JP2016033494A - 樹脂成形体の評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂の種類にかかわらず、樹脂成形体の破面又は表面を高倍率で観察できるとともに、同じ樹脂成形体の同じ観察部でSEMによる破面解析と化学組成分析による表面評価解析を正確に実施できるようにする。【解決手段】本発明は、金属オスミウム蒸着させた樹脂成形体の表面を走査型電子顕微鏡で観察する表面観察工程と、前記樹脂成形体の同一観察部をラマン分光分析するラマン分光分析工程とを含む。樹脂成形体の破面又は表面における金属オスミウム膜の厚さは0.2nm以上10nm以下であることが好ましい。本発明によると、樹脂成形体の種類にかかわらず、樹脂成形体の破面又は表面を高倍率で観察できるとともに、その観察した同じ破面又は表面の化学組成分析を正確に把握できる。【選択図】図2

Description

本発明は、樹脂成形体の破断面(破面という)の観察において破面の走査電子顕微鏡(SEMと略す)による断面観察と同じ観察部のラマン分光分析による化学組成分析を行う破面解析技術、また、樹脂成形体の表面の観察においてSEM観察と同じ観察部のラマン分光分析による化学組成分析を行う表面解析技術の方法に関する。
破面解析は金属の分野を中心に、破面模様の特徴から破壊機構あるいは破壊原因を推定するために広く用いられている方法である。高分子材料においても、金属材料と同様に破壊機構によってさまざまな破面模様が示されることから、同様の破面解析手法が取り入れられている。(例えば、非特許文献1及び2参照。)。また、これら以外にも、破面解析に関する技術資料が出されている。
破面解析の手法としては、光学顕微鏡あるいはSEMを用いた観察に基づき、破壊の起点や破壊の進み方、破壊様式を判断し、破壊の原因を推察するものである。破壊原因として、異物混入による脆性破壊や界面剥離により破壊の起点が発生し、破壊に至るものが少なくなく、詳細な破面解析をするためには、SEMを用いて高倍率の観察を行う必要がある。
一方、樹脂成形体の表面解析は、同様に表面微細構造を高倍率で観察するとともに、ブリードアウト物、異物の有無、劣化生成物等の分析を別の手法(例えば、化学組成分析)で行い、原因を推察するものである。これらの樹脂成形体の破面又は表面を観察する手法として、樹脂組成物の表面に、金、白金、パラジウム、これらの混合物等に例示される金属を3〜12μmの厚さに蒸着させ、蒸着後の樹脂組成物の破面又は表面を走査型電子顕微鏡で観察すること等が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−198414号公報
菅野乙也、池田義正、「成形加工」、1992年、第4巻、第2号、p.74−92 菅野乙也、「合成樹脂」、1997年、第43巻、第7号、p.39−42
しかしながら、この手法では、いったん樹脂成形体の表面に金属を蒸着させると、破面の形態観察は出来るが、破面上の異物の有無や劣化生成物等の評価をするための化学組成分析においては、赤外分光分析手法を用いても表面の蒸着層の影響でスペクトルが得られず、また、ラマン分光分析手法を用いても分析に必要なスペクトル強度が得られず、表面の化学組成分析が出来ないという問題が生じる。そこで、SEMによる高倍率観察と同じ観察部で分光分析による組成分析を実施できる手法を提供することが求められる。特に、破面解析や表面評価を行う試料は同じものが無い唯一無二の試料であり、かつ正確に評価解析することが求められる。一方、金属の代わりにカーボンを蒸着する方法もあるが赤外分光分析やラマン分析においては金属同様に十分なスペクトル強度は得られない。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、樹脂の種類にかかわらず、樹脂成形体の破面又は表面を高倍率で観察できるとともに、同じ樹脂成形体の同じ観察部でSEMによる破面解析と化学組成分析による表面評価解析を正確に実施できるようにすることである。
本発明者らは、上記のような課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、金属オスミウムを蒸着させた蒸着樹脂成形体の破面又は表面を走査型電子顕微鏡で観察し、同じ観察部をラマン分光分析することで、上記の課題を解決できることを見出した。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
(1)本発明は、金属オスミウム蒸着させた樹脂成形体の表面を走査型電子顕微鏡で観察する表面観察工程と、前記樹脂成形体の同一観察部をラマン分光分析するラマン分光分析工程とを含む、樹脂成形体の評価方法である。
(2)また、本発明は、前記樹脂成形体が、ポリアセタールを含有する樹脂成形体の表面を金属オスミウム蒸着させた樹脂成形体である、(1)に記載の樹脂組成物の評価方法である。
(3)また、本発明は、前記樹脂成形体の破面又は表面における金属オスミウム膜の厚さが0.2nm以上10nm以下である、(1)又は(2)に記載の樹脂成形体の評価方法である。
本発明によると、樹脂成形体の種類にかかわらず、樹脂成形体の破面又は表面を高倍率で観察できるとともに、その観察した同じ破面又は表面の化学組成分析を正確に把握できる。
金属オスミウム蒸着POM及び白金−パラジウム蒸着POMのSEM拡大写真である。 金属オスミウム蒸着POM及びオスミウム未蒸着POMのラマンスペクトルである。 金属オスミウム蒸着PBT及びオスミウム未蒸着PBTのラマンスペクトルである。 異物入り金属オスミウム蒸着POM及び異物なしオスミウム蒸着POMのラマンスペクトルである。 図4の差スペクトル及び異物のラマンスペクトルである。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
<樹脂成形体の評価方法>
本発明に係る評価方法は、金属オスミウム蒸着させた樹脂成形体の破面又は表面を走査型電子顕微鏡で観察する表面観察工程と、その樹脂成形体の同一破面又は表面の化学組成分析するラマン分光分析工程とを含む。
〔表面観察工程〕
表面観察工程は、金属オスミウム蒸着させた樹脂成形体の破面又は表面を走査型電子顕微鏡で観察する工程である。
[樹脂成形体]
樹脂成形体は、少なくとも樹脂を含有すればよく、必要に応じて添加剤、充填剤等を含有してもよい。
((樹脂))
樹脂の種類は特に限定されるものでなく、ポリアセタール、芳香族ポリエステル、ポリアリーレンサルファイド、ポリオレフィン及びポリアミド等が挙げられる。中でも、オスミウム蒸着させなければ1000倍を超える倍率で表面を拡大観察できないにもかかわらず、オスミウム蒸着させることによって1000倍を超える倍率で表面を拡大観察できる点で、樹脂は、ポリアセタールであることが好ましい。樹脂は、1種類であってもよいし、複数種類の混合物であってもよい。
(ポリアセタール)
ポリアセタール(POM)の種類は、特に限定されず、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよく、コポリマーはランダムでもブロックでもよく、コモノマーの種類、含有量にも制限はなく、ポリアセタールの分子量、結晶化度、融点等にも特に制限はない。
コモノマーとしては、環状エーテル及び/又は環状ホルマールが使用され、具体的には、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,3−ジオキサン、エチレンオキサイド、プロピレンオキシド、エピクロルヒドリン等が挙げられ、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,3−ジオキサン、エチレンオキシド等が好ましい。
さらに、環状エステル、例えばβ−プロピオラクトン、及びビニル化合物、例えばスチレン等も使用される。また、共重合体が分岐状、又は架橋分子構造を形成するためのコモノマーとしてアルキレン−ジグリシジルエーテル又はジホルマールの如き2個以上の重合性環状エーテル基又は環状ホルマール基を有する化合物を用いることもできる。例えば、ブタンジオールジメチリデングリセリルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
(芳香族ポリエステル)
本明細書において、芳香族ポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸−脂肪族ジオールポリエステルをいう。芳香族ポリエステルの種類は特に限定されず、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよく、コポリマーはランダムでもブロックでもよく、コモノマーの種類、含有量にも制限はない。芳香族ポリエステルは、成形加工が可能であれば、分子量、結晶化度、融点等は特に限定されない。
芳香族ポリエステルとして、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート等のアルキレン芳香族ジカルボキシレート等が挙げられる。
芳香族ポリエステルとして、例えば、芳香族ジカルボン酸成分(テレフタル酸やイソフタル酸やナフタレンジカルボン酸など)及びアルキレングリコールのうち、少なくとも一方の成分が他のジカルボン酸(コモノマー)や他のジオール(コモノマー)で置換したコポリエステルなどであってもよい。
これらの芳香族ポリエステルは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ジオール成分(コモノマー成分)としては、炭素数2〜12程度のアルキレングリコール、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタンジオール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−オクタンジオールなどの炭素数2〜10程度の脂肪族グリコールが挙げられる。
これらのジオール成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
(ポリオレフィン)
ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン−1、これらのコポリマーなどが挙げられる。これらの中で立体規則性のあるものは、アイソタクティックでもシンジオタクティックでもよい。また重合触媒としては、チグラー・ナッタ触媒のようなマルチサイト型のもので重合されたものでも、カミンスキー触媒のようなメタロセン触媒やフェノキシイミン錯体触媒のようなシングルサイト型のもので重合されたものでも構わない。
(ポリアリーレンサルファイド)
ポリアリーレンサルファイドとしては、ポリフェニレンサルファイド等が挙げられる。ポリフェニレンサルファイドとしては、p−フェニレンサルファイド基を主たる繰返し単位とするものであり、直鎖型、分岐型、架橋型、又はこれらの混合物であっても、m−フェニレンサルファイド基等の繰返し単位との共重合体であってもよい。
(ポリアミド)
ポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン46、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6Tのような芳香族ポリアミド等のポリアミドが挙げられる。
((添加剤))
添加剤として、安定剤、離型剤、導電性付与剤等が挙げられる。安定剤として、例えば各種のヒンダードフェノール系酸化防止剤等が用いられる。例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−へキサンジオール−ビス−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシナマミド)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、3,9−ビス〔2−{(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1’−ジメチルエチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]−ウンデカン等が例示される。
((充填剤))
充填剤として、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、ウィスカー、カーボンナノチューブ、カーボンナノ粒子等が挙げられる。
((成形体))
樹脂成形体の成形法としては、射出成形、中空成形、押出成形、ブロー成形、発泡成形等が挙げられる。
[金属オスミウム蒸着]
本発明では、金属オスミウム蒸着させた樹脂成形体の破面又は表面を観察対象とする。SEMでの観察に供する際、一般に、樹脂成形体の破面又は表面を金、白金、パラジウム、カーボン等で蒸着したものを測定試料にすることが知られている。SEMは真空中で電子線を試料に照射し、2次電子線等を検出し、高倍率観察する。一方、蒸着に用いる材料が金、白金、パラジウム、カーボン等である場合、樹脂成形体がポリアセタールであると、高倍率での観察時には、その電子線によりポリアセタールが分解し、ポリアセタール樹脂成形体の破面又は表面を観察できないため、好ましくない。また、これらの蒸着した樹脂成形体をラマン分光分析しようとしても、樹脂成形体にレーザを照射することで樹脂が炭化したり、測定試料に穴が開くため、ラマン散乱光を好適に得られない。そのため、蒸着樹脂成形体を好適にラマン分光分析できず、その樹脂成形体のSEM観察した同一の破面又は表面でラマン分光分析による化学組成分析が出来ない点で好ましくない。金属オスミウム蒸着させた樹脂成形体の場合、樹脂成形体がポリアセタールであってもSEMを用いて高倍率の観察が出来るとともにその破面又は表面の同一の観察部をラマン分光分析による化学組成分析ができる点で好ましい。
金属オスミウム膜の厚さは特に限定されるものでないが、0.2nm以上10nm以下であることが好ましく、0.25nm以上5nm以下であることがより好ましい。金属オスミウム膜が薄すぎると、蒸着後の蒸着樹脂成形体をSEMによる観察時に供する際、蒸着樹脂成形体が帯電し、SEM観察を難しくする可能性があるため、好ましくない。また、金属オスミウム膜が厚すぎると、蒸着樹脂成形体を好適にラマン分光分析できないため、好ましくない。
樹脂組成物の破面又は表面への金属オスミウム蒸着は、オスミウムコーターを用いることで行うことができる。オスミウムコーターの例として、真空中に四酸化オスミウム昇華ガスを導入し、グロー放電を起こし、オスミウム陽イオンを陰極上に置かれた試料表面に金属オスミウムを被膜させる装置が挙げられる。この装置の市販品として、ネオオスミウムコータプロ(メイワフォーシス社製)等が挙げられる。
[SEM観察]
SEM観察条件は、特に限定されない。本発明は、樹脂成形体がポリアセタール樹脂成形体であっても、1000倍を超える高倍率でポリアセタール樹脂成形体の破面又は表面を拡大観察できる点で好ましい。
〔ラマン分光分析工程〕
ラマン分光分析工程は、SEMの観察に供した蒸着樹脂成形体をラマン分光分析する工程である。ラマン分光分析は、入射光と散乱光とのエネルギー差から物質内の官能基の振動エネルギーを対応させて分析を行う手法である。このエネルギー差(振動数の差)がラマンシフト値と呼ばれるものであり、物質の官能基に応じてラマンシフト値でのラマン強度に強弱が生じ、このラマンシフト値におけるラマン強度をチャートすることによりラマンスペクトルが得られる。
ラマンスペクトルとしては、可視レーザ励起のラマン分光計や近赤外レーザ励起のラマン分光計等で測定したラマンスペクトルを用いればよく、特に限定されるものではない。入射光の波長は特に限定されるものでなく、532nm、633nm、785nm、1024nm等が挙げられる。
レーザのエネルギーが大きすぎると、蒸着樹脂成形体にレーザを照射することで、蒸着樹脂成形体が炭化し、測定試料に穴が開くため、ラマン散乱光を好適に得られない。一方、レーザのエネルギーが小さすぎると、充分な量のラマン散乱光が得られず、蒸着樹脂成形体を好適にラマン分光分析できない。したがって、測定試料への穴開き防止と、ラマン散乱光の検出との両方を考慮し、減光フィルタを用いてレーザのエネルギーを適切に調整することが好ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
<実施例1〜4、参考例1、2及び比較例1〜5>
表1において、樹脂の材質は次のとおりである。
POM:ジュラコン(登録商標)M90S(ポリプラスチックス社製)
PBT:ジュラネックス(登録商標)C7000ZY(ポリプラスチックス社製)
〔実施例1〜4〕
表1に示す樹脂を下記の条件で射出成形し、射出成形体を得た。この射出成形体を、JIS K7110に規定するアイゾット衝撃試験に付し、脆性破壊させた。そして、脆性破壊させた試料の脆性破面に対し、ネオオスミウムコータプロ(メイワフォーシス社製)を用いて、表1に記載の膜厚になるように金属オスミウム蒸着し、蒸着樹脂成形体の脆性破面を得た。

(POMにおける射出成形の条件)
予備乾燥:80℃、3時間
シリンダ温度:200℃
金型温度:60℃
射出速度:10mm/sec
保圧:50MPa

(PBTにおける射出成形の条件)
予備乾燥:140℃、3時間
シリンダ温度:250℃
金型温度:50℃
射出速度:10mm/sec
保圧:60MPa
そして、蒸着樹脂成形体の脆性破面について、走査型電子顕微鏡S−3700(日立製作所社製)を用いて拡大観察した。倍率は1000倍及び2000倍の2種類とした。
続いて、蒸着樹脂成形体についてラマンスペクトルの測定を実施した。ラマンスペクトル測定の装置及び条件は、以下の通りとした。

(ラマンスペクトル測定の装置及び条件)
装置:ラマン顕微鏡XploRA(堀場ジョバン・イボン社製)
取込時間:5秒
積算回数:4
減光フィルタ:10%
対物レンズ:100倍
回折格子の刻線数:1800本/mm
励起波長:532nm
サンプル上のレーザパワー:1mW
コンフォーカルホール:100μm
スリット幅:300μm
〔参考例1及び2〕
樹脂の種類が表1に示すとおりであり、脆性破壊させた試料の脆性破面に対して金属オスミウム蒸着をしなかったこと以外は、実施例1と同じ手法にて、樹脂成形体を得るとともに、この樹脂成形体について、SEMの拡大観察及びラマンスペクトルの測定を行った。
〔比較例1〜3〕
表1に示す樹脂を実施例1と同じ手法にて得た射出成形体を、実施例1と同じ手法にて脆性破壊させた。そして、脆性破壊させた試料の脆性破面に対し、イオンスパッターE1030(日立製作所社製)を用いて、表1に記載の膜厚になるように白金−パラジウム蒸着し、蒸着樹脂成形体を得た。なお、白金とパラジウムとの混合比は8:2である。
そして、蒸着樹脂成形体の脆性破面について、実施例1と同じ手法にてSEM観察するとともに、蒸着樹脂成形体について、実施例1と同じ手法にてラマンスペクトルの測定を実施した。
〔比較例4及び5〕
表1に示す樹脂を実施例1と同じ手法にて得た射出成形体を、実施例1と同じ手法にて脆性破壊させた。そして、脆性破壊させた試料の脆性破面に対し、カーボン蒸着装置E−1010(日立製作所製)を用いて、表1に記載の膜厚になるようにカーボン蒸着し、蒸着樹脂成形体を得た。
そして、蒸着樹脂成形体の脆性破面について、実施例1と同じ手法にてSEM観察するとともに、蒸着樹脂成形体について、実施例1と同じ手法にてラマンスペクトルの測定を実施した。
〔評価〕
〔SEM観察〕
実施例、参考例及び比較例に係る蒸着樹脂成形体の脆性破面について、上記走査型電子顕微鏡を用いて拡大観察した。倍率は1000倍及び2000倍の2種類とした。結果を表2に示す。表2において、“○”は、SEM観察可能であったことを示し、“△”は、一部ハレーションを起こした以外は、SEM観察可能であったことを示し、“×”は、SEM測定時、真空中で電子線を試料に照射により樹脂が分解し、脆性破面を観察できなかったことを示す。また、実施例3及び比較例1についての写真を図1に示す。
〔ラマンスペクトル〕
実施例、参考例及び比較例に係る蒸着樹脂成形体についてラマンスペクトルの測定を実施した。結果を表2に示す。表2において、“○”は、ラマン散乱スペクトルを好適に得られたことを示し、“×”は、ラマン散乱スペクトルを好適に得られなかったことを示す。また、実施例3及び参考例1についてのラマンスペクトルを図2に示し、実施例4及び参考例2についてのラマンスペクトルを図3に示す。
金属オスミウム蒸着させた樹脂成形体の破面又は表面をSEMで観察することで、樹脂の種類にかかわらず、樹脂成形体の脆性破面を2000倍という高倍率で観察できる(実施例)。一方、ポリアセタール樹脂を白金−パラジウム蒸着させた蒸着樹脂成形体、及びポリアセタール樹脂をカーボン蒸着させた樹脂成形体の破面又は表面をSEMで観察した場合、樹脂成形体の脆性破面を2000倍にすると、SEMが発する電子線によりポリアセタール樹脂が分解し(特に図1の丸かこみ部)、脆性破面を正確に観察できなかった(比較例)。
また、SEMでの観察に供した金属オスミウム蒸着樹脂成形体をラマン分光分析したところ、金属オスミウム未蒸着樹脂成形体をラマン分光分析した場合とピークが同じであった(実施例、特に図2及び図3)。このことから、金属オスミウム未蒸着樹脂成形体を別に準備しなくても、樹脂の組成を正確に把握できるといえる。一方、ポリアセタール樹脂を白金−パラジウム蒸着させた蒸着樹脂成形体、及びポリアセタール樹脂をカーボン蒸着させた樹脂成形体をラマン分光分析しようとしても、樹脂成形体にレーザーを照射することで樹脂が炭化し、測定試料に穴が開くため、ラマン散乱光を好適に得られなかった(比較例)。
<実施例5> 異物の検出
上記POM95質量部と、ポリエチレン樹脂(製品名:エボリューSP2320 プライムポリマー社製)5質量部とを含有する樹脂組成物を、実施例1と同じ条件で射出成形し、異物入り射出成形体を得た。この射出成形品を、実施例1と同じ手法にて脆性破壊させた。そして、脆性破壊させた試料の脆性破面に対し、実施例1と同じ手法にて膜厚が5nmになるように金属オスミウム蒸着し、異物入り樹脂成形体を得た。
そして、異物入りの蒸着した樹脂成形体について、実施例1と同じ手法にてラマンスペクトルの測定を実施した。
〔評価〕
ラマンスペクトルの異物の有無による違いを評価した。異物あり試料(実施例5)のラマンスペクトルを図4の(A)に示し、異物なし試料(実施例3)のラマンスペクトルを図4の(B)に示す。また、図4の(A)と(B)との間の差分を図5の(A)に示し、異物(ポリエチレン樹脂)のラマンスペクトルを図5の(B)に示す。
図4の(A)及び(B)から、異物が混入すると、異物がなかったときには検出されなかったピークが現れるといえる。そして、図5の(A)及び(B)から、図4の(A)と(B)との間の差分で現れるピークは、ポリエチレン樹脂のラマンスペクトルのピークと一致するといえる。このことから、樹脂成形体に異物が混入した場合であっても、その異物の種類を具体的に特定できるといえる。

Claims (3)

  1. 金属オスミウム蒸着させた樹脂成形体の破面又は表面を走査型電子顕微鏡で観察する表面観察工程と、前記樹脂成形体の同一観察部をラマン分光分析するラマン分光分析工程とを含む、樹脂成形体の評価方法。
  2. 前記樹脂成形体は、ポリアセタールを含有する樹脂成形体の表面を金属オスミウム蒸着させた樹脂成形体である、請求項1に記載の樹脂組成物の評価方法。
  3. 前記樹脂成形体の破面又は表面における金属オスミウム膜の厚さが0.2nm以上10nm以下である、請求項1又は2に記載の樹脂成形体の評価方法。
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