JP2014214190A - 緊急停止用組成物、これを用いる緊急停止方法並びに緊急停止システム、および、これらを用いるラジカル重合性化合物の製造方法 - Google Patents
緊急停止用組成物、これを用いる緊急停止方法並びに緊急停止システム、および、これらを用いるラジカル重合性化合物の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】本発明は、ラジカル重合性化合物を取り扱う際に不所望の急激な暴走反応が生じた場合に、即時使用でき、かつ、効果的に該重合反応を停止することのできる緊急停止用組成物、およびそれを使用する緊急停止方法並びに緊急停止システム、および、これらを用いるラジカル重合性化合物の製造方法を提供する。【解決手段】溶媒または分散媒と重合防止剤とを含有する緊急停止用組成物であり、ラジカル重合性化合物を製造、貯蔵または輸送する際に発生する異常反応を緊急停止するにあたって該緊急停止用組成物を用いる。【選択図】なし
Description
本発明は、緊急停止用組成物、および、それを用いた緊急停止方法に関する。より詳しくは、ラジカル重合性化合物を取り扱う際に、該化合物の不所望の重合による急激な暴走反応が生じた場合に、即時使用(投入)して当該暴走反応を停止することのできる緊急停止用組成物、および、それを用いた緊急停止方法に関するものである。
(メタ)アクロレイン、(メタ)アクリル酸およびそのエステル類、(メタ)アクリロニトリルやスチレン類などのエチレン性不飽和基を有するラジカル重合性化合物を、製造、貯蔵、輸送、使用する際、例えば、熱や光、不所望なラジカルなどが加わった場合など、何らかの要因により該化合物のラジカル重合(例えば、該化合物のラジカル塊状重合、溶液重合、乳化重合または懸濁重合)反応が起こる場合がある。この重合は一度開始すると、通常著しい発熱を伴って進行し、この際発生した重合熱を抑制しない限りラジカル重合は更に促進される。従って、前記ラジカル重合においては、重合熱の抑制が不十分であった場合、重合がさらに激しく進行し、制御から外れた重合となり、その結果、該化合物を内蔵する容器類が破損したり、重大な場合には爆発する場合がある。そのため、特に該ラジカル重合が所望せずに開始した場合において、速やかな対応措置が必要とされる。
従来、そのような不所望なラジカル重合を防止する措置として、予めラジカル重合性化合物(モノマー)にわずかな量(一般に1000質量ppmまで)のラジカル重合防止剤(ラジカル捕捉剤、重合禁止剤)を添加しておく方法がとられている。しかしながら、予め添加するラジカル重合防止剤の量が多すぎると、後に(共)重合体を製造するために該ラジカル重合性化合物を使用する際、逆に所望の重合を阻害してしまうため、事前に該重合防止剤を分離しなければならなくなる。逆に少なすぎると、重合防止能が十分でないために、ラジカル重合性化合物の製造、貯蔵、あるいは輸送の際に、不所望のラジカル重合が起こり、上述したような好ましくない事態を引き起こす場合がある。
また、重合防止剤を添加したからといって必ずしも不所望なラジカル重合が全く生じないわけではなく、例えば、添加した重合防止剤の分解や変質等により重合防止機能が損なわれた結果、不所望のラジカル重合が起こり、上述したような好ましくない事態を引き起こす場合がある。
すなわち、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、不所望なラジカル重合が生じた際に即時使用でき、かつ、効果的に該重合反応を停止することのできる緊急停止用組成物、それを使用する緊急停止方法並びに緊急停止システム、および、これらを用いるラジカル重合性化合物の製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行なった。その結果、溶媒または分散媒と重合防止剤とを含有する組成物が、該重合反応を緊急停止するために効果的であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の緊急停止用組成物は、溶媒または分散媒と、重合防止剤とを含有することを特徴とする。
また、本発明の緊急停止方法は、ラジカル重合性化合物を製造、貯蔵または輸送する際に発生する異常反応を緊急停止するにあたって、本発明の緊急停止用組成物を用いることを特徴とする。
また、本発明の緊急停止システムは、ラジカル重合性化合物を製造、貯蔵または輸送する際に発生する異常反応を緊急停止するシステムであって、本発明の緊急停止用組成物を用いることを特徴とする。
またさらに、本発明のラジカル重合性化合物の製造方法、貯蔵方法、並びに、輸送方法は、本発明の緊急停止用組成物を用いることを特徴とする。
本発明の緊急停止用組成物は、不所望なラジカル重合が生じた際に即時使用することができ、かつ、効果的に該重合反応を停止することができる。
また、本発明の緊急停止方法並びに緊急停止システムにより、不所望なラジカル重合を適切かつ効果的に短時間で停止することができる。
さらにまた、本発明の製造方法、貯蔵方法、並びに、輸送方法により、所望のラジカル重合性化合物を安全にかつ安定的に継続して製造し、貯蔵し、輸送することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)緊急停止用組成物
本発明の緊急停止用組成物では、溶媒または分散媒と、重合防止剤とを必須に用いる。溶媒または分散媒としては、特に限定されないが、水;メタノール、エタノール、エチレングリコール等のアルコール類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;酢酸、アクリル酸、プロピオン酸等の酸類;酢酸メチル、酢酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドン等のケトン類;フルフラール、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;などが挙げられる。これらのうち1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用して使用してもよい。溶媒または分散媒として好ましくは、水、アルコール類であり、特に好ましくは水である。すなわち、本発明の緊急停止用組成物においては、溶媒または分散媒の主成分が水であることが好ましい。溶媒または分散媒を水、または、その主成分を水とすることにより、種々の重合防止剤を簡便に溶解または分散させることができ、さらには、該組成物の保管中あるいは緊急重合停止剤としての使用時の安全性が高くなるため好ましい。
ここで、「主成分が水である」とは、溶媒または分散媒の全量に対し、質量比または容積比で最も多いものが水であることを意味し、溶媒または分散媒として水のみを単独で使用する場合もこれに含まれる。
(1)緊急停止用組成物
本発明の緊急停止用組成物では、溶媒または分散媒と、重合防止剤とを必須に用いる。溶媒または分散媒としては、特に限定されないが、水;メタノール、エタノール、エチレングリコール等のアルコール類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;酢酸、アクリル酸、プロピオン酸等の酸類;酢酸メチル、酢酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドン等のケトン類;フルフラール、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;などが挙げられる。これらのうち1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用して使用してもよい。溶媒または分散媒として好ましくは、水、アルコール類であり、特に好ましくは水である。すなわち、本発明の緊急停止用組成物においては、溶媒または分散媒の主成分が水であることが好ましい。溶媒または分散媒を水、または、その主成分を水とすることにより、種々の重合防止剤を簡便に溶解または分散させることができ、さらには、該組成物の保管中あるいは緊急重合停止剤としての使用時の安全性が高くなるため好ましい。
ここで、「主成分が水である」とは、溶媒または分散媒の全量に対し、質量比または容積比で最も多いものが水であることを意味し、溶媒または分散媒として水のみを単独で使用する場合もこれに含まれる。
重合防止剤としては、特に限定されないが、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、tert−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、ハイドロキノンモノメチルエーテル、クレゾール、tert−ブチルカテコール等のフェノール化合物;N−イソプロピル−N’−フェニル−パラフェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−パラフェニレンジアミン、N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−パラフェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−パラフェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−パラフェニレンジアミン等のパラフェニレンジアミン類;チオジフェニルアミン、フェノチアジン等のアミン化合物;ジブチルジチオカルバミン酸銅、ジプロピルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸銅等のジアルキルジチオカルバミン酸銅塩類;ジフェニルジチオカルバミン酸銅等のジアリールジチオカルバミン酸銅塩類;ニトロソフェノール、N−ニトロソジフェニルアミン、亜硝酸イソアミル、N−ニトロソ−シクロヘキシルヒドロキシルアミン、N−ニトロソ−N−フェニル−N−ヒドロキシルアミンおよびそれらの塩等のニトロソ化合物;2,2,4,4−テトラメチルアゼチジン−1−オキシル、2,2−ジメチル−4,4−ジプロピルアゼチジン−1−オキシル、2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−1−オキシル、2,2,5,5−テトラメチル−3−オキソピロリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、6−アザ−7,7−ジメチル−スピロ(4,5)デカン−6−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−アセトキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ベンゾイルオキシピペリジン−1−オキシル、4,4’,4”−トリス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル)ホスファイト等のN−オキシル化合物;テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラプロピルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等のテトラアルキルチウラムジスルフィド類;メチレンブルー;などが挙げられる。これら重合防止剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用して使用してもよい。これらのうち好ましくは、フェノール化合物、アミン化合物、ジアルキルジチオカルバミン酸銅塩類、N−オキシル化合物であり、特に好ましくは、アミン系化合物、N−オキシル化合物である。
本発明の緊急停止用組成物としては、少なくとも溶媒または分散媒と重合防止剤とを含有するものであればよいが、好ましくは該組成物中の重合防止剤の濃度が0.1〜65質量%であり、より好ましくは1〜50質量%であり、更に好ましくは2〜40質量%である。その理由としては、重合防止剤の濃度が低いと不所望のラジカル重合を速やかに停止することができないおそれがあり、また、該重合を効果的に停止しようとするために緊急停止用組成物を多量に投入しなければならない場合があるため好ましくなく、逆に濃度が高いと溶解度の面から該組成物の温度が低下した際などに重合防止剤が析出してしまうため好ましくない。
また、緊急停止用組成物を貯蔵する際の雰囲気としては、特に限定はなく、空気や窒素等の不活性ガス、あるいは、それら混合気体などを使用することができる。また、これら気体の一部、例えば、酸素等が該組成物中に溶存しても構わない。酸素が溶存していると、該組成物を貯蔵する時の保存安定性が向上する場合があるだけでなく、該組成物を使用する際に溶存酸素が重合防止剤として作用する場合があるため好ましい。緊急停止用組成物中の溶存酸素量としては、特に限定されないが、0ppmを超え、かつ、該組成物に溶存しうる最大量(飽和量)以下が好ましく、例えば、200ppm以下がより好ましい。
本発明の緊急停止用組成物は、少なくとも、溶媒または分散媒と、重合防止剤とを含有すればよいが、その他の添加剤を含んでいてもよい。その他の添加剤としては、例えば、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、緩衝液、凝集剤、防腐剤等が挙げられる。これらその他の添加剤は、1種のみを添加してもよく、2種以上を併用して添加してもよい。その他の添加剤を添加する際の添加量としては、特に限定されず、好ましくは、該組成物中の濃度として、0質量%を越え50質量%未満であり、より好ましくは、0.1〜30質量%であり、更に好ましくは1〜20質量%である。
また、前記緊急停止用組成物、特に重合防止剤は、経時により分解あるいは変質等する場合があるため、前記した濃度範囲から外れていないかを監視しておく必要がある。その監視する方法については、特に限定させるものではないが、少なくとも年1回の頻度で、緊急停止用組成物、特に重合防止剤の濃度を分析することが望ましい。分析方法については特に限定されないが、例えば、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、紫外可視分光光度計等を用いた分析方法が挙げられる。
(2)ラジカル重合性化合物
本発明において、ラジカル重合性化合物とは、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクロレイン、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクロレイン、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、スチレン、ジビニルベンゼン等の、エチレン性不飽和基を有する各種化合物が挙げられ、これら上述の例示化合物に特に限定されない。
本発明において、ラジカル重合性化合物とは、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクロレイン、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクロレイン、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、スチレン、ジビニルベンゼン等の、エチレン性不飽和基を有する各種化合物が挙げられ、これら上述の例示化合物に特に限定されない。
(3)緊急停止方法
本発明の緊急停止方法は、ラジカル重合性化合物を製造、貯蔵または輸送する際に発生する不所望のラジカル重合を緊急停止するにあたって、本発明の緊急停止用組成物を用いることを特徴とする。
本発明の緊急停止方法は、ラジカル重合性化合物を製造、貯蔵または輸送する際に発生する不所望のラジカル重合を緊急停止するにあたって、本発明の緊急停止用組成物を用いることを特徴とする。
本発明の緊急停止方法においては、ラジカル重合性化合物に対する重合防止剤の濃度として、好ましくは1〜200000質量ppm、より好ましくは20〜125000質量ppm、更に好ましくは200〜40000質量ppmとなるように、緊急停止用組成物を用いればよい。その理由としては、緊急停止用組成物の使用量が少ない、すなわち重合防止剤の濃度が低いと不所望のラジカル重合を停止させることができず、逆に使用量が多い、すなわち重合防止剤の濃度が高いと重合防止剤にかかるコストが増加するだけでなく重合防止剤投入後の液の精製、回収が困難になることから好ましくない。
緊急停止用組成物を投入する手法としては、例えば、ラジカル重合性化合物を製造、貯蔵または輸送するための容器および/または配管に予め備え付けられた専用の投入口からポンプやガスの圧力により投入してもよいし、ポリタンク等の容器から直接手動により投入してもよい。また、容器および/または配管に設置された内容物をリサイクルするためのリサイクル配管に当該緊急停止用組成物の投入ラインを繋ぐことで、内容物のリサイクルとともに緊急停止用組成物が混合されるように投入してもよく、ラジカル重合性化合物に対して当該緊急停止用組成物を投入できさえすれば、特に限定されない。
当該緊急停止用組成物をガスの圧力により投入する際に使用するガスについては、特に限定はないが、必要に応じて、分子状酸素含有ガスを使用すれば重合反応を停止させる効果が向上するため好ましい。その分子状酸素の供給源としては、特に限定はなく、酸素ガス、空気、および/または、これらと不活性ガスとの混合気体などを使用することができる。
緊急停止用組成物を投入する速度については、特に限定されるものではなく、装置や配管あるいは容器等の規模等よって適宜選択され、できるだけ速やかに投入されることが好ましく、60分以内、より好ましくは30分以内が好ましい。
また、緊急停止用組成物の投入に加え、重合反応により上昇した温度を低下させるために該当する装置や配管あるいは容器等の外部(外壁)に直接水等の冷媒をかけて冷却する、もしくは、該当する装置や配管あるいは容器等の内部に水を追加投入することにより冷却する、あるいは、該当する装置や配管あるいは容器等に予め熱交換器が設置されている場合には、その熱交換器を用いて冷却する等の措置を併用することが好ましい。
また、緊急停止用組成物を投入する際、特に、貯蔵時の不所望のラジカル重合に対して緊急停止用組成物を投入する際には、必ずしも必要ではないが、ラジカル重合性化合物への分散性をより向上させる目的で攪拌を実施することが好ましい。その攪拌方法については、緊急停止用組成物のラジカル重合性化合物への分散性が向上する方法であれば特に限定されず、例えば、ラジカル重合性化合物を貯蔵している容器あるいはタンク等の下部より気体を導入してバブリングさせることで攪拌する方法、容器あるいはタンク等の内容物をポンプ等により循環リサイクルすることで攪拌する方法、あるいは、攪拌機等で直接容器内あるいはタンク内の内容物を攪拌する方法などが挙げられる。中でも、気体を導入してバブリングさせる方法や、内容物をリサイクルする方法が好ましい。バブリングにより攪拌する場合、用いることのできる気体としては特に限定されないが、例えば、酸素ガス、空気、窒素、不活性ガスあるいはそれらの混合気体等を使用することができる。また、単位時間当たりの気体の導入量については特に限定されず、容器あるいはタンク等の規模によって適宜選択すればよい。
緊急停止用組成物を投入した後のラジカル重合性化合物は、緊急停止用組成物および重合により発生した重合物が混在しているため、廃棄してもよいが、回収および/または精製してもよい。ラジカル重合性化合物を回収および/または精製する方法としては、該緊急停止用組成物及び該重合物を分離して除去できる方法であれば特に限定されないが、例えば、濾過、蒸留、晶析などの方法を利用することが好ましく、これらの方法は単独で実施してもよく、適宜組み合わせて実施してもよい。
また、本発明の緊急停止方法においては、緊急停止用組成物の保管温度あるいは使用する際の温度を0〜40℃とすることが好ましい。温度が40℃より高いと重合防止剤の分解あるいは変質が速くなり、逆に0℃より低いと凍結や析出の恐れがあるためである。
上記のような条件で緊急停止用組成物を使用することにより、重合防止剤による重合の停止効果だけでなく、該組成物による希釈効果や冷却効果も奏効するため、ラジカル重合性化合物の不所望な重合反応を速やかに停止することができ、好ましい。
(4)緊急停止システム
本発明の緊急停止システムは、ラジカル重合性化合物を製造、貯蔵または輸送する際に発生する異常反応を緊急停止するシステムであって、本発明の緊急停止用組成物を用いることを特徴とする。
本発明の緊急停止システムは、ラジカル重合性化合物を製造、貯蔵または輸送する際に発生する異常反応を緊急停止するシステムであって、本発明の緊急停止用組成物を用いることを特徴とする。
本発明の緊急停止システムにおいては、ラジカル重合性化合物を製造、貯蔵または輸送するための容器および/または配管と、該容器および/または配管に緊急停止用組成物を投入する手段や攪拌手段を備えてなることが好ましい。また、該システムは、緊急停止用組成物を投入する手段として、固定式あるいは移動式のポンプなどを備えていることが好ましく、例えば、以下の(A)〜(C)などが挙げられる。
(A)緊急停止用組成物が保管されている容器あるいはタンク等が固定設置されており、当該容器あるいはタンク等と、ラジカル重合性化合物を製造、貯蔵または輸送するための容器および/または配管とが、固定配管で連結されてなるシステム。
(B)緊急停止用組成物が保管されている容器あるいはタンク等が固定設置されており、当該容器あるいはタンク等と、ラジカル重合性化合物を製造、貯蔵または輸送するための容器および/または配管とが、フレキシブル配管で連結されてなるシステム。該フレキシブル配管は、常時連結されている必要はなく、緊急停止用組成物を投入する際に接続させる方法であってもよい。
(C)緊急停止用組成物が保管されている容器あるいはタンク等が移動手段を備えており、当該容器あるいはタンク等と、ラジカル重合性化合物を製造、貯蔵または輸送するための容器および/または配管とが、フレキシブル配管で連結されてなるシステム。該移動手段としては、緊急停止用組成物を投入する際に、ラジカル重合性化合物を製造、貯蔵または輸送するための容器および/または配管の近傍などに移動出来うる手段を備えているものであればよく、例えば、車載式の容器あるいはタンク等が挙げられる。また、該フレキシブル配管は、常時連結されている必要はなく、緊急停止用組成物を投入する際に接続させる方法であってもよい。
(A)緊急停止用組成物が保管されている容器あるいはタンク等が固定設置されており、当該容器あるいはタンク等と、ラジカル重合性化合物を製造、貯蔵または輸送するための容器および/または配管とが、固定配管で連結されてなるシステム。
(B)緊急停止用組成物が保管されている容器あるいはタンク等が固定設置されており、当該容器あるいはタンク等と、ラジカル重合性化合物を製造、貯蔵または輸送するための容器および/または配管とが、フレキシブル配管で連結されてなるシステム。該フレキシブル配管は、常時連結されている必要はなく、緊急停止用組成物を投入する際に接続させる方法であってもよい。
(C)緊急停止用組成物が保管されている容器あるいはタンク等が移動手段を備えており、当該容器あるいはタンク等と、ラジカル重合性化合物を製造、貯蔵または輸送するための容器および/または配管とが、フレキシブル配管で連結されてなるシステム。該移動手段としては、緊急停止用組成物を投入する際に、ラジカル重合性化合物を製造、貯蔵または輸送するための容器および/または配管の近傍などに移動出来うる手段を備えているものであればよく、例えば、車載式の容器あるいはタンク等が挙げられる。また、該フレキシブル配管は、常時連結されている必要はなく、緊急停止用組成物を投入する際に接続させる方法であってもよい。
なお、緊急停止用組成物を投入する手段としては、緊急停止用組成物が保管されている容器あるいはタンク等を、投入する容器および/または配管よりも上部の位置に設置することで、重力により投入する手段であってもよい。
また、本発明の緊急停止システムにおいては、さらに、ラジカル重合性化合物を製造、貯蔵または輸送するための容器および/または配管に、異常反応の発生を検知するための手段を備えてなることが好ましい。該検知手段としては、例えば、温度をモニタリングするための温度計や圧力をモニタリングするための圧力計等が挙げられ、ラジカル重合性化合物を製造、貯蔵または輸送するための容器および/または配管内の適当な位置に備えることが好ましい。該温度計や圧力計等は複数備えていてもよい。
これら緊急停止システムにおいては、緊急停止用組成物を投入する方式がシーケンスによって自動的に制御されるシステムであってもよいし、バルブの開閉操作やポンプの起動および停止等の操作を手動で行うシステムであってもよい。
ここで、異常反応が発生したことを判断する基準としては、特に限定されないが、温度、圧力、流量等の変化が挙げられ、これらの値が通常の管理値から逸脱したときを異常反応の発生と判断することが好ましい。例えば、温度であれば通常の管理温度よりも+20℃、好ましくは+10℃、さらに好ましくは+5℃上昇したときを異常反応の発生と判断し、本発明の緊急停止用組成物を投入する。
(5)ラジカル重合性化合物の製造方法、貯蔵方法、並びに、輸送方法
本発明のラジカル重合性化合物の製造方法、貯蔵方法、並びに、輸送方法は、本発明の緊急停止用組成物を用いることを特徴とする。
本発明のラジカル重合性化合物の製造方法、貯蔵方法、並びに、輸送方法は、本発明の緊急停止用組成物を用いることを特徴とする。
本発明のラジカル重合性化合物の製造方法、貯蔵方法、並びに、輸送方法は、本発明の緊急停止用組成物を用いる限り特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。従来の製造方法、貯蔵方法、並びに、輸送方法としては、例えば、特許第4823194号、特許第3299468号、特公平6−99365、等に記載の方法が例示される。
本発明の緊急停止用組成物は、これらラジカル重合性化合物の製造方法、貯蔵方法、並びに、輸送方法において、最終精製後(製品)のラジカル重合性化合物に対して使用するだけでなく、該ラジカル重合性化合物の製造プロセスにおける各工程、および、中間(未精製)生成物の貯蔵や輸送の際にも好ましく使用できる。
以下、実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を、「ppm」は「質量ppm」を意味するものとする。
〔参考例1〕
ガラス製試験管に約5mLのアクリル酸を用意し、ここに重合開始剤として7000ppmの過硫酸アンモニウム(以下、APSと略記する)水溶液を投入し、APSがアクリル酸100部に対して0.14部となるよう調整した。空気雰囲気下、重合開始剤を投入したアクリル酸溶液を70℃に保持したオイルバスにて加熱し、アクリル酸溶液の重合による発熱および温度挙動を確認した。アクリル酸溶液が70℃になった後、約15分経過後に急激な発熱が起こり約115℃までアクリル酸溶液の温度が上昇した。この急激な発熱により重合反応が進行し、アクリル酸溶液は固体の重合物となった。
ガラス製試験管に約5mLのアクリル酸を用意し、ここに重合開始剤として7000ppmの過硫酸アンモニウム(以下、APSと略記する)水溶液を投入し、APSがアクリル酸100部に対して0.14部となるよう調整した。空気雰囲気下、重合開始剤を投入したアクリル酸溶液を70℃に保持したオイルバスにて加熱し、アクリル酸溶液の重合による発熱および温度挙動を確認した。アクリル酸溶液が70℃になった後、約15分経過後に急激な発熱が起こり約115℃までアクリル酸溶液の温度が上昇した。この急激な発熱により重合反応が進行し、アクリル酸溶液は固体の重合物となった。
〔参考例2〕
ガラス製試験管に約5mLのアクリル酸を用意し、ここに重合開始剤としてAPSのエチレングリコール溶液(APS濃度7ppm)を投入し、APSがアクリル酸100部に対して0.00014部となるよう調整した。空気雰囲気下、重合開始剤を投入したアクリル酸溶液を120℃に保持したオイルバスにて加熱し、アクリル酸溶液の重合による発熱および温度挙動を確認した。アクリル酸溶液が120℃になった後、約10分経過後に急激な発熱が起こり約150℃までアクリル酸溶液の温度が上昇した。この急激な発熱により重合反応が進行し、アクリル酸溶液は固体の重合物となった。
ガラス製試験管に約5mLのアクリル酸を用意し、ここに重合開始剤としてAPSのエチレングリコール溶液(APS濃度7ppm)を投入し、APSがアクリル酸100部に対して0.00014部となるよう調整した。空気雰囲気下、重合開始剤を投入したアクリル酸溶液を120℃に保持したオイルバスにて加熱し、アクリル酸溶液の重合による発熱および温度挙動を確認した。アクリル酸溶液が120℃になった後、約10分経過後に急激な発熱が起こり約150℃までアクリル酸溶液の温度が上昇した。この急激な発熱により重合反応が進行し、アクリル酸溶液は固体の重合物となった。
〔参考例3〕
ガラス製試験管に約5mLのアクリル酸を用意し、ここに重合開始剤としてAPSのエチレングリコール溶液(APS濃度7ppm)を投入し、APSがアクリル酸100部に対して0.00014部となるよう調整した。次に重合開始剤を含むアクリル酸溶液を入れた容器を窒素置換した後、密閉した。密閉したアクリル酸溶液を120℃に保持したオイルバスにて加熱し、アクリル酸溶液の重合による発熱および温度挙動を確認した。アクリル酸溶液が120℃になった後、約3分経過後に急激な発熱が起こり約160℃までアクリル酸溶液の温度が上昇した。この急激な発熱により重合反応が進行し、アクリル酸溶液は固体の重合物となった。
ガラス製試験管に約5mLのアクリル酸を用意し、ここに重合開始剤としてAPSのエチレングリコール溶液(APS濃度7ppm)を投入し、APSがアクリル酸100部に対して0.00014部となるよう調整した。次に重合開始剤を含むアクリル酸溶液を入れた容器を窒素置換した後、密閉した。密閉したアクリル酸溶液を120℃に保持したオイルバスにて加熱し、アクリル酸溶液の重合による発熱および温度挙動を確認した。アクリル酸溶液が120℃になった後、約3分経過後に急激な発熱が起こり約160℃までアクリル酸溶液の温度が上昇した。この急激な発熱により重合反応が進行し、アクリル酸溶液は固体の重合物となった。
〔実施例1〕
参考例1において、アクリル酸溶液の温度が発熱により1℃上昇した後、溶媒としてアクリル酸を用いた1%のフェノチアジン(以下、PTZと略記する)溶液を、PTZがアクリル酸100部に対して0.02部となるよう投入した。その結果、アクリル酸溶液の発熱は18℃程度に抑制され、重合反応が停止した。
参考例1において、アクリル酸溶液の温度が発熱により1℃上昇した後、溶媒としてアクリル酸を用いた1%のフェノチアジン(以下、PTZと略記する)溶液を、PTZがアクリル酸100部に対して0.02部となるよう投入した。その結果、アクリル酸溶液の発熱は18℃程度に抑制され、重合反応が停止した。
〔実施例2〕
実施例1において、PTZ溶液を投入した後、攪拌を実施した。その結果、アクリル酸溶液の発熱は2℃程度に抑制され、重合反応が停止した。
実施例1において、PTZ溶液を投入した後、攪拌を実施した。その結果、アクリル酸溶液の発熱は2℃程度に抑制され、重合反応が停止した。
〔実施例3〕
参考例1において、アクリル酸溶液の温度が発熱により1℃上昇した後、1%の4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシル(以下、4H−TEMPOと略記する)水溶液を、4H−TEMPOがアクリル酸100部に対して0.02部となるよう投入した。その結果、アクリル酸溶液の発熱は10℃程度に抑制され、重合反応が停止した。
参考例1において、アクリル酸溶液の温度が発熱により1℃上昇した後、1%の4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシル(以下、4H−TEMPOと略記する)水溶液を、4H−TEMPOがアクリル酸100部に対して0.02部となるよう投入した。その結果、アクリル酸溶液の発熱は10℃程度に抑制され、重合反応が停止した。
〔実施例4〕
実施例3において、4H−TEMPO水溶液を投入した後、攪拌を実施した。その結果、アクリル酸溶液の発熱は2℃程度に抑制され、重合反応が停止した。
実施例3において、4H−TEMPO水溶液を投入した後、攪拌を実施した。その結果、アクリル酸溶液の発熱は2℃程度に抑制され、重合反応が停止した。
〔実施例5〕
ガラス製フラスコを用いてアクリル酸量を30mLとした以外は実施例4と同様の操作を行った結果、アクリル酸溶液の発熱は2℃程度に抑制され、重合反応が停止した。
ガラス製フラスコを用いてアクリル酸量を30mLとした以外は実施例4と同様の操作を行った結果、アクリル酸溶液の発熱は2℃程度に抑制され、重合反応が停止した。
〔実施例6〕
参考例2において、アクリル酸溶液の温度が発熱により1℃上昇した後、溶媒としてアクリル酸を用いた1%のPTZ溶液を、PTZがアクリル酸100部に対して0.02部となるよう投入し、攪拌を実施した。その結果、アクリル酸溶液の発熱は1℃程度に抑制され、重合反応が停止した。
参考例2において、アクリル酸溶液の温度が発熱により1℃上昇した後、溶媒としてアクリル酸を用いた1%のPTZ溶液を、PTZがアクリル酸100部に対して0.02部となるよう投入し、攪拌を実施した。その結果、アクリル酸溶液の発熱は1℃程度に抑制され、重合反応が停止した。
〔実施例7〕
参考例2において、アクリル酸溶液の温度が発熱により1℃上昇した後、1%の4H−TEMPO水溶液を、4H−TEMPOがアクリル酸100部に対して0.02部となるよう投入し、攪拌を実施した。その結果、アクリル酸溶液の発熱は1℃程度に抑制され、重合反応が停止した。
参考例2において、アクリル酸溶液の温度が発熱により1℃上昇した後、1%の4H−TEMPO水溶液を、4H−TEMPOがアクリル酸100部に対して0.02部となるよう投入し、攪拌を実施した。その結果、アクリル酸溶液の発熱は1℃程度に抑制され、重合反応が停止した。
〔実施例8〕
参考例3において、アクリル酸溶液の温度が発熱により1℃上昇した後、溶媒としてアクリル酸を用いた1%のPTZ溶液を、PTZがアクリル酸100部に対して0.02部となるよう投入し、攪拌を実施した。その結果、アクリル酸溶液の発熱は1℃程度に抑制され、重合反応が停止した。
参考例3において、アクリル酸溶液の温度が発熱により1℃上昇した後、溶媒としてアクリル酸を用いた1%のPTZ溶液を、PTZがアクリル酸100部に対して0.02部となるよう投入し、攪拌を実施した。その結果、アクリル酸溶液の発熱は1℃程度に抑制され、重合反応が停止した。
〔実施例9〕
参考例3において、アクリル酸溶液の温度が発熱により1℃上昇した後、1%の4H−TEMPO水溶液を、4H−TEMPOがアクリル酸100部に対して0.02部となるよう投入し、攪拌を実施した。その結果、アクリル酸溶液の発熱は1℃程度に抑制され、重合反応が停止した。
参考例3において、アクリル酸溶液の温度が発熱により1℃上昇した後、1%の4H−TEMPO水溶液を、4H−TEMPOがアクリル酸100部に対して0.02部となるよう投入し、攪拌を実施した。その結果、アクリル酸溶液の発熱は1℃程度に抑制され、重合反応が停止した。
〔参考例4〕
ガラス製試験管に約5mLのアクリル酸2−エチルヘキシルを用意し、そこに重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルをアクリル酸2−エチルヘキシルに対して700ppmとなるよう調整した。空気雰囲気下、重合開始剤を投入したアクリル酸2−エチルヘキシル溶液を70℃に保持したオイルバスにて加熱し、その重合による発熱および温度挙動を確認した。アクリル酸2−エチルヘキシル溶液が70℃になった後、約40分経過後に急激な発熱が起こり約130℃までアクリル酸溶液の温度が上昇した。この急激な発熱により重合反応が進行し、アクリル酸溶液は粘性の高い重合物となった。
ガラス製試験管に約5mLのアクリル酸2−エチルヘキシルを用意し、そこに重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルをアクリル酸2−エチルヘキシルに対して700ppmとなるよう調整した。空気雰囲気下、重合開始剤を投入したアクリル酸2−エチルヘキシル溶液を70℃に保持したオイルバスにて加熱し、その重合による発熱および温度挙動を確認した。アクリル酸2−エチルヘキシル溶液が70℃になった後、約40分経過後に急激な発熱が起こり約130℃までアクリル酸溶液の温度が上昇した。この急激な発熱により重合反応が進行し、アクリル酸溶液は粘性の高い重合物となった。
〔参考例5〕
ガラス製試験管に約5mLのアクリル酸2−エチルヘキシルを用意し、そこに重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルをアクリル酸2−エチルヘキシルに対して100ppmとなるよう調整した。次に重合開始剤を含むアクリル酸溶液を入れた容器を窒素置換し後、密閉した。密閉したアクリル酸2−エチルヘキシル溶液を70℃に保持したオイルバスにて加熱し、その重合による発熱および温度挙動を確認した。アクリル酸2−エチルヘキシル溶液が70℃になった後、約20分経過後に急激な発熱が起こり約100℃までアクリル酸溶液の温度が上昇した。この急激な発熱により重合反応が進行し、アクリル酸溶液は粘性の高い重合物となった。
ガラス製試験管に約5mLのアクリル酸2−エチルヘキシルを用意し、そこに重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルをアクリル酸2−エチルヘキシルに対して100ppmとなるよう調整した。次に重合開始剤を含むアクリル酸溶液を入れた容器を窒素置換し後、密閉した。密閉したアクリル酸2−エチルヘキシル溶液を70℃に保持したオイルバスにて加熱し、その重合による発熱および温度挙動を確認した。アクリル酸2−エチルヘキシル溶液が70℃になった後、約20分経過後に急激な発熱が起こり約100℃までアクリル酸溶液の温度が上昇した。この急激な発熱により重合反応が進行し、アクリル酸溶液は粘性の高い重合物となった。
〔実施例10〕
参考例4において、アクリル酸2−エチルヘキシル溶液の温度が発熱により1℃上昇した後、0.25%の4H−TEMPO水溶液を、4H−TEMPOがアクリル酸2−エチルヘキシル100部に対して0.005部となるよう投入し攪拌を実施した。その結果、それ以後のアクリル酸2−エチルヘキシル溶液の発熱はなく、重合反応が停止した。
参考例4において、アクリル酸2−エチルヘキシル溶液の温度が発熱により1℃上昇した後、0.25%の4H−TEMPO水溶液を、4H−TEMPOがアクリル酸2−エチルヘキシル100部に対して0.005部となるよう投入し攪拌を実施した。その結果、それ以後のアクリル酸2−エチルヘキシル溶液の発熱はなく、重合反応が停止した。
〔実施例11〕
参考例5において、アクリル2−エチルヘキシル酸溶液の温度が発熱により1℃上昇した後、0.05%の4H−TEMPO水溶液を、4H−TEMPOがアクリル酸100部に対して0.0005部となるよう投入し攪拌を実施した。その結果、それ以後のアクリル酸2−エチルヘキシル溶液の発熱はなく、重合反応が停止した。
参考例5において、アクリル2−エチルヘキシル酸溶液の温度が発熱により1℃上昇した後、0.05%の4H−TEMPO水溶液を、4H−TEMPOがアクリル酸100部に対して0.0005部となるよう投入し攪拌を実施した。その結果、それ以後のアクリル酸2−エチルヘキシル溶液の発熱はなく、重合反応が停止した。
〔実施例12〕
20%の4H−TEMPO水溶液を用いて、その保存安定性の確認を行った。その保管温度を20℃、40℃、60℃である3種の4H−TEPMO水溶液において、経過日数における4H−TEMPO濃度の変化を確認したところ、表1に示す結果であった。
20%の4H−TEMPO水溶液を用いて、その保存安定性の確認を行った。その保管温度を20℃、40℃、60℃である3種の4H−TEPMO水溶液において、経過日数における4H−TEMPO濃度の変化を確認したところ、表1に示す結果であった。
〔参考例6〕
内容物を循環させるためのポンプおよびリサイクルラインが接合された250m3の円筒形タンク(以下、水タンクと称する)を用意し、そこに水を200m3投入し水温(タンク内温度)を45℃に保った。別途、移動可能な車載式の1m3タンクに、緊急停止用組成物として20%の4H−TEMPO水溶液0.4m3を用意し、25℃に保持した。緊急停止用組成物のタンク底部に設置されているフランジと、水タンクのリサイクルラインに設置されているフランジとを、緊急停止用組成物を供給するためのエアードポンプを介してフレキシブル配管で接合した。そして4H−TEMPO水溶液を、リサイクルラインを通して水タンク内に0.1m3/minの速度で投入した。約4minで4H−TEMPO水溶液を投入し終えたところでリサイクルラインを停止した。その後、該タンク内の混合溶液の四隅部分(ここで、「四隅」とは、タンク内液の上部(液面付近)および底部のそれぞれにおいて、水平方向の距離が最も離れた二箇所ずつの位置を意味する。)を一部採取し、その4H−TEPMO濃度を測定した。該タンク内四隅の混合溶液の4H−TEPMO濃度が完全混合時の濃度の±10%程度になるまでに、おおよそ2時間を要した。
内容物を循環させるためのポンプおよびリサイクルラインが接合された250m3の円筒形タンク(以下、水タンクと称する)を用意し、そこに水を200m3投入し水温(タンク内温度)を45℃に保った。別途、移動可能な車載式の1m3タンクに、緊急停止用組成物として20%の4H−TEMPO水溶液0.4m3を用意し、25℃に保持した。緊急停止用組成物のタンク底部に設置されているフランジと、水タンクのリサイクルラインに設置されているフランジとを、緊急停止用組成物を供給するためのエアードポンプを介してフレキシブル配管で接合した。そして4H−TEMPO水溶液を、リサイクルラインを通して水タンク内に0.1m3/minの速度で投入した。約4minで4H−TEMPO水溶液を投入し終えたところでリサイクルラインを停止した。その後、該タンク内の混合溶液の四隅部分(ここで、「四隅」とは、タンク内液の上部(液面付近)および底部のそれぞれにおいて、水平方向の距離が最も離れた二箇所ずつの位置を意味する。)を一部採取し、その4H−TEPMO濃度を測定した。該タンク内四隅の混合溶液の4H−TEPMO濃度が完全混合時の濃度の±10%程度になるまでに、おおよそ2時間を要した。
〔参考例7〕
参考例6において、水タンク下部にガス投入ラインを別途設置し、4H−TEMPO水溶液を水タンクに投入したのち、水タンクにN2:Air=2:1とした混合気体を0.2m3/minの速度で投入し、内容物をバブリングさせて攪拌させた以外は、参考例6と同様にして行った。その結果、四隅の4H−TEPMO濃度が完全混合時の濃度の±10%程度になるまでに、おおよそ20分を要し、バブリングすることで拡散時間が短縮されることを確認した。
参考例6において、水タンク下部にガス投入ラインを別途設置し、4H−TEMPO水溶液を水タンクに投入したのち、水タンクにN2:Air=2:1とした混合気体を0.2m3/minの速度で投入し、内容物をバブリングさせて攪拌させた以外は、参考例6と同様にして行った。その結果、四隅の4H−TEPMO濃度が完全混合時の濃度の±10%程度になるまでに、おおよそ20分を要し、バブリングすることで拡散時間が短縮されることを確認した。
〔参考例8〕
4H−TEMPO水溶液の代わりにハイドロキノン(以下、HQと略記する)水溶液を用い、濃度を5%とした以外は参考例7と同様にしておこなった。その結果、四隅のHQ濃度が完全混合時の濃度の±10%程度になるまでに、おおよそ20分を要し、参考例7と同様の結果が得られた。
4H−TEMPO水溶液の代わりにハイドロキノン(以下、HQと略記する)水溶液を用い、濃度を5%とした以外は参考例7と同様にしておこなった。その結果、四隅のHQ濃度が完全混合時の濃度の±10%程度になるまでに、おおよそ20分を要し、参考例7と同様の結果が得られた。
Claims (15)
- 溶媒または分散媒と、重合防止剤とを含有する、緊急停止用組成物。
- 溶媒または分散媒の主成分が水である、請求項1記載の緊急停止用組成物。
- 重合防止剤を0.1〜50質量%含有する、請求項1または2に記載の緊急停止用組成物。
- 重合防止剤がN−オキシル化合物、アミン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜3のいずれかに記載の緊急停止用組成物。
- ラジカル重合性化合物を製造、貯蔵または輸送する際に発生する異常反応を緊急停止する、請求項1〜4のいずれかに記載の緊急停止用組成物。
- ラジカル重合性化合物が(メタ)アクリル酸またはそのエステルである、請求項1〜5記載の緊急停止用組成物。
- ラジカル重合性化合物を製造、貯蔵または輸送する際に発生する異常反応を緊急停止するにあたって、請求項1〜6のいずれかに記載の緊急停止用組成物を用いる、緊急停止方法。
- ラジカル重合性化合物に対する重合防止剤の濃度が1〜200000質量ppmとなるように緊急停止用組成物を用いる請求項7記載の緊急停止方法。
- 緊急停止用組成物の温度を0〜40℃とする、請求項7または8に記載の緊急停止方法。
- ラジカル重合性化合物を製造、貯蔵または輸送する際に発生する異常反応を緊急停止するシステムであって、請求項1〜6のいずれかに記載の緊急停止用組成物を用いる、緊急停止システム。
- ラジカル重合性化合物を製造、貯蔵または輸送するための容器および/または配管と、該容器および/または配管に緊急停止用組成物を投入する手段を備えてなる、請求項10記載の緊急停止システム。
- さらに、ラジカル重合性化合物を製造、貯蔵または輸送するための容器および/または配管に、異常反応の発生を検知するための手段を備えてなる、請求項10または11に記載の緊急停止システム。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の緊急停止用組成物を用いる、ラジカル重合性化合物の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の緊急停止用組成物を用いる、ラジカル重合性化合物の貯蔵方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の緊急停止用組成物を用いる、ラジカル重合性化合物の輸送方法。
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JP2013090818A JP2014214190A (ja) | 2013-04-24 | 2013-04-24 | 緊急停止用組成物、これを用いる緊急停止方法並びに緊急停止システム、および、これらを用いるラジカル重合性化合物の製造方法 |
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JP (1) | JP2014214190A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016183133A (ja) * | 2015-03-26 | 2016-10-20 | 三菱化学株式会社 | アクリル酸及びそのエステルの重合防止方法 |
JP2020511571A (ja) * | 2017-03-09 | 2020-04-16 | エコラブ ユーエスエイ インク | 重合阻害剤組成物 |
-
2013
- 2013-04-24 JP JP2013090818A patent/JP2014214190A/ja active Pending
Cited By (3)
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