JP2014210684A - アルミニウムガーネットタイプ無機酸化物、蛍光体及びこれを用いた発光装置 - Google Patents

アルミニウムガーネットタイプ無機酸化物、蛍光体及びこれを用いた発光装置 Download PDF

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Abstract

【課題】従来のアルミニウムガーネットタイプ蛍光体よりも色調が良好な蛍光成分を放出し得る無機酸化物、蛍光体及びこれを用いた発光装置を提供する。【解決手段】本発明の無機酸化物は、結晶構造が柘榴石型であり、化合物Ca2Ln’X2(AlO4)3と化合物Ca3X’2(AlO4)2(SiO4)とを、少なくとも端成分としてなる固溶体である。そして、上記Ln’は希土類であり、上記X’はZr及びHfのいずれかであり、上記固溶体は蛍光成分を放出する。この無機酸化物は、色調が良好な蛍光を放射することができる。なお、この無機酸化物のCe3+付活蛍光体は色調が良好な緑青色光を放射することができ、Eu3+付活蛍光体は色調が良好な赤色光を放射することができる。【選択図】図4

Description

本発明は、アルミニウムガーネットタイプ無機酸化物、蛍光体及びこれを用いた発光装置に関する。
従来より、柘榴石(ガーネット)の結晶構造(以降、柘榴石構造ともいう。)を持つ化合物が多く知られている。天然の柘榴石は珪酸塩鉱物であり、透明度の高いものは古代から宝石として重宝され、柘榴石の砂は研磨剤として工業的に利用されている。
有名な柘榴石としては、鉄礬柘榴石(almandine:Fe2+ Al(SiO)、灰礬柘榴石(grossular:CaAl(SiO)、灰鉄柘榴石(andradite:CaFe3+ (SiO)がある。また、苦礬柘榴石(pyrope:MgAl(SiO)、満礬柘榴石(spessartine:MnAl(SiO)、灰クロム柘榴石(uvarovite:CaCr(SiO)などがある。
ここで、YAl(AlOで表される化合物(以下、YAGともいう。)は、柘榴石をベースに合成された人工鉱物であり、イットリウムアルミニウムガーネットの呼称で広く知られる。そしてYAGは、固体レーザー、透光性セラミックス及び蛍光体などの用途に利用されている(例えば、非特許文献1参照)。また、YAGには変形例が数多く存在することが知られている。代表的なYAGの変形例としては、TbAl(AlO(例えば、特許文献1参照)やYGa(AlO(例えば、非特許文献1参照)が挙げられる。さらに、YMg(AlO)(SiO(例えば、特許文献2参照)やCaYZr(AlO(例えば、特許文献3参照)などが挙げられる。
ここで、蛍光体とは、紫外線励起などの刺激を与えることによって、蛍光を放つ化合物を指す。そして、当該化合物を構成する特定の原子の核外電子が紫外線などによって励起され、基底状態に戻るときにエネルギーレベルの差が可視光として放出される。例えば、発光中心として機能する希土類イオンや遷移金属イオン(Ce3+、Tb3+、Eu3+、Mn2+、Mn4+、Fe3+、Cr3+など)をYAGなどの化合物に含ませることによって蛍光体になる。
そして、Ce3+で付活したYAG:Ce蛍光体やTb3+で付活したYAG:Tb蛍光体を始めとする柘榴石構造を持つ蛍光体(以後、ガーネットタイプ蛍光体ともいう。)は高効率蛍光体として知られている。これらの蛍光体は、数多くの発光装置に利用されている(例えば、特許文献4,5及び非特許文献1参照)。
なお、Ce3+で付活したアルミニウムガーネットタイプ蛍光体の特徴は、粒子線又は電磁波を照射すると励起され、超短残光性の青緑〜緑〜黄〜赤の可視光を放つことである(例えば、非特許文献1、特許文献2,3参照)。
一方、Eu3+で付活したYAG:Eu蛍光体も知られ、プラズマディスプレイ装置(PDP)用の赤色蛍光体として応用するべく調査がなされている(例えば、非特許文献1参照)。
特表2003−505582号公報 国際公開第2010/043287号 国際公開第2013/005356号 特許第3503139号明細書 米国特許第6812500号明細書
蛍光体同学会編、「蛍光体ハンドブック」、株式会社オーム社、1987年12月、pp.236−238、pp.268−271、p.332
しかしながら、従来のアルミニウムガーネットタイプ蛍光体はその種類が限られるために、その光物性が限定されていた。そのため、アルミニウムガーネットタイプ蛍光体を利用する電子機器の特性が限定され、多様化する要望に応えることができていなかった。
例えば、従来のCe3+で付活したアルミニウムガーネットタイプ蛍光体は、発光ピーク波長が485nm未満に至ることがなく、青色系光を放たない。そのため、従来のCe3+付活アルミニウムガーネットタイプ蛍光体を利用して色調が良好な青色系の光成分を放つ発光装置を提供することが困難であった。
また、従来のEu3+で付活したアルミニウムガーネットタイプ蛍光体は、色調が良好な赤色光を放たない。そのため、従来のEu3+付活アルミニウムガーネットタイプ蛍光体を利用して色調が良好な赤色光成分を放つ発光装置を提供することが困難であった。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、従来のアルミニウムガーネットタイプ蛍光体よりも色調が良好な蛍光成分を放出し得る無機酸化物、蛍光体及びこれを用いた発光装置を提供することにある。
本発明の第1の態様に係る無機酸化物は、結晶構造が柘榴石型である無機酸化物である。そして、上記無機酸化物は、化合物CaLn’X(AlOと、化合物CaX’(AlO(SiO)とを、少なくとも端成分としてなる固溶体である。また、上記Ln’は、原子番号21、39、57〜60及び62〜71の元素からなる群より選ばれるいずれかの希土類元素であり、上記X及びX’は、Zr及びHfのいずれか一方であり、上記固溶体は蛍光成分を放出する。
本発明の第2の態様に係る無機酸化物は、第1の態様に係る無機酸化物において、一般式(1):(1−x)MLnX(AlO・xM(AlO(SiO)で示される複合化合物が、モル割合として過半数を占める。ここで、式中、Mは、Caを含有し、Lnは、原子番号21,39,49,51,57〜60,62〜71及び83の元素からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含有する。そして、Xは、Zr及びHfの少なくともいずれか一方を含有し、xは、0<x<1を満足する数値である。
本発明の第3の態様に係る無機酸化物は、第2の態様に係る無機酸化物において、上記複合化合物からなる。
本発明の第4の態様に係る無機酸化物は、第2の態様に係る無機酸化物において、Mは、Caと、アルカリ土類金属、Fe、Mn、Zn、Cd、Co及びCuからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素とを含有する。そして、Xは、Zr及びHfの少なくともいずれか一方と、Si、Ge、Ti、Sn及びPbからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素とを含有する。
本発明の第5の態様に係る無機酸化物は、第2の態様に係る無機酸化物において、Mは、Caと、アルカリ土類金属、Mn及びZnからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素とを含有する。また、Lnは、原子番号21,39,49,57〜60及び62〜71からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含有する。さらに、Xは、Zr及びHfの少なくともいずれか一方と、Si、Ge、Ti及びSnからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素とを含有する。
本発明の第6の態様に係る無機酸化物は、第2の態様に係る無機酸化物において、MはCaであり、LnはCe、Pr、Eu及びTbからなる群より選ばれる少なくとも一つの希土類元素を含有する。
本発明の第7の態様に係る無機酸化物は、第6の態様に係る無機酸化物において、Lnは、Ce、Eu及びTbからなる群より選ばれる少なくとも一つの希土類元素と、Y、La、Gd及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一つの希土類元素と、を含む。
本発明の第8の態様に係る無機酸化物は、第2の態様に係る無機酸化物において、固溶体は、一般式(2):(1−x)CaLnX(AlO・xCa(AlO(SiO)で示される組成を有する。なお、式中、xは、0<x<1を満足する数値である。
本発明の第9の態様に係る無機酸化物は、第2の態様に係る無機酸化物において、固溶体は、一般式(3):A(EGで示される組成を有する。そして、式中、Aは、Caと、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類元素からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素とを含有する。また、Dは、上記Xで表される元素と、Mg、Sc、Y、Ti、V、Zr、Hf、Zn、Al、Ga、In、Ge及びSnからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素とを含有する。さらに、Eは、Alと、Zn、Si、Ge及びPから選ばれる少なくとも一つの元素とを含有し、GはOを含有する。
本発明の第10の態様に係る蛍光体は、第1乃至9のいずれかの態様に係る無機酸化物から構成されることを特徴とする。
本発明の第11の態様に係る蛍光体は、第10の態様に係る蛍光体において、無機酸化物は、結晶の主骨格をなしている。
本発明の第12の態様に係る蛍光体は、第10の態様に係る蛍光体において、無機酸化物は、発光中心として機能する、Ce3+、Eu3+及びTb3+のいずれかのイオンを含む。
本発明の第13の態様に係る蛍光体は、第12の態様に係る蛍光体において、無機酸化物は、蛍光体の発光中心として機能するCe3+を含む。そして、Ce3+による発光の発光ピーク波長は485nmよりも短波長側に位置する。
本発明の第14の態様に係る蛍光体は、第12の態様に係る蛍光体において、無機酸化物は、蛍光体の発光中心として機能するEu3+を含み、当該Eu3+は、輝線状の複数の蛍光成分を放つ。そして、Eu3+による上記蛍光成分の主輝線は600nm以上628nm未満の波長範囲内にあり、少なくとも700nm以上720nm未満の波長範囲内にある輝線の最大高さは、上記主輝線の最大高さの60%未満である。
本発明の第15の態様に係る発光装置は、第10乃至14のいずれかの態様に係る蛍光体を備える。
本発明の無機酸化物は、従来のアルミニウムガーネットタイプ蛍光体よりも色調が良好な蛍光成分を放出し得る。また、本発明の発光装置は、短波長可視光を放つ固体発光素子を励起源として、青色系光成分や狭帯域性の赤色光成分を含む強い光を放つことが可能である。
本発明の実施形態に係る発光装置を説明するための概略図である。 本発明の実施形態に係る半導体発光装置の一例を模式的に示す断面図である。 実施例1及び2の化合物のXRDパターンを示す図である。 実施例1の蛍光体の励起スペクトル及び発光スペクトルを示す図である。 実施例2の蛍光体の励起スペクトル及び発光スペクトルを示す図である。 比較例1の蛍光体の励起スペクトル及び発光スペクトルを示す図である。 比較例2の蛍光体の励起スペクトル及び発光スペクトルを示す図である。 比較例3〜5の蛍光体の発光スペクトルを示す図である。
以下、本発明の実施形態に係るアルミニウムガーネットタイプ無機酸化物、蛍光体及び当該蛍光体を用いた発光装置について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。また、本発明の実施形態に係るアルミニウムガーネットタイプの無機酸化物及び蛍光体については、それぞれ単に「無機酸化物」、「蛍光体」と略記する場合がある。
まず、一般的に「鉱物」とは、天然に産出する固体無機物質であり、その組成が化学式によって記述でき、構成元素の配列が規則的、つまり結晶質であって、物理的な性質が狭い範囲に収まるものをいう。これに対応する用語として、人造鉱物(man−made mineral)とも呼ばれる人工鉱物(artificial mineral)がある。人工鉱物は、天然に産出する鉱物と同一の成分、構造及び組織を、化学的・物理的手法で達成したものをいう。なお、人工鉱物には、構造及び基本組成が天然鉱物と同一で、成分又は組成を異にする無機固体を含める場合があり、加えて、さらに広く一般の無機固体も含める場合がある。
一方で、電荷又はイオン半径が類似の元素同士は、同じ結晶構造を保ったまま、互いに置換可能であることから、相似的な化学式を持った一群の鉱物をつくることが知られている。また、結晶構造中の特定のサイトに異種のイオンが置き換えて入り、鉱物種が幅広い組成変化を見せることも知られている。類似した化学組成を持つ物質が同一の結晶構造をとることを、岩石学や鉱物学の分野では、「類質同像」という。そのため、柘榴石のグループに属する鉱物種同士は、互いに類質同像の化合物である。
また、結晶構造中の特定のサイトに異種のイオンが置き換えて入り、鉱物種が幅広い組成変化を見せることも知られている。その鉱物の組成は、組成変化の両端の組成を持つ鉱物の混合比率をもって容易に表現することができる。このような鉱物は、固体でありながら溶液を混合するような均一な相を生ずることから、「固溶体」という。
なお、本明細書において、柘榴石の結晶構造を持つ化合物であり、かつ、少なくともアルミニウムと酸素とを主成分として含む化合物を、特に「アルミニウムガーネットタイプ無機酸化物」という場合がある。また、蛍光体として機能するアルミニウムガーネットタイプ無機酸化物を、特に「アルミニウムガーネットタイプ蛍光体」という場合がある。
[アルミニウムガーネットタイプ無機酸化物]
まず、本発明の実施形態に係るアルミニウムガーネットタイプ無機酸化物を説明する。
本実施形態に係る無機酸化物は、天然の鉱物を参考にして人為的に創作した無機の化学物質である。そして、上記無機酸化物は、結晶構造が柘榴石型構造である。さらに、上記無機酸化物は、化合物CaLn’X(AlOと、化合物CaX’(AlO(SiO)とを少なくとも端成分としてなる固溶体である。さらに、上記Ln’は、原子番号21、39、57〜60及び62〜71の元素からなる群より選ばれるいずれかの希土類元素であり、上記X及びX’は、Zr及びHfのいずれかである。そして、上記固溶体は蛍光成分を放出する。このような固溶体となる本実施形態の無機酸化物は、後述するように優れた蛍光特性を発揮することができる。
また、本実施形態の無機酸化物は、一般式(1)で示される組成の複合化合物を含有することが好ましい。さらに、当該無機酸化物において、当該複合化合物がモル割合として過半数を占めることが好ましい。
(1−x)MLnX(AlO・xM(AlO(SiO) (1)
一般式(1)の式中、Mはカルシウム(Ca)を含有する。そして、Lnは、原子番号21,39,49,51,57〜60,62〜71及び83の元素からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含有する。すなわち、Lnは、Sc、Y、In、Sb、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu及びBiからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含有する。さらに、Xはジルコニウム(Zr)及びハフニウム(Hf)の少なくともいずれか一方を含有する。また、xは、0<x<1を満足する数値である。
ここで、「過半数を占める」とは、無機酸化物全体に対して50モル%を超える値を占めることを意味する。このような構成を有する場合、より優れた蛍光特性を発揮することができる。同様の観点から、本実施形態の無機酸化物において、上記複合化合物が、80モル%以上を占めるように構成することがより好ましい。上記いずれの構成であっても、本実施形態に係る無機酸化物の結晶構造は、柘榴石型の構造である。
一般式(1)で表される複合化合物が過半数を占めて構成される、固溶体としての本実施形態の無機酸化物は、後述するように優れた蛍光特性を発揮することができる。なお、本実施形態の無機酸化物は、上記複合化合物のみから構成される場合でも、優れた蛍光特性を発揮することができる。
本実施形態の無機酸化物において、柘榴石型構造の結晶構造を有し、かつ、一般式(1)におけるMがCaである場合が好ましい。すなわち、上記した固溶体が、一般式(2)で示される組成を有することがより好ましい。
(1−x)CaLnX(AlO・xCa(AlO(SiO) (2)
なお、式(2)中の、Ln、X及びxは、それぞれ一般式(1)中におけるLn、X及びxに対応する。このような構成を有する場合、蛍光を放つイオンを十分に確保することができる。より詳細には、基本的に蛍光物質のみから構成されるため、高い蛍光特性を発揮することができる。
ここで、一般に無機化合物は、数多くの変形例を持つものである。さらに上述のように、柘榴石の結晶構造を持つ鉱物も数多くの変形例を持つ。このため、本実施形態に係る無機酸化物も、柘榴石の結晶構造を損ねない範囲で、一般式(1)とは若干異なる数多くの変形例を包含するものである。つまり、本実施形態の無機酸化物の基本組成として、(1−x)CaCeZr(AlO・xCaZr(AlO(SiO)や(1−x)CaEuZr(AlO・xCaZr(AlO(SiO)を例示することができる。ここで、本形態の無機酸化物は、(1−x)CaCeZr(AlO・xCaZr(AlO(SiO)や(1−x)CaEuZr(AlO・xCaZr(AlO(SiO)と類質同像のものを含むことができる。すなわち、本形態の無機酸化物は、上記基本組成と類質同像であり、他の端成分との固溶体となる変形例をも含むものとすることができる。なお、「端成分」は岩石学上の用語であり、固溶体の組成の極限をなす成分を意味する。
一般式(1)におけるMに包含されるカルシウム(Ca)は、当該カルシウム以外の二価のイオンとなり得る元素で部分置換し得る。すなわち、一般式(1)におけるMは、Caと、アルカリ土類金属、Fe(II)、Mn、Zn、Cd、Co及びCuからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素とを含有するものであってもよい。また、アルカリ土類金属としては、特にMg、Sr及びBaが好ましい。
なお、本実施形態に係る無機酸化物を高効率蛍光体としての用途に供する場合には、一般式(1)におけるMは、Caと、アルカリ土類金属、Mn及びZnからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素とを含有するものであることが特に好ましい。
本実施形態の無機酸化物において、カルシウム(Ca)が一般式(1)中のMの過半数を占めることが好ましい。ここで、Mの過半数をCaで占めるとは、Mを占める原子群の中の過半数をCa原子が占めることを意味する。このような組成にすると、より高効率の蛍光体の母体又は蛍光体自体として機能し得る。なおMは、カルシウムのみで占められていてもよい。
また、一般式(1)におけるLnは、例えば、セリウム(Ce)、ユーロピウム(Eu)、あるいはテルビウム(Tb)を含有するものとすることができる。ここで、セリウムやユーロピウムやテルビウムは、これら希土類元素以外の三価のイオンとなり得る元素、特に他の希土類元素で部分置換し得るものである。三価のイオンとなり得る元素としては、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、In、Sb、Biなどが挙げられる。好ましくは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一つである。
なお、本実施形態に係る無機酸化物を高効率蛍光体としての用途に供する場合には、一般式(1)におけるLnは、Ce、Pr、Eu及びTbからなる群より選ばれる少なくとも一つの希土類元素を含有するものであることが好ましい。さらに、Lnは、Ce、Eu及びTbからなる群より選ばれる少なくとも一つの希土類元素と、Y、La、Gd及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一つの希土類元素とを含有することがより好ましい。このような構成とする場合、Ln自体が発光中心を含むことになるため、より高効率の蛍光体として機能し得る。なおLnは、セリウム、ユーロピウム、テルビウムのいずれかのみで占められていてもよい。
一般式(1)中のXとして包含され得るジルコニウム(Zr)及びハフニウム(Hf)は、これらの元素以外の四価イオンとなり得る元素で部分置換し得るものである。四価のイオンとなり得る元素としては、Si、Ge、Ti、Sn及びPbなどが挙げられるが、好ましくはSnである。そのため、一般式(1)におけるXは、Zr及びHfの少なくともいずれか一方と、Si、Ge、Ti、Sn及びPbからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素とを含有するものであってもよい。
なお、本実施形態に係る無機酸化物を高効率蛍光体としての用途に供する場合には、一般式(1)中のXを次のようにすることが特に好ましい。すなわち、Xは、Zr及びHfの少なくともいずれか一方と、Si、Ge、Ti及びSnからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素とを含有するものであることが好ましい。
また、上記無機酸化物において、一般式(1)におけるXの過半数をジルコニウム(Zr)及び/又はハフニウム(Hf)で占めることが好ましい。ここで、Xの過半数をZr及び/又はHfで占めるとは、Xを占める原子群の中の過半数をZr原子及び/又はHf原子が占めることを意味する。このような組成にすると、より高効率の蛍光体の母体又は蛍光体自体として機能し得る。なおXは、Zr及び/又はHfのみで占められていてもよい。
本実施形態の無機酸化物と類質同像の化合物については、優れた蛍光特性を付与する上で好ましい態様として、一般式(1A)で示される化合物が例示される。
2+xLn1−x(AlO3−x(SiO
一般式(1A)中のM、Ln、X及びxについては、それぞれ一般式(1)中のM、Ln、X及びxに対応する。すなわち、Mは、Caを含有する。そして、Lnは、原子番号21,39,49,51,57〜60,62〜71及び83の元素からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含有する。さらに、Xは、Zr及びHfの少なくともいずれか一方を含有する。また、xは、0<x<1を満足する数値である。
そして、上記類質同像の化合物の具体例としては、Ca2+x(Y,Ce)1−xZr(AlO3−x(SiO、Ca2+x(Y,Eu)1−xZr(AlO3−x(SiOが挙げられる。また、Ca2+x(Y,Tb)1−xZr(AlO3−x(SiO、Ca2+x(La,Ce)1−xZr(AlO3−x(SiO、Ca2+x(Gd,Ce)1−xZr(AlO3−x(SiOが挙げられる。そして、Ca2+x(Lu,Ce)1−xZr(AlO3−x(SiO、Ca2+xCe1−xZr(AlO3−x(SiO、Ca2+xTb1−xZr(AlO3−x(SiOが挙げられる。さらに、Ca2+xEu1−xZr(AlO3−x(SiO、Ca2+x(Tb,Ce)1−xZr(AlO3−x(SiO、Ca2+x(Ce,Pr)1−xZr(AlO3−x(SiOが挙げられる。このほか、Ca2+x(Tb,Ce,Eu)1−xZr(AlO3−x(SiO、Ca2+x(Y,Ce)1−xHf(AlO3−x(SiOが挙げられる。さらに、Ca2+x(Y,Ce)1−x(Zr,Hf)(AlO3−x(SiO、(Ca,Mg)2+x(Y,Ce)1−xZr(AlO3−x(SiOが挙げられる。そして、(Ca,Sr)2+x(Y,Ce)1−xZr(AlO3−x(SiO、(Ca,Ba)2+x(Y,Ce)1−xZr(AlO3−x(SiOが挙げられる。また、(Ca,Mn)2+x(Y,Ce)1−xZr(AlO3−x(SiOなども挙げることができる。なお、上記具体例におけるxの値は、柘榴石型構造を損ねない組成物となる範囲の数値とするべく、例えば、0.1、0.2、0.25、0.4、0.5、0.6、0.75などから適宜選択することができる。
本実施形態の無機酸化物は、一般式(1)で表される複合化合物と固溶し、かつ、複合化合物とは組成が異なる化合物と固溶体を形成してもよい。そして、この固溶体は、本実施形態の無機酸化物と同様に柘榴石型構造であることが好ましい。このような固溶体も優れた蛍光特性を持つアルミニウムガーネットタイプの蛍光体となり得る。
なお、無機酸化物を蛍光体として機能させるためには、少なくとも蛍光を放つイオンを固溶体中に含んでいればよい。例えば、Ceを発光中心として機能させるためには、少なくともCe3+を含んでいればよい。例えば、固溶体1モル中におけるCeのモル数は、0.001モル以上0.3モル未満とすることが好ましい。また、Euを発光中心として機能させるためには、少なくともEuを含んでいればよい。例えば、固溶体1モル中におけるEuのモル数は、0.001モル以上1モル以下とすることが好ましい。また、Tbを発光中心として機能させるためには、少なくともTb3+を含んでいればよい。例えば、固溶体1モル中におけるTbのモル数は、0.001モル以上0.3モル未満とすることが好ましい。
ここで、上記複合化合物に被固溶する化合物としては、柘榴石の結晶構造を持つ化合物が好ましく、特に上記無機酸化物と類質同像の化合物であることがより好ましい。これにより、上記化合物の持つ性質が上記複合化合物と類似することとなるため、柘榴石の結晶構造を持つ本実施形態の固溶体を容易に形成することが可能となる。
上述のように、天然の柘榴石は、通常、端成分となる複数種の柘榴石の固溶体として存在することが知られている。例えば、本実施形態の無機酸化物においては、化合物CaLn’X(AlOと、化合物CaX’(AlO(SiO)とは、端成分とみなすことができる。そのため、上記複合化合物と、当該複合化合物とは別の柘榴石構造を持ち、かつ、端成分となり得る化合物とから形成される固溶体としては、数多くの種類を得ることが可能である。
そして、上述のように、本実施形態の固溶体も柘榴石型構造であることから、当該固溶体は、一般式(3)で示される組成を有するものとして表されることが好ましい。
(EG (3)
一般式(3)中のAに相当する元素は、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属及び希土類元素からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素である。また、Aに相当する元素は、二価又は三価のイオンとなり得る元素と部分置換することができる。さらに、Aに相当する元素は、二価又は三価のイオンとなり得る元素以外の元素とも置換することができる。Aに相当する元素と部分置換できる元素としては、一般式(1)中の元素X及び(AlO)四面体以外の四面体の少なくともいずれか一方による電荷補償を伴いながら、一価〜三価のイオンとなり得る元素が好ましい。加えて、イオン半径が0.6Å以上1.7Å未満、特に0.8Å以上1.4Å未満である元素が好ましい。
Aに相当する元素と部分置換でき、イオン半径が0.6Å以上1.7Å未満となる元素としては、Li、Na、K、Rb及びCsなどのアルカリ金属、並びにMg、Ca、Sr及びBaなどのアルカリ土類金属を挙げることができる。さらに、このような元素としては、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Gd、Tb,Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuなどの希土類元素、並びにMn、Fe、Co、Cu及びZnなどの遷移金属元素も挙げられる。なお、本明細書において、「イオン半径」はAhrensのイオン半径を意味する。
一般式(3)中のDに相当する元素は、一般式(1)中の元素Xである。上述のように、元素XはZr及びHfの少なくともいずれか一方を含有する。そして、Dに相当する元素は、四価のイオンとなり得る元素と部分置換することができる。さらにDに相当する元素は、四価のイオンとなり得る元素以外の元素とも置換することができる。Dに相当する元素と部分置換できる元素としては、上記したDに相当する元素及び(AlO)四面体以外の四面体の少なくともいずれかによる電荷補償を伴いながら、二価又は三価のイオンとなり得る元素が好ましい。加えて、イオン半径が0.4Å以上0.95Å未満、特に0.5Å以上0.8Å未満である元素が好ましい。
イオン半径が0.4Å以上0.95Å未満となる元素としては、Mg、Sc及びYなどの希土類元素、並びにTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga及びInなどの遷移金属や典型元素金属が挙げられる。
一般式(3)中の四面体(EG)に相当するのが、一般式(1)で示される無機酸化物中の(AlO)四面体又は(SiO)四面体である。そして、上記四面体(EG)は、(AlO)四面体や(SiO)四面体以外の四面体と部分置換することができる。上記(AlO)四面体や(SiO)四面体以外の四面体としては、(GeO)、(SiON)、(ZnO)、(FeO)、(VO)及び(PO)などの四面体が挙げられる。そのため、一般式(3)中のEは、Al及びSiと、Zn、Ge及びPから選ばれる少なくとも一つの元素とを含有し、GはOを含有することができる。さらに、GはOのみとすることもできる。なお、固溶体の形態に応じて四面体の価数が、(AlO)四面体の価数、つまりマイナス5価、あるいは、(SiO)四面体の価数、つまりマイナス4価からずれる場合がある。この場合には、Aに相当する元素又は元素Xのいずれかによる電荷補償を伴って固溶体を構成することになる。
なお、一般式(3)で示される固溶体において、A、D及び(EG)の部分置換の目安は、被置換元素1つに対して半数以下であることが好ましく、また(AlO)四面体と(SiO)四面体の総数に対して半数以下であることが好ましい。つまり言い換えると、固溶体において、一般式(3)におけるAの過半数を元素A中の元素で占めることが好ましい。また固溶体において、一般式(3)におけるDの過半数を元素Xで占めることが好ましい。さらに固溶体において、一般式(3)における(EG)の過半数を(AlO)と(SiO)で占めることが好ましい。
このように、本実施形態に係る無機酸化物は、上記複合化合物と類質同像の化合物と固溶体を形成することが可能である。そして、上述のように、無機酸化物を蛍光体として機能させるためには、少なくとも蛍光を放つイオンを固溶体中に含んでいればよい。
本実施形態において、上記複合化合物と固溶体を形成する化合物としては、YAl(AlO、TbAl(AlO、YGa(AlO、CaYZr(AlO、CaYHf(AlOを挙げることができる。また、CaLaZr(AlO、CaLuZr(AlO、CaLuHf(AlO、CaYSn(AlOを挙げることができる。そして、CaLaSn(AlO、CaTbZr(AlO、CaEuZr(AlOなどを挙げることができる。ただし、固溶体を形成する化合物はこれらに限定されるものではない。
本実施形態において、上記固溶体は、上述の元素の他に、H、B、C、S、F及びClからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含有してもよい。また、本実施形態における固溶体は、窒素を含有してもよい。つまり、一般式(3)中の四面体(EG)における元素Gは酸素の他に窒素を含有し、固溶体が酸窒化物であってもよい。
本実施形態の無機酸化物の形状は、特に限定されるものではない。つまり、従来のYAGなどと同様に、単結晶、薄膜状、厚膜状、塊状、粒状、粉末状、ナノ粒子状、セラミックス状、透光性セラミックス状など、様々な形状の化合物とすることが可能である。また、本実施形態の無機酸化物は、天然の柘榴石同様に、人造宝石や研磨剤、セラミックス材料や電子材料など新しい工業材料として多岐に亘る用途に利用することが可能である。
本実施形態の無機酸化物は、公知の手法により製造することが可能である。具体的には、YAGと同様に、公知の固相反応を用いて合成することができる。
まず、普遍的なセラミックス原料粉末である希土類酸化物(Sc、Y、La、CeO、Pr11、Eu、Tb、Lu)を準備する。さらに、アルカリ土類炭酸塩(basic−MgCO、CaCO、SrCO、BaCO)、Al、SiO、Ga、ZrO、HfOを準備する。次に、所望の無機化合物の化学量論的組成又はこれに近い組成となるように原料粉末を調合し、乳鉢やボールミルなどを用いて十分に混合する。その後、アルミナるつぼなどの焼成容器を用いて、電気炉などにより混合原料を焼成することで、本実施形態の無機酸化物を調製することができる。なお、混合原料を焼成する際には、大気中又は弱還元雰囲気下、1500〜1700℃の焼成温度にて数時間加熱することが好ましい。
[アルミニウムガーネットタイプ蛍光体]
次に、本発明の実施形態に係るアルミニウムガーネットタイプの蛍光体を説明する。
本実施形態に係る蛍光体は、結晶構造が柘榴石型構造である無機酸化物を含有する。そして、上記無機酸化物は、化合物CaLn’X(AlOと、化合物CaX’(AlO(SiO)とを少なくとも端成分としてなる固溶体である。また、上記Ln’は、原子番号21、39、57〜60、62〜71の元素から選ばれるいずれかの希土類元素であり、上記X’は、Zr及びHfのいずれかであり、上記固溶体は蛍光成分を放出する。
本実施形態において、上記無機酸化物は、一般式(1)で示される組成を有し、結晶構造が柘榴石型構造の複合化合物であることが好ましい。特にMがCaとなる場合を示す、一般式(2)で示される組成の化合物であることが好ましい。つまり、本実施形態に係る蛍光体は固溶体としての上記複合化合物が、モル割合として過半数を占めることが好ましい。さらに、一般式(2)で示される組成を有することが好ましい。また、これらの無機酸化物のみからなることも好ましい。
そして、上記無機酸化物は、蛍光成分を放出する発光中心としてのイオンを含む。その詳細は、後述する。
上記蛍光体は、上記無機酸化物を結晶の主骨格としてなることが好ましい。つまり、上述の無機酸化物は、後述するように発光中心となるイオンを含むことによって無機酸化物自体が蛍光を放つ機能を有する。そのため、本実施形態の蛍光体は、発光中心となるイオンを含む当該無機酸化物の性質を専ら利用するものである。換言すると、本実施形態の蛍光体は、上記無機酸化物を主体にしてなり、蛍光を放つ化合物である。
一般に蛍光体は、化合物の結晶を構成する元素の一部を、蛍光を放つ特性を持つイオンとなり得る元素で置換した化合物を指す。このような特性を持つイオンは、通常「発光中心」と呼ばれる。そして、本実施形態の無機酸化物は、少なくともカルシウム(Ca)と、希土類と、ジルコニウム(Zr)及び/又はハフニウム(Hf)と、アルミニウム(Al)と、酸素(O)と、発光中心となるイオンとを結晶の構成元素として含むことが好ましい。
本実施形態に係る蛍光体において、上記無機酸化物は、蛍光体の発光中心として機能するCe3+、Eu3+又はTb3+のいずれかのイオンを少なくとも含むことが特に好ましい。
例えば、Ceは、発光中心としてのCe3+を形成し得る元素である。また、発光中心のCe3+は、母体となる化合物の種類によって、青、緑、黄あるいは赤といった、様々な発光色の蛍光を放つ発光中心として知られる。そのため、Ce3+を含む本実施形態の無機酸化物は、Ce3+による蛍光を放つ機能を有している。つまり、本実施形態の蛍光体は、少なくともCe3+が発光中心となり、Ce3+が蛍光成分を放つ特性を有するものとすることができる。
そして、本実施形態によれば、Ce3+による発光の発光ピーク波長は、490nmよりも短波長、とりわけ485nmよりも短波長側に位置する発光特性を示すことができる。この発光ピーク波長で示される発光特性については、従来の報告例を参照しても、柘榴石型構造を有するCe3+付活蛍光体の中で最も短波長ということができる。
また、例えば、Euは、赤色光を放つ発光中心として知られるEu3+を形成し得る元素である。またEu3+は、高濃度にしても消光しにくく、濃度消光の小さな発光中心として知られるイオンである。そのため、本実施形態の無機酸化物は、Eu3+による蛍光を放つ機能を有している。つまり、本実施形態の蛍光体は、少なくともEu3+が発光中心となり、Eu3+が蛍光成分を放つ特性を有するものとすることができる。
そして、本発明の蛍光体によれば、Eu3+による発光は、輝線状の複数の蛍光成分を放出する。さらに、当該蛍光成分の主輝線は600nm以上628nm未満の波長範囲内にあり、700nm以上720nm未満の波長範囲内にある輝線の最大高さは、上記主輝線の最大高さの60%未満、好ましくは40%未満、特に38%以下である。
なお、従来より発光装置用として広く利用され、Eu3+を付活した赤色蛍光体としては、Y:Eu3+、YS:Eu3+、YVO:Eu3+、Y(P,V)O:Eu3+、(Y,Gd)BO:Eu3+などが存在する。また、これ以外にも、YSiO:Eu3+、YAl(AlO:Eu3+などが知られている。とりわけ、Y:Eu3+、YS:Eu3+、YVO:Eu3+、Y(P,V)O:Eu3+は、色純度の面で良好な赤色光を放つ赤色蛍光体である。そして、本実施形態の蛍光体におけるEu3+が発光中心として機能する場合には、従来のYS:Eu3+赤色蛍光体やY(P,V)O:Eu3+赤色蛍光体などと同等の発光スペクトルを有する赤色蛍光体を実現することが可能となる。
例えば、Tbは、緑色光を放つ発光中心として知られるTb3+を形成し得る元素である。また、Tb3+も、Eu3+と同様に高濃度にしても消光しにくく、濃度消光の小さな発光中心として知られるイオンである。本実施形態の無機酸化物は、Tb3+による蛍光を放つ機能を付与することができる。つまり、本実施形態の蛍光体は、少なくともTb3+が発光中心となり、Tb3+が蛍光成分を放つ特性を有するものとすることができる。
そして、本発明の蛍光体によれば、Tb3+による発光は、輝線状の複数の蛍光成分を放出する。さらに、当該蛍光成分の主輝線は波長530nm以上560nm未満の範囲内にあり、主輝線の半値幅は3nm以上30nm未満である。そして、Ce3+を共付活することによって、短波長可視光での励起ができるようになる。なお、上記短波長可視光は、紫色光又は青色光を指すことと定義する。そして、上記紫色光と青色光は、各々、380nm以上420nm未満の光と420nm以上470nm未満の光を指すことと定義する。
上記以外にも、後述の多くのイオンが発光中心として機能する。
このように、本実施形態の無機酸化物は、それ自体が少なからず蛍光を放つ機能を備えている。しかしながら、より高効率の蛍光体を得る観点から、次のように改変することが好ましい。
例えば、Fe、Co、Ni、V、Cu、Cr及びTiなどの遷移金属は、蛍光体の発光強度の低下を誘引するイオンを形成する元素として知られている。そして、このようなイオンは通常キラーセンターと呼ばれている。そのため、本実施形態の蛍光体では、これら遷移金属を可能な限り含まないことが好ましい。
また、本実施形態の蛍光体は、上記無機酸化物に発光中心となるイオンをある程度含有することがより好ましい。具体的には、発光中心となるイオンの含有量は、蛍光体1モルあたり、0.003モル以上1モル未満であることが望ましい。
本実施形態において、上記無機酸化物及びそれを含有する固溶体は、例えば、発光中心としてのCe3+、Eu3+又はTb3+を形成する、Ce、Eu又はTbを少なくとも含むものであることが好ましい。ただし、蛍光体をより高効率に発光させるには、Ce3+、Eu3+又はTb3+のいずれかに加え、他の発光中心を添加することも好ましい。また、仮にCe3+、Eu3+又はTb3+による蛍光を放射しない場合であっても、Ce3+、Eu3+又はTb3+以外の発光中心イオンが蛍光を放つものであればよい。
Ce3+、Eu3+又はTb3+以外の発光中心としては、蛍光体の母体として機能する化合物、すなわち上記無機酸化物の結晶中で、電子エネルギー遷移によって蛍光を放ち得るイオンであればよい。具体的には、ns形イオン発光中心と呼ばれるSn2+、Sb3+、Tl、Pb2+及びBi3+や、遷移金属イオン発光中心と呼ばれるCr3+,Mn4+,Mn2+及びFe3+の少なくとも一つを使用することが好ましい。また、希土類イオン発光中心と呼ばれるCe3+、Pr3+、Nd3+、Sm3+、Eu3+、Tb3+、Gd3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+、Sm2+、Eu2+及びYb2+の少なくとも一つを使用することも好ましい。
なお、本実施形態の蛍光体における発光中心は、Ce3+、Eu3+、Pr3+、Tb3+、Mn4+、Mn2+から選ばれる少なくとも一つのイオンであることがより好ましい。この場合、用途が多い可視光成分、すなわち青、青緑、緑、黄、橙、赤、白を放つ蛍光体を得ることが可能となる。発光中心は、Ce3+、Eu3+、Pr3+、Tb3+、Mn2+から選ばれる少なくとも一つのイオンであることが特に好ましい。この場合、表示装置や照明装置用としての用途がより多い、青緑色光、緑色光、橙色光、赤色光又は白色光を放つ蛍光体を得ることが可能となる。
上述のように、本実施形態の蛍光体においては、Ce3+、Eu3+又はTb3+のいずれかだけでなく、これらとは別の発光中心を含むこともできる。特に、Ce3+、Pr3+、Eu3+、Tb3+及びMn2+から選ばれる少なくとも一つのイオンを共付活剤として含むことが好ましい。例えば、Ce3+は発光中心として作用するだけでなく、上記無機酸化物の結晶格子中に存在する場合、短波長可視光を吸収する機能も持つ。そのため、本実施形態の蛍光体では、少なくともCe3+を含ませることも好ましい。これにより、少なくとも短波長可視光をCe3+が吸収するため、短波長可視光を吸収する蛍光体にすることが可能となる。
また、Ce3+はTb3+の増感剤としても作用し、輝線状の緑色成分を持つTb3+の発光強度を増加させることができる。そのため、本実施形態の蛍光体では、Ce3+だけでなく、Tb3+を含ませることも好ましい。これにより、Ce3+だけでなく、Tb3+の発光成分も放つ蛍光体を得ることが可能となる。つまり、短波長可視光を吸収する性質と、Tb3+による輝線状の緑色光とを放つ性質とを併せ持つ蛍光体にすることが可能となる。
さらに、Ce3+はPr3+の増感剤としても作用し、輝線状の赤色成分を持つPr3+の発光強度を増すことができる。そのため、本実施形態の蛍光体では、Ce3+だけでなく、Pr3+を含ませることも好ましい。これにより、Ce3+だけでなく、Pr3+の発光成分も放つ蛍光体を得ることが可能となる。つまり、短波長可視光を吸収する性質と、Pr3+による輝線状の赤色光とを放つ性質とを併せ持つ蛍光体にすることが可能となる。
さらに、Ce3+はMn2+の増感剤としても作用し、スペクトル幅の広い橙色成分を持つMn2+の発光強度を増すことができる。そのため、本実施形態の蛍光体では、Ce3+だけでなく、Mn2+を含ませることも好ましい。これにより、Ce3+だけでなくMn2+の発光成分も放つ蛍光体を得ることが可能となる。
一方で、Tb3+とは別の発光中心として、Eu3+を含ませることも好ましい。これにより、Tb3+が放つ緑色輝線とEu3+が放つ赤色輝線とを併せ持つ光成分を放つ蛍光体にすることができる。Tb3+とEu3+だけでなく、さらにCe3+も含ませた場合には、Ce3+が吸収した光エネルギーを効率よくTb3+に移動させるため、短波長可視光を少なくとも緑色輝線に波長変換することができる蛍光体を得ることができる。また、Tb3+に移動した光エネルギーのEu3+への移動も期待できる蛍光体を得ることができる。
本実施形態に係る蛍光体は、柘榴石型の結晶構造であり、化合物CaLn’X(AlOと、化合物CaX’(AlO(SiO)とを少なくとも端成分としてなる固溶体の無機酸化物に、上述の発光中心を含有することが好ましい。これにより、上記無機酸化物は、外部刺激、例えば粒子線(α線、β線、電子線)や電磁波(γ線、X線、真空紫外線、紫外線、可視光線)の照射などによって容易に励起され、蛍光を放つことが可能となる。なお、本実施形態の蛍光体から放出される蛍光は、紫外線、可視光線及び赤外線から選ばれるいずれかの電磁波であれは、後述する発光装置用として用いることができるが、実用面で好ましい蛍光は可視光である。放出される蛍光が可視光であれば、表示装置や照明装置用の発光装置として広範囲に利用できるものになる。
また、本実施形態における蛍光体は、希土類元素として、結晶格子中にCe、Pr、Eu、Tb、Mnを含むことが好ましい。これにより、蛍光体を励起した場合、Ce3+、Pr3+、Eu3+、Tb3+及びMn2+の少なくとも一つの発光成分を有する光を放つ蛍光体を得ることができる。その結果、本実施形態の蛍光体では、発光色の色調を任意に制御することが可能となる。なお、イオン半径の類似性から、Ce、Pr、Eu又はTb以外の希土類元素として、結晶格子中にY、La、Gdを含むことも好ましい。これにより、色調が微妙に異なる光放射が期待できる蛍光体になる。
なお、蛍光体となる無機酸化物1モルあたり、Ce、Pr、Eu又はTbのモル数は、例えば0.001モル以上1モル未満の原子数である。そして、上記共付活剤として蛍光体中に含ませる元素のモル数は、上記無機酸化物のモル数よりも少なく、無機酸化物1モルあたり、0.001モル以上0.3モル未満であることが好ましい。
例えば、本実施形態のCe3+付活蛍光体は、放出する光の発光スペクトルが460nm以上490nm未満、特に460nm以上485nm未満の範囲内に最大値(最大強度)を持つことが好ましい。このような緑青光又は青緑光は、演色性評価数など、照らされたものの見え方を大きく改善する照明光の形成に寄与することができる。また、光の見た目の明るさは視感度に依存する。ここで、人の目の明所における視感度は555nmに最大値を持ち、暗所における視感度は507nmに最大値を持つ。そして、光のエネルギー強度が等しい場合でも、上記範囲内にある青色光や緑青色光は、明所において相対的に明るく感じることができる青色系光であり、さらに暗所において視認性のよい光ということができる。そのため、この範囲内に最大値を持つことにより、明所においても暗所においても視認性のよい青色系光を放つ蛍光体を得ることができる。
また、例えば、本実施形態のEu3+付活蛍光体は、放出する光の発光スペクトルが600nm以上628nm未満、特に605nm以上620nm未満の範囲内に最大値(最大強度、主輝線)を持つことが好ましい。上述したように、光の見た目の明るさは視感度に依存し、人の目の明所における視感度は555nmに最大値を持つ。そして、光のエネルギー強度が等しい場合でも、上記範囲内にある赤色光は相対的に明るく感じることから、この範囲内に最大値を持つことにより視認性のよい蛍光体を得ることができる。
なお、Eu3+の発光成分は複数の輝線からなる。Eu3+の代表的な輝線は、600nm以上628nm未満の波長領域内に位置する赤色輝線、580nm以上595nm未満の波長領域内に位置する橙色輝線、700nm以上720nm未満の波長領域内に位置する近赤外輝線の三つである。そして、Eu3+の周囲の陰イオンが、Eu3+に対して対称性を持たない配置となる場合には、上記橙色輝線と近赤外輝線の強度が、赤色輝線の強度に対して相対的に小さくなる。そのため、Eu3+が放つ赤色光の色純度がよくなる。したがって、本実施形態の蛍光体は、Eu3+の周囲の陰イオンが、Eu3+に対して対称性を持たない配置となっている無機酸化物を含有することが好ましい。
さらに、本実施形態の蛍光体は、600nm以上628nm未満の範囲内における発光スペクトルの半値幅(FWHM)が、1nm以上10nm未満であることが好ましい。特に、600nm以上628nm未満の範囲内における発光スペクトルの1/5スペクトル幅が、1nm以上10nm未満であることがより好ましく、1/10スペクトル幅が1nm以上20nm未満であることが特に好ましい。また、当該蛍光体は、600nm以上628nm未満の範囲内における発光スペクトルの1/5スペクトル幅又は1/10スペクトル幅が、3nm以上10nm未満であることが最も好ましい。言い換えると、本実施形態の蛍光体は、600nm以上628nm未満の波長範囲内に蛍光成分の主輝線を有し、当該主輝線からなる発光スペクトルの半値幅が、1nm以上10nm未満であることが好ましい。特に、主輝線からなる発光スペクトルの1/5スペクトル幅が、1nm以上10nm未満であることがより好ましく、1/10スペクトル幅が1nm以上20nm未満であることが特に好ましい。また、当該蛍光体は、主輝線からなる発光スペクトルの1/5スペクトル幅又は1/10スペクトル幅が、3nm以上10nm未満であることが最も好ましい。このような発光スペクトルは、輝線状の赤色光成分を有するものであり、赤色の波長領域において視感度の高い領域に光成分が集中している。そのため、このような蛍光体は、赤色の色純度が良好で明るさが際立つ光成分を放つことが可能となる。なお、1/5スペクトル幅及び1/10スペクトル幅は、発光スペクトルの強度最大値を1として、その強度が、各々1/5及び1/10の強度となる位置における上記発光スペクトルの幅を指す。
さらに、本実施形態の蛍光体の発光スペクトルは、波長700nm以上720nm未満の波長範囲にある副輝線の最大強度が、上記主輝線の最大強度の60%よりも小さく、さらに40%よりも小さく、特に38%よりも小さいという特性を有する。
なお、本実施形態の蛍光体は、水及び有機溶剤などの溶媒や樹脂、水ガラスなどと適宜混合して、スラリー状、ペースト状、ゾル状、ゲル状としたものとして利用することができる。
上述のように、柘榴石型構造である従来のEu3+付活蛍光体は、色調が良好な赤色光を放たないものである。しかし、本実施形態の蛍光体において、柘榴石型構造の結晶格子に含まれるEu3+イオンは、色純度の観点から従来の報告例と比べると、特に良好な赤色の蛍光を放つものと評価することができる。
[発光装置]
次に、本発明の実施形態に係る発光装置を説明する。本実施形態の発光装置は、上記蛍光体を備えることを特徴とする。上述のように、本実施形態の蛍光体は、色調が良好な蛍光成分を放出することができる。例えば、Ce3+による、460nm以上490nm未満の波長範囲内に発光ピークを持つブロードな緑青光又は青緑光を放出することができる。また、Eu3+による、色純度が良好であり、かつ、狭帯域性の赤色光を放出することができる。さらに、Tb3+による、狭帯域性の緑色光を放出することができる。つまり、本実施形態の発光装置においては、上記蛍光体と当該蛍光体を励起する励起源とを組み合わせることにより、色調が良好な蛍光成分を提供することができる。例えば、ブロードな緑青光又は青緑光や、狭帯域性の発光スペクトル成分を持つ赤色光や、狭帯域性の発光スペクトル成分を持つ緑色光を出力することが可能となる。
なお、本実施形態の発光装置は、発光する機能を備えた電子装置を広く包含するものであり、何らかの光を発する電子装置であれば特に限定されるものではない。つまり、本実施形態の発光装置は、少なくとも本実施形態の蛍光体を利用しており、さらに当該蛍光体が放つ蛍光を少なくとも出力光として利用する発光装置である。
より詳細に説明すると、本実施形態の発光装置は、上記蛍光体と当該蛍光体を励起するための励起源とを組み合わせている。そして、上記蛍光体は、上記励起源が放つエネルギーを吸収し、吸収したエネルギーを狭帯域性の赤色光に変換するものである。なお、励起源は、上記蛍光体の励起特性に合わせて、放電装置、電子銃、固体発光素子などから適宜選択すればよい。
また、蛍光体の発光スペクトルは、Ce3+、Eu3+又はTb3+のいずれかの電子エネルギー遷移に由来するスペクトル成分を含むことが好ましい。
少なくともCe3+で付活した蛍光体の発光スペクトルは、460nm以上490nm未満の波長範囲内に発光ピークを持つ。そして、460nm以上485nm未満、特に460nm以上480nm未満の波長範囲内に発光ピークを持つことが好ましい。なお、Ce3+の電子エネルギー遷移は、Ce3+の5f電子状態から4f電子状態(5/27/2)へのエネルギー遷移をいう。
また、少なくともEu3+で付活した蛍光体の発光スペクトルは、波長600nm以上628nm未満の範囲にあるスペクトル成分の半値幅、好ましくは1/5スペクトル幅、より好ましくは1/10スペクトル幅が1nm以上10nm未満である。そして、700nm以上720nm未満の発光スペクトル成分の最大強度が、600nm以上628nm未満の範囲にあるスペクトル成分の最大強度の60%、好ましくは40%、さらに好ましくは38%よりも小さいことが好ましい。なお、上記Eu3+の電子エネルギー遷移は、Eu3+の4f電子による遷移をいう。
また、少なくともTb3+で付活した蛍光体の発光スペクトルは、輝線状の複数の蛍光成分を放出し、当該蛍光成分の主輝線は波長530nm以上560nm未満の範囲内にあり、主輝線の半値幅は3nm以上30nm未満である。なお、Tb3+の電子エネルギー遷移は、Tb3+の4f電子による遷移をいう。
従来より、蛍光体を利用する発光装置は数多くあり、例えば蛍光灯や電子管、プラズマディスプレイパネル(PDP)、白色LED、さらには蛍光体を利用する検出装置などがこれに該当する。広義には、蛍光体を利用する照明光源や照明装置、表示装置なども発光装置であり、レーザーダイオードを備えるプロジェクターやLEDバックライトを備える液晶ディスプレイなども発光装置とみなされる。ここで、本実施形態の発光装置は、蛍光体が放つ蛍光の種別によって分類できるため、この分類について説明する。
電子装置に利用される蛍光現象は、学術的に幾つかに区分されており、フォトルミネッセンス、カソードルミネッセンス、エレクトロルミネッセンスなどの用語で区別されている。
フォトルミネッセンス(photoluminescence)とは、蛍光体に電磁波を照射したときに蛍光体が放つ蛍光をいう。なお、「電磁波」という用語は、X線、紫外線、可視光及び赤外線などを総称して指す。カソードルミネッセンス(cathodeluminescence)とは、蛍光体に電子線を照射したときに蛍光体が放つ蛍光をいう。また、エレクトロルミネッセンス(electroluminescence)とは、蛍光体に電子を注入したり電界をかけたりしたときに放つ蛍光をいう。原理的にフォトルミネッセンスに近い蛍光として、サーモルミネッセンス(thermoluminescence)という用語もあるが、これは蛍光体に熱を加えたときに蛍光体が放つ蛍光をいう。また、原理的にカソードルミネッセンスに近い蛍光として、ラジオルミネッセンス(radioluminescence)という用語もあるが、これは蛍光体に放射線を照射したときに蛍光体が放つ蛍光をいう。
先に説明したように、本実施形態の発光装置は、上述の蛍光体が放つ蛍光を少なくとも出力光として利用するものである。そして、ここでいう蛍光は少なくとも上述のように区分することができるから、当該蛍光は、上記ルミネッセンスから選ばれる少なくとも一つの蛍光現象として置き換えることができる。
なお、蛍光体のフォトルミネッセンスを出力光として利用する発光装置の典型例としては、X線イメージインテンシファイア、蛍光灯、白色LED、蛍光体とレーザーダイオードを利用する半導体レーザープロジェクター及びPDPが挙げられる。また、カソードルミネッセンスを出力光とする発光装置の典型例としては、電子管、蛍光表示管及びフィールドエミッションディスプレイ(FED)が挙げられる。さらに、エレクトロルミネッセンスを出力光とする発光装置の典型例としては、無機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(無機EL)、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)及び有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)が挙げられる。そして、本実施形態の蛍光体からのエレクトロルミネッセンスを利用する発光装置としては、例えば無機エレクトロルミネッセンスディスプレイを挙げることができる。
以下、図面を参考に本実施形態の発光装置を説明する。図1は、本実施形態に係る発光装置の概略を示す。図1(a)及び(b)において、励起源1は、本実施形態の蛍光体2aを励起するための一次光を生成する光源である。励起源1は、α線、β線、電子線などの粒子線や、γ線、X線、真空紫外線、紫外線、可視光(特に紫色光や青色光などの短波長可視光)などの電磁波を放つ放射装置を用いることができる。また励起源1としては、各種の放射線発生装置、電子ビーム放射装置、放電光発生装置、固体発光素子や固体発光装置なども用いることができる。励起源1の代表的なものとしては、電子銃、X線管球、希ガス放電装置、水銀放電装置、発光ダイオード、半導体レーザーを含むレーザー光発生装置、無機又は有機のエレクトロルミネッセンス素子などが挙げられる。
また、図1(a)及び図1(b)において、出力光4は、励起源1が放つ励起線、又は励起光3によって励起された蛍光体2aが放つ蛍光である。そして出力光4は、発光装置において照明光や表示光として利用されるものである。
図1(a)では、励起線又は励起光3を蛍光体2aに照射する方向に、蛍光体2aからの出力光4が放出される構造の発光装置を示す。なお、図1(a)に示す発光装置としては、白色LED光源や蛍光ランプ、電子管などが挙げられる。一方、図1(b)では、励起線又は励起光3を蛍光体2aに照射する方向とは逆の方向に、蛍光体2aからの出力光4が放出される構造の発光装置を示す。図1(b)に示す発光装置としては、プラズマディスプレイ装置や反射板付き蛍光体ホイールを利用する光源装置、プロジェクターなどが挙げられる。
本実施形態の発光装置の具体例として好ましいものは、蛍光体を利用して構成した半導体発光装置、照明光源、照明装置、LEDバックライト付き液晶パネル、LEDプロジェクター、レーザープロジェクターなどである。そして特に好ましい発光装置は、短波長可視光によって蛍光体を励起する構造を持ち、短波長可視光は固体発光素子が放つようにした構造を有するものである。
以下、本実施形態に係る発光装置たる半導体発光装置の具体例を詳細に説明する。図2は、本実施形態に係る発光装置の具体例である半導体発光装置を模式的に示す断面図である。図2は断面図であるが、図面の見易さを考慮して透光性樹脂10の断面を示すハッチングは省略している。
図2において、基板5は、固体発光素子6を固定するための基台となるものである。そして、基板5は、Al及びAlNなどのセラミックス、Al及びCuなどの金属、並びにガラス、シリコーン樹脂及びフィラー入りシリコーン樹脂などの樹脂から構成される。
また、基板5上には配線導体7が設けられ、固体発光素子6の給電電極8と配線導体7とを、金線などを用いて電気的に接続することによって、固体発光素子6に給電している。
一次光を生成する光源である固体発光素子6は、直流、交流及びパルスの中から選ばれる少なくともいずれかの電圧を印加する電力供給によって、電気エネルギーを近紫外線、紫色光又は青色光などの光エネルギーに変換する電光変換素子である。固体発光素子6としては、LED、LD、無機エレクトロルミネッセンス(EL)素子、有機EL素子などを用いることができる。特に、高出力かつ狭スペクトル半値幅の一次光を得るためには、固体発光素子6はLED又はLDが好ましい。なお、図2は、固体発光素子6を、InGaN系化合物を発光層とするLEDとした場合の構成を示している。
波長変換層9は、蛍光物質からなる蛍光体2を含み、固体発光素子6が放つ一次光を、相対的に長波長側に移動した光に波長変換する。また、図2に示すように、波長変換層9は、側壁11により囲まれており、さらに本実施形態に係る蛍光体の粒子が透光性樹脂10中に分散している。なお、本実施形態の半導体発光装置における波長変換層9としては、樹脂蛍光膜、透光性蛍光セラミックス、蛍光ガラスなどに蛍光体を含ませて構成することもできる。
波長変換層9には、蛍光体2として上記実施形態に係る蛍光体を単独で使用することもできるが、必要に応じて、本実施形態に係る蛍光体とは異なる蛍光体を含むようにしてもよい。また、発光色又は組成のいずれかの面で異なる蛍光体を複種類組み合わせて用いるようにしてもよい。
波長変換層9に用いることができる、本実施形態の蛍光体とは異なる蛍光体としては、固体発光素子6が放つ一次光を吸収して相対的に長波長側に移動した光に波長変換する蛍光体であれば、特に限定されない。発光色として、青色光、緑青光、青緑色光、緑色光、黄色光、橙色光、赤色光を放つ各種の蛍光体から適宜選択して、半導体発光装置が所望の色の出力光を放つようにすることができる。
上述のように、固体発光素子6をLED又はLDとした場合の半導体発光装置用の蛍光体としては、Ce3+、Eu3+及びTb3+からなる群より選ばれる少なくとも一つの発光中心で付活した、少なくとも一種類の本実施形態の蛍光体を用いることができる。ただし、蛍光体としては、本実施形態の蛍光体のみならず、例えば、Ce3+、Eu3+、Eu2+、Tb3+、Mn2+の少なくともいずれかで付活した酸化物や酸ハロゲン化物などの酸化物系蛍光体も用いることができる。また、蛍光体としては、Ce3+、Eu3+、Eu2+、Tb3+、Mn2+の少なくともいずれかで付活した窒化物や酸窒化物などの窒化物系蛍光体、又は硫化物や酸硫化物などの硫化物系蛍光体も用いることができる。
具体的には、青色蛍光体として、BaMgAl1017:Eu2+、CaMgSi:Eu2+、BaMgSi:Eu2+、Sr10(POCl:Eu2+などが挙げられる。緑青又は青緑色蛍光体として、SrSiCl:Eu2+、SrAl1424:Eu2+、BaAl13:Eu2+、BaSiO:Eu2+が挙げられる。さらに緑青又は青緑色蛍光体として、BaZrSi:Eu2+、CaYZr(AlO:Ce3+、CaYHf(AlO:Ce3+、CaYZr(AlO:Ce3+,Tb3+が挙げられる。緑色蛍光体として、(Ba,Sr)SiO:Eu2+、CaMg(SiOCl:Eu2+、CaMg(SiOCl:Eu2+,Mn2+、BaMgAl1017:Eu2+,Mn2+が挙げられる。また、緑色蛍光体として、CeMgAl1119:Mn2+、YAl(AlO:Ce3+、LuAl(AlO:Ce3+が挙げられる。また、緑色蛍光体として、YGa(AlO:Ce3+、CaScSi12:Ce3+、CaSc:Ce3+、β−Si:Eu2+、SrSi:Eu2+が挙げられる。緑色蛍光体として、BaSi12:Eu2+、SrSi13Al21:Eu2+、YTbSiC:Ce3+、SrGa:Eu2+が挙げられる。緑色蛍光体として、CaLaZr(AlO:Ce3+、CaTbZr(AlO、CaTbZr(AlO:Ce3+、CaTbZr(AlO:Ce3+,Pr3+が挙げられる。緑色蛍光体として、ZnSiO:Mn2+、MgGa:Mn2+が挙げられる。緑色蛍光体として、LaPO:Ce3+,Tb3+、YSiO:Ce3+,CeMgAl1119:Tb3+、GdMgB10:Ce3+,Tb3+が挙げられる。黄又は橙色蛍光体として、(Sr,Ba)SiO:Eu2+、(Y,Gd)Al12:Ce3+、α−Ca−SiAlON:Eu2+が挙げられる。黄又は橙色蛍光体として、YSiC:Ce3+、LaSi11:Ce3+、YMgAl(AlO(SiO):Ce3+が挙げられる。赤色蛍光体としては、SrSi:Eu2+、CaAlSiN:Eu2+、SrAlSi:Eu2+、CaS:Eu2+、LaS:Eu3+、YMg(AlO)(SiO:Ce3+が挙げられる。また、赤色蛍光体として、Y:Eu3+、YS:Eu3+、Y(P,V)O:Eu3+、YVO:Eu3+が挙げられる。赤色蛍光体として、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn4+、KSiF:Mn4+、GdMgB10:Ce3+,Mn2+、CaEuZr(AlO:Ce3+が挙げられる。また、赤色蛍光体として、Ca(La,Eu)Zr(AlO、Ca(Y,Eu)Zr(AlOが挙げられる。
なお、利用する蛍光体を全て酸化物とすることで、低コストな半導体発光装置を実現することができる。
ここで、図2に示す半導体発光装置の製造方法の一例を説明する。まず、配線導体7を形成した基板5上に実装技術を用いて固体発光素子6を固定する。次に、ワイヤーボンディング技術等を用いて、固体発光素子6の給電電極8と配線導体7とを電気的に接続する。一方で、シリコーン樹脂などの透光性樹脂10と蛍光体2とを十分に混合し、所定の粘度となるように調整した蛍光体ペーストを作製する。蛍光体ペースト中の蛍光体2の重量割合は、数%〜数10%程度となるようにする。その後、固体発光素子6上に蛍光体ペーストを滴下するなどして、固体発光素子6の光取り出し面を蛍光体ペーストで覆って、蛍光体ペーストを乾燥させるなどして固化する。これにより、波長変換層9が形成された半導体発光装置を得ることができる。
このようにして形成された半導体発光装置では、固体発光素子6に通電して所定の電力を供給すると、固体発光素子6が短波長可視光の一次光を発光する。つまり、固体発光素子6は、380nm以上420nm未満の範囲内に発光ピークを有する紫色光、又は420nm以上470nm未満の範囲内に発光ピークを有する青色光を発光する。この一次光は、蛍光体2によって、一次光よりも長波長側(低エネルギー側)に発光ピークを持つ可視光に波長変換される。
一次光は波長変換層9に含まれた蛍光体2に照射され、一部が蛍光体2に吸収される。蛍光体2に吸収された一次光は、蛍光体2によって、相対的に長波長側に移動した光に波長変換される。そして、蛍光体2によって波長変換された波長変換光が透光性樹脂10を通り抜けて半導体発光装置から出射する。一方、蛍光体2に吸収されなかった一次光も、透光性樹脂10を通り抜けて半導体発光装置から出射される。この結果、半導体発光装置からは、蛍光体2による波長変換光と、蛍光体2に吸収されなかった一次光の両方が出射することになる。つまり、半導体発光装置からは、これら双方が加色混合された光成分が出力される。
なお、波長変換層9の厚みや光透過率、波長変換層9に含まれる蛍光体2の種類や混合割合、固体発光素子が放つ一次光の波長などは適宜調整できるものである。そのため、所望する光源色や白色などの照明光が得られるように、光源設計すればよい。なお、一次光が全て蛍光体に吸収されて波長変換される場合もあり、この場合には半導体発光装置からの出射光は蛍光体で波長変換された光のみとなる。
以上説明したように、本実施形態に係る半導体発光装置は、固体発光素子と、当該光を吸収してそれよりも長波長の可視光成分を放つアルミニウムガーネットタイプの蛍光体とを組み合わせている。そのため、可視光であって少なくとも次のいずれかの特性を有する蛍光を放出することができる。まずは、460nm以上490nm未満に発光ピークを有するスペクトル半値幅が70nm以上150nm未満のブロードな青緑色系光成分を挙げることができる。次いで、600nm以上628nm未満に発光ピークを有する、輝線状の赤色光成分を挙げることができる。さらに、530nm以上560nm未満に発光ピークを有する輝線状の緑色光成分を挙げることができる。
上記のブロードな青緑色系光成分は、明所における視感度が高い青色系の光成分割合が多く、暗所における視感度が高い青緑色系の光成分割合も多い。また、上記輝線状の赤色光成分は橙色の光成分割合が少ない一方で、視感度が高い赤色の光成分割合が多い。そして、上記輝線状の緑色光成分は、明所における視感度が高い緑色の光成分割合が多い。そのため、本実施形態の半導体発光装置は高光束の光と高出力の、青緑色光成分、赤色光成分、緑色光成分を放出できる。その結果、照明装置における物の見え方のよさや、表示装置における画素の高輝度化を促すものになる。
なお、本実施形態の半導体発光装置は、照明光源用や液晶ディスプレイのバックライト用、表示装置用の光源など広く利用可能である。つまり上述のように、本実施形態の蛍光体は、従来の柘榴石型構造を持つ蛍光体とは異なり、とりわけ、青緑色系光成分あるいは色純度の良好な輝線状の赤色光成分を持つ光を放つ。そのため、当該蛍光体を照明光源等に用いた場合、高演色性かつ高効率の照明光源や、高輝度画面の広色域表示が可能な表示装置を提供することができる。
このような照明光源としては、本実施形態の半導体発光装置と、当該半導体発光装置を動作させる点灯回路と、口金など照明器具との接続部品とを組み合わせて構成することができる。また、必要に応じて照明器具を組み合わせれば、照明装置や照明システムを構成することにもなる。
表示装置としては、マトリックス状に配置した本実施形態の半導体発光装置と、これら半導体発光装置をON−OFFする信号回路とを組み合わせて構成することができる。また、表示装置としては、LEDバックライト機能付き液晶パネルを挙げることができる。つまり、当該表示装置は、本実施形態の半導体発光装置をライン状又はマトリックス状に配置しバックライトとして利用する。そして、バックライトと、バックライトを点灯する点灯回路又はバックライトをON−OFF制御する制御回路と、液晶パネルとを組み合わせて構成されるものである。
このように、本実施形態の発光装置は、出力光成分の視感度や視認性の面で良好な特性を有するため、上述の半導体発光装置以外にも広く利用することができる。
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
固相反応を利用する調製手法を用いて、実施例及び比較例に係るアルミニウムガーネットタイプの蛍光体を合成し、その特性を評価した。なお、本実施例では、以下の化合物粉末を原料として使用した。
炭酸カルシウム(CaCO):純度2N5、関東化学株式会社製
酸化イットリウム(Y):純度3N、信越化学工業株式会社製
酸化セリウム(CeO):純度4N、信越化学工業株式会社製
酸化ユーロピウム(Eu):純度3N、信越化学工業株式会社製
酸化ジルコニウム(ZrO):純度3N、関東化学株式会社製
酸化アルミニウム(θ−Al):純度4N5、住友化学株式会社製
二酸化珪素(SiO):純度>3N、日本アエロジル株式会社製
より詳細には、原料同士の反応性を高める目的で、上記酸化アルミニウムとしては、住友化学株式会社製のAKP−G008を使用した。また、二酸化珪素として、日本アエロジル社製のAEROSIL200を使用した。
また本実施例では、反応促進剤として、以下の化合物粉末を使用した。
フッ化アルミニウム(AlF):純度3N、株式会社高純度化学研究所製
炭酸カリウム(KCO):純度2N5、関東化学株式会社製
実施例1として、目標とする組成物を、0.75Ca(Y0.92Ce0.08)Zr(AlO・0.25CaZr(AlO(SiO)とした。また、実施例2として、目標とする組成物を、0.75Ca(Y0.92Eu0.08)Zr(AlO・0.25CaZr(AlO(SiO)とした。
まず、表1に示す割合で、各原料及び反応促進剤を秤量した。次に、ボールミルを用いて、これらの原料及び反応促進剤を適量の純水と共に、十分に湿式混合した。そして、混合後の原料を容器に移し、乾燥機を用いて120℃で一晩乾燥させた。乾燥後の混合原料を乳鉢と乳棒を用いて粉砕し、焼成原料とした。その後、焼成原料を蓋付きのアルミナるつぼに移し、箱型電気炉を用いて、1600℃の大気中で4時間焼成した。このようにして、実施例1及び実施例2の化合物を調製した。
Figure 2014210684
比較例1として、公知のYAG:Ce蛍光体(YAl(AlO:Ce3+)としての(Y0.98Ce0.02Al(AlOを、実施例と同様の工程で調製した。そして、YAl(AlO:Eu3+を比較例2とした。また、Y(P,V)O:Eu3+を比較例3とした。そして、YS:Eu3+を比較例4とし、Y:Eu3+を比較例5とした。これら市販の比較例2〜5を入手し、以下の評価を行った。
まず、実施例1及び実施例2の化合物並びにYAGの結晶構造解析を行った。図3は、実施例1及び実施例2の化合物、並びに比較例1たるYAGのX線回折(XRD)パターンを示す。なお、XRDパターンは、X線回折装置(製品名:MultiFlex、株式会社リガク製)を用いて評価した。
図3において、実施例1及び実施例2のXRDパターンを、各々、(a)及び(b)として示す。また、比較例1のXRDパターンを(c)として、PDF(Power Diffraction Files)に登録されているAl12のパターン(PDF No.33−0040)を(d)として示す。
図3を参照し、実施例1の(a)及び実施例2の(b)と、比較例1の(c)及びAl12のパターン(d)とを比較すると次のことがいえる。すなわち、実施例1及び実施例2のXRDパターンは、比較例1としたYAGのXRDパターン及びAl12のパターンと、形状面での特徴が一致している。このように、本実施例の化合物のXRDパターンは、回折ピークの強度比が比較例1及び従来例と異なっているものの、回折ピークの数の過不足が殆ど認められない。また、本実施例のXRDパターンの形状は、比較例1及び従来例のXRDパターンにおける各々の回折ピークが、全体的に低角側に移動した形状となっている。なお、図3では、回折ピークの対応関係を矢印で示した。
このようなXRDパターンの一致は、実施例1及び実施例2の化合物が、YAl(AlOと同じ柘榴石の結晶構造を有する化合物を主体にしてなることを示す。そして、調合割合を考慮すると、実施例1の化合物は、組成物Ca(Y0.92Ce0.08)Zr(AlOと組成物CaZr(AlO(SiO)の固溶体であることが示唆される。そして、0.75Ca(Y0.92Ce0.08)Zr(AlO・0.25CaZr(AlO(SiO)、つまり、Ca2.25(Y0.69Ce0.06)Zr(AlO2。75(SiO0.25で表される化合物であることが示唆される。一方、実施例2の化合物は、組成物Ca(Y0.92Eu0.08)Zr(AlOと組成物CaZr(AlO(SiO)の固溶体であることが示唆される。そして、0.75Ca(Y0.92Eu0.08)Zr(AlO・0.25CaZr(AlO(SiO)、つまり、Ca2.25(Y0.69Eu0.06)Zr(AlO2。75(SiO0.25で表される化合物であることが示唆される。
なお、実施例1の化合物に紫外線(波長365nm)を照射したところ、緑青色の蛍光が目視観察された。つまり、実施例1の化合物は緑青色光を放つ蛍光体であった。
一方、実施例2の化合物に紫外線(波長365nm)を照射したところ、色純度の良好な赤色の蛍光が目視観察された。つまり、実施例の化合物は赤色光を放つ蛍光体であった。
さらに、実施例1及び実施例2の化合物(蛍光体)の励起特性と発光特性を、分光蛍光光度計(FP−6500(製品名:日本分光株式会社製)と、瞬間マルチ測光システム(QE−1100:大塚電子株式会社製)とを併用して評価した。
図4は、実施例1の蛍光体(Ca2.25(Y0.69Ce0.06)Zr(AlO2。75(SiO0.25)での発光スペクトル24aと励起スペクトル25aとを示している。そして、図5は、実施例2の蛍光体(Ca2.25(Y0.69Eu0.06)Zr(AlO2。75(SiO0.25)での発光スペクトル24bと励起スペクトル25bとを示している。また、図6は、比較例1の蛍光体(YAl(AlO:Ce3+)の発光スペクトル24cと励起スペクトル25cと示している。そして、図7は、比較例2の蛍光体(YAl(AlO:Eu3+)の発光スペクトル24dと励起スペクトル25dと示している。
なお、測定精度を高める目的で、発光スペクトル(24a、24b、24c、24d)の測定には瞬間マルチ測光システムを利用し、励起スペクトル(25a、25b、25c、25d)の測定には分光蛍光光度計を利用した。そして、発光スペクトル測定時の励起波長は250nmとし、励起スペクトル測定時のモニタ波長については発光ピーク波長とした。また、図4〜図7において、発光スペクトル及び励起スペクトルは、いずれも最大強度を1として示している。
図4及び図6からわかるように、実施例1の蛍光体の励起スペクトルは、比較例1と同様に、青色の波長領域に励起強度の最大値を持つ。具体的には、実施例1の蛍光体の励起スペクトルは、432nmに励起強度の最大値を持ち、比較例1の蛍光体の励起スペクトルは、458nmに励起強度の最大値を持つ。図4に示す実施例1の蛍光体の励起スペクトルは、図6に示す比較例1の蛍光体の励起スペクトルに似通ったものであり、実施例1の蛍光体は、比較例1と同様に青色光を照射すると強く発光することがわかる。また、実施例1の蛍光体は、比較例1とは異なり、紫色光を照射しても強く発光するという特徴を持つ。
そして、図4及び図6から、実施例1及び比較例1の蛍光体の発光スペクトルは、Ce3+の電子エネルギー遷移に由来するスペクトル成分を含んでいることがわかる。また、実施例1及び比較例1の蛍光体の発光スペクトルは、Ce3+の電子エネルギー遷移に由来する発光スペクトルを主体にしてなる形状である。
そして、図4及び図6からわかるように、比較例1の蛍光体の発光スペクトルが、565nmに発光ピークを持つのに対して、実施例1の蛍光体の発光スペクトルは、480nmに発光ピークを持つ。このことは、比較例1の蛍光体が黄緑色光を放つのに対して、実施例1の蛍光体は緑青色光を放つことを示している。なお、Ce3+で付活された柘榴石型構造の蛍光体が、このような短波長の光(緑青光)を放つという蛍光現象は、従来の報告例にない特異なものであるといえる。
次いで、図4及び図6に関し、300nm以上800nm未満の波長範囲における、励起スペクトルが最大値をとるときの波長と発光スペクトルが最大値をとるときの波長の差に注目する。なお、この差はストークスシフトと呼ばれるものである。ストークスシフトに関して、比較例1の蛍光体が107nmであるのに対して、実施例1の蛍光体は48nmである。実施例1の蛍光体のストークスシフトは、比較例1の蛍光体におけるストークスシフトの半分以下であり、50nmよりも短い。ストークスシフトが小さなCe3+付活蛍光体は、温度消光が小さく耐熱性に優れるため、実施例1の蛍光体は耐熱性に優れる蛍光体であるとみなすことができる。
図5及び図7から推察できるように、実施例2及び比較例2の蛍光体の励起スペクトルは、300nm未満の紫外の波長領域に励起スペクトル強度の最大値を持つものとみなされる。具体的には、実施例2の蛍光体の励起スペクトルも、比較例2の蛍光体の励起スペクトルも250nm未満の波長領域に励起ピークを有すると推察できる。
さらに図5及び図7から、実施例2及び比較例2の蛍光体の発光スペクトルは、Eu3+の電子エネルギー遷移に由来するスペクトル成分を含んでいることがわかる。また、実施例2及び比較例2の蛍光体の発光スペクトルは、Eu3+の電子エネルギー遷移に由来する発光スペクトルを主体にしてなる形状である。参考のために、図8(a)、(b)及び(c)に、それぞれY(P,V)O:Eu3+(比較例3)、YS:Eu3+(比較例4)及びY:Eu3+(比較例5)の発光スペクトルを示す。
図5及び図7を参照して、実施例2の発光スペクトルを評価する。実施例2の発光スペクトルの形状は、高圧水銀灯やカラー電子管で実用化されているY(P,V)O:Eu3+(比較例3、図8(a))、YS:Eu3+(比較例4、図8(b))などの典型的なEu3+付活赤色蛍光体と類似している。そして、図5及び図7より、実施例2の発光スペクトルは、柘榴石型の結晶構造を持つ公知のEu3+付活蛍光体に対して、600nm以上628nm未満の赤色輝線の相対強度が大きいことがわかる。
また、図5より、実施例2の蛍光体の発光スペクトルは、発光ピーク波長が610nmである。さらに、波長600nm以上628nm未満の範囲にあるスペクトル成分の半値幅は、1nm以上10nm未満である。また、この範囲にあるスペクトル成分の1/5スペクトル幅及び1/10スペクトル幅も1nm以上10nm未満である。加えて、700nm以上720nm未満の、視感度が小さく発光装置の性能に対する寄与度が低い遠赤色域のスペクトル成分の最大強度は、600nm以上628nm未満の範囲にあるスペクトル成分の最大強度に対して40%未満の38%以下である。このことは、実施例の蛍光体が、視感度の高い赤色輝線を多く含む赤色光へと波長変換できることを示すものである。
以上のとおり、実施例の蛍光体は、結晶構造が柘榴石型の無機酸化物である。そして、化合物CaYZr(AlOと化合物CaZr(AlO(SiO)とを、少なくとも端成分としてなる固溶体である。さらに、実施例の蛍光体は、次のように表される固溶体である。すなわち、一般式0.75Ca(Y,Ce)Zr(AlO・0.25CaZr(AlO(SiO)又は一般式0.75Ca(Y,Eu)Zr(AlO・0.25CaZr(AlO(SiO)で表される固溶体である。そして、このような実施例の化合物は、蛍光体として機能する人造蛍光鉱物である。
従来、照明光源用として、演色性の良好な照明光を得るために、緑青又は青緑色の光成分が必要とされてきた。一方では、照明光源あるいは表示装置用として、色純度が良好なEu3+の赤色輝線からなる光が最適とされてきた。本実施形態の蛍光体は、緑青若しくは青緑色の光成分を放つ光、又はEu3+の赤色輝線からなるスペクトル形状の光を、材料設計の自由度が高く、多様な元素を用いて構成可能な柘榴石型の結晶構造によって実現できるという優れた効果を示すものである。
以上、本発明を実施例及び比較例によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
本発明の無機酸化物は、柘榴石の結晶構造を持つことから、人造宝石や研磨剤、セラミックス材料、電子材料などに利用できる。また、本発明の蛍光体は、柘榴石型の結晶構造を持つCe3+で付活された蛍光体であるにも関わらず、緑青色の光成分を放射することができる。
さらに、本発明の蛍光体は、Eu3+で付活された蛍光体であるにも関わらず、色純度の良好な狭帯域性の赤色の光成分を放射することができる。また、この蛍光体を用いた発光装置は、照明光源や発光光源、電子機器として有用である。
2、2a 蛍光体

Claims (15)

  1. 結晶構造が柘榴石型である無機酸化物であって、
    前記無機酸化物は、化合物CaLn’X(AlOと、化合物CaX’(AlO(SiO)とを、少なくとも端成分としてなる固溶体であり、
    前記Ln’は、原子番号21,39,57〜60及び62〜71の元素からなる群より選ばれるいずれかの希土類元素であり、
    前記X及びX’は、Zr及びHfのいずれか一方であり、
    前記固溶体は蛍光成分を放出することを特徴とする無機酸化物。
  2. 一般式(1):
    (1−x)MLnX(AlO・xM(AlO(SiO
    (式中、Mは、Caを含有し、Lnは、原子番号21,39,49,51,57〜60,62〜71及び83の元素からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含有し、Xは、Zr及びHfの少なくともいずれか一方を含有し、xは、0<x<1を満足する数値である)で示される複合化合物が、モル割合として過半数を占めることを特徴とする請求項1に記載の無機酸化物。
  3. 前記複合化合物からなることを特徴とする請求項2に記載の無機酸化物。
  4. 前記Mは、Caと、アルカリ土類金属、Fe、Mn、Zn、Cd、Co及びCuからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素とを含有し、
    前記Xは、Zr及びHfの少なくともいずれか一方と、Si、Ge、Ti、Sn及びPbからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素とを含有することを特徴とする請求項2に記載の無機酸化物。
  5. 前記Mは、Caと、アルカリ土類金属、Mn及びZnからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素とを含有し、
    前記Lnは、原子番号21,39,49,57〜60及び62〜71からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含有し、
    前記Xは、Zr及びHfの少なくともいずれか一方と、Si、Ge、Ti及びSnからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素とを含有することを特徴とする請求項2に記載の無機酸化物。
  6. 前記MはCaであり、前記LnはCe、Pr、Eu及びTbからなる群より選ばれる少なくとも一つの希土類元素を含有することを特徴とする請求項2に記載の無機酸化物。
  7. 前記Lnは、Ce、Eu及びTbからなる群より選ばれる少なくとも一つの希土類元素と、Y、La、Gd及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一つの希土類元素と、を含むことを特徴とする請求項6に記載の無機酸化物。
  8. 前記固溶体は、一般式(2):
    (1−x)CaLnX(AlO・xCa(AlO(SiO
    (式中、xは、0<x<1を満足する数値である)で示される組成を有することを特徴とする請求項2に記載の無機酸化物。
  9. 前記固溶体は、一般式(3):
    (EG
    (式中、Aは、Caと、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類元素からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素とを含有し、Dは、前記Xで表される元素と、Mg、Sc、Y、Ti、V、Zr、Hf、Zn、Al、Ga、In、Ge及びSnからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素とを含有し、Eは、Alと、Zn、Si、Ge及びPから選ばれる少なくとも一つの元素とを含有し、GはOを含有する)で示される組成を有することを特徴とする請求項2に記載の無機酸化物。
  10. 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の無機酸化物から構成されることを特徴とする蛍光体。
  11. 前記無機酸化物は、結晶の主骨格をなしていることを特徴とする請求項10に記載の蛍光体。
  12. 前記無機酸化物は、発光中心として機能する、Ce3+、Eu3+及びTb3+のいずれかのイオンを含むことを特徴とする請求項10に記載の蛍光体。
  13. 前記無機酸化物は、蛍光体の発光中心として機能するCe3+を含み、
    Ce3+による発光の発光ピーク波長は、485nmよりも短波長側に位置することを特徴とする請求項12に記載の蛍光体。
  14. 前記無機酸化物は、蛍光体の発光中心として機能するEu3+を含み、
    前記Eu3+は、輝線状の複数の蛍光成分を放ち、
    Eu3+による前記蛍光成分の主輝線は600nm以上628nm未満の波長範囲内にあり、少なくとも700nm以上720nm未満の波長範囲内にある輝線の最大高さは、前記主輝線の最大高さの60%未満であることを特徴とする請求項12に記載の蛍光体。
  15. 請求項10乃至14のいずれか一項に記載の蛍光体を備えることを特徴とする発光装置。
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