JP2014214245A - 新規なチオフェン系化合物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】重合が容易に進行し、高い導電性を示す導電性材料になるEDTT誘導体及びPEDTT誘導体を提供する。【解決手段】下記式[I]で表される新規チオフェン系モノマー(EDTT):[式[I]中、R1は炭素数6〜10の直鎖または分岐鎖状のアルキル基を示す。]及び上記モノマーを電解重合または化学重合することによって得られるチオフェン系ポリマー(PEDTT)、PEDTTにドーパントをドーピングすることによって得られる導電性高分子材料。【選択図】なし
Description
本発明は、電子デバイスに使用される導電性高分子材料の原料となるチオフェン系モノマー及びポリマー、並びにその製造方法に関するものである。
導電性材料を用いる電子デバイスとして、固体電解コンデンサの固体電解質、透明導電膜、電池正極材料の導電補助剤、電池電極材料などが知られている。かかる電子材料に好適な導電性高分子材料としては、例えばポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)が提案されている。これらの応用では、より高い導電性と安定性が求められている。
上記PEDOT以外に、導電性高分子材料としてポリ(3,4−エチレンジチアチオフェン)(PEDTT)も期待される化合物である。PEDTTは、硫黄原子の大きな原子軌道から分子間接触が増加するため、導電性のさらなる向上が期待される。
しかしながら、PEDTTの原料モノマーであるEDTTは、剛直な骨格であるため、重合が開始されるとすぐに溶媒との親和性が非常に悪くなり、溶液中から沈降し、重合が進行しない問題がある。従って、従来提案されているEDTTでは、得られる重合物が低い導電性しか示せていないのが現状である。
本発明は、上記従来技術の現状に鑑み創案されたものであり、その目的は、重合が容易に進行し、高い導電性を示す導電性材料になるEDTT誘導体及びPEDTT誘導体を提供することにある。
本発明は、かかる目的を達成するために鋭意検討した結果、EDTTに特定のアルキル基を導入することにより、溶媒との親和性が向上し、安定して重合が進行し、得られたPEDTTは高い導電性を示す材料になりうることを見い出し、本発明の完成に至った。
即ち、本発明は、以下の(1)〜(5)の構成を有するものである。
(1)下記式[I]で表されることを特徴とするチオフェン系モノマー:
式[I]中、R1は炭素数6〜10の直鎖または分岐鎖状のアルキル基を示す。
(2)下記式[II]で表されることを特徴とするチオフェン系ポリマー:
式[II]中、R1は、炭素数6〜10の直鎖または分岐鎖状のアルキル基を示し、nは、2以上の整数を示す。
(3)(1)に記載のチオフェン系モノマーを電解重合または化学重合することによって得られることを特徴とする(2)に記載のチオフェン系ポリマーの製造方法。
(4)(2)に記載のチオフェン系ポリマーにドーパントをドーピングすることによって得られることを特徴とする導電性高分子材料。
(5)固体電解コンデンサの固体電解質、透明導電膜、電池正極材料の導電補助剤、または電池電極材料から選択される電子デバイスであって、(4)に記載の導電性高分子材料を使用していることを特徴とする電子デバイス。
(1)下記式[I]で表されることを特徴とするチオフェン系モノマー:
式[I]中、R1は炭素数6〜10の直鎖または分岐鎖状のアルキル基を示す。
(2)下記式[II]で表されることを特徴とするチオフェン系ポリマー:
式[II]中、R1は、炭素数6〜10の直鎖または分岐鎖状のアルキル基を示し、nは、2以上の整数を示す。
(3)(1)に記載のチオフェン系モノマーを電解重合または化学重合することによって得られることを特徴とする(2)に記載のチオフェン系ポリマーの製造方法。
(4)(2)に記載のチオフェン系ポリマーにドーパントをドーピングすることによって得られることを特徴とする導電性高分子材料。
(5)固体電解コンデンサの固体電解質、透明導電膜、電池正極材料の導電補助剤、または電池電極材料から選択される電子デバイスであって、(4)に記載の導電性高分子材料を使用していることを特徴とする電子デバイス。
本発明によれば、EDTTに特定のアルキル基を導入しているので、無置換のEDTTより高い熱安定性、重合膜の高次構造の高い制御性、高い電気伝導性を示し、固体電解コンデンサの固体電解質、透明導電膜、電極正極材料の導電補助剤、電池電極材料などの電子デバイスの導電性材料として好適に使用されるPEDTT誘導体を提供することができる。
本発明は、下記式[I]で表されることを特徴とするチオフェン系モノマー、及びこのチオフェン系モノマーを重合することによって得られる下記式[II]で表されることを特徴とするチオフェン系ポリマーである。
式[I]中、R1は炭素数6〜10の直鎖または分岐鎖状のアルキル基を示す。
式[II]中、R1は、炭素数6〜10の直鎖または分岐鎖状のアルキル基を示し、nは、2以上の整数を示す。
式[I]中、R1は炭素数6〜10の直鎖または分岐鎖状のアルキル基を示す。
式[II]中、R1は、炭素数6〜10の直鎖または分岐鎖状のアルキル基を示し、nは、2以上の整数を示す。
上記式[I]及び[II]のR1の炭素数6〜10の直鎖または分岐鎖状のアルキル基としては、具体的には1−ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、2−メチル−2−ペンチル基、2−メチル−3−ペンチル基、3−メチルペンチル基、3−メチル−2−ペンチル基、3−メチル−3−ペンチル基、4−メチルペンチル基、4−メチル−2−ペンチル基、シクロヘキシル基、2,2−ジメチル−3−ペンチル基、2,3−ジメチル−3−ペンチル基、2,4−ジメチル−3−ペンチル基、4,4−ジメチル−2−ペンチル基、3−エチル−3−ペンチル基、1−ヘプチル基、2−ヘプチル基、3−ヘプチル基、2−メチル−2−ヘキシル基、2−メチル−3−ヘキシル基、5−メチルヘキシル基、5−メチル−2−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、6−メチル−2−ヘプチル基、4−メチル−3−ヘプチル基、1−オクチル基、2−オクチル基、3−オクチル基、2−プロピルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、シクロオクチル基、各種ノニル基、各種デシル基(各種とは立体異性体を示す)が挙げられる。炭素数が5以下または10以上では、原料の性質上、膜収率が悪く、その電気特性も好ましくない。これらのうち、重合の進行性及び導電性の点で、1−ヘキシル基、1−ヘプチル基、1−オクチル基、1−ノニル基、1−デシル基が好ましい。さらに好ましくは、1−ヘキシル基、1−ヘプチル基、1−オクチル基である。
上記式[II]のnは2以上であり、好ましくは20〜200であり、さらに好ましくは40〜200である。nが200に近いほど重合膜の電気特性が良好である。
上記式[I]により表されるチオフェン系モノマーとしては、具体的には以下のものが挙げられる。1−ヘキシル−EDTT、2−ヘキシル−EDTT、3−ヘキシル−EDTT、2−メチル−EDTT、2−メチル−2−ペンチル−EDTT、2−メチル−3−ペンチル−EDTT、3−メチルペンチル−EDTT、3−メチル−2−ペンチル−EDTT、3−メチル−3−ペンチル−EDTT、4−メチルペンチル−EDTT、4−メチル−2−ペンチル−EDTT、シクロヘキシル−EDTT、2,2−ジメチル−3−ペンチル−EDTT、2,3−ジメチル−3−ペンチル−EDTT、2,4−ジメチル−3−ペンチル−EDTT、4,4−ジメチル−2−ペンチル−EDTT、3−エチル−3−ペンチル−EDTT、1−ヘプチル−EDTT、2−ヘプチル−EDTT、3−ヘプチル−EDTT、2−メチル−2−ヘキシル−EDTT、2−メチル−3−ヘキシル−EDTT、5−メチルヘキシル−EDTT、5−メチル−2−ヘキシル−EDTT、2−エチルヘキシル−EDTT、6−メチル−2−ヘプチル−EDTT、4−メチル−3−ヘプチル−EDTT、1−オクチル−EDTT、2−オクチル−EDTT、3−オクチル−EDTT、2−プロピルペンチル−EDTT、2,4,4−トリメチルペンチルEDTT、シクロオクチル−EDTT、各種ノニル−EDTT、各種デシル−EDTT(各種とは立体異性体を示す)。
上記式[II]により表されるチオフェン系ポリマーとしては、具体的には以下のものが挙げられる。ポリ(1−ヘキシル−EDTT)、ポリ(2−ヘキシル−EDTT)、ポリ(3−ヘキシル−EDTT)、ポリ(2−メチル−EDTT)、ポリ(2−メチル−2−ペンチル−EDTT)、ポリ(2−メチル−3−ペンチル−EDTT)、ポリ(3−メチルペンチル−EDTT)、ポリ(3−メチル−2−ペンチル−EDTT)、ポリ(3−メチル−3−ペンチル−EDTT)、ポリ(4−メチルペンチル−EDTT)、ポリ(4−メチル−2−ペンチル−EDTT)、ポリ(シクロヘキシル−EDTT)、ポリ(2,2−ジメチル−3−ペンチル−EDTT)、ポリ(2,3−ジメチル−3−ペンチル−EDTT)、ポリ(2,4−ジメチル−3−ペンチル−EDTT)、ポリ(4,4−ジメチル−2−ペンチル−EDTT)、ポリ(3−エチル−3−ペンチル−EDTT)、ポリ(1−ヘプチル−EDTT)、ポリ(2−ヘプチル−EDTT)、ポリ(3−ヘプチル−EDTT)、ポリ(2−メチル−2−ヘキシル−EDTT)、ポリ(2−メチル−3−ヘキシル−EDTT)、ポリ(5−メチルヘキシル−EDTT)、ポリ(5−メチル−2−ヘキシル−EDTT)、ポリ(2−エチルヘキシル−EDTT)、ポリ(6−メチル−2−ヘプチル−EDTT)、ポリ(4−メチル−3−ヘプチル−EDTT)、ポリ(1−オクチル−EDTT)、ポリ(2−オクチル−EDTT)、ポリ(3−オクチル−EDTT)、ポリ(2−プロピルペンチル−EDTT)、ポリ(2,4,4−トリメチルペンチルEDTT)、ポリ(シクロオクチル−EDTT)、各種ポリ(ノニル−EDTT)、各種ポリ(デシル−EDTT)(各種とは立体異性体を示す)。
上記式[II]により表されるチオフェン系ポリマーは、上記式[I]により表されるチオフェン系モノマーを電解重合または化学重合することによって得られることができる。
電解重合では、上記式[I]により表されるチオフェン系モノマーと、電解質を溶媒に溶解させる。この溶液にITO(酸化インジウムスズ)電極と白金電極を漬けて、ITO電極上に、上記式[II]により表されるチオフェン系ポリマーを製造する。電解重合反応は、定電流法、定電位法、電位掃引法、交流法のいずれでも可能であるが、定電流法、定電位法が適しており、製造の観点から定電流法が望ましい。また、電極膜に堆積する十分な量の原料を用意した電解槽で行う必要がある。
化学重合では、上記式[I]により表されるチオフェン系モノマーを溶媒に溶解させ、これに酸化剤を投入し、一定時間撹拌することによって上記式[II]のチオフェン系ポリマーを製造する。使用するモノマー、酸化剤、溶媒は、純度が十分に高いものを使用し、酸化剤は、モノマーよりも酸化電位が高いものを使用する。また、溶媒は、水分が100ppm以下のものを使用する。
上記式[II]のチオフェン系ポリマーは、ドーパントをドーピングすることによりチオフェン系ポリマーを様々な用途に展開できる導電性高分子材料にすることができる。ドーパントとしては、Br2、I2、Cl2、BF4 −、PF6 −、AsF6 −、ClO4 −、FeCl3、MoCl5、パラトルエンスルホン酸などが挙げられる。好ましくは、立体障害による吸着安定性などの理由により、BF4 −またはPF6 −である。ドーパントのドーピング方法としては、上述の電解重合法、化学重合法が挙げられる。
使用する溶媒としては、水、アセトニトリル、ベンゾニトリル、炭酸プロピレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、それらの溶媒は、純度が高いものを使用する。
上記式[II]によって表わされるチオフェン系ポリマーは、ファンデルワールス半径の大きな硫黄原子を多く含むため、ポリマー鎖間の分子接触が増大しており、これにより電気伝導性が向上していると考えられる。
上述の導電性高分子材料は、電子デバイスとして好適であり、特に固体電解コンデンサの固体電解質、透明導電膜、電池正極材料の導電補助剤、または電池電極材料に使用可能である。
固体電解コンデンサの固体電解質の場合、例えばアルミ電解コンデンサにおいて、まず、陽極表面を電解エッチング処理により表面にAl2O3の細孔を多数形成させ、この細孔上に化学重合または電解重合で本発明のチオフェン系ポリマーの電解質層を形成させる。本発明のチオフェン系ポリマーは、良好な電気伝導性を示すため、かかる使用において低ESR性かつ高耐電圧性が期待される。
透明導電膜の場合、ITO代替の材料として用いられ、ガラス基板またはプラスチック基板表面にドーパントがドープされた本発明のチオフェン系ポリマーを薄膜として塗布することにより光透過性電極として使用することができる。
電池正極材料の導電補助剤の場合、通常は活性炭などの黒鉛が用いられるが、電気伝導性の高い上記[II]のチオフェン系ポリマーに置き換えることにより、正極活物質間の電気伝導性の向上によりサイクル特性の向上が期待される。
電池電極材料の場合、本発明のチオフェン系ポリマーのドーパントのドープ−脱ドープが容易に行われるため、この酸化還元反応を利用して電池正極材としての活用が期待される。
以下、実施例により本発明のチオフェン系モノマー及びポリマーを製造し、その優れた効果を示す。
実施例1(R1の炭素数6の式[I]のチオフェン系モノマー(C6EDTT)の製造)
3,4−ジメトキシチオフェン(10.0g)と1,2−オクタンジチオール(14.8g)をパラトルエンスルホン酸1水和物(1.32g)存在下、トルエン(100g)中で加熱攪拌した。溶液の温度は90±5℃の範囲で行なった。反応時間は12時間行なった。反応終了後、室温付近まで冷却し、4.8%の水酸化ナトリウム水溶液を投入して30分攪拌した。その後、10分静置してから、分液している水層(下層)を抜き出し、残った有機層(上層)に水を投入し、攪拌、再度分液して水層(下層)を抜き出し、残った有機層を硫酸マグネシウムで脱水した。この有機層を濃縮して得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離し、目的のC6EDTT(7.89g)を得た。
3,4−ジメトキシチオフェン(10.0g)と1,2−オクタンジチオール(14.8g)をパラトルエンスルホン酸1水和物(1.32g)存在下、トルエン(100g)中で加熱攪拌した。溶液の温度は90±5℃の範囲で行なった。反応時間は12時間行なった。反応終了後、室温付近まで冷却し、4.8%の水酸化ナトリウム水溶液を投入して30分攪拌した。その後、10分静置してから、分液している水層(下層)を抜き出し、残った有機層(上層)に水を投入し、攪拌、再度分液して水層(下層)を抜き出し、残った有機層を硫酸マグネシウムで脱水した。この有機層を濃縮して得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離し、目的のC6EDTT(7.89g)を得た。
実施例2(R1の炭素数10の式[I]のチオフェン系モノマー(C10EDTT)の製造)
3,4−ジメトキシチオフェン(10.0g)と1,2−ドデシルジチオール(19.5g)をパラトルエンスルホン酸1水和物(1.32g)存在下、トルエン(100g)中で加熱攪拌した。溶液の温度は90±5℃の範囲で行なった。反応時間は12時間行なった。反応終了後、室温付近まで冷却し、4.8%の水酸化ナトリウム水溶液を投入して30分攪拌した。その後、10分静置してから、分液している水層(下層)を抜き出し、残った有機層(上層)に水を投入し、攪拌、再度分液して水層(下層)を抜き出し、残った有機層を硫酸マグネシウムで脱水した。この有機層を濃縮して得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離し、目的のC10EDTT(9.16g)を得た。
3,4−ジメトキシチオフェン(10.0g)と1,2−ドデシルジチオール(19.5g)をパラトルエンスルホン酸1水和物(1.32g)存在下、トルエン(100g)中で加熱攪拌した。溶液の温度は90±5℃の範囲で行なった。反応時間は12時間行なった。反応終了後、室温付近まで冷却し、4.8%の水酸化ナトリウム水溶液を投入して30分攪拌した。その後、10分静置してから、分液している水層(下層)を抜き出し、残った有機層(上層)に水を投入し、攪拌、再度分液して水層(下層)を抜き出し、残った有機層を硫酸マグネシウムで脱水した。この有機層を濃縮して得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離し、目的のC10EDTT(9.16g)を得た。
比較例1(R1なしの無置換の式[I]のチオフェン系モノマー(EDTT)の製造)
3,4−ジメトキシチオフェン(10.0g)と1,2−エタンジチオール(7.94g)をパラトルエンスルホン酸1水和物(1.32g)存在下、トルエン(100g)中で加熱攪拌した。溶液の温度は90±5℃の範囲で行なった。反応時間は12時間行なった。反応終了後、室温付近まで冷却し、4.8%の水酸化ナトリウム水溶液を投入して30分攪拌した。その後、10分静置してから、分液している水層(下層)を抜き出し、残った有機層(上層)に水を投入し、攪拌、再度分液して水層(下層)を抜き出し、残った有機層を硫酸マグネシウムで脱水した。この有機層を濃縮して得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離し、目的のEDTT(5.92g)を得た。
3,4−ジメトキシチオフェン(10.0g)と1,2−エタンジチオール(7.94g)をパラトルエンスルホン酸1水和物(1.32g)存在下、トルエン(100g)中で加熱攪拌した。溶液の温度は90±5℃の範囲で行なった。反応時間は12時間行なった。反応終了後、室温付近まで冷却し、4.8%の水酸化ナトリウム水溶液を投入して30分攪拌した。その後、10分静置してから、分液している水層(下層)を抜き出し、残った有機層(上層)に水を投入し、攪拌、再度分液して水層(下層)を抜き出し、残った有機層を硫酸マグネシウムで脱水した。この有機層を濃縮して得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離し、目的のEDTT(5.92g)を得た。
実施例3(C6EDTTのポリマー(PC6EDTT)の製造)
実施例1で得られたモノマーのC6EDTT50mMとテトラブチルアンモニウムテトラフルオロボラート0.1Mを炭酸プロピレンに溶解させ、25mLにメスアップした。この溶液にITO電極と白金電極を漬けて定電流電解重合を行なった。4.2mAの電流を2.1C流した。ITO電極上に導電性高分子を析出させ、目的の導電性高分子膜(PC6EDTT)を得た。
実施例1で得られたモノマーのC6EDTT50mMとテトラブチルアンモニウムテトラフルオロボラート0.1Mを炭酸プロピレンに溶解させ、25mLにメスアップした。この溶液にITO電極と白金電極を漬けて定電流電解重合を行なった。4.2mAの電流を2.1C流した。ITO電極上に導電性高分子を析出させ、目的の導電性高分子膜(PC6EDTT)を得た。
示差走査熱量測定(DSC)の評価
実施例1,2及び比較例1の各種EDTTの熱安定性を確認するために示差走査熱量測定(DSC)を行った。測定サンプルの作製は、ステンレスセルを空気中で圧縮ポンプを使用して密閉系で行った。その結果を図1−1〜図1−3に示す。図1−1に示したEDTTのDSCの結果では、360℃付近に発熱が見られるが、アルキル基を導入した図1−2に示したC6EDTT、図1−3に示したC10EDTTでは、その発熱ピークが見られず、500℃まで安定である。参考例として、図1−4に3,4エチレンジオキシチオフェン(EDOT)のDSCの結果を示す。C6〜C10のアルキル基置換EDTTは、現在この分野でよく知られているEDOTと比べても、明らかに熱的に安定な傾向があることが認められる。
実施例1,2及び比較例1の各種EDTTの熱安定性を確認するために示差走査熱量測定(DSC)を行った。測定サンプルの作製は、ステンレスセルを空気中で圧縮ポンプを使用して密閉系で行った。その結果を図1−1〜図1−3に示す。図1−1に示したEDTTのDSCの結果では、360℃付近に発熱が見られるが、アルキル基を導入した図1−2に示したC6EDTT、図1−3に示したC10EDTTでは、その発熱ピークが見られず、500℃まで安定である。参考例として、図1−4に3,4エチレンジオキシチオフェン(EDOT)のDSCの結果を示す。C6〜C10のアルキル基置換EDTTは、現在この分野でよく知られているEDOTと比べても、明らかに熱的に安定な傾向があることが認められる。
導電性高分子膜の表面観察
実施例3で作製した導電性高分子膜にスパッタ法を用いて白金を蒸着し、導電性高分子膜の表面観察をSEMで行なった。図2−1に示したPC6EDTTは、導電経路となるネットワーク構造を形成していることが認められる。図2−2は、無置換のPEDTTの重合膜で、その構造は粒塊状で導電経路であるネットワークを形成していなかった。
実施例3で作製した導電性高分子膜にスパッタ法を用いて白金を蒸着し、導電性高分子膜の表面観察をSEMで行なった。図2−1に示したPC6EDTTは、導電経路となるネットワーク構造を形成していることが認められる。図2−2は、無置換のPEDTTの重合膜で、その構造は粒塊状で導電経路であるネットワークを形成していなかった。
電気伝導度の測定
実施例3で作製した導電性高分子膜をITO電極から剥離し、この膜を4端子法による電気伝導度測定を行った。その結果、PC6EDTTの電気伝導度は、62S/cmであった。比較例1のEDTTを用いて実施例3と同様の方法で重合膜を作成した場合、4端子法による電気伝導度測定の結果は6×10−2S/cmであった。
実施例3で作製した導電性高分子膜をITO電極から剥離し、この膜を4端子法による電気伝導度測定を行った。その結果、PC6EDTTの電気伝導度は、62S/cmであった。比較例1のEDTTを用いて実施例3と同様の方法で重合膜を作成した場合、4端子法による電気伝導度測定の結果は6×10−2S/cmであった。
固体電解コンデンサへの応用
固体電解コンデンサへの応用の可能性の指標として、導電性高分子の抵抗値は非常に重要であり、そのためには抵抗値の範囲は1Ω〜106Ω程度であることが必要である。実施例3の方法に従って作製された導電性高分子膜PC6EDTTの抵抗値は13Ωであり、従ってPC6EDTTは固体電解コンデンサへの応用が期待できる。
固体電解コンデンサへの応用の可能性の指標として、導電性高分子の抵抗値は非常に重要であり、そのためには抵抗値の範囲は1Ω〜106Ω程度であることが必要である。実施例3の方法に従って作製された導電性高分子膜PC6EDTTの抵抗値は13Ωであり、従ってPC6EDTTは固体電解コンデンサへの応用が期待できる。
本発明のチオフェン系モノマー及びポリマーは、高い導電性を示す材料として安定して製造することができ、様々な電子デバイスへの応用が可能である。
Claims (5)
- 下記式[I]で表されることを特徴とするチオフェン系モノマー:
式[I]中、R1は炭素数6〜10の直鎖または分岐鎖状のアルキル基を示す。 - 下記式[II]で表されることを特徴とするチオフェン系ポリマー:
式[II]中、R1は、炭素数6〜10の直鎖または分岐鎖状のアルキル基を示し、nは、2以上の整数を示す。 - 請求項1に記載のチオフェン系モノマーを電解重合または化学重合することによって得られることを特徴とする請求項2に記載のチオフェン系ポリマーの製造方法。
- 請求項2に記載のチオフェン系ポリマーにドーパントをドーピングすることによって得られることを特徴とする導電性高分子材料。
- 固体電解コンデンサの固体電解質、透明導電膜、電池正極材料の導電補助剤、または電池電極材料から選択される電子デバイスであって、請求項4に記載の導電性高分子材料を使用していることを特徴とする電子デバイス。
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