JP2014216283A - 負極活物質、その製法及び二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】黒鉛系の負極を用いた二次電池において、クーロン効率を高める。
【解決手段】コイン型電池20は、カップ形状の電池ケース21と、この電池ケース21の内部に設けられた正極22と、正極22に対してセパレータ24を介して対向する位置に設けられた負極23と、支持塩を含む非水電解液27と、絶縁材により形成されたガスケット25と、電池ケース21の開口部に配設されガスケット25を介して電池ケース21を密封する封口板26と、を備えている。ここでは、負極23は、黒鉛表面に一般式BCxN(式中、xは、2≦x≦4を満たす)で表される化合物が被覆された負極活物質を有している。
【選択図】図1
【解決手段】コイン型電池20は、カップ形状の電池ケース21と、この電池ケース21の内部に設けられた正極22と、正極22に対してセパレータ24を介して対向する位置に設けられた負極23と、支持塩を含む非水電解液27と、絶縁材により形成されたガスケット25と、電池ケース21の開口部に配設されガスケット25を介して電池ケース21を密封する封口板26と、を備えている。ここでは、負極23は、黒鉛表面に一般式BCxN(式中、xは、2≦x≦4を満たす)で表される化合物が被覆された負極活物質を有している。
【選択図】図1
Description
本発明は、負極活物質、その製法及び二次電池に関する。
従来、リチウム二次電池の負極として、黒鉛などの炭素粉末が用いられている。炭素粉末の製造時には、高結晶化度や高黒鉛化度を目的として、原料炭素粉末にホウ素化合物を添加し熱処理することがあるが、得られた炭素粉末を負極に用いた電池では、サイクル特性や低温特性が悪いことがあった。この理由について、特許文献1では、炭素粉末の表面に絶縁体である窒化ホウ素が生成しており、粉末表面の窒化ホウ素の存在に起因して粒子間の接触抵抗が高くなるためと推察している。そして、粉末表面でのホウ素原子濃度C(B)、炭素原子濃度C(C)、窒素原子濃度C(N)が、0.01<C(B)/(C(B)+C(C)+C(N))<0.15などの関係を満足するようにすることを提案している。なお、特許文献1では、こうした関係を満たすようにするため、上述した熱処理後に解砕や磨砕を行うことなどにより、粉末表面に生成した窒化ホウ素を除去している。
ところで、黒鉛系の負極を用いた二次電池において、クーロン効率を高めたいという要望がある。しかしながら、特許文献1のものでは、サイクル特性や低温特性を高めることができるとしているが、クーロン効率については検討されていなかった。また、本発明者らが特許文献1のものについて検討したところ、クーロン効率を向上する効果は得られないと推察された。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、黒鉛系の負極を用いた二次電池において、クーロン効率を高めることのできる負極活物質、二次電池及び負極活物質の製造方法を提供することを主目的とする。
上述した目的を達成するために、本発明者らは、黒鉛表面にBCxN(2≦x≦4)が被覆されている負極活物質を用いて二次電池を作製したところ、クーロン効率を高めることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の負極活物質は、黒鉛表面に一般式BCxN(式中、xは2≦x≦4を満たす)で表される化合物が被覆されているものである。
本発明の負極活物質の製法は、黒鉛の表面でホウ素源と炭素源と窒素源とを反応させて、黒鉛の表面に一般式BCxN(式中、xは2≦x≦4を満たす)で表される化合物を被覆するものである。
本発明の二次電池は、上述した負極活物質を有する負極と、正極と、前記負極と前記正極との間に介在し、イオンを伝導するイオン伝導媒体と、を備えたものである。
この負極活物質、その製法及び二次電池では、黒鉛系の負極を用いた二次電池のクーロン効率を高めることができる。こうした効果が得られる理由は、以下のように推察される。例えば、一般的な黒鉛系の負極では、充電の際、Liの挿入と同時に、電解液溶媒が還元されることなどに起因する副反応が生じ、これによりクーロン効率が低い値を示すと考えられる。これに対して、黒鉛表面にBCxN(2≦x≦4)で表される化合物が被覆されていると、電解液溶媒の還元が抑制されるなどして、クーロン効率を高めることができると考えられる。なお、特許文献1では、黒鉛表面に形成されている化合物が窒化ホウ素であるし、その量が極めて少なく黒鉛表面が十分に被覆されていないため、電界液溶媒の還元を十分に抑制することができないと推察された。
本発明の負極活物質は、黒鉛表面に一般式BCxN(式中、xは2≦x≦4を満たす)で表される化合物が被覆されているものである。こうした負極活物質では、黒鉛系の負極を用いた二次電池において、クーロン効率を高めることができる。ここで、一般式BCxNで表される化合物は、実質的にBCxNと同じものであれば、一部の元素が欠損したり過剰となっていてもよいし、他の元素が含まれていてもよい。例えば、BとNの比率は厳密に1:1である必要はなく、1:0.97〜1:1.03程度でもよい。具体的には、一般式BCxN1+a(式中、xは2≦x≦4を満たし、aは−0.03≦a≦0.03を満たす)で表されるものとしてもよい。また、一般式BCxNで表される化合物が「被覆」されているとは、X線光電子分光測定によって負極活物質表面のホウ素と炭素の割合(モル比)を求めたときに、炭素がホウ素の4倍以下であることをいうものとする。炭素がホウ素の4倍以下であれば、黒鉛に由来する炭素が負極活物質表面に存在していたとしても、その量が十分に少ないと考えられる。
この負極活物質において、黒鉛の種類は特に限定されず、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛)や人造黒鉛などから適宜選択することができる。黒鉛は、例えば、平均粒径が5μm〜20μm程度のものが好ましい。
この負極活物質は、X線光電子分光測定によるXPSスペクトルにおいて、結合エネルギーが191eV以上193eV以下の範囲にホウ素のB1Sピークを有し、398.5eV以上400.5eV以下の範囲に窒素のN1Sピークを有するものであることが好ましい。こうしたものでは、黒鉛表面に被覆された化合物が窒化ホウ素(BN)でないことが明らかだからである。
この負極活物質は、黒鉛の質量をMG(g)、一般式BCxNで表される化合物の質量をMBCN(g)としたとき、MBCN/MGで表される値が0.015以上0.3以下であることが好ましい。0.015以上であればBCxNによるクーロン効率向上の効果が期待できるし、0.3以下であればBCxNが多すぎず、黒鉛の有する特性を十分に発揮できるからである。このうち、クーロン効率をより高めるという観点からは、0.04以上0.07以下が好ましい。一方、高い充放電容量と高いクーロン効率とを両立するという観点からは、0.15以上が好ましい。
本発明の負極活物質の製法は、黒鉛の表面でホウ素源と炭素源と窒素源とを反応させて、黒鉛の表面に一般式BCxN(式中、xは2≦x≦4を満たす)で表される化合物を被覆するものである。この方法では、上述した負極活物質を、比較的容易に作製することができる。ホウ素源としては、ハロゲン化ホウ素が好ましく、BCl3やBBr3、BF3がより好ましく、BCl3がさらに好ましい。BCl3はガス状であり、また反応生成物HClの処理が容易だからである。炭素源や窒素源としては、炭素及び窒素を有する化合物が好ましい。こうした化合物としては、例えば、アセトニトリルやアクリロニトリルなどが挙げられる。このうち、アセトニトリルが好ましい。アセトニトリルは炭素と窒素の比率が2:1であるため、黒鉛の表面に被覆される化合物の組成をBCxN(2≦x≦4)となるように制御することが比較的容易だからである。反応させる際の温度としては、900℃以上1100℃以下が好ましい。900℃以上であれば黒鉛表面にBCxNが被覆されるし、1100℃以下では、過熱などによるBCxN以外の化合物の生成を抑制できるからである。反応時の雰囲気は、窒素やArなどの不活性雰囲気であることが好ましい。反応に際しては、熱CVD法やプラズマCVD法などを採用してもよい。
本発明の二次電池は、上述した負極活物質を有する負極と、正極と、負極と正極との間に介在し、イオンを伝導するイオン伝導媒体と、を備えたものである。なお、イオンとしては、例えば、アルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンなどが挙げられるが、以下では、主に、リチウムイオンを伝導するイオン伝導媒体を備えたリチウムイオン二次電池について説明する。
本発明の二次電池において、負極は、例えば上述した負極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の負極合材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。導電材は、負極の電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば特に限定されず、例えば、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛)や人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウィスカ、ニードルコークス、炭素繊維、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金など)などの1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。これらの中で、導電材としては、電子伝導性及び塗工性の観点より、カーボンブラック及びアセチレンブラックが好ましい。結着材は、活物質粒子及び導電材粒子を繋ぎ止める役割を果たすものであり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、スルホン化EPDMゴム、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。また、水系バインダーであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。負極活物質、導電材、結着材を分散させる溶剤としては、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチレントリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどの有機溶剤を用いることができる。また、水に分散剤、増粘剤等を加え、SBRなどのラテックスで活物質をスラリー化してもよい。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどの多糖類を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。塗布方法としては、例えば、アプリケータロールなどのローラコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレイド方式、スピンコーティング、バーコータなどが挙げられ、これらのいずれかを用いて任意の厚さ・形状とすることができる。集電体としては、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、鉄、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラスなどのほか、接着性、導電性及び耐酸化性向上の目的で、アルミニウムや銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものを用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状については、箔状、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の形成体などが挙げられる。
本発明の二次電池において、正極は、例えば正極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の正極合材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。正極活物質としては、本発明の二次電池用負極活物質を負極に用いた場合に、作動可能なものであればよく、例えば、LiCoO2やLiNiO2、LiNi0.5Mn0.5O2などの層状岩塩構造のものや、LiMn2O4などのなどのスピネル型構造のもの、LiFePO4などのポリアニオン系のものなどを用いることができる。また、正極に用いられる導電材、結着材、集電体、溶剤などは、それぞれ負極で例示したものを適宜用いることができる。
本発明の二次電池において、イオン伝導媒体としては、支持塩を有機溶媒に溶かした非水電解液やイオン性液体、ゲル電解質、固体電解質などを用いてもよい。このうち、非水電解液であることが好ましい。支持塩としては、例えば、LiPF6,LiClO4,LiAsF6,LiBF4,Li(CF3SO2)2N,Li(CF3SO3),LiN(C2F5SO2)などの公知の支持塩を用いることができる。支持塩の濃度としては、0.1〜2.0Mであることが好ましく、0.8〜1.2Mであることがより好ましい。有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)など従来の二次電池やキャパシタに使われる有機溶媒が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。また、イオン性液体としては、特に限定されるものではないが、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロスルホニル)イミドや1−エチル−3−ブチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートなどを用いることができる。ゲル電解質としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリフッ化ビニリデンやポリエチレングリコール、ポリアクリロニトリルなどの高分子類またはアミノ酸誘導体やソルビトール誘導体などの糖類に、支持塩を含む電解液を含ませてなるゲル電解質が挙げられる。固体電解質としては、無機固体電解質や有機固体電解質などが挙げられる。無機固体電解質としては、例えば、Liの窒化物、ハロゲン化物、酸素酸塩などがよく知られている。なかでも、Li4SiO4、Li4SiO4−LiI−LiOH、xLi3PO4−(1−x)Li4SiO4、Li2SiS3、Li3PO4−Li2S−SiS2、硫化リン化合物などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。有機固体電解質としては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、ポリホスファゼン、ポリエチレンスルフィド、ポリヘキサフルオロプロピレンなどやこれらの誘導体が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
本発明の二次電池は、負極と正極との間にセパレータを備えていてもよい。セパレータとしては、二次電池の使用範囲に耐え得る組成であれば特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン製不織布やポリフェニレンスルフィド製不織布などの高分子不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂の微多孔フィルムが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複合して用いてもよい。
本発明の二次電池の形状は、特に限定されないが、例えばコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型などが挙げられる。また、電気自動車等に用いる大型のものなどに適用してもよい。このリチウム二次電池の一例を図1に示す。図1は、コイン型電池20の構成の概略を表す断面図である。このコイン型電池20は、カップ形状の電池ケース21と、この電池ケース21の内部に設けられた正極22と、正極22に対してセパレータ24を介して対向する位置に設けられた負極23と、支持塩を含む非水電解液27と、絶縁材により形成されたガスケット25と、電池ケース21の開口部に配設されガスケット25を介して電池ケース21を密封する封口板26と、を備えている。ここでは、負極23は、黒鉛表面に一般式BCxN(式中、xは2≦x≦4を満たす)で表される化合物が被覆されている負極活物質を有している。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
以下では、本発明の二次電池を具体的に作製した例について、実施例として説明する。
1.負極活物質の作製
[実施例1]
まず、石英反応管(環状炉)中に炭素製ボートに入れた核黒鉛(人造黒鉛粉末(SECカーボン株式会社製))を設置した。続いて、N2気流中で、1000℃まで加熱し、加熱状態を維持したまま、反応管にアセトニトリル及び三塩化ホウ素からなる原料ガスを導入し、核黒鉛表面にBCxNを反応析出させた。このとき、核黒鉛1gに対して0.2gのBCxNが被覆されるように、原料ガスの濃度や流速、反応時間を調整した。その後、アセトニトリル及び三塩化ホウ素の導入を停止し、N2気流に切り替えて室温まで冷却して取り出した。こうして、実施例1の負極活物質を作製した。なお、BCxNの被覆量は、反応析出前後の重量変化から算出した。
[実施例1]
まず、石英反応管(環状炉)中に炭素製ボートに入れた核黒鉛(人造黒鉛粉末(SECカーボン株式会社製))を設置した。続いて、N2気流中で、1000℃まで加熱し、加熱状態を維持したまま、反応管にアセトニトリル及び三塩化ホウ素からなる原料ガスを導入し、核黒鉛表面にBCxNを反応析出させた。このとき、核黒鉛1gに対して0.2gのBCxNが被覆されるように、原料ガスの濃度や流速、反応時間を調整した。その後、アセトニトリル及び三塩化ホウ素の導入を停止し、N2気流に切り替えて室温まで冷却して取り出した。こうして、実施例1の負極活物質を作製した。なお、BCxNの被覆量は、反応析出前後の重量変化から算出した。
[実施例2,3]
核黒鉛1gに対して0.1gのBCxNが被覆されるようにした以外は、実施例1と同様に実施例2の負極活物質を作製した。また、核黒鉛1gに対して0.05gのBCxNが被覆されるようにした以外は、実施例1と同様に実施例3の負極活物質を作製した。
核黒鉛1gに対して0.1gのBCxNが被覆されるようにした以外は、実施例1と同様に実施例2の負極活物質を作製した。また、核黒鉛1gに対して0.05gのBCxNが被覆されるようにした以外は、実施例1と同様に実施例3の負極活物質を作製した。
[比較例1]
実施例1で用いた核黒鉛を、比較例1の負極活物質とした。
実施例1で用いた核黒鉛を、比較例1の負極活物質とした。
2.XPS測定
実施例1〜3及び比較例1の負極活物質(粉末)について、X線光電子分光(XPS)測定を行った。X線光電子分光測定は、XPS測定装置(アルバックファイ製Quantera SXM)を用い、X線源としてAlKαを用いて行った。
実施例1〜3及び比較例1の負極活物質(粉末)について、X線光電子分光(XPS)測定を行った。X線光電子分光測定は、XPS測定装置(アルバックファイ製Quantera SXM)を用い、X線源としてAlKαを用いて行った。
図2に、実施例1及び比較例1の負極活物質のXPSスペクトルを示す。また、図3に、Si基板上に、実施例1と同様の方法によって被覆されたBC2NのXPSスペクトルを示す(出典:M.Kawaguchi, B/C/N Materials Based on the Graphite Network, Adv. Mater. 1997, 9, No.8)。図2(a)及び図3(a)はホウ素のB1Sピークであり、図2(b)及び図3(b)は炭素のC1Sピークであり、図2(c)及び図3(c)は窒素のN1Sピークである。図2に示すように、実施例1の負極活物質のB1Sピーク及びN1Sピーク(図2(a)(c))では、六方晶系の窒化ホウ素(h−BN)に対して結合エネルギーが高い方にピークがシフトした。一方、C1Sピーク(図2(b))では、グラファイトに対して結合エネルギーが低い方にピークがシフトした。このことから、炭素材料表面にBNが形成された特許文献1のものとは異なることがわかった。また、図2,3に示すように、実施例1の負極活物質は、h−BNに対するピークシフトが、BC2Nの場合と同様の傾向を示すことから、BC2Nに類似した構造の化合物が被覆されていることがわかった。なお、図示は省略するが、実施例2,3のXPSスペクトルも同様の傾向を示し、特許文献1のものとは異なることがわかった。
また、各実施例のXPSスペクトルより、ホウ素のB1Sピーク、炭素のC1Sピーク及び窒素のN1Sピークの面積を求め、その面積比から、ホウ素/炭素/窒素比(B/C/Nモル比)を計算し、核黒鉛表面に反応析出したBCxN1+aの具体的な組成を推定した。それによれば、実施例1ではBC3.15N0.99であり、実施例2では、BC3.52N0.98であり、実施例3では、BC3.85N0.99であると推察された。以上より、負極活物質の核黒鉛表面に被覆される化合物について、BCxN1+aにおけるxが2≦x≦4であれば、実施例1〜3の負極活物質と同様に、クーロン効率を向上させる効果が得られるものと推察された。また、このとき、BとNの比率には若干のばらつきがあったものの、BCxN1+aにおけるaが−0.03≦a≦0.03の範囲内であり、この程度のばらつきであれば、特性に大きな影響を与えないと推察された。なお、実施例1〜3の炭素のC1Sピークには、核黒鉛に由来する炭素のピークが含まれることも考えられる。しかし、実施例において、核黒鉛表面に被覆される化合物は、Si基板上に被覆した場合にはBC2Nが得られるのと同様の方法で被覆されたものである。このため、核黒鉛表面に被覆される化合物BCxN1+aそのものについて正確に分析できたとしても、xの値は2≦x≦4であると推察される。
3.充放電特性の評価
(負極の作製)
上述した負極活物質と、結着材としてのPVdFとを95:5の質量比で混合し、分散剤としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を適量添加し、ミキサで混練し、スラリー状の負極合材とした。この負極合材を、10μm厚の銅箔集電体に塗布、乾燥し、ロールプレスにより高密度化し、直径16mmの形状に切り出して負極を作製した。この負極は、7mgの負極活物質を含んでいる。
(負極の作製)
上述した負極活物質と、結着材としてのPVdFとを95:5の質量比で混合し、分散剤としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を適量添加し、ミキサで混練し、スラリー状の負極合材とした。この負極合材を、10μm厚の銅箔集電体に塗布、乾燥し、ロールプレスにより高密度化し、直径16mmの形状に切り出して負極を作製した。この負極は、7mgの負極活物質を含んでいる。
(評価セルの作製)
評価セルとして、二極型のコインセルを作製した。まず、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比で3:3:4の割合で混合した非水溶媒にLiPF6を1mol/Lの濃度となるように添加して非水電解液を調製した。そして、さきほど作製した負極を作用極とし、これと同じ面積のリチウム箔(厚さ100μm)を対極とし、この作用極と対極との間にセパレータ(PE製微多孔膜、孔径20μm、多孔度30%)を介し、調製した非水電解液0.2mLで満たして評価セルを作製した。
評価セルとして、二極型のコインセルを作製した。まず、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比で3:3:4の割合で混合した非水溶媒にLiPF6を1mol/Lの濃度となるように添加して非水電解液を調製した。そして、さきほど作製した負極を作用極とし、これと同じ面積のリチウム箔(厚さ100μm)を対極とし、この作用極と対極との間にセパレータ(PE製微多孔膜、孔径20μm、多孔度30%)を介し、調製した非水電解液0.2mLで満たして評価セルを作製した。
(充放電試験)
得られた評価セルを、0.05C相当の電流値で、定電流充放電を行った。このとき、Li挿入反応のカットオフ電位を5mV、Li脱離反応のカットオフ電位を1500mVに設定した。そして、充放電試験における、初回のLi挿入反応による容量をWi(mAh/g)、初回のLi脱離反応による容量をWd(mAh/g)とし、下記の式(1)によりクーロン効率Weを算出した。
We=Wd/Wi・・・(1)
得られた評価セルを、0.05C相当の電流値で、定電流充放電を行った。このとき、Li挿入反応のカットオフ電位を5mV、Li脱離反応のカットオフ電位を1500mVに設定した。そして、充放電試験における、初回のLi挿入反応による容量をWi(mAh/g)、初回のLi脱離反応による容量をWd(mAh/g)とし、下記の式(1)によりクーロン効率Weを算出した。
We=Wd/Wi・・・(1)
4.結果と考察
表1に、実施例1〜3及び比較例1の初回充電容量(上述したWiに相当)、初回放電容量(上述したWdに相当)及び初回クーロン効率(上述したWeに相当)を示す。また、図4に、核黒鉛1gあたりのBCxNの被覆量(MBCN/MGの値)と、初回充放電容量や初回クーロン効率との関係を表すグラフを示す。表1及び図4より、実施例1〜3のものでは、比較例1のものに比して、クーロン効率が高いことがわかった。
表1に、実施例1〜3及び比較例1の初回充電容量(上述したWiに相当)、初回放電容量(上述したWdに相当)及び初回クーロン効率(上述したWeに相当)を示す。また、図4に、核黒鉛1gあたりのBCxNの被覆量(MBCN/MGの値)と、初回充放電容量や初回クーロン効率との関係を表すグラフを示す。表1及び図4より、実施例1〜3のものでは、比較例1のものに比して、クーロン効率が高いことがわかった。
ここで、MBCN/MGの値について、図4に示すように、0.015以上であれば、クーロン効率を0.75以上まで向上でき好ましいことがわかった。このうち、クーロン効率をより高めるという観点からは、0.03以上0.07以下が好ましいと推察された。一方、高い充放電容量と高いクーロン効率とを両立するという観点からは、0.15以上が好ましいと推察された。また、核黒鉛の有する特性を活かしつつ、BCxN1+aの被覆によるクーロン効率向上の効果を得るという観点からは、例えば0.3以下が好ましいと推察された。
本発明は、電池産業の分野に利用可能である。
20 コイン型電池、21 電池ケース、22 正極、23 負極、24 セパレータ、25 ガスケット、26 封口板、27 非水電解液。
Claims (6)
- 黒鉛表面に一般式BCxN(式中、xは2≦x≦4を満たす)で表される化合物が被覆されている、負極活物質。
- X線光電子分光測定によるXPSスペクトルにおいて、結合エネルギーが191eV以上193eV以下の範囲にホウ素のB1Sピークを有し、398.5eV以上400.5eV以下の範囲に窒素のN1Sピークを有する、請求項1に記載の負極活物質。
- 前記黒鉛の質量をMG(g)、前記化合物の質量をMBCN(g)としたとき、MBCN/MGで表される値が0.015以上0.3以下である、請求項1又は2に記載の負極活物質。
- 黒鉛の表面でホウ素源と炭素源と窒素源とを反応させて、黒鉛の表面に一般式BCxN(式中、xは2≦x≦4を満たす)で表される化合物を被覆する、負極活物質の製法。
- ハロゲン化ホウ素を前記ホウ素源として用い、アセトニトリルを前記炭素源及び前記窒素源として用いる、請求項4に記載の製法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の負極活物質を有する負極と、
正極と、
前記負極と前記正極との間に介在し、イオンを伝導するイオン伝導媒体と、
を備えた二次電池。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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2013
- 2013-04-30 JP JP2013095105A patent/JP2014216283A/ja active Pending
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