本発明者らは鋭意検討した結果、特定の範囲の長軸径と深さを有する凹部を表面に有する電子写真感光体と、特定の範囲の円形度を有し、シリカ微粒子によりトナー表面を特定の範囲で被覆するとともに、圧密状態での単軸崩壊応力を特定の値に制御されたトナーを用いることによって、長期間に渡り画像流れが生じにくく、かつ白ポチの発生しにくい画像形成方法を提供することができることがわかった。
そのメカニズムは明確ではないが、本発明者らは以下のように推察している。
なお、本発明において、凹部の面積とは、電子写真感光体の表面を上から見たときの凹部の面積であり、凹部の開口部の面積を意味する。平坦部や凸部に関しても同様である。
本発明の電子写真感光体の表面には、深さDvが0.5μm以上5μm以下、かつ、開口部最長径DLが20μm以上80μm以下の複数の凹部が設けられる。この深さ0.5μm以上5μm以下かつ開口部最長径20μm以上80μm以下の複数の凹部を、以下「特定凹部」ともいう。
電子写真感光体の表面の特定凹部や平坦部などは、例えば、レーザー顕微鏡、光学顕微鏡、電子顕微鏡、原子力間顕微鏡などの顕微鏡を用いて観察することができる。
・レーザー顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である。
(株)キーエンス製の超深度形状測定顕微鏡VK−8550、超深度形状測定顕微鏡VK−9000、超深度形状測定顕微鏡VK−9500、VK−X200
(株)菱化システム製の表面形状測定システムSurface Explorer SX−520DR型機
オリンパス(株)製の走査型共焦点レーザー顕微鏡OLS3000
レーザーテック(株)製のリアルカラーコンフォーカル顕微鏡オプリテクスC130
・光学顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である。
(株)キーエンス製のデジタルマイクロスコープVHX−500、デジタルマイクロスコープVHX−200
オムロン(株)製の3DデジタルマイクロスコープVC−7700
・電子顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である。
(株)キーエンス製の3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡VE−9800、3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡VE−8800
エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製の走査型電子顕微鏡コンベンショナル/Variable Pressure SEM
(株)島津製作所製の走査型電子顕微鏡SUPERSCAN SS−550
・原子力間顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である。
(株)キーエンス製のナノスケールハイブリッド顕微鏡VN−8000
エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製の走査型プローブ顕微鏡NanoNaviステーション
(株)島津製作所製の走査型プローブ顕微鏡SPM−9600
一辺500μmの正方形領域の観察や、後述の一辺10μmの正方形領域の観察は、一辺500μmの正方形領域が収まるような倍率で行ってもよいし、より高い倍率で部分的な観察を行った後、ソフトを用いて複数の部分画像を連結するようにしてもよい。
一辺500μmの正方形領域における特定凹部および平坦部の判定(定義)などについて説明する。
まず、電子写真感光体の表面を顕微鏡で拡大観察する。例えば、電子写真感光体が円筒状である場合のように電子写真感光体の表面(周面)が周方向に曲がった曲面となっている場合は、その曲面の断面プロファイルを抽出し、曲線(電子写真感光体が円筒状であれば円弧)をフィッティングする。図7に、フィッティングの例を示す。図7に示す例は、電子写真感光体が円筒状である場合の例である。その曲線が直線になるように断面プロファイルの補正を行い、得られた直線を電子写真感光体の長手方向(周方向に直交する方向)に拡張した面を基準面とする。電子写真感光体が円筒状でない場合も、円筒状である場合と同様にして基準面を得る。
得られた基準面の0.2μm下方に位置し、基準面に平行な面を第二基準面とし、0.2μm上方に位置し、基準面に平行な面を第三基準面とする。上記一辺500μmの正方形領域のうち、第二基準面と第三基準面に挟まれる部分を当該正方形領域における平坦部とする。第三基準面よりも上に位置する部分を当該正方形領域における凸部とする。第二基準面よりも下に位置する部分を当該正方形領域における凹部とする。第二基準面から凹部の最低点までの距離を凹部の深さとする。第二基準面による凹部の断面を凹部の開口部とし、開口部を横切る線分のうち、最も長い線分の長さを凹部の開口部最長径とする。このようにして求めた深さが0.5μm以上5μm以下の範囲にあり、開口部最長径が20μm以上80μm以下の範囲にあるものが、凹部の中でも上記特定凹部に該当する。凹部の開口部が20μm未満の場合、クリーニング部材が電子写真感光体の表面に設けられる平坦部との接触が不安定になり、画像流れ原因物質の除去性が低くなる傾向にある。上記凹部の開口部が80μmを超える場合、凹部のトナーがクリーニングされずに融着しやすい傾向にある。凹部の深さが0.5μm未満の場合、クリーニング部材が電子写真感光体の表面に設けられる平坦部との接触が不安定になり、画像流れ原因物質の除去性が低くなる傾向にある。凹部の深さが5μmを超える場合、本発明における特定凹部の深さは、1μm以上5μm以下の範囲にあることが好ましい。
図1の(A)および(B)に、基準面、平坦部、凹部(特定凹部)などの関係を模式的に示す。図1の(A)および(B)は、上記補正後の断面プロファイルである。
図2(A)乃至(G)に、特定凹部の開口部の形状(特定凹部を真上から見たときの形状)の例を示す。また、図3(A)乃至(G)に、特定凹部の断面形状の例を示す。
特定凹部の開口部の形状としては、例えば、図2(A)乃至(G)に示すような、円、楕円、正方形、長方形、三角形、四角形、六角形などが挙げられる。また、特定凹部の断面形状としては、例えば、図3(A)乃至(G)に示すような、三角形、四角形、多角形などのエッジを有するものや、連続した曲線からなる波型や、三角形、四角形、多角形のエッジの一部または全部を曲線に変形したものなどが挙げられる。
電子写真感光体の表面に設けられる複数の特定凹部は、すべてが同一の形状、開口部最長径、深さであってもよいし、異なる形状、開口部最長径、深さのものが混在していてもよい。
上記特定凹部は、電子写真感光体の表面の全域に形成されていてもよいし、電子写真感光体の表面の一部分に形成されていてもよい。特定凹部が電子写真感光体の表面の一部分に形成される場合は、少なくともクリーニング部材との接触領域には凹部が形成される。
上記特定凹部の該電子写真感光体の周方向における最大傾斜角が3°以上11°以下であることが好ましい。該最大傾斜角が3°未満では、クリーニング部材が電子写真感光体の表面に設けられる平坦部との接触が不安定になり、画像流れ原因物質の除去性が低くなる傾向にある。該最大傾斜角が11°を超える場合は、凹部のトナーがクリーニングされずに融着しやすい傾向にある。
さらに、本発明において、電子写真感光体の表面に設けられる平坦部は、画像流れ原因物質の除去性を高める観点から、ある程度の大きさを持っていることが好ましく、狭小な平坦部(狭小部分)は少ないことが好ましい。また、狭小な平坦部(狭小部分)の近傍において、凹部のトナーのクリーニング性が不安定になる。よって、凹部のトナーのクリーニング性の観点からも、狭小な平坦部(狭小部分)は少ないことが好ましい。具体的には、電子写真感光体の表面の任意の位置に配置される一辺500μmの正方形領域における平坦部のうち、一辺10μmの正方形領域を配置することができない狭小部分の面積の割合が、当該一辺500μmの正方形領域における平坦部の全面積に対して30%以下になるようになっていることが好ましい。
〈電子写真感光体の表面に凹部を形成する方法〉
電子写真感光体の表面に凹部を形成する方法として、乾式ブラスト処理や湿式ホーニング処理に加えて、形成するべき凹部に対応した凸部を有するモールドを電子写真感光体の表面に圧接し形状転写を行う方法が挙げられるが、特に限定はされない。一例として、モールドを用いて形状転写を行って凹部を形成する方法を用いて説明する。
図4に、電子写真感光体の表面に凹部を形成するための圧接形状転写加工装置の例を示す。
図4に示す圧接形状転写加工装置によれば、被加工物である電子写真感光体4−1を回転させながら、その表面(周面)に連続的にモールド4−2を接触させ、加圧することにより、電子写真感光体4−1の表面に凹部や平坦部を形成することができる。
加圧部材4−3の材質としては、例えば、金属、金属酸化物、プラスチック、ガラスなどが挙げられる。これらの中でも、機械的強度、寸法精度、耐久性の観点から、ステンレス鋼(SUS)が好ましい。加圧部材4−3は、その上面にモールドが設置される。また、下面側の支持部材(不図示)および加圧システム(不図示)により、支持部材4−4に支持された電子写真感光体4−1の表面に、モールド4−2を所定の圧力で接触させることができる。また、支持部材4−4を加圧部材4−3に対して所定の圧力で押し付けてもよいし、支持部材4−4および加圧部材4−3を互いに押し付けてもよい。
図4に示す例は、加圧部材4−3を移動させることにより、電子写真感光体4−1が従動または駆動回転しながら、その表面を連続的に加工する例である。さらに、加圧部材4−3を固定し、支持部材4−4を移動させることにより、または、支持部材4−4および加圧部材4−3の両者を移動させることにより、電子写真感光体4−1の表面を連続的に加工することもできる。
なお、形状転写を効率的に行う観点から、モールド4−2や電子写真感光体4−1を加熱することが好ましい。
モールドとしては、例えば、微細な表面加工された金属や樹脂フィルムや、シリコンウエハーなどの表面にレジストによりパターニングをしたものや、微粒子が分散された樹脂フィルムや、微細な表面形状を有する樹脂フィルムに金属コーティングを施したものなどが挙げられる。
また、電子写真感光体に対する圧力を均一にする観点から、モールドと加圧部材との間に弾性体を設置することが好ましい。
〈電子写真感光体の構成〉
本発明の電子写真感光体は、支持体および支持体上に形成された感光層を有する。
電子写真感光体の形状としては、例えば、円筒状、ベルト(エンドレスベルト)状、シート状などが挙げられる。
感光層は、電荷輸送物質と電荷発生物質を同一の層に含有する単層型感光層であってもよいし、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とに分離した積層型(機能分離型)感光層であってもよい。電子写真特性の観点から、積層型感光層が好ましい。また、積層型感光層は、支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の順に積層した順層型感光層であってもよいし、支持体側から電荷輸送層、電荷発生層の順に積層した逆層型感光層であってもよい。電子写真特性の観点から、順層型感光層が好ましい。また、電荷発生層を積層構造としてもよいし、電荷輸送層を積層構成としてもよい。
支持体としては、導電性を示すもの(導電性支持体)であることが好ましい。支持体の材質としては、例えば、鉄、銅、金、銀、アルミニウム、亜鉛、チタン、鉛、ニッケル、スズ、アンチモン、インジウム、クロム、アルミニウム合金、ステンレスなどの金属(合金)が挙げられる。また、アルミニウム、アルミニウム合金、酸化インジウム−酸化スズ合金などを用いて真空蒸着によって形成した被膜を有する金属製支持体やプラスチック製支持体を用いることもできる。また、カーボンブラック、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子、銀粒子などの導電性粒子をプラスチックや紙に含浸してなる支持体や、導電性結着樹脂製の支持体を用いることもできる。
支持体の表面は、レーザー光の散乱による干渉縞の抑制を目的として、切削処理、粗面化処理、アルマイト処理などを施してもよい。
支持体と、後述の下引き層または感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間には、レーザー光の散乱による干渉縞の抑制や、支持体の傷の被覆などを目的として、導電層を設けてもよい。
導電層は、カーボンブラック、導電性顔料、抵抗調節顔料などを結着樹脂とともに分散処理することによって得られる導電層用塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって形成することができる。また、導電層用塗布液には、加熱、紫外線照射、放射線照射などにより硬化重合する化合物を添加してもよい。導電性顔料や抵抗調節顔料などを分散させてなる導電層は、その表面が粗面化される傾向にある。
導電層の膜厚は、0.2μm以上40μm以下であることが好ましく、1μm以上35μm以下であることがより好ましく、5μm以上30μm以下であることがより好ましい。
導電層に用いられる結着樹脂としては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレンなどのビニル化合物の重合体や、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
導電性顔料および抵抗調節顔料としては、例えば、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀、ステンレスなどの金属(合金)の粒子や、これらをプラスチックの粒子の表面に蒸着したものなどが挙げられる。また、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズがドープされている酸化インジウム、アンチモンやタンタルがドープされている酸化スズなどの金属酸化物の粒子を用いることもできる。これらは、1種のみ用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて用いる場合は、混合するだけでもよいし、固溶体や融着の形にしてもよい。
支持体または導電層と感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間には、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護などを目的として、バリア機能や接着機能を有する下引き層(中間層)を設けてもよい。
下引き層は、樹脂(結着樹脂)を溶剤に溶解させることによって得られる下引き層用塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって形成することができる。
下引き層に用いられる樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、カゼイン、ポリアミド、N−メトキシメチル化6ナイロン、共重合ナイロン、にかわ、ゼラチンなどが挙げられる。
下引き層の膜厚は、0.05μm以上7μm以下であることが好ましく、0.1μm以上2μm以下であることがより好ましい。
感光層に用いられる電荷発生物質としては、例えば、ピリリウム、チアピリリウム染料や、各種の中心金属および各種の結晶形(α、β、γ、ε、X型など)を有するフタロシアニン顔料や、アントアントロン顔料や、ジベンズピレンキノン顔料や、ピラントロン顔料や、モノアゾ、ジスアゾ、トリスアゾなどのアゾ顔料や、インジゴ顔料や、キナクリドン顔料や、非対称キノシアニン顔料や、キノシアニン顔料などが挙げられる。これら電荷発生物質は、1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
感光層に用いられる電荷輸送物質としては、例えば、ピレン化合物、N−アルキルカルバゾール化合物、ヒドラゾン化合物、N,N−ジアルキルアニリン化合物、ジフェニルアミン化合物、トリフェニルアミン化合物、トリフェニルメタン化合物、ピラゾリン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物などが挙げられる。
感光層が積層型感光層である場合、電荷発生層は、電荷発生物質を結着樹脂および溶剤とともに分散処理することによって得られた電荷発生層用塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって形成することができる。また、電荷発生層は、電荷発生物質の蒸着膜としてもよい。
電荷発生物質と結着樹脂の質量比は、1:0.3乃至1:4の範囲であることが好ましい。
分散処理方法としては、例えば、ホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミルなどを用いる方法が挙げられる。
電荷輸送層は、電荷輸送物質および結着樹脂を溶剤に溶解させることによって得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって形成することができる。また、単独で成膜性を有する電荷輸送物質を用いる場合は、結着樹脂を用いずに電荷輸送層を形成することもできる。
電荷発生層および電荷輸送層に用いられる結着樹脂としては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレンなどのビニル化合物の重合体や、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
電荷発生層の膜厚は、5μm以下であることが好ましく、0.1乃至2μmであることがより好ましい。
電荷輸送層の膜厚は、5乃至50μmであることが好ましく、10乃至35μmであることがより好ましい。
また、電子写真感光体の耐久性の向上の観点から、電子写真感光体の表面層を架橋有機高分子で構成することが好ましい。
本発明においては、例えば、電荷発生層上の電荷輸送層を電子写真感光体の表面層として架橋有機高分子で構成することができる。また、電荷発生層上の電荷輸送層上に第二電荷輸送層または保護層として架橋有機高分子で構成された表面層を形成することができる。また、架橋有機高分子で構成された表面層に要求される特性は、膜の強度と電荷輸送能力の両立であり、その観点から、電荷輸送物質または導電性粒子と、架橋重合性のモノマー/オリゴマーとを用いて表面層を形成することが好ましい。
電荷輸送物質としては、上述の電荷輸送物質を用いることができる。架橋重合性のモノマー/オリゴマーとしては、例えば、アクリロイルオキシ基やスチリル基などの連鎖重合性官能基を有する化合物や、水酸基、アルコキシシリル基、イソシアネート基などの逐次重合性官能基を有する化合物などが挙げられる。
また、膜の強度と電荷輸送能力の両立の観点から、同一分子内に電荷輸送性構造(好ましくは正孔輸送性構造)およびアクリロイルオキシ基の両方を有する化合物を用いることがより好ましい。
架橋硬化させる方法としては、例えば、熱、紫外線、放射線を用いる方法が挙げられる。
架橋有機高分子で構成された表面層の膜厚は、0.1乃至30μmであることが好ましく、1乃至10μmであることがより好ましい。
電子写真感光体の各層には、添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの劣化防止剤や、フッ素原子含有樹脂粒子、アクリル樹脂粒子などの有機樹脂粒子や、シリカ、酸化チタン、アルミナなどの無機粒子などが挙げられる。
〈プロセスカートリッジおよび電子写真装置の構成〉
図5に、本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の例を示す。
図5において、円筒状の本発明の電子写真感光体1は、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。電子写真感光体1の表面は、回転過程において、帯電手段3(一次帯電手段:例えば、帯電ローラーなど)により、正または負の所定電位の均一に帯電される。次いで、露光手段(画像露光手段)(不図示)から照射される露光光(画像露光光)4を受ける。このようにして、電子写真感光体1の表面には、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成されていく。
本発明は、放電を利用した帯電手段を用いた場合において、効果が特に大きい。
電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、次いで現像手段5内のトナー(不定形トナーまたは球形トナー)で現像(正規現像または反転現像)されてトナー像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成されたトナー像が、転写手段(例えば、転写ローラーなど)6からの転写バイアスによって、転写材上に転写されていく。このとき、転写材Pは、転写材供給手段(不図示)から電子写真感光体1と転写手段6との間(当接部)に電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて給送される。また、転写手段には、トナーの保有電荷とは逆極性のバイアス電圧がバイアス電源(不図示)から印加される。
トナー像が転写された転写材Pは、電子写真感光体の表面から分離されて定着手段8へ搬送されてトナー像の定着処理を受けることにより、画像形成物(プリント、コピー)として電子写真装置外へプリントアウトされる。
トナー像転写後の電子写真感光体1の表面は、電子写真感光体1の表面に接触配置(当接)されたクリーニング部材(クリーニングブレードなど)を有するクリーニング手段7によって転写残トナーなどの付着物の除去を受けて清浄面化される。さらに、前露光手段(不図示)からの前露光光(不図示)により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、図5に示すように、帯電手段3が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
本発明においては、電子写真感光体1、帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段7などから選択される構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成してもよい。また、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。図5では、電子写真感光体1と、帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段7とを一体に支持してカートリッジ化して、電子写真装置本体のレールなどの案内手段10を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ9としている。
露光光4は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合、原稿からの反射光や透過光、または、センサーで原稿を読み取り、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイや液晶シャッターアレイの駆動などにより照射される光である。
次に、本発明のトナーについて説明する。
本発明のトナーの特徴のひとつは、結着樹脂、ワックスを有するトナー粒子と該トナー粒子表面にシリカ微粒子を有するトナーにおいて、平均円形度が0.950以上0.980以下であることである。
トナーの平均円形度が0.950未満である場合、トナーの転写性が低下することで、特に電子写真感光体表面にある凹部のトナーが転写されず融着しやすい傾向にある。また、トナーの平均円形度が0.980を超える場合、電子写真感光体表面にある凹部のトナーがクリーニングされにくくなることで融着しやすい傾向がある。
トナーの平均円形度は0.955以上0.975以下であることが好ましい。
また、本発明のひとつの特徴は、前記シリカ微粒子が、一次粒子の個数平均粒径が60nm以上300nm以下であり、該トナー表面の該シリカ微粒子の被覆率が15%以上95%以下であることである。
該シリカ微粒子の平均粒子径が60nm未満である場合、トナー表面での凹凸が少なくなりトナー−部材間の付着性が増し、特に電子写真感光体表面にある凹部のトナーの転写性やクリーニング性が悪くなり融着しやすい傾向がある。また、平均粒子径が300nmを超える場合、トナー表面でのシリカ微粒子の分散が不均一となり易く、トナー間付着力にバラつきが生じる。その結果、クリーニング部材と感光体の当接部に存在するトナー滞留層の幅が小さくなり、電子写真感光体表面にある凹部のトナーがクリーニングされずに融着しやすい傾向にある。
該シリカ微粒子の平均粒子径は70nm以上250nm以下であることが好ましい。
該シリカ微粒子の被覆率が15%未満である場合、トナー表面での凹凸が少なくなりトナー−部材間の付着性が増し、特に電子写真感光体表面にある凹部のトナーの転写性やクリーニング性が悪くなり融着しやすい傾向がある。また、該シリカ微粒子の被覆率が95%を超える場合、トナー間付着力が小さくなる。その結果、クリーニング部材と感光体の当接部に存在するトナー滞留層の幅が小さくなり、電子写真感光体表面にある凹部のトナーがクリーニングされずに融着しやすい傾向にある。
該シリカ微粒子の被覆率は20%以上60%以下であることが好ましい。
また、本発明のひとつの特徴は、トナーの、最大圧密応力10.0kPa時における単軸崩壊応力が、2.5kPa以上3.5kPa以下であることである。
単軸崩壊応力が2.5kPa未満である場合、トナー間付着力が小さくなる。その結果、クリーニング部材と感光体の当接部に存在するトナー滞留層の幅が小さくなり、電子写真感光体表面にある凹部のトナーがクリーニングされずに融着しやすい傾向にある。また単軸崩壊応力が、3.5kPaを超える場合、トナー間付着力が極端に大きくトナーの転写性が低下することで、特に電子写真感光体表面にある凹部のトナーが転写されず融着しやすい傾向にある。
トナーの、最大圧密応力10.0kPa時における単軸崩壊応力が、2.7kPa以上3.3kPa以下であることが好ましい。
また本発明のトナーは、該シリカ微粒子の固着率が、該シリカ微粒子総量の80質量%以上であることが好ましい。80質量%未満である場合、長期の使用においてトナー表面からの脱離が発生し、トナー−部材間の付着力が増す。その結果、電子写真感光体表面にある凹部のトナーがクリーニングされにくくなることで融着しやすい傾向にある。
該シリカ微粒子の固着率は85質量%以上であることがより好ましい。
トナーが上記の如き構成を得るための、ひとつの具体例としては、ビニル系樹脂成分と炭化水素化合物が反応した構造を有する重合体をトナー粒子に含有させ、シリカ微粒子をトナー粒子の表面に熱風処理によって固着させる手段があげられる。前記重合体とは、ワックスと樹脂間に存在することでその界面エネルギーを下げてトナー中でのワックスの分散性を良好にするものである。前記熱風処理では、前記重合体が存在することでワックスのトナー粒子表面方向への移動速度をコントロールすることが可能で、前記トナー粒子表面に固着されたシリカ微粒子と前記重合体の間にワックスを偏在させることができる。この表面構成を形成することにより、本発明の如くシリカ微粒子の被覆率を比較的大きく設定しても、圧密時の単軸崩壊応力を維持しながら、所望の円形度のトナーを得ることが可能となる。
[樹脂]
本発明のトナーに使用される結着樹脂としては、特に限定されず、下記の重合体又は樹脂を用いることが可能である。
例えば、ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油系樹脂などが使用できる。
これらの中で、低温定着性、帯電性制御の観点で、ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
本発明で好ましく用いられるポリエステル樹脂としては、「ポリエステルユニット」を結着樹脂鎖中に有している樹脂であり、該ポリエステルユニットを構成する成分としては、具体的には、2価以上のアルコールモノマー成分と、2価以上のカルボン酸、2価以上のカルボン酸無水物及び2価以上のカルボン酸エステル等の酸モノマー成分とが挙げられる。
例えば、該2価以上のアルコールモノマー成分として、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ソルビット、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
これらの中で好ましく用いられるアルコールモノマー成分としては、芳香族ジオールであり、ポリエステル樹脂を構成するアルコールモノマー成分において、芳香族ジオールは、80モル%以上の割合で含有することが好ましい。
一方、該2価以上のカルボン酸、2価以上のカルボン酸無水物及び2価以上のカルボン酸エステル等の酸モノマー成分としては、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6乃至18のアルキル基又はアルケニル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;が挙げられる。
これらの中で好ましく用いられる酸モノマー成分としては、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、フマル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等の多価カルボン酸である。
また、該ポリエステル樹脂の酸価は、1mgKOH/g以上20mgKOH/g以下であることがより摩擦帯電量の安定性の観点で好ましい。
なお、該酸価は、樹脂に用いるモノマーの種類や配合量を調整することにより、上記範囲とすることができる。具体的には、樹脂製造時のアルコールモノマー成分比/酸モノマー成分比、分子量を調整することにより制御できる。また、エステル縮重合後、末端アルコールを多価酸モノマー(例えば、トリメリット酸)で反応させることに制御できる。
[ワックス]
本発明のトナーに用いられるワックスとしては、特に限定されないが、以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸の如き飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如き飽和アルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸の如き脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如きアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
これらのワックスの中でも、低温定着性、耐定着巻きつき性を向上させるという観点で、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックスが好ましい。
該ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上20質量部以下で使用されることが好ましい。また、トナーの保存性と耐高温オフセット性の両立の観点から、示差走査熱量分析装置(DSC)で測定される昇温時の吸熱曲線において、温度30℃以上200℃以下の範囲に存在する最大吸熱ピークのピーク温度が50℃以上110℃以下であることが好ましい。
[着色剤]
本発明のトナーに含有できる着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤とマゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタ着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタ着色染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1の如き油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28の如き塩基性染料。
シアン着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料。
シアン着色染料としては、C.I.ソルベントブルー70がある。
イエロー着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロー着色染料としては、C.I.ソルベントイエロー162がある。
上記着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上30質量部以下で使用されることが好ましい。
[CA剤]
本発明のトナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。トナーに含有される荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
ネガ系荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ジカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩或いはスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸塩或いはカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。荷電制御剤はトナー粒子に対して内添しても良いし外添しても良い。荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して、0.2質量部以上10質量部以下が好ましい。
[外添剤]
本発明では、必要に応じて流動性向上や摩擦帯電量調整のために、更に外添剤が添加されていてもよい。
当該外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、チタン酸ストロンチウムの如き無機微粒子が好ましい。該無機微粒子は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物の如き疎水化剤で疎水化処理されていることが好ましい。
用いられる外添剤の比表面積としては、比表面積が10m2/g以上50m2/g以下の無機微粒子が、外添剤の埋め込み抑制の観点で好ましい。
また、該外添剤は、トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下使用されることが好ましい。
トナー粒子と外添剤との混合は、ヘンシェルミキサーの如き公知の混合機を用いることができるが、混合できればよく、特に装置は限定されるものではない。
[シリカ微粒子]
外添剤として用いられるシリカ微粒子としては、例えば、湿式法、火炎溶融法及び気相法など任意の方法で製造されたシリカ微粒子が好ましく用いられる。
湿式法としては、水が存在する有機溶媒中にアルコキシシランを滴下し、触媒により加水分解、縮合反応させた後、得られたシリカゾル懸濁液から溶媒を除去し、乾燥してゾルゲルシリカを得るゾルゲル法が挙げられる。
火炎溶融法としては、常温でガス状または液状である珪素化合物を、予めガス状にした後、水素および/または炭化水素からなる可燃性ガスと、酸素を供給して形成した外炎中において、該珪素化合物を分解・溶融させてシリカ微粒子(溶融シリカ)を得る方法が挙げられる。該火炎溶融法では、外炎中において、該珪素化合物からシリカ微粒子を生成させると同時に、所望の粒径や形状となるようにシリカ微粒子同士を融着、合一させた後冷却し、バグフィルター等で捕集することができる。原料として用いる該珪素化合物は、常温でガス状または液状であれば特に制限はなく、例えばヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン及びデカメチルシクロペンタシロキサンなどの環状シロキサン、ヘキサメチルジシロキサン及びオクタメチルトリシロキサンなどのシロキサン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン及びジメチルジメトキシシランなどのアルコキシシラン、テトラメチルシラン、ジエチルシラン及びヘキサメチルジシラザンなどの有機シラン化合物、モノクロロシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン及びテトラクロロシラン等のハロゲン化珪素、モノシラン及びジシラン等の無機珪素が挙げられる。
気相法としては、四塩化珪素を酸素、水素及び希釈ガス(例えば、窒素、アルゴン及び二酸化炭素など)の混合ガスとともに高温で燃焼させて製造する、ヒュームド法が挙げられる。
シリカ微粒子は、表面を疎水化処理する目的で、表面処理を施すことが好ましい。このときの表面処理剤としては、シランカップリング剤またはシリコーンオイルが好ましく用いられる。
シランカップリング剤としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラメン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、へキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、及び1分子当たり2乃至12個のシロキサン単位を有し、末端に位置する単位に夫々1個あたりのケイ素原子に結合した水酸基を含有したジメチルポリシロキサンが挙げられる。
本発明に用いる無機微粉体の処理に用いるシリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル,アルキル変性シリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が挙げられる。シリコーンオイルとしては上記式のものに限定されるわけではない。上記シリコーンオイルは、温度25℃における粘度が50乃至1000mm2/sの物が好ましい。50mm2/s未満では熱が加わることにより一部揮発し、帯電特性が劣化しやすい。1000mm2/sを超える場合では、処理作業上取扱いが困難となる。シリコーンオイル処理の方法としては、公知技術が使用できる。例えば、ケイ酸微粉体とシリコーンオイルとを混合機を用い、混合する;ケイ酸微粉体中にシリコーンオイルを噴霧器を用い噴霧する;或いは溶剤中にシリコーンオイルを溶解させた後、ケイ酸微粉体を混合する方法が挙げられる。処理方法としてはこれに限定されるものではない。
該シリカ微粒子は、表面処理剤としてヘキサメチルジシラザンまたはシリコーンオイルを用いたものが好ましい。
該シリカ微粒子の帯電量Qは、負帯電極性トナー用標準キャリアとの摩擦帯電量計測において、−200(mC/kg)以上−20(mC/kg)以下であることが好ましい。
[キャリア]
本発明のトナーは、長期にわたり安定した画像が得られるという点で、磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として用いることが好ましい。
磁性キャリアとしては、例えば、表面を酸化した鉄粉、或いは、未酸化の鉄粉や、鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、希土類の如き金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子、フェライト等の磁性体や、磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)等、一般に公知のものを使用できる。
また本発明のトナーの効果を最大限発揮するためには、下記式(1)で表される構造を有するモノマーと下記式(2)で表される構造を有するマクロモノマーとを共重合成分として含有する共重合体によって、キャリアコア表面が被覆されているキャリアを用いることが好ましい。
(式中、R1は炭素数4以上の炭化水素基を示し、R
2はHまたはCH
3を示す。)
(式中、Aは炭素数5以上10以下の脂環炭化水素基、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、スチレン、アクリロニトリルからなるグループより選ばれる1種又は2種以上の化合物を重合成分とする重合体を示し、R
3はHまたはCH
3を示す。)
磁性キャリアの混合比率は、現像剤中のトナー濃度として、2質量%以上15質量%以下とすることが好ましく、より好ましくは4質量%以上13質量%以下にすると通常良好な結果が得られる。トナー濃度が2質量%未満では画像濃度が低下しやすく、15質量%を超えるとカブリや機内飛散が発生しやすい。
次に、本発明に関わる各物性の測定方法について記載する。
<トナーの平均円形度の測定方法>
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は512×512画素の画像処理解像度(一画素あたり0.37×0.37μm)で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積Sや周囲長L等が計測される。
次に、上記面積Sと周囲長Lを用いて円相当径と円形度を求める。円相当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度Cは、円相当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
円形度C=2×(π×S)1/2/L
粒子像が円形の時に円形度は1.000になり、粒子像外周の凹凸の程度が大きくなればなるほど円形度は小さい値になる。各粒子の円形度を算出後、円形度0.200乃至1.000の範囲を800分割し、得られた円形度の相加平均値を算出し、その値を平均円形度とする。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2ml加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に該コンタミノンNを約2ml添加する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した該フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。該手順に従い調整した分散液を該フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を指定することにより、その範囲の粒子の個数割合(%)、平均円形度を算出することができる。トナーの平均円形度は、円相当径1.98μm以上39.96μm以下とし、トナーの平均円形度を求めた。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.98μm以上39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
<被覆率Xの算出 シリカ>
本発明における被覆率Xは、日立超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡S−4800((株)日立ハイテクノロジーズ)にて撮影されたトナー表面画像を、画像解析ソフトImage−Pro Plus ver.5.0((株)日本ローパー)により解析して算出する。S−4800の画像撮影条件は以下の通りである。
(1)試料作製
試料台(アルミニウム試料台15mm×6mm)に導電性ペーストを薄く塗り、その上にトナーを吹きつける。さらにエアブローして、余分なトナーを試料台から除去し十分乾燥させる。試料台を試料ホルダにセットし、試料高さゲージにより試料台高さを36mmに調節する。
(2)S−4800観察条件設定
被覆率Xの算出は、S−4800の反射電子像観察により得られた画像を用いて行う。反射電子像は2次電子像と比べて無機微粒子のチャージアップが少ないため、被覆率Xを精度良く測定することが出来る。尚、シリカ微粒子以外の粒子がトナー粒子表面に存在している場合には、エネルギー分散型X線分析装置(EDAX)による元素分析を行い、シリカ微粒子を特定した後、被覆率Xを算出する。
S−4800の鏡体に取り付けられているアンチコンタミネーショントラップに液体窒素を溢れるまで注入し、30分間置く。S−4800の「PC−SEM」を起動し、フラッシング(電子源であるFEチップの清浄化)を行う。画面上のコントロールパネルの加速電圧表示部分をクリックし、[フラッシング]ボタンを押し、フラッシング実行ダイアログを開く。フラッシング強度が2であることを確認し、実行する。フラッシングによるエミッション電流が20乃至40μAであることを確認する。試料ホルダをS−4800鏡体の試料室に挿入する。コントロールパネル上の[原点]を押し試料ホルダを観察位置に移動させる。
加速電圧表示部をクリックしてHV設定ダイアログを開き、加速電圧を[0.8kV]、エミッション電流を[20μA]に設定する。オペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、信号選択を[SE]に設置し、SE検出器を[上(U)]および[+BSE]を選択し、[+BSE]の右の選択ボックスで[L.A.100]を選択し、反射電子像で観察するモードにする。同じくオペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、電子光学系条件ブロックのプローブ電流を[Normal]に、焦点モードを[UHR]に、WDを[3.0mm]に設定する。コントロールパネルの加速電圧表示部の[ON]ボタンを押し、加速電圧を印加する。
(3)焦点調整
操作パネルのフォーカスつまみ[COARSE]を回転させ、ある程度焦点が合ったところでアパーチャアライメントの調整を行う。コントロールパネルの[Align]をクリックし、アライメントダイアログを表示し、[ビーム]を選択する。操作パネルのSTIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を回転し、表示されるビームを同心円の中心に移動させる。次に[アパーチャ]を選択し、STIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を一つずつ回し、像の動きを止める又は最小の動きになるように合わせる。アパーチャダイアログを閉じ、オートフォーカスで、ピントを合わせる。その後、倍率を50000(50k)倍に設定し、上記と同様にフォーカスつまみ、STIGMA/ALIGNMENTつまみを使用して焦点調整を行い、再度オートフォーカスでピントを合わせる。この操作を再度繰り返し、ピントを合わせる。ここで、観察面の傾斜角度が大きいと被覆率の測定精度が低くなりやすいので、ピント調整の際に観察面全体のピントが同時に合うものを選ぶことで、表面の傾斜が極力無いものを選択して解析する。
(4)画像保存
ABCモードで明るさ合わせを行い、サイズ640×480ピクセルで写真撮影して保存する。この画像ファイルを用いて下記の解析を行う。トナー粒子一つに対して写真を1枚撮影し、少なくともトナー30粒子以上について画像を得る。
(5)画像解析
本発明では下記解析ソフトを用いて、上述した手法で得た画像を2値化処理することで被覆率Xを算出する。このとき、上記一画面を正方形で12分割してそれぞれ解析する。 画像解析ソフトImage−Pro Plus ver.5.0の解析条件は以下の通りである。
ソフトImage−ProPlus5.1J
ツールバーの「測定」から「カウント/サイズ」、「オプション」の順に選択し、二値化条件を設定する。オブジェト抽出オプションの中で8連結を選択し、平滑化を0とする。その他、予め選別、穴を埋める、包括線は選択せず、「境界線を除外」は「なし」とする。ツールバーの「測定」から「測定項目」を選択し、面積の選別レンジに2乃至107と入力する。
被覆率の計算は、正方形の領域を囲って行う。この時、領域の面積(C)は24000乃至26000ピクセルになるようにする。「処理」−2値化で自動2値化し、シリカの無い領域の面積の総和(D)を算出する。
正方形の領域の面積C、シリカの無い領域の面積の総和Dから下記式で被覆率aが求められる。
被覆率a(%)=100−(D/C×100)
得られた全データの平均値を本発明における被覆率Xとする。
<シリカ微粒子の粒径の算出>
シリカ微粒子の一次粒子の個数平均粒径は、日立超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡S−4800((株)日立ハイテクノロジーズ)にて撮影されたトナー表面の画像から算出される。S−4800の画像撮影条件は以下の通りである。
上述した「被覆率Xの算出」と同様に(1)乃至(2)まで操作を行い、(3)と同様にトナー表面を倍率5万倍で焦点調整を行ってピントを合わせた後、ABCモードで明るさ合わせを行う。その後、倍率を10万倍とした後に(3)と同様にフォーカスつまみ、STIGMA/ALIGNMENTつまみを使用して焦点調整を行い、更に、オートフォーカスでピントを合わせる。焦点調整の操作を再度繰り返し、10万倍にてピントを合わせる。
その後、トナー表面上の少なくとも300個の無機微粒子について粒径を測定して、一次粒子の個数平均粒径を求める。ここで、シリカ微粒子は凝集塊として存在するものもあるため、一次粒子と確認できるものの最大径を求め、得られた最大径を算術平均することによって、一次粒子の個数平均粒径を得る。
<固着されていない無機微粒子の分離方法>
本発明では、固着されている無機微粒子の測定を行う。
このため、以下の手法で固着されていない無機微粒子を取り除くことが必要である。
50ml容量のバイアルに「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の2質量%水溶液20gを秤量し、トナー1gと混合する。いわき産業社製「KM Shaker」(model:V.SX)にセットし、speedを50に設定して30秒間振とうする。その後、遠心分離機(1000rpmにて5分間)にて、トナーと水溶液を分離する。上澄み液を分離し、沈殿しているトナーを真空乾燥し、固着されていない無機微粒子を分離したトナー粒子を得た。
<トナー粒子表面に固着されているシリカ微粒子の量>
本発明のトナー粒子100質量部に対するシリカ微粒子の添加量[質量部]は、蛍光X線分析装置で求めることができる。以下本発明における測定方法を説明する。
波長分散型蛍光X線分析装置Axios advanced(PANalytical社製)を用いてHe雰囲気下、FP法にてトナー粒子中のSi元素を直接測定する。
本発明では、実施例中に示したトナー粒子1の製造例のうち、シリカ微粒子1の添加量を1.0質量部、2.0質量部、5.0質量部、10.0質量部と変えて、標品を作製した。それぞれのSi元素量を測定し、シリカに対する検量線を作成する。
その後、固着されていない無機微粒子を分離したトナー粒子を該波長分散型蛍光X線分析装置で測定し、得られた蛍光X線強度を、検量線と比較し、シリカ微粒子の添加量[質量部](上述の[C])を算出した。
以下、具体的な実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。また、電子写真感光体を、以下単に「感光体」ともいう。また、以下のすべての例において、電子写真感光体の表面に形成された凹部の開口部の形状は、開口部最長径と開口部最短径が等しい円状である。
(感光体1の製造例)
直径30.7mm、長さ370mmのアルミニウムシリンダーを支持体(円筒状支持体)とした。
次に、酸化スズで被覆されている硫酸バリウム粒子(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業(株)製)60部、酸化チタン粒子(商品名:TITANIX JR、テイカ(株)製)15部、レゾール型フェノール樹脂(商品名:フェノライト J−325、大日本インキ化学工業(株)製、固形分70質量%)43部、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レシリコーン(株)製)0.015部、シリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120、東芝シリコーン(株)製)3.6部、2−メトキシ−1−プロパノール50部、および、メタノール50部を、ボールミルに入れ、20時間分散処理することによって、導電層用塗布液を調製した。この導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、得られた塗膜を1時間140℃で加熱し、硬化させることによって、膜厚15μmの導電層を形成した。
次に、共重合ナイロン(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)10部およびメトキシメチル化6ナイロン樹脂(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学(株)製)30部を、メタノール400部/n−ブタノール200部の混合溶剤に溶解させることによって、下引き層用塗布液を調製した。この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間100℃で乾燥させることによって、膜厚0.45μmの下引き層を形成した。
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°および28.2°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)20部、下記構造式(1)で示されるカリックスアレーン化合物0.2部、
ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)10部、および、シクロヘキサノン600部を、直径1mmガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、4時間分散処理した後、酢酸エチル700部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を電荷輸送層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を15分間80℃で乾燥させることによって、膜厚0.17μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記構造式(2)で示される化合物(電荷輸送物質(正孔輸送性化合物))70部、
および、ポリカーボネート(商品名:ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ビスフェノールZ型のポリカーボネート)100部を、モノクロロベンゼン600部/ジメトキシメタン200部の混合溶剤に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。この電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間100℃で乾燥させることによって、膜厚15μmの電荷輸送層を形成した。
次に、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラーH、日本ゼオン(株)製)20部/1−プロパノール20部の混合溶剤を、ポリフロンフィルター(商品名:PF−040、アドバンテック東洋(株)製)で濾過した。その後、下記構造式(3)で示される正孔輸送性化合物90部、
1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン70部、および、1−プロパノール70部を上記混合溶剤に加えた。これをポリフロンフィルター(商品名:PF−020、アドバンテック東洋(株)製)で濾過することによって、第二電荷輸送層(保護層)用塗布液を調製した。この第二電荷輸送層用塗布液を電荷輸送層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を大気中において10分間50℃で乾燥させた。その後、窒素中において加速電圧150kV、ビーム電流3.0mAの条件で支持体(被照射体)を200rpmで回転させながら、1.6秒間電子線を塗膜に照射した。なお、このときの電子線の吸収線量を測定したところ、15kGyであった。引き続いて、窒素中において25℃から125℃まで30秒かけて昇温させ、塗膜の加熱を行った。電子線照射およびその後の加熱時の雰囲気の酸素濃度は15ppm以下であった。次に、大気中において25℃まで塗膜を自然冷却し、大気中において30分間100℃で加熱処理を行うことによって、膜厚5μmの第二電荷輸送層(保護層)を形成した。
このようにして、表面に凹部を形成する前の円筒状の電子写真感光体(凹部形成前の電子写真感光体)を作製した。
・モールド圧接形状転写による凹部の形成
概ね図4に示す構成の圧接形状転写加工装置に、モールドとして概ね図6に示す形状のモールド(本例においては、最長径(凸部を上から見たときの最長径のこと。以下同じ。)Xm:50μm、間隔Y1:64μmおよびY2:77μm、高さH:2.0μmのドーム型形状)を設置し、作製した凹部形成前の電子写真感光体に対して表面加工を行った。加工時には、電子写真感光体の表面の温度が110℃になるように電子写真感光体およびモールドの温度を制御し、3.0MPaの圧力で電子写真感光体と加圧部材を押し付けながら、電子写真感光体を周方向に回転させて、電子写真感光体の表面(周面)の全面に凹部を形成した。
このようにして、表面に凹部を有する電子写真感光体を作製した。この電子写真感光体を「感光体1」とする。
<電子写真感光体の表面の観察>
得られた電子写真感光体(感光体1)の表面を、レーザー顕微鏡((株)キーエンス製、商品名:VK−9500)で50倍レンズにより拡大観察し、上述のようにして電子写真感光体の表面に設けられた特定凹部および平坦部の判定を行った。観察時には、電子写真感光体の長手方向に傾きが無いように、また、周方向については、電子写真感光体の円弧の頂点にピントが合うように、調整を行った。一辺500μmの正方形領域は、拡大観察を行った画像を画像連結アプリケーションによって連結して得た。また、得られた結果については、付属の画像解析ソフトにより、画像処理高さデータを選択し、フィルタタイプメディアンでフィルタ処理を行った。
上記観察によって特定凹部の深さ、開口部最長径および面積ならびに平坦部の面積、平坦部における狭小部分の面積の割合を求めたた。上記観察結果と特定凹部の該電子写真感光体の周方向における最大傾斜角を表1に示す。
なお、電子写真感光体(感光体1)の表面を、他のレーザー顕微鏡((株)キーエンス製、商品名:X−200)を用い、上記と同様の方法で観察を行ったところ、上記のレーザー顕微鏡(株)キーエンス製、商品名:VK−9500)を用いた場合と同様の結果が得られた。以下の例では、電子写真感光体(感光体1)の表面の観察に、レーザー顕微鏡((株)キーエンス製、商品名:VK−9500)および50倍レンズを用いた。
(感光体2乃至15の製造例)
感光体1の製造例において、モールドとして表1に示すモールドを用いた以外は、感光体1の製造例と同様にして電子写真感光体を作製した。得られた表面に凹部を有する電子写真感光体を「感光体2」乃至「感光体15」とする。
感光体1の製造例と同様にして、得られた電子写真感光体の表面の観察を行った。結果を表1に示す。
[結着樹脂1製造例]
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン76.9部(0.167モル)、テレフタル酸24.1部(0.145モル)、及びチタンテトラブトキシド0.5部をガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、4時間反応させた(第1反応工程)。その後、無水トリメリット酸2.0部(0.010モル)を添加し、180℃で1時間反応させ(第2反応工程)、結着樹脂1を得た。
この結着樹脂1の酸価は10mgKOH/gであり、水酸基価は65mgKOH/gであった。また、GPCによる分子量は、重量平均分子量(Mw)8,000、数平均分子量(Mn)3,500、ピーク分子量(Mp)5,700、軟化点は90℃であった。
[結着樹脂2製造例]
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン71.3部(0.155モル)、テレフタル酸24.1部(0.145モル)、及びチタンテトラブトキシド0.6部をガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2時間反応させた(第1反応工程)。その後、無水トリメリット酸5.8部(0.030モル%)を添加し、180℃で10時間反応させ(第2反応工程)、結着樹脂2を得た。
この結着樹脂2の酸価は15mgKOH/gであり、水酸基価は7mgKOH/gである。また、GPCによる分子量は、重量平均分子量(Mw)200,000、数平均分子量(Mn)5,000、ピーク分子量(Mp)10,000、軟化点は130℃であった。
[重合体製造例1]
・低密度ポリエチレン(Mw1400、Mn850、DSCによる最大吸熱ピークが100℃) 18部
・スチレン 66部
・n−ブチルアクリレート 13.5部
・アクリロニトリル 2.5部
をオートクレーブに仕込み、系内をN2置換後、昇温撹拌しながら180℃に保持した。系内に、2質量%のt−ブチルハイドロパーオキシドのキシレン溶液50部を5時間連続的に滴下し、冷却後溶媒を分離除去し、上記低密度ポリエチレンにビニル樹脂成分が反応した重合体Aを得た。重合体Aの分子量を測定したところ、重量平均分子量(Mw)7100、数平均分子量(Mn)3000であった。さらに、45体積%メタノール水溶液に分散した分散液における温度25℃で測定した600nmの波長における透過率は69%であった。
[重合体製造例2]
・低密度ポリエチレン(Mw1300、Mn800、DSCによる最大吸熱ピークが95℃) 20部
・o−メチルスチレン 65部
・n−ブチルアクリレート 11部
・メタアクリロニトリル 4.0部
をオートクレーブに仕込み、系内をN2置換後、昇温撹拌しながら170℃に保持した。系内に、2質量%のt−ブチルハイドロパーオキシドのキシレン溶液50部を5時間連続的に滴下し、冷却後溶媒を分離除去し、上記低密度ポリエチレンにビニル樹脂成分が反応した重合体Bを得た。重合体Bの分子量を測定したところ、重量平均分子量(Mw)6900、数平均分子量(Mn)2900であった。さらに、45体積%メタノール水溶液に分散した分散液における温度25℃で測定した600nmの波長における透過率は63%であった。
[シリカ微粒子1の製造例]
シリカ微粒子1の製造には、燃焼炉は、内炎と外炎が形成できる二重管構造の炭化水素−酸素混合型バーナーを用いた。バーナー中心部にスラリー噴射用の二流体ノズルが接地され、原料の珪素化合物が導入される。二流体ノズルの周囲から炭化水素−酸素の可燃性ガスが噴射され、還元雰囲気である内炎及び外炎を形成する。可燃性ガスと酸素の量及び流量の制御により、雰囲気と温度、火炎の長さ等が調整される。火炎中において珪素化合物からシリカ微粒子が形成され、さらに所望の粒径になるまで融着させる。その後、冷却後、バグフィルター等により捕集することによって得られる。
原料の珪素化合物として、ヘキサメチルシクロトリシロキサンを用いて、シリカ微粒子を製造し、得られたシリカ微粒子99.6質量%に、ヘキサメチルジシラザン0.4質量%で表面処理して110nmのシリカ微粒子1を得た。
[シリカ微粒子2乃至7の製造例]
シリカ原体の平均粒子径を表2のとおりに変更した以外はシリカ微粒子1と同様の手法で作製した。
<トナー1製造例>
・結着樹脂1 50.0部
・結着樹脂2 50.0部
・フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピークのピーク温度78℃) 6.0部
・C.I.ピグメントブルー15:3 5.0部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5部
・重合体A 5.0部
該処方で示した原材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数20s-1、回転時間5minで混合した後、温度125℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、株式会社池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらに回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、トナー粒子を得た。回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン社製)の運転条件は、分級ローター回転数を50.0s-1で分級を行った。得られたトナー粒子は、重量平均粒径(D4)が5.7μmであった。
得られたトナー粒子100部に、シリカ微粒子1を4.5部添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)で、回転数30s-1、回転時間10minで混合し、図8で示す表面処理装置によって熱処理を行った。運転条件はフィード量=5kg/hrとし、また、熱風温度C=220℃、熱風流量=6m3/min.、冷風温度E=5℃、冷風流量=4m3/min.、冷風絶対水分量=3g/m3、ブロワー風量=20m3/min.、インジェクションエア流量=1m3/min.とした。得られた処理トナー粒子は、平均円形度が0.963、重量平均粒径(D4)が6.2μmであった。
得られた処理トナー粒子100部に、n−オクチルトリエトキシシラン4.0質量%で表面処理したBET比表面積10m2/gのチタン酸ストロンチウム微粒子0.5部を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)で回転数30s-1、回転時間10min混合して、トナー1を得た。得られたトナーの物性を表3に示す。
<トナー2乃至28製造例>
表2に示す通りに、WAX、重合体、シリカ微粒子、それぞれの添加部数を変更し、熱風温度を表2のとおりに処理する以外は、トナー1製造例と同様にして、トナー2乃至28を得た。得られたトナーの物性を表3に示す。
[磁性キャリア1製造例]
<共重合体1の製造>
下記式(3)で示される構造を有する一方の末端にエチレン性不飽和基(メタクリロイル基)を有する重量平均分子量5,000のメタクリル酸メチルマクロマー(平均値n=50)25部と、下記式(4)で示される構造を有するシクロヘキシルをユニットとしてエステル部位を有するメタクリル酸シクロヘキシルモノマー75部を、還流冷却器、温度計、窒素吸い込み管、及びすり合わせ方式撹拌装置を有する四つ口フラスコに加えた。さらにトルエン90部、メチルエチルケトン110部、及びアゾビスイソバレロニトリル2.0部を加えた。得られた混合物を、窒素気流下70℃で10時間保持し、重合反応終了後、洗浄を繰り返し、グラフト共重合体溶液(固形分33質量%)を得た。この溶液のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による重量平均分子量は、56,000であった。また、Tgは91℃であった。これを共重合体1とする。
<キャリアコアの製造>
工程1(秤量・混合工程):
Fe2O3 60.2質量%
MnCO3 33.9質量%
Mg(OH)2 4.8質量%
SrCO3 1.1質量%
となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、ジルコニア(φ10mm)のボールを用いた乾式ボールミルで2時間粉砕・混合した。
工程2(仮焼成工程):
粉砕・混合した後、バーナー式焼成炉を用い大気中で1000℃で3時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。フェライトの組成は、下記の通り。
(MnO)a(MgO)b(SrO)c(Fe2O3)d
上記式において、a=0.39、b=0.11、c=0.01、d=0.50
工程3(粉砕工程):
クラッシャーで0.5mm程度に粉砕した後に、ジルコニア(φ10mm)のボールを用い、仮焼フェライト100部に対し、水を30部加え、湿式ボールミルで2時間粉砕した。
そのスラリーを、ジルコニアのビーズ(φ1.0mm)を用いた湿式ビーズミルで4時間粉砕し、フェライトスラリーを得た。
工程4(造粒工程):
フェライトスラリーに、バインダーとして仮焼フェライト100部に対してポリビニルアルコール2.0部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、約36μmの球状粒子に造粒した。
工程5(本焼成工程):
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%以下)で、1150℃で4時間焼成した。
工程6(選別工程):
凝集した粒子を解砕した後に、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、磁性コア粒子を得た。
<磁性キャリア1の製造例>
共重合体1を固形分10質量%になるようにトルエンに溶解した。その中にカーボンブラック(#25 三菱化学社製)を、被覆樹脂固形分100部に対して5部を添加し、充分に撹拌、分散させた。
次にコート装置として万能混合撹拌機(不二パウダル製)を用い、キャリアコア100部に対して、被覆樹脂量(固形分として)が1.5部になるようコート溶液を3回に分けて投入した。その際、混合機内を減圧し、窒素を導入して、雰囲気を窒素置換した。温度65℃に加熱し、窒素雰囲気で減圧(700MPa)を保ちつつ、撹拌し、キャリアがさらさらになるまで溶剤を除去した。さらに撹拌を行いつつ、窒素を導入しながら温度100℃に加熱し、1時間保持した。冷却後、磁性キャリア1を得た。
[実施例1]
トナー1と磁性キャリア1で、トナー濃度が9質量%になるようにV型混合機(V−10型:株式会社徳寿製作所)で0.5s-1、回転時間5minで混合し、二成分系現像剤1を得た。
感光体1を、評価装置としてのキヤノン(株)製の電子写真装置(複写機)(商品名:iR−ADV C7055)の改造機のシアンステーションに装着し、二成分現像剤1を用いて以下のように評価を行い、結果を表5に示した。補給剤としては、トナー1を用いた。
(評価1)白ポチ評価
温度25℃/湿度3%RHの環境において、出力解像度600dpiで印字比率15%の文字チャートで10万枚のA4連続プリントを行った。連続プリント終了後ベタ黒画像(A3)を5枚サンプリングした。
ベタ黒画像上、左端から5cm、15cm、25cmかつ上端から7cm、21cm、35cmの計9点を中心とした半径2.5cmの円内の白ポチの個数を各円毎に数え、9この円一つあたりの白ポチの個数の平均を求めた。さらに5枚のサンプル画像における平均を求め、以下のランク分けを行った。
A:白ポチなし
B:1.0未満
C:1.0以上2.0未満
D:2.0以上5.0未満
E:5.0以上
(評価2)ドット再現性評価
まず、30℃/80%RH環境下で、電子写真感光体の暗部電位(Vd)が−700V、明部電位(Vl)が−200Vになるように帯電装置および画像露光装置の条件を設定し、電子写真感光体の初期電位を調整した。
次に、硬度77°のポリウレタンゴム製クリーニングブレードを、電子写真感光体の表面に対して当接角28°、当接圧30g/cm(29.4N/m)となるように設定した。電子写真感光体用のヒーター(ドラムヒーター)をOFFにした状態で、30℃/80%RH環境下で、A4横の5%画像の評価用チャートを連続で100000枚出力し、電源を切った状態で30℃/80%RH環境下で3日間放置した。
3日間放置後、電子写真装置を起動し、A4横の出力解像度600dpiの1ドット−1スペースの画像形成を行い、帯電装置近傍の画像濃度とA4全面の画像再現性を以下のように評価した。結果を表6に示す。
また、A4横の5%画像の評価用チャートを連続で出力する枚数を200000枚に変更する以外は同様の方法でドット再現性を評価した。
A:帯電装置近傍において、ドットの乱れや飛び散りが無く(すなわち画像流れが無く)、画像再現性が良好である。
B:帯電装置近傍において、拡大観察した際にわずかにドットの乱れが見られるが、飛び散りは無く、その他の部分については画像再現性が良好である。
C:帯電装置近傍において、拡大観察した際にややドットの乱れや飛び散りを生じているが、その他の部分については画像再現性が良好である。
D:帯電装置近傍において、拡大観察した際にドットの乱れや飛び散りを生じているが、その他の部分については画像再現性が良好である。
E:帯電装置近傍については画像上白ぬけが発生しており、その他の部分についてもやや画像再現性が低い。
[実施例2乃至30]
トナー、キャリアおよび感光体の組み合わせを表4の通りに変えた以外は、実施例1と同様にして二成分系現像剤を得た。得られた二成分現像剤を実施例1と同様にして評価を行い、結果を表5に示した。
[比較例1乃至12]
トナー、キャリアおよび感光体の組み合わせを表4の通りに変えた以外は、実施例1と同様にして二成分系現像剤を得た。得られた二成分現像剤を実施例1と同様にして評価を行い、結果を表5に示した。