JP2014214269A - 変性共役ジエン系重合体の組成物 - Google Patents

変性共役ジエン系重合体の組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】低ヒステリシスロス性及びウェットグリップ性能のバランスに優れた変性共役ジエン系重合体の組成物を得る。【解決手段】下記(A)〜(C)成分を含む、変性共役ジエン系重合体の組成物。(A)グリシジル基及び/又はアルコキシシリル基を有する変性共役ジエン系重合体(B)米ぬか脱脂成分の炭化物(C)熱硬化性樹脂の炭化物【選択図】なし

Description

本発明は、変性共役ジエン系重合体の組成物に関する。
近年、二酸化炭素排出量の抑制等、環境に対する配慮が社会的要請となっており、自動車に対する低燃費化への要望が高まってきている。
このような現状から、自動車用タイヤ、特に地面と接するタイヤトレッドの材料として、転がり抵抗が小さい材料の開発が求められている。
タイヤトレッドは、スチレン−ブタジエンランダム共重合体を主成分とするゴム成分とシリカやカーボンブラック等のフィラー成分との配合物を、加硫し、成形することにより製造され、その特性は前記ゴム成分とフィラー成分の選定に大きく影響を受ける。
前記ゴム成分に関しては、前記フィラーの分散性を改良するために、ゴム分子鎖末端にフィラーとの親和性が良好な官能基を導入する試みがなされている。
例えば、グリシジルアミノ基を有する変性剤を重合体末端に反応させて得られる変性ジエン系ゴム(例えば、特許文献1参照。)、グリシドキシアルコキシシランを重合体末端に反応させて得られる変性ジエン系ゴム(例えば、特許文献2参照。)、アミノ基を含有するアルコキシシラン類を重合体末端に反応させて得られる変性ジエン系ゴム(例えば、特許文献3、4参照。)、及びこれらとシリカとの組成物についての提案がなされている。
一方、前記フィラーとして特定の比表面積を有するカーボンブラックを用い、これを天然ゴム又は合成ゴムと組み合わせて用いることにより、転がり抵抗等の諸特性のバランスに優れる組成物が得られることが提案されている(例えば、特許文献6参照。)。
国際公開01/23467号パンフレット 特開平07−233217号公報 特開2001−158834号公報 特開2003−171418号公報 特開2009−30027号公報 特開昭60−26044号公報
前記特許文献1〜6に開示されているゴムやフィラーを用いることにより、省燃費性に優れたタイヤトレッド材料が創出されているものの、市場では省燃費性に対する要求特性が今後一層高まりつつあり、他の特性を損なうことなく、ヒステリシスロスを低減させた組成物が強く要望され、なお一層の改良が必要とされている。
そこで本発明においては、上述した従来技術の課題に鑑み、低ヒステリシスロス性とウェットグリップ性能のバランスに優れた加硫物が得られる変性共役ジエン系重合体の組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、グリシジルアミノ基及び/又はアルコキシシリル基を有する共役ジエン系重合体、米ぬか脱脂成分の炭化物、及び熱硬化性樹脂の炭化物を含有する組成物が、低ヒステリシスロス性とウェットグリップ性能において、優れたバランスを有していることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は以下の通りである。
〔1〕
下記(A)〜(C)成分を含む、変性共役ジエン系重合体の組成物。
(A)グリシジル基及び/又はアルコキシシリル基を有する変性共役ジエン系重合体
(B)米ぬか脱脂成分の炭化物
(C)熱硬化性樹脂の炭化物
〔2〕
前記(A)成分が、下記式(I)〜(III)で表される官能基からなる群より選ばれる、少なくとも1つを有する、前記〔1〕に記載の変性共役ジエン系重合体の組成物。
(R1 は炭素数1〜10の炭化水素基であり、R2は水素又は炭素数1〜20の炭化水素基であり、A1 はグリシジル、エーテル、3級アミン、エポキシ、カルボニル、及びハロゲンからなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する炭素数1〜30の炭化水素基、又は、グリシジル、エーテル、3級アミン、エポキシ、カルボニル、及びハロゲンからなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基と共役ジエン系重合体とが結合した有機基である。)
(R11〜R15は、各々独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、及び共役ジエン系重合体からなる群より選ばれるいずれかであり、R11〜R15のうち少なくとも1つは炭素数1〜20のアルコキシ基である。A11及びA12は、各々独立して、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、A13は下記一般式(a)又は(b)で表される基を表す。xは0〜20の整数であり、xが2以上の場合、(A11−A13−A12)で表される複数の繰り返し単位は、各々同一であっても異なっていてもよい。)
(一般式(a)中、R16は、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)
(一般式(b)中、A14は単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、X13は炭素数1〜20のアルコキシ基を表す。R17は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。複数のX13又はR17が存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていてもよい。uは0〜3の整数である。)
(一般式(III)中、R21〜R25は、各々独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、又は炭素数1〜20のアルコキシ基を表し、R21〜R25のうち少なくとも1つは炭素数1〜20のアルコキシ基である。R26は炭素数1〜20の炭化水素基、又はシリコンを含む炭素数1〜20の炭化水素基である。)
〔3〕
前記(A)成分が、
共役ジエンモノマー、又は共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモノマーの重合体に、
下記式(1)〜(3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物及び/又は縮合物を反応させることにより得られたものである、
前記〔1〕又は〔2〕に記載の変性共役ジエンの組成物。
(式(1)中、R31及びR32 は、炭素数1〜10の炭化水素基であり、R33及びR34は、水素又は炭素数1〜20の炭化水素基であり、R35 は炭素数1〜20の炭化水素基であり、nは1〜6の整数である。)
(式(2)中、R41〜R44は、各々独立して、炭素数1〜20の炭化水素基であり、R45は炭素数1〜6の炭化水素基であって、隣接するNとともに5員環以上の環構造をなし、R46は炭素数1〜20の炭化水素基であり、mは1又は2の整数であり、nは2又は3の整数である。)
(式(3)中、R51〜R55は、各々独立して、炭素数1〜20の炭化水素基であり、R56は炭素数1〜20の炭化水素基、又はシリコンを含む炭素数1〜20の炭化水素基であり、nは2又は3の整数である。)
〔4〕
シリカ無機充填材をさらに含む、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の、変性共役ジエン系重合体の組成物。
本発明によれば、低ヒステリシスロス性及びウェットグリップ性能のバランスに優れた変性共役ジエン系重合体の組成物が得られる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について、詳細に説明する。本発明は以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
〔変性共役ジエン系重合体の組成物〕
本実施形態の変性共役ジエン系重合体の組成物は、下記(A)〜(C)成分を含む。
(A)グリシジル基及び/又はアルコキシシリル基を有する変性共役ジエン系重合体
(B)米ぬか脱脂成分の炭化物
(C)熱硬化性樹脂の炭化物
((A)グリシジル基及び/又はアルコキシシリル基を有する変性共役ジエン系重合体)
本実施形態の組成物は、(A)グリシジル基及び/又はアルコキシシリル基を有する変性共役ジエン系重合体(以下、(A)変性共役ジエン系重合体、(A)成分と記載する場合がある。)を含む。
変性前の共役ジエン系重合体としては、共役ジエンモノマー、又は共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモノマーとを用いて重合させた重合体が挙げられる。
前記共役ジエンモノマーとしては、重合可能な単量体であれば特に限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘプタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。
これらは1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記芳香族ビニルモノマーとしては、前記共役ジエンモノマーと共重合可能な単量体であれば特に限定されないが、例えば、スチレン、m又はp−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、ジフェニルエチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、スチレンが好ましい。
これらは1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記共役ジエンモノマー中に、アレン類、アセチレン類等が不純物として含有されていると、後述する変性反応を阻害するおそれがある。そのため、これらの不純物の含有量濃度(質量)の合計は、200ppm以下であることが好ましく、100ppm以下であることがより好ましく、50ppm以下であることがさらに好ましい。
アレン類としては、例えば、プロパジエン、1,2−ブタジエン等が挙げられる。アセチレン類としては、例えば、エチルアセチレン、ビニルアセチレン等が挙げられる。
変性前の共役ジエン系重合体は、共役ジエンモノマーのみからなる重合体であっても、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。
前記ランダム共重合体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ブタジエン−イソプレンランダム共重合体、ブタジエン−スチレンランダム共重合体、イソプレン−スチレンランダム共重合体、ブタジエン−イソプレン−スチレンランダム共重合体等が挙げられる。
共役ジエン系共重合体鎖中の各単量体の組成分布は特に限定されないが、例えば、統計的ランダムな組成に近い完全ランダム共重合体、組成分布に勾配があるテーパー(勾配)ランダム共重合体等が挙げられる。共役ジエンの結合様式、すなわち1,4−結合や1,2−結合等の組成は、分子鎖によって均一であってもよいし、異なっていてもよい。
前記ブロック共重合体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ブロックが2個からなる2型ブロック共重合体、3個からなる3型ブロック共重合体、4個からなる4型ブロック共重合体等が挙げられる。ここでスチレン等の芳香族ビニル化合物からなるブロックをSで表し、ブタジエンやイソプレン等の共役ジエン化合物からなるブロック及び/又は芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体からなるブロックをBで表すと、S−Bの2型ブロック共重合体、S−B−Sの3型ブロック共重合体、S−B−S−Bの4型ブロック共重合体等で表される。
上記の各式において、各ブロックの境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。
例えば、ブロックBが芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体からなるブロックである場合、ブロックB中の芳香族ビニル化合物は均一に分布していても、又はテーパー状に分布していてもよい。
また、ブロックBに、芳香族ビニル化合物が均一に分布している部分やテーパー状に分布している部分が、それぞれ複数個共存していてもよい。
さらには、ブロックBに、芳香族ビニル化合物含有量が異なるセグメントが複数個共存していてもよい。
またさらに、ブロック共重合体中にブロックS、ブロックBが、それぞれ複数存在する場合、それらの分子量や組成等の構造は、同一でもよいし、異なっていてもよい。
変性前の共役ジエン系重合体は、アルカリ金属化合物を重合開始剤とするアニオン重合によって製造することができる。
前記アルカリ金属化合物としては、特に限定されないが、有機リチウム化合物が好ましい。
有機リチウム化合物としては、後述する低分子化合物、可溶化したオリゴマーの有機リチウム化合物、有機基とリチウムの結合様式において炭素−リチウム結合からなる化合物、窒素−リチウム結合からなる化合物、錫−リチウム結合からなる化合物等が挙げられる。
前記低分子化合物としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム等が挙げられる。特に、工業的入手の容易さ及び重合反応のコントロールの容易さの観点から、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムが好ましい。
共役ジエン系重合体の重合反応は、溶媒中で行うことが好ましい。
溶媒としては、以下に限定されるものではないが、例えば、飽和炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素系溶媒が挙げられる。
具体的には、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素及びそれらの混合物からなる炭化水素等が挙げられる。
共役ジエン系重合体の重合反応を実施する前段階として、不純物であるアレン類やアセチレン類を有機金属化合物で処理するが好ましい。これにより、高濃度の活性末端を有する共役ジエン系重合体が得られる傾向がある。また、さらには、後述する変性工程において、高い変性率が達成される傾向がある。
共役ジエン系重合体の重合反応においては、極性化合物を添加してもよい。
極性化合物を用いることにより、上述した芳香族ビニルモノマーを共役ジエンモノマーとランダムに共重合させることができ、極性化合物は共役ジエン部のミクロ構造を制御するためのビニル化剤としても用いることができる。また、重合速度の改善等にも効果がある。なお、前記ミクロ構造とは、共役ジエン部のビニル結合量、シス結合量、トランス結合量をいう。
前記極性化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジメトキシベンゼン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン等のエーテル類;テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジン等の第3級アミン化合物;カリウム−t−アミラート、カリウム−t−ブチラート、ナトリウム−t−ブチラート、ナトリウムアミラート等のアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物等が挙げられる。これらの極性化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
極性化合物の使用量は、特に限定されず、目的等に応じて選択することができる。
通常、上述した重合開始剤1モルに対して0.01〜100モルであることが好ましい。
このような極性化合物(ビニル化剤)は、重合体共役ジエン部分のミクロ構造の調節剤として用いる場合には、所望のビニル結合量に応じて、適量選択して用いる。
多くの極性化合物は、上述したように、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合において有効なランダム化効果を有し、芳香族ビニル化合物の分布の調整やスチレンブロック量の調整剤として用いることができる。
共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とをランダム化する方法としては、例えば特開昭59−140211号公報に記載されているような、共役ジエン系重合体の重合工程において、途中で1,3−ブタジエンの一部を断続的に添加する方法を用いてもよい。
共役ジエン系重合体の重合工程における重合温度は、リビングアニオン重合が進行する温度であれば、特に限定されないが、実用上十分な生産性を得る観点から、0℃以上であることが好ましく、重合終了後に、活性末端に対する変性反応を十分に行われるようにする観点から、120℃以下であることが好ましい。
また、重合反応において、共役ジエン系重合体のコールドフローを防止する観点から、分岐をコントロールするためのジビニルベンゼン等の多官能芳香族ビニル化合物を用いてもよい。
多官能芳香族ビニル化合物は、ゲル防止とコールドフロー防止の観点から、重合反応に用いる全単量体中、0.01質量%〜10質量%で用いることが好ましい。
(A)グリシジル基及び/又はアルコキシシリル基を有する変性共役ジエン系重合体は、上述した方法により得られる活性末端を有する共役ジエン系重合体の活性末端に、グリシジル基やアルコキシシリル基を有する化合物(以下、変性剤と記載する場合がある。)を反応させることにより得られる。
(A)変性共役ジエン系重合体は、下記一般式(I)〜(III)で表される官能基からなる群より選ばれる、少なくとも1つを有するものであることが好ましい。これらの官能基を有する変性共役ジエン系重合体は、後述する方法により、共役ジエン系重合体に、下記一般式(1)〜(3)の化合物を反応させることにより得られる。
前記一般式(I)中、R1 は炭素数1〜10の炭化水素基であり、R2は、水素、又は炭素数1〜20の炭化水素基である。
1 はグリシジル、エーテル、3級アミン、エポキシ、カルボニル、及びハロゲンからなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する炭素数1〜30の炭化水素基、又は、グリシジル、エーテル、3級アミン、エポキシ、カルボニル、及びハロゲンからなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基と共役ジエン系重合体とが結合した有機基である。
前記一般式(I)中、R1 はエーテル及び/又は3級アミンを有する炭素数1〜10の炭化水素基であってもよく、R2はエーテル及び/又は3級アミンを有する炭素数1〜20の炭化水素基であってもよい。
前記一般式(II)中、R11〜R15は、各々独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、及び共役ジエン系重合体からなる群より選ばれるいずれかであり、R11〜R15のうち少なくとも1つは炭素数1〜20のアルコキシ基である。A11及びA12は、各々独立して、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、A13は下記一般式(a)又は(b)で表される基を表す。xは0〜20の整数であり、xが2以上の場合、(A11−A13−A12)で表される複数の繰り返し単位は、各々同一であっても異なっていてもよい。
前記一般式(a)中、R16は、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。
前記一般式(b)中、A14は単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、X13は炭素数1〜20のアルコキシ基を表す。R17は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。複数のX13又はR17が存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていてもよい。uは0〜3の整数である。
21〜R25は、各々独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、又は炭素数1〜20のアルコキシ基を表し、R21〜R25のうち少なくとも1つは炭素数1〜20のアルコキシ基である。R26は炭素数1〜20の炭化水素基、又はシリコンを含む炭素数1〜20の炭化水素基である。
本実施形態に用いられるグリシジル基及び/又はアルコキシシリル基を有する変性共役ジエン系重合体は、上述したように、共役ジエン系重合体に、所定の変性剤を反応させることにより得られる。
前記変性共役ジエン系化合物のうち、グリシジル基を有する変性ジエン系重合体を得るために用いる変性剤としては、グリシジル基を有する化合物を用いることができ、当該グリシジル基を有する化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル;4,4’−ジグリシジル−ビスフェノールA等の2個以上のフェノール基を有する芳香族化合物のポリグリシジルエーテル;1,4−ジグリシジルベンゼン、1,3,5−トリグリシジルベンゼン、ポリエポキシ化液状ポリブタジエン等のポリエポキシ化合物;4,4’−ジグリシジル−ジフェニルメチルアミン、4,4’−ジグリシジル−ジベンジルメチルアミン等のエポキシ基含有3級アミン;ジグリシジルアニリン、ジグリシジルオルソトルイジン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル−p−フェニレンジアミン、ジグリシジルアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等のジグリシジルアミノ化合物等が挙げられる。
好ましくは、分子中に2個以上のグリシジル基及び1個以上の窒素含有基を有する多官能化合物が用いられる。
より好ましくは、コールドフロー性の観点から、下記一般式(1)で表される多官能化合物及び下記一般式(1)で表される多官能化合物の縮合物が用いられ、これにより前記一般式(I)に示す官能基を有する変性共役ジエン系重合体を得ることができる。
一般式(1)、R31及びR32 は、炭素数1〜10の炭化水素基であり、R33 及び34は、水素又は炭素数1〜20の炭化水素基であり、R35 は炭素数1〜20の炭化水素基であり、nは1〜6の整数である。
一般式(1)中、R31及びR32 の炭化水素基は、エーテル及び/又は3級アミンを有してもよく、R33及びR34 の炭化水素基は、エーテル及び/又は3級アミンを有していてもよく、R35の炭化水素基はエーテル、3級アミン、エポキシ、カルボニル、及びハロゲンからなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有していてもよい。
一般式(1)で表される多官能化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、テトラグリシジル−p−フェニレンジアミン、ジグリシジルアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンが挙げられる。
特に、ジグリシジルアミノ基を持つ多官能化合物が好ましい。また、一般式(1)の化合物の分子内のグリシジル基の数は2個以上であることが必要であり、より好ましくは4個以上である。
前記変性共役ジエン系化合物のうち、アルコキシシリル基を有する変性ジエン系重合体を得るために用いる変性剤としては、アルコキシシリル基を有する化合物を用いることができ、当該アルコキシシリル基を有する化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジメトキシジメチルシラン、キシジメチルシラン、ジエトキシジエチルシラン、トリフェノキシビニルシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、トリ(2−メチルブトキシ)エチルシラン、トリ(2−メチルブトキシ)ビニルシラン、トリフェノキシフェニルシラン、テトラフェノキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)シラン、フェノキシジビニルクロロシラン、メトキシジエチルクロロシラン、ジフェノキシメチルクロロシラン、ジフェノキシフェニルヨードシラン、ジエトキシメチルクロロシラン、ジメトキシエチルクロロシラン、トリエトキシクロロシラン、トリフェノキシクロロシラン、トリス(2−エチルヘキシルオキシ)クロロシラン、フェノキシメチルジクロロシラン、メトキシエチルジクロロシラン、エトキシメチルジクロロシラン、フェノキシフェニルジヨードシラン、フェノキシジクロロシラン、ジメトキシジクロロシラン、ビス(2−メチルブトキシ)ジブロモシラン等が挙げられる。
前記アルコキシシリル基を有する変性剤の中でも、アルコキシシリル基やシリカ粒子との反応性の観点から、分子内にN原子と複数個のアルコキシシリル基を有する、下記一般式(2)、(3)の化合物、一般式(2)の縮合物、一般式(3)の縮合物が好ましく、これにより上述した一般式(II)、(III)に示す官能基を有する変性共役ジエン系重合体を得ることができる。
一般式(2)中、R41〜R44は、各々独立して、炭素数1〜20の炭化水素基であり、R45は炭素数1〜6の炭化水素基であって、隣接するNとともに5員環以上の環構造をなし、R46は炭素数1〜20の炭化水素基であり、mは1又は2の整数であり、nは2又は3の整数である。
46の炭化水素基は、活性水素を持たないヘテロ原子で置換されている炭素数1〜20の炭化水素基、又は有機置換シリル基を有していてもよい。
一般式(3)中、R51〜R55は、各々独立して、炭素数1〜20の炭化水素基であり、R56は炭素数1〜20の炭化水素基、又はシリコンを含む炭素数1〜20の炭化水素基であり、nは2又は3の整数である。
前記一般式(2)で表される変性剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−(4−トリメトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロヘキサン、2,2−ジメトキシ−1−(5−トリメトキシシリルペンチル)−1−アザ−2−シラシクロヘプタン、2,2−ジメトキシ−1−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−ジエトキシエチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ,2−メチル−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ−2−エチル−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ,2−メチル−1−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ−2−エチル−1−(3−ジエトキシエチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン等が挙げられる。これらの中でも、変性剤の官能基とシリカ等の無機充填剤との反応性及び相互作用性の観点や、加工性の観点から、mが2、nが3であるものが好ましい。具体的には、2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンが好ましい。
前記一般式(3)で示される変性剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、1−[3−(トリアルコキシシリル)−プロピル]−4−アルキルピペラジン、1−[3−(アルキルジアルコキシシリル)−プロピル]−4−アルキルピペラジン、1−[3−(トリアルコキシシリル)−プロピル]−3−アルキルイミダゾリジン、1−[3−(アルキルジアルコキシシリル)−プロピル]−3−アルキルイミダゾリジン、1−[3−(トリアルコキシシリル)−プロピル]−3−アルキルヘキサヒドロピリミジン、1−[3−(アルキルジアルコキシシリル)−プロピル]−3−アルキルヘキサヒドロピリミジン、3−[3−(トリアルコキシシリル)−プロピル]−1−アルキル−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン、3−[3−(アルキルジアルコキシシリル)−プロピル]−1−アルキル−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン等が挙げられる。具体的には以下のような化合物が挙げられる。
すなわち、1−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−4−メチルピペラジン、1−[3−(ジエトキシエチルシリル)−プロピル]−4−メチルピペラジン、1−[3−(トリメトキシシリル)−プロピル]−3−メチルイミダゾリジン、1−[3−(ジエトキシエチルシリル)−プロピル]−3−エチルイミダゾリジン、1−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−3−メチルヘキサヒドロピリミジン、1−[3−(ジメトキシメチルシリル)−プロピル]−3−メチルヘキサヒドロピリミジン、3−[3−(トリブトキシシリル)−プロピル]−1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン、3−[3−(ジメトキシメチルシリル)−プロピル]−1−エチル−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン、1−(2−エトキシエチル)−3−[3−(トリメトキシシリル)−プロピル]−イミダゾリジン、(2−{3−[3−(トリメトキシシリル)−プロピル]−テトラヒドロピリミジン−1−イル}−エチル)ジメチルアミン等が挙げられる。特に、1−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−4−メチルピペラジンが好ましい。
上述した共役ジエン系重合体と変性剤とを用いた変性反応は、連続式、バッチ式のいずれの方法で行ってもよいが、バッチごとの反応器の洗浄が不要であることや変性反応の均一性の観点から連続式で行うことが好ましい。
なお連続式とは、反応器にリビングポリマーと変性剤とを連続的に供給し、反応生成物を連続的に排出する反応プロセスであり、バッチ式とは予めリビングポリマーの溶液を反応器に仕込み、そこに所定量の変性剤を添加して、混合、反応させ、反応が終了した段階で反応器内の反応生成物を全て排出する反応プロセスである。
((B)米ぬか脱脂成分の炭化物)
本実施形態の組成物は、(B)米ぬか脱脂成分の炭化物(以下、(B)成分と記載する場合がある。)を含む。
前記米ぬかとは、精米の過程で得られる穎果の表層部分である。
米ぬかには油や油脂が含まれているが、これらを抽出した後に残る残渣が、米ぬか脱脂成分である。
炭化の方法としては、特に制限されないが、例えば特開2004−137144号公報や特開2006−16221号公報等の公知の方法を用いることができる。
((C)熱硬化性樹脂の炭化物)
本実施形態の組成物は、(C)熱硬化性樹脂の炭化物(以下、(C)成分と記載する場合がある。)を含む。
前記熱硬化性樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂が挙げられる。フェノール樹脂を用いると炭化物の収率がよく、好ましい。
炭化の方法としては、特に制限されないが、例えば、特開2004−137144号公報や特開2006−16221号公報等に記載の公知の方法を用いることができる。
前記米ぬか脱脂成分と熱硬化性樹脂とを混合した後、炭化させ、(B)成分及び(C)成分を得てもよい。
本実施形態の組成物は、(A)グリシジル基及び/又はアルコキシシリル基を有する変性共役ジエン系重合体と、(B)米ぬか脱脂成分の炭化物と、(C)成分熱硬化性樹脂の炭化物とを含む。
前記(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含むことにより、低ヒステリシスロス性とウェットグリップのバランスに優れた加硫成形品物を与える組成物が得られる。(B)成分及び(C)成分の含有量の和は、低ヒステリシスロス性とウェットグリップ性能とのバランスの観点から、(A)成分100質量部に対して1〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは、2〜15質量部であり、さらに好ましくは3〜10質量部である。
(B)成分と(C)成分との含有比率は、(B)成分の含有量/(C)成分の含有量が1/100〜100/1であることが好ましい。より好ましくは10/90〜90/10であり、さらに好ましくは30/70〜70/30である。
(その他の材料)
組成物には、前記(A)〜(C)成分の他に、(A)成分とは異なる重合体や、(B)成分、(C)成分とは異なるカーボンブラック等の炭素材料、シリカ系無機充填剤等の無機充填剤、シランカップリング剤、ゴム用軟化剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、着色剤、潤滑剤等の添加剤を混合することができる。
〔変性共役ジエン系重合体の組成物の製造方法〕
本実施形態の変性共役ジエン系重合体の組成物は、上述した(A)〜(C)成分、必要に応じて所定のその他の材料を混合することにより製造できる。
混合方法としては、以下に限定されるものではないが、例えば、オープンロール、バンバリーミキサー、ニーダー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法、各成分を溶解混合後、溶剤を加熱除去する方法等が挙げられる。
これらのうち、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、押出機による溶融混練法が生産性、良混練性の観点から好ましい。
また、(A)成分と各種配合剤とを一度に混練する方法、複数の回数に分けて混合する方法のいずれも適用可能である。
以下、具体的な実施例と比較例を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
先ず、実施例及び比較例に用いた、変性共役ジエン系重合体の構造分析の方法について下記に示す。
〔重合体の構造分析方法〕
((1)ムーニー粘度)
2001年度版JIS K6300に準じて、110℃で1分間予熱し、4分後のムーニー粘度を測定した。
((2)GPC測定)
<試料調製>
重合体10mg、標準ポリスチレン5mgを、それぞれ20mLのテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、測定用の試料を調製した。
<ポリスチレン系ゲルカラムを用いたGPC測定条件>
THFを溶離液として用い、試料200μLを装置に注入して測定した。
カラムは、ガードカラム:東ソー TSKguardcolumn HHR−H、カラム:東ソー TSKgel G6000HHR、TSKgel G5000HHR、TSKgel G4000HHRを使用した。
カラムオーブン温度40℃、THF流量1.0mL/分の条件で、東ソー製 HLC8020のRI検出器を用いて測定しクロマトグラムを得た。
<シリカ系ゲルを充填剤としたGPCカラムを用いたGPC測定条件>
THFを溶離液として用い、試料200μLを装置に注入して測定した。
カラムは、デュポン社製:Zorbaxを使用した。カラムオーブン温度40℃、THF流量0.5mL/分の条件で、東ソー製 HLC8020のRI検出器を用いて測定しクロマトグラムを得た。
((3)変性率)
シリカ系ゲルを充填剤としたGPCカラムに変性した成分が吸着する特性を応用することにより測定した。
前記(2)で調製した重合体の測定用試料及び標準ポリスチレンを含む試料の各溶液を、ポリスチレン系ゲルカラムで測定したクロマトグラムと、シリカ系ゲルを充填剤としたGPCカラムで測定したクロマトグラムの差分よりシリカカラムへの吸着量を測定し変性率を求めた。
<変性率の計算方法>
ポリスチレン系ゲルカラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、重合体の測定用試料のピーク面積をP1、標準ポリスチレンを含む試料のピーク面積をP2、シリカ系ゲルカラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、重合体の測定用試料の面積をP3、標準ポリスチレンを含む試料のピーク面積をP4として、下記式より変性率(%)を求めた。
変性率(%)=[1−(P2×P3)/(P1×P4)]×100
(なお、P1+P2=P3+P4=100とする。)
〔組成物の物性測定方法〕
後述する実施例及び比較例の組成物の粘弾性試験方法について記載する。
(組成物の粘弾性試験)
レオメトリックス・サイエンティフィック社製の粘弾性試験機(ARES)を使用し、ねじりモードで加硫試験片の粘弾性パラメータを測定した。
0℃において周波数10Hz、ひずみ1%で測定したtanδをウェットグリップ性能の指標とした。指数値が大きいほどウェットグリップ性能が良好であることを示す。
また50℃において周波数10Hz、ひずみ3%で測定したtanδを低ヒステリシスロス性の指標とした。指数値の小さいほど低ヒステリシスロス性が良好であることを示す。
なお、指標値は、比較例1を基準値(100)とし、これとの相対比として表した。
後述する実施例及び比較例で用いた重合体について記載する。
〔重合体の製造方法〕
((1)SBR Aの製造方法)
4枚パドルの撹拌翼を具備する10L反応器(L/D=4)を2つ直列に配置し、1基目を重合反応器、2基目を変性反応器とした。
なお、Lは反応器長、Dは反応器内径をあらわす。
予め、水分等の不純物を除去した、1,3−ブタジエンを22.0g/分、スチレンを7.1g/分、n−ヘキサンを144g/分の条件で混合し、さらに不純物不活性化処理用として、1基目反応器に入る直前でn−ブチルリチウム(処理n−ブチルリチウム)0.084mmol/分とスタティックミキサーで混合した。
その後、1基目反応器の底部に連続的に供給し、さらに、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンを0.040g/分の速度で、重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.350mmol/分の速度で、1基目反応器底部へ供給し、反応器出口の内温を90℃となるように重合反応を継続させた。
1基目から押出された重合溶液を、そのまま2基目に供給した。
2基目の反応器の温度を85℃に保ち、変性剤として2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン(M1)を0.046mmol/分の速度で2基目反応器の底部から添加し、変性(カップリング)反応を実施した。
2基目の反応器内の液面高さが反応器全体の70%となるように反応液を流出し、その流出液に酸化防止剤(BHT)をポリマー100gあたり0.2gとなるように0.048g/分(n−ヘキサン溶液)で連続的に添加し、変性反応を終了させ、その後溶媒を除去し、変性共役ジエン系重合体(SBR A)を得た。
((2)SBR Bの製造方法)
2基目の反応器に添加する変性剤として、前記(M1)に代えて、0.18mmolのテトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(M2)を添加した。その他の条件は、(1)SBR Aの製造方法と同様に行い、SBR Bを得た。
((3)SBR Cの製造方法)
2基目の反応器に添加する変性剤として、前記(M1)に代えて、0.046mmolの1−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−4−メチルピペラジン(M3)を添加した。その他の条件は、SBR Aの製造方法と同様に行い、SBR Cを得た。
((4)SBR D)
2基目の反応器に(M1)を添加しなかった。その他の条件は、SBR Aの製造方法と同様に行い、SBR Dを得た。
((5)SBR Eの製造方法)
内容積10リットルで、撹拌機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去したブタジエン777g、スチレン273g、シクロヘキサン4800g、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン0.85gを反応器へ入れ、反応器内の温度を42℃に保持した。
ここにn−ブチルリチウム10.5mmolを供給し、重合反応を開始した。反応開始後、反応器内の温度は上昇を始め、最終的な反応器内の温度は75℃に達した。 重合反応終了後、反応器に1−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−4−メチルピペラジン(M3)2.13mmolを添加し、70℃で5分間反応させ、次いで(M2)5.25mmolを添加し70℃で5分間反応させた後、エタノールを20mmol添加した。この重合体溶液に酸化防止剤(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール:BHT)2.1gを添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、SBR(E)を得た。
後述する実施例及び比較例で用いた炭素材料について記載する。
〔炭化物〕
((1)三和油脂株式会社製RBセラミックス)
米ぬか脱脂成分をフェノール樹脂と混合し、焼成、炭化したもの。
分級し、粒径10μm未満の部分を抽出したもの(L1)、粒径105μm未満の部分を抽出したもの(L2)を用いた。
((2)昭和キャボット社製カーボンブラックN339(L3))
〔組成物の配合〕
後述する実施例及び比較例の組成物の原料の配合を下記表1に示す。
後述する実施例及び比較例の組成物の製造方法を記載する。
〔組成物の製造方法〕
温度制御装置を具備する密閉混練機(内容量0.3リットル)を使用し、第一段の混練として、充填率65%、ローター回転数50/57rpmの条件で、原料ゴム(変性共役ジエン重合体及び共役ジエン系重合体(SBR A〜D))、充填剤(シリカ、炭素材料(L1〜L3))、有機シランカップリング剤、プロセスオイル、亜鉛華、ステアリン酸からなる組成物を混練した。
このとき、密閉混合機の温度を制御し、排出温度(組成物)は155〜160℃で組成物を得た。
次に、第二段の混練として、上記で得た組成物を室温まで冷却後、老化防止剤を加え、シリカの分散を向上させるため再度混練した。この場合も、混合機の温度制御により排出温度(組成物)を155〜160℃に調整した。
冷却後、第三段の混練として、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤を加えて組成物を混練した。
その後、成型し、160℃で20分間、加硫プレスにて加硫した。加硫後、組成物の粘弾性試験を行った。
以下、具体的な実施例及び比較例について記載する。
(実施例1)
変性共役ジエン共重合体としてSBR Aを用い、炭素材料としてL1を用いて、組成物を製造し、粘弾性試験を行った。試験結果を表2に示す。
(実施例2)
炭素材料としてL1に代えてL2を用いた。その他の条件は、実施例1と同様に行った。試験結果を表2に示す。
(実施例3)
変性共役ジエン共重合体としてSBR Aに代えてSBR Bを用いた。その他の条件は、実施例1と同様に行った。試験結果を表2に示す。
(実施例4)
炭素材料としてL1に代えてL2を用いた。また、変性共役ジエン共重合体としてSBR Aに代えてSBR Bを用いた。その他の条件は、実施例1と同様に行った。試験結果を表2に示す。
(実施例5)
変性共役ジエン重合体としてSBR Aに代えて、SBR Cを用いた。その他の条件は、実施例1と同様に行った。試験結果を表2に示す。
(実施例6)
変性共役ジエン重合体としてSBR Aに代えてSBR Eを用いた。その他の条件は実施例1と同様に行った。試験結果を表2に示す。
(比較例1)
炭素材料としてL1に代えてL3を用いた。その他の条件は実施例1と同様に行った。評価結果を表2に示す。
(比較例2)
炭素材料としてL1に代えてL3を用いた。また、変性共役ジエン共重合体としてSBR Aに代えてSBR Bを用いた。その他の条件は、実施例1と同様に行った。評価結果を表2に示す。
(比較例3)
SBR Aに代えてSBR Dを用いた。その他の条件は、実施例1と同様に行った。試験結果を表2に示す。
表2に示すように、実施例1〜6の変性共役ジエン系重合体の組成物は、低ヒステリシスロス性、ウェットグリップ性能に優れ、かつこれらの性能バランスも良好であった。
本発明の変性共役ジエン系重合体の組成物は、タイヤ用トレッドやサイドウォール、履物、工業用品等の各種部材の材料として、産業上の利用可能性を有している。

Claims (4)

  1. 下記(A)〜(C)成分を含む、変性共役ジエン系重合体の組成物。
    (A)グリシジル基及び/又はアルコキシシリル基を有する変性共役ジエン系重合体
    (B)米ぬか脱脂成分の炭化物
    (C)熱硬化性樹脂の炭化物
  2. 前記(A)成分が、下記式(I)〜(III)で表される官能基からなる群より選ばれる、少なくとも1つを有する、請求項1に記載の変性共役ジエン系重合体の組成物。
    (R1 は炭素数1〜10の炭化水素基であり、R2は水素又は炭素数1〜20の炭化水素基であり、A1 はグリシジル、エーテル、3級アミン、エポキシ、カルボニル、及びハロゲンからなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する炭素数1〜30の炭化水素基、又は、グリシジル、エーテル、3級アミン、エポキシ、カルボニル、及びハロゲンからなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基と共役ジエン系重合体とが結合した有機基である。)
    (R11〜R15は、各々独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、及び共役ジエン系重合体からなる群より選ばれるいずれかであり、R11〜R15のうち少なくとも1つは炭素数1〜20のアルコキシ基である。A11及びA12は、各々独立して、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、A13は下記一般式(a)又は(b)で表される基を表す。xは0〜20の整数であり、xが2以上の場合、(A11−A13−A12)で表される複数の繰り返し単位は、各々同一であっても異なっていてもよい。)
    (一般式(a)中、R16は、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)
    (一般式(b)中、A14は単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、X13は炭素数1〜20のアルコキシ基を表す。R17は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。複数のX13又はR17が存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていてもよい。uは0〜3の整数である。)
    (一般式(III)中、R21〜R25は、各々独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、又は炭素数1〜20のアルコキシ基を表し、R21〜R25のうち少なくとも1つは炭素数1〜20のアルコキシ基である。R26は炭素数1〜20の炭化水素基、又はシリコンを含む炭素数1〜20の炭化水素基である。)
  3. 前記(A)成分が、
    共役ジエンモノマー、又は共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモノマーの重合体に、
    下記式(1)〜(3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物、及び/又は縮合物を反応させることにより得られたものである、
    請求項1又は2に記載の変性共役ジエンの組成物。
    (式(1)中、R31及びR32 は、炭素数1〜10の炭化水素基であり、R33及びR34は、水素又は炭素数1〜20の炭化水素基であり、R35 は炭素数1〜20の炭化水素基であり、nは1〜6の整数である。)
    (式(2)中、R41〜R44は、各々独立して、炭素数1〜20の炭化水素基であり、R45は炭素数1〜6の炭化水素基であって、隣接するNとともに5員環以上の環構造をなし、R46は炭素数1〜20の炭化水素基であり、mは1又は2の整数であり、nは2又は3の整数である。)
    (式(3)中、R51〜R55は、各々独立して、炭素数1〜20の炭化水素基であり、R56は炭素数1〜20の炭化水素基、又はシリコンを含む炭素数1〜20の炭化水素基であり、nは2又は3の整数である。)
  4. シリカ無機充填材をさらに含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の、変性共役ジエン系重合体の組成物。
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