JP2014221488A - 肉盛溶接装置及び肉盛溶接システム - Google Patents

肉盛溶接装置及び肉盛溶接システム Download PDF

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Abstract

【課題】中央部の溶込みを、より深いものにすることが可能な肉盛溶接技術を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、肉盛溶接装置は、レーザ発振器からのレーザ光を溶接部の表面7に向けて集光する光学系30を有し、集光されたレーザ光を所定の溶接線に沿って当該表面7に照射する溶接ヘッド22を備える。また、肉盛溶接装置は、溶接ヘッド22に溶加材として溶接ワイヤ14を供給する溶接ワイヤ供給源を備える。溶接ヘッド22、溶接線に向かうに従って低温となる温度勾配を表面7に形成する。
【選択図】図2

Description

本発明の実施形態は、母材の表面に所定の金属を溶着する肉盛溶接技術に関する。
母材の表面に、硬化、耐食、補修等の目的で所定の組織及び寸法の金属を溶着する方法、いわゆる肉盛溶接が知られている。例えば、耐食性を改善する目的で肉盛溶接を行う場合、溶加材、例えば、溶接ワイヤ(welding wire)を多めに供給することがある。この場合、加えられた熱が溶加材に吸熱されて、母材の溶融が不十分となり、母材と溶加材との融合不良が発生する可能性がある。
なお、下記の特許文献1には、水中においてレーザ光を照射することにより溶接を行う装置について開示されている。
特許第3117186号公報
上述した融合不良の原因には、母材の表面の凹凸が大きいことや、溶接線の近傍の部位(以下、中央部と記す)において、母材が溶けた部分のうち最も深い点と、溶接する面との距離、いわゆる溶込み(penetration)が浅い(短い)ことが考えられる。このように中央部において溶込みが浅くなる現象は、溶融池の表面側において溶接線から外側に向かう溶融金属の流れが原因で発生するものと考えられる。
例えば、レーザ光をデフォーカスした状態で母材に照射して肉盛溶接を行った場合、溶融池の温度は、当該溶融池の中央部で高く、溶接線から外側に向かうに従って低くなる。温度が高くなるに従って表面張力が減少する材料の場合、比較的高温のため表面張力が低い中央部から、比較的低温のため表面張力が高い周辺部に向かう対流(以下、表面張力対流と記す)が生じていると考えられる。
そこで、本発明の実施形態は、中央部の溶込みを、より深いものにすることが可能な肉盛溶接技術を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明の実施形態の肉盛溶接装置は、レーザ発振器からのレーザ光を溶接部の表面に向けて集光する光学系を有し、集光されたレーザ光を所定の溶接線に沿って当該表面に照射し、前記溶接線に向かうに従って低温となる温度勾配を前記表面に形成する溶接ヘッドと、この溶接ヘッドに溶加材として溶接ワイヤを供給する溶接ワイヤ供給源と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明の実施形態の肉盛溶接システムは、レーザ光を発振するレーザ発振器と、前記レーザ発振器からのレーザ光を溶接部の表面に向けて集光する光学系を有し、集光されたレーザ光を所定の溶接線に沿って当該表面に照射する溶接ヘッドを備え、前記溶接線に向かうに従って低温となる温度勾配を前記表面に形成する肉盛溶接装置と、前記溶接ヘッドにシールドガスを供給するシールドガス供給源と、前記溶接ヘッドに溶加材として溶接ワイヤを供給する溶接ワイヤ供給源と、前記溶接ヘッドが前記溶接線に沿って所定の溶接速度で移動するよう制御する制御装置と、を備えることを特徴とする。
本発明の実施形態によれば、溶融池の内部には、表面側を内側に向かう内側対流を生じさせ、中央部の底に向かう流れを形成することにより、溶融池の中央部の溶込みを、より深いものにすることができる。
第1の実施形態の肉盛溶接システム及び肉盛溶接装置の構成を示す模式図であり、原子炉炉内構造物に対して肉盛溶接を水中で行う例について示している。 第1の実施形態の肉盛溶接装置を構成する溶接ヘッドの縦断面図である。 第1の実施形態の肉盛溶接装置において適用した溶接条件を示す表である。 第1の実施形態の肉盛溶接装置において用いられた溶接ワイヤ及び母材の化学成分を示す表である。 溶接部の表面に照射されたレーザ光のうちエネルギが高い部分を示す平面図である。 溶接部の表面に照射されたレーザ光のエネルギ分布を示すグラフである。 溶接部に形成される溶融池の態様を示す断面図である。 第2の実施形態の肉盛溶接装置を構成する溶接ヘッドの縦断面図である。 溶接部の表面に照射されたレーザ光のうちエネルギが高い部分を示す平面図である。 溶接部の表面に照射されたレーザ光のエネルギ分布を示すグラフである。 第2の実施形態の変形例の肉盛溶接装置を構成する溶接ヘッドの縦断面図である。
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態により、本発明が限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
〔第1の実施形態〕
第1の実施形態の肉盛溶接システム及び肉盛溶接装置の構成について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、本実施形態の肉盛溶接システム及び肉盛溶接装置の構成を示す模式図であり、原子炉炉内構造物に対して肉盛溶接を水中で行う例について示している。図2は、本実施形態の肉盛溶接装置を構成する溶接ヘッドの縦断面図である。本実施形態において、溶接対象は、一例として、原子炉の炉内構造物であり、且つ炉内構造物の耐食性を改善するために、水中において炉内構造物を構成する母材に肉盛溶接を行う場合について説明する。
なお、以下の説明において、溶接部(weld)には、溶接中に溶融・凝固した金属である溶接金属(weld metal)が含まれている。溶接金属には、溶融した溶加材(filler metal)、いわゆる溶着金属(deposited metal)と、母材のうち溶融した部分、いわゆる溶融部(fusion zone)が含まれている。また、溶接部には、上述した溶接金属の他に、母材のうち溶融していないものの、溶接中に熱的な影響を受けて、冶金的性質及び機械的性質に変化が生じた部分、いわゆる熱影響部(heat-affected zone)が含まれている。
また、以下の説明において、溶接部の表面7上を通り、溶接すべき箇所の中央を示す仮想上の線を「溶接線」と記して、図5〜図7に一点鎖線A又は点Aで示す。肉盛溶接は、この溶接線に沿って溶接金属で構成された複数のビード(bead)が隣接して並行に置かれる。
図1に示すように、肉盛溶接システム1は、レーザ光を発振するレーザ発振器11と、レーザ光を所定の溶接線に沿って溶接部の表面7(図2参照)に照射する溶接ヘッド22を備えた肉盛溶接装置20とを有している。また、肉盛溶接システム1は、溶接ヘッド22にシールドガスを供給するシールドガス供給源13と、溶接ヘッド22が溶接線に沿って所定の溶接速度で移動するよう制御する制御装置100とを有している。なお、肉盛溶接装置20には、溶接ヘッド22に溶加材として溶接ワイヤ14(図2参照)を供給する溶接ワイヤ供給源(図示せず)が含まれており、以下に詳述する。
図1及び図2に示すように、肉盛溶接装置20は、レーザ光を集光して溶接部に向けて照射する部分(以下、溶接ヘッドと記す)22を有している。溶接ヘッド22には、光ファイバ10の一端が接続されており、光ファイバ10の他端は、レーザ発振器11に接続されている。
本実施形態において、溶接部は、原子炉の炉内構造物5を構成しており、当該溶接部は、水中にある。このため、溶接ヘッド22を含む肉盛溶接装置20は、水中に配置されている。溶接ヘッド22は、水中において、溶接部の表面7にレーザ光を照射する。
一方、レーザ発振器11は、肉盛溶接装置20から離れた場所の大気中に配置されている。レーザ発振器11は、レーザ光を発振し、発振したレーザ光を、光ファイバ10に送出する。なお、本実施形態において、レーザ発振器11は、波長1.06μm、出力2〜3kWのYAGレーザを発振する。レーザ発振器11から発振され、光ファイバ10に出射されたレーザ光は、当該光ファイバ10から水中にある溶接ヘッド22内に入る。
図2に示すように、溶接ヘッド22の内部には、レーザ光を通す通路(以下、内部通路と記す)23が形成されている。内部通路23は、光ファイバ10からのレーザ光を屈折可能な光学系30を収容している。
溶接ヘッド22のうち溶接部側の端部(以下、先端部と記す)24には、内部通路23の開口(以下、先端部開口と記す)25が設けられている。溶接ヘッド22の内部通路23のうち先端部開口25とは反対側には、光ファイバ10が接続されている。光学系30は、光ファイバ10からのレーザ光を集光して、先端部開口25から溶接部の表面7に照射する。
なお、溶接ヘッド22により照射されるレーザ光の中心を示す軸線を、以下の説明において「照射中心軸」と記して、各図に一点鎖線C又は点Cで示す。本実施形態において、照射中心軸は、溶接線に直交している。
より詳細には、光学系30において、凸レンズ31には、光ファイバ10からの発散光線束が入射する。凸レンズ31は、光ファイバ10からの発散光線束を屈折させて、平行光線束にして出射する。凸レンズ32は、凸レンズ31からの平行光線束を屈折させて、収束光線束にして出射する。この収束光線束は、先端部開口25を通って、溶接部に照射される。なお、本実施形態において、光学系30は、照射中心軸を軸心とする環状の焦点を有するように構成されている。
このように、光学系30は、レーザ発振器11からのレーザ光を、2つの凸レンズ31,32により溶接部に向けて集光する。溶接ヘッド22は、先端部開口25から、溶接部の表面7にレーザ光を照射する。溶接部の表面7は、照射されたレーザ光を吸収して溶融する。
溶接部には、溶加材(filler metal)として溶接ワイヤ14が、先端部24の貫通孔(以下、溶接ワイヤ用貫通孔と記す)26から供給される。溶接ワイヤ14は、図示しないモータ等により、溶接部に向けて繰り出される。溶接部に供給された溶接ワイヤ14は、母材と共に溶融して図7に示すように溶融池8を構成する。
なお、溶接中において、溶接部には、レーザ光の熱を吸収して溶融した金属の溜まり、いわゆる溶融池8(molten weld pool)が含まれており、溶接池8の表面は、溶接部の表面7に含まれている。
また、図1に示すように、溶接ヘッド22は、ガスチューブ12を介してシールドガス供給源13に接続されている。シールドガス供給源13からは、水等が溶接雰囲気内に侵入することを防止するためのガス、いわゆるシールドガス(shielding gas)が、溶接ヘッド22に供給される。本実施形態において、シールドガスには、アルゴンが使用されている。溶接ヘッド22は、ガスチューブ12からのシールドガスを、内部通路23で受けて、先端部開口25から溶接部に向けて噴射する。
また、図2に示すように、溶接ヘッド22の先端部24には、水等が溶接雰囲気内に侵入するのを防止するためのカバー(以下、シールドガバーと記す)16が設けられている。シールドカバー16は、溶接ヘッド22の先端部開口25と、これに対向する溶接部を覆う。シールドカバー16の内側、すなわち溶接部の周囲にある溶接雰囲気は、シールドガスで満たされることとなる。
また、図1に示すように、肉盛溶接装置20は、通信ケーブル線15を介して制御装置100に接続されている。制御装置100は、溶接ヘッド22を含む肉盛溶接装置20の各種機能を制御するための電子制御装置である。制御装置100は、肉盛溶接装置20に対する溶接ヘッド22の移動を制御可能に構成されている。
制御装置100は、溶接ヘッド22が、所定の溶接線に沿ってレーザ光を溶接部の表面7に照射するよう制御している。具体的には、制御装置100は、溶接ヘッド22が、所定の溶接線に沿って、所定の溶接方向に、所定の溶接速度で移動するよう制御する。
次に、本実施形態の肉盛溶接システムの溶接条件について、図1〜図4を用いて説明する。図3は、本実施形態の肉盛溶接装置において適用した溶接条件を示す表である。図4は、本実施形態の肉盛溶接装置において用いられた溶接ワイヤ及び母材の化学成分を示す表である。
図3に示すように、本実施形態の肉盛溶接装置において、溶接速度(welding speed)、すなわち1回のパスによって作られる溶接金属(ビード)を置く速度は、0.3〜0.5m/minである。また、溶接ワイヤ14の径は、1.1mmであり、溶接ワイヤ14が溶接部に供給される速度、すなわち単位時間あたりの溶加材(溶接ワイヤ14)の長さである溶加材送給速度(filler metal feeding rate)は、0.6〜1.5m/minである。
また、図4に示すように、本実施形態の肉盛溶接装置において、溶接ワイヤ14には、インコネル(登録商標)690(いわゆる690合金)が用いられる。一方、炉内構造物を構成する母材には、インコネル(登録商標)600(いわゆる600合金)が用いられる。これら合金の化学成分の詳細については、図4に示して説明を省略する。これら合金は、温度が上昇するに従って表面張力が減少する材料である。なお、母材には、温度が上昇するに従って表面張力が減少する材料で例えば、ステンレス鋼を用いることもできる。
次に、本実施形態の肉盛溶接装置の溶接ヘッドが、溶接部に照射するレーザ光の態様と、溶接部に形成される溶融池8内の溶融金属の流れについて説明する。図5は、溶接部の表面7に照射されたレーザ光のうちエネルギが高い部分を示す平面図である。図6は、溶接部の表面7に照射されたレーザ光のエネルギ分布を示すグラフである。図7は、溶接部に形成される溶融池8の態様を示す断面図である。なお、図7においては、溶接部(溶融池8)の表面7の温度分布と、溶接池内の溶融金属の対流とを併せて示している。
図2及び図5に示すように、本実施形態の溶接ヘッド22は、照射中心軸(図2に一点鎖線Cで示し、図5に点Cで示す)を中心に環状をなすレーザ光を、溶接部(溶融池8)の表面7に集光するよう光学系30が構成されている。なお、図5には、溶接ヘッド22が溶接部の表面7に照射したレーザ光のうち、エネルギが比較的高い部分(以下、高エネルギ部と記す)33をハッチングで示している。すなわち、溶接ヘッド22は、照射中心軸を中心に、環状をなす高エネルギ部33を有するレーザ光を溶接部に照射している。なお、以下の説明において、この態様のレーザ光を「環状のレーザ光」と記す。
環状のレーザ光を照射することにより、溶接部の表面7には、図5及び図6に示すように、照射中心軸を中心とする環状に表面温度が高温となる温度分布が形成される。より具体的には、図6に示すように、溶接部の表面7には、外側から溶接線(図に点Aで示す)に向かうに従って表面温度が低温となる温度勾配(図に符号T1で示す部分、以下、「内側温度勾配」と記す)が形成される。また、内側温度勾配T1の外側には、溶接線から外側に向かうに従って表面温度が低温となる温度勾配(図に符号T2で示す部分、以下、「外側温度勾配」と記す)が形成されている。
本実施形態においては、図5及び図6に示すように、環状のレーザ光の高エネルギ部33の直径(図6に寸法Sで示す)が3mmないし7mmとなるように、溶接部の表面7にレーザ光を照射する。詳細には、レーザ光の照射により、溶接部(溶融池8)の表面温度のうち、最も高い部位(図6に点Tpで示す)の直径が、3mmないし7mmとなるように、溶接ヘッド22を配置する。
溶接部の表面7側には、図7に示すように、母材及び溶接ワイヤが溶融して、溶融池8が形成される。母材及び溶接ワイヤは、温度が高いほど表面張力が減少する材料で構成されている。このため、溶融池8の内部には、表面側を内側に向かう表面張力対流(以下、単に「内側対流」と記し、図に矢印B1で示す)と、表面側を外側に向かう表面張力対流(以下、単に「外側対流」と記し、図に矢印B2で示す)が生じる。
このような内側対流を溶融池8内に生じさせることにより、溶融池8の中央部においては、溶融金属が、中央部の底8aに向かう流れが形成される。この流れにより、底8aと表面との間の距離、すなわち溶融池8の中央部の深さが大きくなる。このように、本実施形態の肉盛溶接装置20は、溶融池8内に内側対流を形成することにより、中央部の溶込みを、より深いものにすることができる。
なお、環状の高エネルギ部の直径を3mmより小さくした場合、中央部において溶融池8の表面温度が高くなるため、上述した中央から外側に向かうに従って高温となる内側温度勾配を形成することが困難である。また、環状の高エネルギ部の直径を7mmより大きくした場合には、溶融池8の中央部の溶込みが浅くなるという問題がある。従って、溶接部(溶融池8)の表面温度が最も高い部位(図6に点Tpで示す)の直径(図6に寸法Sで示す)が、3mmないし7mmとなるように、溶接部の表面7にレーザ光を照射することが好ましい。
〔第2の実施形態〕
第2の実施形態の肉盛溶接装置の構成について、図1、図8〜図11を用いて説明する。図8は、本実施形態の肉盛溶接装置を構成する溶接ヘッドの縦断面図である。図9は、溶接部の表面7に照射されたレーザ光のうちエネルギが高い部分を示す平面図である。図10は、溶接部の表面7に照射されたレーザ光のエネルギ分布を示すグラフである。図11は、本実施形態の変形例の肉盛溶接装置を構成する溶接ヘッドの縦断面図である。
本実施形態は、溶接ヘッドの光学系の構成と、溶接部(溶融池8)の表面7に照射されるレーザ光の態様が、第1の実施形態と異なっている。なお、第1の実施形態と略共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図8に示すように、本実施形態の溶接ヘッド22Bは、光ファイバ10から入射したレーザ光の光線束を2つに分ける分光素子、いわゆるビームスプリッタとして、プリズム36を有している。光ファイバ10からプリズム36に入射したレーザ光の光線束は、2つの発散光線束に分かれる。
溶接ヘッド22Bの内部には、2つの光線束に対応して、レーザ光を通す内部通路23Bが、プリズム36を挟んで両側に形成されている。溶接ヘッド22Bのうち先端部24Bには、内部通路23Bごとに先端部開口25Bが設けられている。各内部通路23Bには、それぞれ、平面鏡38、凸レンズ31、凸レンズ32が収容されている。
各平面鏡38は、プリズム36からの発散光線束を、対応する凸レンズ31に向けて反射する。各凸レンズ31は、平面鏡38から入射した発散光線束を屈折させて、平行光線束にして、対応する凸レンズ32に向けて出射する。各凸レンズ32は、凸レンズ31からの平行光線束を屈折させて、収束光線束にして出射する。各凸レンズ32からの収束光線束は、対応する先端部開口25Bを通って、溶接部に照射される。本実施形態において、光学系30Bは、照射中心軸(図8に一点鎖線Cで示す)を中心として、その両側に、2つの焦点ができるよう構成されている。
このように、光学系30Bは、光ファイバ10からのレーザ光を、ビームスプリッタとしてのプリズム36により2つに分けて、それぞれのレーザ光を、凸レンズ31,32により溶接部に向けて集光する。溶接ヘッド22Bは、2つの先端部開口25Bから、それぞれ溶接部の表面7にレーザ光を照射する。溶接部の表面7は、照射されたレーザ光を吸収して溶融する。この溶接部には、溶加材として溶接ワイヤ(図示せず)が供給される。溶接部に供給された溶加材は、母材と共に溶融して溶融池8を構成する。
図8及び図9に示すように、本実施形態の溶接ヘッド22Bは、溶接線(図9に一点鎖線Aで示す)及び照射中心軸(図8に一点鎖線Cで示し、図9に点Cで示す)を中央に挟んで、その両側に、それぞれ円形をなすレーザ光を、溶接部(溶融池8)の表面7に集光するよう光学系30Bが構成されている。なお、図9には、溶接ヘッド22Bが溶接部の表面7に照射したレーザ光のうち高エネルギ部33Bをハッチングで示している。溶接ヘッド22Bは、溶接線を挟んでその両側に、溶接線から等しい距離をあけて、高エネルギ部33Bを有するレーザ光を、溶接部の表面7に照射している。なお、以下の説明において、この態様のレーザ光を「一対のレーザ光」と記す。
一対のレーザ光を照射することにより、溶接部の表面7には、図9及び図10に示すように、溶接線を中央に挟んで、その両側が高温となる温度分布が形成される。図10に示すように、溶接部の表面7には、外側から溶接線(図に点Aで示す)に向かうに従って表面温度が低温となる内側温度勾配TBが形成される。また、内側温度勾配TBの外側には、溶接線から外側に向かうに従って表面温度が低温となる外側温度勾配TBが形成される。
本実施形態においては、図9及び図10に示すように、一対のレーザ光の高エネルギ部33Bの中心Pの間隔(図に寸法S2で示す)が、3mmないし7mmとなるように、溶接部の表面7にレーザ光を照射する。溶接線を挟んで両側にある中心Pは、照射中心軸Cを通り、且つ溶接線に直交する平面上に配置されている。これら中心Pは、各高エネルギ部33Bのうち表面温度が最も高くなる部位(図10に点Tpで示す)である。すなわち、溶接部(溶融池8)のうち表面温度が最も高い部位同士の間隔が3mmないし7mmとなるように、溶接ヘッド22Bは配置される。
本実施形態においても、図7に示すように、溶融池8の内部には、表面側を内側に向かう内側対流(図7に矢印B1で示す)と、表面側を外側に向かう外側対流(図7に矢印B2で示す)を生じさせることができる。これにより、溶融池8の中央部においては、溶融金属が、中央部の底8aに向かう流れが形成されて、溶融池8の中央部の深さが大きくなる。以上のようにして本実施形態の肉盛溶接装置20Bは、溶融池8内に内側対流を形成することにより、溶融池8の中央部の溶込みを、より深いものにすることができる。
なお、一対のレーザ光において、表面温度が最も高い部位同士の間隔を3mmより小さくした場合、中央部において溶融池8の表面温度が高くなるため、溶接線から外側に向かうに従って表面温度が高くなる内側温度勾配を形成することが困難である。また、表面温度が最も高くなる部位同士の間隔を7mmより大きくした場合には、中央部の表面温度が低くなり過ぎてしまい、溶融池8がレーザ光に対応して2つに分離してしまうという問題が生じる。
なお、本実施形態において、レーザ光の光線束を2つに分けるビームスプリッタとして、プリズムが用いられるものとしたが、ビームスプリッタの態様は、これに限定されるものではない。ビームスプリッタには、平面鏡等を用いることも可能である。
また、本実施形態においては、1つの光線束のレーザ光を、ビームスプリッタにより2つの光線束に分けることにより、一対のレーザ光を溶接部に照射するものとしたが、一対のレーザ光を発生させる態様は、これに限定されるものではない。
例えば、図11に示す変形例の溶接ヘッド22Cのように、図示しない2つのレーザ発振器からそれぞれ対応する光ファイバ10にレーザ光を出射し、これら2つの光ファイバ10から溶接ヘッド22C内に入った2つのレーザ光(発散光線束)を、それぞれ凸レンズ31,32により集光して、一対のレーザ光を溶接部の表面7に照射するものとしても良い。
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態はその他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形例は、発明の要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明と均等の範囲に含まれる。
1 肉盛溶接システム
5 炉内構造物
7 溶接部の表面
8 溶融池(溶接部)
8a 溶融池の底
10 光ファイバ
11 レーザ発振器
12 ガスチューブ
13 シールドガス供給源
14 溶接ワイヤ(溶加材)
15 通信ケーブル線
16 シールドカバー
20 肉盛溶接装置
22,22B,22C 溶接ヘッド
23,23B 内部通路
24,24B 先端部
25,25B 先端部開口
26 溶接ワイヤ用貫通孔
30,30B 光学系
31,32 凸レンズ
33,33B 高エネルギ部
36 プリズム(ビームスプリッタ)
38 平面鏡
100 制御装置

Claims (8)

  1. レーザ発振器からのレーザ光を溶接部の表面に向けて集光する光学系を有し、集光されたレーザ光を所定の溶接線に沿って当該表面に照射し、前記溶接線に向かうに従って低温となる温度勾配を前記表面に形成する溶接ヘッドと、
    この溶接ヘッドに溶加材として溶接ワイヤを供給する溶接ワイヤ供給源と、
    を備えたことを特徴とする肉盛溶接装置。
  2. 前記溶接ヘッドは、前記溶接線に軸心が通る環状をなすレーザ光である環状のレーザ光を前記表面に照射する
    ことを特徴とする請求項1に記載の肉盛溶接装置。
  3. 前記光学系は、前記環状のレーザ光が前記表面に照射されたときに、表面温度が最も高い部位の直径が3mmないし7mmとなるように構成されている
    ことを特徴とする請求項2に記載の肉盛溶接装置。
  4. 前記溶接ヘッドは、前記溶接線を挟んでその両側に、それぞれ円形をなす一対のレーザ光を前記表面に照射する
    ことを特徴とする請求項1に記載の肉盛溶接装置。
  5. 前記光学系は、前記一対のレーザ光が前記表面に照射されたときに、表面温度が最も高い部位同士の間隔が3mmないし7mmとなるように構成されている
    ことを特徴とする請求項4に記載の肉盛溶接装置。
  6. 前記光学系は、前記レーザ発振器からのレーザ光の光線束を2つに分けるビームスプリッタを備える
    ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の肉盛溶接装置。
  7. レーザ光を発振するレーザ発振器と、
    前記レーザ発振器からのレーザ光を溶接部の表面に向けて集光する光学系を有し、集光されたレーザ光を所定の溶接線に沿って当該表面に照射する溶接ヘッドを備え、前記溶接線に向かうに従って低温となる温度勾配を前記表面に形成する肉盛溶接装置と、
    前記溶接ヘッドにシールドガスを供給するシールドガス供給源と、
    前記溶接ヘッドに溶加材として溶接ワイヤを供給する溶接ワイヤ供給源と、
    前記溶接ヘッドが前記溶接線に沿って所定の溶接速度で移動するよう制御する制御装置と、
    を備えることを特徴とする肉盛溶接システム。
  8. 前記溶接部は、原子炉の炉内構造物を構成するものであり、
    前記溶接ヘッドは、水中において前記表面にレーザ光を照射する
    ことを特徴とする請求項7に記載の肉盛溶接システム。
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