。
・1mM HCl溶液を使用して100mg/mlのNHS−PEG3400−マレイミド溶液を調製した。NHS−PEG3400−マレイミドの構造式は、以下のとおりである。
上記構造式において左側末端の官能基はNHS(N−ヒドロキシスクシンイミド)であり、タンパク質のアミノ基(N末端およびLys側鎖)と反応する。上記構造式において右側末端の官能基はマレイミド基であり、タンパク質のチオール基と反応する。
・ALP溶液に、モル比でALPに対して30倍量のNHS−PEG3400−マレイミドを加えた。
・得られた溶液を室温で1時間インキュベートすることにより、ALPをNHS−PEG3400−マレイミドと反応させ、マレイミド化ALP〔ALP−(PEG3400−マレイミド)y〕を生成した(NHSは脱離)。ALPは、分子量7万程度の単量体タンパク質が二量体を形成することにより、分子量14万程度のタンパク質としてその作用を発揮する。ALP(二量体)には、42〜44個のアミノ基が存在する。ALP:NHS−PEG3400−マレイミド=1:30(モル比)での反応、立体障害、反応時間、反応効率等を考慮すると、ALPに付加されるPEG3400−マレイミドの数yは、約10〜15個であると推定された。
・反応後の溶液をSuperdex75カラムに供して未反応のNHS−PEG3400−マレイミドを除去し、マレイミド化ALP〔ALP−(PEG3400−マレイミド)y〕を取得した。
・得られた溶液を室温で1時間インキュベートすることにより、ALPをNHS−PEG3400−マレイミドと反応させ、マレイミド化ALP〔ALP−(PEG3400−マレイミド)y〕を生成した(NHSは脱離)。ALPは、分子量7万程度の単量体タンパク質が二量体を形成することにより、分子量14万程度のタンパク質としてその作用を発揮する。ALP(二量体)には、42〜44個のアミノ基が存在する。ALP:NHS−PEG3400−マレイミド=1:30(モル比)での反応、立体障害、反応時間、反応効率等を考慮すると、ALPに付加されるPEG3400−マレイミドの数yは、約10〜15個であると推定された。
・反応後の溶液をSuperdex75カラムに供して未反応のNHS−PEG3400−マレイミドを除去し、マレイミド化ALP〔ALP−(PEG3400−マレイミド)y〕を取得した。
3)タンパク質標識抗体の調製
・チオール化IgM溶液に、モル比でチオール化IgMに対して2または0.25倍量のマレイミド化ALPを加えた(チオール化IgM:マレイミド化ALP=1:2または1:0.25。実施例2、3を参照)。
・得られた溶液を室温で1時間インキュベートして、チオール化IgM〔IgM−(導入チオール基)x〕をマレイミド化ALP〔ALP−(PEG3400−マレイミド)y〕と反応させて、ALP標識IgMを生成した。
チオール化IgM:マレイミド化ALP=1:0.25(モル比)での反応では、ALP標識IgMの主成分として、(導入チオール基)x−1−IgM−マレイミド−PEG3400−ALP−(PEG3400−マレイミド)y−1が生成すると考えられる。また、チオール化IgM:マレイミド化ALP=1:0.25(モル比)での反応後の溶液中には、未反応のチオール化IgM〔IgM−(導入チオール基)x〕も残存していると考えられる。ALP標識IgMの主成分として、1分子のIgMに対して1分子のALPが結合したALP標識IgMが得られると考えられる理由は、以下のとおりである。すなわち、1分子のIgMに2分子(以上)のALPが結合する可能性も考えられるものの、IgMに対してALPは少量であり、均一な溶液中での反応であるため、1分子のIgMに2分子(以上)のALPが結合したALP標識IgMの生成量はごく僅かであると推定される。また、IgMの分子量が90万であり、ALPの分子量が14万+α(PEGを含むリンカーの分子量)であること、ならびにこれらの分子の立体障害を考慮すると、1分子のALPに2分子(以上)のIgMが結合したALP標識IgMが得られることも稀であると推定される。
・チオール化IgM溶液に、モル比でチオール化IgMに対して2または0.25倍量のマレイミド化ALPを加えた(チオール化IgM:マレイミド化ALP=1:2または1:0.25。実施例2、3を参照)。
・得られた溶液を室温で1時間インキュベートして、チオール化IgM〔IgM−(導入チオール基)x〕をマレイミド化ALP〔ALP−(PEG3400−マレイミド)y〕と反応させて、ALP標識IgMを生成した。
チオール化IgM:マレイミド化ALP=1:0.25(モル比)での反応では、ALP標識IgMの主成分として、(導入チオール基)x−1−IgM−マレイミド−PEG3400−ALP−(PEG3400−マレイミド)y−1が生成すると考えられる。また、チオール化IgM:マレイミド化ALP=1:0.25(モル比)での反応後の溶液中には、未反応のチオール化IgM〔IgM−(導入チオール基)x〕も残存していると考えられる。ALP標識IgMの主成分として、1分子のIgMに対して1分子のALPが結合したALP標識IgMが得られると考えられる理由は、以下のとおりである。すなわち、1分子のIgMに2分子(以上)のALPが結合する可能性も考えられるものの、IgMに対してALPは少量であり、均一な溶液中での反応であるため、1分子のIgMに2分子(以上)のALPが結合したALP標識IgMの生成量はごく僅かであると推定される。また、IgMの分子量が90万であり、ALPの分子量が14万+α(PEGを含むリンカーの分子量)であること、ならびにこれらの分子の立体障害を考慮すると、1分子のALPに2分子(以上)のIgMが結合したALP標識IgMが得られることも稀であると推定される。
4)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質標識抗体の調製
上記3)で得られたタンパク質(ALP)標識抗体(IgM)中のALPおよびIgMにはそれぞれ、未反応のマレイミド基およびSH基が残存している。未反応のマレイミド基は、弱アルカリ性で放置しておけば加水分解するので特に問題はないものの、IgMに残った未反応のSH基はS−S結合により架橋して大きな複合体を作り、沈殿してしまう可能性が考えられた。そこで、タンパク質標識抗体をポリアルキレングリコール(PEG3400)で修飾しつつ、これらの反応基を不活化するため、以下の操作を行った。
・0.1M Tris緩衝液(pH7.0)を使用して10mg/mlのNHS−PEG3400−マレイミド溶液を調製した。
・室温で30分放置し、TrisとNHS−PEG3400−マレイミドとを反応させ、活性エステルが除去されたTris−PEG3400−マレイミドを調製した。
・ALP標識IgM溶液に、上記のとおり調製したTris−PEG3400−マレイミドを過剰に加えて、ALP標識IgMをPEG3400で修飾しつつ、IgMに残った余分な未反応のSH基をブロックした。
・得られた溶液に、終濃度でそれぞれ0.1mMおよび1mMとなるように塩化亜鉛および酢酸マグネシウムを加えた。
・得られた溶液を4℃で一晩放置した。
・溶液を濃縮してSuperose6カラムに供して、PEG修飾ALP標識IgMを精製した。
上記3)で得られたタンパク質(ALP)標識抗体(IgM)中のALPおよびIgMにはそれぞれ、未反応のマレイミド基およびSH基が残存している。未反応のマレイミド基は、弱アルカリ性で放置しておけば加水分解するので特に問題はないものの、IgMに残った未反応のSH基はS−S結合により架橋して大きな複合体を作り、沈殿してしまう可能性が考えられた。そこで、タンパク質標識抗体をポリアルキレングリコール(PEG3400)で修飾しつつ、これらの反応基を不活化するため、以下の操作を行った。
・0.1M Tris緩衝液(pH7.0)を使用して10mg/mlのNHS−PEG3400−マレイミド溶液を調製した。
・室温で30分放置し、TrisとNHS−PEG3400−マレイミドとを反応させ、活性エステルが除去されたTris−PEG3400−マレイミドを調製した。
・ALP標識IgM溶液に、上記のとおり調製したTris−PEG3400−マレイミドを過剰に加えて、ALP標識IgMをPEG3400で修飾しつつ、IgMに残った余分な未反応のSH基をブロックした。
・得られた溶液に、終濃度でそれぞれ0.1mMおよび1mMとなるように塩化亜鉛および酢酸マグネシウムを加えた。
・得られた溶液を4℃で一晩放置した。
・溶液を濃縮してSuperose6カラムに供して、PEG修飾ALP標識IgMを精製した。
実施例2:ポリアルキレングリコール修飾によるブランク低減とS/N比の向上
先ず、抗25OH VD3抗体結合磁性粒子を調製し、次いで、実施例1で作製したPEG修飾ALP標識IgMまたはALP標識IgMを用い、全自動化学発光免疫測定システムであるルミパルス(富士レビオ社製)により25OH VD3を測定した。
先ず、抗25OH VD3抗体結合磁性粒子を調製し、次いで、実施例1で作製したPEG修飾ALP標識IgMまたはALP標識IgMを用い、全自動化学発光免疫測定システムであるルミパルス(富士レビオ社製)により25OH VD3を測定した。
具体的には、25OH VD3の測定方法は、以下のとおりであった。
1)カルボキシル化磁性粒子に抗25OH VD3抗体(1次抗体)を感作させ、抗25OH VD3抗体結合磁性粒子を調製した。
2)希釈液1を使用して抗25OH VD3抗体結合粒子を150μg/mLに希釈し、粒子液を調製した。
3)希釈液2を使用して、実施例1の4)で得られたPEG修飾ALP標識IgM(2次抗体)、または実施例1の3)で得られたALP標識IgM(2次抗体)を各濃度に希釈し、標識抗体液を調製した。PEG修飾ALP標識IgMおよびALP標識IgMとしては、IgM:ALP=1:2のものを用いた〔実施例1−3)を参照〕。
4)希釈液2を使用して、0ng/mL、6ng/mL、および60ng/mLの25OH VD3溶液を調製した。0ng/mLの25OH VD3溶液は、ブランク値の測定のために用いた。
5)ルミパルス用カートリッジに粒子液250μLおよび標識抗体液350μLを分注した。
6)ルミパルスを使用して、25OH VD3測定を行った。
1)カルボキシル化磁性粒子に抗25OH VD3抗体(1次抗体)を感作させ、抗25OH VD3抗体結合磁性粒子を調製した。
2)希釈液1を使用して抗25OH VD3抗体結合粒子を150μg/mLに希釈し、粒子液を調製した。
3)希釈液2を使用して、実施例1の4)で得られたPEG修飾ALP標識IgM(2次抗体)、または実施例1の3)で得られたALP標識IgM(2次抗体)を各濃度に希釈し、標識抗体液を調製した。PEG修飾ALP標識IgMおよびALP標識IgMとしては、IgM:ALP=1:2のものを用いた〔実施例1−3)を参照〕。
4)希釈液2を使用して、0ng/mL、6ng/mL、および60ng/mLの25OH VD3溶液を調製した。0ng/mLの25OH VD3溶液は、ブランク値の測定のために用いた。
5)ルミパルス用カートリッジに粒子液250μLおよび標識抗体液350μLを分注した。
6)ルミパルスを使用して、25OH VD3測定を行った。
希釈液1および2の組成は、以下のとおりであった。
希釈液1:50mM Tris(pH7.2)、150mM NaCl、0.1%(w/v) NaN3、0.1%(w/v) BSA、1mM EDTA、1.2%(w/v) ゼラチン、および200μg/mLデキストラン硫酸ナトリウム
希釈液2:50mM MES(pH6.8)、150mM NaCl、0.1%(w/v) NaN3、0.3mM ZnCl2、10mM MgCl2、0.1%(w/v) BSA、および10μg/mL 不活化ALP
希釈液1:50mM Tris(pH7.2)、150mM NaCl、0.1%(w/v) NaN3、0.1%(w/v) BSA、1mM EDTA、1.2%(w/v) ゼラチン、および200μg/mLデキストラン硫酸ナトリウム
希釈液2:50mM MES(pH6.8)、150mM NaCl、0.1%(w/v) NaN3、0.3mM ZnCl2、10mM MgCl2、0.1%(w/v) BSA、および10μg/mL 不活化ALP
上記6)における25OH VD3測定の手順は、具体的には、以下のとおりであった。
・粒子液250μLに25OH VD3溶液50μLを加えた。
・得られた溶液を撹拌した後、37℃で8分間インキュベートして、25OH VD3を抗25OH VD3抗体(1次抗体)と反応させた。
・集磁して上清を除き、洗浄液750μLを加えて粒子を洗浄した。
・洗浄操作を合計3回繰り返した。
・得られた溶液に、PEG修飾ALP標識IgM溶液またはALP標識IgM溶液250μLを加えた。
・得られた溶液を撹拌した後、37℃で8分間インキュベートして、IgM(2次抗体)を25OH VD3およびそれに対する抗体に対する複合体と反応させた。
・集磁して上清を除き、洗浄液750μLを加えて粒子を洗浄した。
・洗浄操作を合計6回繰り返した。
・得られた溶液に、発光基質(AMPPD)溶液200μLを加えた。
・得られた溶液を撹拌した後、37℃で4分間反応させた。
・463nmの発光量を測定した。
・粒子液250μLに25OH VD3溶液50μLを加えた。
・得られた溶液を撹拌した後、37℃で8分間インキュベートして、25OH VD3を抗25OH VD3抗体(1次抗体)と反応させた。
・集磁して上清を除き、洗浄液750μLを加えて粒子を洗浄した。
・洗浄操作を合計3回繰り返した。
・得られた溶液に、PEG修飾ALP標識IgM溶液またはALP標識IgM溶液250μLを加えた。
・得られた溶液を撹拌した後、37℃で8分間インキュベートして、IgM(2次抗体)を25OH VD3およびそれに対する抗体に対する複合体と反応させた。
・集磁して上清を除き、洗浄液750μLを加えて粒子を洗浄した。
・洗浄操作を合計6回繰り返した。
・得られた溶液に、発光基質(AMPPD)溶液200μLを加えた。
・得られた溶液を撹拌した後、37℃で4分間反応させた。
・463nmの発光量を測定した。
その結果、PEG修飾ALP標識IgMを用いて測定されたブランク値は、ALP標識IgMを用いて測定されたものに比し、著しく低下した(図2)。このことは、タンパク質標識抗体をポリアルキレングリコールで修飾することにより非特異反応が抑制されることを示す。また、PEG修飾ALP標識IgMを用いて測定されたS/N比は、ALP標識IgMを用いて測定されたものに比し、向上した(図3)。このことは、タンパク質標識抗体をポリアルキレングリコールで修飾することにより測定感度が向上することを示す。したがって、ポリアルキレングリコールで修飾されており、かつ、タンパク質による抗体の標識比率を低下させたタンパク質標識抗体は、抗体の非特異反応の抑制により測定感度を向上できることが実証された。
実施例3:抗体に対するタンパク質の導入比率の検討
抗体に対するタンパク質(およびポリアルキレングリコール)の導入比率がブランク値およびS/N比に与える影響を検討した。検討では、IgM:ALP=1:2または1:0.25となるように調製されたPEG修飾ALP標識IgMを使用した〔実施例1−3)を参照〕。25OH VD3の測定方法は、実施例2−1)〜6)と同様にして行った。
抗体に対するタンパク質(およびポリアルキレングリコール)の導入比率がブランク値およびS/N比に与える影響を検討した。検討では、IgM:ALP=1:2または1:0.25となるように調製されたPEG修飾ALP標識IgMを使用した〔実施例1−3)を参照〕。25OH VD3の測定方法は、実施例2−1)〜6)と同様にして行った。
その結果、PEG修飾ALP標識IgM(IgM:ALP=1:0.25)を用いて測定されたブランク値は、PEG修飾ALP標識IgM(IgM:ALP=1:2)を用いて測定されたものに比し、著しく低下した(図4)。このことは、タンパク質による抗体の標識の程度を低下させることにより、抗体の非特異反応が抑制されることを示す。また、PEG修飾ALP標識IgM(IgM:ALP=1:0.25)を用いて測定されたS/N比は、PEG修飾ALP標識IgM(IgM:ALP=1:2)を用いて測定されたものに比し、向上した(図5)。このことは、タンパク質による抗体の標識の程度を低下させることにより、測定感度が向上することを示す。したがって、ポリアルキレングリコールで修飾され、かつタンパク質標識抗体におけるタンパク質による抗体の標識の程度を低下させることにより、抗体の非特異反応を抑制して測定感度を向上できることが実証された。
実施例4:抗体とタンパク質との間の結合を介するリンカーの長さの検討
IgMとALPとの間の結合を介するリンカーの長さの、非特異反応の抑制に対する影響を検討した。リンカーとしては、PEG3400リンカー(PEG3400−マレイミド)およびGMBS〔N−(4−マレイミドブチリルオキシ)スクシンイミド〕リンカーを用いて、測定カウントおよびS/N比を比較した。なお、実験条件は、特に明示がない限り、実施例1と実質的に同一であった(以降の実施例も同様)が、異なる測定機器等によりカウントを測定していることもあり、測定されたカウントの絶対値が全体的に高くなっている。GMBSリンカーの構造は、以下のとおりである。
IgMとALPとの間の結合を介するリンカーの長さの、非特異反応の抑制に対する影響を検討した。リンカーとしては、PEG3400リンカー(PEG3400−マレイミド)およびGMBS〔N−(4−マレイミドブチリルオキシ)スクシンイミド〕リンカーを用いて、測定カウントおよびS/N比を比較した。なお、実験条件は、特に明示がない限り、実施例1と実質的に同一であった(以降の実施例も同様)が、異なる測定機器等によりカウントを測定していることもあり、測定されたカウントの絶対値が全体的に高くなっている。GMBSリンカーの構造は、以下のとおりである。
1)標識体の調製
(1)PEG修飾−ALP−PEG−標識IgM(1/4)の調製(IgMとALPとの間のリンカー:PEG3400−マレイミド)
・チオール化IgM〔実施例1−1)を参照〕に、PEG3400−マレイミド化ALP〔実施例1−2)を参照〕をモル比1:0.25でカップリングした〔実施例1−3)を参照〕。
・残チオール基をPEG3400−マレイミドで修飾した。
・以上より、PEG修飾IgM4つのうち1つの割合でPEG−ALP標識されている抗体組成物〔標識体(A)〕を得た。
(1)PEG修飾−ALP−PEG−標識IgM(1/4)の調製(IgMとALPとの間のリンカー:PEG3400−マレイミド)
・チオール化IgM〔実施例1−1)を参照〕に、PEG3400−マレイミド化ALP〔実施例1−2)を参照〕をモル比1:0.25でカップリングした〔実施例1−3)を参照〕。
・残チオール基をPEG3400−マレイミドで修飾した。
・以上より、PEG修飾IgM4つのうち1つの割合でPEG−ALP標識されている抗体組成物〔標識体(A)〕を得た。
(2)PEG修飾−ALP−GMBS−標識IgM(1/4)の調製(IgMとALPとの間のリンカー:GMBS)
・チオール化IgMに、GMBS化ALPを1:0.25でカップリングした。GMBS化ALPは、常法により作製したものを用いた。
・残チオール基をPEG3400−マレイミドで修飾した。
・以上より、PEG修飾IgM4つのうち1つの割合でGMBS−ALP標識されている抗体組成物〔標識体(B)〕を得た。
・チオール化IgMに、GMBS化ALPを1:0.25でカップリングした。GMBS化ALPは、常法により作製したものを用いた。
・残チオール基をPEG3400−マレイミドで修飾した。
・以上より、PEG修飾IgM4つのうち1つの割合でGMBS−ALP標識されている抗体組成物〔標識体(B)〕を得た。
2)測定および比較
・標識体(A)および標識体(B)をそれぞれ0.2μg/mLと0.5μg/mLに希釈して、カウントを測定および比較した。
・標識体(A)および標識体(B)をそれぞれ0.2μg/mLと0.5μg/mLに希釈して、カウントを測定および比較した。
結果を表1、および図6〜10に示す。ALPとIgMを介するリンカーの長さは、PEG3400でもGMBSでも感度に大きな差異は認められなかった。このことは、タンパク質による抗体の標識に用いられるリンカーの長さは、感度に殆ど影響しないことを示す。
ところで、リンカーとしてGMBSを用いた場合、ALPはPEG3400で修飾されない。それにもかかわらず、非特異反応が抑制された。したがって、本発明のタンパク質標識抗体では、ポリアルキレングリコールによるタンパク質部分の修飾よりも、ポリアルキレングリコールによる抗体部分の修飾が非特異反応の抑制に重要であると考えられた。
ところで、リンカーとしてGMBSを用いた場合、ALPはPEG3400で修飾されない。それにもかかわらず、非特異反応が抑制された。したがって、本発明のタンパク質標識抗体では、ポリアルキレングリコールによるタンパク質部分の修飾よりも、ポリアルキレングリコールによる抗体部分の修飾が非特異反応の抑制に重要であると考えられた。
実施例5:タンパク質による抗体の標識比率の検討
非特異反応の抑制に対する、タンパク質による抗体の標識比率の影響を検討した。
非特異反応の抑制に対する、タンパク質による抗体の標識比率の影響を検討した。
1)抗体コンジュゲートおよび抗体組成物の調製
1−1)GMBS−ALP標識IgM(カップリング比率 IgM:ALP=1:1)の調製
・チオール化IgMに、GMBS化ALPを、モル比1:1(IgM:ALP)でカップリングした。
・残チオール基をPEG3400−マレイミドで修飾した。
・以上より、GMBS−ALP標識PEG修飾IgMコンジュゲート(標識体(1)、カップリング比率 IgM:ALP=1:1)を得た。
1−1)GMBS−ALP標識IgM(カップリング比率 IgM:ALP=1:1)の調製
・チオール化IgMに、GMBS化ALPを、モル比1:1(IgM:ALP)でカップリングした。
・残チオール基をPEG3400−マレイミドで修飾した。
・以上より、GMBS−ALP標識PEG修飾IgMコンジュゲート(標識体(1)、カップリング比率 IgM:ALP=1:1)を得た。
1−2)GMBS−ALP標識IgM(カップリング比率 IgM:ALP=1:0.25)の調製
・チオール化IgMに、GMBS化ALPを、モル比1:0.25(IgM:ALP)でカップリングした。
・残チオール基をPEG3400−マレイミドで修飾した。
・以上より、GMBS−ALP標識PEG修飾IgMコンジュゲート(標識体(2)、カップリング比率 IgM:ALP=1:0.25)を得た。
・チオール化IgMに、GMBS化ALPを、モル比1:0.25(IgM:ALP)でカップリングした。
・残チオール基をPEG3400−マレイミドで修飾した。
・以上より、GMBS−ALP標識PEG修飾IgMコンジュゲート(標識体(2)、カップリング比率 IgM:ALP=1:0.25)を得た。
1−3)IgM−PEGの調製
・チオール化IgMのチオール基をPEG3400−マレイミドで修飾し、IgM−PEG(ALP非標識)を得た。これを、上記1−2)で得られたGMBS−ALP標識PEG修飾IgMコンジュゲートと混合し、測定および比較を行った。
・チオール化IgMのチオール基をPEG3400−マレイミドで修飾し、IgM−PEG(ALP非標識)を得た。これを、上記1−2)で得られたGMBS−ALP標識PEG修飾IgMコンジュゲートと混合し、測定および比較を行った。
2)測定および比較
以下の表2に示される条件下で実験を行い、カウントを測定および比較した。
以下の表2に示される条件下で実験を行い、カウントを測定および比較した。
結果を表3、および図11〜15に示す。標識体(1)をPEG−IgMで希釈することで、標識体(1)で測定されたカウントが、標識体(2)で測定されたカウントと同様のレベルまで下がった。したがって、抗体組成物または標識体に含まれるタンパク質標識体の割合が、非特異反応の抑制に重要であると考えられた。
実施例6:修飾反応に用いられるポリアルキレングリコールの長さの検討
修飾反応に用いられるポリアルキレングリコールの長さの、S/N比に対する影響を検討した。ポリアルキレングリコールとしては、PEG2000、PEG3400およびPEG5000を用いた。実験I)では、リンカーとしてPEG−マレイミドを用いた。実験II)では、リンカーとしてGMBSを用いた。
修飾反応に用いられるポリアルキレングリコールの長さの、S/N比に対する影響を検討した。ポリアルキレングリコールとしては、PEG2000、PEG3400およびPEG5000を用いた。実験I)では、リンカーとしてPEG−マレイミドを用いた。実験II)では、リンカーとしてGMBSを用いた。
実験I)
1)標識体の調製
1−1)PEG修飾ALP標識IgM(1/4)の調製(リンカー:PEG−マレイミド)
・チオール化IgMに、PEG3400−マレイミド化ALPを、モル比1:0.25でカップリングした。
・残チオール基を、PEG2000−マレイミド、PEG3400−マレイミド又はPEG5000−マレイミドで修飾した。
・以上より、3種の標識体(PEG修飾ALP標識IgM)を得た。
1)標識体の調製
1−1)PEG修飾ALP標識IgM(1/4)の調製(リンカー:PEG−マレイミド)
・チオール化IgMに、PEG3400−マレイミド化ALPを、モル比1:0.25でカップリングした。
・残チオール基を、PEG2000−マレイミド、PEG3400−マレイミド又はPEG5000−マレイミドで修飾した。
・以上より、3種の標識体(PEG修飾ALP標識IgM)を得た。
2)測定および比較
・3種の各標識体を0.5μg/mLに希釈して、カウントを測定および比較した。
・3種の各標識体を0.5μg/mLに希釈して、カウントを測定および比較した。
結果を表4、および図16〜19に示す。その結果、PEGの長さはS/N比に影響しなかった。
実験II)
1)標識体の調製
PEG修飾−ALP−GMBS−標識IgM(1/4)の調製(リンカー:GMBS)
・チオール化IgMに、GMBS化ALPを、モル比1:0.25でカップリングした。
・残チオール基を、PEG2000−マレイミド、PEG3400−マレイミド又はPEG5000−マレイミドで修飾した。
・以上より、3種の標識体(PEG修飾ALP標識IgM)を得た。
1)標識体の調製
PEG修飾−ALP−GMBS−標識IgM(1/4)の調製(リンカー:GMBS)
・チオール化IgMに、GMBS化ALPを、モル比1:0.25でカップリングした。
・残チオール基を、PEG2000−マレイミド、PEG3400−マレイミド又はPEG5000−マレイミドで修飾した。
・以上より、3種の標識体(PEG修飾ALP標識IgM)を得た。
2)測定および比較
・3種の各標識体を0.5μg/mLに希釈して、カウントを測定および比較した。
・3種の各標識体を0.5μg/mLに希釈して、カウントを測定および比較した。
結果を表5、および図20〜24に示す。その結果、PEGの長さはS/N比に影響しなかった。
以上より、修飾反応に用いられるポリアルキレングリコールの長さは、測定感度に影響しないと考えられた。
本発明は、例えば、免疫学的手法に有用である。
Claims (14)
- ポリアルキレングリコールで修飾されており、かつ、タンパク質による抗体の標識比率を低下させたタンパク質標識抗体。
- タンパク質が酵素である、請求項1記載のタンパク質標識抗体。
- ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールである、請求項1または2記載のタンパク質標識抗体。
- 修飾に用いられるポリアルキレングリコールと同種のポリアルキレングリコールから構成されるリンカーを介して、抗体がタンパク質で標識されている、請求項1〜3のいずれか一項記載のタンパク質標識抗体。
- 修飾に用いられるポリアルキレングリコールと異種のリンカーを介して、抗体がタンパク質で標識されている、請求項1〜3のいずれか一項記載のタンパク質標識抗体。
- 抗体が多量体抗体である、請求項1〜5のいずれか一項記載のタンパク質標識抗体。
- 抗体がIgMである、請求項6記載のタンパク質標識抗体。
- 以下(i)および(ii)の抗体を含む、抗体組成物:
(i)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質標識抗体;および
(ii)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質非標識抗体。 - 請求項1〜7のいずれか一項記載のタンパク質標識抗体、または請求項8記載の抗体組成物を含む、キット。
- 抗体を、タンパク質による標識反応およびポリアルキレングリコールによる修飾反応に付して、ポリアルキレングリコールで修飾されており、かつ、タンパク質による抗体の標識比率を低下させたタンパク質標識抗体を得ることを含む、抗体の製造方法。
- 抗体を、抗体の量に対して不十分な量のタンパク質による標識反応およびポリアルキレングリコールによる修飾反応に付して、(i)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質標識抗体および(ii)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質非標識抗体を含む抗体組成物を得ることを含む、抗体組成物の製造方法。
- 抗体に対するタンパク質の量比が0.1以上0.5未満の範囲内である、請求項11記載の方法。
- (i)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質標識抗体および(ii)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質非標識抗体を混合して、(i)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質標識抗体および(ii)ポリアルキレングリコールで修飾されたタンパク質非標識抗体を含む抗体組成物を得ることを含む、抗体組成物の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか一項記載のタンパク質標識抗体、請求項8記載の抗体組成物、または請求項9記載のキットを用いて、サンプルにおいて標的物質を測定することを含む、標的物質の測定方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2013102172A JP2014221745A (ja) | 2013-05-14 | 2013-05-14 | タンパク質標識抗体およびそれを含む組成物、ならびにそれらの製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017191012A (ja) * | 2016-04-13 | 2017-10-19 | 株式会社Lsiメディエンス | 可溶性インターロイキン2受容体の免疫学的測定法 |
WO2023088402A1 (zh) * | 2021-11-22 | 2023-05-25 | 菲鹏生物股份有限公司 | 一种捕获法检测抗体的方法和应用 |
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2013
- 2013-05-14 JP JP2013102172A patent/JP2014221745A/ja active Pending
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