JP2014217745A - 超音波診断装置、およびその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】超音波プローブを介して計測対象に超音波を射出して反射波を受信し、血流速を計測する超音波診断装置であって、前記計測対象を撮像した超音波画像を取得する超音波画像取得部と、前記超音波画像取得部が取得した超音波画像から血管領域を検出する血管領域検出部と、前記血管領域の形状に基づいて特定部位を検出し、前記特定部位に基づいて前記血管領域の内部に血管の長軸方向における計測位置を1以上決定する計測位置決定部と、前記計測位置の各々に対応するドプラゲートを血管内腔の内部にそれぞれ設定するドプラゲート設定部とを備える。
【選択図】図1
Description
超音波診断装置による計測方法には、超音波の進行面上の断面像を取得するB(Brightness)モード、超音波の進行方向に垂直な動きを検出するM(Motion)モード、超音波の進行方向と平行な動きを検出するドプラ計測などがある。ドプラ計測を行うにあたっては、計測に適した位置にドプラゲートを正確に設定することが必要となる。例えば、血管に狭窄が存在する場合は、最も血管の狭くなっている位置にドプラゲートを設定する必要がある(非特許文献1)。
本発明は、上述した課題を鑑みて、血流速の計測に適した位置にドプラゲートを設定することのできる超音波診断装置とその制御方法を提供することを目的とする。
超音波診断装置の診断部位は、心臓、血管、肝臓、乳房など多岐に渡るが、近年、動脈硬化のリスク判定を目的とした頸動脈診断が注目されている。
以下に、超音波による頸動脈診断について説明する。図14(a)〜(c)を用いて、頸動脈を超音波でスキャンする際の像の見え方を説明する。図14(a)は、超音波プローブと、そのスキャン面を示す。超音波プローブ上には超音波振動子が配置されており、本例のように超音波振動子が1次元的に配置される際には、超音波振動子の直下の2次元のスキャン面に対して受信信号が得られ、断面像となるBモード画像が得られる。一般的に、頸動脈の診断においては、図14(b)に示すように、頸動脈が伸びた方向(以下、「長軸方向」と呼ぶ)と長軸方向に略直交しかつ皮膚の深さ方向とも略直交な方向(以下、「短軸方向」と呼ぶ)の2方向からの画像を取得する。頸動脈の短軸方向に超音波プローブをスキャンすると、例えば、図14(c)に示すような頸動脈の長軸に沿った断面画像(以下、「長軸断面画像」と呼ぶ)が得られる。他方、頸動脈の長軸方向に超音波プローブをスキャンすると、例えば、図14(d)に示すような頸動脈を短軸方向に切断した断面画像(以下、「短軸断面画像」と呼ぶ)が得られる。
例えば、従来の超音波診断装置においては、Bモード画像から血管領域を検出し、検出した血管領域の所定位置に対してドプラ計測の計測ポイントを決定している。図17に従来の超音波診断装置による計測位置の決定例を示す。この例では、検出した血管領域の中心に計測位置を決定している。そのため、計測位置がプラーク部位の近傍からは外れてしまっており、計測位置においてはプラーク部位の血流速が計測できない。このように、従来の超音波診断装置では、計測したい位置の血流速を得ることができないという課題があった。
(実施の形態)
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
<構成>
実施の形態1の超音波診断装置およびその制御方法について、図面を参照しながら説明する。実施の形態1の超音波診断装置10は、超音波画像から抽出した血管の形状に基づいてプラーク位置などを自動的に特定し、当該位置においてドプラ計測を行う。ここで、超音波画像とは、超音波プローブが計測対象をスキャンして取得した受信信号から生成された、Bモード画像などの静止画像もしくは動画像、または、静止画像もしくは動画像を生成するのに十分な情報を内包している、受信信号あるいは受信信号に処理が施された信号を指す。
超音波画像取得部101は、超音波プローブが計測対象をスキャンして取得した受信信号からBモード画像を生成し、血管領域検出部102に出力する。本実施の形態において、超音波プローブは、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などの超音波振動子が1列に配置されたリニア型のプローブである。また、本実施の形態において、計測対象は頸動脈であるとする。
ドプラ計測部105は、ドプラゲート設定部104で設定されたドプラゲート605における血流速を取得する。
<動作>
図3は、超音波診断装置10の動作を示すフローチャートである。
次に、血管領域検出部102が、超音波画像取得部101が生成したBモード画像から、血管領域を抽出する(S102)。ここで、血管領域検出部102は、血管領域の血管壁の形状と、血管の走行方向とを併せて検出する。
次に、ドプラゲート設定部104が、計測位置決定部103が決定した計測位置のそれぞれに対し、ドプラゲートを設定する(S104)。
次に、超音波診断装置10は、ドプラゲート設定部104が設定したそれぞれのドプラゲートについて、ドプラ計測が終了しているか否かを判定する(S105)。ドプラ計測が終了していないドプラゲートが存在する場合は、ドプラ計測部105が当該ドプラゲートにおける血流速を計測するドプラ計測を実施し(S106)、超音波診断装置10が再度ステップS105を実施する。
<まとめ>
このように、本実施の形態の超音波診断装置10によれば、血管の血管壁の形状を解析して、プラークなどの疾患部位に対する最適なドプラ計測位置を自動的に設定できるため、ドプラ計測を簡便に、かつ、高い再現性で実施できる。
(1)実施の形態1では計測対象が頸動脈であるとしたが、計測対象は頸動脈に限定されるものではなく、腹部大動脈や下腿動脈などの他の血管、あるいは、心臓など、診断において血流速の計測が行われる他の部位であってもよい。
(2)実施の形態1では超音波プローブがリニア型のプローブであるとしたが、コンベックス型やセクタ型のプローブでもよい。また、超音波振動子が揺動する揺動プローブ、超音波振動子が2次元のマトリクス状に配置されたプローブなど、プローブ下の3次元領域の超音波画像が得られるプローブであってもよい。
また、ドプラゲートの幅wが最大肥厚位置における血管内腔の径dの1/2であるとしたが、例えば、w=d/(2cosθ)であるとしてもよい。
(7)実施の形態1では、現在のプローブの位置から計測位置への向きであるドプラゲートの方向と、血管走行方向とのなす角θが60°以上となる場合、超音波診断装置10は、ユーザーに対して超音波プローブの位置や向きの変更を促す案内表示を行うとしたが、現在のプローブの位置や向きから、位置や向きをどれだけ変化させれば、角θが所定の値以下となるかを示す情報を計測情報表示部106に表示してもよい。
図5のフローチャートを用いて説明する。図5において、図3と同じステップについては同じステップ番号を用い、説明を省略する。
また、ステップS110において、超音波画像を3つ以上取得して比較するとしてもよいし、ステップS111において、3回以上のドプラ計測で比較を行うとしてもよい。なお、ステップS111において、ドプラ計測の結果を全て出力するものとしてもよいし、最後の結果だけを出力するとしてもよい。または、複数回のドプラ計測の平均値あるいは中央値などの代表値を出力するとしてもよいし、代表値を出力する場合に、他の計測結果との差異が所定の割合より大きい値を異常値として用いないとしてもよい。
実施の形態1では、血管領域から特定部位としてプラーク部位を検出し、プラーク部位の近傍に計測位置を決定するとしたが、本変形例では、プラークが好発する部位の血管壁の一般的な形状に基づいて計測位置を決定し、血流速を計測する場合について説明する。
図6に、計測位置の決定例を示す。図6は、頸動脈の長軸断面画像を示している。計測位置決定部103は、外膜境界の形状に基づいて、総頸動脈と頸動脈洞との境界611、および、頸動脈洞と内頸動脈および外頸動脈との境界612を、特定部位として検出する。総頸動脈と頸動脈洞との境界611は、血管径や血管の断面積などの値の長軸方向における変化量、あるいは、それら値の微分値(変化率)などに基づいて検出する。総頸動脈の血管径はほぼ均一であるのに対し、頸動脈洞の血管径は総頸動脈との境界付近から内頸動脈や外頸動脈の開始位置に向かって増大するからである。また、頸動脈洞と内頸動脈および外頸動脈との境界612は、血管の短軸断面形状や血管の断面の個数などに基づいて検出する。当該境界において、血管の本数が1本から2本に変化する分岐が存在するからである。
(1)実施の形態1の変形例では、総頸動脈と頸動脈洞との境界611、および、頸動脈洞と内頸動脈および外頸動脈との境界612の双方を用いてセグメント化を行ったが、例えば、図16に示すように、分岐部のみを特定部位として検出し、分岐部を基準に、1cm幅で4つのセグメント701〜704を規定するとしてもよい。
実施の形態2の超音波診断装置20は、予め取得しておいた計測対象器官の3D像を使用して、ドプラ計測の計測位置を決定する点が超音波診断装置10と異なる。以下、実施の形態1と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
<構成>
図7は、超音波診断装置20の構成を示すブロック図である。超音波診断装置20は、超音波画像取得部101、ドプラゲート設定部104、ドプラ計測部105、計測情報表示部106、3D形状解析部201、位置情報取得部202、断面像生成部203、および、計測位置決定部204を備えている。
3D形状解析部201は、予め取得した頸動脈の内膜境界あるいは外膜境界の形状を表す3D像を外部のストレージから取得して解析し、プラーク部位の検出を行う。3D像は、連続して取得した、Bモード画像、CT(X線断層撮影)やMRI(磁気共鳴イメージング)などから構築する。図8(a)に、短軸断面画像であるBモード画像を用いて頸動脈の3D像を構築する例を示す。まず、頸動脈の全体を、位置情報を取得しながら長軸方向に沿って連続的に短軸断面画像を複数毎取得し、次に、短軸断面画像から血管の内膜境界あるいは外膜境界を抽出する。さらに、各画像に対応する位置情報に従って、抽出済みの内膜境界あるいは外膜境界を3次元空間上に配置することで、3D像が得られる。この3D画像は外部のストレージに保持されている。
<動作>
図9は、超音波診断装置20の動作を示すフローチャートである。
次に、超音波画像取得部101は、受信信号を取得してBモード画像を生成する(S202)。
次に、位置情報取得部202は、ステップS202で生成したBモード画像に対応する超音波プローブの位置と向きを取得する(S203)。
次に、計測位置決定部204は、ステップS204で生成された断面像と、3D形状解析部201が検出した特定部位に基づいて、1以上の計測位置を決定する(S205)。
次に、超音波診断装置10は、全てのドプラゲートに対してドプラ計測を行うため、未計測のドプラゲートがなくなるまで(S207)、繰り返し超音波プローブの誘導と(S208)、ドプラ計測とを行う(S209)。ここで、現在の超音波プローブの位置と向きにおけるスキャン面が、計測位置を含む断面像と一致していない場合、計測位置をスキャン面に含むように超音波プローブを誘導するため、アシスト動作を行う(S208)。具体的には、現在のプローブの位置や向きから、位置や向きをどれだけ変化させればスキャン面が断面像と一致するかを示す情報を計測情報表示部106に表示する。超音波プローブが適正な位置に配置されると、設定されているドプラゲートの位置において、ドプラ計測を行う(S209)。
<まとめ>
このようにすることで、予め取得した3D像を基にドプラ計測を行うことができる。そのため、より計測に好適な位置に計測位置を決定することができる。
(1)実施の形態2では、特定部位としてプラーク部位を検出し、特定部位の近傍に計測部位を決定する場合について説明したが、実施の形態1の変形例と同様に、3D形状解析部201は、血管壁の径の変化や血管の分岐構造を特定部位として検出し、計測位置決定部204は、特定部位に基づいて血管をセグメント化し、セグメントごとに計測位置を決定するものとしてもよい。
実施の形態3の超音波診断装置30は、計測対象器官の各セグメントの代表位置における血流速を計測して、血流速が正常であるかどうかを判断することで、プラークなどの疾患を検出する。超音波診断装置10は、内膜境界あるいは外膜境界の形状から疾患部位を検出して血流速を計測するのに対して、超音波診断装置30は、血流速に基づいて疾患部位を検出するという点において異なる。以下、実施の形態1と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
図10は、超音波診断装置30の構成を示すブロック図である。超音波診断装置30は、超音波画像取得部101、血管領域検出部102、ドプラゲート設定部104、ドプラ計測部105、計測位置決定部301、疾患部位検出部302、および、計測情報表示部303を備える。ここでは主に、超音波診断装置30に特徴的な手段である、計測位置決定部301、疾患部位検出部302、および、計測情報表示部303の動作について、頸動脈の診断を例に説明する。
<動作>
図12は、超音波診断装置30の動作を示すフローチャートである。図12において、図3と同じ動作は同じステップ番号を付し、説明を省略する。
また、超音波診断装置30は、全ての計測位置のドプラ計測が終了すると(S105でYes)、疾患部位検出部302が、それぞれの計測位置における、血流速の絶対値、または、血流速の分布に基づいて、疾患候補セグメントを決定する(S302)。
<補足>
(1)実施の形態1〜3において、超音波プローブがリニア型のプローブであるとしたが、本補足では、超音波振動子が2次元上に配置され、プローブ下の3D領域の像が得られるマトリクスプローブを用いる際の動作について説明する。
上記各実施の形態で示した超音波診断装置の制御方法を実現するためのプログラムを、フレキシブルディスク等の記録媒体に記録するようにすることにより、上記実施の形態で示した処理を、独立したコンピュータシステムにおいて簡単に実施することが可能となる。
図13(b)は、フレキシブルディスクの正面からみた外観、断面構造、及びフレキシブルディスクを示し、図13(a)は、記録媒体本体であるフレキシブルディスクの物理フォーマットの例を示している。フレキシブルディスクFDはケースF内に内蔵され、該ディスクの表面には、同心円状に外周からは内周に向かって複数のトラックTrが形成され、各トラックは角度方向に16のセクタSeに分割されている。従って、上記プログラムを格納したフレキシブルディスクでは、上記フレキシブルディスクFD上に割り当てられた領域に、上記プログラムが記録されている。
なお、図1、図7、あるいは図10の超音波診断装置のブロックは典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現される。これらは個別に1チップ化されても良いし、一部又は全てを含むように1チップ化されても良い。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。例えば、GPU(Graphic Processing Unit)などのグラフィクス処理用の専用回路が使用できる。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用しても良い。
また、図1、図7、あるいは図10の超音波診断装置の各構成要素は、インターネットやLAN(Local Area Network)などのネットワークを介して接続してもよい。例えば、ネットワーク上のサーバや蓄積デバイスに保持された超音波画像を読み込む構成などが可能である。さらに、各手段の機能追加などをネットワーク経由で行ってもよい。
本実施の形態では、3D形状解析部201における、連続して長軸方向の異なる位置で取得した複数の短軸断面画像(Bモード画像)から特定部位を検出する手法、および、ドプラゲート設定部105におけるドプラゲートの設定方法ならびに超音波プローブの移動をアシストする手法について説明する。
図18(c)に、係る探索で探し出される二重ループの内側の画素列の画素(xi,yi)を示す。次に、座標(xo,yo)から画素(xi,yi)までの画素間距離do,iを算出する。この画素間距離do,iが、内膜中膜複合体厚である。内膜中膜複合体厚が一定値を超えた個所がプラークであるから、3D形状解析部201は、画素間距離do,iが一定値を超えた場合、座標(xo,yo)、画素(xi,yi)、画素間距離do,iの組を保持する。
ここで、位置情報取得部202が検出した超音波プローブの位置が(xc,yc,zc)である場合、超音波プローブを座標(xp,yp,zp)に誘導する必要がある。図20(b)に、超音波プローブを誘導するためのアシスト画面を示す。アシスト画面を作成するに当たり、血管領域の立体形状モデルを表示するとともに、座標(xp,yp,zp)と(xc,yc,zc)とに超音波プローブの立体形状モデルを配置して表示する必要がある。立体形状モデルとは、相対的な三次元座標の配列により外観形状が規定されるデータである。立体形状モデルを構成する三次元画像が補間されることで、血管領域や、超音波プローブは多面体として表示されることになる。
以上の動作は、CPUやメモリ等のハードウェア資源に対する処理として一般化することができる。図21は、血管領域を撮像した複数の短軸断面画像から、特定部位を検出するための検出手順を示すフローチャートである。本手順は、短軸断面画像のそれぞれについての繰り返し処理lp1と、二重ループ線の外側の画素列の画素のそれぞれについての繰り返し処理lp2とで構成される。繰り返し処理lp1は、対象となる短軸断面画像zjを選択し(S1)、二重ループ線を短軸断面画像zjから検出し(S2)、二重ループ線の中心を検出して(S3)、繰り返し処理lp2に移行するというものである。繰り返し処理lp2は、外側の画素列から対象となる画素(xo,yo)を選択し(S4)、画素(xo,yo)から二重ループの中心に向かう方向に存在する内側の画素列の画素(xi,yi)を検出し(S5)、画素(xo,yo)と画素(xi,yi)との画素間距離do,iを算出して(S6)、画素間距離do,iがしきい値Dthを超えるかを判定し(S7)、超える場合には、(xi,yi、zj)、(xo,yo、zj)、do,iの組み合わせを保持する(S8)処理を、外側の画素列から対象となる画素のそれぞれについて実行する。以上の繰り返し処理lp1、lp2の終了後、画素間距離do,iが最も大きい組み合わせを選択し(S9)、選択された組み合わせにおける(xi,yi、zj)から、断面中心に向けてd/2だけ離れた(xg,yg、zj)をドプラゲートの中心として設定し(S10)、超音波プローブの基準位置(xp,yp、zp)を設定する(S11)。
<補足>
(1)実施の形態5では、画素(xo,yo)から二重ループの中心に向かう方向に存在する内側の画素列の画素(xi,yi)を検出し、画素(xo,yo)と画素(xi,yi)との画素間距離do,iを算出するものとしたが、例えば、以下のように画素間距離do,iを算出するものとしてもよい。例えば、画素(xo,yo)とx座標の差分、y座標の差分が所定の値以下である全ての内側の画素列の画素(xi,yi)を検出して、画素(xo,yo)と画素(xi,yi)との距離の最小値を、画素間距離do,iとしてもよい。
本実施の形態では、血管領域のセグメント化を画像処理で行う手法について説明する。
セグメント化の対象となる血管領域と、画像処理の対象となる複数の短軸断面画像pi1〜pi40を図22に示す。図中の右下における複数の短軸断面画像には、三次元空間におけるz座標が与えられる。z座標は、超音波プローブによりスキャンがなされた人体部位の位置に対応しており、このz座標をカウントすることで、対象となる人体部位の長軸方向のおおよその寸法を推測することができる。
以上、セグメントの境界がz座標により規定されることで、各セグメントがz座標のどの範囲であるかが判明する。bd1、bd2はそれぞれ、画像pi21、pi30のz座標であり、血管領域をセグメントに分割するための境界である。図中のセグメントT1、T2、T3は、bd1、bd2を始点とすることで得られた3つのセグメントである。なお、セグメントT1の始点は画像pi1、セグメントT3の終点は画像pi40であるものとする。セグメントT1は総頸動脈、セグメントT2は頸動脈洞、セグメントT3は内頚動脈および外頸動脈に該当する。また、各セグメント中の(xm,ym,zm)は、対応するセグメントの中心に設定された計測座標である。
まず、変数xと変数iとを初期化する(S21)。
次に、まず、セグメントTx(=T1)のタイプを総頸動脈とする(S22)。
以上、総頸動脈、頸動脈洞、内頸動脈・外頸動脈の各セグメントの始点・終点が判定したところで、lp3によりセグメントの代表点を算出する。例えば、各セグメントTxにおいて、始点のz座標と終点のz座標との中点のz座標zmを算出し(S37)、短軸断面画像zmにおける、二重ループ線の中心(xm,ym,zm)を算出してその座標をセグメントTxに対する計測位置とする(S38)。
図24は、総頸動脈、頸動脈洞、内頸動脈・外頸動脈の各セグメントを、さらにプラークの有無により小セグメントSxに分割するための手順を示している。ここで、小セグメントへの分割対象となるセグメントTxの短軸断面画像数をn(nは2以上の整数)とし、各小セグメントSxの短軸断面画像の最大数をm(mはn以下の整数)とする。
次に、ziにおける内膜中膜複合体厚d(zi)が所定のしきい値Dthを上回っており、かつ、zi-1における内膜中膜複合体厚d(zi-1)が所定のしきい値Dthを上回っていないか否かを判定する(S46)。そうである場合、短軸断面画像zi-1と短軸断面画像ziとの間で、プラークのない領域からプラークのある領域に変化していることが分かる。そのため、小セグメントSxの終了位置をzi-1とし(S47)、xをインクリメントして(S48)、新たな小セグメントSxの開始位置をziとして(S49)、当該小セグメントSxを「プラークセグメント」とする(S50)。
このようにすることで、セグメントTxを、プラーク部位であるか否かに応じて、かつ、所定の長さ以下となるように、複数の小セグメントSxに分割することができる。以下、小セグメントSxに対して、例えば、上述のlp3の処理を行うことで、プラークセグメント、健常セグメントのそれぞれについて計測位置を決定することができる。そのため、各プラークセグメント、健常セグメントに対して簡易に血流速を計測することができる。
(1)実施の形態1〜5では、超音波画像取得部101は超音波プローブが計測対象をスキャンして取得した受信信号からBモード画像を生成し、血管領域検出部102に出力するとしたが、本発明はこの場合に限られない。例えば、超音波画像取得部101は、受信信号からカラーモードなど他の情報を出力してもよいし、あるいは、外部の画像生成手段が生成した画像を取得するとしてもよい。このようにすることで、Bモード画像に限らず、任意の超音波画像を使用することが可能となり、また、超音波計測で取得した画像に限らず、任意の画像を使用することが可能となる。
(補足)
以下に、実施の形態に係る超音波診断装置、およびその制御方法の構成および効果について説明する。
(2)また、実施の形態に係る上記(1)の超音波診断装置は、前記血管領域検出部は、前記血管領域の検出において血管壁を検出し、前記計測位置決定部は、前記血管壁の形状に基づいて、前記特定部位を検出する、としてもよい。
(3)また、実施の形態に係る上記(2)の超音波診断装置は、前記計測位置決定部は、前記血管壁の厚みが所定の値を超える部位を前記特定部位として検出する、としてもよい。
(4)また、実施の形態に係る上記(3)の超音波診断装置は、前記計測位置決定部は、前記特定部位の近傍に前記計測位置を決定する、としてもよい。
このようにすることで、プラーク部位の近傍の血流速を確実かつ簡便に計測することができる。
このようにすることで、血管の長軸方向の特徴に基づいてセグメント化を行い、セグメントごとにドプラ計測を行うことができる。
このようにすることで、血管構造の特徴に基づいてセグメント化を行い、セグメントごとにドプラ計測を行うことができる。
このようにすることで、頸動脈について構造に基づいたドプラ計測を行うことができる。
このようにすることで、各セグメントの代表位置を簡便に決定しドプラ計測を行うことができる。
(9)また、実施の形態に係る上記(1)の超音波診断装置は、前記超音波画像取得部は、前記超音波プローブを介して前記計測対象を撮像した超音波画像を取得する、としてもよい。
(10)また、実施の形態に係る上記(1)の超音波診断装置は、さらに、前記超音波プローブの位置とスキャン面の方向とを検出するプローブ位置検出部を備え、前記超音波画像取得部は、前記超音波プローブが前記計測対象を撮像した、スキャン面が異なる複数の超音波画像を取得し、取得した複数の超音波画像から3次元画像を生成し、前記血管領域検出部は、前記3次元画像から前記血管領域を検出する、としてもよい。
(11)また、実施の形態に係る上記(10)の超音波診断装置は、さらに、前記プローブ位置検出部が検出した前記超音波プローブの位置とスキャン面の方向とを、前記3次元画像に重畳して表示し、前記超音波プローブを前記ドプラゲート設定部が設定したドプラゲートにおける血流速を計測するための位置に誘導するための情報をさらに重畳して表示する表示部を備える、としてもよい。
(12)また、実施の形態に係る上記(1)の超音波診断装置は、さらに、血管領域比較部を備え、前記超音波画像取得部は、撮像時刻の異なる第1の画像と第2の画像とを取得し、前記血管領域検出部は、前記第1の画像と前記第2の画像とからそれぞれ、第1の血管領域と第2の血管領域とを検出し、前記血管領域比較部は、前記第1の血管領域と第2の血管領域とを比較し、差異が所定の範囲を超えている場合、前記計測位置決定部に計測位置を決定させず、前記画像取得部に新たな画像を取得させる、としてもよい。
101 超音波画像取得部
102 血管領域検出部
103、204、301 計測位置決定部
104 ドプラゲート設定部
105 ドプラ計測部
106 計測情報表示部
201 3D形状解析部
202 位置情報取得部
203 断面像生成部
302 疾患部位検出部
303 計測情報表示部
Claims (14)
- 超音波プローブを介して計測対象に超音波を射出して反射波を受信し、血流速を計測する超音波診断装置であって、
前記計測対象を撮像した超音波画像を取得する超音波画像取得部と、
前記超音波画像取得部が取得した超音波画像から血管領域を検出する血管領域検出部と、
前記血管領域の形状に基づいて特定部位を検出し、前記特定部位に基づいて前記血管領域の内部に血管の長軸方向における計測位置を1以上決定する計測位置決定部と、
前記計測位置の各々に対応するドプラゲートを血管内腔の内部にそれぞれ設定するドプラゲート設定部と
を備えることを特徴とする超音波診断装置。 - 前記血管領域検出部は、前記血管領域の検出において血管壁を検出し、
前記計測位置決定部は、前記血管壁の形状に基づいて、前記特定部位を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。 - 前記計測位置決定部は、前記血管壁の厚みが所定の値を超える部位を前記特定部位として検出する
ことを特徴とする請求項2に記載の超音波診断装置。 - 前記計測位置決定部は、前記特定部位の近傍に前記計測位置を決定する
ことを特徴とする請求項3に記載の超音波診断装置。 - 前記計測位置決定部は、前記血管領域における血管の長軸方向の形状変化に基づいて前記特定部位を検出し、前記特定部位に基づいて前記血管領域をセグメント化して、各々のセグメント内に前記計測位置を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。 - 前記血管領域における血管の長軸方向の形状変化は、血管の径の変化、血管壁の変化、または、分岐構造である
ことを特徴とする請求項5に記載の超音波診断装置。 - 前記血管領域は頸動脈であり、
前記計測位置決定部は、総頸動脈と頸動脈洞との境界、または、頸動脈洞と内頸動脈および外頸動脈との境界を前記特定部位として検出する
ことを特徴とする請求項6に記載の超音波診断装置。 - 前記計測位置決定部は、前記各々のセグメントの中心近傍に前記計測位置を決定する
ことを特徴とする請求項6に記載の超音波診断装置。 - 前記超音波画像取得部は、前記超音波プローブを介して前記計測対象を撮像した超音波画像を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。 - さらに、前記超音波プローブの位置とスキャン面の方向とを検出するプローブ位置検出部を備え、
前記超音波画像取得部は、前記超音波プローブが前記計測対象を撮像した、スキャン面が異なる複数の超音波画像を取得し、取得した複数の超音波画像から3次元画像を生成し、
前記血管領域検出部は、前記3次元画像から前記血管領域を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。 - さらに、
前記プローブ位置検出部が検出した前記超音波プローブの位置とスキャン面の方向とを、前記3次元画像に重畳して表示し、前記超音波プローブを前記ドプラゲート設定部が設定したドプラゲートにおける血流速を計測するための位置に誘導するための情報をさらに重畳して表示する表示部を備える
ことを特徴とする請求項10に記載の超音波診断装置。 - さらに、血管領域比較部を備え、
前記超音波画像取得部は、撮像時刻の異なる第1の画像と第2の画像とを取得し、
前記血管領域検出部は、前記第1の画像と前記第2の画像とからそれぞれ、第1の血管領域と第2の血管領域とを検出し、
前記血管領域比較部は、前記第1の血管領域と第2の血管領域とを比較し、差異が所定の範囲を超えている場合、前記計測位置決定部に計測位置を決定させず、前記画像取得部に新たな画像を取得させる
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。 - 超音波プローブを介して計測対象に超音波を射出して反射波を受信し、血流速を計測する超音波診断装置の制御方法であって、
前記計測対象を撮像した超音波画像を取得し、
前記取得した超音波画像から血管領域を検出し、
前記血管領域の形状に基づいて特定部位を検出し、前記特定部位に基づいて前記血管領域の内部に血管の長軸方向における計測位置を1以上決定し、
前記計測位置の各々に対応するドプラゲートを血管内腔の内部にそれぞれ設定する
ことを特徴とする超音波診断装置の制御方法。 - 超音波診断装置で用いられるプロセッサに制御処理を行わせるプログラムであって、
前記制御処理は、
前記計測対象を撮像した超音波画像を取得し、
前記取得した超音波画像から血管領域を検出し、
前記血管領域の形状に基づいて特定部位を検出し、前記特定部位に基づいて前記血管領域の内部に血管の長軸方向における計測位置を1以上決定し、
前記計測位置の各々に対応するドプラゲートを血管内腔の内部にそれぞれ設定する
ことを特徴とするプログラム。
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