JP2014211448A - 多光源顕微鏡 - Google Patents

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Abstract

【課題】同一の生体組織試料について、電子像観察だけでなく、蛍光像観察、そして透視像観察等を行うことも可能な、複数の観察用光源を備えた多光源顕微鏡を提供する。【解決手段】電子顕微鏡の光源である電子銃とそれ以外の少なくとも1種の光源を有し、試料を同一位置で観察可能な多光源顕微鏡であって、蛍光を観察するための光学顕微鏡20と走査型電子顕微鏡2とからなり、該走査型電子顕微鏡の電子ビームの光軸と同軸となるように該光学顕微鏡のカセグレン鏡12が該走査型顕微鏡の鏡筒内に配置されてなり、反射面が非球面型であるカセグレン鏡を用いる。【選択図】図1

Description

本発明は、複数の光源を有し、試料を同一位置で観察可能な多光源顕微鏡に関する。
疾病診断方法の開発等の医療バイオ分野では、生体組織を蛍光色素で免疫染色を行った後、蛍光顕微鏡を用いて観察している。しかし、この方法では1000倍程度の解像度が限界である。それに対し、蛍光色素で標識された生体組織からなる試料の分析点を高倍率で観察する方法として、走査型電子顕微鏡(以下、SEMという。)の電子線を試料に照射して蛍光を発生させ(カソードルミネッセンス)、その蛍光を観察する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。また、半導体ウェハ等の分析に関するものではあるが、荷電粒子による試料励起と光による試料励起を一つの装置で行うようSEMと光学顕微鏡とを組み合わせて、試料の分析点のX線分光スペクトルと蛍光スペクトルとを測定する表面分析装置も提案されている(例えば、特許文献2)。
特開平11−260303号公報 特開平5−113418号公報
SEMと光学顕微鏡とを組み合わせることにより、蛍光色素で標識された生体組織からなる試料の分析点を即座にSEMで観察することにより、その分析点の形態的特徴から対象物を短時間で同定できることが期待できる。しかしながら、分解能が不十分であり、生体組織の観察に使用可能な、SEMと光学顕微鏡とを組み合わせた実用レベルの分析装置は報告されていない。
また、SEMと光学顕微鏡との組み合わせだけでなく、SEMとX線顕微鏡、あるいはSEMと光学顕微鏡とX線顕微鏡との組み合わせも必要とされている。
そこで、本発明は、同一の生体組織試料について、電子像観察だけでなく、蛍光像観察、そして透視像観察等を行うことも可能な、複数の観察用光源を備えた多光源顕微鏡を提供することを目的とした。
上記課題を解決するため、本発明の多光源顕微鏡は、試料を同一位置で観察可能な多光源顕微鏡であって、蛍光を観察するための光学顕微鏡部と走査型電子顕微鏡部とからなり、該走査型電子顕微鏡部の電子ビームの光軸と同軸となるように該光学顕微鏡部のカセグレン鏡が該走査型顕微鏡部の鏡筒内に配置されてなる多光源顕微鏡であって、反射面が非球面型であるカセグレン鏡を用いることを特徴とする。
上記の多光源顕微鏡には、上記カセグレン鏡が、中央に開口を有する大鏡と、該開口の下方に該大鏡に対向するように配置された小鏡とからなり、大鏡と小鏡の反射面が非球面型であるものを用いることができる。
また、上記の多光源顕微鏡には、光学顕微鏡部の光源としてレーザ光源を用いることができる。
また、本発明の別の多光源顕微鏡は、試料を同一位置で観察可能な多光源顕微鏡であって、移動可能に配置された、電子銃と、レーザ光源と、X線源とを備えた光源部と、該光源部からの電子線又は電磁波を試料に照射する光学系と、セリウムドープYAGからなる蛍光板を有し試料を透過した電子線又は電磁波を検出する検出部を少なくとも有することを特徴とする。
本発明の多光源顕微鏡は、複数の光源の光軸が同軸となるように構成されており、試料を移動させることなく、1台の装置で、蛍光観察と電子像観察、あるいは蛍光観察と電子像観察と透視X線像観察が可能である。それにより、試料の収納、取り出しによる位置ズレ並びに物理的、化学的変化の影響を受けることなく、同一位置で試料の観察並びに分析が可能であり、フットスペースも軽減される。本発明によれば、光源に電子銃を用いた場合、二次電子像観察、反射電子像観察、透過電子像観察、EDX観察、そしてSTEM観察が可能であり、光源にレーザを用いた場合、ケーラー照明による像観察やケーラー照明による蛍光像観察、光源にX線を用いた場合、透視X線像観察や3D透視X線像観察、そして電子線照射によるカソードルミネッセンス観察や、レーザ照射によるラマン/蛍光測定等が可能である。なお、本発明の観察対象は生体組織に限定されず、従来の電子顕微鏡、X線顕微鏡、そして光学顕微鏡が対象とするものであれば、金属、半導体、セラミックス、プラスチック等の種々の材料も含まれる。
実施の形態1に係る多光源顕微鏡の構成の一例を示す模式図である。 実施例1におけるラットの神経組織の顕微鏡写真であり、(a)は蛍光画像、(b)は蛍光SEM画像である。 実施例2におけるラットの腎(尿細管)の顕微鏡写真であり、(a)はSEM画像、(b)は蛍光画像、(c)は蛍光SEM画像である。 実施例3におけるマクロファージを含むリンパ節組織の顕微鏡写真であり、(a)はSEM画像、(b)は蛍光画像、(c)は蛍光SEM画像である。 実施の形態2に係る多光源顕微鏡の構成の一例を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係る多光源顕微鏡の構成の一例を示す模式図である。
多光源顕微鏡は、ホストコンピュータ1からなるシステム制御部1と、SEM部2と、光学顕微鏡部20とから構成されている。SEM部2においては、電子線発生部3から発生し加速された電子線が、電子線走査部4により2次元的に走査され、真空チャンバ6内に配置された鏡筒部5を通って試料9に照射される。なお、鏡筒内5には、光学顕微鏡用の反射ミラー13が配置されているが、電子線は反射ミラー13内の通過孔(不図示)を通って試料10に至る。また、11は試料10をXY方向に移動させる試料ステージであり、試料ステージ制御部9により駆動される。また、試料10への電子線照射により発生する二次電子は検出器7により検出され、増幅器8により増幅される。
一方、光学顕微鏡部20は、SEM部の光軸から離れた位置に配置された、照明用の光源21と、照明部22と、観察カメラ23と、試料9からの蛍光を集光する光ファイバー部24と、その光ファイバー部24からの蛍光強度を測定する分光器25とを有している。
例えば、試料10の光学像を観察する場合、光学顕微鏡部20の光源21の光を、照明部22からレンズやミラー等の光学系(不図示)により反射ミラー13に向けて照射する。反射ミラー13で反射された光は、SEM部に電子線の光軸に沿って、鏡筒内5に配置されたカセグレン鏡12に至る。カセグレン鏡12は、中央に開口を有し上方に配置された1個の大鏡12aと、その開口の下方に配置された小鏡12bとからなり、その大鏡12aと小鏡12bとが対向するように配置されている。反射ミラー13からの光は、大鏡12aの開口を通過し、小鏡12bによって反射され、その反射光は大鏡12aによって反射集束されて試料10に照射される。
そして、試料10からの光は、大鏡12aによって反射され、小鏡12bによって反射され、反射ミラー13へ向かう。反射ミラー13で反射された光は、光学系(不図示)によって観察カメラ23と光ファイバー部24へと向かう。
蛍光標識されて試料について光学顕微鏡で数百倍程度の観察倍率で観察を行い、さらに所望の試料領域についてSEMを用いてさらに高倍率の観察を行う。
ここで、SEM部は、ホストコンピュータ1で電子線を走査制御して得られた二次電子等を検出部7で検出してI−Vアンプ(不図示)にて電気信号に変え、ホストコンピュータ1のA・Dコンバータ(不図示)で変換してSEM画像を取得する。また、光学顕微鏡部は、蛍光選択フィルタ(不図示)と観察用カメラ(例えば、CCDカメラ)を有しており、蛍光選択フィルタでの波長選択により目的の波長で表示された蛍光画像をCCDカメラで検出し、ホストコンピュータ1へデジタル信号として送る。送られたSEM画像と蛍光画像は、ホストコンピュータ1により、画像合成システムソフトウェアを用いて合成(重ね合わせ)が実行される。
本実施の形態では、非球面型のカセグレン鏡を用いている。すなわち、従来、光学顕微鏡を構成するカセグレン鏡は、中央に開口を有する1個の凹面鏡と、その凹面鏡よりは小さい1個の凸面鏡とから構成されており、その反射面の形状が放物面、楕円面、双曲面等の球面型であった。しかしながら、反射面が球面型であると、光学像を観察した際に周辺部が歪むため、電子顕微鏡像と重ね合わせることはできない。これに対し本実施の形態では、大鏡と小鏡の反射面が非球面である非球面型のカセグレン鏡を用いているので、光学像の周囲に歪みがなく、電子顕微鏡像との重ね合わせが容易である。これにより分解能をさらに向上させることができるので、高倍率での蛍光観察が可能となる。ここで、非球面型とは、反射面が上記の放物面、楕円面、双曲面等の球面型でないもの、具体的には平坦面を意味する。効果についてさらに詳しく説明すると、カセグレン鏡を非球面化することで、ザイデル収差の一つ歪曲収差(物体平面上の形状と像面での形状が相似形とはならない現象)が改善され、球面収差(軸上光線で開口数N.A.の差によって結像位置が異なる現象)、コマ収差(球面収差が十分小さく補正されていても、軸外物点から出た光線は像面上の1点に集まらず、彗星のように尾を引いた非対称なボケを作る現象)等も同時に改善され、尚且つ、光学的な問題(軸上、倍率)である色収差(光学系に使用するガラスは、各波長により屈折率が異なる特性を有している。それにより各波長毎で焦点距離が異なることとなり、結像位置のズレが発生する現象)も改善され、電子顕微鏡像と重ね合わせても光学顕微鏡で観察している蛍光像の視野範囲内でのズレが生じなくなる。
また、本実施の形態においては、試料から反射して戻って来た戻り光の光量が光源の照射光量に対し60〜90%の範囲にあることが好ましい。より好ましくは、70〜90%、さらに好ましくは70%である。戻り光の光量低下を抑制することにより、試料から反射して戻って来た戻り光の光量が向上し、高価な高感度観察カメラを使用すること無く、観察カメラで観察できる。また、観察カメラを単眼鏡または双眼鏡に置き換えて目視でも観察可能となる。
光学顕微鏡部の光源には、レーザ光等の単色光、白色光及びそれらの組み合わせを用いることができる。また、照明部はケーラー照明又はスポット照明が可能であることが好ましい。例えば、光源にレーザ光源を用い、照明部にケーラー照明を用いることにより、蛍光顕微鏡を構成することができる。また、光源にレーザ光源を用い、照明部にスポット照明を用い、試料ステージをXY方向に走査して、戻り光を検出器でI/V変換させ、試料ステージの走査信号に同期させXYマップとして表示することで、走査型レーザ顕微鏡を構成することもでき、さらに、検出器の位置調整を行うことで共焦点型走査レーザ顕微鏡とすることもできる。また、光源にレーザ光源を用い、照明部にスポット照明を用い、戻り光を分光器に導くことにより、蛍光測定及びラマン測定が可能な構成とすることもできる。また、光源にレーザ光源を用い、照明部にスポット照明を用い、試料ステージをXY方向に走査して、戻り光を分光器に導き、走査位置毎の分光分析を実施しながら、試料ステージの走査信号に同期させXYマップとして表示することで、3次元での蛍光測定及びラマン測定が可能な構成とすることもできる。ここで、XY軸は共に試料面上の位置情報となり、Z軸方向は分光分析による波長軸となる。
本実施の形態に用いる観察用試料の作製方法は、特に限定されず、従来、顕微鏡観察用に用いられているいずれの作製方法も用いることができ、例えば、検体の薄切片を用いる包埋法や凍結法を挙げることができる。また、実体観察のため、検体片自身を支持基材上に固定する方法も含まれる。なお、蛍光色素には、(国際公開第2008/013260号パンフレット)に記載された蛍光色素を用いることが好ましい。その国際公開パンフレットに記載された蛍光色素(オキサジアゾロピリジン誘導体)を用いることにより、期間保存しても蛍光色素からの蛍光が消失することがない永久標本を提供することができる。すなわち、従来の蛍光色素を用いた生体標本では、1週間程度で褪色するのに対し、その蛍光色素を用いた生体標本は、冷蔵保存可能である限り半永久的に保存することが可能となる。また、従来の蛍光色素に比べ安価である。また、実質的に乾燥状態である生体標本でも高い蛍光強度を与えるため、さらに信頼性の高い病理診断が可能である。
以下に、バルク観察とエッチング切片観察を行う場合の試料作製方法の一例を示す。なお、試料作製には、以下の試薬を共通して用いることができる。
a)免疫染色およびレクチン染色用の蛍光色素には、電子線耐性が高い、上記国際公開パンフレットに記載された蛍光色素又はAlexa系を用いることができる。
b)脱水剤にはアセトンを用い、上昇系脱水法による(50-75-85-95-100%×2(各7分))。
(バルク観察用試料作製法)
<A:灌流固定>
1)固定液は、2.8%パラフォルムアルデヒド+0.2%ピクリン酸+0.06%グルタルアルデヒドのリン酸緩衝液を用いる。後固定として4%パラフォルムアルデヒドのリン酸緩衝液を用いる。
<B:凍結割断(DMSO法)>
2)4%パラフォルムによる後固定後、PBSで十分な洗浄を行い、試料を30%DMSO→50%DMSOへ置換し、凍結割断装置(液体窒素)を用い50%DMSOに封じ込めた試料を割断・洗浄する。
<C:蛍光標識>
3)PBS洗浄後、免疫蛍光法およびレクチン染色により試料を蛍光色素で標識する。
<D:試料処理−1>
4)蛍光標識された試料を、アセトン脱水系に回した後、上昇系Tert-ブチルアルコール(50-100%×2(各5分))に置換する。凍結乾燥機(エイコー製RD−1)にて乾燥しバルク試料とする。
<E:コーティング>
5)試料をSEM用試料台にカーボン製両面テープ等で接着後、オスミウムコータ(真空デバイス社製ID−2)を用い、約2nmの厚さにオスミウムをコートする。
(エッチング観察用試料作製法)
試料処理に以下の方法を用いた以外は、バルク観察用試料作製法と同様の方法で行うことができる。
<D:試料処理−2>
5)標識・脱水後の試料を親水性プラスチック(テクノビット8100)にて包埋後、光顕用ダイヤモンドナイフとウルトラミクロトームを用い約5μm厚の切片を作製する。蛍光輝度を確保するため、切片の厚さを10μmとすることもできる。
6)試料搭載用の板には、ウェハ用Si基板を8mm角程度に割ったものを用い、試料を載せる。
7)基板試料にイオンエッチングを行い切片試料とする。イオンエッチングは、真空デバイス社製PIB−10を用い、13mA/8分で行う。
本実施の形態によれば、SEMシステムの電子ビームの光軸と同軸となるように光学顕微鏡のカセグレン鏡がSEMの鏡筒内に配置されていることで、試料を移動させることなく、1台の装置で蛍光観察とSEM観察が可能である。それにより、試料の収納、取り出しによる位置ズレ並びに物理的、化学的変化の影響を受けることなく、同一位置で試料の観察並びに分析が可能であり、フットスペースも軽減される。また、従来、光学顕微鏡を構成するカセグレン鏡の反射面は球面型であり、光学像を観察した際に周辺部が歪んでおり、電子顕微鏡像と重ね合わせることはできなかった。これに対し本発明では、反射面が非球面型であるカセグレン鏡を用いているので、光学像の周囲に歪みがなく、電子顕微鏡像との重ね合わせが容易であり、分解能を向上させることができる。それにより、試料中の蛍光標識した部位を即座に拡大して高倍率で観察することが可能となる。それにより標識部位の同定確認を迅速に行うことができる。
実施の形態2.
図5は、本実施の形態に係る多光源顕微鏡の構成の一例を示す模式図である。
多光源顕微鏡は、ホストコンピュータからなるシステム制御部51と、分光器52と、顕微鏡部50とから構成されている。顕微鏡部50は、複数の光源54,55,56と、それら光源を移動可能に保持する光源保持手段57とを有する光源部53と、鏡筒58内に配置され、光源からの電子線を加速し試料に照射する複数の電磁レンズ60aからなる光学系60と、試料68を保持し、XY方向へ移動可能でかつ回転可能な試料筒69と、試料の透過電子を検出する検出部70と、鏡筒58外に配置された観察部64を有する。検出部70は、試料68を透過した電子が到達する蛍光板71と、蛍光板71が取着されたファイバーテーパー72と、レンズユニット74と、CCD/CMOS検出器75と、ファイバーテーパー72とレンズユニット74との間に取り付けられたフィルター73とから構成されている。また、観察部64は、外部CCDカメラ65と蛍光選択フィルター67が取着された三眼鏡筒66から構成されている。また、59は仕切り板であり、鏡筒と光源部を遮断するのに用いる。すなわち、光源部内の光源を切り換える場合、光源部だけでなく真空状態にある鏡筒全体をリークすると、リークと再度真空状態に戻すのに時間を要する。そこで、仕切り弁で光源部と鏡筒を遮断し、光源部のリークと再真空引きの時間を短縮する。また、61は、試料からの反射電子を検出する反射電子検出器である。また、62は、試料からの二次電子を検出する二次電子検出器である。また、63は、エネルギー分散型X線分光法(EDX)検出器である。また、76は、可動型小反射蛍光板であり、試料68からの透過電子を観察部64に導くものである。
光源部53の光源としては、電子銃、レーザ光源、そしてX線源の3種の光源を用いることができる。本実施の形態に係る多光源顕微鏡では、この3種の光源を適宜切り換えて使用する。
(電子顕微鏡)
光源に電子銃を用いることにより電子顕微鏡として使用することができる。
すなわち、光源部53内の電子銃より照射された電子線は、仕切弁59を通り鏡筒58内の光学系60により加速され、試料筒69に固定された試料68に照射される。試料68からの反射電子は反射電子検出器61で検出される。また、試料68を透過した電子は、蛍光板71、ファイバーテーパー72、レンズユニット74を通過し、CCD/CMOS検出器75で検出され、システム制御部51のモニタに画像化されて表示される。すなわち、透過型電子顕微鏡として使用することができる。ここで、観察倍率は、レンズユニット74を操作することで変化させることができる。また、可動型小反射蛍光76を光路上に移動させることで、試料68からの透過電子像を三眼鏡筒66で目視観察することができる。また、試料より発生したX線をEDX検出器63を用いて検出することで元素分析が可能となる。
また、試料筒69をXY方向へ走査、そして回転走査(θ方向)し、二次電子検出器62を用いて試料68からの二次電子を検出することにより、走査型電子顕微鏡として使用することができる。また、CCD/CMOS検出器75を用いることによりSTEM像(走査透過電子顕微鏡像)の観察が可能となる。また、EDX検出器63を用いることで、XY方向の2次元元素マップ像の観察が可能となる。
また、試料68からの発光を三眼鏡筒66を経由して分光器52に光ファイバ等で導くことで、カソードルミネッセンス測定が可能となる。そして、試料筒69をXY方向へ走査することで2次元カソードルミネッセンスマップ像の観察が可能となる。
(レーザ顕微鏡)
光源にレーザ光源を用いることにより、レーザ顕微鏡(光学顕微鏡)として使用することができる。ただし、電顕鏡筒内に光学系が組み込まれていないのでケーラー照明としてある面積に対してのみレーザが照射される。
光源部53内のレーザ光源より照射されたレーザ光は、仕切り弁59を通り鏡筒58内の光学系60を通り、試料筒69内に固定された試料68に照射される。可動型小反射蛍光板76を光路上に移動させることで、試料68からの光を三眼鏡筒66で目視観察することができる。すなわち、光学顕微鏡として使用することができる。また、試料が蛍光色素で標識されている場合は、三眼鏡筒66に搭載されている蛍光選択フィルタ67を光軸上に挿入することで、レーザ光(励起光)をカットして蛍光像を観察することが可能となる。また、試料からの光を三眼鏡筒66経由で分光器52に光ファイバ等で導くことで、ラマン測定が可能となる。また、試料筒69のXY方向への走査、ならびに回転走査(θ方向)により、3D光学像又は3D蛍光像の観察が可能となる。
また、透過光で撮影する場合、CCD/CMOS検出器75を用いるが、試料作製により蛍光剤感度に低下が起こる場合がある。すると検出器75のみでの撮影では、長時間の露出を強いられる可能性があり、それを補助する手段として蛍光板71を用いることで輝度を確保できる。また、テーパー72で広い視野を確保し検出器75に画像を導く事ができる。
なお、レーザ光源としては、白色レーザを用いることができる。あるいは、波長が異なる複数のレーザ光源を必要に応じて切り換えて使用することもできる。
(X線顕微鏡)
光源にX線源を用いることによりX線顕微鏡として使用することができる。
すなわち、光源部53内のX線源より照射されたX線は、仕切弁59を通り鏡筒58内の光学系60により加速され、試料筒69に固定された試料68に照射される。試料68を透過したX線は、蛍光板71、ファイバーテーパー72、レンズユニット74を通過し、CCD/CMOS検出器75で検出され、システム制御部51のモニタに画像化されて表示される。すなわち、X線電子顕微鏡として使用することができる。ここで、観察倍率は、レンズユニット74を操作することで変化させることができる。また、可動型小反射蛍光76を光路上に移動させることで、試料68からの透過X線像を三眼鏡筒66で目視観察することができる。また、試料筒69のXY方向への走査、ならびに回転走査(θ方向)により、3D透視X線像の観察が可能となる。
なお、X線源としては、公知のX線源を用いることができるが、チップ化されたものを用いることが好ましい。
本実施の形態で用いる蛍光板は、試料を透過した電子線や電磁波のエネルギーを吸収して蛍光を発生させるものである。蛍光板には試料透過部の拡大像が形成され、その拡大像はCCD/CMOS検出器により撮影される。従来、電子顕微鏡にはP22粉末蛍光体からなる蛍光板が使用され、X線顕微鏡には微量の銀の入った硫化亜鉛等の蛍光板が使用されていた。電子顕微鏡用の蛍光板の検出波長域は、0.0037nm〜0.0025nmであるのに対し、X線顕微鏡の蛍光板の検出波長域は0.07nm〜0.15nmであり、共通に使用できるものではなかった。これに対し、本実施の形態では、蛍光板にセリウムドープYAGを用いている。このセリウムドープYAGは、0.002〜700nmの検出波長域を有しているため、1種の蛍光板で電子顕微鏡観察とX線顕微鏡観察を行うことが可能である。
セリウムドープYAGは、例えば、以下の文献に記載された方法で作製された単結晶を用いる。
1. "Evaluation of properties of YAG (Ce) poly-crystal scintillator with APD" Takayuki Yanagida, Hiromitsu Takahashi, Daisuke Kasama, Takeshi Ito, Hisako Niko, Motohide Kokubun, Kazuo Makishima, Takagimi Yanagitani, Hideki Yagi,Takashi Shigeta, and Takashi Ito Proceedings of Scintillating Crystals and their Applications at KEK, p111-116.
2. Tadayuki Takahashi: Future Prospects on X-ray and Gamma-ray Mission: 17th Annual October Astrophysics Conference in Maryland, Radiation Backgrounds from the First Stars, Galaxies and Black Holes: (2006)).
その方法によれば、チョクラルスキー法(Cz法)、又は、フローティングゾーン法(FZ法)によって単結晶のインゴットが作製可能である。また、セリウムのドープ量は、0.005〜0.5mol%である。
ここで、電子顕微鏡画像と、レーザ顕微鏡画像及び/又はX線顕微鏡画像との重ね合わせについて説明する。
例えば、透過電子顕微鏡画像とレーザ顕微鏡画像の場合は以下の通りである。
試料からの透過電子は検出部70で検出されて光電変換され、システム制御部51でA・D変換されて、透過電子顕微鏡画像が得られる。また、レーザ顕微鏡は、蛍光選択フィルタ67と外部CCDカメラ65を有しており、蛍光選択フィルタでの波長選択により目的の波長で表示された蛍光画像をCCDカメラで検出し、システム制御部1へデジタル信号として送る。送られた透過電子顕微鏡画像と蛍光画像は、システム制御部1により、画像合成システムソフトウェアを用いて合成(重ね合わせ)が実行される。
また、透過電子顕微鏡画像とX線顕微鏡画像の場合は以下の通りである。
試料からの透過電子は検出部70で検出されて光電変換され、システム制御部51でA・D変換されて、透過電子顕微鏡画像が得られる。また、試料からの透過X線は検出部70で検出されて光電変換され、システム制御部51でA・D変換されて、透過X線顕微鏡画像が得られる。送られた透過電子顕微鏡画像と透過X線顕微鏡画像は、システム制御部1により、画像合成システムソフトウェアを用いて合成(重ね合わせ)が実行される。
また、透過電子顕微鏡画像と、レーザ顕微鏡画像と、X線顕微鏡画像とを重ね合わせる場合、送られた透過電子顕微鏡画像と、蛍光画像と、透過X線顕微鏡画像は、システム制御部1により、画像合成システムソフトウェアを用いて合成(重ね合わせ)が実行される。
なお、本実施の形態に用いる観察用試料の作製方法は、実施の形態1で用いたと同様の作製方法を用いることができる。
本実施の形態によれば、検出部の蛍光板にセリウムドープYAGを用いるようにしたので、試料を移動させることなく、1台の装置で電子顕微鏡観察とX線顕微鏡観察、そしてレーザ顕微鏡観察が可能である。それにより、試料の収納、取り出しによる位置ズレ並びに物理的、化学的変化の影響を受けることなく、同一位置で試料の観察並びに分析が可能であり、フットスペースも軽減される。それにより標識部位の同定確認を迅速に行うことができる。
以下、実施例を用いて本発明についてさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1.
(試料作製)
ラットの神経組織であるアストロサイトに対し、以下の手順により免疫染色を行った。
1)4%パラフォルムアルデヒドを含む0.1M PB(Phosphate Buffer)で還流固定後、浸漬固定した(3時間)。
2)20%シュークロースを含む0.1M PBで洗浄した(4℃、一晩)。
3)a.カミソリによる切断、b.SEM用凍結割断、c.10μm凍結切片作製などの、各用途に応じた技法により神経(脊髄)組織を小さな試料に分けた。図2(a)にはc、図2(b)にはaの方法を用いた。
4)0.1M PB洗浄(5分×3回)
5)0.8% fish gelatin、1% 牛血清アルブミン, 0.2%Triton X-100を含む0.1M PBS(PBSTBF)でブロッキングした(室温、1時間)。
6)抗グリア線維性酸性蛋白Glial fibrillary acidic protein (GFAP)マウスモノクローナル抗体(1: 20,000; Sigma) in PBSTBF(4℃、14時間)。コントロールはPBSTBFのみでインキュベートした。
7)0.1M PB洗浄(5分×3回)
8)ビオチン標識抗マウス抗体(1: 400; Jackson Lab) in PBSTBF(室温、90分)
9)0.1M PB洗浄(5分×3回)
10)Fluolid-labeled streptavidin in 10m M HEPES, 0.15M NaCl (pH7.3), 室温, 90分AMCA(7-amino-4-methylcoumarine-3-acetic acid)標識ストレプトアビジン(1: 200; Jackson Lab) in PBSTBF, 室温,90分。
但し、希釈倍率はFluolidの製作過程により変動する。
11)0.1M PB洗浄(5分×3回)
なお、本実施例及び以下の実施例中、Fluolidとは、前記国際公開に記載された蛍光色素を指す。
(顕微鏡観察方法)
SEM部と光学顕微鏡部を備えた日本電子(株)製の波長分散型元素分析装置JXA−8600の光学顕微鏡部の光学系を改造したものを用いた。
(結果)
図2(a)に蛍光顕微鏡画像を、そして(b)に本発明の蛍光SEMシステムを用いて得られた蛍光SEM画像を示す。本発明の蛍光SEMシステムを用いることにより、アストロサイトのみが染色された鮮明な画像が得られた。
実施例2.
(試料作製)
ラットの腎(尿細管)に対し、以下の手順により免疫染色を行った。
1)2.8%パラホルムアルデヒド−0.2%ピクリン酸−0.06%グルタールアルデヒド−0.1MPBで還流固定後、4%パラホルムアルデヒドin PBにて後固定を行い、4℃で保存した。
2)ビブラトームで1mmの試料を作製し、PBS (0.01M)で洗浄した(4℃、1日)。
3) Biotinylated Peanut Agglutinin(PNA)(Vector)in PBS (4℃、4日)(1:100)
4)PBS洗浄(4℃、20分×3)
5)蛍光色素付加(4℃、1日)
Streptavidin-Fluolid-W-Orange in PBS(1:10)
6)PBS洗浄(4℃,20分×3)
7)アセトン脱水 (50-75-85-95-100 %上昇系脱水)
8)標識・脱水後の試料を親水性プラスチック(テクノビット8100)にて包埋後、光顕用ダイヤモンドナイフとウルトラミクロトームを用い約5μm厚の切片を作製した。
9)試料搭載用の板に、ウェハ用Si基板を8mm角程度に割ったものを用い、その上に試料を載せた。
10)基板試料にイオンエッチングを行い切片試料とした。イオンエッチングは、真空デバイス社製PIB−10を用い、13mA/8分で行った。
(結果)
図3(a)にSEM画像、(b)に蛍光画像、そして(c)に本発明の蛍光SEMシステムを用いて得られた蛍光SEM画像を示す。蛍光SEM画像により、尿細管断面のブラッシュボーダーが選択的に染色されていることを確認できた。また、蛍光顕微鏡では観察不可能な尿細管内壁の絨毛を詳細に観察することができた。
実施例3.
(試料作製)
1)2.8%パラホルムアルデヒド−0.2%ピクリン酸−0.06%グルタールアルデヒド−0.1MPBで還流固定後、4%パラホルムアルデヒドPBにて後固定を行い、4℃で保存した。
2)ビブラトームで1mmの試料を作製し、PBS (0.01M)で洗浄した(4℃、1日)。
3)Biotinylated Peanut Agglutinin(PNA)(Vector)in PBS (4℃、4日)(1:100)
4)PBS洗浄(4℃、20分×3)
5)蛍光色素付加(4℃、1日)
Streptavidin-Fluolid-W-Orange(IST)in PBS(1:10)
6)PBS洗浄(4℃,20分×3)
7)アセトン脱水 (50-75-85-95-100 %上昇系脱水)
8)標識・脱水後の試料を親水性プラスチック(テクノビット8100)にて包埋後、光顕用ダイヤモンドナイフとウルトラミクロトームを用い約5μm厚の切片を作製した。
9)試料搭載用の板に、ウェハ用Si基板を8mm角程度に割ったものを用い、その上に試料を載せた。
10)基板試料にイオンエッチングを行い切片試料とした。イオンエッチングは、真空デバイス社製PIB−10を用い、13mA/8分で行った。
(結果)
図4(a)にSEM画像、(b)に蛍光画像、そして(c)に本発明の蛍光SEMシステムを用いて得られた蛍光SEM画像を示す。試料は、マクロファージを含むラットのリンパ節である。リンパ節組織中にあるマクロファージ(貪食細胞)は、生体内の様々な老廃物を取り込んでいるため、自家蛍光を有すると考えられている。そこで、無染色のまま、本装置にてリンパ節を蛍光観察した結果が(b)であり、この黄色に光る蛍光部と一致してマクロファージの存在を同定することができた。SEM像と重ね合わせることにより(c)マクロファージ細胞を他の細胞と区別してSEMにて観察することができた。
これら実施例1から3で説明した蛍光SEM画像は、従来全く報告がなく、本発明により初めて観察することが可能となったものである。以上の通り、本発明によれば、迅速に蛍光SEM画像を観察することができるので、SEMと光学顕微鏡とを組み合わせた実用レベルの生体組織分析装置を提供することが可能となる。
1 システム制御部
2 SEM部
3 電子発生部
4 電子線走査部
5 真空チャンバ
6 鏡筒
7 検出器
8 増幅器
9 試料ステージ制御部
10 試料
11 試料ステージ
12 カセグレン鏡
12a 大鏡
12b 小鏡
13 反射ミラー
20 光学顕微鏡部
21 光源
22 照明部
23 観察カメラ
24 光ファイバー部
25 分光器
50 顕微鏡部
51 システム制御部
52 分光器
53 光源部
54,55,56 光源
57 光源保持手段
58 鏡筒
59 仕切板
60 光学系
60a 電磁レンズ
61 反射電子検出器
62 二次電子検出器
63 EDX検出器
64 観察部
65 外部CCDカメラ
66 三眼鏡筒
67 蛍光選択フィルター
68 試料
69 試料筒
70 検出部
71 蛍光板
72 ファイバーテーパー
73 フィルター
74 レンズユニット
75 CCD/CMOS検出器
76 可動型小反射蛍光板
上記課題を解決するため、本発明の多光源顕微鏡は、試料を同一位置で観察可能な多光源顕微鏡であって、蛍光を観察するための光学顕微鏡部と走査型電子顕微鏡部とからなり、該走査型電子顕微鏡部の電子ビームの光軸と同軸となるように該光学顕微鏡のカセグレン鏡が該走査型顕微鏡部の鏡筒内に配置されてなり、該カセグレン鏡が、中央に開口を有する大鏡と、該開口の下方に該大鏡に対向するように配置された小鏡とからなり、大鏡と小鏡の反射面が非球面であることを特徴とする。
実施の形態1に係る多光源顕微鏡の構成の一例を示す模式図である。 実施例1におけるラットの神経組織の顕微鏡写真であり、(a)は蛍光画像、(b)は蛍光SEM画像である。 実施例2におけるラットの腎(尿細管)の顕微鏡写真であり、(a)はSEM画像、(b)は蛍光画像、(c)は蛍光SEM画像である。 実施例3におけるマクロファージを含むリンパ節組織の顕微鏡写真であり、(a)はSEM画像、(b)は蛍光画像、(c)は蛍光SEM画像である。 参考形態1に係る多光源顕微鏡の構成の一例を示す模式図である。
蛍光標識され試料について光学顕微鏡で数百倍程度の観察倍率で観察を行い、さらに所望の試料領域についてSEMを用いてさらに高倍率の観察を行う。
参考形態1
図5は、本参考形態に係る多光源顕微鏡の構成の一例を示す模式図である。
多光源顕微鏡は、ホストコンピュータからなるシステム制御部51と、分光器52と、顕微鏡部50とから構成されている。顕微鏡部50は、複数の光源54,55,56と、それら光源を移動可能に保持する光源保持手段57とを有する光源部53と、鏡筒58内に配置され、光源からの電子線を加速し試料に照射する複数の電磁レンズ60aからなる光学系60と、試料68を保持し、XY方向へ移動可能でかつ回転可能な試料筒69と、試料の透過電子を検出する検出部70と、鏡筒58外に配置された観察部64を有する。検出部70は、試料68を透過した電子が到達する蛍光板71と、蛍光板71が取着されたファイバーテーパー72と、レンズユニット74と、CCD/CMOS検出器75と、ファイバーテーパー72とレンズユニット74との間に取り付けられたフィルター73とから構成されている。また、観察部64は、外部CCDカメラ65と蛍光選択フィルター67が取着された三眼鏡筒66から構成されている。また、59は仕切り板であり、鏡筒と光源部を遮断するのに用いる。すなわち、光源部内の光源を切り換える場合、光源部だけでなく真空状態にある鏡筒全体をリークすると、リークと再度真空状態に戻すのに時間を要する。そこで、仕切り弁で光源部と鏡筒を遮断し、光源部のリークと再真空引きの時間を短縮する。また、61は、試料からの反射電子を検出する反射電子検出器である。また、62は、試料からの二次電子を検出する二次電子検出器である。また、63は、エネルギー分散型X線分光法(EDX)検出器である。また、76は、可動型小反射蛍光板であり、試料68からの透過電子を観察部64に導くものである。
光源部53の光源としては、電子銃、レーザ光源、そしてX線源の3種の光源を用いることができる。本参考形態に係る多光源顕微鏡では、この3種の光源を適宜切り換えて使用する。
参考形態で用いる蛍光板は、試料を透過した電子線や電磁波のエネルギーを吸収して蛍光を発生させるものである。蛍光板には試料透過部の拡大像が形成され、その拡大像はCCD/CMOS検出器により撮影される。従来、電子顕微鏡にはP22粉末蛍光体からなる蛍光板が使用され、X線顕微鏡には微量の銀の入った硫化亜鉛等の蛍光板が使用されていた。電子顕微鏡用の蛍光板の検出波長域は、0.0037nm〜0.0025nmであるのに対し、X線顕微鏡の蛍光板の検出波長域は0.07nm〜0.15nmであり、共通に使用できるものではなかった。これに対し、本参考形態では、蛍光板にセリウムドープYAGを用いている。このセリウムドープYAGは、0.002〜700nmの検出波長域を有しているため、1種の蛍光板で電子顕微鏡観察とX線顕微鏡観察を行うことが可能である。
なお、本参考形態に用いる観察用試料の作製方法は、実施の形態1で用いたと同様の作製方法を用いることができる。
参考形態によれば、検出部の蛍光板にセリウムドープYAGを用いるようにしたので、試料を移動させることなく、1台の装置で電子顕微鏡観察とX線顕微鏡観察、そしてレーザ顕微鏡観察が可能である。それにより、試料の収納、取り出しによる位置ズレ並びに物理的、化学的変化の影響を受けることなく、同一位置で試料の観察並びに分析が可能であり、フットスペースも軽減される。それにより標識部位の同定確認を迅速に行うことができる。

Claims (3)

  1. 試料を同一位置で観察可能な多光源顕微鏡であって、
    蛍光を観察するための光学顕微鏡部と走査型電子顕微鏡部とからなり、該走査型電子顕微鏡部の電子ビームの光軸と同軸となるように該光学顕微鏡のカセグレン鏡が該走査型顕微鏡部の鏡筒内に配置されてなり、反射面が非球面型であるカセグレン鏡を用いる多光源顕微鏡。
  2. 上記カセグレン鏡が、中央に開口を有する大鏡と、該開口の下方に該大鏡に対向するように配置された小鏡とからなり、大鏡と小鏡の反射面が非球面型である請求項1記載の多光源顕微鏡。
  3. 上記光学顕微鏡部の光源にレーザ光源を用いる請求項1記載の多光源顕微鏡。
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