JP2014214074A - シリコン単結晶の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1には、シーディング(種付)時の転位の増殖を抑えるために、ネッキング中に取り込まれる好ましい格子間酸素濃度が開示されている。
また、格子間酸素濃度と窒素濃度を上記のような関係を満たすように制御するので、拡径部の応力集中位置が存在する領域においてスリップ転位が後発的に発生するのを効果的に抑制することが可能である。
このため、コーン工程中および後発的に拡径部にスリップが発生することを効果的に抑制しながら、効率良く高重量、大直径のCZシリコン単結晶を製造することができる。
このように、シミュレーション解析により、拡径部における相当応力と臨界分解剪断応力の比の値が最大となる位置を求め、これを拡径部における応力集中位置とすれば、直胴部を成長する間に拡径部において応力が集中する領域を、より確実に特定することができ、より効率良く高重量、大直径のシリコン単結晶を製造することができる。
なお、本明細書中では、臨界分解剪断応力をCRSS(Critical Resolved Shear Stress)と言うことがあり、相当応力と臨界分解剪断応力の比の値(相当応力を臨界分解剪断応力で割った値)をCRSS比と言うことがある。
このように、シミュレーション解析によって求める比の値(CRSS比)が最大となる位置は、直胴部の成長開始から直胴部の長さが30cmになるまでの範囲で求めればよい。そして、このような範囲においてシミュレーション解析によって求めた、CRSS比が最大となる位置が存在する領域を、拡径部における応力集中位置が存在する領域とすることができる。
このように、本発明は、直胴部の直径が450mm以上のような大直径のシリコン単結晶を製造する場合に特に好適に採用することができる。そして、このような場合、拡径部における応力集中位置は、拡径部の直径が150mmの領域に存在することとなる。
前述したように、特に大口径のシリコン単結晶の製造を行う際、コーン工程後、拡径部にスリップ転位が後発的に発生してしまい、該スリップ転位が、無転位で直胴部を成長しているときに固液界面に達することがあり、これによって直胴部が有転位化してしまう問題があった。
本発明のシリコン単結晶の製造方法はチョクラルスキー法によるものである。使用するシリコン単結晶製造装置は特に限定されず、例えば従来から使用されているものと同様のものを使用することができる。なお、例えば、磁界をかけながらシリコン単結晶の引上げを行う、MCZ法(Magnetic Field Applied Czochralski method:磁界下引上げ法)に対応した製造装置を採用することもできる。
まず、装置内に収容した石英ルツボ内に原料となるシリコン多結晶原料を投入する。このとき、引上げるシリコン単結晶中に窒素がドープされるように、窒素ドープ剤も混入しておく。例えば窒化膜付シリコンウエーハなどを混入することができる。この窒化膜付シリコンウエーハなどの量は、所望のドープ量に応じて適宜決定することができる。ただし本発明では、後述するように、格子間酸素濃度との関係を考慮した上で拡径部に所定量がドープされるように投入量を調節する必要がある。
これらの原料をヒーターにより溶融して原料融液を得た後、シリコン単結晶の小片を種結晶として用い、これを原料融液に接触させた後、回転させながらゆっくりと引き上げることでシリコン単結晶を成長させる。
この際、種結晶を原料融液に接触させた後に、熱衝撃により種結晶に高密度で発生するスリップ転位から伝播により生ずる転位を消滅させるために、種結晶を絞り込むテーパ状の絞り込み部とそれに続く直径を3mm程度に一旦細くした絞り部を形成するいわゆる種絞りを行う(ダッシュネッキング法)。
この後、所望の直径になるまで単結晶を太らせて拡径部を形成し(コーン工程)、次いで直胴部を成長させ、無転位のシリコン単結晶を引き上げる(直胴部成長工程)。
なお、本発明において直胴部の直径の大きさは特に限定されない。ただし、特には300mm以上、さらには450mm又はそれ以上のような大直径のシリコン単結晶を製造する場合に本発明は特に好適に採用することができる。すなわち、本発明に従えば、直胴部の直径が300mm以上、特には450mm以上のような高重量、大直径のシリコン単結晶を、コーン工程において拡径部を無転位で形成するとともに、後発的に拡径部にスリップが発生することを効果的に抑制しながら効率良く製造することができる。
ここで、まず、上記のようにコーン工程で格子間酸素濃度および窒素濃度を制御する必要性について詳述する。
本発明者が拡径部で後発的に発生するスリップ転位について調査を行ったところ、その原因は、このスリップは拡径部の成長時に発生したものではなく、拡径部の成長後に後発的に発生しているので、結晶中心部と周辺部の温度差に起因した圧縮応力により発生していると推定される。
この温度差は、拡径部の直径が小さい位置よりも大きい位置の方が大きくなりやすいため、拡径部の内部からスリップが発生しやすくなる。
特には、前述したように、直胴部の直径が450mm以上の単結晶製造の場合は、応力集中位置が拡径部の直径が150mmの領域に存在することになる。
当然これに限定されず、種々の方法によって、拡径部における応力集中位置が存在する領域を適宜決定することができる。
(実験1)
まず、拡径部の応力集中位置が存在する領域(ここでは拡径部の直径が150mmの位置の部分)の格子間酸素濃度を変化させて、直胴部の直径が450mmのシリコン単結晶を実際に引上げた。そして、その格子間酸素濃度ごとに、コーン工程での無転位化率と、拡径部の後発的なスリップ転位の発生の有無について調べた。表1にその結果をまとめた。
一方、格子間酸素濃度が4.0×1017[atoms/cm3(ASTM ’79)]よりも低濃度になるような育成条件では、コーン工程での無転位化率は高いものの、後発的なスリップが拡径部の直径が150mmの位置に確認された。
拡径部の応力集中位置が存在する領域(拡径部の直径が150mmの位置の部分)の格子間酸素濃度を4.0×1017[atoms/cm3(ASTM ’79)]未満の範囲で変化させるとともに、その領域での窒素濃度も変化させて、直胴部の直径が450mmのシリコン単結晶を実際に引上げた。そして、その格子間酸素濃度および窒素濃度の組み合わせごとに、コーン工程での無転位化率や、拡径部における後発的なスリップ転位の発生の有無について調べた。表2および図1にその結果をまとめた。
それらの和が3.6×1017以上の場合では、後発的なスリップ転位は発生しなかった。このため比較的容易に無転位結晶を得ることができた。
一方、それらの和が3.6×1017未満の場合では、後発的なスリップ転位が拡径部の直径が150mmの位置に発生してしまい、そのスリップ転位が直胴部を成長中に固液界面に達し、無転位結晶を得られない場合があった。
コーン工程で育成する拡径部のうち応力集中位置が存在する領域(例えば直胴部の直径が450mm以上のものの場合、拡径部の直径が150mmの部分)において、まず、格子間酸素濃度[atoms/cm3(ASTM ’79)]<4.0×1017の関係を満たすように制御を行い、コーン工程中にスリップ転位が発生しないように制御する。さらには、上記領域において、格子間酸素濃度[atoms/cm3(ASTM ’79)]+窒素濃度[atoms/cm3]×103≧3.6×1017の関係を満たすように、窒素をドープしながら窒素濃度および格子間酸素濃度を制御し、上記領域に後発的にスリップ転位が発生しないように制御する。
また、窒素ドープ量が多すぎると直胴成長工程で有転位化しやすくなるため、上記領域での窒素濃度の上限に関しては4.5×1013[atoms/cm3]とするのが好ましい。
格子間酸素濃度に関しては、例えば、結晶回転やルツボ回転の回転速度を調整することによってその濃度範囲を所望のように制御することができる。
また窒素濃度に関しては、前述したように、原料中に混入する窒化膜付シリコンウエーハの量を調整することによってその濃度範囲を所望のように制御することができる。
(実施例、比較例)
MCZ法により、石英ルツボ内の原料融液から直径450mmのシリコン単結晶を引上げた。このときの拡径部の応力集中位置はシミュレーション解析から拡径部の直径が150mmの領域であった。
なお、実施例では、シリコン単結晶を引上げる際、その回転速度を変化させたり、原料に用いる窒化膜付シリコンウエーハの量を調整することにより、シリコン単結晶の拡径部の直径が150mmの位置の部分における格子間酸素濃度と窒素濃度を調整した。具体的には、格子間酸素濃度を4.0×1017[atoms/cm3(ASTM ’79)]未満の範囲で、かつ、格子間酸素濃度[atoms/cm3(ASTM ’79)]と窒素濃度[atoms/cm3]×103との和が3.6×1017以上になるような格子間酸素および窒素濃度に制御した。
その結果、拡径部の上記部分における格子間酸素濃度は実施例とほぼ同様の範囲であったものの、格子間酸素濃度と窒素濃度の組み合わせに関しては実施例と異なっており、上記和はいずれも3.6×1017未満であった。
すなわち本発明を実施した実施例では、コーン工程での無転位化率が高く、また、スリップ転位が後発的に発生することもなく、容易に無転位結晶を得ることができた。
一方で比較例では、コーン工程での無転位化率は高かったものの、コーン工程後、直胴部を成長中に拡径部にスリップ転位が発生してしまい、該スリップ転位が固液界面に達して無転位結晶を得られない場合があった。
Claims (4)
- チョクラルスキー法により、種結晶を原料融液に接触させ、コーン工程で拡径部を形成し、該拡径部に続いて直胴部を成長してシリコン単結晶を製造するシリコン単結晶の製造方法であって、
前記コーン工程で育成する拡径部のうち、前記直胴部を成長する間に応力が集中する応力集中位置が存在する領域において、
格子間酸素濃度[atoms/cm3(ASTM ’79)]<4.0×1017、かつ、格子間酸素濃度[atoms/cm3(ASTM ’79)]+窒素濃度[atoms/cm3]×103≧3.6×1017の関係を満たすように、窒素をドープしながら窒素濃度および格子間酸素濃度を制御して、前記拡径部の応力集中位置が存在する領域においてスリップ転位が発生しないように制御しつつシリコン単結晶を製造することを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。 - 前記拡径部における応力集中位置を、シミュレーション解析により求めた、前記拡径部における相当応力と臨界分解剪断応力の比の値が最大となる位置とすることを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶の製造方法。
- 前記シミュレーション解析によって求める前記比の値が最大となる位置を、前記直胴部の成長開始から前記直胴部の長さが30cmになるまでの範囲で求め、該求めた位置が存在する領域を、前記拡径部における応力集中位置が存在する領域とすることを特徴とする請求項2に記載のシリコン単結晶の製造方法。
- 前記製造するシリコン単結晶を、前記直胴部の直径が450mm以上のものとし、前記拡径部における応力集中位置が、前記拡径部の直径が150mmの領域に存在するものとすることを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶の製造方法。
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